(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】マシニングセンタ
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20231228BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20231228BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B23Q3/155 G
B23Q11/00 N
B23Q11/08 Z
(21)【出願番号】P 2019160288
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591059445
【氏名又は名称】ホーコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 隆太
(72)【発明者】
【氏名】沖田 裕昭
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/070416(WO,A1)
【文献】特開2003-311569(JP,A)
【文献】特開平09-011078(JP,A)
【文献】実公平07-053869(JP,Y2)
【文献】特開2001-025933(JP,A)
【文献】特開2006-272494(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19702974(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155
B23Q 11/00、08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングセンタであって、
工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、
ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、
前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、
前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、
を備え、
前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射
し、
前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記工具交換位置において使用済みの工具の工具ホルダを取り外すときに流体を噴射する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項2】
マシニングセンタであって、
工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、
ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、
前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、
前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、
を備え、
前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、
前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記工具交換位置において次に使用する工具の工具ホルダを取り付けるときに流体を噴射する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項3】
マシニングセンタであって、
工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、
ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、
前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、
前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、
を備え、
前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、
前記ワークに対する加工が全て終了したら、前記カバーにより前記開口を閉じ、前記洗浄ノズルから流体を噴射しながら工具交換時の前記工具マガジンの回転方向とは逆方向に前記工具マガジンを回転させる、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項4】
マシニングセンタであって、
工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、
ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、
