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特許7411215遊技機用演出表示装置及びこれを用いた遊技機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】遊技機用演出表示装置及びこれを用いた遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231228BHJP
   A63F 7/02 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
A63F5/04 603A
A63F5/04 603D
A63F5/04 601A
A63F7/02 304D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020005034
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021112247
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大原 和哉
(72)【発明者】
【氏名】原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200440(JP,A)
【文献】特開2015-040943(JP,A)
【文献】特開2013-094230(JP,A)
【文献】特開2017-064476(JP,A)
【文献】特開平11-151352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前面側に設けられる遊技機用演出表示装置であって、
支持枠体に、透光性を有する表示対象物と、前記表示対象物の後方に位置して該表示対象物を照射する発光手段と、前記発光手段からの照射により投影される前記表示対象物の像影を遊技機の後方側に向けて反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーで反射した反射像をハーフミラーに向けて再帰反射させる再帰性反射部材と、を備え、
所定の遊技条件により前記表示対象物の像影を前記ハーフミラーで前記再帰性反射部材へ向けて反射させ、当該再帰性反射部材で再帰反射させた反射光を前記ハーフミラーを透過させて前記ハーフミラーの前方の空間に結像させて仮想表示対象物を表示するとともに、
前記仮想表示対象物の結像位置を明示させる指示手段を備えることを特徴とする遊技機用演出表示装置。
【請求項2】
前記表示対象物は、凹凸部を有する立体表示物である請求項1記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項3】
前記表示対象物は、基板部を備え該基板部を基準として前記発光手段側に窪む凹状に形成される請求項1または2記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項4】
前記表示対象物と前記発光手段との間に位置する拡散シートを備える請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項5】
前記表示対象物の前記ハーフミラーに対する相対距離を調整する距離調整機構が設けられている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項6】
前記再帰性反射部材は、前記表示対象物に対して湾曲状に設けられる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項7】
遊技媒体の貯留枠体に組み付けられた表示対象物と、前記貯留枠体の上部開口部に位置するハーフミラーと、前記貯留枠体内に位置し前記表示対象物に対して鋭角に配置された再帰性反射部材とを備え、所定の遊技条件により前記発光手段からの照射により投影される前記表示対象物の像影を前記ハーフミラーで前記再帰性反射部材へ向けて反射させ、当該前記再帰反射部材で再帰反射させた反射光を前記ハーフミラーを透過させて前記貯留枠体の上方の空間に結像させて仮想表示対象物を表示させる請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項8】
前記仮想表示対象物の表示位置周辺の明るさを検出する受光センサを設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の遊技機用演出表示装置を遊技機の前面側に配設された本体枠に備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機用演出表示装置及びこれを用いた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機は、球受皿に貯留された遊技球を球発射装置の発射位置へ誘導し、遊技機の前面側に設けた発射ハンドルの操作により球発射装置を作動させて遊技盤の遊技領域に向かって遊技球を発射させる。遊技盤には、図柄表示装置や風車、入球により賞球が払い出される普通入賞口や図柄表示装置で抽選が開始される始動入賞口、大当たりが発生した場合に開口するアタッカー(大入賞口)などの役物が設けられている。
