(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】親水性薬物を含有する点眼薬からの防腐剤の除去
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20231228BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/382 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20231228BHJP
A61K 47/18 20170101ALN20231228BHJP
【FI】
A61J1/05 313C
A61K9/08
A61K31/5377
A61K31/5383
A61K31/382
A61K31/498
A61K47/18
(21)【出願番号】P 2020517167
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(86)【国際出願番号】 US2018052477
(87)【国際公開番号】W WO2019060846
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-21
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チョウハン アヌジ
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】セカル ポールバジャン
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
A61K 9/08
A61K 31/5377
A61K 31/5383
A61K 31/382
A61K 31/498
A61K 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子であって、該少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は
、メタクリル酸t-ブチル(TBM)またはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)のうちの1種以上を含み、該微粒子は不規則な形状の剛性凝集体である、前記微粒子
を含む、防腐剤除去デバイスであって、
前記微粒子が、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、
前記粒子プラグが、防腐剤および治療薬を含む、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、
前記コポリマーが、前記防腐剤の一部を吸収するように構成され、かつ
前記粒子プラグが、前記溶液、乳液、または懸濁液から前記防腐剤の少なくとも50%を除去するように構成されている、
前記防腐剤除去デバイス。
【請求項2】
親水性架橋剤である架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項3】
前記親水性架橋剤が、SR9035、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、またはエチレングリコールジメタクリレート(EDGMA)を含む、請求項2に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1種の親水性繰り返し単位が、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸(MAA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、またはジメチルアクリルアミド(DMA)のうちの1種以上を含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1種の親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TBMを含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項6】
5%~25%のHEMAおよび75%~95%のTBMを含む、請求項
5に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1種の親水性繰り返し単位が、MAAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TBMを含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項8】
5%~25%のMAAおよび75%~95%のTBMを含む、請求項
7に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1種の親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TRISを含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項10】
前記コポリマーの微粒子が、5%~50%のHEMAおよび50%~95%のTRISを含む、請求項
9に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1種の親水性繰り返し単位が、DMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TRISを含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項12】
前記コポリマーの微粒子が、5%~25%のDMAおよび75%~95%のTRISを含む、請求項
11に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項13】
前記不規則な形状の剛性凝集体が、粗いエッジの粒子であり、前記粗いエッジの粒子が、250ミクロン未満の直径を含む、請求項1に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項14】
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウムを含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項15】
前記防腐剤が、ホウ酸塩、ソルビトール、プロピレングリコール、および亜鉛または安定化オキシクロロ錯体の溶液を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項16】
前記治療薬が、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項17】
前記治療薬が、マレイン酸チモロールおよび酒石酸ブリモニジンを含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項18】
前記防腐剤が、イオン性防腐剤を含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項19】
前記粒子プラグは、前記治療薬の少なくとも90%が、前記溶液、乳液、または懸濁液中に保持される一方で、前記防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去されるように構成されている、請求項1~
18のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイス。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の防腐剤除去デバイスと、防腐剤および治療薬を含む溶液、乳液、または懸濁液のための容器とを含む、医薬製剤の送達のための点眼ボトルであって、
前記溶液、乳液、または懸濁液が前記粒子プラグを通して押し出されたときに、前記治療薬の少なくとも90%が、前記送達された溶液、乳液、または懸濁液中に保持される一方で、前記防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去される、
前記点眼ボトル。
【請求項21】
前記粒子プラグを通して前記溶液、乳液、または懸濁液を押し出す間、前記粒子プラグを保持するための、ホルダアセンブリを有する、請求項
20に記載の点眼ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年9月25日に出願された、米国仮出願第62/562,702号の利益を主張し、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
眼疾患は、一般に、使いやすさ、入手しやすさ、手頃な価格、および患者のコンプライアンスに起因して、点眼ボトルに包装された、処方された複数用量の医薬品を用いて治療される。局所点眼薬の適用頻度は、緑内障などの疾患の場合は1日1~2回から、重度の感染の場合は1日10回まで様々である。点眼製剤は、無菌状態で充填されているが、長期の使用または不適切な取り扱いの後の汚染の潜在的なリスクは、眼感染の一因となる重要な要因になる可能性がある。場合によっては、倹約な措置として、複数の患者が同じ複数用量の容器を使用して医薬品を投与する傾向があり、特にノズルを消毒するためのプロトコルに従わない場合、交差汚染に起因する眼感染の可能性を見落としている。現在、ほとんどの眼科用製剤には、無菌医薬品の有効期間を維持し、かつ微生物の増殖を排除するために、防腐剤が追加されている。米国食品医薬品局は、複数用量の眼科用製剤に対して規制を課しており、微生物を含まない医薬品を提供するために防腐剤の追加を義務付けている。この目的のために、様々な防腐剤が使用されている。無菌性を維持するためには防腐剤が必要であるが、健康な対象であっても、防腐剤の有害な副作用によって利益が相殺されることがよくある。
【0003】
塩化ベンザルコニウム(BAK)は、効能の高い4級アンモニウム化合物であり、よく使用されている。BAKは、細胞の脂質膜を遮断し、それによって微生物の成長を阻害する、活性な洗浄剤消毒剤である。BAKの許容範囲および安全性プロファイルにもかかわらず、多くの研究で、追加されたBAK含有量を有する市販の局所医薬品が重度の毒性副作用を誘発することが示されている。BAKの十分に立証された副作用には、涙液膜の不安定性、小柱および角膜細胞の成長遅延、ならびに角膜および結膜の炎症が含まれる。細胞毒性研究により、BAKは眼表面の細胞および組織を破壊することが示されており、長期かつ頻繁な投与を必要とする緑内障およびドライアイ患者への影響は有害である。角質内皮の損傷は、塩化ベンザルコニウムが追加された局所医薬品の長期使用時に発生する。防腐剤を含む緑内障薬チモロールを使用した場合、健康な対象で防腐剤を含まないチモロールを使用した場合よりも、涙液膜の不安定性が高く、角膜バリアの破壊がより大きい程度に観察される。BAK溶液の洗浄剤作用により、涙液膜の表面脂質層が破壊され、0.01%のBAK溶液の1滴によって可溶化された油滴になる。
【0004】
2009年、欧州医薬品庁のヒト向け医薬製品委員会は、防腐剤を含まない製剤は「防腐剤に対する耐性が低い患者に必要」であり、「長期治療の場合、防腐剤を含まない製剤は貴重な代替品である」と結論付けた。防腐剤の悪影響を考慮して、防腐剤を含まない製剤を送達するための安全な点眼薬分配デバイスの開発が10年以上にわたって追求されてきた。防腐剤の必要性を排除するために、防腐剤を含まない製剤は、単回用量の容器において利用可能であるが、これらは便利でなく、広く一般に使用するためには高価すぎる。
【0005】
米国特許第5,080,800号(特許文献1)は、点眼薬の防腐剤を含む溶液から成分を除去するためのプロセスを教示している。このプロセスは、眼の防腐剤を選択的に除去するためのイオン交換樹脂の使用を伴う。イオン交換樹脂は、生体適合性および細胞毒性について広範には試験されておらず、本質的に同じ電荷の分子に対して非選択的であり、BAKなどの任意のイオン性防腐剤と同じくらい容易にイオン性薬物を吸着する。これらの樹脂の水力学的透過性は取り扱われていないが、この特性は、過度の圧力なしで液滴を形成することができるデバイスにとって重要である。米国特許第5,080,800号(特許文献1)は、フィルタが、閉じ込められたままになる可能性のある微生物の増殖に抵抗するように設計されることを保証することの重要性について教示していない。米国特許第5,080,800号(特許文献1)は、デバイスから出てくる液滴中の活性薬物の濃度がベースの最小要件を下回らないようにするために必要な要件について教示していない。そのため、防腐剤の有益な挙動を保持しながら、眼への毒性効果を回避する実用的な方法が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
概要
本開示の実施形態は、薬物を有意に除去することなく防腐剤の大部分を選択的に除去するための粒子プラグを対象とし、具体的には、各溶出液滴についてこれを達成することを対象とする。プラグの材料は、薬物結合を最小限に抑えるように設計することができる。プラグの材料は、結合が最小限に抑えられる薬物の特性に依存する場合がある。結合は、薬物の構造および/または先端の粒子のマトリクス材料の詳細な構造に依存し得る。大まかに言って、点眼薬は、水に対する薬物の親和性に応じて、疎水性および親水性のカテゴリに分類することができる。親水性薬物は水に溶けやすく、疎水性薬物は溶けにくい。粒子を作製するための製剤に1種以上の異なるモノマーを組み合わせることによって、薬物の結合を最小限に抑えながら、材料が防腐剤を選択的に除去し得る。
【0008】
本開示の実施形態は、薬物溶液から防腐剤を除去するための粒子プラグであって、プラグを構成する微粒子が、親水性繰り返し単位もしくは疎水性繰り返し単位を含むホモポリマー、または複数種の親水性モノマーもしくは疎水性モノマーを含むコポリマー、または少なくとも1種の親水性モノマーと少なくとも1種の疎水性モノマーとを含むコポリマーである、粒子プラグを対象とする。いくつかの実施形態では、微粒子は、モノマーの混合物をポリマー化して、防腐剤BAKの高い分配および薬物の低い分配を達成することによって作製される。親水性薬物の場合、本開示の実施形態によると、粒子プラグは、親水性繰り返し単位を含むホモポリマー、または少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーを含み得る。微粒子は、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成する不規則な形状の剛性凝集体であり、プラグは、溶液、乳液、または懸濁液の容器の出口に適合する。ホモポリマーは、溶液中の除去すべき防腐剤および/または送達のための薬物についての吸収部分をさらに含む場合があり、粒子プラグは、溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。コポリマーは、溶液中の除去すべき防腐剤および/または送達のための薬物についての吸収部分をさらに含み得る。親水性繰り返し単位(すなわち、モノマー)は、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)および/またはジメチルアクリルアミド(DMA)を含む場合があり、疎水性繰り返し単位(すなわち、モノマー)は、メタクリル酸t-ブチルおよび/またはメタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)および/またはメタクリル酸t-アミルおよび/またはメタクリル酸n-オクチルおよび/またはメタクリル酸イソデシルおよび/またはメタクリル酸n-デシルおよび/またはアクリル酸n-ドデシルおよび/またはアクリル酸n-ヘキシルおよび/またはアクリル酸n-ドデクチルおよび/またはN-(n-オクタデシル)アクリルアミド、および/または任意の他のモノマーを含み得る。
【0009】
薬物は、親水性薬物、例えば、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、および/または疎水性薬物、例えば、ラタノプロストもしくはビマトプロスト、および/または薬物の組み合わせ、例えば、コンビガンであり得る。防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)であり得る。疎水性薬物を含有する製剤からBAKを除去する場合、プラグは、ラトノプロスト、ビマトプロスト、デキサメタゾン、シクロスポリンなどの疎水性薬物の結合を最小限に抑えるために、親水性モノマーから形成され得る。例えば、プラグは、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)およびメタクリル酸のコポリマー、またはメタクリル酸のみから調製され得る。
【0010】
本開示の別の実施形態は、薬物溶液から防腐剤を除去する方法であって、容器が、延長された出口と、少なくとも1つの薬物および防腐剤を含む薬物溶液を保持するためのチャンバとを有し、延長された出口が、粒子プラグで充填され、薬物溶液が、粒子プラグを通して押し出される、方法を対象とする。粒子プラグには、薬剤または防腐剤が事前添加され得る。
【0011】
一態様では、本開示は、薬物を含む溶液から防腐剤を除去するための粒子プラグを提供する。プラグは、親水性繰り返し単位を含むホモポリマーの微粒子、または少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子を含む場合があり、微粒子は、不規則な形状の剛性凝集体であり、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、ホモポリマーは、または任意でコポリマーは、溶液中の除去すべき防腐剤および/または送達のための薬物についての吸収部分をさらに含み、粒子プラグは、溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0012】
いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)および/またはジメチルアクリルアミド(DMA)を含む。いくつかの実施形態では、疎水性繰り返し単位は、メタクリル酸t-ブチルおよび/またはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)を含む。いくつかの実施形態では、薬物は、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、コンビガン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含み、疎水性繰り返し単位は、メタクリル酸t-ブチルを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含み、疎水性繰り返し単位は、メタクリル酸t-ブチルおよびTRISを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、DMAを含み、疎水性繰り返し単位は、TRISを含む。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、吸収されたチモロールを有するpHEMAを含む。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、吸収されたBAKを有するpHEMAおよびメタクリル酸t-ブチルを含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、薬物溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去する方法を提供する。本方法は、延長された出口と、少なくとも1つの薬物および防腐剤を含む薬物溶液、懸濁液、または乳液を保持するためのチャンバとを有する容器を、提供する段階であって、容器が、延長された出口内に請求項1に記載の粒子プラグを含む、前記段階と、粒子プラグを通して薬物溶液、懸濁液、または乳液を押し出す段階とを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、粒子プラグに薬物および/または防腐剤を事前添加する段階をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬物は、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、コンビガン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)である。いくつかの実施形態では、プラグは、HEMAおよび/またはDMAを含む。いくつかの実施形態では、プラグは、メタクリル酸t-ブチルおよび/またはTRISを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、医薬製剤の送達のためのデバイスであって、デバイスが、任意の実施形態の粒子プラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤とを含み、医薬製剤が粒子プラグを通して押し出されたときに、1つ以上の有効成分の少なくとも90%が、送達された医薬製剤中に保持される一方で、防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去される、デバイスを提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、デバイスは、医薬製剤の液滴を分配するための点眼ボトルであり、分配された液滴中の1つ以上の有効成分の濃度は、プラグを通して押し出された製剤の各液滴について、点眼ボトルの中の製剤の濃度の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、粒子の充填床を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、プラグを通して製剤を押し出す間、粒子プラグを保持するためのホルダアセンブリを有する。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、ホルダアセンブリは、粒子プラグの溶液入口面および出口面上にフィルタを含む。いくつかの実施形態では、ホルダアセンブリは、粒子プラグの周りに溶液透過性袋を含む。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、粒子プラグを多孔質モノリスとして融合させるために焼結される。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、少なくとも100である防腐剤の分配係数、および1未満である各有効成分に対する分配係数を有する。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、薬物で事前に平衡化されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、製造から、使用のためにデバイスが患者によって受容されるまで、粒子プラグを通して製剤を押し出すための位置でデバイスを保持する包装体をさらに含む。
【0017】
別の態様では、本開示は、防腐剤除去デバイスを提供する。防腐剤除去デバイスは、親水性繰り返し単位を含むホモポリマーの微粒子を含む場合があり、微粒子は、不規則な形状の剛性凝集体であり、微粒子は、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、プラグは、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、ホモポリマーは、除去すべき防腐剤および送達のための治療薬についての吸収部分をさらに含み、粒子プラグは、溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0018】
別の態様では、本開示は、防腐剤除去デバイスを提供する。防腐剤除去デバイスは、少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子を含む場合があり、微粒子は、不規則な形状の剛性凝集体であり、微粒子は、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、プラグは、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、任意でコポリマーは、除去すべき防腐剤および送達のための治療薬についての吸収部分を含み、粒子プラグは、溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する。
【0019】
いくつかの実施形態では、デバイスは、架橋剤をさらに含み、架橋剤は、親水性架橋剤である。いくつかの実施形態では、親水性架橋剤は、SR9035、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、またはエチレングリコールジメタクリレート(EDGMA)を含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸(MAA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、またはジメチルアクリルアミド(DMA)のうちの1種以上を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は、メタクリル酸t-ブチル(TBM)またはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)のうちの1種以上を含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、NVPを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、MAAを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、DMAを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含み、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は、TBMを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、5%~25%のHEMAおよび75%~95%のTBMを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、MAAを含み、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は、TBMを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、5%~25%のMAAおよび75%~95%のTBMを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、HEMAを含み、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は、TRISを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、5%~50%のHEMAおよび50%~95%のTRISを含む。いくつかの実施形態では、親水性繰り返し単位は、DMAを含み、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位は、TRISを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、5%~25%のDMAおよび75%~95%のTRISを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、デバイスは、架橋剤をさらに含み、架橋剤は、親水性架橋剤である。いくつかの実施形態では、親水性架橋剤は、SR9035、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、またはエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を含む。いくつかの実施形態では、不規則な形状の剛性凝集体は、粗いエッジの粒子であり、粗いエッジの粒子は、250ミクロン未満の直径を含む。いくつかの実施形態では、粗いエッジの粒子は、150ミクロン未満の直径を含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、SofZiaまたはPuriteである。いくつかの実施形態では、治療薬は、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、治療薬は、マレイン酸チモロールおよび酒石酸ブリモニジンを含む。いくつかの実施形態では、治療薬はマレイン酸チモロールを含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、任意の実施形態により、薬物溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去する方法を提供する。本方法は、延長された出口と、薬物溶液、懸濁液、または乳液を保持するためのチャンバとを有する容器を、提供する段階であって、薬物溶液、懸濁液、または乳液が、少なくとも1つの薬物および防腐剤を含み、容器が、溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグを含み、粒子プラグが、延長された出口内に提供される、前記段階と、粒子プラグを通して薬物溶液、懸濁液、または乳液を押し出す段階とを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、粒子プラグに薬物または防腐剤を事前添加する段階をさらに含む。
【0022】
