(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】配線装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/42 20060101AFI20231228BHJP
B65H 75/48 20060101ALI20231228BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231228BHJP
H02G 11/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65H75/42 F
B65H75/48 A
H05K7/00 B
H02G11/02
(21)【出願番号】P 2022182180
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521071219
【氏名又は名称】株式会社RoboSapiens
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-077955(JP,U)
【文献】実開昭55-178218(JP,U)
【文献】特開2003-112857(JP,A)
【文献】実開平04-029574(JP,U)
【文献】実公昭50-031665(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3036710(JP,U)
【文献】特開平10-297836(JP,A)
【文献】特開2006-201031(JP,A)
【文献】実開昭56-150484(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/42
B65H 75/48
H05K 7/00
H02G 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に巻装配線が渦巻き状に巻装され、前記ケースの内部から引き出された前記巻装配線を前記ケースの内部に巻き取り可能な巻尺部を備え、
前記巻装配線は、前記軸心部と導通した導電性材料でなる配線本体と、前記配線本体の表面を被覆する絶縁層とを有し、
前記軸心部に接続された回路部と、前記巻装配線の自由端部に配置されて前記配線本体と導通したモジュールとを、前記巻装配線を介して電気的に接続する、配線装置
であって、
前記ケースの内部には、終端が前記軸心部に接続されて前記軸心部に渦巻き状に巻き付けられた導電性材料でなるゼンマイバネが収納されており、
前記ゼンマイバネの先端には、前記巻装配線の終端が電気的に接続されている、
配線装置。
【請求項2】
絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に巻装配線が渦巻き状に巻装され、前記ケースの内部から引き出された前記巻装配線を前記ケースの内部に巻き取り可能な巻尺部を備え、
前記巻装配線は、前記軸心部と導通した導電性材料でなる配線本体と、前記配線本体の表面を被覆する絶縁層とを有し、
前記軸心部に接続された回路部と、前記巻装配線の自由端部に配置されて前記配線本体と導通したモジュールとを、前記巻装配線を介して電気的に接続する、配線装置であって、
前記回路部が電源回路であり、
前記巻装配線と前記モジュールとの間には、前記電源回路からの電力を制御して前記モジュールに供給する電力制御部を備える、
配線装置。
【請求項3】
絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に巻装配線が渦巻き状に巻装され、前記ケースの内部から引き出された前記巻装配線を前記ケースの内部に巻き取り可能な巻尺部を備え、
前記巻装配線は、前記軸心部と導通した導電性材料でなる配線本体と、前記配線本体の表面を被覆する絶縁層とを有し、
前記軸心部に接続された回路部と、前記巻装配線の自由端部に配置されて前記配線本体と導通したモジュールとを、前記巻装配線を介して電気的に接続する、配線装置であって、
前記配線本体は、前記軸心部と導通した導電性材料でなる帯状のプレート本体であり、
前記巻装配線は、前記プレート本体の表面が前記絶縁層で被覆された長尺プレートであり、
前記軸心部に接続された前記回路部と、前記長尺プレートの自由端部に配置されて前記プレート本体と導通した前記モジュールとを、前記長尺プレートを介して電気的に接続する、
配線装置。
【請求項4】
絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に長尺プレートが渦巻き状に巻装された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部が所定距離を設けて対向配置された台座と、
一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、
連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられた先端連結キャップと、