【0003】
始動入賞口に遊技球が入賞すると、図柄表示装置の図柄が変動して抽選を行い、抽選結果を表示部に表示するようになっている。表示部に所定の図柄が揃い大当たりが発生するとアタッカー(大入賞口)が開口する開放遊技が開始され、入球に応じた賞球の払い出しが行われる。確率変動状態を生じる確変機であれば、確変当たりか非確変当たりかの抽選が行われ、確変当たりとなれば、アタッカーの開放遊技が連続して行われる。遊技者は、アタッカーへ遊技球を入球させるように発射操作を行う。アタッカーに所定数の遊技球が入球するか或いは所定時間が経過すると、開放遊技が終了する。
【0004】
従来の遊技機では遊技者の遊技への興趣を高めるために、画像表示領域を安価に広げることができる画像表示装置が提案されている。この装置は、画像表示装置から直視される第1画像の他に反射ミラーで反射させた画像を後方の仮想面に第2画像として重ねて表示させて画像表示装置の奥行き方向に表示領域を拡大するものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-260050号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された遊技機は、遊技盤をくり抜いて設けられた画像表示装置において奥行き感のある画像を表示してはいるが、遊技盤のごく限られた領域で立体感のある画像を表示するだけで、多様な演出に慣れている遊技者の遊技への注目度がさほど高くならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に述べるいくつかの実施形態に適用される開示は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、遊技者に近い遊技機本体の前面側で、迫力ある表示を可能とする遊技機用演出表示装置及びこれを備えて遊技者の興趣が尽きない遊技機を提供することにある。
【0008】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。
遊技機の前面側に設けられる遊技機用演出表示装置であって、支持枠体に、透光性を有する表示対象物と、前記表示対象物の後方に位置して該表示対象物を照射する発光手段と、前記発光手段からの照射により投影される前記表示対象物の像影を遊技機の後方側に向けて反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーで反射した反射像をハーフミラーに向けて再帰反射させる再帰性反射部材と、を備え、所定の遊技条件により前記表示対象物の像影を前記ハーフミラーで前記再帰性反射部材へ向けて反射させ、当該再帰性反射部材で再帰反射させた反射光を、前記ハーフミラーを透過させて前記ハーフミラーの前方の空間に結像させて仮想表示対象物を表示するとともに、前記仮想表示対象物の結像位置を明示させる指示手段を備えることを特徴とする。
これにより、例えば大当たり抽選などの所定の遊技条件にて表示対象物の像影を再帰性反射部材で再帰反射してハーフミラーを透過した像影をハーフミラーの前方の空間に結像させて仮想表示対象物を表示することで、遊技者に近い遊技機の前面側で、迫力ある表示を可能とし遊技者の興趣が尽きない演出を行うことができる。
【0009】
前記表示対象物は、凹凸部を有する立体表示物であってもよい。
この場合には、画像表示対象物を、より現物らしく迫力ある仮想表示対象物を視認させることができる。
【0010】
前記表示対象物は、基板部を備え該基板部を基準として前記発光手段側に窪む凹状に形成されてもよい。
この場合には、基板部を基準として発光手段側が遊技者側となり、突出した迫力ある仮想表示対象物を視認させることができる。
【0011】
前記表示対象物と前記発光手段との間に位置する拡散シートを備えてもよい。
この場合には、発光手段の発光を均一にすることができ、仮想表示対象物を違和感なく視認させることができる。
【0012】
前記表示対象物の前記ハーフミラーに対する相対距離を調整する距離調整機構が設けられていてもよい。
この場合には、遊技者に近い遊技機の前方で仮想表示対象物の大きさ、位置等を変化させて演出効果を高めることができる。
【0013】
前記再帰性反射部材は、前記表示対象物に対して湾曲状に設けられてもよい。
この場合には、仮想表示対象物の後方に出現する本来見えることが望ましくないゴースト像を目立たなくすることができ、確実に仮想表示対象物を視認させることができる。
【0014】
