(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】監視システム、電池形電源装置、監視サーバ装置及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20231228BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231228BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H04Q9/00 311D
H04Q9/00 311H
G08C15/00 D
G08C17/00 Z
(21)【出願番号】P 2020522398
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041120
(87)【国際公開番号】W WO2020080531
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2018196263
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515276750
【氏名又は名称】ノバルス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 俊隆
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283669(JP,A)
【文献】特開2004-274296(JP,A)
【文献】特開2015-046769(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115602(WO,A1)
【文献】特開2016-178599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G08C 15/00
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器を遠隔操作するために複数の手動操作部と電池を収納する電池ボックスとを有する操作機器の手動操作を監視する監視システムであって、
前記電池ボックスに装着される電池形電源装置と、
前記電池形電源装置にネットワークを経由して接続されるサーバ装置とを具備し、
前記電池形電源装置は、
前記操作機器の内部電流を検出する電流検出手段と、
前記検出された内部電流の変動を表すデータを前記サーバ装置に送信する送信手段とを有し、
前記サーバ装置は、
前記データを受信する手段と、
前記受信されたデータに基づいて前記複数の手動操作部のうち操作された一の手動操作部を特定する操作特定手段と、
前記特定された一の手動操作部に関する情報又はその集計結果を前記ネットワークを経由して外部の情報処理装置に送信する手段とを有
し、
前記送信手段は、前記内部電流の変動を表すデータとともに、前記電池形電源装置を識別するコード及び前記操作機器の手動操作時刻を表すタイムコードを前記サーバ装置に送信することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記内部電流の変動を表すデータとともに、前記外部機器又は前記操作機器の製造元又は供給元を識別するコードを前記外部の情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記内部電流の変動を表すデータに応じたコードと前記複数の手動操作部それぞれを表すコードとを対応付けた操作テーブルを製造元ごとに保管する手段をさらに備え、
前記操作特定手段は、前記内部電流の変動を表すデータと前記製造元を識別するコードとにより前記操作テーブルを照会することによって、前記複数の手動操作部のうち操作された一の手動操作部を特定することを特徴とする請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記電池形電源装置を識別するコード及び前記タイムコードに用いて前記外部機器に対する操作を集計する手段をさらに備えることを特徴とする請求項
1記載の監視システム。
【請求項5】
前記外部機器はテレビ本体であり、前記操作機器はテレビリモコンであり、
前記操作特定手段は前記操作機器により選局されたチャンネルを特定することを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項6】
前記電池形電源装置は、
電池規格に準じた形状及び寸法のケースと、
前記ケースに装備される外部正極端子及び外部負極端子と、
前記ケースの内側に電池を収納するものであって、前記収納された電池の正極端子と負極端子とにそれぞれ接触する内側正極端子と内側負極端子とを有する電池収納部とをさらに備え、
