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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】製品のモニタリング
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20231228BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G06K19/077 304
G06K19/077 152
G06K19/07 170
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020540605
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019051225
(87)【国際公開番号】W WO2019145224
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】18153356.3
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18174305.5
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、バックハウス
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ、ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、シェンケル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】バルター、スペス
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、グリスマン
(72)【発明者】
【氏名】エリック、ウィルムス
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、ストルツ
(72)【発明者】
【氏名】アルネ、ベント
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ジェームズ、ディブル
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-161302(JP,A)
【文献】特開2017-067735(JP,A)
【文献】特開2017-182748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0210547(US,A1)
【文献】国際公開第2017/009884(WO,A1)
【文献】特開2006-178736(JP,A)
【文献】特開2009-217639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069895(US,A1)
【文献】米国特許第09971990(US,B1)
【文献】アドソル日進(株)IoTシステム事業部,動線分析・所在管理に効くRTLSシステム ZigBee屋内位置検知システム uLocation ,月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,2016年10月10日,第29巻 第12号,p.63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の製品状態センサと、
アクティブ無線タグからリモート受信機にデータを無線で送信する送信部と、
前記1つ以上の製品状態センサと前記送信部に電力を供給するように構成された電源部と、
前記1つ以上の製品状態センサおよび前記送信部に結合され、前記アクティブ無線タグに、
前記1つ以上の製品状態センサを使用して、製品が晒されている環境に関連する1つ以上の環境条件および前記製品の梱包材の梱包材状態を検出させ、
前記送信部を使用して、時間間隔をおいてアドバタイジングデータパケットをリモートサーバへ送信させるように構成された制御部と、を含み、
前記アドバタイジングデータパケットは、前記アクティブ無線タグの固有識別子と、検出された環境条件または検出された梱包材状態に関する製品状態情報と、を含み、
前記アクティブ無線タグは、前記製品の前記梱包材に不可逆的に接続されるように構成される、
アクティブ無線タグ。
【請求項2】
前記アクティブ無線タグの前記固有識別子を記憶するデータ記憶部を含み、
前記制御部は、
前記1つ以上の製品状態センサを使って、前記梱包材が開封されているか、未開封であるかを示す梱包材態情報を判定し、
前記固有識別子および梱包材状態情報を含む前記アドバタイジングデータパケットを送信するよう前記送信部に促す、
ように構成される、請求項1に記載の無線タグ。
【請求項3】
状態表示器を含み、
前記制御部は、
前記1つ以上の製品状態センサのうちのセンサを使用して前記製品の前記梱包材の前記梱包材状態を判定し、
前記梱包材状態を示すよう前記状態表示器に促す、
ように構成される、請求項2に記載の無線タグ。
【請求項4】
状態表示器を含み、
前記制御部は、
前記1つ以上の製品状態センサのうちのセンサから1つ以上の測定値を受信し、
前記1つ以上の測定値を規定の限界値と比較し、
前記測定値が前記規定の限界値を下回る、または上回ることに基づいて、警告信号を示すよう前記状態表示器に促す、
ように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線タグ。
【請求項5】
信号を受信する受信機と、
状態表示器と、を含み、
前記制御部は、
前記受信機を使用して前記信号を受信し、
警告信号を示すよう前記状態表示器に促す、
ように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線タグ。
【請求項6】
前記固有識別子を含む光学的に読み取り可能なコードを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ無線タグを用いた製品のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造会社および/または製品の販売業者にとって、製品をモニタリングすることは有用でありうる、あるいは必要ですらありうる。医薬製品および殺虫剤は一連の公的規制の対象であり、例えばこれには、一部の州においては、製品が確実に追跡(トラック&トレース)可能であるという必須要件が含まれる。この目的のため、個々の包装物には、後で包装物をはっきり識別できるようにするために固有識別子(例えばシリアルナンバー)が与えられる(シリアライゼーション)。固有識別子は人の管理下にある製品を明確に判別するのに使用することができるが、流通してしまった製品の場所、または製品の状態を固有識別子のみに基づいて判定することは不可能である。
【0003】