別の態様では、本開示は、医薬製剤の送達のためのデバイスであって、任意の実施形態の粒子プラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤とを含み、医薬製剤が粒子プラグを通して押し出されたときに、すべての有効成分の90%が、送達された医薬製剤中に保持される一方で、防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去される、デバイスを提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、デバイスは、医薬製剤の液滴を分配するための点眼ボトルであり、分配された液滴中の有効成分の濃度は、プラグを通して押し出された溶液の各液滴について、点眼ボトルの中の製剤の濃度の少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、デバイスは、粒子プラグを通して溶液を押し出す間、粒子プラグを保持するためのホルダアセンブリを有する。いくつかの実施形態では、粒子プラグは、製剤入口面および製剤出口面を含み、ホルダアセンブリは、粒子プラグの入口面および出口面上にフィルタを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、製造から、使用のためにデバイスが患者によって受容されるまで、粒子プラグを通して溶液、懸濁液、または乳液を押し出すための位置でデバイスを保持する包装体をさらに含む。
【0024】
本開示の追加の態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され、記載される、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、それらのいくつかの詳細は、すべてが本開示から逸脱することなく、様々な明白な点において修正が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
[本発明1001]
薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグであって、
前記粒子プラグが、親水性繰り返し単位を含むホモポリマーの微粒子、または少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子を含み、前記微粒子が、不規則な形状の剛性凝集体であり、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、前記溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、前記ホモポリマーが、または任意で前記コポリマーが、溶液中の除去すべき防腐剤および/または送達のための薬物についての吸収部分をさらに含み、前記粒子プラグが、前記溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、
前記粒子プラグ。
[本発明1002]
前記親水性繰り返し単位が、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)および/またはジメチルアクリルアミド(DMA)を含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1003]
前記疎水性繰り返し単位が、メタクリル酸t-ブチルおよび/またはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)を含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1004]
前記薬物が、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、コンビガン、またはそれらの組み合わせを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1005]
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1006]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1007]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記疎水性繰り返し単位が、メタクリル酸t-ブチルを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1008]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記疎水性繰り返し単位が、メタクリル酸t-ブチルおよびTRISを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1009]
前記親水性繰り返し単位が、DMAを含み、かつ前記疎水性繰り返し単位が、TRISを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1010]
吸収されたチモロールを有するpHEMAを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1011]
吸収されたBAKを有するpHEMAおよびメタクリル酸t-ブチルを含む、本発明1001の薬物を含む溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去するための粒子プラグ。
[本発明1012]
以下の段階を含む、薬物溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去する方法:
延長された出口と、少なくとも1つの薬物および防腐剤を含む前記薬物溶液、懸濁液、または乳液を保持するためのチャンバとを有する容器を、提供する段階であって、前記容器が、前記延長された出口内に本発明1001の粒子プラグを含む、前記段階、ならびに
前記粒子プラグを通して前記薬物溶液、懸濁液、または乳液を押し出す段階。
[本発明1013]
前記粒子プラグに前記薬物および/または前記防腐剤を事前添加する段階をさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記薬物が、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、コンビガン、またはそれらの組み合わせを含む、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウム(BAK)である、本発明1012の方法。
[本発明1016]
前記プラグが、HEMAおよび/またはDMAを含む、本発明1012の方法。
[本発明1017]
前記プラグが、メタクリル酸t-ブチルおよび/またはTRISを含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
本発明1001の粒子プラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤とを含む、医薬製剤の送達のためのデバイスであって、
前記医薬製剤が前記粒子プラグを通して押し出されたときに、前記1つ以上の有効成分の少なくとも90%が、前記送達された医薬製剤中に保持される一方で、前記防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去される、
前記デバイス。
[本発明1019]
前記デバイスが、前記医薬製剤の液滴を分配するための点眼ボトルであり、分配された液滴中の前記1つ以上の有効成分の濃度が、前記プラグを通して押し出された前記製剤の各液滴について、前記点眼ボトルの中の前記製剤の濃度の少なくとも90%である、本発明1018のデバイス。
[本発明1020]
前記粒子プラグが、粒子の充填床を含む、本発明1018のデバイス。
[本発明1021]
前記プラグを通して前記製剤を押し出す間、前記粒子プラグを保持するための、ホルダアセンブリ
を有する、本発明1018のデバイス。
[本発明1022]
前記粒子プラグが、製剤入口面および製剤出口面を含み、前記ホルダアセンブリが、前記粒子プラグの前記製剤入口面および前記製剤出口面上にフィルタを含む、本発明1021のデバイス。
[本発明1023]
前記ホルダアセンブリが、前記粒子プラグの周りに溶液透過性袋を含む、本発明1021のデバイス。
[本発明1024]
前記粒子プラグが、前記粒子プラグを多孔質モノリスとして融合させるために焼結されている、本発明1018のデバイス。
[本発明1025]
前記粒子プラグが、少なくとも100である前記防腐剤に対する分配係数と、1未満である各有効成分に対する分配係数とを有する、本発明1018のデバイス。
[本発明1026]
前記粒子プラグが、前記薬物で事前に平衡化されている、本発明1018のデバイス。
[本発明1027]
製造から、使用のためにデバイスが患者によって受容されるまで、前記粒子プラグを通して前記製剤を押し出すための位置でデバイスを保持する、包装体
をさらに含む、本発明1018のデバイス。
[本発明1028]
親水性繰り返し単位を含むホモポリマーの微粒子であって、不規則な形状の剛性凝集体である、前記微粒子
を含む、防腐剤除去デバイスであって、
前記微粒子が、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、
前記プラグが、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、
前記ホモポリマーが、除去すべき防腐剤および送達のための治療薬についての吸収部分をさらに含み、かつ
前記粒子プラグが、前記溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、
前記防腐剤除去デバイス。
[本発明1029]
少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子であって、不規則な形状の剛性凝集体である、前記微粒子
を含む、防腐剤除去デバイスであって、
前記微粒子が、0.01Daよりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し、
前記プラグが、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し、
任意で前記コポリマーが、除去すべき防腐剤および/または送達のための治療薬についての吸収部分を含み、かつ
前記粒子プラグが、前記溶液、乳液、または懸濁液から前記防腐剤を迅速かつ選択的に除去する、
前記防腐剤除去デバイス。
[本発明1030]
親水性架橋剤である架橋剤をさらに含む、本発明1028または1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1031]
前記親水性架橋剤が、SR9035、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、またはエチレングリコールジメタクリレート(EDGMA)を含む、本発明1030の防腐剤除去デバイス。
[本発明1032]
前記親水性繰り返し単位が、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸(MAA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、またはジメチルアクリルアミド(DMA)のうちの1種以上を含む、本発明1028~1031のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1033]
前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、メタクリル酸t-ブチル(TBM)またはメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)のうちの1種以上を含む、本発明1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1034]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含む、本発明1032の防腐剤除去デバイス。
[本発明1035]
前記親水性繰り返し単位が、NVPを含む、本発明1032の防腐剤除去デバイス。
[本発明1036]
前記親水性繰り返し単位が、MAAを含む、本発明1032の防腐剤除去デバイス。
[本発明1037]
前記親水性繰り返し単位が、DMAを含む、本発明1032の防腐剤除去デバイス。
[本発明1038]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TBMを含む、本発明1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1039]
5%~25%のHEMAおよび75%~95%のTBMを含む、本発明1038の防腐剤除去デバイス。
[本発明1040]
前記親水性繰り返し単位が、MAAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TBMを含む、本発明1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1041]
5%~25%のMAAおよび75%~95%のTBMを含む、本発明1040の防腐剤除去デバイス。
[本発明1042]
前記親水性繰り返し単位が、HEMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TRISを含む、本発明1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1043]
5%~50%のHEMAおよび50%~95%のTRISを含む、本発明1042の防腐剤除去デバイス。
[本発明1044]
前記親水性繰り返し単位が、DMAを含み、かつ前記少なくとも1種の疎水性繰り返し単位が、TRISを含む、本発明1029の防腐剤除去デバイス。
[本発明1045]
5%~25%のDMAおよび75%~95%のTRISを含む、本発明1044の防腐剤除去デバイス。
[本発明1046]
親水性架橋剤である架橋剤をさらに含む、本発明1033~1045のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1047]
前記親水性架橋剤が、SR9035、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、またはエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を含む、本発明1046の防腐剤除去デバイス。
[本発明1048]
前記不規則な形状の剛性凝集体が、粗いエッジの粒子であり、前記粗いエッジの粒子が、250ミクロン未満の直径を含む、本発明1028~1046のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1049]
前記粗いエッジの粒子が、150ミクロン未満の直径を含む、本発明1048の防腐剤除去デバイス。
[本発明1050]
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウムを含む、本発明1028~1050のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1051]
前記防腐剤が、SofZiaまたはPuriteである、本発明1028~1050のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1052]
前記治療薬が、マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、ビマトプロスト、テトラヒドロゾリン、またはオロパタジンのうちの少なくとも1つを含む、本発明1028~1051のいずれかの防腐剤除去デバイス。
[本発明1053]
前記治療薬が、マレイン酸チモロールおよび酒石酸ブリモニジンを含む、本発明1052の防腐剤除去デバイス。
[本発明1054]
前記治療薬が、マレイン酸チモロールを含む、本発明1052の防腐剤除去デバイス。
[本発明1055]
以下の段階を含む、本発明1028~1055のいずれかの薬物溶液、懸濁液、または乳液から防腐剤を除去する方法:
延長された出口と、前記薬物溶液、懸濁液、または乳液を保持するためのチャンバとを有する容器を、提供する段階であって、前記薬物溶液、懸濁液、または乳液が、少なくとも1つの薬物および防腐剤を含み、前記容器が、前記溶液、懸濁液、または乳液から前記防腐剤を除去するための粒子プラグを含み、前記粒子プラグが、前記延長された出口内にある、前記段階、ならびに
前記粒子プラグを通して前記薬物溶液、懸濁液、または乳液を押し出す段階。
[本発明1056]
前記粒子プラグに前記薬剤または前記防腐剤を事前添加する段階をさらに含む、本発明1055の方法。
[本発明1057]
本発明1028~1055のいずれかの粒子プラグと、1つ以上の有効成分および防腐剤を含む医薬製剤とを含む、医薬製剤の送達のためのデバイスであって、
前記医薬製剤が前記粒子プラグを通して押し出されたときに、すべての有効成分の少なくとも90%が、前記送達された医薬製剤中に保持される一方で、前記防腐剤の少なくとも90%が、選択的に除去される、
前記デバイス。
[本発明1058]
前記デバイスが、前記医薬製剤の液滴を分配するための点眼ボトルであり、分配された液滴中の前記有効成分の濃度が、前記プラグを通して押し出された前記溶液の各液滴について、前記点眼ボトルの中の前記製剤の濃度の少なくとも90%である、本発明1057のデバイス。
[本発明1059]
前記粒子プラグを通して前記溶液を押し出す間、前記粒子プラグを保持するための、ホルダアセンブリ
を有する、本発明1057または1058のデバイス。
[本発明1060]
前記粒子プラグが、製剤入口面および製剤出口面を含み、前記ホルダアセンブリが、前記粒子プラグの前記入口面および前記出口面上にフィルタを含む、本発明1057~1059のいずれかのデバイス。
[本発明1061]
製造から、使用のためにデバイスが患者によって受容されるまで、前記粒子プラグを通して前記溶液、懸濁液、または乳液を押し出すための位置でデバイスを保持する、包装体
をさらに含む、本発明1057~1060のいずれかのデバイス。
【0025】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾するいかなる資料に優先し、かつ/または上位にあることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の新規の特徴は、具体的には添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面または図(また、本明細書で「図」および「図(複数可)」)を参照することによって得られるであろう。
【0027】
【
図1】本開示の実施形態による、約0.1gのポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(p-HEMA)または0.07gのポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル-co-メタクリル酸tert-ブチル)(p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル)粒子マトリクスが埋め込まれたテーパプラグ付きの点眼フィルタボトルの写真を示す。
【
図2A】不規則な形状の1mmのp-HEMA集合体の光学顕微鏡画像を示す。
【
図2B】トリアクリレート(SR9305)架橋剤を使用して形成された10倍の倍率のp-HEMAマトリクスを示す。
【
図3】本開示の実施形態による、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9305)架橋剤を有するメタクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸tert-ブチルを使用して合成された10倍の倍率の平均粒径が1mm未満のより微細なp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子の光学顕微鏡画像を示す。
【
図4】本開示の実施形態による、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、TRIS、メタクリル酸tert-ブチル、およびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9305)架橋剤からの、10倍の倍率で平均粒径が1mm未満の微細なp-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(37.5v/v%)粒子の光学顕微鏡画像を示す。
【
図5】較正溶液あたりn=1の「平均±σ」として表示される界面張力データを含む、0.002mg/ml~2mg/mlのBAKを有するBAK/PBS製剤の水相としてのPBS中のBAK濃度の関数としての0.5mLのBAK-空気界面の動的界面張力のプロットを示す。
【
図6】水相(1X-PBS)におけるBAK濃度の関数としてのBAK-空気界面の平衡界面張力のプロットであり、黒い実線は、安定した状態のラングミュア界面活性吸着等温線モデルが水性BAK製剤の実験的界面張力に適合することを表す。
【
図7】n=1の平均±SDとしてプロットされた取り込みデータで試験された3つの濃度についての2.5mLの水性BAK/PBS溶液のレンズの体積を有する0.5mg/ml~2mg/mlの範囲のBAK/PBS濃度の取り込みのための実験室製の厚さ100pmのp-HEMAヒドロゲル中の塩化ベンザルコニウム(BAK)/PBS水溶液の取り込みプロファイルのプロットである。
【
図8】本開示の実施形態による、架橋剤としてSR9035で合成された充填p-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子を通して0.5mlの(0.5%)チモロール/(0.01%)BAK溶液を通過させた後のBAK除去率の棒グラフである。
【
図9】15日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、本開示の実施形態による、充填p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を通して約30μLの実験室製の(0.5%)チモロール/(0.01%)BAK溶液を通過させることに基づくチモロール取り込みの棒グラフであり、30μLのチモロール製剤の液滴を100倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図10】15日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、本開示の実施形態による、充填p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を通して約30μLの実験室製の(0.5%)レボフロキサシン/(0.01%)BAK溶液を通過させることに基づくレボフロキサシン取り込みの棒グラフであり、30μLのレボフロキサシン製剤の液滴を100倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図11】15日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、本開示の実施形態による、充填p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を通して約30μLの実験室製の(2%)ドルゾラミド/(0.01%)BAK溶液を通過させることに基づくドルゾラミド取り込みの棒グラフであり、30μLのレボフロキサシン製剤の液滴を300倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図12】7日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、本開示の実施形態による、充填p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を通して約30μLの実験室製の(2%)ブリモニジン/(0.01%)BAK溶液を通過させることに基づくブリモニジン取り込みプロファイルの棒グラフであり、30μLのレボフロキサシン製剤の液滴を100倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図13】10日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、p-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(37.5v/v%)粒子を通して0.5mlの(0.2%)ブリモニジン/(0.01%)BAK溶液を通過させた際のBAK除去の棒グラフである。
【
図14】10日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、本開示の実施形態による、充填p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子を通して約30μLの実験室製の(2%)ブリモニジン/(0.01%)BAK溶液を通過させることに基づくブリモニジン取り込みプロファイルの棒グラフであり、30μLのブリモニジン製剤の液滴を100倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図15】個々の10日にわたってSR9035を架橋剤として使用して合成された、3、5、および8倍のBAK処理p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子を含む充填フィルタを通して約30μLの実験室製のコンビガン製剤(0.2%のブリモニジン/0.5%のマレイン酸チモロールおよび0.01%のBAK溶液)を通過させた際のチモロール取り込みの棒グラフであり、30μLの製剤の液滴を100倍に希釈して製剤のUVスペクトルを得た。
【
図16】界面張力測定値について探索されたBAK/PBS製剤の濃度が0.1mg/ml~1mg/mlの範囲であり、界面張力データが較正溶液あたりn=1の「平均±σ」として表示される、水相としてのPBS中のBAK濃度の関数としての0.5mLのp-HEMAのフィルタ処理プラグおよび再フィルタ処理Visine(登録商標)-BAK空気界面の動的界面張力のプロットを示す。
【
図17】水相としてのPBS中のBAK濃度の関数としての0.5mLのBAK-空気界面の動的界面張力のプロットを示す。界面張力測定のために探索されたBAK/PBS製剤の濃度は、0.002mg/ml~2mg/mlの範囲である。界面張力データは、較正溶液あたりn=1の「平均値±σ」として表示される。
【
図18】架橋剤としてSR9035を使用して合成された充填p-HEMA粒子を通してフィルタ処理された市販のVisine(登録商標)/(0.01%)BAK溶液を300μL(約10滴)投与することに基づいて、市販のフィルタ処理および再フィルタ処理Visine製剤についてのUVスペクトルデータを示す。
【
図19】10日にわたって架橋剤としてSR9035を使用して合成された充填p-HEMA粒子を通過された市販のVisine(登録商標)/(0.01%)BAK溶液のアリコート300μLのアリコート(約10滴)に対するVisine(登録商標)の取り込みについての棒グラフを示しており、300μLのVisine(登録商標)製剤の液滴を二次的なフィルタを使用して再充填し、薬物取り込みの定量化についての較正UVスペクトルを得た。
【
図20】本開示の実施形態による、ボトルの先端に置くために3D印刷によって準備された保持フィルタの写真である。
【
図21】A、Bの光学顕微鏡画像:4倍の倍率の63~125μmのサイズのp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)およびp-HEMA(15v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(85v/v%)粒子を示す。C:1mmのp-HEMA凝集体およびマトリクスの画像。D:画像較正のために使用される125μmの標準的なふるいの代表的な画像。E:サイズ特性評価のために使用されるp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子バッチの処理済み閾値画像。
【
図22】63~500μmの範囲の同等のメッシュ開口を有する35~230の範囲のタイラーメッシュサイズを有する標準的なスクリーンまたはふるい上に保持されたp-HEMA(15v/v%)/TBM(85v/v%)粒子の有効質量の棒グラフを示す。
【
図23】約0.1gのp-HEMAまたは0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスが埋め込まれたテーパプラグ付きの点眼薬フィルタボトルの概略図を示す。実験研究のために使用される異なるフィルタプラグおよびそれらの寸法も例示されている。
【
図24】AおよびB:p-HEMA/TBMマトリクスにおけるBAK分配係数、および最適化された25%のHEMA/75%のTBM粒子におけるその濃度依存性の要約を示す。C:粒子マトリクス内での20時間のBAK平衡化は、フィルタ床内でのBAKの再分配について1日の待機時間が重要であることを示している。p-HEMA/TBMシステムにおける対応するBAKの有効拡散率をDに示す。BAKの有効拡散率は、組成型に依存しない。
【
図25】水相としてのPBS中のBAK濃度の関数としての0.5mLのBAK-空気界面の動的界面張力を示す。界面張力測定のために探索されたBAK/PBS製剤の濃度は、0.002mg/mL~2mg/mLの範囲である。
【
