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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】可搬型発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
H02N11/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022532918
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025814
(87)【国際公開番号】W WO2022003861
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】赤木 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 貞紀
(72)【発明者】
【氏名】森澤 誠
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185074(JP,A)
【文献】特開2017-003228(JP,A)
【文献】特開2019-092327(JP,A)
【文献】特開2019-092326(JP,A)
【文献】特開2015-076934(JP,A)
【文献】特開2020-124047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
F23M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼熱を利用して発電するとともに搬送可能とされた可搬型発電装置であって、
燃料ガスが収容された燃料ガス収容容器から供給される前記燃料ガスを燃焼するバーナと、
前記バーナから放出される火炎および排ガスから伝わる熱により加熱される高温部と、
前記高温部に対向して配置され前記高温部よりも低い温度に保持される低温部と、
前記高温部と前記低温部との間に挟設され、前記高温部と前記低温部との間に生ずる温度差に基づいて発電する熱電素子と、
を備え、
前記火炎および前記排ガスから伝わる前記熱を受ける前記高温部の表面は、可搬型発電装置の設置面と直交する方向に対して傾斜し
前記高温部からみて前記バーナの側に設けられ、前記排ガスを前記高温部の前記表面に沿って前記傾斜の上方に導く流路を形成するガイド部をさらに備え、
前記低温部に対向して配置されるとともに前記熱電素子により生ずる起電力を供給されて駆動し、前記低温部に空気を送り前記低温部を冷却する送風機と、
前記高温部の前記表面に沿って流れた前記排ガスを含む空気と、前記送風機から送られ前記低温部の表面に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合し、前記混合した空気を外部へ導く流路を形成する排気混合部と、
をさらに備え、
前記ガイド部は、前記高温部のフィンの先端部に接触している第2内面と、前記第2内面に接続されていると共に、前記高温部のフィンの先端部から離れて形成されている第1内面と、を有し、
前記流路は、高温部のフィンの先端部を含む平面と、前記第1内面と、により挟まれた第1空間と、
前記高温部の表面と、前記高温部のフィンの側面と、前記第2内面とに囲まれた第2空間と、
前記高温部のフィンの先端部を含む平面と、前記第2内面と、により挟まれた第3空間と、を有していることを特徴とする可搬型発電装置。
【請求項2】
前記低温部の下方の端部における開口面積は、前記下方の端部より上方の部分における開口面積より狭く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬型発電装置。
【請求項3】
前記送風機は、前記低温部の前記表面に対して垂直方向に前記空気を送ることを特徴とする請求項1に記載の可搬型発電装置。
【請求項4】
前記送風機は、前記低温部の前記表面に対して平行方向に前記空気を送ることを特徴とする請求項に記載の可搬型発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼熱を利用して発電するとともに搬送可能とされた可搬型発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペルチェ効果を利用した熱発電素子を備える簡易型発電装置が開示されている。特許文献1に記載された簡易型発電装置は、燃料タンクから燃料パイプを介して供給される液化ガス燃料を空気混合部付近に設置したノズルから燃焼室に向けて噴出するように構成されている。ペルチェ効果を利用した熱発電素子の加熱面は、熱拡散板に接合され、熱拡散板を介して平板からなる加熱ベースに対向している。
【0003】
特許文献1に記載されたような簡易型あるいは可搬型の発電装置に対しては、商用電源が供給されてない屋外や被災地現場などにおいて、例えばスマートフォンやタブレット端末などの電気製品を充電したり、LED(Light Emitting Diode)照明器などの電気製品を使用したりするために必要な起電力の発生能力が望まれている。また、電気製品の充電と電気製品の使用とを同時に行うことができるために十分な起電力の発生能力が望まれている。つまり、簡易型あるいは可搬型の発電装置に対しては、発電量および発電効率の向上が望まれている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された簡易型発電装置において、ペルチェ効果を利用した熱発電素子の加熱面は、簡易型発電装置の設置面に対して直交している。また、ノズルは、簡易型発電装置の設置面に対して直交する方向に延びており、簡易型発電装置の設置面に対して直交する方向に液化ガス燃料を噴出する。そのため、ノズルから噴出される液化ガス燃料の噴出方向は、熱発電素子の加熱面に略平行な方向になる。すなわち、ノズルから放出される火炎の放出方向は、熱発電素子の加熱面に略平行な方向になる。