また、製品のモニタリングは、製造の最適化および/または物流目的で価値あるものでありうる。消費物品のユーザまたは販売業者が大量の在庫を有している場合、このユーザ/販売業者が短期的に大量の製品を新しく注文する可能性は低い。この情報は、製造用機械の最適な利用、ならびに/または倉庫および/もしくは輸送手段の最適な利用を実現するため、製品の製造の計画、ならびに/または既に製造された製品の流通および/もしくは保管に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、流通している個々の製品がどこにあるかがわかることが望ましい。さらに、通常は使用される前の製品が含まれる梱包材が既に開封されたか、まだ未開封であるかがわかることが望ましく、これは、梱包材が開封されていた場合、その中の製品が近い将来に使用され、新しい製品が必要になると通常想定されるためである。物流チェーン全体、すなわち製造から製品の消費/使用までを、例えば保管条件に適合しているかどうかを確認できるようにするため、モニタリングできることが望ましい。製品が輸送中および/または保管中に晒される条件が分かることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これは本発明の主題によって実現される。
【0006】
本発明の第1の主題はアクティブ無線タグであって、
製品の梱包材に接続できるように設計され、
1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態を検出する1つ以上のセンサを含み、
時間間隔をおいてアドバタイジングデータパケットを送信するように構成され、
アドバタイジングデータパケットは、固有識別子ならびに1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態に関する1つ以上の状態情報を含む、アクティブ無線タグである。
【0007】
本発明の更なる主題は梱包材を含む製品であり、梱包材はアクティブ無線タグに接続され、
無線タグは1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態を検出する1つ以上のセンサを含み、
無線タグは時間間隔をおいてアドバタイジングデータパケットを送信するように構成され、
アドバタイジングデータパケットは、固有識別子ならびに1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態に関する1つ以上の状態情報を含む、製品である。
【0008】
本発明の更なる主題は、
受信部と、
位置判定部と、
データ処理部と、
制御部と、
送信部と、
を含む受信機であって、
制御部は、1つまたは複数の周波数領域を聴取して製品の梱包材に接続されたアクティブ無線タグにより送信されるアドバタイジングデータパケットを受信するよう受信部に促すように構成され、
制御部は、アドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つまたは複数の状態情報を取り出すようデータ処理部に促すように構成され、
制御部は、位置情報を判定するよう位置判定部に促すように構成され、
制御部は、固有識別子および状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するよう送信部に促すように構成される、
受信機である。
【0009】
本発明の更なる主題はデータ記憶媒体に記憶されるプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、このプログラムコードは、受信部、位置判定部、データ処理部、主記憶装置を有する制御部、および送信部を含むコンピュータに対し、プログラムコードが主記憶装置へロードされると、
1つまたは複数の周波数領域を聴取するステップと、
製品の梱包材に接続されたアクティブ無線タグにより送信されるアドバタイジングデータパケットを受信するステップと、
アドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つまたは複数の状態情報を取り出すステップと、
位置情報を判定するステップと、
固有識別子および状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するステップと、
を実行するように促す、コンピュータプログラム製品である。
【0010】
本発明の更なる主題は、
1つ以上のアクティブ無線タグと、
1つ以上の受信機と、
を含むシステムであって、
無線タグは製品の梱包材に接続できるように設計され、
無線タグは1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態を検出する1つ以上のセンサを含み、
無線タグは時間間隔をおいてアドバタイジングデータパケットを送信するように構成され、
アドバタイジングデータパケットは、固有識別子ならびに1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態に関する1つ以上の状態情報を含み、
受信機は位置情報を判定するように構成され、
受信機は1つまたは複数の周波数領域を聴取してアドバタイジングデータパケットを受信するように構成され、
受信機はアドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つ以上の状態情報を取り出すように構成され、
受信機は固有識別子および1つ以上の状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するように構成される、
システムである。
【0011】
本発明の更なる主題は、
製品の梱包材にアクティブ無線タグを接続するステップと、
無線タグを用いて1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態を検出するステップと、
無線タグを用いて、固有識別子ならびに1つ以上の環境条件および/または1つ以上の梱包材状態に関する1つ以上の状態情報を含むアドバタイジングデータパケットを送信するステップと、
受信機を用いて、1つまたは複数の周波数領域を聴取してアドバタイジングデータパケットを受信するステップと、
受信機を用いて、アドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つ以上の状態情報を取り出すステップと、
受信機を用いて位置情報を判定するステップと、
固有識別子および1つ以上の状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するステップと、
を含む、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本発明の複数の主題を区別せずに、以下でより詳細に示される。それどころか、この後の説明は、それらの説明が現れる文脈に関わらず、本発明のすべての主題に同様にあてはまるように意図されている。
【0013】
