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特許7411230体動抑制装置及び体動抑制装置の使用方法並びに体動抑制バッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】体動抑制装置及び体動抑制装置の使用方法並びに体動抑制バッグ
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61N5/10 T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020513206
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2019014473
(87)【国際公開番号】W WO2019198555
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018076961
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591189812
【氏名又は名称】エンジニアリングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 好紀
(72)【発明者】
【氏名】種 裕之
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-301217(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105251136(CN,A)
【文献】特開2013-017491(JP,A)
【文献】国際公開第2014/102961(WO,A1)
【文献】特開2006-280485(JP,A)
【文献】特開2008-200220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308400(US,A1)
【文献】特開平07-148279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
A61B 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を用いる検査及び/又は治療に供され、放射線を透過する非磁性の材料から成り、患者の所定部位の体動を抑制する部材であって、前記所定部位に対応する体表面を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材と前記体表面との間に挿入される、放射線を透過する非磁性の材料から成る袋状部と、前記袋状部から延出され、前記体表面に加える荷重が調整可能となるように前記袋状部を膨出する空気を供給する空気供給路とを具備する体動抑制バッグと、
前記袋状部の前記押圧部材側の面に接合されている前記袋状部よりも硬い板状部に、膨出した前記袋状部による前記患者の体表面に加えられる荷重を検出できるように荷重検出センサーとしての歪センサー又は圧電センサーとを具備し、
前記押圧部材には、前記袋状部が膨出したとき、前記板状部及び前記歪センサー又は前記圧電センサーが挿入される位置決め用凹部が形成されていることを特徴とする体動抑制装置。
【請求項2】
前記歪センサー又は前記圧電センサーが、前記歪センサー又は前記圧電センサーよりも大形の板状部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の体動抑制装置。
【請求項3】
前記袋状部の前記患者側の面に、前記患者の呼吸、心拍及び/又は体表面温度を検出するバイタル検出センサーが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体動抑制装置。
【請求項4】
前記袋状部が、前記押圧部材と前記患者の前記体表面との間に生じた隙間に挿入されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の体動抑制装置。
【請求項5】
前記袋状部が、前記患者の前記体表面に沿って変形できるように柔軟性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の体動抑制装置。
【請求項6】
前記空気供給路を含む前記袋状部への空気供給経路に、前記袋状部内の圧力を測定する圧力計が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の体動抑制装置。
【請求項7】
前記押圧部材が、患者の所定部位の形状に倣って成形されており、前記所定部位に被着された前記患者をベースプレート上の所定位置に固定して前記所定部位の体動を抑制するように、前記ベースプレートに固設された連結部に連結される熱可塑性樹脂から成る固定用シェルであることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の体動抑制装置。
【請求項8】
