(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】梱包具
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B65D81/05
(21)【出願番号】P 2019190977
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】514037549
【氏名又は名称】大洋紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正明
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175316(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199403(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01149774(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-81/30
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包対象物を梱包するために用いられる梱包具であって、
フィルムと、
前記フィルムが取り付けられた板状部材と
を備え、
前記フィルムと前記板状部材とによって、2つの開口端部を有する開口が形成されており、
前記板状部材は、折曲げ線を介して区画されており、
前記折曲げ線は、
前記開口端部が延在する方向に交差する方向に対して平行に延びる平行折曲げ線と、
前記開口端部が延在する方向に平行に延びる交差折曲げ線と
を含み、
前記板状部材は、
前記板状部材の外周縁の一部を構成し前記平行折曲げ線に対向する辺と、
基準面と、前記平行折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な平行折曲げ面と、前記辺から切り込まれており、前記辺から凹んで前記交差折曲げ線に接続する凹部とを含むベース面と、
前記交差折曲げ線を介して前記ベース面に隣接し折曲げ可能な交差折曲げ面と
を有し、
前記交差折曲げ面は、交差折曲げ本体部と、交差折曲げ本体部の端部から突出する凸部とを有し、
前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられていない状態で、前記辺から切り込まれており、前記凹部と対向して前記交差折曲げ線に接続し、
前記基準面と前記フィルムとの間の隙間に前記梱包対象物を配置可能であり、
前記基準面に対する前記平行折曲げ面の折曲げ状態が変化することに伴って、前記フィルムが前記梱包対象物に接触した状態で張られることにより、前記梱包対象物が前記板状部材に押し付けられるように構成されており、
前記板状部材は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられることによって、前記平行折曲げ面が前記基準面に対して展開されて前記フィルムが張られた状態が保持され、
前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記フィルムを押す、梱包具。
【請求項2】
前記ベース面は、
前記梱包対象物が配置される第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を有し、
前記フィルムは、前記凸部と前記凹部とを覆っており、
前記凸部の先端部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記ベース面と交差する方向に前記第2主面よりも突出する、請求項1に記載の梱包具。
【請求項3】
前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられることによって、前記交差折曲げ線を通る軸線の周りを回転し、
前記凸部の回転に従い、前記凸部の先端部は、第1方向および/または第2方向に前記フィルムを押し、
前記第1方向は、前記ベース面の前記第1主面から前記第2主面に向かう方向を示し、
前記第2方向は、前記ベース面に沿って前記交差折曲げ線と交差する方向、かつ、前記ベース面の中央から外側に向かう方向を示す、請求項2に記載の梱包具。
【請求項4】
前記板状部材は、段ボール製であり、
前記交差折曲げ線は、前記板状部材の中芯の波状部分を横切っており、
前記フィルムは、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記第2主面から前記第1主面に向かう方向に前記辺を引っ張る、請求項2または請求項3に記載の梱包具。
【請求項5】
前記ベース面は、前記辺と前記平行折曲げ線との間に介在する介在折曲げ線を有し、
前記介在折曲げ線は、前記平行折曲げ線に沿った方向に延びて前記凹部と接続し、
前記ベース面は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記介在折曲げ線で折れ曲がる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項6】
前記フィルムは、伸縮可能である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項7】
前記凸部の先端部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられていない状態で、前記凹部と離隔している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項8】
前記凸部の先端部は、面取りされている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項9】
前記フィルムは、筒状である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項10】
前記ベース面は、
前記梱包対象物が配置される第1主面と、
前記第1主面と反対側の第2主面と
を有し、
前記フィルムは、一対の折返し部を有し、
前記フィルムは、前記一対の折返し部において折り返され、
前記フィルムの端部は、前記第2主面側に固定されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の梱包具。
【請求項11】
前記平行折曲げ線と対向する辺は、2つであり、
