(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付ける方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B29D 30/06 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
B29D30/06
(21)【出願番号】P 2022566100
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2021061395
(87)【国際公開番号】W WO2021219848
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102020000009493
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ポントーニ
(72)【発明者】
【氏名】アーナルド ジェンティリ
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160762(JP,A)
【文献】特開2008-006783(JP,A)
【文献】特開2007-168243(JP,A)
【文献】特開2017-209806(JP,A)
【文献】特開2008-254337(JP,A)
【文献】国際公開第2017/005377(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤ(5)の空洞(4)の内面(3)に吸音材の層(2)を張り付けるため、前記内面(3)に該吸音材の層(2)を張り付けるためのアプリケーターデバイス(9)を備えるシステム(1)であって、該アプリケーターデバイス(9)は、該空洞(4)の内部および外部に移動するために移動可能に実装され、ここで、前記吸音材の層(2)は、前記アプリケーターデバイス(9)に送給され、前記吸音材には、前記内面(3)に対する接合を施工することを意図した表面に塗布された接着層(GL)と、および前記接着層(GL)に張り付けられた取り外し可能な裏張り(8)と、が設けられ、該アプリケーターデバイス(9)は、前記裏張り(8)の取り外し後に該吸音材の層(2)を前記内面(3)に張り付けるため、また、使用にあたり該内面(3)に直接対面する位置および近接した位置に配置される、アプリケーターローラー(10)と、該吸音材の層(2)からの分離後に該裏張り(8)を巻き取るためのローラー(11)と、を備え、該システム(1)は、前記アプリケーターデバイス(9)がさらに、前記アプリケーターローラー(10)および前記巻き取りローラー(11)の速度をほぼ均一に維持することを可能にするために伝動部材(14)によって実装される同期手段(13)を備える、ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記巻き取りローラー(11)および前記アプリケーターローラー(10)の両方には、それぞれのシャフト(11
*、10
*)が設けられ、前記伝動装置(14)は、前記シャフト(11
*、10
*)を連結するベルト(14)を含む、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、前記空気入りタイヤ(5)をその中心軸(X)の周りで回転させるための作動手段(7)、特に電動ローラー(7)を備え、ここで、前記巻き取りローラー(11)および前記アプリケーターローラー(10)には、その作動手段が設けられておらず、該作動手段(7)によって伝えられる前記空気入りタイヤ(5)の回転が、該巻き取りローラー(11)および該アプリケーターローラー(10)の両方を反対方向に回転駆動させる、システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記裏張り(8)からの前記吸音材の層(2)の分離が起こる領域で、該吸音材の層2に沿って実質的に配置された該裏張り(8)を剥離するためのローラー(12)を備える、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記剥離ローラー(12)、前記巻き取りローラー(11)、および前記アプリケーターローラー(10)には、それらの間に平行なそれぞれの回転軸(X
10、X
11、X
