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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】積み重ね装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/11 20060101AFI20231228BHJP
   B65G 57/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65G57/11
B65G57/18 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020088401
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181375
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】391029624
【氏名又は名称】滝川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】光岡 賢
(72)【発明者】
【氏名】川口 透
(72)【発明者】
【氏名】野村 一雄
(72)【発明者】
【氏名】加納 弥
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-128127(JP,A)
【文献】特開平04-303329(JP,A)
【文献】特開2003-201014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/11
B65G 57/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が円形である長尺材を、当該長尺材の長手方向に直交する方向を前後方向として並べかつ複数段について積み重ね可能とする積み重ね装置であって、
複数の前記長尺材を載せて後方側となる上流側から前方側となる下流側に搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送された前記長尺材を前後方向に並べて載せるための載置部材を有するスタッカと、
前記スタッカを上下方向及び前後方向に移動させる移動装置と、
前記コンベアの前方側に搬送された前記長尺材を検出するセンサと、
前記コンベアにより搬送された前記長尺材を前記載置部材上に移すための傾斜スキッドと、
前記センサの検出結果に基づくタイミングで前記移動装置を動作させて前記載置部材の基準点を所定の移動位置まで移動させる制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記載置部材上の最初の載置位置に第一の長尺材を載せるために、当該最初の載置位置が前記傾斜スキッドの下流端の近傍となるように前記基準点を最初の移動位置とする第一動作と、
前記第一の長尺材の隣の位置に、一段目として、次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを前進させ、当該基準点を次の移動位置とする第二動作と、
一段目として隣り合って載っている二本の長尺材の上に、二段目として、更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第三動作と、
を実行する制御を行う、積み重ね装置。
【請求項2】
前記制御装置は、更に、
一段目として既に載っている長尺材の隣りに次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを上昇させると共に前進させ、当該基準点を次の移動位置とする第四動作と、
一段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材の上に、二段目として、更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第五動作と、
を実行する制御を行う、請求項1に記載の積み重ね装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第一動作から順に前記第五動作を実行した後、
前記第四動作及び前記第五動作を繰り返し実行する制御を行う、請求項2に記載の積み重ね装置。
【請求項4】
前記制御装置は、更に、
二段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材の上に、三段目として、次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を次の移動位置とする第六動作と、
一段目として既に載っている長尺材の隣に更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを上昇させると共に前進させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第七動作と、
を実行するための制御を行い、
前記第一動作から順に前記第七動作を実行した後、
前記第五動作、前記第六動作、及び前記第七動作を繰り返し実行する制御を行う、請求項2に記載の積み重ね装置。
【請求項5】
前記載置部材が有する長尺材の載置位置は、載置された長尺材の前後方向の移動を抑制するためにV字形状を有し、
前記載置部材は、着脱可能となって前記スタッカに設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の積み重ね装置。
【請求項6】
隣り合う二本の長尺材の上の載置位置に二段目又は三段目として長尺材を載せるために、前記傾斜スキッドから当該載置位置に当該長尺材を落下させる落下高さは、
前記載置部材上の載置位置に一段目として長尺材を載せるために、前記傾斜スキッドから当該載置位置に当該長尺材を落下させる落下高さよりも、低い、請求項1~5のいずれか一項に記載の積み重ね装置。
