(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】枠体
(51)【国際特許分類】
F16B 12/02 20060101AFI20231228BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F16B12/02 B
F16B7/20 D
(21)【出願番号】P 2023149671
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521452050
【氏名又は名称】株式会社三協丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼村 豪優
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7038454(JP,B1)
【文献】特許第7133181(JP,B1)
【文献】実開昭49-3802(JP,U)
【文献】特開2016-97153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/02
F16B 7/20
A47B 13/00-13/16
A47B 47/00-47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紙管と、
前記複数の紙管を連結する複数の継ぎ手と、
前記複数の紙管と前記複数の継ぎ手とのうち、少なくとも一部に支持される、板状ないしシート状の付属部材と、を備え、
前記複数の紙管のうちの少なくとも1本の紙管は、軸に沿って延びかつ壁体を内外に貫通するスリットを有し、
前記付属部材は、
主面を有する付属部材本体と、
前記主面から突起し、前記少なくとも1本の紙管が有する前記スリットを貫くように、前記少なくとも1本の紙管に挿入されることにより、前記付属部材の支持位置を保持する少なくとも1つの突起体と、を有する枠体。
【請求項2】
前記付属部材は、板状である、請求項1に記載の枠体。
【請求項3】
前記複数の紙管は4本の紙管であり、
前記複数の継ぎ手は、4個の継ぎ手であり、
前記4個の継ぎ手は、前記4本の紙管が矩形の4辺を構成するように、前記4本の紙管を連結し、
前記少なくとも1本の紙管は、前記4本の紙管であり、
前記付属部材は、前記4個の継ぎ手又は前記4本の紙管に支持され、
前記少なくとも1つの突起体は、前記板状の付属部材の端部において、前記主面から突起する4個の突起体であり、それぞれが前記4本の紙管が有する前記スリットを貫くように、前記4本の紙管に挿入されることにより、前記付属部材の支持位置を保持する、請求項2に記載の枠体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突起体の各々は、挿入される前記スリットに沿って延在する、請求項2に記載の枠体。
【請求項5】
前記少なくとも1本の紙管の各々は、
前記軸に沿って延びかつ壁体を内外に貫通する前記スリットを有する紙管本体と、
前記紙管本体を、前記軸に沿った一部領域において全周にわたって囲む包囲紙管と、を有する、請求項1から4のいずれかに記載の枠体。
【請求項6】
前記少なくとも1本の紙管は、互いに平行かつ上下に配置された2本の紙管であり、
前記付属部材は、前記少なくとも1つの突起体として、前記2本の紙管の前記スリットを貫くように、前記2本の紙管に挿入される突起体を有し、
前記付属部材本体には、情報伝達を目的とした印刷がなされている、請求項1に記載の枠体。
【請求項7】
前記少なくとも1本の紙管は、互いに平行、かつ前記軸に沿った方向から見て多角形の頂点を含む位置に、配置された3本以上の紙管であり、
前記付属部材は、前記少なくとも1つの突起体として、前記3本以上の紙管の前記スリットを貫くように、前記3本以上の紙管に挿入される突起体を有し、
前記付属部材本体はシート状であり、単一の形態、又は複数に分割された形態により、前記軸に沿った方向から見て前記多角形の全ての辺を構成するように配置されることにより、人を収容する空間が形作られる、請求項1に記載の枠体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管を用いた枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
