(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】押込装置、及び圧送システム
(51)【国際特許分類】
B65D 88/28 20060101AFI20231228BHJP
F04C 2/107 20060101ALI20231228BHJP
F04D 7/00 20060101ALI20231228BHJP
F04D 3/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D88/28
F04C2/107
F04D7/00 A
F04D3/02 B
(21)【出願番号】P 2019095571
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭
(72)【発明者】
【氏名】高山 裕
(72)【発明者】
【氏名】谷戸 敦
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-101297(JP,A)
【文献】実開昭63-007697(JP,U)
【文献】実開昭51-119276(JP,U)
【文献】特許第5033274(JP,B1)
【文献】実開昭57-094346(JP,U)
【文献】特開2008-267367(JP,A)
【文献】特開2013-011188(JP,A)
【文献】実開昭57-044995(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/28
F04C 2/107
F04D 7/00
F04D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動物を収容するホッパーと、
回転軸を有し、前記ホッパー内において前記回転軸を中心として回転することにより、前記ホッパーの底部側に設けられた取出部に向けて前記流動物を押し込み可能な回転部材と、
出力軸を有し、前記回転部材を回転駆動させるための駆動装置と、
を備えており、
前記駆動装置が、前記ホッパーの下方または側方に配置されており、
前記回転軸が、前記出力軸に対して直接的あるいは間接的に接続されており、
前記ホッパー内において回転不能に立設され
、前記ホッパーに設けられた軸挿通孔を閉塞する鍔状の座部を有し、前記座部による前記軸挿通孔の閉塞箇所よりも前記ホッパーの外側において開口した支柱を有し、
前記支柱に対して
前記開口を介して前記回転軸を回転自在に内挿することにより、前記回転軸が前記流動物と接触しないように配置されることを特徴とする押込装置。
【請求項2】
前記ホッパーが前記駆動装置に対して着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の押込装置。
【請求項3】
前記支柱を前記回転軸に対して着脱自在に接続する接続部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の押込装置。
【請求項4】
前記支柱を前記ホッパーに対して着脱自在に接続する接続部材を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の押込装置。
【請求項5】
前記回転軸の先端側において、前記支柱の端部を閉塞するカバーが連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の押込装置。
【請求項6】
前記回転部材が、
前記支柱の端部を閉塞し、前記回転軸の先端側に連結されるカバーと、
前記回転軸の回転に伴って回転する旋回体とを備え、
前記旋回体が、前記カバーに対して直接的あるいは間接的に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の押込装置。
【請求項7】
前記回転部材が、前記回転軸の回転に伴って回転する旋回体を備えるものであり、
前記旋回体の振れを抑制する振れ抑制部を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の押込装置。
【請求項8】
前記振れ抑制部が、前記ホッパーの底部近傍に設けられることを特徴とする請求項7に記載の押込装置。
【請求項9】
前記ホッパー内において回転不能に立設される支柱を有し、
前記振れ抑制部が、前記支柱に嵌通されるスリーブであることを特徴とする請求項7または8に記載の押込装置。
【請求項10】
前記ホッパーの底部において前記取出部よりも下方側の空間を埋める残液低減部が設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の押込装置。
【請求項11】
前記ホッパーの底部において前記取出部よりも下方側の空間を埋める残液低減部が設けられているものであり、
前記スリーブが、前記残液低減部として機能することを特徴とする請求項9に記載の押込装置。
【請求項12】
前記ホッパーが設置されるベースを備え、
前記駆動装置は前記ベースの下部に設置され、
前記ベースが、ドレン排出部を有することを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の押込装置。
【請求項13】
前記ホッパー内において回転不能に立設される支柱を有し、
前記支柱が、前記ホッパーの上端近傍まで延びていることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の押込装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の押込装置と、
流動物を圧送可能な圧送装置とを有し、
前記圧送装置が、前記取出部に接続されていることを特徴とする圧送システム。
【請求項15】
前記圧送装置が、
ポンプケーシングと、
筒状で内周面が雌ねじ形状に形成され、第一の端部と第二の端部を有し、前記第一の端部が前記ポンプケーシングに接続されるステータと、
雄ねじ形状に形成され、前記ステータに内挿されるロータとを備える一軸偏心ねじポンプであることを特徴とする請求項14に記載の圧送システム。
【請求項16】
前記ステータが、前記第二の端部において、直接的あるいは間接的に前記取出部に対して接続されていることを特徴とする請求項15に記載の圧送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動物を押し込むための押込装置、及び当該押込装置を備えた圧送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されている一軸偏心ねじポンプのようなポンプが、例えば流動物を圧送するための圧送システム等において好適に使用されている。一軸偏心ねじポンプは、流動物が高粘性である等して他のポンプでは圧送しにくい特性を有するものであったとしても、脈動を最小限に抑制しつつ、所望の吐出量で圧送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば上述した一軸偏心ねじポンプのような高性能なポンプを用いたとしても、例えば流動物がポンプの自吸力だけでは吸い込みにくいようなものである場合には、圧送不良が発生する懸念がある。このような問題を抑制するためには、流動物をポンプ側に向けて押し込み可能な押込装置を設けることが望ましい。また、上述した圧送システム以外においても、高粘性である等してスムーズに移動しにくい流動物を取り扱う場合には、流動物を押し込むことができる押込装置があると流動物の取り扱いがしやすくなる。
