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特許7411257血圧制御装置、および血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】血圧制御装置、および血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021523330
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2019044036
(87)【国際公開番号】W WO2020091081
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】62/753,931
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 革新的医療機器創出支援プロジェクト」「血圧変動をターゲットにした自律的経神経血圧制御デバイスの開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】朔 啓太
(72)【発明者】
【氏名】砂川 賢二
(72)【発明者】
【氏名】遠山 岳詩
(72)【発明者】
【氏名】細川 和也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆史
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142082(US,A1)
【文献】特表2008-520376(JP,A)
【文献】特表2010-519960(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/239210(US,A1)
【文献】特表2004-526471(JP,A)
【文献】特表2014-516297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の血圧を示す生体情報を取得する取得部と、
前記生体情報に基づいて周波数変調パルス列を生成する生成部と、
前記周波数変調パルス列に基づいて、前記被験者に取り付けられた電極に電流を供給する供給部とを備え、
前記電流は、前記被験者の圧受容器求心性神経を刺激
前記生成部は、前記ゲインの値を調整するゲイン調整部を備え、
前記ゲイン調整部は、前記血圧の変動が所定値よりも大きいときに、前記ゲインの値を増加させる
血圧制御装置。
【請求項2】
前記生成部は、ゲインと、基準圧力と、生体情報が示す血圧とに基づいて、前記周波数変調パルス列の刺激周波数を算出する刺激周波数算出部を備える、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項3】
前記刺激周波数算出部は、前記基準圧力と前記血圧との差にゲインを乗じて前記刺激周波数を算出する、
請求項2に記載の血圧制御装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記基準圧力の値を調整する基準圧力調整部を備える、
請求項に記載の血圧制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記ゲインの初期値と前記基準圧力の初期値とを設定する初期値設定部を備える、
請求項に記載の血圧制御装置。
【請求項6】
前記ゲイン調整部は、前記生体情報が示す前記血圧の変動に基づいて、前記ゲインの値を調整する、
請求項に記載の血圧制御装置。
【請求項7】
前記生成部は、自己圧反射システムと並行して作用する閉ループの負のフィードバックシステムに基づいて、周波数変調パルス列を生成し、自己圧反射機能を増強する、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記生体情報に基づいて前記周波数変調パルス列を生成することによって、前記血圧の平均の制御と前記血圧の変動の減衰とを独立して実行する、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項9】
前記初期値設定部は、前記被験者における治療要件または生理学的血圧変化に基づいて、前記基準圧力の初期値を設定する、
請求項に記載の血圧制御装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記生体情報が示す瞬時血圧に基づいて、前記周波数変調パルス列を生成する、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項11】
前記生成部は、生理学的システムの制限された圧反射速度を利用することにより、前記生体情報が示す瞬時血圧に基づいて、前記周波数変調パルス列を生成する、
請求項10に記載の血圧制御装置。
【請求項12】
前記ゲインは、生理学的周波数に依存する、
請求項2に記載の血圧制御装置。
【請求項13】
前記ゲインは、周波数に応じて前記血圧および前記血圧の変動を周波数依存的に抑制する、
