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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】支柱
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/34 20060101AFI20231228BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E04G7/34 303A
F16B5/08 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022008734
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107499
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】395002098
【氏名又は名称】平和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】内橋 幹雄
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135355(JP,A)
【文献】特開2016-079758(JP,A)
【文献】特開2006-241858(JP,A)
【文献】特開2016-056621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/34
E04G 7/22
E04G 7/32
F16B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度及び90度位置、かつ、該パイプ材の同じ高さ位置に取付け固定可能な第1、第2の掛止金具が連結して形成された連続掛止部Aと、
それぞれ前記パイプ材の円周部の180度及び270度位置、かつ、該パイプ材の同じ高さ位置に取付け固定可能な第3、第4の掛止金具が連結して形成され、前記パイプ材の軸心を挟んで前記連続掛止部Aと対向配置される連続掛止部Bとを有し、
楔材が嵌入可能な前記第1~第4の掛止金具は、それぞれ、正面壁部と該正面壁部の両側に連接され対向配置された一対の側壁部とを有し、前記正面壁部の対向側が開口して平面視してコ字状となり、
前記各第1~第4の掛止金具の対となる前記側壁部の開口側両端部間の幅は前記パイプ材の外周面に向けて徐々に縮小し、前記連続掛止部A、Bそれぞれの両側に位置する前記側壁部の開口側先端面が前記パイプ材の外周面に取付け固定可能で、
前記第1、第2の掛止金具の隣り合う前記側壁部の開口側端部は、前記パイプ材の外周面に当接可能な連結部Aで連結され、該連結部Aには溶接用開口部Aが形成され、前記第3、第4の掛止金具の隣り合う前記側壁部の開口側端部は、前記パイプ材の外周面に当接可能な連結部Bで連結され、該連結部Bには溶接用開口部Bが形成された、
柱側緊結装置が、外周面に取付け固定された前記パイプ材を有し、
前記パイプ材の周方向に隣り合う、前記連続掛止部Aの前記側壁部の開口側端部と、前記連続掛止部Bの前記側壁部の開口側端部が、互いに干渉することなく、前記パイプ材に取付け固定されていることを特徴とする支柱。
【請求項2】
請求項1記載の支柱において、前記連続掛止部A、Bそれぞれの両側に位置する前記側壁部の開口側端部は、平面視して前記パイプ材の径方向に沿うように配置されていることを特徴とする支柱
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築や土木工事の現場に構築される仮設足場(組立足場)の支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のように、建築現場等に仮設される足場(即ち、仮設足場、組立足場とも称す)には、高さ方向(上下方向、長手方向)途中位置に掛止金具が設けられた支柱(支柱パイプ)が使用されている。
具体的には、支柱を構成する断面円形のパイプ材の高さ方向途中位置に、断面コ字状の掛止金具(フック取付け金具とも称す)が東西南北4方(即ち、円周方向の0度、90度、180度、270度位置、以下、第1~第4の掛止金具と称する場合もある)に溶接にて取付けられ、この掛止金具に、例えば、間隔を有して隣り合う支柱を連結する水平パイプの端部に固定された楔材が緊結嵌入する。