12)が設けられる、システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記巻き取りローラー(11)および前記アプリケーターローラー(10)は、両者間で均一な寸法(直径)を有する、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記裏張り(8)を剥離するためのローラー(12)を備え、ここで、該剥離ローラー(12)は、前記巻き取りローラー(11)および/または前記アプリケーターローラー(10)の寸法よりも小さい寸法(直径)を有し、該剥離ローラー(12)の直径と該巻き取りローラー(11)および/または該アプリケーターローラー(10)の直径との間の比率は、1:5~1:2の間、好ましくは1:4または1:3に等しい、システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記巻き取りローラー(11)には、好ましくは、表面上および半径方向に形成され、前記裏張り(8)の一方の端部を収容することを意図しているスリットが設けられた、システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に従って実装されるシステムによって、空気入りタイヤ(5)の空洞(4)の内面(3)に吸音材の層(2)を張り付ける方法であって、
前記空洞(4)内にアプリケーターデバイス(9)を配置するステップと、
アプリケーターローラー(10)を、前記吸音材の層(2)の特性の関数として可変である前記内面(3)からの距離をとって配置するステップと、
前記空気入りタイヤ(5)を軸(X)の周りで回転駆動させるステップと、
前記空気入りタイヤ(5)の回転中に、巻き取りローラー(11)および前記アプリケーターローラー(10)を一定の速度で反対方向に回転させるステップであって、前記アプリケーターローラー(10)は、前記空気入りタイヤ(5)と同じ回転方向に回転駆動され、また前記吸音材の層(2)が、該アプリケーターローラー(10)と前記内面(3)との間に送給され、また該内面(3)に接合される、回転させるステップと、
前記空洞(4)から前記アプリケーターデバイス(9)を取り出すステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記巻き取りローラー(11)は、前記吸音材の層(2)から前記裏張り(8)を分離した後に該裏張り(8)を該巻き取りローラー(11)に巻き取ることができるようにするために、前記空気入りタイヤ(5)の回転方向と反対方向に回転駆動される、方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法において、前記アプリケーターローラー(10)は、前記吸音材の層2に印加される圧縮の関数として可変であり、また、接着層(GL)と該内面(3)との間の接着強度を生み出すために必要である前記内面(3)からの距離をとって配置される、方法。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の方法において、前記アプリケーターローラー(10)は、前記内面(3)からの距離であって、また、前記吸音材の層(2)が5mm~15mmの間、好ましくは8mm~13mmの間の厚さに圧縮されるように決定される距離をとって配置される、方法。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の方法において、さらに、前記裏張り(8)の先頭部分を前記吸音材の層(2)から手作業で分離し、該先頭部分を前記巻き取りローラー(11)に形成された表面スリットに挿入するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付けるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、空気入りタイヤは、2つの環状ビードを有し、環状トレッドを支持するトロイダルカーカスを備える。ケーシングとトレッドとの間には、トレッドベルトが介在し、それは多数のトレッドプライを含む。カーカスプライ内には、気密性を有し、内張り(inner lining)を構成し、空気入りタイヤ自体の空気圧を経時的に維持するために、空気入りタイヤ内に空気を保持する機能を有するインナーライナーが配置される。
【0003】
近年、空気入りタイヤの開発は、空気入りタイヤが路面を転動することによって発生するノイズを低減するための吸音材で作られた内張りを備えた空気入りタイヤに向けられてきた。
【0004】
吸音材は、すでに加硫された空気入りタイヤに、および好ましくはインナーライナーに、つまり、アスファルトと接触する空気入りタイヤのその領域に張り付け、特に、吸音材は、トレッド、および少なくとも部分的にその側壁に張り付ける。
【0005】
典型的には、吸音材を張り付ける手順は、加硫前(pre-vulcanized)の空気入りタイヤをフレーム上に位置決めするステップを備え、その後すぐに、空気入りタイヤ自体の横方向の移動を防止するように横レールによってブロックされる。
