(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】プログラマブルSiPMアレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 25/773 20230101AFI20231227BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20231227BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20231227BHJP
G01S 7/4863 20200101ALI20231227BHJP
【FI】
H04N25/773
H01L27/146 A
H01L27/144 K
G01S7/4863
(21)【出願番号】P 2022516610
(86)(22)【出願日】2020-09-20
(86)【国際出願番号】 US2020051714
(87)【国際公開番号】W WO2021055916
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーギーズ,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】オナル,ケイナー
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0146071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
H01L 27/146
H01L 27/144
G01S 7/4863
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記基板に結合された複数の出力と、
前記基板に結合された複数の電気コンポーネントと、
を含むデバイスであって、前記複数の電気コンポーネントは、前記複数の出力のうちのどの出力を前記複数のSPADの各SPADに接続するかを選択することによって、前記複数のSPADを前記複数の出力に選択的に接続し、かつ、それによって前記デバイス内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定し、前記複数のSiPMの各SiPMが、前記複数の出力のそれぞれの出力に接続された1つ以上のSPADのそれぞれのセットを含むように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記電気コンポーネントは、前記複数のSPADを前記複数の出力に1回のみ選択的に接続するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電気コンポーネントは、前記複数のSPADを動的な態様で前記複数の出力に
選択的に接続するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電気コンポーネントは、トランジスタを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電気コンポーネントは、断絶可能な接続を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記断絶可能な接続は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレースのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のSPADの各SPADは、それぞれのクエンチング回路を含み、前記それぞれのクエンチング回路は、クエンチング抵抗器を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの光エミッタデバイスと、
レシーバサブシステムと、
を含む、光検出および測距(LIDAR)システムであって、前記レシーバサブシステムは、
基板と、
前記基板に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記基板に結合された複数の出力と、
前記基板に結合された複数の電気コンポーネントであって、前記複数の出力のうちのどの出力を前記複数のSPADの各SPADに接続するかを制御し、それによって前記レシーバサブシステム内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定するように選択可能な複数の電気コンポーネントと、
複数の開口部を含む開口部アレイであって、前記SiPMおよび前記開口部アレイは、複数のレシーバチャネルを画定するように位置合わせされ、各レシーバチャネルは、前記複数の開口部のそれぞれの開口部に光学的に結合されたそれぞれのSiPMを含む、開口部アレイと、
を含む、光検出および測距(LIDAR)システム。
【請求項9】