【請求項7】
前記コンベアは、搬送する前記長尺材の径に応じて当該長尺材の搬送速度を変化させることができ、径が大きい長尺材ほど搬送速度を小さくする、請求項1~6のいずれか一項に記載の積み重ね装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、丸鋼及び丸パイプのような横断面が円形である長尺材を積み重ね可能とする積み重ね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
丸鋼及び丸パイプのような長尺材の製造工場において、例えば、長尺材を熱処理炉に投入する前工程では、所定本数の長尺材が搬送ローラ上に複数段となってより正確に積み重ねられることが必要とされる。特許文献1に、棒鋼材を大きな交差なく積み重ねることが可能となる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-204140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている装置の他に、より正確に棒鋼材を積み重ねることができる装置として、リフティングマグネットを用いた装置がある。この場合、リフティングマグネットによって複数の長尺材を持ち上げ、所定位置に置き、これを繰り返すことで、棒鋼材を積み重ねることが可能となる。しかし、リフティングマグネットを用いる場合、装置全体が大型化し、また、長尺材の載置位置の上方が覆われ、作業性が悪く、問題発生時の対応が難しいという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、横断面が円形である長尺材を積み重ね可能とするための新たな技術的手段を備える積み重ね装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、横断面が円形である長尺材を、当該長尺材の長手方向に直交する方向を前後方向として並べかつ複数段について積み重ね可能とする積み重ね装置であって、
1本毎に間隔をあけた複数の前記長尺材を載せて後方側となる上流側から前方側となる下流側に搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送された前記長尺材を前後方向に並べて載せるための載置部材を有するスタッカと、前記スタッカを上下方向及び前後方向に移動させる移動装置と、前記コンベアの前方側に搬送された前記長尺材を検出するセンサと、前記コンベアにより搬送された前記長尺材を前記載置部材上に移すための傾斜スキッドと、前記センサの検出結果に基づくタイミングで前記移動装置を動作させて前記載置部材の基準点を所定の移動位置まで移動させる制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記載置部材上の最初の載置位置に第一の長尺材を載せるために、当該最初の載置位置が前記傾斜スキッドの下流端の近傍となるように前記基準点を最初の移動位置とする第一動作と、前記第一の長尺材の隣の位置に、一段目として、次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを前進させ、当該基準点を次の移動位置とする第二動作と、一段目として隣り合って載っている二本の長尺材の上に、二段目として、更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第三動作と、を実行する制御を行う。
【0007】
前記積み重ね装置によれば、スタッカの載置部材の上に、二本の長尺材(第一の長尺材及び第二の長尺材)を前後に並べて載せ(一段目)、更に、これら長尺材の上に、二段目として、別の長尺材(第三の長尺材)を載せることが可能となる。前記の各動作を含む積み重ね作業が始めに実行されることで、正確に、長尺材を積み重ねることが可能となる。
【0008】
(2)また、好ましくは、前記制御装置は、更に、一段目として既に載っている長尺材の隣りに次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを上昇させると共に前進させ、当該基準点を次の移動位置とする第四動作と、一段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材の上に、二段目として、更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第五動作と、を実行する制御を行う。
【0009】
前記積み重ね装置によれば、一段目として既に載っている長尺材の隣りに、次の長尺材を載せることができ、更に、一段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材の上に、二段目として、更に次の長尺材を載せることが可能となる。
【0010】
(3)また、前記(2)の積み重ね装置において、好ましくは、前記制御装置は、前記第一動作から順に前記第五動作を実行した後、前記第四動作及び前記第五動作を繰り返し実行する制御を行う。この場合、長尺材を二段積みすることが可能となる。
【0011】
(4)または、前記(2)の積み重ね装置において、好ましくは、前記制御装置は、更に、二段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材の上に、三段目として、次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを降下させると共に後退させ、当該基準点を次の移動位置とする第六動作と、一段目として既に載っている長尺材の隣に更に次の長尺材を載せるために、前記基準点が現在の移動位置にある状態から、前記スタッカを上昇させると共に前進させ、当該基準点を更に次の移動位置とする第七動作と、を実行するための制御を行い、前記第一動作から順に前記第七動作を実行した後、前記第五動作、前記第六動作、及び前記第七動作を繰り返し実行する制御を行う。