前記2つの辺は、前記平行折曲げ線を介して互いに対向し、
前記交差折曲げ線は、2つであり、
前記2つの交差折曲げ線は、前記ベース面を介して互いに対向し、
前記交差折曲げ面は、2つであり、
前記2つの交差折曲げ面は、前記ベース面と前記2つの交差折曲げ線とを介して配置され、
前記凸部は、4つであり、
前記2つの交差折曲げ面の各々は、2つの前記凸部を有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の梱包具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包具に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包対象物を梱包するために用いられる梱包具として、フィルムと板状部材との間に梱包対象物を挟んだ状態でフィルムを張ることで梱包対象物を板状部材に押さえつけ、梱包対象物を定位置に保持するものが用いられている。
【0003】
特許文献1に記載の梱包具(包装キット)では、板状部材の端部を折り曲げることによって、フィルムを張ることで梱包対象物を板状部材のベース部に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の梱包具では、板状部材の端部を折り曲げる際に生じるベース部の四隅の折り目でフィルムを張るため、フィルムを張る力が充分でない可能性がある。したがって、梱包した梱包対象物がずれる可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、梱包した梱包対象物がずれる可能性を低減できる梱包具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る梱包具は、梱包対象物を梱包するために用いられる。前記梱包具は、フィルムと、板状部材とを備える。前記板状部材には、前記フィルムが取り付けられている。前記フィルムと前記板状部材とによって、2つの開口端部を有する開口が形成されている。前記板状部材は、折曲げ線を介して区画されている。前記折曲げ線は、前記開口が延びる方向に対して平行に延びる平行折曲げ線と、前記開口が延びる方向に交差する方向に平行に延びる交差折曲げ線とを含む。前記板状部材は、辺と、ベース面と、交差折曲げ面とを有する。前記辺は、前記板状部材の外周縁の一部を構成し前記平行折曲げ線に対向する。前記ベース面は、基準面と、前記平行折曲げ線を介して前記基準面に隣接し折曲げ可能な平行折曲げ面と、前記辺から切り込まれており、前記辺から凹んで前記交差折曲げ線に接続する凹部とを含む。前記交差折曲げ面は、前記交差折曲げ線を介して前記ベース面に隣接し折曲げ可能である。前記交差折曲げ面は、交差折曲げ本体部と、交差折曲げ本体部の端部から突出する凸部とを有する。前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられていない状態で、前記辺から切り込まれており、前記凹部と対向して前記交差折曲げ線に接続する。前記基準面と前記フィルムとの間の隙間には、前記梱包対象物を配置可能である。前記基準面に対する前記平行折曲げ面の折曲げ状態が変化することに伴って、前記フィルムが前記梱包対象物に接触した状態で張られることにより、前記梱包対象物が前記板状部材に押し付けられるように構成されている。前記板状部材は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられることによって、前記平行折曲げ面が前記基準面に対して展開されて前記フィルムが張られた状態が保持される。前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記フィルムを押す。
【0008】
ある実施形態において、前記ベース面は、前記梱包対象物が配置される第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する。前記フィルムは、前記凸部と前記凹部とを覆っている。前記凸部の先端部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記ベース面と交差する方向に前記第2主面よりも突出する。
【0009】
ある実施形態において、前記凸部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられることによって、前記交差折曲げ線を通る軸線の周りを回転する。前記凸部の回転に従い、前記凸部の先端部は、第1方向および/または第2方向に前記フィルムを押す。前記第1方向は、前記ベース面の前記第1主面から前記第2主面に向かう方向を示す。前記第2方向は、前記ベース面に沿って前記交差折曲げ線と交差する方向、かつ、前記ベース面の中央から外側に向かう方向を示す。
【0010】
ある実施形態において、前記板状部材は、段ボール製である。前記交差折曲げ線は、前記板状部材の中芯の波状部分を横切っている。前記フィルムは、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記第2主面から第1主面に向かう方向に前記辺を引っ張る。
【0011】
ある実施形態において、前記ベース面は、前記辺と前記平行折曲げ線との間に介在する介在折曲げ線を有する。前記介在折曲げ線は、前記平行折曲げ線に沿った方向に延びて前記凹部と接続する。前記ベース面は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられた状態で、前記介在折曲げ線で折れ曲がる。
【0012】
ある実施形態において、前記フィルムは、伸縮可能である。
【0013】
ある実施形態において、前記凸部の先端部は、前記交差折曲げ面が前記交差折曲げ線で前記ベース面に対して折り曲げられていない状態で、前記凹部と離隔している。
【0014】
ある実施形態において、前記凸部の先端部は、面取りされている。
【0015】
ある実施形態において、前記フィルムは、筒状である。
【0016】
ある実施形態において、前記ベース面は、前記梱包対象物が配置される第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する。前記フィルムは、一対の折返し部を有する。前記フィルムは、前記一対の折返し部において折り返される。前記フィルムの端部は、前記第2主面側に固定されている。
【0017】