前記電流検出手段は、
前記外部負極端子と前記内側負極端子との間に介在される検出抵抗と、
前記検出抵抗の両端電圧を参照電圧に対して比較するコンパレータとを有することを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項7】
外部機器を遠隔操作するために複数の手動操作部を備えた操作機器の電池ボックスに装着される電池形電源装置において、
電池規格に準じた形状及び寸法のケースと、
前記ケースに装備される外部正極端子及び外部負極端子と、
前記ケースの内側に電池を収納するものであって、前記収納された電池の前後端子にそれぞれ接触する内側正極端子と内側負極端子とを有する電池収納部と、
前記操作機器の内部電流を検出する電流検出手段と、
前記内部電流の変動を表すデータと前記複数の手動操作部それぞれを表すコードとを対応付けた操作テーブル
を保管する手段と、
前記操作テーブルを照会することによって、前記検出された内部電流の変動を表すデータにより前記複数の手動操作部のうち操作された一の手動操作部を特定する操作特定手段と、
前記特定された一の手動操作部を表すコード
とともに、前記電池形電源装置を識別するコード及び前記操作機器の手動操作時刻を表すタイムコードを外部送信する送信手段とを有する、電池形電源装置。
【請求項8】
外部機器を遠隔操作するために複数の手動操作部を備えた操作機器の電池ボックスに装着される電池形電源装置に対してネットワークを介して接続され、前記操作機器の手動操作を監視する
監視サーバ装置であって、
前記電池ボックスに装着された電池形電源装置から、前記操作機器の内部電流の変動を表すデータを受信する
受信手段と、
前記受信されたデータに基づいて前記複数の手動操作部のうち操作された一の手動操作部を特定する操作特定手段と、
前記特定された手動操作部に関する情
報を外部の情報処理装置に送信する
送信手段とを有
し、
前記受信手段は、前記内部電流の変動を表すデータとともに、前記電池形電源装置を識別するコード及び前記操作機器の手動操作時刻を表すタイムコードを受信する、監視サーバ装置。
【請求項9】
外部機器を遠隔操作するために複数の手動操作部を備えた操作機器の電池ボックスに装着される電池形電源装置に対してネットワークを介して接続されるコンピュータを、
前記電池ボックスに装着された電池形電源装置から、前記操作機器の内部電流の変動を表すデータ
とともに、前記電池形電源装置を識別するコード及び前記操作機器の手動操作時刻を表すタイムコードを受信する手段と、
前記受信されたデータに基づいて前記複数の手動操作部のうち操作された一の手動操作部を特定する操作特定手段と、
前記特定された手動操作部に関する情報又はその集計結果を外部の情報処理装置に送信する手段として機能させるための監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、電池形電源装置、監視サーバ装置及び監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサ技術を用いた様々な高齡者の見守り監視システムが登場している。例えば、見守り監視システムは、家の中で高齢者が必ず利用するトイレなどの場所に人感センサを設置し、人感センサからのセンサ情報をサーバ装置で収集するシステムである。遠隔地に居る高齢者の子供は、スマートフォンなどの携帯型情報端末を用いてサーバ装置により提供される見守りサイト上で、センサ情報の収集結果を閲覧することができる。
【0003】
既存の家電リモコンの電池ボックスに乾電池として装着することができる電池形電源装置がある。電池形電源装置は無線通信機能を有する。例えば、電池形電源装置は、赤外線LEDを使ったテレビリモコンの電池ボックスに装着され、ユーザのボタン操作によって赤外線LEDに流れる電流を検出して無線にて信号を送出して遠隔地にいる家族などはその使用頻度を知ることができる。
【0004】
しかしながら、テレビリモコンに装着されている電池形電源装置はリモコンボタンが押されたことは検出できるものの、押されたボタンの判別までは出来なかった