【0005】
そこで本発明は、流動物をスムーズに押し込み可能な押込装置、及び当該押込装置を備えた圧送システムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の押込装置は、流動物を収容するホッパーと、回転軸を有し、前記ホッパー内において前記回転軸を中心として回転することにより、前記ホッパーの底部側に設けられた取出部に向けて前記流動物を押し込み可能な回転部材と、出力軸を有し、前記回転部材を回転駆動させるための駆動装置と、を備えており、前記駆動装置が、前記ホッパーの下方または側方に配置され、前記回転軸が、前記出力軸に対して直接的あるいは間接的に接続されていることを特徴とする押込装置である。
【0007】
本発明の押込装置では、ホッパーの底部側に取出部が設けられている。また、本発明の押込装置では、ホッパー内において回転軸を中心として回転する回転部材を備えており、ホッパーに導入された流動物を取出部に向けて押し込み可能とされている。そのため、本発明の押込装置では、流動物に作用する重力の影響に加え、回転部材による押し込み効果により、流動物を取出部に向けてスムーズに押し込むことができる。
【0008】
また、本発明の押込装置では、回転軸が駆動装置の出力軸に対して直接的あるいは間接的に接続されている。そのため、ホッパーに導入される流動物が例えば高粘性のものである等しても、回転部材を回転駆動させ、流動物に対して押し込み力を作用させることができる。
【0009】
本発明の押込装置は、駆動装置が、ホッパーの下方または側方に配置されており、ホッパーへの流動物の導入に際して駆動装置が邪魔にならない。そのため、本発明の押込装置は、ホッパーに対する流動物の導入作業も容易に行える。また、本発明の押込装置は、駆動装置がホッパーの下方または側方に設けられたものであり、ホッパーの上方に駆動装置が存在しない。そのため、本発明の押込装置によれば、駆動機からホッパー内の流動物に異物が混入する等の可能性を最小限に抑制できる。さらに、本発明の押込装置は、ホッパーの上方に駆動装置を設ける場合に比べ、押込装置の重心位置が低い。そのため、本発明の押込装置は、設置状態における安定性が高い。従って、本発明によれば、ホッパーへの流動物の導入作業が行いやすく、押し込み動作中も安定した設置状態で動作可能な押込装置を提供できる。
【0010】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパーが前記駆動装置に対して着脱自在に接続されているものであると更に良い。
【0011】
かかる構成によれば、ホッパーと駆動装置とを適宜分解できる。そのため、本発明の押込装置は、例えばホッパーの洗浄や修繕等のメンテナンスを、ホッパーを駆動装置から取り外して行うことができ、利便性が高い。
【0012】
なお、本明細書において、「~に対して接続~」との文言は、一の構成(例えば駆動装置)に対して、他の構成(例えばホッパー)が直接的に接続される場合が含まれることに加え、他の部材を介在させて間接的に接続される場合が含まれる。
【0013】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパー内において回転不能に立設される支柱を有し、前記支柱に対して前記回転軸が回転自在に内挿されるものであると更に良い。
【0014】
かかる構成によれば、ホッパー内における回転軸の露出を抑制し、例えば押込装置の安全性の向上等に資することができる。また、回転軸がホッパー内に露出しており、回転軸と流動物とが接触する構成である場合には軸封を設ける必要があるところ、上述の構成によれば、流動物と接触しないように回転軸を配置させて(回転軸を接液させないことで)、軸封(回転部シール)を設けることを省略することができる。
【0015】
上述した本発明の押込装置は、前記支柱を前記回転軸に対して着脱自在に接続する接続部材を有するものであると更に良い。
【0016】
かかる構成によれば、支柱と回転軸とを適宜分解できる。そのため、本発明の押込装置は、例えば支柱と回転軸とに分けて清掃や修繕等のメンテナンスを行うことができ、利便性が高い。
【0017】
上述した本発明の押込装置は、前記支柱を前記ホッパーに対して着脱自在に接続する接続部材を更に有するものであると良い。
【0018】
かかる構成によれば、支柱とホッパーとを適宜分解できる。そのため、本発明の押込装置は、例えば支柱とホッパーとに分けて清掃や修繕等のメンテナンスを行うことができ、利便性が高い。
【0019】
上述した本発明の押込装置は、前記回転軸の先端側において、前記支柱の端部を閉塞するカバーが連結されているものであると更に良い。
【0020】
かかる構成によれば、支柱の端部から支柱の内側に流動物等の異物が混入するのを抑制できる。
【0021】
上述した本発明の押込装置は、前記回転部材が、前記支柱の端部を閉塞し、前記回転軸の先端側に連結されるカバーと、前記回転軸の回転に伴って回転する旋回体とを備え、前記旋回体が、前記カバーに対して取り付けられていると更に良い。
【0022】
かかる構成によれば、コンパクトな構成で支柱の端部から支柱の内側に流動物等の異物が混入するのを抑制することができる。
【0023】
上述した本発明の押込装置は、前記回転部材が、前記回転軸の回転に伴って回転する旋回体を備えるものであり、前記旋回体の振れを抑制する振れ抑制部を備えるものであれば、更に良い。
【0024】
かかる構成によれば、旋回体の振れを抑制し、例えば旋回体が支柱やホッパーの内壁等に接触して各部に摩耗が発生することや、旋回体がスムーズに回転できなくなること等を防止できる。
【0025】
上述した本発明の押込装置は、前記振れ抑制部が、前記ホッパーの底部近傍に設けられるものであると、更に良い。
【0026】
かかる構成によれば、効率良く回転部材の振れを抑制することができる。
【0027】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパー内において回転不能に立設される支柱を有し、前記振れ抑制部が、前記支柱に嵌通されるスリーブであると良い。
【0028】
かかる構成によれば、複雑な構造を設けることを要さず、回転部材の振れを抑制することができる。
【0029】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパーの底部において前記取出部よりも下方側の空間を埋める残液低減部が設けられるものであると良い。
【0030】
かかる構成によれば、ホッパーの底部に滞留する流動物(残液)を低減させることができる。
【0031】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパーの底部において前記取出部よりも下方側の空間を埋める残液低減部が設けられているものであり、前記スリーブが前記残液低減部として機能するものであってもよい。
【0032】
かかる構成によれば、部品点数の増加を抑制しつつ、回転部材の振れ抑制とホッパー底部の残液低減を達成することができる。
【0033】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパーが設置されるベースを備え、前記駆動装置は前記ベースの下部に設置され、前記ベースが、ドレン排出部を有するものであると良い。
