(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ハイブリッド給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/104 20220101AFI20231228BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20231228BHJP
F24H 15/429 20220101ALI20231228BHJP
【FI】
F24H15/104
F24H1/00 A
F24H15/429
(21)【出願番号】P 2020050566
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和久
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】中塚 悠介
(72)【発明者】
【氏名】田中 博文
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-59713(JP,A)
【文献】特開2013-050294(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0084564(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F24D 1/00-19/10
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプユニットと貯湯タンクと補助熱源機と制御手段とを備えたハイブリッド給湯システムにおいて、
通常運転モードと、緊急時に通常運転モードから移行する応急運転モードを備え、
制御手段は、通常運転モードでは複数回のエラー検知でエラー判定するように設定されており、且つ応急運転モードでの運転中にエラー検知したとき、通常運転モードでの運転中の回数よりも少ない回数のエラー検知でエラー判定することを特徴とするハイブリッド給湯システム。
【請求項2】
前記制御手段は、応急運転モードでの運転中にエラー検知が1回行われるとエラー判定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド給湯システム。
【請求項3】
ヒートポンプユニットと貯湯タンクと燃料ガスを使用する補助熱源機と制御手段とを備えたハイブリッド給湯システムにおいて、
通常運転モードと、緊急時に通常運転モードから移行する応急運転モードを備え、
制御手段は、通常運転モードではエラー毎に設定された設定時間以上のエラー検知でエラー判定するように設定されており、且つ応急運転モードでの運転中は通常運転モードでの運転中よりも短い時間のエラー検知でエラー判定することを特徴とするハイブリッド給湯システム。
【請求項4】
前記エラー判定の対象のエラーは、
凝縮器熱交換異常と、ヒートポンプユニットの圧縮機下流側の冷媒吐出温度異常と、ヒートポンプユニットのファンモータの回転数異常とを含むことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のハイブリッド給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド給湯システムに関し、特に応急運転モードにおいてエラー検知したときのエラー判定を改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプユニット等の運転効率の高い外部熱源機で加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯し、貯湯した湯水を給湯設定温度に調整して給湯するハイブリッド給湯装置が広く実用に供されている。この種のハイブリッド給湯装置は、ヒートポンプユニットと貯湯タンクと燃料ガスを使用する補助熱源機と制御手段などを有するものである。
このハイブリッド給湯装置では、通常の運転状態では、給湯使用の履歴情報に基づく学習制御により給湯使用の約1時間前までにその給湯負荷に対応する湯水を貯湯タンクに貯湯するような制御が実行されている。
【0003】
ところで、地震や台風等によりガス遮断事故が発生して燃料ガスが遮断された場合には、補助熱源機を使用できなくなるため通常運転モードから応急運転モードに切換え、この応急運転モードにおいて電力で動くヒートポンプユニットを作動させて貯湯することが行われる。また、地震や台風等により電力供給が制限された場合には、ヒートポンプユニットを十分に使用できなくなるため通常運転モードから応急運転モードに切換え、この応急運転モードにおいて燃料ガスで動く補助熱源機を作動させて貯湯することが行われる。