各SiPMは、前記複数のSPADのそれぞれの隣接する領域を含む、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記電気コンポーネントは、1回のみ選択可能である、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記電気コンポーネントは、動的に選択可能である、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記電気コンポーネントは、トランジスタを含む、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記電気コンポーネントは、断絶可能な接続を含む、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
前記断絶可能な接続は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレースのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
デバイスにおいて複数の開口部のそれぞれを介して光を受け取ることであって、前記デバイスは、(i)複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、(ii)複数の出力と、(iii)複数の電気コンポーネントと、を含み、前記複数の電気コンポーネントは、前記複数の出力のうちのどの出力を前記複数のSPADの各SPADに接続するかを選択することによって、前記複数のSPADを前記複数の出力に接続し、前記デバイス内に1つ以上のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定するように選択可能であり、前記SPAD、前記複数の出力および前記複数の電気コンポーネントは、基板に結合されることと、
各開口部について、どのSPADが前記それぞれの開口部を介して受け取られた光を検出するかを特定し、前記複数の電気コンポーネントのうちの1つ以上の電気コンポーネントを選択して、電気的に接続または切断することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記複数の開口部は、前記デバイスに光学的に結合されたピンホールのアレイを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の開口部を前記デバイスに光学的に結合することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の電気コンポーネントは、トランジスタまたは断絶可能な接続のうちの少なくとも1つを含み、前記断絶可能な接続は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレースのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の電気コンポーネントを選択することは、1回実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の電気コンポーネントを選択することは、動的に実行される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年9月20日出願の米国特許出願第16/577,021号の利益を主張し、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] シリコン光電子増倍管(SiPM)は、並列に電気的に接続された単一光子アバランシェダイオード(SPAD)のアレイから構成され得る。
【0003】
[0003] 従来のSPADアレイでは、各SPAD画素につき、個別の時間‐デジタル変換器(TDC)が組み込まれていることがある。このようなSPADアレイは、アレイ要素にて完全に「デジタル」な方法で実装することができ、SiPMの構成に柔軟性をもたらす。しかしながら、このような設計は多大な量のオフチップI/O帯域幅を必要とし、大量の電力を消費する。
【0004】
[0004] 他の従来のデバイスには、並列に配線されたSPADを有するSiPMが含まれる。このようなSiPMデバイスは、サブアレイレベルでは完全に「アナログ」であるが、柔軟性のない配線配置に欠点を有する。例えば、異なった分解要素がサブアレイレベルで望まれる場合、または焦点面上でそれらのサブアレイの異なった位置決めが必要な場合、従来のSiPMデバイスは、このようなニーズに応えることができない。
【0005】
[0005] したがって、デジタルSPADアレイに比べて電力消費およびI/O帯域幅が小さい、再構成可能なSPADアレイが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] いくつかの実施形態の例は、光の検出に関する方法、デバイスおよびシステムに関する。例えば、いくつかの実施形態は、LIDARシステムのレシーバサブシステムに関係し得る。
【0007】
[0007] 第1の態様では、デバイスが提供される。デバイスは、基板と、基板に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、を含む。デバイスは、基板に結合された複数の出力と、基板に結合された複数の電気コンポーネントと、をも含む。複数の電気コンポーネントは、複数の出力のうちのどの出力を複数のSPADの各SPADに接続するかを選択することによって、複数のSPADを複数の出力に選択的に接続し、かつ、それによってデバイス内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定し、複数のSiPMの各SiPMが、複数の出力のそれぞれの出力に接続された1つ以上のSPADのそれぞれのセットを含むように構成される。