【0034】
かかる構成によれば、水や流動物を効率的に排出して、水や流動物の浸入に起因する駆動装置の破損を抑制することができる。
【0035】
上述した本発明の押込装置は、前記ホッパー内において回転不能に立設される支柱を有し、前記支柱が、前記ホッパーの上端近傍まで延びているものであると良い。
【0036】
かかる構成によれば、支柱と回転軸との間に流動物が浸入することを抑制することができる。
【0037】
本発明の圧送システムは、上述したいずれかの押込装置と、流動物を圧送可能な圧送装置とを有し、前記圧送装置が、前記取出部に接続されていることを特徴とするものである。
【0038】
本発明の圧送システムは、流動物を、押込装置により取出部に向けてスムーズに押し込みつつ、圧送装置により圧送することができる。
【0039】
本発明の圧送システムは、前記圧送装置が、ポンプケーシングと、筒状で内周面が雌ねじ形状に形成され、第一の端部と第二の端部を有し、前記第一の端部が前記ポンプケーシングに接続されるステータと、雄ねじ形状に形成され、前記ステータに内挿されるロータとを備える一軸偏心ねじポンプであると良い。
【0040】
かかる構成によれば、定量性が高く安定して流動物を移送することができる圧送システムを提供することができる。
【0041】
本発明の圧送システムは、前記ステータが、前記第二の端部において、直接的あるいは間接的に前記取出部に対して接続されているものであると更に良い。
【0042】
かかる構成によれば、定量性が高く安定して流動物を移送することができる圧送システムを提供することができる。
【0043】
また、上述の構成によれば、流動物の吸い込み力の低下に対する懸念を回避して、圧送装置にフレキシブルロッド等の長尺のジョイントを用いることができる。
【0044】
より詳細に説明すると、仮に、ステータのケーシング側(第一の端部側)を取出部に接続することとして、流動物をケーシング側の開口から吸い込むこととすると、吸込口(ケーシング側に設けられた開口)からポンプ部に到達するまでの距離が大きくなる(吸込口からポンプ部までの距離が遠くなる)。そのため、ケーシング側の開口(第一の端部)を取出部に接続する構成とし、さらに圧送装置にフレキシブルロッドなどの長尺のジョイントを用いるとすると、ケーシングが長くならざるを得ず、さらに吸込口からポンプ部までの距離が大きくなる。その結果、流動物の押し込み力が足りず、流動物がスムーズにポンプ部に吸い込まれなくなるといった懸念がある。
【0045】
これに対して、上述の構成のように、ステータの第二の端部側(エンドスタッド側)を取出部に接続して圧送装置と押込装置とを接続することで(エンドスタッド側を圧送装置の取出部に接続することで)、吸込口からポンプ部(ロータ・ステータ)までの距離を短くすることができる。言い方を換えれば、上述の構成によれば、押込装置から圧送装置に流動物が押し込まれる起点となる部分(取出部)と圧送装置の流動物を圧送する力が働く部分(ステータの端部)とを、ケーシングを介さずに接続することとなる。これにより、ケーシングの長さ(ケーシングの内部における軸線方向の距離)に関わらず、効率良く押込装置から圧送装置に流動物を送り込むことができる。その結果、圧送装置にフレキシブルロッドのような長尺のジョイントを利用できるという利点がある。また、フレキシブルロッドは、ピンジョイント等と比較してサニタリ性が高く、洗浄しやすいことに加え、ジョイント摩耗のリスクが少ない。そのため、圧送装置にフレキシブルロッドを採用することとすれば、圧送装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、流動物をスムーズに押し込み可能な押込装置、及び当該押込装置を備えた圧送システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の実施形態に係る押込装置、及び押込装置を備える圧送システムを示す側面図である。
【
図4】
図1の押込装置を分解した状態を示す断面図である。
【
図5】
図1の押込装置の回転部材、支柱、及びスリーブを示す分解斜視図である。
【
図6】
図1の押込装置のカバーを示す断面図である。
【
図7】
図1の押込装置の底部近傍及びスリーブを示す断面図である。
【
図8】
図1の押込装置のドレン排出部が設けられた位置を示す断面図である。
【
図9】
図1の圧送システムの圧送装置を示す断面図である。
【
図10】
図1の押込装置の変形例を示している。(a)は第一の変形例、(b)は第二の変形例を示している。
【
図11】
図1の押込装置の第三の変形例を示している。
【
図12】
図1の押込装置の変形例を示している。(a)は第四の変形例、(b)は第五の変形例、(c)は第六の変形例、(d)は第七の変形例を示している。
【
図13】
図1の押込装置の変形例を示している。(a)は第八の変形例、(b)は第九の変形例を示している。
【
図14】
図1の圧送システムにおいて、圧送装置の第二開口を取出部に接続させた状態を示している。(a)は右側面視における模式図、(b)は平面視における模式図である。
【
図15】
図1の圧送システムの押込装置及び圧送装置の着脱の際の動作を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る圧送システムSについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る押込装置10、及び押込装置10を備える圧送システムSを示す側面図である。圧送システムSは、流動物の移送に用いられるものである。
【0049】
図1及び
図2に示すとおり、圧送システムSは、押込装置10、及び圧送装置60を備えている。圧送システムSは、圧送装置60の自吸力だけでは吸い込みにくい流動物を、押込装置10を作動させることで圧送装置60の吸込口に向けて押し込み、圧送装置60への流動物の移送を補助することができる。
【0050】
本実施形態の圧送システムSの移送対象とされる流動物は、例えば、ペースト状あるいはクリーム状の食品材料や化粧品材料、シール剤等の高粘度液とされている。なお、本発明の圧送システムSの移送対象とされる流動物は、高粘度液に限定されない。本発明の圧送システムSは、低粘度液を移送対象としてもよい。
【0051】
図2に示すとおり、押込装置10は、設置された状態において、上方から下方に向けて流動物を押し込むことができる(
図2中の押込方向X参照)。なお、以下の説明において、押込装置10が設置された状態における上下方向を、単に「上下方向H」と記載して説明する場合がある。また、押込装置10が設置された状態における下方を単に「下方h1」と、上方を単に「上方h2」と記載して説明する場合がある。
【0052】
押込装置10は、圧送装置60への流動物の供給を補助するために設けられている。
図2に示すとおり、押込装置10は、駆動装置12、ベース14、ホッパー20、回転部材30、支柱50、及びスリーブ54(振れ抑制部、残液低減部)を備えている。また、
図2に示すとおり、押込装置10には、ホッパー20や支柱50等を接続するための複数(本実施形態では二つ)の接続部材58や、コントローラ80が設けられている。
【0053】
駆動装置12は、回転部材30を回転駆動させるためのものである。
図2に示すとおり、本実施形態では、駆動装置12は、ホッパー20の下方h1に配置されている。また、