前記袋状部が膨出して前記患者の体表面に加えられる荷重を前記歪センサー又は圧電センサーからの電気信号を増幅するモニターが設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の体動抑制装置
【請求項9】
放射線を用いる検査及び/又は治療に供され、放射線を透過する非磁性の材料から成り、患者の所定部位の体動を抑制する部材であり
前記所定部位に対応する体表面を押圧する押圧部材と、前記体表面との間に挿入される袋状部と、
前記袋状部から延出され、前記体表面に加える荷重が調整可能となるように前記袋状部を膨出する空気を供給する空気供給路とを具備する体動抑制バッグであって、
前記袋状部には、前記押圧部材に形成された凹部に対応する位置に、前記袋状部が膨出したとき、前記凹部内に挿入されて位置決めされるように設けられた前記袋状部よりも硬い板状部に、膨出した前記袋状部による前記患者の体表面に加えられる荷重を検出できる荷重検出センサーとしての歪センサー又は圧電センサーが設けられていることを特徴とする体動抑制バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を用いた検査及び/又は治療が施される患者の所定部位に対応する体表面に所定の荷重を加えて所定部位の体動を抑制する体動抑制装置及びこの体動抑制装置の使用方法並びにこれらに用いられる体動抑制バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
癌等の悪性腫瘍の治療として、患部にX線又は陽子線・重粒子線のような粒子線等の放射線を照射する放射線治療が行われることがある。この放射線治療では、患部に正確に放射線を照射することが必要である。しかし、患者が放射線の照射中に動くと患部も移動し、放射線を患部に正確に照射できないおそれがある。胸腹部内又は骨盤内に患部が存在する場合、患者の呼吸に伴う胸腹部の動きによっても、患部の位置が移動することがある。従って、患部が存在する患者の所定部位の体動を確実に抑制しつつ、放射線を照射することが必要である。また、放射線治療前に、患部の位置を正確に把握すべく、X線を使ったコンピュータ断層写真(Computed Tomography:CT)等による検査もなされる。その際にも、患者の所定部位の体動を十分に抑制することが必要である。
【0003】
従来、患者の体動を抑制する抑制装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、患者の所定部位に巻き付けたベルトと体表面との間に袋状の空気室を設け、この空気室に空気を注入して患者の所定部位の体表面を押圧し体動を抑制するものである。しかし、この抑制具は、患者にどの程度の荷重が加えられているのか不明であり、放射線治療のように数日に亘って繰り返し行われる場合、患者に加えられる荷重にバラツキが生じるおそれがあり、患者の体動を十分に抑制できているかも不明である。
【0004】
この点、下記特許文献2には、患者の体動が十分に抑制できていることを確認可能な体動抑制装置が記載されている。この体動抑制装置は、寝台上に仰臥する患者の体幹部を固定する体幹部固定具と、患者の腹部の上方に架設されている支持台と、この支持台に上下方向に駆動可能に支持されている駆動軸と、この駆動軸の先端に設けられている圧迫板とから構成され、駆動軸を下方に駆動すると圧迫板が患者の季肋下部を押して横隔膜を圧迫する横隔膜圧迫具を備え、可撓性を有し全体が扁平なシート状を呈する中空体内に空気が気密的に封入されている受圧容器が、患者と圧迫板の間に挟まれるように設けられ、且つ受圧容器と所定の管路を介して連通している中空の格納容器内に、受圧容器に作用する圧力を封入された空気を介して検出する検出センサーが設けられている。この検出センサーは、高感度の圧電素子が用いられている。
【0005】
特許文献2に記載されている抑制装置によれば、患者の呼吸をモニターでき、患者の呼吸による体動が十分に抑制できていることを確認できる。しかしながら、患者の呼吸のモニターは、受圧容器に封入されている空気圧力の変化によるものであり、受圧容器の空気圧力は、患者と受圧容器の接触面積、患者の体形の変形程度、受圧容器の変形度合によって変化することから、放射線治療のように数日に亘って繰り返し行われる場合、放射線照射の都度、体形変化のある患者に所定の荷重を確実に加えることは困難である。また、受圧容器の圧力変化は、患者の呼吸による圧力変化に心臓の鼓動による圧力変化も加わって、検出センサーからの信号に多くのノイズが入り込むことから、呼吸動作のみの圧力変化による信号を抽出する煩雑な操作も必要とし、抑制装置が複雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平2-104011号公報