【0004】
上記の応急運転モードにおいては、貯湯タンクに極力多くの熱量を貯湯するため、前記の学習制御による貯湯ではなく、貯湯設定温度を高め且つ貯湯タンクを常時満蓄状態にするような運転が行われる。
【0005】
特許文献1には、燃料ガス又は電力の遮断時にはリモコンの選択決定スイッチの操作を介して通常運転モードから応急運転モードに切換え、電力で作動する非燃焼式熱源装置(ヒートポンプユニット等)又は補助熱源機で貯湯タンクに対する沸き上げ運転を行い、リモコンの表示部に応急運転モードを表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような応急運転モードにおいて運転中に、ヒートポンプユニットの冷媒の漏れ、
ヒートポンプユニットと貯湯タンク間の配管の閉塞、ヒートポンプユニットのファンモータの回転数を異常等の種々のエラーが検知される場合がある。
そのようなエラー発生を検知した場合には、夫エラー毎に夫々設定されたエラー判定ロジックに基づくエラー判定を行うことになる。
【0008】
従来は、通常運転モードと応急運転モードにおいて、共通のエラー判定ロジックに基づいてエラー判定を行っていたため、エラー判定に要する時間が長くなり、例えば、ヒートポンプユニットの状態によっては空気圧縮等の危険な状態になる虞があった。
本発明の目的は、応急運転モードにおいては通常運転モードとは異なるエラー判定ロジックに基づいてエラー判定可能なハイブリッド給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のハイブリッド給湯システムは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクと補助熱源機と制御手段とを備えたハイブリッド給湯システムにおいて、通常運転モードと、緊急時に通常運転モードから移行する応急運転モードを備え、制御手段は、通常運転モードでは複数回のエラー検知でエラー判定するように設定されており、且つ応急運転モードでの運転中にエラー検知したとき、通常運転モードでの運転中の回数よりも少ない回数のエラー検知でエラー判定することを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、応急運転モードでの運転中にエラー検知したとき、通常運転モードでの運転中の回数よりも少ない回数のエラー検知でエラー判定するため、エラーを検知した際のエラー判定までの時間を短縮できるため、エラーに迅速に対処することができる。
【0011】
請求項2のハイブリッド給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、応急運転モードでの運転中にエラー検知が1回行われるとエラー判定することを特徴としている。上記の構成によれば、エラー検知が1回行われるとエラー判定するため、最短の時間でエラー判定を行うことができる。
【0012】
請求項3のハイブリッド給湯装置は、ヒートポンプユニットと貯湯タンクと燃料ガスを使用する補助熱源機と制御手段とを備えたハイブリッド給湯システムにおいて、通常運転モードと、緊急時に通常運転モードから移行する応急運転モードを備え、制御手段は、通常運転モードではエラー毎に設定された設定時間以上のエラー検知でエラー判定するように設定されており、且つ応急運転モードでの運転中は通常運転モードでの運転中よりも短い時間のエラー検知でエラー判定することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、応急運転モードでの運転中は通常運転モードでの運転中よりも短い時間のエラー検知でエラー判定するため、エラーを検知した際のエラー判定の時間を短縮できるため、エラーに迅速に対処することができる。
【0014】
請求項4のハイブリッド給湯装置は、請求項1~3の何れか1項の発明において、 前記エラー判定の対象のエラーは、凝縮器熱交換異常と、ヒートポンプユニットの圧縮機下流側の冷媒吐出温度異常と、ヒートポンプユニットのファンモータの回転数異常とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、凝縮器熱交換異常と、冷媒吐出温度異常と、ファンモータの回転数異常に迅速に対処することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本願発明は種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド給湯装置の全体構成図である。
【
図2】この給湯装置を制御するメインルーチンのフローチャートである。
【