図26】A:画分BAKの除去、およびB:p-HEMAフィルタからのチモロール/BAK製剤からの画分薬物の取り込みを示す。C:画分BAKの除去およびD:25v/v%のHEMA/75v/v%のTBMフィルタからのチモロール/BAK製剤からの画分薬物の取り込み。E:3倍および5倍のBAKが事前添加された25v/v%のHEMA/75v/v%のTBMフィルタにおけるチモロールの薬物取り込み率の改善。F:投与された2番目の製剤液滴からのチモロール取り込み%と、ポリマーマトリクスにおけるHEMA含有%との間の関係。
【
図27】a)異なる組成のp-HEMA/TBMフィルタからのブリモニジン/BAK製剤からの画分BAK除去および薬物取り込み(b)を示す。c)25v/v%のHEMA/75v/v%のTBMおよび10v/v%のHEMA/90v/v%のTBMフィルタからのドルゾラミド/BAK製剤からの画分BAKの除去および薬物取り込み(d)。e)25v/v%のHEMA/75v/v%のTBMフィルタからのレボフロキサシン/BAK製剤からの画分BAKの除去。f)3倍および5倍のBAKを事前添加した25v/v%のHEMA/75v/v%のTBMフィルタにおけるレボフロキサシンの薬物取り込み率の改善。
【
図28】A:>1mmのp-HEMA凝集体、B:p-HEMAフィルタおよび対応するVisine取り込みCからのVisine/BAK(0.1重量%)製剤からの画分BAKの除去を示す。
【
図29】SR-9035架橋剤を含むHEMA/MAAヒドロゲル中のビマトプロスト分配係数(K-f)を示す。
【
図30】SR9035架橋剤フィルタを用いた0.1gの75/25メタクリル酸/HEMAからのビマトプロストの取り込みを示す。粒子は光開始された。
【
図31】0.1gの60/40のメタクリル酸/DEGDMAフィルタからの塩化ベンザルコニウムの取り込みを示す。粒子は熱開始された。
【
図32】0.1gの60/40のメタクリル酸/DEGDMA粒子からの薬物[A:250μg mL
-1のビマトプロストおよびB:50μg mL
-1のラタノプロスト]の取り込みを示す。粒子は熱開始された。
【
図33】対照と比較した0.2gのガラスビーズフィルタを通した2滴目(1滴目から+24時間)のスペクトルを示す。
【
図34】粒子/ガラスフィルタからの薬物の取り込みを示す。A:0.15gの50/50(60/40のメタクリル酸/DEGDMA)/ガラスフィルタを含む250/μg mL-1のビマトプロスト。B:0.15gの40/60(60/40のメタクリル酸/DEGDMA)/ガラスフィルタを含む50μg mL-1のラタノプロスト。粒子は熱開始された。
【
図35】0.1gの50/50(60/40のMAA/DEDMGA粒子)/ガラスからの塩化ベンザルコニウムの取り込みを示す。粒子は熱開始された。
【
図36】(A:)高充填および(B:)広がりで撮影された60/40のMAA/DEGDMA粒子の画像を示す。平均直径は、94±15μmである。(C:)100μmのガラスビーズ。
【
図37】HEMAおよびMAAの粒子ゲルの様々なコポリマー組成におけるビマトプロストの分配係数のプロットである。
【
図38】HEMAおよびMAAの粒子ゲルの様々なコポリマー組成におけるBAKの分配係数のプロットである。
【
図39】点眼器先端に充填された粒子を通過した液滴からのHEMAおよびMAAの粒子ゲルにおけるビマトプロストの取り込み率のプロットである。
【
図40】点眼器先端に充填された粒子を通過した液滴からのHEMAおよびMAAの粒子ゲルにおけるビマトプロストの取り込率のプロットである。
【
図41】点眼器先端に充填された粒子を通過した液滴からの25/75 pMAA/tBMの粒子ゲルにおけるビマトプロストの取り込み率のプロットを示す。
【
図42】BAK濃度の推定のためのラングミュア界面活性剤吸着等温線モデルに適合するBAK溶液の平衡界面表面張力のプロットである。
【
図43】1週間にわたるAllegran製の市販のビマトプロスト/BAK溶液の平衡界面表面張力データのプロットを示す。
【
図44】1週間にわたるAllegran製の市販のビマトプロスト/BAK溶液の平衡界面表面張力データから計算されたBAK除去の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本開示は、防腐剤除去剤を提供する。防腐剤除去剤は、治療薬を含む溶液、乳液、または懸濁液から本開示の防腐剤を迅速かつ選択的に除去することができる。防腐剤除去剤は、防腐剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、点眼製剤は最小限の圧力降下でプラグを通って流れることを可能にするが、防腐剤を除去するのに十分な時間および防腐剤を吸着するのに十分な表面積を有する。マトリクスは、例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK)などの防腐剤に対する親和性が高く、薬物または他の眼科用薬剤などの治療薬に対する親和性が低い材料を含み得る。
【0029】
本開示の態様は、多孔質ポリマーマトリクスを含み得る防腐剤除去剤を提供する。場合によっては、防腐剤除去剤は、親水性繰り返し単位を含むホモポリマーを含み得る。場合によっては、防腐剤除去剤は、疎水性繰り返し単位を含むホモポリマーを含み得る。防腐剤除去剤は、少なくとも1種の疎水性繰り返し単位および少なくとも1種の親水性繰り返し単位を含む、コポリマーを含み得る。場合によっては、ポリマーは、コポリマーである。場合によっては、ホモポリマーまたはコポリマーは、疎水性架橋剤を含む。場合によっては、コポリマーのホモポリマーは、親水性架橋剤を含む。ポリマーマトリクスは、粒子プラグを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよび疎水性メタクリル酸から形成されるポリマーの粒子を提供して、BAKが溶液中の親水性薬物から選択的に吸収される水性点眼液からBAKを選択的に除去する媒体を形成する。コポリマーの疎水性部分の存在により、同等量のポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(本明細書では「pHEMA」または「p-HEMA」と表記)と比較して、溶液からの親水性薬物の除去が大幅に減少する。
【0031】
本開示は、薬物を含む溶液から防腐剤を除去するための粒子プラグを提供する。粒子プラグは、親水性繰り返し単位を含むホモポリマーの微粒子、または少なくとも1種の親水性繰り返し単位と少なくとも1種の疎水性繰り返し単位とを含むコポリマーの微粒子を含み得る。微粒子は、不規則な形状の剛性凝集体である場合があり、0.01ダルシー(Da)よりも大きい水力学的透過性を有する粒子プラグを形成し得る。プラグは、溶液、乳液、または懸濁液のための容器の出口に適合し得る。場合によっては、ホモポリマーまたはコポリマーは、溶液、乳液、または懸濁液中の除去すべき防腐剤および/または送達のための薬物についての吸収部分をさらに含む。粒子プラグは、溶液、乳液、または懸濁液から防腐剤を迅速かつ選択的に除去し得る。
【0032】
本開示の実施形態によると、粒子は、親水性薬物の有意な取り込みを妨げるために、少なくとも1種の疎水性モノマーを含むように製剤された。異なる治療手順のために、また異なる対象によって使用される親水性点眼薬製剤のシステムに対応する粒子が必要である。この目標を達成するために、p-HEMA粒子の調製のために使用されるバッチの組成をさらに変更することなく、疎水性モノマーであるメタクリル酸t-ブチルをHEMAとともにモノマー混合物に追加し、モノマー混合物中のメタクリル酸tert-ブチルおよびHEMAの比率は、薬物の取り込みを最小限に抑え、または高いBAK除去率を得るために使用されるシステムの高い分配係数を保持するように調節された。
【0033】
本開示のマトリクス材料の選択性は、防腐剤がマトリクスによって吸収される程度対治療薬が吸収される程度を指し得る。選択性は、防腐剤および治療薬の相対的な分配係数に関係している可能性がある。選択性は、用量中の防腐剤および治療薬の相対的な濃度に関連している可能性がある。選択性は、用量における防腐剤および治療薬の相対的な濃度の変化対防腐剤除去剤への曝露前の医薬製剤における変化に関連している可能性がある。選択性は、用量または製剤における経時的な防腐剤および治療薬の相対的な濃度の変化に関係している可能性がある。場合によっては、選択性は、分光選択的に定量化することができる。
【0034】
防腐剤除去剤
いくつかの実施形態では、本開示は、防腐剤および治療薬を含む医薬製剤を提供する。製剤は、治療薬および防腐剤の溶液、乳液、または懸濁液を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、防腐剤除去剤を含み得る(例えば、防腐剤除去剤が治療剤および防腐剤を含む溶液、乳液、または懸濁液の一部分を含み得る)。他の実施形態では、防腐剤除去剤は、治療剤および防腐剤を含む溶液、乳液、または懸濁液とは別個であり得る(例えば、防腐剤除去剤がボトルの首内に位置し得る実施形態では)。任意で、任意の実施形態では、溶液、乳液、または懸濁液は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ノズル内に配設されたマトリクスは、多孔質ポリマーマトリクスであり得る。ノズルの後ろに圧力をかけると、流路を介して流体がノズルを通って流れ、その経路に沿って、マトリクスへの吸着によって防腐剤が除去される場合がある。ポリマー材料、水力学的透過性、分配係数、吸着速度、および細孔サイズの組み合わせは、溶液、したがって患者の点眼液からのすべてまたは大部分の防腐剤の吸収を助ける可能性がある。その後、防腐剤の低減された溶液は、眼に直接送達される。多孔質高分子マトリクスは、防腐剤を迅速かつ選択的に抽出することができ、点眼製剤は最小限の圧力降下でプラグを通って流れることができるが、防腐剤を除去するのに十分な時間および防腐剤を吸着するのに十分な表面積がある。
【0036】
多孔質ポリマーマトリクスは、様々な材料を含み得る。そのような材料は、安全で生体適合性があり得る。そのような材料は、例えば、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシルエチル-co-メタクリル酸)(p-HEMA/MAA)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル-co-メタクリル酸tert-ブチル)(p-HEMA/TBM)、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸メチル、シリコーン、および/または前述の材料の任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。マトリクスは、例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK)などの防腐剤に対する親和性が高く、薬物または他の眼科薬に対する親和性が低い材料を含み得る。多孔質ポリマーマトリクスは、防腐剤に対する高い選択性および親和性を含む場合があり、その結果、防腐剤の少なくとも50パーセントが除去され、薬物の少なくとも50パーセントが溶液によって保持され得る。いくつかの実施形態では、ノズル内に配設されたマトリクスは、多孔質ポリマーマトリクスであり得る。多孔質ポリマーマトリクスは、様々な材料を含み得る。そのような材料は、安全で生体適合性があり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、マトリクス材料は、コポリマーである。コポリマーは、1超の種のモノマーを含んでもよい。コポリマーは、分岐していてもよい。コポリマーは、線形であってもよい。コポリマーは、架橋剤を含んでもよい。コポリマーは、ブロックコポリマーであってもよく、交互コポリマーであってもよく、周期的コポリマーであってもよく、勾配コポリマーであってもよく、統計コポリマーであってもよく、ステラブロックコポリマーであってもよい。コポリマーは、異なる疎水性または親水性の相を示し得る。1種以上のモノマーまたは架橋剤の疎水性および/または親水性は、治療薬または防腐剤のプラグ材料への結合を制御し得る。
【0038】
防腐剤除去剤の非限定的な例には、固体、ゲル、および/または粒子マトリクスが含まれ得る。防腐剤除去剤は、物理的バリアまたはフィルタとして機能し得る。追加的または代替的に、防腐剤除去剤は、マトリクスへの防腐剤の吸着などによって、防腐剤を化学的に除去し得る。防腐剤除去剤は、容器の出口に配設される場合があり、この容器は、溶液、乳液、または懸濁液を含有し得る。
【0039】
本開示の例示的なシステムおよび方法は、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシルエチル-co-メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル-co-メタクリル酸tert-ブチル)(p-HEMA/TBM)、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸メチルとBAKとの組み合わせを対象とし得るが、任意のマトリクス材料および任意の防腐剤を使用して、マトリクスへの薬物の分配係数を、防腐剤に対するマトリクスの親和性よりも少なくとも1桁、より好ましくは2桁低くすることができる。例えば、pHEMAは、BAKの濃度およびマトリクスの構造に応じて、約100~500の分配係数でBAKに結合し得る。いくつかの実施形態では、マトリクスは、例えば、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10,000、または前述の値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の溶液、乳液、または懸濁液からの防腐剤の分配係数を含み得る。対照的に、薬物の所望の分配係数は、1未満であり、より好ましくは0.5未満、さらにより好ましくは0.1未満である。実施形態では、マトリクス材料は、例えば、防腐剤についての分配係数が薬物の分配係数よりも少なくとも10倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きくなり得るように、薬物に対して防腐剤について選択的であり得る。追加的または代替的に、吸着速度定数は、薬物分子のポリマーへの吸着時間が液滴を形成する時間よりも短くなり得るように十分に高い可能性がある。液滴を形成する時間は、0.1~10秒の範囲内の時間を含み得る。
【0040】
マトリクスは、流体を分配するために必要な圧力が比較的小さい可能性があるように、高い水力学的透過性を示し得る。水力学的透過性は、フィルタの設計に依存する場合がある。より大きな細孔は、所与の圧力降下に対してより高い流量を可能にし得る。いくつかの実施形態では、水力学的透過性は、約0.01ダルシー(Da)よりも大きい場合がある。ノズルは、約0.1ダルシーの透過性を含み得る。1~10ダルシーの水力学的透過性により、液滴の形成後に圧力が低下し得る場合に、期間中に流体をフィルタ内に保持することができる場合がある。より大きな水力学的透過性は、例えば、再湿潤点眼薬などの高粘度製剤を含む広範な製剤に対して同じプラグが機能することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマーマトリクスは、例えば、0.01Da、0.1Da、1Da、10Da、100Da、1000Daの水力学的透過性、または前述の値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の水力学的透過性を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、マトリクスは、液体が流れることができる大きなチャネルを含め、非常に多孔質であり得る。マトリクス内のポアまたはチャネルのサイズは、最初はマトリクス内のポリマーの表面から遠い可能性がある分子がポリマーに向かって拡散して吸着し得るように、十分に小さくすることができる。マトリクスは、相互接続された大きな細孔またはチャネルを含む場合があり、これにより、溶液の流れおよび細孔またはチャネルへの防腐剤の吸着が可能になり得る。マトリクスは、多孔質ゲル、充填床、および/または3D印刷ソフトリソグラフィ、エレクトロスピニング、もしくは任意の他の適切な方法によって形成される構造として形成され得る。いくつかの実施形態では、マトリクスは、微孔質ゲルを含み得る。いくつかの実施形態では、マトリクスは、pHEMAまたは他のポリマー粒子の充填床を含み得る。粒子は、マクロ多孔質であり得る。粒子は、球形でも非球形でもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、ナノまたはミクロンサイズのポリマー粒子(例えば、ナノゲルまたはミクロゲル)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、クリオゲルを含み得る。いくつかの実施形態では、粒子自体が、コロイド銀ナノ粒子などの防腐効果を直接付与し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、粒子は、製剤が容器から溶出するノズルに安定して保持される必要があり得、それによってノズルからの溶出を防ぐことができる。場合によっては、マトリクスを焼結し、粒子プラグを融合させて、多孔質モノリスにすることができる。場合によっては、デバイスは、ノズル内にマトリクスを保持するためのカートリッジまたは他のアセンブリを有し得る。デバイスは、マトリクスを保持するための溶液透過性袋を有し得る。デバイスは、溶液透過性底部を有する固体壁を含み得る。デバイスは、マトリクス材料を間に挟んだ入口面および出口面を含み得る。入口面および出口面は、溶液透過性膜を含み得る。入口面および出口面は、フィルタを含み得る。入口面および出口面は、スクリーンを含み得る。粒子は、長いポリマー鎖を通して、かつ/またはデバイスの出口にフィルタを置くことによって、容器の壁に付着され得る。デバイスは、患者に送達するための包装体を含み得る。包装体は、デバイスが患者に送達されるまでデバイスが圧縮され得ないように、デバイスを固定し得る。包装体は、製剤がボトルから出ることを許さないように出口面を固定し得る。包装体は、取り外し可能なキャップ、ブレークオフキャップなどを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、粒子が溶出するのを防ぐために出口に置かれたフィルタは、抗菌表面などの他の機能性も提供することができるであろう。追加的または代替的に、容器の壁または他の表面は、その上に取り付けられた、かつ/またはその中に組み込まれた防腐剤を含み得る。いくつかの実施形態では、防腐剤の供給源は、容器に組み込まれ得るBAKで平衡化された1~10体積%のpHEMA膜を含む。いくつかの実施形態では、マトリクスは、経時的な微生物の成長を阻害する濃度でBAKが事前添加されたpHEMA膜を含む。
【0044】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、約1nm~約10μm、約1nm~約5μm、約1nm~約2μm、約1nm~約1μm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700、約1nm~約600nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、またはさらには約1nm~約100nmの平均最大寸法を有する。特定の実施形態では、平均最大寸法は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0045】
特定の実施形態では、製剤中の粒子の90%超または95%超など、粒子の80%超は、約1nm~約10μm、約1nm~約5μm、約1nm~約2μm、約1nm~約1μm、約1nm~約900nm、約1nm~約800nm、約1nm~約700、約1nm~約600nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、またはさらには約1nm~約100nmの平均最大粒子径を有する。特定の実施形態では、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0046】
特定の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100nm~約2μm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700、約100nm~約600nm、約200nm~約500nm、約250nm~約600nm、約300nm~約600nm、約350nm~約700nm、約450nm~約550nm、約475nm~約525nm、または約400nm~約700nmの平均直径を有する。特定の実施形態では、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0047】
特定の実施形態では、製剤中の粒子の90%超または95%超など、粒子の80%超は、約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100nm~約2μm、約100nm~約1μm、約100nm~約900nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700、約100nm~約600nm、約200nm~約500nm、約250nm~約600nm、約300nm~約600nm、約350nm~約700nm、約450nm~約550nm、約475nm~約525nm、または約400nm~約700nmの平均直径を有する。特定の実施形態では、平均直径は、平均最大直径または平均等価直径である。
【0048】
マトリクスは、ノズルを通る溶液、乳液、または懸濁液の流路が大幅に増加し得るようにねじれを含み得る。マトリクスがマクロ多孔質粒子の充填床である実施形態では、マクロ多孔質粒子の充填床は、粒子間の空間、粒子内のマクロ細孔、およびポリマーの固有の多孔質の3つのレベルの多孔質を有し得る。そのような実施形態では、多孔質の3つのレベルすべてが、マトリクスのねじれの一因となり得る。
【0049】
治療薬
本開示の実施形態は、眼への送達のための治療薬を提供し得る。治療薬は、ノズルを通して容器から眼へと流れる可能性のある流体に統合され得る。いくつかの実施形態では、流体は、治療薬を含む溶液、乳液、または懸濁液を含み得る。溶液、乳液、または懸濁液は、治療薬を含み得る。
【0050】
ノズルと組み合わせて使用することができる例示的な治療薬には、マレイン酸チモロール、ドルゾラミド、リン酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、Betimol(登録商標)、オロパタジン、ブリモニジン、トラヒドロゾリン、ラタノプロステンブノド、ラタノプロスト、およびこれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。治療薬は、Timoptic、Xalatan、Combingan、Lumigan、Pataday、Pazeo、Trusopt、Cosopt、Alphagan、Visine、Vyzulta、Veseneo、および以下の表など、本明細書に記載の他の薬剤を含むがこれらに限定されない商標名のある薬物および製剤を含み得る。治療薬は、水溶液に溶解され得る。溶液は、無菌化され、適切なpHに緩衝され得る。いくつかの実施形態では、溶液は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、リン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、トロメタミン、ホウ酸、マンニトール、エデト酸二ナトリウム、水酸化ナトリウム、および/または塩酸などの不活性成分を含み得る。いくつかの実施形態では、流体は、治療薬に加えて防腐剤を含む。例示的な防腐剤には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、アルコール、パラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、EDTA、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、ソルビン酸、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオタニウム1、クロロブタノール、塩化セトリモニウム、エダテート二ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0051】
例えば、ドライアイ、細菌感染、緑内障、高血圧、炎症、アレルギー性結膜炎、まつげの減毛症、真菌感染などの治療のための治療薬、および局所麻酔薬、瞳孔拡張などに使用される治療薬を、点眼ボトルまたは同様の送達機構を介して局所的に眼に送達される溶液、乳液、または懸濁液としての患者に投与することができる。溶液、乳液、または懸濁液は、患者の健康に悪影響を与えうる、微生物、真菌、または粒子汚染などの汚染の影響を受けやすい可能性がある。このような汚染を防ぐために、溶液、乳液、または懸濁液に防腐剤を追加することができるが、患者が防腐剤にさらされると、眼の健康に悪影響を与える可能性がある。
【0052】
本開示は、1つ以上の眼科薬を含み得る、本開示の防腐剤除去デバイスによって除去可能な1つ以上の治療薬を提供する。治療薬は、眼疾患の治療に使用するための化合物および塩を含み得る。開示される化合物および塩は、例えば、視覚障害の治療および/もしくは予防のために、かつ/または眼障害の予防および/または治療のための眼科処置中に使用するために使用することができる。フローリストの例は、限定することを意図していない。
【0053】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、シクロスポリンおよびリフィテグラスから選択される有効成分を含む。そのような実施形態では、治療薬は、ドライアイの治療における有効成分であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、スルファセタミドナトリウム、オフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、レボフロキサシン、酢酸プレドニゾロン、硫酸ポリミキシンB、およびトリメトプリムから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のスルファセタミドナトリウムおよび酢酸プレドニゾロンを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分の硫酸ポリミキシンBおよびトリメトプリムを含む。そのような実施形態では、治療薬は、細菌感染の治療における有効成分であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、酒石酸ブリモニジン、ビマトロプロスト、塩酸レボブノロール、ブリンゾラミド、塩酸ベタキソロール、塩酸ピロカルピン、アプラクロニジン、トラボプロスト、マレイン酸チモロール、ラタノプロスト、塩酸ドルゾラミド、およびタフルプロストから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、酒石酸ブリモニジンおよびマレイン酸チモロールを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のブリンゾラミドおよび酒石酸ブリモニジンを含む。そのような実施形態では、治療薬は、緑内障または高血圧の治療における有効成分であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、ケトロラクトロメタミン、フルオロメトロン、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドナート、酢酸フルオロメトロン、ネパフェナク、デキサメタゾン、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナク、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネオマイシン、および硫酸ポリミキシンBから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のゲンタマイシンおよび酢酸プレドニゾロンを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のトブラマイシンおよびデキサメタゾンを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のネオマイシン、硫酸ポリミキシンB、およびデキサメタゾンを含む。そのような実施形態では、治療薬は、炎症の治療における有効成分であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、ネドクロミルナトリウム、エピナスチンHCl、アルカフタジン、ロドキサミドトロメタミン、フマル酸エメダスチン、および塩酸オロパタジンから選択される有効成分を含む。そのような実施形態では、治療薬は、アレルギー性結膜炎の治療における有効成分であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、塩酸プロパラカインおよび塩酸テトラカインから選択される有効成分を含む。そのような実施形態では、治療薬は、局所麻酔薬であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、塩酸シクロペントラート、硫酸アトロピン、およびトロピカミドから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分の塩酸シクロペントラートおよび塩酸フェニレフリンを含む。そのような実施形態では、治療薬は、瞳孔を拡張する場合がある。