本明細書または特許請求項が複数のステップについて順番に言及している場合、これは本発明が言及された順番に限定されることを必ずしも意味するわけではない。それどころか、これらのステップは、一つのステップが別のステップに基づいていて、その一つのステップを続けて実行することが絶対に必要である場合(ただし、これは個別の事例のそれぞれで明確にされる)以外は、異なる順番でも同様に、または互いに並行して実行されることも考えられる。したがって、言及された順番は本発明の好ましい実施形態である。
【0014】
本発明によれば、製品の梱包材にはアクティブ無線タグが搭載されている。
【0015】
製品は、商業的に提供、販売することが可能な任意の品物(有形財)でありうる。
【0016】
好ましくは、製品は、ユーザ(最終顧客)により規定の目的のために使用され、その過程で「消費される」、すなわち、当初の目的ではもはや使用できない状態に移行する消費可能な品物または消耗材料であり、その結果、ユーザは新しい製品を購入する必要がある。好ましくは、ユーザにすぐに使用されることを意図した製品ではなく、むしろ使用されるまで一定の時間にわたり保管しておくことができる製品である。保管時間は、好ましくは、少なくとも数週間から数年である。
【0017】
本発明の文脈における製品の例は、薬剤、殺虫剤、化粧品、洗浄剤、および同種のものである。好ましくは、製品は農業用殺虫剤(例えば、除草剤、殺虫剤、または殺菌剤)である。
【0018】
製品は梱包材に入っている。梱包材を使用して、製品を輸送可能な状態にする、および/または製品を損ないかねない環境の影響(例えば、湿気、大気中酸素、光、および同種のもの)から製品を保護することができる。
【0019】
梱包材の例は、段ボール箱(段ボール梱包材)、ブリスター包装、筒形容器(canister)、瓶、大型布袋(sack)、袋(bag)、容器、および同種のものである。
【0020】
梱包材にはアクティブ無線タグが搭載されている。用語「アクティブ無線タグ」は、無線タグが電力を供給する手段を有していることを意味する。
【0021】
通常、無線タグは、梱包材に製品が詰められて封止された後に梱包材へ接続される。あるいは、製品が梱包材に入れられる、および/または梱包材が封止される前に無線タグが梱包材に接続されることが考えられる。
【0022】
また、無線タグが梱包材の一部であることも考えられる。
【0023】
例えば、無線タグを梱包材上に印刷、または梱包材へ接合して(例えば積層する)、結合体を作ることができる。
【0024】
無線タグは梱包材の外側に置くことができて、これは製品とは接触しないが外界(環境)と接触している領域である。あるいは、無線タグは梱包材の内側に置くことができて、これは製品と接触している領域である。また、無線タグが2つの梱包材の間へ導入されることも考えられる。
【0025】
無線タグを梱包材の閉口の上、または閉口内に(例えば、ネジ閉口の上、またはその中に)装着/導入することができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、無線タグは、梱包材に接続されたらすぐに、梱包材に不可逆的に接続される、すなわち、無線タグを梱包材から取り除こうとすると無線タグの破壊につながり、「無線タグの破壊」は無線タグがもはや本発明に従って使用することができないことを意味する。そのような不可逆的な接続は、例えば、無線タグと梱包材の間に接着接合継ぎ手を用いることで実現することができて、接着接合継ぎ手を取り除いて梱包材から無線タグを取り外すための力は無線タグの個々の構成要素を結び付けている力より大きいため、取り外そうとすると無線タグの個々の構成要素が互いに分離されて、それゆえ無線タグが破壊される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、無線タグは再利用できるように具現化される。したがって、無線タグは梱包材から再び取り外して、別の梱包材に接続することができる。
【0028】
無線タグは1つ以上のセンサを有する。「センサ」は、特定の物理的特性もしくは化学的特性、および/または、定性的もしくは定量的に測定された変数として周囲の材料組成を検出することができる技術的な組立品である。特性は物理的または化学的な効果を利用して検出され、ほとんどの場合にさらに加工することが可能な電気信号へ変換される。電気信号は、無線により受信機へ伝達される前に、通常はデジタル化も行われる。
【0029】
1つ以上のセンサが、測定値を捕捉する時点の梱包材および/または製品の状態の特性を示す測定値を捉える。したがって、1つ以上のセンサは状態情報を生成するのに使用される。
【0030】
そのような状態は、梱包材/製品が晒されている/晒された1つもしくは複数の環境条件(「外部パラメータ」)、および/または梱包材状態(「内部パラメータ」)でありうる。
【0031】
環境条件は、例えば、温度、大気圧、湿度、規定の波長領域での電磁放射の強度、センサが受ける加速力、および同種のものである。環境条件は、その条件が広まっている時間および場所において検出される。環境条件がある時点でセンサにより検出される場合、センサ(または製品)はこの時点でその環境条件に晒されている。
【0032】
梱包材状態は、梱包材の特性を示す。梱包材状態は、具体的には、その時点以前に梱包材が晒されていた環境条件に関係する。梱包材状態は、例えば、梱包材が開封されている、または未開封である、梱包材が押しつぶされている、または押しつぶされていない、梱包材が規定の温度限界値を上回る、および/または下回る温度に晒された、梱包材が規定の湿気限界値を上回る湿気(湿度)に晒された、梱包材が規定の圧力限界値を下回る、および/または上回る圧力に晒された、梱包材が規定の加速度限界値を上回る加速力に晒された、などである。梱包材状態は、それぞれの梱包材状態が検出される時点以前に梱包材が晒されていた環境条件を示す。通常、梱包材状態は、規定の限界値を上回る、および/または下回る環境条件によって内部で構成要素が取り返しがつかないほど変えられてしまうセンサを使って検出される。そのような構成要素は、以下では計測器とも呼ばれる。したがって、計測器は、計測器が規定の環境条件に晒されたかどうかを示す。
【0033】
環境条件および/または梱包材状態を検出する目的は、製造からエンドユーザまでの流通網の中で、製品に対して要求される輸送条件および/または保管条件が常に順守されているかどうかを追跡するためでありうる。また、環境条件および/または梱包材状態を検出する目的は、特定の製品が現在どこにあるか、および/またはその製品が現在どのような状態にあるかが常にわかるように、輸送条件および/または保管条件をモニタリングするためでありうる。
【0034】
製品は、駄目にならないように冷却する必要があることが考えられる。そのような場合、温度センサは規定の時間に温度を検出することができる。測定された温度値が規定の温度限度を上回る場合、冷却チェーンが現在順守されていないことが明らかである。あるいは、規定の限界値を上回る温度により取り返しがつかないほど変えられる温度計測器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、温度計測器が(温度が過去に規定の限界値を上回ったために)変わったか、または変わっていないのかを確認する。