【文献】特開2013-17491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、放射線を用いた検査及び/又は治療が施される患者の所定部位の体表面に加えられる荷重を確実に把握でき、所定の荷重を患者に確実に加えることのできる体動抑制装置及びこの体動抑制装置の使用方法を提供すること、更に放射線治療のように所定期間に亘って繰り返し行われる場合、患者の体形変化があっても、放射線照射の都度、所定の荷重を患者に確実に加えることのできる体動抑制バッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するためになされた本発明に係る体動抑制装置は、放射線を用いる検査及び/又は治療に供され、放射線を透過する非磁性の材料から成り、患者の所定部位の体動を抑制する部材であって、前記所定部位に対応する体表面を押圧する押圧部材と、前記押圧部材と前記体表面との間に挿入される、放射線を透過する非磁性の材料から成る袋状部と、前記袋状部から延出され、前記体表面に加える荷重が調整可能となるように前記袋状部を膨出する空気を供給する空気供給路とを具備する体動抑制バッグと、前記袋状部の前記押圧部材側の面に接合されている前記袋状部よりも硬い板状部に、膨出した前記袋状部による前記患者の体表面に加えられる荷重を検出できるように荷重検出センサーとしての歪センサー又は圧電センサーとを具備し、前記押圧部材には、前記袋状部が膨出したとき、前記板状部及び前記歪センサー又は前記圧電センサーが挿入される位置決め用凹部が形成されているものである。
【0009】
前記歪センサー又は前記圧電センサーを、前記歪センサー又は前記圧電センサーよりも大形の板状部に設けることにより、小形の歪センサー又は圧電センサーの取扱性を向上できる。
【0013】
前記空気供給路を含む前記袋状部への空気供給経路に、前記袋状部内の圧力を測定する圧力計を設けることにより、患者の所定部位の体表面への荷重を、歪センサー又は圧電センサーと圧力計とを用いて、患者に加える荷重を更に一層的確に調整できる。
【0014】
前記袋状部が、前記押圧部材と前記患者の前記体表面との間に生じた隙間に挿入されることにより、患者の体形変形により押圧部材と患者の体表面との間に隙間が生じても、袋状部を膨出することにより所定の体動抑制力を患者に付加できる。
【0015】
前記袋状部が、前記患者の前記体表面に沿って変形できるように柔軟性を有する材料で形成されていることにより、袋状部の体表面側の面が患者の所定部位の体表面に沿って接触でき、膨出した袋状部により患者の所定部位の体表面に所定の荷重を加えることができる。
【0016】
前記空気供給路を含む前記袋状部への空気供給経路に、前記袋状部内の圧力を測定する圧力計が設けられていることにより、患者の所定部位の体表面への荷重を、荷重検出センサーと圧力計とを用いて、患者に加える荷重を更に一層的確に調整できる。
【0017】
前記押圧部材が、患者の所定部位の形状に倣って成形されており、前記所定部位に被着された前記患者をベースプレート上の所定位置に固定して前記所定部位の体動を抑制するように、前記ベースプレートに固設された連結部に連結される熱可塑性樹脂から成る固定用シェルであることにより、患者の胸部や腹部等の体動を広範囲に抑制できる。
【0018】
前記袋状部が膨出して前記患者の体表面に加えられる荷重を前記歪センサー又は圧電センサーからの電気信号を増幅するモニターが設けられていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る体動抑制装置は、以下のように使用することが好ましい。
すなわち、放射線を用いる検査及び/又は治療に供され、放射線を透過する非磁性の材料から成り、患者の所定部位の体動を抑制する部材であって、前記所定部位に対応する体表面を押圧する押圧部材と、前記押圧部材と前記体表面との間に挿入される、放射線を透過する非磁性の材料から成る袋状部と、前記袋状部から延出され、前記体表面に加える荷重が調整可能となるように前記袋状部を膨出する空気を供給する空気供給路とを具備する体動抑制バッグと、前記袋状部の前記押圧部材側の面に接合されている前記袋状部よりも硬い板状部に、膨出した前記袋状部による前記患者の体表面に加えられる荷重を電気信号として検出できるように荷重検出センサーとしての歪センサー又は圧電センサーとを備え、前記押圧部材には、前記袋状部が膨出したとき、前記板状部及び前記歪センサー又は圧電センサーが挿入される位置決め用凹部が形成されている体動抑制装置を用い、前記袋状部が膨出して前記患者の体表面に加えられる荷重を前記歪センサー又は圧電センサーからの電気信号を増幅してモニターすることにより、患者の体表面に加えられる荷重を検出できると共に、荷重の経時変化もモニターできる。
前記歪センサー又は前記圧電センサーを、前記歪センサー又は前記圧電センサーよりも大形の板状部に設けることにより、小形の歪センサー又は圧電センサーの取扱性を向上できる。
【0023】
前記袋状部の前記患者側の面に、前記患者の心拍及び/又は体表面温度を検出するバイタル検出センサーを設けることにより、患者の心拍及び/又は体表面温度をモニターしつつ放射線照射を行うことができる。
【0024】
前記袋状部を、前記押圧部材と前記体表面との間に生じた隙間に挿入することにより、患者の体形変形により押圧部材と患者の体表面との間に隙間が生じても、袋状部を膨出して所定の体動抑制力を体表面に付加できる。
【0025】