「紙管(しかん)」とは、紙で作られた管であり、トイレットペーパーの芯、ガムテープの芯、賞状の収納筒、段ボールパレットなど、「巻く」・「包む」・「支える」という3機能を中心に、多様な用途がみられる(非特許文献1、2参照)。紙管は紙製であるため、軽量であり、廃棄後には土に戻すこともでき、環境にも優しいという利点がある。
【0003】
従来より、例えば特許文献1,2に開示されるように、支柱、横梁等に紙管を用いた棚、ラック等の家具として機能する枠体(フレーム)が知られている。このような枠体において、天板、棚板等の板体を配置するには、板体を支柱の上に置いたり、上下の支柱の間に挟んだり、横梁の上に置いたりするのが通例であった。
【0004】
これに対して、本願発明者は、紙管にスリットを形成し、このスリットを通して紙管に板体を挿入することにより、美観を向上させ、かつ板体を安定して支持する構造の枠体を開示している(特許文献3)。本願発明者は更に、スリットを通して紙管に挿入される板体の端部に、挿入された紙管の軸方向に延在するリブを設けることにより、板体の曲げ剛性を高めるという、更に改良された構成を開示している(特許文献4)。
【0005】
しかしながら、紙管に形成されたスリットを通して板体の端部を挿入する構成では、板体の設置・除去が容易ではなく、板体を支柱の上に間に挟む構成においても、同様に容易ではない。一方、板体を単に支柱の上に置く構成では、板体の設置・除去は容易であるが、板体の位置ずれや落下を防ぐことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平09-168435号公報
【文献】実全昭60-134908号公報
【文献】特許第7038454号公報
【文献】特許第7133181号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】日本紙工業株式会社のウェブページ「紙管の知識」(https://www.nskg.co.jp/product/tube_chisiki.html)
【文献】日本紙管工業株式会社のウェブページ「紙管について」(http://n-shikan.co.jp/paper-core/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑み、板状ないしシート状である付属部材の設置・除去が容易であり、かつ設置されたときの位置が保持される枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、枠体であって、複数の紙管と、前記複数の紙管を連結する複数の継ぎ手と、前記複数の紙管と前記複数の継ぎ手とのうち、少なくとも一部に支持される、板状ないしシート状の付属部材と、を備えている。前記複数の紙管のうちの少なくとも1本の紙管は、軸に沿って延びかつ壁体を内外に貫通するスリットを有している。そして、前記付属部材は、主面を有する付属部材本体と、前記主面から突起し、前記少なくとも1本の紙管が有する前記スリットを貫くように、前記少なくとも1本の紙管に挿入されることにより、前記付属部材の支持位置を保持する少なくとも1つの突起体と、を有している。
【0010】
この構成によれば、少なくとも1つの突起体を、少なくとも1本の紙管が有するスリットに挿通することにより、付属部材の支持位置が保持される。また、突起体をスリットから抜き出すことにより、付属部材を除去することができる。このように本構成によれば、板状ないしシート状である付属部材の設置・除去が容易であり、かつ設置されたときの位置が保持される。
【0011】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による枠体であって、前記付属部材は、板状である。
【0012】
この構成によれば、付属部材は、板状であるので、支持されるその姿勢によっては、物を載せる台としても利用できる。また、付属部材本体の主面から突起する突起体が紙管のスリットに挿入されるので、付属部本体に相当する板体自身の端部が、スリットを通して紙管に挿入されることにより板体が支持される従来の技術とは異なり、突起体が挿入される紙管により付属部本体が縁取られる、という不都合を生じない。
【0013】
