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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】オリゴ糖C-グリコシド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07H 17/04 20060101AFI20231228BHJP
   C07H 3/02 20060101ALI20231228BHJP
   C07H 3/04 20060101ALI20231228BHJP
   C07D 307/20 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALN20231228BHJP
   A61K 31/7016 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
C07H17/04
C07H3/02
C07H3/04
C07D307/20
A61K31/7004
A61K31/7016
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020550890
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2019011994
(87)【国際公開番号】W WO2019182087
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】62/647,241
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512155478
【氏名又は名称】学校法人沖縄科学技術大学院大学学園
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】田中 富士枝
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・シェリダ
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08314219(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0081905(US,A1)
【文献】国際公開第02/051803(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0153760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0245490(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0193400(US,A1)
【文献】国際公開第2016/151989(WO,A1)
【文献】C. A. et al.,CARPENTER,Green Chemistry,2010年,Vol. 12(11),2012-2018
【文献】S. S. et al.,BISHT,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19, No.10,pp.2699-2703
【文献】F. et al.,RODRIGUES,Chemical Communications (Cambridge),2000年,No.20,pp.2049-2050
【文献】X. et al.,WEI,ACS Catalysis,2016年,Vol.6, No.10,pp.6718-6722
【文献】European Journal of Organic Chemistry,2010年,No.7,pp.1314-1323
【文献】A. et al.,CAVEZZA,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19, No.3,pp.845-849
【文献】W. et al.,FENG,Carbohydrate Research,2011年,Vol.346, No.2,pp.352-356
【文献】W. et al.,Huaxue Shiji,FENG,2013年,Vol.35, 566,pp.561-563, 566
【文献】Y. et al.,HERSANT,Carbohydrate Research,2004年,Vol.339, No.3,pp.741-745
【文献】S. et al.,HOWARD,Journal of the American Chemical Society,1998年,Vol.120, No.40,pp.10326-10331
【文献】Y. A. et al.,ZHDANOV,Zhurnal Obshchei Khimii,1969年,Vol.39, No.1,pp.119-122
【文献】T. H. et al.,ChemBioChem,FENGER,2015年,Vol.16, No.4,pp.575-583
【文献】S. et al.,JOHNSON,Organic & Biomolecular Chemistry,2016年,Vol.14, No.1,pp.259-264
【文献】Journal of Organic Chemistry,2018年03月29日,83(8),4581-4597
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07H
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

で示されるβアノマー化合物を選択的に調製するためのプロセスであって、
式II
【化2】

で示される化合物を、式III
【化3】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基である]
と、
少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させることを含み、
ここで、前記少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、
プロセス。
【請求項2】
式I-1
【化4】

で示されるβアノマー化合物を選択的に調製するためのプロセスであって、
1)式II
【化5】

で示される化合物を、式III
【化6】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化7】

で示される化合物
を得ること、並びに
2)前記式Iで示される化合物をヒドラジンン誘導体であるNH-NRと反応させること
を含み
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
及びRは、それぞれ独立して、H、並びに、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル、及び1-フタラジニルからなる群より選択される]、
ここで、前記少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、
プロセス。
【請求項3】
がHであり、Rが、p-トシル基である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
式I-1’
【化8】

で示されるβアノマー化合物を選択的に調製するためのプロセスであって、
1)式II
【化9】

で示される化合物を、式III
【化10】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化11】

で示される化合物
を得ること、並びに、
2)前記式Iで示される化合物をNH-O‐CH-COOHと反応させること
を含み
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、‐CH-COOHである]、
ここで、前記少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、
プロセス。
【請求項5】
式I-1’
【化12】

で示されるβアノマー化合物を選択的に調製するためのプロセスであって、
1)式II
【化13】

で示される化合物を、式III
【化14】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化15】

で示される化合物
を得ること、
2)前記式Iで示される化合物をNH-O‐CH-COOHと反応させ、オキシムエーテル誘導体を得、そして
3)前記オキシムエーテル誘導体をダンシルカダベリンと縮合させること、
を含み
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、
【化16】

である]、
ここで、前記少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、
プロセス。
【請求項6】
式I-2
【化17】

で示されるβアノマー化合物を選択的に調製するためのプロセスであって、
1)式II
【化18】

で示される化合物を、式III
【化19】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化20】

で示される化合物
を得ること、並びに、
2)前記式Iで示される化合物をY-CHOと反応させること
を含み
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
Yは、置換されていてもよいアリール基である]、
ここで、前記少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、
プロセス。
【請求項7】
Yが、
【化21】

である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記βアノマー化合物が、
【化22】


からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記βアノマー化合物が、
【化23】

からなる群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記βアノマー化合物が、
【化24】

である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項11】
前記βアノマー化合物が、
【化25】

である、請求項5に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴ糖C-グリコシド誘導体を調製するためのプロセス、そのようなプロセスを使用して調製できる新規オリゴ糖C-グリコシド誘導体、治療有効物質としてのその使用、及びそのようなオリゴ糖C-グリコシド誘導体を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、アッセイプレートのウェルの他の表面への及び他の分子へのオリゴ糖のコンジュゲーション又は共有性の付着に使用される、オリゴ糖C-グリコシド化方法及びオリゴ糖C-グリコシド誘導体に関し、これらは、診断方法に、並びに/又は診断に及び生物医学研究に使用される治療剤及び分子プローブとして、使用される。
【背景技術】
【0002】
炭水化物は、生物学的システムにおいて重要な役割を果たすため、炭水化物誘導体の合成は、生体活性物質、プローブ及び他の機能的分子の開発のために興味深い。保護されていない炭水化物のアノマー炭素におけるC-C結合形成反応であるC-グリコシド化は、炭水化物由来医薬、糖コンジュゲート及び他の機能的炭水化物誘導体の合成に重要な反応である。しかしながら、保護されていない炭水化物の直接的なC-グリコシド化反応は、しばしば困難であり、保護されていない炭水化物のC-C結合形成反応は、酵素のタスクと考えられてきた。保護されていない炭水化物の反応における困難さの1つは、炭水化物におけるポリヒドロキシ基の存在であり得る。炭水化物の多くの反応において、ヒドロキシ基の酸性プロトンが試薬と反応すること及び/又はヒドロキシ基が触媒作用及び立体制御に必要な水素結合を妨害することを回避するために、ヒドロキシ基を最初に保護しなければならない。保護されていない炭水化物の直接的なC-グリコシド化反応についての別の困難さは、アルドースの環状ヘミアセタール形態にある。アルドースのアルデヒドカルボニル基は、求核剤と反応するための良好な部位であり得るが、ヘミアセタール環を開環することによる環状ヘミアセタール形態からの、特に、アルドヘキソース誘導体の6員ヘミアセタール形態からのアルデヒド基の生成は、炭水化物の官能基及びC-グリコシド化反応に使用される反応物質の官能基に影響を及ぼさない穏和な反応条件下では容易ではない。したがって、炭水化物の多くの非酵素的な化学的C-グリコシド化反応は、保護されたヒドロキシ基を有する炭水化物の予備活性化形態において又はアノマー炭素での結合形成のための官能基を保持している特定の前駆体において行われてきた。原子及び工程の経済性を考慮すると、保護されていない炭水化物における直接的な反応は、保護及び脱保護段階を必要とする反応並びに/又はアノマー炭素での反応のための予備活性化形態の合成を必要とするストラテジーよりも好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
保護されていない炭水化物について報告されているC-グリコシド化反応には、比較的高い反応性の求核試薬、例えば、β-ジケトン、β-ケトエステル及び関連分子、ニトロメタン、シアン化物並びにWittig試薬及び関連試薬との反応が挙げられる。保護されていない炭水化物のC-グリコシド化反応にはまた、金属活性化試薬との反応が挙げられる。これらの反応により、特定の保護されていない炭水化物からC-グリコシド化生成物が得られたが、これらの反応には限界がある。例えば、β-ジケトンとの反応は、求核試薬としてβ-ジケトンを使用し、加熱下で塩基性条件を使用するため、アセトンが結合した関連C-グリコシドの合成にしか使用できない。β-ジケトンの合成並びに/又は塩基性及び加熱C-グリコシド化条件に適さない官能基は、直接導入することができない。
【0004】
近年、保護されていない炭水化物と単純なケトンとのC-グリコシド化反応が報告されている。しかしながら、これらの報告された反応方法は、大部分が単糖類について開発されたものである。
【0005】
単糖類の場合と同様に、二糖類及び三糖類にはそれぞれ、1分子あたりにおよそ2倍又は3倍多いヒドロキシ基が存在する。このため及び/又は他の理由で、保護されていない単糖類のC-グリコシド化のために機能する反応触媒及び条件は、必ずしも二糖類について効率的に機能するものではない。したがって、保護されていない二糖類及び三糖類から官能化C-グリコシドを直接合成するためには、進歩が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ピロリジン-ホウ酸触媒系を使用したケトンとの二糖類及び三糖類アルドピラノースのC-グリコシド化反応により、オリゴ糖C-グリコシド誘導体を立体選択性が高く、穏和かつ原子経済的な条件下で調製できることを見出した。
【0007】
要約すると、以下のものが、本発明により提供され得る。
【0008】
(1)式I
【化1】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化2】

で示される化合物を、式III
【化3】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基である]
と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させることを含む、プロセス。
【0009】
(2)I-1
【化4】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化5】

で示される化合物を、式III
【化6】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化7】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
及びRは、それぞれ独立して、H、並びに、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル、及び1-フタラジニルからなる群より選択される]
を得ること、並びに、
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセス。
【0010】
(3)式I-1’
【化8】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化9】

で示される化合物を、式III
【化10】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で反応させて、式I
【化11】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H、又は、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル、若しくは1-フタラジニルである]
を得ること、並びに
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセス。
【0011】
(4)式I-2
【化12】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化13】

で示される化合物を、式III
【化14】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化15】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
Yは、置換されていてもよいアリールである]
を得ること、並びに、
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセス。
【0012】
(5)少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤が、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のプロセス。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のプロセスに従って製造された、式I、I-1、I-1’及びI-2
【化16】

[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
及びRは、それぞれ独立して、H、並びに、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル、及び1-フタラジニルからなる群より選択され、
Yは、置換されていてもよいアリールである]
のいずれか1つで示される化合物、或いはその塩。
【0014】
(7)式I-1、I-1’又はI-2で示される上記(4)記載の化合物、或いはその塩。
【0015】
(8)
【化17】



から選択される上記(4)記載の化合物、或いはその塩。
【0016】
(9)上記(6)~(8)のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体と、を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施態様は、式I
【化18】