【0035】
製品が耐凍結性ではなく、それゆえ温度限界値を下回る温度に晒されるべきではないことが考えられる。そのような場合、温度センサは規定の時間に温度を検出することができる。測定された温度値が規定の温度限度を下回る場合、製品が低温に晒されて、損傷を受けた可能性があることが明らかである。あるいは、規定の限界値を下回る温度により取り返しがつかないほど変えられる温度計測器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、温度計測器が(温度が過去に規定の限界値を下回ったために)変わったか、または変わっていないのかを確認する。
【0036】
製品が、そうでなければ損傷を受ける、または品質が損なわれる恐れがあるために湿ってはならないことが考えられ、そのような場合、湿度センサは規定の時間に湿気(例えば湿度)を検出することができる。測定された湿気値が規定の限界値を上回る場合、現在の湿気が多すぎることが明らかであり、湿気を減少させる手段が取られるべきである。あるいは、規定の限界値を上回る湿気により取り返しがつかないほど変えられる湿気計測器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、湿気計測器が(湿気が過去に規定の限界値を上回ったために)変わったか、または変わっていないのかを確認する。
【0037】
製品が、例えば壊れやすいために加速力に敏感であることが考えられる。そのような場合、加速度センサは規定の時間に加速力を検出することができる。現在センサに作用している加速力の測定値が規定の限界値を上回る場合、製品が損傷を受けている危険があることが明らかである。あるいは、規定の限界値を上回る加速力により取り返しがつかないほど変えられる加速度計測器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、加速度計測器が(加速力が過去に規定の限界値を上回ったために)変わったか、または変わっていないのかを確認する。
【0038】
製品が光に反応することが考えられる。そのような場合、光強度センサは、規定の波長領域(例えば、可視光線領域(380nmから780nm)、および/または、紫外線領域(例えば、UV-A(380nmから315nm)および/もしくはUV-B(315nmから280nm)、もしくは別の波長領域、または多数の波長領域)の電磁放射の強度を規定の時間に検出することができる。現在センサに作用している光強度の測定値が規定の限界値を上回る場合、製品が現在過度に高い光強度に晒されていることが明らかであり、光強度を減少させる手段が取られるべきである。あるいは、規定の限界値を上回る光強度により取り返しがつかないほど変えられる光計測器を含むセンサを使用することもできる。検出している間、センサは、光計測器が(光強度が過去に規定の限界値を上回ったために)変わったか、または変わっていないのかを確認する。
【0039】
温度、湿気、圧力、加速度、光強度、および他の環境条件を計測するため、多様な市販のセンサおよび計測器が存在する。
【0040】
環境条件は、規定の時間に1つまたは複数のセンサを使うことで検出することができる。「規定の時間」とは、測定値の捕捉が行われる時間が明確なルールに従っていることを意味する。例として、測定値の捕捉が以前規定された時間、例えば、1日に一度で正午12時、毎時、などで行われると考えられる。あるいは、「規定の時間」は、測定値の捕捉を引き起こす規定の事象、例えば外部(電磁)インパルス、振動の発生などを意味すると理解されるべきである。測定値の捕捉とアドバタイジングデータパケットの送信は互いに結合されていると考えられ、例えば、アドバタイジングデータパケットが送信される前に測定値の捕捉が引き起こされて、捕捉された1つまたは複数の測定値がアドバタイジングデータパケットの形式で送信される。あるいは分離することが考えられて、この場合、無線タグは測定値を記憶することができるデータ記憶部を有している。測定値は規定の時間に捕捉され、データ記憶部に記憶される。アドバタイジングデータパケットが送信される前に、無線タグの一部である制御部が記憶された測定値に基づいて環境条件を判定し、アドバタイジングデータパケットの形式で環境条件についての情報を送信する。
【0041】
同じことが1つまたは複数の梱包材状態の判定および送信にもあてはまる。梱包材状態を判定するための測定値の捕捉は規定の時間に行われ、アドバタイジングデータパケットの送信と結合または分離することができる。アドバタイジングデータパケットが送信される直前に測定値が捕捉されることが考えられ、測定値が捕捉されてデータ記憶部に記憶されることが考えられる。
【0042】
好ましい実施形態では、無線タグは梱包材が未開封であるか、または梱包材が開封されているか/開封されたかを検出するセンサを含む。
【0043】
センサは、梱包材が開封された、および/または開封されている場合に変化する物理的特性に好ましくは基づいて、梱包材状態(未開封/開封済)を検出する。梱包材が開封された結果変化する物理的特性は、例えば導電率(もしくは電気抵抗)ならびに/もしくは電気容量および/もしくはインダクタンス、または同種のものである。
【0044】
梱包材が開封されているか、未開封であるかを規定の時間間隔で確認するようにセンサが設計されることが考えられる。
【0045】
本発明の一実施形態では、無線タグは、梱包材が開封されると取り返しがつかないほど破損してしまうような1つまたは複数の導電性ワイヤを有し、その結果、このワイヤを通って電流がさらに流れることはできない。センサは、導電率が変化したことを理由に破損したワイヤを検出する。この原理は、例えば国際公開第9604881A1号明細書またはドイツ特許出願公開第19516076A1号明細書に記載されている。この場合、ワイヤが計測器として動作し、梱包材を開封することが計測器を不可逆的に変更することにつながる、すなわちワイヤが破損する。
【0046】
センサは梱包材が開封される過程を検出するように設計されることが考えられる。状態の変化(未開封→開封済)は、圧電効果に基づいてセンサにより検出することができて、例えば、梱包材の開封によりピエゾ素子に機械的応力がもたらされ、その結果、電圧が増大する。この電圧、またはそれによる効果はセンサにより記録することができる。
【0047】
無線タグは、梱包材状態についての情報が記憶されるデータ記憶部を有することができる。センサが、規定の時間間隔で梱包材がいまだに未開封であるかを確認するように設計されることが考えられ、開封されたらすぐに、該当する(新しい)梱包材状態がデータ記憶部に記憶される。無線タグがアドバタイジングデータパケットの形式で梱包材状態を送信する前に、無線タグの一部である制御部は、データ記憶部から梱包材状態を読み出す。そのような場合、梱包材状態の検出と状態情報の送信は分離される。無線タグは、梱包材が開封されている/開封されたことをセンサが記録するまでは規定の時間にセンサを用いて梱包材状態を要求するように構成することができる。その後、センサを用いて梱包材状態を要求することは必要ではない。