【0060】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、有効成分のナタマイシンを含む。そのような実施形態では、治療薬は、真菌感染の治療における有効成分であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、分配される治療薬は、リポ酸コリンエステルクロリド、レバミピド、ピロカルピン、アセクリジン、トロピカミド、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ピロカルピンHCl、およびケトロラクから選択される有効成分を含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のアセクリジンおよびトロピカミドを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のヒアルロン酸ナトリウムおよびジクロフェナクナトリウムおよびピロカルピンHClを含む。いくつかの実施形態では、分配される治療製剤は、有効成分のピロカルピンおよびケトロラクを含む。そのような実施形態では、治療薬は、老視の治療における有効成分であり得る。
【0062】
防腐剤
本開示は、本開示の治療薬の溶液、乳液、または懸濁液のための1つ以上の防腐剤を提供する。防腐剤は、治療薬の溶液、乳液、または懸濁液の防腐剤として使用するための化合物および塩を含み得る。1つ以上の防腐剤は、例えば、微生物および/または真菌の増殖を防ぎ得る。1つ以上の防腐剤は、例えば、治療薬の物理的または化学的劣化を防ぎ得る。
【0063】
防腐剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クロルブタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、酢酸クロルヘキシジン、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、アルコール、パラベン(例えば、メチルパラベン、ポリパラベン)、クロルヘキシジン、第四級アンモニウム化合物、ポリクオタニウム-1(Polyquad(登録商標))、Purite(登録商標)、安定化オキシクロロ錯体、Sofzia(登録商標)、過ホウ酸ナトリウム(GenAqua(登録商標))、塩化セトリモニウム、エデト酸二ナトリウムなどが含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の製剤は、防腐剤を含まない。
【0064】
いくつかの実施形態では、粒子プラグは、防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物をさらに含み得る。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物は、吸着、イオン交換、化学沈殿、または溶媒抽出を含むがこれらに限定されない典型的な分離方法を通じて送達される製剤の毒性を減少させることができる。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物には、活性炭、酸化防止剤、金属キレート化合物、アニオン性ヒドロゲル、カチオン性化合物、中和剤、またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0065】
Purite(登録商標)防腐系には、二酸化塩素、亜塩素酸塩、および塩素酸塩の組み合わせである安定化オキシクロロ錯体(SOC)が含まれる。光にさらされると、SOCは、水、酸素、ナトリウム、および塩素フリーラジカルに解離し、細胞内脂質およびグルタチオンの酸化を引き起こし、細胞の機能および維持のために不可欠な酵素を阻害する。塩素フリーラジカルを生成するPurite(登録商標)などの防腐剤の場合、本開示の粒子プラグには、活性炭などのフリーラジカルまたはビタミンEなどの酸化防止剤に対して高い親和性を有する材料を含めることができる。
【0066】
Travatan Z(Alcon Labora-tories,Fort Worth,Texas)のSofZia(登録商標)防腐系には、ホウ酸塩、ソルビトール、プロピレングリコール、および亜鉛が含有される。理論に縛られることを意図しないが、防腐効果は、ホウ酸塩および亜鉛の組み合わせによるものであると考えられる。SofZia(登録商標)などのホウ酸塩および亜鉛を含む防腐剤の場合、本開示の粒子プラグには、EDTAなどの金属キレート剤、静電相互作用を通じてカチオン性亜鉛を抽出することができるアニオン性ヒドロゲル、静電相互作用を通じてアニオン性ホウ酸イオンを抽出することができるカチオン性ヒドロゲルもしくは樹脂、またはホウ酸を中和することができる中和剤が含まれ得る。
【0067】
防腐剤を隔離することができる材料を、活性炭の粒子などの微粒子として粒子プラグに組み込むことができる。微粒子は、液体が粒子間の十分な空間を有して流出するように粒子プラグに充填することができ、同時に結合のための十分な接触面積も提供する。代替的に、隔離材料を、本開示のポリマー粒子などの他の好適な材料の粒子に組み込んで、溶出製剤と隔離材料との間の接触を促進することができる。場合によっては、隔離材料は、共有結合でポリマーに統合され得る。例えば、亜鉛と錯化する可能性のあるマイナスイオンをポリマーに組み込むことができる。隔離材料は、ナノ粒子であり得るか、またはナノ粒子に組み込むことができ、次に、ナノ粒子は、先端に充填床を形成するポリマー粒子に分散され得る。ナノ粒子は、より大きな粒子の表面上だけに堆積させることもできる。隔離材料は、液体が流出する経路および表面上に生じる隔離を提供するために平行に配列され得るチューブを形成することもできる。
【0068】
製剤中のフリーラジカルを中和するために粒子プラグに存在する材料、例えば、ビタミンは、粒子プラグを形成するポリマー粒子に組み込むことができる。塩基は、pHを眼に快適なレベルにするために組み込むことができる。ポリマー粒子には、例えば、有機液体に溶解されたビタミンEの溶液に粒子を浸すことによってビタミンEを粒子に添加し、粒子へのビタミンEの取り込みをもたらすことができる。その後、エタノールなどの有機液体を、蒸発または水中に抽出させて、ビタミンEを添加した粒子を形成することができる。ビタミンEを添加した粒子の材料を選択して、防腐剤のいくつかの他の成分の抽出などの他の有益な目的を達成することができるであろう。塩基は、ヒドロゲル製剤に直接統合され得る。
【0069】
製剤の防腐効果は、塩化ベンザルコニウムなどの別の防腐剤を組み込むことによって改善することができ、その結果、製剤は、EP-A基準にも同様に合格することができる。追加されたBAKまたは他の防腐剤を、粒子プラグによって除去して、毒性を増加させることなく防腐剤の性能を改善することができる。
【0070】
防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子プラグは、表面が粗いかまたは滑らかであり得る球体、シリンダ、チューブ、非常に不規則で平らなシートなどの様々な形状に形成することができる。先端に統合された粒子または他の形状には、先端自体が確実に無菌状態を保つためのある程度の防腐剤が含有され得る。先端に事前添加された防腐剤は、吸着を介して添加され得るか、または接着剤を通じて材料に化学的に付着される。例えば、ポリクオタニウムは、粒子を形成するポリマーに統合され得る。共有結合により、事前添加された防腐剤の涙液膜への拡散を防ぐであろう。代替的に、事前添加された防腐剤は、分子量が十分に大きいか、または溶出製剤への分配が非常に低い可能性がある。
【0071】
防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子プラグが溶出製剤に成分を追加することを意図している場合、粒子プラグ内のその材料の量は、ボトル全体、またはボトルの少なくとも90%について維持する十分な量があることを確保するために十分に大きいであろう。防腐剤除去化合物または防腐剤不活性化化合物を含む粒子プラグが溶出製剤から成分を隔離することを意図している場合、粒子プラグの体積および面積は、ボトル内の製剤の少なくとも90%から所望の成分を隔離するために十分大きいであろう。
【0072】
本開示は、治療薬および防腐剤のうちのいずれか一方または両方の塩を提供する。薬学的に許容可能な塩には、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩を形成するために化合物に追加される酸は、有機酸または無機酸であり得る。塩基付加塩を形成するために化合物に追加される塩基は、有機塩基または無機塩基であり得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、金属塩である。
【0073】
金属塩は、本開示の化合物への無機塩基の添加から生じ得る。無機塩基は、例えば、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、またはリン酸塩などの塩基性対イオンと対になった金属カチオンからなる。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、または主族金属であり得る。いくつかの実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウム、または亜鉛である。
【0074】
いくつかの実施形態では、金属塩は、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩、または亜鉛塩である。
【0075】
酸付加塩は、本開示の化合物への酸の添加から生じ得る。いくつかの実施形態では、酸は、有機物である。いくつかの実施形態では、酸は、無機物である。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、またはマレイン酸である。
【0076】
いくつかの実施形態では、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、またはマレイン酸塩である。
【0077】
本明細書に記載の方法および製剤は、非晶質形態ならびに結晶形態(多形体としても知られる)の使用を含む。同じ種類の活性を有する本開示の化合物のうちのいずれか1つの化合物の活性代謝物または塩は、本開示の範囲に含まれる。加えて、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒との非溶媒和形態ならびに溶媒和形態で存在し得る。本明細書に提示される化合物および塩の溶媒和形態も、本明細書に開示されるものとみなされる。
【0078】
化合物は、従来の技術を使用して合成することができる。有益なことに、これらの化合物は、容易に入手可能な出発物質から便利に合成される。本明細書に記載の化合物の合成に有用な合成化学変換および方法論は、当該技術分野で知られている。
【0079】
溶液、乳液、または懸濁液
治療薬および防腐剤の溶液、乳液、または懸濁液を本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、本開示の防腐剤および/または治療薬のうちのいずれか一方の任意の化合物または塩の治療的に有効な量を含む組成物を本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、治療溶液、乳液、または懸濁液は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかで使用され得る。溶液、乳液、または懸濁液は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、防腐剤および/または治療薬の化合物は、ドライアイ、細菌感染、緑内障、高血圧、炎症、アレルギー性結膜炎、まつげの減毛症、真菌感染などの治療障害の治療のために使用され得る。追加的または代替的に、防腐剤および/または治療剤の化合物は、予防的、診断的、または治療的眼科処置、例えば、局所麻酔、瞳孔拡張などの間に使用されてもよい。眼に投与される製剤は、例えば点眼薬で局所的に投与され得る。
【0081】
本明細書に記載の治療薬の化合物は、例えば、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMの濃度で本開示の溶液、乳液、または懸濁液中に存在し得る。本明細書に記載の治療薬の化合物は、濃度範囲内の溶液、乳液、または懸濁液中に存在する場合があり、その範囲は、前述の濃度のうちのいずれかから選択される上限値および下限値によって定義される。例えば、本開示の治療薬の化合物または塩は、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、または約20mM~約30mMの濃度で溶液、乳液、または懸濁液中に存在し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、乳液、または懸濁液は、本明細書に開示の防腐剤のうちのいずれか1つの化合物の約0.001重量%~約0.3重量%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の水溶液などの溶液、乳液、または懸濁液は、本明細書に記載の防腐剤の化合物の約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%を含む。
【0083】
本明細書に記載の防腐剤は、例えば、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、約60μM、約70μM、約80μM、約90μM、約100μM、約150μM、約200μM、約250μM、約300μM、約350μM、約400μM、約450μM、約500μM、約550μM、約600μM、約650μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mMの濃度で本開示の溶液、乳液、または懸濁液中に存在し得る。本明細書に記載の防腐剤の化合物は、濃度範囲内の組成物中に存在する場合があり、その範囲は、前述の濃度のうちのいずれかから選択される上限値および下限値によって定義される。例えば、本開示の防腐剤の化合物は、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、または約20mM~約30mMの濃度で溶液、乳液、または懸濁液中に存在し得る。
【0084】
本開示の溶液、乳液、または懸濁液は、任意の好適なpHで製剤化することができる。いくつかの実施形態では、溶液乳液または懸濁液のpHは、約4、約4.05、約4.1、約4.15、約4.2、約4.25、約4.3、約4.35、約4.4、約4.45、約4.5、約4.55、約4.6、約4.65、約4.7、約4.75、約4.8、約4.85、約4.9、約4.95、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9pH単位である。いくつかの実施形態では、溶液、乳液、または懸濁液のpHは、約4~約10、約5~約9、約6~約8、約6.5~約8、約7~約8、約7.2~約8、約7.2~約7.8、約7.3~約7.5、または約7.35~約7.45である。いくつかの実施形態では、溶液、乳液、または懸濁液のpHは、約7.4である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳液、または懸濁液は、医薬品の薬学的に使用される調製物への加工を促進する賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に許容可能な担体をさらに含む。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0086】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤への賦形剤の添加は、組成物の粘度を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加または減少させ得る。いくつかの実施形態では、本開示の医薬製剤への賦形剤の添加は、組成物の粘度を、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、または99%以下増加または減少させ得る。粘度の変化が該当する範囲の例は、前述のパーセンテージのうちのいずれか2つを組み合わせて作成し得る。例えば、賦形剤の添加は、組成物の粘度を、5%~99%、10%~95%、20%~70%、または35%~55%増加または減少させ得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳液、または懸濁液は、溶液、乳液、または懸濁液の浸透圧を調節するための薬剤、例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、デキストロース、塩化カリウム、グリセリン、プロピレングリコール、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムをさらに含む。いくつかの実施形態では、溶液、乳液、または懸濁液は、溶液、乳液、または懸濁液の浸透圧を調節するための薬剤の約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、または約1重量%~約3重量%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の溶液、乳液、または懸濁液は、約10mOsm~約1000mOsm、約100mOsm~約700mOsm、約200mOsm~約400mOsm、約250mOsm~約350mOsm、またはさらには約290mOsm~約310mOsmの浸透圧を有する。
【0088】
本開示の溶液、乳液、または懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量または体積あたり、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%であり得る。溶液、乳液、または懸濁液中の賦形剤の量は、単位剤形の質量または体積あたり、0.01%~1000%、0.02%~500%、0.1%~100%、1%~50%、0.01%~1%、1%~10%、10%~100%、50%~150%、100%~500%、または500%~1000%であり得る。
【0089】
本開示の医薬製剤中の賦形剤に対する本開示の治療薬の化合物の比率は、約100:約1、約95:約1、約90:約1、約85:約1、約80:約1、約75:約1、約70:約1、約65:約1、約60:約1、約55:約1、約50:約1、約45:約1、約40:約1、約35:約1、約30:約1、約25:約1、約20:約1、約15:約1、約10:約1、約9:約1、約8:約1、約7:約1、約6:約1、約5:約1、約4:約1、約3:約1、約2:約1、約1:約1、約1:約2、約1:約3、約1:約4、約1:約5、約1:約6、約1:約7、約1:約8、約1:約9、または約1:約10であり得る。本開示の溶液、乳液、または懸濁液中の賦形剤に対する治療薬の化合物の比率は、約100:約1~約1~約10、約10:約1~約1:約1、約5:約1~約2:約1の範囲内であり得る。
【0090】
薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野でよく知られており、例えば、水もしくは生理学的緩衝生理食塩水などの水溶液、またはグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油、もしくは有機エステルなどの他の溶媒もしくはビヒクルが含まれる。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出に影響を与えるか、または1つ以上の細胞、組織、もしくは器官を選択的に標的とするために選択することができる。組成物は、点眼薬などの局所投与に好適な溶液中に存在することもできる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される溶液乳液または懸濁液は、賦形剤としてアルコールを含む。アルコールの非限定的な例には、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、クロロブタノール、イソプロパノール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ガラクチロール、フシトール、ラクチトール、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0092】
本明細書に記載の化合物を含む組成物の調製のための方法は、1つ以上の不活性な薬学的に許容可能な賦形剤で化合物を製剤化することを含み得る。液体組成物には、例えば、化合物が溶解される溶液、化合物を含む乳液、または本明細書に開示される化合物を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含有する溶液が含まれる。これらの組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および他の薬学的に許容可能な添加剤などの少量の非毒性補助物質も含有され得る。
【実施例】
【0093】
親水性薬物
粒子マトリクスのAPIおよびBAKの分配係数
p-HEMA、p-HEMA/メタクリル酸t-ブチル、およびp-HEMA/TRIS/メタクリル酸t-ブチルの粒子における親水性薬物およびBAKの分配係数は、薬物取り込み研究によって得られた。p-HEMAヒドロゲルマトリクスに分配された薬物またはBAKの質量は、濃縮水性薬物/PBSまたはBAK/PBS添加溶液において失われた薬物またはBAKの量を監視することにより決定された。濃縮水相からの薬物損失の量は、広いスペクトル範囲でのUV-Vis分光光度法を使用した時間依存吸収測定によって定量化された。
図7は、n=1の平均±SDとしてプロットされた取り込みデータで試験された3つの濃度についての2.5mLの水性BAK/PBS溶液のレンズの体積を有する0.5mg/ml~2mg/mlの範囲のBAK/PBS濃度取り込みのための実験室製の厚さ100μmのp-HEMAヒドロゲル中の塩化ベンザルコニウム(BAK)/PBS水溶液の取り込みプロファイルのプロットである。p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を用いた分配係数研究のために使用されたBAKの初期添加濃度は、0.1mg/mlであり、258nmで記録されたUVスペクトルの吸光度は、約0.1であった。
【0094】
ペンダント滴下テンシオメトリーを介して測定された時間依存平衡界面張力を使用して、濃縮水相からのBAK損失量を定量化することができる。懸濁製剤の平衡界面張力および動的界面張力を記録するために、添加溶液をバイアルから抜き取った。動的界面張力測定の期間が経過した後、添加溶液を置換した。システムが平衡に到達するまで、同様の測定を添加溶液の連続バッチに対して定期的に繰り返した。添加溶液中のBAKの動的濃度は、定常状態のラングミュア吸着等温線に基づいて計算された。
【0095】
すべての界面張力測定は、約25℃の室温で行われた。粒子マトリクス内の薬物またはBAK溶液の分配係数は、
によって与えられ、
式中、V
wおよびV
pは、それぞれ薬物-PBS/BAK-PBS水溶液の体積および粒子マトリクスの体積であり、C
p,fおよびC
w,fは、平衡状態の粒子マトリクスおよび水相における薬物またはBAKの濃度を示し、C
w,iiは、薬物またはBAK添加溶液の初期濃度を表す。UVスペクトルおよび界面張力測定の両方によって推定されたp-HEMAゲルおよび粒子の両方における計算されたBAKの分配係数>400は、フィルタ材料としてのp-HEMAの見込みを示した。さらに、p-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子における計算されたBAK分配係数322.94は、広範囲の親水性薬物に適合するフィルタ材料の見込みを示した。表1は、厚さ100μmのp-HEMAヒドロゲルにおけるBAKの計算された分配係数の概要を提供する。
【0096】
(表1)実験室製のp-HEMAゲルにおけるBAK添加実験の概要。BAK/PBS濃縮溶液を添加するごとに1回の実験を行った場合のデータを示す。
a添加持続時間は、平衡状態での累積薬物取り込みの90%に到達するまでの時間として定義される。
bレンズが、0.5mg/mL、1mg/mL、および1.94mg/mLの2.5mL BAK/PBS溶液に浸されたときにレンズに添加された薬物の量。
bおおよそのゲル密度が1g/cc(約30μL)のレンズの測定された質量に基づいて計算されたBAKの分配係数。ゲルの体積に対する添加溶液の体積の比率は、約83.33である。
【0097】
p-HEMAおよびp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスにおけるBAKの分配係数は、取り込み研究により得られた。12.5mgの合成、洗浄、および乾燥されたp-HEMAおよびp-HEMA/TBM粒子マトリクスを、HEMAおよびTBMの異なる体積分率で、0.5~1mg/mlの範囲のBAK濃度を有するBAK/PBS添加溶液に浸した。p-HEMAおよびp-HEMA/TBM粒子マトリクスに分配されたBAKの質量は、濃縮水性BAK/PBS添加溶液で失われたBAKの量を監視することによって決定された。濃縮水相から失われたBAKの量は、190~500nmの波長範囲にわたって、UV-Vis分光光度法(GenesysTM 10 UV,Thermo Spectronic,Rochester,NY,USA)を使用した時間依存吸収測定によって定量化された。システムが平衡に到達するまで、同様の測定を添加溶液の連続バッチに対して定期的に繰り返した。
【0098】
UVスペクトル測定によって推定されるp-HEMA粒子中のBAKの>400の計算された分配係数は、フィルタ材料としてのp-HEMAの見込みを示した。さらに、p-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子(
図24B)中の158の計算されたBAK分配係数は、幅広い親水性薬物に適合するフィルタ材料の見込みを示した。
図24Aは、p-HEMAおよびp-HEMA/TBM粒子マトリクスについての実験的取り込みデータから計算されたBAKの分配係数を要約している。
【0099】
試験された親水性薬物(マレイン酸チモロール、レボフロキサシン、ドルゾラミド、酒石酸ブリモニジン、コンビガン、および市販のVisine点眼薬)の分配係数は、試験における粒子体積が小さすぎて平衡化中の濃度の測定可能な減少を引き起こさなかったため、このアプローチによって測定するためには低すぎた。代替策として、これらの粒子マトリクスにおける分配係数のおおよその推定値を得るために、点眼ボトル上に取り付けられた先端内の医薬品有効成分(API)の取り込みを使用した。フィルタプラグ内の粒子と、最初の液滴を投与した後のプラグに同伴された液滴との間の体積比は、約1:1である。したがって、先端が薬物溶液で満たされ、十分長い時間阻害されない場合、製剤中の薬物の濃度は、薬物の粒子への吸収および吸着に起因して減少する可能性がある。平衡後に液滴が先端から絞り出される場合、滴中の薬物の濃度を使用して分配係数を決定することができる。
【0100】
物質輸送特性の推定は、防腐剤の除去プロセスに関する洞察を得るのに有益であり得る。BAKの拡散率は、粒子マトリクス内でのその平衡化を管理し、その後に投与される液滴における>95%のBAK除去に不可欠な待機時間の推定値を与える。異なる組成のふるいにかけられたHEMA/TBM粒子マトリクスの平均直径は、94μmであった。粒子マトリクスへの溶質拡散(BAK輸送)は、半径方向に沿った一次元の輸送であると仮定された。これらの粒子マトリクスにおけるBAKの一次元放射状拡散の仮定を実証するために、防腐剤取り込みプロファイルを、時間の平方根の関数としてBAK取り込み%としてプロットした。拡散制御輸送では、HEMA/TBM粒子中のBAK取り込みの最初の40%で、時間の平方根に対す防腐剤取り込み%の線形依存性が、このような輸送の特性的特徴であった。
【0101】
BAK拡散率のより正確な推定値は、実験的なBAK取り込みデータを不完全な浸透条件下での過渡拡散モデルに適合させることによって得られた。これらのポリマー化されたヒドロゲル材料を通した溶質の輸送は、ゲルの膨張、バルク、および表面拡散を通じて生じた。モデルの単純さを維持するために、フィルタ材料を介した防腐剤の拡散は純粋にフィック型であると仮定した。BAKの拡散率、D
g、および分配係数KがBAKの濃度に依存しないと仮定すると、半径方向における輸送は、以下のように記載することができる:
式中、C
gは、HEMA/TBM粒子マトリクスのBAK濃度である。粒子マトリクス内の拡散についての境界および初期条件は、
である。
【0102】
境界条件(3)は、粒子マトリクスの対称性から生じ、(4)における境界条件は、ゲルマトリクス中の防腐剤の濃度と、バイアル内の水性BAK溶液に存在する周囲の製剤との間の平衡を仮定する。シンチレーションバイアル中の水性BAKリザーバに対するマスバランスは、以下の式をもたらす:
式中、V
wは、濃度が1mg/mLの水性リザーバ内のBAK/PBS溶液の体積である。モデル化された拡散方程式は、MATLAB内の有限差分スキームを使用して解かれ、BAK拡散率および分配係数は、異なるp-HEMA/TBM組成についての実験的なBAK取り込みデータをモデルに適合させた曲線、およびfminsearchモジュールを通じた最適化によって決定される。取り込みデータとモデルとの間の合理的な適合は、提案されたモデルの妥当性を示している。すべてのHEMA/TBM粒子の組成について、HEMA画分の増加に伴い減少傾向を示す(図示せず)粒子マトリクス内のBAK拡散率と比較して、これらの粒子内のモノマー組成によるBAKの有効拡散率の観測可能な傾向はないことが観察される(
図24D)。
図24C)に示される粒子マトリクス内の20時間のBAK平衡は、医薬品の連続した液滴を投与する前のフィルタ床内でのBAKの再分布について、1日の待ち時間が有利であることを示す。
【0103】
防腐剤の除去および薬物の取り込みの研究-実験室製および市販のマレイン酸チモロール/PBS製剤