一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、一対の前記長尺プレートを往復直線運動させるプレート駆動部と、
を備え、
前記長尺プレートは、前記軸心部と導通した導電性材料でなるプレート本体と、前記プレート本体の表面を被覆する絶縁層とをそれぞれ有し、
一方の前記巻尺部の前記軸心部に接続された回路部と、前記先端連結キャップに設けられて一対の前記長尺プレートの前記プレート本体と導通したモジュールとが、一対の前記長尺プレートを介して電気的に接続されている、配線装置。
【請求項5】
前記回路部が電源回路であり、
前記電源回路のプラス端子が一方の前記巻尺部の前記軸心部に接続され、前記電源回路のマイナス端子が他方の前記巻尺部の前記軸心部に接続され、一対の前記長尺プレートのプレート本体同士が、前記先端連結キャップに設けられた前記モジュールを介して電気的に接続されている、請求項
4に記載の配線装置。
【請求項6】
前記台座に設けられ、前記プレート連結部が往復直線運動するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに沿って前記プレート連結部を往復直線運動させる駆動部と、
を備え、
一方の前記巻尺部と他方の前記巻尺部とが、前記プレート連結部又は前記ガイドフレームに設けられている、請求項
4又は
5に記載の配線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような突出型リニアアクチュエータが知られている。この突出型リニアアクチュエータは、長尺プレ-トが渦巻き状に巻装された一対の巻尺部を有し、各巻尺部からそれぞれ引き出された長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の長尺プレートの自由端部同士を連結させて押圧子を形成する。突出型リニアアクチュエータは、一対の巻尺部からそれぞれ長尺プレートを引き出したり、一対の巻尺部で長尺プレートを巻き取ったりすることで、押圧子を往復直線運動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の突出型リニアアクチュエータは、押圧子でエレベータスイッチ等を押すことが可能な構成であるが、押圧子の代わりに、例えば、電子機器等のように通電が必要な各種モジュールを設けて当該モジュールを一方向に往復運動させることも可能である。この場合、モジュールに電力を供給する配線が必要になることがあり、モジュールまで引き回された配線が、巻尺部からの長尺プレートの引き出しや巻き取り、一対の長尺プレートの往復運動等の障害になるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、巻尺部からの長尺プレートの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレートの自由端部に配置したモジュールに電力を供給することができる配線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配線装置は、絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に巻装配線が渦巻き状に巻装され、前記ケースの内部から引き出された前記巻装配線を前記ケースの内部に巻き取り可能な巻尺部を備え、前記巻装配線は、前記軸心部と導通した導電性材料でなる配線本体と、前記配線本体の表面を被覆する絶縁層とを有し、前記軸心部に接続された回路部と、前記巻装配線の自由端部に配置されて前記配線本体と導通したモジュールとを、前記巻装配線を介して電気的に接続する。
【0007】
また、本発明に係る配線装置は、絶縁性材料で形成されたケースの内部に、導電性材料でなる軸心部を中心に長尺プレートが渦巻き状に巻装された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部が所定距離を設けて対向配置された台座と、一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられた先端連結キャップと、一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、一対の前記長尺プレートを往復直線運動させるプレート駆動部と、を備え、前記長尺プレートは、前記軸心部と導通した導電性材料でなるプレート本体と、前記プレート本体の表面を被覆する絶縁層とをそれぞれ有し、一方の前記巻尺部の前記軸心部に接続された回路部と、前記先端連結キャップに設けられて一対の前記長尺プレートの前記プレート本体と導通したモジュールとが、一対の前記長尺プレートを介して電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モジュールに対して電力を供給するための配線を長尺プレートとは別に設ける必要がないので、巻尺部からの長尺プレートの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレートの自由端部に配置したモジュールに電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る配線装置の全体構成を示す概略図である。