で示される化合物、すなわち、オリゴ糖C-グリコシド誘導体を調製するためのプロセスであって、
式II
【化19】

で示される化合物を、式III
【化20】

で示される化合物
[これらの式中、
Xは、置換されていてもよい、C1-7アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロ-C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、ハロ-C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル、C2-7アルキニル-C1-7アルキル、又はアリールであり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基であり、
は、H又は糖残基である]
と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させることを含む、プロセスを提供する。
【0018】
本発明のプロセスにおいて使用される各化合物の量は、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、どんな量であってもよい。式IIIで示される化合物と式IIで示される化合物とのモル比は、例えば、2:100、好ましくは、4:40、より好ましくは、4:30である。少なくとも第一級アミン又は第二級アミンの総モル量と式IIで示される化合物のモル量とのモル比は、例えば、0.05:1.0、好ましくは、0.1:0.8、より好ましくは、0.4:0.6である。少なくとも1つの添加剤の総モル量と式IIで示される化合物のモル量とのモル比は、例えば、0.05:5.0、好ましくは、0.2:3.0、より好ましくは、1.0:2.0である。
【0019】
上記反応を、この反応が進行でき、本発明を実施できる限り、どんな溶媒中で行ってもよい。溶媒の例には、例えば、MeOH、DMSO等の極性溶媒が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。反応時間は、特に限定されないが、例えば、12~120時間、好ましくは、12~96時間、より好ましくは、24~96時間である。上記反応の温度は、例えば、10~60℃、好ましくは、15~40℃、より好ましくは、20~30℃であり得る。
【0020】
本明細書で使用する場合、「C1-7アルキル」という用語は、1~7個の炭素原子、好ましくは、1~4個の炭素原子を有する、一価の直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素基を指す。C1-7アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びイソペンチルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル及びイソペンチルがより好ましい。
【0021】
本明細書で使用する場合、「C3-7シクロアルキル」という用語は、環原子として3~7個の炭素原子、好ましくは、3~6個の炭素原子を有する、一価の飽和炭素環式基を指す。C3-7シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
本明細書で使用する場合、「ハロ-C1-7アルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がハロゲン(単数又は複数)により置換されているC1-7アルキルを指す。2つ以上のハロゲンが、同じ炭素原子又は異なる炭素原子に置換されている場合、ハロゲンは、同じでも異なっていてもよい。1~5個のハロゲン原子による置換が好ましく、1~3個のハロゲン原子による置換がより好ましい。ハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。フッ素、塩素及び臭素が好ましく、フッ素及び塩素がより好ましい。ハロ-C1-7アルキルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル及びペンタフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
本明細書で使用する場合、「C1-7アルコキシ」という用語は、酸素原子がC1-7アルキルに結合している基を指す。C1-7アルコキシは、C1-7アルキル-O-の式で示すことができる。C1-7アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
本明細書で使用する場合、「ハロ-C1-7アルコキシ」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がハロゲン(単数または複数)により置換されているC1-7アルコキシを指す。2つ以上のハロゲンが、同じ炭素原子又は異なる炭素原子に置換されている場合、ハロゲンは、同じであっても異なっていてもよい。1~5個のハロゲン原子による置換が好ましく、1~3個のハロゲン原子による置換がより好ましい。ハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。フッ素、塩素及び臭素が好ましく、フッ素及び塩素がより好ましい。ハロ-C1-7アルコキシの例には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1,1,1-トリフルオロエトキシ、1,1,1-トリフルオロプロポキシ及びペンタフルオロエトキシが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
本明細書で使用する場合、「C1-7アルコキシ-C1-7アルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子がC1-7アルコキシにより置換されているC1-7アルキルを指す。C1-7アルコキシ-C1-7アルキルの例には、メトキシメチル、ジメトキシメチル、テトラヒドロフラン-3-イル-メチル及びテトラヒドロピラン-4-イル-メチルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0026】
本明細書で使用する場合、「C1-7アルコキシカルボニル」という用語は、C1-7アルコキシが-CO-基と結合している基を指す。C1-7アルコキシカルボニルは、C1-7アルコキシ-CO-の式で示すことができる。
【0027】
本明細書で使用する場合、「(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子が少なくとも1つのC1-7アルコキシカルボニルにより置換されているC1-7アルキルを指す。置換されていてもよい(C1-7アルコキシカルボニル)-C1-7アルキルの例には、メトキシカルボニル-メチル、エトキシカルボニル-メチル、メトキシカルボニル-エチル、エトキシカルボニル-エチル、メトキシカルボニル-プロピル、エトキシカルボニル-プロピル、メトキシカルボニル-ブチル、エトキシカルボニル-ブチル及びベンジルオキシカルボニル-プロピルが挙げられるが、これらに限定されず、2-(エトキシカルボニル)-1-エチル、3-(メトキシカルボニル)-1-プロピル、3-(エトキシカルボニル)-1-プロピル、4-(エトキシカルボニル)-1-ブチル及び3-(ベンジルオキシカルボニル)-1-プロピルが好ましい。
【0028】
本明細書で使用する場合、「C2-7アルキニル」という用語は、C-C三重結合を含有し、2~7個の炭素原子、好ましくは、4~6個の炭素原子を有する、一価の直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。C2-7アルキニルの例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル及びヘプチニルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ブチニル及びヘキシニルが好ましく、ブタ-3-イニル及びヘキサ-5-イニルがより好ましい。
【0029】
本明細書で使用する場合、「C2-7アルキニル-C1-7アルキル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子が少なくとも1つのC2-7アルキニルにより置換されているC1-7アルキルを指す。C2-7アルキニル-C1-7アルキルの例には、ジ(ブタ-3-イニル)メチル、2,2-ジ(ヘキサ-5-イニル)エチル、3,5-ジ(ヘキサ-5-イニル)シクロヘキシル及び2-(ブタ-3-イニル)プロピルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、一価の芳香族炭素環式又は複素環式基を指す。置換されていてもよいアリールの例には、フェニル;C1-7、ニトロ、ハロゲン等により置換されているフェニル;チオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、ナフチル及びキノリニルが挙げられるが、これらに限定されず、フェニル、4-メチルフェニル、4-ニトロフェニル、4-ブロモフェニル、チオフェン-2-イル、フラン-2-イル、ベンゾフラン-2-イル、ナフタ-1-イル、ナフタ-2-イル及びキノリン-3-イルが好ましい。
【0031】
本明細書で使用する場合、「糖残基」という用語は、糖に由来し、結合部位を形成するためにOH基のうちの1つが存在しない置換基を指す。糖は、単糖、二糖、オリゴ糖又は多糖であることができ、これらは、置換されていてもよい。糖には、アミノ糖が含まれ得る。糖残基の例には、グルコース残基、シアル酸残基及び他の炭水化物残基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0032】
本明細書で使用する場合、「グルコース残基」という用語は、グルコースに由来し、グルコースにおけるOH基のうちの一つが存在せず、このような部位が結合部位となる置換基を指す。例えば、グルコース残基は、グルコシル基であることができる。グルコシル基の例には、β-D-グルコシル、α-D-グルコシル、β-L-グルコシル及びα-L-グルコシルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0033】
本明細書で使用する場合、「シアル酸残基」という用語は、シアル酸に由来し、シアル酸におけるOH基のうちの1つが存在せず、このような部位が結合部位となる置換基を指す。例えば、シアル酸残基は、シアリル基であることができる。グルコシル基の例には、β-シアリル及びα-シアリルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
他の炭水化物残基の例には、β-D-マンノシル、α-D-マンノシル、β-D-ガラクトシル、α-D-ガラクトシル、N-アセチル-β-D-マンノサミニル、N-アセチル-α-D-マンノサミニル、N-アセチル-β-D-グルコサミニル、N-アセチル-α-D-グルコサミニル、N-アセチル-β-D-ガラクトサミニル、N-アセチル-α-D-ガラクトサミニル、グルコシル-グルコシル、グルコシル-マンノシル、グルコシル-ガラクトシル、マンノシル-グルコシル、ガラクトシル-グルコシル、N-アセチル-α-D-マンノサミニル-グルコシル及びシアリル-ラクトシルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
上記されたプロセスにおける「第一級アミン又は第二級アミン」としては、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、いかなる第一級アミン又は第二級アミンも使用できる。このような第一級アミン又は第二級アミンには、脂肪族アミン(例えば、ベンジルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン等)、複素環式アミン(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。5員又は6員の複素環式第一級又は第二級アミン、及び第一級アミン(例えば、ベンジルアミン)が好ましく、ピロリジンがより好ましい。
【0036】
本発明における「添加剤」としては、プロセスが進行でき、本発明を実施できる限り、いかなる添加剤も使用できる。このような添加剤には、ホウ酸(例えば、HBO)、ホウ酸化合物、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ホウ酸化合物は、トリメチルボラート(例えば、B(OMe))を含むが、これに限定されるわけではない。ホウ酸及びトリメチルボラートが好ましく、ホウ酸がより好ましい。
【0037】
本発明の別の実施態様は、I-1
【化21】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化22】

で示される化合物を式III
【化23】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化24】

で示される化合物
[これらの式中、
X、R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、
及びRは、それぞれ独立して、H、並びに、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル及び1-フタラジニルからなる群より選択される]
を得ることと、並びに、
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセスを提供する。
【0038】
本発明の更に別の実施態様は、I-1’
【化25】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化26】

で示される化合物を、式III
【化27】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化28】

で示される化合物
[これらの式中、
X、R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、
は、H、又は、置換されていてもよい、C1-7アルキル、フェニル、ベンジル、ピペリジニル、p-トシル若しくは1-フタラジニルである]
を得ること、並びに、
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセスを提供する。
【0039】
上記反応において使用される「反応物質」は、ヒドラジン誘導体であることができる。ヒドラジン誘導体には、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、ピペリジンヒドラジン、p-トシルヒドラジン、1-フタラジニルヒドラジンなどが挙げられるが、これらに限定されず、p-トシルヒドラジンが好ましい。使用されるべき反応物質の量は、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、特に限定されない。
【0040】
上記反応は、当該反応が進行でき、本発明を実施できる限り、いかなる溶媒中でも行うことができる。このような溶媒には、DMF、DMSO、EtOH、MeOH、THFなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。反応時間は、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、特に限定されないが、例えば、10~24時間である。上記反応を、例えば、0~40℃で行うことができる。
【0041】
本発明のなお更に別の実施態様は、式I-2
【化29】

で示される化合物を調製するためのプロセスであって、
式II
【化30】

で示される化合物を、式III
【化31】

で示される化合物と、少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び少なくとも1つの添加剤の存在下で、反応させて、式I
【化32】