【0008】
[0008] 第2の態様では、光検出および測距(LIDAR)システムが提供される。LIDARシステムは、少なくとも1つの光エミッタデバイスと、レシーバサブシステムと、を含む。レシーバサブシステムは、基板と、基板に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、を含む。レシーバサブシステムは、基板に結合された複数の出力と、基板に結合された複数の電気コンポーネントと、をも含む。複数の電気コンポーネントは、複数の出力のうちのどの出力を複数のSPADの各SPADに接続するかを制御し、それによってレシーバサブシステム内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定するように選択可能である。レシーバサブシステムは、複数の開口部を含む開口部アレイも含む。SiPMおよび開口部アレイは、複数のレシーバチャネルを画定するように位置合わせされる。各レシーバチャネルは、複数の開口部のそれぞれの開口部に光学的に結合されたそれぞれのSiPMを含む。
【0009】
[0009] 第3の態様では、方法が提供される。方法は、デバイスにおいて、複数の開口部のそれぞれを介して光を受け取ることを含む。デバイスは、(i)複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、(ii)複数の出力と、(iii)複数の電気コンポーネントとを含み、これら複数の電気コンポーネントは、複数の出力のうちのどの出力を複数のSPADの各SPADに接続するかを選択することによって、複数のSPADを複数の出力に接続し、デバイス内に1つ以上のシリコン光電子増倍管(SiPM)を画定するように選択可能である。SPAD、複数の出力および複数の電気コンポーネントは、基板に結合される。方法は、各開口部について、どのSPADがそれぞれの開口部を介して受け取られた光を検出するかを特定することと、複数の電気コンポーネントのうちの1つ以上の電気コンポーネントを選択して、電気的に接続または切断することと、を含む。
【0010】
[0010] 以下の詳細な説明を添付の図面を適宜参照して読むことによって、他の態様、実施形態および実施が当業者には明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]
図1は、実施形態の一例に係るデバイスを示す。
【
図2A】[0012]
図2Aは、実施形態の一例に係るデバイスを示す。
【
図2B】[0013]
図2Bは、実施形態の一例に係るデバイスを示す。
【
図2C】[0014]
図2Cは、実施形態の一例に係るデバイスを示す。
【
図3】[0015]
図3は、実施形態の一例に係る光検出および測距システムを示す。
【
図4】[0016]
図4は、いくつかの実施形態の例に係る光検出および測距システムを示す。
【
図5】[0017]
図5は、実施形態の一例に係る方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018] 本明細書には、方法、デバイスおよびシステムの例が記載される。「例」および「例示的な」という用語は、本明細書においては「例、事例または例示としての役割を果たす」ことを意味するために用いられることを理解されたい。本明細書において「例」または「例示的な」ものとして記載されるいかなる実施形態または特徴も、他の実施形態または特徴よりも好ましい、あるいは有利であると解釈されるとは必ずしも限らない。本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、他の変更を加えてもよい。
【0013】
[0019] したがって、本明細書に記載される実施形態の例は、限定的であることを意味しない。本明細書において概説され、かつ図面に例示される本開示による態様は、多種多様な別の構成に配置、置換、結合、分離および設計することができ、それらの構成のすべてが本明細書において想定される。
【0014】
[0020] さらに、文脈上別段の示唆がない限り、各図面に例示される特徴は、互いに組み合わせて用いられ得る。したがって、図面は一般に、図示されるすべての特徴が各実施形態に必要であるとは限らないということを理解した上で、1つ以上の全体的な実施形態を構成する態様として見るべきである。
【0015】
I.概要
[0021] SiPMは、並列に電気的に接続された単一光子アバランシェダイオード(SPAD)のアレイを含む。SPADは、ガイガーモードで動作するように設計された単一光子感応型デバイスである。モノリシックなデバイスは、複数のSPADと、SPADが互いに接続される態様を制御する(例えば、どのSPADを並列に接続して1つ以上のSiPMを画定するかを制御する)ことができる電気コンポーネント(例えば、トランジスタ、ヒューズ、スイッチなど)と、を含み得る。この方法によって、SPADが制御可能に互いに接続され、モノリシックなデバイス内に複数のSiPMを画定することができる。