図3に示すとおり、駆動装置12は出力軸13を有している。
図3に示すとおり、出力軸13には、後述するシャフト32(回転軸)が接続されている。また、本実施形態の押込装置10では、駆動装置12に対してホッパー20が着脱自在に接続されている。なお、本実施形態では、棒状の軸体とされた出力軸13(中空ではない軸体)を一例として示したが、本発明の押込装置の出力軸は本実施形態に限定されず、中空の軸体(中空軸)であってもよい。また、出力軸を中空軸とする場合、シャフト(回転軸)は中空軸に収容された状態で一体的に接続されているものであってもよい。
【0054】
なお、本実施形態の押込装置10では、駆動装置12がホッパー20の下方h1に配置される例を挙げて説明するが、本発明の押込装置は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の押込装置は、駆動装置12がホッパー20の側方に配置されているものであってもよい(
図10参照)。
【0055】
ベース14は、駆動装置12を覆う箱状の部材である。
図2に示すとおり、ベース14の上方h2には、ホッパー20が設置される。
図8に示すとおり、ベース14には、ドレン排出部15が設けられている。ドレン排出部15は、ベース14の上方h2側から下方h1側に向けて水などを排出させるための貫通孔として設けられている。また、
図8に示すとおり、ベース14には、後述するシャフト32を挿通させるための軸挿通孔14aが設けられている。
【0056】
図2及び
図8に示すとおり、ベース14は駆動装置12を覆うように配置されている。言い方を換えれば、駆動装置12は、ベース14の下部に設置されている。より詳細に説明すると、駆動装置12は、ベース14の内側にボルト等の締結部材(図示を省略)を介して取り付けられている。
【0057】
ホッパー20は、流動物を収容する貯留槽として設けられている。
図3に示すとおり、ホッパー20の上端20bには、流動物の受け入れ口とされた供給開口23が形成されている。ホッパー20は、供給開口23から流動物を供給することができる。ホッパー20の最下部には、軸線方向に貫通する軸挿通孔28が設けられている。また、ホッパー20には、軸挿通孔28から外れた位置に取出部26が設けられている。
【0058】
図3に示すとおり、ホッパー20には、中間部から底部24に向かって外径が縮小するテーパー状の形状とされたテーパー部22が形成されている。また、ホッパー20の底部24は、短円筒状の形状とされている。すなわち、ホッパー20は、上方h2側の供給開口23から下方h1側の底部24に向けて径方向に縮小するような内部空間21が形成されている。
【0059】
図3に示すとおり、ホッパー20の底部24の近傍には、ホッパー20の内部から流動物を排出させる取出部26が設けられている。より具体的に説明すると、取出部26は、テーパー部22の下方h1側であって、底部24の上方h2寄りの位置に形成されている。すなわち、取出部26は、ホッパー20の側方の底部24近傍に形成されている。取出部26には、後述するステータ64が接続されている。取出部26は、ホッパー20の側方の外側に向けて開口しており、後述する圧送装置60の第一開口71を直接的あるいは間接的に接続可能とされている。
【0060】
このように、ホッパー20の下方h1には、軸線方向に向けてシャフト32を挿通させる軸挿通孔28と、側方に向けて貫通する取出部26とが設けられている。言い方を換えれば、押込装置10では、ホッパー20の下方h1側からシャフト32が挿通されるとともに、流動物がホッパー20の側方に向けて排出される。
【0061】
回転部材30は、ホッパー20内においてシャフト32(回転軸)を中心として回転し、ホッパー20の底部24側に設けられた取出部26に向けて流動物を押し込み可能とされている。
【0062】
図3に示すとおり、回転部材30は、シャフト32(回転軸)、カバー34a、及び旋回体36を備えている。本実施形態の押込装置10では、回転部材30は、複数の部材の集合体とされている。なお、
図3等に示すとおり、カバー34aは、連結体34に設けられている。
図3に示すとおり、連結体34は、カバー34a及び連結部34bを備えている。
【0063】
回転部材30は、駆動装置12の出力軸13からシャフト32に回転動力が伝達され、シャフト32を中心として連結体34や旋回体36などの部材が一体的に回転可能とされている。
【0064】
また、
図4に示すとおり、回転部材30は、シャフト32に対して、連結体34や旋回体36を接続及び分離可能とされている。より具体的に説明すると、
図6に示すとおり、回転部材30は、シャフト32に対して連結体34が取付部材35を介して連結されている。また、
図3に示すとおり、連結体34にはスクリューアーム37を介してスクリュー部38が取り付けられている。そのため、回転部材30は、取付部材35を取り外すことにより、シャフト32から連結体34及び旋回体36を分離させることができる。
【0065】
シャフト32(回転軸)は、旋回体36(スクリュー部38や掻取部42等)を回転させるための軸体である。シャフト32は、出力軸13に対して接続されており、ホッパー20内で回転可能に配置されている。
図3に示すとおり、本実施形態の押込装置10のシャフト32は、下方h1側の端部(基端32a)が出力軸13に接続されている。そのため、シャフト32は、下方h1側から駆動装置12の動力が伝達されて回転する。
【0066】
言い方を換えれば、シャフト32は、下方h1側が駆動源である駆動装置12に接続されている。なお、以下の説明において、シャフト32の駆動装置12側(下方h1側)の端部を単に「基端32a」と、上方h2側の端部を単に「先端32b」と記載して説明する場合がある。
【0067】
図3に示すとおり、シャフト32は、ホッパー20の内部空間21内に立設されている。また、シャフト32は、ホッパー20の内部空間21において上下方向Hに縦断するように設置されており、先端32bがホッパー20の上端20b近傍に到達する長さを備えている。
【0068】
なお、本実施形態の押込装置10では、シャフト32が出力軸13に対して直列的に配置された状態で直接的に接続されている例を示したが、本発明の押込装置はこれに限定されない。すなわち、本発明の押込装置のシャフト(回転軸)は、出力軸に対して直接的あるいは間接的に接続可能である。また、本発明の押込装置のシャフトは、後述するとおり、出力軸に対して並列的に配置させるものであってもよい(
図10参照)。
【0069】
図3に示すとおり、連結体34は、シャフト32の先端32bに取り付けられている。連結体34は、カバー34a及び連結部34bを備え、これらが一体とされた部材である。カバー34aは、先端32b側(上方h2側)において、支柱50の上方h2側の端部を閉塞している。言い方を換えれば、カバー34aは、支柱50の内部空間を閉塞する蓋材として機能する。また、連結部34bは、旋回体36をシャフト32に連結する部材として機能する。
【0070】
より詳細に説明すると、
図3及び