請求項2に記載の血圧制御装置。
【請求項14】
前記ゲインは、前記被験者に応じて校正される、
請求項2に記載の血圧制御装置。
【請求項15】
前記ゲインは、前記血圧の平均および前記血圧の変動をプログラム可能にするように定量的に調整される、
請求項2に記載の血圧制御装置。
【請求項16】
前記血圧制御装置は、前記血圧の平均および前記血圧の変動を独立して制御する制御システムに適用される、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項17】
前記血圧制御装置は、容積耐性を改善し、急性心不全における肺うっ血を解消するシステムに適用される、
請求項1に記載の血圧制御装置。
【請求項18】
血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、前記血圧制御装置に、少なくとも、
被験者の血圧を示す生体情報を取得することと、
前記生体情報に基づいて周波数変調パルス列を生成することと、
前記周波数変調パルス列に基づいて前記被験者に取り付けられた電極に電流を供給することとを行わせ、
前記電流は、前記被験者の圧受容器求心性神経を刺激
前記生成部は、前記ゲインの値を調整するゲイン調整部を備え、
前記ゲイン調整部は、前記血圧の変動が所定値よりも大きいときに、前記ゲインの値を増加させる
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血圧制御装置、および血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に関する。
特に、本開示は、高血圧、圧力調節障害および/または心不全患者を治療するための平均血圧(BP)及びBP変動を調節する際の自律閉ループ神経調節方法およびシステムに関する。このシステムは、自己圧反射システムと並行して作用し、BPの圧反射調節を強化し、平均BPおよびBP変動の両方に対して定量的にプログラム可能な制御を可能にする。
本願は、2018年11月1日に出願された米国仮出願第62/753931号に基づく優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
心血管疾患は、依然として全世界の主要な死因となっている。様々な心血管病態生理学の中で、高血圧は、最も蔓延している疾患である(60歳を超える一般人口の50%を上回り、全世界で10億人の患者がいる)。高血圧の治療は著しく進歩しているが、患者のほぼ10%が治療抵抗性を有している(3剤以上、血圧>140/90mmHg)。さらに、最近の臨床試験から、長期の心血管イベントはBPレベルだけでなく、BP変動にも依存していることが明らかになった。ほとんどの降圧剤は、平均BPを下げることはできるが、BP変動をうまく下げた降圧剤はない。これは、高血圧が非常に蔓延していることから、グローバルヘルスケアにおいて大きな問題であり、緊急の解決策が求められている。高血圧の薬物治療の限界を克服するために、平均BPとBP変動をプログラムで調節する自律閉ループ神経調節システムを開発した。
【0003】
循環ホメオスタシスは、通常の生理学や生活をサポートするために不可欠なインフラストラクチャである。これを目的として、心血管系において、複雑な神経ホルモン調節システムが自然に発達した。調節システムの中で、BPの調節や安定化において自律神経系が中心的な役割を果たしている。生理学的研究により、動脈壁の圧受容器の、BPによって誘発された伸張が圧受容器求心性神経を活性化し、脳幹の血管運動中枢を介して交感神経活動を抑制し、BPを低下させることが示された。圧受容器はBPの低下を感知するため、血圧調節を誘発する圧受容器は、負のフィードバックシステム(圧反射システム)を構成する。
【0004】
従来から、血圧制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この血圧制御装置は、生体の血圧値を検出する血圧検出手段としての血圧センサと、生体の脊髄交感神経系に与える刺激電気を出力する電気刺激部とを備えている。電気刺激部は、生体の血圧値を目標設定値まで上昇させるために生体の脊髄交感神経系に与える必要がある刺激電気の刺激周波数を算出する刺激周波数制御部と、制御部が算出した刺激周波数の刺激電気を出力するパルス電流出力部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-065529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧反射のデバイスベース活性化は、数年前から調査されてきた。しかし、技術的な未熟さにより、治療の選択肢として高血圧治療に神経調節療法を適用することができなかった。最近、圧反射活性化療法が再検討され、BPを下げることに大きな影響を示している。しかし、デバイスは、BPフィードバックなしで、一定の速度で圧受容器または圧受容器求心性神経を継続的に刺激した。