(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/20 20060101AFI20231227BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20231227BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01H13/20 A
G05G5/03 Z
G05G25/00 C
(21)【出願番号】P 2023505591
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2022010136
(87)【国際公開番号】W WO2022191217
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2021039504
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中井 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
(72)【発明者】
【氏名】冨山 達弘
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219948(JP,A)
【文献】特開2008-027843(JP,A)
【文献】特開2011-065846(JP,A)
【文献】特開2004-139948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
G06F 3/02 - 3/027
G05G 5/03
G05G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在し、前記第1の方向に直線移動可能な操作軸と、
前記操作軸に力を加える力覚発生器と、
前記操作軸の移動量を検知するセンサと、
前記操作軸の最大押し込み位置を変更する可動域調整部と、
前記可動域調整部を動作させる可動域調整用電動機と
を備え、
可動域調整部は、
前記操作軸の先端部が当接する当接部を有し、前記動作することによって、前記当接部に対する前記先端部の当接位置が、前記第1の方向で変化することにより、前記操作軸の前記最大押し込み位置を変更する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記当接部は、傾斜した当接面であり、
前記可動域調整用電動機は、前記第1の方向と直交する第2の方向を軸方向とする回転軸を有し、
前記可動域調整部は、前記第2の方向に貫通して設けられ、前記回転軸が挿通される貫通孔を有し、
前記可動域調整部は、前記回転軸の回転に伴って、前記第2の方向に直線移動することにより、前記当接面に対する前記先端部の当接位置が、前記第1の方向で変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記当接部は、階段状の当接面であり、
前記可動域調整用電動機は、前記第1の方向と直交する第2の方向を軸方向とする回転軸を有し、
前記可動域調整部は、前記第2の方向に貫通して設けられ、前記回転軸が挿通される貫通孔を有し、
前記可動域調整部は、前記回転軸の回転に伴って、前記第2の方向に直線移動することにより、前記当接面に対する前記先端部の当接位置が、前記第1の方向で変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記当接部は、螺旋状の当接面であり、
前記可動域調整部は、前記第1の方向を軸方向とする回転軸を有し、前記回転軸を回転中心として回転することにより、前記当接面に対する前記先端部の当接位置が、前記第1の方向で変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記当接部は、螺旋階段状の当接面であり、
前記可動域調整部は、前記第1の方向を軸方向とする回転軸を有し、前記回転軸を回転中心として回転することにより、前記当接面に対する前記先端部の当接位置が、前記第1の方向で変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
複数の前記操作軸を有し、
前記可動域調整部は、
前記複数の操作軸の各々の前記先端部が当接する、傾斜状または階段状の複数の前記当接部を有し、
前記可動域調整部は、前記第1の方向を軸方向とする回転軸を有し、前記回転軸を回転中心として回転することにより、前記複数の当接部の各々に対する、前記複数の操作軸の各々の前記先端部の当接位置を、前記第1の方向で変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記複数の操作軸は、前記可動域調整部の前記回転軸を中心とする同心円状に配置されており、
前記複数の当接部の各々に対する、前記複数の操作軸の各々の前記先端部の当接位置を、前記第1の方向で互いに同一となるように、前記複数
の当接部が互いに同形状を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
4つの前記操作軸と、
4つの前記当接部とを有する
ことを特徴とする請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記操作軸の先端部が、前記当接面に直接的に当接する
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記操作軸と前記可動域調整部の間において、前記第1の方向に直線移動可能に設けられたリミッターをさらに備え、
前記リミッターの先端部が、前記当接面に当接する
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記操作軸と前記可動域調整部の間において、前記第1の方向に直線移動可能に設けられ、先端部に傾斜面を有するリミッターをさらに備え、
前記可動域調整用電動機は、前記第1の方向と直交する第2の方向を軸方向とする回転軸を有し、
前記可動域調整部は、前記第2の方向に貫通して設けられ、前記回転軸が挿通される貫通孔を有し、
前記可動域調整部は、前記回転軸の回転に伴って、前記第2の方向に直線移動することにより、当該可動域調整部の前記当接部に対する前記リミッターの前記傾斜面の当接位置が、前記第1の方向で変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項12】
前記力覚発生器は、前記操作軸に操作付加を付与するパッシブ型の力覚発生器である
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項13】
前記力覚発生器は、磁気粘性流体を用いた前記パッシブ型の力覚発生器である
ことを特徴とする請求項12に記載の入力装置。
【請求項14】
前記力覚発生器は、前記操作軸を前記第1の方向に移動させることが可能なアクティブ型の力覚発生器である
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項15】
前記力覚発生器は、リニアモータである
ことを特徴とする請求項14に記載の入力装置。
【請求項16】
前記操作軸は、ラバーステムの中央に設けられているゴム製の軸部であり、
前記力覚発生器は、前記ラバーステムの前記軸部を取り囲むゴム製のスカート部である
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項17】