前記仮想表示対象物の結像位置を明示させる指示手段を備えてもよい。
この場合には、仮想表示対象物の結像位置を明確にでき、遊技者に確実に仮想表示対象物を視認させることができる。
【0015】
遊技媒体の貯留部枠体に組み付けられた表示対象物と、前記貯留枠体の上部開口部に位置するハーフミラーと、前記貯留枠体内に位置し前記表示対象物に対して鋭角に配置された再帰性反射部材とを備え、所定の遊技条件により前記発光手段からの照射により投影される前記表示対象物の像影を前記ハーフミラーで前記再帰性反射部材へ向けて反射させ、当該前記再帰反射部材で再帰反射させた反射光を前記ハーフミラーを透過させて前記貯留枠体の上方の空間に結像させて仮想表示対象物を表示させるようにしてもよい。
これにより、演出表示装置を遊技媒体の貯留部枠体に設けることで、貯留枠体上方の余剰空間を有効活用して意外性のある演出を行うことができる。
【0016】
仮想表示対象物の表示位置周辺の明るさを検出する受光センサを設けるようにしてもよい。受光センサは演出表示装置のハーフミラー近傍または本体枠(前面枠)に設けられる演出表示装置の近傍に設けるのが好ましい。
これにより、遊技機の設置場所によっては、周囲の明るさにより仮想表示対象物が遊技者に気付かれ難いこともあり、事前に仮想表示対象物の表示位置周辺の明るさを検知することで、発光手段の輝度を変更し、仮想表示領域に表示される仮想表示対象物の視認性を高めることができる。
【0017】
遊技機においては、上述したいずれかの演出表示装置を遊技機の前面側に配設された本体枠に備えたことを特徴とする。
これにより、本体枠に設けられた図柄表示装置等による表示のみならず所定の遊技条件により演出表示装置による本体枠前方の空間を利用して仮想表示対象物を表示させて意外性のある演出を行うことができる。
【0018】
前記演出表示装置を遊技領域を視認し得る窓部の上部に設け、前記仮想画像表示位置は遊技領域の上方前面側に形成されるようにしてもよい。
これにより、演出表示装置が遊技者に視認され易く、仮想表示対象物の表示位置は遊技領域の上方前面側に形成されるので、遊技の邪魔になることはなく、仮想表示対象物が遊技者の視界に確実に取らえられるため、迫力ある演出を楽しむことができる。
【0019】
発光手段を制御する制御回路を備え、遊技状態の条件により発光手段の輝度を変更し、仮想表示対象物の視認性を変化させて演出効果を高めるようにしてもよい。また、発光手段の輝度を制御回路により制御することにより、仮想表示対象物を視認しやすくすることもできる。
【0020】
また、仮想表示対象物の表示位置周辺に、赤外線等によって遊技者の動きを検知する非接触センサを設けるようにしてもよく、遊技者の仮想表示対象物を掴んだり触ろうとしたりする動作を検知して、発光手段を消灯して仮想表示対象物を表示させないようにしたりすることができる。これにより、遊技者に不思議な感覚を味合わせ、遊技の興趣を高めることができる。
【0021】
所定の遊技状態を報知する報知手段を備えると共に、報知手段の報知動作に連動して仮想表示領域に仮想表示対象物を表示させるようにしてもよい。
これにより、演出表示装置の設置場所によっては、遊技者に気付かれ難いこともあり、事前に報知手段の報知動作で遊技者に知らせて仮想表示領域に表示された仮想表示対象物への注目度を高めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
上述した遊技機用演出装置及び遊技機を用いれば、遊技者に近い遊技機の前方空間に迫力ある仮想表示対象物を表示させ、遊技者の興趣が尽きない遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2図1のスロットマシンの右側面図である。
図3】スロットマシンに備えた演出表示装置の斜視図である。
図4図3の演出表示装置の分解斜視図である。
図5図3の演出表示装置の側断面図である。
図6図3の演出表示装置の平断面図である。
図7】パチンコ機の正面図である。
図8】演出表示装置を球受け皿に設けた場合の断面説明図である。
図9】演出表示装置の他の実施例の側断面図である。
図10】他の実施例の再帰性反射部材を備えた演出表示装置の側断面図である。
図11】他の実施例の再帰性反射部材を備えた演出表示装置の平断面図である。
図12】(イ)は演出表示装置を前後方向の回転軸により変位自在に設けた正面作用図であり、(ロ)は演出表示装置を上下方向の回転軸により変位自在に設けた平面作用図であり、(ハ)は演出表示装置を左右方向の回転軸により変位自在に設けた側面作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための一実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。図1を参照して本実施形態に係る演出表示装置及び遊技機の概略構成について説明する。本実施例としては、遊技機の一例としてスロットマシン及びパチンコ機について説明するものとする。