【0016】
[0022] いくつかの実施において、SiPMを画定するSPADの接続は、1回のみ選択可能であり得る(例えば、使用されるSiPMの所望の配置および/または所望の数は、デバイス内に「焼き込み」されてよい)。他の実施において、SPAD間の接続は動的に選択可能であってもよく、その結果、モノリシックなデバイス内でSiPMの配置を構成し、その後、再構成することができる。いずれにせよ、モノリシックなデバイス内にSiPMが配置される場所を選択できることは、有益となり得る。
【0017】
[0023] いくつかの実施形態の例において、SiPMを開口部のアレイ(例えば、環境光の検出を低減するためのピンホールアレイ)と位置合わせすることが望ましい場合がある。この位置合わせを実現するために、個々のSPADを用いて、各ピンホールからの光がモノリシックなデバイス上に入射する場所を検出してよい。それぞれの所与のピンホールについて、当該ピンホールからの光を検知するSPAD(および近くのSPAD)を互いに接続し、当該ピンホール用のSiPMを画定してよい。SiPMを再構成できる実施の場合は、ピンホールの代わりに、(例えば、DLPまたは他のマイクロミラーデバイスを使用して)動的に制御可能な開口部のアレイを設けて、当該開口部のアレイにSiPMを適合させるように動的に構成することが可能である。
【0018】
II.デバイスの例
[0024]
図1は、実施形態の一例に係るデバイス100を示す。デバイス100は、基板110を含む。いくつかの実施形態において、基板110は、シリコン基板(例えば、シリコンウェーハ)、ガリウムヒ素基板(例えば、GaAsウェーハ)などの半導体基板材料を含み得る。いくつかの実施形態において、基板110は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)材料またはプリント回路基板(PCB)を含み得る。あるいは、基板110は、種々の他の固体材料および/または可撓性材料から形成されてもよく、それらの材料は、それぞれ本開示において想定される。
【0019】
[0025] いくつかの実施形態において、基板110は、およそ200ミクロンの厚さを有し得る。例えば、基板110は、100ミクロンから500ミクロンの間の厚さを有することができる。しかしながら、他の厚さも可能であり、想定される。
【0020】
[0026] デバイス100は、基板110に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)122を含む。
【0021】
[0027] デバイス100は、基板110に結合された複数の出力124も含む。
【0022】
[0028] デバイス100は、基板110に結合された複数の電気コンポーネント126も含む。このようなシナリオにおいて、複数の電気コンポーネント126は、複数の出力のうちのどの出力を複数のSPAD122の各SPADに接続するかを選択することによって、複数のSPAD122を複数の出力124に選択的に接続し、かつ、それによってデバイス100内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)120を画定し、複数のSiPM120の各SiPMが、複数の出力124のそれぞれの出力に接続された1つ以上のSPADのそれぞれのセットを含むように構成される。
【0023】
[0029] 本開示は、SPAD122およびSiPM120の使用について説明するが、他の種類の光検出器も可能であり、想定されることが理解されるだろう。例えば、ガイガーモードで動作するように設計された他の光検出器が可能であり、想定される。さらに、本明細書に記載のSiPM120は、シリコンベースのデバイスに関係し得るが、他の材料を使用する光検出器も可能であり、想定されることが理解されるだろう。例えば、本明細書に記載される種々の光検出要素は、ゲルマニウムなどの他の半導体材料、またはGaAs/AlGaAs、InGaAs/InPもしくはInGaAsP/InPなどの化合物半導体材料を用いて形成することができる。他の光検出器材料も想定される。
【0024】
[0030] いくつかの実施形態において、SPAD122は、接合の降伏電圧VBよりも大きい電圧Vaで逆バイアスが印加される場合に動作するように設計されたp‐n接合を含む、半導体デバイスを含み得る。例えば、およそ1~5ミクロンの厚さを有し得るp‐n接合の間にVaを印加し、3x105V/cmより大きい電場を設けることができる。他の電場も可能であり、想定される。
【0025】
[0031] いくつかの実施形態において、SPAD122は、赤外光(例えば、905nmまたは1550nm)を検出するように構成され得る。しかしながら、他の波長の光も検出することができる。SPAD122は、単一光子の吸収に応答してミリアンペア以上の光電流を供給するように構成および/またはバイアス印加され得る。他の構成および/または光電流も可能であり、想定される。
【0026】