図6等に示すとおり、連結体34の連結部34bは、取付部材35によりシャフト32の先端32bに対して取り付けられており、連結部34bには旋回体36が取り付けられている。そのため、連結体34は、シャフト32(回転軸)の回転に伴って一体的に回転する。別の観点から説明すると、押込装置10においては、カバー34aに対して旋回体36が取り付けられている。旋回体36は、カバー34aに対して直接的に取り付けられても、間接的に取り付けられても良い。本実施形態の押込装置10では、カバー34aに対して連結部34bを介して旋回体36が取り付けられている。そのため、カバー34a、連結部34b、及び旋回体36は、シャフト32の回転に伴って一体的に回転する。また、
図3及び
図56に示すとおり、カバー34aには、支柱50の上方h2側の端部が嵌め込まれる。これにより、カバー34aは、支柱50の蓋材としての機能を発揮する。なお、本実施形態ではカバー34aと連結部34bとが一体的なものとされた連結体34を一例として示したが、本発明の押込装置は本実施形態に限定されない。具体的には、本発明の押込装置では、カバーと連結部とを別体として設け、これらを着脱可能としてもよい。
【0071】
旋回体36は、スクリュー部38や掻取部42等を有する部材である。
図3に示すとおり、旋回体36には、スクリュー部38を連結体34に連結するためのスクリューアーム37や、掻取部42をスクリューアーム37に対して連結するための掻取部連結アーム43、複数のスクリューアーム37を連結するリング部材40が設けられている。旋回体36は、連結体34を介してシャフト32から回転動力が伝達され、ホッパー20の内部空間21において回転可能とされている。
【0072】
スクリューアーム37は、スクリュー部38をホッパー20の内部空間21内で支持するために設けられている。
図3や
図5等に示すとおり、本実施形態の回転部材30には、棒状の部材とされた複数(本実施形態では2本)のスクリューアーム37が設けられている。
図4に示すとおり、スクリューアーム37には、スクリュー部38が取り付けられている。スクリューアーム37は、回転部材30がホッパー20の内部空間21に配置された状態において、シャフト32の径方向外側に配置される。
【0073】
図5に示すとおり、スクリューアーム37は、上方h2側の端部が連結体34(連結部34b)に取り付けられるとともに、下方h1側の端部には環状のリング部材40が取り付けられている。すなわち、2本のスクリューアーム37は、上方h2側において連結体34(連結部34b)を介して連結され、下方h1側においてリング部材40を介して連結されている。また、
図3に示すとおり、スクリューアーム37は、スリーブ54に到達する長さを備えており、下方h1側の端部に取り付けられたリング部材40がスリーブ54に接触するように配置されている。
【0074】
スクリュー部38は、流動物を取出部26に向けて押し込むように流動物の流れを形成する部材(押込み部材)として設けられている。
図3に示すとおり、スクリュー部38は、シャフト32の軸線L1回りに螺旋状に形成された羽根状の部材である。スクリュー部38は、回転部材30の中間部分に配置されており、ホッパー20の内部空間21の中間から下方寄りに位置している。そのため、駆動装置12を作動させてシャフト32を回転させると、スクリュー部38がホッパー20内で回転する。なお、本実施形態のスクリュー部は、螺旋状の形状とされたものを一例として示したが、本発明の押込装置はこれに限定されず、複数の羽根状部材が配置されてスクリューを形成するもの等、適宜選択可能である。
【0075】
スクリュー部38は、シャフト32の回転に伴ってシャフト32の軸線L1回りに所定の方向(例えば正方向)に回転することにより、流動物を上方h2から下方h1に向けて押し込むことができる(
図2参照)。そのため、圧送システムSにおいては、スクリュー部38の作用により、ホッパー20に貯留されている流動物を、取出部26から圧送装置60に向けて効率良く供給することができる。
【0076】
掻取部42は、ホッパー20の内壁面20aに付着する流動物を掻き取るために設けられている。
図4に示すとおり、掻取部42は、掻取部連結アーム43を介してスクリューアーム37に連結されている。そのため、掻取部42は、シャフト32の回転に伴ってスクリュー部38とともに軸線L1回りに回転する。なお、本実施形態の押込装置10では、掻取部42を設けた例を示したが、本発明の押込装置は掻取部が設けられないものであってもよい。
【0077】
図4及び
図5に示すとおり、支柱50は、中空の筒状部材であって、一端に鍔状の座部52が形成された部材である。座部52は、支柱50の下方h1側の端部に設けられた短円柱状(円盤状)の部分である。
図3に示すとおり、支柱50は、ホッパー20の上方h2側の端部(上端20b)近傍まで延びている。
【0078】
支柱50は、ホッパー20内において回転不能に立設されている。より具体的に説明すると、支柱50は、ホッパー20に対して後述する第一クランプ部材58a(接続部材58)により接続されており、ホッパー20に対して回転しないように取り付けられている。支柱50の内部には、シャフト32が回転自在に内挿されている。
【0079】
図3に示すとおり、支柱50は、ホッパー20の内部空間21において、上端20bの近傍に至る高さを備えており、カバー34aにより閉塞されている。そのため、押込装置10は、ホッパー20内の流動物が支柱50の内部に浸入することを抑制することができる。
【0080】
図5等に示すとおり、スリーブ54(振れ抑制部56、残液低減部55)は、所定の厚みを有する環状の部材である。
図3に示すとおり、スリーブ54は、支柱50に嵌通されてホッパー20の内部空間21に配置される。より詳細に説明すると、スリーブ54は、支柱50に取り付けられた状態でホッパー20の内部空間21の底部24近傍に配置された状態で設けられている。
【0081】
図5に示すとおり、本実施形態のスリーブ54は、直径の大きさが異なる二つの部分を有する環状部材とされており、段差が形成されている。より具体的には、スリーブ54には、第一構成部54a(残液低減部55)と、第一構成部54aよりも直径が小さい第二構成部54b(振れ抑制部56)とが形成されており、第一構成部54aと第二構成部54bとの間に段差が形成されている。
【0082】
本実施形態のスリーブ54は、回転部材30の回転に伴う振れを抑制する振れ抑制部56としての機能(振れ抑制機能)と、ホッパー20の底部24の内部空間21を埋めてホッパー20の底部24に滞留する流動物(残液)を低減させる残液低減部55としての機能(残液低減機能)との、二つの機能を備えている。また、スリーブ54は、旋回体36のリング部材40と接触して、旋回体36を側方において位置決めしている。
【0083】
スリーブ54の振れ抑制部56としての機能について、より具体的に説明する。スリーブ54は、支柱50に取り付けられてホッパー20の内部空間21に配置された状態において、シャフト32の基端32aの近傍に配置される。また、旋回体36(回転部材30)は、ホッパー20の内部空間21に配置された状態では、第二構成部54b(振れ抑制部56)にリング部材40が嵌め込まれた状態となる。そのため、回転部材30は、下方h1側(シャフト32の根元側)において、リング部材40が第二構成部54bの外周面にガイドされつつ回転する。すなわち、旋回体36(回転部材30)は、下方h1側においてリング部材40が第二構成部54bの外周面と接触して径方向への移動が規制されつつ回転する。これにより、押込装置10は、スクリュー部38などがシャフト32を中心として回転する際の振れを抑制することができる。
【0084】
