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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】レオロジー制御剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20231227BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231227BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20231227BHJP
   C08G 73/04 20060101ALI20231227BHJP
   C08L 79/02 20060101ALI20231227BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C08L101/00
C09K3/00 103G
C08K3/34
C08G73/04
C08L79/02
C08L63/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022556571
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2021056804
(87)【国際公開番号】W WO2021185898
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】20163737.8
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596089399
【氏名又は名称】ビック-ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーネ クナップケ-ボンガルツ
(72)【発明者】
【氏名】レーネ ナーゲルスディーク
(72)【発明者】
【氏名】ジルビア ビューネ
(72)【発明者】
【氏名】カトリン メラース
(72)【発明者】
【氏名】ベレーナ ベックマン
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-091392(JP,A)
【文献】特開2008-280382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリケート(A)、及び
下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)
を含む組成物の、レオロジー制御剤としての使用:
【化1】
(ここでRは、H、
【化2】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【請求項2】
前記シリケート(A)が、クレイ、シリカ、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項3】
及びRが、ヒドロカルビル基、エーテル基を含む有機基、及びエステル基を含む有機基から独立して選択される、請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【請求項4】
成分(B)が、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸又はスルホン酸のうちの少なくとも1つから選択される酸との塩として存在する、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項5】
成分(B)が、100kPaにおいて少なくとも250℃の沸点を有する高沸点溶媒中の溶液として提供される、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
前記溶液が、23℃及び100kPaにおいて液体である、請求項5に記載の組成物の使用。
【請求項7】
前記高沸点溶媒が、ポリエーテルを含む、請求項5又は6に記載の組成物の使用。
【請求項8】
成分Bが、ポリエチレンイミンを、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物と反応させることによって得られ得る、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
非水性調製物中での、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
前記組成物が、成分(A)の重量で算出して、0.1~100.0重量%の成分(B)を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアスパラギン酸樹脂、及びシリル修飾ポリマーのうちの少なくとも1つを含むバインダを含む調製物における、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
少なくとも1つのバインダモジュール及び少なくとも1つの架橋モジュールを含む部分のキットであって、前記モジュールのうちの少なくとも1つが、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む、キット:
【化3】
(ここで、Rは、H、
【化4】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【請求項13】
前記バインダモジュールが、エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の部分のキット。
【請求項14】
下記の工程を含む方法:
-面を有する三次元物品を提供すること、
-少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む調製物を、前記面の少なくとも一部に適用すること:
【化5】
(ここで、Rは、H、
【化6】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)、並びに
-前記調製物を任意選択的に硬化すること。
【請求項15】
調製物を含む三次元物品であって、前記調製物が、少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む、三次元物品:
【化7】
(ここで、Rは、H、
【化8】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レオロジー制御剤としての組成物の使用、部分のキット、及び方法に関する。
【0002】
ガス及び油の調査及び製造に使用されるコーティング材料、接着剤、封止剤、プラスチック配合物、液体配合物、並びに、成形化合物及び同種のものの分野においては、かかる液体系のレオロジー特性を、主として粘度を調整することを通してカスタマイズすることが必要である。これは、結着剤、溶媒、並びに、顔料及び/又は充填剤の濃度の選択によってなされ得る。多くの場合において、これらの液体へのいわゆるレオロジー添加剤の添加が必要とされる。これらの添加剤の効果は、粘度及び粘弾性特性のような、系のレオロジー特性を調整する際に現れる。そうすることにより、系の特性が、通常、垂れ抵抗性に関して改良され、(固体粒子の沈降の低減に起因して)貯蔵安定性が改良され、又は概して粘度が増加し、多くの場合において「増粘」と称される。
【0003】
非水性系のための典型的なレオロジー添加剤として、有機増粘剤、例えば、アミド又は尿素系増粘剤に加えて、無機増粘剤、例えば、シリカ及び層状シリケートなどが挙げられる。層状シリケートの中でも、クレイ材料が、多くの場合において、増粘剤として使用され;これらの中でも、有機修飾クレイ材料(有機クレイとしても公知である)が、当該分野において使用されている。有機クレイは、塗料及びニスのような有機溶媒又は有機コーティング系のための、並びに、同じく複合体における増粘剤として広範に使用されている。系における顔料及び充填剤の非混合及び沈殿を防止することによる有機系の貯蔵安定性の改良に加えて、さらなる目的は、液体有機系の垂れ抵抗性を増加させることである。通常、有機クレイは、天然又は合成クレイから作製され、クレイと、修飾剤、例えば親水性クレイを疎水性にする高級アルキル含有アンモニウム化合物との反応混合物を典型的には表す。これは、有機材料との相溶性の改良に至る。かかる修飾クレイの、レオロジー添加剤としての使用は、例えば、国際公開第97/17398号パンフレット及び米国特許第6,036,765号明細書に記載されている。
【0004】
有機修飾シリカは、シリカを、有機化合物、例えば、オルガノアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、カルボン酸、及び同種のものによって処理することにより一般的に調製される。有機クレイと同様に、シリカの有機処理は、有機材料との相溶性の改良を結果として生じさせる。
【0005】
これらのレオロジー添加剤は、多様な要求に応じることが必要である。これらは、適用系において改良されたレオロジー活性だけでなく、同じく適用関連配合物においても広い相溶性を示さなければならない。
【0006】
また、適用系におけるレオロジー特性は、成分の貯蔵後であっても、改良又は維持されることが望ましい。改良されたレオロジー添加剤を提供することが依然として継続的に必要とされている。改良されたレオロジー添加剤を使用することが、様々な非水性配合物において非常に信頼性のある増加した増粘効果につながるはずである。
【0007】
そのため、本発明の特定の目的は、多種多様な適用系において用いることができる、良好な有効性の高品質レオロジー制御剤を提供することである。より特定的には、本発明は、明白な垂れ防止挙動を結果として生じさせるレオロジー制御剤を見出すことであった。特に、適用された液体組成物(例えば、コーティング、ゲルコート、接着剤又は封止剤)の高い層厚は、垂れを伴うことなく生じるはずである。
【0008】
驚くべきことに、これらの目的が、
シリケート(A)、及び、
下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)
を含む組成物のレオロジー制御剤としての使用によって達成され得ることが見出された:
【化1】
(ここで、Rは、H、
【化2】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
