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特許7411065分散型台帳物流コンピュータ、分散型台帳物流システム、分散型台帳物流方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】分散型台帳物流コンピュータ、分散型台帳物流システム、分散型台帳物流方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20231227BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20231227BHJP
【FI】
G06Q10/083 320
G06Q20/38 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022507118
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010850
(87)【国際公開番号】W WO2021181610
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高志
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073394(JP,A)
【文献】特開2012-014410(JP,A)
【文献】特開2002-032547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録する配送用台帳書込手段と、
前記納品完了であることが記録された際に、前記配送依頼者が前記配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバに依頼するデジタル通貨発行依頼手段と、
前記配送会社のデジタル通貨の換金要求に従って、当該デジタル通貨を実通貨に所定のレートで換金する換金手段と、
を備え、
前記換金手段は、所定の条件に応じて、前記所定のレートを変化させる、
ことを特徴とする分散型台帳物流コンピュータ。
【請求項2】
前記デジタル通貨発行依頼手段が、前記デジタル通貨の発行を前記金融機関サーバに依頼したことを通貨用分散型台帳に記録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型台帳物流コンピュータ。
【請求項3】
前記所定の条件は、換金のタイミング、作業難易度少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分散型台帳物流コンピュータ。
【請求項4】
前記換金のタイミングは、作業完了からの経過日数、当初規定していた期日を迎えているか否かを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の分散型台帳物流コンピュータ。
【請求項5】
請求項1に記載の分散型台帳物流コンピュータの配送用分散型台帳は、当該分散型台帳物流コンピュータと、前記配送依頼者が管理する配送依頼者サーバと、前記配送会社が管理する配送会社サーバとで少なくとも分散的に管理され、
前記配送依頼者サーバは、請求項1に記載の分散型台帳物流コンピュータが発行を依頼したデジタル通貨の清算を依頼する清算依頼を取得し、当該清算依頼における実通貨の金額を清算する、
ことを特徴とする分散型台帳物流システム。
【請求項6】
前記配送会社サーバは、前記依頼内容を孫請配送会社に依頼した場合、前記納品完了であることが記録された際に、前記配送会社が当該孫請配送会社にデジタル通貨で支払いを行うデジタル通貨支払手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の分散型台帳物流システム。
【請求項7】
前記発行したデジタル通貨が前記配送依頼者に支払われることによって、前記金融機関サーバを管理する金融機関が前記配送依頼者に対してデジタル通貨を貸し付ける、
ことを特徴とする請求項5に記載の分散型台帳物流システム。
【請求項8】
前記配送会社が支払うデジタル通貨が不足する場合、不足するデジタル通貨の発行依頼を、前記金融機関サーバに依頼する、
ことを特徴とする請求項5に記載の分散型台帳物流システム。
【請求項9】
コンピュータが実行する分散型台帳物流方法であって、
配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録するステップと、
前記納品完了であることが記録された際に、前記配送依頼者が前記配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバに依頼するステップと、
前記配送会社のデジタル通貨の換金要求に従って、当該デジタル通貨を実通貨に所定のレートで換金するステップと、
を備え、
前記換金するステップは、所定の条件に応じて、前記所定のレートを変化させる、
ことを特徴とする分散型台帳物流方法。
【請求項10】
コンピュータに、
配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録するステップ、
前記納品完了であることが記録された際に、前記配送依頼者が前記配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバに依頼するステップ、
前記配送会社のデジタル通貨の換金要求に従って、当該デジタル通貨を実通貨に所定のレートで換金するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、
前記換金するステップは、所定の条件に応じて、前記所定のレートを変化させる、
コンピュータ読み取り可能なプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流サービスに対して分散型台帳を活用する分散型台帳物流コンピュータ、分散型台帳物流システム、分散型台帳物流方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流サービスに対して、信頼性の高い分散型台帳の活用が進められている。このような分散型台帳は、分散型台帳技術により実現されるものであり、例えば、各ノードが共有して管理する台帳である。分散型台帳は、例えば、データを数珠繋ぎにブロックとして、記録したブロックチェーンを、各ノードが共有するものである。
【0003】
このような分散型台帳の活用例として、積荷の輸送状態を分散的に管理して、輸送状態におけるデータの信頼性を高める構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-121198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、物流サービスは、配送を依頼する配送依頼者、実際に配送を行う配送会社により実施される。さらに、これに加えて、物流サービスは、この配送会社から依頼を受ける孫請配送会社により実施されることがある。ここで、配送依頼者、配送会社及び孫請配送会社の間に、配送に関する支払いが当然発生する。
【0006】
しかしながら、配送依頼者から配送を依頼して、配送会社や孫請配送会社に支払いが行われるのは、所定の支払期間における支払期日までの何れかの日付になるため、配送会社や孫請配送会社にとって必ずしも所望するタイミングで支払いを受けることが困難であり、配送会社や孫請配送会社が所望するタイミングで、支払いが行われるのが望ましかった。
【0007】
また、特許文献1の構成では、銀行等の配送に係る支払いのデータまで分散型台帳により、分散的に管理することができなかった。
【0008】
本発明は、分散型台帳の信頼性を活用して、デジタル通貨を発行し、物流サービスにおいて、都度払いを行うことが可能となるとともに未払いや二重払いの有無を確認することが容易な分散型台帳物流コンピュータ、分散型台帳物流システム、分散型台帳物流方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
本発明は、配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録する配送用台帳書込手段と、
前記納品完了であることが記録された際に、前記配送依頼者が前記配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバに依頼するデジタル通貨発行依頼手段と、