前記袋状部を、前記体表面に沿って変形できるように柔軟性を有する材料で形成することにより、患者の体形変形により押圧部材と患者の所定部位の体表面との間に隙間が生じても、袋状部を膨出して所定の体動抑制力を患者の所定部位の体表面に付与できる。
【0026】
前記空気供給路を含む前記袋状部への空気供給経路に、前記袋状部内の圧力を測定する圧力計を設け、前記圧力計と前記歪センサーとを用いて前記体表面への荷重が最適値となるように前記袋状部内への空気量を調整することにより、患者の所定部位の体表面への荷重を、更に一層的確に調整できる。
【0027】
前記固定部材として、患者の所定部位の体表面の形状に倣って成形されており、前記所定部位に被着された前記患者をベースプレート上の所定位置に固定して前記所定部位の体動を抑制するように、前記ベースプレートに固設された連結部に連結される熱可塑性樹脂から成る固定用シェルを用いることにより、患者の胸部や腹部等の体動を広範囲に抑制できる。
【0028】
前記目的を達成するためになされた本発明に係る体動抑制バッグは、放射線を用いる検査及び/又は治療に供され、放射線を透過する非磁性の材料から成り、患者の所定部位の体動を抑制する部材であり、前記所定部位に対応する体表面を押圧する押圧部材と、前記体表面との間に挿入される袋状部と、前記袋状部から延出され、前記体表面に加える荷重が調整可能となるように前記袋状部を膨出する空気を供給する空気供給路とを具備する体動抑制バッグであって、前記袋状部には、前記押圧部材に形成された凹部に対応する位置に、前記袋状部が膨出したとき、前記凹部内に挿入されて位置決めされるように設けられた前記袋状部よりも硬い板状部に、膨出した前記袋状部による前記患者の体表面に加えられる荷重を検出できる荷重検出センサーとしての歪センサー又は圧電センサーが設けられているものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る体動抑制装置及び体動抑制整方法によれば、放射線を用いた検査及び/又は治療が施される患者の所定部位に対する荷重を荷重検出センサーにより確実に把握でき、圧力調整手段により適正値に調整できる。更に、放射線治療のように所定期間に亘って繰り返して治療が行われる場合、患者の体形変化があっても、本発明に係る体動抑制バッグによれば、荷重検出センサーで検出される荷重に基づいて袋状部に供給する空気量を調整し、適正な荷重に調整して患者の体動を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明を適用する第1の体動抑制装置を用いた実施態様を示す斜視図である。
図2】第1の体動抑制装置に用いられている本発明を適用する第1の体動抑制バッグの平面図及び断面図である。
図3】本発明を適用する第1の体動抑制バッグに用いられている板状部の断面図である。
図4】本発明を適用する第1の体動抑制バッグを患者に装着した状態を示す部分断面図である。
図5】本発明を適用する第1の体動抑制バッグの歪センサーで検出された患者の呼吸モニターである。
図6】本発明を適用する第1の体動抑制バッグを、その板状部が押圧部材である固定用シェル側となるように患者に装着した状態で患者との間の隙間が形成された状態を示す部分断面図(図6(a))と、袋状部を膨出して隙間を閉塞した状態を示す部分断面図(図6(b))である。
図7】本発明を適用する第1の体動抑制バッグを、その板状部が患者側となるように患者に装着した状態を示す部分断面図(図7(a))と、袋状部を膨出して隙間を閉塞した状態を示す部分断面図(図7(b))である。
図8】第1の体動抑制バッグを用いた本発明を適用する第2の体動抑制装置を示す側面図(図8(a))と、本発明を適用する第3の体動抑制装置を示す部分側面図(図8(b))である。
図9】本発明を適用する第4の体動抑制装置を示す断面図(図9(a))と、本発明を適用する第5の体動抑制装置を示す断面図(図9(b))である。
図10】本発明を適用する第1の体動抑制バッグに用いられている板状部の他の例を示す断面図である。
図11】本発明を適用する第2の体動抑制バッグを説明する背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0032】
図1は、本発明の放射線を用いた検査用及び/又は治療用の第1の体動抑制装置を適用する実施態様を示す斜視図である。長方形状のベースプレート12上に載せられている放射線を用いた検査及び/又は治療が施される患者10は、その胸部に押圧部材としての固定用シェル14が被着されている状態を示す。固定用シェル14は、その両端部の各々がベースプレート12の各長辺側に固設されている連結部15に連結されており、患者10はベースプレート12上の所定位置に固定されつつ、胸部の体動、すなわち患者10の深呼吸が抑制され、深呼吸に因る胸部の体動が抑制されている。
【0033】
