IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポスコの特許一覧

<>
  • 特許-シートフレーム 図1
  • 特許-シートフレーム 図2
  • 特許-シートフレーム 図3
  • 特許-シートフレーム 図4
  • 特許-シートフレーム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シートフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20231227BHJP
   B60N 2/12 20060101ALI20231227BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/12
B60N2/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022507693
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2020006944
(87)【国際公開番号】W WO2021029520
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0097437
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソク、 ドン-ユン
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189139(JP,A)
【文献】特開2003-220867(JP,A)
【文献】特開昭60-045436(JP,A)
【文献】特開2015-081061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
B60N 2/12
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレールと、
クッションを支持し、閉断面の形状を有するクッションフレームと、
前記レール及び前記クッションフレームを前方で連結する前方リンクと、
前記レール及び前記クッションフレームを後方で連結する後方リンクと、
前記後方リンク及びシートバックフレームを連結する連結ブラケットと
を含み、
前記レールは、下部レールと、前記下部レールで摺動するように結合された上部レールを含み、
前記上部レールの上面に複数の第1牽引ブラケットが取り付けられ、前記第1牽引ブラケットに前記前方リンクまたは前記後方リンクがヒンジ連結され、
前記クッションフレームの下面には、複数の第2牽引ブラケットが備えられ、前記第2牽引ブラケットに前記前方リンクまたは前記後方リンクがヒンジ連結され、
第2牽引ブラケットの後方側で前記後方リンク及び前記連結ブラケットが連結される、シートフレーム。
【請求項2】
前記第1牽引ブラケットには、昇降モータの回転軸に設けられたピニオンギアが貫通する貫通孔が形成され、
前記前方リンクまたは前記後方リンクにはラックギアが備えられ、前記ラックギアと前記ピニオンギアが噛み合う、請求項に記載のシートフレーム。
【請求項3】
前記前方リンクに連結される前方側の第2牽引ブラケットのヒンジ穴は、傾斜した長穴で形成され、
前記傾斜した長穴で形成されたヒンジ穴内で前記前方リンクを連結するためのヒンジ軸の位置が可変する、請求項に記載のシートフレーム。
【請求項4】
前記前方側の第2牽引ブラケットの前記傾斜した長穴で形成されたヒンジ穴に挿入される両側ヒンジ軸は、互いに支持棒によって連結される、請求項に記載のシートフレーム。
【請求項5】
前記連結ブラケットの一側には前記後方リンクとの連結のためのヒンジ穴が備えられ、他側には前記シートバックフレームを組み立てるための取付孔が形成される、請求項に記載のシートフレーム。
【請求項6】
前記連結ブラケットのヒンジ穴が前記第2牽引ブラケットのヒンジ穴と前記後方リンクのヒンジ穴に連通するように整列された後にヒンジ軸が挿入される、請求項に記載のシートフレーム。
【請求項7】
前記連結ブラケット及び後方側の第1牽引ブラケットをヒンジ連結する補助リンクをさらに含む、請求項に記載のシートフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両に用いられるシートフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両に用いられるシートは、搭乗者の臀部を下から支持するクッション部と、搭乗者の背中をうしろから支持する背もたれ部を含む。このようなシートは、クッション部を前後進または昇降させたり、背もたれ部を倒したり立てるためにモータ及びギアなどを用いて電動で作動する。
【0003】
このために、シートは車両の室内に設けられたレールと、クッション部の両側に設けられたクッションサイドフレームが連結されており、高さ調節のためのモータ及びギア組立体がクッション部の下部に設けられている。
【0004】
このような場合に、クッションサイドフレームは、クッション部のクッションパネルを支持し、背もたれ部のシートバックフレームと連結されるため、シートフレームの構成の必須要素と言える。
【0005】
しかしながら、クッションサイドフレームは、シートフレームの全重量の約8~10%程度を占めるものと測定された。車両の燃費及び環境汚染への関心が台頭し、これに関して車両の重量を減らそうとする研究が進行中であるが、クッションサイドフレームなどの重い部品は車両の軽量化における大きな障害物として作用している。
【0006】
関連先行技術としては、韓国登録特許公報1881272B1に開示された発明がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本発明は、クッションサイドフレームを省略して軽量化を図ることができるシートフレームを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によるシートフレームは、一対のレールと、クッションを支持し、閉断面の形状を有するクッションフレームと、上記レール及び上記クッションフレームを前方で連結する前方リンクと、上記レール及び上記クッションフレームを後方で連結する後方リンクと、上記後方リンク及びシートバックフレームを連結する連結ブラケットとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によると、従来のクッションサイドフレーム及びこれに関連する部品を省略して軽量化に加え、部品数を削減しながらシートフレームに要求される作動メカニズムを実現してシートフレームの商品性を確保することができる効果がある。