これは、自律神経系の大きく変化する生理学的駆動がある際に、神経調節物質が、圧受容器求心性神経をどの程度の強度で刺激する必要があるかを知る方法がないことを意味する。このような圧反射活性化療法の限界を克服するために、本発明者らは、以前、閉じたフィードバックループを有する圧反射活性化療法を開発している。このシステムにより、自己圧反射システムがなくても、通常の圧反射機能を回復することができる。しかし、平均BPおよびBP変動を完全にプログラム可能にすることはまだ不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本システムにおいて、本発明者らは、自己圧反射システムと並行して作用する閉じたフィードバックを有する追加的な神経調節システムを有することで、自己圧反射システムを強化し、平均BPおよびBP変動を完全にプログラム可能にするようにシステムを構成する。
【0008】
本開示の目的は、平均血圧と血圧の変動を独立的に制御することができ、容積耐性を改善し、急性心不全における肺うっ血を解消することができる血圧制御装置、血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体および血圧制御方法を提供することである。
【0009】
本開示によれば、被験者の血圧を示す生体情報を取得する取得部と、前記生体情報に基づいて周波数変調パルス列を生成する生成部と、前記周波数変調パルス列に基づいて、前記被験者に取り付けられた電極に電流を供給する供給部とを備え、前記電流は、前記被験者の圧受容器求心性神経を刺激前記生成部は、前記ゲインの値を調整するゲイン調整部を備え、前記ゲイン調整部は、前記血圧の変動が所定値よりも大きいときに、前記ゲインの値を増加させる血圧制御装置が提供される。
【0010】
本開示によれば、血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記制御プログラムは、前記血圧制御装置に、少なくとも、被験者の血圧を示す生体情報を取得することと、前記生体情報に基づいて周波数変調パルス列を生成することと、前記周波数変調パルス列に基づいて前記被験者に取り付けられた電極に電流を供給することとを行わせ、前記電流は、前記被験者の圧受容器求心性神経を刺激前記生成部は、前記ゲインの値を調整するゲイン調整部を備え、前記ゲイン調整部は、前記血圧の変動が所定値よりも大きいときに、前記ゲインの値を増加させる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0012】
心血管疾患は、依然として全世界の主要な死因となっている。心血管病態生理学の中で、高血圧は、脳卒中、虚血性心疾患、心不全、および死につながる最も一般的な疾患である。多くの効果的な降圧剤が開発されているが、治療を受けた患者のほぼ10%が治療抵抗性を有する。さらに、最近の研究では、平均BPだけでなく、BP変動も高血圧患者の長期的な結果を決定する上で等しく重要であることが示された。ほとんどの降圧剤が平均BPを下げることができることは十分に明らかになっている。しかし、残念ながら、降圧剤がBP変動をうまく低下させたことはない。これは、高血圧が非常に蔓延していることから、グローバルヘルスケアにおいて大きな問題であり、そのため、必然的に緊急の解決策が求められている。本開示は、高血圧、圧力調節障害および/または心不全患者を治療するための平均血圧(BP)及びBP変動を調節する際の自律閉ループ神経調節方法およびシステムに関する。このシステムは、自己圧反射システムと並行して作用し、BPの圧反射調節を強化し、平均BPおよびBP変動の両方を完全にプログラム可能にする。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、血圧の平均および血圧の変動性を独立的に制御することができ、容積耐性を改善し、急性心不全における肺うっ血を解消することができる血圧制御装置、血圧制御装置の制御プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体および血圧制御方法を提供することができる。
急性心不全(Acute Heart Failure(AHF))は、交感神経活動(Sympathetic Nerve Activity(SNA))を増加させ、それが前後負荷を増加させ、生命を脅かす肺水腫を伴う高血圧を引き起こすことがよくある。よって、交感神経の負荷を減少することは、合理的な治療選択肢である。また、圧反射障害は、容積耐性を悪化させ、肺うっ血のリスクを高める。sBAT(スマート圧反射活性化療法)は、血行動態を維持しながらSNAを低下させるため、sBATは、容積耐性を著しく改善し、AHFモデルラットの肺うっ血を瞬時に(5秒以内に)解消する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】システム全体の概略図である。
図2】血圧制御装置の概略的に示す図である。
図3】動作理論を説明するためのシステムの機能ブロック図である。