この場合、長尺材を三段積みすることが可能となる。
【0012】
(5)また、好ましくは、前記載置部材が有する長尺材の載置位置は、載置された長尺材の前後方向の移動を抑制するためにV字形状を有し、前記載置部材は、着脱可能となって前記スタッカに設けられている。
この場合、横断面のサイズが異なる長尺材にも対応することが可能となる。
【0013】
(6)また、前記載置部材上に直接的に長尺材を載せる場合よりも、隣り合った二本の長尺材の上に長尺材を載せる場合、それまでに載せた長尺材又は新たに載せる長尺材が崩れて積み重ねられる場合がある。そこで、好ましくは、隣り合う二本の長尺材の上の載置位置に二段目又は三段目として長尺材を載せるために、前記傾斜スキッドから当該載置位置に当該長尺材を落下させる落下高さは、前記載置部材上の載置位置に一段目として長尺材を載せるために、前記傾斜スキッドから当該載置位置に当該長尺材を落下させる落下高さよりも、低い。
この場合、より一層正確に、長尺材を積み重ねることが可能となる。
【0014】
(7)また、好ましくは、前記コンベアは、搬送する前記長尺材の径に応じて当該長尺材の搬送速度を変化させることができ、径が大きい長尺材ほど搬送速度を小さくする。
コンベアにより搬送された長尺材は、その後、傾斜スキッド上を転がり落ちるが、長尺材が大径である場合、転がりやすく、加速して載置部材上に落下する。そこで、長尺材が落下した際の衝撃で積み重ねが乱れないように、大径の長尺材の場合、コンベアの搬送速度を小さくするのが好ましい。これに対して、小径の長尺材は、傾斜スキッド上に載った際の速度(初速)が小さいと途中で止まってしまう可能性がある。このため、小径の長尺材の場合、コンベアの搬送速度を比較的大きくするのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、正確に、長尺材を積み重ねることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】積み重ね装置の一例の概略構成を示す側面図である。
図2】1本目の長尺材を載置部材に載せる積み重ね動作を示す説明図である。
図3】2本目の長尺材を載置部材に載せる積み重ね動作を示す説明図である。
図4】3本目の長尺材を載置部材に載せる積み重ね動作を示す説明図である。
図5】第四動作の説明図である。
図6】第五動作の説明図である。
図7】18本の長尺材が載置部材に二段積みとなって載せられる場合の二段積み動作の説明図である。
図8】第六動作の説明図である。
図9】第七動作の説明図である。
図10】三段積みする場合の積み重ね装置を示す側面図である。
図11】27本の長尺材が載置部材に三段積みとなって載せられる場合の三段積み動作の説明図である。
図12】一段積みする場合の積み重ね装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔積み重ね装置について〕
図1は、積み重ね装置の一例の概略構成を示す側面図である。図1に示す積み重ね装置10は、横断面が円形である長尺材Wを、その長尺材Wの長手方向に直交する方向を前後方向として並べかつ複数段について積み重ね可能とするための装置である。長尺材Wは、例えば丸鋼、丸パイプであり、直線状の部材である。例えば、外径が21mm~50mm程度の中程度の長尺材Wは、図1に示すように、二段積みとされ、外径が10mm~20mm程度の比較的細い長尺材Wは、図10に示すように、三段積みとされる。なお、外径が51mm~200mm程度の比較的太い長尺材Wは、図12に示すように、一段積みとされる。
【0018】
図1に示す積み重ね装置10は、コンベア11、スタッカ12、移動装置14、センサ15、傾斜スキッド16、制御装置17、及び、搬送テーブル18を備える。
【0019】
コンベア11は、複数の長尺材Wを間隔をあけて載せて一方向に搬送する。前記間隔は、不均等であってもよい。搬送方向は、長尺材Wの長手方向に直交する方向である。コンベア11による長尺材Wの搬送方向は、図1において、右から左に向かう方向である。図1の右側が搬送方向の上流側であり、左側が下流側である。
【0020】
ここで、本開示の積み重ね装置10における「前後」の方向について定義する。前記搬送方向の上流側(図1の右側)が「後方側」であり、下流側(図1の左側)が「前方側」である。「前後」の方向は、スタッカ12、載置部材13、移動装置14、及び傾斜スキッド16についても同様であり、各図において左が「前」、右が「後」である。また、「上下」は、鉛直方向に沿った上下として定義される。前後方向及び上下方向の双方に直交する方向が「左右」の方向であり、長尺材Wの長手方向は左右方向と一致する。
【0021】
コンベア11は、チェーンコンベアであり、複数のチェーンコンベアが長尺材Wの長手方向に沿って複数台設置されている。コンベア11は、複数の長尺材Wを載せて後方側となる上流側から前方側となる下流側に搬送する。コンベア11は、長尺材Wを1本毎に間隔をあけて搬送する。
【0022】
スタッカ12は、コンベア11によって搬送された長尺材Wを載せるための載置部材13を有する。載置部材13に、複数の長尺材Wが前後方向に並べて載せられる。載置部材13はアタッチメントとも称され、スタッカ12に着脱可能となって設けられている。載置部材13が有する長尺材Wの載置位置は、V字形状を有する。この形状により、各載置位置に置かれた長尺材Wの前後方向の移動が抑制される。長尺材Wの横断面のサイズが変更される場合に、そのサイズに応じて載置部材13は交換される。図12に示すように、載置部材13の載置位置はV字形状を有していなくてもよい。
【0023】
移動装置14は、スタッカ12を上下方向及び前後方向に移動させる。本開示では、移動装置14は、ラックピニオン機構を備える。移動装置14は、前後移動用のラックピニオン機構20として、スタッカ12と一体である第一ラック21と、第一ラック21に噛み合う第一ピニオン22と、第一ピニオン22を正逆回転させる第一モータ23とを有する。第一ラック21は、その長手方向が前後方向と一致するようにして支持されていて、前後方向に移動可能である。