【0048】
また、無線タグは固有識別子も有する。固有識別子は、数字、英数字コード、もしくは2進数コード、または同種のものでありうる。固有識別子を使用して、無線タグを識別する、または無線タグが梱包材を介して接続される製品を識別することができる。通常、製品データベースは本発明に係るシステムの一部である。固有識別子を使用して、それぞれの製品についての情報(製品名、製品種類、製造会社、バッチ番号、製造日、組成、使用説明書、使用期限、推奨使用期限、および同種のもの)をデータベースに要求することができる。
【0049】
識別子は無線タグのデータ記憶部に記憶される。好ましくは、データ記憶部は半導体メモリである。データ記憶部は、梱包材状態および/または環境条件に関する測定値も記憶することができるものと同一のデータ記憶部とすることができる、あるいは、別のデータ記憶部とすることもできる。固有識別子用のデータ記憶部は、通常はWORMメモリ(WORM:write once, read many)である。無線タグは、梱包材への接続より前に既に固有識別子を有していると考えられる。あるいは、固有識別子は、無線タグが梱包材に接続されて初めてデータ記憶部へ書き込まれると考えられる。無線タグの制御部はデータ記憶部へアクセスすることができて、固有識別子を読み出すことができる。制御部は無線タグの送信部を用いて固有識別子を送信することができる。
【0050】
固有識別子は無線タグのデータ記憶部および製品の別のデータ記憶部の両方に記憶され、その結果、固有識別子と製品が互いに関連し、固有識別子が既知である場合は製品に関する情報を製品データベースから得ることができる。
【0051】
好ましい実施形態では、無線タグは光学的に読み取り可能なコード、例えばバーコードやマトリックス型コード(例えばQRコードやデータマトリックスコード)を有する。光学的に読み取り可能なコードは固有識別子を含み、固有識別子に基づいて、無線タグならびに/もしくは製品および/もしくは製品のバッチ、ならびに/または同種のものを明確に識別することができる。この固有識別子は、無線タグの制御部がアクセスできるものと同一の固有識別子とすることができる。あるいは、異なる(追加の)固有識別子とすることができる。また、光学コードはインターネットアドレスも含むことができる。光学的に読み取り可能なコードは、例えば、無線タグ上に印刷される、刻印される、エッチングされる、ステッカー形式で無線タグに貼付される、またはその他の方法で無線タグに接続される、もしくは無線タグに導入される。
【0052】
光学コードは、製品についての追加の情報を製品の購入者/ユーザが入手できるようにするのに使用される。これは、例えば、購入者/ユーザがスマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯型コンピュータシステムを使って光学的に読み取り可能なコードを携帯型コンピュータシステムへ読み込むことで実現される。通常、携帯型コンピュータシステムは光学コードの読み取りに使用できるカメラを有する。好ましくは、携帯型コンピュータシステムは、製品に関する情報が購入者/ユーザへ提示されるインターネットページを開く根拠として読み込み用光学コードを利用するように、(インストールされたソフトウェアプログラム(「アプリ」)によって)構成される。この情報は、特にこの製品の購入者/ユーザを対象とした情報とすることができる。例えば、製品の回収に関する連絡、または品質を損ないかねない規定の環境条件に製品が晒された場合に行うべきことについての情報を提示することが考えられる。好ましくは、携帯型コンピュータシステムは本発明に係る受信機である。
【0053】
好ましい実施形態では、購入者/ユーザは、購入者/ユーザが光学コードを読み込んで、購入者/ユーザへ提供されている情報を含むインターネットページへアクセスするべきである旨の情報を無線タグを介して受信する。例えば、製品の梱包材が閉じられている(例えば、封止されている)か、梱包材が開封されていて使用可能か、または購入者/ユーザが製品を使用する前に光学コードを介してたどり着いたインターネットページから追加の情報を取得するべきであるか、を購入者/ユーザへ伝える状態表示器を無線タグが有していることが考えられる。状態表示器は、例えば、1つもしくは複数の発光ダイオード(LED)または液晶ディスプレイ(LCD)とすることができる。無線タグの制御部が、1つまたは複数のセンサを用いて捕捉された測定値が規定値をとる、または規定値に達した場合に、状態表示器により示される情報を変更するように構成されることが考えられる。例として、梱包材状態センサが梱包材は封止されていると記録する場合は、状態表示器は梱包材が適切に封止されていることを示すことができる。梱包材状態センサが梱包材は開封されている(開封された)と記録する場合は、状態表示器は梱包材が適切に開封されていることを示すことができる。センサが限界値(温度、湿度、圧力、加速力など)を超過している(超過した)と記録する場合は、状態表示器は製品が有害な環境条件(過度に高い温度、過度に低い温度、過度に高い湿度、過度に高い圧力、過度に大きな加速度、および同種のもの)に晒されたことを示すことができる(警告信号)。購入者/ユーザは、そのような警告信号により、製品に不具合がある可能性があり、使用する前にインターネットページを介して情報を取得するべきであると勧告される。また、無線タグが受信部を有し、この受信部を用いて無線タグは信号を受信できることが考えられる。このようにして、例えば製品を回収するために、例えば外部信号を利用して状態表示器を変更することが可能である。
【0054】
無線タグは電力を供給する手段を有する。
【0055】
これは、例えば、電池または蓄電池とすることができる。好ましい実施形態では、電力を供給する手段は、米国特許出願公開第2010021799A号明細書、欧州特許出願公開第3104433A1号明細書、韓国特許出願公開第20170085256A号明細書、韓国特許出願公開第20170098004A号明細書、および米国特許出願公開第2010081049A号明細書で例示されるような印刷可能電池である。好ましくは、電池は生物学的に分解可能である(米国特許出願公開第2016351936A号明細書を参照)。
【0056】
