(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】アクチュエータの遮音構造
(51)【国際特許分類】
F16D 65/28 20060101AFI20231228BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20231228BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20231228BHJP
F16D 125/60 20120101ALN20231228BHJP
【FI】
F16D65/28
B60T13/74 H
F16D121:24
F16D125:60
(21)【出願番号】P 2021054415
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【氏名又は名称】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠帆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暁裕
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150600(JP,A)
【文献】特開2006-051939(JP,A)
【文献】特開2016-223626(JP,A)
【文献】特開2017-116047(JP,A)
【文献】特表2019-520015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00-13/74
F16D 49/00-71/04
F16D 121/24
F16D 125/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームのフレーム外面に対向するアクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フレーム外面の反対側から対向する板状の遮音部を有する遮音部材と、を備え
、
前記遮音部材は、前記車体フレームに固定され、
前記アクチュエータは、前記遮音部材に固定され、
前記遮音部材は、前記フレーム外面に重なって前記車体フレームに固定される固定板部と、前記固定板部の上端縁から曲折し、前記フレーム外面から離間する方向へ延びる中間板部と、前記中間板部の先端縁から上方へ曲折して前記フレーム外面と並行に延び、前記アクチュエータが固定される前記遮音部と、前記固定板部と前記中間板部を連結する板状リブとを有する
ことを特徴とするアクチュエータの遮音構造。
【請求項2】
車体フレームのフレーム外面に対向するアクチュエータと、
前記アクチュエータに前記フレーム外面の反対側から対向する板状の遮音部を有する遮音部材と、を備え、
前記遮音部材は、前記車体フレームに固定される固定板部と、前記遮音部と、前記固定板部と前記遮音部とを連結する中間板部とを有し、前記フレーム外面と前記遮音部と前記中間板部とによって区画される空間を開放して前記アクチュエータの全体を覆わない
ことを特徴とするアクチュエータの遮音構造。
【請求項3】
請求項2に記載の遮音構造であって、
前記アクチュエータは、前記遮音部材に固定される
ことを特徴とするアクチュエータの遮音構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に装備されるアクチュエータの遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の骨格をなす構造部材であるフレームのサイドメンバにおける車幅方向外側の側面に、バッテリ駆動のモータが内蔵された電動駐車ブレーキ装置を固定する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように電動駐車ブレーキ装置等のアクチュエータをフレームの外面に配置すると、アクチュエータの作動音が騒音となるおそれがある。
【0005】
そこで本開示は、アクチュエータの作動音が騒音となることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本開示の第1の態様の遮音構造は、車体フレームのフレーム外
面に対向するアクチュエータと、アクチュエータにフレーム外面の反対側から対向する板
状の遮音部を有する遮音部材と、を備える。遮音部材は、車体フレームに固定され、アクチュエータは、遮音部材に固定される。遮音部材は、フレーム外面に重なって車体フレームに固定される固定板部と、固定板部の上端縁から曲折し、フレーム外面から離間する方向へ延びる中間板部と、中間板部の先端縁から上方へ曲折してフレーム外面と並行に延び、アクチュエータが固定される遮音部と、固定板部と中間板部を連結する板状リブとを有する。
【0007】
上記構成では、フレーム外面と直交する面直方向に沿って、一側から他側に向かってフレーム外面とアクチュエータと遮音部とが並び、フレーム外面と遮音部との間にアクチュエータが配置されるので、アクチュエータの作動音が騒音となることを車体フレームと遮音部材とによって抑制することができる。
【0008】
また、車体フレームと遮音部材との間にアクチュエータが配置されるので、車両走行中に跳ね上げられた石等とアクチュエータとの衝突を車体フレームと遮音部材とによって阻止することができ、アクチュエータの破損を防止することができる。
【0010】
また、アクチュエータを車体フレームに固定せずに遮音部材に固定するので、車体フレームにはアクチュエータの固定点を設ける必要がない。このため、アクチュエータと遮音部材の双方を車体フレームに固定する場合に比べて、車体フレームに設定する固定点を削減することができる。
【0012】
また、アクチュエータから遮音部材に作用するモーメントを板状リブによって受けることができ、遮音部材によるアクチュエータの支持状態を安定させることができる。
本開示の第2の態様の遮音構造は、車体フレームのフレーム外面に対向するアクチュエータと、アクチュエータにフレーム外面の反対側から対向する板状の遮音部を有する遮音部材と、を備える。遮音部材は、車体フレームに固定される固定板部と、上記遮音部と、固定板部と遮音部とを連結する中間板部とを有し、フレーム外面と遮音部と中間板部とによって区画される空間を開放してアクチュエータの全体を覆わない。