【0024】
移動装置14は、前後移動用のラックピニオン機構20を、上下方向に移動させる上下移動用のラックピニオン機構24を備える。上下移動用のラックピニオン機構24は、前後移動用のラックピニオン機構20を搭載する支持部20aと一体である第二ラック25と、第二ラック25に噛み合う第二ピニオン26と、第二ピニオン26を正逆回転させる第二モータ27とを有する。第二ラック25は、その長手方向が上下方向と一致するようにして支持されていて、上下方向に移動可能である。
【0025】
第一モータ23及び第二モータ27はサーボモータであり、制御装置17によって回転制御が行われる。第一モータ23及び第二モータ27が回転制御されることで、スタッカ12は所望の位置まで移動し、その位置で停止することが可能となる。スタッカ12に載置部材13が搭載されていて、これらは一体移動する。載置部材13に基準点Bが設定されている。以下、載置部材13の基準点Bに基づいて、スタッカ12(載置部材13)の移動位置について説明する。
【0026】
センサ15は、コンベア11の前方側(下流側)に設けられている。センサ15は、例えばレーザセンサのように非接触式のセンサであり、長尺材Wを検出する。センサ15は、コンベア11の前方側に搬送された長尺材Wを検出する。センサ15は、左右方向に複数設置されているのが好ましい。複数のセンサ15は、前後方向について同じ位置に配置されている。
【0027】
傾斜スキッド16は、コンベア11により搬送された長尺材Wを載置部材13上に移すための部材である。傾斜スキッド16は、コンベア11の下流端に連続するようにして設けられている。傾斜スキッド16は、上面に傾斜面を有する。コンベア11によって搬送された長尺材Wは、傾斜スキッド16上を転がることで搬送される。傾斜スキッド16の下流端16aに到達した長尺材Wは、その後、落下する。
【0028】
制御装置17は、コンピュータ装置により構成される。制御装置17は、第一モータ23及び第二モータ27に司令信号を出力し、第一モータ23及び第二モータ27それぞれを独立して回転させる。制御装置17は、司令信号を、センサ15の検出結果に基づくタイミングで出力する。例えば、センサ15が長尺材Wを検出すると、その長尺材Wを載置部材13に載せるために、スタッカ12を次の位置(移動位置)へ移動させる。つまり、センサ15が長尺材Wを検出すると、その長尺材Wが傾斜スキッド16から落下するまでの間に、制御装置17は、第一モータ23と第二モータ27とのうちの一方又は双方を回転させ、その長尺材Wを載せるために、スタッカ12を次の移動位置へ移動させる。
【0029】
または、センサ15が長尺材Wを検出してから、その長尺材Wが傾斜スキッド16より落下して所定の載置位置に載るはずの時間が経過すると、制御装置17は、第一モータ23と第二モータ27とのうちの一方又は双方を回転させてもよい。この場合、センサ15が長尺材Wを検出してから、その長尺材Wが傾斜スキッド16から落下して所定の載置位置に載るはずの時間が経過すると、停止状態にあったスタッカ12は、次の移動位置へ移動する。このために、制御装置17はタイマー機能を有する。つまり、制御装置17は、センサ15が長尺材Wを検出してから所定時間経過後に、次の長尺材Wを載せるために、スタッカ12を次の移動位置へ移動させる。
【0030】
このように、制御装置17は、センサ15の検出結果に基づくタイミングで、移動装置14を動作させて載置部材13の基準点Bを所定の移動位置まで移動させる制御を行う。なお、センサ15の検出結果に基づくタイミングで移動装置14を動作させる制御の具体例は、前記の例以外であってもよい。
【0031】
搬送テーブル18は、スタッカ12の載置部材13が、前方に移動した位置(図1において、二点鎖線で示す位置)の下方領域に設けられている。搬送テーブル18は、例えば、ローラテーブルであり、載置部材13上に積み重ねられた複数の長尺材Wを受け取る。搬送テーブル18は、複数の長尺材Wを受け取ると、次の工程に、これら長尺材Wを搬送する。
【0032】
以上の構成を備える積み重ね装置10が実行する積み重ね動作について説明する。
【0033】
〔積み重ね動作について〕
〔1.初期動作〕
図2図3、及び図4は、1本目から3本目までの長尺材Wを載置部材13に載せる積み重ね動作を示す説明図である。なお、図1及び図2等、各図において示す長尺材W中の数字は載置部材13に載置する長尺材Wの順番を示す。1番目に載せる長尺材を第一の長尺材W1と称し、2番目に載せる長尺材を第二の長尺材W2と称し、3番目に載せる長尺材を第三の長尺材W3と称する。以下、4番目以降も同様である。
載置部材13上において、長尺材Wの載置位置の符号を「Pn」とする。ただし、nは自然数である。つまり、第一の長尺材W1のための第一の載置位置(最初の載置位置)の符号が「P1」であり、第nの長尺材Wnのための第nの載置位置は「Pn」である。
【0034】
前記のとおり、載置部材13に基準点Bが設定されている。基準点Bの位置は、任意である。本開示では、最初の載置位置P1の前方側に基準点Bが設定されている。載置部材13は、最初の載置位置P1の前側に壁部13aを有する。壁部13aは、長尺材Wの脱落防止用として設けられている。
【0035】
制御装置17は、1本目から3本目までの長尺材W1~W3を載置部材13に載せるために、第一動作、第二動作、及び第三動作を実行する制御を行う。更に、制御装置17は、4本目及び5本目の長尺材W4,W5を載置部材13に載せるために、第四動作及び第五動作を実行する制御を行う。積み重ねを行う対象となる長尺材Wは、全て同じ横断面形状を有する、つまり、全て同じ外径を有する。
【0036】
〔1.1 第一動作〕