そのため、バーナから放出される火炎および排ガスの熱を熱発電素子の加熱面に効率良く伝えて発電量および発電効率を向上させるという点においては、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-285160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、発電量および発電効率を向上させることができる可搬型発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明によれば、燃焼熱を利用して発電するとともに搬送可能とされた可搬型発電装置であって、燃料ガスが収容された燃料ガス収容容器から供給される前記燃料ガスを燃焼するバーナと、前記バーナから放出される火炎および排ガスから伝わる熱により加熱される高温部と、前記高温部に対向して配置され前記高温部よりも低い温度に保持される低温部と、前記高温部と前記低温部との間に挟設され、前記高温部と前記低温部との間に生ずる温度差に基づいて発電する熱電素子と、を備え、前記火炎および前記排ガスから伝わる前記熱を受ける前記高温部の表面は、可搬型発電装置の設置面と直交する方向に対して傾斜し、前記高温部からみて前記バーナの側に設けられ、前記排ガスを前記高温部の前記表面に沿って前記傾斜の上方に導く流路を形成するガイド部をさらに備え、前記低温部に対向して配置されるとともに前記熱電素子により生ずる起電力を供給されて駆動し、前記低温部に空気を送り前記低温部を冷却する送風機と、前記高温部の前記表面に沿って流れた前記排ガスを含む空気と、前記送風機から送られ前記低温部の表面に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合し、前記混合した空気を外部へ導く流路を形成する排気混合部と、をさらに備え、前記ガイド部は、前記高温部のフィンの先端部に接触している第2内面と、前記第2内面に接続されていると共に、前記高温部のフィンの先端部から離れて形成されている第1内面と、を有し、前記流路は、高温部のフィンの先端部を含む平面と、前記第1内面と、により挟まれた第1空間と、前記高温部の表面と、前記高温部のフィンの側面と、前記第2内面とに囲まれた第2空間と、前記高温部のフィンの先端部を含む平面と、前記第2内面と、により挟まれた第3空間と、を有していることを特徴とする可搬型発電装置により解決される。
【0008】
本発明に係る可搬型発電装置によれば、高温部の表面(熱を受ける面)が可搬型発電装置の設置面と直交する方向に対して傾斜しているため、バーナから放出された火炎の熱は、設置面と直交する方向に対して傾斜した高温部の表面に沿って伝わる。そのため、火炎の熱が高温部の局所的な部分に伝わることを抑え、火炎の熱により高温部の表面全体を一様に加熱することができる。また、バーナから放出された排ガスは、設置面と直交する方向に対して傾斜した高温部の表面に沿って流れる。そのため、バーナから放出された排ガスが高温部の局所的な部分に籠もることを抑えることができる。そのため、排ガスの熱が高温部の局所的な部分に伝わることを抑え、排ガスの熱により高温部の表面全体を一様に加熱することができる。これにより、高温部の表面は、バーナから放出される火炎および排ガスにより効率的に加熱される。また、高温部の所定部分が局所的に加熱されることを抑えることができるため、火炎および排ガスの熱が高温部を介して低温部に伝わることを抑えることができる。そのため、高温部と低温部との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。これにより、本発明に係る可搬型発電装置の発電量および発電効率を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る可搬型発電装置によれば、バーナから放出された排ガスは、ガイド部により形成された流路において傾斜の上方に向かって導かれ、設置面と直交する方向に対して傾斜した高温部の表面に沿ってより確実に流れる。そのため、排ガスの熱が高温部の局所的な部分に伝わることをより一層抑え、排ガスの熱により高温部の表面全体を一様に加熱することができる。また、ガイド部の流路の外部に存在する気体の温度よりも高温の排ガスがガイド部の流路の内部を流れるため、ガイド部が煙突の役割を果たし、煙突効果が生ずる。そのため、バーナから放出された排ガスが高温部の局所的な部分に籠もることをより一層抑え、排ガスの熱により高温部の表面全体を一様に加熱することができる。これにより、本発明に係る可搬型発電装置の発電量および発電効率をより一層向上させることができる。
【0012】
本発明に係る可搬型発電装置によれば、送風機は、熱電素子により生ずる起電力を供給されて駆動し、低温部に空気を送る。すなわち、送風機は、熱電素子により生ずる起電力を供給されて駆動し、低温部の表面において強制対流を生じさせる。これにより、送風機は、低温部を強制的に冷却する。そのため、高温部と低温部との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。これにより、本発明に係る可搬型発電装置の発電量および発電効率をより一層向上させることができる。また、排気混合部は、高温部の表面に沿って流れた排ガスを含む空気と、送風機から送られ低温部の表面に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合し、混合した空気を外部へ導く流路を形成する。これにより、送風機は、バーナから放出され排気混合部の流路に導かれた排ガスを可搬型発電装置の外部に強制的に排出することができる。また、排ガスを含む空気が排気混合部の流路において送風機から送られた冷却風を含む空気と混合されるため、可搬型発電装置の外部に排出される空気の温度を抑えることができる。
【0013】
本発明に係る可搬型発電装置において、好ましくは、前記低温部の下方の端部における開口面積は、前記下方の端部より上方の部分における開口面積より狭く形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る可搬型発電装置において、好ましくは、前記送風機は、前記低温部の前記表面に対して垂直方向に前記空気を送ることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る可搬型発電装置によれば、送風機は、低温部の表面を効率的に冷却することができる。そのため、送風機は、高温部と低温部との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。
【0015】
本発明に係る可搬型発電装置において、好ましくは、前記送風機は、前記低温部の前記表面に対して平行方向に前記空気を送ることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る可搬型発電装置によれば、送風機は、低温部の表面に沿って空気を送ることができ、低温部の表面をより一層効率的に冷却することができる。そのため、低温部の小型化および軽量化を図ることができるとともに、送風機の小型化および軽量化を図ることができる。これにより、可搬型発電装置の小型化および軽量化を図ることができる。また、送風機は、低温部の表面をより一層効率的に冷却することができるため、高温部と低温部との間に生ずる温度差をより一層効率的に発生させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発電量および発電効率を向上させることができる可搬型発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図2図1に表した矢印A21の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
図3】本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置を表す平面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図5図4に表した矢印A22の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