図4】圧受容器求心性神経を刺激して閉じたフィードバック神経調節を確立する周波数変調パルス列として、測定されたBPをどのようにエンコードするかを示す図である。
図5】意識のあるラットにおけるシステム作用の性能を示す図である。
図6】麻酔をかけたラットの体積摂動下での実験結果を示す図である。
図7】sBATの構成を示す図である。
図8】体積変化に応じてAPおよびLVEDPを抑制するsBATを示す図である。
図9】AHFの血行動態を瞬時に改善するsBATを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。まず、図1を参照し、第1実施形態の血圧制御装置が適用されたシステムの構成について説明する。
【0016】
図1は、自律閉ループ神経調節システム1の概略図である。システム1は、血圧感知要素と、血圧(BP)を周波数変調パルス列にエンコードするコントローラ要素と、圧受容器求心性神経を刺激する神経刺激要素と、刺激電流を駆動して圧受容器求心性神経を活性化する神経電極要素との4つの主要要素によって構成される。
図1に示す例では、血圧感知要素が、検出部11として機能する。検出部11は、血圧センサ11Aを備えている。血圧センサは、被験者の血圧を検出する。血圧センサによって検出された血圧は、生体情報として機能する。
他の例では、検出部11が、血管ひずみ、瞬間流量、および/または脈波速度等の血圧代替変数を検出する他のセンサ(図示せず)を備えていてもよい。血圧代替変数は生体情報として機能する。
【0017】
図1に示す例では、コントローラ要素および神経刺激要素が、血圧制御装置10として機能する。
図2は、血圧制御装置10を概略的に示す図である。血圧制御装置10は、取得部10Aと、生成部10Bと、供給部10Cとを備えている。取得部10Aは、血圧センサ11Aによって検出された血圧を示す生体情報を取得する。生成部10Bは、取得部10Aによって取得された生体情報に基づいて、周波数変調パルス列を生成する。
生成部10Bは、刺激周波数算出部10B1と、ゲイン調整部10B2と、基準圧力調整部10B3と、初期値設定部10B4とを備えている。刺激周波数算出部10B1は、ゲインと、基準圧力と、生体情報が示す血圧とに基づいて、周波数変調パルス列の刺激周波数を算出する。詳細には、刺激周波数算出部10B1は、基準圧力と血圧との差にゲインを乗じて刺激周波数を算出する。
【0018】
ゲイン調整部10B2は、ゲインの値を調整する。基準圧力調整部10B3は、基準圧力の値を調整する。初期値設定部10B4は、ゲインの初期値および基準圧力の初期値を設定する。
供給部10Cは、生成部10Bによって生成された周波数変調パルス列に基づいて、被験者に取り付けられた電極12(図1参照)に電流を供給する。この電流は、被験者の圧受容器求心性神経を刺激する。
【0019】
圧受容器求心性神経の刺激によってBPが低下するため、システム1は、自己圧反射システムと並行して作用する閉ループの負のフィードバックシステムを構成する。システム1の並列構成により、システムは、平均BP(血圧の平均)およびBP変動(血圧の変動)をプログラム可能にする。
【0020】
図3は、動作理論を説明するためのシステム1の機能ブロック図である。この図を参照し、以下の式(1)から、動作血圧を導出することができる。
【0021】
【数1】
【0022】
式(1)において、4つのパラメータは、ゲインG、基準圧力P、ベースライン圧力P、および圧力障害Pである。式(1)の最初の2つの項は、圧力障害Pに依存しない平均BPを示し、それは、式(2)のようになる。
【0023】
【数2】
【0024】
式(2)において、Pは、平均BPである。式(2)は、平均BPのPが基準圧力Pによって主に決定されることを示す。P=140およびP=100mmHg等のベースライン圧力Pおよび基準圧力Pの実際値の場合、ゲインGが0.5~2に実際に変化すると、基準圧力Pが変化しない限り、平均BPのPは、10mmHgだけ変化する。
式(1)の最終項は、ゲインGの増加が、圧力障害PのBPへの影響を双曲線的に減衰させることを示す。ゲインG=1の場合、圧力障害PのBPへの影響は、その本来の大きさの1/2に減少する。
このようなシステム構成で、基準圧力PおよびゲインGを調整することにより、平均BPおよびBP変動の両方の制御をプログラム可能にすることができる。
【0025】
図4は、コントローラにおいて、測定されたBPが周波数変調パルス列としてエンコードされ、圧受容器求心性神経を刺激し、プログラム可能な平均BPおよびBP変動の特性を有する閉じたフィードバック神経調節を確立する方法を示す。本発明者の研究では、再設定可能な積分器は、BPを周波数変調パルス列に変換するために予め規定された閾値とともに使用された。基準圧力Pを超える200Hzのサンプリングレートでデジタル化されたBPは、積分が予め規定された閾値Pに達するまでに瞬時に積算される。積分が閾値Pに達すると、コントローラは、パルスを発生し、積分器を再設定し、新たな積分を開始する。したがって、基準圧力Pに到達するために必要な時間Tは、高いBPでは短く、低いBPでは長くなり、再設定パルス周波数(1/T)はBPに比例する。この直接周波数変調メカニズムにより、エンコーダはBPに比例する周波数変調パルス列を生成する。ゲインGは、予め規定された閾値Pを変えることによって、容易に変更され得る。このアルゴリズムは、BP統合に基づいているため、その実現および実装を簡潔にし、それによってBP内の混入されるノイズに影響されない。言うまでもなく、このコントローラは、物理的にも論理的にも実現可能である。