本発明のうち第3の態様によるものは、第2の態様による枠体であって、前記複数の紙管は4本の紙管であり、前記複数の継ぎ手は、4個の継ぎ手であり、前記4個の継ぎ手は、前記4本の紙管が矩形の4辺を構成するように、前記4本の紙管を連結している。前記少なくとも1本の紙管は、前記4本の紙管であり、前記付属部材は、前記4個の継ぎ手又は前記4本の紙管に支持される。そして、前記少なくとも1つの突起体は、前記板状の付属部材の端部において、前記主面から突起する4個の突起体であり、それぞれが前記4本の紙管が有する前記スリットを貫くように、前記4本の紙管に挿入されることにより、前記付属部材の支持位置を保持する。
【0014】
この構成によれば、複数の紙管が、4本であり矩形の4辺を構成するので、ラック、棚、椅子のほか、様々な枠体の構成要素への応用に特に便宜である。更に、付属部材が有する突起体により、対向する紙管同士の距離が保たれる。このため、紙管と継ぎ手とが互いに位置ずれを起こすことにより、付属部材が支持されなくなり落下する、という恐れが解消される。
【0015】
本発明のうち第4の態様によるものは、第2又は第3の態様による枠体であって、前記少なくとも1つの突起体の各々は、挿入される前記スリットに沿って延在する。
【0016】
この構成によれば、突起体により付属部本体の曲げ剛性が高められる。
【0017】
本発明のうち第5の態様によるものは、第1から第4のいずれかの態様による枠体であって、前記少なくとも1本の紙管の各々は、前記軸に沿って延びかつ壁体を内外に貫通する前記スリットを有する紙管本体と、前記紙管本体を、前記軸に沿った一部領域において全周にわたって囲む包囲紙管と、を有している。
【0018】
この構成によれば、スリットが開くような紙管本体の変形が、包囲紙管により抑えられる。すなわち、包囲紙管は、紙管本体を補強する補強体として機能する。
【0019】
本発明のうち第6の態様によるものは、第1の態様による枠体であって、前記少なくとも1本の紙管は、互いに平行かつ上下に配置された2本の紙管である。前記付属部材は、前記少なくとも1つの突起体として、前記2本の紙管の前記スリットを貫くように、前記2本の紙管に挿入される突起体を有している。そして、前記付属部材本体には、情報伝達を目的とした印刷がなされている。
【0020】
この構成によれば、例えば広告、案内などの情報を提示する枠体が実現する。付属部材を容易に交換することができ、それにより、提示する情報を容易に変更することができる。
【0021】
本発明のうち第7の態様によるものは、第1の態様による枠体であって、前記少なくとも1本の紙管は、互いに平行、かつ前記軸に沿った方向から見て多角形の頂点を含む位置に、配置された3本以上の紙管である。前記付属部材は、前記少なくとも1つの突起体として、前記3本以上の紙管の前記スリットを貫くように、前記3本以上の紙管に挿入される突起体を有している。そして、前記付属部材本体はシート状であり、単一の形態、又は複数に分割された形態により、前記軸に沿った方向から見て前記多角形の全ての辺を構成するように配置されることにより、人を収容する空間が形作られる。
【0022】
この構成によれば、例えば災害避難所における仮テントとして使用可能な枠体が実現する。なお、「多角形」とは三角形、四角形を含む、3つ以上の頂点を有する形状である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、板状ないしシート状である付属部材の設置・除去が容易であり、かつ設置されたときの位置が保持される枠体が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施の形態による枠体について、外観を例示する写真である。
【
図2】本発明の別の一実施の形態による枠体について、構成を例示する平面図である。
【
図3】
図2の枠体に用いられる紙管について、構成を例示する斜視図である。
【
図4】
図2の枠体に用いられる付属部材について、下面から見た構成を例示する斜視図である。
【
図5】
図2の枠体のうち、継ぎ手の付近の内部構造について、一例を示す平面断面図である。
【
図6】
図2の枠体のうち、付属部材の突起体と、この突起体を受け入れる紙管との位置関係を例示する垂直断面図である。
【
図7】突起体の別の形態を例示する垂直断面図である。