チモロールなしの水相が、製剤からのBAKの除去を検証する水性チモロール/BAK溶液の界面表面張力の増加を示すため、除去されたBAKの割合とともに14日間毎日監視される0.01%(100ppm)のBAKを含有するフィルタ処理された0.5%のチモロール製剤の平衡界面表面張力は、測定された表面張力および0.01%のBAK/PBSで実行された同等の実験によって決定される。0.01%のBAK較正溶液の界面張力値およびフィルタ処理された製剤における著しい違いは、投与されるフィルタ処理されたアリコート中のBAK濃度の少なくとも1以上の対数減少を示しており、これは、p-HEMA粒子マトリクスへのBAKの高い分配係数を示している。各実験では、事前充填されたプラグが付いた点眼薬フィルタボトルから投与される0.5mlのチモロール/BAK溶液を、30日間毎日繰り返される手順で表面張力測定のために使用する。
【0104】
%のBAK除去推定値の精度を高めるために、約0.1gのp-HEMAフィルタを有するコントロールフィルタを通して押される0.5mlのPBS溶液の単一バッチの平衡表面張力を記録した。純粋なPBS溶液と、p-HEMA粒子を充填したフィルタからPBSを投与されたPBSとの間の測定された平衡表面張力推定値の違いは、粒子マトリクスから不純物が浸出したことを示唆している。この違いを説明するために、充填された粒子を含むフィルタから投与されたPBSの平衡表面張力が、薬物製剤からの%のBAK除去の評価の基準として採用されている。1日の待機期間は、眼内経路を通した液滴投与のシミュレーションと見なされた。選択的な防腐剤の除去および薬物の取り込みの観点から、粒子相内で吸収されたBAKおよび薬物の再分配を可能にするために、24時間の待機時間が好ましかった。
【0105】
拡散はBAKおよび薬物の粒子マトリクスへの吸収速度を制限するため、水性製剤から粒子相への拡散の時間スケールを推定して、質量移動境界層の成長を可能にし、粒子マトリクス内での再分配を確保することが潜在的に有利である。さらに、待機期間の時間スケールが拡散時間よりも大幅に低く保たれている場合、不完全な境界層の成長に起因して、粒子相の界面付近にBAKが蓄積する可能性がある。待機時間が短くなる可能性のある結果は、製剤バッチの連続溶出に対する防腐剤の画分除去の減少である可能性がある。この待機期間t
d中の粒子内の質量移動境界層の厚さは、
としてスケーリングすることができ、式中、D
gは、粒子中のBAKの拡散率である。平均サイズが1mmの粒子におけるBAKの拡散率D
gの控えめな推定値は、1×10
-13m
2/sよりも大きいと決定される。この境界層で取り込まれるBAKの質量は、
として近似することができ、式中、Kは、分配係数であり、C
0は、製剤中のBAK濃度であり、Sは、充填床内の粒子の総表面積である。表面積Sは、以下のように近似することができる:
式中、
は、それぞれ粒子および充填床の体積の体積分率である。選択的なBAK除去の高い効能を達成するために、境界層内の防腐剤の質量は、投与された各液滴内の質量よりも大きい場合がある。したがって、溶出時間t
dに対する制約は、
であり、式中、V
液滴=30μLは、液滴の体積である。溶出時間についての閾値は、約0.16秒であると決定され、その大きさは液滴の作成のために必要な4秒の持続時間よりも小さくなる。BAK除去の程度は、フィルタ処理された溶液の最初のバッチ(0.5mL)については略98.5%であり、その後に測定されたバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面の表面張力測定は、0.5mlのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の30よりも大きい連続バッチから、95%よりも大きいBAKが選択的に除去されたことを示しており、したがってBAKを含むp-HEMA粒子の飽和の兆候を示していない。この分析は、BAKの所望の除去を達成するためのフィルタ先端を設計するためのガイドである。
【0106】
小さな粒子は、BAKをより効果的に除去するのために有益であり得る。これは、表面積がより大きいことと、BAKが粒子の中心に拡散するために必要な時間がより短いことに起因する。しかしながら、理論に制限されないが、小さな粒子は、低い水力学的透過性をもたらす可能性があり、これにより、水滴を絞り出すのに必要な圧力低下が増加する。0.1mm~10mmのサイズ範囲の多孔質粒子は、水力学的透過性を高く保ちながら利用可能な領域を増やすことによって、両方の目的を満たすことができる。同様に、より小さな粒子の凝集体である0.1mm~10mmのサイズの粒子は、凝集体粒子全体への迅速な拡散を可能にしながら、高い水力学的透過性を可能にし得る。多孔質粒子またはより小さな粒子の凝集体である粒子を使用してデバイスを設計することが好ましい場合がある。
【0107】
Sandoz Inc.製の市販の10mLのマレイン酸チモロール点眼液についてのBAK除去率を評価した。市販の製剤中のマレイン酸チモロールおよびBAKの濃度は、それぞれ、0.5%および0.01%であった。フィルタ処理された市販のマレイン酸チモロール溶液の最初のバッチを投与する前に、プラグ内に約0.1gのp-HEMA粒子を充填した市販のフィルタボトルを、2週間反転させて、粒子を薬物製剤と事前に平衡化させた。このプロトコルに従って、同じ薬物製剤でチモロールを飽和させることによって、p-HEMA粒子によるチモロールの取り込みを減少させる。界面張力の測定は、24時間の待機時間で0.5mLのフィルタ処理された市販のマレイン酸チモロール製剤の連続バッチに対して行われた。BAKの除去%データは、実験室製の製剤についての測定値と一致している。BAK除去の効率は、フィルタ処理されたチモロール溶液(0.5mL)の最初のバッチについては略98.06%であり、その後に測定されたバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面の表面張力測定の結果は、0.5mlのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の16よりも大きい連続バッチからの96%の選択的なBAK除去を検証している。
【0108】
p-HEMA粒子系は、BAK除去の高い効能を示すが、液滴ベースの薬物取り込みは、これらの粒子におけるチモロール取り込みが、試験された2番目の液滴について58%と高いことを示している。また、薬剤の除去は、1日目と比較して2日目の方がより高いことが注目される。1日目の液滴が絞り出されると、新鮮な製剤が充填床を通って流れ、薬物がフィルタ材料に分配される。通過時間が短いことに起因して、溶出液滴の濃度は粒子の濃度と平衡状態にない。最初の液滴が滴下され、液滴を絞るためにボトルに加えられた圧力が取り除かれた後、ボトル内の真空が、液体をボトルに吸い戻す。しかしながら、ボトル内の真空が解放されるまで、ボトルへの液体の戻りは完了しない。したがって、粒子湿潤製剤からの残留薬物は、時間とともに粒子内に拡散する。したがって、2回目の液滴中の液体の大部分は、粒子で平衡化された充填床から来ており、薬物濃度は、最初の液滴中の薬物よりも低い。1回目および2回目の滴下中に待機期間がなかった場合、例えば、患者がそれぞれの眼に液滴を滴下した場合、3回目の滴下は、おそらく薬物濃度が最も低い液滴になるであろう。製剤が粒子と平衡化する場合、最終濃度は、1/(1+K*(1-ε)/ε)になり、式中、εは、平衡化中のプラグ内の液体画分であり、Kは、プラグの材料内の薬物の分配係数である。約50%の空隙率の場合、平衡化後の溶出液滴に対する薬物濃度Iの比率は、1/(1+K)になり得る。そのため、出口濃度が製剤濃度の2%以内になることを目標とする場合、Kの値は、<0.02になり得る。出口濃度が製剤濃度の5%以内になることを目標とする場合、Kの値は、<0.05になり得る。同様に、出口濃度が製剤濃度の10%以内になることを目標とする場合、Kの値は、<0.11になり得る。さらに、この分配係数は、プラグを構成するポリマー上で吸着される薬物の部分を表すことに留意されたい。材料のいかなる膨張も、薬物が水性部分とともにプラグ材料に入ることにもつながる可能性があるが、そのような取り込みは、プラグの液体部分内の外側の濃度の低下をもたらさない可能性がある。この特定の例では、2回目の滴下後の後続のサンプルは、薬物濃度の緩やかな増加を示し、最終的には、約15日後には無視できるほどの薬物除去に到達する。初期投与量について一貫した薬物濃度を確立するために、薬物を粒子に拡散させ、略薬物飽和を達成することができる、例えば、限定されないが、2週間などの十分な期間、粒子プラグ先端のあるボトルを反転させ得る。粒子マトリクスを対象となる薬物で飽和させるためのチモロール/BAK製剤による事前平衡化の手順により、BAK除去の高い効能を損なうことなく、後続の用量での無視できる取り込みが可能になる。
【0109】
チモロールおよびBAKのp-HEMA粒子マトリクスへの分配係数の大きな不均衡に起因して、効果的なアプローチは、親水性ポリマープラグへの薬物の飽和を伴う。粒子マトリクス内のチモロールの拡散の時間スケールに基づいて、2週間の事前平衡化のための期間が選択された。粒子相内の1×10-13m2/秒の閾値チモロール拡散率に基づいて、1mmの平均サイズの粒子内の薬物拡散の時間スケールは、約11日間であると決定される。事前に平衡化された粒子によるチモロールの取り込みは低く、試験された最初の液滴のチモロール取り込み量は、0.65%であった。フィルタ処理されたチモロール/PBS製剤の4滴目(0.5%)の後、チモロールの取り込み量は無視することができ、これは、薬物溶液によるp-HEMA粒子の飽和を示す。UVスペクトル測定により、実験室製の製剤について事前平衡化されたp-HEMA粒子による4%の低いチモロール取り込みが検証された。Sandoz Inc.製の市販の10mLのマレイン酸チモロール点眼液について、p-HEMA粒子によるチモロール取り込み%を評価した。市販の製剤中のマレイン酸チモロールおよびBAKの濃度は、それぞれ、0.5%および0.01%であった。フィルタ処理された市販のチモロール溶液の最初の液滴を投与する前に、プラグ内に約0.1gのp-HEMA粒子を充填した市販のフィルタボトルを、2週間反転させて、薬物製剤との粒子の事前平衡化を可能にした。事前に平衡化されたp-HEMA粒子によるチモロールの取り込み量は、試験された最初の液滴については22%と高かったが、試験された後続の製剤液滴は、粒子によるチモロールの取り込みの減少を示し、チモロールの取り込みは、試験された3回目の液滴については0.1%であり、薬物溶液によるp-HEMA粒子の飽和を示す、フィルタ処理された市販のチモロール/PBS製剤(0.5%)の4回目の滴下後に無視することができる取り込みであった。残念ながら、複数の製剤投与量を送達する前に薬物製剤とp-HEMA粒子を事前に平衡化するチモロール薬物によるBAK除去の高い選択性は、p-HEMA粒子系と対象となる薬物の事前平衡化を必要とする場合がある。長期にわたる事前平衡化は、薬物溶液製造において望ましくない場合がある。
【0110】
本開示の実施形態によると、薬物の有意な取り込みを妨げるために、少なくとも1種の疎水性モノマーを含むように粒子が製剤化された。様々な治療手順のために様々な対象が使用する親水性点眼薬製剤のシステムに対応する粒子が必要である。この目的を達成するために、p-HEMA粒子の調製のために使用されるバッチの組成をさらに変更することなく、疎水性モノマーであるメタクリル酸t-ブチルが、HEMAとともにモノマー混合物に追加され、モノマー混合物におけるメタクリル酸tert-ブチルおよびHEMAの比率を調節して薬物の取り込みを最小限に抑え、また高いBAK除去率を得るために使用されるシステムの高い分配係数を保持する。
【0111】
本開示の実施形態による粒子は、例えば、25(v/v%)のHEMAモノマーおよび75(v/v%)のメタクリル酸tert-ブチルモノマーのバッチをUV硬化することによって合成することができる。
図8は、0.5mlのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の複数のバッチからのBAKの画分の除去を示す。BAK除去%のデータは、本開示の一実施形態による、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が、眼用製剤からの防腐剤の選択的な除去のためのそれらのp-HEMA対応物と同じくらい効率的であることを示す。
【0112】
BAKの除去%の測定の精度を高めるために、PBS溶液の平衡表面張力を、フィルタ処理された薬物製剤の表面張力測定値とともに、約0.070gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチルフィルタを有するコントロールフィルタに押し通す。純粋なPBS溶液とp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を充填したフィルタから投与されたPBSとの間の平衡表面張力の測定値の差は、粒子マトリクスから溶出された不純物に起因し得る。それゆえ、充填された粒子を有するフィルタから投与されたPBSの表面張力は、薬物製剤からのBAKの除去%の評価の基準として使用される。BAK除去の程度は、フィルタ処理された溶液(0.5mL)に対する4番目のアリコートについては略98.04%であり、測定された後続のバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面の表面張力測定の結果は、0.5mlのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の14よりも大きい連続アリコートからの96%の選択的なBAK除去を示しており、これは、本開示の実施形態による粒子が、市販の点眼フィルタボトルに統合され得ることを示している。
【0113】
図9は、本開示の実施形態による、約0.07gのp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子を充填したフィルタプラグによる約30μLのフィルタ処理されたチモロール製剤からの割合としてのチモロール取り込みの程度のプロットである。これらの粒子によるチモロールの取り込みの程度は、試験された累積フィルタ処理アリコート(15液滴~0.45ml)について無視することができた。UVスペクトル測定では、フィルタ処理された薬物製剤中のチモロールの>99%の保持の存在が示され、15日間にわたって毎日15滴を超えるアリコートが除去された場合に、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子による取り込みの兆候は示されなかった。
【0114】
図26Aは、0.01重量%(100ppm)のBAKを含有する、フィルタ処理された0.5重量%のチモロール製剤の測定された平衡界面表面張力を使用することによって決定されるBAKの除去%を示す。0.5mlのフィルタ処理された製剤の14バッチを、毎日連続して監視した。水相として0.01重量%のBAK/PBSを用いて、同様の実験を行った(チモロールなし-データは示さず)。予想どおり、フィルタ処理された製剤の測定結果は、製剤からのBAKの除去を検証する水性チモロール/BAK溶液の界面表面張力の増加を示している。0.01重量%のBAK較正溶液およびフィルタ処理された製剤の界面張力値の著しい差は、投与されるフィルタ処理されたアリコートのBAK濃度の少なくとも1以上の対数減少を示し、p-HEMA粒子マトリクスにおけるBAKの高い分配係数を検証する。
【0115】
図26Bは、フィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の複数の0.5mLのバッチから除去されたBAKの対応する割合を示す。BAK除去%のデータは、p-HEMA粒子が眼用製剤からの防腐剤の選択的な除去の候補であることを示している。BAKの除去率は、フィルタ処理された溶液の最初のバッチ(0.5mL)については略98.5%であり、測定された後続のバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面の表面張力の測定は、0.5mLのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の30よりも大きい連続したバッチから、95%以上のBAKが選択的に除去されたことを示しており(14日間のデータを示している)、したがってBAKを有するp-HEMA粒子の飽和の兆候を示していない。実験室製の製剤のためのp-HEMA粒子によるBAK除去の高い効能を検証する界面張力測定により、次のアプローチは、市場で入手可能な市販のチモロール製剤についても同じことを実証することであった。BAKの除去%のデータは、実験室製の製剤に対する測定値と一致した(
図26A)。この結果は、眼科製剤からのBAKの選択的な除去についての高い性能をさらに検証し、p-HEMA粒子を既存の複数用量の市販の点眼ボトルに容易に統合することができることを実証している。
図26Bは、チモロール+BAK製剤がフィルタ処理されたときに溶出液滴から除去された薬物の%を示す。p-HEMA粒子系は、BAK除去の高い効能を示しているが、
図26Bに提示された液滴ベースの薬物取り込み研究では、これらの粒子中のチモロールの取り込み率は、試験された2番目の液滴については58%と高いことが示されている。また、1日目と比較して、2日目の薬物除去率がより高いことも注目される。1日目の液滴が絞り出されると、新鮮な製剤が充填床を通って流れ、薬物がフィルタ材料に分配される。通過時間が短いことに起因して、溶出液滴の濃度は粒子の濃度と平衡状態にない。最初の液滴が滴下され、液滴を絞るためにボトルに加えられた圧力が取り除かれた後、充填床内の液体が吸い戻される可能性があるため、ボトル内に真空がある。しかしながら、空気チャネルが真空の解放を形成することを可能にし得る大きなチャネルのみから液体が吸い戻され得る可能性が高い。したがって、1回目および2回目の液滴間の24時間で、充填床内の製剤からの薬物は、粒子内に拡散し続ける。2回目の液滴が滴下されると、その液滴中の液体の大部分が、粒子で平衡化された充填床から来ているため、薬物濃度は、1回目の液滴よりも低くなる。後続のサンプルでは、薬物濃度の緩やかな増加が示され、約15日後には最終的に薬物除去は無視することができる程度に到達する。我々の設計は、BAK除去の高い効能を示したが、複数の製剤投与量を提供する前に、p-HEMA粒子を薬物製剤で事前に平衡化するという欠点に対処することが不可欠であった。対象となる薬物でp-HEMA粒子系を事前に平衡化することは、薬物の高い取り込みの問題に対処するが、製造において2週間以上の長い事前平衡化期間は、望ましくない場合がある。さらに、眼科製剤に関する厳格なFDAガイドラインは、液滴ベースによる液滴に対する薬物損失を<0.1%に制限している。この問題を解決するために採用されたアプローチは、薬物の著しい取り込みを回避するために、追加の疎水性モノマーで粒子系を製剤することであった。この技術は、BAK除去の有効性を損なうことなく、粒子の事前平衡化の追加の手順を排除することができる。TBMが疎水性モノマーとして選択され、HEMA/TBMの異なる組成が調製された。
【0116】
図26Cおよび
図26Dは、p-HEMA(25%)/TBM(75%)を充填したフィルタによるBAKの除去%および対応するチモロールの取り込みを示す。BAKの除去率は影響を受けず、フィルタ処理された溶液(0.5mL)の4番目のバッチについては略98.04%であり、測定された後続のバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面表面張力測定の結果は、0.5mLのフィルタ処理されたチモロール/BAK製剤の14よりも大きい連続バッチからの96%の選択的なBAK除去を検証し、市販の点眼フィルタボトルに統合され得る効率的な設計の見込みを示している。粒子系は、追加の洗浄のために10mLのPBSパスによって水和されていないことに留意するべきである。投与された2回目の液滴において、10%の薬物が認められた。0.5gのp-HEMA粒子マトリクスの6バッチに、0.3mg/mL~2mg/mLの範囲のBAK濃度、すなわち、市販の製剤におけるBAKの規制濃度限界より3~10倍高いBAK濃度を事前添加した。これらの粒子における分配係数推定のために記録された動的濃度データに基づく、0.02mg/mlのBAK/PBS溶液媒体中にp-HEMA粒子マトリクスを浸すために割り当てられた48時間の事前平衡期間。この技術は、BAKと、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスに添加されたカチオン性界面活性剤と、PBS中のチモロールおよびブリモニジンなどの親水性薬物製剤との間の電荷-電荷反発の推測に基づいて提案され、その電荷は、7.4の生理学的pHで陽性である。粒子表面近くに存在する事前添加されたBAKは、チモロールおよびブリモニジン製剤の潜在的なスクリーニングの一員となり、それによって薬物取り込みを低減する。分配係数が>100である粒子系の場合、式1は、以下のように近似することができる:
。
【0117】
平衡状態の水相中のBAKの質量は、高いBAK分配係数を有する粒子系については無視することができるため、この近似は有効である。濃縮BAK添加溶液とp-HEMA/tert-ブチル粒子マトリクスとの間の体積比は、選択的な防腐剤除去または薬物取り込み研究のために用いる前に粒子をBAKで事前添加する手順にとって潜在的に有利である。p-HEMA粒子の計算された分配係数は約400であるため、この単純かつ効果的な事前添加手順を実装することができ、事前添加されたp-HEMA粒子マトリクスによるBAK除去の高い効能を損なわない。式14によって与えられる単純な近似に基づいて、粒子密度が約1g/ccであると仮定して、平衡化するまで0.02mg/mLのBAK/PBS溶液15mLに浸した1gのp-HEMA粒子は、これらの粒子において0.3mL/mLのBAK事前添加を(すなわち、市販の製剤中のBAKの規制濃度限界の3倍)もたらすであろう。同様のプロトコルを採用して、BAK添加溶液の濃度を0.02mg/mLに固定し、添加溶液および粒子の体積比を変更することによって、粒子をより高濃度のBAKで事前添加した。25/75のp-HEMA/TBMのBAK事前添加粒子は、フィルタ材料のBAK除去性能を全く損なうことなく、チモロールの取り込みが<4%であることを示している(
図26E)。チモロールの取り込みも、合成された粒子マトリクス中のHEMAの画分%の関数として定量化された(
図26F)。BAKは、粒子マトリクス中のHEMA画分とより優先的に結合することが観察されている。チモロールのための製剤の概要を表2に要約する。
【0118】
【0119】
防腐剤の除去および薬物取り込み研究-レボフロキサシン、ドルゾラミド、およびブリモニジン製剤
レボフロキサシンは、眼の手術後の感染を制御するための術前および術後の医薬品として処方される経口フルオロキノロンおよび抗菌剤である。塩酸ドルゾラミドは、高眼圧または開放隅角緑内障を有する患者が使用するために処方されるヒト炭酸脱水酵素アイソザイムの強力な水溶性阻害剤である。房水の流入を減少させることによって抗緑内障剤として作用し、それによってIOPを低下させ、網膜および視神経への血流を改善する。臨床研究では、市販のレボフロキサシンおよびドルゾラミドの両方の医薬品の安全性および忍容性のプロファイルが実証されているが、末梢神経損傷、重度の眼刺激、光感受性の強化に起因する視覚的な不快感を含む一般的な副作用の発生が報告されている。PRK手術は、角膜の再上皮化を高速化するために、患者が包帯コンタクトレンズ(BCL)を受け取る屈折手術である。PRK患者は、レボフロキサシンを医薬品として処方される。上皮の治癒には、BCLで約2~4日かかるが、眼の上皮感染を防ぎ、痛みを軽減し、眼の不快感を軽減するために、治癒後にLevaquin(レボフロキサシン)のような局所抗生物質が投与される。レボフロキサシンを含むほとんどの市販の抗生物質には、BAKなどの防腐剤が追加されている。このような医薬品を頻繁に投与する必要があり得る患者は、上皮細胞および組織の損傷に遭遇する可能性が高い。
【0120】
重度の苦痛を伴う緑内障患者は、症状を管理するために頻繁にドルゾラミドを頻繁に局所投与することが推奨されることが多い。そのような場合における液滴投与の頻度は、1日2回~最大4回まで変化する可能性があり、それによって、高いBAK曝露に起因する上皮細胞損傷の可能性が高まる。BAKは、局所薬の長期使用に起因するこれらの副作用と相まってアレルギーを誘発し、緑内障治療の利点に大きく影響する。したがって、有害な副作用が全くないか、または少ない副作用を伴う、術後の防腐剤により誘発される感染の可能性を減らすために、防腐剤を含まない抗生物質および抗緑内障薬が必要である。レボフロキサシンおよびドルゾラミドは、本質的に親水性であり、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子をフィルタ材料として用いて、投与中の選択的な防腐剤除去を実現することができる。
【0121】
0.1mg/mlのBAKを含む、それぞれ5mg/ml(0.5%)および20mg/ml(2%)で検査したPBS中のレボフロキサシンおよびドルゾラミドの水溶液濃度は、一貫したBAKの除去%を示し、これは、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が、チモロール、ドルゾラミド、およびレボフロキサシンを含む3つの親水性の医薬品すべてに好適なシステムである。チモロール、レボフロキサシン、およびドルゾラミドは、表面不活性成分であるため、測定された界面張力データは、BAKを防腐剤として含む2成分製剤に対して正確かつ信頼可能である。BAK除去の大きさである>95%は、p-HEMA粒子と比較してサイズが小さい(<1mmおよび>0.5mm)これらの粒子への高いBAK分配である。界面の表面張力測定の結果は、レボフロキサシン/BAKおよびドルゾラミド/BAKの両方の製剤の14の連続した0.5mlのバッチにわたって、各アリコートにおける96%の選択的なBAK除去を示している。
【0122】
図10および
図11は、本開示の実施形態による、約0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を充填したフィルタによる、約30μL/日のフィルタ処理されたレボフロキサシン製剤のレボフロキサシンおよびドルゾラミドの取り込み率を示す。これらの粒子によるレボフロキサシンの取り込みの程度は、試験された累積フィルタ処理溶液(15滴~0.45ml)については無視することができる。平均標準偏差内のレボフロキサシンおよびドルゾラミドについての薬物取り込み%は、それぞれ1.31%および1.86%であり、これは、レボフロキサシンおよびドルゾラミドの両方のp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスへの低い分配係数を例示している。UVスペクトル測定により、フィルタ処理された薬物アリコート内に99%を超えるレボフロキサシンおよびドルゾラミドが存在することが確認され、15アリコートを超えるp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子による有意な取り込みの兆候は示されなかった。
【0123】
局所ベータ遮断薬である酒石酸ブリモニジンは、緑内障患者集団に対して処方される効果的な眼圧降下剤である。選択的なアルファ-アドレナリン受容体として、酒石酸ブリモニジンは、長期の臨床投与量が心血管機能および肺機能を損なう可能性がある、チモロールなどのベータ遮断薬に対するより安全な代替品である。コンビガンは、0.2%の酒石酸ブリモニジン製剤および0.5%のマレイン酸チモロール製剤の固定された組み合わせを含有する、セカンドライン治療用抗緑内障薬である。通常、チモロールまたはブリモニジンのいずれかの単独療法が慢性緑内障に苦しむ患者のIOPを十分に低下させない場合に処方される。複数の医薬品によって誘発される副作用の可能性は増加するが、コンビガンを含む併用療法では、より低い便利な投与計画が可能になり、それによって目標の10Pに到達する。ランダム化されたヒト試験では、ブリモニジンおよびコンビガンの両方の治療の効能が、心臓への顕著な慢性効果なしで実証されており、濾胞性結膜炎、眼瞼浮腫、口内乾燥によって特徴づけられる一般的なアレルギー反応の発生が生じ、緑内障の対象の間では、一時的な刺痛が未だによく見られる。防腐剤(BAK)誘発アレルギー症状は、ブリモニジンまたはコンビガン療法の長期使用に起因するこれらの有害作用と相まって、緑内障治療の利点に大きな影響を与えるため、防腐剤を含まない緑内障医薬品についての必要性を必然的に伴う。塩化ベンザルコニウム除去の効能および吸収される薬物の量を、実験室製の0.2%の酒石酸ブリモニジン/PBS眼科製剤を使用して評価した。本開示の一実施形態によると、防腐剤除去ポリマープラグを取り付ける前に、プロトタイプの点眼ボトルを、薬物/PBS溶液(すなわち、0.2%の酒石酸ブリモニジン/PBS点眼製剤)で満たした。毎日フィルタされる液滴について得られたフィルタ処理製剤のUVスペクトル測定値を使用して、石酸ブリモニジンのフィルタ処理されたアリコート(0.2%)を100倍に希釈した、水性PBS溶液(0.2%)中の高い薬物濃度についてのUV-Vis測定値により、p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子による薬物吸収を決定した。本開示の実施形態による、HEMA(25v/v%/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子中の親水性薬物のチモロール、レボフロキサシン、およびドルゾラミドの系の低い分配係数により、最大薬物取り込み率は5%未満に保持されているが、同じ粒子マトリクスは、0.2%の酒石酸ブリモニジン点眼製剤と適合しない。
図12に示すように、ブリモニジンは、粒子系の分配係数が1であり、プラグ内に同伴された製剤と粒子の1:1の体積比に基づいて、試験された最初のアリコートについての51%の薬物取り込みによって示されている。ブリモニジンとp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスとの間の相互作用のメカニズムは、十分に理解されていない可能性があるが、より高い薬物取り込み推定値は、ブリモニジンと、粒子マトリクス内にある親水性p-HEMA画分との間の相互作用に起因し得ると推測することができる。