図6】本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図7図6に表した矢印A23の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
図8】本発明者が実施した検討の結果の一例を表す表である。
図9図8に表した第1試料の傾斜角度と最大発電量との関係の一例を表すグラフである。
図10図8に表した第2試料の傾斜角度と最大発電量との関係の一例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図2は、図1に表した矢印A21の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
なお、図2においては、説明の便宜上、筐体21および排気混合部7を省略している。
【0021】
本実施形態に係る可搬型発電装置2は、燃料ガスを燃焼させ、そのときの燃焼熱を利用して起電力を発生させる発電装置であり、商用電源が供給されてない屋外や被災地現場などにおいて利用可能とされた可搬型の発電装置である。
【0022】
図1に表したように、本実施形態に係る可搬型発電装置2は、筐体21と、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、を備える。また、可搬型発電装置2は、ガイド部6と、送風機54と、排気混合部7と、邪魔板8と、をさらに備えていてもよい。
【0023】
筐体21は、例えば耐熱塗装が施された金属製のケーシングであり、持ち運びが可能な大きさを有する。筐体21は、利用者が把持可能な取っ手(図示せず)を有していてもよい。この場合には、利用者は、取っ手を把持することにより可搬型発電装置2を容易に持ち運ぶことができる。筐体21の底面には、複数の脚部22が設けられている。これにより、利用者は、可搬型発電装置2を設置面9に安定的に置くことができる。
【0024】
本実施形態に係る可搬型発電装置2では、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、ガイド部6と、送風機54と、排気混合部7と、邪魔板8と、が筐体21の内部に設けられている。また、利用者は、筐体21に設けられた扉(図示せず)を開けることにより、取り出し口23を通して、燃料ガスが収容された燃料ガス収容容器31を筐体21の内部に取り付けたり、筐体21の内部から取り外したりすることができる。
【0025】
燃料ガス収容容器31は、例えば圧縮された液化ガスが収容されたカートリッジ式ガスボンベであり、燃料ガスを収容している。燃料ガス収容容器31から吐出された燃料ガスは、容器接続部32の内部に設けられたガバナに入り圧力調整される。なお、燃料ガス収容容器31がカートリッジ式ガスボンベである場合には、燃料ガス収容容器31と容器接続部32との着脱機構は、マグネット式とされている。これによれば、ガスボンベが加熱されてガスボンベの内部圧力が異常に上昇した時、安全機構が作動して燃料ガス収容容器31と容器接続部32との接続が外れる。
【0026】
容器接続部32は、操作摘まみ部33と接続され、燃料ガス収容容器31から供給される燃料ガスの量を調整することができる。そして、燃料ガス収容容器31から容器接続部32を介して供給される燃料ガスは、ガス導管34やガス・空気混合器(図示せず)などを通り、空気と混合されながらバーナ4に供給される。
【0027】
バーナ4は、筐体21の内部において筐体21の底面部に設置されている。バーナ4の近傍には、電極(図示せず)が設けられている。利用者が操作摘まみ部33を回転させると、イグナイタ(図示せず)が押されてパルス電圧が発生する。バーナ4の近傍に設けられた電極は、操作摘まみ部33の回転により発生したパルス電圧により放電し、燃料ガス収容容器31からバーナ4に供給された燃料ガスを燃焼させ、バーナ4に点火することができる。
【0028】
本実施形態に係る可搬型発電装置2では、バーナ4の軸42は、設置面9に対して直交する方向A1に延びている。そのため、バーナ4から放出される火炎41は、設置面9に対して直交する方向A1に延びる。また、図2に表したように、バーナ4は、X方向に並んで配置された複数の火炎口43を有する。図2に表したX方向は、高温部51および低温部52の幅方向に相当する。図2に表したY方向は、X方向に直交し、高温部51および低温部52の高さ方向あるいは厚さ方向に相当する。そのため、図2に表したように、バーナ4は、高温部51の幅方向の略全体を略均一に火炎41の熱により加熱することができる。なお、バーナ4の筐体21の内部における設置位置、バーナ4の設置方向(バーナ4の軸42の向き)、およびバーナ4の形状は、必ずしも図1および図2に表した例に限定されるわけではない。
【0029】
高温部51は、バーナ4の上方に設置されており、バーナ4から放出される火炎41および排ガスから伝わる熱により加熱される。高温部51は、例えばアルミニウムなどの周知の金属により形成され、火炎41および排ガスから伝わる熱を表面511において受ける。つまり、高温部51の表面511は、受熱面として機能する。図2に表したように、高温部51は、例えば複数のフィン512を有するフィン付きヒートシンクである。これによれば、高温部51は、火炎41および排ガスから伝わる熱を表面511およびフィン512において効率的に受け、その熱を熱電素子53に伝えることができる。なお、高温部51は、必ずしもフィン付きヒートシンクに限定されるわけではない。以下の説明では、高温部51が複数のフィン512を有するフィン付きヒートシンクである場合を例に挙げる。
【0030】
図1に表したように、バーナ4から放出される火炎41および排ガスから伝わる熱を受ける高温部51の表面511は、可搬型発電装置2の設置面9と直交する方向A1に対して傾斜している。言い換えれば、高温部51の表面511は、設置面9に対して傾いている。設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度は、例えば約10°以上、40°以下程度である。但し、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度は、必ずしも10°以上、40°以下に限定されるわけではない。高温部51の表面511の傾斜角度の詳細については、後述する。本実施形態に係る可搬型発電装置2では、バーナ4の軸42が設置面9に対して直交する方向A1に延びているため、高温部51の表面511は、バーナ4から放出される火炎41および排ガスの放出方向に対して傾斜している。
【0031】
高温部51のフィン512は、高温部51の表面511の傾斜方向(すなわち傾斜の下方と傾斜の上方とを結ぶ方向)に沿って伸びている。これにより、高温部51は、バーナ4から放出される排ガスを高温部51の表面511に沿ってより円滑に流すことができるとともに、排気混合部7を通して可搬型発電装置2の外部に排ガスをより円滑に排出することができる。