ポリエチレンイミンが、エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【0009】
好ましい実施形態において、R及びRは、一緒に、少なくとも4個の炭素原子、より好ましくは少なくとも6個の炭素原子、さらにより好ましくは少なくとも8個の炭素原子を有する。これらの炭素原子は、エーテル基によって中断されないヒドロカルビル基の部分であることがさらに好ましい。
【0010】
上記使用はまた、調製物のレオロジーを制御する方法としても記載され得、この方法は、下記の工程を含む:
i)シリケート(A)を提供すること、
ii)下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を提供すること:
【化3】
(ここで、Rは、H、
【化4】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
ポリエチレンイミンが、エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)、
iii)調製物を提供すること、並びに
iv)調製物に、シリケート(A)及び修飾ポリエチレンイミン(B)を別個に又は組み合わせの何れかで添加すること。
【0011】
本発明による組成物の使用がレオロジー挙動の改良に至るだけでなく、予想外にも、これら2つの成分間の相乗効果が示され、垂れ防止挙動の観点においてさらにより良好な結果に至った。
【0012】
好ましくは、シリケート(A)は、クレイ、シリカ又はこれらの混合物である。概して、クレイが、有機修飾クレイ及び非修飾クレイからなる群から選択される一方で、シリカは、修飾シリカ及び非修飾シリカからなる群から選択される。好適なクレイは、天然に存在するクレイ又は合成クレイであってよい。好ましくは、シリケート(A)は、有機修飾クレイ又は非修飾シリカである。
【0013】
好適には、組成物は、少なくとも2の異なる種類のクレイの混合物を含む。好適な例は、ホルマイトクレイ(例えば、セピオライト、パリゴルスカイト)及びスメクタイトクレイの混合物である。最も好適には、セピオライトクレイ及びスメクタイトクレイの混合物である。セピオライト及びパリゴルスカイトは、両方が、SiO4四面体の連続的な二次元シートを含むが、連続的な八面体シートを欠失している他の層シリケートとは異なるためフィロシリケートに含まれる。セピオライト及びパリゴルスカイトは、針形構造を示す一方で、スメクタイトクレイは、血小板形構造を示す。2つの上記ホルマイトクレイの中でも、セピオライトが本発明での使用に好ましい。スメクタイトは、好ましくは、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、スティブンサイト、及びこれらの混合物からなる群から選択される天然又は合成クレイ鉱物である。スメクタイトの特に好ましい選択肢は、ヘクトライト、モンモリロナイト、及びサポナイトである。
【0014】
好適には、クレイは、炭化水素鎖当たり少なくとも10個の炭素原子を有する、アンモニウム基に連結した1つ以上の炭化水素鎖を有する有機アンモニウム塩によって修飾されている。好適には、アンモニウム基に連結した炭化水素鎖は、少なくとも14、より好適には少なくとも16個の炭素原子を有する。
【0015】
好ましくは、有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウム塩である。鉱物クレイ混合物を処理するのに用いられる第4級アンモニウム塩は、1~30個の炭素原子の同じ又は異なる直鎖-及び/又は分岐鎖の飽和及び/又は不飽和アルキル基を含有するアルキル及び/又はアリールアルキル第4級アンモニウム塩を典型的には含み、アニオンは、クロライド、ブロマイド、硫酸メチル、ナイトレート、水酸化物、アセテート、ホスフェート及びこれらの混合物、好ましくはクロライド、ブロマイド及び硫酸メチルからなる群から選択される。
【0016】
第4級アンモニウム塩の好ましい選択肢は、ジメチルジ(水素化タロー)アンモニウムクロライド、メチルベンジルジ(水素化タロー)アンモニウムクロライド、ジメチルベンジル水素化タローアンモニウムクロライド、ジメチル水素化タロー-2-エチルヘキシルアンモニウムメチルサルフェート、及び好ましい選択肢のうちの2つ以上の混合物である。水素化タロー基を含む第4級アンモニウム塩の代わりに、植物又は合成源に由来する同様の製品が使用され得る。鉱物クレイ混合物は、典型的には、混合物100g当たり5~150ミリグラム当量、好ましくは5~80ミリグラム当量の第4級アンモニウム塩で処理される。
【0017】
別の実施形態において、鉱物クレイ混合物を処理するのに用いられる第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウム基がエステル結合を介して少なくとも1つのヒドロカルビル基に付着しているいわゆるエステルクワット第4級アンモニウム塩を含む。エステルクワットの対イオン(アニオン)及びクレイ当たりのエステルクワットの量に関して、アルキル第4級アンモニウム塩によって処理されたクレイ混合物について先に言及されていることと同じことが適用される。これらの種類の有機クレイの例は、米国特許第5718841(A)号明細書及び欧州特許第798267(B1)号明細書に見出され得る。
【0018】
好適なシリカの例は、修飾及び非修飾シリカである。好ましくは、この修飾又は非修飾シリカは、焼成シリカである。非修飾シリカは、化学的に処理されておらず、概して親水性特性を有する。
【0019】
修飾シリカは、概して、有機化合物、例えば、シラン又はシロキサン、カルボン酸、及び同種のものによって化学的に処理されており、多くの場合において、疎水性特性を有する。この処理は、有機材料との改良された相溶性を結果として生じさせる。
【0020】
好適には、組成物は、成分(A)及び(B)の重量で算出して、50.0~99.9重量%、より好適には60.0~99.8重量%、さらにより好適には70.0~99.7重量%、最も好適には90.0~99.5重量%のシリケート(A)を含む。
【0021】
成分Bは、下記の構造(I)を含むポリエチレンイミンである:
【化5】
(ここで、Rは、H、
【化6】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHである)。
【0022】
ポリエチレンイミンは、式(II)の繰り返し単位を含むポリマーである。
-NHCHCH-。
【0023】
ポリエチレンイミンは、線状又は分岐状構造を有し得、好ましくは分岐状である。分岐状ポリエチレンイミンは、第1級、第2級、及び第3級アミン基を有する。第1級アミン基対第2級アミン基のモル比は、好適には1.00:0.70~1.00:1.30の範囲内、好ましくは1.00:0.80~1.00:1.20の範囲内である。第1級アミン基対第3級アミン基のモル比は、好適には1.00:0.40~1.00:1.10の範囲内、好ましくは1.00:0.50~1.00:1.00の範囲内である。第1級、第2級、及び第3級アミン基の比は、例えば13C NMR分光法によって求められ得る。
【0024】
ポリエチレンイミンは、アジリジンの開環重合によって得られ得る。
【0025】
概して、修飾ポリエチレンイミン成分Bは、ポリエチレンイミンを、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物と反応させることによって得られ得る。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物は、3~25個の炭素原子を有する。より好ましくは、当該化合物は、4~20個の炭素原子を有する。
【0027】
少なくとも1つのエポキシド基を有する好適な化合物は、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、エポキシ化オレフィン、好適にはエポキシ化アルファ-オレフィンである。
【0028】
好ましいグリシジルエーテルは、エーテル原子に付着したC2~C30ヒドロカルビル基を有するグリシジルエーテルである。ヒドロカルビル基は、脂肪族(脂環式を含む)、芳香族、芳香脂肪族であり得、線状又は分岐状の飽和又は不飽和であり得る。好ましくは、上記基は、C4~C24脂肪族基及び置換又は非置換フェニル基から選択される。非常に好ましくは、上記基は、C8~C16アルキル基のような飽和C6~C18脂肪族基から選択される。好適な例は、n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8-C10脂肪族グリシジルエーテル、C12-C14脂肪族グリシジルエーテル、C13-C15-アルキルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、並びにクレジルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテルである。好ましい例は、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びC12-C14脂肪族グリシジルエーテル、及びC13-C15-アルキルグリシジルエーテルである。
【0029】
好ましいグリシジルエステルは、エステル基に付着したC2~C30ヒドロカルビル基を有するグリシジルエステルである。ヒドロカルビル基は、脂肪族(脂環式を含む)、芳香族、芳香脂肪族であり得、線状又は分岐状の飽和又は不飽和であり得る。好ましくは、上記基は、C4~C24脂肪族基及び置換又は非置換フェニル基から選択される。非常に好ましくは、上記基は、C8~C16アルキル基のような飽和C6~C18脂肪族基から選択される。
【0030】
好適な例は、2-エチルヘキシルグリシジルエステル及びネオドデカン酸のグリシジルエステルである。
【0031】
好ましいエポキシ化オレフィンは、4~30個の炭素原子を含むアルファ-オレフィンをベースとするものである。エポキシ基に付着したヒドロカルビル基は、脂肪族(脂環式を含む)、芳香族、芳香脂肪族であり得、線状又は分岐状であり得る。好ましくは、エポキシ基に付着した上記基は、C4~C24脂肪族基及び置換又は非置換フェニル基から選択される。非常に好ましくは、上記基は、C8~C16アルキル基のような飽和C6~C18脂肪族基から選択される。
【0032】