【
図2】ゼンマイバネの先端と長尺プレートの終端との接続を示す要部拡大斜視図である。
【
図3】巻尺部に巻き取られる長尺プレートの先端を示す要部拡大斜視図である。
【
図4】第2実施形態に係る配線装置の全体構成を示す概略図である。
【
図5】第3実施形態に係る配線装置の構成を示しており、プレート進退機構が一方に移動したときの構成を示す概略図である。
【
図6】プレート進退機構が他方に移動したときの構成を示す概略図である。
【
図7】第4実施形態に係る配線装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(1)<第1実施形態>
第1実施形態に係る配線装置を
図1に示す。
図1は、1つの巻尺部9を用いた配線装置10の全体構成を示す概略図である。本実施形態に係る配線装置10は、電源回路16のプラス端子16bから、巻尺部9の軸心部25、ゼンマイバネ14、長尺プレート13を介して、DC/DCコンバータ21、モジュール15及び電源回路16のマイナス端子16aまでが電気的に接続された閉回路を構成し、巻尺部9を介して電源回路16からモジュール15に電力を供給することにより、当該モジュール15を動作させ得る。
【0012】
巻尺部9は、プラスチック等の絶縁性材料で形成されたケース11と、当該ケース11の内部に巻き取り可能で、かつ、ケース11の開口12から引き出し可能な長尺プレート13とを有し、長尺プレート13の終端133bに連設されたゼンマイバネ14がケース11の内部に収容されている。配線装置10は、ゼンマイバネ14が軸心部25を中心に渦巻き状に巻かれており、当該ゼンマイバネ14に蓄えられる弾性エネルギによって、長尺プレート13をケース11内部に巻き取り可能な構成を有する。
【0013】
ケース11は、筒状の胴部と、当該胴部の軸方向両側で対向した対の板状部(図示せず)とにより閉塞された内部空間を有し、渦巻き状に巻かれたゼンマイバネ14と長尺プレート13とを当該内部空間に収納可能な構成を有する。ケース11は、胴部の周面に直線状に開口12が形成されており、当該開口12を通して内部から外部に長尺プレート13を引き出し可能に形成されている。また、ケース11は、内部に設けたゼンマイバネ14が渦巻き状に巻かれる軸心部25の端部に、例えば、金属製ネジ等の固定部24により板状部が固定されている。軸心部25は、金属等の導電性材料でなり、長手方向がケース11の軸方向に配置され、当該ケース11の外部に露出した固定部24と導通している。
【0014】
固定部24には、電源回路16に接続された配線27が接続されている。これにより、軸心部25は、固定部24及び配線27を介して電源回路16と電気的に接続され、当該電源回路16から電力が供給される。なお、本実施形態では、電源回路16のプラス端子16bに配線27及び固定部24を介して軸心部25が電気的に接続されている。
【0015】
ゼンマイバネ14は、例えば、導電性材料である帯状のプレート部材からなり、終端14bが軸心部25に接続され、軸心部25に導通されている。ゼンマイバネ14は、軸心部25を中心として渦巻き状に巻かれており、先端14aに連設された長尺プレート13がケース11から引き出される方向に回転されることで巻き締められ、弾性エネルギが蓄えられる。これにより、ゼンマイバネ14は、蓄えた弾性エネルギによって、ケース11から外部に引き出された長尺プレート13をケース11の内部に巻き取ることができる。
【0016】
ゼンマイバネ14は、
図2に示すように、T字状や錨状等の係止突起部29が先端14aに形成されており、長尺プレート13の終端133bに形成された厚みを貫通した係止孔28内に当該係止突起部29を係止させ、長尺プレート13と連設されている。なお、長尺プレート13の係止孔28内では、長尺プレート13の内部にある導通性のプレート本体13cが露呈している。これにより、ゼンマイバネ14は、長尺プレート13の係止孔28内において長尺プレート13のプレート本体13cと電気的に接続される。
【0017】
長尺プレート13は、配線本体として内部に導電性材料でなる帯状のプレート本体13cを有し、当該プレート本体13cの表面に非導通の絶縁層13ddが形成されている。絶縁層13ddは、例えば、焼付塗装等により絶縁性塗料をプレート本体13cの表面に塗装することにより形成することができる。長尺プレート13は、例えば、絶縁性塗料としてポリエステル塗装が表面に塗布されて表面に絶縁層13ddが形成された金属製プレート(コンベックス)等を用いることができ、ケース11内での巻き取りが可能な弾性と、ケース11内から引き出した後に直進状態を維持できる程度の剛性とを有する。また、長尺プレート13は、弾性及び剛性を図るために断面が湾曲状に形成され、ケース11内での巻き取り時に湾曲凹面が内周面となり、湾曲凸面が外周面となるようにケース11内で渦巻き状に巻装される。
【0018】
長尺プレート13は、