【0032】
低温部52は、高温部51の上方において高温部51に対向して配置され、高温部51よりも低い温度に保持される。本実施形態に係る可搬型発電装置2では、低温部52は、低温部52の上方において低温部52に対向して配置された送風機54から送られる空気により冷却され、高温部51よりも低い温度に保持される。低温部52は、例えばアルミニウムなどの周知の金属により形成されている。図2に表したように、低温部52は、例えば複数のフィン522を有するフィン付きヒートシンクである。これによれば、低温部52は、送風機54から送られる空気により効率的に冷却され、高温部51よりも低い温度により確実に保持される。なお、低温部52は、必ずしもフィン付きヒートシンクに限定されるわけではない。以下の説明では、低温部52が複数のフィン522を有するフィン付きヒートシンクである場合を例に挙げる。
【0033】
図1に表したように、低温部52の表面521は、可搬型発電装置2の設置面9と直交する方向A1に対して傾斜しており、高温部51の表面511と平行である。言い換えれば、低温部52の表面521は、設置面9に対して傾いており、高温部51の表面511と平行である。本実施形態に係る可搬型発電装置2では、バーナ4の軸42が設置面9に対して直交する方向A1に延びているため、低温部52の表面521は、バーナ4から放出される火炎41および排ガスの放出方向に対して傾斜している。
【0034】
低温部52のフィン522は、低温部52の表面521の傾斜方向(すなわち傾斜の下方と傾斜の上方とを結ぶ方向)に沿って伸びている。これにより、低温部52は、送風機54から送られる空気を低温部52の表面521に沿ってより円滑に流すことができるとともに、送風機54から送られる空気を排気混合部7を通して可搬型発電装置2の外部により円滑に排出することができる。
【0035】
熱電素子53は、高温部51と低温部52との間に挟設され、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差に基づいて発電する。熱電素子53は、ゼーベック効果を利用して熱起電力を発生させ、熱電変換素子あるいは熱電発電素子などとも呼ばれる。熱電素子53は、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差が例えば約100℃~150℃程度になると、より多くの熱起電力を発生させることができる。
【0036】
ガイド部6は、高温部51からみてバーナ4の側に設けられており、例えば高温部51に固定されている。ガイド部6は、第1内面61と、第2内面62と、を有する。図1および図2に表したように、本実施形態に係る可搬型発電装置2では、ガイド部6の第2内面62は、高温部51のフィン512の先端部513に接触している。ガイド部6の第1内面61は、第2内面62に接続されているとともに、高温部51のフィン512の先端部513から離れつつ、第2内面62との接続部からバーナ4の火炎口43に向かって延びている。そして、ガイド部6の下端部64は、バーナ4の軸42と高温部51の下部とが交差する位置65よりも下側に配置される。本実施形態では、火炎41は、高温部51のフィン512の先端部513と接触する位置にあるが、バーナ4が軸42上にあれば高温部51のフィン512の先端部513と接触しない位置にあってもよい。
【0037】
ガイド部6は、バーナ4から放出される排ガスを導く流路63を形成する。流路63は、高温部51のフィン512の先端部513を含む平面と、ガイド部6の第1内面61と、により挟まれた第1空間631を有する。また、流路63は、高温部51の表面511と、高温部51のフィン512の側面514と、ガイド部6の第2内面62と、により囲まれた第2空間632を有する。例えば図1に表した矢印A2、A3、A4のように、バーナ4から放出される排ガスは、流路63の第1空間631および第2空間632を流れ、高温部51の表面511に沿って傾斜の上方に導かれる。なお、ガイド部6は、バーナ4から放出される排ガスを高温部51の表面511に沿って傾斜の上方に導く流路63を形成する限りにおいて、高温部51に固定されることには限定されず、例えば筐体21に固定されていてもよい。
【0038】
邪魔板8は、高温部51の下方の端部515に配置されている。邪魔板8は、高温部51に固定されていてもよく、筐体21に固定されていてもよい。図1に表した矢印A7のように、邪魔板8は、図1に表した矢印A2、A3、A4と逆向きに流れる排ガスを高温部51の下側へ導く。つまり、邪魔板8は、図1に表した矢印A2、A3、A4と逆向きに流れる排ガスが高温部51の表面511に沿って傾斜の下方に導かれた後に高温部51と筐体21との間の隙間を上昇し、低温部52に向かって流れることを妨げる。言い換えれば、邪魔板8は、図1に表した矢印A2、A3、A4と逆向きに流れる排ガスの回り込みを抑える。これにより、バーナ4から放出される排ガスの熱を有効利用することができ、高温部51の加熱効率が低下することを抑えることができる。あるいは、低温部52の冷却が排ガスの熱により阻害されることを抑えることができる。
【0039】
送風機54は、低温部52に対向して配置されている。送風機54は、熱電素子53により生ずる起電力を供給されることより駆動し、低温部52に空気を送り低温部52を冷却する。例えば、送風機54は、モータ541と、プロペラ542と、を有する軸流ファンである。モータ541は、熱電素子53から供給される電力により駆動する。プロペラ542は、モータ541から伝達される回転力により回転し、吸入口544から空気を吸い込むとともに、低温部52に対して冷却風としての空気を送る。
【0040】
ここで、送風機54は、低温部52の先端部526に対向して配置されている。送風機54の軸543は、低温部52の表面521に対して直交する。すなわち、送風機54の軸543は、低温部52の表面521に対して垂直である。そのため、例えば図1に表した矢印A5のように、送風機54は、低温部52の表面521に対して直交する方向(すなわち垂直方向)に空気を送る。これにより、送風機54は、互いに隣り合うフィン522の側面523により挟まれた空間524に効率的に空気を送り、低温部52の表面521を効率的に冷却することができる。そして、例えば図1に表した矢印A6のように、送風機54から低温部52に向かって送られた空気は、互いに隣り合うフィン522の側面523により挟まれた空間524を流れ、低温部52の表面521に沿って傾斜の上方に導かれる。なお、本実施形態では、送風機54の軸543が低温部52の表面521に対して直交する例を挙げたが、送風機54は、これだけには限定されず、サイズや内部構造等の可搬型発電装置2の設計条件に合わせ低温部52の表面521に対して直交する方向ではなく斜め或いは平行の方向に空気を送ってもよい。送風機54が低温部52の表面521に対して平行方向に空気を送る例については、後述する。
【0041】