【0025】
先ずスロットマシンの概略構成について説明する。
図2において、スロットマシン1の機枠2の前面側に本体枠3が開閉可能に軸支されている。図1において、本体枠3の中央部には、回転ドラム4が設けられている。
なお、本明細書では、遊技機(スロットマシン1)の前面と直交する方向を前後方向とし、遊技機に対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機奥側)を後方側とする。また、前後方向と直交し、遊技機前方側から見て左側を左方向、右側を右方向とする。また、前後方向及び左右方向と直交する方向を上下方向とする。
【0026】
回転ドラム4は、円筒状の外周面に複数種類の図柄が配置された複数の第一リール4a~第三リール4cが同軸状に並列して配置され、本体枠3の内部で各々回転可能に収納されている。これらの第一リール4a~第三リール4cは、図示しないステッピングモータ等の駆動手段により回転駆動される。本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、遊技者から見ると、表示窓5(窓部)からリール毎に縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、第一リール4a~第三リール4cを各々回転させることにより図柄の組み合せが変動し、第一リール4a~第三リール4cの停止位置によって図柄の組合せが確定する。尚、本実施形態では、3個のリールを本体枠3の中央部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。また、回転式リールに替えてディスプレイ上に図柄を表示して変動させる画像式リール(ビデオリール)を用いてもよい。
【0027】
第一リール4a~第三リール4cの下方には、前方に突出する操作枠3aが設けられ、操作枠3aの上面にメダル投入口6及びベットボタン7が設けられている。回転ドラム4において、有効となる入賞ラインは、スロットマシン1に投入されたメダル(遊技媒体)の数によって予め定まっている。5本の入賞ラインのうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ラインの数については5本に限定されるものではない。メダル投入口6より投入されたメダル数は、スロットマシン1の制御部に設けられた記憶部に電子的に貯留記憶される。
【0028】
ベットボタン7は、予めメダル投入口6に投入され記憶部に記憶されたメダル数の範囲内で、いずれの入賞ラインを選択するかを押圧入力する。例えば、ベットボタン7が1回押圧されると、1入賞ラインずつ有効になり、3回押圧して最大5ラインまで有効とすることができる。
スタートレバー8は、回転ドラム4の回転を開始させるための入力部である。メダル投入口6よりメダルを投入するかベットボタン7を押して有効ライン数を設定し、スタートレバー8が押し下げられると、複数のリール(第一リール4a~第三リール4c)が回転を開始する。
【0029】
スタートレバー8の近傍には、ストップボタン9が設けられている。ストップボタン9は、第一リール4a~第三4cに各々対応する第一ストップボタン9a~第三ストップボタン9cが設けられている。遊技者は第一ストップボタン9a~第三ストップボタン9cを個別に押すことで、第一リール4a~第三リール4cを個別に停止させ、入賞或いは大当たり等の図柄の組み合わせに応じたメダルが払い出し用として記憶部に蓄積される。スタートレバー8及びストップボタン9は、図2に示すように遊技者の操作性を考慮して本体枠3の操作枠3a前面側に配置される。
【0030】
清算ボタン10は、スロットマシン1の制御部に電子的に蓄積されたメダルやベットされたメダルを精算し、本体枠3の下部に設けられたメダル払出口11よりメダルをメダル受皿12に排出するためのボタンである。スタートレバー8及びストップボタン9とメダル払出口11との間には、装飾パネル13が設けられている。装飾パネル13には、スロットマシンの機種名や各種装飾デザインが描かれる。
【0031】
図1において、本体枠3の上部中央及び操作枠3aの上面左方には演出表示装置14が設けられている。これら演出表示装置14は、上下反転して設けられるが、構成は同じであるため、同一符号を付して説明する。演出表示装置14は、図4に示すように、一辺が傾斜した台形状の左右の支持枠体14a,14bに透光性を有する表示対象物15と、表示対象物15の後方に位置して該表示対象物15を照射する発光手段17と、発光手段17からの照射により投影される表示対象物15の像影を遊技機(スロットマシン1)の後方側に向けて反射するハーフミラー18と、ハーフミラー18で反射した反射像をハーフミラー18に向けて再帰反射させる再帰性反射部材19とを備えている。
【0032】