【0003】
上記した掛止金具は、十分な強度を必要とするため、4つの掛止金具がパイプ材の同じ高さ位置に取付けられておらず、0度と180度位置に第1、第3の2つの掛止金具がそれぞれ取付けられ、上下方向に高さを変えて90度と270度位置に第2、第4の2つの掛止金具がそれぞれ取付けられている。
即ち、4つの掛止金具をパイプ材に取付ける場合は、パイプ材を中央にして対向する第1、第3の掛止金具と第2、第4の掛止金具が、高さを変えてパイプ材に取付けられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-16856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パイプ材に高さを変えて取付けられた第1~第4の掛止金具を有する支柱を用いて足場板(足場部材の一例:作業床や座ばりとも称す)を組み立てる場合、第1、第3の掛止金具を用いて組み立てた足場板と、第2、第4の掛止金具を用いて組み立てた足場板とでは、隣り合う足場板の高さが異なることになり(段差が生じて)、作業者が歩き難いという問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、隣り合う足場部材の高さを同じにできる支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う発明に係る支柱は、それぞれ断面円形のパイプ材の円周部の0度及び90度位置、かつ、該パイプ材の同じ高さ位置に取付け固定可能な第1、第2の掛止金具が連結して形成された連続掛止部Aと、
それぞれ前記パイプ材の円周部の180度及び270度位置、かつ、該パイプ材の同じ高さ位置に取付け固定可能な第3、第4の掛止金具が連結して形成され、前記パイプ材の軸心を挟んで前記連続掛止部Aと対向配置される連続掛止部Bとを有し、
楔材が嵌入可能な前記第1~第4の掛止金具は、それぞれ、正面壁部と該正面壁部の両側に連接され対向配置された一対の側壁部とを有し、前記正面壁部の対向側が開口して平面視してコ字状となり、
前記各第1~第4の掛止金具の対となる前記側壁部の開口側両端部間の幅は前記パイプ材の外周面に向けて徐々に縮小し、前記連続掛止部A、Bそれぞれの両側に位置する前記側壁部の開口側先端面が前記パイプ材の外周面に取付け固定可能で、
前記第1、第2の掛止金具の隣り合う前記側壁部の開口側端部は、前記パイプ材の外周面に当接可能な連結部Aで連結され、該連結部Aには溶接用開口部Aが形成され、前記第3、第4の掛止金具の隣り合う前記側壁部の開口側端部は、前記パイプ材の外周面に当接可能な連結部Bで連結され、該連結部Bには溶接用開口部Bが形成された、
柱側緊結装置が、外周面に取付け固定された前記パイプ材を有し、
前記パイプ材の周方向に隣り合う、前記連続掛止部Aの前記側壁部の開口側端部と、前記連続掛止部Bの前記側壁部の開口側端部が、互いに干渉することなく、前記パイプ材に取付け固定されている。
【0008】
発明に係る支柱において、前記連続掛止部A、Bそれぞれの両側に位置する前記側壁部の開口側端部は、平面視して前記パイプ材の径方向に沿うように配置されていることが好ましい。
【0009】
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る支柱は、第1~第4の掛止金具それぞれの対となる側壁部の開口側両端部間の幅が、パイプ材の外周面に向けて徐々に縮小しているので、楔材が嵌入する領域の第1~第4の掛止金具の内幅を、従来の掛止金具の内幅から変更することなく、パイプ材の同じ高さ位置の円周部で、その0度及び90度位置に第1、第2の掛止金具(即ち、連続掛止部A)を、その180度及び270度位置に第3、第4の掛止金具(即ち、連続掛止部B)を、それぞれ取付け固定することができる。これにより、従来の楔材の仕様(幅)を変更することなく(新たな楔材を準備することなく)、そのまま使用できる。
また、第1、第2の掛止金具の隣り合う側壁部の開口側端部が、パイプ材の外周面に当接可能で溶接用開口部Aが形成された連結部Aで連結され、第3、第4の掛止金具の隣り合う側壁部の開口側端部が、パイプ材の外周面に当接可能で溶接用開口部Bが形成された連結部Bで連結されているため、従来の掛止金具のように、第1~第4の掛止金具を個別にパイプ材に取付ける必要がなく、取付けの際の作業性が良好である。