次いで、スリーブ54の残液低減部55としての機能について、具体的に説明する。スリーブ54は、ホッパー20の底部24において取出部26よりも下方側の空間を埋めてホッパー20の底部24の残液を低減させことができる。より詳細に説明すると、
図7に示すとおり、スリーブ54は、支柱50に取り付けられてホッパー20の内部空間21に配置された状態において、第一構成部54a(残液低減部55)がホッパー20の底部24の内部空間21を埋めるように配置される。言い方を換えれば、スリーブ54は、第二構成部54bがホッパー20の底部24に配置されて、ホッパー20の底面を取出部26が設けられた位置に近づくように底上げする。これにより、押込装置10は、ホッパー20の下部の流動物を取出部26に向けてスムーズに案内し、底部24近傍に滞留する流動物(残液)を低減することができる。
【0085】
接続部材58は、押込装置10を構成する部材を接続するために設けられている。本実施形態の押込装置10における各構成の接続及び分離について、より具体的に説明する。押込装置10における分離構造上、駆動装置12、ベース14、及びシャフト32を仮に「基台側部材」と称して説明すると、本実施形態の押込装置10では、基台側部材に対して、ホッパー20、支柱50、旋回体36(回転部材30)を分離可能とされている。
【0086】
シャフト32(基台側部材)に対して旋回体36を分離させる場合は、先に詳述したとおり、取付部材35を取り外すことにより行い得る。
【0087】
また、
図2及び
図4に示すとおり、本実施形態の押込装置10の接続部材58は、各構成に形成された鍔状の部分をクランプするクランプ部材として設けられている。具体的には、押込装置10には、支柱50及びホッパー20を着脱自在に接続する第一クランプ部材58a(接続部材)と、支柱50及びベース14を着脱自在に接続する第二クランプ部材58b(接続部材)とが設けられている。
【0088】
なお、本発明の押込装置10の接続部材58は、本実施形態に限定されない。すなわち、本発明の押込装置は、一つの接続部材を複数の構成を接続する兼用接続部材(例えばホッパー、支柱、及びベースを接続する部材)としてもよく、別々のものとしてもよい。また、本実施形態に係る押込装置10では、第一クランプ部材58a(接続部材58)により支柱50及びホッパー20を着脱自在とし、第二クランプ部材58b(接続部材58)により支柱50及びベース14を着雑自在とした例を示したが、本発明の押込装置は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の押込装置は、支柱及びホッパーが一体とされたもの(分離ができないもの)、あるいは支柱及びベースが一体とされたものであってもよい。
【0089】
次に、圧送装置60について説明する。圧送装置60は、流動物を圧送可能とされている。また、圧送装置60は、取出部26に接続されている。
【0090】
本実施形態の圧送装置60は、容積型回転ポンプの一軸偏心ねじポンプが採用されている。
図2に示すとおり、本実施形態の圧送装置60は、圧送システムS全体において、押込装置10の側方であって底部24近傍に配置されている。また、本実施形態の圧送システムSでは、圧送装置60は長手方向が横向きとなる姿勢で用いられている。
【0091】
図2及び
図9に示すとおり、圧送装置60は、ポンプケーシング62、ステータ64、ロータ68、動力伝達部74、及び駆動部78を有している。
【0092】
図9に示すとおり、ステータ64の長手方向の両端部のうち、ポンプケーシング62側の第一端部66a(第一の端部)はポンプケーシング62に接続されている。また、ステータ64の第一端部66aと反対側となる第二端部66b(第二の端部)には、エンドスタッド70が設けられている。
【0093】
図9に示すとおり、圧送装置60には、流動物の吸込口及び吐出口として機能する二つの開口が設けられている。具体的に説明すると、圧送装置60には、エンドスタッド70に第一開口71が形成されており、ポンプケーシング62の中間部に第二開口72が形成されている。
【0094】
圧送装置60は、第一開口71を吸込口として機能させ、流動物を所定の流量で搬送することができる。また、圧送装置60は、第二開口72を吐出口として機能させることができる。なお、第二開口72には、移送管(図示を省略)が接続され、移送管を介して流動物を他の容器などに移送することができる。
【0095】
圧送装置60は、ロータ68を正方向に回転させることにより、第一開口71を吸込口、第二開口72を吐出口として機能させることができる。また、ロータ68を逆方向に回転させることにより、圧送装置60は、第二開口72から流動物を吸引して、吸引した流動物を第一開口71から吐出させることができる。
【0096】
ステータ64は、ゴムに代表される弾性体や樹脂などで作成され、略円筒形の外観形状を有する部材である。ステータ64の材質は、圧送装置60の移送対象とされた流動物の種類や性状などにあわせて適宜選択される。
図9に示すとおり、ステータ64には挿通孔65が形成され、内周面64aがn条で単段あるいは多段の雌ねじ形状とされている。本実施形態では、
図9に示すように、ステータ64には、2条で多段の雌ねじ形状とされた挿通孔65が形成されている。
【0097】
本実施形態の圧送装置60では、ステータ64の第二端部66bがエンドスタッド70を介して取出部26に接続されている。
【0098】
なお、本発明の圧送システムSは、本実施形態のように、エンドスタッド70など何らかの部材を介してステータ64の第二端部66bが押込装置10の取出部26に接続されるものであってもよいし、エンドスタッド70等を介さずステータ64が直接取出部26に接続されるものであってもよい。すなわち、本発明の圧送システムでは、ステータの第二端部(第二の端部)を、直接的あるいは間接的に取出部に対して接続可能である。
【0099】
図9に示すとおり、ロータ68は、金属製の軸体であり、n-1条で単段又は多段の雄ねじ形状とされている。本実施形態では、ロータ68は、1条で偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ68は、長手方向のいずれの位置においても断面形状が略真円形とされている。ロータ68は、上述したステータ64に形成された挿通孔65に挿通され、挿通孔65の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【0100】
図9に示すとおり、ロータ68をステータ64に対して挿通すると、ロータ68の外周面68aとステータ64の内周面64aとが両者の接線で密接した状態になり、ステータ64の内周面64aとロータ68の外周面68aとの間に流体搬送路69(キャビティ)が形成される。流体搬送路69は、ステータ64やロータ68の長手方向に向けて螺旋状に伸びている。
【0101】
流体搬送路69は、ロータ68をステータ64の挿通孔65内において回転させると、ステータ64内を回転しながらステータ64の長手方向に進む。そのため、ロータ68を回転させると、ステータ64の一端側から流体搬送路69内に流体(流動物)を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路69内に閉じこめた状態でステータ64の両端のうち他端側に向けて移送し、ステータ64の他端において吐出させることが可能である。
【0102】