ある実施形態において、前記平行折曲げ線と対向する辺は、2つである。前記2つの辺は、前記平行折曲げ線を介して互いに対向する。前記交差折曲げ線は、2つである。前記2つの交差折曲げ線は、前記ベース面を介して互いに対向する。前記交差折曲げ面は、2つである。前記2つの交差折曲げ面は、前記ベース面と前記2つの交差折曲げ線とを介して配置される。前記凸部は、4つである。前記2つの交差折曲げ面の各々は、2つの前記凸部を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る梱包具によれば、梱包した梱包対象物がずれる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る梱包具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る梱包具を示す分解斜視図である。
【
図4】(a)~(c)は、梱包具を用いた梱包方法を説明する図である。
【
図5】梱包が行われて展開状態とされた梱包具を示す斜視図である。
【
図6】(a)は、梱包具の交差折曲げ面を立ち上げた状態を示す斜視図である。(b)は、
図6(a)に示す梱包具を交差折曲げ線に沿った方向から見た状態を示す一部拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る梱包具を備える梱包体を示す分解斜視図である。
【
図8】(a)は、本発明の実施形態1に係る梱包具を示す拡大斜視図である。(b)は、梱包具の交差折曲げ面を立ち上げた状態を示す側面図である。(c)は、
図8(b)のVIIIC-VIIIC線に沿った断面図である。
【
図9】本発明の実施形態1に係る梱包具を示す拡大斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る梱包具を示す分解斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る梱包具を示す斜視図である。
【
図12】(a)は、本発明の実施形態3に係る梱包具を示す斜視図である。(b)は、
図12(a)のXIIB-XIIB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0021】
[実施形態1]
図1~
図9を参照して本発明の実施形態1に係る梱包具1について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る梱包具1を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る梱包具1を示す分解斜視図である。
【0022】
以下の説明において、
図1に示す座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)、Z軸方向(XY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
【0023】
図1および
図2に示すように、梱包具1は、板(板状部材の一例)10と、フィルム30とを備えている。フィルム30は、一対の折返し部34を有する。フィルム30は、一対の折返し部34において折り返される。フィルム30は、例えば、筒状である。板10には、フィルム30が着脱可能に取り付けられている。詳しくは、板10には、フィルム30が巻かれている。梱包具1は、梱包対象物を梱包可能である。
【0024】
本実施形態において、板10は、例えば、厚みが5ミリメートル程度の、1枚の段ボール製である。フィルム30は、伸縮可能であることが好ましい。フィルム30は、例えばポリエチレン製で伸縮性(可撓性)を有するフィルムである。フィルム30は、無色透明であるが、これに限られず、いわゆる半透明や不透明であってもよいし、着色されていてもよい。
【0025】
なお、
図1においては梱包具1の展開状態が示されている。展開状態の梱包具1の寸法は、例えば、左右方向が300ミリメートル程度であって、前後方向が180ミリメートル程度である。梱包具1の寸法は、これに限られるものではなく、梱包対象として想定される梱包対象物の大きさや種々の用途などに応じて設定される。
【0026】
梱包具1には、開口330が形成されている。開口330は、フィルム30と板10とによって形成される。開口330は、2つの開口端部30aを有する。
【0027】
板10は、ベース面2と、2つの交差折曲げ面15(交差折曲げ面15aおよび交差折曲げ面15b)と、2つの辺13(辺13aおよび辺13b)とを有する。なお、本明細書において、交差折曲げ面15aおよび/または交差折曲げ面15bを、交差折曲げ面15と総称する場合がある。また、本明細書において、辺13aおよび/または辺13bを、辺13と総称する場合がある。
【0028】
ベース面2は、基準面11と、平行折曲げ面12と、4つの凹部14(凹部14a、凹部14b、凹部14c、および凹部14d)とを含む。なお、本明細書において、凹部14a、凹部14b、凹部14c、および/または凹部14dを、凹部14と総称する場合がある。
【0029】
ベース面2は、梱包具1に梱包対象物50(
図4(b)参照)が梱包された場合に、梱包具1の基底として機能する。ベース面2は、例えば、四隅の凹んだ略矩形板状である。ベース面2は、第1主面2aと、第2主面2bとを有する。第1主面2aには、梱包対象物50が配置される。第2主面2bは、第1主面2aと反対側に位置する。詳しくは、第1主面2aは、+Z側に位置し、第2主面2bは、-Z側に位置する。
【0030】
交差折曲げ面15aおよび交差折曲げ面15bの各々は、交差折曲げ本体部15cと、凸部15dとを有する。例えば、交差折曲げ面15aは、交差折曲げ本体部15c1と、凸部15d1と、凸部15d2とを有する。例えば、交差折曲げ面15bは、交差折曲げ本体部15c2と、凸部15d3と、凸部15d4とを有する。なお、本明細書において、交差折曲げ本体部15c1および/または交差折曲げ本体部15c2を、交差折曲げ本体部15cと総称する場合がある。また、本明細書において、凸部15d1、凸部15d2、凸部15d3、および/または凸部15d4を、凸部15dと総称する場合がある。
【0031】
凸部15dは、交差折曲げ本体部15cの端部から凹部14に向かって突出する。具体的には、凸部15d1は、交差折曲げ本体部15c1の一方の端部から凹部14aに向かって突出する。凸部15d2は、交差折曲げ本体部15c1の他方の端部から凹部14bに向かって突出する。凸部15d3は、交差折曲げ本体部15c2の一方の端部から凹部14cに向かって突出する。凸部15d4は、交差折曲げ本体部15c2の他方の端部から凹部14dに向かって突出する。