前記センサは、前記操作軸の位置を検知可能な位置センサであって、
前記位置センサで検知した前記操作軸の位置に応じて、前記力覚発生器を制御する
制御装置を備える
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項18】
前記制御装置は、
前記操作軸の押し込み量が第1の所定量未満の場合、前記操作軸の押し込み量の増加に従い、前記力覚発生器が前記操作軸に加える操作負荷を増加し、
前記操作軸の押し込み量が前記第1の所定量以上、かつ、第2の所定量未満の場合、前記操作軸の押し込み量の増加に従い、前記力覚発生器が前記操作軸に加える操作負荷を減少し、
前記操作軸の押し込み量が前記第2の所定量以上の場合、前記操作軸の押し込み量の増加に従い、前記力覚発生器が前記操作軸に加える操作負荷を増加し、
前記操作軸の押し込み量が第1の所定量以上、かつ、第2の所定量未満の第3の所定量以上の場合、スイッチがオンになったと判定する
ことを特徴とする請求項17に記載の入力装置。
【請求項19】
前記制御装置は、
前記操作軸の前記最大押し込み位置が変更された場合、
前記操作軸の押し込み量が前記第2の所定量未満のときの荷重特性を変更し、且つ、前記操作軸の押し込み量が前記第2の所定量以上のときの荷重特性を変更しない
ことを特徴とする請求項18に記載の入力装置。
【請求項20】
前記制御装置は、
前記操作軸の前記最大押し込み位置が変更された場合、
前記操作軸の押し込み量が前記第1の所定量未満のときの荷重特性を変更し、且つ、前記操作軸の押し込み量が前記第1の所定量以上のときの荷重特性を変更しない
ことを特徴とする請求項18に記載の入力装置。
【請求項21】
前記制御装置は、
前記可動域調整用電動機を動作させて、前記操作軸の前記最大押し込み位置を変更した後に、前記力覚発生器を動作させて、前記操作軸の前記先端部を前記当接部に当接させ、その際の前記操作軸のストローク量を前記センサによって検知することにより、前記操作軸の前記最大押し込み位置を判定する
ことを特徴とする請求項17から20のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項22】
前記制御装置は、
電源投入時に、前記力覚発生器を動作させて、前記操作軸の前記先端部を前記当接部に当接させ、その際の前記操作軸のストローク量を前記センサによって検知することにより、前記操作軸の前記最大押し込み位置の初期値を判定し、
以降、前記操作軸の前記最大押し込み位置の前記初期値と、前記可動域調整用電動機の制御量とに基づいて、前記操作軸の前記最大押し込み位置の最新値を判定する
ことを特徴とする請求項21に記載の入力装置。
【請求項23】
前記センサは、前記操作軸を押し込む荷重を検知する荷重センサである
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、押し込み操作可能な操作部材を備えた操作装置において、モータを制御することによって、押し込み操作の負荷を制御したり、押し込み位置に応じて操作者に対して触覚を呈示したりすることが可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、入力装置における操作軸の最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の入力装置は、第1の方向に延在し、第1の方向に直線移動可能な操作軸と、操作軸に力を加える力覚発生器と、操作軸の移動量を検知するセンサと、操作軸の最大押し込み位置を変更する可動域調整部と、可動域調整部を動作させる可動域調整用電動機とを備え、可動域調整部は、操作軸の先端部が当接する当接部を有し、動作することによって、当接部に対する先端部の当接位置が、第1の方向で変化することにより、操作軸の最大押し込み位置を変更する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、入力装置における操作軸の最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1実施形態に係る入力装置の動作の第1例を示す側面図
【
図3】第1実施形態に係る入力装置の動作の第2例を示す側面図
【
図4】第1実施形態に係る入力装置の変形例を示す側面図
【
図7】第2実施形態に係る入力装置の動作の第1例を示す側面図
【
図8】第2実施形態に係る入力装置の動作の第2例を示す側面図
【
図9】第2実施形態に係る入力装置の動作の第3例を示す側面図
【
図10】第2実施形態に係る入力装置が備える可動域調整部のバリエーションの第1例を示す図
【
図11】第2実施形態に係る入力装置が備える可動域調整部のバリエーションの第2例を示す図
【
図12】第2実施形態に係る入力装置が備える可動域調整部のバリエーションの第3例を示す図
【
図13】第3実施形態に係る入力装置のYZ平面による断面図
【
図14】第3実施形態に係る入力装置の動作の第1例を示す断面図
【
図15】第3実施形態に係る入力装置の動作の第2例を示す断面図
【
図16】第3実施形態に係る入力装置の第1変形例を示す図
【
図17】第3実施形態に係る入力装置の第2変形例を示す図
【
図20】第4実施形態に係る入力装置のYZ平面による断面図
【
図21】各実施形態の各入力装置に適用され得る荷重特性の第1例を示す図
【
図22】各実施形態の各入力装置に適用され得る荷重特性の第2例を示す図
【
図23】各実施形態の各入力装置に適用され得る荷重特性の第3例を示す図
【
図24】第2実施形態で説明した入力装置による最大押し込み量の検知方法の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、Z軸方向を上下方向(「第1の方向」の一例)とし、X軸方向を前後方向とし、Y軸方向を左右方向(「第2の方向」の一例)とする。但し、Z軸正方向を上方向とし、X軸正方向を前方向とし、Y軸正方向を右方向とする。
【0009】
〔第1実施形態〕
(入力装置100の概要)
図1は、第1実施形態に係る入力装置100の側面図である。
図1に示す入力装置100は、各種電子機器(例えば、ゲームコントローラ等)に用いられ、押圧操作可能である。
図1に示すように、入力装置100は、上下方向(Z軸方向)に延在する操作軸101を有する。操作軸101の上端部には、操作ノブ101Bが取り付けられている。入力装置100は、操作ノブ101Bの下方への押圧操作により、操作軸101を下方へ移動させることができる。操作軸101の下方への移動量は、センサ103によって検知され、センサ103から、制御装置10に対して出力される。
【0010】
図1に示すように、入力装置100は、操作軸101、力覚発生器102、センサ103、可動域調整部104、および可動域調整用電動機105を備える。
【0011】
操作軸101は、上下方向(Z軸方向)に延在する棒状の部材である。操作軸101は、力覚発生器102の内部を貫通して設けられている。操作軸101は、力覚発生器102の内部で上下方向(Z軸方向)に直線移動可能である。操作軸101の下端部(Z軸負側の端部)は、半球状の先端部101Aが形成されている。先端部101Aは、力覚発生器102の下面から突出している。操作軸101の上端部(Z軸正側の端部)には、操作ノブ101Bが取り付けられている。操作ノブ101Bは、力覚発生器102の上面から突出している。
【0012】