ベースプレート12と患者10の背面側には、患者10の背側の体表面の形状に倣って凹凸状に形成されている固定バッグが配されていることが、患者10をベースプレート12上の所定位置に位置決めを簡単に行うことができ好ましい。固定バッグは、その袋状内に粒状材料が充填されており、袋状内が大気圧状態のとき、粒状材料が袋状内を自由に移動でき、袋状内が減圧状態となったとき、袋状内で拘束状態となる。このような固定バッグをベースプレート12の所定位置に載置し、この固定バッグ上に患者10を載せたとき、大気圧状態の袋状内では、粒状材料が患者10の背側の体表面の形状に沿って移動し、固定バッグの上面側が患者10の背側の体表面の形状に倣う形状となる。次いで、固定バッグの袋状内を減圧状態とすることにより、袋状内の粒状材料が拘束状態となり、固定バッグの上面側の形状が固定される。尚、患者10の膝に相当するベースプレート12上に、患者10の膝を「く」字状に曲げる部材を載置してもよい。
【0034】
また、患者10の胸部に被着された固定用シェル14は、熱可塑性樹脂から成り、患者10の胸部の体表面の形状に倣って成形されている。この熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイソプレン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンまたはこれらの材料のうちの2種又はそれ以上の種のブレンドが挙げられる。熱可塑性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はエチレン-プロピレンコポリマーが挙げられ、熱可塑性エラストマーとしては、エチレンと少なくとも1種の炭素数3~10のα-オレフィンとのコポリマー、又はこのようなコポリマーのうちの2種又はそれ以上の種のブレンドであり、好ましくはエチレンと1-ブテンとのコポリマー若しくはエチレンと1-オクテンとのコポリマー又はこのようなコポリマーのうちの2種またはそれ以上の種のブレンドである。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンビニルアセテート、ポリアクリレート又はポリメタクリレート、高分子量脂肪酸エステル、ポリ-ε-カプロラクトンが挙げられる。
【0035】
これらの熱可塑性樹脂から成る固定用シェル14は、熱可塑性樹脂から成る板体又はメッシュ状体を用いて得ることができる。具体的には、予め形成した患者10の胸部の体表面の形状に倣った型に、その熱可塑性樹脂の加工温度まで加熱した板体又はメッシュ状体を押し付けることによって固定用シェル14を得ることができる。また、融点が60℃のポリ-ε-カプロラクトン等の低融点の熱可塑性樹脂から成る板体又はメッシュ状体を用いることが好ましい。このような低融点の熱可塑性樹脂から成る板体又はメッシュ状体を加熱して、加工可能な程度に曲折でき且つ火傷をしない程度の温度に調整してから患者10の胸部に直接押し付けることによって、患者10の胸部の体表面形状に倣った固定用シェル14を得ることができ好ましい。
【0036】
患者10の胸部の体表面形状に倣った固定用シェル14は、患者10の胸部に被着されて、その両端部の各々がベースプレート12の各長辺側に固設されている連結部15に連結されている。患者10は、被着した固定用シェル14により、ベースプレート12の所定位置に固定されつつ、横隔膜を使った深呼吸が抑制され、深呼吸による胸部の体動が抑制される。
【0037】
このように患者10の胸部に被着された固定用シェル14と胸部の鳩尾に相当する体表面との間には、図1に示すように固定用シェル14による体表面への押圧力を調整する圧力調整手段としての第1の体動抑制バッグB(以下、バッグBという。)の袋状部16が挿入されている。図1に示すように固定用シェル14よりも小形の袋状部16を具備し、その固定用シェル14側の面に板状部17が接合されている。このバッグBの正面図を図2(a)に示す。バッグBの袋状部16は、六角形であって、その一面側に、袋状部16よりも硬く固定用シェル14による押圧力で変形しない板状部17が接合されている。袋状部16の一辺の片寄った位置からは、空気供給路18が引き出されている。袋状部16は、図2(a)のX-Xでの断面図である図2(b)に示すように、二枚のガスバリア性を有する生地16a,16bから形成されており、生地16a,16bの両端部16c,16cが4~6mm幅で溶着されている。また、空気供給路18も、図2(a)のY-Yでの横断面図である図2(c)に示すように、二枚のガスバリア性を有する生地18a,18bの両端部18c,18cが幅4~6mmに亘って溶着されて筒状に形成されている。この空気供給路18には、図2(c)に示すように、空気供給手段に連結されるコネクタ20が一端に装着されたチューブ21が挿入されており、チューブ21の他端は袋状部16の入口近傍に位置している。このようにチューブ21が空気供給路18に挿入されることにより、図1に示すように空気供給路18の一部が固定用シェル14と患者10との間に挟まれても、袋状部16への吸気供給道を確実に確保できる。尚、チューブ21は、X線等の放射線を透過する非磁性体の材料、例えばポリ塩化ビニル等のプラスチック製のものであることが好ましい。
【0038】