前記配送会社のデジタル通貨の換金要求に従って、当該デジタル通貨を実通貨に所定のレートで換金する換金手段と、
を備え
前記換金手段は、所定の条件に応じて、前記所定のレートを変化させる、
ことを特徴とする分散型台帳物流コンピュータを提供する。
【0011】
本発明によれば、分散型台帳物流コンピュータは、配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録し、前記納品完了であることが記録された際に、前記配送依頼者が前記配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバに依頼し、前記配送会社のデジタル通貨の換金要求に従って、当該デジタル通貨を実通貨に所定のレートで換金し、所定の条件に応じて、前記所定のレートを変化させる。
【0012】
本発明は、分散型台帳物流コンピュータのカテゴリであるが、システム、方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分散型台帳の信頼性を活用して、デジタル通貨を発行し、物流サービスにおいて、都度払いを行うことが可能となるとともに未払いや二重払いの有無を確認することが容易な分散型台帳物流コンピュータ、分散型台帳物流システム、分散型台帳物流方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、分散型台帳物流システム1の概要を示す図である。
図2図2は、分散型台帳物流システム1の全体構成図である。
図3図3は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300が実行する配送完了時書込処理のフローチャートを示す図である。
図4図4は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300、金融機関サーバ500が実行するデジタル通貨発行処理のフローチャートを示す図である。
図5図5は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200が実行する換金処理のフローチャートを示す図である。
図6図6は、配送依頼者サーバ100が実行する清算処理のフローチャートを示す図である。
図7図7は、分散型台帳物流システム1が実行する配送完了時書込処理、デジタル通貨発行処理、換金処理及び清算処理の一連の流れを模式的に示した図である。
図8図8は、配送依頼の画面の一例を示す図である。
図9図9は、孫請用配送依頼の画面の一例を示す図である。
図10図10は、孫請用配送依頼に対する注文承諾画面の一例を示す図である。
図11図11は、デジタル通貨を換金する際の、注文一覧画面の一例を示す図である。
図12図12は、ブロックチェーン400の共有状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0016】
[分散型台帳物流システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である分散型台帳物流システム1の概要を説明するための図である。分散型台帳物流システム1は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者が管理する配送依頼者サーバ100、配送会社が管理する配送会社サーバ200、孫請配送会社が管理する孫請配送会社サーバ300、金融機関(例えば、銀行、中小企業金融機関、農林水産金融機関、証券金融機関、保険会社、ノンバンク、政府系金融機関)が管理する金融機関サーバ500から構成され、物流サービスに対して分散型台帳を活用するコンピュータシステムである。
【0017】
なお、分散型台帳物流システム1は、配送依頼者が所持する配送依頼者端末、配送会社が所持する配送会社端末、孫請配送会社が所持する孫請配送会社端末、銀行が所持する銀行端末、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。
【0018】
配送用分散型台帳及び通貨用分散型台帳は、分散型台帳物流コンピュータ10と、配送依頼者サーバ100と、配送会社サーバ200と、孫請配送会社サーバ300とで、分散的に管理された分散型台帳であり、本実施例においては、ブロックチェーン400であるものとして説明する。このブロックチェーン400の詳細については、後述する。
【0019】
なお、ブロックチェーン400は、分散型台帳物流コンピュータ10と、配送依頼者サーバ100と、配送会社サーバ200と、少なくとも分散的に管理されるものであればよい。
【0020】
分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300、金融機関サーバ500と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。分散型台帳物流コンピュータ10は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能モジュールを含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0021】
配送依頼者サーバ100は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200、金融機関サーバ500と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。配送依頼者サーバ100は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0022】
配送会社サーバ200は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、孫請配送会社サーバ300、金融機関サーバ500と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。配送会社サーバ200は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0023】
孫請配送会社サーバ300は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200、金融機関サーバ500と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。孫請配送会社サーバ300は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0024】
ブロックチェーン400は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300とで分散的に管理されるものである。ブロックチェーン400は、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300の複数の組み合わせを各チャネルとして、ブロックとして構成される。ブロックチェーン400は、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300の第1チャネル、配送依頼者サーバ100及び配送会社サーバ200の第2チャネル、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300の第3チャネルが存在するものである。分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200又は孫請配送会社サーバ300から取得した情報を、ブロックチェーン400の第1~第3チャネルのうち、該当するチャネルに、必要な情報を書き込むことになる。
【0025】
金融機関サーバ500は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。金融機関サーバ500は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0026】
分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録する。
【0027】