【0026】
上述したように、刺激周波数算出部10B1(図2参照)は、基準圧力Pと血圧センサ11A(図1参照)によって検出されたBPとの差にゲインGを乗じて刺激周波数を算出する。ゲイン調整部10B2(図2参照)は、例えば、ゲインGの値を0.5~3に調整する。基準圧力調整部10B3(図2参照)は、基準圧力Pの値を、例えば、40mmHg~80mmHgに調整する。すなわち、血圧センサ11Aによって検出されたBPが基準圧力Pよりも高くなるにつれて、刺激周波数が増加する。一方、特許文献1では、血圧センサによって検出された血圧が100mmHg等の所定基準圧力よりも低くなると、刺激周波数が増加する。
第1実施形態の血圧制御装置10では、ゲイン調整部10B2は、生体情報が示す血圧の変動に基づいて、ゲインGの値を調整する。詳細には、ゲイン調整部10B2は、血圧の変動が所定値よりも大きいときに、ゲインGの値を増加させる。したがって、第1実施形態の血圧制御装置10では、血圧の変動を適切に制御することができる。
【0027】
BPと、ゲインGと、閾値Pとの定量的関係は、次の通りである。本発明者らの以前の研究に基づき、0.2ミリ秒の持続時間で刺激パルスを使用した。圧反射による刺激周波数FおよびBP降下BPout関係の線形スロープは、以下の式(3)のように、BP降下変換係数Cfpに刺激周波数を与える。
【0028】
【数3】
【0029】
本発明者らの以前の研究に基づき、ボルト単位の刺激パルスの振幅は、10Hzの刺激周波数で30mmHgのBP降下を達成するように決定される。これにより、以下の式(4)のように、BP降下変換係数Cfpが得られる。
【0030】
【数4】
【0031】
本発明者らは、BPから神経刺激周波数への変換係数Cpfを定義し、これは、BP(BPin)に応じて刺激周波数Fを線形的に関連付け、圧受容器形質転換を以下の式(5)のように表す。
【0032】
【数5】
【0033】
式(3)のFを式(5)に代入すると、以下の式(6)が得られる。
【0034】
【数6】
【0035】
したがって、圧反射全体ループゲインGは、以下の式(7)で与えられる。
【0036】
【数7】
【0037】
したがって、本発明者らは、以下の式(8)のように、変換係数Cpfを変更することにより、与えられたBP降下変換係数Cfp=3に対するゲインGを調整することができる。
【0038】
【数8】
【0039】
本発明者らは、上述したように、BPを刺激周波数に変換するアルゴリズムを使用することによって、全体ループゲインGおよびそれによって得られる変換係数Cpfを定義する方法を例示する。予め規定された閾値P(mmHg・秒)に達するために求めた時間Tは、2つの係数であるBPおよび予め規定された閾値Pに依存する。簡単にするために、積分中にはBPが一定であると仮定する。よって、時間Tは、以下の式(9)のようになる。
【0040】
【数9】
【0041】
刺激周波数Fは時間Tの逆数であるため、刺激周波数Fは、以下の式(10)として与えられる。
【0042】
【数10】
【0043】
したがって、刺激周波数FはBPに比例する。変換係数Cpfは、以下の式(11)のようになる。
【0044】
【数11】
【0045】
式(8)の変換係数Cpfを式(11)に代入すると、以下の式(12)が得られる。
【0046】
【数12】
【0047】
したがって、ゲインGは、予め規定された閾値Pを調整することにより、所望する値に調整することができる。
この公式化の一般性は、積分中にBPが変化した場合でも保持される。この場合、時間Tは、予め規定された閾値Pに達するためにBPの積分に必要な時間になる。
本発明者らの実験において、ゲインGの値は、0.5~3の範囲にあり、これは、1~6の予め規定された閾値Pの値に対応する。
【0048】
式(7)において、ゲインGは、変換係数CpfおよびBP降下変換係数Cfpの積である。実際の生理学的システムにおいて、BP降下変換係数Cfpは、生理学的に周波数に依存するため、ゲインGも以下の式(13)のように周波数に依存する。
【0049】
【数13】
【0050】
式(13)において、変換係数Cpfは、周波数に依存しないスカラーである。上述したように、変換係数Cpfは、ゲインGに変更される。変換係数Cpfは、スカラーであるため、ゲインG(f)の周波数特性に影響しない。変換係数Cpfも、以下の式(14)のように周波数に依存する。
【0051】
【数14】
【0052】