袋状部16及び空気供給路18を形成するガスバリア性を有する生地16a,16b及び生地18a,18bは、X線等の放射線を透過する非磁性体の材料から成るものであることが好ましく、ポリ塩化ビニルフィルムやポリウレタンフィルムから成る生地、エラストマー等の弾性樹脂フィルムから成る生地、レトルトパウチ等に用いられるポリエステル等の複数種の合成樹脂フィルムがラミネートされてガスバリア性が付与された生地を挙げることができる。また、ナイロン等の化学繊維や天然繊維から成る織物、編物、紙を含む不織布等の布帛の一面側ポリ塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂をコーティング或いは樹脂フィルムをラミネートしてガスバリア性を付与した生地であってもよい。生地16a,16bは、バッグBを構成して人体に直接接触することから、柔軟性を有するものであることが好ましいが、後述するように袋状部16に空気が供給されて膨出することから、袋状部16の強度との兼ね合いから生地16a,16bの厚さは0.1~1mm程度とすることが好ましい。尚、空気供給路18を構成する生地18a,18bは、生地16a,16bと同一生地であっても、異なる生地であってもよいが、袋状部16と同一圧力が加えられることから、その厚さを0.1~1mm程度とすることが好ましい。
【0039】
図1及び図2(a)に示すバッグBは、袋状部16よりも硬く且つ小形の板状部17が接合されている。図1及び図2(a)に示す板状部17は、六角形の袋状部16よりも小形の相似形であって、図2(a)のX-Xでの断面図である図2(b)に示すように、袋状部16を形成する生地16aの一面側に接合されている。板状部17は、その断面図である図3に示すように、二枚の板体17a,17bが対向して配設されている。板体17a,17bは、放射線を透過する非磁性体の材料、例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂又はその発泡体で形成されており、袋状部16よりも硬く且つ固定用シェル14による押圧力で変形しないように、その厚さは3~10mm程度とすることが好ましい。
【0040】
図2(a)に示すように板状部17の中央部には、荷重を検出する荷重検出センサーとしての歪センサー19が配設されている。この歪センサー19は、上下方向の歪を検出するものであって、市販されている歪センサーを用いることができる。歪センサー19は、図3に示すように、その両面が二枚の板体17a,17bの対向面に当接するように挟まれており、その周囲はスポンジ等のクッション材23で取り囲まれている。クッション材23は、接着剤、両面テープ、粘着テープ、のり等で板体17a,17bに接合されている。この歪センサー19からは、図2(a)に示すように先端にコネクタ25bが取り付けられたリード線25aが延出されている。このような板状部17によれば、二枚の板体17a,17bに荷重が加えられると、クッション材23を圧縮しつつ歪センサー19を圧縮し、歪センサー19から板体17a,17bに加えられた荷重を電気信号データとして取り出すことができ、図1に示すように送信器27からコントロール室の受信機にデータが送信され、操作パネルに荷重のデータを表示できる。この送信器27に代えて、荷重データを表示する表示器であってもよい。また、袋状部16を形成する生地16aの一面側に接合されている板状部17と生地16aとは、市販されている有機接着剤、両面テープ、粘着テープ、のり等で接合することができる。尚、歪センサー19に代えて、上下方向の圧力を電気信号として検出する市販の圧電センサーを用いてもよい。
【0041】
図1に示すように患者10の胸部の鳩尾に対応する体表面と固定用シェル14との間に挿入された図2に示すバッグBの袋状部16は、図4に示すように患者10の胸部10aの鳩尾に対応する体表面と固定用シェル14との間に、板状部17が固定用シェル14側となるように挿入される。このように挿入されたバッグBの板状部17は、図4に示すように固定用シェル14に予め形成された位置決め用凹部14aに挿入される。このような位置決め用凹部14aを具備する固定用シェル14は、例えば融点が60℃のポリ-ε-カプロラクトン等の低融点の熱可塑性樹脂から成る板体又はメッシュ状体を加熱して、加工可能な程度に曲折でき且つ火傷をしない程度の温度に調整した後、図2に示すバッグBの袋状部16が所定位置に載置された患者10の胸部10aに直接押し付けることにより、患者10の胸部10aの体表面形状に倣った形状で且つ内面側の所定位置に開口された位置決め用凹部14aが形成されたものを得ることができる。固定用シェル14の位置決め用凹部14aは、再度の放射線治療や検査の際に、固定用シェル14及びバッグBを患者10の所定部位に装着したとき、バッグBを所定位置に位置決めすることができる。
【0042】
図4に示すように胸部10aの体表面と固定用シェル14との間に挿入された図2に示すバッグBの袋状部16には、図1に示すように固定用シェル14の外方に延出されている空気供給路18のコネクタ20に、途中に圧力計26が取り付けられたチューブ28を介して連結された空気供給手段としての空気ポンプ24から空気が供給される。空気が供給された袋状部16は膨出して胸部10aの所定箇所に所定の荷重を加えると共に、同一荷重で板状部17も固定用シェル14に押し付ける。この袋状部16が板状部17を固定用シェル14に押し付ける力は、歪センサー19を圧縮し荷重として検出できる。