エポキシ化オレフィンに好適な例は、1,2-ヘキセンオキサイド、1,2-オクテンオキサイド、1,2-ノネンオキサイド、1,2-ウンデセンオキサイド、1,2-ドデセンオキサイド、1,2-オクタデセンオキサイド、4-メチル-1,2-ペンテンオキサイド、1,2-ブテンオキサイド、スチレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、イソプレンモノオキサイド、シクロペンテンオキサイド、及び2-エチル-1,2-ブテンオキサイドである。
【0033】
好ましくは、R及びRの有機基は、ヒドロカルビル基、又はエーテル基若しくはエステル基を含む有機基である。ポリエチレンイミンとエポキシドとの反応の際のオキシラン基の開環に起因して、R又はRのうちの一方が水素原子である。
【0034】
構造(I)の窒素原子が第2級アミンであるとき、Rは、水素である。第2級アミンは、少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物によるさらなる修飾を経ることができる。かかる場合、反応方法は、第2級アミンの、Rが下記である第3級アミンへの変換につながる:
【化7】
【0035】
さらに、ポリエチレンイミンは、非末端の第2級アミン基を含み得る。かかる基がエポキシド基と反応するとき、Rがポリエチレンイミンの部分である構造(I)のポリエチレンイミンが形成される。このことは、Rが1つの窒素原子及び2つのCH基を含む少なくとも1つの繰り返し単位を含むことを意味する。
【0036】
概して、成分Bは、ポリエチレンイミンと、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物との反応生成物である。好ましくは、成分Bは、ポリエチレンイミンと、1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物との反応生成物である。
【0037】
好ましい実施形態において、成分Bは、ポリエチレンイミンの全アミン基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物からのエポキシ基のモル比が、100.0:30.0~100.0:0.3の間、好ましくは100.0:20.0~100.0:1.0の間、より好ましくは100.0:15.0~100.0:2.0の間、最も好ましくは100.0:13.0~100.0:3.0の間、例えば、100.0:10.0~100.0:4.0の間である、ポリエチレンイミンと、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物との反応生成物である。
【0038】
別の好ましい実施形態において、成分Bは、ポリエチレンイミンの第1級アミン基及び少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物からのエポキシド基のモル比が、100.0:80.0~100.0:1.0の間、好ましくは100.0:50.0~100.0:3.0の間、より好ましくは100.0:40.0~100.0:6.0の間、最も好ましくは100.0:35.0~100.0:8.0の間、例えば、100.0:30.0~100.0:10.0の間である、ポリエチレンイミンと、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物との反応生成物である。
【0039】
エポキシド化合物との反応の前には、ポリエチレンイミンは、好適には45000~250000g/モル、より好ましくは50000~200000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する。数平均分子量は、好適にはMn20000~50000g/モル、好ましくは25000~40000g/モルの範囲にある。
【0040】
数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、DIN55672パート3[2016-03]によりゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって求められ得る(使用したカラム:Polymer Standard Service、Mainz/Germanyによる2つのPSS-Novemaカラムの組み合わせ;寸法:300mm8mm(カラム当たりの内径)、粒径:10μm;細孔径:第1カラム3000Å(300nm)、第2カラム300Å(30nm))。水中0.3mのギ酸(13.81g/L)を30℃(303K)において1mL/分の流れによる溶出液として使用した。較正を、M700,000~M342の間の分子量を有する狭いモル質量の一連の非分岐状プルラン標準によって達成した。
【0041】
好適には、組成物は、成分(A)の重量で算出して、0.1~100.0重量%、より好適には0.2~40.0重量%、さらにより好適には0.3~30.0重量%、最も好適には0.5~10.0重量%の成分(B)を含む。
【0042】
成分(B)は、少なくとも1つのエーテル基を任意選択的に有するカルボン酸、リン酸、ホスホン酸又はスルホン酸のうちの少なくとも1つから選択される酸によって形成される塩として好適には存在し得る。塩形成は、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸又はスルホン酸から選択される1つの基を分子内に含む1つ以上の酸を使用して実施されることが好ましい。
【0043】
好ましい実施形態において、成分(B)は、1つ以上の酸との、修飾ポリエチレンイミンに存在するアミン基の塩形成によって形成される塩の基を含む。修飾ポリエチレンイミンのアミン基及び酸の酸基のモル比は、100:0~100:30、好ましくは100:0~100:25、より好ましくは100:0~100:20、さらにより好ましくは100:0~100:15、最も好ましくは100:0~100:10の範囲内である。
【0044】
少なくとも1つのエーテル基を有するカルボン酸、リン酸、ホスホン酸又はスルホン酸のうちの少なくとも1つから選択される酸は、繰り返し単位、例えば、エーテル繰り返し単位を含み得、分子量分布を有し得る。
【0045】
好ましい実施形態において、酸は、以下の式(II)によって表される。
【化8】
【0046】
式(II)において、Rは、1~40個のC原子を有する線状又は分岐状の飽和又は1価不飽和又は多価不飽和ヒドロカルビル基であり、Rは、1つのエーテル基によって任意選択的に置換されている、2~20、好ましくは2~9個のC原子を有するアルキレン基又はアリールアルキレン基である。Rは、n個の繰り返し単位において同じであっても異なっていてもよい。
【0047】
Xは、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びリン酸基から選択される少なくとも1つの酸基を含み、m=0又は1、n=0~30である有機基である。好ましくは、n=0~15、より好ましくは1~12である。
【0048】
は、有利には、4~24個のC原子を有するアルキル基又はアルケニル基である。Rが6~20個のC原子を有し且つm=0であるアルキル基又はアルケニル基であるときに好ましい。特に好ましくは、Rは、8~20個のC原子を有するアルキル基又はアルケニル基であり、最も特に好ましくは10~18個のC原子を有するアルキル基であり、各場合においてm=0である。
【0049】
さらなる実施形態において、Rは、トールオイル脂肪酸から誘導され、m=1である。
【0050】
は、有利には、2~4個のC原子を有するアルキレン基である。Rに関するさらなる好ましい実施形態は、以下のように記載され得る:
は、アルキレン基-CHCH-及び/又は-CH-CH(CH)-を表す。
は、2~4個のC原子を有するアルキレン基を表し、R2が-CHCH-である繰り返し単位のモル比(n個の単位を含有するRの合計と比較して)は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%である。
【0051】
特に好ましい実施形態において、Rは、全n個の繰り返し単位において基-CH-CH-を表す。
【0052】
基Xは、有利にはカルボン酸基を含む。さらに、唯一の酸基が基Xに存在するときが好ましい。
【0053】
好ましくは、酸は、アルキルエーテルカルボン酸である。
【0054】
好ましくは、成分(B)は、高沸点溶媒中の溶液として提供される。好ましくは、溶液は、23℃(300K)及び大気圧において液体である。
【0055】
液体という用語は、その粘度とは無関係に、任意の液体媒体を指す。液体は、したがって、非常に低粘性の媒体並びに高粘性媒体、例えば、ペースト材料を包含する。高沸点溶媒は、概して、100kPaにおいて少なくとも250℃(523K)の沸点を有する。いくつかの実施形態において、高沸点溶媒は、溶媒の分解温度よりも高い沸点を有する。
【0056】
好ましくは、成分Bの溶液は、成分B及び高沸点溶媒の重量の総計で算出して、0~99重量%、より好ましくは20~98重量%、さらにより好ましくは30~97重量%、40~96重量%又は50~95重量%、及び最も好ましくは70~94重量%の高沸点溶媒を含む。
【0057】
好適な高沸点溶媒の例は、ポリエーテル、例えば、任意選択的に、他のモノエポキシドとの共重合によって得られるコポリマーとしての、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドのポリマーである。これらは、モノ-、ジ-、又はポリヒドロキシ官能性であり得る。好適なポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(1~16個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基による)、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(1~16個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基による)、並びに、ランダム、ジブロック、トリブロック、又は勾配分布のモノマー単位を有するエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのコポリマーである。
【0058】