例えば、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社サーバ200が、配送依頼者サーバ100から配送依頼を受注したことを契機として、ブロックチェーン400に、配送依頼に関する情報である、配送IDや配送料金等を書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第3チャネルのブロックに、これらを書き込む。
【0028】
さらに、分散型台帳物流コンピュータ10は、孫請配送会社サーバ300が、配送会社サーバ200から配送依頼を受注したことを契機として、ブロックチェーン400に、配送依頼に関する情報である、配送IDや配送料金等を書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第2チャネルのブロックにこれらを書き込む。
【0029】
これらの結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を配送用分散型台帳に記録することになる。
【0030】
このようにすることにより、配送会社と、孫請配送会社との間の支払金額を、配送依頼者に対して、隠匿することが可能となり、参加者集めのハードルを下げることが容易となる。
【0031】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、孫請配送会社サーバ300から、運送実施及び納品を行ったことを示す納品完了通知を取得することを契機として、ブロックチェーン400に、この配送依頼が納品完了であることを書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、納品完了通知の内容と、配送依頼の内容とを照合し、適切な納品が行われていた場合、納品完了を書き込むことになる。分散型台帳物流コンピュータ10は、第1チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0032】
この結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録することになる。
【0033】
なお、納品完了通知の内容と、配送依頼の内容との照合は、分散型台帳物流コンピュータ10に限らず、その他のシステムや人が実行してもよいし、分散型台帳物流コンピュータ10に加えて、その他のシステム又は人の何れか又は双方が実行するといったような複数の構成が実行してもよい。このような場合、分散型台帳物流コンピュータ10は、この照合結果を取得することを契機として、適切な納品である場合、ブロックチェーン400に、この配送依頼が納品完了であることを書き込む。
【0034】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、その他のシステム又は人から、ブロックチェーン400に納品完了を記録するか否かの入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて、納品完了をブロックチェーン400に記録するか否かを判断する構成であってもよい。
【0035】
分散型台帳物流コンピュータ10は、納品完了であることが記録された際に、配送依頼者が配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバ500に依頼する。
【0036】
本明細書におけるデジタル通貨とは、独自の自家コイン(トークン)であっても良いし、予めコンソーシアムを組んでおき、このコンソーシアム内で合意された独自コインであっても良いし、流通範囲が広い、実通貨と等価に扱えるものであってもよいし、既存のものであってもよい。
【0037】
例えば、分散型台帳物流コンピュータ10は、納品完了を記録した際、デジタル通貨を配送依頼者サーバ100に対して発行する依頼を、金融機関サーバ500に出力する。金融機関サーバ500は、この依頼に基づいて、デジタル通貨を配送依頼者サーバ100に対して発行する。このデジタル通貨は、例えば、トークンである。配送依頼者サーバ100は、発行されたデジタル通貨を、配送会社サーバ200に送金する。
【0038】
この結果、配送依頼者は、デジタル通貨を発行されることになる。
【0039】
本明細書におけるデジタル通貨の発行とは、新たにデジタル通貨を生成し、このデジタル通貨を支払うことだけでなく、予め生成したデジタル通貨を保持しておき、この保持したデジタル通貨を支払うことも含む。
【0040】
配送会社サーバ200は、配送依頼者からの配送依頼を孫請配送会社に依頼している場合、納品完了であることが配送用分散型台帳に記録された際に、配送会社が孫請配送会社にデジタル通貨で支払いを行う。
【0041】
例えば、配送会社サーバ200は、発行されたデジタル通貨を用い、孫請配送会社に依頼した依頼内容に基づいて、配送料金に該当する金額のデジタル通貨を、孫請配送会社サーバ300に送金する。
【0042】
この結果、配送会社は、孫請配送会社に、デジタル通貨で支払いを行うことになる。
【0043】
分散型台帳物流コンピュータ10は、デジタル通貨の発行を金融機関サーバ500に依頼したことを通貨用分散型台帳に記録する。
【0044】
例えば、分散型台帳物流コンピュータ10は、金融機関サーバ500に、発行を依頼したデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400に書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第1チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0045】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者サーバ100が、配送会社サーバ200に発行したデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400に書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第3チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0046】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社サーバ200が、孫請配送会社サーバ300に支払ったデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400に書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第2チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0047】
この結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、デジタル通貨の発行を依頼したこと及びデジタル通貨を発行したことを通貨用分散型台帳に記録することになる。すなわち、物流サービスにおいて、デジタル通貨の発行が支払実績として通貨用分散型台帳に書き込まれるので信用が担保され、都度払いを行うことが可能となるとともに未払いや二重払いの有無を確認することが容易となる。
【0048】
次に、分散型台帳物流システム1が実行する処理の概要について説明する。
【0049】
はじめに、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、当該配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を記録し、かつ、当該依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録する(ステップS01)。
【0050】
分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社サーバ200が、配送依頼者サーバ100から配送依頼を受注したことを契機として、ブロックチェーン400の第3チャネルに、配送IDや配送料金等を書き込む。
【0051】
加えて、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社サーバ200から、運送実施及び納品を行ったことを示す納品完了通知を取得することを契機として、ブロックチェーン400の第1チャネルに、この配送依頼が納品完了であることを書き込む。