力覚発生器102は、当該力覚発生器102を上下方向(Z軸方向)に貫通する操作軸101を上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持するとともに、操作軸101に力を加える。第1実施形態では、電子制御によって操作軸101に上下方向(Z軸方向)への駆動力を加えることが可能な、アクティブ型の力覚発生器102を用いている。アクティブ型の力覚発生器102としては、例えば、リニアモータ等を用いることができる。但し、これに限らず、電子制御によって操作軸101に操作負荷を加えることが可能な、パッシブ型の力覚発生器102を用いてもよい。パッシブ型の力覚発生器102としては、例えば、磁気粘性流体を用いたボイスコイルモータ等を用いることができる。
【0013】
センサ103は、操作軸101の下方への移動量を検知する。センサ103は、検知された操作軸101の下方への移動量を示す検知信号を、制御装置10へ出力する。センサ103としては、例えば、位置センサを用いることができる。
【0014】
可動域調整部104は、ブロック状(概ね直方体形状)を有する部材である。可動域調整部104の上面は、操作軸101の先端部101Aが当接する当接面104Aとなっている。
図1に示すように、当接面104Aは、左側の端部が最も高さ位置が低く、右側に向かうにつれて徐々に高さ位置が高くなるように傾斜した傾斜面となっている。また、可動域調整部104は、当該可動域調整部104を左右方向に貫通する貫通孔104Bが形成されている。
【0015】
可動域調整用電動機105は、可動域調整部104を左右方向(Y軸方向)に移動させることが可能な装置である。可動域調整用電動機105は、左右方向(Y軸方向)に延在する棒状の回転軸105Aと、回転軸105Aを回転させることが可能な回転駆動体105Bとを有する。回転駆動体105Bには、例えば、ステッピングモータが用いられる。回転軸105Aは、可動域調整部104の貫通孔104Bを挿通して配置される。回転軸105Aと貫通孔104Bとは、いわゆる「送りねじ機構」を構成する。回転軸105Aの外周面には、ネジ山が形成されている。一方、貫通孔104Bの内周面には、ネジ山が形成されているか、もしくは、ボールねじが設けられている。これにより、可動域調整用電動機105は、回転駆動体105Bの駆動によって、回転軸105Aを回転させることで、可動域調整部104を左右方向(Y軸方向)に移動させることができるようになっている。
【0016】
(入力装置100の動作の一例)
図2は、第1実施形態に係る入力装置100の動作の第1例を示す側面図である。
図3は、第1実施形態に係る入力装置100の動作の第2例を示す側面図である。
【0017】
第1実施形態に係る入力装置100は、操作ノブ101Bの押圧操作がなされると、操作軸101が下方へ移動する。この際、操作軸101の移動量は、センサ103によって検知される。また、この際、入力装置100は、力覚発生器102によって、操作軸101に対して上下方向(Z軸方向)への駆動力を加えることが可能となっている。そして、入力装置100は、操作軸101の先端部101Aが可動域調整部104の当接面104Aに当接することで、操作軸101の下方への移動量が制限されるようになっている。
【0018】
第1実施形態に係る入力装置100は、可動域調整部104を左右方向(Y軸方向)に移動させることによって、操作軸101の最大押し込み位置を変更することができるようになっている。
【0019】
図2に示す例では、操作軸101の先端部101Aの直下には、可動域調整部104の当接面104Aの当接位置P1が位置している。当接位置P1は、当接面104Aの左端部の近傍位置である。これにより、
図2に示す例では、操作軸101の先端部101Aが当接位置P1に当接するまで、操作軸101の押し込みが可能となっており、操作軸101の最大押し込み量は、D1となっている。
【0020】
図3に示す例では、
図2に示す例よりも、回転駆動体105Bの駆動によって、回転軸105Aが回転したことにより、可動域調整部104が左方(Y軸負方向)へ移動している。これにより、
図3に示す例では、操作軸101の先端部101Aの直下には、可動域調整部104の当接面104Aの当接位置P2が位置している。当接位置P2は、当接面104Aの中央部の近傍位置であり、当接位置P1よりも、高さ位置が高くなっている。これにより、
図3に示す例では、操作軸101の先端部101Aが当接位置P2に当接するまで、操作軸101の押し込みが可能となっており、操作軸101の最大押し込み量は、D2となっており、
図2に示す最大押し込み量D1よりも小さくなっている。
【0021】
以上説明したように、第1実施形態に係る入力装置100は、可動域調整用電動機105が備える回転軸105Aの回転を制御して、可動域調整部104の左右方向(Y軸方向)の位置を任意に変更することで、操作軸101の最大押し込み量を任意に変更することができる。したがって、第1実施形態に係る入力装置100によれば、操作軸101の最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができる。
【0022】
特に、第1実施形態に係る入力装置100は、当接面104Aが傾斜面となっているため、操作軸101の先端部101Aが当接面104Aに当接する高さ位置を無段階に変更することができ、よって、操作軸101の最大押し込み量を無段階に変更することができる。
【0023】
また、第1実施形態に係る入力装置100は、可動域調整部104の移動に「送りねじ機構」を用いたため、可動域調整用電動機105をオフにした状態であっても、可動域調整部104の位置を固定することができる。
【0024】
(入力装置100の変形例)
図4は、第1実施形態に係る入力装置100の変形例を示す図である。
図4に示す入力装置100-2は、可動域調整部104の代わりに可動域調整部104-2を備える点で、入力装置100と異なる。可動域調整部104-2は、可動域調整部104と同様に、回転軸105Aの回転に伴って、左右方向(Y軸方向)に直線移動可能である。
【0025】
可動域調整部104-2の当接面104Aは、左側の端部が最も高さ位置が低く、右側に向かうにつれて段階的に高さ位置が高くなるように、階段状を有する。
図4に示す例では、当接面104Aは、一例として、3段の階段状を有する。
【0026】
このように、入力装置100-2は、当接面104Aが階段状を有するため、操作軸101の先端部101Aが当接面104Aに当接する高さ位置を段階的(
図4に示す例では、3段のいずれか)に変更することができ、よって、操作軸101の最大押し込み量を段階的に変更することができる。
【0027】
また、入力装置100-2は、当接面104Aの各段が操作軸101の軸方向と直交する水平面であるため、可動域調整部104-2が不要に微動した場合であっても、操作軸101の先端部101Aが当接する高さ位置の不要な変動を抑制することができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
(入力装置200の概要)
図5は、第2実施形態に係る入力装置200の側面図である。
図6は、第2実施形態に係る入力装置200の外観斜視図である。
図5および
図6に示す入力装置200は、各種電子機器(例えば、ゲームコントローラ等)に用いられ、押圧操作可能である。
図5および