で示される化合物
[これらの式中、
X、R、R及びRは、上で定義されたとおりであり、
Yは、置換されていてもよいアリール、特に、6-メトキシナフタ-2-イルである]
を得ること、並びに、
式Iで示される化合物を反応物質と反応させること
を含む、プロセスを提供する。
【0042】
上記反応において使用される「反応物質」は、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド又はアリールアルデヒドであることができる。使用されるべき反応物質の量は、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、特に限定されない。
【0043】
上記反応を、反応が進行でき、本発明を実施できる限り、いかなる溶媒(例えば、DMSO)中でも、触媒(例えば、L-プロリン-i-PrNEt及びピロリジン-ホウ酸)を使用して、行うことができる。
【0044】
X、R~R及びYのいずれか1つが、任意の置換基を有する場合、そのような置換基は、それぞれ独立して、例えば、ハロゲン、C1-7アルキル、C1-7アルコキシ、アリール、ニトロ、シアノ、アミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、エステル、アミド等から選択することができる。
【0045】
本発明の好ましい実施態様では、当該少なくとも1つの第1級アミン又は第2級アミン、及び当該少なくとも1つの添加剤は、
(a)ピロリジン及びHBO
(b)ピロリジン及びB(OMe)、並びに
(c)ベンジルアミン及びHBO
から選択される。
【0046】
一局面では、本発明は、式I、I-1、I-1’及びI-2
【化33】

のいずれか1つにより示される新規な化合物(このような化合物は、前述のプロセスに従って製造できる)又はその塩を提供する。
【0047】
これらの式において、各記号は、上で定義されたものと同じ意味を有する。
【0048】
式I I-1、I-1’及びI-2で示される化合物は、幾つかの不斉中心を含み得、鏡像異性的に純粋な単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマーのエナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ体)、鏡像異性的に純粋な形態のジアステレオ異性体混合物、ジアステレオ異性体の混合物、単一のジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体混合物のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。光学的に純粋な形態は、例えば、IIの鏡像異性的に純粋な形態の反応、ラセミ体の光学的分割、不斉合成、又はアシンメトリッククロマトグラフィー(例えば、キラルな担体又は溶離液を使用するクロマトグラフィー)により得ることができる。
【0049】
上記局面の一実施態様では、該化合物は、式I-1、I-1’、I-2で示される化合物、又はその塩である。
【0050】
上記局面の別の実施態様では、該化合物は、以下:
【化34】