具体的には表示対象物15は支持枠体14a,14bの内壁に形成された支持部14cに支持されている。表示対象物15は、板状の基板部15aを基準として後方に窪む凹状に形成される立体表示物である。表示対象物15の後方には拡散シート16を介して発光手段17が設けられている。発光手段17はベース枠体17cに基板17aが載置され、基板17aには表示対象物15を均等に照射するように複数のLED17bを備えており、ベース枠体17cのフランジ部17dを左右の支持枠体14a,14bに形成された切溝14dに嵌入して、左右の支持枠体14a,14bに挟持される。拡散シート16は、図5に示すように、LED17bと所定の間隔をもって支持部14cに配設されている。これにより、LED17bが点光りすることなく表示対象物15を均一に照射することができる。
【0033】
支持枠体14a,14bの傾斜面14eには開口窓部14fが形成されており、該開口窓部14fにはハーフミラー18(暗い側からは明るい側を透視でき、明るい側からは暗い側を透視し難くする半透鏡)が遊技者に視認可能な状態で組み付けられている。ハーフミラー18は、表示対象物15が鉛直方向に投影される画像を本体枠3(支持枠体14a,14b)の後方側に向けて反射させる。ハーフミラー18は、表示対象物15の鉛直方向に向かう投影方向に対して25°の傾きをもって開口窓部14fに組み付けられている。
また、支持枠体14a側の傾斜面14e(ハーフミラー18の近傍)には周辺の明るさを検出する受光センサ50が設けられている。
【0034】
また、支持枠体14a,14bの後方には、再帰性反射部材19が後壁14gに対して約20°前傾した状態で支持部14cに保持されており、ハーフミラー18対して45°の傾きをもって組み付けられている。再帰反射部材19は、プリズム型またはマイクロビーズ型等が用いられ、光を入射方向に逆向きに反射する。再帰反射部材19は支持板19aに保持され、ハーフミラー18で反射した反射画像を再度ハーフミラー18に向けて再帰反射させる。この結果、ハーフミラー18に入射した再帰反射画像は、ハーフミラー18前方の空間部(仮想表示領域)で結像し、一点鎖線に示す表示対象物15の仮想表示対象物20の立体像が表示される。このとき、仮想表示対象物20は表示対象物15の基板部15aが最後部となり表示対象物15の凹凸部が逆転して表示される。言い換えると、仮想表示対象物20はハーフミラー18に対して表示対象物15と面対称の位置に表示される。
【0035】
具体的には、表示対象物15は図6で示すように、基板部15aを基準としてドーナツ状の円形部とその外部に対角状に位置する三角形部が後方に窪む凹部に形成され、中心の「NPP」が突出した状態で配置されている。この表示対象物15を発光手段17により拡散シート16を介して照射すると、ハーフミラー18、再帰性反射部材19で反射された仮想表示対象物20は、図2に示すように、本体枠3の前方の空間部(仮想表示領域)で結像表示する。その仮想表示対象物20は、図1に示すように、表示対象物15の凹凸部が逆転してドーナツ状の円形部とその外部に対角状に位置する三角形部が突出し、「NPP」が窪んだ状態で視認される。
【0036】
また、仮想表示対象物20は、遊技者によっては視認し難い場合があるため、図1及び図2に示すように、仮想表示対象物20が表示される凡その結像位置を示す矢印等の指示手段21を設けている。これにより、仮想表示対象物20の結像位置が判り易くなり、仮想表示対象物20を見逃すことがなく遊技を行うことができる。また、遊技機(スロットマシン1)の設置場所によっては、周囲の明るさにより仮想表示対象物20が遊技者に気付かれ難いこともあり、事前に仮想表示対象物20の表示位置周辺の明るさを受光センサ50で検知することで、発光手段17の輝度を制御回路により制御変更し、仮想表示領域に表示される仮想表示対象物20の視認性を高めることができる。
【0037】
次に、演出表示装置14をパチンコ機51に設けた場合について、図7及び図8を参照して説明する。
図7においてパチンコ機51の外形をなす矩形状の外枠22の側部に対して内枠(図示せず)が開閉可能に取り付けられ、該内枠の側部に対して前面枠25が開閉可能に取り付けられている。また、前面枠25にはシリンダ錠39が設けられ、図示しないキーを鍵穴に挿入して回転操作することでシリンダ錠39の開錠施錠が行われる。シリンダ錠39はキーを差し込んで一方向へ回転させると外枠22と内枠の施錠が開錠され、他方向へ回転させると内枠と前面枠25の施錠が開錠するようになっている。
【0038】
前面枠25の中央部には遊技者が遊技盤26をガラス板等の透明板を介して視認できる窓部27が設けられている。該窓部27の上方には前方に突出するように直方体状の装飾ランプ28が設けられ、その装飾ランプ28の中央に演出表示装置14が設けられている。また、窓部27の下方には、貸球や賞球を貯留し球発射装置(図示せず)へ球を誘導する球受皿29が設けられている。球受皿29の前面部右下側には、球発射装置を作動させ遊技球の発射力を調整するための発射ハンドル30が設けられている。