前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、
前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、
を備え、
前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、
前記洗浄ノズルは複数設けられ、
複数の前記洗浄ノズルは、それぞれから噴射した流体が前記工具交換位置に配置される工具ホルダの異なる位置に当たるよう離間して配置される、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項5】
請求項1に記載のマシニングセンタであって、
前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記工具交換位置において次に使用する工具の工具ホルダを取り付けるときに流体を噴射する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載のマシニングセンタであって、
前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記加工室から前記工具交換位置まで移動するときに流体を噴射する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のマシニングセンタであって、
前記主軸が前記加工室から前記マガジン室に移動するとき、前記主軸と前記主軸に取り付けられた工具ホルダと間の隙間に前記洗浄ノズルから噴射される流体が当たるように前記主軸の位置を調整する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載のマシニングセンタであって、
前記ホルダ取付け部から第2の流体を噴射可能に構成され、
前記主軸が前記工具交換位置において次に使用する工具の工具ホルダを取り付けるときに前記ホルダ取付け部から前記第2の流体を噴射する、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のマシニングセンタであって、
前記ワークに対する加工が全て終了したら、前記カバーにより前記開口を閉じ、前記洗浄ノズルから流体を噴射しながら工具交換時の前記工具マガジンの回転方向とは逆方向に前記工具マガジンを回転させる、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【請求項10】
請求項1から3のいずれかに記載のマシニングセンタであって、
前記洗浄ノズルは複数設けられ、
複数の前記洗浄ノズルは、それぞれから噴射した流体が前記工具交換位置に配置される工具ホルダの異なる位置に当たるよう離間して配置される、
ことを特徴とするマシニングセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタに関し、特に、工具ホルダ等の洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタにおいて、工具交換の際に主軸のホルダ取付け部と工具ホルダとの間に切粉等の異物が挟まれると、工具ホルダに取り付けられている工具が主軸に対して傾いた状態となり、この状態で加工を行うと工具の先が振れて加工精度が低下する原因となる。
【0003】
このため、特許文献1に開示されるマシニングセンタにおいては、ホルダ取付け部から下方に向けてクーラントを吐出可能にし、工具交換の際にホルダ取付け部から工具ホルダに向けてクーラントを吐出することで工具ホルダを洗浄するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術によれば、主軸に取付け予定の工具ホルダに付着している異物を除去することが可能である。
【0006】
しかしながら、工具交換はマガジン室内で行われるため、洗浄によってマガジン室内に飛散した異物がホルダ取付け部や取付け予定の工具ホルダに再付着する可能性があり、依然としてホルダ取付け部と工具ホルダとの間に異物が挟み込まれる可能性があった。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、マシニングセンタにおいて、ホルダ取付け部と工具ホルダとの間に切粉等の異物が挟まれるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、マシニングセンタであって、工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、を備え、前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、 前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記工具交換位置において使用済みの工具の工具ホルダを取り外すときに流体を噴射する、マシニングセンタが提供される。