【0052】
なお、配送会社が、孫請配送会社に、配送依頼をさらに行う場合、分散型台帳物流コンピュータ10は、孫請配送会社サーバ300が、配送会社サーバ200から配送依頼を受注したことを契機として、ブロックチェーン400の第2チャネルに、配送IDや配送料金等を書き込む。
【0053】
加えて、分散型台帳物流コンピュータ10は、孫請配送会社サーバ300から納品完了通知を取得することを契機として、ブロックチェーン400の第1チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0054】
分散型台帳物流コンピュータ10は、納品完了であることが記録された際に、配送依頼者が配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバ500に依頼する(ステップS02)。
【0055】
分散型台帳物流コンピュータ10は、納品完了を記録した際、デジタル通貨を配送依頼者サーバ100に対して発行する依頼を、金融機関サーバ500に出力する。金融機関サーバ500は、この依頼に基づいて、デジタル通貨を配送依頼者サーバ100に対して発行する。配送依頼者サーバ100は、発行されたデジタル通貨を、配送会社サーバ200に送金する。
【0056】
なお、配送会社が、配送依頼者からの配送依頼を孫請配送会社に依頼している場合、発行されたデジタル通貨により、配送会社が孫請配送会社に、配送料金を支払う。
【0057】
配送会社サーバ200は、発行されたデジタル通貨を用い、孫請配送会社に依頼した依頼内容に基づいて、配送料金に該当する金額のデジタル通貨を、孫請配送会社サーバ300に送金する。
【0058】
分散型台帳物流コンピュータ10は、デジタル通貨の発行を金融機関サーバ500に依頼したことを通貨用分散型台帳に記録する(ステップS03)。
【0059】
分散型台帳物流コンピュータ10は、金融機関サーバ500に、発行を依頼したデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400に書き込む。このとき、分散型台帳物流コンピュータ10は、第1チャネルのブロックにこれを書き込む。
【0060】
分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者サーバ100が、配送会社サーバ200に発行したデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400の第2チャネルに書き込む。
【0061】
なお、配送依頼者からの配送依頼を孫請配送会社に依頼している場合、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社サーバ200が、孫請配送会社サーバ300に支払ったデジタル通貨を、デジタル通貨の支払実績として、ブロックチェーン400の第3チャネルに書き込む。
【0062】
以上が、分散型台帳物流システム1が実行する処理の概要である。
【0063】
[分散型台帳物流システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である分散型台帳物流システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である分散型台帳物流システム1のシステム構成を示す図である。図2において、分散型台帳物流システム1は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300、金融機関サーバ500から構成され、物流サービスに対して分散型台帳を活用するコンピュータシステムである。
【0064】
なお、分散型台帳物流システム1は、上述した配送依頼者端末、配送会社端末、孫請配送会社端末、銀行端末、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。
【0065】
分散型台帳物流コンピュータ10は、上述した通り、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。分散型台帳物流コンピュータ10は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0066】
分散型台帳物流コンピュータ10は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、分散型台帳物流コンピュータ10は、記録部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、分散型台帳物流コンピュータ10は、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0067】
分散型台帳物流コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、通貨発行依頼モジュール20、支払モジュール21を実現する。また、分散型台帳物流コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール30を実現する。また、分散型台帳物流コンピュータ10において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、照合モジュール40、換金モジュール41を実現する。
【0068】
配送依頼者サーバ100は、上述した通り、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。配送依頼者サーバ100は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0069】
配送依頼者サーバ100は、分散型台帳物流コンピュータ10と同様に、制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備え、記録部として、データのストレージ部を備え、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0070】
配送依頼者サーバ100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、発注モジュール120、書込依頼モジュール121、支払モジュール122、清算依頼取得モジュール123、清算モジュール124を実現する。また、配送依頼者サーバ100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール130を実現する。
【0071】
配送会社サーバ200は、上述した通り、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、孫請配送会社サーバ300と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。配送会社サーバ200は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0072】
配送会社サーバ200は、分散型台帳物流コンピュータ10と同様に、制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備え、記録部として、データのストレージ部を備え、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0073】
配送会社サーバ200において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、受注通知モジュール220、発注モジュール221、書込依頼モジュール222、支払モジュール223、支払完了通知モジュール224、換金要求モジュール225を実現する。また、配送会社サーバ200において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール230を実現する。
【0074】
孫請配送会社サーバ300は、上述した通り、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。孫請配送会社サーバ300は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0075】