図6に示すように、入力装置200は、上下方向(Z軸方向)に延在する操作軸201を有する。操作軸201の上端部には、操作ノブ201Bが取り付けられている。入力装置200は、操作ノブ201Bの下方への押圧操作により、操作軸201を下方へ移動させることができる。操作軸201の下方への移動量は、センサ203によって検知され、センサ203から、制御装置10に対して出力される。
【0029】
図5および
図6に示すように、入力装置200は、操作軸201、力覚発生器202、センサ203、可動域調整部204、および可動域調整用電動機205を備える。
【0030】
操作軸201は、上下方向(Z軸方向)に延在する棒状の部材である。操作軸201は、力覚発生器202の内部を貫通して設けられている。操作軸201は、力覚発生器202の内部で上下方向(Z軸方向)に直線移動可能である。操作軸201の下端部(Z軸負側の端部)は、半球状の先端部201Aが形成されている。先端部201Aは、力覚発生器202の下面から下方へ突出している。操作軸201の上端部(Z軸正側の端部)は、力覚発生器202の上面から上方へ突出している。操作軸201の上端部(Z軸正側の端部)には、操作ノブ201Bが取り付けられている。
【0031】
力覚発生器202は、当該力覚発生器202を上下方向(Z軸方向)に貫通する操作軸201を上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持するとともに、操作軸201に力を加える。第1実施形態では、電子制御によって操作軸201に上下方向(Z軸方向)への駆動力を加えることが可能な、アクティブ型の力覚発生器202を用いている。アクティブ型の力覚発生器202としては、例えば、リニアモータ等を用いることができる。但し、これに限らず、電子制御によって操作軸201に操作負荷を加えることが可能な、パッシブ型の力覚発生器202を用いてもよい。パッシブ型の力覚発生器202としては、例えば、磁気粘性流体を用いたボイスコイルモータ等を用いることができる。
【0032】
センサ203は、操作軸201の下方への移動量を検知する。センサ203は、検知された操作軸201の下方への移動量を示す検知信号を、制御装置10へ出力する。センサ203としては、例えば、位置センサを用いることができる。
【0033】
可動域調整部204は、円盤状を有する部材である。可動域調整部204の上面は、操作軸201の先端部201Aが当接する当接面204Aとなっている。
図5および
図6に示すように、当接面204Aは、最も低い高さ位置を基準として、円周方向に反時計回りに向かうにつれて段階的に高さ位置が高くなるように、螺旋階段状を有する。また、可動域調整部204の中心には、上下方向(Z軸方向)に延在する棒状の回転軸204Bが設けられている。これにより、可動域調整部204は、回転軸204Bを回転中心として回転可能となっている。なお、回転軸204Bは、操作軸201よりも、右方向(Y軸正方向)にオフセットして設けられている。これにより、第2実施形態に係る入力装置200は、当接面204Aに対して、操作軸201の先端部201Aを当接させることができるようになっている。
【0034】
可動域調整用電動機205は、可動域調整部204を回転させることが可能な装置である。可動域調整用電動機205は、上下方向(Z軸方向)に延在する棒状の回転軸205Aと、回転軸205Aを回転させることが可能な回転駆動体205Bとを有する。回転駆動体205Bには、例えば、ステッピングモータが用いられる。回転軸205Aは、可動域調整部204の回転軸204Bと同軸上、且つ、回転軸204Bの下側に設けられている。回転軸205Aは、回転軸204Bに連結されている。これにより、可動域調整用電動機205は、回転駆動体205Bの駆動によって、回転軸205Aを回転させることで、可動域調整部204を回転させることができるようになっている。
【0035】
(入力装置200の動作の一例)
図7は、第2実施形態に係る入力装置200の動作の第1例を示す側面図である。
図8は、第2実施形態に係る入力装置200の動作の第2例を示す側面図である。
図9は、第2実施形態に係る入力装置200の動作の第3例を示す側面図である。
【0036】
第2実施形態に係る入力装置200は、操作ノブ201Bの押圧操作がなされると、操作軸201が下方へ移動する。この際、操作軸201の移動量は、センサ203によって検知される。また、この際、入力装置200は、力覚発生器202によって、操作軸201に対して上下方向(Z軸方向)への駆動力を加えることが可能となっている。そして、入力装置200は、操作軸201の先端部201Aが可動域調整部204の当接面204Aに当接することで、操作軸201の下方への移動量が制限されるようになっている。
【0037】
第2実施形態に係る入力装置200は、可動域調整部204を回転移動させることによって、操作軸201の最大押し込み位置を変更することができるようになっている。
【0038】
図7に示す例では、操作軸201の先端部201Aの直下には、可動域調整部204の当接面204Aの最も高さ位置が低い段P21が位置している。これにより、
図7に示す例では、操作軸201の先端部201Aが当接面204Aの段P21に当接するまで、操作軸201の押し込みが可能となっており、操作軸201の最大押し込み量は、D21となっている。
【0039】
図8に示す例では、
図7に示す例よりも、回転駆動体205Bの駆動によって、回転軸205Aが時計回りに回転したことにより、可動域調整部204が時計回りに回転している。これにより、
図8に示す例では、操作軸201の先端部201Aの直下には、可動域調整部204の当接面204Aの段P22が位置している。段P22は、
図7に示す段P21よりも、高さ位置が高くなっている。これにより、
図8に示す例では、操作軸201の先端部201Aが段P22に当接するまで、操作軸201の押し込みが可能となっており、操作軸201の最大押し込み量は、D22となっており、
図7に示す最大押し込み量D21よりも小さくなっている。
【0040】
図9に示す例では、
図8に示す例よりも、回転駆動体205Bの駆動によって、回転軸205Aが時計回りに回転したことにより、可動域調整部204が時計回りに回転している。これにより、
図9に示す例では、操作軸201の先端部201Aの直下には、可動域調整部204の当接面204Aの最も高さ位置が高い段P23が位置している。これにより、
図9に示す例では、操作軸201の先端部201Aが段P23に当接するまで、操作軸201の押し込みが可能となっており、操作軸201の最大押し込み量は、D23となっており、
図8に示す最大押し込み量D22よりも小さくなっている。
【0041】
以上説明したように、第2実施形態に係る入力装置200は、可動域調整用電動機205が備える回転軸205Aの回転を制御して、可動域調整部204の回転角度を任意に変更することで、操作軸201の最大押し込み量を任意に変更することができる。したがって、第2実施形態に係る入力装置200によれば、操作軸201の最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができる。
【0042】
特に、第2実施形態に係る入力装置200は、当接面204Aが螺旋階段状を有するため、操作軸201の先端部201Aが当接面204Aに当接する高さ位置を段階的に変更することができ、よって、操作軸201の最大押し込み量を段階的に変更することができる。
【0043】