【0032】
辺13aおよび辺13bの各々は、板10の外周縁の一部を構成する。辺13aおよび辺13bは、ベース面2を介して互いに対向する。
【0033】
図1に示すように、板10は、折曲げ線(折り目;筋)を介して区画されている。折曲げ線は、平行折曲げ線21と、交差折曲げ線23とを含む。例えば、板10には、1本の平行折曲げ線21と、2本の交差折曲げ線23(交差折曲げ線23aおよび交差折曲げ線23b)とが形成されている。なお、本明細書において、交差折曲げ線23aおよび/または23bを、交差折曲げ線23と総称する場合がある。これらの折曲げ線21、23a、23bは、例えば、いわゆる筋付けローラーや筋付け刃を押し付けることにより形成される。折曲げ線21、23a、23bには、ミシン目加工が行われるようにしてもよい。
【0034】
平行折曲げ線21は、左右方向に平行に(X軸に平行に)配置されている。平行折曲げ線21は、開口330が延びる方向に対して平行に延びている。平行折曲げ線21は、板10の前後中央よりも後ろ側にオフセットされている。板10は、平行折曲げ線21について、前後両端部、すなわち辺13aおよび辺13bが上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0035】
交差折曲げ線23aおよび交差折曲げ線23bは、ベース面2を介して互いに対向する。詳細には、交差折曲げ線23aは、板10の左端部近傍位置に、前後方向に平行に(Y軸に平行に)配置されている。すなわち、交差折曲げ線23aは、開口330が延びる方向に対して交差する方向に平行に延びている。また、交差折曲げ線23bは、板10の右端部近傍位置に、前後方向に平行に配置されている。すなわち、交差折曲げ線23bは、開口330が延びる方向に対して交差する方向に平行に延びている。板10は、交差折曲げ線23aについて、左端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。板10は、交差折曲げ線23bについて、右端部が上方に変位するように容易に折り曲げることができる。
【0036】
フィルム30は、板10のうち、主に基準面11と平行折曲げ面12とを囲むように配置されている。筒状のフィルム30の幅方向(周方向に直交する方向)が左右方向になるように、フィルム30が配置されている。換言すると、フィルム30は、フィルム30の形成する筒の内部を平行折曲げ線21が貫くようにして、板10に巻かれている。
【0037】
フィルム30は、板10に、種々の方法で取り付けられればよい。例えば、
図2に示すように、予め環状に形成されたフィルム30の内部に板10を通すことでフィルム30が板10に取り付けられる。また、例えば、帯掛包装機などを用いて、板10に対してフィルム30を少なくとも1周巻回し、フィルム30同士を接着することで、フィルム30が板10に取り付けられる。フィルム30が板10に取り付けられている状態で、板10は、各折曲げ線21、23a、23bで折り曲げ可能である。
【0038】
板10には、梱包される梱包対象物50(
図4(b)参照)が配置される基準面11と、基準面11に隣接する平行折曲げ面12と、2つの交差折曲げ面15a、15bとの4つの区画が設けられている。
【0039】
図3を参照して板10の区画について説明する。
図3は、板10を模式的に示す平面図である。
図3において、各種ハッチングで囲まれた部位が、ここでいう1つの区画に相当する。
図3において、フィルム30は二点鎖線で示している。また、平行折曲げ線21と交差折曲げ線23a、23bとは、それぞれ一点鎖線で示されている。
【0040】
図3に示すように、基準面11と平行折曲げ面12との間には、平行折曲げ線21が配置されている。換言すると、基準面11と平行折曲げ面12とは、平行折曲げ線21を介して区画されている。基準面11は板10の前側に、平行折曲げ面12は板10の後ろ側に、それぞれ配置されている。交差折曲げ面15a、15bは、ベース面2と、交差折曲げ線23a、23bとを介して配置されている。具体的には、交差折曲げ面15a、15bは、それぞれ、交差折曲げ線23a、23bを介して、ベース面2に隣接するように区画されている。交差折曲げ面15aは、板10のうち、交差折曲げ線23aよりも左側の部分である。交差折曲げ面15bは、板10のうち、交差折曲げ線23bよりも右側の部分である。換言すると、基準面11は、平行折曲げ線21より前方の部位である。また、平行折曲げ面12は、平行折曲げ線21より後方の部位である。平行折曲げ面12は、基準面11に隣接する。
【0041】
板10は、平行折曲げ面12と交差折曲げ面15a、15bの後方の部位とが、基準面11と交差折曲げ面15a、15bの前方の部位とに対して、平行折曲げ線21で折り曲げ可能である。
【0042】
本実施形態では、平行折曲げ線21は、板10の前後中央よりも後ろ側にオフセットされている。すなわち、平行折曲げ線21は、板10の中心からずれた位置に位置する。基準面11の面積は、平行折曲げ面12の面積よりも大きい。
【0043】
開口端部30aは、交差折曲げ面15a、15bに掛かっている。換言すると、フィルム30の長さ(左右方向の長さ)は、基準面11の左右方向の幅または平行折曲げ面12の左右方向の幅よりも長くなっている。フィルム30は、ベース面2の凹部14a、14b、14c、および14dと、交差折曲げ面15の凸部15d1、15d2、15d3、および15d4とを覆っている。
【0044】
ベース面2の凹部14は、板10の辺13から切り込まれており、辺13から凹んで交差折曲げ線23に接続する。例えば、凹部14は、交差折曲げ線23を通る直線と辺13とが交差する位置から辺13の中点に向かう方向に所定の長さ離隔した辺13上の位置から、交差折曲げ線23の延びる方向に沿って所定の長さ(例えば、2cm)切り込まれ、さらに、交差折曲げ線23に向かって所定の長さ(例えば、1cm)切り込まれ、交差折曲げ線23の一方の端部と接続する。例えば、凹部14a、14b、14c、および14dは、それぞれ、ベース面2の四隅に位置する。
【0045】