また、本発明の別の態様によれば、マシニングセンタであって、工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、を備え、前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、前記洗浄ノズルは、前記主軸が前記工具交換位置において次に使用する工具の工具ホルダを取り付けるときに流体を噴射する、マシニングセンタが提供される。
また、本発明の別の態様によれば、マシニングセンタであって、工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、を備え、前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、前記ワークに対する加工が全て終了したら、前記カバーにより前記開口を閉じ、前記洗浄ノズルから流体を噴射しながら工具交換時の前記工具マガジンの回転方向とは逆方向に前記工具マガジンを回転させる、マシニングセンタが提供される。
また、本発明の別の態様によれば、マシニングセンタであって、工具の工具ホルダをホルダ取付け部に取付け可能な主軸と、ワークへの加工が行われる加工室と工具マガジンが収容されるマガジン室との間を区画するとともに、前記主軸が通過可能な開口を有する仕切りと、前記開口に設けられる開閉可能なカバーと、前記開口からみて前記主軸と前記工具マガジンとの間で工具交換を行う工具交換位置を挟んで反対側の位置から前記工具交換位置に向けて流体を噴射可能な洗浄ノズルと、を備え、前記工具を交換する際に、前記カバーを開くとともに、前記洗浄ノズルから前記工具交換位置及び前記開口を介して前記加工室に向けて流体を噴射し、前記洗浄ノズルは複数設けられ、複数の前記洗浄ノズルは、それぞれから噴射した流体が前記工具交換位置に配置される工具ホルダの異なる位置に当たるよう離間して配置される、マシニングセンタが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、工具交換位置において着脱される工具ホルダを洗浄することができる。洗浄時にはカバーが開かれるので、洗浄に供された流体や洗浄によって除去された切粉等の異物は開口を介して加工室に向けて飛散し、主軸のホルダ取付け部やマガジン室内の工具ホルダに切粉等の異物が再付着することがない。
【0010】
したがって、本実施形態によれば、工具ホルダをクリーンに保つことができ、主軸のホルダ取付け部と工具ホルダとの間に切粉等の異物が挟まれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るマシニングセンタの概略側面図である。
【
図2】本実施形態に係るマシニングセンタの概略平面図である(主軸ヘッドを除く主軸駆動部は省略)。
【
図3】本実施形態に係るマシニングセンタの概略正面図である(正面壁及び前扉は省略)。
【
図4】主軸に工具が装着される様子を示した図である。
【
図5】本実施形態に係るマシニングセンタを用いてワークを加工するためのプログラムの内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1~
図3は本発明の実施形態に係るマシニングセンタ1の概略構成を示している。
図1は概略側面図、
図2は概略平面図、
図3は概略正面図であり、内部構成を把握しやすいように
図2においては主軸ヘッド51を除く主軸駆動部50を省略し、
図3においては正面壁23及び前扉26を省略している。なお、以下の説明においては、
図1の紙面に直交する方向をX軸方向、
図2の紙面に直交する方向をZ軸方向、
図3の紙面に直交する方向をY軸方向と称する。
【0014】
マシニングセンタ1は、数値制御により加工と工具の自動交換を行う工作機械である。マシニングセンタ1は、潤滑、冷却及び洗浄用の流体としてのクーラント(切削液)を貯蔵するダーティタンク11及びクリーンタンク12が収容されるベース部10と、ベース部10上に設けられてワークWへの加工が行われる加工室20と、同じくベース部10上に設けられて複数の工具Tを保持する工具マガジン31を収容するマガジン室30と、マガジン室30上に設けられて主軸40を3軸方向に移動させる主軸駆動部50と、マシニングセンタ1の背面に設けられてマシニングセンタ1の各部位を制御するコントローラ60と、で構成される。以下、各部の詳細について説明する。
【0015】
[主軸40及び主軸駆動部50]
主軸40は、主軸駆動部50の主軸ヘッド51に回転可能に支持されており、図示しないモータを駆動することによって高速回転することができる。主軸40には、ドリル、エンドミル、フライス等の工具Tが装着される。
【0016】
主軸40の下端には、内面をテーパ面とした略円錐形のホルダ取付け部41が形成されている。工具Tは、同じく略円錐形のテーパ部TPを有する工具ホルダHに取り付けられており、主軸40への工具Tの装着は、工具ホルダHをホルダ取付け部41に取り付けることで行われる。
【0017】
図4は主軸40に工具Tが装着される様子を示している。ホルダ取付け部41に工具ホルダHのテーパ部TPを挿入し(
図4(a)~
図4(b))、クランプ部材42を図示しないアクチュエータによりホルダ取付け部41から離れる方向に変位させると(