図3】前記メインルーチンにおけるエラー検知・判定制御のザブルーチンのフローチャートである。
【
図4】ヒートポンプ熱源機の冷媒漏れエラー検知・判定処理のフローチャートである。
【
図5】循環加熱通路の配管閉塞エラー検知・判定処理のフローチャートである。
【
図6】ヒートポンプ熱源機への異物侵入エラー検知・判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
最初に、
図1に基づいてヒートポンプ給湯装置1(以下、ハイブリッド給湯装置1という)の全体構成について説明する。
【0018】
ハイブリッド給湯装置1は、貯湯給湯ユニット2と、ヒートポンプ熱源機3(ヒートポンプユニット)とを有し、貯湯給湯ユニット2は、貯湯タンク4、ガス燃焼式の補助熱源機5、その他の機器(配管、バルブ、温度センサ等々)と、貯湯給湯ユニット2を覆う外装ケース2aとを備えている。この貯湯給湯ユニット2は、ヒートポンプ熱源機3を駆動して加熱した湯水を貯湯タンク4に貯留し、この貯留した湯水を給湯や浴槽6の湯張りに使用する。また、必要に応じて貯湯タンク4から取り出した湯水もしくは上水を補助熱源機5により加熱して給湯や風呂追焚等に使用可能である。
【0019】
貯湯タンク4の上部には、貯留した湯水を出湯するための出湯通路7が接続されている。貯湯タンク4の下部には、貯湯タンク4に上水源から上水を供給するための給水通路8が接続されている。この給水通路8から分岐したバイパス通路9が出湯通路7に接続され、この接続部に出湯通路7の湯水とバイパス通路9の上水を混合する混合比率を調整可能な湯水混合弁10が介装されている。湯水混合弁10には給湯通路11が接続され、湯水混合弁10で混合された湯水は、給湯通路11を介して図示外の給湯栓等に給湯可能であり、給湯通路11から分岐して追焚通路12に接続する湯張り通路13を介して浴槽6に湯張り可能である。湯張り通路13には、湯張り用の開閉弁13aが設けられている。
【0020】
貯湯タンク4の下部にはヒートポンプ熱源機3に湯水を供給する往き側湯水通路16が接続され、このヒートポンプ熱源機3で加熱された湯水を貯湯タンク4に供給する戻り側湯水通路17が貯湯タンク4の上部に接続されて、貯湯タンク4とヒートポンプ熱源機3の間で湯水が循環可能な循環加熱通路15が形成されている。
【0021】
往き側湯水通路16には、貯湯タンク4からヒートポンプ熱源機3に入水する湯水の入水温度を検知する入水温度センサ18と循環ポンプ19と切換弁20が接続されている。戻り側湯水通路17には、ヒートポンプ熱源機3で加熱された湯水の温度を検知する加熱温度センサ21が接続され、往き側湯水通路16と戻り側湯水通路17とを接続するバイパス通路22が設けられ、往き側湯水通路16とバイパス通路22との接続部には切換弁20が接続されている。ヒートポンプ熱源機3の起動直後等の加熱温度が低い場合に、切換弁20を切換えてヒートポンプ熱源機3で加熱した湯水を再びヒートポンプ熱源機3に送って再加熱することができる。
【0022】
貯湯タンク4の外周部には、貯留された湯水の温度を検知する複数の貯湯温度センサ4a~4dが上下方向に所定間隔おきに設けられている。これら貯湯温度センサ4a~4d及び貯湯タンク4は図示外の保温材により覆われている。出湯通路7には、湯水混合弁10に供給される湯水の出湯温度を検知するための出湯温度センサ7aが接続されている。給水通路8には、上水源から供給される上水の温度を検知するための給水温度センサ8aが接続されている。給湯通路11のうちの湯水混合弁10よりも下流側には、給湯する湯水の流量を検出する流量計11bと、給湯温度を検知するための給湯温度センサ11aが接続されている。
【0023】
貯湯タンク4の湯水を補助熱源機5で加熱するための補助加熱通路23が、出湯通路7から分岐して補助熱源機5に接続されている。補助熱源機5で加熱した湯水を出湯するための補助出湯通路24は、補助加熱通路23の分岐部より下流側の出湯通路7に調整弁25を介して接続されている。補助出湯通路24には温度センサ24aが設けられている。
調整弁25は、補助出湯通路24を通って出湯通路7に供給される湯水流量を調整する。補助加熱通路23には、三方弁26と補助熱源機5に湯水を送るためのポンプ27が介装されている。
【0024】
補助出湯通路24から分岐した熱交換通路28は、三方弁26に接続されている。三方弁26は、貯湯タンク4の湯水又は熱交換通路28の湯水を補助熱源機5に供給可能となるように切換えられる。熱交換通路28には熱交換器29と開閉弁30と温度センサ28aが介装されている。熱交換器29は、追焚ポンプ31の作動により追焚通路12を流れる浴槽6の湯水を補助熱源機5で加熱した湯水との熱交換により加熱する追焚運転に使用される。