交差折曲げ面15の凸部15dは、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられていない状態で、板10の辺13から切り込まれており、凹部14と対向して交差折曲げ線23に接続する。例えば、凸部15dは、交差折曲げ線23を通る直線と辺13とが交差する位置から辺13の中点に向かう方向に所定の長さ離隔した辺13上の位置から、交差折曲げ線23の延びる方向に沿って所定の長さ(例えば、2cm)切り込まれ、さらに、交差折曲げ線23に向かって所定の長さ(例えば、1cm)切り込まれ、交差折曲げ線23の一方の端部と接続する。凸部15dは、凹部14と対向する。すなわち、板10が辺13から切り込まれることによって、1つの凹部14と、対応する1つの凸部15dとが形成され得る。凸部15dは、例えば、台形状である。
【0046】
凸部15dは、交差折曲げ本体部15cから突出する方向の先端部15eを有する。例えば、凸部15d1、凸部15d2、凸部15d3、および凸部15d4は、それぞれ、先端部15e1、先端部15e2、先端部15e3、および先端部15e4を有する。なお、本明細書において、先端部15e1、先端部15e2、先端部15e3、および/または先端部15e4を、先端部15eと総称する場合がある。交差折曲げ線23に沿った方向から見た場合に、先端部15eは、交差折曲げ線23とは重ならない。先端部15eは、面取りされていることが好ましい。先端部15eは、例えば、曲面を有する。
【0047】
また、先端部15eは、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられていない状態で、ベース面2の凹部14と離隔していることが好ましい。例えば、凸部15dは、交差折曲げ線23を通る直線と辺13とが交差する位置から辺13の中点に向かう方向に所定の長さ離隔した辺13上の位置から、交差折曲げ線23の延びる方向に沿って所定の長さ切り欠かれ、さらに、交差折曲げ線23に向かって所定の長さ切り込まれ、交差折曲げ線23の一方の端部と接続する。凸部15dの先端部15eと凹部14との離隔距離は、例えば、2mmである。
【0048】
板10の辺13aおよび辺13bの各々は、例えば、直線状である。辺13aおよび辺13bは、平行折曲げ線21を介して互いに対向する。基準面11は、略矩形状である。例えば、平行折曲げ面12は、略矩形状である。
【0049】
次に、
図4(a)~
図6を参照して、梱包具1を用いて梱包対象物50を梱包する方法について説明する。
図4(a)~
図4(c)は、梱包具1の断面図である。
図4において上から下に、ステップS11、S12、S13を順にたどるようにして、梱包具1を用いた梱包が行われる。
【0050】
図4(a)に示すように、展開状態の梱包具1は、平板状である(S11)。この状態から、
図4(b)に上向き矢印で示されるように、板10を平行折曲げ線21において折り曲げて平行折曲げ面12を基準面11に近づけ、折曲げ状態にする(折り曲げステップ)。
【0051】
次に、板10が折り曲げられた状態で、基準面11とフィルム30との間の隙間Aに、梱包対象物50が配置される(S12;配置ステップ)。このように、梱包具1は、平行折曲げ線21で平行折曲げ面12が基準面11に対して折り曲げられた状態(以下、折曲げ状態ということがある)にされる。梱包具1が折曲げ状態であるとき、フィルム30と板10の上面との間の隙間Aに梱包対象物50を配置可能である。
【0052】
その後、
図4(c)に下向き矢印で示されるように、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開し、展開状態とする(S13)。そうすると、フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られる。それにより、梱包対象物50が板10に押し付けられた状態となる(展開ステップ)。
【0053】
図5は、梱包が行われて展開状態とされた梱包具1を示す斜視図である。
【0054】
図4(c)および
図5に示すように、展開ステップが行われると、側面視で、板10の前端部(辺13a)、後端部(辺13b)、平行折曲げ線21の折り目部分、および梱包対象物50の上部を直線で結ぶ経路の長さが、梱包対象物50が配置されていることにより、当初の展開状態(
図4(a)参照)よりも大きくなる。フィルム30は、梱包対象物50の上部に接触した状態で、若干伸長しながら張られる。そのため、フィルム30により、梱包対象物50が板10に押し付けられる。
【0055】
ここで、本実施形態においては、上記のように展開ステップにするとき、交差折曲げ面15a、15bを交差折曲げ線23a、23bでベース面2に対して折り曲げることによって、立ち上げた状態にすることができる。これにより、平行折曲げ面12を基準面11に対して展開させ、それによってフィルム30を張ることができる。なお、展開ステップを行った後で、交差折曲げ面15a、15bを立ち上げてもよい(立ち上げステップ)。
【0056】
図6(a)は、交差折曲げ面15a、15bを立ち上げた状態を示す斜視図である。
図6(b)は、
図6(a)に示す梱包具1を交差折曲げ線23に沿った方向から見た状態を示す一部拡大図である。なお、
図6(b)は、図を見易くするため、交差折曲げ面15の凸部15dの一例として交差折曲げ面15aの凸部15d1を拡大して模式的に示している。
【0057】
図6(a)に示すように、交差折曲げ線23a、23bは平行折曲げ線21に板10上で交わるので、交差折曲げ面15a、15bを、それぞれ、交差折曲げ線23a、23bで折り曲げると、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分において展開された状態のまま(平行折曲げ面12が基準面11に対して略平行となるように展開された状態のまま)で保持される。換言すると、基準面11と平行折曲げ面12とが略平行となる状態にならなければ、交差折曲げ面15a、15bを折り曲げることができない。本実施形態においては、板10上で互いに交わらない2つの交差折曲げ線23a、23bのそれぞれを介して2つの交差折曲げ面15a、15bが設けられているので、両交差折曲げ面15a、15bを折り曲げて立ち上げ状態とすることで、板10が、基準面11と平行折曲げ面12との部分で展開された状態が、確実に保持される。板10は、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられることによって、平行折曲げ面12が基準面11に対して展開されてフィルム30が張られた状態が保持される。
【0058】