これにより、連続掛止部A(第1、第2の掛止金具)と連続掛止部B(第3、第4の掛止金具)を用いて組み立てた隣り合う足場部材の高さを同じ(同一高さレベル)にできるため、作業者の安全や作業効率を、従来よりも向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る支柱側緊結装置を用いた支柱の斜視図、平面図である。
図2】同支柱側緊結装置を構成する連続掛止部を内側から視た斜視図である。
図3】同連続掛止部を外側から視た斜視図である。
図4】同連続掛止部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る支柱(支柱パイプ)10は、例えば、建築や土木工事の現場に構築される仮設足場(図示しない)に使用されるものであり、この支柱10に設けられた支柱側緊結装置11を用いて組み立てた隣り合う足場板(足場部材の一例:図示しない)の高さ(具体的には、平面視してL字状に配置された隣り合う足場板の高さ)を同じにできる(従来生じていた段差を無くすことができる)ものである。以下、詳しく説明する。
【0013】
支柱10は、断面円形のパイプ材12を有し、このパイプ材12の外周面に支柱側緊結装置11が取付け固定されている。
パイプ材12は、例えば、一般構造用炭素鋼鋼管で構成され、その規格としては、例えば、長さが100mm~4000mm程度のものがあるが、材質や長さは特に限定されるものではない。
このパイプ材12の上下方向(高さ方向、長手方向)途中位置には、パイプ材12の長さに応じて、1つの支柱側緊結装置11が、又は、複数の支柱側緊結装置11が所定ピッチで、溶接にて取付け固定されている。
【0014】
支柱側緊結装置11は、同一形状の対となる連続掛止部(連続掛止部Aの一例)13と連続掛止部(連続掛止部Bの一例)14を有し、この連続掛止部13と連続掛止部14とが、パイプ材12の軸心を挟んで、同じ高さ位置に対向配置されている。
一方の連続掛止部13は、パイプ材12の外側円周部の0度及び90度位置、かつ、パイプ材12の同じ高さ位置にそれぞれ取付け固定可能な第1、第2の掛止金具15、16が連結して形成され、他方の連続掛止部14は、パイプ材12の外側円周部の180度及び270度位置、かつ、パイプ材12の同じ高さ位置にそれぞれ取付け固定可能な第3、第4の掛止金具17、18が連結して形成されたものである。なお、連続掛止部13、14はそれぞれ、1枚の鋼板を折り曲げて形成されている。
【0015】
図1(A)、(B)、図2図4に示すように、第1~第4の掛止金具15~18は、それぞれ平面視してコ字状となるように、鋼板を折り曲げて形成されている。なお、第1~第4の掛止金具15~18は実質的に同一形状である。
第1の掛止金具15(以下、第3の掛止金具17も第1の掛止金具15と同様の構成となっているので省略する)は、例えば、仮設足場の構成部材であり、間隔を有して隣り合う支柱10を連結する水平パイプ(図示しない)の両端部に設けられた楔材を掛止する正面壁部19と、この正面壁部19の両側に連接して設けられた一対の側壁部20、21を有している。また、第2の掛止金具16(以下、第4の掛止金具18も第2の掛止金具16と同様の構成となっているので省略する)も、上記した楔材を掛止する正面壁部22と、この正面壁部22の両側に連接して設けられた一対の側壁部23、24を有している。即ち、正面壁部19、22の対向側が開口している。
【0016】
上記した第1の掛止金具15の正面壁部19と、第2の掛止金具16の正面壁部22はそれぞれ、その幅が少なくとも、係合する上記した楔材の幅よりも大きく、正面視して矩形(長方形又は正方形)に形成されている。
また、第1の掛止金具15の側壁部20、21と、第2の掛止金具16の側壁部23、24、それぞれの幅は、上側から下側に向けて徐々に短くなるように形成されている。具体的には、各正面壁部19、22が、パイプ材12の軸心と、例えば、5~30度の角度を有して傾斜して配置されるように形成されている。
【0017】