これらのポリエーテルは、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらにより好ましくは少なくとも90モル%のエチレンオキサイド系の繰り返し単位を含むことが好ましい。特定の実施形態において、ポリエーテルは、エチレンオキサイド系の繰り返し単位のみを含む。
【0059】
好ましくは、ポリエーテルの分子量は、150g/モル~1000g/モルの間、より好ましくは180g/モル~800g/モルの間である。一実施形態において、ポリエーテルの分子量は、約200~500g/モルの間である。
【0060】
好ましくは、これらのポリエーテルは、室温において液体であるかかるポリエーテルから選択される。
【0061】
本発明による組成物は、調製物において使用されてよい。
【0062】
好ましくは、調製物は、液体である。好適には、調製物は、バインダを含む。バインダは、アルキド樹脂(例えば、短、中、又は長油性アルキド)、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアスパラギン酸樹脂、及びシリル修飾ポリマーのうちの少なくとも1つを好適には含む。
【0063】
シリル修飾ポリマー(SMP、「シリル末端ポリマー」又はSTPと称される場合もある)は、アルコキシシリル基を含むプレポリマーである。多くの場合、これらのプレポリマーの骨格は、ポリエーテル又はポリエステルを含む。アルコキシシリル基は、ポリマー分子の末端位置若しくは側方位置にあってよく、又は両方の組み合わせであってよい。アルコキシシリル基は、水分に暴露されると、これらのプレポリマーの硬化に至るSi-O-Si基を形成する縮合反応を経る。
【0064】
これらの樹脂タイプのいくつかは、1パック又は2パック系として存在することが当業者に知られている。エポキシ、ポリウレタン、及びポリアスパラギン酸ベースの系では、2パック系が好ましい。調製物は、本発明による組成物の合計重量で算出して、好適には0.1~10.0重量%、より好適には0.2~7.5重量%、さらにより好適には0.4~6.0重量%、最も好適には0.6~5.0重量%、例えば、0.7~4.5重量%の当該組成物を含み得る。
【0065】
本発明は、少なくとも1つのバインダモジュール及び少なくとも1つの架橋モジュールを含む部分のキットであって、モジュールのうちの少なくとも1つが、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む、上記キットにも関する:
【化9】
(ここで、Rは、H、
【化10】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
ポリエチレンイミンが、エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【0066】
少なくとも1つのバインダモジュールに好適な例は、エポキシ樹脂、ポリオール成分(ポリウレタン系に使用されるものとして)、及びポリアミン成分(ポリアスパラギン酸系に使用されるものとして)である。少なくとも1つの架橋モジュールに好適な例は、エポキシド硬化剤及びポリイソシアネートである。
【0067】
バインダモジュールに使用される好適なポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む全てのポリヒドロキ官能性化合物である。特に好適なポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール及びポリエーテルポリオールであるが、分子均一性を有するモノマー性ポリオールも使用され得る。ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸及びこれらの反応性誘導体、例えば、これらの無水物及びハロゲン化物と、過剰の好ましくはモノマー性ポリオールとの反応によって得られ得る。モノマー性ポリオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び同種のものである。使用されるジカルボン酸は、しばしば、アジピン酸、並びに、水素化フタル酸及びこれらの無水物も含めたフタル酸である。ポリエステルポリオールは、しかし、好ましくはモノマー性ポリオールによるラクトンの開環重合によっても得られ得る。好適なラクトンの例は、ブチロラクトン、カプロラクトン、及びバレロラクトンである。ポリエーテルポリオールは、好ましくはモノマー性ポリオールによる、アルキレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの付加反応によって好ましくは得られる。ポリ(メタ)アクリレートポリオールは、好ましくは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドと、さらなるエチレン性不飽和モノマーとの共重合によって得られる。原則として、本発明の目的で、同じく、上記の方法を介して得られ得る全てのポリオールを使用することができる。
【0068】
架橋モジュールとして使用されるエポキシド硬化剤は、典型的には、二又は多官能性化合物又はポリマーであり、その官能基は、オキシラン基と反応する傾向にある。好ましくは、本発明において好適であるエポキシド硬化剤は、ジアミン及びポリアミン(好ましくは脂肪族及び脂環式及び芳香族ジアミン及びポリアミン)、アミン官能性複素環(アミノアルキルピペラジンのような)、フェナルカミン、並びにポリアミド、例えば、ポリアミノアミド(好ましくはオリゴマー化された脂肪酸のもの)からなる群から選択される。特に好ましくは、ジアミン、ポリアミン及びポリアミド並びにこれらの組み合わせである。エポキシド硬化剤としてさらにより好ましいのはジアミン及びポリアミンである。
【0069】
特に好ましいジアミン及びポリアミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン又は3,3’,5-トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン及び脂肪族ポリアミン;1,2-シクロヘキシルジアミン、イソホロンジアミン及びその異性体混合物又はm-キシリレンジアミンのような脂環式アミン;メチレンジアニリン又は4,4-ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン;マンニッヒ塩基(例えば、ジエチレントリアミン-フェノール-マンニッヒ塩基)のような修飾アミンの群から選択され得る。ポリアミド型の特に好ましい硬化剤は、ポリアミノアミド及びジシアンジアミドである。熱硬化性エポキシ樹脂において使用される環状カルボン酸無水物型硬化剤の典型的な代表例は、例えば、フタル酸無水物又はヘキサヒドロフタル酸無水物である。
【0070】
架橋モジュールとして使用されるイソシアネートは、アルコールと反応したときにウレタン結合を形成することによってだけでなく、アミンと反応したときに尿素結合を形成することによって硬化し得るものである。さらに、イソシアネート基の反応下に互いの間で架橋も進行し得る。
【0071】
好適なポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を有する全ての種である。原則として、ポリイソシアネートを、芳香族ポリイソシアネート、より特定的には芳香族ジイソシアネート、例えば、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,3-及び1,4-フェニレン-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエタンジイソシアネート、若しくは2,2’-、2,4’-及び4,4’-ジフェニル-メタンジイソシアネート(MDI)又は他のジ-及びテトラアルキル-ジフェニルメタンジイソシアネートなど;脂環式ポリイソシアネート、より特定的には脂環式ジイソシアネート、例えば、2,2’-、2,4’-及び4,4’-ジシクロヘキシル-メタンジイソシアネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、又は2,4-及び2,6-メチルシクロヘキシルジイソシアネート(HTDI)など;芳香脂肪族ポリイソシアネート、より特定的には芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、キシリレン-ジイソシアネート(XDI)、ビスイソシアナトエチルフタレート、又はm-及びp-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)など;並びに脂肪族ポリイソシアネート、より特定的には脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン-ジイソシアネート(HDI)、エチレンジイソシアネート、テトラ-メチレンジイソシアネート、ドデカン1,12-ジイソシアネート、二量体脂肪酸ジイソシアネート、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアネート又は2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などに細分することができる。上記群のポリイソシアネートは、ハロゲン含有、例えば、塩素-、臭素-若しくはフッ素含有、又はリン含有であってもよい。かかるポリイソシアネートの例は、4,4’-ジイソシアナト-フェニルパーフルオロエタン、1-クロロメチルフェニル-2,4-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,6-ジイソシアネート又は3,3-ビスクロロメチル-エーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネートである。しかし、上記のポリ-及びジイソシアネートのより高分子のオリゴマー若しくはポリマー、又は上記群のうちの1つ以上からのポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。
【0072】