図6(a)及び(b)に示すように、交差折曲げ面15の凸部15dは、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられた状態で、フィルム30を押す。具体的には、凸部15dは、基準面11とフィルム30との間に梱包対象物50を配置した状態、かつ、ベース面2に対する交差折曲げ面15の展開状態で、フィルム30の折返し部34と近接または当接する。凸部15dは、ベース面2に対する交差折曲げ面15の展開状態が折曲げ状態に変化することに伴って、例えば、交差折曲げ線23を通る軸線の周りを回転方向DRに回転する。すなわち、凸部15dは、弧を描くようにベース面2の凹部14から遠ざかる。詳細には、凸部15dは、フィルム30の折返し部34に引っ掛かりつつ回転方向DRに回転する。凸部15dが回転する際に、凸部15dの先端部15eは、例えば、第1方向D1および/または第2方向D2にフィルム30の当接部分を押す。第1方向D1は、ベース面2の第1主面2aから第2主面2bに向かう方向を示す。第2方向D2は、ベース面2に沿って交差折曲げ線23と交差する方向、かつ、ベース面2の中央から外側に向かう方向を示す。
【0059】
さらに詳細には、凸部15dの先端部15eは、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられた状態で、ベース面2と交差する方向に第2主面2bよりも突出する。ベース面2と交差する方向は、第1方向D1を含む。先端部15eは、第2主面2bよりも突出した状態でフィルム30と当接する。
【0060】
以上、
図1~
図6を参照して説明したように、実施形態1において、交差折曲げ面15の凸部15dは、板10の辺13から切り込まれており、ベース面2の凹部14と対向して交差折曲げ線23に接続する。凹部14は、辺13から切り込まれており、交差折曲げ線23に接続する。凸部15dは、ベース面2に対する交差折曲げ面15の折曲げ状態で、フィルム30を押す。すなわち、フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で、凸部15dが凹部14から遠ざかる距離に応じて、凸部15dは、フィルム30と当接または近接した状態でフィルム30を押す。したがって、凸部15dは、梱包対象物50の上部にフィルム30をさらに押し付けるようにフィルム30を効率良く引っ張ることができる。その結果、梱包した梱包対象物50がずれる可能性を低減できる。
【0061】
また、凸部15dの先端部15eは、ベース面2に対する交差折曲げ面15の折曲げ状態で、ベース面2と交差する方向に第2主面2bよりも突出する。先端部15eが第2主面2bよりも突出することによって、凹部14の縁部は、フィルム30とより強く当接し得る。したがって、フィルム30の部分的な弛みを低減できる。その結果、梱包した梱包対象物50がずれる可能性をさらに低減できる。
【0062】
さらに、凸部15dの先端部15eは、凸部15dの回転に従い、第1方向D1および/または第2方向D2にフィルム30を押す。したがって、凸部15dは、ベース面2に対する交差折曲げ面15の展開状態が折曲げ状態に変化することに伴って、フィルム30をムラなく引っ張ることができる。その結果、フィルム30の部分的な弛みをさらに低減できる。
【0063】
さらに、フィルム30が筒状であることにより、筒の内部を平行折曲げ線21が貫くようにして、フィルム30を板10に巻くことができる。したがって、フィルム30を板10に容易に取り付けることができるとともに、梱包した梱包対象物50がずれる可能性を低減できる。
【0064】
さらに、フィルム30が伸縮可能であることにより、例えば、ベース面2に対する交差折曲げ面15の折曲げ状態で、フィルム30にテンションがかかりやすい。したがって、梱包した梱包対象物50がずれる可能性をさらに低減できる。
【0065】
さらに、凸部15dの先端部15eが面取りされていることにより、フィルム30の張った状態で、先端部15eがフィルム30を傷つけることを低減できる。したがって、ベース面2に対する交差折曲げ面15の折曲げ状態で、フィルム30の張った状態をより安定性良く保持できる。
【0066】
さらに、ベース面2に対する交差折曲げ面15の展開状態で凸部15dの先端部15eがベース面2の凹部14と離隔していることにより、凸部15dが回転方向DRに回転する際に、先端部15eが凹部14に接触したり、引っ掛かったりすることを低減できる。したがって、ベース面2に対する交差折曲げ面15の展開状態を折曲げ状態に容易に遷移させることができる。
【0067】
さらに、ベース面2が凹部14を4つ有しており、4つの凹部14に対応するように、2つの交差折曲げ面15aが、それぞれ、2つの凸部15dを有していることにより、ベース面2の中心から四隅に向けてフィルム30をバランス良く張ることができる。したがって、ベース面2に対する2つの交差折曲げ面15の折曲げ状態で、フィルム30の張りのムラを低減できるとともに、梱包対象物50の多様な形状に容易に対応できる。さらに、4つの凸部15dは、ベース面2を支持する脚部としても機能し得るため、梱包具1の移動中に生じる振動を低減したり、平衡性を向上させたりすることができる。したがって、梱包対象物50を保持する際の安定性を向上させることができる。
【0068】
引き続き、
図7を参照して、実施形態1に係る梱包具1を備える梱包体80について説明する。
図7は、実施形態1に係る梱包具1を備える梱包体80の分解斜視図である。
【0069】
図7に示すように、梱包体80は、梱包具1と外箱70とを備える。梱包具1は、交差折曲げ面15a、15bが基準面11に対して略垂直に折り曲げられた状態で、外箱70内に収納される。換言すると、外箱70の寸法は、このように交差折曲げ面15a、15bが折り曲げられた状態の梱包具1がぴったりと収納されるように、設定されている。本実施形態では、交差折曲げ面15の、凸部15dの先端部15eからの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)h1と、外箱70の高さ寸法h2とが、略等しく設定されている。交差折曲げ面15の幅寸法h1は、交差折曲げ線23からの交差折曲げ本体部15cの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)h11と、交差折曲げ線23からの凸部15dの幅寸法(立ち上げ状態における高さ寸法)h12とを合わせた寸法を示す。なお、好ましくは、交差折曲げ面15の幅寸法h1は、外箱70の高さ寸法h2を超えない。交差折曲げ面15a、15bがベース面2に対して折り曲げられた状態で、梱包具1が外箱70内に収納されていることにより、交差折曲げ面15a、15bがベース面2に対して折り曲げられた状態が保持される。したがって、フィルム30が張られた状態が維持され、梱包対象物50が板10上の定位置に確実に保持される。