第1の掛止金具15の対向する両側壁部20、21間の基側(正面壁部19側)の内幅は、上記した楔材の幅よりも大きく、その開口側両端部25、26間の幅がパイプ材12の外周面に向けて徐々に縮小している(平面視してテーパ状となっている)。また、第2の掛止金具16の対向する両側壁部23、24間の基側(正面壁部22側)の内幅も、上記した楔材の幅よりも大きく、その開口側両端部27、28間の幅がパイプ材12の外周面に向けて徐々に縮小している。
なお、連続掛止部13の両側に位置する、第1の掛止金具15の側壁部20と第2の掛止金具16の側壁部24の各開口側先端面29、30が、パイプ材12の外周面に取付け固定可能となっている(連続掛止部14も同様)。
【0018】
第1の掛止金具15を構成する対となる側壁部20、21の基側と、第2の掛止金具16を構成する対となる側壁部23、24の基側は、上記した楔材が嵌入可能な内幅WB(即ち、従来のコ字状となった掛止金具の両側壁部と同じ内幅)を有する必要があるため、平行となっている(図4参照)。
しかし、掛止金具の両側壁部を開口側端部まで平行とした場合、掛止金具の幅が広くなるため、4つの掛止金具を、パイプ材の同じ高さ位置に取付け固定することができない(従来の支柱のように、パイプ材を中央にして対向する第1、第3の掛止金具と第2、第4の掛止金具を、高さを変えてパイプ材に取付け固定する必要がある)。
【0019】
そこで、本実施の形態では、両側壁部20、21の開口側両端部25、26間の幅を、パイプ材12の外周面に向けて徐々に縮小した第1、第2の掛止金具15、16と、両側壁部23、24の開口側両端部27、28間の幅を、パイプ材12の外周面に向けて徐々に縮小した第3、第4の掛止金具17、18を用いることで、第1~第4の掛止金具15~18をパイプ材12の同じ高さ位置に取付け固定することを可能にした。
即ち、パイプ材12の周方向に隣り合う、連続掛止部13の開口側端部25と連続掛止部14の開口側端部28とが、及び、連続掛止部13の開口側端部28と連続掛止部14の開口側端部25とが、互いに干渉することなく、しかも、パイプ材12に対して必要な取付け強度が得られるように(溶接可能な領域を確保できるように)、連続掛止部13、14をパイプ材12の外周面に取付け固定できる。
【0020】
ここで、第1の掛止金具15の両側壁部20、21の開口側両端部25、26間の最小幅WT(開口側両端部25、26の先端位置の内幅:第3の掛止金具17の両側壁部20、21の開口側両端部25、26間の最小幅と、第2、第4の掛止金具16、18の開口側両端部27、28間の最小幅も同じ)は、上記した開口側端部25と開口側端部28の干渉防止、かつ、開口側端部25と開口側端部28間の隙間確保が可能な範囲で、両側壁部20、21の基側(縮小していない領域)の内幅WBより狭ければ、その寸法は特に限定されるものではない。なお、開口側端部25、26の長さ(縮小領域の長さ)Lは、例えば、上記した最小幅WTの条件を満足し、支柱10の製造、並びに、仮設足場の構築に支障のない範囲の長さであれば、特に限定されるものではない(図4参照)。
また、連続掛止部13、14それぞれの両側に位置する側壁部20、24の開口側端部25、28は、平面視してパイプ材12の径方向に沿うように配置されていることが、取付け強度を向上させる観点から好ましい。なお、径方向に沿うとは、径方向に完全に一致する場合のみならず、例えば、径方向に対して±15度(好ましくは±10度、更に好ましくは±5度)の範囲で傾斜する場合も含むが、上記した最小幅WTや長さLの各条件に応じて適宜変更できる。
【0021】
一方の連続掛止部13を構成する第1、第2の掛止金具15、16の隣り合う側壁部21、23の開口側端部26、27は、連結部(連結部Aの一例)31で連結され、また、他方の連続掛止部14を構成する第3、第4の掛止金具17、18の隣り合う側壁部21、23の開口側端部26、27は、連結部(連結部Bの一例)32で連結されている。
この連結部31、32はそれぞれ、平面視して円弧状(断面円弧状)となって、その膨出面がパイプ材12の外周面に当接可能となっている。なお、各連結部31、32には、正面視して長円形状の溶接用開口部(溶接用開口部Aの一例)33と溶接用開口部(溶接用開口部Bの一例)34がそれぞれ形成され、これにより、各連結部31、32をパイプ材12の外周面に溶接にて取付け固定できる。
【0022】