また、第2実施形態に係る入力装置200は、当接面204Aの各段が操作軸201の軸方向と直交する水平面であるため、可動域調整部204が不要に微動した場合であっても、操作軸201の先端部201Aが当接する高さ位置の不要な変動を抑制することができる。
【0044】
(可動域調整部204のバリエーションの一例)
図10は、第2実施形態に係る入力装置200が備える可動域調整部204のバリエーションの第1例を示す図である。
図10に示す可動域調整部204-1は、当接面204Aが螺旋階段状を有する。これにより、可動域調整部204-1は、当該可動域調整部204-1が回転移動することで、操作軸201の先端部201Aが当接面204Aに当接する高さ位置を段階的に変更することができ、よって、操作軸201の最大押し込み量を段階的に変更することができる。特に、
図10に示す可動域調整部204-1は、当接面204Aにおける複数の段が、36°毎に形成されており、隣接する2つの段の高低差は、0.5mmとなっている。これにより、可動域調整部204-1は、当該可動域調整部204-1を36°単位で回転移動させることで、操作軸201の最大押し込み量を、0.5mm単位で段階的に変更することができる。
【0045】
図11は、第2実施形態に係る入力装置200が備える可動域調整部204のバリエーションの第2例を示す図である。
図11に示す可動域調整部204-2は、当接面204Aが螺旋階段状を有する。これにより、可動域調整部204-2は、当該可動域調整部204-2が回転移動することで、操作軸201の先端部201Aが当接面204Aに当接する高さ位置を段階的に変更することができ、よって、操作軸201の最大押し込み量を段階的に変更することができる。特に、
図11に示す可動域調整部204-2は、当接面204Aにおける複数の段が、36°毎に形成されており、隣接する2つの段の高低差は、0.2mmとなっている。これにより、可動域調整部204-2は、当該可動域調整部204-2を36°単位で回転移動させることで、操作軸201の最大押し込み量を、0.2mm単位で段階的に変更することができる。
【0046】
図12は、第2実施形態に係る入力装置200が備える可動域調整部204のバリエーションの第3例を示す図である。
図12に示す可動域調整部204-3は、当接面204Aが螺旋状を有する。これにより、可動域調整部204-3は、当該可動域調整部204-3が回転移動することで、操作軸201の先端部201Aが当接面204Aに当接する高さ位置を無段階に変更することができ、よって、操作軸201の最大押し込み量を無段階に変更することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
(入力装置300の構成)
図13は、第3実施形態に係る入力装置300のYZ平面による断面図である。
図13に示す入力装置300は、各種電子機器(例えば、ゲームコントローラ等)に用いられ、押圧操作可能である。
図13に示すように、入力装置300は、ラバーステム301を備えており、当該ラバーステム301は、上下方向(Z軸方向)に延在する軸部301Aを有する。軸部301Aの上端部には、操作ノブ308が当接している。入力装置300は、操作ノブ308の下方への押圧操作により、軸部301Aを下方へ移動させることができる。軸部301Aの下方への移動量は、センサ303によって検知され、センサ303から、制御装置10に対して出力される。
【0048】
図13に示すように、入力装置300は、ラバーステム301、センサ303、可動域調整部304、可動域調整用電動機305、ケース306、リミッター307、および操作ノブ308を備える。
【0049】
操作ノブ308は、下部が開口した円筒状の部材である。操作ノブ308は、ケース306の上部開口306Aから上方に突出して設けられている。操作ノブ308は、ケース306によって上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持されている。
【0050】
ラバーステム301は、操作ノブ308の下側に設けられている、ゴム製の部材である。ラバーステム301は、軸部301Aおよびスカート部301Bを有する。軸部301Aは、ラバーステム301の中心に設けられている、上下方向(Z軸方向)に延在する円柱状の部材である。軸部301Aは、スカート部301Bによって、上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持されている。軸部301Aの上面は、操作ノブ308の筒内の天井面に当接している。スカート部301Bは、「力覚発生器」として機能する。スカート部301Bは、軸部301Aを取り囲むスカート状の部分である。スカート部301Bは、弾性変形することにより、操作ノブ308による押圧操作に対して操作負荷を付与する。また、スカート部301Bは、軸部301Aに対して一定量以上の操作力が加わったときに、反転動作することにより、押圧操作に対してクリック操作感を付与する。
【0051】
センサ303は、軸部301Aの下方への移動量を検知する。センサ303は、検知された軸部301Aの下方への移動量を示す検知信号を、制御装置10へ出力する。センサ303としては、例えば、荷重センサを用いることができる。
【0052】
リミッター307は、ラバーステム301の軸部301Aの下側に設けられている、円柱状の部材である。リミッター307は、ケース306によって上下方向に直線移動可能に支持されている。リミッター307の下端部(Z軸負側の端部)は、半球状の先端部307Aが形成されている。
【0053】
可動域調整部304は、ブロック状を有する部材である。可動域調整部304の上面は、リミッター307の先端部307Aが当接する当接面304Aとなっている。
図13に示すように、当接面304Aは、左側(Y軸負側)の端部が最も高さ位置が低く、右側(Y軸正側)に向かうにつれて徐々に高さ位置が高くなるように傾斜した傾斜面となっている。また、可動域調整部304は、当該可動域調整部304を左右方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔304Bが形成されている。
【0054】
可動域調整用電動機305は、可動域調整部304を左右方向(Y軸方向)に移動させることが可能な装置である。可動域調整用電動機305は、左右方向(Y軸方向)に延在する棒状の回転軸305Aと、回転軸305Aを回転させることが可能な回転駆動体305Bとを有する。回転駆動体305Bには、例えば、ステッピングモータが用いられる。回転軸305Aは、可動域調整部304の貫通孔304Bを挿通して配置される。回転軸305Aと貫通孔304Bとは、いわゆる「送りねじ機構」を構成する。回転軸305Aの外周面には、ネジ山が形成されている。一方、貫通孔304Bの内周面には、ネジ山が形成されているか、もしくは、ボールねじが設けられている。これにより、可動域調整用電動機305は、回転駆動体305Bの駆動によって、回転軸305Aを回転させることで、可動域調整部304を左右方向(Y軸方向)に移動させることができるようになっている。
【0055】
(入力装置300の動作の一例)
図14は、第3実施形態に係る入力装置300の動作の第1例を示す断面図である。
図15は、第3実施形態に係る入力装置300の動作の第2例を示す断面図である。
【0056】
第3実施形態に係る入力装置300は、可動域調整部304を左右方向(Y軸方向)に移動させることによって、ラバーステム301の軸部301Aの最大押し込み位置を変更することができるようになっている。
【0057】