図2において第一動作は、載置部材13上の最初の載置位置P1に第一の長尺材W1を載せるための動作である。最初の載置位置P1が傾斜スキッド16の下流端16aの近傍となるように基準点Bを最初の移動位置とする。つまり、基準点Bが最初の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第一動作である。第一動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第一の長尺材W1は、スタッカ12が静止した状態で、最初の載置位置P1上に載る。
【0037】
〔1.2 第二動作〕
第一動作の後であり、第一の長尺材W1が最初の載置位置P1に載ると、第二動作が行われる。第二動作の開始タイミングは、センサ15が第二の長尺材W2を検出したタイミングである。
【0038】
図3において、第二動作は、第一の長尺材W1の隣の第二の載置位置P2に、一段目として、次の長尺材である第二の長尺材W2を載せるための動作である。図3の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(前記最初の移動位置)にある状態から、図3の下段の図に示すように、スタッカ12を前進させ、基準点Bを次の移動位置である第二の移動位置とする。つまり、基準点Bが第二の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第二動作である。
【0039】
第二動作では、スタッカ12を上下方向に移動させないで、長尺材Wの直径に相当する移動量について前進させる。第二動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第二の長尺材W2は、スタッカ12が静止した状態で、第二の載置位置P2上に載る。
【0040】
〔1.3 第三動作〕
第二動作の後であり、第二の長尺材W2が第二の載置位置P2に載ると、第三動作が行われる。第三動作の開始タイミングは、センサ15が第三の長尺材W3を検出したタイミングである。
【0041】
図4において、第三動作は、一段目として隣り合って載っている二本の第一の長尺材W1及び第二の長尺材W2の上となる第三の載置位置P3に、二段目として、更に次の長尺材である第三の長尺材W3を載せるための動作である。図4の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(前記第二の移動位置)にある状態から、図4の下段の図に示すように、スタッカ12を降下させると共に後退させ、基準点Bを更に次の移動位置である第三の移動位置とする。つまり、基準点Bが第三の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第三動作である。
【0042】
第三動作では、スタッカ12を、長尺材Wの直径に相当する移動量について降下させると共に、長尺材Wの半径に相当する移動量について後退させる。第三動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第三の長尺材W3は、スタッカ12が静止した状態で、第三の載置位置P3上に載る。
【0043】
〔1.4 第四動作〕
第三動作の後であり、第三の長尺材W3が第三の載置位置P3に載ると、第四動作が行われる。第四動作の開始タイミングは、センサ15が第四の長尺材W4を検出したタイミングである。
【0044】
図5において、第四動作は、一段目として既に載っている第二の長尺材W2の隣りとなる第四の載置位置P4に、次の長尺材である第四の長尺材W4を載せるための動作である。図5の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(前記第三の移動位置)にある状態から、図5の下段の図に示すように、スタッカ12を上昇させると共に前進させ、基準点Bを次の移動位置である第四の移動位置とする。つまり、基準点Bが第四の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第四動作である。
【0045】
第四動作では、スタッカ12を、長尺材Wの直径に相当する移動量について上昇させると共に、長尺材Wの直径の1.5倍に相当する移動量について前進させる。第四動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第四の長尺材W4は、スタッカ12が静止した状態で、第四の載置位置P4上に載る。
【0046】
〔1.5 第五動作〕
第四動作の後であり、第四の長尺材W4が第四の載置位置P4に載ると、第五動作が行われる。第五動作の開始タイミングは、センサ15が第五の長尺材W5を検出したタイミングである。
【0047】
図6において、第五動作は、一段目として既に隣り合って載っている二本の第二の長尺材W2及び第四の長尺材W4の上となる第五の載置位置P5に、二段目として、更に次の長尺材である第五の長尺材W5を載せるための動作である。図6の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(第四の移動位置)にある状態から、図6の下段の図に示すように、スタッカ12を降下させると共に後退させ、基準点Bを更に次の移動位置である第五の移動位置とする。つまり、基準点Bが第五の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第五動作である。
【0048】
第五動作では、スタッカ12を、長尺材Wの直径に相当する移動量について降下させると共に、長尺材Wの半径に相当する移動量について後退させる。第五動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第五の長尺材W5は、スタッカ12が静止した状態で、第五の載置位置P5上に載る。
【0049】