好ましくは、バインダモジュールは、エポキシ樹脂を含む。好適なエポキシ樹脂は、反応性フェノール、アルコール、酸及び/又はアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって形成され得る。代替的には、エポキシ樹脂は、オレフィン性二重結合を含む化合物のエポキシ化反応によって調製され得る。好ましくは、本発明において使用されるエポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールF及び/又は水素化ビスフェノールA及び/又は水素化ビスフェノールFをベースとするオリゴマー性及びポリマー性ジグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル、エポキシドノボラック、エポキシド o-クレゾールノボラック、エポキシ化ポリブタジエン、(エポキシ化ダイズ油又はアマニ油のような)エポキシ化植物油、少なくとも1つのエポキシ基を含むエチレン性不飽和モノマー(例えば、グリシジルメタクリレート)の(コ)ポリマー、1,3-プロパン-、1,4-ブタン-又は1,6-ヘキサン-ジグリシジルエーテル及びポリアルキレンオキサイドグリシジルエーテル;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルのようなグリシジルエステル;ジグリシジルアニリン又はテトラグリシジルメチレンジアニリンのようなグリシジルアミン;3,4-エポキシシクロヘキシル-エポキシエタン又は3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-シクロ-ヘキサンカルボキシレートのような脂環式エポキシド;並びにトリスグリシジルイソシアヌレートのようなグリシジルイソシアヌレートからなる群から選択される。使用され得るさらなるエポキシ樹脂は、例えば、欧州特許第2085426(A1)号明細書、欧州特許第1141071(A1)号明細書、米国特許第5212261(A)号明細書、米国特許第3391113(A)号明細書、又は米国特許第4623701号明細書に記載されている。エポキシ樹脂の好ましい例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又は脂環式ジオール及びエピクロロヒドリンをベースとする、300~5000g/モルの分子量を有するものであり;したがって、液体並びに固体エポキシ樹脂が、好ましい実施形態において使用され得る。エポキシ樹脂もまた、例えば、(脂肪酸のような)カルボン酸によるOH基のエステル化によって化学的に修飾され得る。好ましくは焼成エナメルとして使用するために、エポキシ樹脂はまた、他の種類の樹脂、例えば、フェノール性の、メラミン、尿素及びベンゾグアナミン樹脂と組み合わされてもよい。
【0073】
好ましくは、バインダモジュールは、シリケート(A)を含み、架橋モジュールは、成分(B)を含む。異なる実施形態において、バインダモジュールは、成分(B)を含み、架橋モジュールは、シリケート(A)を含む。
【0074】
さらに別の実施形態において、バインダモジュール又は架橋モジュールの何れかが、シリケート(A)及び成分(B)の両方を含む。
【0075】
シリケート(A)は、好適には固体である。成分(B)は、概して液体であってよい。成分(B)は、加えて、適切な有機希釈剤に溶解されていてよい。
【0076】
シリケート(A)及び成分(B)は、好適には、調製物又はモジュールに、同時又は後何れかで添加されてよい。1つの好ましい実施形態において、シリケート(A)及び成分(B)は、調製物又はモジュールへの添加の前に混合される。混合方法は、最先端において知られている任意の混合機器、例えば、全ての種類の攪拌器、ミル、又は押出機によって提供されてもよい。異なる実施形態において、成分(B)は、成分(B)のシリケート(A)との混合物の前に、シリケート(A)とは異なる吸着剤と前混合されてよい。
【0077】
概して、組成物は、非水性調製物におけるレオロジー制御剤として使用されてよい。概して、非水性調製物は、本質的に水不含である。当該調製物は、非水性調製物の合計重量で算出して、好適には0.0~15.0%未満、好ましくは10.0重量%未満の水、より好ましくは0.0~7.0重量%の水を含む調製物を表す。より好ましくは、非水性調製物は、5.0重量%未満の水を含む。例えば、非水性調製物は、非水性調製物の合計重量で算出して、3.0重量%未満又は1.0重量%未満の水を含む。
【0078】
好適な非水性調製物の例は:コーティング組成物、プラスチック配合物、顔料ペースト、ポリマー配合物、封止剤配合物、化粧品配合物、ホームケア又は工業ケア配合物(香料及びフレグランス配合物を含む)、セラミック配合物、フローリング配合物、接着剤配合物、ガス及び油生産に使用される液体配合物、電気部品及び回路の製造のための組成物、エネルギー貯蔵媒体での使用のための液体配合物、洗浄剤、ポッティング化合物、建材配合物、潤滑剤、充填化合物、ワックスエマルジョン、金属加工流体、金属加工製品、噴霧剤の形態での液体組成物、いわゆる堆積助剤(例えば、植物保護剤での使用のため又はドリフト低減の多目的で)、インク、並びにこれらの混合物である。
【0079】
本発明による組成物が使用され得るさらなる調製物は、溶媒系又は溶媒不含塗料(例えば、船舶及び保護用コーティング、自動車用コーティング、一般産業用コーティング、缶及びコイルコーティング、粉体コーティング)、印刷インク及びインク並びにラッカー、例えば、プラスチックの光沢仕上げ用ラッカーとしてのラッカー、ワイヤエナメル、フロアコーティング、食品及び種子をコーティングするための、並びに、例えばフラットパネルディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイにおけるカラーフィルタに使用されるいわゆるカラーレジストとしてのコーティング組成物である。ラッカー適用分野にはまた、非常に高い固体割合及び低い液体成分割合を概して有するペースト状材料、例えば、いわゆる顔料ペースト、又は、効果顔料、例えば金属効果顔料、例えば、アルミニウム顔料、銀顔料、黄銅顔料、亜鉛顔料、銅顔料、青銅顔料、例えば、金青銅、炎染色青銅又は酸化鉄/アルミニウム顔料などをベースとするペーストも含まれる。効果顔料にはまた、例えば、干渉顔料又は真珠光沢顔料、例えば、金属酸化物マイカ顔料、フィッシュシルバー、塩化酸化ビスマス又は塩基性炭酸鉛なども含まれる。
【0080】
プラスチック調製物は、プラスチック材料を製造するための液体又は非液体出発物質であり得、化学的架橋方法(「硬化」)によってデュロマー(熱硬化性)に好ましくは変換される。
【0081】
化粧品調製物は、いわゆるパーソナルケア又は医療部門において使用される様々な調製物、例えば、ローション、クリーム、ペースト、例えば、歯磨き粉など、フォーム、例えば、シェービングフォームなど、ジェル、例えば、シェービングジェル、シャワージェルなど、又はジェル配合物、ヘアシャンプー、液体石鹸、マニキュア液、リップスティック及び毛髪染料における活性成分であり得る。いわゆるワックスエマルジョンは、好ましくは、有機媒体において室温で粒子状形態の固体ワックスの分散物である。建材配合物は、液体又はペースト状材料であってよく、建設部門において使用され、硬化後に固化する。金属加工流体は、概して、切削液、掘削流体(例えば、金属加工において使用される)、又は鋳造流体若しくは潤滑剤であってよい。可能性のある他の領域は、離型剤(例えば、アルミニウムダイキャスティング及び鋳物用途)、鋳物洗浄液(鋳物コーティング)並びに金属の面処理のための液体である。
【0082】
潤滑剤は、潤滑のために使用される、つまり、摩擦及び摩耗を低減する、並びに、出力、冷却、振動減衰、封止作用及び腐食保護を提供する役割をする手段である。洗浄剤は、例えばホームケア又は工業ケアの領域において、広範な対象を洗浄するのに使用され得る。これらは、不純物、残余及び付着物の除去を行い又は補助する。クリーナーにはまた、洗剤(主として、布、その前駆体、レザー、及び皿を洗浄するための)、及びパーソナルケア製品も含まれる。例えば香料ジェルとして香料及び他のフレグランス(液体原料として又はカプセル化形態における何れか)を含有する配合物もまた、この用途の領域に属する。
【0083】
接着剤は、加工条件下で液体であり且つ面接着及び内部強度によって部分を接合し得る全ての接着剤材料であり得る。封止剤(コーキング材を含む)は、加工条件下で液体であり、且つ、流体、ガス、又は粒子(例えば、粉塵)の通過、並びに、材料における、面、接合部又は開口を介しての音及び/又は温度の伝送を好ましくは遮断するメカニカルシールとして作用し得る全ての材料であり得る。
【0084】
ガス及び油の製造に使用される調製物は、堆積物を発生及び利用するのに使用される配合物である。掘削流体又は「掘削泥水」が好ましい例である。別の適用例は、水圧破砕法を準備又は実施するのに使用される液体である。
【0085】
本発明の非水性調製物は、慣例の添加剤をさらに含んでいてよい。添加剤の例は、遮断防止剤、安定剤、酸化防止剤、顔料、湿潤剤、分散剤、乳化剤、さらなるレオロジー添加剤、UV吸収剤、フリーラジカル捕捉剤、滑剤、消泡剤、接着促進剤、レベリング剤、ワックス、ナノ粒子、フィルム形成助剤、及び難燃剤である。好ましい添加剤は、湿潤剤、分散剤及び/又は乳化剤、並びに本発明の組成物とは異なるレオロジー添加剤である。
【0086】
非水性調製物の好ましい例は、コーティング又は塗料調製物、熱硬化性調製物、並びに、封止剤又は接着剤調製物である。
【0087】
非水性調製物は、成分(A)、(B)及びバインダの重量の総計で算出して、
0.100~17.000重量%のシリケート(A)
0.001~17.000重量%の成分(B)
66.000~99.890重量%のバインダ
を好適には含み得る。バインダは、使用される樹脂、並びに、樹脂と共有結合を形成し得る全ての成分、例えば、硬化剤及び反応性希釈剤を包含する。
【0088】
好ましくは、非水性調製物は、成分(A)、(B)及びバインダの重量の総計で算出して、
0.200~14.000重量%のシリケート(A)
0.004~10.000重量%の成分(B)
72.000~99.790重量%のバインダ
を含み得る。
【0089】
より好ましくは、非水性調製物は、成分(A)、(B)及びバインダの重量の総計で算出して、
0.300~12.000重量%のシリケート(A)
0.009~5.200重量%の成分(B)
76.000~99.690重量%のバインダ
を含み得る。
【0090】
さらなる態様において、本発明は
-面を有する三次元物品を提供すること、
-少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む調製物を上記面の少なくとも一部に適用すること、並びに、調製物を任意選択的に硬化することを含む方法に関する:
【化11】
(ここで、Rは、H、
【化12】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
ポリエチレンイミンが、エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【0091】
好ましい調製物は、上記で言及しているものである。
【0092】
好適な三次元物品は、そのサイズ及び体積並びに可動性であるか固定されているかに関係なく、全ての三次元物体である。例示的であるが限定されない例は、建築物内部及び外部、フローリング、家具、輸送に使用される車両(自動車、バイク、ボート、飛行機、農業機械、及び全ての種類の貨物車両のような)及びこれらの車両の構造部、橋及びトンネル、機械及び生産設備、電気デバイス、缶、金属コイル、ワイヤ、容器、家財及びハードウェア、パルプ及び紙、並びに、木材、金属、プラスチック又はガラスでできている全ての種類の物品(例えば、機能又は装飾用のため)である。この場合、調製物は、上記の物品に適用された後に強く又は硬くなり得る。硬くするとは、調製物を固体状態に変換することを意味する。これは、液体希釈剤の蒸発(物理的乾燥)によって又は化学的架橋反応(硬化)によって、及びこれらの組み合わせによって達成され得る。
【0093】
本発明は、少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む調製物を含む三次元物品にさらに取り組む:
【化13】
(ここで、Rは、H、
【化14】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R又はRのうちの一方がHであり、
ポリエチレンイミンが、エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
【0094】
実験部
合成例
【0095】
【表1】
【0096】
ポリエチレンイミンのMn及びMwを、上記の方法によるGPCを介して測定した。
【0097】
本発明による修飾剤の合成
IS1
ポリアミンA(水中50重量%溶液、110.3g)及びMPEG350(630g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(14.84g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0098】
IS2
ポリアミンA(水中50重量%溶液、70g)及びMPEG350(630g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(17.5g)及び酸A(17.5g)を続いて添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0099】
IS3
ポリアミンB(水中56重量%溶液、21.11g)及びMPEG350(135.0g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(3.18g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0100】
IS4
ポリアミンC(水中25重量%溶液、47.28g)及びMPEG350(135.0g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(3.18g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0101】
IS5
ポリアミンA(水中50重量%溶液、13.3g)及びMPEG350(84.0g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(2.69g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0102】
比較修飾剤の合成
NS2
ポリアミンA(水中50重量%溶液、200g)及びベンジルアルコール(300g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、トールオイル脂肪酸(100g)を添加した。混合物を均質化した。
【0103】
得られた24.8gの材料をベンジルアルコール(74.4g)で希釈し、均質化した。
【0104】
NS3
ポリアミンA(水中50重量%溶液、30g)及びMPEG350(135g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。
【0105】
NS4
ポリアミンD(10.95g)及びMPEG350(125.14g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた材料を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(14.84g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0106】
NS5
ポリアミンE(21.91g)及びMPEG350(125.14g)を合わせた。混合物を撹拌しながら105℃(378K)に加熱した。真空を適用し、全ての水を留去した。得られた混合物を55℃(328K)に冷却し、グリシジルエーテルA(2.94g)を添加した。混合物を100℃(373K)で2時間撹拌した。
【0107】
上記の全ての本発明及び比較修飾剤は、合成終了後に10重量%の修飾又は未修飾ポリアミンを含有する。
【0108】
適用例及び試験
【0109】
【表2-1】
【0110】
【表2-2】
【0111】
1.1パックシラン末端封止化合物
表3における配合物を使用した1パックシラン末端封止化合物の製造。全ての原料をPPスピードミキサーカップにおいて秤量し、スピードミキサーDAC 400.1 FVZを用いて2.500rpmで30秒間3回混合した。サンプルをスピードミキサーカップにおいて23℃(300K)で24時間貯蔵した後に試験した。レオロジー挙動を評価するために、プレート-プレート系によるレオメータAnton Paar MCR 102を使用して粘度を測定した。少量の封止化合物を、金属スパチュラを使用してレオメータプレートに置く。トリミング後、過剰の材料を、紙カードを使用することによって除去する。以下のパラメータを使用して粘度測定を開始する:プレート:PP25、ギャップ:0.5mm、剪断前の待機時間:10秒、前剪断:10データ点、0.11/sで2秒、剪断速度:0.1~100 1/s、データ点:対数傾斜において16(開始:10秒、終了:1秒)
【0112】
【表3】
【0113】
本発明修飾剤IS1、IS2及び比較NS2を、それぞれ、Aerosil 200と組み合わせて用いた。さらに、修飾剤IS1、IS2及びNS2を、シリカを添加することなく試験した。
【0114】
【表4】
【0115】
表4における結果は、親水性ヒュームドシリカ並びに修飾剤IS1及びIS2の組み合わせを使用するサンプルが、修飾剤を用いず親水性又は疎水性ヒュームドシリカを使用するサンプルと比較して、より高い粘度を有すること、並びに、親水性ヒュームドシリカ及びNS2の組み合わせを使用するサンプルより高い粘度も有することを示す。親水性ヒュームドシリカを用いず修飾剤を含むサンプルIS1のみ及びIS2のみは、非本発明サンプルNS2のみと比較してより高い粘度を有するが、親水性ヒュームドシリカと組み合わせた本発明修飾剤の組み合わせと同様に高い粘度を有する。
【0116】
2.1K短油性アルキド-系
第1工程において、リスト1の成分(表5を参照してアルキドバインダを含む)を、溶解機(Getzmann Dispermat LC 30;4cm径を有する鋸歯状板)を使用して2m/sの撹拌速度で2分間均質化した。その後、リスト2の成分を2m/sで撹拌しながら続いて添加した。
【0117】
リスト3の成分を、混合物に、12m/sで20分間撹拌及び分散しながら続いて添加した。
【0118】
リスト4の成分を、続いて、リスト1、リスト2、リスト3から得た配合物に添加し、2m/sの撹拌速度で2分間均質化した。
【0119】
【表5】
【0120】
本発明修飾剤IS1並びにIS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。比較例2.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。
【0121】
配合物を室温(23℃(300K))で24時間貯蔵する。垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。したがって、50~500μmの湿式膜厚のラインの中でも、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された異なる膜厚ライン間で膨れの構築も示さないと考えられる。
【0122】
【表6】
【0123】
上記表における結果から分かるように、短油性アルキド系の垂れ抵抗性は、有機修飾クレイのみの使用と比較して有機修飾クレイ及び修飾剤の本発明組み合わせを使用することによって有意に改良され得る。
【0124】
3.1p中油性アルキド-系
CV(VMA Getzmann GmbH)において表7における配合物を使用した中油性アルキド系の製造。その後の70gの配合物を100mlガラス瓶に充填した。次いで、10%のそれぞれの修飾剤(Garamite 1958の量で算出して)は、3cm径の鋸歯状板を使用して1500rpmにおいて2分でDispermat CV(VMA Getzmann GmbH)と合体した。この後、配合物を室温(23℃(300K))で一晩貯蔵する。垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。そのため、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された膜厚間で膨れの構築も示さないとされる。さらに、サンプルの粘度をレオメータPhysica MCR-301(Anton-Paar GmbH)において以下のパラメータによって測定した:コーン-プレート系、Cone CP-50-1、制御された剪断速度測定D=0.1~1000 1/s(23℃(300K))。0.4 1/sにおける粘度値をサンプルの低剪断粘度の特性決定のために採取した。