【
図8】本発明の更に別の実施の形態による枠体について、外観を例示する写真である。
【
図9】
図8の枠体について、構成を例示する側面部分断面図である。
【
図10】本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する側面部分断面図である。
【
図11】本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する側面部分断面図である。
【
図12】本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する平面図である。
【
図13】本発明の更に別の実施の形態による枠体について、継ぎ手の付近の内部構造を例示する平面断面図である。
【
図14】紙管の構成について、更に別の例を示す斜視図である。
【
図15】紙管の構成について、更に別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態による枠体について、外観を例示する写真である。図示例の枠体101は、家庭内キッチン、オフィス等での使用に適したワゴンとして構成されている。枠体101では、多数の紙管10が多数の継ぎ手11によって連結されることにより、骨組が形成されている。4本の紙管10が四角形の連続した4辺を構成するように、4個の継ぎ手11により連結されることにより、矩形の枠体が形成されている。図示例の枠体101の骨組は、このような矩形の枠体が紙管10及び継ぎ手11を通じて、3段に連結されることにより構成されている。図示例では、継ぎ手11には、2本の紙管10を連結する2方向継ぎ手のほか、3本の紙管10を連結する3方向継ぎ手、及び4本の紙管10を連結する4方向継ぎ手が含まれる。図示例では、継ぎ手11は、一例として合成樹脂製である。
【0026】
枠体101を構成する各段の枠体には、板状ないしシート状の付属部材13が支持されている。図示例では、付属部材13は板状であり、合成樹脂製、特に透明アクリル樹脂製である。図示例では、付属部材13は、物品を載置するための載置板を構成している。
【0027】
図2は、本発明の別の一実施の形態による枠体について、構成を例示する平面図である。図示例の枠体102は、長短2種類の4本の紙管10を有している。4本の紙管10は、四角形の連続した4辺を構成するように、4個の継ぎ手11により連結されている。また、4本の紙管10には、板状の付属部材13が支持されている。継ぎ手11は、一例として合成樹脂製である。また、付属部材13は、一例として合成樹脂製、特に透明アクリル樹脂製である。図示例では、継ぎ手11は、2本の紙管10を連結する2方向継ぎ手である。枠体102は、単独で使用することも可能であるが、継ぎ手11に、4本の紙管10を連結する4方向継ぎ手など、3本以上の紙管10を連結する継ぎ手を用いることにより、
図1に例示した枠体101など様々な枠体の構成要素とすることが可能である。
【0028】
図3は、枠体102に用いられる紙管10について、構成を例示する斜視図である。図示例の紙管10は、の紙管本体2と、紙管本体2を囲む包囲紙管15とを有している。紙管本体2は、紙管により構成され、筒状の壁体1を内外に貫通するスリット3を有している。スリット3は、軸5に沿って壁体1の一端から他端にわたって延びている。包囲紙管15は、紙管本体2の軸5に沿った一部に配置され、この一部の外周面に接するように、この一部を囲む紙管である。図示例では、包囲紙管15は、軸5の方向の紙管本体2の両端部に配置されている。紙管10は、紙管本体2のスリット3が一端から他端まで延びているにも拘わらず、包囲紙管15によって強度及び形状保持性が高められる。すなわち、紙管15は、紙管本体2を補強する補強体として機能する。図示例では、紙管本体2及び包囲紙管15の形状は、丸筒状である。以下の実施の形態においても、紙管本体2及び包囲紙管15の形状が丸筒状である例を示すが、本発明において紙管の形状は丸筒状に限られない。
【0029】