以上のような第一動作、第二動作、及び第三動作を行う積み重ね装置10によれば、図2図4に示すように、スタッカ12の載置部材13の上に、二本の第一の長尺材W1及び第二の長尺材W2を前後に並べて載せ(一段目)、更に、これら長尺材W1,W2の上に、二段目として、別である第三の長尺材W3を載せることが可能となる。更に、図5及び図6に示すように、第四動作及び第五動作により、一段目として既に載っている長尺材W2の隣りに、次の長尺材W4を載せることができ、更に、一段目として既に隣り合って載っている二本の長尺材W2,W4の上に、二段目として、更に次の長尺材W5を載せることができる。
以上より、前記の各動作を含む積み重ね作業が始めに実行されることで、次に説明するように、正確に、長尺材Wを二段又は三段として積み重ねることが可能となる。
【0050】
〔2.二段積み動作〕
長尺材Wを二段積みするために、制御装置17は、前記第一動作から順に前記第五動作までを実行した後、第四動作(図5参照)及び第五動作(図6参照)をセットとして繰り返し実行する制御を行う。第一動作から第五動作までが各一回、順に実行された後、第四動作及び第五動作をセットとして繰り返し実行する動作を、第八の長尺材W8(8番目の長尺材W8)についてまで、図1を参考にして、具体的に説明する。
【0051】
第一動作から第五動作までが各一回、順に実行されることで第五の長尺材W5までが載置部材13に載った状態となる。その後、第六の長尺材W6(6番目の長尺材W6)を載置部材13に載せるために、第四動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第六の長尺材W6のための第四動作は、第四の長尺材W4のための第四動作(図5参照)と同様である。
【0052】
すなわち、第五の長尺材W5が第五の載置位置P5に載ると、第四動作として、一段目として既に載っている第四の長尺材W4の隣りに、次となる第六の長尺材W6を載せるため、基準点Bが現在の第五の移動位置にある状態から、スタッカ12を上昇させると共に前進させる。これにより、基準点Bを次の第六の移動位置とする。前記上昇及び前記前進の移動量は、既に第四動作として説明したとおりである。第六の長尺材W6のための第四動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第六の長尺材W6は、スタッカ12が静止した状態で、第六の載置位置P6上に載る。
【0053】
その次に、第七の長尺材W7(7番目の長尺材W7)を載置部材13に載せるために、第五動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第七の長尺材W7のための第五動作は、第五の長尺材W5のための第五動作(図6参照)と同様である。
【0054】
すなわち、第六の長尺材W6が第六の載置位置P6に載ると、第五動作として、一段目として既に隣り合って載っている二本の第四の長尺材W4及び第六の長尺材W6の上となる第七の載置位置P7に、二段目として、更に次の第七の長尺材W7を載せるため、基準点Bが現在の第六の移動位置にある状態から、スタッカ12を降下させると共に後退させ、基準点Bを第七の移動位置とする。前記降下及び前記後退の移動量は、既に第五動作として説明したとおりである。第七の長尺材W7のための第五動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第七の長尺材W7は、スタッカ12が静止した状態で、第七の載置位置P7上に載る。
【0055】
更に、次に、第八の長尺材W8(8番目の長尺材W8)を載置部材13に載せるために、第四動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第八の長尺材W8のための第四動作は、前記第四動作(図5参照)と同様である。
【0056】
すなわち、第七の長尺材W7が第七の載置位置P7に載ると、第四動作として、一段目として既に載っている第六の長尺材W6の隣りに、次となる第八の長尺材W8を載せるため、基準点Bが現在の第七の移動位置にある状態から、スタッカ12を上昇させると共に前進させ、基準点Bを第八の移動位置とする。前記上昇及び前記前進の移動量は、既に第四動作として説明したとおりである。第八の長尺材W8のための第四動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第八の長尺材W8は、スタッカ12が静止した状態で、第八の載置位置P8上に載る。
【0057】
このような第八の長尺材W8以降、第九の長尺材、第十の長尺材・・・を、載置部材13に載せる場合についても、制御装置17は、第四動作及び第五動作を順に繰り返し実行すればよい。
【0058】
図7は、19本の長尺材Wが載置部材13に二段積みとなって載せられる場合の二段積み動作の説明図である。図7中の矢印は、載置部材13の基準点Bの移動軌跡を示し、図7中の括弧書きで示す数字は、載置部材13の基準点Bの移動位置、つまり、第一の移動位置(1)から第十八の移動位置(18)までを示す。
図7に示すように、二段積みのために、第一の長尺材W1が載置部材13に載り、第二の長尺材W2を載せるために、スタッカ12(基準点B)が第二の移動位置(2)まで前進した後、そのスタッカ12(基準点B)が、後退しながら降下して次の長尺材Wを載せる二段目用の動作、その後、前進しながら上昇して更に次の長尺材Wを載せる一段目用の動作が行われる。以降、これら二段目用の動作と一段目用の動作とが、繰り返し行われる。
以上より、載置部材13上に、複数の長尺材Wが、二段となって前後方向に並べられた状態となる。
【0059】
〔3.三段積み動作〕
二段積みではなく、三段積みとするために制御装置17は、前記第一の動作から前記第五の動作を実行すると共に、次に説明する第六動作及び第七動作を実行する。
【0060】
〔3.1 第六動作〕
図8に示すように、第五動作(図6参照)の後であり、第五の長尺材W5が第五の載置位置P5に載ると、第六動作が行われる。第六動作の開始タイミングは、センサ15が第六の長尺材W6を検出したタイミングである。
【0061】