【0006】
オペレーターの命令に応答して、吸音材張付けプロセスが、吸音材アプリケーターデバイスを空気入りタイヤの内部空洞内に、内部空洞自体の表面に直接面する位置で挿入する際に開始され、次いで、空気入りタイヤは、電動ローラーを使用してフレームによって回転駆動される。
【0007】
吸音材には、空気入りタイヤの内部空洞との接合を意図する表面に塗布される接着層が設けられ、該接着層に張り付けられる取り外し可能な裏張り(ライナー)によって保護される。
【0008】
前記アプリケーターデバイスは、都合よくは、吸音材の張付け位置から該デバイスを移動させる働きをする可動アームによって実現され、この場合、吸音材は空気入りタイヤを操作する位置まで空洞内に挿入され、外部から空洞まで配置され、またその逆向きの配置もある。アプリケーターデバイスは、裏張りを取り外した後、表面に対する吸音材の張付けを施工することを目的とし、また、空気入りタイヤの表面に直接対面する位置およびその近傍に配置されるアプリケーターローラーと、該裏張りを該吸音材から分離させた後に該裏張りを巻き取るためのローラーと、を備える。
【0009】
巻き取りローラーおよびアプリケーターローラーには、裏張りおよび/または吸収材が過度の張力によって裂けること、または緩すぎてしまうのを防ぐように、適切な同期速度でそれらをそれぞれの軸の周りに回転させることを目的とした作動手段が設けられている。
【0010】
通常使用される接着層は、空気にさらされると数秒以内に重合し、吸音材を内部空洞に永久的に付着させる。したがって、吸音材の張付け中、張付け直前に、接着剤が空気にさらされた状態ができるだけ短時間になるように、吸音材から裏張りを分離させる(剥がす)必要がある。
【0011】
さらに、空洞内での張付け中に吸音材が伸長または圧縮を受けないようにすることが最も重要なことであり、この張付け中の吸音材の伸長または圧縮は、空気入りタイヤを数千キロ使用した後に吸音材自体の内部に亀裂を生じさせるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を有さず、また特に実装が容易かつ安価な、空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付ける方法を提供することである。
【0013】
それに応じて、本発明のさらなる目的は、先行技術の欠点を有さず、また特に製造が容易かつ安価な、空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付けるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付けるための方法およびシステムは、添付の特許請求の範囲内で決定されるものに従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで、いくつかの非限定的であり例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【
図1】本発明に従って実装された、空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付けるために実施されたシステムの概略側面図であり、明確にするために部品が取り除かれている。
【
図2】空気入りタイヤの内部空洞の表面に吸音材の層を張り付けるステップの終了時点における
図1のシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、参照符号の「1」は、全体として、空気入りタイヤ5の内部空洞4の表面3に吸音材の層2を張り付けるためのシステム1を示す。「空気入りタイヤ5の内部空洞4のプロファイル」という語句は、空気入りタイヤ5の表面プロファイルを指すことを理解されたい。
【0017】
吸音材は、表面3に付着される(好ましくは接着される)。
【0018】
吸音材の層2は、均一な厚さを有することが好ましい。20mm~40mmの間の厚さを有する1つの吸音材の層2が、ノイズ低減に関して満足のいく性能を得ることを可能にすることが実験的に示されており、有利には、吸音材の層2は、25mm~35mmの間、好ましくは30mmに等しい厚さを有する。
【0019】
吸音材の層2は、有利には、発泡ポリウレタン、ポリスチレン、発泡メラミン、エチレン-プロピレンジエンモノマー(EPDM)の中から選択されるオープン/クローズドセルの仕上がりを有する任意の多孔性材料から作られる。吸音材の密度は15kg/m3~120kg/m3の間である。好ましくは、吸音材の密度は、15kg/m3~80kg/m3の間であり、より詳細には、吸音材の密度は、好ましくは15kg/m3~50kg/m3の間である。