孫請配送会社サーバ300は、分散型台帳物流コンピュータ10と同様に、制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備え、記録部として、データのストレージ部を備え、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0076】
孫請配送会社サーバ300において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、孫請受注通知モジュール320、納品完了通知モジュール321、支払完了通知モジュール322を実現する。また、孫請配送会社サーバ300において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、記録部と協働して、記録モジュール330を実現する。
【0077】
ブロックチェーン400は、上述した通り、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300とで分散的に管理されるものである。ブロックチェーン400は、上述した通り、チャネル毎にブロックが数珠繋ぎに連なったものである。ブロックチェーン400は、記録モジュール30、記録モジュール130、記録モジュール230、記録モジュール330により、分散的に管理される。
【0078】
なお、ブロックチェーン400は、分散型台帳物流コンピュータ10と、配送依頼者サーバ100と、配送会社サーバ200と、少なくとも分散的に管理されるものであればよい。
【0079】
金融機関サーバ500は、上述した通り、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100と公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信や各種処理を実行する。金融機関サーバ500は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。
【0080】
金融機関サーバ500は、分散型台帳物流コンピュータ10と同様に、制御部として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備え、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス等を備え、記録部として、データのストレージ部を備え、処理部として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0081】
金融機関サーバ500において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部と協働して、支払モジュール520を実現する。また、金融機関サーバ500において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部と協働して、通貨発行モジュール540を実現する。
【0082】
[配送完了時書込処理]
図3に基づいて、分散型台帳物流システム1が実行する配送完了時書込処理について説明する。図3は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300が実行する配送完了時書込処理のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0083】
発注モジュール120は、荷物の配送を発注する配送依頼を、配送会社サーバ200に出力する(ステップS10)。ステップS10において、発注モジュール120は、配送ID、配送料金、荷物の名称、種類、配送元、配送先、配送日時等を含む配送依頼を、出力する。配送会社サーバ200は、この配送依頼を受信し、配送会社の従業員等からの入力を受け付けることにより、配送依頼を受注することになる。配送会社は、この配送依頼に従って、荷物の配送又は孫請配送会社にさらに配送依頼を行う等を実行する。
【0084】
受注通知モジュール220は、配送依頼を受注したことを示す受注通知を、配送依頼者サーバ100に出力する(ステップS11)。ステップS11において、受注通知モジュール220は、受注通知を、配送依頼者サーバ100に通知する。配送依頼者サーバ100は、この受注通知を受信する。
【0085】
書込依頼モジュール121は、配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を、ブロックチェーン400に記録する書込依頼を、分散型台帳物流コンピュータ10に出力する(ステップS12)。ステップS12において、書込依頼モジュール121は、依頼内容として、配送依頼の内容をブロックチェーン400に記録する書込依頼を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この書込依頼を受信する。
【0086】
記録モジュール30は、書込依頼に従って、配送ID、配送料金、荷物の名称、種類、配送元、配送先、配送日時等を含む配送依頼の依頼内容を、ブロックチェーン400に記録する(ステップS13)。ステップS13において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第3チャネルのブロックに、この依頼内容を記録する。このとき、配送料金は、デジタル通貨により支払われるトークン数となる。
【0087】
分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300は、この新たに依頼内容が記録されたブロックチェーン400を、共有し、分散的に管理する。
【0088】
発注モジュール221は、荷物の配送を孫請配送会社に発注する孫請用配送依頼を、孫請配送会社サーバ300に出力する(ステップS14)。ステップS14において、発注モジュール221は、配送ID、配送料金、荷物の名称、種類、配送元、配送先、配送日時等を含む孫請用配送依頼を、出力する。孫請配送会社サーバ300は、この孫請用配送依頼を受信し、孫請配送会社の従業員等からの入力を受け付けることにより、孫請用配送依頼を受注することになる。孫請配送会社は、この孫請用配送依頼に従って、荷物の配送を行う等を実行する。
【0089】
孫請受注通知モジュール320は、孫請用配送依頼を受注したことを示す孫請受注通知を、配送会社サーバ200に出力する(ステップS15)。ステップS15において、孫請受注通知モジュール320は、孫請受注通知を、配送会社サーバ200に通知する。配送会社サーバ200は、この孫請受注通知を受信する。
【0090】
書込依頼モジュール222は、配送会社が孫請配送会社に依頼した依頼内容を、ブロックチェーン400に記録する書込依頼を、分散型台帳物流コンピュータ10に出力する(ステップS16)。ステップS16において、書込依頼モジュール222は、依頼内容として、孫請用配送依頼の内容をブロックチェーン400に記録する書込依頼を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この書込依頼を受信する。
【0091】
記録モジュール30は、書込依頼に従って、配送ID、配送料金、荷物の名称、種類、配送元、配送先、配送日時等を含む孫請用配送依頼の依頼内容を、ブロックチェーン400に記録する(ステップS17)。ステップS17において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第2チャネルのブロックに、この依頼内容を記録する。このとき、配送料金は、デジタル通貨により支払われるトークン数となる。
【0092】
分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300は、この新たに依頼内容が記録されたブロックチェーン400を、共有し、分散的に管理する。
【0093】
また、孫請配送会社サーバ300は、配送を実行する車両に関する車両情報(例えば、発注ID、発注元ID、車両ID、運転手ID、車両台数)を、配送会社サーバ200に出力する。配送会社サーバ200は、この車両情報を取得し、この車両情報を、配送依頼者サーバ100に出力する。
【0094】