さらに、無線タグは電力をその環境から得るように設計することができる。電力は、無線タグが本発明に係るその機能を実行できるように、無線タグに電気を供給するために使用される。環境からのエネルギーは、例えば光、電界、磁場、電磁場、動き、圧力、および/もしくは熱、ならびに/または他の形態のエネルギーの形で供給することができて、無線タグにより使用する、または「収穫する」ことができる。この種類の発電は、環境発電として知られている。エレクトロニクス分野における環境発電とは、環境から非常に微量の自由に利用可能なエネルギーを得て蓄えるために使用可能な方法を指す。この手法により、無線タグにその寿命にわたってエネルギーを供給することができて、その結果、無線タグは設置後に再びメンテナンスを行う必要がない。環境発電システムは、通常はエネルギー変換器と、通常はコンデンサであるエネルギー貯蔵部を有するエネルギー管理部とを含む。エネルギー変換器はマイクロ発電機とも呼ばれ、環境からのエネルギーを電力へ変換する。変換には、例えば、圧電効果、熱電効果、光電効果の使用を伴うことがある。更なる詳細は先行技術で記載されている(http://www.harvesting-energy.de/およびそこで列挙されている出版物を参照)。
【0057】
さらに、無線タグは、「ビーコン」とも呼ばれるアドバタイジングデータパケットを送信することができるように設計される。アドバタイジングデータパケットは、固有識別子ならびに1つ以上の検出された環境条件および/または1つ以上の検出された梱包材状態に関する1つ以上の状態情報を含む。
【0058】
アドバタイジングデータパケットは、ブルートゥース(登録商標)規格から借用したアドバタイジングデータパケットとすることができる。ブルートゥースは、1990年代にBluetooth Special Interest Group(SIG)により短距離でのデバイス間のデータ通信用に策定されたIEEE802.15.1に準拠する、無線技術(WPAN)を用いた業界標準である。Bluetooth SIGの標準規格に基づいたデバイスは、短距離用デバイス(SRD)として2.402GHzから2.480GHzの免許不要のISMバンド(Industrial, Scientific and Medical Band、産業科学医療用帯域)で送信を行う。ブルートゥースの一従属形態がBluetooth Low Energy、略してBluetooth LEまたはBLEであり、要求される電力消費は従来のブルートゥースよりも少ない。具体的には、Bluetooth LEはISM周波数帯を2MHzの幅を有する40チャネルへと分割する。従来は、Bluetooth LEのトランスポンダは、3つのアドバタイジングチャネルのうちの一つで互いに独立に短いアドバタイジングデータパケットを送信する。アドバタイジングチャネルはISM周波数帯の中にあり、典型的には2つのチャネルが帯域端に、1つのチャネルが帯域の中ほどにある。具体的には、チャネル37、38、39をアドバタイジング信号/データパケットが送信されるアドバタイジングチャネルとして使用することができる。通常、Bluetooth LEのトランスポンダは、残りの37チャネルのうちの1つでデータ交換を行うために、37チャネルのうちの1つのチャネルに変化が生じたら、次にアドバタイジングチャネルで接続要求を聞き取る。したがって、アドバタイジングチャネルは、送信元からブルートゥース通信ネットワークのすべての利用可能な加入者または「聴取中」の加入者へデータパケットを送信するのに使用できるブロードキャストチャネルである。アドバタイジングデータパケット(ブロードキャストデータパケット)は、一定の間隔で、すなわち周期的に、すべてのアドバタイジングチャネル上で送信することができる。連続するアドバタイジングデータパケット間の時間間隔は、固定間隔および追加のランダム遅延の両方を含むことができる。標準的なアドバタイジングデータパケットは、送信機およびその能力を記述する多くても31バイトのデータであるペイロードを含む。それゆえ、任意のユーザ定義の情報を他のデバイスへ送信することも可能である。標準の31バイトのペイロードがデータに対して充分な大きさではない場合、BLEは自由選択で第2アドバタイジングペイロードもサポートする。
【0059】
本発明によれば、このような接続には過剰な量のエネルギーを要するために、データを送信するために無線タグと受信機の間でこのようにブルートゥース接続が設定されることはない。その代わりに、無線タグにより送信されるアドバタイジングデータパケットのみが受信機に傍受される。前記データパケットは、1つ以上の状態情報と固有識別子の両方を含む。受信機は、アドバタイジングデータパケットを傍受して、信号から1つ以上の状態情報と固有識別子を取り出すように構成される。標準のアドバタイジングデータパケットの31バイトという大きさは、原理上は、無線タグから受信機へ1つ以上の状態情報と固有識別子を送信するのに充分である。
【0060】
アドバタイジングデータパケットは、ブルートゥース規格の代替として、WiFi規格(IEEE802.11)に基づく通信を用いて送信することもできる。IEEE802.11は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の標準規格群である。Institute of Electrical and Electronics Engineersの802.11標準規格に基づき、サービスセットがWLAN内のすべてのデバイスを示す。サービスセット識別子(SSID)は、サービスセットをアドレス指定可能とする、サービスセットに対して任意に選択可能な名称である。この識別子はしばしばユーザが手動でデバイスへ入力する必要があるため、大抵の場合は人間が容易に判読できる文字列であり、それゆえ一般にWLANのネットワーク名と呼ばれる。SSIDは最大で32バイトの長さを持ちうる。したがって、本発明に係る無線タグは、無線を使用して1つ以上の状態情報と固有識別子を含むSSIDデータパケットを送信するように構成されうる。したがって、本発明に係る受信機は、SSIDデータパケットを受信して1つ以上の状態情報と固有識別子を取り出すように構成されうる。
【0061】
同様に、1つ以上の状態情報と固有識別子をZigBeeネットワークのPAN IDを用いて無線タグから受信機へ送信することも考えられる。
【0062】
同様に、1つ以上の状態情報と固有識別子を、例えば狭帯域IoTネットワークなどの低電力広域ネットワーク(LPWANやLPN)を介して、無線タグから受信機へ送信することも考えられる。
【0063】
同様に、本発明に係る無線タグを、例えばSigfox無線ネットワークなどの無線ネットワークを介してデータを送信するために短距離無線機(短距離用デバイス、SRD)として位置付けることも考えられる。Sigfoxは、低電力を要件とするオブジェクトを無線でインターネットへ接続するために、別の世界的無線ネットワークを提供しているフランスの電気通信会社である。デバイスは少量のデータを規定された間隔で基地局へ送信し、基地局はそのデータを各受信機のデータベースへ転送する。Sigfoxは、超狭帯域技術をベースとした無線システムを使用する。これは低電力広域ネットワーク(LPWAN)と呼ばれる。LPWANはISMバンド(欧州では868メガヘルツ、米国では902メガヘルツ)の長距離信号を使用し、この信号は固形物を貫通することもできる。開けた地形では30~50kmの距離に及ぶことができて、都市部では、3~10kmに及ぶことができる。Sigfoxの基地局は、現在最大で100万個のオブジェクトを管理することができて、必要なエネルギーは標準的移動無線システムの1000分の1である。彼ら自身の発表によると、Sigfoxデバイスはメッセージを送信するときのみアクティブとなり、すぐに待機状態に戻るため、2つの単三電池だけで最大20年稼働することができる。さらに、Sigfoxネットワーク内のデバイスは、低いデータレートを使用する。それらのデバイスは1メッセージあたり最大で12バイトを送信できて、それに加えて、1デバイスあたり1日に140通以下のメッセージを送信できる。しかしながら、この能力は梱包材状態情報や固有識別子などの単純なメッセージを送信するには充分である。