図4は、枠体102に用いられる付属部材13について、下面から見た構成を例示する斜視図である。付属部材13は、付属部材本体51と突起体53とを有している。図示例では、付属部材本体51及び突起体53はいずれも、主面を有する板状である。付属部材本体51は主面の形状が略矩形である。突起体53は、付属部材本体51の四辺に沿った端部52において、付属部材本体51の主面から突起し、かつ、各辺に沿って延びるように設けられている。突起体53は、付属部材本体51と一体的に成型されてもよく、接着剤等により付属部材本体51に固着されてもよい。突起体53が、付属部材本体51の各辺に沿って延在するので、付属部本体51の曲げ剛性が高められる。
【0030】
図2に戻って、4本の紙管10の紙管本体2が有する4本のスリット3は、上方を向いて開口している。これらのスリット3を貫くように、付属部材13の4つの突起体53が、それぞれ4本の紙管10に挿入される。それにより、付属部材13は4本の紙管10に支持される。突起体53がスリット3を挿通するので、付属部材13の紙管10に対する位置が拘束される。更に、突起体53がスリット3を挿通するので、対向する紙管10同士の距離が保たれる。このため、紙管10と継ぎ手11とが互いに位置ずれを起こすことにより、付属部材13が支持されなくなり落下する、という恐れが解消される。
【0031】
図5は、枠体102のうち、継ぎ手11の付近の内部構造について、一例を示す平面断面図である。継ぎ手11は、図示例では、本体部17から互いに直交する2方向に向かって、筒状の突出部19が突出している。紙管本体2の内側空洞に突出部19が嵌め込まれることにより、紙管10と継ぎ手11とが連結される。紙管本体2と突出部19とは、接着剤によって互いに固着されても良い。同様に、紙管本体2と包囲紙管15とは、接着剤によって互いに固着されても良い。
【0032】
付属部材13の突起体53は、紙管本体2のスリット3に挿入されている。図示例では、付属部材13は、付属部材本体51が包囲紙管15の頂部に当接することにより、紙管10に支持されている。付属部材本体51に相当する板体自身の端部が、スリットを通して紙管に挿入されることにより板体が支持される従来の技術では、板体が自身よりも頂部の高い紙管10により縁取られる、という問題があった。これに対して、枠体102では、付属部材本体51が紙管10の上に位置するように、付属部材13が支持されるので、従来技術における問題が解消される。
【0033】
図6は、枠体102のうち、付属部材13の突起体53と、スリット3を通して突起体53を受け入れる紙管10との位置関係を例示する垂直断面図である。
図6(a)の例では、付属部材本体51が包囲紙管15の頂部に当接するとともに、突起体53の下端が紙管本体2の内周面底部に当接している。すなわち、付属部材13は、包囲紙管15と紙管本体2との双方に当接することにより、紙管10に支持されている。
図6(b)の例では、付属部材本体51が包囲紙管15の頂部に当接し、突起体53の下端は、紙管本体2の内周面底部から浮いている。すなわち、付属部材13は、包囲紙管15にのみ当接することにより、紙管10に支持されている。
図6(c)の例では、付属部材本体51は包囲紙管15の頂部から浮いており、突起体53の下端が紙管本体2の内周面底部に当接している。すなわち、付属部材13は、紙管本体2にのみ当接することにより、紙管10に支持されている。これらのいずれの形態をも採り得るが、
図6(a)の形態は、付属部材13が紙管10の多くの部位により支持されることから、付属部材13に載せることのできる物体の許容重量が、より高いものとなるという利点が得られる。
【0034】
図7は、突起体53の別の形態を例示する垂直断面図である。
図7(a)に例示する突起体53には、L型アングルが用いられている。
図7(b)に例示する突起体53には、T型アングルが用いられている。図示例のT型アングルは、2本のL型アングルを、例えば接着剤を用いて貼り合わせることにより作られる。これらのL型及びT型アングルは、例えば接着剤を用いて、付属部材本体51に固着される。紙管10と同一の紙材料により、付属部材本体51とともに、これらの突起体53を製造することも可能である。なお、図示例の付属部材本体51は、板状である。
【0035】