また、低温部52の下方の端部525における開口面積は、下方の端部525よりも上方の部分における空間524の開口面積よりも狭くてもよい。ここでいう「開口面積」とは、図1に表した矢印A21の方向に対して垂直な面における開口面積をいうものとする。これによれば、低温部52の下方の端部525における開口面積が、下方の端部525よりも上方の部分における空間524の開口面積と同じあるいは広い場合と比較して、低温部52の下方の端部525から空間524の外部へ排出される図1に表した矢印A6と逆向きに流れる冷却風の量を抑えることができる。これにより、図1に表した矢印A6のように、送風機54から低温部52に向かって送られた空気を低温部52の表面521に沿って傾斜の上方により確実に導くことができる。
【0042】
排気混合部7は、高温部51および低温部52からみて空気の流れの下流側に設けられている。排気混合部7は、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合する流路71を形成し、流路71において混合した空気を排気口72を通して筐体21の外部へ導く。つまり、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気と、は、排気混合部7により形成された流路71に導かれるとともに流路71において混合され、排気口72を通して筐体21の外部へ排出される。なお、排気混合部7は、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合する流路71を形成する限りにおいて、高温部51および低温部52の少なくともいずれかに固定されていてもよく、筐体21に固定されていてもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る可搬型発電装置2の作用について説明する。
まず、利用者が操作摘まみ部33を回転させると、バーナ4の近傍に設けられた電極(図示せず)は、操作摘まみ部33の回転により発生したパルス電圧により放電し、燃料ガス収容容器31からバーナ4に供給された燃料ガスを燃焼させる。これにより、火炎41が、バーナ4の火炎口43から放出する。また、排ガスが、火炎41の放出とともにバーナ4の火炎口43から放出する。
【0044】
そうすると、高温部51は、火炎41から伝わる熱を表面511およびフィン512において受けることにより加熱される。また、バーナ4から放出された排ガスは、高温部51に向かって流れる。そのため、高温部51は、排ガスから伝わる熱を表面511およびフィン512において受けることにより加熱される。
【0045】
ここで、前述したように、高温部51の表面511は、可搬型発電装置2の設置面9と直交する方向A1に対して傾斜している。そのため、バーナ4から放出された火炎41の熱は、設置面9と直交する方向A1に対して傾斜した高温部51の表面511に沿って伝わる。そのため、火炎41の熱が高温部51の局所的な部分に伝わることを抑え、火炎41の熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。
【0046】
また、例えば図1に表した矢印A2、A3、A4のように、バーナ4から放出された排ガスは、ガイド部6により形成された流路63の第1空間631および第2空間632を流れ、設置面9と直交する方向A1に対して傾斜した高温部51の表面511に沿って流れる。そのため、バーナ4から放出された排ガスが高温部51の局所的な部分に籠もることを抑えることができる。そのため、排ガスの熱が高温部51の局所的な部分に伝わることを抑え、排ガスの熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。
【0047】
これにより、高温部51の表面511は、バーナ4から放出される火炎41および排ガスにより効率的に加熱される。また、高温部51の所定部分が局所的に加熱されることを抑えることができるため、火炎41および排ガスの熱が高温部51を介して低温部52に伝わることを抑えることができる。そのため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。
【0048】
高温部51と低温部52との間に温度差が生ずると、熱電素子53は、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差に基づいて発電する。そして、例えば図1に表した矢印A5のように、送風機54は、熱電素子53により生ずる起電力を供給されることより駆動し、低温部52に空気を送り低温部52を冷却する。すなわち、送風機54は、熱電素子53により生ずる起電力を供給されて駆動し、低温部52の表面521において強制対流を生じさせる。これにより、送風機54は、低温部52を強制的に冷却する。そのため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。
【0049】
前述したように、低温部52の表面521は、可搬型発電装置2の設置面9と直交する方向A1に対して傾斜しており、高温部51の表面511と平行である。そのため、例えば図1に表した矢印A6のように、送風機54から低温部52に向かって送られた空気は、互いに隣り合うフィン522の側面523により挟まれた空間524を流れ、低温部52の表面521に沿って傾斜の上方に導かれる。
【0050】
高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気は、排気混合部7により形成された流路71に導かれる。また、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気は、排気混合部7により形成された流路71に導かれる。そして、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気と、は、排気混合部7の流路71において混合され、排気口72を通して筐体21の外部へ排出される。
【0051】
本実施形態に係る可搬型発電装置2によれば、高温部51の表面511(熱を受ける面)が可搬型発電装置2の設置面9と直交する方向A1に対して傾斜しているため、バーナ4から放出された火炎41の熱は、設置面9と直交する方向A1に対して傾斜した高温部51の表面511に沿って伝わる。そのため、火炎41の熱が高温部51の局所的な部分に伝わることを抑え、火炎41の熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。また、バーナ4から放出された排ガスは、設置面9と直交する方向に対して傾斜した高温部51の表面511に沿って流れる。そのため、バーナ4から放出された排ガスが高温部51の局所的な部分に籠もることを抑えることができる。そのため、排ガスの熱が高温部51の局所的な部分に伝わることを抑え、排ガスの熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。これにより、高温部51の表面511は、バーナ4から放出される火炎41および排ガスにより効率的に加熱される。また、高温部51の所定部分が局所的に加熱されることを抑えることができるため、火炎41および排ガスの熱が高温部51を介して低温部52に伝わることを抑えることができる。そのため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。これにより、本実施形態に係る可搬型発電装置2の発電量および発電効率を向上させることができる。