支柱10の製造方法は、一対の連続掛止部13、14を、パイプ材12の予め設定した同じ高さ位置の外周面であって、第1~第4の掛止金具15~18がパイプ材12の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ配置されるように、仮付け溶接する(仮止めする)。続いて、連続掛止部13、14それぞれの両側に位置する側壁部20、24の開口側端部25、28と各溶接用開口部33、34で本溶接を行い、各側壁部20、24の開口側先端面29、30と各連結部31、32をパイプ材12の外周面に取付け固定する。
なお、ここでは、連続掛止部13、14の双方を仮付け溶接した後、本溶接をした場合について説明しているが、連続掛止部13、14のいずれか一方を仮付け溶接し本溶接した後、連続掛止部13、14のいずれか他方を仮付け溶接し本溶接してもよい。
【0023】
使用にあっては、2本の支柱10を予め設定された間隔aで対向配置し、かつ、この対となる支柱10を予め設定された間隔b(>a)で複数対配置する。
従来の支柱では、前記したように、第1、第3の掛止金具と第2、第4の掛止金具の高さが異なっていたため、同じ高さ位置の掛止金具が向き合うように、支柱を対向配置する必要があった。しかし、本実施の形態では、支柱10に設けられた第1~第4の掛止金具15~18の高さ位置が同じであるため、第1~第4の掛止金具15~18の高さ位置を確認することなく(各支柱10の第1~第4の掛止金具15~18のいずれが向き合ってもよい)、支柱10を配置できる。
【0024】
次に、間隔aで対向配置された支柱10間に短尺の水平パイプを、間隔bで配置された支柱10間に長尺の水平パイプを、それぞれ配置し、間隔bで平行に配置される隣り合う短尺の水平パイプ間に足場板(足場部材の一例)を掛け渡す。
従来の支柱では、第1、第3の掛止金具と第2、第4の掛止金具の高さが異なっていたため、例えば、隣り合う足場板が平面視してL字状に配置される領域において、第1、第3の掛止金具を用いて組み立てた足場板と、第2、第4の掛止金具を用いて組み立てた足場板とで、高さが異なっていた。また、支柱の第1、第3の掛止金具に嵌入させた短尺の水平パイプと、支柱の第2、第4の掛止金具に嵌入させた短尺の水平パイプとの間に、足場板を掛け渡した場合、足場板が傾斜していた。
【0025】
しかし、本実施の形態では、支柱10に設けられた第1~第4の掛止金具15~18の高さ位置が同じであるため、例えば、隣り合う足場板が平面視してL字状に配置される領域においても、隣り合う足場板の高さを同じにできる。また、支柱10に設けられた第1~第4の掛止金具15~18の高さ位置が同じであるため、例えば、支柱10の第1、第3の掛止金具15、17に嵌入させた短尺の水平パイプと、支柱10の第2、第4の掛止金具16、18に嵌入させた短尺の水平パイプとの間に、足場板を掛け渡した場合でも、足場板を水平配置できる。
以上のことから、本発明の支柱緊結金具及びこれを用いた支柱を使用することで、隣り合う足場部材の高さを同じにできるため、作業者の安全や作業効率を、従来よりも向上できる。
【0026】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の支柱緊結金具及びこれを用いた支柱を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、連続掛止部の掛止金具に水平パイプの楔材を嵌入させる場合について説明したが、掛止金具には、仮設足場を構成する他の部材に設けられた楔材を嵌入させることもできる。
また、前記実施の形態においては、2つの掛止金具を連結する連結部に、1つの溶接用開口部を形成した場合について説明したが、必要な強度が得られるように溶接できれば、特に限定されるものではなく、例えば、円形や多角形(正方形や長方形)の溶接用開口部を複数形成することもできる。
【符号の説明】
【0027】
10:支柱、11:支柱側緊結装置、12:パイプ材、13:連続掛止部(連続掛止部A)、14:連続掛止部(連続掛止部B)、15:第1の掛止金具、16:第2の掛止金具、17:第3の掛止金具、18:第4の掛止金具、19:正面壁部、20、21:側壁部、22:正面壁部、23、24:側壁部、25~28:端部、29、30:開口側先端面、31:連結部(連結部A)、32:連結部(連結部B)、33:溶接用開口部(溶接用開口部A)、34:溶接用開口部(溶接用開口部B)
図1
図2
図3
図4