図3に示すように、引き出し方向の先端13aに、厚みを貫通する孔19が形成され、孔19内に導電性を有したプレート本体13cが露呈している。孔19には、長尺プレート13の内部のプレート本体13cに配線20の一端20aが半田や締結部材等にて接続されている。
図1に示すように、配線20の他端20bには、電力制御部としてDC/DCコンバータ21が接続されている。DC/DCコンバータ21は、配線22を介してモジュール15に接続され、当該モジュール15は、配線23を介して電源回路16のマイナス端子16aに接続されている。
【0019】
ここで、電源回路16は、モジュール15の動作に必要となる電圧以上の電圧を出力する。DC/DCコンバータ21には、電源回路16からの電力が、軸心部25、ゼンマイバネ14及び長尺プレート13を順次介して供給される。DC/DCコンバータ21は、例えば、電源回路16から供給された8[V]の電圧を、モジュール15の動作に最適な5[V]の電圧に変圧(降圧)する。
【0020】
このように、配線装置10は、モジュール15の動作に必要となる電圧以上の電圧を電源回路16から出力し、DC/DCコンバータ21によってモジュール15の動作に最適な電圧値に変換するようにしたことで、例えば、電源回路16からモジュール15に電力を供給する際に、軸心部25や、ゼンマイバネ14、長尺プレート13等が有する電気抵抗により電圧が降下されても、モジュール15を動作させることができる。
【0021】
また、ゼンマイバネ14は、表面に絶縁層を有していないことから、軸心部25を中心に巻き締められて表面同士が接触した状態のとき、渦巻き状のゼンマイバネ14の径方向に電流が流れる。このため、ゼンマイバネ14の巻き締め状態が弛み、ゼンマイバネ14の表面が非接触の状態になると、ゼンマイバネ14の径方向に電流が流れず、軸心部25から長尺プレート13までの電気抵抗が変化するおそれがある。このような場合であっても、本実施形態では、モジュール15の動作に必要となる電圧以上の電圧を電源回路16から出力し、DC/DCコンバータ21によってモジュール15の動作に最適な電圧値に変換するため、電気抵抗に変化が生じてもモジュール15に供給する電圧値を一定に保つことができる。
【0022】
以上の構成において、配線装置10は、絶縁性材料で形成されたケース11の内部に、導電性材料でなる軸心部25を中心に長尺プレート13が渦巻き状に巻装され、当該ケース11の内部から引き出された長尺プレート13をケース11の内部に巻き取り可能な巻尺部9を備える。長尺プレート13は、軸心部25と導通したプレート本体13cの表面が絶縁層13ddにより被覆された構成を有し、当該軸心部25に接続された電源回路16と、長尺プレート13の自由端部に配置されてプレート本体13cと導通したモジュール15とを電気的に接続する。
【0023】
これにより、配線装置10は、ケース11の内部に巻き取り可能な長尺プレート13を使用して電源回路16からモジュール15に電力を供給できるので、モジュール15に対して電力を供給するための配線を長尺プレート13とは別に設ける必要がなく、その分、巻尺部9からの長尺プレート13の引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレート13の自由端部に配置したモジュール15に電力を供給することができる。
【0024】
また、配線装置10では、プレート本体13cの表面を絶縁層13ddで被覆した長尺プレート13を用いることで、ケース11から外部に引き出された長尺プレート13への接触による感電を防止することができる。
【0025】
なお、上述した実施形態においては、巻尺部として、長尺プレート13の巻き取りを停止させるストッパ機構を設けていない巻尺部9を適用したが、本発明はこれに限らず、長尺プレート13の巻き取りを停止させるストッパ機構を設けた巻尺部を適用してもよい。
【0026】
また、上述した実施形態においては、長尺プレートとして、絶縁性塗料としてポリエステル塗装が表面に塗布されて表面に絶縁層13ddが形成された金属製プレート(コンベックス)でなる長尺プレート13を例に説明したが、本発明はこれに限らない。他の長尺プレートとしては、例えば、導電性を有するアルミテープの表面に絶縁性材料である樹脂接着剤を塗布した構成でもよい。
【0027】
また、上述した実施形態においては、巻装配線として、軸心部25と導通した導電性材料でなるプレート本体13cと、当該プレート本体13cの表面を被覆する絶縁層13ddとを有した長尺プレート13を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、軟質なシース(外皮)付きの被覆銅線等のようなチューブ状の巻装配線を適用してもよい。この場合、巻装配線は、軸心部25と導通した導電性材料でなる配線本体と、当該配線本体の表面を被覆する絶縁層とを有する。このような巻装配線を長尺プレート13に代替として使用した配線装置であっても、長尺プレート13を備えた配線装置10と同様の構成を得ることができる。
【0028】
(2)<第2実施形態>