式(14)は、圧反射全体ループG(f)の周波数特性が、変換係数Cpf(f)を変更することによって変調され得ることを示す。これは、BP変動が、変換係数Cpf(f)で定義される選択的周波数により抑制され得ることを意味する。例えば、全体圧反射ループのコーナー周波数が0.05Hz(通常の2倍)になるように変換係数Cpf(f)がプログラムされている場合、BPへの影響は、起立性低血圧等の圧力障害からの迅速な回復に現れる。すなわち、平均BPは抑制されるが、起立性ストレスからの血圧回復は加速化される。このようなプログラム可能な動的応答は、これまでにいずれの降圧剤も達成できていないシステムの非常にユニークな特徴である。
【0053】
システムは、周波数変調パルス列生成の代替アルゴリズムを動作させることができる。これは、電圧制御発振器を使用する。以前の生理学的研究において、圧反射圧調節の優位コーナー周波数は、様々な動物種(ラット、猫、ウサギ、犬)で0.01~0.03Hzの範囲であることが示されていた。コーナー周波数は、様々な動物種にわたって比較的一定であるため、本発明者らは、ヒトの優位コーナー周波数もこの周波数範囲に存在すると仮定した。この場合、高速直接周波数変調パルス列に比例するBPを生成する最初のアルゴリズムとは異なり、周波数変調エンコーダは、パルス周波数を瞬時に更新する必要はない。本発明者らは、瞬時BPをローパスフィルタリングし、それを1.0Hzでデシメーションした。デシメーションされたBPは、電圧制御発振器を駆動し、BPに比例する周波数変調パルス列を生成する。発振周波数は秒ごとに更新される。
【0054】
平均BPおよびBP変動を制御するために、本発明者らが基準圧力PおよびゲインGをどのように調整するかは、以下の通りである。神経調節なしのBP、すなわち、ベースラインBPがベースライン圧力Pであると仮定する。本発明者らは、平均BPを予め規定されたBPレベルPに低減しようとした。本発明者らはまた、BP変動を圧力障害Pの1/αに低減しようとした。式(1)の最終項から、ゲインGを以下の式(15)のように調整する必要がある。
【0055】
【数15】
【0056】
ゲインGが調整されると、基準圧力Pは、ベースライン圧力PをBPの所望の値に減少される必要があり、平均BPPは、式(2)を以下の式(16)として再調整することによって推定され得る。
【0057】
【数16】
【0058】
ゲインGおよび基準圧力Pを決定する実施形態を例示する。本発明者らは、BP変動を圧力障害Pの1/2に低減しようとした。式(15)から、本発明者らは、α=2である場合、ゲインG=1であることを見出した。制御されていないBPの場合、ベースライン圧力Pは、140mmHgであり、予め規定された動作BPの場合、平均BPPが100mmHgであり、これらの値を式(16)に代入すると、直ちに基準圧力P=60mmHgが得られる。本発明者らは、平均BPおよびBP変動を独立して制御するこのアルゴリズムが動物実験で機能することを確認した。
【0059】
基準圧力Pを変更することによる平均BPPのプログラム可能性は、BPを制御する装置に特別な自由を与える。ゲインGの増加により、BP変動が確実に減少する。しかし、本発明者らがそのような機能を失った患者に生理学的な24時間周期の血圧変化を生成しようとする場合、本発明者らは、所望の24時間周期のリズムを有するように基準圧力Pをプログラムすることによって、このリズムを生成することができる。新しいBPリズムを生成する可能性は、本発明の非常にユニークな側面である。
【0060】
本願において、本発明者らは、瞬時動脈圧を知るために動脈内圧センサを使用した。しかし、様々な方法で推定された動脈ひずみ、脈波速度、動脈血流等、任意の圧力検知メカニズムとその代替を使用することができる。
【0061】
上述したように、第1実施形態の血圧制御装置10では、生成部10Bは、自己圧反射システムと並行して作用する閉ループの負のフィードバックシステムに基づいて、周波数変調パルス列を生成し、自己圧反射機能を増強する。
また、第1実施形態の血圧制御装置10では、生成部10Bは、生体情報に基づいて、周波数変調パルス列を生成することによって、平均BPの制御とBP変動の減衰とを独立して実行する。
詳細には、第1実施形態の血圧制御装置10では、初期値設定部10B4は、被験者における治療要件または生理学的血圧変化に基づいて、基準圧力の初期値を設定する。
【0062】
第1実施形態の血圧制御装置10が適用された例では、生成部10Bは、生体情報が示す瞬時血圧に基づいて、周波数変調パルス列を生成する。詳細には、生成部10Bは、生理学的システムの制限された圧反射速度を利用することにより、生体情報が示す瞬時血圧に基づいて、周波数変調パルス列を生成する。
【0063】
第1実施形態の血圧制御装置10が適用される例では、ゲイン調整部10B2によって調整されるゲインGは、生理学的周波数に依存する。詳細には、ゲイン調整部10B2によって調整されるゲインGは、周波数に応じて血圧および血圧変動を周波数依存的に抑制する。
【0064】