第3実施形態に係る入力装置300は、ラバーステム301の軸部301Aの押圧操作がなされると、軸部301Aが下方へ移動してリミッター307を押し下げる。そして、入力装置300は、リミッター307の先端部307Aが可動域調整部304の当接面304Aに当接することで、軸部301Aの下方への移動量が制限されるようになっている。なお、第3実施形態に係る入力装置300は、ケース306の底部に設けられたセンサ303が押圧されることによって、軸部301Aの押し込み量を検知できるようになっている。
【0058】
図14に示す例では、リミッター307の先端部307Aの直下には、可動域調整部304の当接面304Aの当接位置P31が位置している。当接位置P31は、当接面304Aの左端位置であり、高さ位置が最も低い位置である。これにより、
図14に示す例では、リミッター307の先端部307Aが当接位置P31に当接するまで、軸部301Aの押し込みが可能となっており、軸部301Aの最大押し込み量は、最大量であるD31となっている。
【0059】
図15に示す例では、
図14に示す例よりも、回転駆動体305Bの駆動によって、回転軸305Aが回転したことにより、可動域調整部304が左方(Y軸負方向)へ移動している。これにより、
図15に示す例では、リミッター307の先端部307Aの直下には、可動域調整部304の当接面304Aの当接位置P32が位置している。当接位置P32は、当接面304Aの右端位置であり、高さ位置が最も高い位置である。これにより、
図15に示す例では、リミッター307の先端部307Aが当接位置P32に当接するまで、軸部301Aの押し込みが可能となっており、軸部301Aの最大押し込み量は、最小量であるD32となっている。
【0060】
以上説明したように、第3実施形態に係る入力装置300は、可動域調整用電動機305が備える回転軸305Aの回転を制御して、可動域調整部304の左右方向(Y軸方向)の位置を任意に変更することで、軸部301Aの最大押し込み量を任意に変更することができる。したがって、第3実施形態に係る入力装置300によれば、軸部301Aの最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができる。
【0061】
特に、第3実施形態に係る入力装置300は、当接面304Aが傾斜面となっているため、リミッター307の先端部307Aが当接面304Aに当接する高さ位置を無段階に変更することができ、よって、軸部301Aの最大押し込み量を無段階に変更することができる。
【0062】
また、第3実施形態に係る入力装置300は、可動域調整部304の移動に「送りねじ機構」を用いたため、可動域調整用電動機305をオフにした状態であっても、可動域調整部304の位置を固定することができる。
【0063】
(入力装置300の変形例)
図16は、第3実施形態に係る入力装置300の第1変形例を示す図である。
図16に示す入力装置300-2は、可動域調整部304の代わりに可動域調整部304-2を備える点で、入力装置300と異なる。可動域調整部304-2は、可動域調整部304と同様に、回転軸305Aの回転に伴って、左右方向(Y軸方向)に直線移動可能である。
【0064】
可動域調整部304-2の当接面304Aは、左側の端部が最も高さ位置が低く、右側に向かうにつれて段階的に高さ位置が高くなるように、階段状を有する。
図16に示す例では、当接面304Aは、一例として、3段の階段状を有する。
【0065】
このように、入力装置300-2は、当接面304Aが階段状を有するため、リミッター307の先端部307Aが当接面304Aに当接する高さ位置を段階的(
図16に示す例では、3段のいずれか)に変更することができ、よって、軸部301Aの最大押し込み量を段階的に変更することができる。
【0066】
また、入力装置300-2は、当接面304Aの各段が軸部301Aの軸方向と直交する水平面であるため、可動域調整部304-2が不要に微動した場合であっても、リミッター307の先端部307Aが当接する高さ位置の不要な変動を抑制することができる。
【0067】
図17は、第3実施形態に係る入力装置300の第2変形例を示す図である。
図16に示す入力装置300-3は、可動域調整部304の代わりに可動域調整部304-3を備える点、および、リミッター307の代わりにリミッター307-2を備える点で、入力装置300と異なる。
【0068】
可動域調整部304-3は、可動域調整部304と同様に、回転軸305Aが回転伴って、左右方向(Y軸方向)に直線移動可能である。但し、可動域調整部304-3は、上面が水平な平面状である。
【0069】
リミッター307-2は、その先端部307Aに傾斜面307Bが形成されている。傾斜面307Bは、左側の端部が最も高さ位置が低く、右側に向かうにつれて徐々に高さ位置が高くなるように傾斜している。
【0070】
このように構成された入力装置300-3は、リミッター307-2の先端部307Aの傾斜面307Bが、可動域調整部304の左角部である当接部304Cに当接することで、軸部301Aの下方への移動量が制限されるようになっている。よって、入力装置300-3は、可動域調整部304の左右方向(Y軸方向)の位置を変更することで、可動域調整部304の当接部304Cに対して、リミッター307-2の傾斜面307Bが当接する高さ位置を無段階に変更することができ、よって、軸部301Aの最大押し込み量を無段階に変更することができる。
【0071】
〔第4実施形態〕
(入力装置400の構成)
図18は、第4実施形態に係る入力装置400の外観斜視図である。
図19は、第4実施形態に係る入力装置400の分解斜視図である。
図20は、第4実施形態に係る入力装置400のYZ平面による断面図である。
【0072】
図18~
図20に示す入力装置400は、各種電子機器(例えば、ゲームコントローラ等)に用いられる。
図18~
図20に示すように、入力装置400は、十字状に配置された4つのプッシュボタン410(410-1,410-2,410-3,410-4)を備える。また、入力装置400は、基板450、可動域調整部420、可動域調整用電動機430、およびフレーム440を備える。
【0073】
4つのプッシュボタン410の各々は、押圧操作可能である。プッシュボタン410-1は、前側(X軸正側)に配置されている。プッシュボタン410-2は、後側(X軸負側)に配置されている。プッシュボタン410-3は、右側(Y軸正側)に配置されている。プッシュボタン410-4は、左側(Y軸負側)に配置されている。
【0074】
図19および
図20に示すように、4つのプッシュボタン410の各々は、ラバーステム401、センサ403、ケース406、リミッター407、および操作ノブ408を備える。
【0075】
ケース406は、四角形状の上部開口406Aを有する、容器状の部材である。ケース406は、平板状のフレーム440の上面における所定の位置に固定される。
【0076】
操作ノブ408は、押圧操作がなされる、下部が開口した四角筒状の部材である。操作ノブ408は、ケース406の上部開口406Aから上方に突出して設けられている。操作ノブ408は、ケース406によって上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持されている。
【0077】