図4(c))、クランプ部材42の爪43が工具ホルダHのプルスタットPに係合するとともに工具ホルダHがホルダ取付け部41に引き込まれ、主軸40に工具ホルダHがクランプされる。工具ホルダHをアンクランプするには、逆に、クランプ部材42をホルダ取付け部41に近づく方向に変位させればよい。なお、工具ホルダHの規格は複数種あり、ここに示した工具ホルダH及びホルダ取付け部41の形状は一例である。
【0018】
主軸40の内部には、ホルダ取付け部41の頂点に開口するエア通路44が形成されている。図示しないエア供給源からエア通路44に第2の流体としてのエアを供給すると、エア通路44からホルダ取付け部41に向けてエアを噴射することができる。工具Tを脱着する時は
図4(a)に示すように工具ホルダHがエア通路44に対向する位置に配置されるので、工具ホルダHがクランプされる直前にエア通路44からエアを噴射すると、ホルダ取付け部41及び工具ホルダHに付着している切粉等の異物を吹き飛ばすことができる(エアパージ)。
【0019】
主軸駆動部50は、
図1及び
図3に示すように、主軸ヘッド51と、X軸スライダ52と、Y軸スライダ53とで構成される。主軸ヘッド51は、主軸40を回転可能に支持するとともにZ軸方向にスライド可能にX軸スライダ52に支持され、図示しないZ軸アクチュエータを駆動することでZ軸方向に移動することができる。X軸スライダ52は、X軸方向にスライド可能にY軸スライダ53に支持され、図示しないX軸アクチュエータを駆動することでX軸方向に移動することができる。Y軸スライダ53は、マガジン室30上にY軸方向に延設されたレール54にY軸方向にスライド可能に支持され、図示しないY軸アクチュエータを駆動することでY軸方向に移動することができる。
【0020】
主軸駆動部50はコントローラ60によって制御され、主軸ヘッド51と、X軸スライダ52と、Y軸スライダ53とをそれぞれ移動させると、主軸ヘッド51に支持される主軸40を3軸方向に移動させることができる。これにより、主軸40に装着されている工具TをワークWの加工部位に移動させ、工具Tに応じた加工を行うことができる。なお、加工中は、工具T及び加工部位の潤滑、冷却及び洗浄を行うため、図示しないノズルよりクーラントが工具T及び加工部位に向けて噴射される。加工により発生した切粉、及び、各部位の潤滑及び冷却に供されたクーラントは、ベース部10内のダーティタンク11に集められる。ダーティタンク11内のクーラントは、図示しないスクレーバー式チップコンベアによって切粉等の異物が除去された後、再利用される。
【0021】
[加工室20]
加工室20には、テーブル21が配置される。また、テーブル21には、テーブル21上に載置されるワークWをクランプするための複数のクランプ部22が設けられる。複数のクランプ部22は、コントローラ60からの指令を受けて駆動し、ワークWの所定の部位に係合することによってワークWをクランプする。なお、この例ではテーブル21は固定式であるが、テーブル21を1軸又は2軸周りに回転ないし回動可能にすることでマシニングセンタ1を4軸化あるいは5軸化してもよい。
【0022】
加工室20の上方は主軸40のX軸方向及びY軸方向の移動を妨げないよう略全面が開放している。これに対し、加工室20の周囲は、切粉やクーラントがマシニングセンタ1外やマガジン室30内に飛散しないよう、正面壁23、側壁24及び仕切り25によって囲まれている。
【0023】
正面壁23には、ワークWの搬入及び搬出を行うための開口23aと、開口23aを開閉する前扉26と、前扉26を開閉駆動する前扉駆動部26aが設けられている。前扉26は、加工室20にワークWを搬入する際及び加工室20からワークWを搬出する際に開かれ、ワークWの加工中はマシニングセンタ1外に切粉やクーラントが飛散するのを防止するために閉じられる。前扉駆動部26aはコントローラ60によって制御される。加工室20へのワークWの搬入及び搬出は図示しないロボットアーム、あるいは、作業者によって行われる。
【0024】
仕切り25は加工室20とマガジン室30とを区画する。仕切り25には主軸40が加工室20とマガジン室30内の工具交換位置E(主軸40が工具マガジン31との間で工具交換を行う位置)との間で移動することができるよう開口27が設けられている。この例では開口27は上側が開いた矩形であるが、主軸40が通過できる形状であればこの形状に限定されない。開口27がベース部10に達する場合は、一枚の仕切り25ではなく、一対の仕切り25を開口27の両側に配置する構成であってもよい。つまり、複数の仕切り25の間に形成される隙間であっても本発明でいう「開口」に該当する。
【0025】
開口27には、開口27を開閉するカバー28と、カバー28を開閉駆動するカバー駆動部28aが設けられる。カバー28は、工具Tを交換する際に開かれ、ワークWの加工中はマガジン室30内に切粉やクーラントが飛散するのを防止するために閉じられる。この例ではカバー28はスライド式のカバーであるが、開口27を開閉できるものであればよく、ロール式、旋回式のカバー等であってもよい。カバー駆動部28aはコントローラ60によって制御される。
【0026】
[マガジン室30]
マガジン室30には工具マガジン31が収容されている。工具マガジン31は、マガジン室30の天井32から下方に延びる支柱33を介して回転可能につり下げられており、図示しないモータを駆動することによって回転することができる。工具マガジン31は、