【0043】
このように歪センサー19で検出された荷重が適正値となるように、圧力計26で計測される袋状部16の圧力を参考にしつつ空気ポンプ24からの空気量を調整する。図1に示すようにバッグBを胸部10aの鳩尾に装着し、袋状部16に空気ポンプ24から空気を供給して袋状部16を膨出して呼吸による体動を抑制する場合、歪センサー19で鳩尾に加える荷重を検出できると共に、荷重の経時変化をモニターすることにより、患者10の呼吸パターンをモニターできる。このモニターによれば、患者10の横隔膜による深呼吸を抑制できたか否か判別できる。その一例を図5に示す。図5において、患者10の横隔膜による深呼吸を抑制したとき、肺が拡張したときの最高荷重は600gfであり、肺が萎んだときの最低荷重は400gfであった。図5に示すモニターは、歪センサー19からの電気信号を単に増幅しただけのものである。
【0044】
患者10の体形が固定用シェル14を成形したときよりも変形し、図6(a)に示すように、患者10の胸部10aの鳩尾に対応する体表面及びバッグBと固定用シェル14との間に隙間22が形成されたとき、固定用シェル14のみでは胸部10aの鳩尾に十分な荷重を加えることができず、胸部10aの体動を十分に抑制できない。このような場合、図6(b)に示すように袋状部16内に空気供給路18を介して空気ポンプ24(図1)から空気を供給し、袋状部16を膨出することにより、隙間22を閉塞して胸部10aの鳩尾に対応する体表面に所定の荷重を加えることができ、横隔膜の呼吸による体動を抑制できる。このとき、図4に示すように、膨出した袋状部16により板状部17が固定用シェル14の位置決め用凹部14a内に挿入され、膨出した袋状部16により正確に胸部10aの鳩尾に対応する体表面に所定の荷重を加えることができる。
【0045】
図6に示すバッグBは、患者10の胸部10aの鳩尾に対応する体表面と固定用シェル14との間隙22に、板状部17が固定用シェル14側となるように挿入されているが、患者10の体形変形が少ないとき、図7(a)に示すように板状部17を患者10の体表面側となるように間隙22に挿入してもよい。この場合、固定用シェル14に位置決め用凹部14aを形成することは要しない。図7(a)に示すように板状部17が患者10の体表面側となるように挿入された袋状部16は、空気供給路18を介して空気ポンプ24(図1)から空気が供給され膨出すると、図7(b)に示すように板状部17を患者10の対応する体表面に押し付けて、その体表面の形状を矯正しつつ、間隙22を閉塞して患者10の胸部10aの鳩尾に対応する体表面に所定の荷重を加えることができる。以上、説明してきた歪センサー19は、上下方向の圧縮を検出するものであったが、左右方向への伸縮を検出する歪センサーであってもよい。このような歪センサーは袋状部16の一面側に直接形成されていてもよい。
【0046】
これまで説明してきた押圧部材としての固定用シェル14は、患者10の胸部10aの全体を覆っているが、横隔膜による呼吸に基づく体動の抑制は、患者10の鳩尾部分のみを押圧することでも可能であることから、図8(a)に示す第2の体動抑制装置のように患者10の鳩尾部分のみを押圧する押圧板30を押圧部材として用いることができる。図8(a)に示す第2の体動抑制装置は、ベースプレート12の側端に立設された二本の支柱32a,32bで両端部が支承されている湾曲状の横桟34に第1の圧力調整手段としての螺子杵36が螺着されており、螺子杵36の先端に押圧板30が取り付けられている。螺子杵36の後端に取り付けられたツマミ38を左右方向に回動して、螺子杵36を回動すると、押圧板30は上下動し、ベースプレート12上に載せられた患者10の鳩尾部分の押圧力を調整できる。この押圧板30と患者10の鳩尾部分に対応する体表面との間に、第2の圧力調整手段としてのバッグBが挿入される。バッグBは、板状部17が押圧板30側となるように挿入されることが好ましい。この場合、押圧板30には、その部分拡大断面図に示すように板状部17が挿入される凹部30aが形成されていることが、押圧板30の全面でバッグBを押圧でき好ましい。また、バッグBを、その板状部17を患者10の体表面側となるように押圧板30と患者との間に配置してもよい。この場合、押圧板30に、板状部17が挿入される凹部30aを形成することは要しない。
【0047】
また、患者10の鳩尾部分を押圧板30のみの押圧で横隔膜による呼吸に基づく体動を抑制可能である場合は、図8(b)に示す第3の体動抑制装置のように第1の圧力調整手段としての螺子杵36の先端に取り付けられた押圧板30で直接鳩尾部分を押圧することができる。この場合も、板状部17を患者10の体表面と押圧板30との間に配置することにより、板状部17の歪センサー19により鳩尾部分の体表面に加えられる荷重を検知しつつ、ツマミ38を左右方向に回動させて鳩尾部分の体表面に最適荷重を加えることができる。尚、図8(a)(b)に示す押圧板30,支柱32a,32b,横桟34,螺子杵36,ツマミ38は、放射線を透過する非磁性の材料、例えば樹脂から形成されている。