【0124】
理論に制限されないが、この相互作用を減らすために、HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子よりも疎水性の高い粒子を調製した。純粋に疎水性の粒子系におけるBAKの分配係数および拡散率は、それらの親水性の粒子系よりも低いため、高いBAK除去の所望の制約に妥協することなく、ブリモニジンについての親和性が低い粒子マトリクスが、多くのシリコーンヒドロゲルに含まれる疎水性モノマーである、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)からの単位を、HEMAおよびメタクリル酸tert-ブチルモノマー混合物に導入することによって達成された。
図13に示すように、HEMAの体積分率をモノマー混合物に固定した状態で、メタクリル酸tert-ブチルおよびTRISの比率を最適化して、高い程度のBAK除去を得るために使用される高い分配係数を維持しながら、無視することができる薬物の取り込みを達成した。25(v/v%)HEMAモノマー、37.5(v/v%)TRIS、および37.5(v/v%)メタクリル酸tert-ブチルのバッチをUV硬化することによって、所望の防腐剤除去ターポリマーが形成される。
図14は、HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子におけるブリモニジンの取り込みを示す。改善されているが、ブリモニジンは、2番目および3番目のアリコートに対する防腐剤除去ポリマープラグに部分的に保持されている。
【0125】
本開示の別の実施形態では、TRISおよびジメチルアクリルアミド(DMA)を有する研究室内で作製された防腐剤除去コポリマーの薬物取り込みおよびBAK取り込みプロファイルは、調製された75(v/v%)TRIS/25(v/v%)DMAの組成を使用して調製された。取り込み実験は、厚さ100μmのコポリマーフィルムを含む3.5mLの0.12%(1.2mg/ml)のBAK/PBS溶液の存在下で行われた。以下の表3は、75%のTRISヒドロゲル中に430よりも大きいBAKの計算分配係数を与え、選択的な防腐剤除去のための合成コポリマー粒子を形成する能力を示している。
【0126】
(表3)実験室製のTRIS/DMAゲルにおけるBAK添加実験の概要。BAK/PBS濃縮溶液を添加するごとに1回の実験を行った場合のデータを示す。
【0127】
p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子系は、0.2%の酒石酸ブリモニジン点眼製剤からの選択的な防腐剤除去のために好適である。コンビガンの場合、チモロールおよびブリモニジンの併用療法では、粒子を通してフィルタ処理された2番目のアリコートについては15~20%のチモロールの取り込みが示された。
【0128】
本開示の実施形態によると、市販の製剤中のBAKの規制濃度限界よりも3~8倍高い、0.3mg/ml~0.8mg/mlの範囲のBAK濃度を有するp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスのバッチの事前添加を実行して、BAKが事前添加された防腐剤除去粒子を形成する。上記の式1から理解され得るように、分配係数が非常に大きく、300よりも大きい場合、式1は、上記の式9および10に示すように近似することができる。
【0129】
濃縮BAK添加溶液とp-HEMA/tert-ブチル粒子マトリクスとの間の体積比は、選択的な防腐剤除去または薬物取り込み研究のために粒子を用いる前にBAKを粒子に事前添加する手順にとって潜在的に有利である。p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子の計算された分配係数は、322.94であるため、事前添加されたp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスによるBAK除去の高い効能を損なうことなく、この単純で効果的な事前添加手順を実装することができる。式9で与えられた単純な近似に基づいて、粒子密度が約1g/ccであると仮定して、分配平衡を確立する期間、0.02mg/mlのBAK/PBS溶液15mLに浸した1gのp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子は、3倍のBAK事前添加を生じ、これは、市販の製剤中のBAKの規制濃度限界よりも3倍高いBAK含有量を有する。
【0130】
コンビガン製剤からのBAK除去は、0.8mg/mlのBAK/PBS製剤から事前添加された約0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が事前充填されたテーパプラグ付きの30mLの点眼ボトルにおいて評価され、これは、市販の眼科製剤についてのBAKの規制濃度限界よりも8倍高いBAK含有量を、添加された粒子マトリクス中に確立する。8倍の事前添加されたp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子は、眼科用製剤からの防腐剤の選択的な除去のためのそれらのp-HEMA対応物と同じくらい効率的である。
図15は、本開示の実施形態による、p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル粒子を充填されたフィルタを通過された、0.2%のブリモニジン、0.5%のマレイン酸チモロール、および0.01%のBAKを有するコンビガン製剤からのチモロールの除去を示し、穂存在除去粒子は、3倍、5倍、または8倍のBAK溶液で前処理された。BAK除去の程度は、4番目のアリコートを通して略98.04%であり、2週間にわたる後続のアリコートについては96%を超えた状態を維持しているが、チモロールの98%超が、BAKの8倍の事前添加で前処理された防腐剤除去プラグを通過した。
【0131】
プラグを取り付ける前に、点眼ボトルのプロトタイプを、PBS眼科製剤中の0.2重量%の酒石酸ブリモニジンを有する、5mLの薬物/PBS溶液で満たした。0.1gのp-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(37.5v/v%)粒子による薬物吸収を監視するために、1日の時間間隔で各フィルタ処理された液滴についてフィルタ処理された製剤のUVスペクトル測定値を得た。UV-Vis測定は、定量的な測定値を得るために、100倍の希釈で酒石酸ブリモニジン(0.2重量%)のフィルタ処理された液滴を使用して実行された。これらの粒子によるブリモニジンの取り込みの程度は、試験された6番目の液滴については0.2%であり、試験されたフィルタ処理された溶液のすべてのアリコートについて6%未満であった。UVスペクトル測定では、フィルタ処理された薬物製剤中にブリモニジンが99%を超えて存在することが示され、p-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(37.5v/v%)粒子による取り込みの兆候は示されなかった。市販の製剤中のBAKの規制濃度限界の3~8倍である、0.3mg/mL~0.8mg/mLの範囲の濃度でBAKを事前添加していた0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子マトリクスを通した約30μLのフィルタ処理されたコンビガンアリコートからのチモロールおよびブリモニジンの取り込み。フィルタ処理された製剤中のチモロールおよびブリモニジンの濃度は、両方の薬物の測定された較正スペクトルと基準較正スペクトルとの間の2パラメータ最小二乗曲線適合法を通して決定された。MATLABのfminsearchモジュールを使用して、フィルタ処理された溶液中の薬物濃度の最適値を推定した。0.8mg/mlのBAKを事前添加した粒子によるブリモニジンおよびチモロールの取り込みの程度は、フィルタ処理された溶液のすべてのアリコートについて1~2%の範囲であった。より高いBAK濃度を有する事前添加された粒子マトリクスは、ブリモニジンおよびチモロールの取り込みが少ないことを示している。
【0132】
図27A、
図27C、および
図27Eは、フィルタ処理されたブリモニジン/BAK、ドルゾラミド/BAK製剤、およびレボフロキサシン/BAK溶液の両方の複数の0.5mLのバッチからのBAKの画分除去を示す。この研究のために使用されたPBS中のレボフロキサシンおよびドルゾラミドの水溶性濃度は、製剤中に追加された0.1mg/mLのBAKとともに、それぞれ5mg/mL(0.5重量%)および20mg/ml(2重量%)であった。一貫したBAKの除去%のデータは、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が、ブリモニジン、ドルゾラミド、およびレボフロキサシンを含む3つすべての親水性の医薬品に好適なシステムであることを示している。さらに、>95%のBAK除去率の大きさは、これらの粒子系におけるBAKの高いBAK分配を検証し、それらのp-HEMA対応物と同等にする。これらの粒子の追加の特性的特徴は、p-HEMA凝集体と比較してサイズが小さい(<125μm)ことである。この特徴は、充填床システムの最適な水力学的透過性を損なうことなく、水溶液とフィルタ床との接触時間の増加に起因する薬物/BAK製剤からのより高いBAK除去率を得るために有益である。BAK除去率は、フィルタ処理された溶液(0.5mL)の4番目のバッチについては略98.04%であり、測定された後続のバッチについては96%を超えた状態を維持している。界面表面張力測定の結果は、レボフロキサシン/BAK製剤およびドルゾラミド/BAK製剤の両方の14よりも大きい連続した0.5mLのバッチからの96%の選択的なBAK除去を検証しており、これは、市販の点眼フィルタボトルに統合され得る効率的な設計の見込みを示す。
【0133】
25%のp-HEMA/75%のTBM粒子によるレボフロキサシンおよびドルゾラミドの取り込み率は、2回目のフィルタ処理された液滴については3~8%の範囲であり、試験された次の15滴については無視することができた(
図27Dおよび
図27F)。0.5mg/mlのBAK濃度をこれらの粒子に事前添加すると、潜在的な薬物結合がスクリーニングされ、レボフロキサシンの取り込みが<2%に、ドルゾラミドの取り込みが<6%に減少する。それぞれ1.31%および1.86%の平均標準偏差内のレボフロキサシンおよびドルゾラミドの両方についての薬物取り込み%データは、p-HEMA/tert-ブチル粒子マトリクスにおけるレボフロキサシンおよびドルゾラミドの両方の低い分配係数推定値を検証する。これらの粒子によるレボフロキサシンおよびドルゾラミドの取り込み率は、レボフロキサシンおよびドルゾラミドについてそれぞれ試験された8番目の液滴に対するレボフロキサシン0.60%で試験された2番目の液滴については1.52%と低かった。レボフロキサシンおよびドルゾラミドの取り込み%の推定値の不一致は、フィルタ処理された薬物製剤の100倍の希釈に伴う小さな誤差を示している。ブリモニジンについて(
図27B)、3つのp-HEMA/TBM組成物(25/75、10/90、および5/95)を試験した。10/90および5/95のHEMA/TBMバッチは、薬物の取り込みを<8%に減らすが、これらのシステムの分配係数が<100である場合、フィルタが>95%のBAKをスクリーニングする能力が低下する可能性がある。表4は、ブリモニジンについての製剤の状態を要約したものであり、取り込み量は<15%である。SR9035架橋剤をEGDMAに置き換えると、ブリモニジンの取り込みが25%減少する。この組成物の事前添加粒子を試験する。
【0134】
【0135】
Visineドライアイ製剤からの防腐剤除去および薬物取り込み研究
ドライアイ症候群または乾性角結膜炎(KCS)は、涙液不足または過剰な涙液蒸発に起因して生じる涙液膜障害である。苦しんでいる患者の一般的な症状には、眼の眼瞼間表面の炎症および視覚的な不快感が含まれる。眼科用潤滑剤液滴の塗布は、眼の表面および涙腺の炎症に起因する刺激を軽減するための一般に推奨される手順である。ドライアイ状態の兆候および症状を治療するために使用される市販の眼科用潤滑剤は、Visine(登録商標)ドライアイ軽減眼科用潤滑剤液滴である。Visine(登録商標)ドライアイ液滴は、安定した涙液膜および眼の表面の恒常性を維持する助けとなり、視力および投与時の快適さにおける妥協を最小限に抑えるか、全く妥協しない。潤滑剤液滴の塗布の頻度は、状態の重症度に依存するため、症状を管理するために、ドライアイ症候群に起因する重度の苦痛を抱える患者に、頻繁に局所投与することが推奨され得る。このようなシナリオでは、角膜上皮とのBAKの相互作用の強化に起因する眼の損傷の増加が起こる可能性が高く、これは、慢性ドライアイ症候群を有する患者にとって特に潜在的に有利である。この試験研究では、Johnson&Johnson Inc.製の市販の15mLのVisine(登録商標)ドライアイ軽減点眼液について、BAKの除去%を評価した。Visine(登録商標)ドライ軽減点眼薬は、通常、ヒプロメロースおよびポリエチレングリコール400を含む生体適合性の増粘剤を含有する潤滑生理食塩水滴である。これらの粘性成分は、涙液膜の保湿ならびにドライアイ対象における涙液膜蒸発速度の最小化を含め、ドライアイ治療において二重の利点を提供する。我々の点眼ボトルの設計において対処すべき主な問題は、市販の製剤の粘度が高くなるため、液滴の投与圧力の大きさの増加である。粒子充填フィルタ内の粘性潤滑剤液滴の低い水力学的透過性は、慢性ドライアイ疾患を有する高齢患者にとって潜在的に有利な問題となり、患者のコンプライアンスの低下につながる可能性がある。透過性の制約は、約2mmの凝集体である大きなサイズのp-HEMAマトリクス粒子を用いることによって解決される。これらの2mmの凝集体は、より小さな粒子について使用される同じ方法で合成されたが、乳鉢で粉砕する間、乳棒に対する圧縮力は低くなった。
【0136】
市販のVisine(登録商標)ドライアイ軽減製剤には、防腐剤塩化ベンザルコニウムに加えて、0.2%のグリセリン、0.2%のヒプロメロース、1%のポリエチレングリコール400、およびPEG-400が界面有効成分として含有されている。これらの追加の界面有効成分の存在は、製剤から除去された画分BAKを正確に定量化する上で障害となる。この問題を解決するために、市販の製剤におけるBAKの濃度を高め、それぞれ0.1mg/ml、0.5mg/ml、および1mg/mlのBAK濃度を有するVisine(登録商標)ドライアイ製剤に対する界面測定を行って、p-HEMAフィルタによる高いBAK除去率を定量化した。
図16は、それぞれ0.1mg/ml、0.5mg/ml、および1mg/mlのBAK濃度を有する市販のVisine(登録商標)製剤の動的界面張力測定値と、時間の関数として測定されるそれらのフィルタ処理された対応物との間の比較を示す。対照と、より高いBAK濃度を有するVisine(登録商標)製剤について得られたフィルタ処理された製剤との間の示差的静的界面張力は約15mN/mであり、p-HEMA粒子マトリクスによる高いBAK除去率を示している。p-HEMAマトリクスにおける高いBAK分配係数、およびプラグ内に同伴された粒子と製剤との1:1の体積比という観点から、フィルタ処理されたBAK製剤の濃度は、BAK含有量が市販の製剤におけるBAKの規制濃度限界よりも10倍高い製剤については0.002mg/ml未満である推定される。
【0137】
この原理は、BAK含有量がより高いVisine(登録商標)製剤の動的表面張力を測定し、BAK濃度がより低い製剤の動的表面張力と比較することによって検証することができる。この比較の直接の結果は、フィルタ処理前の初期濃度が0.1~1mg/mlの範囲であったVisine(登録商標)製剤についての動的表面張力曲線の重複を示すであろう。
図16は、標準偏差が約1mN/m以内のフィルタ処理されたVisine(登録商標)製剤の動的界面張力曲線の一致を示している。高いBAK除去効能の主張を実証するための2番目のアプローチは、濃縮製剤の平衡界面張力の低下を確認するために、Visine(登録商標)/0.5mg/mlのBAK製剤の累積滴をフィルタ処理された製剤に追加することであった。p-HEMAフィルタによる高いBAK除去を確認する、フィルタ処理されたVisine(登録商標)/BAK製剤の複数の0.3mlのアリコートについて
図17に示される動的表面張力データの重複。
図18は、Visine(登録商標)/BAK製剤から防腐剤除去ポリマーを通してフィルタ処理された複数の0.3mlのアリコートからのBAKの高い除去をプロットしている。防腐剤除去ポリマーは、平均サイズ2mmの約0.1gのp-HEMA凝集体が使用された出口チューブ内に事前充填されたテーパプラグとして形成された。Visine(登録商標)製剤からの99%よりも大きい非常に高いBAK除去率は、市販の液滴出口チューブがより長く幅広であることに起因して、プラグの寸法が広いために、向上しているように思われる。
【0138】
図18は、2日間にわたる190~320nmの範囲でのフィルタされた(一次)および再フィルタされた(二次)Visine(登録商標)/BAK製剤のUVスペクトルデータを示す。p-HEMA粒子マトリクスに分配されたVisine(登録商標)を、再フィルタ処理されたVisine(登録商標)製剤の初期0.3mlのバッチを較正スペクトルとして使用して評価した。測定された較正スペクトルと基準較正スペクトルとの間の最小二乗曲線適合法に基づくフィルタ処理および再フィルタ処理されたVisine(登録商標)製剤の濃度は、0.0967mg/mlおよび0.098mg/mlと推定され、それによって薬物取り込みを無視することができることを示している。これらのp-HEMA粒子系における計算されたVisine(登録商標)分配係数0.04は、プラグ内に同伴された製剤と粒子との1:1の体積比に基づいて試験された最初のアリコートの薬物吸収が3.4%であることを示す。
図19は、約0.1gのp-HEMA粒子を充填したフィルタによる、約300μL/日のフィルタ処理されたVisine(登録商標)製剤からのVisine(登録商標)の取り込みの程度を示す。これらの防腐剤除去粒子によるVisine(登録商標)の取り込みの程度は、Visine(登録商標)の9つの連続したアリコートについては無視することができ、市販のVisine(登録商標)ドライ軽減製剤から防腐剤を除去するために効果的なp-HEMA粒子を示している。
【0139】
図28A~Cは、市販のVisine製剤を用いた研究で使用された1mmの粒状凝集体の光学顕微鏡画像を示している。高いBAK除去効能の主張を実証するために用いられた2番目のアプローチは、Visine/(0.5mg/mlのBAK)およびVisine/(1mg/mlのBAK)製剤の累積滴をフィルタ処理されたバッチに追加し、フィルタ処理された製剤の平衡界面張力における減少傾向を確認することであった。濃縮されたVisine/BAK溶液を追加した後のフィルタ処理されたVisine製剤中のBAKの濃度は、定常状態のラングミュア吸着等温線に基づいて計算された。7回を超える連続測定に対するフィルタ処理されたVisine/BAK製剤の複数の0.3mLのバッチについての
図28A~Cに示される動的表面張力データの一貫した重複により、p-HEMAフィルタにおける高いBAK除去率が検証される。防腐剤を含まないVisine製剤についての平衡表面張力の推定値は、較正溶液がないことに起因して利用することができないため、BAKの除去%のデータを、基準としてフィルタ処理されたVisine製剤の初期の0.3mlのバッチに基づいて評価した。
図28Bは、フィルタ処理されたVisine/BAK製剤の複数の0.3mLのバッチからのBAKの画分除去を表す。前述のように、平均サイズ2mmの約0.1gのp-HEMA凝集体が事前充填されたテーパプラグ付きの市販の15mLのVisineドライアイ軽減点眼ボトルを使用して実験を行った。BAKの除去%のデータは、合成された粒子マトリクスが付随する1mmのp-HEMA粒子の2倍のサイズであっても、製剤中のBAKの99%超を選択的に除去するp-HEMA粒子の優れた能力を示している。Visine製剤からの>99%の高いBAK除去率は、プラグの寸法が広いこと(すなわち、より長く、より広い商用プラグ)に起因すると推測される。BAK除去率は、フィルタ処理されたVisine溶液の連続10バッチすべて(10滴~0.3mL)については略99%であった。これらの結果は、フィルタ処理されたVisine製剤の測定された界面張力の一貫した推定によっても検証されており、市販の潤滑剤点眼フィルタボトルに統合され得る効率的な設計の見込みを示している。防腐剤を含まないVisine製剤の対照較正溶液がないため、p-HEMA粒子マトリクスに分配された薬物の量を定量化する際に問題が生じた。この問題を解決するために採用された技術は、フィルタ処理されたVisine製剤を、約0.1gのp-HEMA粒子が事前充填された15mlの市販のVisineボトルの複製を使用して再フィルタ処理することができる二次フィルタ処理であった。試験のために、点眼ボトルを反転させてから絞って、0.3mlのアリコート、約10滴のフィルタ処理されたVisine製剤を送達した。チャンバ体積300μL、光路長10mmを有する標準石英キュベットを利用して、190~400nmの範囲でフィルタ処理されたVisineのスペクトルを得た。フィルタ処理されたVisine溶液の300μLのアリコートを、乾燥p-HEMA粒子マトリクス約0.1gの新しいクラスタを事前充填されたプラグ付きの15mLの市販Visineボトルの複製に移し、再フィルタ処理して、二次UVスペクトルを得た。これらの粒子を、薬物取り込み研究のために用いる前に、2gのp-HEMA粒子のバッチを、2サイクルの1Lの脱イオン水バッチ中ですすぎ、乾燥させた。この工程を用いて、これらの粒子から溶出した不純物の吸光度が<0.1になることを確保し、それによってUVスペクトルを使用したVisineの正確な特性評価を可能にした。p-HEMA粒子マトリクスに分配されたVisineの量を、基準較正スペクトルとして再フィルタ処理されたVisine製剤の最初の0.3mLのバッチに基づいて評価した。測定された較正スペクトルと基準較正スペクトルとの間の最小二乗曲線近似法に基づくフィルタ処理および再フィルタ処理されたVisine製剤の濃度は、0.0967mg/mLおよび0.098mg/mLであると推定され、それによって無視することができる薬物取り込みのための基準を満たしている。近似法のより詳細は、他の参考資料にも見られ得る。これらのp-HEMA粒子系で計算された0.04のVisine分配係数は、プラグ内に同伴された粒子と製剤との1:1の体積比に基づいて試験された最初のバッチの薬物取り込みが3.4%と低いことを示している。
図36は、約0.1gのp-HEMA粒子を充填されたフィルタによる、約300μL/日のフィルタ処理されたVisine製剤からのVisineの取り込み率を示す。これらの粒子によるVisineの取り込み率は、試験された最初のバッチについては3.4%(
図28C)と低く、試験された累積フィルタ処理溶液(10滴~0.3ml)の連続9バッチについては無視することができ、これは、市販のVisineドライ軽減製剤から防腐剤を選択的に除去するための候補としてのp-HEMA粒子を示している。
【0140】
材料
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA、97%)モノマーおよびマレイン酸チモロール(98%以上)は、Sigma-Aldrich Chemicals(St.Louis,MO,USA)から購入した。架橋剤エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9035)は、Sartomer(Warrington,PA,USA)から入手する。光開始剤Darocur(登録商標)1173は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USAから提供された。ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、Mediatech,Inc.(Manassas,VA,USA)から購入した。エタノール(200プルーフ)は、Decon Laboratories Inc.(米国ペンシルベニア州キングオブプラシャ)から購入した。すべての化学物質は、さらに精製することなく受け取った状態で使用した。
【0141】
3-メタクリロキシ-プロピル-トリス-(トリメチルシロキシ)-シランまたはTRISモノマーは、Wheaton Inc.(Millville,NJ,USA)から入手した。レボフロキサシン(98%以上)および酒石酸ブリモニジン(97%以上)は、それぞれ、Alfa Aesar(Haverhill,MA,USA)およびAsta Tech Inc.(Bristol,PA,USA)から入手した。
【0142】
粒子の調製
HEMAモノマー(1.4ml)、架橋剤(SR9035)(0.1ml)、脱イオン(DI)水(12ml)、および光開始剤Darocur(登録商標)1173(20μl)を、20-m1バイアルで混合し、室温で900rpmで20分間磁気攪拌した。混合物を、純粋な窒素で30分間バブリングすることによってパージした。脱気後、混合物を、55×17mm(直径×高さ)のPyrex(登録商標)ペトリ皿に注ぎ、310nmで急激にピークに到達する16.50mW/cm2の強度のUVB-10トランスイルミネータ(ULTRA-LUM INC,Carson,CA,USA)によって2時間UV光を照射した。UV硬化中、水の蒸発および酸素化を避けるためにペトリ皿を覆い、混合物を、約90rpmで35×6mmの磁気攪拌棒によって攪拌した。ポリマー化の後、p-HEMAゲル粒子を、真空フィルタ処理によって溶液から分離し、大量のDI水で洗浄した。p-HEMAゲルを、60mLの純粋なエタノールに一晩浸し、真空フィルタ処理によって粒子から再び分離し、大量のDI水で洗浄した。p-HEMAゲルを、350mlのDI水に移し、24時間浸した。連続して4日間、DI水を、24時間ごとに新しいDIバッチと交換した。最後に、p-HEMAゲル粒子を、80℃のオーブンで乾燥させ、乳鉢を使用してより細かい粒子に粉砕し、その後の実験のために保管した。
【0143】
同じプロトコルを採用して、25(v/v%)HEMA/75(v/v%)メタクリル酸tert-ブチル粒子系を合成し、追加されたモノマーの組成は、それぞれ、0.35mLのHEMAおよび1.05mLのメタクリル酸tert-ブチルであった。フリーラジカルポリマー化プロセスの前に、モノマー混合物バッチにおける体積比を調節することによって、メタクリル酸ベースのモノマーの特定の体積分率の異なる製剤を合成することができる。
【0144】
点眼ボトルのプロトタイプ
防腐剤の除去の研究のために使用される市販の点眼薬分配プラスチックボトルは、Topwel Inc.から購入した。点眼ボトルの標準プラグを着脱し、プラグのノズル近くで2層の111AMの孔径のフィルタ紙(直径9/32インチのパンチ穴)で満たした。フィルタ紙の層は、充填されたフィルタからのより細かい粒子がフィルタ処理された点眼製剤に分配されないことを確保するように置いた。同じ目的を達成するために、フィルタ紙を、好適に設計された薄いプラスチックフィルタと置き換えることができる。このフィルタは、デバイス全体の水力学的抵抗の増加を最小限に抑えるように設計することができる。追加的に、このフィルタの材料は、いかなる薬物にも結合すべきでない。
【0145】
約0.1gの合成p-HEMAまたは(p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル)粒子、または0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子を、ノズル近くのフィルタ紙の層の上のプラグにおいて充填した。フィルタ布(0.7cm×0.6cm)の層を追加する前に、プラグの基部を、11μMの孔径のフィルタ紙(直径9/32インチのパンチ穴)の追加の2つの層で覆って、粒子がプラグの内部に完全に残ることを確保した。追加されたフィルタ布の層を、ピンセットまたはヘラで軽くたたいて、粒子床を圧縮し、プラグの基部近くにその位置を固定した。提案された設計を完成させるために、フィルタ/充填プラグを、点眼ボトルの首に取り付けた。
図1は、設計された点眼薬フィルタボトルの写真表示を示す。
【0146】
上部のフィルタ紙および下部のフィルタ布は、先端内の粒子の保持を確保するために潜在的に有利である。粒子の保持を確保することを目的とするこれらのフィルタの設計は、水力学的透過性が大幅に低下せず、薬物のこれらへの結合が最小限であることを保証するために潜在的に有利である。ボトルの先端に置くために3D印刷によって準備された保持フィルタの例を、
図20に示す。保持フィルタは、粒子の保持を確保しながら高い水力学的透過性を達成するために、長い溝の円形の細孔を有することができる。最小の粒子でさえも先端から流れ出るか、または製剤に落ちないことを確保するために、0.1mmのサイズが望ましいであろう。0.1mmよりも大きい粒子の場合、保持フィルタの細孔のサイズを大きくすることができる。
【0147】
代替的に、粒子をすべての側面上で完全に密閉し、ホルダの中に置いてから、先端の中に置くこともできる。保持フィルタについて記載されているすべての制約は、ホルダアセンブリにも同様に関連している。別の設計では、粒子を焼結してモノリスを生成することができる。焼結を促進するために、BAK除去用のために設計された粒子と他の種類の粒子を混合することができる。モノリスの設計には、好適な生体適合性接着剤の使用などの他のアプローチを使用することができる。好適な保持フィルタおよびまたはホルダアセンブリとともに粒子を充填する際、デバイスの縁ができるだけ近く、液滴が落ちる先端出口と同一平面上にある場合に有益であり得る。これは、デバイスの縁と先端の出口との間に、点眼薬の滴下時に取り込まれた細菌が付着して成長することができる空間がないことを確実にするために重要である。デバイス内の粒子には、粒子床の中の微生物の成長の可能性を最小限に抑えるために、BAKまたは代替的な防腐剤を事前添加することができる。BAKが事前添加されている場合、溶出点眼薬中のBAKの濃度は、粒子に事前添加された濃度の濃度と平衡状態にある可能性が高い。例えば、粒子に添加されたBAKの濃度が300ppmであり、粒子内のBAKの分配係数が300である場合、溶出点眼薬中のBAKの濃度は、少なくとも1ppmになり得る。