【0052】
可搬型発電装置2により供給される電圧値は、特には限定されず、例えば5Vや12Vなどである。また、可搬型発電装置2が電圧を供給する接続端子は、特には限定されず、例えばUSB(Universal Serial Bus)や、車両に搭載されるシガーライタソケット(シガーソケット)やアクセサリーソケットなどである。
【0053】
また、前述したように、本実施形態に係る可搬型発電装置2は、バーナ4から放出される排ガスを導く流路63を形成するガイド部6を備える。本実施形態に係る可搬型発電装置2によれば、バーナ4から放出された排ガスは、ガイド部6により形成された流路63において傾斜の上方に向かって導かれ、設置面9と直交する方向A1に対して傾斜した高温部51の表面511に沿ってより確実に流れる。そのため、排ガスの熱が高温部51の局所的な部分に伝わることをより一層抑え、排ガスの熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。また、ガイド部6の流路63の外部に存在する気体の温度よりも高温の排ガスがガイド部6の流路63の内部を流れるため、ガイド部6が煙突の役割を果たし、煙突効果が生ずる。そのため、バーナ4から放出された排ガスが高温部51の局所的な部分に籠もることをより一層抑え、排ガスの熱により高温部51の表面511の全体を一様に加熱することができる。これにより、本実施形態に係る可搬型発電装置2の発電量および発電効率をより一層向上させることができる。
【0054】
また、ガイド部6の第2内面62は、高温部51のフィン512の先端部513に接触している。そのため、例えば図1に表した矢印A2、A3、A4のように、ガイド部6は、流路63の第1空間631を流れた排ガスを流路63の第2空間632により確実に導き、高温部51の表面511に沿って排ガスを傾斜の上方に導くことができる。すなわち、隣り合うフィン512同士の間隔が比較的狭い場合には、バーナ4から放出された排ガスが、フィン512の先端部513において生ずる圧力損失により、互いに隣り合うフィン512の側面514により挟まれた空間(すなわち第2空間632)に入りにくいことがある。これに対して、本実施形態に係る可搬型発電装置2では、ガイド部6の第2内面62が高温部51のフィン512の先端部513に接触しているため、ガイド部6は、互いに隣り合うフィン512の側面514により挟まれた空間に排ガスをより確実に導くことができる。
【0055】
また、ガイド部6の下端部64は、バーナ4の軸42と高温部51の下部とが交差する位置65よりも下側に配置されている。そのため、ガイド部6は、バーナ4から放出された排ガスがガイド部6の外側に逃げることを抑え、バーナ4から放出された排ガスを流路63により確実に導くことができる。これにより、本実施形態に係る可搬型発電装置2の発電量および発電効率をより一層向上させることができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る可搬型発電装置2によれば、送風機54は、熱電素子53により生ずる起電力を供給されて駆動し、低温部52の表面521において強制対流を生じさせる。そのため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差を効率的に発生させることができる。これにより、本実施形態に係る可搬型発電装置2の発電量および発電効率をより一層向上させることができる。また、排気混合部7は、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気と、を混合する流路71を形成する。これにより、バーナ4から放出され排気混合部7の流路71に導かれた排ガスは、排気口72を通して可搬型発電装置2の外部に強制的に排出される。また、排ガスを含む空気が排気混合部7の流路71において送風機54から送られた冷却風を含む空気と混合されるため、可搬型発電装置2の外部に排出される空気の温度を抑えることができる。
【0057】
次に、本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置について説明する。
なお、本変形例に係る可搬型発電装置2Aの構成要素が、図1および図2に関して前述した本実施形態に係る可搬型発電装置2の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0058】
図3は、本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置を表す平面図である。
なお、図3は、図1に表した矢印A21の方向からみたときの平面図に相当する。図3においては、説明の便宜上、筐体21および排気混合部7を省略している。
【0059】
図3に表したように、本変形例に係る可搬型発電装置2Aでは、ガイド部6の第2内面62は、高温部51のフィン512の先端部513からバーナ4の側に離れている。具体的には、ガイド部6の第2内面62は、高温部51のフィン512の先端部513から高温部51の表面511の法線方向に向かって離れている。そのため、ガイド部6により形成される流路63は、第1空間631(図1参照)と、第2空間632と、第3空間633と、を有する。
【0060】
第1空間631および第2空間632は、図1および図2に関して前述した通りである。本変形例に係る可搬型発電装置2Aでは、ガイド部6により形成される流路63は、第3空間633をさらに有する。第3空間633は、高温部51のフィン512の先端部513を含む平面と、ガイド部6の第2内面62と、により挟まれた空間である。この点において、本変形例に係る可搬型発電装置2Aは、図1および図2に関して前述した本実施形態に係る可搬型発電装置2とは異なる。他の構造は、図1および図2に関して前述した本実施形態に係る可搬型発電装置2の構造と同様である。
【0061】
バーナ4から放出された排ガスは、ガイド部6により形成された流路63の第1空間631を流れた後、流路63の第2空間632および第3空間633を流れる。このとき、第3空間633の圧力損失が第2空間632の圧力損失よりも低く、またガイド部6による煙突効果が生ずるため、排ガスを含まない空気を流路63の外部から流路63の第1空間631を通して流路63の第3空間633に導くことができる。これにより、バーナ4に供給された燃料ガスの完全燃焼を促進させることができる。このように、本変形例に係る可搬型発電装置2Aによれば、ガイド部6により形成された流路63に排ガスを含まない空気を効率的に導入することができ、バーナ4に供給された燃料ガスの完全燃焼を促進させることができる。また、図1および図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係る可搬型発電装置2Bの構成要素が、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る可搬型発電装置2、2Aの構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