図2に示すように、円盤状であり、外周には複数の工具Tの工具ホルダHを保持するためのスロットSが周方向に等間隔に設けられている。工具マガジン31の回転はコントローラ60によって制御される。
【0027】
なお、ここでは工具マガジン31を円盤状としているが、工具マガジン31の構成はこれに限定されず、例えば、単独又は一対のスプロケットにチェーンを掛け回し、チェーンに複数の工具ホルダ保持部を取り付けた構成であってもよい。
【0028】
開口27の正面に配置されるスロットSにおいて主軸40と工具マガジン31との間で工具交換が行われるので、当該スロットSの位置が工具交換位置Eである。主軸40は開口27を介して加工室20からマガジン室30に入り、工具交換位置Eまで移動することができる。
【0029】
開口27からみて工具交換位置Eを挟んで反対側の位置、すなわち
図2の平面視で工具マガジン31の内側ないし中心寄りには、
図2に示すように、工具交換位置Eに向けて放射状にクーラントを噴射可能な一対の洗浄ノズル34が設けられている。
【0030】
一対の洗浄ノズル34は、工具交換位置Eの中心を通ってY軸方向に延びる線を挟んで両側に離間して、かつ、工具交換位置Eに工具ホルダHが配置されたときの当該工具ホルダHのテーパ部TPと略同じ高さに配置されている。これにより、工具交換位置Eに工具T及び工具ホルダHが配置されている場合は、一対の洗浄ノズル34から噴射されたクーラントが、当該工具ホルダHのテーパ部TPの異なる位置に当たる。
【0031】
具体的には、一方の洗浄ノズル34から噴射されるクーラントは、当該工具ホルダHのテーパ部TPの正面に加え、洗浄ノズル34からみて右側に位置する面にも当たり、他方の洗浄ノズル34から噴射されるクーラントは、当該工具ホルダHのテーパ部TPの正面に加え、洗浄ノズル34からみて左側に位置する面にも当たる。このように、一対の洗浄ノズル34から噴射されたクーラントが工具ホルダHのテーパ部TPの異なる位置に当たるようすることで、当該工具ホルダHのテーパ部TPの広い範囲、この例ではテーパ部TP全体が洗浄されるようにする。
【0032】
また、一対の洗浄ノズル34は開口27の正面に配置されるので、工具交換位置Eに工具ホルダHが配置されていない場合は、一対の洗浄ノズル34から噴射されたクーラントは、工具交換位置E及び開口27を介して、加工室20からマガジン室30へと移動する主軸40及び主軸40に取り付けられている工具ホルダHにも当たり、これら洗浄が行われる。一対の洗浄ノズル34からのクーラントの噴射はコントローラ60によって制御される。
【0033】
なお、この例では洗浄ノズル34を2個設けているが、洗浄ノズル34を3個以上設けるようにしてもよい。また、洗浄ノズル34の位置は
図2に示した位置に限定されず、工具交換位置Eの中心を通ってY軸方向に延びる線上に配置したり、工具交換位置Eに配置される工具ホルダHのテーパ部TPとは異なる高さに配置したりしてもよい。また、一対の洗浄ノズル34の位置に加え、噴射方向、噴射範囲を変えるようにしてもよい。
【0034】
一対の洗浄ノズル34には、切粉等の異物をほぼ含まないクリーンタンク12内のクーラントが図示しないポンプによって送られる。クリーンタンク12内のクーラントは、ダーティタンク11内のクーラントをさらにドラムフィルタ、サイクロンフィルタ等のフィルタ13によって異物をほぼ含まない状態までろ過されたクーラントである。
【0035】
[コントローラ60]
コントローラ60は、CPU、メモリ、入出力インターフェースとしての操作盤61等を含んで構成される。コントローラ60は、以下に説明するプログラムを実行することで、マシニングセンタ1の各部位(主軸駆動部50、洗浄ノズル34、前扉駆動部26a、カバー駆動部28a、クランプ部22等)を制御する。
【0036】
図5は上記マシニングセンタ1を用いてワークWを加工するためのプログラムの内容を示したフローチャートである。各ステップの実行主体はコントローラ60である。以下、各ステップの内容について順に説明する。
【0037】
ステップS1では、コントローラ60は、加工サイクルを開始する。加工サイクルはステップS2以降の一つのワークWに対する一連の加工を指し、コントローラ60は、加工室20にワークWが搬入されたことをもって加工サイクルを開始する。なお、加工室20内へのワークWの搬入はロボットアーム又は作業者によって行われる。
【0038】
ステップS2では、コントローラ60は、前扉駆動部26aを制御し、前扉26を閉める。これにより加工中にマシニングセンタ1外に切粉やクーラントが飛散するのを防止する。
【0039】
ステップS3では、コントローラ60は、テーブル21に設けられた複数のクランプ部22をワークWに近づく方向に駆動してワークWに係合させ、ワークWをクランプする。
【0040】
ステップS4では、コントローラ60は、使用する工具の番号を示す変数Nを1にリセットする。以下の説明において「工具T(N)」はN番目に使用する工具を意味する。
【0041】