【0148】
図23は、設計された点眼薬フィルタボトルの概略図を示す。この例示には、実験的研究のために使用された異なるフィルタプラグおよびそれらの寸法も示されている。フィルタプラグ付きの点眼ボトルは、指操作を通じて十分な荷重をかけると室温で弾性変形する、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの熱可塑性材料から設計されている。指の力の適用によるボトルの一時的な構造変化は、点眼ボトル中に存在する空気を圧縮し、したがって、ボトル内の活性医薬製剤に高められた圧力をかける。これにより、フィルタプラグに存在する粒子の充填床を通して医薬品の液滴を分配することができ、粒子による塩化ベンザルコニウムの選択的な吸着が可能になる。
【0149】
合成された粒子の形態
フロリダ大学ゲインズビルの化学工学部の10倍~100倍のデジタル単眼複合顕微鏡(Amscope)上で光学顕微鏡画像を得た。画像化された合成粒子には、p-HEMA、p-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)、およびp-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル粒子が含まれる。異なる組成の約0.01gの粒子のバッチを、事前に洗浄したガラススライド上に置き、10倍の倍率範囲で画像化した。
図2Aは、1mmのp-HEMA集合体の光学顕微鏡画像を示し、
図2Bは10倍の倍率でのp-HEMAマトリクスの画像を示している。これらの粒子は、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルを主なモノマーとして使用し、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9305)架橋剤を使用して合成された不規則な形状の剛体凝集体である。p-HEMAマトリクスの粒子サイズ分布は広範であったが、ImageJソフトウェアを使用して分析されたバッチからの粒子凝集体のランダムな選択により、平均粒子サイズは0.79~0.961mmであると推定された。
図3および
図4は、10倍の倍率での微細なp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)、およびp-HEMA(25v/v%)/TRIS(37.5v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル粒子の画像を示す。これらの粒子の形状は不規則であるが、これらの粒子の特性的特徴は、p-HEMA粒子と比較して、それらのサイズが小さい(<1mmおよび>0.5mm)ことである。この特徴は、水溶液とフィルタ床との接触時間の増加に起因する、薬物/BAK製剤からのより高いBAK除去率を得るために有益である。
【0150】
図21A~Eは、10倍の倍率での1mmのp-HEMA集合体(
図21C)およびp-HEMAマトリクス(
図21C)の光学顕微鏡画像を示している。これらの粒子は、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルを主なモノマーとして使用し、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9305)架橋剤を使用して合成された不規則な形状の剛体凝集体である。
図21Aおよび
図21Bは、10倍の倍率でのより微細なp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)およびp-HEMA(15v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(85v/v%)の画像を示している。これらの不規則な固体粒子を、圧縮を通じて粉砕し、標準的なスクリーンを使用してふるいにかけ、63~250μmサイズの粒子を得た。圧縮およびスクリーン分析を探索して、均一な粒子サイズ分布を得、充填されたフィルタ床におけるチャネリングの可能性を回避した。ImageJソフトウェアを使用して分析された粒子マトリクスの画像は、標準的なふるいのメッシュ直径と一致する、60~110μmの平均フェレ直径をもたらした。スクリーン分析の結果を、表5および
図22に提示する。
【0151】
(表5)2つの異なる5gのバッチのp-HEMA(15v/v%)/TBM(85v/v%)について行われたスクリーン分析
【0152】
p-HEMA粒子マトリクスの水力学的透過性
標準的な3mLのルアーロックシリンジに充填されたp-HEMA粒子の水力学的透過性を、1.5mlのDI水で満たされたシリンジに0.4535kg(1lb)の重量をかけることによって測定した。水の流量(Q)を、p-HEMA粒子の床を通して事前に満たされた水を溶出するために必要な時間を測定することによって計算した。ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(p-HEMA)粒子の2cmの充填床の水力学的透過性は、以下に与えられるようなダルシーの法則を使用して計算される:
式中、kは、p-HEMA粒子床の水力学的透過性であり、Aは、床の断面積(m
2)であり、Vは、粒子床に1lbの重量を加えた後に溶出したDI水の体積であり、ΔPは、フィルタ床にわたる圧力降下であり、Lは、粒子床の長さ(2cm)であり、mは、プランジャの先端近くにかかる一定荷重の質量(1lb.または0.4536kg)であり、μは、DI水の粘度(1cP)であり、gは、重力に起因する加速度(9.81m/s
2)である。SR9035架橋剤を使用することによって合成されたp-HEMA粒子の水力学的透過性は、2.513±0.599ダルシー(平均±SD)であると決定された。これらの粒子の>1Daの高い水力学的透過性の推定値は、充填床を通る製剤の流れに対して低い抵抗を提供する機能フィルタの設計目標を満たしている。
【0153】
フィルタ材料の水力学的透過性を推定する2番目の方法を考案した。フィルタプラグ付きの点眼ボトルは、指操作を通じて十分な荷重をかけると室温で弾性変形する、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの熱可塑性材料から設計されている。指の力の適用によるボトルの一時的な構造変化は、点眼ボトル中に存在する空気を圧縮し、したがって、ボトル内の活性医薬製剤に高められた圧力をかける。点眼ボトルに存在する25%のp-HEMA/75%のTBM粒子が充填されたフィルタプラグの上部に、ピペット先端を取り付け、スコッチテープを使用して貼り付けた。フィルタボトルを反転させて、指先の力を使用して絞り、充填床フィルタを通してボトル内の5mlのDI水を押し出した。適用された絞り圧力が除去されると、ボトルの中の圧力は、大気圧よりも小さくなり、先端内の溶液がボトルに逆流する。フィルタ先端には透明なピペット先端が取り付けられているため、この窓から排出されるDI水を視覚化して記録し、液体の流量を分析することができる。粒子が充填されたフィルタでは、排出されたDI水は、充填床の粒子による流れに対してある程度の抵抗を与えられ、ボトルの中の空気圧が大気圧に戻るまで排出を続ける。ボトルに戻る溶液の流量を測定することによって、ダルシーの法則を利用して、充填された粒子の水力学的透過性を計算することができる。温度変化は無視することができ、点眼ボトル内の気体の質量は搾りの前後で一定のままなので、理想気体の法則から以下のことがわかる:
P0V0=Pf(V0+ΔV)(式12)
式中、P0は、大気圧にも等しいボトルを絞る前の点眼ボトル内の圧力であり、Pfは、ボトルを絞った後のボトル内の圧力であり、V0は、アプリケータにより点滴ボトルが絞られる前の空気の体積であり、ΔVは、ボトルから押し出されるDI水の体積に対応する。表2は、p-HEMA粒子の水力学的透過性値、および25%/75%のp-HEMA/TBM粒子の異なるサイズ画分を提示する。プラグ内の粒子を圧縮および充填するために使用されるフィルタ布を追加すると、製剤の流れに対する追加の抵抗が誘発されることが注目された。これは、すべてのサイズ画分について観察され、水力学的透過性の低下をもたらす。この問題を解決するために、フィルタ布の層が透過性のフィルタ紙に置き換えられた。すべてのサイズ画分について>1Daの高い水力学的透過性は、フィルタ材料の主要な設計制約のうちの1つを満たす。
【0154】
(表6)p-HEMA粒子の水力学的透過性および25%/75%p-HEMA/TBM粒子の異なるサイズ画分の要約
【0155】
界面張力
フィルタ処理された眼科製剤の動的界面張力は、Kruss DSA 100(Drop Shape Analyzer)という名称の市販の自動化された機器を使用して、ペンダント液滴テンシオメトリーを介して測定された。ペンダント液滴は、周囲の相として空気で14ゲージのニードルの先端に懸濁された、フィルタ処理された製剤の液滴である。製剤の液滴の軸対称のシルエットは、一定の時間間隔で画像化され、Young-Laplace方程式に繰り返し適合させて、その動的な表面張力を時間の関数として測定する。この堅牢な方法は、一般に、液滴の曲率および製剤の濃度に基づく界面張力の高速かつ正確な推定に起因して用いられている。
【0156】
BAKは、カチオン性界面活性剤であるため、BAKを含有する溶液の表面張力は、水の表面張力よりも低く、これを使用して溶液中のBAKの濃度を決定することができる。
図5および
図25に示すように、0.002~2mg/mLの範囲の濃度に対するBAK溶液の動的表面張力を測定することによって、溶液表面張力をBAK濃度に関連付ける較正曲線を構築した。カチオン性界面活性剤であるBAKを含有する水系の場合、平衡表面張力が得られるまで動的界面張力が急速に低下する。製剤の動的表面張力が平衡状態に到達するために必要であり得る時間スケールは、約12分である。12分よりも長い時間間隔で、顕著な変化は観察されなかった。平衡界面張力、すなわち、界面表面生成の12分後の懸濁製剤の動的界面張力を使用して、
図6に示すように、較正溶液中のBAK濃度の関数として平衡界面張力の較正曲線を構築した。界面張力の動力学は、界面表面上の遊離界面活性剤単位の吸着および脱着の反応速度論によって速度制限されるため、定常状態のラングミュア吸着等温線モデルは、
とともに、ラングミュア表面状態方程式を使用して、平衡界面張力およびフィルタ処理された製剤の濃度を関連付ける。定常状態のラングミュア吸着等温線および状態の方程式は、以下によって与えられる:
式中、
Γeqは、平衡モル表面濃度であり、
Γ∞は、最大モル表面濃度であり、
Сは、水性製剤のバルク濃度であり、αおよびβは、吸着定数および脱着定数であり、
Rは、理想気体定数であり、γ
Οは、純粋な溶媒(PBS)の界面張力であり、γは、12分間の界面表面生成後に記録された平衡界面張力であり、
Τは、薬物/BAK製剤の界面張力の取得ための動作温度(室温、298Kで記録)である。最小二乗最小化プロトコルを使用して、実験的な平衡表面張力値に適合させ、ラングミュア吸着等温線モデルにおける適合パラメータを計算した。吸着および脱着速度定数の比である、適合パラメータ
Γ∞、最大表面被覆率、および(β/α)は、それぞれ、611.606m
3/モル、2.352×10
-6モル/m
2であると推定された。評価された速度定数の比である、
Γ∞、最大表面被覆率、および(β/α)を含む潜在的に有利な適合パラメータにより、フィルタ処理された製剤におけるBAKの濃度を、定常状態ラングミュア吸着等温線に基づいて計算した。
【0157】
BAKの選択的な除去
BAKの選択的な除去の効能を、約0.1gのp-HEMAもしくは(p-HEMA/TRIS/メタクリル酸tert-ブチル)粒子、または0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が事前充填された、テーパプラグ付きの改変された30mLの点眼ボトルによって評価した。プラグを取り付ける前に、設計された点眼ボトルを、10mLの薬物/PBS溶液で満たした。試験のために、点眼ボトルを反転させてから絞り、0.5mLのアリコート、約15滴のフィルタ処理された薬物製剤を送達した。標準的な5mLのバイアルまたはマイクロプレートを使用して、表面張力測定のためのフィルタ処理された製剤を回収した。目盛り付きの3mLのルアーロックシリンジおよびニードルを使用して、バイアルまたはマイクロプレートから投与された製剤を抜き取った。投与された溶液の流量を100μ1/分に維持することによって、14ゲージのニードルから吊り下げられたフィルタ処理された製剤の30μLのペンダント液滴を作成した。フィルタ処理された薬物製剤の界面張力測定は、DSA Krussペンダント液滴テンシオメータで行われた。24時間の投与計画は、抜き取られたフィルタ処理された製剤(0.5mL)の連続バッチ間に割り当てられ、それらの表面張力を監視した。すべての界面張力測定は、約25°Cの室温で行われた。
【0158】
UV吸光度
この研究のために使用される実験室製の親水性薬物製剤には、マレイン酸チモロール(0.5%)、レボフロキサシン(0.5%)、ドルゾラミド(2%)、酒石酸ブリモニジン(0.2%)、ピロカルピン(0.1重量%)およびコンビガン、酒石酸ブリモニジン(0.2重量%)およびマレイン酸チモロールの組合せ治療製剤が含まれる。Visine(登録商標)ドライアイ軽減潤滑剤点眼薬およびマレイン酸チモロール点眼液を含む市販の製剤は、追加の処理なしで供給された状態で使用された。UV-Visスペクトル測定の前に完全な混合を確実にするために、PBS中の薬物の水溶液は、それらを1分間ボルテックス混合に供することによって調製された。薬物の完全な溶解を確実にするために、PBS中のドルゾラミド(2%)の水溶液を、さらに一晩磁気攪拌のために保持した。滴下投与中のp-HEMAおよびp-HEMA(25v/v%)/メタクリル酸tert-ブチル(75v/v%)粒子系によるすべての親水性薬物の取り込みを、UV-Visスペクトル分析(GENESYS TM 10 UV,Thermo Spectronic,Rochester,NY,USA)によって定量化した。フィルタ処理された薬物/PBS製剤のUVスペクトルは、それぞれ、チモロールについては280~310nm、レボフロキサシンについては265~310nm、ブリモニジンについては210~300nm、ピロカルピンについては210~250nm、コンビガンについては210~310、Visine(登録商標)の市販の製剤については190~240nm、およびドルゾラミドについては220~290nmのスペクトル範囲で得られた。フィルタ処理された製剤中の薬物の濃度は、測定された較正スペクトルと基準較正スペクトルとの間の最小二乗曲線適合法を通して決定された。MATLABのfminsearchモジュールを使用して、フィルタ処理された溶液中の薬物濃度の最適値を推定した。
【0159】
粒子マトリクスによる薬物の取り込み
p-HEMA、p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル、およびp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル/TRIS粒子系による親水性薬物の取り込みを、約0.1gのp-HEMAもしくは(p-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル/TRIS)粒子、または0.07gのp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子が事前充填された、テーパプラグ付きの改変された5mLの点眼ボトルによって評価した。プラグを取り付ける前に、設計された点眼ボトルを、5mLの薬物/PBS溶液で満たした。試験のために、点眼ボトルを反転させてから、最適な力で絞り、フィルタ処理された製剤を1滴送達した。
【0160】
p-HEMAおよびp-HEMA/メタクリル酸tert-ブチル粒子による薬物吸収を監視するために、1日の時間間隔で各フィルタ処理された液滴について、フィルタ処理された製剤のUVスペクトル測定値を得た。UV-Vis測定は、水性PBS溶液中の高い薬物濃度(0.5%)によって制限されていたため、チモロール(0.5%)およびレボフロキサシン(0.5%)のフィルタ処理された液滴を、100倍に希釈して、定量的な測定値を得た。同様に、300倍の希釈を使用して、ドルゾラミド/PBS溶液のUVスペクトルを得た。
【0161】
疎水性薬物
材料の選択
pHEMA粒子から作製されたプラグは、BAKを効果的に除去するが、疎水性薬物であるデキサメタゾンの濃度は、最初の数滴において大幅に低下する。疎水性薬物は、pHEMAよりも親水性のマトリクスに結合しない場合がある。1つの可能な改善は、BAKおよび薬物のメタクリル酸への結合を試験することであった。
【0162】
材料
メタクリル酸、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、および過硫酸カリウムは、Sigma-Aldrichから購入した。ビマトプロストおよびラタノプロストは、Carbosynthから購入した。塩化ベンザルコニウムは、MP Biomedicalsから購入した。ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)は、PolySciences,Incから購入した。SR-9035は、Sartomerから提供された。Darocur TPOおよびDarocur 1173は、Ciba Specialty Chemicalsから提供された。リン酸緩衝生理食塩水、1倍の(PBS)は、Mediatech,Incから購入した。ガラスビーズ(直径0.1mm、CAT番号11079101)は、BioSpecから購入した。
【0163】
分配係数
モノマー混合物を水でポリマー化することによって平らなシートを準備する方が、粒子を作製するよりも容易である。したがって、メタクリル酸(MAA)の粒子を製造する前に、2.7mLのモノマーの混合物を2mLの脱イオン水に光重合することによって、厚さ100ミクロンのヒドロゲルシートを準備することによって、分配係数を測定した。8mgのDarocur TPOを追加した。次に、ゲルを、1cm×1cmの正方形に切断した。脱イオン水に24時間浸して洗浄した後、ゲルを測定して湿重量を測定した。ゲルを乾燥させ、重量を測定して乾燥重量を決定した。この後、ゲルをPBSで再水和し、次に、100μg mL-1のBAK/PBS溶液または250μg mL-1のビマトプロスト/PBS溶液のいずれかに入れた。溶液を24時間ごとに測定して、取り込みを決定した。平衡に到達した後、次に、ゲルを空のPBSに入れて放出を測定した。結果は、分配係数(K)の計算のために使用することができる。水分率を分配係数から差し引いて、K-fを得た。
【0164】
図29は、HEMA/MAAゲルの分配係数データを示す。MAAを増加させると、薬物分配係数が直線的に減少した。100%のメタクリルゲル(1%の架橋剤を含む)では、0.39±0.15の分配係数が見られた。BAKの分配係数は示されていない。純粋なHEMAは、約400の分配係数を示し、MAAは、約800の分配係数を示し、これは、溶液からBAKを除去するためにメタクリル酸がHEMAよりも優れていることを示唆している。
【0165】
粒子および先端の調製
ヒドロゲル粒子は、1.5mLのモノマー/架橋剤を12mLの脱イオン水と一緒に混合することによって合成された。メタクリル酸(MAA)粒子が著しく膨潤するため、高濃度の架橋剤が使用されたが、これは先端においては望ましくない。薬物が疎水性架橋剤に高濃度で結合する可能性があるため、親水性架橋剤も使用した。溶液を窒素で30分間パージした。光開始のために、20μLのDarocur 1173を追加した。次に、310nmで急激にピークに到達する16.50mW/cm2の強度を有するUVB-10トランスイルミネータ(ULTRA・LUM INC,Carson,CA,USA)によって、溶液にUV光を6時間照射した。溶液を、300rpmで攪拌棒で混合した。熱開始のために、過硫酸カリウム8mgを追加した。次に、溶液を60℃の温水浴に入れ、300rpmで撹拌棒で混合した。
【0166】
ポリマー化の後、溶液を、複数の脱イオン水に浸した。各浸漬後、粒子を真空排気し、乾燥させた。使用された熱開始粒子の粒径が細かいため、フィルタの目詰まりを防ぐために、より大きなメッシュサイズを使用する必要があった。5回洗浄した後、0.1gの粒子を除去し、3mLのPBSに入れ、24時間放置した。次に、溶液を分析して、溶液に浸出するヒドロゲル材料のレベルを決定した。吸光度ピークが0.1を超えていた場合、粒子を戻して、さらに5回洗浄した。
【0167】
最後に粒子を洗浄して乾燥させた後、最初に2層のフィルタ紙を先端に入れ、0.1~0.15gの材料で満たしてから、さらに2層のフィルタ紙を先端に入れることによって、フィルタ先端を製造した。
【0168】
先端に充填された粒子によるBAKの取り込み
フィルタを通じた塩化ベンザルコニウムの取り込みを、0.1mg mL-1のBAK/PBS溶液を使用して測定した。点眼ボトルを、5mLのBAK溶液で満たしてから、先端およびフィルタで蓋をした。次に、5滴を、200μLのキュベットに溶出し、UV-vis分光光度法を使用して、溶出された体積を測定した。24時間後に、このプロセスを繰り返した。これにより、迅速な連続で1日あたり5滴の速度で溶出した。
【0169】
次に、塩化ベンザルコニウムおよび別のヒドロゲル材料の2つの適合パラメータを使用して、測定結果を分析することができる。ヒドロゲル材料のUV-visスペクトルは、フィルタを通してPBSを流動させることによって回収した。
【0170】
先端に充填された粒子による薬物の取り込み
薬物の取り込みには、250μgmL-1のビマトプロスト/PBS溶液および50μgmL-1のラタノプロスト/PBS溶液を使用した。取り込みは、1滴単位で分析された。キュベットがスケール上に置かれている間、一滴が200μLのキュベットに溶出された。これにより、溶出質量の測定が可能になった。液滴をPBSで希釈して、測定のための体積を得た。ビマトプロストの場合、溶出された1滴を、10倍に希釈した。ラタノプロストの場合、溶出された1滴を、4倍に希釈し、キュベットのプラットフォームを上昇させるためのスタンドが必要であった。
【0171】
希釈後、サンプルを、UV-vis分光光度法により測定した。次に、BAKの分析方法と同様に、測定結果に、2つのパラメータ適合を適合することができる。
【0172】
図30は、75/25のMAA/HEMAフィルタのビマトプロストの取り込みを検査する。最大取り込みは、約64.0%であると測定され、これは、75/25画分の測定された分配係数と一致しており、2番目の液滴に対する67.9%の取り込みを予測するであろう。しかしながら、このような取り込みは、許容可能な目標である<5%を超えて高すぎる。
【0173】
この高い取り込みのため、HEMAは、フィルタ配合から完全に除去された。MAAの高い膨潤により、架橋剤の量が多くなるため、DEGDMAの親水性架橋剤を選択し、20%~80%の重量分率で追加した。架橋剤が50%よりも大きい画分では、最も可能性の高いことには動的時間の減少に起因して、BAKの取り込みが不十分になり始めた。60%のMAAおよび40%の架橋剤の分率を追求した。
図31は、このフィルタがBAKを十分に取り込んでいることを示している(>95%)。
図32は、両方の薬物の取り込みが以前の症例から減少していることを示しているが、ビマトプロストについての最大取り込み18%±7%(n=12)およびラタノプロストについての24%±10%(n=9)は、依然として許容可能な限界を超えていた。純粋なガラスビーズのフィルタは、ビマトプロストの取り込みが無視することができる程度であり(
図33)、60/40のMAA/DEGDMA粒子と混合して、薬物の取り込みを低減しようと試みた。
【0174】
図34は、ガラスビーズの存在による薬物取り込みが、両方の薬物について<10%に減少したことを示している。理論に縛られることを意図しないが、この大きな減少は、部分的にはガラスビーズが材料を浸出しないためであると考えられており、これは、ガラスなしで報告された結果が、粒子材料に起因する干渉がより多く、よって取り込みを過剰に報告していることを意味している。
図35は、50/50のヒドロゲル/ガラスフィルタによるBAK取り込み(>95%)が依然として維持されたことを示している。しかしながら、粒子へのガラスの導入は、不均一な混合をもたらした可能性があるため、そのようなフィルタは、2つのフィルタ材料の一貫性のない画分を有する可能性がある。
【0175】
サイズ分析
粒子をふるい分けして、直径63~125μmの範囲の粒子を回収した。次に、125μmのスペーサのメッシュを較正曲線として使用して、粒子の平均直径を決定した。
【0176】
図36は、60/40のMAA/DEGDMA(熱開始)粒子および0.1mmのガラスビーズの画像を示す。ヒドロゲル粒子は、外観がガラス状であり、指定されたサイズに粉砕された球状またはより大きな粒子の破片であるように見える。ImageJ分析により、直径94±15μmの平均サイズが示された。熱開始を通じて形成された粒子のうちの多くは、125μmのふるいを通して適合させるために粉砕する必要がなかった。
【0177】
他の親水性モノマーも、調査することができる。他の親水性コンタクトレンズモノマーには、N-ビニルピロリドン(NVP)およびN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)が含まれる。単一の予備的な分配係数分析により、NVPがMAAよりもBAKの取り込みが高いことが示された。80%のDMA、20%のSR-9035のゲルを1回実行すると、ビマトプロストについてのKが0.22であることがわかった。
【0178】
点眼ボトルのプロトタイプに統合されたpHEMA-MMA粒子によるビマトプロスト溶液からのBAKの除去
pHEMA-MMAのゲルは、2mLのモノマー溶液、2.7mLの水、架橋剤としての10μLのエチレングリコールジメタクリレート、および光開始剤としての6mgのDarocur TPOを使用して合成された。モノマー溶液には、HEMAおよびMAAの異なる分率を有した(すなわち、60%のMAAは、1.2mLのMAAおよび0.8mLのHEMAであるだろう)。ゲルは、厚さ100ミクロンの金型においてUV光の下で硬化し、続いて、質量約50mgの断片に切断された。いくつかのゲルにBAKを添加して、3倍(または300ppm)の初期濃度を得、3mLの溶液(0.025%のビマトプロスト/PBSの1倍または0.2%のBAK/PBS)に入れた。溶液中の濃度を、UV-vis分光光度法を使用して測定した。平衡に達したら、ゲルを、3mLの空のPBSに入れ、UV-vis分光光度法によって、放出を監視した。取り込みおよび放出平衡濃度を使用して、分配係数を計算した。
図37および38は、様々なゲルコポリマー組成物についてのビマトプロストおよびBAKの分配係数のプロットである。より高いMAA濃度では、ビマトプロストは、溶液中に留まる傾向があるが、BAKは、すべてのゲルコポリマー組成物に対してゲルに強く分配される。
【0179】
0.06gのp-HEMA粒子が充填されたボトルからの溶出液滴中のビマトプロスト濃度
1.4mlのHEMAモノマー、0.1mlの架橋剤(SR9035)、12mlの脱イオン(DI)水、20μlの光開始剤Darocur(登録商標)1173からゲルを調整し、20mlのバイアル中で混合し、UV光および絶え間ない攪拌の下に置き、粒子を生成した。フィルタ先端は、11ミクロンの孔径のフィルタ紙の層に挿入することによって準備され、0.06gのp-HEMA粒子を、フィルタ先端に入れた。粒子を圧縮した後、フィルタ布で覆った。次に、ボトルを、5mLの0.01%のビマトプロスト/PBSの1倍で満たした。
【0180】
液滴を投与し、UV-vis分光光度法を使用して測定し、フィルタを通過しなかった液滴と比較して、薬物およびBAKの取り込み率を決定した。
図39に例示されるように、14滴を分配した後、ゲル粒子に吸収される追加のビマトプロストは、ほとんどないか、または全くなかった。
【0181】
0.1gの75:25のHEMA-MAA粒子が充填されたボトルからの溶出液滴中のビマトプロストの濃度
0.35mLのHEMAモノマー、1.05mLのMAAモノマー、1mLの架橋剤(SR9035)、12mLの脱イオン(DI)水、および20μlの光開始剤Darocur(登録商標)1173を使用して、ゲル75:25のHEMA-MAAを調製し、20mlのバイアル中で混合し、UV光および絶え間ない攪拌の下に置き、粒子を生成した。フィルタ先端は、最初に11ミクロンの孔径のフィルタ紙および0.06gのp-HEMA粒子の層に挿入することによって準備した。粒子を圧縮した後、フィルタ布で覆った。次に、ボトルを、5mLの0.01%のビマトプロスト/PBSの1倍で満たした。液滴を投与し、UV-vis分光光度法によって測定し、フィルタを通過しなかった液滴の取り込み率に対する取り込み率を決定した。
図40に例示されるように、10滴を分配した後、ゲル粒子に吸収される追加のビマトプロストは、ほとんどないか、または全くなかった。
【0182】
300ppmのBAKが添加された0.1gの75:25のHEMA-MAA粒子が充填されたボトルからの溶出液滴中のビマトプロストの濃度
0.35mLのHEMAモノマー、1.05mLのMAAモノマー、1mLの架橋剤(SR9035)、12mLの脱イオン(DI)水、および20μlの光開始剤Darocur(登録商標)1173を使用して、ゲル75:25のHEMA-MAAを調製し、20mlのバイアル中で混合し、UV光および絶え間ない攪拌の下に置き、粒子を生成した。粒子の一部分1gを、1倍のBAK/水溶液3gに入れた。10日後のBAKの完全な取り込みにより、粒子に対する3倍の濃度が生じた。フィルタ先端は、最初に11ミクロンの孔径のフィルタ紙および0.06gのp-HEMA粒子の層に挿入することによって準備した。粒子を圧縮した後、フィルタ布で覆った。次に、ボトルを、5mLの0.01%のビマトプロスト/PBSの1倍で満たした。液滴を投与し、UV-vis分光光度法によって測定し、フィルタを通過しなかった液滴の取り込み率に対する取り込み率を決定した。