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、複数の手動操作部を有するテレビリモコンなどの操作機器による本体機器に対する操作を遠隔監視するシステムを簡易に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る監視システムは、電池形電源装置を有する。電池形電源装置は外部機器を遠隔操作するための操作機器の電池ボックスに装着される。電池形電源装置にはネットワークを経由してサーバ装置が接続される。電池形電源装置は、操作機器に流れる内部電流を検出する電流検出手段と、検出された内部電流の変動を表すデータを外部送信する送信手段とを有する。サーバ装置は変動を表すデータを受信する手段と、変動を表すデータに基づいて外部機器で操作された操作部を特定する操作特定手段と、特定された操作部に関する情報又はその集計結果をネットワークを経由して外部処理装置に送信する手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る監視システムを含む全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のテレビリモコンの赤外線送信方式の説明図である。
【
図6】
図6は、
図1の中継端末及びサーバ装置の構成図である。
【
図7】
図7は、
図6のサーバ装置のHDDに保管される電池形電源装置の管理テーブルを示す図である。
【
図8】
図8は、
図6のカスタマーコードとデータコードとを示す図である。
【
図9】
図9は、
図6のサーバ装置のHDDに保管されている操作テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る監視システムは、テレビ本体等の外部機器(被操作機器)の動作を遠隔操作するための複数の手動操作部(操作ボタン)を有するテレビリモコン等の既存の操作機器をそのまま用いて、手動操作部による本体機器の操作を監視することを実現する。この監視システムにおける監視対象としては、電池を収納する電池ボックスとユーザが手動操作するためのボタンやスイッチ等の手動操作部とを有する電池駆動式のテレビリモコン、エアコンリモコン、照明リモコンなどである。このテレビリモコンなどの操作機器の電池ボックスには、電池規格に準じた形状及び寸法で構成された電池形電源装置が装着される。
周知の通り、テレビリモコン等では、操作された手動操作部に応じたパターンで赤外線が点滅し、又は電波強度が変化する。その動きに従って操作機器に流れる内部電流も変動する。電池形電源装置は、それが装着された操作機器に流れる内部電流を検出し、検出した内部電流の変動を表すデータを、電池形電源装置を識別するID(電池形電源装置ID)及び手動操作部が操作された時刻を表すタイムコードとともにスマートフォンなどの中継端末を介して、又は直接的に外部のサーバ装置に送信する機能を有する。
内部電流の変動を表すデータとしては、電流を所定のサンプリング周波数、好ましくは電流波形を再現可能なナイキスト周波数によりAD変換して得られるデジタルデータ、電流を所定の閾値により二値化したデジタルデータ、デジタルデータを所定規則に従って符号化したコード、又はその他の任意の形式が適用され得る。ここでは操作機器の操作ボタンを識別するための区間の二値データ(データコード)として説明する。サーバ装置は、データコード、電池形電源装置ID及び手動操作部が操作された時刻を表すタイムコードを適宜集計し、既定の外部情報処理装置(クライアント端末)に送信する。本実施形態では、テレビリモコンやエアコンリモコンなどの電池式の操作機器をそのまま利用して、操作機器により外部機器がどのような操作がなされたかを遠隔監視するシステムを簡易に実現することができる。
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る監視システムを説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
図1に示すように、監視システムはサーバ装置10を有する。サーバ装置10に対して、電池形電源装置40がネットワーク60を介して接続される。電池形電源装置40は、サーバ装置10に対して、中継端末20、21を経由して、又は直接的に接続される。電池形電源装置40は中継端末20、21に対して典型的にはBluetooth(登録商標)通信規格により接続される。もしくは電池形電源装置40はサーバ装置10に対してLPWA(Low Power Wide Area)の各種通信規格により直接的に接続される。
【0011】
電池形電源装置40は電池規格に準じた形状及び大きさを有し、内部にそれより小型の電池を収容して操作機器の電源として機能する。なお、電池形電源装置40の詳細は後述する。電池形電源装置40は、外部機器として例えばテレビ本体70,72、エアコン室内機本体71,73を遠隔操作するための操作機器として例えばテレビリモコン30,32、エアコンリモコン31,33の電池ボックス(電池ホルダともいう)に装着される。
【0012】