【0064】
無線タグおよび受信機は、無線タグから受信機へデータを送信するのに最小限のエネルギーが消費されるように、好ましくは互いに適合している。無線タグは、好ましくはほとんどの時間で待機モードにあるように構成される。無線タグは規定の時間にアクティブとなり、1つ以上の状態情報と固有識別子を含むアドバタイジングデータパケットを送信する。無線タグが決まった時間に、または不規則な時間にアドバタイジングデータパケットを送信することが考えられる。無線タグがアクティブとなり次第、規定の期間にわたって、または繰り返し、アドバタイジングデータパケットを送信することが考えられる。無線タグがある事象により作動して、一回または複数回、アドバタイジングデータパケットを送信することが考えられる。この事象は環境条件により、ならびに/または受信機および/もしくは製品のユーザにより、引き起こされうる。
【0065】
アドバタイジングデータパケットは、例えば1時間に一度、もしくは1日に一度、または不規則に送信することができる。
【0066】
受信機は、恒久的に受信ノード内にあるように構成することができて、受信ノード内でアドバタイジングデータパケットを求めて規定の周波数領域を探す。受信機はアドバタイジングデータパケットを検出すると、この信号から1つ以上の状態情報と固有識別子を取り出す。受信機は、例えば含まれている規定のデータ構造から、および/または規定のビット列から、アドバタイジングデータパケットを認識することができる。
【0067】
また、受信機が規定の時間だけ、および/または規定の期間内に受信ノードへ切り替えを行って、1つまたは複数のアドバタイジングデータパケットの到着を待つことが考えられる。例として、受信機および/または無線タグが外部環境の影響でアクティブ状態となり、その結果、無線タグが1つまたは複数のアドバタイジングデータパケットを送信する、および/または受信機が1つまたは複数のアドバタイジングデータパケットを求めて1つまたは複数の規定の周波数領域を探すことが考えられる。例として、受信機および/または無線タグが最小限の明るさに達した場合に光により作動される、および/または最低限の温度に到達した場合に熱により作動されることがありうる。
【0068】
好ましい実施形態では、無線タグは受信機により作動される。例として、受信機が無線タグへ信号を送信することが考えられ、この信号が無線タグを作動させて、無線タグにアドバタイジングデータパケットを送信するように依頼する。また、受信機が例えば電磁エネルギーの形でエネルギーを提供することも考えられ、このエネルギーが無線タグにより「収穫」されて、無線タグを待機モードからアクティブモードに変更する。
【0069】
同様に、無線タグを梱包材を開封することで作動させることができる。例として、開封工程により例えば機械的エネルギーの形でエネルギーが提供されることが考えられ、このエネルギーが無線タグにより「収穫」されて、無線タグを待機モードからアクティブモードに変更する。
【0070】
本発明に係る受信機は据え置き型デバイス、すなわち、一つの位置に恒久的に設置されるデバイス、または移動可能な(可搬型の)デバイスとすることができる。好ましくは、受信機は移動可能なデバイスである。受信機は受信部、位置判定部、データ処理部、制御部、および送信部を有する。
【0071】
制御部は受信機の個々の構成要素を制御するため、構成要素間のデータおよび信号の流れを調整するため、そして受信機と例えば無線タグなどの更なるデバイスとの間のデータおよび信号の流れを調整するために使用される。
【0072】
制御部は、受信機の近くの無線タグがアドバタイジングデータパケットを送信しているかの確認を受信部に促すように構成される。そのようなアドバタイジングデータパケットが受信部により受信された場合、アドバタイジングデータパケットはデータ処理部へ伝達される。データ処理部は、アドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つ以上の状態情報を取り出すように促される。
【0073】
位置判定部は受信機により使用されて、受信機が位置する場所を判定することができる。例として、受信機は衛星ナビゲーションシステムからの信号を受信するセンサを有することができて、このセンサを使用して受信機の位置を見つける。既知の衛星ナビゲーションシステムは、例えばNAVSTAR GPS、GLONASS、Galileo、またはBeidouである。略称のGPS(全地球測位システム)があらゆる衛星ナビゲーションシステムに対する一般名称として話し言葉で定着しているため、本明細書においてGPSという用語があらゆる測位システムに対する総称として使用される。位置情報はさらに受信機が位置する(移動)無線セルから得られる。位置を判定する目的は受信機の位置を判定することではなく、むしろ特定の製品が現在どこにあるかを検出することである。無線タグは比較的射程距離しか持たないが、受信機が無線タグからアドバタイジングデータパケットを受信することができた時点の受信機の位置を知るには通常は充分である。そして、無線タグの位置は受信機の位置に概ね合致する。それゆえ、好ましくは、受信機は無線タグからアドバタイジングデータパケットを受信したときはいつでも位置の判定を行い、アドバタイジングデータパケットから取り出された情報(状態情報および固有識別子)を判定された位置情報に連結する。また、多数の受信機が送信されたアドバタイジングデータパケットを受信し、三角測量を用いて無線タグの位置を判定することも考えられる。
【0074】
受信機は、送信部を使用してデータを更なるデバイスへ伝達することができる。好ましくは、受信機は例えば移動無線ネットワークおよび/またはインターネットなどのネットワークを介して1つまたは複数のサーバへ接続され、受信機はデータをこのサーバへ伝達することができる。制御部は、固有識別子および1つ以上の状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するよう送信部に促すように構成される。情報は判定後すぐに伝達することができる、あるいは、受信機がまず判定された情報を内部データ記憶部へ記憶し、その情報を後で外部サーバのみに伝達することが考えられる。情報は決まった時間、例えば1日に一度、1時間に一度、5分ごと、など、または不規則にサーバへ伝達することができる。また、サーバが受信機から情報を取り出すことも考えられる。
【0075】