ステップS5では、コントローラ60は、工具T(N)を用いた加工を開始する。仕切り25の開口27はカバー28により閉じられているので、加工中に飛散した切粉やクーラントがマガジン室30内に侵入することはない。
【0042】
ステップS6では、コントローラ60は、工具T(N)を用いた加工を終了する。
【0043】
ステップS7では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を洗浄開始点まで移動させる。洗浄開始点は、加工室20内の所定位置であり、例えば、開口27の正面で開口27から200mm離れた位置である。また、コントローラ60は、カバー駆動部28aを制御し、カバー28を開く。
【0044】
ステップS8では、コントローラ60は、洗浄ノズル34を作動させる。このタイミングではいずれの工具ホルダHも工具交換位置Eには配置されていないので、クーラントは、工具交換位置E及び開口27を介して加工室20に向けて噴射される。クーラントの噴射はステップS14又はステップS19で洗浄ノズル34を停止させるまで継続される。
【0045】
ステップS9では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を工具交換位置Eまで移動させる。このとき、コントローラ60は、洗浄ノズル34から噴射されるクーラントが主軸40と主軸40に取り付けられている工具ホルダHとの間の隙間G(
図4(c)参照)に当たるよう主軸40の位置、この例ではZ軸方向位置を調整する。これにより、主軸40と工具ホルダHとの間の隙間Gに入り込んでいる切粉等の異物がマガジン室30に持ち込まれるのを防止する。
【0046】
クーラント及び洗浄によって除去された切粉等の異物は開口27を介して加工室20へと飛散するので、マガジン室30内にある装着予定の工具Tの工具ホルダHに切粉等の異物が再付着することはない。また、隙間Gの洗浄は、主軸40を工具交換位置Eに移動させる間に行われるので、サイクルタイムを悪化させることはない。
【0047】
ステップS10では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を下降させて主軸40に装着されていた工具T及びその工具ホルダHを工具交換位置Eに配置される空きスロットSに戻すとともに、主軸40内のクランプ部材42を工具ホルダHに近づく方向に変位させて主軸40から工具ホルダHをアンクランプする。コントローラ60は、工具ホルダHがアンクランプされ主軸40から取り外されると、主軸駆動部50を制御し、主軸40を上昇させる。
【0048】
この結果、使用済みの工具T(N)の工具ホルダHのテーパ部TPが露出して、洗浄ノズル34から噴射されるクーラントが当該テーパ部TPに当たり、使用済みの工具T(N)の工具ホルダHが洗浄される。使用済みの工具T(N)の工具ホルダHの洗浄は、工具T(N)を工具マガジン31に戻す流れの中で行われるので、サイクルタイムを悪化させることはない。
【0049】
ステップS11では、コントローラ60は、全ての加工が終了したか判断する。コントローラ60は、全ての加工が終了していない場合は処理をステップS12に進め、全ての加工が終了している場合は処理をステップS17に進める。
【0050】
ステップS12では、コントローラ60は、工具マガジン31を時計回りに回転させ、次に使用する工具T(N+1)及びその工具ホルダHを工具交換位置Eまで移動させる。洗浄ノズル34からは、クーラントが工具交換位置Eに向けて、かつ、工具交換位置Eに工具T(N+1)及び工具ホルダHが配置された場合に当該工具ホルダHのテーパ部TPに当たるよう噴射されるので、工具T(N+1)の工具ホルダHは工具交換位置Eに移動する際に洗浄される。
【0051】
クーラント及び洗浄によって除去された切粉等の異物は開口27を介して加工室20へと飛散するので、主軸40のホルダ取付け部41やマガジン室30内にある装着予定の工具Tの工具ホルダHに切粉等の異物が再付着することはない。また、工具T(N+1)の工具ホルダHの洗浄は、工具T(N+1)及びその工具ホルダHを工具交換位置Eまで移動させる間に行われるので、サイクルタイムを悪化させることはない。
【0052】
ステップS13では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を下降させて、次に使用する工具T(N+1)の工具ホルダHを主軸40のホルダ取付け部41に挿入する。このとき、コントローラ60は、エア通路44からエアを噴射させ、ホルダ取付け部41及び工具ホルダHのテーパ部TPに付着しているクーラント、切粉等の異物を吹き飛ばし、ホルダ取付け部41と工具ホルダのテーパ部TPとの間に切粉等の異物が挟み込まれないようにする(エアパージ)。
【0053】
工具T(N+1)の工具ホルダHはステップS12で洗浄済みであるが、このようなエアパージを併用することで、ホルダ取付け部41と工具ホルダHのテーパ部TPとの間への切粉等の異物の挟み込みを効果的に防止する。その後、コントローラ60は、クランプ部材42を工具ホルダHから離れる方向に変位させ、工具T(N+1)の工具ホルダHを主軸40にクランプする。
【0054】