図4は、本発明の第2実施形態に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図5は、図4に表した矢印A22の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
なお、図5においては、説明の便宜上、筐体21および排気混合部7を省略している。
【0064】
本実施形態に係る可搬型発電装置2Bは、筐体21と、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、ガイド部6と、送風機54Aと、排気混合部7と、邪魔板8と、を備える。筐体21と、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、ガイド部6と、排気混合部7と、邪魔板8と、は、図1図3に関して前述した通りである。
【0065】
本実施形態に係る可搬型発電装置2Bの送風機54Aは、低温部52の側方において低温部52に対向して配置されている。具体的には、送風機54Aは、低温部52の下方の端部525に対向して配置されている。送風機54Aの軸543は、低温部52の表面521に対して平行である。そのため、例えば図4に表した矢印A11のように、送風機54Aは、低温部52の表面521に対して平行方向に冷却風としての空気を送る。例えば図4に表した矢印A12のように、送風機54Aから低温部52の表面521に沿って送られた空気は、互いに隣り合うフィン522の側面523により挟まれた空間524を流れ、低温部52の表面521に沿って傾斜の上方により確実に導かれる。そして、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気は、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と排気混合部7の流路71において混合され、排気口72を通して筐体21の外部へ排出される。
【0066】
図5に表したように、送風機54AのY方向の長さは、低温部52のY方向の長さと略同じである。そして、複数の送風機54Aが、X方向に並んで配置されている。なお、図5に表した例では、2つの送風機54Aが配置されている。但し、送風機54Aの設置数は、2つに限定されるわけではなく、3つ以上であってもよい。
その他の構造は、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る可搬型発電装置2、2Aと同様である。
【0067】
本実施形態に係る可搬型発電装置2Bによれば、送風機54Aは、低温部52の表面521に沿って空気を送ることができ、低温部52の表面521をより一層効率的に冷却することができる。そのため、低温部52のX方向およびY方向の少なくともいずれかの長さを抑えることができ、低温部52の小型化および軽量化を図ることができる。また、図5に表したように、送風機54AのY方向の長さを低温部52のY方向の長さと同じ程度に抑えることができ、送風機54Aの小型化および軽量化を図ることができる。これにより、可搬型発電装置2Bの小型化および軽量化を図ることができる。また、送風機54Aは、低温部52の表面521をより一層効率的に冷却することができるため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差をより一層効率的に発生させることができる。また、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る可搬型発電装置2、2Aの効果と同様の効果が得られる。
【0068】
次に、本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置について説明する。
なお、本変形例に係る可搬型発電装置2Cの構成要素が、図4および図5に関して前述した本実施形態に係る可搬型発電装置2Bの構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0069】
図6は、本実施形態の変形例に係る可搬型発電装置の内部構造を表す断面図である。
図7は、図6に表した矢印A23の方向からみたときの可搬型発電装置を表す平面図である。
なお、図7においては、説明の便宜上、筐体21および排気混合部7を省略している。
【0070】
本変形例に係る可搬型発電装置2Cは、筐体21と、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、ガイド部6と、送風機54Bと、排気混合部7と、邪魔板8と、絞り部55と、を備える。つまり、本変形例に係る可搬型発電装置2Cは、図1図3に関して前述した可搬型発電装置2、2A、ならびに図4および図5に関して前述した可搬型発電装置2Bと比較して、絞り部55をさらに備える。この点において、本変形例に係る可搬型発電装置2Cは、図1図3に関して前述した可搬型発電装置2、2A、ならびに図4および図5に関して前述した可搬型発電装置2Bとは異なる。筐体21と、バーナ4と、高温部51と、低温部52と、熱電素子53と、ガイド部6と、排気混合部7と、邪魔板8と、は、図1図3に関して前述した通りである。
【0071】
本変形例に係る可搬型発電装置2Cの送風機54Bは、低温部52の側方において絞り部55を介して低温部52に対向して配置されている。具体的には、絞り部55は、低温部52の下方の端部525に対向して配置されている。また、送風機54Bは、絞り部55を介して、低温部52の下方の端部525に対向して配置されている。
【0072】
絞り部55は、送風機54Bと低温部52との間に設けられ、送風機54Bから送り出された空気の流路断面を絞り、送風機54Bから送り出された空気を低温部52の空間524に導く。そのため、絞り部55を通過した後の空気の流速は、絞り部55を通過する前の空気、すなわち送風機54Bから送り出された直後の空気の流速よりも速い。絞り部55の絞り方あるいは絞り形状は、特に限定されるわけではなく、オリフィスであってもよく、ノズルであってもよく、ベンチュリ管であってもよい。
【0073】
送風機54Bの軸543は、低温部52の表面521に対して平行である。そのため、例えば図6に表した矢印A13のように、送風機54Bは、低温部52の表面521に対して平行方向に冷却風としての空気を送る。送風機54Bから低温部52の表面521に沿って送られた空気は、絞り部55を通過し絞り部55により流速を高められた状態で、例えば図6に表した矢印A14のように、互いに隣り合うフィン522の側面523により挟まれた空間524を流れ、低温部52の表面521に沿って傾斜の上方により確実に導かれる。そして、低温部52の表面521に沿って流れた冷却風を含む空気は、高温部51の表面511に沿って流れた排ガスを含む空気と排気混合部7の流路71において混合され、排気口72を通して筐体21の外部へ排出される。