[0032] いくつかの実施形態において、SPAD122は、受動または能動クエンチング回路を含み得る。例えば、受動クエンチング回路は、SPADと直列に結合された抵抗器を含み得る。それに加えて、またはその代わりに、能動クエンチング回路は、高速弁別器回路または同期バイアス電圧低減回路を含んでもよい。
【0027】
[0033] 例えば、複数のSiPM120の各SiPMは、少なくとも1000個のSPAD122を含むことができる。より多い、またはより少ないSPAD122が、複数のSiPM120の各SiPMに関連付けられ得ることが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、複数のSiPM120のSiPMは、約0.4SiPM/mm2の密度で、基板110に沿って配置される。
【0028】
[0034] いくつかの実施形態において、電気コンポーネント126は、複数のSPAD122を複数の出力に1回のみ選択的に接続するように構成され得る。
【0029】
[0035] あるいは、電気コンポーネント126は、複数のSPAD122を複数のアウトレットに動的な態様で選択的に接続するように構成され得る。
【0030】
[0036] いくつかの実施形態の例において、電気コンポーネント126は、1つ以上のトランジスタ128を含み得る。それに加えて、またはその代わりに、電気コンポーネント126は、断絶可能な接続130を含んでもよい。このようなシナリオにおいて、断絶可能な接続130は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレースのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、複数の電気コンポーネントは、基板貫通ビア(TSV)またはサイドルーティング配置のうちの少なくとも1つを介して、複数のSPAD122に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、断絶可能な接続130は、製造後および/または検出器アレイの較正において特定され得る任意の「ノイジー」な、または動作不良のSPAD122を、除去または切断するために用いられ得る。
【0031】
[0037] いくつかの実施形態において、複数のSPAD122の各SPADは、それぞれのクエンチング回路を含み得る。このようなシナリオにおいて、それぞれのクエンチング回路は、クエンチング抵抗器を含み得る。他の種類のクエンチング回路も可能であり、想定される。
【0032】
[0038] デバイス100は、コントローラ150をさらに含む。いくつかの実施形態において、コントローラ150は、読み出し集積回路(ROIC)であり得る。それに加えて、またはその代わりに、コントローラ150は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。それに加えて、またはその代わりに、コントローラ150は、1つ以上のプロセッサ152およびメモリ154を含んでもよい。1つ以上のプロセッサ152は、汎用プロセッサまたは特殊目的プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサなど)を含み得る。1つ以上のプロセッサ152は、メモリ154内に格納されたコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のプロセッサ152は、本明細書に記載の機能および動作のうちの少なくともいくつかを提供するために、プログラム命令を実行し得る。
【0033】
[0039] メモリ154は、1つ以上のプロセッサ152による読み取りまたはアクセスが可能な1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体を含み得るか、またはコンピュータ可読ストレージ媒体の形態をとり得る。1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体は、揮発性ストレージコンポーネント、および/または、光学、磁気、有機もしくは他のメモリまたはディスクストレージなどの非揮発性ストレージコンポーネントを含んでよく、それらのストレージコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ152のうちの少なくとも1つに、全体的または部分的に組み入れてよい。いくつかの実施形態において、メモリ154は、単一の物理的デバイス(例えば、1つの光学、磁気、有機もしくは他のメモリユニットまたはディスクストレージユニット)を用いて実装されてもよく、一方で他の実施形態においては、メモリ154は、2つ以上の物理的デバイスを用いて実装されてもよい。
【0034】
[0040] 前述の通り、メモリ154は、デバイス100の動作に関するコンピュータ可読プログラム命令を含み得る。少なくとも1つのプロセッサ152は、少なくとも1つのメモリ154内に格納された命令を実行し、動作を実施する。
【0035】
[0041]
図2Aは、実施形態の一例に係るデバイス200を示す。いくつかの実施形態において、デバイス200は、