【0070】
外箱70は、例えば一般的な段ボール箱である。
図7に示す状態では、外箱70の上側の蓋が開いている。外箱70に梱包具1が収納され、外箱70の上側の蓋が閉じられると、略直方体状の梱包体80が完成する。
【0071】
引き続き、
図8および
図9を参照して、実施形態1に係る梱包具1の構成の詳細について説明する。
図8(a)は、梱包具1を示す拡大斜視図である。
図8(b)は、梱包具1の交差折曲げ面15を立ち上げた状態を示す側面図である。
図8(c)は、
図8(b)のVIIIC-VIIIC線に沿った断面図である。
【0072】
図8(a)に示すように、板10の筋方向(いわゆる、紙巾方向および目方向)は、左右方向に平行に(X軸に平行に)なることが好ましい。詳細には、板10は、表ライナー19aと、裏ライナー19bと、中芯19cとによって形成されている。表ライナー19aと、裏ライナー19bとは板状である。中芯19cは、波状である。交差折曲げ線23a、23bは、板10の中芯19cの波状部分の筋方向に直交するように形成されている。また、平行折曲げ線21が、中芯19cの筋方向に平行になるように形成されている。すなわち、交差折曲げ線23a、23bが、いわゆる流れ方向に平行になるように形成されている。したがって、交差折曲げ線23a、23bは、中芯19cの波状部分を横切っている。板10の筋方向が左右方向に平行である場合、板10が前後方向(Y軸方向)にしなりやすい。
【0073】
図8(b)は、梱包対象物50の配置された梱包具1を、交差折曲げ面15を立ち上げた状態で交差折曲げ線23に沿った方向から見た状態の一例を示す。
図8(b)に示すように、基準面11とフィルム30との間に梱包対象物50を配置した状態で、交差折曲げ面15a、15bを、それぞれ、交差折曲げ線23a、23bで折り曲げた場合、例えば、凸部15d1および凸部15d3の各々は、フィルム30を第1方向D1および/または第2方向D2に押す。フィルム30が梱包対象物50の上部に接触した状態で張られるため、フィルム30は、第3方向D3に板10の辺13aを引っ張る。第3方向D3は、ベース面2の第2主面2bから第1主面2aに向かう方向を示す。例えば、梱包対象物50の底面から上面までの高さが大きいほどフィルム30が持ち上げられるため、フィルム30は、第3方向D3に辺13aを強く引っ張る。その結果、ベース面2が前後方向にしなるとともに、辺13aは、第3方向D3に移動する(引き上げられる)。
【0074】
辺13aが第3方向D3に移動する際、ベース面2の凹部14aおよび凹部14bは、それぞれ、凸部15d1の先端部15e1および凸部15d3の先端部15e3によって、フィルム30を介して第1方向D1に引っ張られている。したがって、先端部15e1および先端部15e3の近傍において辺13aが移動する高さh3は、辺13aの中点において辺13aが移動する高さh4よりも小さくなる。その結果、ベース面2が辺13aの近傍においてやや弓なりに撓むとともに、フィルム30の張られた状態が弛むことなく好適に維持され得る。
【0075】
基準面11とフィルム30との間に梱包対象物50を配置した状態で、交差折曲げ面15a、15bを、それぞれ、交差折曲げ線23a、23bで折り曲げた場合、
図8(c)に示すように、辺13aと同様に、辺13bもまた第3方向D3に移動する。
【0076】
本実施形態では、凸部15dの先端部15eがフィルム30を介してベース面2の凹部14を第1方向D1に引っ張るとともに、フィルム30が辺13を第3方向D3に引っ張る。交差折曲げ線23が板10の中芯19cの波状部分を横切るように構成することにより、辺13は、第3方向D3に移動しやすい。したがって、背の高い梱包対象物50を梱包する場合であっても、梱包対象物50は、フィルム30によって基準面11に好適に押し付けられ得る。その結果、梱包対象物50がずれる可能性をさらに低減できる。
【0077】
さらに、
図9に示すように、ベース面2は、介在折曲げ線17を有することが好ましい。
図9は、梱包具1を示す拡大斜視図である。介在折曲げ線17は、辺13と平行折曲げ線21との間に介在する。介在折曲げ線17は、平行折曲げ線21に沿った方向に延びて凹部14と接続する。例えば、介在折曲げ線17は、凹部14と交差折曲げ線23とが接続する位置に接続する。ベース面2は、交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられた状態で、介在折曲げ線17で折れ曲がる。すなわち、辺13は、第3方向D3に移動しやすい。したがって、フィルム30が張られた状態において、張りを維持しつつ背の高い梱包対象物50の高さに対応しやすい。特に、介在折曲げ線17は段ボールの目方向に沿って延びていることが好ましい。介在折曲げ線17を容易に形成できるとともに、辺13が第3方向D3にさらに移動しやすくなる。
【0078】
[実施形態2]
図10および
図11を参照して本発明の実施形態2に係る梱包具1について説明する。
図10は、本発明の実施形態2に係る梱包具1を示す分解斜視図である。
図11は、本発明の実施形態2に係る梱包具1を示す斜視図である。詳しくは、
図10は、上方から見た梱包具1を示す。
図11は、下方から見た梱包具1を示す。フィルム30の端部32が、第2主面2b側に固定されている点で、実施形態2に係る梱包具1は、実施形態1に係る梱包具1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0079】
図10および
図11に示すように、板10の端部には、一対の固定部R1が設けられる。一対の固定部R1は、第2主面2bに設けられている。
【0080】
フィルム30の端部32は、板10に固定されている。詳しくは、フィルム30の端部32は、固定部R1に固定されている。フィルム30の端部32は、例えば、接着剤(例えば、のり)によって接着することによって固定部R1に固定されている。フィルム30の端部32は、フィルム30の端縁まで板10に固定されている。なお、フィルム30の端縁が板10に固定されていなくもよい。
【0081】
本実施形態では、フィルム30は、一対の折返し部34において折り返される。フィルム30の端部32は、第2主面2b側に固定されている。したがって、フィルム30を筒状に形成する場合よりもフィルム30の使用量を削減できる。