【0074】
図7に表したように、送風機54BのY方向の長さは、低温部52のY方向の長さよりも長い。そして、1つの送風機54Bが、X方向において低温部52の中央部に配置されている。なお、送風機54Bの設置数は、1つに限定されるわけではなく、2つ以上であってもよい。
その他の構造は、図4および図5に関して前述した本実施形態に係る可搬型発電装置2Bと同様である。
【0075】
本実施形態に係る可搬型発電装置2Cによれば、送風機54Bは、図4および図5に関して前述した送風機54Aよりも大きい風量の空気を絞り部55を介して低温部52の表面521に沿って送ることができ、低温部52の表面521をより一層効率的に冷却することができる。そのため、送風機54Bの設置数を低減しつつ、低温部52の表面521を効率的に冷却することができる。そのため、低温部52の小型化および軽量化を図ることができ、可搬型発電装置2Cの小型化および軽量化を図ることができる。また、送風機54Bは、低温部52の表面521をより一層効率的に冷却することができるため、高温部51と低温部52との間に生ずる温度差をより一層効率的に発生させることができる。また、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る可搬型発電装置2、2Aの効果と同様の効果が得られる。
【0076】
次に、本発明者が実施した検討の結果の一例を、図面を参照して説明する。
図8は、本発明者が実施した検討の結果の一例を表す表である。
図9は、図8に表した第1試料の傾斜角度と最大発電量との関係の一例を表すグラフである。
図10は、図8に表した第2試料の傾斜角度と最大発電量との関係の一例を表すグラフである。
なお、図9および図10に表したグラフにおいて、横軸は、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度(°)を表す。縦軸は、熱電素子53の最大発電量(W)を表す。
【0077】
本発明者は、図1および図2に関して前述した可搬型発電装置2を用いて、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度(°)と、熱電素子53の最大発電量(W)と、の関係に関する検討を行った。図8に表した第1試料および第2試料は、本実施形態の高温部51の一例であり、複数のフィン512を有するフィン付きヒートシンクである。第1試料の大きさは、縦100mm×横100mm×高さ30mmである。第1試料の複数のフィン同士の間隔は、2mmである。一方で、第2試料の大きさは、縦98mm×横98mm×高さ30mmである。第2試料の複数のフィン同士の間隔は、6mmである。本検討において、バーナ4の火炎41の位置は、各試料の端部であり、各試料の表面が設置面9に対して傾斜している場合には下方の端部である。すなわち、バーナ4の火炎41は、各試料の端部に向かって放出され、各試料の表面が設置面9に対して傾斜している場合には下方の端部に向かって放出される。また、各試料の表面と、バーナ4の火炎口43と、の間の距離は、15mmである。
【0078】
第1試料および第2試料のそれぞれにおいて、「傾斜角度(°)」、「燃焼量(kcal/h)」、および「最大発電量(W)」の関係の一例は、図8に表した通りである。また、第1試料の傾斜角度(°)と熱電素子53の最大発電量(W)との関係の一例は、図9に表した通りである。さらに、第2試料の傾斜角度(°)と熱電素子53の最大発電量(W)との関係の一例は、図10に表した通りである。本検討における「傾斜角度(°)」は、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度である。そのため、設置面9と直交する方向A1に対する高温部51の表面511の傾斜角度は、「90°-本検討における傾斜角度(°)」で表される。
【0079】
図8図10に表した結果の一例によれば、高温部51の表面511が設置面9に対して傾いているとき(すなわち、傾斜角度が10°、20°、30°、40°のとき)の熱電素子53の最大発電量は、高温部51の表面511が設置面9に対して傾いていないとき(すなわち、傾斜角度が0°のとき)の熱電素子53の最大発電量以上である。また、熱電素子53の最大発電量は、傾斜角度を0°から30°まで増加させると増加し、傾斜角度を30°から40°に増加させると減少した。つまり、傾斜角度が0°、10°、20°、30°、40°のうちで30°のときに、熱電素子53の最大発電量が最大になった。本検討の結果によれば、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度は、10°以上、40°以下程度であることが好ましく、約30°程度であることがより好ましい。
【0080】
また、本発明者が実施した検討の結果によれば、バーナ4の火炎41の位置が試料の中心であるときの最大発電量は、バーナ4の火炎41の位置が試料の端部であるときの最大発電量よりも大きいことが分かった。さらに、バーナ4の火炎41の位置が試料の中心と試料の端部との間の位置(例えば、試料の端部から試料長さの1/4だけ中心に移動した位置)であるときの最大発電量は、バーナ4の火炎41の位置が試料の中心であるときの最大発電量よりも大きいことが分かった。そのため、本検討の結果によれば、設置面9に対する高温部51の表面511の傾斜角度が約30°程度であり、バーナ4の火炎41の位置が試料の中心と試料の端部との間の位置であるときに、最大発電量をより一層向上させることができることが分かった。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0082】
2、2A、2B、2C:可搬型発電装置、 4:バーナ、 6:ガイド部、 7:排気混合部、 8:邪魔板、 9:設置面、 21:筐体、 22:脚部、 23:取り出し口、 31:燃料ガス収容容器、 32:容器接続部、 33:操作摘まみ部、 34:ガス導管、 41:火炎、 42:軸、 43:火炎口、 51:高温部、 52:低温部、 53:熱電素子、 54、54A、54B:送風機、 55:絞り部、 61:第1内面、 62:第2内面、 63:流路、 64:下端部、 65:位置、 71:流路、 72:排気口、 511:表面、 512:フィン、 513:先端部、 514:側面、 515:端部、 521:表面、 522:フィン、 523:側面、 524:空間、 525:端部、 526:先端部、 541:モータ、 542:プロペラ、 543:軸、 544:吸入口、 631:第1空間、 632:第2空間、 633:第3空間

図1
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図10