図1を参照して図示および説明されるデバイス100と類似または同一であり得る。デバイス200は、複数のSPAD122a、122b、122c、122dおよび122eを含み得る。複数のSPAD122a、122b、122c、122dおよび122eの各SPADは、pドープされた領域210、アバランシェ領域212、およびnドープされた本体領域214を含み得る。
【0036】
[0042] デバイス200は、定電圧および/または定電流バイアス回路(例えば、分圧器回路/分流器回路、またはそれらの同等物)を含んでよい電圧バイアス源202を含む。いくつかの実施形態において、SPAD122a、122b、122c、122dおよび122eのそれぞれは、クエンチング回路206a、206b、206c、206dおよび206eに電気的に結合することができる。それぞれのクエンチング回路206a、206b、206c、206dおよび206eは、電気コンポーネント126a、126b、126c、126dおよび126eに電気的に結合することができる。さらに、いくつかの実施形態において、電気コンポーネント126a、126b、126c、126dおよび126eは、コントローラ150に電気的に結合(例えば、コントローラによって制御)することができる。いくつかの実施形態において、出力124は、SiPM出力信号が取得されるノードを含み得る。
【0037】
[0043]
図2Bは、例示的な一実施形態に係るデバイス220を示す。
図2Bに示される通り、いくつかの電気コンポーネント126a、126bおよび126cは、SPAD122a、122bおよび122cを、出力124に(それぞれのクエンチング回路206a、206bおよび206cを介して)電気的に結合する。さらに、他の電気コンポーネント126dおよび126eが電気的に開いているため、SPAD122dおよび122eは、出力124に電気的に結合されない。このようなシナリオにおいて、SPAD122a、122bおよび122cは、それぞれのSiPM222を提供してよく、さらに、組み合わされたSiPM出力信号を出力124で供給してよい。電気コンポーネント126a~126eは、電気スイッチとして示されているが、電気コンポーネント126a~126eは、1回のみ調節されてもよく、あるいは複数回調節されてもよいことが理解されるだろう。例えば、電気コンポーネント126a~126eは、切り替え可能なMOSFETまたはBJTを含み得る。それに加えて、またはその代わりに、電気コンポーネント126a~126eは、レーザトリミング可能なトレースまたは他の種類の電気スイッチを含み得る。
【0038】
[0044]
図2Cは、実施形態の一例に係るデバイス230を示す。図示される通り、SPAD122a、122bおよび122cは、第1のSiPM222と、出力124での対応するSiPM出力信号と、を提供し得る。一例として、スイッチ234aおよび234bが閉じてSPAD122a、122bおよび122cを並列に接続し、出力124を提供することができる。さらに、SPAD122dおよび122eは、互いに接続され、第2のSiPM232を提供してよい。このようなシナリオにおいて、スイッチ238が閉じてSPAD122dおよび122eを接続し、第2の出力240を提供することができる。さらに、スイッチ236が開いて、出力124を出力240から隔絶することができる。いくつかの実施形態において、第2のSiPM232は、第2の電圧バイアス源242を提供することができる。換言すると、デバイス230は、1回のみ構成可能な、または再構成可能な複数のSiPMデバイスを提供するように、SPADの調節可能な回路配置を提供することができる。
【0039】
[0045] スイッチ126a、126b、126c、126d、126e、234a、234b、236および238は、例えば、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、1つ以上のクロスバースイッチ、または他の種類のスイッチングコンポーネントを含み得るスイッチングネットワークの一部であり得ることが理解されるだろう。さらに、
図2A、2Bおよび2Cは、様々な電気回路およびコンポーネント配置を示しているが、種々の異なる電気構成および配置が可能であり、想定されることが理解されるだろう。
【0040】
III.LIDARシステムの例
[0046]
図3は、実施形態の一例に係る光検出および測距(LIDAR)システム300を示す。LIDARシステムは車両に結合され、車両が自律または半自律モードにある場合や、車両が完全自律車両である場合などに車両の操作に使用され得る。車両は、例えば、自動車、トラック、トラクタ・トレーラ、ブルドーザなどの建設機械、または歩道配達ロボットであり得る。LIDARシステム300は、少なくとも1つの光エミッタデバイス310と、レシーバサブシステム320と、を含む。レシーバサブシステム320は、基板110と、基板110に結合された複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)122と、を含む。
【0041】
[0047] レシーバサブシステム320は、基板110に結合された複数の出力124を含む。
【0042】