【0025】
給水通路8には、逆止弁32と、給水通路8から分岐して熱交換通路28に接続する分岐通路部33が接続されている。バイパス通路9には逆止弁34が介装され、バイパス通路9から分岐して給湯通路11に接続された高温出湯回避通路35には、高温出湯回避電磁弁36が介装されている。尚、以上説明した種々の機器(ポンプ、弁類、センサ類)はマイクロコンピュータを含む制御ユニット43に電気的に接続され、制御ユニット43により制御される。例えば、制御ユニット43に電気的に接続された操作リモコン44が台所や風呂場に設けられている。
【0026】
ヒートポンプ熱源機3は、圧縮機37と、凝縮熱交換器38と、膨張弁39と、蒸発熱交換器40とを冷媒配管41により接続してなるヒートポンプ回路を備えている。このヒートポンプ熱源機3は、冷媒配管41に封入された冷媒を圧縮機37で圧縮して昇温し、循環ポンプ19を駆動して循環加熱回路15を流通する湯水を凝縮熱交換器38において高温の冷媒との熱交換により加熱する。熱交換後の冷媒は、膨張弁39で膨張して外気より低温になり、蒸発熱交換器40において外気から吸熱した後、再び圧縮機37に導入される。
【0027】
圧縮機37の下流側近傍において冷媒配管41には冷媒の吐出温度を検知する吐出温度センサ41aが取付けられている。蒸発熱交換器40は、外気温度を検知する外気温センサ40aとファン40bとファンモータ40cを備えている。ヒートポンプ熱源機3は、圧縮機37と膨張弁39と送風機40b等を制御する補助制御部42を備えている。
【0028】
補助制御部42は、制御ユニット43に通信可能に接続され、制御ユニット43からの指令に従ってヒートポンプ熱源機3を制御する。
ファンモータ40cは補助制御部42によりPWM方式にて駆動制御され、また、ファンモータ40cから補助制御部42へ1回転毎に4つのパルスが出力される。
吐出温度センサ41aで検知された吐出温度と、外気温センサ40aで検知された外気温度は、補助制御部42を介して制御部43に送信される。
【0029】
次に、前記制御ユニット43に組み込まれた種々の制御プログラムについて説明する。
尚、以下の図中の符号Si(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。
図2は、このハイブリッド給湯装置1を制御するメインルーチンのフローチャートである。このメインルーチンがスタートすると、S1において、通常運転モードが設定されてフラグFが「0」に設定される。
【0030】
次に、S2において、災害が発生してガス供給が遮断されるような緊急事態が発生したか否か判定され、緊急事態が発生した場合にはS3において応急運転モードが設定されてフラグFが「1」に設定される。
【0031】
次に、S4では、貯湯タンク4内の湯量が少なくなった場合や、給湯指令が来た場合に、通常の給湯装置と同様に貯湯・給湯制御が実行される。尚、この貯湯制御の開始時には、タイマーT(その計時時間をTとする)がスタートされる。
【0032】
次に、S5では、浴槽6へ注湯する指令が入力された場合に、通常の給湯装置と同様に浴槽6へ注湯する風呂注湯制御が実行される。
次に、S6では、風呂を追い焚きする指令が入力された場合に、通常の給湯装置と同様に風呂を追い焚きする風呂追い焚き制御が実行される。
【0033】
次に、S7では、後述するように、種々のエラーの発生を検知し、エラー判定するエラー検知・判定制御が実行され、その後制御はリターンする。
【0034】
図3は、前記のエラー検知・判定制御に含まれる3つのサブルーチンを示すものであり、
このエラー検知・判定制御が開始されると、S20においてヒートポンプ熱源機3の冷媒漏れエラー検知・判定処理(
図4参照)が実行され、次にS40において循環加熱通路15の配管閉塞エラーの検知・判定処理(
図5参照)が実行され、次にS60においてヒートポンプ熱源機3への異物侵入エラー検知・判定処理(
図6参照)が実行され、その後制御はリターンする。
【0035】
次に、ヒートポンプ熱源機3の冷媒漏れエラー検知・判定処理について、
図4に基づいて説明する。この処理が開始されると、最初にS21において外気温センサ40aで検出される外気温TaがTa≧-7℃か否か判定され、その判定がYesの場合は、S22においてタイマーTの計時時間TがT≧180秒か否か(ヒートポンプ熱交換器3が暖機状態になったか否か)が判定され、S21の判定がNoで外気温Taが-7℃よりも低いときには、タイマーTの計時時間TがT≧600秒か否か(ヒートポンプ熱交換器3が暖機状態になったか否か)が判定される。
【0036】