第1実施形態の血圧制御装置10が適用される例では、ゲインGは、被験者に応じて校正される。詳細には、初期値設定部10B4によって設定されたゲインGの初期値は、被験者に応じて校正される。
【0065】
上述したように、第1実施形態の血圧制御装置10では、ゲイン調整部10B2は、ゲインGの値を調整する。詳細には、ゲインGは、平均BPおよびBP変動をプログラム可能にするように定量的に調整される。すなわち、第1実施形態の血圧制御装置10は、平均BPおよびBP変動を独立して制御するシステム1(図1参照)に適用される。
【0066】
図5は、意識のあるラットにおけるシステム作用の性能を示す。図5において、cBATは、継続的な刺激を伴う圧反射活性化療法を示し、sBATは刺激の閉ループ調節を伴う圧反射活性化療法を示す。このように、開発された閉ループ圧受容器神経調節システム(sBAT)は、平均BPおよびBP変動を著しく減少させる。一方、一定周波数(sBATの平均周波数)での開ループ圧受容器神経刺激(一定周波数刺激、cBAT)は、BPを下げることができるが、BP変動を減衰させることはできない。
【0067】
図6は、麻酔をかけたラットの体積摂動下での実験結果を示す。図6において、HRは心拍数を示し、LVEDPは左心室拡張末期容積を示し、SNAは交感神経活動を示す。図6に示すように、開発したシステム(sBAT)は、BPおよびBP変動を著しく減少させる。一方、cBATは、BP変動を減衰させることはできない。sBATおよびcBATの両方とも、平均SNAを抑制した。しかし、SNA変動は、cBATよりもsBATの方がはるかに大きく、これは、SNAがBPの外因性変化と釣り合いをとることを示す。
【0068】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態の血圧制御装置10について説明する。第2実施形態の血圧制御装置10は、後述する点を除き、第1実施形態の血圧制御装置10と同様の構成を有する。したがって、第2実施形態の血圧制御装置10によれば、後述する点を除き、第1実施形態の血圧制御装置10と同様の効果を奏することができる。
【0069】
上述したように、第1実施形態の血圧制御装置10は、平均BPおよびBP変動を独立して制御するシステム1(図1参照)に適用される。第2実施形態の血圧制御装置10は、容積耐性を改善し、急性心不全における肺うっ血を解消するシステムに適用される。
【0070】
AHFはSNAを過度に活性化し、ストレス容量を著しく増加させ、それによって左心室拡張末期圧(LVEDP)を増加させ、高血圧および肺水腫をよく引き起こす。したがって、交感神経を抑制する介入は、この病態生理学に対する合理的な治療選択肢である。しかし、そのような難治性低血圧を引き起こさない介入は、確立されていないままである。本発明者らは、動脈圧(AP)の変化に応じて頸動脈洞(圧受容器)神経を刺激する閉ループ神経調節(sBAT)を開発した。sBATは、APを刺激に変換し、SNAを変更することでAPを目的レベルに制御する。
本発明者らは、AHFのラットモデルにおいて、sBATが難治性低血圧を誘発することなくLVEDPを抑制するかどうかを調べた。
【0071】
6匹のスプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラットにおいて、本発明者らは、冠状動脈を結紮することによってAHFを発病させた。本発明者らは、両側頸動脈分岐部に電極を取り付けた。sBATは、圧力センサと、調節器と、神経刺激器とから構成されている(図7参照)。容積耐性研究において、本発明者らは、献血で得た血液(0~10ml/kg)を段階的に注入し、sBATの有無にかかわらず、APおよびLVEDPの変化を観察した。治療研究において、本発明者らは、10ml/kgの容量を注入し、LVEDPを上昇させることによってAHFを悪化させた。本発明者らは、sBATの前(ベースライン)および後の主要な血液動態反応を比較した。
容積耐性の研究において、sBATは、容積耐性が著しく改善したことを示すAPおよびLVEDP(図8参照)の変化をほぼ半分(p<0.05)にした。治療研究において、sBATは、過度の低血圧を引き起こすことなく、瞬時かつ著しくLVEDP(ベースライン:20.5±5.1、sBAT10.8±4.8mmHg、p<0.05)およびAP(ベースライン:165.3±14.0、sBAT119.7±8.8mmHg、p<0.05)を抑制した。LVEDPの上昇時間(最大定常状態値の80%)は、非常に短かった(5.2±1.2秒、図9参照)。
sBATは、容積耐性を著しく改善し、AHFモデルラットの肺うっ血を瞬時に解消する。sBATは、AHFの新しい治療戦略として用いられてもよい。
【0072】
本発明者らは、生理学的機能を再構築するだけでなく、自己圧反射機能よりも優れた性能を発揮させるために、sBATを開発した。
AHFは、SNAを増加させ、それが前後負荷を増加させ、生命を脅かす肺水腫を伴う高血圧を引き起こすことがよくある。よって、交感神経の負荷を減少することは、合理的な治療選択肢である。
圧反射障害は、容積耐性を低下させ、肺うっ血のリスクを高める。