又はその塩から選択される。
【0051】
本発明はまた、式I、I-1、I-1’若しくはI-2で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体とを含む、医薬組成物も提供する。
【0052】
化合物の「塩」は、本発明を実施できる限り、いかなる塩であってもよい。当該塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、特に、塩酸)との酸付加塩、及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなど)との酸付加塩であり得る。加えて、当該塩は、遊離酸形態にある化合物と無機塩基又は有機塩基との反応により調製できる塩であり得る。無機塩基を用いて調製されるそのような塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。有機塩基を用いて調製される塩には、第一級、第二級又は第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂との塩が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。そのような塩は、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等との塩であり得る。当該塩が、医薬組成物に含有される場合、薬学的に許容し得る塩が好ましい。
【0053】
医薬組成物は、医薬製剤に製剤化することができる。医薬製剤は、経口投与用のもの(例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬若しくは軟カプセル剤、液剤、エマルジョン、又は懸濁液の形態の)であってもよいし、直腸投与用のもの(例えば、坐剤の形態の)であってもよいし、非経口投与用のもの(例えば、注射液剤の形態の)であってもよい。
【0054】
医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体(例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠及び軟又は硬ゼラチンカプセル剤の製造に適した薬学的に許容し得る無機又は有機の賦形剤)を含有することができる。
【0055】
錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造に適した賦形剤の例には、ラクトース、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0056】
軟ゼラチンカプセル剤の製造に適した賦形剤の例には、植物油、ロウ、脂肪、半固形ポリオール、液状ポリオールなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0057】
液剤及びシロップ剤の製造に適した賦形剤の例には、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコースなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0058】
注射液剤の製造に適した賦形剤の例には、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0059】
坐剤の製造に適した賦形剤の例には、天然油又は硬化油、ロウ、脂肪、半液状ポリオール、液状ポリオールなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0060】
賦形剤以外に、医薬組成物は、必要に応じて、医薬を製造するのに一般的に使用される添加剤(単数又は複数)を含有することができる。そのような添加剤の例には、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味料、浸透圧を変えるための塩、バッファー、マスキング剤、及び抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0061】
所望により、医薬組成物は、2つ以上の薬学的に活性な分を含有してもよい。
【0062】
投薬量は、投与される対象の性別、年齢、状態等に応じて変えられ得る。一般に、経口投与の場合、式I、I-1、I-1’又はI-2で示される化合物約10mg~約1000mgの一日投薬量が適切であり得るだろう。投薬量は、単回用量又は分割用量で投与できる。
【0063】
本発明は、立体選択性が高く、穏和で、原子経済的な条件下で行うことができるオリゴ糖C-グリコシド誘導体を製造するための新規なプロセスを提供し、そのような方法によって、従来知られていた方法では得ることができなかったであろう新規なオリゴ糖C-グリコシド誘導体を調製できる。本発明のプロセスは、工程及び原子経済的である(すなわち、従来知られていた方法と比較して、反応経路がより短く、廃棄物の発生がより少ない)。本発明の化合物は、治療剤、生体活性物質、生体活性物質候補、プローブ等、並びにそれらのシントン及び構成成分として使用できる。例えば、グルコース保有炭水化物-蛍光分子コンジュゲートは、グルコース-輸送体を豊富に含む細胞の可視化に使用できる。グルコース保有炭水化物-抗ガン剤コンジュゲートは、コンジュゲートした薬剤をガン細胞により効率的に送達するのに使用できる。シアリルラクトース-蛍光分子コンジュゲートは、ウイルスの可視化に使用できる。炭水化物の構造に応じて、分子は、抗菌活性及び/又は抗ウイルス活性を提供できる。本発明のプロセスは、アッセイプレートウェルの表面への及び他の分子(これらは、診断方法に及び/又は治療剤として並びに診断及び生物医学研究において使用される分子プローブとして使用される)へのオリゴ糖のコンジュゲーション又は共有結合的付着に使用できる。
【0064】
以下、本発明を、更に詳細に説明する。
【0065】
ケトン基を保有するC-グリコシドは、種々のC-グリコシド誘導体の合成に使用されてきた。本発明者らは、本明細書において、非活性化及び非保護の二糖類及び三糖類アルドースのケトンとのC-グリコシド化を設計した。本発明者らの設計において、下記の点を、C-グリコシド化反応を開発するのに考慮した:(1)アノマー中心でのC-C結合形成を可能にするためのアルドピラノースのin situ活性化、(2)アルドピラノースと求核試薬として反応するケトンからのエナミン又はエノラートのin situ生成、(3)ポリヒドロキシ置換化合物の存在下で作用する触媒系、及び(4)炭水化物立体化学を変化させることなくC-C結合形成のための高い立体選択性を提供する反応系/触媒系。本発明者らは、これらの点に対処するため及び穏和な条件下で所望の生成物の生成を可能にするためのアミン系触媒を探求した。本発明者らの設計において、アミン触媒は、ケトンのエナミンを形成することが期待された。同時に、この触媒系は、炭水化物を活性化して、C-C結合形成をもたらすであろう。これらの考察に基づいて、発明者らは、C-グリコシド化の触媒を探索した。
【0066】
本発明者らは、以前に、保護されていない2-N-アシル-アルドピラノースのC-グリコシド化を報告した(Johnson, S.; Tanaka, F. Org. Biomol. Chem. 2016, 14, 259-264)。この反応において、幾つかの触媒系は、特定の炭水化物についてのみ効率的であり、触媒系の効率は、炭水化物の構造/立体化学に依存した。
【0067】
二糖類及び三糖類アルドピラノースのケトンとのC-グリコシド化について、本発明者らは、官能化炭水化物を含む一連の炭水化物及び種々のケトンに対して作用する触媒系の開発に焦点を当てた。以下に記載されているように、ピロリジン及びホウ酸から構成される触媒系により、保護されていない二糖類及び三糖類のケトンとのC-グリコシド化反応が促進された。
【0068】
単糖類アルドピラノースのC-グリコシド化
本発明者らは、二糖類及び三糖類アルドピラノースのケトンとのC-グリコシド化に作用する触媒系がある程度までは単糖類アルドピラノースのC-グリコシド化に作用するはずであると推論した。単糖類アルドピラノースからのC-グリコシド化生成物を分析することにより、反応の特徴、例えば、炭水化物の2位における異性化の可能性は、二糖類及び三糖類からの生成物を分析することによるよりも容易に認識されるであろう。したがって、まず、単糖類アルドピラノースのC-グリコシド化反応の結果を記載する。触媒としてピロリジン及びホウ酸を使用して反応を行った場合、C-グリコシドケトン3aaが得られた(表1)。
【0069】
D-グルコース(1a)とアセトン(2a)との反応について、単純なアルデヒド(すなわち、炭水化物ではない)とのケトンのアルドール及び/又はマンニッヒ反応において一般的に使用されてきたアミン系触媒系(例えば、プロリン及びアミノ酸)によっては、3aaは得られなかった。6員のヘミアセタールは、通常、環状形態として安定であるので、アルドピラノース(例えば、D-グルコース)は、アルドペントース(例えば、リボース)よりも、アノマー炭素(又は対応する開環形態のアルデヒドカルボニル基)において求核試薬と反応しにくい。リボースと単純なケトンとのC-グリコシド化を触媒するのに使用される条件(例えば、プロリン-DBU)も、D-グルコースとアセトンとのC-グリコシド化には適切ではなかった。
【0070】
ピロリジン及びホウ酸の存在下で、D-グルコース(1a)とエチル 5-オキソヘキサノアート(2b)との反応によっても、C-グリコシド生成物3abが得られた(表1)。ケトン2bのエステル基は、ピロリジン-ホウ酸触媒条件下では影響を受けなかった。アセトフェノン(2c)との反応によっても、対応するC-グリコシド3acが得られた。2-ヒドロキシ基を保有するC-アルドースとアセトフェノンとの反応は、従来は困難な反応として認識されていた(Wei, X.; Shi, S.; Xie, X.; Shimizu, Y.; Kanai, M. ACS Catal. 2016, 6, 6718-6722)。また、D-マンノース(1b)とケトン2bの反応によっても、ピロリジン-ホウ酸組み合わせを触媒として使用した場合、C-グリコシド化生成物3bbが得られた。
【0071】
表1 単糖類アルドヘキソピラノースのC-グリコシド化
【表1】
【0072】
条件:DMSO(1.0mL)中、炭水化物1(0.50mmol)、ケトン2(2.0mmol)、ピロリジン(0.25mmol)、HBO(1.0mmol)、室温(25℃)で48時間。アセトン(5.0mmol)。アセトン(1aに対して20当量)、ホウ酸(1aに対して1.0当量)、24時間;変更条件;実施例を参照のこと。
【0073】
ピロリジン-ホウ酸触媒条件下では、炭水化物の2位での異性化は起こらなかった。3abを得るD-グルコースの反応では、3bbが同時生成されず、3bbを得るD-マンノースの反応では、3abが形成されなかった。
【0074】
単離された生成物3は、室温(25℃)で少なくとも1か月間安定であった。これらの生成物のケトン基におけるアセタール形成及び開環形態の形成は無視できるものであったか又は検出されなかった。
【0075】
以前に報告されたC-アルドースとケトン(1,3-ジケトン及び比較的求核性のケトンを除く)とのC-グリコシド化反応は、しばしば、アルドースの2位にヒドロキシ基を有していなかったアルドースを用いて行われていた。ピロリジン-ホウ酸触媒系により、2位にヒドロキシ基を保有するC-アルドピラノースのC-グリコシド誘導体の合成が可能となった。更に、ピロリジン-ホウ酸系により触媒される反応において、生成物を単一のジアステレオマーとして、又は主なジアステレオマーとしてのβ-異性体についての高いジアステレオ選択性(dr(β-アノマー/α-アノマー)>10:1~>20:1)を有して、得られた。
【0076】
本発明までは、ケトン部分を保有するC-グリコシド生成物は、保護されていない炭水化物と、β-ジケトン(Richter, C.; Krumrey, M.; Bahri, M.; Trunschke, S.; Mahrwald, R. ACS Catal. 2016, 6, 5549-5552)又はHorner-Wadsworth-Emmons(HWE)β-カルボニルホスホナート試薬(Ranoux, A.; Lemiegre, L.; benoit, M.; Guegan, J.-P.; Benvegnu, T. Eur. J. Org. Chem. 2010, 1314-1323)との反応により合成されていた。これらの反応は、塩基性条件下、高温で行われていた。ピロリジン-ホウ酸触媒を使用した保護されていない炭水化物とケトンとの反応により、室温で温和な条件下で生成物が得られた。ピロリジン-ホウ酸触媒系を使用して、エステル基を有するメチルケトン誘導体及びアリール基を有するメチルケトン誘導体を求核試薬として使用することができ、β-ジケトン及びHWE試薬の合成は、C-グリコシド生成物を得るのに必要ではなかった。
【0077】
二糖類アルドピラノースのC-グリコシド化
スキーム1 二糖類のC-グリコシド化
【0078】
【化35】
【0079】
条件:DMSO(1.0mL)中、炭水化物4(0.5mmol、1.0当量)、ケトン2(2.0mmol、4.0当量)、ピロリジン(0.25mmol、0.5当量)、HBO(1.0mmol、2.0当量)、室温(25℃)で48時間。変更条件、4(1.0当量)、アセトン(20当量)、ピロリジン(0.5当量)、HBO(1.0当量);実施例を参照のこと。96時間。
【0080】
二糖類アルドピラノース4のC-グリコシド化反応をスキーム1に示す。ピロリジン-ホウ酸触媒条件下において、D-ラクトース(4a)とケトンとの反応により、対応するC-グリコシド化生成物5aa~5ahが得られた(スキーム1)。これらの生成物は、反応時間の長さにかかわらず、β-異性体(dr(β/α)>10:1)であった。種々のケトン、例えば、アセトン、非対称官能化アルキルメチルケトン(エステル基、エチニル基又はシクロプロパン環を保有するケトンを含む)及びアリールメチルケトンとの反応により、所望のC-グリコシド化生成物が得られた。
【0081】
D-ラクトース(1a)とアセトンとの反応において、5aaを得るために、アミン系触媒系をスクリーニングした場合、一般的に使用されるアミン系触媒(例えば、プロリン)は、反応を触媒しなかった。プロリンと塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン)とによっても、反応は効率的に触媒されなかった。試験した触媒系のうちで、ピロリジン-ホウ酸が、最も効率的に反応を触媒した。4aの反応のための触媒系の検討は、後の部分において更に議論される(以下を参照のこと)。
【0082】
ピロリジン-ホウ酸触媒条件下で、D-マルトース(4b)の反応及びD-セロビオース(4c)の反応によっても、それぞれ対応するC-グリコシド5ba及び5caが得られた(スキーム1)。生成物5ba及び5caも、β-異性体(dr(β/α)>10:1)として得られた。
【0083】
ピロリジン-ホウ酸触媒条件は、二糖類のO-グリコシル化炭素(すなわち、二糖類の1’-位)の立体化学に影響を与えなかった(スキーム1)。5baを得るD-マルトース(4b)の反応において、5caの形成は観察されず、5caを得るD-セロビオース(4c)の反応において、5baの形成は検出されなかった。D-ラクトースから得られた生成物5について、H NMRスペクトルにおいて、1’-位置における陽子の結合定数J値は、反応物質の1’-位の立体化学が生成物中に保持されていたことを示した。
【0084】
同じケトンとの反応を比較した場合、同じピロリジン-ホウ酸触媒条件下において、二糖類4a、4b、4cの反応は、単糖類1の反応より速かった。同じケトンを同じ反応条件下で使用した場合(スキーム1、5ab対表1、3ab及び3bb;スキーム1、5ac対表1、3ac)、48時間後の二糖類C-グリコシド誘導体の収率は、単糖類C-グリコシド誘導体の収率より良好であった。生成物5の収率は、副生成物の形成を増加させることなく、より長い反応時間で改善された(スキーム1、5aaについて:48時間後45%、96時間後61%;5abについて:48時間後45%、96時間後65%;5agについて:48時間後35%、96時間後55%)。
【0085】
対照的に、末端アルドピラノースの6位におけるヒドロキシ基がグリコシル化されているD-メリビオース(4d)については、対応するC-グリコシド化生成物は、ピロリジン-ホウ酸触媒条件下では形成されなかった。
【0086】
【化36】
【0087】
三糖類アルドピラノースのC-グリコシド化
スキーム2 三糖類のC-グリコシド化
【0088】
【化37】
【0089】
詳細については、実施例を参照のこと。
【0090】
三糖類アルドピラノース6の反応も、ピロリジン-ホウ酸触媒条件を使用して行った。ピロリジン-ホウ酸触媒系を使用して、3’-シアリルラクトース(6a)、6’-シアリルラクトース(6b)及びマルトトリオース(6c)とケトンとの反応により、対応するC-グリコシド7が得られた(スキーム2)。アセトン、種々の官能基又はシクロプロパン環を保有するアルキルメチルケトン及びアリールメチルケトンとの反応全てにより、所望のC-グリコシドケトン7が得られた。ピロリジンホウ酸触媒系の使用により、高度に官能化された炭水化物(例えば、N-アセチルノイラミン酸保持炭水化物)の直接C-グリコシド化反応が可能となった。
【0091】
C-グリコシドケトンの変換
スキーム3 アルドール縮合を介したC-グリコシドケトンの変換
【0092】
【化38】
【0093】
詳細については、実施例を参照のこと。プロリン-i-PrNEt触媒。ピロリジン-ホウ酸触媒。
【0094】
スキーム4 ヒドラゾン形成を介した誘導体化
【0095】
【化39】
【0096】
スキーム5 オキシム形成とそれに続くアミド形成を介した誘導体化
【0097】
【化40】
【0098】
単糖類C-グリコシドケトン及び少数の二糖C-グリコシドのメチルケトン部分は、C-グリコシドケトンを誘導体化するための化学変換の反応部位として使用されてきた。ピロリジン-ホウ酸触媒条件を使用して合成されたC-グリコシドケトンを、より複雑かつ/又は伸長した構造を有するC-グリコシド誘導体に変換した(スキーム3、4及び5)。メチルケトン部分を求核試薬として(エナミン又はエノラートの形成を介して)使用して、アルドール縮合生成物8を生成した(スキーム3)。メチルケトン部分を求電子剤としても使用して、ヒドラゾン誘導体9及びオキシム誘導体10を形成した(スキーム4及び5)。
【0099】
6-メトキシナフタレン-2-イル-ブテン-2-オン部分を保有する炭水化物誘導体は、特定のガン関連酵素の阻害剤である。本発明までは、単糖類C-グリコシドケトンを誘導体化して、アルドール縮合生成物を得てきた。本発明では、二糖類及び三糖類C-グリコシドを、プロリン-N,N-ジイソプロピルエチルアミン又はピロリジン-ホウ酸触媒系のいずれかを使用して、対応するアルドール縮合生成物8a~eに変換した(スキーム3)。C-グリコシドのポリヒドロキシ基の保護は、変換の前には必要なかった。8の形成により、C-グリコシド化反応における5及び7の形成が更に確認された。
【0100】