【0125】
【表7】
【0126】
本発明修飾剤IS1をGaramite 1958と組み合わせて用い、並びに、非本発明例NS2もまた、Garamite 1958と組み合わせて使用した。非本発明例3.2は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。サンプル3.1は、修飾剤もGaramite 1958も含有しなかった。
【0127】
【表8】
【0128】
表8から、有機修飾クレイのみを含有する非本発明例3.2が、本発明サンプル3.3よりもより低い垂れ抵抗性及びより低い粘度を示すことが明白である。IS1は、非本発明例NS2よりも良好に中油性アルキド系の垂れ防止挙動及び粘度を明らかに改良する。
【0129】
4.2pゲルコート
Dispermat CV(VMA Getzmann GmbH)において表9における配合物を使用したゲルコートの製造。その後の100gのポリエステル樹脂配合物(表9、成分A)を150mlガラス瓶に充填した。次いで、30%のそれぞれの修飾剤(Aerosil 200で算出して)は、3cm径の鋸歯状板を使用して1500rpmにおいて2分でDispermat CV(VMA Getzmann GmbH)と合体した。この後、混合物を室温(23℃(300K))で一晩貯蔵する。粘度測定の直前に、過酸化物(表9、成分B)を、スパチュラを用いて撹拌によって組み入れた。粘度特性決定では、サンプルをレオメータPhysica MCR-301(Anton-Paar GmbH)において以下のパラメータによって測定した:コーン-プレート系、Cone CP-50-1、制御された剪断速度測定D=0.1~1000 1/s(23℃(300K))。0.4 1/sにおける粘度値をサンプルの低剪断粘度の特性決定のために採取した。
【0130】
【表9】
【0131】
本発明修飾剤IS1及び非本発明NS2を、それぞれ、Aerosil 200と組み合わせて用いた。
【0132】
【表10】
【0133】
表10から、Aerosil 200のみを含有する非本発明例4.2が、本発明修飾剤IS1を用いたサンプルよりもより低い粘度を示すことが明白である。IS1は、非本発明例NS2よりも良好にゲルコートの粘度を明らかに増加させる。
【0134】
5.2-Kエポキシ-接着剤
表11における配合物を使用した2パックエポキシ接着剤の製造。成分Aの原料をPPスピードミキサーカップにおいて秤量し、スピードミキサーDAC400.1FVZ2を用いて2500rpmで30秒間2回混合した。成分Bの原料をPPスピードミキサーカップにおいて秤量し、スピードミキサーを用いて2500rpmで30秒間2回混合した。全てのサンプルを23℃(300K)で24時間貯蔵した。その後、成分Bを成分Aに添加し、試験の直前に手動で混合した。
【0135】
加えて、成分Aのサンプルを23℃(300K)で12ヶ月間保存した。新たに配合した成分Bのサンプルを、保存した成分Aに添加し、試験の直前に手動で混合した。
【0136】
レオロジー挙動を評価するために、プレート-プレート系によるレオメータAnton Paar MCR 102を使用して粘度を測定した。少量のエポキシ接着剤を、金属スパチュラを使用してレオメータプレートに置く。トリミング後、過剰の材料を、紙カードを使用することによって除去する。以下のパラメータを使用して粘度測定を開始する:プレート:PP25、ギャップ:0.5mm、剪断速度:0.1~1000 1/s、データ点:線状傾斜において21(開始10秒、終了2秒)。
【0137】
【表11】
【0138】
本発明修飾剤IS1、IS2及び非本発明NS3を、それぞれ、Aerosil 200と組み合わせて用いた。非本発明例5.2は、修飾剤を用いず、Aerosil 200のみを含有した。非本発明例5.1では、修飾剤を用いずにAerosil R202を用いた。さらに、IS1及びIS2を、シリカを添加することなく用いた(IS1のみ、IS2のみ)。実施例5.3は、修飾剤もシリカも含有しなかった。
【0139】
【表12】
【0140】
表12における結果は、本発明修飾剤IS1及びIS2と親水性のヒュームドであるものとの組み合わせを使用するサンプルが、全ての比較例よりも高い粘度を有することを示す。ヒュームドシリカを用いない本発明修飾剤IS1及びIS2の使用は、粘度に有意に影響しない。
【0141】
23℃(300K)で12ヶ月の貯蔵時間の後、親水性ヒュームドシリカを使用するサンプルが低い粘度を有する一方で、親水性ヒュームドシリカ並びに本発明修飾剤IS1及びIS2の組み合わせを使用するサンプルは、高い粘度レベルを維持する。
【0142】
6.従来の2Kエポキシ-系
エポキシ成分(成分A)の調製:リスト1の成分を混合ポットに時系列に添加し、溶解機(Getzmann Dispermat LC 30;4cm径を有する鋸歯状板)を使用して2m/sで2分間均質化した。この後、リスト2からの成分を撹拌しながら添加し、12m/sで20分間分散させた。次いで、リスト3の成分を2m/sで2分間撹拌しながら続いて添加した。
【0143】
硬化剤成分(成分B)の調製:Epikure 3155及び有機修飾剤を、加振機(Fast&Fluid、Model SK 450、周波数:50/60Hz;5分)を使用して混合した。
【0144】
【表13】
【0145】
本発明修飾剤IS1及びIS2並びに非本発明NS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例6.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。
【0146】
成分A及びBを室温(23℃(300K))で24時間別個に貯蔵した。適用の直前に、成分A及びBを、2m/sにおいて2分間、電気攪拌器(Getzmann Dispermat CV、鋸歯状板:2cm径)を使用して混合した。
【0147】
垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。したがって、50~500μmの湿式膜厚のラインの中でも、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された異なる膜厚ライン間で膨れの構築も示さないと考えられる。
【0148】
【表14】
【0149】
上記表から分かるように、有機修飾クレイのみを使用する配合物の垂れ抵抗性を、本発明修飾剤IS1及びIS2との組み合わせを使用することによって有意に増加させることができた一方で、非本発明NS2を使用したときには改良を達成することができなかった。
【0150】
7.高固形分2Kエポキシ-系
エポキシ成分(成分A)の調製:リスト1の成分を混合ポットに時系列に添加し、溶解機(Getzmann Dispermat LC 30;4cm径を有する鋸歯状板)を使用して2m/sで2分間均質化した。この後、リスト2からの成分を撹拌しながら添加し、12m/sで20分間分散させた。次いで、リスト3の成分を2m/sで2分間撹拌しながら続いて添加した。
【0151】
硬化剤成分(成分B)の調製:Epikure 3155及び有機修飾剤を、加振機(Fast&Fluid、Model SK 450、周波数:50/60Hz;5分)を使用して混合した。
【0152】
【表15】
【0153】
本発明修飾剤IS1並びに非本発明NS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例7.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。
【0154】
成分A及びBを室温(23℃(300K))で24時間別個に貯蔵した。適用の直前に、成分A及びBを、2m/sにおいて2分間、電気攪拌器(Getzmann Dispermat CV、鋸歯状板:2cm径)を使用して混合した。
【0155】
垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。したがって、50~500μmの湿式膜厚のラインの中でも、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された異なる膜厚ライン間で膨れの構築も示さないと考えられる。
【0156】
【表16】
【0157】
表16から分かるように、有機修飾クレイのみを使用する配合物の垂れ抵抗性を、本発明修飾剤IS1を使用することによって有意に増加させることができた一方で、非本発明NS2を使用したときにはほんの少しの改良しか達成できなかった。
【0158】
8.全固形分2Kエポキシ-系
エポキシ成分(成分A)の調製:リスト1の成分を混合ポットに時系列に添加し、溶解機(Getzmann Dispermat LC 30;4cm径を有する鋸歯状板)を使用して2m/sで2分間均質化した。この後、リスト2からの成分を撹拌しながら添加し、12m/sで20分間分散させた。次いで、リスト3の成分を2m/sで2分間撹拌しながら続いて添加した。
【0159】
硬化剤成分(成分B)の調製:Epikure 3155及び有機修飾剤を、加振機(Fast&Fluid、Model SK 450、周波数:50/60Hz;5分)を使用することによって混合した。
【0160】
【表17】
【0161】
本発明修飾剤IS1及びIS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例8.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。
【0162】
成分A及びBを室温(23℃(300K))で24時間別個に貯蔵した。適用の直前に、成分A及びBを、2m/sにおいて2分間、電気攪拌器(Getzmann Dispermat CV、鋸歯状板:2cm径)を使用して混合した。
【0163】
垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。したがって、50~500μmの湿式膜厚のラインの中でも、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された異なる膜厚ライン間で膨れの構築も示さないと考えられる。
【0164】
【表18】
【0165】
表18から分かるように、有機修飾クレイのみを使用する配合物の垂れ抵抗性を、本発明修飾剤IS1及びIS2をそれぞれ使用することによって有意に増加させることができた。