ステップS14では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を洗浄開始点まで移動させる。また、コントローラ60は、洗浄ノズル34を停止させる。
【0055】
ステップS15では、コントローラ60は、カバー駆動部28aを制御し、カバー28により開口27を閉じる。これにより、その後の工具T(N+1)を用いた加工で飛散する切粉やクーラントがマガジン室30内に侵入するのを防止する。
【0056】
ステップS16では、コントローラ60は、使用する工具の番号を示す変数Nに1を加え、処理をステップS5に戻す。
【0057】
一方、ステップS11で全ての加工が完了したと判断された場合は、コントローラ60は処理をステップS11からステップS17に進める。
【0058】
ステップS17では、コントローラ60は、工具マガジン31を逆方向に一回転させる。ステップS8から洗浄ノズル34が継続して作動しているので、洗浄ノズル34からは工具交換位置Eに向けてクーラントが噴射され、工具マガジン31の回転に伴い工具交換位置Eを通過する工具ホルダHの洗浄が行われる。「逆方向」とは、ステップS9での工具マガジン31の回転方向とは逆の回転方向であり、本実施形態においては反時計回りである。これにより、加工に使用した全工具Tの工具ホルダHを洗浄することができる。加えて、工具交換時とは工具ホルダHのテーパ部TPへのクーラントの当たり方が変わるので、仮に工具交換時に十分に洗浄できていない部位がテーパ部TPにあったとしても、そのような部位についても十分に洗浄することができる。
【0059】
なお、工具マガジン31に空きスロットSがある場合や加工に使用する工具Tが一部だけの場合は、工具マガジン31を一回転させる必要はなく、使用済みの一連の工具Tが工具交換位置E(洗浄位置)を通過するのに必要なだけ工具マガジン31を回転させるようにしてもよい。これによりサイクルタイムを短縮することができる。
【0060】
ステップS18では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を下降させて、次の加工サイクルで最初に使用する工具T(1)の工具ホルダHを主軸40のホルダ取付け部41に挿入し、ステップS13と同様にエアパージを行う。そして、コントローラ60は、クランプ部材42を工具ホルダHから離れる方向に変位させ、工具T(1)の工具ホルダHをクランプする。
【0061】
ステップS19では、コントローラ60は、主軸駆動部50を制御し、主軸40を洗浄開始点まで移動させる。また、コントローラ60は、カバー駆動部28aを制御し、開口27をカバー28によって閉じる。これにより、次の加工サイクルで工具T(1)を用いた加工を行う際に、飛散する切粉やクーラントがマガジン室30内に侵入するのを防止する。
【0062】
ステップS20では、コントローラ60は、洗浄ノズル34を停止させる。
【0063】
ステップS21では、コントローラ60は、テーブル21に設けられた複数のチャック22のワークWから離間する方向に回動させ、ワークWをアンクランプする。
【0064】
ステップS22では、コントローラ60は、前扉駆動部26aを制御し、前扉26を開いて加工サイクルを終了する。
【0065】
以上の処理により、複数の工具T(N)を用いたワークWへの加工を行いつつ、工具交換の際に、主軸40と主軸40に取り付けられている工具ホルダHとの間の隙間Gの洗浄、使用済みの工具T(N)の工具ホルダHのテーパ部TPの洗浄、及び、次に使用される工具T(N+1)の工具ホルダHのテーパ部TPの洗浄が行われ、これらの部位がクリーンに保たれる(ステップS5~S16)。
【0066】
また、加工サイクルを終了する際には、加工に使用した全工具Tの工具ホルダHを工具マガジン31を逆方向に回転させながら再洗浄することで、工具交換時の洗浄で洗浄しきれなかった部分の洗浄が行われる(ステップS17~S22)。
【0067】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係るマシニングセンタ1は、ワークWへの加工が行われる加工室20と工具マガジン31が収容されるマガジン室30との間を区画するとともに、主軸40が通過可能な開口27を有する仕切り25と、開口27に設けられる開閉可能なカバー28と、開口27からみて主軸40と工具マガジン31との間で工具交換を行う工具交換位置Eを挟んで反対側の位置から工具交換位置Eに向けて流体としてのクーラントを噴射可能な洗浄ノズル34と、を備える。また、工具Tを交換する際は、カバー28を開くとともに、洗浄ノズル34から工具交換位置E及び開口27を介して加工室20に向けてクーラントを噴射するようにした。
【0069】
本実施形態によれば、工具交換位置Eにおいて着脱される工具ホルダHをクーラントにより洗浄することができる。洗浄時にはカバー28が開かれるので、クーラント及び洗浄によって除去された切粉等の異物は開口27を介して加工室20に向けて飛散し、主軸40のホルダ取付け部41やマガジン室30内の工具ホルダHに切粉等の異物が再付着することがない。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、工具ホルダHをクリーンに保つことができ、主軸40のホルダ取付け部41と工具ホルダHとの間に切粉等の異物が挟まれるのを防止することができる(請求項1に対応する作用効果)。