【0010】
また、本発明によると、最終的に車両の燃費向上に役立つことができ、環境汚染を減らすことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例によるシートフレームを示した斜視図である。
図2図1に示したシートフレームの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例によるシートフレームの作動状態を示した図面である。
図4】本発明の一実施例によるシートフレームの作動状態を示した図面である。
図5】本発明の一実施例によるシートフレームの作動状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を例示的な図面によって詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても可能な限り同一符号を有するようにしていることに留意する必要がある。
【0013】
図1は、本発明の一実施例によるシートフレームを示した斜視図であり、図2は、図1に示したシートフレームの分解斜視図である。
【0014】
これらの図面に示したように、本発明の一実施例によるシートフレームは、一対のレール10と、クッション(図示せず)を支持し、閉断面の形状を有するクッションフレーム20と、レール及びクッションフレームを前方で連結する前方リンク30と、レール及びクッションフレームを後方で連結する後方リンク40と、後方リンク及びシートバックフレームBを連結する連結ブラケット50とを含む。
【0015】
一対のレール10は、例えば車両の室内床に設けられ、シートフレームを含むシートを前後方向に動かすために用いられる。このようなレールは、下部レール11及び上部レール12を含むことができる。
【0016】
一定の間隔を置いて並列に配置された下部レール11の内部には、摺動方式に作動する上部レール12が組み立て式に結合され、各上部レールの上面に複数の第1牽引ブラケット13が取り付けられる。
【0017】
各第1牽引ブラケット13はヒンジ穴14を備えて、前方リンク30または後方リンク40及びヒンジ軸15によって連結されるようになっている。
【0018】
選択的に、第1牽引ブラケット13のうち1つには、昇降モータ(図示せず)の回転軸に設けられたピニオンギア(図示せず)が貫通する貫通孔16が形成されることができる。
【0019】
第1牽引ブラケット13に前方リンク30または後方リンク40を介してクッションフレーム20が連結されることにより、上部レール12の動きに応じてクッションフレームが連動して前後進が可能になる。
【0020】
例えば、両側上部レール12を同時に作動させることができるように前後進モータ(図示せず)が上部レールの間に設けられ、このモータの両側に延長した2つの軸が両側上部レールとそれぞれ連結されるように構成されることで、上部レールに組み立てられるクッションフレーム20が前後進モータの駆動によって前方または後方に直線運動を行うことができる。
【0021】
クッションフレーム20は、閉断面の形状を有するように形成され、弾性材質のクッションを支持し、このクッションとともに覆われる外皮を有することができる。このように、クッションフレームは閉断面の形状を有することで構造的剛性が補強される効果が得られる。
【0022】
このようなクッションフレーム20の下面の両側には複数の第2牽引ブラケット23が装着され、クッションフレームに前方リンク30または後方リンク40が連結されることができる。
【0023】
図面には、一例として別途の第2牽引ブラケット23がクッションフレーム20に組み立てられるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第2牽引ブラケットはクッションフレームと一体に成形されることもできる。
【0024】
各第2牽引ブラケット23はヒンジ穴24を備えて、前方リンク30または後方リンク40及びヒンジ軸25によって連結されることができる。
【0025】
前方リンク30に連結される前方側の第2牽引ブラケット23のヒンジ穴24は傾斜した長穴で形成されることができ、当該ヒンジ軸25の位置がヒンジ穴内で可変することができる。
【0026】
前方リンク30及び後方リンク40は、それぞれ第1牽引ブラケット13及び第2牽引ブラケット23にヒンジ構造で連結され、クッションフレーム20が前進して上昇したり、後進して下降したりするようになっている。このために、前方リンク及び後方リンクはそれぞれヒンジ穴34、44を備えることができる。
【0027】
ここで、前方リンク30及び後方リンク40によるクッションフレーム20の前後進は、クッションフレームの昇降が伴うという点で上部レール12によるクッションフレーム20の前後進と区別され、上部レールに対する相対的な位置移動であることを明らかにする。
【0028】
前方リンク30のヒンジ軸のうち前方側の第2牽引ブラケット23の傾斜した長穴で形成されたヒンジ穴24に挿入される両側ヒンジ軸25は、互いに支持棒35によって連結され、クッションフレーム20の側方の一側が前進して上昇されたり、後進して下降されたりするときに他側も連動するようになることで、クッションフレームは側方にその平衡が維持されながら円滑な位置移動が行われるようになる。
【0029】
クッションフレーム20の側方に配置された両側前方リンク30のうち1つまたは両側後方リンク40のうち1つには、略円弧状に形成されたラックギア41が備えられることができる。図面には、ラックギアが後方リンクのうち1つに備えられた例が示されている。
【0030】