ラバーステム401は、ケース406の内部、且つ、操作ノブ408の下側に設けられている。ラバーステム401は、ゴム製の部材である。ラバーステム401は、軸部401Aおよびスカート部401Bを有する。軸部401Aは、ラバーステム401の中心に設けられている、上下方向(Z軸方向)に延在する円柱状の部材である。軸部401Aは、スカート部401Bによって、上下方向(Z軸方向)に直線移動可能に支持されている。軸部401Aの上面は、操作ノブ408の筒内の天井面に当接している。スカート部401Bは、「力覚発生器」として機能する。スカート部401Bは、軸部401Aを取り囲むスカート状の部分である。スカート部401Bは、弾性変形することにより、操作ノブ408による押圧操作に対して操作負荷を付与する。また、スカート部401Bは、軸部401Aに対して一定量以上の操作力が加わったときに、反転動作することにより、押圧操作に対してクリック操作感を付与する。
【0078】
リミッター407は、ケース406の底部の貫通穴406B内、且つ、ラバーステム401の軸部401Aの下側に設けられている、円柱状の部材である。リミッター407は、は、ケース406の貫通穴406Bによって上下方向に直線移動可能に支持されている。リミッター407の下端部(Z軸負側の端部)は、ケース406の下面から下方に突出しており、半球状の先端部407Aが形成されている。
【0079】
センサ403は、基板450上において、可動域調整部420を間に挟んで、リミッター407の下側に設けられている。センサ403は、リミッター407の先端部407Aから、可動域調整部420を介して押圧されることにより、操作ノブ408およびラバーステム401の軸部401Aの下方への移動量を検知する。センサ403は、検知された移動量を示す検知信号を、制御装置10へ出力する。センサ403としては、例えば、荷重センサを用いることができる。
【0080】
フレーム440は、平面視において四角形状を有する、平板状の部材である。フレーム440の上面には、4つのプッシュボタン410の各々のケース406が設置される。フレーム440は、4つのケース406の配置位置の各々に、円形状の開口部441を有する。開口部441は、ケース406の底部が嵌め込まれることによってケース406を位置合わせすることができる。また、開口部441は、リミッター407の先端部407Aを挿通させることで、先端部407Aをフレーム440の下側に突出させることができる。
【0081】
基板450は、平面視において四角形状を有する、平板状の部材である。基板450は、可動域調整部420を間に挟んで、フレーム440の下側に設けられている。基板450の上面には、4つのプッシュボタン410の各々のセンサ403が設置される。
【0082】
可動域調整部420は、フレーム440の下側に設けられている、円盤状の部材である。可動域調整部420の上面且つ同一円周上には、4つのリミッター407の各々の下側の位置に、4つの当接部421の各々が設けられている。4つの当接部421の各々は、リミッター407の先端部407Aが当接する。4つの当接部421の各々は、最も低い高さ位置を基準として、円周方向に時計回りに向かうにつれて段階的に高さ位置が高くなるように、階段状を有する。また、可動域調整部420の中心には、上下方向(Z軸方向)に延在する棒状の回転軸422が設けられている。これにより、可動域調整部420は、回転軸422を回転中心として回転可能となっており、回転することで、4つの当接部421の各々に対する、4つのリミッター407の各々の先端部407Aの当接位置を、上下方向(Z軸方向)で変化させることができるようになっている。
【0083】
特に、4つの当接部421は、4つのリミッター407の当接する高さ位置が、互いに同一となるように、互いに同形状を有する。これにより、第4実施形態に係る入力装置400は、4つのプッシュボタン410の最大押し込み位置を互いに等しくすることができ、且つ、4つのプッシュボタン410の最大押し込み位置を一括して変更することができる。尚、4つのリミッター407の当接する高さ位置を変えて、4つのプッシュボタン410の最大押し込み位置を異ならせることもできる。また、2つずつのリミッター407の当接する高さ位置を同一にして、2個ずつのプッシュボタン410の最大押し込み位置を等しくすることもできる。また、可動域調整部420の段差やスロープ形状は、
図19で図示した形状に限らない。
【0084】
可動域調整用電動機430は、可動域調整部420を回転させることが可能な装置である。可動域調整用電動機430は、ギヤ群431と、ギヤ群431を回転させることが可能な回転駆動体432とを有する。回転駆動体432には、例えば、ステッピングモータが用いられる。ギヤ群431は、回転駆動体432の回転軸と、回転軸422とを連結する。これにより、可動域調整用電動機430は、回転駆動体432の駆動によって、ギヤ群431を回転させることで、可動域調整部420を回転させることができるようになっている。
【0085】
第4実施形態に係る入力装置400は、ラバーステム401の軸部401Aの押圧操作がなされると、軸部401Aが下方へ移動してリミッター407を押し下げる。そして、入力装置400は、リミッター407の先端部407Aが可動域調整部420の当接部421に当接することで、軸部401Aの下方への移動量が制限されるようになっている。なお、第4実施形態に係る入力装置400は、基板450の上面に設けられたセンサ403が押圧されることによって、軸部401Aの押し込み荷重が検知できるようになっている。
【0086】
また、第4実施形態に係る入力装置400は、可動域調整部420を回転させることによって、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み位置を、一括して変更することができるようになっている。
【0087】
図20に示す例では、リミッター407の先端部407Aの直下には、当接部421が位置していない。これにより、
図20に示す例では、4つのリミッター407の各々の先端部407Aが可動域調整部420の上面に当接するまで、4つの軸部401Aの各々が押し込みが可能となっており、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み量は、D41となっている。
【0088】
第4実施形態に係る入力装置400は、
図20に示す状態から、回転駆動体432の駆動によって、回転軸422を反時計回りに回転させることにより、可動域調整部420を反時計回りに回転させることができる。
【0089】
これにより、第4実施形態に係る入力装置400は、4つのリミッター407の各々の先端部407Aの直下に、当接部421の任意の段(1段目または2段目)を位置させることができる。当接部421の1段目は、可動域調整部420の上面よりも高さ位置が高くなっている。当接部421の2段目は、当接部421の1段目よりも高さ位置が高くなっている。
【0090】
例えば、4つのリミッター407の各々の先端部407Aの直下に、当接部421の1段目を位置させることで、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み量を、D41よりも小さくすることができる。また、例えば、4つのリミッター407の各々の先端部407Aの直下に、当接部421の2段目を位置させることで、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み量を、さらに小さくすることができる。
【0091】