ピロリジン-ホウ酸触媒を使用するC-グリコシド化により、上記された官能基(例えば、エチニル、エステル及びアリールケトン基)を保有するC-グリコシドケトンの合成が可能となった。また、これらの官能基は、更なる誘導体化にも有用である。
【0101】
C-グリコシド化における触媒系
ピロリジン-ホウ酸触媒系を使用して二糖類及び三糖類アルドピラノースからC-グリコシドの生成をもたらす重要な要因を理解するために、関連する触媒系も、5abを得るD-ラクトース(4a)とケトン2bの反応及び5acを得るD-ラクトース(4a)とケトン2cの反応において評価した(表2)。
【0102】
表2 4aのC-グリコシド化のための触媒系
【0103】
【表2】
【0104】
条件:エントリー2については、DMSO(0.5mL)中、炭水化物4a(0.25mmol)、ケトン2b又は2c(2.0mmol)、ピロリジン(0.13mmol)、B(OMe)(0.5mmol)、室温(25℃)で48時間。エントリー3~12及び14については、HBO及び/又はピロリジンを示されているように、除き又は置き換えた。スキーム1からのデータ。5abの形成は検出されなかった。
【0105】
ピロリジン単独又はホウ酸単独は、C-グリコシド化生成物を形成する反応を触媒せず、炭水化物4aは、未反応のままであった(エントリー11及び12)。触媒系において、ホウ酸を塩基(例えば、NaOH、NaCO又はDBU)で置換しても、5abは得られなかった(エントリー3~5)。ホウ酸をNHCl、フェノール又は酢酸で置換しても、生成物は形成されなかった(エントリー6~8)。他方、ピロリジン-トリメチルボラート触媒系は反応を触媒して、生成物5abが得られた(エントリー2)。これらの結果は、C-グリコシド化におけるピロリジン-ホウ酸触媒におけるホウ酸は、ブレンステッド酸又は塩基として作用するだけではないことを示唆している。おそらく、ホウ酸は、炭水化物とB-O共有結合を形成するであろう。このB-O共有結合形成は、C-グリコシド化生成物の形成に重要であり得る(以下を参照のこと)。
【0106】
更に、ピロリジン-ホウ酸触媒系におけるピロリジンに代えて、EtN又はDBUを使用しても、C-グリコシド化生成物を得る反応を触媒しなかった(エントリー9及び10)。DBUは、ケトンからエノラートを生成するのに使用されてきたが、DBU-ホウ酸系は、ケトンとのC-グリコシド化に有効ではなかった。しかしながら、ピロリジン-ホウ酸触媒系においてピロリジンをベンジルアミンで置き換えると、C-グリコシド化生成物5acが得られた(エントリー14)。ベンジルアミンは、エナミン形成触媒系におけるアミン成分として使用されてきた(Cui, H.-L.; Chouthaiwale, P. V.; Yin, F.; Tanaka, F. Asian J. Org. Chem. 2016, 5, 153-161)。これらの結果から、ピロリジン(又はアミン、これはイミン/イミニウムイオン/エナミンを形成することができる)及びホウ酸(又はボラート)の両方が、C-グリコシド化反応を触媒するための機能を有することが示された。これらの結果は、ピロリジン-ホウ酸触媒系が、炭水化物とのイミニウムイオンの形成及び触媒作用中のケトンのエナミンの形成の両方に関与することを示唆している。
【0107】
ピロリジン-ホウ酸触媒系を使用する本発明のC-グリコシド化反応方法により、以前は合成が困難であったものを含む二糖類及び三糖類由来のC-グリコシド誘導体へのアクセスが可能となる。C-グリコシド化に対するピロリジン-ホウ酸触媒のメカニズムに関する本発明者らの検討から得られた知見は、関連する触媒反応の開発に有用である。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、一般的には、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきであり、文脈が明確にそれ以外であることを規定していない場合、複数の指示対象を含むと理解されたい。
【0109】
また、本発明の範囲は、本明細書に開示された特定の形態に限定されるべきではなく、本発明は、特許請求の範囲により定義された本発明の精神及び範囲内にある全ての改変物、均等物及び代替物を包含することも理解されたい。
【実施例
【0110】
以下の実施例により、本発明を更に説明するが、当然、これは本発明の範囲をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0111】
1.単糖類アルドピラノースのC-グリコシド化(表1)
C-グリコシド3の合成のための一般手順
DMSO(1.0mL)中の炭水化物(0.50mmol、1.0当量)及びケトン(2.0mmol、4.0当量)の混合物を室温(25℃)で5分間撹拌して、炭水化物を可溶化した。この溶液に、ピロリジン(0.25mmol、0.5当量)及びホウ酸(1.0mmol、2.0当量)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH又はCHCl/MeOH)により精製し、対応するC-グリコシド3を得た。
【0112】
本発明者らの観察では、48時間の反応時間後、出発物質である炭水化物1はかなり残存し、このため、3の中程度の収率が得られた。対応するヘミケタール形態は、反応条件に応じて、また反応で使用される炭水化物及びケトンに応じて、反応中に一部として生成された可能性があるが、それらは、単離されず又は確認されなかった。
【0113】
化合物3aaをD-グルコース(90mg、0.50mmol)から該一般手順により、ただし、10当量 アセトン(368μL、5.0mmol)を使用して合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=88:12~85:15)により精製した。無色ゴム、27mg、25%。化合物3aaは、公知の化合物である。
=0.37(CHCl/MeOH=5:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 3.78 (dd, J = 12.0 Hz, 1.7 Hz, 1H), 3.66 (td, J = 9.2 Hz, 2.9 Hz, 1H), 3.61 (dd, J = 12.0 Hz, 5.0 Hz, 1H), 3.36-3.29 (m, 1H), 3.28-3.20 (m, 2H), 3.06 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 2.88 (dd, J = 16.0 Hz, 2.9 Hz, 1H), 2.59 (dd, J = 16.0 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.2, 81.6, 79.6, 77.2, 75.1, 71.7, 62.8, 47.1, 30.6。HRMS(ESI):C17([M+H])についての計算値221.1020、実測値221.1023。
【0114】
また、化合物3aaをピロリジン(0.5当量)及びホウ酸(1.0当量)を使用して合成した。DMSO(1.0mL)中のピロリジン(28.0μL、0.34mmol)の混合物に、アセトン(1.0mL、13.6mmol)及びホウ酸(42.0mg、0.68mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物にグルコース(150mg、0.68mmol)を加え、この混合物を同じ温度で24時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~78:22)により精製して、5員環異性体及びヘミケタール形成により更に環化した形態を有する3aa(19.1mg、12%)を得た。
【0115】
また、化合物3aaをL-プロリン及びトリエチルアミンも使用して合成した。PEG(5.0mL)中のL-プロリン(192mg、1.67mmol)の混合物に、アセトン(4.90mL、66.6mmol)及びトリエチルアミン(116μL、0.833mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、グルコース(600mg、3.33mmol)を加え、この混合物を同じ温度で24時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~78:22)により精製して、5員の環異性体及びヘミケタール生成により更に環化した形態を有する3aaを含む生成物の混合物を得た(93.0mg、88%)。3aaを含有する画分のシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~78:22)による更なる精製及びH NMR分析に基づいて、3aaの収率は、18%であると推定された。
【0116】
化合物3abをD-グルコース(90mg、0.50mmol)及びエチル 5-オキソヘキサノアート(320μL、2.0mmol)から該一般手順により合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=88:12~80:20)により精製した。淡黄色ゴム、59mg、37%。
Rf=0.25(CHCl/MeOH=5:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.08 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.75 (dd, J = 11.9 Hz, 2.2 Hz, 1H), 3.63 (td, J = 9.2 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.59 (dd, J = 11.9 Hz, 5.8 Hz, 1H), 3.33-3.28 (m, 1H), 3.25 (dd, J = 9.2 Hz, 9.0 Hz, 1H), 3.21-3.16 (m, 1H), 3.04 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 15.6 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.60-2.52 (m, 3H), 2.30 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.81 (quint, J = 7.2 Hz, 2H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 211.1, 175.1, 81.6, 79.6, 77.3, 75.1, 71.6, 62.7, 61.4, 46.4, 43.0, 34.0, 19.7, 14.5。HRMS(ESI):C1425([M+H])についての計算値321.1544、実測値321.1543。
【0117】
化合物3acをD-グルコース(90mg、0.50mmol)及びアセトフェノン(233μL、2.0mmol)から該一般手順で合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~80:20)により精製した。淡黄色ゴム、24mg、17%。化合物3acは、公知の化合物である。
Rf=0.29(CHCl/MeOH=5:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.01-7.99 (m, 2H), 7.60 (tt, J = 7.4 Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.52-7.47 (m, 2H), 3.86 (td, J = 9.0 Hz, 2.5 Hz, 1H), 3.74 (dd, J = 11.9 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.61 (dd, J = 11.9 Hz, 5.0 Hz, 1H), 3.42 (dd, J = 16.4 Hz, 2.5Hz, 1H), 3.41-3.30 (m, 2H), 3.25-3.17 (m, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 200.6, 138.5, 134.3, 129.7, 129.3, 81.5, 79.7, 77.3, 75.1, 71.6, 62.7, 42.4。HRMS(ESI):C1419([M+H])についての計算値283.1176、実測値283.1176。
【0118】
化合物3bbをD-マンノース(90mg、0.50mmol)及びエチル 5-オキソヘキサノアート(320μL、2.0mmol)から該一般手順で合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=88:12~80:20)により精製した。淡黄色ゴム、32mg、20%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=5:1)。1H NMR (400MHz, CD3OD): δ 4.11 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.92 (ddd, J = 7.6 Hz, 5.3 Hz, 0.9 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 11.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.72 (dd, J = 3.2 Hz, 0.8 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.8 Hz, 5.6 Hz, 1H), 3.54 (t, J = 9.4 Hz, 1H), 3.48 (dd, J = 9.4 Hz, 3.2 Hz, 1H), 3.18 (ddd, J = 9.4 Hz, 5.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 16.6 Hz, 7.6 Hz, 1H), 2.65 (dd, J = 16.6 Hz, 5.3 Hz, 1H), 2.58 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.33 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.84 (quint, J = 7.2 Hz, 2H), 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.5, 175.1, 82.0, 76.3, 75.7, 72.4, 68.5, 62.9, 61.4, 44.9, 42.9, 34.1, 19.8, 14.5。HRMS(ESI):C1424Na([M+Na])についての計算値343.1363、実測値343.1364。
【0119】
【化41】
【0120】
2.二糖類及び三糖類アルドピラノースのC-グリコシド化(スキーム1及び2)
C-グリコシド5及び7の合成のための手順
手順A
DMSO(1.0mL)中のピロリジン(0.15mmol、0.5当量)の溶液に、アセトン(5.8mmol、20当量)及びホウ酸(0.29mmol、1.0当量)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、炭水化物(0.28~0.29mmol、1.0当量)を加え、この混合物を同じ温度で24時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)により精製して、対応するC-グリコシド5又は7を得た。
【0121】
手順B
DMSO(0.35mL)中のピロリジン(0.15mmol、0.5当量)の溶液に、アセトン(5.8mmol、20当量)及びホウ酸(0.29mmol、1.0当量)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、炭水化物(0.28~0.29mmol、1.0当量)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)により精製して、対応するC-グリコシド5又は7を得た。
【0122】
手順C
DMSO(1.0mL)中の炭水化物(0.50mmol、1.0当量)及びケトン(2.0mmol、4.0当量)の混合物を室温(25℃)で5分間撹拌して、炭水化物を可溶化した。この溶液に、ピロリジン(0.25mmol、0.5当量)及びホウ酸(1.0mmol、2.0当量)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)により精製して、対応するC-グリコシド5又は7を得た。
【0123】
化合物5aaをD-ラクトース及びアセトンから手順Aにより合成した。DMSO(1.0mL)中のピロリジン(12.0μL、0.146mmol)の溶液に、アセトン(429μL、5.84mmol)及びホウ酸(18.0mg、0.292mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、D-ラクトース一水和物(100mg、0.278mmol)を加え、この混合物を同じ温度で24時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=71:29~63:37)により精製して、5aa(48.1mg、45%、dr>10:1)を無色固体として得た。化合物5aaは、公知の化合物である。
【0124】
また、化合物5aaを手順Bによって合成した。DMSO(350μL)中のピロリジン(12.0μL、0.146mmol)の溶液に、アセトン(429μL、5.84mmol)及びホウ酸(18.0mg、0.292mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、D-ラクトース一水和物(100mg、0.278mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=71:29~63:37)により精製して、5aa(64.5mg、61%、dr>10:1)を無色固体として得た。
【0125】
また、化合物5aaを手順Cにより、ただし、D-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)から10当量 アセトン(368μL、5.0mmol)を使用して合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=70:30~65:35)により精製した。無色固体、57mg、30%。
Rf=0.28(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.36 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.85-3.75 (m, 3H), 3.75-3.63 (m, 2H), 3.62-3.46 (m, 6H), 3.39-3.34 (m, 1H), 3.15 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 2.90 (dd, J = 16.4 Hz, 2.2 Hz, 1H), 2.61 (dd, J = 16.4 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.0, 105.1, 80.8, 80.2, 77.9, 77.1, 74.81, 74.78, 72.6, 70.3, 62.5, 62.0, 47.0, 30.6。HRMS(ESI):C152711([M+H])についての計算値383.1548、実測値383.1530。