またサーバ装置10には、ネットワーク60を介して、外部の情報処理装置(クライアント端末)50、51が接続される。サーバ装置10は複数のクライアント端末50、51に対して、操作機器の集計結果を送信する。クライアント端末50は、監視システムが提供する監視サービスを利用するユーザが所有する情報通信端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、PC等である。ユーザは、クライアント端末50を用いて、サーバ装置10が提供する監視サイトにアクセスして、操作機器による外部機器の操作に関する集計結果を閲覧することができる。
【0013】
なお、ここでは説明の便宜上、操作機器としてテレビリモコン30を例に説明する。
図2(a)に示すように、典型的には、テレビリモコン30は電源ボタン301、放送種類切替ボタン302、チャンネル選択ボタン(選局ボタンともいう)303、音量調節ボタン304、チャンネル順次選択ボタン305などの手動操作部を装備している。またテレビリモコン30には、
図2(b)に示すように、電池ボックス306が設けられている。電池ボックス306は2本の単三形の電池40、41を装着して使用するが、ここではそのうちの1本が単三形に準じた電池形電源装置40に換装される。
【0014】
ここで日本国内での赤外線LEDを使ったテレビリモコンのデータフォーマットについて広範に用いられているNEC(登録商標)のフォーマットを例に説明する。
図3(a)に示すように、フレームはリモコンの信号が始まる事を示すリーダーコード、リモコンまたはリモコンで操作される外部機器の、製造元(メーカ)または供給元を識別するためのカスタマーコード、チャンネルや音量等の操作ボタンを識別するデータコード、リモコンの信号が終了する事を示すストップコードから構成される。
【0015】
図3(b)に示すように、赤外LED駆動はDuty比1/3の38kHzサブキャリアにて変調される。38kHzの周期は26.3μSなので実際にLEDが点灯する時間はその1/3、すなわち8.8μSである。リーダーコードは16T間すなわち9msの期間、赤外LEDは38kHzで変調されてON状態が続き、次の8T間すなわち4.5mSの期間はOFFとなる。次に16ビットのカスタマーコード(メーカの識別コード)が続く。カスタマーコードの後半はエラーチェック用の前半のデータの反転値である。カスタマーコードに続いてデータコードが16ビット続く。データコードも後半の8ビットは前半の8ビットを反転させたエラーチェック用である。
【0016】
図3(c)に示すように、Tは変調単位であり0.562mSとなっている。最初の1T間は赤外LEDは38kHzサブキャリアにより短い時間で断続的にON/OFFを繰り返している。データ“1”は、次の3T間は赤外LEDは消灯している。従ってデータ“1”は4T=2.25mSかかる。
【0017】
図3(d)に示すように、最初の1T間はデータ“1”と同じだが、次の1T間は赤外LEDは消灯している。従ってデータ“0”は2T=1.125mSかかる。データコードの後には1Tのストップビットが続く。すなわちカスタマーコードでメーカを特定し、特定したメーカに基づいてデータコードから操作ボタンを特定することができる。
【0018】
図4(a)は、
図1の電池形電源装置40の外観を示す斜視図である。
図4(b)は、
図1の電池形電源装置40の内部構造を示す断面図である。
図5は、
図1の電池形電源装置40の等価回路図である。電池形電源装置40は典型的には電池規格に準じた形状及び寸法を有する。ここでは、電池形電源装置40は単3形電池規格に準じているものとして説明する。電池形電源装置40は、単3形電池規格に準じた高さ及び直径の円筒形状のケース41を有する。ケース41の外側の前後端面には、単3形電池規格に準じて外側正極端子43と外側負極端子44とが装備される。電池形電源装置40は、単4形電池(内蔵電池)を収納する円筒形状の電池収納部42を有する。電池収納部42の内側の前後端面中央には内側正極端子45と内側負極端子46としてそれぞれ導電板が取り付けられる。電池収納部42は、その円筒中心軸がケース41の円筒中心軸に対して半径方向にオフセットされる。このオフセットにより、ケース41の内面と電池収納部42の外面との間にわずかなスペースが確保される。この僅かなスペースに電池形電源装置40の各種機能を実現する電子回路基板47が収納される。ケース41の中心軸に対して、電子回路基板47が配置された側とは反対側のケース周面の一部分は長円形状に切り欠かれている。この切り欠きの長さは単4形電池と同等又は若干短く、幅は単4形電池の幅より若干広い。この切り欠きから単4形電池(収納電池)410は電池収納部42に対して挿抜される。
【0019】