【0082】
[実施形態3]
図12を参照して、本発明の実施形態3に係る梱包具1について説明する。
図12(a)は、本発明の実施形態3に係る梱包具1を示す斜視図である。
図12(b)は、
図12(a)のXIIB-XIIB線に沿った断面図である。交差折曲げ面15が、天面15fと、第1突起部15gと、第2突起部15hと、補助折曲げ線15kとを有する点で、実施形態3に係る梱包具1は、実施形態1および2に係る梱包具1と主に異なる。実施形態1および2に係る梱包具1との重複部分については説明を省略する。
【0083】
図12(a)に示すように、交差折曲げ面15aは、天面15f1と、第1突起部15g1と、第2突起部15h1と、補助折曲げ線15k1とをさらに有する。交差折曲げ面15bは、天面15f2と、第1突起部15g2と、第2突起部15h2と、補助折曲げ線15k2とをさらに有する。なお、本明細書において、天面15f1および/または天面15f2を、天面15fと総称する場合がある。また、本明細書において、第1突起部15g1および/または第1突起部15g2を、第1突起部15gと総称する場合がある。また、本明細書において、第2突起部15h1および/または第2突起部15h2を、第2突起部15hと総称する場合がある。また、本明細書において、補助折曲げ線15k1および/または補助折曲げ線15k2を、補助折曲げ線15kと総称する場合がある。
【0084】
天面15fは、補助折曲げ線15kを介して交差折曲げ本体部15cと接続する。交差折曲げ面15が交差折曲げ線23でベース面2に対して折り曲げられた状態で、天面15fは、補助折曲げ線15kで交差折曲げ本体部15cに対してベース面2側に折り曲げられる。
【0085】
補助折曲げ線15kは、交差折曲げ本体部15cを介して交差折曲げ線23と対向する。補助折曲げ線15kは、交差折曲げ線23と略平行である。
【0086】
図12(b)に示すように、第1突起部15gは、天面15fに接続する。第1突起部15gは、交差折曲げ本体部15cの端部から交差折曲げ本体部15cの外側に突出する。外箱70に梱包具1が収納され、外箱70の上側の蓋が閉じられると、略直方体状の梱包体80が完成する。したがって、梱包具1を外箱70に収納した場合、第1突起部15gによって緩衝効果が得られる。さらに、天面15fは、外箱70の上側の蓋を支持するため、梱包体80の形状を簡素な構成で保持し得る。
【0087】
第2突起部15hは、ベース面2に接続する。第2突起部15hは、交差折曲げ本体部15cの端部から交差折曲げ本体部15cの外側にフィルム30を押しながら突出する。したがって、梱包具1を外箱70に収納した場合、第2突起部15hによって緩衝効果が得られる。本実施形態では、緩衝効果を向上させることにより、梱包した梱包対象物50がずれる可能性をさらに低減できる。
【0088】
以上、図面(
図1~
図12)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(4))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、しわ、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0089】
(1)板やフィルムの材質は、上述の実施形態に限られるものではない。板として、段ボールのほか、厚紙類を用いてもよい。また、板は、紙製に限らず、ポリエチレンまたはゴムのような樹脂製であってもよい。板が、ゴム製の場合、板を展開状態にした場合、板の反発力によってフィルムにテンションがかかるようにすることが可能となる。板は、折り曲げられ、その後再び展開できる板状部材であればよい。フィルムは、ポリエチレンまたはゴムのような樹脂製に限らず、繊維製であってもよいし、紙製であってもよい。紙製のフィルムは、紙は、例えば、上質紙、いわゆる印刷用紙である。フィルムが紙の場合、フィルムに印刷を施すことによって、容易に文字および模様をフィルムに付すことができる。また、フィルムが紙の場合、フィルムに印刷を施すことによって、容易にフィルムを着色することができる。なお、フィルムは、和紙でもよい。フィルムが和紙の場合、フィルムが伸縮性を有する。なお、フィルムは、布でもよい。フィルムは、例えば、不透明である。フィルムが樹脂製である場合、フィルムの端部は、溶着によって板に固定されてもよい。フィルムは伸縮性を有していても、有していなくてもよい。板を展開状態にした場合、フィルムにテンションがかかるようにするため、フィルムは伸縮性を有することが好ましい。
【0090】
(2)板の寸法や、フィルムの周長は、梱包対象となる物品に応じて適宜変更可能である。板は、矩形に限られず、また、三角形であっても五角形以上であってもよい。また、ベース面の凹部は、4つのような複数に限らず、1つでもよい。また、交差折曲げ線は、2本に限らず、1本でもよい。また、交差折曲げ面は、2つに限らず、1つでもよい。フィルムの周長は、板を折曲げ状態にしたときに物品を配置でき、その後展開状態とすることでフィルムにテンションがかかるような範囲で、適宜設定することができる。また、フィルムの形状は帯状に限らず、網目状であってもよい。あるいは、フィルムの形状は平坦状に限らず、凹凸を有していてもよい。
【0091】
(3)外箱は、上述のような段ボール製のものに限られず、種々の形態のものを用いることができる。
【0092】
(4)例えば薄型の物品を、上述の実施形態の梱包具を用いて板に固定した上で、封筒などの外袋に入れて封をすることで、梱包体が構成されるようにしてもよい。その他、梱包具を用いて種々の物品を様々な形態で梱包することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 梱包具
10 板(板状部材)
11 基準面
12 平行折曲げ面
13、13a、13b 辺
14、14a、14b、14c、14d 凹部
15、15a、15b 交差折曲げ面
15c、15c1、15c2 交差折曲げ本体部
15d、15d1、15d2、15d3、15d4 凸部
15e、15e1、15e2、15e3、15e4 先端部
2 ベース面
21 平行折曲げ線(折曲げ線)
23、23a、23b 交差折曲げ線(折曲げ線)
2a 第1主面
2b 第2主面
30 フィルム
30a 開口端部
32 端部
330 開口
34 折返し部
50 梱包対象物
D1 第1方向
D2 第2方向