図8は、本発明の更に別の実施の形態による枠体について、外観を例示する写真である。図示例の枠体103は、商店等での広告・案内などの情報を提示する媒体として構成されている。枠体103は、互いに平行かつ上下に配置された2本の紙管10を有している。これら2本の紙管10は、鉛直に延びる2本の紙管10と継ぎ手11とを通じて、互いに連結される。下方の紙管10には、枠体103の脚部として機能する水平な紙管10が、継ぎ手11を通じて連結されている。図示例では、鉛直に延びる2本の紙管10にも、スリット3が設けられているが、無くてもよい。図示例では、脚部を構成する紙管10には、スリット3は設けられず、包囲紙管15も付随しない。脚部を構成する紙管10の先端部には、キャップ21が連結されている。キャップ21は、例えば継ぎ手11と同一材料で、継ぎ手11と同様の構造により紙管10の先端部に嵌め込まれる。紙管10とキャップ21とは、例えば接着剤により固着させてもよい。
【0036】
図9は、枠体103について構成を例示する側面部分断面図であり、上下2本の紙管10の紙管本体2については、断面を表している。図示例では、上下2本の紙管10の紙管本体2が有するスリット3は、正面(
図9において右方)を向いている。付属部材本体51の両端部に設けられた突起体53が、これらのスリット3に挿通されることにより、付属部材13は2本の紙管10に支持される。付属部材本体51は、主面が正面を向くので、主面に情報伝達を目的とした印刷を施すことにより、広告・案内などの情報伝達媒体として、枠体103を使用することができる。付属部材13は容易に交換することができ、それにより、提示する情報を容易に変更することができる。図示例では、付属部材本体51は板状であるが、シート状であってもよい。
【0037】
図10は、本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する側面部分断面図である。図示例の枠体104も、枠体103と同様に、商店等での広告・案内などの情報を提示する枠体として構成されている。枠体104も、枠体103と同様に、互いに平行かつ上下に配置された2本の紙管10を有している。
図10においても、
図9と同様に、これら2本の紙管10の紙管本体2については断面を表している。枠体104では、上下に配置された2本の紙管10のうち、上方の紙管10のスリット3は、上方を向いており、下方の紙管10には、正面と背面とを向くように、2本のスリット3が設けられている。シート状である付属部材本体51の両端部に設けられた突起体53が、これらのスリット3に挿通されることにより、付属部材13が2本の紙管に支持される。2つの付属部材13が準備され、一方の付属部材13は、付属部材本体51が正面を向くように支持され、他方の付属部材13は、付属部材本体51が背面を向くように支持される。各付属部材本体51の主面に、情報伝達を目的とした印刷を施すことにより、表裏両方向に広告・案内などの情報を伝える媒体として、枠体104を使用することができる。
【0038】
図示例の上方の紙管10のスリット3に挿通される突起体53のように、突起体53は、付属部材本体51の主面から直角に突起せずに、斜めに突起してもよい。また、正面を向く付属部材本体51と背面を向く付属部材本体51とは、一体に連結していてもよい。この場合には、一枚の付属部材本体51の両端部と中央部とに突起体53が配置される。
【0039】
図11は、本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する側面部分断面図である。図示例の枠体105は、人を収容可能であり、例えば災害避難所における仮テントとして使用可能である。図示例の枠体105は、側面から見て三角形の3頂点と底辺の中央の一点との4つの部位に、互いに平行となるように、4本の紙管10が配置されている。4本の紙管10に設けられるスリット3は、いずれも三角形の外方を向いている。シート状である付属部材本体51に設けられた突起体53が、これらのスリット3に挿通されることにより、付属部材13がこれら4本の紙管10に支持される。図示例では、付属部材13は、正面側(実線で表している)と背面側(点線で表している)の2枚に分割されており、各付属部材13の付属部材本体51には、両端部と中央部とに突起体53が配置されている。これに対し、付属部材13が4枚に分割されていて、各々の付属部本体51の両端部に突起体53が配置されていてもよい。あるいは、付属部材13は、単一であって、例えば図示例において、正面側(実線で表している)と背面側(点線で表している)の付属部材本体51が、例えば、三角形の最も高い頂部において互いに一体に連結していても良い。