【0048】
押圧部材としてベルトを用いた第4の体動抑制装置を図9に示す。図9(a)に示す第4の体動抑制装置では、患者10の所定部位に巻き付けたベルト44を押圧部材として用いたものであって、患者10の所定部位の体表面とベルト44との間に、歪センサー19が配設された板状部17が袋状部16の一面側に接合されているバッグBが挿入されている。ベルト44の両端部の各々に面ファスナー46が圧力調整手段として設けられており、ベルト44の患者20の所定部位に巻き付けるベルト長を調節することにより、患者10の所定部位の体表面への押圧力を調整できる。更に、袋状部16への空気の吸排によってもベルト44による体表面への押圧力を調整できる。尚、袋状部16への空気の吸排によるベルト44の体表面への押圧力の調整が不要な場合は、図9(b)に示す第5の体動抑制装置のように、患者10の所定部位の体表面とベルト44との間に歪センサー19を具備する板状部17のみを挿入してもよい。
【0049】
これまで述べてきた板状部17は、その中央部に歪センサー19が配設されている。このように板状部17の中央部に歪センサー19を正確に配設するためには、図10(a)に示すように板体17bの対向面の中央部に予めセンサー用凹部19aを形成しておくことが好ましい。この凹部19aは、板体17aの対向面に当接する歪センサー19の先端面が板体17bの面から突出する程度の深さとする。図9に示す板状部17でも、凹部19aから突出した歪センサー19を取り囲むようにスポンジ等のクッション材23が接着剤等で接合されている。また、図10(b)に示す板状部17のように、歪センサー19が樹脂17cでインサート成形されてもよい。尚、板状部17は、放射線を透過する非磁性体の材料で形成されていたが、放射線が図1に示す患者10の脇側から照射される場合等のように、歪センサー19が配設されている板状部17に放射線が実質的に照射されないときは、板状部17を放射線が非透過性の材料、例えば金属材やセラミック材で形成してもよい。
【0050】
図1図2図4図6図9に示すバッグBは、袋状部16の患者10の体表面に直接接触する面側に何等設けられておらず、患者10の体表面温度や心拍を監視する必要ある場合、バッグBと別体の体温センサーや心拍センサーを患者10に装着して、放射線を用いた検査及び/又は検査を施している。この点、図11に示す第2の体動抑制バッグB(以下、バッグBという。)は、固定用シェル14側となる袋状部16の生地16aに図2に示す板状部17が設けられ、袋状部16の患者10側となる生地16bに患者10の心拍及び/又は体表面温度を検出するバイタル検出センサー40が設けられている。このバッグBを用いて患者10の体動を抑制して放射線を使った検査及び/又は検査を施す際に、別体の体温センサーや心拍センサーを患者10に装着することなく、患者10の心拍及び/又は体表面温度のバイタルデータを監視できる。尚、バッグBの生地16a側の板状部17等の説明は図2の説明と重複するため省略する。
【0051】
図11に示すバイタル検出センサー40は、一対のコ字状のフレキシブル電極40a,40aが生地16bの表面に形成され、その末端が送信器40bに連結されている。フレキシブル電極40aは、生地16bに導電性ペーストで形成された導電層41aが接着層41bで接合されている。導電層41aは、患者10の体表面に直接接触して体表面温度又は心拍を検出し、その検出データを送信器40bからコントロール室の受信器に送信される。
【0052】
以上、説明してきたバッグBの袋状部16は、六角形であったが、四角形であってもよい。また、空気供給路18も、袋状部16の辺の中央部から引き出されてもよく、板状部17の側面にコネクタ25bが形成されていてもよい。更に、歪センサー19が配設されている板状部17をバッグBの袋状部16と同等以上の大きさに形成してもよく、患者10の所定部位の体表面に加えられる荷重を更に精度よく把握すべく、板状部17を袋状部16の両面に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、放射線を用いた検査及び/又は放射線治療の際に、患者の体動抑制に効果的に使用できる。
【符号の説明】
【0054】
B:第1の体動抑制バッグ、B:第2の体動抑制バッグ、10:患者、10a:胸部、12:ベースプレート、14:固定用シェル、14a:位置決め用凹部、15:連結部、16:袋状部、16a,16b,18a,18b:生地、16c:袋状部16の端部、17:板状部、17a,17b:板体、17c:樹脂、18:空気供給路、18c:空気供給路18の端部、19:歪センサー、19a:センサー用凹部、20,25b:コネクタ、21,28:チューブ、22:隙間、23:クッション材、24:空気ポンプ、25a:リード線、26:圧力計、27,40b:送信器、30:押圧板、30a:凹部、32a,32b:支柱、34:横桟、36:螺子杵、38:ツマミ、40:バイタル検出センサー、40a:フレキシブル電極、41a:導電層、41b:接着層、44:ベルト、46:面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図11