電池収納部42に収納された単4形電池410の正極端子は内側正極端子45に接触し、単4形電池410の負極端子は内側負極端子46に接触する。内側正極端子45と外側正極端子43とはそれぞれ外側正極端子43と外側負極端子44とにケーブル等を介して電気的に接続される。また、内側正極端子45と外側正極端子43とは電子回路基板47に電気的に接続される。
【0020】
図5は、電池形電源装置40の等価回路図である。ここでは、電池形電源装置40が他の電池41とともにテレビリモコン30の電池ボックス306に装着される。テレビリモコン30には各種操作ボタン301,302,303等が赤外LED307とともに装備される。電子回路基板47には、テレビリモコン30に流れる内部電流を電圧に変換する検出抵抗401と、検出抵抗401の両端電圧(検出電圧)を参照電圧に対して比較し、比較結果をビット列として出力するコンパレータ407と、コンパレータ407から出力された比較結果に基づいて、リーダーコードを認識し、それを契機としてメーカを識別するカスタマーコードと、操作ボタン301,302,303等を識別するデータコードとを特定するとともに、カスタマーコード及びデータコードに、電池形電源装置40を識別するID(以下、電池形電源装置IDという)及び操作時刻を表すタイムコードを付帯させてアンテナ406を介して中継端末20に送信するRFIC405と、電池収納部42に収納された電池410の電池電圧を用いてコンパレータ407及びRFIC405の駆動電圧を発生するDCDCコンバータ404、DCDCコンバータ404の出力を分圧して参照電圧を発生する分圧抵抗402,403が実装されている。
【0021】
内側負極端子46と外側負極端子44との間に、検出抵抗401が介在される。内側負極端子46と検出抵抗401との間の接続ノードはGNDに接続される。内側正極端子45と外側正極端子43との間の接続ノードとGNDとの間には、直列に接続された分圧抵抗402,403が介在される。内側正極端子45と外側負極端子44との間の他の接続ノードにDCDCコンバータ404の入力端子が接続される。DCDCコンバータ404の出力端子は、RFIC405の電源端子とコンパレータ407の電源端子とに接続される。コンパレータ407の非反転入力端子は、検出抵抗401と外側負極端子44との間の接続ノードに接続され、反転入力端子は、分圧抵抗402、403との間の接続ノードに接続される。テレビリモコン30の操作ボタン303等が押されたとき、上述したフォーマットに従って赤外LEDが点滅駆動される。この赤外LEDの点滅駆動に従って検出抵抗401の電流が変動する。赤外LEDが点灯するとき、検出電圧が参照電圧よりも高くなり、消灯のとき検出電圧が参照電圧よりも低くなるように分圧抵抗402,403、検出抵抗401の抵抗値の組み合わせが予め調整されている(
図8参照)。コンパレータ407は検出電圧を参照電圧に対して比較し、比較結果をRFIC405に出力する。上述の通り、RFIC405はコンパレータ407から出力された比較結果に基づいて、メーカを識別するカスタマーコードと、操作ボタン301,302,303を識別するデータコードとを特定する。RFIC405の通信セクションは、アンテナ406を介してカスタマーコードとデータコードとともに、自己の電池形電源装置IDとタイムコードとを中継端末20に送信する。なお、カスタマーコード、データコード、電池形電源装置ID及びタイムコードを「操作データ」と総称し、適宜使用する。中継端末20は、RFIC405から受信した操作データをサーバ装置10に送信する。勿論、RFIC405の通信セクションは、操作データをLPWA通信規格を介してサーバ装置10に対して直接的に送信するものであってもよい。
【0022】
操作データの送信タイミングとしては任意である。典型的には、RFIC405はリーダーコードを認識し、カスタマーコード及びデータコードを特定する都度、操作データを送信するが、RFIC405の内部メモリ(フラッシュメモリ)に操作データを保管し、予め決められたタイミング、例えば毎時、又は午前0時等の特定時刻に一括して中継端末20にデータ送信を実行するようにしてもよい。また、RFIC405に対して中継端末20が未接続のとき、RFIC405は内部メモリに操作データを保管し、中継端末20と接続されたときに、保管していたデータを一括して中継端末20に送信するものであってもよい。
【0023】
ここで、実際にテレビリモコン30に電池形電源装置40が装着されている状態で、テレビリモコン30の操作ボタン303等が手動で押されたとき動作を具体的に説明する。赤外LEDには8.8μSの間電流が流れると検出抵抗401には電圧が発生し、その値が抵抗402,403により分圧された電圧より大きいときコンパレータ407はONする。赤外LEDの駆動電流は消灯時に比べて大きく(100mA~1A)、識別は容易である。コンパレータ407がONするとRFIC405のOutput端子がアクティブになる(“H”入力)。