サーバは固有識別子および1つ以上の状態情報ならびに位置情報を受信し、固有識別子が関連付けられた各製品に関するデータベースにこれらの情報を格納する。それゆえ、データベースは特定の製品(製品一式)が異なる時間にどこにあったか、および/もしくは特定の製品が現在どこにあるか、ならびに/または特定の製品がどんな状態であったか、および/もしくは特定の製品がどんな状態であるか、などに関する情報を検索可能な方法で保持する。その結果、格納されたデータから、原理上は製品の梱包工程から製品が梱包材から取り出される時点までの全ての履歴を判定することができる。
【0076】
受信機は、例えばノートパソコン、タブレットコンピュータやスマートフォンなどのコンピュータシステムとすることができる。通常は前述のコンピュータシステムは前述した機能を有し、広く入手可能で輸送可能であり、ソフトウェアプログラム(アプリ)を使って本発明に従って構成することができる。
【0077】
また、本発明の主題は、本発明に係る方法のステップ、すなわち、
1つまたは複数の周波数領域を聴取してアドバタイジングデータパケットを受信するステップと、
アドバタイジングデータパケットから固有識別子および1つ以上の状態情報を取り出すステップと、
位置情報を判定するステップと、
固有識別子および1つ以上の状態情報ならびに位置情報をネットワークを介してサーバへ伝達するステップと、
を実行するために受信機を適切に構成するコンピュータプログラム製品である。
【0078】
好ましくは、本発明に係るコンピュータプログラム製品はダウンロードポータルを介してアプリとして入手可能で、ダウンロードポータルから本発明に係る受信機へロードおよびインストールすることができる。
【0079】
好ましくは、多様な無線タグおよび受信機が本発明に係るシステムの一部であり、その結果、多様な製品一式に対して、それらの製品一式がどこにあるか、およびどんな状態にあるかがわかる。これらの情報に基づいて、製造プロセスならびに/または物流および/もしくは倉庫への格納を最適化することができる。
【0080】
本発明の一実施形態では、製品の製造会社はサーバへアクセスすることができて、例えば、最終顧客と共にある未開封の梱包物の個数が規定のしきい値を下回る場合に製品の製造を開始することで製品の製造を最適化するために、これらの情報を使用する。
【0081】
本発明の一実施形態では、製品の販売業者はサーバへアクセスすることができて、最終顧客と共にある未開封の梱包物の個数が規定のしきい値を下回る場合にこれらの情報を使用して、新しい製品を注文する、および/またはそれらの製品を規定の店へ輸送する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本発明は以下で図および例に基づいてより詳細に示されるが、本発明を図および例で挙げられている特徴および特徴の組み合わせに制限する意図はない。
【0083】
図において、
図1は本発明に係る、複数の無線タグ(5a、5b、5c)および受信機(6)を含むシステムの例を模式的に示す。受信機(6)はスマートフォンとして具現化される。無線タグ(5a、5b、5c)は製品(図示せず)が入っている梱包材(1、2)に付けられている。3つの梱包材(1)は未開封状態であり、一つの梱包材(2)は開封されている状態である。図において、無線の記号は2つの無線タグ(5b、5c)がそれぞれアドバタイジングデータパケットを送信することを示す。アドバタイジングデータパケットは受信機(6)により受信される。アドバタイジングデータパケットはそれぞれ固有識別子と、各梱包材が開封されているか(5c)、または未開封であるか(5b)についての情報も含む(図では示されていない)。
【0084】
図2は、製品用の梱包材(1)に付けられた無線タグ(5)の例を模式的に示す。梱包材(1)は粘着性ストリップ(7)を用いて封止される。粘着性ストリップ(7)を除去する、または線(4)に沿って切断しようとすると、無線タグ(5)の一部である導電性ワイヤ(3)が破損される。無線タグ(5)は、ワイヤ(3)の破損を検出して梱包材(1)が未開封であるか、開封されているかを判定することができるように構成することができる。
【0085】
図3は無線タグ(5)の例を模式的に示す。無線タグ(5)は、環境からのエネルギー(60)を使用する(「収穫する」)エネルギー変換器(54)、例えば誘導コイルを有する。無線タグ(5)はさらに、エネルギー貯蔵部(56)、例えばコンデンサを含むエネルギー管理部(55)を有する。センサ(50)は梱包材状態(開封済/未開封)を検出するのに使用される。制御部(51)は、個々の構成要素を制御し、データおよび信号の流れを調整するために使用される。送信部(52、53)は、アドバタイジングデータパケットを送信するのに使用することができる。データ記憶部(57)は固有識別子と、自由選択で梱包材状態情報を記憶する。
【0086】
図4は受信機(6)の例を模式的に示す。受信機(6)は、アドバタイジングデータパケットを受信するのに使用できる受信部(61、62)を有する。制御部(60)は、個々の構成要素を制御し、データおよび信号の流れを調整するために使用される。位置判定部(65)は、受信機(6)がある場所(位置情報)を判定するのに使用することができる。データ処理部(66)は受信したアドバタイジングデータパケットからデータ(固有識別子および梱包材状態情報)を取り出すため、および取り出されたデータを位置情報に連結するために使用される。送信部(63、64)は、判定されたデータ(固有識別子および梱包材状態情報ならびに位置情報)をネットワークを介してサーバ(図示せず)へ伝達するのに使用することができる。
【0087】
図5は、3つの異なる状態の無線タグ(5a、5b、5c)を例示的に示す。無線タグ(5a、5b、5c)のそれぞれは、導電性ワイヤ(3a、3b、3c)、状態表示器(8a、8b、8c)、および光学的に読み取り可能なコード(9)を有する。
【0088】
無線タグ(5a)の場合、導電性ワイヤ(3a)は損傷していない。無線タグの制御部(図示せず)はセンサ(図示せず)を使用してワイヤ(3a)の導電率を検出し、ワイヤ(3a)が損傷していないことを検出する。制御部は、梱包材が封止されていること(「封止」)を示すよう状態表示器(8a)に促す。この表示は、例えば発光ダイオードまたは液晶ディスプレイを用いて提供される。
【0089】
無線タグ(5b)の場合、導電性ワイヤ(3b)は破損している。制御部は導電率センサを使用してワイヤ(3b)が破損していることを検出し、梱包材が開封されていること(「開封済」)を示すよう状態表示器(8b)に促す。
【0090】
無線タグ(5c)の場合、導電性ワイヤ(3c)は損傷していない。制御部は導電率センサを使用してワイヤ(3c)が損傷していないことを検出し、状態表示器(8c)に梱包材が封止されていること(「封止」)を示すように促す。それに加えて、状態表示器(8c)は購入者/ユーザは製品を使用するのではなく、むしろまず光学コード(9)を読み取るべきであると示すために使用される。光学コードは、購入者/ユーザに追加の情報を提供するインターネットページへ購入者/ユーザを導く。
図1
図2
図3
図4
図5