図8に示すように、第六動作は、二段目として既に隣り合って載っている二本の第三の長尺材W3及び第五の長尺材W5の上となる第六の載置位置P6に、三段目として、次の長尺材である第六の長尺材W6を載せるための動作である。図8の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(第五の載置位置)にある状態から、図8の下段の図に示すように、スタッカ12を降下させると共に後退させ、基準点Bを次の移動位置である第六の載置位置とする。つまり、基準点Bが第六の移動位置となるように、スタッカ12を移動させる動作が第六動作である。
【0062】
第六動作では、スタッカ12を、長尺材Wの直径に相当する移動量について降下させると共に、長尺材Wの半径に相当する移動量について後退させる。第六動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第六の長尺材W6は、スタッカ12が静止した状態で、第六の載置位置P6上に載る。
【0063】
〔3.2 第七動作〕
図9に示すように、第六動作の後であり、第六の長尺材W6が第六の載置位置P6に載ると、第七動作が行われる。第七動作の開始タイミングは、センサ15が第七の長尺材W7を検出したタイミングである。
【0064】
図9に示すように、第七動作は、一段目として既に載っている第四の長尺材W4の隣となる第七の載置位置P7に、一段目として、更に次の長尺材である第七の長尺材W7を載せるための動作である。図9の上段の図に示すように、基準点Bが現在の移動位置(第六の載置位置)にある状態から、図9の下段の図に示すように、スタッカ12を上昇させると共に前進させ、基準点Bを更に次の移動位置である第七の載置位置とする。
【0065】
第七動作では、スタッカ12を、長尺材Wの直径の2倍に相当する移動量について上昇させると共に、長尺材Wの直径の2倍に相当する移動量について前進させる。第七動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第七の長尺材W7は、スタッカ12が静止した状態で、第七の載置位置P7上に載る。
【0066】
〔3.3 その後の三段積み動作〕
長尺材Wを、二段積みではなく、三段積みする場合、制御装置17は、二段積み動作の場合と同様に、前記第一動作から前記第五動作(図6参照)までをその順で実行すると、二段積み動作の場合のように第四動作及び第五動作をセットとして繰り返し実行するのではなく、その第五動作(図6参照)の後、第六動作(図8参照)及び第七動作(図9参照)を実行する。そして、この第七動作を実行した後、第五動作(図6参照)、第六動作(図8参照)、及び第七動作(図9参照)をセットとして繰り返し実行する制御を行う。つまり、第一動作から順に第七動作を実行した後、第五動作、第六動作、及び第七動作をセットとして繰り返し実行する制御を行う。
【0067】
第一動作から第七動作までが各一回、順に実行された後、第五動作、第六動作、及び第七動作をセットとして繰り返し実行する動作を、第十の長尺材W10(10番目の長尺材W10)についてまで、図10を参考にして、具体的に説明する。
【0068】
第一動作から第七動作までが各一回、順に実行されることで第七の長尺材W7までが載置部材13に載った状態となる。その後、第八の長尺材W8(8番目の長尺材W8)を載置部材13に載せるために、第五動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第八の長尺材W8のための第五動作は、第五の長尺材W5のための第五動作(図6参照)と同様である。
【0069】
すなわち、第七の長尺材W7が第七の載置位置P7に載ると、第五動作として、一段目として既に隣り合って載っている二本の第四の長尺材W4及び第七の長尺材W7の上に、二段目として、更に次となる第八の長尺材W8を載せるため、基準点Bが現在の第七の移動位置にある状態から、スタッカ12を降下させると共に後退させる。これにより、基準点Bを更に次の第八の移動位置とする。前記降下及び前記後退の移動量は、既に第五動作として説明したとおりである。第八の長尺材W8のための第五動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第八の長尺材W8は、スタッカ12が静止した状態で、第八の載置位置P8上に載る。
【0070】
その次に、第九の長尺材W9(9番目の長尺材W9)を載置部材13に載せるために、第六動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第九の長尺材W9のための第六動作は、第六の長尺材W6のための第六動作(図8参照)と同様である。
【0071】
すなわち、第八の長尺材W8が第八の載置位置P8に載ると、第六動作として、二段目として既に隣り合って載っている二本の第五の長尺材W5及び第八の長尺材W8の上に、三段目として、次の第九の長尺材W9を載せるため、基準点Bが現在の第八の移動位置にある状態から、スタッカ12を降下させると共に後退させる。これにより、基準点Bを次の第九の移動位置とする。前記降下及び前記後退の移動量は、既に第六動作として説明したとおりである。第九の長尺材W9のための第六動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第九の長尺材W9は、スタッカ12が静止した状態で、第九の載置位置P9上に載る。
【0072】
更にその次に、第十の長尺材W10(10番目の長尺材W10)を載置部材13に載せるために、第七動作として次の動作が制御装置17によって行われる。なお、第十の長尺材W10のための第七動作は、第七の長尺材W7のための第七動作(図9参照)と同様である。
【0073】