動力伝達部74は、駆動部78から上述したロータ68に対して動力を伝達するためのものである。動力伝達部74は、駆動部78のドライブシャフト(図示を省略)とロータ68とを、偏心回転を許容するように連結している。本実施形態の動力伝達部74は、フレキシブルロッド76が用いられている。より具体的に説明すると、
図9に示すとおり、圧送装置60では、ドライブシャフト(図示を省略)の軸線L2に対して、ロータ68の軸線L3が偏心するように設けられており、動力伝達部74は、ドライブシャフトに対するロータ68の偏心回転を許容するように連結している。なお、動力伝達部74は、フレキシブルロッド、オルダムジョイント等、種々選択可能である。
【0103】
<圧送システムについて>
次に、圧送システムSについて説明する。
【0104】
圧送システムSは、取出部26に圧送装置60の第一開口71又は第二開口72を接続させることで、圧送装置60と押込装置10とが接続される。また、取出部26から第一開口71又は第二開口72を取り外すことで、圧送装置60と押込装置10とを分離可能とされている。
【0105】
ここで、押込装置10では、取出部26がホッパー20の側方外側に向けて開口している。そのため、圧送システムSでは、例えば、圧送装置60が既存のものとして用いられている横置きの一軸偏心ねじポンプである場合など、押込装置10を後付けで簡単に接続することができる。
【0106】
より詳細に説明すると、仮に押込装置がホッパーの底部から直下に向けて流動物を取り出すものである場合(取出部がホッパーの軸線方向に沿って設けられている場合)には、押込装置を持ち上げて、圧送装置の吸引口に押込装置を接続及び分離させる必要がある。例えば、
図15(a)に示すように、取出部226がホッパー220の軸線方向に沿って下方に向けて開口するものである押込装置210では、押込装置210と圧送装置260とを接続及び分離する際に、圧送装置260からホッパー220を持ち上げる必要がある。
【0107】
これに対して、
図15(b)に示すとおり、本実施形態の圧送システムSでは、押込装置10を持ち上げることを要さず、圧送装置60を横方向に移動させて押込装置10と圧送装置60とを接続及び分離することができる。また、圧送システムSでは、押込装置10を所定の位置に設置させた状態で(定位置に設置したままで)、圧送装置60を横向きの姿勢のまま押込装置10に接続及び分離することができる。そのため、圧送システムSでは、押込装置10と圧送装置60との接続及び分離を容易に行うことができる。
【0108】
図2に示すとおり、押込装置10が圧送装置60に対して接続された状態では、押込装置10における流動物の押し込み方向(押込方向X)と、圧送装置60における流動物の搬送方向Yとが交差する。すなわち、押込装置10が上方h2から下方h1に向けて(上下方向Hに沿って)流動物を押し込むのに対して、圧送装置60は取出部26から押込方向Xと交差するよう略水平方向に流動物を搬送する。
【0109】
このように、圧送システムSでは、押込装置10により流動物をホッパー20の底部24近傍に設けられた取出部26に案内して、圧送装置60により取出部26から側方に向けて(搬送方向Yに沿って)流動物を搬送可能とされている。そのため、圧送システムSでは、圧送装置の上方に押込装置のホッパーが配置される場合と比較して、装置全体の高さやホッパー20の供給開口23の高さを低くすることができる。その結果、圧送システムSでは、作業者がホッパー20に流動物を供給する場合に、流動物の容器等をさほど高く持ち上げることを要さず、流動物の供給作業に要する負担を軽減することができる。
【0110】
また、押込装置10では、駆動装置12の回転動力がホッパー20の下方h1側からシャフト32に伝達されるようになっている。そのため、押込装置10では、ホッパー20の供給開口23が完全に開放されるとともに、流動物を供給しようとする際に障害となる部品がなく、作業者が流動物の供給作業を行いやすい。また、押込装置10では、駆動装置12がホッパー20の下部に配置されているため、駆動装置12の部品が脱落するなどしても、ホッパー20の内部に落下するなどの懸念を払拭することができる。さらに、押込装置10では、シャフト32が支柱50に覆われており、安全性を高めることができるとともに、軸封を設けることを省略することができる(軸封レスとすることができる)。
【0111】
圧送システムSでは、流動物がホッパー20の内部空間21上方から供給され、スクリュー部38の回転により上方h2から下方h1に向けて(押込方向Xに)搬送される。ホッパー20の底部24に搬送された流動物は、取出部26から圧送装置60に吸引される。
【0112】
ここで、圧送装置60では、ステータ64の両端部(第一端部66a及び第二端部66b)において、流動物を吸引する力が効率的に作用する。圧送システムSでは、ステータ64の第二端部66bがエンドスタッド70を介して取出部26と隣接するように配置されている。言い方を換えれば、圧送システムSでは、ポンプの吸引力が効率的に作用する部分と隣接するように取出部26が配置されている。そのため、圧送システムSは、押込装置10から圧送装置60に流動物を送り込む際に、取出部26からステータ64に至る距離を短くし、効率的に流動物を搬送することができる。
【0113】
さらに、押込装置10には、振れ抑制機能及び残液低減機能を備えるスリーブ54が設けられている。そのため、押込装置10は、スクリュー部38等の旋回体36をシャフト32から径方向に離間させた状態で支持しつつスクリュー部38等の旋回体36の回転ブレを抑制することができることに加え、ホッパー20の底部24に滞留する流動物(残液)を低減することができる。
【0114】
<押込装置の分解及び洗浄について>
上述のとおり、押込装置10は、接続部材58を取り外しすることで、基台側部材(ベース14やシャフト32等)に対して、ホッパー20、支柱50、及び旋回体36(回転部材30)を容易に分解することができる。そのため、これらの部材を分解して洗浄するなど、メンテナンス性を向上させることができる。
【0115】
また、押込装置10は、ホッパー20、支柱50、及び旋回体36(回転部材30)が取り外された状態では、駆動装置12に対してシャフト32が接続された状態のまま、水などをかけて洗浄することができる。さらに、ベース14には、ドレン排出部15が設けられている(
図8参照)。そのため、押込装置10では、上記のようにシャフト32が露出した状態で洗浄する際や、支柱50とシャフト32との間に水や流動物などが浸入した際に、排水経路を形成して水などを排出させ、シャフト32の根元(
図8の根元領域A)に水などが留まることを抑制することができる。その結果、押込装置10は、衛生的に使用できるとともに、駆動装置12側への液漏れを抑制することができる。
【0116】
<変形例について>
続いて、本発明の押込装置の変形例について
図10~
図14を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、上述の実施形態に係る押込装置10等の構成と同じ構成のものについては、押込装置10の説明において付した符号と同一の符号を用いて説明する。
【0117】
上述の実施形態に係る押込装置10では、駆動装置12の出力軸13とシャフト32(回転軸)とを直列的に接続し、ホッパー20の下部(直下)に駆動装置12を配置させた例を示したが、本発明の押込装置はこれに限定されない。