図41に例示されるように、8滴を分配した後、ほとんどのビマトプロストは、ゲル粒子を通過した。
【0183】
25:75のHEMA-MAAゲル粒子におけるビマトプロストの分配係数
25/75のpHEMA/MAAゲルのビマトプロストに対する分配係数は、ゲルが、ビマトプロストについて0.2±0.1の非常に低い分配係数(K)を有し、3倍のBAKによる分配係数が0.5±0.2であることがわかった。
【0184】
0.1gの75:25のHEMA-MAAゲル粒子が充填されたボトルからの溶出液滴中のビマトプロストの濃度
ゲルは、1.5mLのtBMおよび0.5mLのMAAから調製され、UV光下で厚さ50ミクロンの金型において硬化すると、10μLのジエチレングリコールジメタクリレートおよび6mgのDarocur TPOが含まれる。ポリマー化された混合物を、微粉に粉砕した。フィルタ先端は、11ミクロンの孔径のフィルタ紙の層に挿入し、0.06gのp-HEMA粒子をフィルタ先端に入れることによって準備した。これらの粒子を圧縮した後、フィルタ布で覆った。次に、ボトルを、5mLの0.01%のビマトプロスト/PBSの1倍で満たし、フィルタを通過しなかった液滴と比較して、UV-vis分光光度法を使用して、液滴を投与および測定した。
図41に示すように、少量のビマトプロストのみが、ゲル粒子に吸収された。
【0185】
市販の点眼製剤によるBAK除去
点眼ボトルのプラグ(先端)に、マレイン酸チモロールの市販の製剤(Sandoz Inc.)のための0.1gのp-HEMA粒子、およびビマトプロストの市販の製剤(Allegran Inc.)のための0.1gのp-HEMA/MAA粒子を充填した。各測定について点眼ボトルから約0.5mLの市販の製剤を、ペンダント液滴測定のために標準的な3mLのシリンジによって抜き取られた0.5mLのフィルタ処理された製剤ともに投与した。フィルタ処理された製剤の表面張力データを抽出するために、テンシオメータによって液滴形状分析を行った。BAK濃度の関数としての平衡界面表面張力データによる較正曲線を使用して、フィルタ処理された点眼製剤からの濃度およびBAKの部分的除去を推定した。製剤の定期的な表面張力測定を行って、BAKの部分的な除去を監視した。
図42は、表面張力によるBAK濃度の推定を可能にする、ラングミュア界面活性剤吸着等温線モデルに適合する界面の表面張力を示す。
【0186】
定常状態のラングミュア吸着等温線モデルおよびラングミュア表面状態方程式を使用して、平衡界面表面張力データを適合させ、以下に示す:
ここで、最小二乗誤差最小化プロトコルを使用して、実験的な平衡表面張力値および上記のモデルを使用して計算された推定値を適合させる。適合パラメータΓ
∞(最大表面被覆率)およびβ/α(運動速度定数の比)は、それぞれ、0.003309モル/m
2、および462.14m
3/モルであると推定された。
【0187】
市販のビマトプロスト製剤(Allegran Inc.)からの塩化ベンザルコニウムの除去
25v/v%のHEMAおよび75v/v%のMAAを含む粒子ゲルを調製し、pH7±0.5のリン酸ナトリウム緩衝液中に0.1mg/mLのビマトプロストおよび0.2mg/mlのBAKを有する市販のビマトプロスト製剤を使用して、BAKの除去について試験した。
図43は、15滴の33.33μLについて測定された界面の表面張力を示し、
図44は、粉砕された粒子ゲルが充填された先端を通過する際の溶液から、UV-vis分光光度法を使用して測定された、BAKの除去%を示す。ポリマー化された混合物を微粉に粉砕した。再び、高レベルのBAK除去が観察された。
【0188】
落下測定についてのSOPは、以下のとおりである。
UV-Vis分光光度法による単一点眼薬の測定および分析
1.目的
この標準操作手順(SOP)では、点眼ボトルから放出された1滴中の試薬(または複数の試薬)の濃度を分析するために使用される機器およびプロセスを記載する。このSOPは、フィルタ付きまたはフィルタなしの点眼ボトルに適用可能である。点眼薬における濃度の定量化により、挿入されたフィルタによる試薬の取り込み率の計算が可能になる。
【0189】
2.材料
2.1.点眼ボトル
2.2.点眼ボトルの先端(フィルタの有無にかかわらず)
2.3.点眼ボトルのキャップ
2.4.0.5~5mLのピペット(Fisherbrand Elite)
2.5.100~1000μLのピペット(Fisherbrand Elite)
2.6.20~200μLのピペット(Fisherbrand Elite)
2.7.ピペット先端(Fisherbrand Elite)
2.8.マイクロクォーツキュベット、ホワイトウォール、0.4mL、10mm、セル、キュベット、分光計、1cm(Science Outlet)
2.9.マスバランス(Denver Instrument M-220D)
2.10.UV-Vis分光光度計(ThermoSpectronic Genesys 10UV)
【0190】
3.試薬
3.1.リン酸緩衝生理食塩水、1倍の[PBS](コーニング)
3.2.エタノール(200プルーフ、Fisher Scientific)
3.3.脱イオン水[DI水]
3.4.点眼ボトルの製剤(実験ごとに異なる)
【0191】
4.手順
4.1.洗浄キュベット
このセクションの工程は、手順全体を通して繰り返すことができる。使用するとき、このセクションを参照する
4.1.1.キュベットの中のいかなる残留液を除去する
4.1.2.キュベットをDI水で満たし、次にキュベットを空にする
4.1.3.キュベットを2回目にDI水で満たし、次にキュベットを空にする
4.1.4.キュベットをエタノールで満たし、次にキュベットを空にする
4.1.5.キュベットをDI水で満たし、次にキュベットを空にする
4.1.6.キュベットをDI水で満たし、次にキュベットを空にする
4.1.7.乾燥するまでキュベットを空気乾燥する
4.2.点眼ボトルアセンブリ
4.2.1.以前に組み立てられていない場合は、点眼ボトル、先端、および製剤を集める
4.2.2.製剤を点眼ボトルに挿入する
4.2.3.先端をボトルに挿入する
4.2.4.キャップボトル
4.2.5.平衡化が必要な場合は、セクション4.3に進む。そうでない場合は、4.4にスキップする
4.3.平衡化(フィルタのみ)
平衡化により、製剤とフィルタとの間の接触時間が可能になり、フィルタを所望の試薬で飽和させて、点眼薬の使用中の取り込みを防ぐ。
4.3.1.キャップおよび先端が下を向くようにボトルを慎重に反転させる
4.3.2.開始時間をマークし、所望の期間反転し続ける
4.3.3.ボトルを定期的に検査して、製剤の漏れがないことを確認する
4.3.4.所望の期間が経過したら、点眼ボトルを直立位置に戻す
4.3.5.セクション4.4に進んで点眼薬を測定する
4.4.点眼薬の測定
4.4.1.Di水でキュベットの外側を洗浄する
4.4.2.キュベットの中を洗浄するためにセクション4.1に従う
4.4.3.キュベットをPBSで満たす
4.4.4.UV-vis分光光度計にキュベットを挿入する
4.4.5.UV-vis分光光度計を閉じて、空白に設定する
注:波長およびUV-visの設定は、使用される配合に応じて異なる場合がある
4.4.6.空白に設定した後、キュベットを取り外す
4.4.7.洗浄手順のためにセクション4.1に従う
4.4.8.マスバランス上にきれいなキュベットを置く
4.4.9.Tare
4.4.10.点眼ボトルを取り、反転させて、キュベットの上に保持する
4.4.11.1滴がキュベットに落ちるまで、点眼ボトルを静かに絞る
4.4.12.キュベットの落下質量を記録する
4.4.13.点眼ボトルを保管場所に戻す
4.4.14.希釈のために必要なPBSの質量を計算する
注:この追加されたPBSの量は、所望の希釈度に応じて異なる場合がある
4.4.15.適切なピペットおよびピペット先端を使用して、必要な質量のPBSをキュベットに追加し、追加された質量を記録する
4.4.16.キュベットを静かに振って混ぜる
4.4.17.UV-vis分光光度計の中にキュベットを置く
4.4.18.UV-visを閉じて、サンプルを測定する
4.4.19.記録データ
4.4.20.キュベットを取り外し、セクション4.1に従って洗浄する。
4.4.21.同じ製剤で2番目のサンプルを測定する場合は、工程4.4.8から開始する
【0192】
5.データ分析
この手順では、点眼ボトルを出た後、製剤溶液の希釈液滴のスペクトルを回収する。濃度を計算するために、既知の濃度溶液の測定スペクトルである較正曲線とスペクトルを比較することができる。2つを比較して、測定曲線および較正曲線のスペクトル高さ間の比率を求め、これは、それらの濃度と同じ比率である。この手順では、セクション4.4で説明された手順によって較正曲線を集めたが、既知の濃度の溶液(通常は開始溶液)を使用した。この溶液は、いかなるフィルタを通しても送られず、溶液が取り込まれない場合が示された。液滴が測定され、較正曲線と比較されると、それは濃度に変換され得、希釈を考慮すると、取り込まれた薬物の量を示し得る。この消失した質量の分率は、フィルタによる取り込み率と見なされる。
【0193】
BAK除去の標準的な操作手順。
目的/背景
この手順の目的は、市販の点眼製剤からの塩化ベンザルコニウムの除去を評価するための情報を提供することである。市販の複数用量の点眼製剤には、製剤の無菌性を維持するために、防腐剤、すなわち、塩化ベンザルコニウムが追加されている。複数用量の製剤の高頻度の投与は、そのような防腐剤の全身への取り込みの増加につながる。これは、角膜に不可逆的な損傷を引き起こす。p-HEMAまたはp-HEMA/MAA粒子から作製されたフィルタは、安全な複数用量の防腐剤を含まない製剤を送達するために設計されている。BAKの濃度はフィルタ処理された製剤では著しく低いため、界面の表面張力データを使用して、製剤からの防腐剤の画分的な除去を評価する。この手順では、ペンダント液滴テンシオメータで最小量のバックグラウンドのみを使用してプロトコルに従いながら、BAK除去の評価のために使用される詳細な表面張力測定を行うための十分に完全な説明に従う。
【0194】
化学薬品
●モノマー:Sigma-Aldrich Chemicals(St.Louis,MO,USA)製のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA、97%)モノマーおよびメタクリル酸(99%)
●架橋剤:Sartomer(Warrington,PA,USA)から入手したエトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9035)
●光重合開始剤:Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USA)によるPhoto-initiators Darocur(登録商標)1173
●Decon Laboratories Inc.(King of Prussia,PA,USA)製のエタノール(200プルーフ)
●MP Biomedicals,LLC製の塩化ベンザルコニウム
●脱イオン水
【0195】
材料および機器
●Whatman(C)国際限定フィルタ紙サイズ1(直径11cm、孔径11μm)
●BD,Franklin Lakes,NJ,USA製のルアーロック先端シリンジ
●Creative Hobbies製の14ゲージ、1.5インチの精密アプリケータディスペンサニードル
●Topwell Inc.,Lexington,KY,USA製の標準的な30mlの点眼ボトル
【0196】
手順
フィルタ床の調製
●設計された点眼ボトルの標準的な先端またはプラグを切り離す。
●プラグ(点眼器の先端)を確認して、欠けたり割れたりしていないことを確認する。
●プラグのノズルを2層のフィルタ紙で満たす。フィルタ紙(プラグのノズルの公称直径に基づいて事前に切断されている)がノズルを覆っていることを確認する。これは、充填されたフィルタからのより細かい粒子が、フィルタ処理された点眼製剤とともに分配されないことを確実にするためである。
●約0.1gの既製のp-HEMAまたはp-HEMA/MAA粒子を測定する。プラグのノズルの下の領域に粒子を充填する。
●プラグの基部をフィルタ布の層で覆って、プラグ内で完全な状態を確保する。
●フィルタ布の層をピンセットで軽くたたいて、プラグの基部の近くの完全な状態を確保する。
●提案された設計を完了するために、点眼ボトルの首にフィルタ/充填プラグを取り付ける。
●すべての点眼ボトルに、充填された粒子の含有量および種類のラベルが付いていることを確認する。
【0197】
粒子の洗浄に関する一般的なガイドライン
●設計された点眼ボトルから粒子が充填されたプラグを切り離す。
●10~15mlのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を点眼ボトルに移し、充填されたプラグをボトルに戻す。
●点眼ボトルを静かに絞って、移したリン酸緩衝生理食塩水10mlを点眼ボトルから抜き取る。この工程により、PBSにさらされるとフィルタ床内の不純物が確実に浸出される。
●設計された点眼ボトルから洗浄されたフィルタを取り外す。
●点眼ボトルをDI水ですすぎ、風乾してから点眼製剤を移す。
●市販の点眼製剤(塩化ベンザルコニウム0.01%)10~15mlを点眼ボトルに移し、洗浄されたフィルタをボトルに戻す。
【0198】
ガイドライン前表面張力の測定
●点眼ボトルを埋め込まれたフィルタで静かに絞って、市販の点眼製剤0.5mlを抜き取る。フィルタ処理された製剤の希釈を避けるために、0.5mlの初期用量を抜き取る。
●フィルタ処理された製剤の表面張力を測定するために、0.5mL(それぞれ33μlの約15滴)の体積を投与する。24時間後、フィルタ処理された製剤の別のバッチ(0.5mL)を抜き取り、フィルタ処理された製剤の表面張力を監視する。
●標準的な5mlのバイアルまたはマイクロプレートを使用して、表面張力測定のためのフィルタ処理製剤を回収する。投与された製剤を回収する前に、バイアルまたはマイクロプレートの表面をアセトンおよびDI水ですすぐ。
●新しいルアーロックシリンジおよびニードルを使用して、バイアルまたはマイクロプレートから投与された製剤を抜き取る。
【0199】
ペンダント液滴テンシオメータを使用した表面張力の測定
このセクションは、DSA Krussペンダント液滴テンシオメータおよびDSA v 1.9Drop Shape Analyzerのユーザを対象としており、界面の表面張力測定の実行を支援する。
●DSA100ペンダント液滴テンシオメータ上で切り替える。執筆時点で、DSA v。1.9は、表面張力測定のためのテンシオメータを操作するために使用されるソフトウェアパッケージである。ショートカットシンボルを用いてDSA1ソフトウェアを起動する。以下の図は、DSAソフトウェアのユーザインターフェイスを示している。
●傾斜の傾斜角が0
oに設定されていることを確認する
●以下のメニュー項目FG>取得を選択して、画像送信をライブモードに設定する。代替的に、ショートカットキーF5を使用して同じことを行うこともできる。
●オプションメニューで、液滴タイプおよびサブタイプオプションを順番に選択する。液滴タイプがペンダント液滴[PD]およびサブタイプとして選択されている、液滴の構成は、Top->Bottomとして設定されていることを確認する。
●投与された製剤を含有するルアーロックシリンジを手動の堆積システムに適合させる。以下の例示は、堆積システムに位置付けられた事前に満たされたシリンジを示している。シリンジのプランジャの先端が堆積システムとずれている場合は、DSAデバイスのコントロールパネルの下にある補充タブをクリックする。これにより、堆積システムにあるノブの位置が上に移動し、プランジャ用の空間が確保される。
●画像に表示されるまで、ニードルの位置を下に動かす。これは、デバイスのコントロールパネルにあるスクロールバーの位置を調節することで実行することができる。代替的に、ショートカットキーのPage UpおよびPage Downによってニードルの位置を制御することもできる。
●レンズのズームを調整して、ニードルの画像がフレームの中心を占めるようにする。これは、DSA 100機器の左上にある「ズーム」ノブを回転させることによって実行される。画像の鮮明度を調節するためには、オプション>フォーカシングアシスタントをクリックし、DSA100機器の左上にあるフォーカスノブを調整する。「中央値」フィールドは色分けされており、大きな数値を示す緑色で表示されるべきである。中央値の適切な範囲は、75~80である。代替的に、ショートカットキーのHomeおよびEndをそれぞれ使用することによって焦点距離を調節することができる。
●デバイスのコントロールパネルで投与タブを選択する。シリンジ内の製剤は、投与タブにある2つの動作ボタンを使用して投与することができる。矢印の方向は、シリンジプランジャの動きに対応している。上矢印の付いたボタンをクリックして、シリンジから液滴を投与する。
●投与モードが連続に設定されていることを確認する。投与速度は、入力フィールドまたはスライド式コントローラを使用して入力することができる。シリンジ内のフィルタ処理された製剤の体積は、わずか0.5mlであるため、設定される推奨流量は、20~200μl/分である。投与速度を上げると、液滴の生成には好適でないが、シリンジ内の含有量を空にするだけになる。
●液滴がフレーム全体の高さの80%を占めるように、ズームおよびニードルの高さを調節する。画像には3色の線が含まれる。これらの線は、製剤の表面張力を評価するためにソフトウェアが使用する液滴の曲率の領域を定義する。マウスキーを押したままにすることによって移動することができる。
●上の2つの線がニードルの領域内に位置付けられていることを確認する。ニードルの幅は、これら2つの線の間で測定される。下の線は、製剤の液滴とニードルとの間の移行点よりもわずかに下に置かれている。ソフトウェアは、表面張力の評価のために、この線よりも下の液滴の曲率を使用する。
●ニードルの幅に基づく手動較正:液滴の標準的な画像には、画像の横幅8インチに対して768ピクセルが含まれている。ペンダント液滴測定のために使用される14ゲージ1.5インチの精密ニードルの公称外径は、0.5144mmである。カスタムソフトウェアを使用して、液滴画像をインポートし、ニードルの幅をインチで推定することができる。画像のスケールまたは倍率は、ニードルの直径に基づいて計算される。
●オプションメニューの液滴情報をクリックし、それぞれの入力フィールドでパラメータの値を確認する。ニードルの直径および計算された倍率が正しい値に設定されていることを確認する。製剤の表面張力が流体と空気との界面に基づいて測定される場合、埋め込み相の密度は空気の密度に設定される。
●すべてのパラメータを設定したら、メニューの下のシンボルバーにあるシンボルをクリックする。DSA1は、液滴を囲む緑/赤の輪郭によって示される液滴の形状を決定および抽出する。
●シンボルバーのシンボルをクリックする。製剤の表面張力は、ヤングラプラス近似を使用して計算される。測定値が結果ウィンドウに表示される。
●製剤の表面張力を関数時間として監視するため、すなわち、製剤の動的表面張力を測定するためには、オプションの下にあるTracker-manをクリックする。動的測定の期間を入力し、以下の項目「抽出プロファイルおよび計算」がチェックされていることを確認する。機能を開始して、一定の時間間隔で製剤の界面表面張力の推定値を得る。
●24時間後、フィルタ処理された製剤の別のバッチ0.5ml(それぞれ33μlの約15滴)を抜き取り、フィルタ処理された製剤の表面張力を監視する。10mlの製剤が投与されるまで、測定を繰り返す。
【0200】
以下は、ヒドロゲル粒子の調製のためのSOPである。
点眼フィルタのためのドロゲル粒子の調製
1.0 目的
このSOPは、点眼薬溶液のために設計されたフィルタ先端で塩化ベンザルコニウム(BAK)を取り込むための粒子を作製するための、メタクリル酸(MAA)およびメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)の複数の比率での生成について記載する。
【0201】
2.0 試薬および材料
2.1 化学物質
2.1.1 モノマー:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA、97%)モノマーおよびSigma-Aldrich Chemicals(St.Louis,MO,USA)製のメタクリル酸(99%)。
2.1.2 架橋剤:Sartomer(Warrington,PA,USA)から入手したエチル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR9035)
2.1.3 光開始剤:Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,USA)による光開始剤Darocur(登録商標)1173。
2.1.4 Decon Laboratories Inc.(King of Prussia,PA,USA)製のエタノール(200プルーフ)。
2.1.5 脱イオン水。
2.2 材料および機器
2.2.1 リットルビーカ(Fisher Industries)
2.2.2 マグネチックスターラ(約5cm*0.6cm)
2.2.3 ヘラ
2.2.4 パラフィルム(Bemis実験室フィルム4’*4’)
2.2.5 乳鉢(13cm*5cm)および乳棒(13cm*3cm)
2.2.6 Whatman(C)国際限定フィルタ紙サイズ1(直径11cm、孔径11μm)
2.2.7 55×17mm(直径×高さ)Pyrex(登録商標)ペトリ皿。
2.2.8 強度16.50mW/cm2のUVB-10トランスイルミネータ(ULTRA・LUM INC,Carson,CA,USA)は、310nmで急激にピークに到達した。
2.2.9 Welch 2546B-01の標準的なデューティ真空フィルタ。
2.2.10 Nalgene(C)180 PVCの無毒性オートクレーブ処理可能なLAB/FDA/USP VIグレード(3/8インチID)。
2.2.11 Corning Pyrex(C)125mlのマイクロフィルタ三角フラスコ。
2.2.12 Coors Coorstek(C)320mlの90mmのセラミックス陶器のブフナー真空フィルタ漏斗。
【0202】
3.0 手順
3.1 粒子の調製工程(バッチサイズ50g)
(モノマー-100%のHEMA)
3.1.1 1リットルのビーカ中に、42ml(1T)のHEMAモノマー、3ml(0.07T)の架橋剤SR9035、360ml(8.5T)の脱イオン(DI)水を混合する。
3.1.2 マグネチックスターラを使用して、室温で900rpmで20分間混合物を攪拌する。
3.1.3 純窒素で30分間バブリングすることによって、混合物を脱酸素化する。
3.1.4 脱気工程後、300μl(0.007T)の光開始剤Darocur(登録商標)1173を追加する。
3.1.5 次に、310nmで急激にピークに到達する強度16.50mW/cm2のUVB-10トランスイルミネータ
(ULTRA・LUM INC,Carson,CA,USA)によって、混合物に2時間UV光を照射する。
3.1.6 UV硬化中、水の蒸発および酸素化を避けるために、ビーカの上部がパラフィルムシートで覆われていることを確認する。また、磁気攪拌棒を使用して、混合物を約90rpmで連続的に攪拌する。
3.1.7 ポリマー化の工程後、混合物を約1500rpmで撹拌し(大きなモータスターラを使用して)、そのように形成されたゲルを崩壊させる。
3.1.8 次に、ゲルを真空フィルタ処理法によって溶液から分離させ、大量のDI水で洗浄する。
3.1.9 次に、ゲルを130~140°Fで24時間乾燥させる。
3.1.10 乳鉢および乳棒を使用して得られたゲルを粉砕し、粒子を得る。
3.2 粒子の調製工程(バッチサイズ50g)
(モノマー-50%のHEMA+50%のメタクリル酸)
3.2.1 1リットルビーカ中に42ml(1T)の2つのモノマー(21mlのHEMA+21mlのメタクリル酸)、3ml(0.07T)の架橋剤SR9035、360ml(8.5T)の脱イオン(DI)水。
3.2.2 マグネチックスターラを使用して、室温で900rpmで20分間混合物を攪拌する。
3.2.3 純窒素で30分間バブリングすることによって、混合物を脱酸素化する。
3.2.4 脱気工程の後、300μl(0.007T)の光開始剤Darocur(登録商標)1173を追加する。
3.2.5 次に、310nmで急激にピークに到達する強度16.50mW/cm2のUVB-10トランスイルミネータ
(ULTRA・LUM INC,Carson,CA,USA)によって、混合物に2時間UV光を照射する。
3.2.6 UV硬化中、水の蒸発および酸素化を避けるため、ビーカの上部がパラフィルムシートで覆われていることを確認する。また、磁気攪拌棒を使用して、混合物を約90rpmで連続的に攪拌する。
3.2.7 ポリマー化の工程後、混合物を約1500rpmで撹拌し(大きなモータスターラを使用)、そのように形成されたゲルを崩壊させる。
3.2.8 次に、ゲルを真空フィルタ処理法によって溶液から分離させ、大量のDI水で洗浄する。
3.2.9 次に、ゲルを130~140°Fで24時間乾燥させる。
3.2.10 乳鉢および乳棒を使用して得られたゲルを粉砕して、粒子を得る。
3.3 粒子の調製工程(バッチサイズ50g)
(モノマー-75%のメタクリル酸+25%のHEMA)
3.3.1 1リットルビーカ中に42ml(1T)の2つのモノマー(31.5mlのメタクリル酸+10.5mlのHEMA)、3ml(0.07T)の架橋剤SR9035、360ml(8.5T)の脱イオン(DI)水。
3.3.2 マグネチックスターラを使用して、室温で900rpmで20分間混合物を攪拌する。
3.3.3 純窒素で30分間バブリングすることによって、混合物を脱酸素化する。
3.3.4 脱気工程の後、300μl(0.007T)の光開始剤Darocur(登録商標)1173を追加する。
3.3.5 次に、310nmで急激にピークに到達する強度16.50mW/cm2のUVB-10トランスイルミネータ(ULTRA・LUM INC,Carson,CA,USA)で混合物にUV光を2時間照射する。
3.3.6 UV硬化中、水の蒸発および酸素化を避けるため、ビーカの上部がパラフィルムシートで覆われていることを確認する。また、磁気攪拌棒を使用して、混合物を約90rpmで連続的に攪拌する。
3.3.7 ポリマー化の工程後、混合物を約1500rpmで撹拌し(大きなモータスターラを使用)、そのように形成されたゲルを崩壊させる。
3.3.8 次に、ゲルを真空フィルタ処理法によって溶液から分離させ、大量のDI水で洗浄する。
3.3.9 次に、ゲルを130~140°Fで24時間乾燥させる。
3.3.10 乳鉢および乳棒を使用して得られたゲルを粉砕して、粒子を得る。
3.4 粒子洗浄工程
(すべてに共通)
3.4.1 未反応のモノマー部分および他の不純物を除去するために、マグネチックスターラを使用して300rpmで混合物を撹拌しながら、粉砕した粒子を800ml(19T)のエタノールに2日間浸す。毎日溶媒を交換することを確保する。真空フィルタ処理を使用してエタノールから粒子を分離させ、130~140°Fで24時間乾燥させる。
3.4.2 エタノール洗浄後、マグネチックスターラを使用して混合物を300rpmで攪拌しながら、粒子を800ml(19T)のDI水に4日間浸す(毎日水を交換する)。真空フィルタ処理を使用して粒子を水から分離させ、130~140°Fで24時間乾燥させて、最終洗浄粒子を得る。
【0203】
本明細書に開示の医薬製剤の態様において使用され得る、例示的な溶液、乳液、または懸濁液を表1~4に示す。以下の表における例示的な溶液、乳液、または懸濁液は、本開示の防腐剤除去デバイスおよび防腐剤を除去する方法に統合され得る。本明細書に記載の防腐剤除去デバイス、マトリクス、および方法の1つ以上の実施形態、変形例、および実施例は、絞り可能なボトルを含み得る点眼薬分配システムに組み込まれ得る。絞り可能なボトルは、流体が保存され得るリザーバを含み得る。リザーバに保存される流体は、表7~10に提供される例を含め、本明細書に記載の溶液、乳液、または懸濁液の実施形態、変形例、または実施例を含み得る。
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
本明細書で参照または引用されたすべての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲で、すべての図および表を含め、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0209】
本明細書に記載の実施例および実施形態は例示のみを目的とするものであり、その観点から様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の精神および範囲内に含まれることが理解されるべきである。
【0210】
本明細書では本発明の好ましい実施形態を示し、記載してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。上述の明細書を参照して本発明を記載してきたが、本明細書の実施形態の説明および図は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。当業者であれば、これより、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を思い付くであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことが理解されるものとする。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に用いられ得ることが理解されるべきである。したがって、本発明は、そのような代替物、修正物、変形物、または同等物も包含するものと考えられる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの同等物がそれによって包含されることが意図される。