【0024】
テレビリモコン30の送出データを識別する用法を説明する(
図3参照)。RFIC405内部のクロック、たとえば500kHz(周期2μSで)でサンプリングする。38kHzで変調されている場合、赤外LEDは8.8μS点灯、17.6μS消灯している。サンプリングの結果は4回“H”が続き9回“L”が続く。これを基本とする。データ“1”の場合、“L”と“H”の繰り返しが0.562mS(サンプリング数263回)続き、その後1.69mSの間、“L”状態が継続する。データ“0”の場合、“L”と“H”の繰り返しが0.562mS続き、その後0.562mSの間、“L”状態が継続する。リーダーコードの場合、“L”と“H”の繰り返しが9mS(サンプリング数4500回)続き、その後4.5mSの間、“L”状態が継続する。ストップビットの場合、“L”と“H”の繰り返しが0.562mS続き、その後は“L”状態に変位する。このようにサンプリングをすることによりデータを識別することができる。もしコンパレータ407とRFIC405との間に積分回路(フィルタ)をいれればサンプリング周波数を遅くすることができる。
【0025】
例えば、カスタマーコードとデータコードとは以下のように特定される。すなわち、テレビリモコン30が操作されたことにより検出抵抗401に流れる電流が変動し、
図8(a)に示すように、検出抵抗401の両端電圧がコンパレータ407の非反転入力端子に検出電圧として印加される。コンパレータ407では検出電圧を参照電圧と比較する。
図8(b)に示すように、コンパレータ407は、検出電圧が参照電圧よりも高いときハイレベルの電圧、つまり‘H’を出力し、検出電圧が参照電圧よりも低いときローレベルの電圧、つまり‘L’を出力する。RFIC405は、コンパレータ407から出力されたビット列としての電圧信号に基づいて、データ‘0’と‘1’とを識別し、カスタマーコード、データコードを特定する。
図8(b)に示す例では、RFIC405は、カスタマーコードとして「01011010」、データコードとして「00101101」を、電池形電源装置IDとタイムコードとともに中継端末20を介してサーバ装置10に送信する。
【0026】
図6に示すように中継端末20は、電池形電源装置40とサーバ装置10との間を中継する機能を有する情報通信端末であり、例えばスマートフォン、タブレット、PC、ルータ等である。中継端末20は、CPU21、メモリ22、HDD(Hard Disk Drive)23、第1通信部24及び第2通信部25を有する。CPU21は、中継端末20の各部を統括して制御する。メモリ22は、プログラム、受信したデータを一時的に格納するワークエリア等として機能する。第1通信部24は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行い、電池形電源装置40から送信された操作データを含む信号を受信する。第2通信部25は、LTE(Long Term Evolution)規格に準拠した通信を行い、操作データと中継端末IDとを含む信号をサーバ装置10に送信する。HDD23は、監視サービスに係るアプリケーションソフト(以下、監視アプリという)のデータを記憶する。中継端末20のBluetooth(登録商標)の受信機能をON状態にし、監視アプリを起動した状態にしておくことで、中継端末20は、予めペアリングされている複数の電池形電源装置40のそれぞれからの操作データを受信可能に待機する。操作データを受信したとき、自己を識別する中継端末IDとともにサーバ装置10に送信する。
【0027】
サーバ装置10は、CPU11、メモリ12、HDD13及び通信部14を有する。CPU11は、サーバ装置10の各部を統括して制御する。メモリ12は、プログラム、受信データ及び処理中のデータを一時的に格納するワークエリア等として機能する。通信部14は、LTE規格に準拠したサーバ通信処理を行い、中継端末20から操作データと中継端末IDとを受信する。HDD13には、監視サービスに係るサーバプログラム(以下、監視サーバプログラムという)のデータが保管される。CPU11は、監視サーバプログラムをHDD13からメモリ12にロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。HDD13には、複数の操作テーブルに関するデータがメーカー(製造元または供給元)毎に保管されている。
図9に示すように、操作テーブルは、データコードとボタン種別とを対応付けた対応表である。監視サーバプログラムはカスタマーコードに従って複数の操作テーブルから一の操作テーブルを選択し、選択した操作テーブルにデータコードを照会することにより、操作されたボタンの種別を特定する。例えば、サーバ装置10は、電池形電源装置40から受信したカスタマーコード「01011010」に従って、複数の操作テーブルから