次に、S22又はS23からS24へ移行し、S24においてフラグFが「0」か否か(つつまり、通常運転モードか否か)判定され、通常運転モードであってフラグFが「0」の場合にはS25へ移行し、フラグFが「1」であって応急運転モードの場合にはS31へ移行する。通常運転モードである場合には、S25においてカウンタCが「0」に初期設定される。
【0037】
S25の次のS26においては、凝縮熱交換器38の吐出温度Tb(つまり、加熱温度センサ21で検知される戻り側湯水通路17を流れる湯水の温度)が(給水温度センサ8aで検知される入水温度+5℃)よりも低い状態を30秒以上継続したか否か判定される。S26の判定がYesの場合はS27においてカウンタCが「1」だけインクリメントされる。
【0038】
次にS28では、カウンタCのカウント値Cが3以上か否か判定され、C≧3でない場合はS26へ戻ってS26~S28が繰返され、S28の判定がYes(つまり、C≧3)になると、S29においてヒートポンプ熱源機3の冷媒漏れエラー発生と判定され、次にS30において操作リモコン44に冷媒漏れエラー発生が報知され、その後この処理は終了する。
【0039】
ヒートポンプ熱源機3において、冷媒配管41から冷媒漏れが発生すると、圧縮機37の下流側における冷媒圧力が立ち上がらず、凝縮熱交換器38による加熱能力が著しく低下するため、S26の判定がYesとなる。
このS26の判定がYesとなるのを3回繰り返した場合には、冷媒漏れが発生したことが確実であるため、S29において冷媒漏れエラー判定を行う。
【0040】
ところで、S24の判定によりフラグFが「1」で、応急運転モードの場合には、S31において、凝縮熱交換器38の吐出温度Tbが(給水温度センサ8aで検知される入水温度+5℃)よりも低い状態を15秒以上継続したか否か判定される。
S31の判定がYesの場合にはS31からS29へ移行し、S29においてヒートポンプ熱源機3の冷媒漏れエラー発生と判定され、次にS30において操作リモコン44に冷媒漏れエラー発生が報知され、その後この制御は終了する。
【0041】
応急運転モードである場合には、迅速にエラー判定を行うために、S31では、凝縮熱交換器38の吐出温度Tbが(給水温度センサ8aで検知される入水温度+5℃)よりも低い状態が例えば15秒以上継続したか否か判定するようになっている。
【0042】
次に、循環加熱通路15の配管閉塞エラー検知・判定処理について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
この処理が開始されると、S41において、フラグFが「0」か否か(通常運転モードか否か)判定れ、通常運転モードであってフラグFが「0」の場合は、S42へ移行する。 S42ではカウンタCが「0」に初期設定される。S41の判定がNoの場合は、S48へ移行する。
【0043】
通常運転モードのとき、S43において、ヒートポンプ熱源機3の圧縮機37の下流の冷媒吐出温度Td(これは、吐出温度センサ41aで検知される)がTd≧(目標吐出温度+20℃)の状態が3秒間継続したか否か判定され、その判定がYesのときはS44へ移行し、その判定がNoのときはこの処理が終了する。S44では、カウンタCが「1」だけインクリメントされ、次にS45においてカウンタCのカウント値Cが3以上か否か判定される。
尚、目標吐出温度は、予め設定されている温度であって例えば80℃である。但し、目標吐出温度の最大値は88℃である。
【0044】
C≧3でない場合はS45からS43へ戻って、S43~S45が繰返され、C≧3になると、S45からS46へ移行してS46において、循環加熱通路15の配管閉塞エラー発生と判定し、S47においては操作リモコン44に配管閉塞エラー発生が報知され、その後この処理が終了する。
【0045】
応急運転モードであって、S41の判定がNoの場合はS48へ移行し、S48においては、圧縮機37の下流の冷媒吐出温度TdがTd≧(目標吐出温度+20℃)の状態が3秒間継続したか否か判定され、その判定がYesのときはS46へ移行し、その判定がNoのときはこの処理が終了する。
【0046】
循環加熱通路15の配管閉塞が発生すると、凝縮熱交換器38へ低温水が供給されなくなって凝縮熱交換器38における冷媒からの熱吸収がなくなるため、圧縮機37の下流の冷媒吐出温度Tdが異常に上昇する。その冷媒の異常な温度上昇をS43において判定し、
異常な温度上昇が3回発生した場合には、循環加熱通路15の配管閉塞が確実に発生したものとしてエラー判定する。
但し、応急運転モードである場合には、配管閉塞のエラー判定を迅速に行うため、S48の条件が1回だけ成立した場合に、エラー判定する。
【0047】
次に、ヒートポンプ熱源機3への異物侵入エラー検知・判定処理について、