【0166】
9.全固形分2Kエポキシ-系
Dispermat CV(VMA Getzmann GmbH)において表19における配合物を使用した溶媒不含エポキシプライマーの製造。その後の70gの配合物を100mlガラス瓶に充填した。この後、配合物を室温(23℃(300K))で一晩貯蔵し、10%のそれぞれの修飾剤(GARAMITE-1958の量で算出して)を、スパチュラによって撹拌することにより所要量の硬化剤と一緒に配合物に組み入れた。垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μm及び550~1000μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。そのため、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された膜厚間で膨れの構築も示さないとされる。
【0167】
【表19】
【0168】
本発明修飾剤IS1、IS2、IS3、IS4及びIS5並びに非本発明NS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例9.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。非本発明サンプル9.2は、Garamite 1958も修飾剤も含有しなかった。
【0169】
【表20】
【0170】
表20から、Garamite 1958のみを含有する非本発明9.1が、本発明修飾剤IS1~IS5を含有するサンプルよりもより低い垂れ抵抗性を示すことが明白である。これらのサンプルは、NS2よりもかなり良好に溶媒不含エポキシプライマーの垂れ防止挙動を明らかに改良する。
【0171】
10.2パックPU
Dispermat CV(VMA Getzmann GmbH)を用いた、表21における配合物を使用した2パックPUの製造。その後の70gの配合物を100mlガラス瓶に充填した。配合物を室温(23℃(300K))で一晩貯蔵した後、10重量%のそれぞれの修飾剤溶液(GARAMITE-1958の量で算出して)を、スパチュラによって撹拌することにより、所要量の硬化剤と一緒に配合物に組み入れた。垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。そのため、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された膜厚間で膨れの構築も示さないとされる。
【0172】
【表21】
【0173】
【表22】
【0174】
本発明修飾剤IS1並びに非本発明NS2を、それぞれ、Garamite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例10.2は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。非本発明サンプル10.1は、Garamite 1958も修飾剤も含有しなかった。
【0175】
【表23】
【0176】
表22から、Garamite 1958のみを含有する非本発明例10.2が、修飾剤IS1を用いたサンプルよりもより低い垂れ抵抗性を示すことが明白である。IS1は、非本発明サンプルNS2よりも良好に2p-PU配合物の垂れ防止挙動を明らかに改良する。
【0177】
11.2Kポリアスパラギン酸系
成分Aの調製:リスト1の成分を混合ポットに時系列に添加し、溶解機(Getzmann Dispermat LC 30;4cm径を有する鋸歯状板)を使用して2m/sで2分間均質化した。この後、リスト2からの成分を撹拌しながら添加し、12m/sで20分間分散させた。次いで、リスト3の成分を2m/sで2分間撹拌しながら続いて添加した。そして、修飾剤(リスト4)を2m/sで2分間撹拌しながら添加した。
【0178】
【表24】
【0179】
成分Aを23℃(300K)で4週間貯蔵した。適用の直前に、成分A及びBを、2m/sにおいて2分間、電気攪拌器(Getzmann Dispermat CV、鋸歯状板:2cm径)を使用して混合した。
【0180】
垂れ抵抗性試験用に、サンプルを段付きドクターブレードモデル421/S(Erichsen GmbH & Co KG)によって50~500μmの湿式膜厚で適用した。当該適用は、コントラストカード2801(BYK-Gardner GmbH)において、自動アプリケータbyko-drive XL(BYK-Gardner GmbH)を使用して50mm/sの適用速度で行う。適用直後に、ドローダウンを乾燥するまで室温で垂直に掛ける。乾燥後、垂れ抵抗性の目視評価を行う。したがって、50~500μmの湿式膜厚のラインの中でも、湿式膜厚は、乾燥後にドローダウンの明確な分離を示し、ランナーを示さず、適用された異なる膜厚ライン間で膨れの構築も示さないと考えられる。
【0181】
本発明修飾剤IS1をGaramite 1958と組み合わせて用いた。非本発明例11.1は、修飾剤を用いず、Garamite 1958のみを含有した。
【0182】
【表25】
【0183】
上記表から分かるように、有機クレイによって得られる垂れ抵抗性を、修飾剤IS1との本発明組み合わせを使用することによって有意に改良することができた。
本開示は以下も包含する。
[態様1]
シリケート(A)、及び
下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)
を含む組成物の、レオロジー制御剤としての使用:
【化1】
(ここでR は、H、
【化2】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R 又はR のうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
[態様2]
前記シリケート(A)が、クレイ、シリカ、及びこれらの混合物から選択される、上記態様1に記載の組成物の使用。
[態様3]
及びR が、ヒドロカルビル基、エーテル基を含む有機基、及びエステル基を含む有機基から独立して選択される、上記態様1又は2に記載の組成物の使用。
[態様4]
成分(B)が、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸又はスルホン酸のうちの少なくとも1つから選択される酸との塩として存在する、上記態様1から3のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様5]
成分(B)が、100kPaにおいて少なくとも250℃の沸点を有する高沸点溶媒中の溶液として提供される、上記態様1から4のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様6]
前記溶液が、23℃及び100kPaにおいて液体である、上記態様5に記載の組成物の使用。
[態様7]
前記高沸点溶媒が、ポリエーテルを含む、上記態様5又は6に記載の組成物の使用。
[態様8]
成分Bが、ポリエチレンイミンを、少なくとも1つのエポキシド基を有する少なくとも1つの化合物と反応させることによって得られ得る、上記態様1から7のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様9]
非水性調製物中での、上記態様1から8のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様10]
前記組成物が、成分(A)の重量で算出して、0.1~100.0重量%の成分(B)を含む、上記態様1から9のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様11]
アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアスパラギン酸樹脂、及びシリル修飾ポリマーのうちの少なくとも1つを含むバインダを含む調製物における、上記態様1から10のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様12]
前記調製物が、少なくとも1つのバインダモジュール及び少なくとも1つの架橋モジュールを含む部分のキットとして提供される、上記態様1から11のいずれかに記載の組成物の使用。
[態様13]
少なくとも1つのバインダモジュール及び少なくとも1つの架橋モジュールを含む部分のキットであって、前記モジュールのうちの少なくとも1つが、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む、キット:
【化3】
(ここで、R は、H、
【化4】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R 又はR のうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。
[態様14]
前記バインダモジュールが、エポキシ樹脂を含む、上記態様13に記載の部分のキット。
[態様15]
下記の工程を含む方法:
-面を有する三次元物品を提供すること、
-少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む調製物を、前記面の少なくとも一部に適用すること:
【化5】
(ここで、R は、H、
【化6】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R 又はR のうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)、並びに
-前記調製物を任意選択的に硬化すること。
[態様16]
調製物を含む三次元物品であって、前記調製物が、少なくとも1つのバインダ、任意選択的に少なくとも1つの架橋剤、シリケート(A)、及び、下記の構造(I)を含む、エポキシド化合物との反応によって修飾されているポリエチレンイミン(B)を含む、三次元物品:
【化7】
(ここで、R は、H、
【化8】
又はポリエチレンイミンの部分であり、
は、H又は有機基であり、
は、H又は有機基であり、
但し、R 又はR のうちの一方がHであり、
前記ポリエチレンイミンが、前記エポキシド化合物との反応の前に、40000~300000g/モルの範囲内の重量平均分子量Mwを有する)。