すなわち、第九の長尺材W9が第九の載置位置P9に載ると、第七動作として、一段目として既に載っている第七の長尺材W7の隣に更に次の第十の長尺材W10を、一段目として、載せるために、基準点Bが現在の第九の移動位置にある状態から、スタッカ12を上昇させると共に前進させる。これにより、基準点Bを更に次の第十の移動位置とする。前記上昇及び前記前進の移動量は、既に第七動作として説明したとおりである。第十の長尺材W10のための第七動作の後、スタッカ12は静止した状態にある。傾斜スキッド16を転がり落ちた第十の長尺材W10は、スタッカ12が静止した状態で、第十の載置位置P10上に載る。
【0074】
このような第十の長尺材W10以降、第十一の長尺材、第十二の長尺材、第十三の長尺材・・・を、載置部材13に載せる場合についても、第五動作、第六動作、及び第七動作を順に繰り返し実行すればよい。
【0075】
図11は、27本の長尺材Wが載置部材13に三段積みとなって載せられる場合の三段積み動作の説明図である。図11中の矢印は、載置部材13の基準点Bの移動軌跡を示し、図11中の括弧書きで示す数字は、載置部材13の基準点Bの移動位置、つまり、第一の移動位置(1)から第二十七の移動位置(27)までを示す。
図11に示すように、三段積みのために、第一の長尺材W1を載置部材13に載せ、第二の長尺材W2から第四の長尺材W4までを載せるために、スタッカ12(基準点B)が第四の移動位置(4)まで移動した後、二段目及び三段目用の動作が行われる。前記の二段目及び三段目用の動作は、スタッカ12(基準点B)が、後退しながら降下して次の長尺材Wを載せ、更に、後退しながら降下して次の長尺材Wを載せる動作である。
二段目及び三段目用の動作が行われると、更に、(後退する場合よりも)大きく前進しながら、(降下する場合よりも)大きく上昇して、更に次の長尺材Wを載せる一段目用の動作が行われる。以降、二段目及び三段目用の動作と、一段目用の動作とが、繰り返し行われる。
以上より、載置部材13上に、複数の長尺材Wが、三段となって前後方向に並べられた状態となる。
【0076】
〔載置部材13に積み重ねられた長尺材Wについて〕
以上のように、載置部材13の上に二段積み又は三段積みされた長尺材Wは、搬送テーブル18に移送される。そのために、図1又は図10の二点鎖線で示すように、載置部材13を有するスタッカ12は、搬送テーブル18の上方に位置し、その後、降下し、載置部材13が搬送テーブル18よりも下方位置に到達する。このようなスタッカ12の移動は、移動装置14によって行われる。載置部材13が搬送テーブル18よりも下方位置に到達すると、その載置部材13上で積み重ねられていた複数の長尺材Wは、搬送テーブル18上に積み重ねられた状態を保ったまま移送される。その後、搬送テーブル18が駆動し、積み重ねられた長尺材Wは、次の工程に運ばれる。
【0077】
〔積み重ね動作のその他について〕
例えば図5に示すように、載置部材13上に直接的に長尺材W4を載せる場合よりも、例えば図6に示すように、隣り合った二本の長尺材W2,W4の上に長尺材W5を載せる場合、それまでに載せた長尺材W2,W4又は新たに載せる長尺材W5が崩れて積み重ねられる場合がある。
【0078】
そこで、本開示の積み重ね装置10では、隣り合う二本の長尺材W2,W4の上の載置位置P5に二段目(又は三段目)として長尺材W5を載せるために、傾斜スキッド16からその載置位置P5に長尺材W3を落下させる落下高さH1(図6参照)は、載置部材13上の載置位置P4に一段目として長尺材W4を載せるために、傾斜スキッド16から載置位置P4に長尺材W4を落下させる落下高さH2よりも、低くなるように構成されているのが好ましい(つまり、H1<H2)。このために、スタッカ12の上下方向の移動量は、長尺材Wの直径よりも僅かに小さい移動量とされる。
このように構成されることで、既に載せた長尺材(W2,W4)又は新たに載せる長尺材(W5)が崩れて積み重ねられる可能性が低くなり、より一層正確に、長尺材Wを積み重ねることが可能となる。
【0079】
〔一段積み動作〕
本開示の積み重ね装置10は、図12に示すように、載置部材13上に、複数の長尺材Wを一段積みとすることも可能である。一段積みの場合、制御装置17は、スタッカ12の上下方向の位置を一定として、そのスタッカ12を所定のストロークについて前進させる動作を繰り返し行う。具体的には、センサ15が長尺材Wを検出する毎に、スタッカ12を所定ストロークについて前進させる。前記所定ストロークは、長尺材Wの直径に相当する値である。
以上のように、本開示の積み重ね装置10は、二段積み及び三段積みが可能であると共に、一段積みも可能である。
【0080】
〔その他〕
コンベア11により搬送された長尺材Wは、その後、傾斜スキッド16上を転がり落ちるが、長尺材Wの径が大きい場合、転がりやすく、加速して載置部材13上に落下する。そこで、本実施形態では、コンベア11は、搬送する長尺材Wの径に応じて、その長尺材Wの搬送速度V(図1参照)を変化させることができる。具体的には、対象となる長尺材Wが大径である場合、その搬送速度Vを小さくする。このように、径が大きい長尺材Wの場合、長尺材Wが落下した際の衝撃で積み重ねが乱れないように、コンベア11の搬送速度Vを比較的小さくする。
これに対して、径が小さい長尺材Wは、傾斜スキッド16上に載った際の速度(初速)が小さいと途中で止まってしまう可能性がある。そこで、搬送する対象となる長尺材Wが小径である場合、大径の場合よりも、その搬送速度Vを大きくする。このように、径が小さい長尺材Wの場合、傾斜スキッド16上の初速を確保するために、コンベア11の搬送速度Vを比較的大きくする。
【0081】
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の棒鋼材集積装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10:積み重ね装置 11:コンベア 12:スタッカ
13:載置部材 14:移動装置 15:センサ
16:傾斜スキッド 17:制御装置 B:基準点
Pn(n=1,2,3・・・):移動位置
Wn(n=1,2,3・・・):長尺材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12