このようなラックギアは、上述した第1牽引ブラケット13のうち1つに形成された貫通孔16を貫通して昇降モータの回転軸に設けられるピニオンギアと噛み合うことができる。これにより、昇降モータからクッションフレーム20の移動のための駆動力が伝達されることができる。
【0031】
図3図5は、本発明の一実施例によるシートフレームの作動状態を示した図面である。
【0032】
後方リンク40のうち1つに備えられたラックギア41は、当該第1牽引ブラケット13に設けられたピニオンギアにその一端が噛み合っている。この状態で、ピニオンギアが昇降モータによって正方向に回転すると、ピニオンギアはラックギアに沿って相対移動をするようになり、これによってラックギアを有する後方リンクがヒンジ軸15を中心に回動しながら後方リンクの傾斜が変化し、クッションフレーム20が全体的に上昇して前進する。ラックギアはピニオンギアとの噛み合いから離脱しない。
【0033】
ラックギアのない他側後方リンク40は、閉断面形状のクッションフレーム20によってラックギア41を有する後方リンク40に連結されているため、ラックギアを有する後方リンクがヒンジ軸15を中心に回動する際に、ラックギアのない他側後方リンクも連動し、これによってクッションフレームは側方にその平衡が維持されながら全体的に上昇及び前進するようになる。
【0034】
この後、このような状態でピニオンギアが昇降モータによって逆方向に回転するようになると、ピニオンギアはラックギア41に沿って以前と反対方向に相対移動するようになり、これによってラックギアを有する後方リンク40がヒンジ軸15を中心に逆方向に回転しながら後方リンクの傾斜が変化し、クッションフレーム20が全体的に下降して後退する。
【0035】
さらに、クッションフレーム20が前進して上昇したり、後進して下降したりするとき、支持棒35を介して互いに連結された前方リンク30のヒンジ軸25が前方側の第2牽引ブラケット23の傾斜した長穴で形成されたヒンジ穴24内で相対移動するようになることで、クッションフレームは前後方向への角度が調節されることができる。
【0036】
このように、昇降モータの駆動と、ピニオンギアの相対移動、前方リンク30及び後方リンク40の回動、ヒンジ軸25の相対移動により、クッションフレーム20はその高さ及び角度を調節することができる。
【0037】
一方、シートバックフレームBはクッションフレーム20の後方に組み立てられることができる。
【0038】
本発明の一実施例によるシートフレームでは、シートバックフレームが一対の連結ブラケット50を介して後方リンク40に連結されることができる。
【0039】
各連結ブラケット50の一側には後方リンク40との連結のためのヒンジ穴54を備え、他側にはシートバックフレームを組み立てるための取付孔55が形成されることができる。
【0040】
例えば、シートバックフレームの内部の一側に回転モータ(図示せず)が取り付けられ、シートバックフレームが取付孔55を中心に回動するように構成されることで、シートバックフレームの角度が調節されることができる。
【0041】
連結ブラケット50のヒンジ穴54が第2牽引ブラケット23のヒンジ穴24と後方リンク40のヒンジ穴44に連通するように整列された後、これらのヒンジ穴にヒンジ軸25が挿入されることで、連結ブラケットと後方リンクが連結されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0042】
さらに、本発明の一実施例によるシートフレームでは、連結ブラケット50が一定の方位及び姿勢を有するように、この連結ブラケット50と後方側の第1牽引ブラケット13を連結する補助リンク60を含むことができる。
【0043】
このために、連結ブラケット50及び後方側の第1牽引ブラケット13は、それぞれの追加のヒンジ穴54、14を備えることができる。
【0044】
また、補助リンク60もヒンジ穴64を備え、別途のヒンジ軸65によって連結ブラケット50のヒンジ穴54または後方側の第1牽引ブラケット13のヒンジ穴14にそれぞれ連結されることができる。
【0045】
このような補助リンク60を備えることにより、ピニオンギアが昇降モータによって回転してラックギア41に沿って相対移動し、ラックギアを有する後方リンク40とラックギアのない後方リンクがヒンジ軸15を中心に回動する際に、補助リンクもヒンジ軸65を中心に回動するようになって連結ブラケット50が全体的に昇降されて前後進する。
【0046】
この場合に、補助リンク60が後方リンク40と共に平行リンクを実現するようになり、連結ブラケット50は一定の方位及び姿勢を有するまま平行に移動することができる。
【0047】
これにより、シートバックフレームBは、クッションフレーム20と共に前後進位置及び昇降位置が変化することができるが、その角度は変化しない。すなわち、シートバックフレームの角度変化はクッションフレームの作動とは関係ない。
【0048】
シートフレームの軽量化を達成するために従来のクッションサイドフレームを単に取り外す場合、このクッションサイドフレームに連携される様々な部品の組み立てが不可能になり、シートフレーム自体がなされられない。さらに、シートフレームは機構学的に動くシステムであり、クッションの高さや角度調節が可能である必要があるのに対し、クッションが移動される時にシートバックの位置も併せて可変する必要がある。
【0049】
本発明の一実施例によるシートフレームでは、クッションフレームの形状を変更し、前方側の第2牽引ブラケットのヒンジ穴として傾斜した長穴を採用し、補助リンク及び後方リンクからなる平行リンクがシートバックフレームのための連結ブラケットに導入されたことを特徴とする。
【0050】
以上のように本発明によると、従来のクッションサイドフレーム及びこれに関連する部品を省略して軽量化に加え、部品数を削減しながらシートフレームに要求される作動メカニズムを実現してシートフレームの商品性を確保することができる効果がある。
【0051】
また、本発明によると、最終的に車両の燃費向上に役立つことができ、環境汚染を減らすことができる効果が得られる。
【0052】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、車両に用いられるシートを構成し、軽量化を図る上で有用である。
図1
図2
図3
図4
図5