[0048] レシーバサブシステム320は、基板110に結合された複数の電気コンポーネント126も含む。このようなシナリオにおいて、複数の電気コンポーネント126は、複数の出力124のうちのどの出力を複数のSPAD122の各SPADに接続するかを制御し、それによってレシーバサブシステム320内に複数のシリコン光電子増倍管(SiPM)120を画定するように選択可能である。
【0043】
[0049] レシーバサブシステム320は、開口部アレイ330も含む。開口部アレイ330は、複数の開口部332を含む。SiPM120および開口部アレイ330は、複数のレシーバチャネル334を画定するように位置合わせされる。このようなシナリオにおいて、各レシーバチャネル334は、複数の開口部332のそれぞれの開口部に光学的に結合されたそれぞれのSiPMを含む。
【0044】
[0050] いくつかの実施形態において、各SiPMは、複数のSPAD122のそれぞれの隣接する領域を含む。
【0045】
[0051] いくつかの実施形態において、電気コンポーネント126は、1回のみ選択可能である。それに加えて、またはその代わりに、電気コンポーネント126は、動的に選択可能であってもよい。一例として、電気コンポーネント126は、トランジスタ128を含み得る。いくつかの他の実施形態では、電気コンポーネント126は、断絶可能な接続130を含み得る。一例として、断絶可能な接続130は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレーサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0046】
[0052]
図4は、実施形態のいくつかの例に係るLIDARシステム400を示す。LIDARシステム400は、
図2を参照して図示および説明されるデバイス200と類似または同一の要素を含み得る。
図4に示される通り、LIDARシステム400は、開口部アレイ330および開口部332を含み得る。例えば、SPAD122a、122bおよび122cは、開口部332に対して配置され得る。
【0047】
[0053] さらに、電気コンポーネント126a、126bおよび126cは、SPAD122a、122bおよび122cを出力124に電気的に接続し、SiPM222を形成することができる。このようにして、開口部332ならびにSPAD122a、122bおよび122cは、複数のレシーバチャネル334の1つのレシーバチャネルを形成することができる。
【0048】
[0054] いくつかの実施形態において、LIDARシステム400は、「位置合わせ不要」な組立てプロセスを用いて組み立てることができる。例えば、このようなシナリオにおいて、LIDARシステム400は、SPAD122との嵌合の前に、予め組み立てることができる。SPAD122とLIDARの残り部分とが位置合わせなく嵌合されると、焦点面の基準検出器を使用して単位面積当たりの光強度を特徴付け、その結果、所与の検出器アレイについて、それぞれのSPAD122の光学チャネルに対する所望のマッピングを得ることができる。この特徴付けに基づいて、断絶可能な接続130は、断絶され、および/または特徴付けに応じた他の態様で調整され得る。
【0049】
[0055] このようなシナリオにおいて、当該LIDARシステム400は、より優れた柔軟性、改善されたモジュール性、および改善された位置合わせ公差を提供し得る。例えば、単一種類のSPAD検出器アレイは、種々の他のLIDAR要素と共に使用することができる。このようにして、LIDARシステム400の様々な要素を、汎用的なSPAD検出器アレイと「混合および適合」させることができる。したがって、このようなSPAD検出器アレイは、様々な種類のLIDARシステム(例えば、空間分解能の高いものまたは低いもの、低照度性能に優れたものまたは劣るもの、など)のニーズのために、柔軟に再構成され得る。このような設計は、費用と複雑さを低減しつつ、保守性と製品寿命を改善することができる。
【0050】
IV.方法の例
[0056]
図5は、実施形態の一例に係る方法500を示す。方法500は、本明細書において明示的に例示されるか、または他の方法で開示されるものよりも少ないまたは多いステップまたはブロックを含み得ることが理解されるだろう。さらに、方法500のそれぞれのステップまたはブロックは、任意の順番で実行されてよく、各ステップまたはブロックは、1回以上実行されてもよい。いくつかの実施形態において、方法500のブロックの一部または全部は、
図1、2Aおよび2Bに関して図示および説明されるデバイス100および200の要素に関連し得る。それに加えて、またはその代わりに、方法500のブロックまたはステップの一部または全部は、
図3および4に関して図示および説明されるLIDARシステム300または400の要素に関連し得る。
【0051】
[0057] ブロック502は、デバイス(例えば、デバイス100)で、複数の開口部(例えば、開口部332)のそれぞれを介して、光を受け取ることを含む。デバイスは、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)(例えば、SPAD122)を含む。デバイスは、複数の出力(例えば、出力124)と、複数の電気コンポーネント(例えば、電気コンポーネント126)と、をさらに含み、これら複数の電気コンポーネントは、複数の出力のうちのどの出力を複数のSPADの各SPADに接続するかを選択することによって、複数のSPADを複数の出力に接続し、デバイス内に1つ以上のシリコン光電子増倍管(SiPM)(例えば、SiPM120)を画定するように選択可能である。SPAD、複数の出力および複数の電気コンポーネントは、基板(例えば、基板110)に結合される。