【0071】
また、主軸40が工具交換位置Eにおいて使用済みの工具Tの工具ホルダHを取り外すときに洗浄ノズル34から流体を噴射するようにしたことで、使用済みの工具Tの工具ホルダHを洗浄することができ、かつ、この洗浄よるサイクルタイムの増加を抑えることができる(請求項2に対応する作用効果)。
【0072】
また、主軸40が工具交換位置Eにおいて次に使用する工具Tの工具ホルダHを取り付けるときに洗浄ノズル34から流体を噴射するようにしたことで、次に使用する工具Tの工具ホルダHを洗浄することができ、かつ、この洗浄によるサイクルタイムの増加を抑えることができる(請求項3に対応する作用効果)。
【0073】
また、主軸40が加工室20から工具交換位置Eまで移動するときに洗浄ノズル34から流体を噴射するようにしたことで、マガジン室30に向けて移動する主軸40及びそれに取り付けられている工具ホルダHを洗浄することができ、これらに付着している切粉等の異物がマガジン室30内に持ち込まれるのを防止することができる。かつ、この洗浄によるサイクルタイムの増加を抑えることができる(請求項4に対応する作用効果)。
【0074】
また、主軸40が加工室20からマガジン室30に移動する際、主軸40と主軸40に取り付けられている工具ホルダHと間の隙間Gに洗浄ノズル34から噴射される流体が当たるように主軸40の位置を調整するようにした。これにより、当該隙間Gに入り込んでいる切粉等の異物を効果的に除去することができる(請求項5に対応する作用効果)。
【0075】
また、ホルダ取付け部41からエアを噴射可能に構成し、主軸40が工具交換位置Eにおいて次に使用する工具Tの工具ホルダHを取り付けるときにホルダ取付け部41から第2の流体としてのエアを噴射するようにした。これにより、ホルダ取付け部41及び工具ホルダHに付着している切粉等の異物をエアで吹き飛ばし、ホルダ取付け部41と工具ホルダHとの間に切粉等の異物が挟み込まれるのをさらに防止することができる(請求項6に対応する作用効果)。なお、上記実施形態では第2の流体としてエアを用いているが、他の流体を用いてもよい。
【0076】
また、ワークWに対する加工が全て終了したら、カバー28により開口27を閉じ、洗浄ノズル34から流体を噴射しながら工具交換時の工具マガジン31の回転方向とは逆方向に工具マガジン31を回転させるようにした。これにより、加工に使用した全工具Tの工具ホルダHを洗浄することができる。加えて、工具交換時とは工具ホルダHへのクーラントの当たり方が変わるので、仮に工具交換時に十分に洗浄できなかった部位があったとしても、そのような部位についても十分に洗浄することができる(請求項7に対応する作用効果)。
【0077】
また、洗浄ノズル34を複数設け、複数の洗浄ノズル34を、それぞれから噴射した流体が工具交換位置Eに配置される工具ホルダHの異なる位置に当たるよう離間して配置するようにした。これにより、工具ホルダHの広い範囲が洗浄されるようにすることができる(請求項8に対応する作用効果)。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0079】
例えば、本実施形態では、マシニングセンタ1が主軸40が垂直に配置される立型であるとして説明したが、本発明が適用可能なマシニングセンタ1は立型に限定されず、主軸40が水平に配置される横型であって適用可能である。
【0080】
また、本実施形態の上記作用効果は、ワークWとして比較的比重の軽いアルミニウム等の軽金属を用い、かつ、クーラントとして水溶性切削液を用いると顕著となるが、ワークW、クーラントの種類はこれに限定されない。
【0081】
また、上記実施形態では、工具交換が行われる間、継続して洗浄ノズル34からクーラントを噴射しているが、クーラントの噴射を断続的に行うようにしてもよい。具体的には、主軸40を工具交換位置Eまで移動させるまでの間(ステップS9)、主軸40から使用済みの工具T(N)の工具ホルダHを取り外す時(ステップS10)、主軸40に次に使用する工具T(N+1)の工具ホルダHを取り付ける時(ステップS13)といった、特定の時期においてのみクーラントを噴射するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、主軸40と主軸40に装着されている使用済みの工具T(N)の工具ホルダHとの隙間G、使用済みの工具T(N)の工具ホルダH、及び、次に使用する工具T(N+1)の工具ホルダHの全てを洗浄しているが、必ずしも全ての洗浄を実施する必要はなく、マシニングセンタ1の仕様(要求される洗浄レベル、他の洗浄装置との関係等)に応じて、必要な洗浄を任意に組み合わせて行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 :マシニングセンタ
20 :加工室
23a :開口
25 :仕切り
27 :開口
28 :カバー
30 :マガジン室
31 :工具マガジン
34 :洗浄ノズル
40 :主軸
41 :ホルダ取付け部
G :隙間
H :工具ホルダ
T :工具
W :ワーク
E :工具交換位置