【0040】
図12は、本発明の更に別の実施の形態による枠体について、構成を例示する平面図である。図示例の枠体106は、
図2に例示した枠体102の付属部材13が、3分割されており、分割された付属部材13の間に包囲紙管15が追加され、付属部材13の間の間隔を保持するスペーサとして機能している。追加された包囲紙管15も、それらが包囲する紙管本体2に接着剤等により固着されていてもよく、固着されずにスライド可能となっていてもよい。枠体102とは異なり、付属部材13の付属部材本体51は、包囲紙管15ではなく、紙管本体2に直接に支持されている。このように、付属部材13を適宜に分割し、包囲紙管15をそれらの間のスペーサとして用いることが可能である。
【0041】
図13は、本発明の更に別の実施の形態による枠体について、継ぎ手の付近の内部構造を例示する平面断面図である。図示例の枠体107では、継ぎ手11は、本体部17から互いに直交する2方向に向かって、筒状の突出部63が突出している。包囲紙管15を伴わない紙管10の外周面に、突出部63が嵌め込まれることにより、紙管10と継ぎ手11とが連結される。紙管10と突出部63とは、接着剤によって固着されていてもよい。付属部材13の突起体53は、紙管10のスリット3に挿入されている。図示例では、付属部材13は、付属部材本体51が継ぎ手11の突出部63の頂部に当接することにより、継ぎ手11に支持されている。このように、付属部材13は、紙管10(すなわち、紙管本体2又は包囲紙管15)に支持される代わりに、継ぎ手11に支持されても良い。
【0042】
図14は、紙管の構成について、更に別の例を示す斜視図である。図示例の紙管10では、壁体1に形成されるスリット3は、壁体1の両端部の双方(図において左端部と右端部の双方)を残して、軸5に沿って延びている。図示例の紙管10は、軸5の方向の両端部のいずれにもスリット3が無いので、
図3に例示する紙管本体2に比べて、強度及び形状保持性が高められる。このため、両端部に包囲紙管15が無くても、
図3に例示する紙管10と同等の強度及び形状保持性が得られる。
【0043】
図15は、紙管の構成について、更に別の例を示す斜視図である。図示例の紙管10では、壁体1に形成されるスリット3は、壁体1の両端部のうち、一方(図において右端部)のみを残して軸5に沿って延びている。図示例の紙管10は、軸5の方向の両端部のうちの一方にスリット3が無いので、
図3に例示する紙管本体2に比べて、強度及び形状保持性が相応に高められる。
【0044】
(その他の実施の形態)
図1及び
図2に例示した枠体101、102では、板状の付属部材13は4つの突起体53を有していて、それらが4本の紙管10のスリット3に挿入されている。これに対し、付属部材13が、1つの突起体53のみを有し、それが1本の紙管10のスリット3に挿入されてもよい。この形態においても、付属部材13の支持位置が保持される。
【0045】
同様に、
図9及び
図10に例示した枠体103、104において、例えば下方の突起体53が無く、上方の突起体53のみが設けられていてもよい。この形態においても、付属部材13の支持位置は保持される。
【符号の説明】
【0046】
1 壁体、 2 紙管本体、 3 スリット、 5 軸、 10 紙管、 11 継ぎ手、 13 付属部材、 15 包囲紙管、 17 本体部、 19 突出部、 51 付属部材本体、 52 端部、 53 突起体、 63 突出部、 101,102,103,104,105,106,107 枠体。
【要約】
【課題】 板状ないしシート状である付属部材の設置・除去が容易であり、かつ設置されたときの位置が保持される枠体を提供する。
【解決手段】 本開示による枠体は、複数の紙管と、これら複数の紙管を連結する複数の継ぎ手と、複数の紙管と複数の継ぎ手とのうち、少なくとも一部に支持される、板状ないしシート状の付属部材と、を備えている。複数の紙管のうちの少なくとも1本の紙管は、軸に沿って延びかつ壁体を内外に貫通するスリットを有している。そして、付属部材は、主面を有する付属部材本体と、主面から突起し、少なくとも1本の紙管が有するスリットを貫くように、少なくとも1本の紙管に挿入されることにより、付属部材の支持位置を保持する少なくとも1つの突起体と、を有している。
【選択図】
図2