【0052】
[0058] いくつかの実施形態において、1つ以上の電気コンポーネントは、トランジスタまたは断絶可能な接続のうちの少なくとも1つを含み得る。一例として、断絶可能な接続は、スイッチ、ヒューズまたはレーザトリミング可能なトレースのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0053】
[0059] いくつかの例において、1つ以上の電気コンポーネントを選択することは、1回実行される。あるいは、1つ以上の電気コンポーネントを選択することは、動的にかつ/または複数回実行され得る。
【0054】
[0060] いくつかの実施形態において、複数の開口部は、デバイスに光学的に結合されたピンホールのアレイを含み得る。
【0055】
[0061] 方法500は、複数の開口部をデバイスに光学的に結合することを含み得る。いくつかの実施形態において、複数の開口部をデバイスに光学的に結合することは、開口部アレイ(例えば、開口部アレイ330)およびそれぞれの開口部332を、SPAD122に対して配置することを含み得る。
【0056】
[0062] ブロック504は、各開口部について、どのSPADがそれぞれの開口部を介して受け取られる光を検出するかを特定することと、複数の電気コンポーネントのうちの1つ以上の電気コンポーネントを選択して電気的に接続または切断することと、を含む。
【0057】
[0063] 一例として、方法500は、1つ以上の光源(例えば、光エミッタデバイス310)に光信号を放出させることを含み得る。光源に光信号を放出させることは、パルサ回路に電流または電圧パルスを光源に伝搬させ、1つ以上の光パルスを生成することを含み得る。いくつかの実施形態において、光パルスは、システムの環境と相互作用し、相互作用光信号を提供し得る。相互作用光信号は、例えば、それぞれの開口部と相互作用(例えば、衝突)し得る反射光信号を含み得る。
【0058】
[0064] 図に示される特定の配置は、限定的なものとして見られるべきではない。他の実施形態は、所与の図に示される各要素をより多く、またはより少なく含み得ることを理解されたい。さらに、図示される要素のうちのいくつかは、組み合わされてもよく、または省略されてもよい。さらに、例示的な実施形態において、図示されていない要素が含まれることもある。
【0059】
[0065] 情報の処理を表すステップまたはブロックは、本明細書に記載の方法または技術の、特定の論理機能を実行するように構成可能な回路に対応し得る。それに加えて、またはその代わりに、情報の処理を表すステップまたはブロックは、モジュール、セグメントまたはプログラムコード(関連するデータを含む)の一部分に対応してもよい。プログラムコードは、方法または技術における特定の論理機能または動作を実施するための、プロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコードおよび/または関連するデータは、ディスク、ハードドライブまたは他のストレージ媒体を含むストレージデバイスなどの、任意のコンピュータ可読媒体上に格納することができる。
【0060】
[0066] コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュおよびランダムアクセスメモリ(RAM)のようにデータを短期間格納するコンピュータ可読媒体などの、非一時的なコンピュータ可読媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、プログラムコードおよび/またはデータを長期間格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体も含み得る。したがって、コンピュータ可読媒体は、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、光学または磁気ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD‐ROM)のような二次的または永続的な長期間ストレージを含み得る。また、コンピュータ可読媒体は、その他のあらゆる揮発性または非揮発性ストレージシステムであり得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読ストレージ媒体か、または例えば有形のストレージデバイスであると考えられ得る。
【0061】
[0067] 様々な実施例および実施形態が開示されてきたが、他の実施例および実施形態が当業者には明らかとなるだろう。開示された様々な実施例および実施形態は、説明を目的としたものであり、限定的であることを意図せず、真の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。