【0126】
【化42】
【0127】
化合物5abをD-ラクトース及びエチル 5-オキソヘキサノアートから手順Cにより合成した。DMSO(1.0mL)中のD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及びエチル 5-オキソヘキサノアート(320μL、2.0mmol)の混合物を室温(25℃)で5分間撹拌して、炭水化物を可溶化した。この溶液に、ピロリジン(21μL、0.25mmol)及びHBO(61mg、1.0mmol)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=70:30~64:36)により精製し、5ab(109mg、45%、dr>20:1)を無色固体として得た。
【0128】
また、化合物5abをD-ラクトース及びエチル 5-オキソヘキサノアートから、反応時間を96時間に変更した手順Cによって合成した。DMSO(1.0mL)中のD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及びエチル 5-オキソヘキサノアート(320μL、2.0mmol)の混合物を室温(25℃)で5分間撹拌して、炭水化物を可溶化した。この溶液に、ピロリジン(21μL、0.25mmol)及びHBO(61mg、1.0mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=65:35~60:40)により精製し、5ab(156mg、65%、dr>10:1)を無色固体として得た。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.35 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.11 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.82-3.75 (m, 4H), 3.72-3.65 (m, 2H), 3.60-3.46 (m, 5H), 3.36-3.32 (m, 1H), 3.14 (dd, J = 9.4 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 15.7 Hz, 2.9 Hz, 1H), 2.62-2.56 (m, 3H), 2.32 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.84 (quint, J = 7.2 Hz, 2H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 211.0, 175.1, 105.0, 80.8, 80.1, 77.9, 77.2, 77.0, 74.8, 72.5, 70.2, 62.4, 61.9, 61.4, 46.3, 43.1, 34.0, 19.8, 14.5。HRMS(ESI):C203513([M+H])についての計算値483.2072、実測値483.2062。
【0129】
化合物5acをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及びアセトフェノン(233μL、2.0mmol)から手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=74:26~65:35)により精製した。無色固体、80mg、36%、dr>10:1。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO): δ 7.96 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.63-7.61 (m, 1H), 7.54-7.50 (m, 2H), 5.25 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 5.09 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 4.77 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.70 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 4.64 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.37 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 3.73 (td, J = 9.3 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.64-3.59 (m, 2H), 3.57-3.44 (m, 4H), 3.37-3.27 (m, 5H), 3.23-3.18 (m, 1H), 3.16-3.05 (m, 2H)。13C NMR (100 MHz, (CD3)2SO): δ 198.0, 136.9, 133.0, 128.6, 128.0, 103.8, 80.9, 78.6, 76.2, 75.57, 75.52, 73.25, 73.22, 70.5, 68.1, 60.5, 60.3, 41.0。HRMS(ESI):C202911([M+H])についての計算値445.1704、実測値445.1700。
【0130】
化合物5adをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及びシクロプロピルメチルケトン(198μL、2.0mmol)から手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=7:3~6:4)により精製した。無色固体、92mg、45%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.36 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.86-3.63 (m, 5H), 3.60-3.46 (m, 6H), 3.38-3.32 (m, 1H), 3.17 (dd, J = 9.2 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.02 (dd, J = 16.0 Hz, 2.6 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 16.4 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.15-2.09 (m, 1H), 1.00-0.89 (m, 4H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 212.0, 105.0, 80.7, 80.1, 77.9, 77.0, 76.8, 74.7, 74.6, 72.5, 70.2, 62.4, 61.9, 46.6, 21.7, 11.5, 11.2。HRMS(ESI):C172911([M+H])についての実測値409.1704、実測値409.1698。
【0131】
化合物5aeをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及びベンジル 5-オキソヘキサノエート(440mg、2.0mmol)から手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=70:30~64:36)により精製した。無色ゴム、95mg、35%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.36-7.30 (m, 5H), 5.10 (s, 2H), 4.36 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 3.1 Hz, 0.7 Hz, 1H), 3.81-3.65 (m, 5H), 3.62-3.48 (m, 5H), 3.36-3.32 (m, 1H), 3.16 (dd, J = 9.2 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.84 (dd, J = 15.8 Hz, 2.9 Hz, 1H), 2.61-2.54 (m, 3H), 2.38 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.85 (quint, J = 7.2 Hz, 2H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 211.0, 174.7, 137.5, 129.5, 129.1, 105.0, 80.8, 80.0, 77.7, 77.1, 76.9, 74.76, 74.70, 72.4, 70.2, 67.1, 62.4, 61.9, 46.2, 43.0, 34.0, 19.7。HRMS(ESI):C253713([M+H])についての計算値545.2229、実測値545.2210。
【0132】
化合物5afをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及び5-ヘキシン-2-オン(192mg、2.0mmol)から手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=75:25~70:30)により精製した。無色固体、44mg、21%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.35 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.84-3.80 (m, 3H), 3.80-3.75 (m, 1H), 3.72-3.64 (m, 2H), 3.60-3.46 (m, 6H), 3.36-3.32 (m, 1H), 3.15 (dd, J = 9.6 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 16.0 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.82-2.74 (m, 2H), 2.62 (dd, J = 16.0 Hz, 9.1 Hz, 1H), 2.39 (td, J = 7.1 Hz, 2.6 Hz, 2H), 2.20 (t, J = 2.6 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 209.2, 105.0, 84.0, 80.7, 80.1, 77.9, 77.1, 77.0, 74.8, 72.5, 70.3, 69.6, 62.5, 61.9, 46.2, 43.1, 13.3。HRMS(ESI):C182911([M+H])についての計算値421.1704、実測値421.1698。
【0133】
化合物5agをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及び4’-メチルアセトフェノン(267μL、2.0mmol)から手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=74:26~65:35)により精製した。無色固体、80mg、35%。
【0134】
また、化合物5agを、反応をD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及び4’-メチルアセトフェノン(267μL、2.0mmol)から96時間行ったこと以外は、手順Cによって合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=74:26~65:35)により精製した。無色固体、126mg、55%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.90 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.36 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.86-3.73 (m, 6H), 3.71 (dd, J = 11.6 Hz, 4.8 Hz, 1H), 3.62-3.51 (m, 5H), 3.49 (dd, J = 10.0 Hz, 3,6 Hz, 1H), 3.37-3.33 (m, 1H), 3.28-3.20 (m, 1H), 2.40 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 200.2, 145.5, 136.0, 130.2, 129.5, 105.0, 80.7, 80.1, 78.0, 77.2, 77.0, 74.79, 74.76, 72.5, 70.3, 62.5, 61.8, 42.1, 21.6。HRMS(ESI):C213111([M+H])についての計算値459.1861、実測値459.1852。
【0135】
化合物5ahをD-ラクトース一水和物(180mg、0.50mmol)及び4’-ニトロアセトフェノン(330mg、2.0mmol)から手順Cにより合成し、カラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=68:32~60:40)により精製した。無色固体、61mg、25%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO): δ 8.32 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 8.17 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.32 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 5.11 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 4.81 (s, 1H), 4.73 (s, 1H), 4.68-4.67 (m, 1H), 4.55 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.42 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 3.70 (td, J = 9.1 Hz, 2.7 Hz, 1H), 3.65-3.58 (m, 2H), 3.57-3.44 (m, 4H), 3.41-3.28 (m, 5H), 3.23-3.15 (m, 2H), 3.13-3.06 (m, 1H)。13C NMR (100 MHz, (CD 3) 2SO): δ 197.6, 149.8, 141.7, 129.5, 123.8, 103.8, 80.8, 78.7, 76.1, 75.6, 75.5, 73.3, 73.2, 70.6, 68.1, 60.5, 60.3, 41.8。HRMS(ESI):C2028NO13([M+H])についての計算値490.1555、実測値490.1557。
【0136】
化合物5baを、D-マルトース一水和物及びアセトンから、改変した手順Aにより合成した。DMSO(1.0mL)中のピロリジン(11.0μL、0.134mmol)の溶液に、アセトン(408μL、5.55mmol)及びホウ酸(17.0mg、0.277mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、D-マルトース一水和物(100mg、0.277mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=70:30~63:37)により精製し、5ba(49.1mg、46%、dr>10:1)を淡黄色ガムとして得た。化合物5baは、公知の化合物である。
Rf=0.38(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400M Hz, CD3OD): δ 5.16 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 3.86-3.74 (m, 3H), 3.72-3.58 (m, 5H), 3.52 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.45 (dd, J = 9.8 Hz, 3.8 Hz, 1H), 3.35-3.24 (m, 2H), 3.13 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 2.88 (dd, J = 16.0 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.61 (dd, J = 16.0 Hz, 9.0 Hz, 1H), 2.21 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.2, 102.8, 81.4, 80.3, 79.4, 77.2, 75.0, 74.69, 74.66, 74.2, 71.5, 62.7, 62.2, 47.0, 30.6。HRMS(ESI):C152711([M+H])についての計算値383.1548、実測値383.1538。
【0137】
化合物5caをD-セロビオース及びアセトンから手順Aにより合成した。DMSO(1.0mL)中のピロリジン(12.0μL、0.146mmol)の溶液に、アセトン(429μL、5.84mmol)及びホウ酸(18.0mg、0.292mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、D-セロビオース(100mg、0.292mmol)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=76:24~66:34)により精製し、5ca(58.7mg、53%、dr>10:1)を淡黄色固体として得た。化合物5caは、公知の化合物である。