【0039】
また、球受皿29の前面部中央部には、球受皿29に貯留した遊技球を皿底部に設けられた開閉孔を開口させてドル箱等に排出する球抜きボタン31が設けられている。また、球受皿29の前面部左側に、演出表示装置14Aを設けている(図8参照)。
【0040】
図7において、遊技盤26の盤面上にガイドレール32等によって略円形に形成される遊技領域26a内には、センター役物33として図柄表示装置34(液晶表示装置)が設けられている。
【0041】
図柄表示装置34の下方には、始動口36、アタッカー37(可変入賞装置)等が設けられている。遊技領域26aの最下端にはアウト球(始動口36、アタッカー37に入賞しなかった遊技球)を回収するアウト口38が設けられている。遊技球が始動口36に入球すると、図柄表示装置34にて図柄等が変動して大当たり抽選が開始されるようになっている。また、図柄表示装置34に例えば「7,7,7」が表示されると「大当たり」となりアタッカー37が所定時間若しくは所定数の遊技球が入球するまで開口するようになっている。
【0042】
先ず、窓部27の上部に設けられ演出表示装置14については、スロットマシン1の本体枠3の上部中央に設けた場合と同様であるため詳細は省略するが、仮想表示対象物20の表示位置は遊技領域26aの上方前面側に形成されるので、遊技の邪魔になることはなく、仮想表示対象物20が遊技者の視界に確実に取らえられるため、迫力ある演出を楽しむことができる。なお、仮想表示対象物20が周辺の明るさを検出する受光センサ50は、演出表示装置14近傍の本体枠3(装飾ランプ28)に設けられている。
ここでは、球受皿29の枠体左側部に設けられる演出表示装置14Aについて、図8を参照して説明する。演出表示装置14Aは、球受皿29の上部開口の一部に設けられており、開口位置にハーフミラー18が位置している。そして、演出表示装置14Aは、演出表示装置14と異なり表示対象物15が拡散シート16と発光手段17と共に支持枠体14a,14bの一側に面して設けられており、球受け皿29の枠体前側部29bと表示対象物15が組付けられた支持枠体14a,14bの一側が重なる鉛直下方に垂下した状態で球受皿29に組み付けられている。そして、開口窓部14fにはハーフミラー15が水平姿勢で組み付けられ、傾斜面に再帰反射部材19が設けられている。具体的には表示対象物15は、ハーフミラー18に対して90°の傾きをもって位置し、再帰反射部材19に対して45°の傾きをもって組み付けられている。したがって、ハーフミラー18と再帰反射部材19の相対角度は演出表示装置14と同じ45°になっている。
【0043】
演出表示装置14Aは、例えば、大当たり抽選が開始されリーチ等の所定の遊技条件が成立すると、発光手段17により照射された表示対象物15の像影は、ハーフミラー18により後方の再帰性反射部材19に向かって反射される。そして再帰性反射部材19で再帰反射してハーフミラー18を透過した像影を前面枠25(本体枠)の前方でもある球受皿29の上方空間に結像させて仮想表示対象物20を表示する。これにより、遊技者に近いパチンコ機51の前面側で、表示を可能とし遊技者の興趣が尽きない演出を行うことができる。また、仮想表示領域は遊技領域26aの外方周辺の前面側に形成されるので、遊技の邪魔になることはなく、仮想表示対象物20が遊技者の視界に確実に捉えることができる。
【0044】
また、球受皿29の再帰性反射部材16で仕切られた余剰空間部29cを遊技球(遊技媒体)の貯留部として使用する。このように、演出表示装置14を球受皿29(貯留部)に設けることで、貯留部上方の余剰空間を有効活用して意外性のある演出を行うことができる。
【0045】
また、演出表示装置14は、図9に示すように、表示対象物15のハーフミラー18又は再帰性反射部材19に対する相対距離を調整する距離調整機構40が設けられていてもよい。図9において、表示対象物15とハーフミラー18との相対距離を調整する実施の形態について説明する。支持枠体14aには表示対象物15、拡散シート16、発光手段17が組付けられた支持部材41がガイド部42に沿って変位可能に設けられ、支持部材41の一側にラックギヤ43が設けられている。また、支持枠体14aには、駆動源であるモータ44が設けられ、モータ軸にはラックギヤ43と噛合するオピニオンギヤ45が正逆回転駆動可能に設けられている。
【0046】