本開示の第3の態様は、第2の態様の遮音構造であって、アクチュエータは、遮音部材に固定される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、アクチュエータの作動音が騒音となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の遮音構造を車幅方向外側から視た側面図である。
【
図2】
図1の遮音構造を上方から視た平面図である。
【
図3】
図1のアクチュエータ及びブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。図中の矢印RRは車両の後方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。
【0016】
本実施形態のアクチュエータ1は、電動パーキングブレーキのアクチュエータであり、
図1に示すように、車輪(タイヤ)2の近傍で車体フレーム3に支持される。
【0017】
図1、
図2及び
図5に示すように、車体フレーム3は、車幅方向両側で前後に亘って延びる左右1対のサイドメンバ4(右側のみを図示)と、車幅方向に沿って延びて左右のサイドメンバ4を連結する複数のクロスメンバ5(
図2に1つのクロスメンバ5のみを図示)とを有する。サイドメンバ4は、車幅方向内側へ開口するU形状断面であり、上下方向に起立して車両前後方向(長手方向)に延びるサイドメンバ縦板部6と、サイドメンバ縦板部6の上端縁から車幅方向内側へ曲折するサイドメンバ上板部7と、サイドメンバ縦板部6の下端縁から車幅方向内側へ曲折してサイドメンバ上板部7と相対向するサイドメンバ下板部8とを一体的に有する。
【0018】
アクチュエータ1は、サイドメンバ4にブラケット(遮音部材)10を介して支持され、サイドメンバ縦板部6の車幅方向外側面であるサイドメンバ外側面(フレーム外面)9に車幅方向外側から対向する。
【0019】
図1~
図5に示すように、ブラケット10は、固定板部11と中間板部12とアクチュエータ取付板部(遮音部)13と板状リブ14とを一体的に有する。
【0020】
固定板部11は、サイドメンバ外側面9の下部に車幅方向外側から重なり、前後方向に離間する複数(図示の例では2つ)のボルト15によって、サイドメンバ縦板部6に締結固定される。中間板部12は、固定板部11の上端縁から曲折し、車幅方向外側(サイドメンバ外側面9から離間する方向)へ延びる。
【0021】
アクチュエータ取付板部13は、中間板部12の先端縁(車幅方向外端)から上方へ曲折し、サイドメンバ外側面9と並行に延びる。アクチュエータ1は、サイドメンバ外側面9とアクチュエータ取付板部13との間に配置され、アクチュエータ取付板部13の車幅方向内側面に重なり、前後及び上下に離間する複数(図示の例では4つ)のボルト16によって、アクチュエータ取付板部13に締結固定される。アクチュエータ取付板部13の各ボルト挿通孔(図示省略)にはゴムブッシュ17が取付けられ、アクチュエータ1は、ゴムブッシュ17を介してアクチュエータ取付板部13に弾性支持される。アクチュエータ取付板部13は、アクチュエータ1に車幅方向外側(サイドメンバ外側面9の反対側)から対向し、アクチュエータ1の車幅方向外側面の略全域を車幅方向外側から覆う。
【0022】
板状リブ14は、固定板部11の車幅方向外側面と中間板部12の下面とを連結して中間板部12を下方から支持する平板状の補強部材である。
【0023】
本実施形態によれば、サイドメンバ外側面9と直交する面直方向(車幅方向)に沿って、一側(車幅方向内側)から他側(車幅方向外側)に向かってサイドメンバ外側面9とアクチュエータ1とアクチュエータ取付板部13とが並び、サイドメンバ外側面9とアクチュエータ取付板部13との間にアクチュエータ1が配置されるので、アクチュエータ1の作動音が騒音となることをサイドメンバ4とブラケット10とによって抑制することができる。
【0024】
サイドメンバ縦板部6とブラケット10との間にアクチュエータ1が配置されるので、車両走行中に跳ね上げられた石等とアクチュエータ1との衝突をサイドメンバ4とブラケット10とによって阻止することができ、アクチュエータ1の破損を防止することができる。
【0025】
アクチュエータ1を車体フレーム3に固定せずにブラケット10に固定するので、車体フレーム3にはアクチュエータ1の固定点を設ける必要がない。このため、アクチュエータ1を車体フレーム3に固定し、アクチュエータ1に車幅方向外側から対向する遮音部材をさらに車体フレーム3に固定する場合に比べて、車体フレーム3に設定する固定点を削減することができる。
【0026】
固定板部11と中間板部12とを板状リブ14によって連結しているので、アクチュエータ1からブラケット10に作用するモーメントを板状リブ14によって受けることができ、ブラケット10によるアクチュエータ1の支持状態を安定させることができる。
【0027】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0028】
例えば、アクチュエータ1が対向するフレーム部材はサイドメンバ4に限定されず、他のフレーム部材(例えばクロスメンバ5など)であってもよい。アクチュエータ1が対向するフレーム外面は車幅方向外側の外側面に限定されず、他の面(上面、下面及び車幅方向内側の内側面など)であってもよい。また、アクチュエータ1は電動パーキングブレーキのアクチュエータに限定されず、他のアクチュエータであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、アクチュエータが車体フレームのフレーム外面に対向して配置される車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1:アクチュエータ
2:車輪(タイヤ)
3:車体フレーム
4:サイドメンバ
5:クロスメンバ
6:サイドメンバ縦板部
7:サイドメンバ上板部
8:サイドメンバ下板部
9:サイドメンバ外側面
10:ブラケット(遮音部材)
11:固定板部
12:中間板部
13:アクチュエータ取付板部(遮音部)
14:板状リブ
15,16:ボルト
17:ゴムブッシュ