Rf=0.43(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.10 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.88 (dd, J = 11.6 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.85-3.78 (m, 2H), 3.72-3.63 (m, 2H), 3.54 (t, J = 9.0 Hz, 2H), 3.49 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 3.41-3.28 (m, 4H), 3.24 (dd, J = 8.8 Hz, 8.0 Hz, 1H), 3.15 (dd, J = 9.2 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.89 (dd, J = 16.4 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.61 (dd, J = 16.4 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H).13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.4, 104.5, 80.8, 80.1, 78.0, 77.8, 77.7, 76.9, 74.9, 74.8, 71.3, 62.4, 61.9, 47.0, 30.7。HRMS(ESI):C152711([M+H])についての計算値383.1548、実測値383.1548。
【0138】
化合物7aaを、3’-シアリルラクトースナトリウム塩及びアセトンから、改変した手順Cにより合成した。DMSO(370μL)中のピロリジン(13.0μL、0.158mmol)の溶液に、アセトン(448μL、6.09mmol)及びホウ酸(38.0mg、0.614mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、3’-シアリルラクトースナトリウム塩(200mg、0.305mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=61:39~45:55)により精製して、7aa(151.4mg、74%、dr>10:1)を淡黄色ゴムとして得た。
Rf=0.53(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.43 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.05 (dd, J = 9.6 Hz, 3.2 Hz, 1H), 3.95-3.91 (m, 1H), 3.89-3.47 (m, 16H), 3.39-3.34 (m, 1H), 3.14 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 2.89 (dd, J = 16.0 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.86 (d, J = 12.4 Hz, 4.0 Hz, 1H), 2.61 (dd, J = 16.0 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1.79-1.68 (m, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD 3OD) δ 210.2, 175.5, 174.9, 105.1, 101.1, 81.3, 80.2, 77.8, 77.6, 77.2, 77.0, 74.9, 74.8, 73.0, 70.8, 70.1, 69.4, 69.0, 64.6, 62.7, 62.2, 54.0, 47.1, 42.1, 30.6, 22.6。HRMS(ESI):C2644NO19([M+H])についての計算値674.2502、実測値674.2493。
【0139】
【化43】
【0140】
化合物7abを、反応を3’-シアリルラクトースナトリウム塩(164mg、0.25mmol)及びエチル 5-オキソヘキサノアート(160μL、1.0mmol)から0.25mmolスケールで42時間行ったこと以外は、手順Cにより合成し、カラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=45:55~30:70)により精製した。無色ゴム、80mg、40%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.42 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 4.11 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.04 (dd, J = 9.7 Hz, 3.1 Hz, 1H), 3.92 (brd, J = 2.8 Hz, 1H), 3.87-3.55 (m, 14H), 3.53-3.47 (m, 2H), 3.37-3.33 (m, 1H), 3.14 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 2.87-2.80 (m, 2H), 2.67-2.53 (m, 3H), 2.32 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.01 (s, 3H), 1.84 (quint, J = 7.1 Hz, 2H), 1.77-1.69 (m, 1H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 211.1, 175.4, 175.1, 174.9, 105.0, 101.0, 81.0, 80.1, 77.7, 77.5, 77.2, 76.9, 74.9, 74.8, 72.9, 70.7, 70.0, 69.2, 68.9, 64.4, 62.6, 62.0, 61.4, 53.9, 46.3, 43.1, 42.0, 34.0, 22.6, 19.7, 14.5。HRMS(ESI):C315221N([M+H])についての計算値774.3026、実測値774.3020。
【0141】
化合物7baを、6’-シアリルラクトースナトリウム塩及びアセトンから、改変した手順Cにより合成した。DMSO(370μL)中のピロリジン(13.0μL、0.158mmol)の溶液に、アセトン(448μL、6.09mmol)及びホウ酸(38.0mg、0.614mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、6’-シアリルラクトースナトリウム塩(200mg、0.305mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=54:46~33:67)により精製して、7ba(164.4mg、80%、dr>10:1)を淡黄色ガムとして得た。
Rf=0.23(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 4.33 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 9.8 Hz, 7.8 Hz, 1H), 3.94-3.46 (m, 17H), 3.42-3.36 (m, 1H), 3.24-3.17 (m, 1H), 2.93 (dd, J = 16.0, 2.8 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 12.0 Hz, 4.4 Hz, 1H), 2.63 (dd, J = 16.0 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.21 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1.66 (t, J = 12.0 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 210.3, 175.0, 174.6, 105.2, 101.5, 81.8, 80.1, 77.8, 76.8, 75.7, 75.0, 74.7, 74.2, 73.2, 72.4, 70.6, 70.3, 69.7, 64.63, 64.55, 62.2, 53.9, 47.0, 42.3, 30.7, 22.9。HRMS(ESI):C2644NO19([M+H])についての計算値674.2502、実測値674.2491。
【0142】
化合物7caを、D-マルトトリオース及びアセトンから、改変した手順Aにより合成した。DMSO(1.0mL)中のピロリジン(8.0μL、0.097mmol)の溶液に、アセトン(292μL、3.97mmol)及びホウ酸(12.0mg、0.194mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、D-マルトトリオース(100mg、0.198mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=70:30~63:37)により精製して、7ca(37.9mg、35%、dr>10:1)を淡黄色ゴムとして得た。
Rf=0.20(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 5.165 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.159 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 3.90-3.59 (m, 12H), 3.54-3.43 (m, 4H), 3.35-3.24 (m, 2H), 3.13 (t, J = 9.4 Hz, 1H), 2.88 (dd, J = 16.2 Hz, 2.8 Hz, 1H), 2.61 (dd, J = 16.2 Hz, 9.2 Hz, 1H), 2.21 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 210.2, 102.8, 102.6, 81.4, 81.2, 80.2, 79.3, 77.2, 75.0, 74.9, 74.71, 74.65, 74.2, 73.8, 73.3, 71.4, 62.7, 62.3, 62.1, 47.0, 30.7。HRMS(ESI):C213716([M+H])についての計算値545.2076、実測値545.2067。
【0143】
化合物7ccを、反応をD-マルトトリオース(126mg、0.25mmol)及びアセトフェノン(117μL、1.0mmol)から0.25mmolスケールで行ったこと以外は、手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=60:40~50:50)により精製した。無色ゴム、33mg、22%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.01 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.60 (tt, J = 7.4Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 5.18 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 3.91-3.80 (m, 5H), 3.79-3.73 (m, 3H), 3.72-3.43 (m, 9H), 3.41-3.19 (m, 4H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 200.5, 138.5, 134.3, 129.7, 129.3, 102.8, 102.6, 81.4, 81.2, 80.1, 79.4, 77.2, 75.0, 74.9, 74.7, 74.6, 74.2, 73.8, 73.2, 71.4, 62.7, 62.1, 42.2。HRMS(ESI):C263916([M+H])についての計算値607.2233、実測値607.2216。
【0144】
化合物7cdを、反応をD-マルトトリオース(126mg、0.25mmol)及びシクロプロピルメチルケトン(100μL、1.0mmol)から0.25mmolスケールで行ったこと以外は、手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=65:35~50:50)により精製した。無色ゴム、42mg、30%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 5.19-5.15 (m, 2H), 3.89-3.81 (m, 4H), 3.81-3.60 (m, 8H), 3.58-3.44 (m, 4H), 3.35-3.25 (m, 2H), 3.16 (td, J = 9.0 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.02 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 2.76-2.69 (m, 1H), 2.15-2.09 (m, 1H), 0.98-0.93 (m, 4H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 212.1, 102.7, 102.6, 81.3, 81.2, 80.1, 79.3, 76.9, 75.0, 74.9, 74.7, 74.5, 74.1, 73.7, 73.2, 71.4, 62.6, 62.1, 62.0, 46.6, 21.7, 11.6, 11.3。HRMS(ESI):C233916([M+H])についての計算値571.2233、実測値571.2231。
【0145】
化合物7cgを、反応をD-マルトトリオース(126mg、0.25mmol)及び4’-メチルアセトフェノン(134μL、1.0mmol)から0.25mmolスケールで行ったこと以外は、手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=60:40~50:50)により精製した。無色ゴム、39mg、25%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.90 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.17 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 3.91-3.80 (m, 5H), 3.78-3.72 (m, 3H), 3.70-3.67 (m, 2H), 3.66-3.63 (m, 1H), 3.63-3.56 (m, 2H), 3.54-3.52 (m, 1H), 3.51-3.48 (m, 1H), 3.45 (dd, J = 9.7 Hz, 3.7 Hz, 1H), 3.39 (dd, J =16.4 Hz, 2.3 Hz, 1H), 3.34-3.31 (m, 1H), 3.30-3.23 (m, 2H), 3.19 (dd, J = 16.4 Hz, 8.9 Hz, 1H), 2.40 (s, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 200.2, 145.5, 135.9, 130.3, 129.5, 102.8, 102.6, 81.4, 81.3, 80.1, 79.4, 77.2, 75.0, 74.9, 74.7, 74.6, 74.2, 73.8, 73.2, 71.5, 62.6, 62.13, 62.10, 42.1, 21.6。HRMS(ESI):C274116([M+H])についての計算値621.2389、実測値621.2374。
【0146】
化合物7ciを、反応をD-マルトトリオース(126mg、0.25mmol)及び4’-シアノアセトフェノン(145mg、1.0mmol)から0.25mmolスケールで行ったこと以外は、手順Cにより合成し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=60:40~49:51)により精製した。無色ゴム、35mg、22%。
Rf=0.27(CHCl/MeOH=1:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.08 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.81 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.14-5.11 (m, 2H), 3.85-3.76 (m, 5H), 3.73-3.66 (m, 3H), 3.64-3.54 (m, 5H), 3.52-3.35 (m, 5H), 3.26-3.21 (m, 3H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD): δ 199.2, 141.6, 133.6, 129.9, 118.9, 117.1, 102.7, 102.5, 81.2, 81.1, 80.1, 79.3, 77.0, 74.9, 74.8, 74.6, 74.5, 74.0, 73.7, 73.1, 71.3, 62.5, 62.08, 62.04, 42.2。HRMS(ESI):C2738NO16([M+H])についての計算値632.2185、実測値632.2174。
【0147】
3.C-グリコシドケトンの変換(スキーム3、4及び5)
化合物8a
DMSO(0.5mL)中のL-プロリン(8.0mg、0.069mmol)の混合物に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(24.4mg、0.131mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(11.0μL、0.063mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物5aa(50.0mg、0.131mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~79:21)により精製して、8a(38.0mg、53%)を淡黄色固体として得た。
【0148】
DMSO(1.0mL)中のピロリジン(5.0μL、0.061mmol)の溶液に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(24.4mg、0.131mmol)及びホウ酸(4.0mg、0.065mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物5aa(50.0mg、0.131mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~79:21)により精製し、8a(27.3mg、38%)を淡黄色固体として得た。