図9に示す操作テーブルを選択し、データコード「00101101」に対応するボタン種別「ch11」を特定する。またHDD13には、
図7に例示する電池形電源装置管理テーブルが保管される。電池形電源装置管理テーブルの各レコードには、項目「電池形電源装置ID」、「中継端末ID」、「ユーザID」、「場所」、「装置名」が記載されている。
【0028】
なお、本実施形態では、電池形電源装置40が検出抵抗401により検出された検出電圧からカスタマーコード、データコードを特定し、サーバ装置10が電池形電源装置40から受信したカスタマーコード、データコードに基づいてテレビリモコン30で操作されたボタンを特定する。しかしながら、電池形電源装置40からサーバ装置10に検出電圧の電圧データが送信され、サーバ装置10が検出電圧からカスタマーコード、データコードを特定する処理をするようにしてもよい。また、
図9に示すような操作テーブルが電池形電源装置40に保持され、電池形電源装置40がカスタマーコードとデータコードとに基づいてテレビリモコン30で操作されたボタンを特定し、そのボタン種別を示すデータをサーバ装置10に送信するようにしてもよい。
【0029】
また、電池形電源装置管理テーブルにおいて、上記項目以外に、例えば電池形電源装置が装着されたリモコンのメーカが記載されてもよい。電池形電源装置IDにより電池形電源装置が装着されたリモコンのメーカを特定することができるため、電池形電源装置40からサーバ装置10にカスタマーコードを送信する必要はない。監視サーバプログラムは電池形電源装置IDによりリモコンの種類(メーカー)を特定し、特定したリモコンの種類に対応する操作テーブルにデータコードを照会することにより、操作されたボタンの種別を特定する。
【0030】
さらに、サーバ装置10のHDD13には、操作テーブルがメーカ毎に保管されているとしたが、さらに赤外線フォーマット毎にも保管されていてもよい。例えば、フォーマットの違いは、検出電圧からカスタマーコードとデータコードを特定したのと同じように、検出電圧からデータのフレーム長、リーダーコードなど、フォーマットの相違箇所を特定し、識別することができる。それによりリモコンの種類に幅広く対応することができる。
【0031】
監視サーバプログラムは、操作テーブルや電池形電源装置管理テーブル等を適宜使用して、クライアント端末50,51ごとに予め指定された操作データの活用用途に応じた集計方法で操作データを集計する。典型的には、1日又は1時間等の特定期間における操作機器ごとの操作回数が、本体機器に対する操作を区別して計数される。
【0032】
操作データの活用用途としては、テレビのチャンネル等のデータであれば、チャネルの識別により視聴している番組から視聴率を調べることが出来る。また視聴している番組の内容を分析して視聴者の好みを調べることができる。さらにおすすめの情報提供などに使うことができる。また、テレビリモコンの操作ボタンの種類・頻度を解析することにより健忘症、認知症などの早期発見に活用することができる。エアコンリモコンの操作データであれば、ユーザの好みの温度を知ることができ、また猛暑の時などに在宅であるにも関わらず(テレビリモコンなどで分かる)、エアコンを適切に動作させていなければ注意を喚起し、また熱中症の危険を事前に察知するために活用することもできる、省エネの提案を使用者にすることができる。さらに、故障診断として、装置が動かない時、リモコンが動作しないのか本体が動かないのか、リモコン操作が間違っているかなどを把握することもできる。
【0033】
サーバ装置10は、インターネット上の監視サイトに集計結果をアップロードする。ユーザは、クライアント端末50、51を用いてサーバ装置10が提供する監視サイトにユーザIDでログインすることで、集計結果を閲覧することができる。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る監視システムによれば、テレビリモコンやエアコンリモコンなどの手動操作部を備えた電池式の操作機器に、電池形電源装置を装着するだけで、操作機器を改良や交換等を不要にして、また大掛かりなデバイスを付設する必要もなく、それら操作機器の操作状況を遠隔で取得する事ができ、上述のように様々に活用する事ができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
10…サーバ装置、20…中継端末、30…操作機器、40…電池形電源装置、50…クライアント端末、60…ネットワーク。