【0020】
空気入りタイヤ5は、作動手段7によって、特に電動ローラー7によって、空気入りタイヤ5を支持し、その中心X軸の周りを回転させるのに適したフレーム6上に配置される。フレーム6は、空気入りタイヤ5をほぼ一定の速度、好ましくは1~15m/分で回転させるように設計されている。好ましくは、空気入りタイヤ5は、X軸の周りの回転運動中に空気入りタイヤ5自体の横方向の移動を防止するような方法でフレーム6内に収納される。
【0021】
吸音材の層2には、表面3との接合を意図する表面に均一に塗布される接着層GLが設けられる。接着層GLに張り付けられた取り外し可能な裏張り8(ライナー)が設けられた吸音材の層2は、該吸音材の層2の巻き取りを可能にするために、システム1に送給される。
【0022】
吸音材の層2は、システム1の外部に配置された収納リール(図示せず)に巻き取られる。収納リールに巻き取られた吸音材の層2は、表面3全体の長さよりもわずかに短くカバーするように意図された長さを有する。
【0023】
図1に示すものによれば、システム1は、吸音材の層2を張り付けるためのデバイス9を備える。
【0024】
前記アプリケーターデバイス9は、都合よくは、ロボット/マニピュレーター(図示せず)によって実施され、このロボット/マニピュレーターには、空気入りタイヤの空洞4に挿入される吸音材の層2の張付け位置から、該空洞4の外部に配置される、空気入りタイヤ5の操作位置まで、該デバイスを移動させるのに資する可動アームを設ける。
【0025】
アプリケーターデバイス9は、吸音材の層2を裏張り8から分離した後に、表面3に吸音材の層2を張り付けることを意図したアプリケーターローラー10を備える。アプリケーターローラー10は、表面3に直接対面する位置および近接した位置に配置される。
【0026】
より詳細には、アプリケーターローラー10は、吸音材の層2に印加される加圧の関数として可変であり、また、接着層GLと該表面3との間の接着強度を生み出すために必要である表面3からの距離をとって配置される。さらに、アプリケーターローラー10は、吸音材の層2自身を伸張または圧縮することなく、裏張り8を回収し、また該吸音材の層2を張り付けることができるように、表面3からの距離をとって配置される。
【0027】
アプリケーターデバイス9は、裏張り8を巻き取るためのローラーであって、該裏張り8は、吸音材の層2からの分離後に巻き取られる、ローラーと、裏張り8を剥離(release)するためのローラー12と、を備える。剥離ローラー12は、巻き取りローラー11とアプリケーターローラー10との間に実質的に介在し、吸音材の層2を裏張り8から分離することを意図しており、該裏張り8はその後巻き取りローラー11上に巻かれる。剥離ローラー12は、裏張り8からの吸音材の層2の分離が起こる領域で、吸音材の層2に沿って実質的に配置される。剥離ローラー12、巻き取りローラー11、およびアプリケーターローラー10には、それらの間に互いに平行なそれぞれの回転軸X10、X11、X12が設けられている。アプリケーターローラー10および巻き取りローラー11は、使用中、両者間で反対方向に回転するように作られており、明らかに、剥離ローラー12および巻き取りローラー11は、使用中、同じ方向に回転するように作られている。
【0028】
巻き取りローラー11には、好ましくは、表面上および半径方向に形成されたスリット(図示せず)が設けられ、また、システム1が始動したときに、裏張り8がスリップし、それによって裏張り8自体の巻き取りが損なわれるのを防止するように、裏張り8の一方の端部を収容することを意図している。
【0029】
巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10は、両者間でほぼ均一な寸法(直径)を有する。
【0030】
剥離ローラー12は、巻き取りローラー11および/またはアプリケーターローラー10の寸法よりも小さい寸法(直径)を有する。特に、剥離ローラー12の直径と巻き取りローラー11および/またはアプリケーターローラー10の直径との比は、1:5~1:2の間、好ましくは1:4または1:3に等しい。
【0031】
好ましい実施形態によれば、巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10には作動手段が設けられておらず、フレーム6によって伝えられる空気入りタイヤ5の回転が、巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10も一定の同期速度で回転駆動させることを強調すべきである。
【0032】