Rf=0.32(CHCl/MeOH=4:1)。1H NMR (400 M Hz, CD3OD): δ 7.98 (s, 1H), 7.82-7.71 (m, 4H), 7.24 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 9.0 Hz, 2.6 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.39 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.91-3.45 (m, 11H), 3.43-3.37 (m, 1H), 3.31-3.25 (m, 1H), 3.17 (dd, J = 16.0 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.96 (dd, J = 16.0 Hz, 8.8 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 201.1, 160.5, 145.5, 137.5, 131.7, 131.23, 131.16, 130.1, 128.7, 126.5, 125.2, 120.5, 107.1, 105.1, 80.8, 80.1, 77.9, 77.3, 77.0, 74.8, 74.7, 72.5, 70.3, 62.5, 61.9, 55.9, 44.1。HRMS(ESI):C273512([M+H])についての計算値551.21230、実測値551.21002。
【0149】
【化44】
【0150】
化合物8b
DMSO(1.0mL)中のピロリジン(5.0μL、0.061mmol)の溶液に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(24.4mg、0.131mmol)及びホウ酸(4.0mg、0.065mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物5ba(50.0mg、0.131mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=90:10~82:18)により精製して、8b(30.1mg、42%)を淡黄色ゴムとして得た。
Rf=0.47(CHCl/MeOH=4:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.00 (s, 1H), 7.82-7.77 (m, 2H), 7.80 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.8 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.8 Hz, 2.6 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.18 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.86-3.75 (m, 4H), 3.75-3.53 (m, 5H), 3.46 (dd, J = 9.2 Hz, 4.0 Hz, 1H), 3.37-3.31 (m, 1H), 3.30-3.22 (m, 2H), 3.16 (dd, J = 15.6 Hz, 2.6 Hz, 1H), 2.95 (dd, J = 15.6 Hz, 9.2 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD 3OD) δ 201.1, 160.6, 145.5, 137.6, 131.6, 131.3, 130.2, 128.7, 126.5, 125.3, 120.5, 107.2, 102.9, 81.5, 80.3, 79.5, 77.6, 75.1, 74.81, 74.75, 74.3, 71.1, 62.8, 62.2, 55.9, 44.3。HRMS(ESI):C273512([M+H])についての計算値551.21230、実測値551.21008。
【0151】
化合物8c
DMSO(1.0mL)中のL-プロリン(8.0mg、0.069mmol)の混合物に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(24.0mg、0.129mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(11.0μL、0.063mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物5ca(50.0mg、0.131mmol)を加え、この混合物を同じ温度で96時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=86:14~79:21)により精製して、8c(19.0mg、27%)を淡黄色固体として得た。
Rf=0.66(CHCl/MeOH=4:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.99 (s, 1H), 7.81-7.77 (m, 2H), 7.80 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.8 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 4.43 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.92-3.77 (m, 4H), 3.68 (dd, J = 12.0 Hz, 5.6 Hz, 1H), 3.60 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.54 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.41-3.31 (m, 4H), 3.30-3.21 (m, 2H), 3.15 (dd, J = 15.8 Hz, 2.6 Hz, 1H), 2.96 (dd, J = 15.8 Hz, 9.0 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 201.1, 160.6, 145.5, 137.6, 131.7, 131.3, 131.2, 130.2, 128.7, 126.5, 125.3, 120.5, 107.1, 104.6, 80.8, 80.2, 78.1, 78.0, 77.8, 77.4, 74.9, 71.4, 62.4, 61.9, 55.9, 44.2。HRMS(ESI):C273512([M+H])についての計算値551.21230、実測値551.21227。
【0152】
化合物8d
DMSO(1.0mL)中のピロリジン(3.0μL、0.037mmol)の溶液に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(14.0mg、0.075mmol)及びホウ酸(5.0mg、0.081mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物7aa(50.0mg、0.074mmol)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=69:31~51:49)により精製して、8d(24.6mg、40%)を淡黄色固体として得た。
Rf=0.16(CHCl/MeO=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.99 (s, 1H), 7.82-7.76 (m, 2H), 7.80 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.8 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.25 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.16 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.06 (dd, J = 9.6 Hz, 3.2 Hz, 1H), 3.94-3.46 (m, 17H), 3.92 (s, 3H), 3.42-3.37 (m, 1H), 3.26 (dd, J = 9.6 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.15 (dd, J = 15.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.95 (dd, J =15.6 Hz, 9.0 Hz, 1H), 2.89-2.83 (m, 1H), 2.01 (s, 3H), 1.79-1.68 (m, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 201.1, 175.5, 174.9, 160.6, 145.4, 137.5, 131.6, 131.2, 130.2, 128.7, 126.5, 125.3, 120.5, 107.1, 105.0, 101.1, 81.1, 80.2, 77.9, 77.6, 77.5, 77.0, 74.9, 74.8, 73.0, 70.8, 70.1, 69.3, 69.0, 64.5, 62.7, 62.0, 55.9, 53.9, 44.2, 42.1, 22.6。HRMS(ESI):C3852NO20([M+H])についての計算値842.3077、実測値842.3051。
【0153】
【化45】
【0154】
化合物8e
DMSO(1.0mL)中のピロリジン(3.0μL、0.037mmol)の溶液に、6-メトキシ-2-ナフトアルデヒド(14.0mg、0.075mmol)及びホウ酸(5.0mg、0.081mmol)を室温(25℃)で加え、この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、化合物7ba(50.0mg、0.074mmol)を加え、この混合物を同じ温度で48時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=69:31~51:49)により精製して、8e(21.5mg、35%)を淡黄色固体として得た。
Rf=0.16(CHCl/MeOH=2:1)。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.99 (s, 1H), 7.82-7.72 (m, 3H), 7.80 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.07 (dd, J = 10.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.92-3.45 (m, 17H), 3.43-3.37 (m, 1H), 3.36-3.30 (m, 1H), 3.19 (dd, J = 16.0 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.96 (dd, J = 16.0 Hz, 8.8 Hz, 1H), 2.82 (dd, J = 12.0 Hz, 4.8 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.68 (t, J = 12.0 Hz, 1H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 201.2, 174.9, 174.5, 160.6, 145.5, 137.6, 131.7, 131.3, 131.2, 130.2, 128.7, 126.5, 125.3, 120.5, 107.1, 105.2, 101.5, 81.7, 80.0, 77.9, 77.2, 75.8, 75.0, 74.6, 74.2, 73.2, 72.5, 70.6, 70.3, 69.8, 64.64, 64.61, 62.1, 55.9, 53.8, 44.2, 42.5, 22.8。HRMS(ESI):C3852NO20([M+H])についての計算値842.3077、実測値842.3055。
【0155】
化合物9
EtOH(1.0mL)中の4a(50mg、0.13mmol)及びp-トルエンスルホニルヒドラジド(32mg、0.17mmol)の混合物を室温(25℃)で18時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=87:13~80:20)により精製して、9(41mg、57%)を淡褐色固体として得た。
Rf=0.26(CHCl/MeOH(5:1))。1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 7.82 (d, J = 8.0 Hz, 2H x 2/5), 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H x 3/5), 7.39-7.34 (m, 2H), 4.35 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.85-3.37 (m, 11H), 3.34-3.26 (m, 1H x 2/5), 3.21-3.16 (m, 1H x 3/5), 3.09 (t, J = 8.8 Hz, 1H x 3/5), 3.07 (t, J = 8.8 Hz, 1H x 2/5), 2.73 (dd, J = 14.8 Hz, 2.8 Hz, 1H x 3/5), 2.65-2.55 (m, 2H x 2/5), 2.42 (s, 3H), 2.27 (dd, J = 14.8 Hz, 9.2 Hz, 1H x 3/5), 1.94 (s, 3H x 2/5), 1.86 (s, 3H x 3/5)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 159.3, 159.1, 145.2, 145.1, 137.6, 137.3, 130.5, 130.4, 129.1, 129.0, 105.0, 80.8, 80.4, 80.2, 80.0, 78.5, 77.9, 77.6, 77.1, 77.0, 74.84, 74.79, 74.76, 74.6, 72.52, 72.48, 70.3, 62.49, 62.46, 62.0, 61.6, 41.6, 34.7, 23.9, 21.5, 17.2。HRMS(ESI):C223512S([M+H])についての計算値551.1905、実測値551.1871。
【0156】
化合物10
DMSO(1.0mL)中の7aa(100mg、0.148mmol)及び(アミノオキシ)酢酸1/2塩酸塩(HN-O-CHCOOH・1/2HCl)(24.0mg、0.220mmol)の混合物を室温(25℃)で18時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=54:46~26:74)により精製して、対応するオキシムエーテル誘導体(110mg、99%)を得た。MeOH(1.0mL)中のこのオキシムエーテル(100mg、0.134mmol)、ダンシルカダベリン(49.0mg、0.146mmol)及び4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(56.0mg、0.200mmol)の混合物を室温(25℃)で18時間撹拌した。この混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=82:18~50:50)により精製して、10(81.8mg、57%)を淡黄色固体として得た。
Rf=0.38(CHCl/MeOH(3:1))。1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.55 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.19 (dd, J = 7.2 Hz, 0.8 Hz, 1H), 7.62-7.55 (m, 2H), 7.27 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 8.0 Hz, 1H x 1/3), 4.43 (d, J = 8.0 Hz, 1H x 2/3), 4.39 (s, 2H x 2/3), 4.38 (s, 2H x 1/3), 4.08-4.03 (m, 1H), 3.95-3.92 (m, 1H), 3.90-3.46 (m, 16H + 1H x 1/3), 3.46-3.39 (m, 1H x 2/3), 3.34-3.30 (m, 1H), 3.18-3.11 (m, 1H), 3.09-3.00 (m, 2H), 2.95 (dd, J = 14.4 Hz, 3.2 Hz, 1H x 1/3), 2.88 (s, 6H), 2.88-2.80 (m, 3H), 2.71 (dd, J = 14.4 Hz, 2.8 Hz, 1H x 2/3), 2.58 (dd, J = 14.4 Hz, 8.8 Hz, 1H x 1/3), 2.28 (dd, J = 14.4 Hz, 9.2 Hz, 1H x 2/3), 2.01 (s, 3H), 1.96 (s, 3H x 2/3), 1.90 (s, 3H x 1/3), 1.78-1.70 (m, 1H), 1.38-1.25 (m, 4H), 1.20-1.10 (m, 2H)。13C NMR (100 MHz, CD3OD) δ 175.5, 174.9, 172.5, 172.4, 160.3, 160.2, 153.2, 137.2, 131.2, 131.1, 131.0, 130.1, 129.1, 124.3, 120.6, 116.4, 105.1, 101.1, 81.4, 80.22, 80.17, 78.5, 78.2, 77.9, 77.6, 77.0, 75.5, 75.1, 74.9, 73.1, 73.0, 72.9, 70.8, 70.1, 69.3, 69.0, 64.6, 62.7, 62.3, 54.0, 45.8, 43.7, 42.1, 39.8, 39.7, 30.1, 29.8, 24.7, 22.6, 20.7, 15.1。HRMS(ESI):C457022S([M+H])についての計算値1064.4228、実測値1064.4231。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、立体選択性が高く、穏和で、原子経済的な条件下で、生物学的に重要である、新規なオリゴ糖C-グリコシド誘導体を提供できる。
【0158】
本願は、2018年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/647,241号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。