モータ44を所定量正逆回転駆動させることで、オピニオンギヤ45が回転する。オピニオンギヤ45と噛合するラックギヤ43が支持部材41に設けられていることにより、支持部材41がガイド部42に沿って図9の実線位置から一点鎖線で示す位置にスライド変位することで、表示対象物15とハーフミラー18との相対距離が変化する。この場合には、遊技者に近い遊技機(スロットマシン1,パチンコ機51)の前面側で仮想表示対象物20の表示位置が、図9の二点鎖線で示す位置から一点鎖線で示す位置(矢印方向)に変位し、表示位置を変化させて演出効果を高めることができる。また、仮想表示対象物20の表示位置を変化させることで、所定位置では仮想表示対象物20が視認し難かった遊技者にも視認できるようになり、仮想表示対象物20の視認性を高めることができる。なお、支持部材41に組付けられた発光手段17も表示対象物15と同じように変位するように説明したが、発光手段17を変位させることなく支持枠体14a,14bに設けて、表示対象物15を単体で変位させるようにしてもよく、仮想表示対象物20の像影の明暗が変化して演出効果を高めることができる。また、表示対象物15を傾動自在に設けて、ハーフミラー18との相対距離を変化させるようにしてもよい。また、図8に示した表示対象物15を距離調整機構40により変位自在に設けて、表示対象物15と再帰性反射部材16との相対距離を変化させるようにしてもよい。
【0047】
尚、再帰性反射部材16は平板状の形態を例示したがこれに限定されるものではなく、図10に示すように、演出表示装置14を側面視して再帰性反射部材16を表示対象物15に対して湾曲状に配置するようにしてもよい。また、図11に示すように、演出表示装置14を平面視して再帰性反射部材16を表示対象物15に対して湾曲状に配置するようにしてもよい。再帰性反射部材16の配置場所によって表示対象物15に対して凸状に変形配置してもよい。これにより、仮想表示対象物の像影の後方に重なって見えるゴースト像を目立たなくすることができる。
【0048】
なお、発光手段17をLEDとして説明したが、液晶,有機ELであってもよい。また、発光手段を制御する制御回路を備え、発光手段17の輝度を制御回路により変化可能とすることで仮想表示対象物20の視認性を変化させることができ、遊技状態の条件により発光手段17の輝度を変更し、仮想表示対象物20の視認性を変化させて演出効果を高めるようにしてもよい。
【0049】
また、仮想表示対象物20の表示位置周辺に、赤外線等によって遊技者の動きを検知する非接触センサを設けるようにしてもよく、遊技者の仮想表示対象物20を掴んだり触ろうとしたりする動作を検知して、仮想表示対象物20を表示させないようにしたりして、遊技者に不思議な感覚を味合わせ、遊技の興趣を高めるようにしてもよい。
【0050】
また、所定の遊技状態を報知する報知手段を備えると共に、報知手段の報知動作に連動して仮想表示領域に仮想表示対象物20を表示させるようにしてもよい。これにより、演出表示装置14の設置場所によっては、遊技者に気付かれ難いこともあり、事前に報知手段の報知動作で遊技者に知らせて仮想表示領域に表示された仮想表示対象物20への注目度を高めるようにしてもよい。報知手段は、例えば遊技機に設けられるスピーカーや装飾部材の発光手段である。
【0051】
また、上記実施の形態では、演出表示装置14の遊技機への配置位置について説明したが、演出表示装置14を可動自在設けてもよく、例えばラックピニオン機構等により演出表示装置14を遊技機に対して前後上下左右方向にスライド移動させたり、図12(イ)(ロ)(ハ)に示すように、前後上下左右方向のいずれかの回転軸Kにより回転変位させたりしてもよい。これにより、仮想表示対象物20の表示位置を変化させることができ、所定位置では仮想表示対象物20が視認し難かった遊技者にも視認できるようになり、仮想表示対象物20の視認性を高めると共に、遊技性を多様化することができる。なお、演出表示装置14を回動変位させる回転軸Kは、ハーフミラー18側、つまり仮想表示対象物20がより大きく変位するように演出表示装置14の側端部に設けるのが好ましい。
【0052】
また、演出表示装置14が設置される遊技機の一例としてスロットマシン及びパチンコ機について説明したが、他に例えば雀球遊技機やアレンジボール遊技機などの遊技球を使用する弾球遊技機などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…スロットマシン(遊技機)
2…機枠
3…本体枠
14,14A…演出表示装置
14a,14b…支持枠体
15…表示対象物
15a…基板部
16…拡散シート
17…発光手段
18…ハーフミラー
19…再帰性反射部材
20…仮想表示対象物
21…指示手段
22…外枠(機枠)
25…前面枠(本体枠)
29…球受皿(貯留枠体)
40…距離調整機構
41…支持部材
43…ラックギヤ(距離調整機構)
44…モータ(距離調整機構)
45…オピニオンギヤ(距離調整機構)
50…受光センサ
51…パチンコ機(遊技機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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図12