なお、分散型台帳物流システム1は、配送会社が、配送依頼者からの配送依頼を孫請配送会社に依頼していない場合、上述したステップS14-S17の処理を省略し、後述する処理を実行する事になる。この場合、後述した処理における、孫請配送会社サーバ300が実行する各処理を、配送会社サーバ200が実行する事になる。
【0095】
これらの処理の結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、依頼者から配送依頼を受けた配送会社が受注をした際に、配送依頼者が配送会社に依頼した依頼内容を配送用分散型台帳に記録することになる。
【0096】
このようにすることにより、配送会社と、孫請配送会社との間の支払金額を、配送依頼者に対して、隠匿することが可能となり、参加者集めのハードルを下げることが容易となる。
【0097】
納品完了通知モジュール321は、運送実施及び納品を行ったことを示す納品完了通知を、分散型台帳物流コンピュータ10に出力する(ステップS18)。ステップS18において、納品完了通知モジュール321は、配送ID、荷物の名称、配送元、配送先、配送日時等を含む納品完了通知を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この納品完了通知を受信する。
【0098】
納品完了通知の一例について説明する。運送を実施した運転手は、孫請配送会社端末により、受領書に記載された二次元コードを読み取り、アプリケーションを起動する。運転手は、このアプリケーションにより、受領書に記載された二次元コードと、受領印とを撮影する。運転手は、孫請配送会社端末から直接又は孫請配送会社サーバ300を介して、分散型台帳物流コンピュータ10に、二次元コードと受領印が撮影された画像と、二次元コードに印字された配送IDとを納品完了通知として出力する。なお、撮影時に、位置情報や時刻情報を取得して、この位置情報や時刻情報を、画像に付加して保存するようにしてもよい。位置情報や時刻情報によれば、納品の証跡をより正確に捉えることができ、配送依頼内容との照合に役立てることができるようになる。位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)で取得した緯度・経度や、近隣の無線LAN(Local Area Network)他電波を発する基地局等の装置のID等から取得可能である。
【0099】
照合モジュール40は、取得した納品完了通知と、配送依頼者の配送依頼とを照合し、適切な納品が行われたか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19において、照合モジュール40は、今回取得した納品完了通知における配送IDと、ブロックチェーン400に書き込まれた配送依頼における配送IDとが一致するか否かを照合する。照合モジュール40は、配送IDが一致しないと判定した場合(ステップS19 NO)、照合モジュール40は、誤配送であると判定し、分散型台帳物流コンピュータ10は、本処理を終了する。以上において、照合に用いる情報や工程は一例であって、上記に限定されるものではない。例えば、納品予定時刻と実際の納品時刻とを比較したり、画像に付加された位置情報と車両の位置情報とを比較したりする工程等を、適宜に組み合わせ、付加してもよい。情報の種類や照合の工程を増やすことにより、照合精度をより高めることができるようになる。
【0100】
なお、照合モジュール40が、誤配送であると判定した場合、分散型台帳物流コンピュータ10は、誤配送であることを示す通知を、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200又は孫請配送会社サーバ300の何れか又は複数の組み合わせに出力する構成であってもよい。
【0101】
一方、ステップS19において、照合モジュール40は、配送IDが一致すると判定した場合(ステップS19 YES)、照合モジュール40は、適切な納品が行われたと判定し、記録モジュール30は、ブロックチェーン400に納品完了したことを記録する(ステップS20)。ステップS20において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第1チャネルのブロックに、この配送IDの納品が完了したことを記録する。
【0102】
分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300は、この新たに納品完了が記録されたブロックチェーン400を、共有し、分散的に管理する。
【0103】
この結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼を納品完了の際に、納品完了であることを配送用分散型台帳に記録することになる。
【0104】
なお、照合モジュール40が実行する上述したステップS19の処理は、その他のシステムや人による入力に基づいたものであってもよい。具体的には、分散型台帳物流コンピュータ10は、その他のシステムや人から、納品完了通知の内容と、配送依頼の内容との照合結果(適切な納品であるか否か)の入力を受け付け、この受け付けた入力に基づいて、適切な納品が行われたか否かを判断する構成であってもよい。
【0105】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、その他のシステムや人から、ブロックチェーン400に納品完了を記録するか否かの入力を受け付け、この受け付けた入力に基づいて、納品完了をブロックチェーン400に記録するか否かを判断する構成であってもよい。
【0106】
また、照合モジュール40は、配送IDの一致以外の方法、例えば、サインをもらった納品書の正当性の照合、サインの正当性の照合といった方法や、他の方法に基づいて、適切な納品の判断を実行する構成であってもよい。
【0107】
分散型台帳物流システム1は、ブロックチェーン400に、納品完了が記録された後、配送会社サーバ200が、配送依頼者サーバ100に、今回の配送の請求書を出力し、孫請配送会社サーバ300が、配送会社サーバ200に今回の配送の請求書を出力する。配送依頼者サーバ100及び配送会社サーバ200は、其々、請求書を取得することになり、配送依頼者及び配送会社は、其々、今回の配送における請求書を取得することになる。
【0108】
以上が、配送完了時書込処理である。
【0109】
[デジタル通貨発行処理]
図4に基づいて、分散型台帳物流システム1が実行するデジタル通貨発行処理について説明する。図4は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300、金融機関サーバ500が実行するデジタル通貨発行処理のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0110】
通貨発行依頼モジュール20は、上述した配送完了時書込処理における納品完了であることが記録された際に、配送依頼者が配送会社に支払うためのデジタル通貨の発行を、金融機関サーバ500に依頼するデジタル通貨発行依頼を金融機関サーバ500に出力する(ステップS30)。ステップS30において、通貨発行依頼モジュール20は、納品が完了された配送依頼の依頼内容における配送料金分のデジタル通貨を発行するデジタル通貨発行依頼を、金融機関サーバ500に送信する。金融機関サーバ500は、このデジタル通貨発行依頼を受信する。
【0111】
通貨発行モジュール540は、取得したデジタル通貨発行依頼に基づいて、配送依頼者が配送会社に支払うためのデジタル通貨を発行する(ステップS31)。ステップS31において、通貨発行モジュール540は、このデジタル通貨発行依頼における配送料金分のデジタル通貨を発行する。
【0112】
支払モジュール520は、発行したデジタル通貨を、配送依頼者に支払う(ステップS32)。ステップS32において、支払モジュール520は、発行したデジタル通貨を、配送依頼者サーバ100に送金する。配送依頼者サーバ100は、このデジタル通貨を取得し、自身に記録する。この結果、銀行が、配送依頼者に対して、デジタル通貨を支払う(銀行が配送依頼者に対してデジタル通貨を貸し付ける)ことになる。
【0113】
なお、貸し付けられたデジタル通貨の返済は、貸付を受けた当事者(配送依頼者)が行うのみに限らず、配送会社や孫請配送会社等が行ってもよい。
【0114】