さらなる変形例によれば、巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10には、それらをそれぞれの軸X10およびX11の周りで回転させることを意図するそれぞれの作動手段(図示せず)が設けられる。作動手段は、該ローラー10および11の回転速度を調節するような方法で、裏張り8および/または吸音材の層2が過度の張力によって裂けること、または緩すぎるのを防止するように実装される。
【0033】
最後に、アプリケーターデバイス9は、巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10の速度を同期させるための手段13を備える。同期手段13は、アプリケーターローラー10および巻き取りローラー11の周速度をほぼ均一に維持することを可能にするために実装される。
【0034】
同期手段13は、伝動(transmission)装置14、特にベルト14によって実装され、該ベルト14は、巻き取りローラー11およびアプリケーターローラー10のそれぞれのシャフト11*および10*を接続する。空気入りタイヤ5の回転中、同期手段13は、空気入りタイヤ5(およびアプリケーターローラー10)の回転方向に対して反対方向に巻き取りローラー11を回転させ、それによって裏張り8の巻き取りを可能にする。
【0035】
アプリケーターデバイス9はまた、吸音材の層2をロックするための要素15を備える。
【0036】
以下に、システム1の動作方法を説明する。この方法は、順次に、以下のステップ、すなわち、
・オペレーターまたは自動マニピュレーターをフレーム6上に空気入りタイヤ5を配置し、空気入りタイヤ5自体の横方向の移動を防止するように、サイドレールによってブロックするステップ、
・先頭部分で、裏張り8は吸音材の層2から手作業で(オペレーターによって)分離され、吸音材の層2の先頭端部をロック要素15に取り付け、裏張り8の先頭端部を巻き取りローラー11の溝孔に挿入するステップ、
・ロボット/マニピュレーターを空洞4内の張付け位置に配置するステップ、
・アプリケーターローラー10を、吸音材の層2の関数として可変であり、また、該吸音材の層2が5mm~15mmの間、好ましくは8mm~13mmの間の厚さに圧縮されるように決定される距離を表面3からとって配置するステップ、
・空気入りタイヤ5をフレーム6によって軸Xの周りに回転駆動するとともに、表面3に対する吸音材の層2の張付けを開始するステップ、
・軸Xの周りに空気入りタイヤ5が回転する間に、同期手段13によって、巻き取りローラー11を空気入りタイヤ5の回転方向と反対方向に回転させ、裏張り8を前記巻き取りローラー11上に巻き付けることを可能にするステップ、
・軸Xの周りに空気入りタイヤ5が回転する間に、アプリケーターローラー10により空気入りタイヤ5に印加される圧力によって、アプリケーターローラー10自体が空気入りタイヤ5と同じ回転方向に回転することを可能にし、吸音材の層2を、アプリケーターローラー10と表面3との間に送給し(特に、好ましい実施形態によれば、アプリケーターローラー10の下方に送給し)、また最終的に表面3に接合するステップ、
・吸音材の層2が表面3全体に張り付けられた後(
図2に示されるように)、ロボット/マニピュレーターを空洞4の外側の操作位置に配置し、また空気入りタイヤ5をフレーム6から取り外すことができるよう、フレーム6を停止するステップ、
を含む。
【0037】
アプリケーターデバイス9は、表面3に張り付けられる前に接着層GLを数センチメートルだけ露出させたままにするように実装されることを強調することが重要であり、換言すれば、裏張り8と吸音材の層2との間の分離は、吸音材の層2の表面3への接合が起こる領域のほぼ近傍で生じる。
【0038】
さらに、同期手段13の存在により、アプリケーターローラー10および巻き取りローラー11の速度がほぼ均一に維持され、また、前記巻き取りローラー11上への裏張り8の巻き取りによって表面3に張り付けられる吸音材の層2が伸張または圧縮されることを防止することができる。
【0039】
したがって、前述に説明されたシステム1の利点は明らかである。
【0040】
アプリケーターローラー10および巻き取りローラー11(それらは電動ローラー7の結果として回転駆動される)のための専用の作動手段が無いことで、システム1は経済的に有利に製造される。さらに、伝動部材14によって、特にベルト14によって実装される同期手段13の存在は、アプリケーターローラー10および巻き取りローラー11を同じ速度で回転させることによって、吸音材のストリップ2が、吸音材自体の中でひび割れを引き起こす可能性のある伸長または圧縮の発生を防止する。最終的に、吸音材のストリップ2は、表面3に張り付けられる直前に、接着層GLが空気に曝される時間をできる限り短くするように、裏張り8から分離される。