本発明者らは、圧反射障害を伴うAHFにおいて、sBATがSNAを抑制し、肺うっ血を解消すると仮定した。
【0073】
sBATがSNAを抑制し、圧反射障害を有するAHFラットの肺うっ血を解消するか否かを調べる。
【0074】
動物:スプラーグドーリーラット(BW 370-402g、N=8)
麻酔:ウレタン及びα-クロラロースの混合物
LV機能障害:LAD結紮
【0075】
本発明者らは、6分間に10mL/kgまで段階的に生理食塩水を注入し、AP、LVEDP、SNAを測定し、それらをsBATと対照群との間で比較した。
本発明者らは、急速容量注入(10mL/kg)することでAHFを誘発し、血行動態に対するsBATの影響を評価した。
【0076】
sBATは、APを目標圧力(120mmHg)に調節した。
sBATは、LVEDPを8.1±2.9mmHgだけ著しくかつ瞬時に減少させた。静定時間(最大反応の80%)は、非常に短かった(5.2±1.2秒)。
【0077】
高血圧に伴う肺水腫を表す臨床シナリオ(CS)1のAHFは、sBATの良い兆候である可能性がある。
SNAおよびAPをサーボ制御することができる技術の開発は、AHFの管理に大変革をもたらす。
sBATは、容積耐性を著しく改善し、AHFモデルラットの肺うっ血を瞬時に(5秒以内に)解消する。sBATは、交感神経への負荷を減少することで、AHFの新規治療戦略として用いられてもよい。
【0078】
本明細書に開示される実施形態に関して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、およびアルゴリズム動作は、電子的なハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして実装され得る。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的な要素、ブロック、モジュール、および動作を、それらの一般的な機能の観点から前述した。このような機能が、ハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に与えられた特定な適用および設計上の制約によって異なる。当業者は、特定な適用ごとに様々な方法で説明された機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、特許請求の範囲から逸脱しないと解釈されるべきである。
【0079】
本明細書に開示される態様に関して説明される様々な例示的な論理、論理ブロック、およびモジュールを実装するために使用されるハードウェアは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor(DSP))、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit(ASIC))、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array(FPGA))若しくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア要素、または本明細書に記載の機能を実行するように設計された任意の組み合わせを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサはまた、受信機スマートオブジェクト(receiver smart object)の組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、2つ以上のマイクロプロセッサ、DSPコアと連結した1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されてもよい。あるいは、いくつかの動作または方法は、所与の機能に特有である電気回路によって行われてもよい。
【0080】
開示された実施形態の前述の説明は、いかなる当業者であっても、特許請求の範囲を製造または使用することを可能にするように提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、技術分野の当業者にとって容易に分かるものであり、本明細書で定義される一般原理は、特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に示された実施形態に限定されるように意図されるものでなく、以下の特許請求の範囲および本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0081】
1 システム
10 血圧制御装置
10A 取得部
10B 生成部
10B1 刺激周波数算出部
10B2 ゲイン調整部
10B3 基準圧力調整部
10B4 初期値設定部
10C 供給部
11 検出部
11A 血圧センサ
12 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9