【0118】
例えば、
図10(a)に示す押込装置100や
図10(b)に示す押込装置105のように、駆動装置12はホッパー20の側方に配置されるものであってもよい。
【0119】
具体的には、
図10(a)に示す押込装置100のように、出力軸13とシャフト32とを並列的に配置して、動力伝達機構102を介して出力軸13の回転動力がシャフト32に伝達されるものであってもよい。具体的には、出力軸13に設けられるプーリ102bと、シャフト32に設けられるプーリ102aと、ベルト等の伝達部材102cとにより動力伝達機構102を構成するものであってもよい。また、シャフト32を支持するベアリング104が設けられるものであってもよく、駆動装置12はモータ台103に積置されるものであってもよい。なお、
図10(a)では、ベース14の上方に動力伝達機構102を配置させた例を示したが、シャフト32及び出力軸13をベース14に対して貫通させ、ベース14の下方に動力伝達機構102を配置させたものであってもよい。
【0120】
また、
図10(b)に示す押込装置105のように、シャフト32をホッパー20内で上下方向Hに向くように配置させ、出力軸13をシャフト32の軸線と交差するように配置させたものであってもよい。この場合、プーリ106a、プーリ106b、ローラ106d、及び伝達部材106c等により動力伝達機構106を構成し、軸線が交差するように配置された出力軸13からシャフト32に向けて回転動力が伝達されるものであってもよい。なお、出力軸13からシャフト32に対して傘歯車などを用いて動力が伝達されるものであってもよい。
【0121】
上述の実施形態に係る押込装置10では、クランプ部材とされた接続部材58により、ベース14等の基台側部材に対してホッパー20等を着脱可能とした例を示したが、本発明の押込装置はこれに限定されない。例えば、
図11に示す押込装置110のようにボルト112を締結部材として用いてベース14等の基台側部材に対してホッパー20’等を着脱可能としてもよい。
図11に示す押込装置110では、ボルト112bによりベース14に対して支柱50’を着脱可能とし、ボルト112aにより支柱50’及びホッパー20’を着脱可能とされている。
【0122】
上述の実施形態に係る押込装置10では、スリーブ54が振れ抑制部56及び残液低減部55として機能する例を示したが、本発明の押込装置はこれに限定されない。
【0123】
例えば、
図12(a)に示す押込装置120のように、振れ抑制部56及び残液低減部55として機能するスリーブ121を設け、スリーブ121が旋回体36(回転部材30)に一体的に設けられるものであってもよい。
【0124】
また、
図12(b)に示す押込装置122のように、リング部材40が支柱50に挿通され、リング部材40の内周面が支柱50の外周面と接触して振れ抑制部56として機能するものであってもよい。また、残液低減部55として機能するスリーブ123を設けてもよい。すなわち、本発明の押込装置は、
図12(b)に示す押込装置122のように、残液低減部55と振れ抑制部56とが別体として設けられるものであってもよい。
【0125】
さらに、
図12(c)に示す押込装置124のように、環状部材126が支柱50に挿通され、環状部材126の内周面が支柱50の外周面と接触して振れ抑制部56として機能するものであってもよい。また、ホッパー20の底部24に残液低減部55として機能する底上部125を設けてもよい。
【0126】
さらに、
図12(d)に示す押込装置127のように、振れ抑制部56として機能する第二構成部128bと、残液低減部55として機能する第一構成部128aとを備えるスリーブ128が設けられるものであり、リング部材40の外周面がスリーブ128(第二構成部128b)と接触するものであってもよい。
【0127】
このように、本発明の押込装置は、振れ抑制部及び残液低減部を一体的な部材として設けてもよいし、これらを別体の部材として設けてもよい。また、振れ抑制部は、旋回体36の一部(例えばリング部材)が径方向への位置ズレを抑制されつつ周方向への回転が許容されるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0128】
例えば、
図13(a)に示す押込装置130のように、振れ抑制部56として機能するスリーブ54を設けつつ、さらにスクリュー部38がホッパー20の内壁面20aと接触することで、旋回体36の径方向への位置ズレが抑制されるものであってもよい。なお、この場合には、スクリュー部38に樹脂ライニングなどが施されることが望ましい。
【0129】
上述の実施形態に係る押込装置10では、シャフト32や支柱50の上端がホッパー20の上端20b近傍であって上端20bよりも低い位置となる例を示したが、本発明の押込装置はこれに限定されない。例えば、
図13(b)に示す押込装置140のように、支柱50やシャフト32は、ホッパー20の上端20bの高さP1よりも上方の位置P2となる高さを備えるものであってもよい。これにより、支柱50とシャフト32との間に流動物が浸入することをより確実に抑制することができる。
【0130】
また、上述の実施形態の圧送システムSでは、圧送装置60の第一開口71が取出部26に接続された例を示したが、本発明の圧送システムはこれに限定されない。例えば、
図14に示すとおり、圧送装置60は、ポンプケーシング62側の開口(第二開口72)を取出部26に接続してもよい。すなわち、圧送システムSは、取出部26から第二開口72に流動物が供給され(ポンプケーシング62側から流動物を吸い込んで)、第一開口71(エンドスタッド70側)から流動物を吐出させるように用いられるものであってもよい。
【0131】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明によれば、高粘度液などを搬送する際の押込装置として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0133】
10 押込装置
12 駆動装置
13 出力軸
14 ベース
15 ドレン排出部
20 ホッパー
20a 内壁面
20b 上端
24 底部
26 取出部
30 回転部材
32 シャフト(回転軸、回転部材)
34a カバー(回転部材)
36 旋回体(回転部材)
37 スクリューアーム(旋回体、回転部材)
38 スクリュー部(旋回体、回転部材)
40 リング部材(旋回体、回転部材)
50 支柱
50’ 支柱
54 スリーブ(残液低減部、振れ抑制部)
54a 第一構成部(残液低減部)
54b 第二構成部(振れ抑制部)
55 残液低減部
56 振れ抑制部
58 接続部材
58a 第一クランプ部材(接続部材)
58b 第二クランプ部材(接続部材)
60 圧送装置
62 ポンプケーシング
64 ステータ
66a 第一端部(第一の端部)
66b 第二端部(第二の端部)
68 ロータ
100 押込装置
105 押込装置
110 押込装置
112 ボルト(接続部材)
112a ボルト(接続部材)
112b ボルト(接続部材)
120 押込装置
121 スリーブ(残液低減部、振れ抑制部)
122 押込装置
123 スリーブ(残液低減部)
125 底上部
126 環状部材(振れ抑制部)
127 押込装置
128 スリーブ(残液低減部、振れ抑制部)
130 押込装置
140 押込装置
S 圧送システム