記録モジュール30は、デジタル通貨の発行を金融機関サーバ500に依頼したことをブロックチェーン400に記録する(ステップS33)。ステップS33において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第1チャネルのブロックに、デジタル通貨の発行を依頼したことを支払実績として記録する。
【0115】
分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300は、この新たに支払実績が記録されたブロックチェーン400を、共有し、分散的に管理する。
【0116】
支払モジュール122は、配送会社に、デジタル通貨を支払う(ステップS34)。ステップS34において、支払モジュール122は、配送依頼の依頼内容における配送料金分のデジタル通貨を配送会社サーバ200に送金する。配送会社サーバ200は、このデジタル通貨を取得し、このデジタル通貨を、自身に記録する。この結果、配送依頼者は、配送会社に対して、配送料金をデジタル通貨として支払うことになる。
【0117】
支払完了通知モジュール224は、分散型台帳物流コンピュータ10に、デジタル通貨が支払われたことを通知する支払完了通知を出力する(ステップS35)。ステップS35において、支払完了通知モジュール224は、支払元及び支払先の情報と、デジタル通貨の支払額とを含む支払完了通知を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この支払完了通知を受信する。
【0118】
支払モジュール223は、孫請配送会社に、デジタル通貨を支払う(ステップS36)。ステップS36において、支払モジュール223は、孫請用配送依頼の依頼内容における配送料金分のデジタル通貨を孫請配送会社サーバ300に送金する。孫請配送会社サーバ300は、このデジタル通貨を取得し、このデジタル通貨を、自身に記録する。この結果、配送会社は、孫請配送会社に対して、配送料金をデジタル通貨として支払うことになる。ところで、配送会社が複数の配送依頼を組み合わせて孫請配送会社に依頼するような場合、個々の支払いの中ではデジタル通貨が不足することも起こり得る。それ以外にも、何らかの理由でデジタル通貨が不足するような場合、配送会社は、配送料金のうち一部を、配送依頼者から取得したデジタル通貨を用いて支払いつつ、残りについては、金融機関から貸付を受ける形で、追加のデジタル通貨を発行し、配送料金を全てデジタル通貨として孫請配送会社に対して支払うようにすればよい。このように、配送会社から、孫請配送会社への支払いが全てデジタル通貨で完結する場合には、デジタル通貨の取得、送金、支払状況が、上述と同様の手段により、分散型台帳物流コンピュータ10に送信される。また、追加のデジタル通貨を発行することなく、その他手段、例えば、現金、手形、小切手を用いる場合には、それらの取得、送金、支払履歴を、自動及び/又はマニュアルで分散型台帳物流コンピュータ10に送信すればよい。
【0119】
支払完了通知モジュール322は、分散型台帳物流コンピュータ10に、デジタル通貨が支払われたことを通知する支払完了通知を出力する(ステップS37)。ステップS37において、支払完了通知モジュール332は、支払元及び支払先の情報と、デジタル通貨の支払額とを含む支払完了通知を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この支払完了通知を受信する。
【0120】
このようにすることにより、分散型台帳物流システム1は、デジタル通貨により、銀行への振込手数料を従来よりも安価にすることが容易となる。
【0121】
記録モジュール30は、上述したステップS35の処理による支払完了通知に従って、配送会社へのデジタル通貨の支払実績を、ブロックチェーン400に記録する(ステップS38)。ステップS38において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第3チャネルのブロックに、配送会社へのデジタル通貨の支払実績を記録する。
【0122】
記録モジュール30は、上述したステップS37の処理による支払完了通知に従って、孫請配送会社へのデジタル通貨の支払実績を、ブロックチェーン400に記録する(ステップS39)。ステップS39において、記録モジュール30は、ブロックチェーン400における第2チャネルのブロックに、孫請配送会社へのデジタル通貨の支払実績を記録する。
【0123】
分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200、孫請配送会社サーバ300は、この新たに支払実績が記録されたブロックチェーン400を、共有し、分散的に管理する。
【0124】
この結果、分散型台帳物流コンピュータ10は、デジタル通貨の発行を依頼したこと及びデジタル通貨を発行したことを通貨用分散型台帳に記録することになる。
【0125】
このようにすることにより、分散型台帳物流システム1は、支払実績の真正性を、ブロックチェーン400により保証することが容易となり、自動照合により事務工数を低減することが容易となる。
【0126】
以上が、デジタル通貨発行処理である。
【0127】
分散型台帳物流システム1は、上述した配送完了時書込処理及びデジタル通貨発行処理を、配送の都度実施する。
【0128】
なお、上述したデジタル通貨発行処理において、分散型台帳物流システム1は、配送の都度、デジタル通貨を発行しているが、予め、配送依頼に必要なデジタル通貨を発行し、この発行したデジタル通貨を、分散型台帳物流コンピュータ10や、配送依頼者サーバ100が保持しておく構成であってもよい。この場合、分散型台帳物流システム1は、配送完了時書込処理における納品完了であることが記録された際に、分散型台帳物流コンピュータ10や、配送依頼者サーバ100が保持しているデジタル通貨を、配送会社サーバ200や孫請配送会社サーバ300に支払うことになる。
【0129】
[換金処理]
図5に基づいて、分散型台帳物流システム1が実行する換金処理について説明する。図5は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200が実行する換金処理のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。なお、配送会社サーバ200の代わりに、孫請配送会社サーバ300を用いても、同様の処理を実行可能である。
【0130】
換金要求モジュール225は、自身が保有するデジタル通貨の換金要求を、分散型台帳物流コンピュータ10に出力する(ステップS40)。ステップS40において、換金要求モジュール225は、この換金要求を、分散型台帳物流コンピュータ10に送信する。分散型台帳物流コンピュータ10は、この換金要求を受信する。
【0131】
換金モジュール41は、この換金要求に従って、デジタル通貨を、実通貨に換金する(ステップS41)。ステップS41において、換金モジュール41は、デジタル通貨を、所定のレートで、実通貨の金額に換金する。
【0132】
なお、所定のレートは、換金のタイミング(例えば、作業完了からの経過日数、当初規定していた期日を迎えているか否か)、作業難易度(例えば、刺激を与えてはいけない等の品質面)や個数等に応じて、変化させることも可能である。
【0133】
支払モジュール21は、換金した実通貨の金額を、配送会社の口座等に支払う(ステップS42)。なお、ステップS42において、支払モジュール21は、この金額を、口座に限らず、配送会社が指定した方法により、支払う構成であってもよい。
【0134】
なお、上述した処理における分散型台帳物流コンピュータ10は、金融機関サーバが変わりに実行する構成であってもよい。
【0135】
以上が、換金処理である。
【0136】
分散型台帳物流システム1は、上述した換金処理を、配送会社や孫請配送会社が所望するタイミングで実施する。
【0137】
[清算処理]
図6に基づいて、分散型台帳物流システム1が実行する清算処理について説明する。図6は、配送依頼者サーバ100が実行する清算処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0138】