以上説明したように、第4実施形態に係る入力装置400は、可動域調整用電動機430が備える回転軸の回転を制御して、可動域調整部420の回転角度を任意に変更することで、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み量を、一括して任意に変更することができる。したがって、第4実施形態に係る入力装置400によれば、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み位置を容易且つ動的に変更することができる。
【0092】
特に、第4実施形態に係る入力装置400は、各当接部421が階段状を有するため、4つのリミッター407の各々の先端部407Aが当接部421に当接する高さ位置を段階的に変更することができ、よって、4つの軸部401Aの各々の最大押し込み量を、一括して段階的に変更することができる。
【0093】
(荷重特性の一例)
図21は、各実施形態の各入力装置に適用され得る押圧操作の荷重特性の第1例を示す図である。
図22は、各実施形態の各入力装置に適用され得る押圧操作の荷重特性の第2例を示す図である。
図23は、各実施形態の各入力装置に適用され得る押圧操作の荷重特性の第3例を示す図である。
【0094】
図21に示す例では、制御装置10による各力覚発生器のソフトウェア的な制御により、操作軸のストローク量がS11(第1の所定量)に達するまで、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が徐々に増加し、操作軸のストローク量がS11に達した以降、操作軸のストローク量がS12(第2の所定量)に達するまで、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が減少し、操作軸のストローク量がS12(第2の所定量)に達した以降、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が徐々に増加する荷重特性を有する。
【0095】
また、
図21に示す例では、制御装置10は、操作軸のストローク量がS11とS12との間の所定のストローク量S13のとき、スイッチON判定することができる。
【0096】
また、
図22および
図23に示す例では、制御装置10による各力覚発生器のソフトウェア的な制御により操作軸のストローク量がS21(第1の所定量)(但し、S21>S11)に達するまで、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が徐々に増加し、操作軸のストローク量がS21に達した以降、操作軸のストローク量がS22(第2の所定量)に達するまで、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が減少し、操作軸のストローク量がS22(第2の所定量)に達した以降、操作軸のストローク量の増加に伴って操作荷重が徐々に増加する荷重特性を有する。
【0097】
また、
図22および
図23に示す例では、制御装置10は、操作軸のストローク量がS21とS22との間の所定のストローク量S23のとき、スイッチON判定する。
【0098】
なお、
図21に示す例では、ストローク量がS11のときの荷重はF1である。また、
図22に示す例では、ストローク量がS21のときの荷重はF1である。また、
図23に示す例では、ストローク量がS21のときの荷重はF2(但し、F2>F1)である。
【0099】
また、
図21~
図23に示す荷重特性は、いずれも、操作軸の最大ストローク位置において、操作荷重が最大値となる。
【0100】
このように、各実施形態の各入力装置は、各力覚発生器(但し、ラバーステムを用いた場合を除く)の動作を、制御装置10によってソフトウェア的に制御することにより、操作軸の押圧操作に係る荷重特性を任意に変更することが可能である。
【0101】
ここで、
図21に示す例におけるストローク量S11以降の荷重特性と、
図22に示す例におけるストローク量S21以降の荷重特性とは、互いに同じである。これにより、制御装置10は、操作軸のストローク量を変更した場合であっても、最大ストローク量付近の操作感触が変更されないようにすることができる。
【0102】
(最大押し込み量の検知方法の一例)
図24は、第2実施形態で説明した入力装置200による最大押し込み量の検知方法の一例を説明するための図である。
図24に示す例では、第2実施形態で説明した入力装置200に対し、センサ203として、ストロークセンサを設けている。センサ203は、操作軸201に取り付けられたリフレクタ203Aの位置を検知することで、操作軸201のストローク量を検知可能である。
【0103】
図24に示す例において、制御装置10は、可動域調整用電動機205を動作させて、可動域調整部204を回転させた後に、力覚発生器202を動作させて、操作軸201を下方に移動させて、操作軸201の先端部201Aを、可動域調整部204の当接面204Aに押し当てる。この際、制御装置10は、操作軸201のストローク量を検知可能なセンサ203により、操作軸201のストローク量を検知することで、最大押し込み量を検知することができる。これにより、制御装置10は、可動域調整部204の回転角度を検知するセンサを用いることなく、操作軸201の最大押し込み量を検知することができる。
【0104】
また、
図24に示す例において、制御装置10は、電源投入時に上記のとおりセンサ203によって操作軸201の最大押し込み量の初期値を検知することで、以降、当該初期値と、回転駆動体205Bの制御量とに基づいて、可動域調整部204の電源投入時からの回転角度を算出することで、操作軸201の最大押し込み量の最新値を検知することができる。これにより、制御装置10は、電源投入時のみセンサ203を用いて操作軸201の最大押し込み量の初期値を検知し、それ以降、センサ203を用いることなく、操作軸201の最大押し込み量の最新値を検知することができる。
【0105】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0106】
本国際出願は、2021年3月11日に出願した日本国特許出願第2021-039504号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0107】
10 制御装置
100,100-2,200,300,300-2,300-3,400 入力装置
101,201 操作軸
101A,201A 先端部
101B,201B,308,408 操作ノブ
102,202 力覚発生器
103,203,303,403 センサ
203A リフレクタ
104,104-2,204,204-1,204-2,204-3,304,304-2,304-3,420 可動域調整部
104A,204A,304A 当接面
104B,304B 貫通孔
105,205,305,430 可動域調整用電動機
105A,205A,305A 回転軸
105B,205B,305B,432 回転駆動体
204B,422 回転軸
301,401 ラバーステム
301A,401A 軸部
301B,401B スカート部
304C,421 当接部
306,406 ケース
306A,406A 上部開口
307,307-2,407 リミッター
307A,407A 先端部
307B 傾斜面
406B 貫通穴
410,410-1,410-2,410-3,410-4 プッシュボタン
431 ギヤ群
440 フレーム
441 開口部
450 基板