図6に基づいて説明する。この処理が開始されると、S61において、フラグFが「0」か否か(つまり、通常運転モードか否か)判定され、通常運転モードであってフラグFが「0」の場合には、S62において、蒸発熱交換器40のファンモータ40cの実回転数Nrが演算される。ファンモータ40cは1回転毎に4つのパルスを制御ユニット43へ出力するため、1分間あたりのパルス数から実回転数を求めることができる。
【0048】
次に、S63においてはファンモータ40cの指令回転数Noが演算される。ファンモータ40cはPWM方式にて駆動制御されているため、ファンモータ40cに出力されている駆動パルスのデューティ比を予め設定されているマップ(デューティ比とモータ回転数の関係を示すマップ)に適用することで、指令回転数Noを演算することができる。
【0049】
次に、S64ではカウンタCが「0」に初期設定され、次のS65においては、(No-Nr)が150rpm以上か否か判定される。ヒートポンプ熱源機3へ異物や水が侵入してきた場合には、ファンモータ40cの回転数が低下するためS65の判定がYesになる。
【0050】
S65の判定がYesの場合は、S66においてカウンタCが「1」だけインクリメントされ、次のS67ではカウンタCのカウント値Cが3以上か否か判定され、その判定がNoのうちはS65へ戻ってS65~S67が繰返され、S67の判定がYesになると、S68においてヒートポンプ熱源機3への異物侵入エラー発生と判定される。
次に、S69において操作リモコン44に異物侵入エラー発生が報知され、その後この処理は終了する。
【0051】
一方、応急運転モードであってS61の判定がNoのときは、S70において、S62と同様に、ファンモータ40cの実回転数Nrが演算され、次のS71においてはS63と同様に、ファンモータ40cの指令回転数Noが演算される。
【0052】
次に、S72においては、S65と同様に、(No-Nr)が150rpm以上か否か判定され、その判定がYesのときは、S68へ移行して、異物侵入エラー発生と判定し、次にS69において、操作リモコン44に異物侵入エラー発生が報知され、その後この処理は終了する。
応急運転モードのときは、エラー判定を迅速に行う必要があるため、S72の条件が1回成立したときに異物侵入エラー発生と判定するようになっている。
【0053】
以上説明したハイブリッド給湯装置1の作用、効果について説明する。
応急運転モードでの運転中にエラー検知したとき、通常運転モードでの運転中の回数よりも少ない回数のエラー検知でエラー判定するため、エラーを検知した際のエラー判定までの時間を短縮できるため、エラーに迅速に対処することができる。
【0054】
応急運転モードでの運転中にエラー検知が1回行われるとエラー判定するため、最短の時間でエラー判定を行うことができる。
例えば、
図4に示す冷媒漏れエラー検知・判定処理においては、S26とS31に示すように、応急運転モードでの運転中は通常運転モードでの運転中よりも短い時間のエラー検知でエラー判定するため、エラーを検知した際のエラー判定の時間を短縮できるため、エラーに迅速に対処することができる。
【0055】
エラー判定の対象のエラーは、ヒートポンプ熱源機3の凝縮器熱交換異常と、ヒートポンプユニット3の圧縮機下流側の冷媒吐出温度異常と、ヒートポンプ熱源機3のファンモータの回転数異常とを含むため、凝縮器熱交換異常と、冷媒吐出温度異常と、ファンモータの回転数異常に迅速に対処することができる。
【0056】
次に、前記実施形態を変更する例について説明する。
1)
図4のサブルーチンに示すした種々の数値は、一例を示すものであって、これらの数値に限定されるものではない。同様に、
図5のサブルーチンに示すした種々の数値は、一例を示すものであって、これらの数値に限定されるものではない。
同様に、
図6のサブルーチンに示すした種々の数値は、一例を示すものであって、これらの数値に限定されるものではない。
【0057】
2)前記
図2のS7を
図2から削除し、このS7のエラー検知・判定制御、つまり、
図4~
図6の処理を、
図2のメインルーチンに対するインターバル割り込みにて実行するように構成してもよい。
3)前記実施形態に係るハイブリッド給湯装置は、一例を示すもので、この給湯装置に限定される訳ではなく、本発明は種々の構成の給湯装置に適用可能である。
4)その他、当業者であれば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加して実施可能であり、本発明とそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ハイブリッド給湯装置
3 ヒートポンプ熱源機
4 貯湯タンク
5 補助熱源機
43 制御ユニット