清算依頼取得モジュール123は、月締め等の月一回程度の所定のタイミングにおいて、金融機関サーバ500から、分散型台帳物流コンピュータ10が発行を依頼したデジタル通貨の清算を依頼する清算依頼を取得する(ステップS50)。ステップS50において、金融機関サーバ500は、前回清算が行われたタイミングから、今回までの間に、分散型台帳物流コンピュータ10が発行を依頼したデジタル通貨を、実通貨による清算を依頼する清算依頼を、配送依頼者サーバ100に出力する。清算依頼取得モジュール123は、この清算依頼を取得する。
【0139】
清算モジュール124は、この清算依頼における実通貨の金額を清算する(ステップS51)。ステップS51において、清算モジュール124は、この金額を、銀行に支払うことにより、清算する。なお、清算モジュール124は、この金額を、銀行が指定した方法により、清算する構成であってもよい。
【0140】
このようにすることにより、配送依頼者から現金が動くのは、従来通り月1回にすることが可能となる。
【0141】
以上が、清算処理である。
【0142】
上述した配送完了時書込処理、デジタル通貨発行処理、換金処理及び清算処理について、図7図12に基づいて、説明する。図7は、上述した配送完了時書込処理、デジタル通貨発行処理、換金処理及び清算処理の一連の流れを模式的に示した図である。図8は、配送依頼の画面の一例を示す図である。図9は、孫請用配送依頼の画面の一例を示す図である。図10は、孫請用配送依頼に対する注文承諾画面の一例を示す図である。図11は、デジタル通貨を換金する際の、注文一覧画面の一例を示す図である。図12は、ブロックチェーン400の一例を示す図である。
【0143】
<輸配送用BC(ブロックチェーン)400>
図12に基づいて、輸配送用BC400について説明する。輸配送用BC400は、共有パターンとして、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300と、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100及び配送会社サーバ200と、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300との3つのパターンがある。配送依頼者の発注情報は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100及び配送会社サーバ200のパターンで共有される。また、配送会社の発注情報は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300のパターンで共有される。また、納品完了は、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300のパターンにより共有される。
【0144】
<通貨用BC400>
図12に基づいて、通貨用BC400について説明する。通貨用BC400は、分散型台帳物流コンピュータ10と、配送依頼者サーバ100との間で、都度払いの依頼を受信したことを通知する。分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者からのDC(デジタル通貨)の発行依頼に従って、金融機関サーバ500にDCの発行を依頼する。金融機関サーバ500は、DCを発行し、このDCを、配送依頼者に支払う。配送依頼者は、配送会社にDCを支払う。配送会社は、孫請配送会社にDCを支払う。通貨用BC400は、其々に対する支払実績が記録され、分散型台帳物流コンピュータ10、配送依頼者サーバ100、配送会社サーバ200及び孫請配送会社サーバ300により共有される。
【0145】
なお、DCのような自家コインに限らず、デジタル通貨として、上述したようなコンソーシアム内で合意された独自コインや、既存のものを用いてもよい。
【0146】
<1:配送依頼者から配送会社への配車注文>
配送依頼者サーバ100は、配送依頼として、配送会社への配車注文の入力を受け付け、受け付けた配車注文を、配送会社サーバ200に出力する。配送依頼者サーバ100は、図8に示す新規配車注文画面600に対して、必要事項の入力を受け付け、受け付けた内容を、配送依頼として、配送会社サーバ200に送信する。この必要事項は、例えば、発注元、発注先、製品の名称、委託内容、必要機材、注意事項、配送に必要な車種や車両台数、積込予定時刻、積込場所、納品予定時刻、納品場所、発注金額である。
【0147】
配送会社サーバ200は、孫請用配送依頼として、孫請配送会社への配車依頼の入力を受け付け、受け付けた配車依頼を、孫請配送会社サーバ300に出力する。配送会社サーバ200は、図9に示す配車依頼画面610に対して、必要事項の入力を受け付け、受け付けた内容を、配車依頼として、孫請配送会社サーバ300に送信する。この必要事項は、製品の名称、委託内容、必要機材、注意事項、配送に必要な車種や車両台数、積込予定時刻、積込場所、納品予定時刻、納品場所、発注金額、依頼会社の名称、車番、運転手名、支払額である。
【0148】
孫請配送会社サーバ300は、配車依頼を受注したこと示す車両情報を、孫請受注通知として、配送会社サーバ200に出力する。孫請配送会社サーバ300は、図10に示す配車依頼承諾画面620に対して、配車依頼を承諾する入力を受け付け、受け付けた内容を、車両情報として、配送会社サーバ200に送信する。
【0149】
<2:配送会社から配送依頼者への車両情報>
配送会社サーバ200は、受け付けた車両情報を、配送依頼者サーバ100に出力する。
【0150】
<3:配送依頼者から銀行へ条件付き振込依頼>
分散型台帳物流コンピュータ10は、配送依頼者が、依頼した配送依頼に対する車両情報を、輸配送用BC400に記録する。分散型台帳物流コンピュータ10は、輸配送用BC400の該当するチャネルに、この車両情報を記録する。
【0151】
配送依頼者サーバ100は、配送依頼における料金を、金融機関サーバ500から、配送会社に支払う条件付き振込依頼を実行する。配送依頼者サーバ100は、納品が完了した際、料金分のデジタル通貨を振り込む依頼を、金融機関サーバ500に対して行う。このとき、配送依頼者サーバ100は、直接、金融機関サーバ500に対して、条件付き振込依頼を行っても良いし、分散型台帳物流コンピュータ10を介して、条件付き振込依頼を行ってもよい。
【0152】
<4:配送し納品後、納品完了通知>
孫請配送会社サーバ300は、納品完了通知を、分散型台帳物流コンピュータ10に出力する。分散型台帳物流コンピュータ10は、輸配送用BC400の該当するチャネルに、納品完了通知を記録する
【0153】
また、分散型台帳物流コンピュータ10は、配送会社及び銀行に、納品完了を通知する。
【0154】
<5:配送会社から配送依頼者へ請求書送付>
【0155】
配送会社サーバ200は、配送依頼者サーバ100に請求書を出力する。
【0156】
<6:条件付き振込の実行>
金融機関サーバ500は、条件付き振込依頼に従って、配送依頼者にDCを発行する。配送依頼者は、配送会社に対して、このDCにより、料金を支払う。また、配送会社は、支払われたDCにより、孫請配送会社に、料金を支払う。
【0157】
配送会社がデジタル通貨を換金する際、配送会社サーバ200は、図11に示す配送内容確認画面700に対して、現金化申請の入力を受け付けることにより、必要な処理を実行する事になる。これは、孫請配送会社がデジタル通貨を換金する際も同様である。分散型台帳物流コンピュータ10は、通貨用BC400の該当するチャネルに、支払実績を記録する。
【0158】
<7:(月締め)銀行貸付分の清算>
配送依頼者サーバ100は、発行したデジタル通貨分を金融機関サーバ500に対して清算する。
【0159】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD-ROMなど)、DVD(DVD-ROM、DVD-RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0160】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0161】
1 分散型台帳物流システム、10 分散型台帳物流コンピュータ、100 配送依頼者サーバ、200 配送会社サーバ、300 孫請配送会社サーバ、400 ブロックチェーン、500 金融機関サーバ
図1
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