上述した第1実施形態においては、1つの巻尺部9を用いた配線装置10について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、
図4に示すように、一対の巻尺部9a、9bを用いた配線装置35であってもよい。ここでは、第2実施形態として、一対の巻尺部9a,9bを用いた配線装置35について以下説明する。
【0029】
なお、第2実施形態では、
図1に示した第1実施形態で説明した機構や部材と同じものには同符号を付し、その説明は省略する。第2実施形態では、配線装置35の高さ方向をz方向とし、高さ方向zと直交する面方向をx方向及びy方向とし、これらx方向及びy方向を含むxy平面に配線装置35が設置されている場合について説明する。
【0030】
配線装置35は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等でなる板状の台座39と、台座39上に設けられた一対の巻尺部9a,9bと、同じく台座39上に設けられたプレート進退機構43と、一対の長尺プレート13A,13Bの自由端部13Aa,13Baに設けられた先端連結キャップ42と、先端連結キャップ42に設けられたモジュール15と、当該モジュール15に電力を供給する電源回路16と、を有する。一対の巻尺部9a,9bは、
図1で説明した巻尺部9と同一構成であり、一対の巻尺部9a,9bからそれぞれ引き出される長尺プレート13A,13Bは、それぞれ第1実施形態に係る長尺プレート13と同一構成を有する。
【0031】
第2実施形態に係る配線装置35は、電源回路16のプラス端子から、一方の巻尺部9bの軸心部25b、図示しない内部のゼンマイバネ14、一方の長尺プレート13Bを介して、DC/DCコンバータ21、モジュール15まで電気的に接続され、更に当該モジュール15から、他方の巻尺部9aの長尺プレート13A、図示しない内部のゼンマイバネ14、軸心部25aを介して、電源回路16のマイナス端子まで電気的に接続された閉回路を構成し、電源回路16からモジュール15に電力を供給することにより、当該モジュール15を動作させ得る。
【0032】
各巻尺部9a,9bは、ケース11内に各長尺プレート13A,13Bが各々渦巻き状に巻装されており、台座39上に所定距離を設けて対向配置されている。各巻尺部9a,9bは、内部に図示しないゼンマイバネ14をそれぞれ備えており、ゼンマイバネ14によって、各長尺プレート13A,13Bに対してケース11内に巻き取る方向に力(弾性復元力)を与え、各長尺プレート13A,13Bをケース11内に収容可能に構成されている。
【0033】
各巻尺部9a,9bは、長尺プレート13A,13Bが出入りする開口12(
図1参照)が対向して配置されており、開口から延出した長尺プレート13A,13Bが、開口から、巻尺部9a,9b間に設けたプレート進退機構43に向けて台座39に沿って直線的に引き延ばされている。また、巻尺部9a,9bは、台座39上において長尺プレート13A,13Bが同一直線上の位置でそれぞれ延出されるように対向配置されている。
【0034】
巻尺部9a,9bの開口から延出した長尺プレート13A,13Bは、巻尺部9a,9b間に配置したプレート進退機構43で直角に折り曲げられ、プレート進退機構43によって自由端部同士が重ねられた状態でそのままz方向に向けて延出される。
【0035】
なお、長尺プレート13A,13Bは、第1実施形態の長尺プレート13と同様に、各巻尺部9a,9bからそれぞれ引き出されて外力が与えられない状態では直線状を成して移動可能な程度の剛性を有しており、さらに、プレート進退機構43で略直角に折り曲げられ、かつ、巻尺部9a,9bにおいて渦巻き状に巻き付け可能な程度の弾性を有している。また、長尺プレート13A,13Bは、第1実施形態の長尺プレート13と同様に、配線本体として導電性材料でなるプレート本体13Ac,13Bcを内部に有し、プレート本体13Ac,13Bcの表面が絶縁層13Ad,13Bdにより被覆された構成を有する。
【0036】
巻尺部9a,9bのケース11には、導電性材料でなる軸心部25a,25bを有し、導電性材料でなる半田やネジ等の固定部24a,24bが軸心部25a,25bの端部に固定されている。固定部24a,24bは、ケース11の外部に露出しており、それぞれ配線23a,27aが接続された構成を有する。本実施形態では、一方の固定部24aに接続された配線23aは、電源回路16のマイナス端子に接続され、他方の固定部24bに接続された配線27aは、電源回路16のプラス端子に接続されている。
【0037】
プレート進退機構43は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等で形成された筐体43a,43bを有しており、2つの長尺プレート13A,13Bの各自由端部13Aa,13Baを略直角に折り曲げて重ね合わせ、自由端部13Aa,13Ba同士を連結させるプレート連結部45が筐体43a,43bに設けられている。プレート進退機構43には、一対の長尺プレート13A,13Bが挿通される挿通孔32hを有する支持板55aが設けられ、一対の長尺プレート13A,13Bの自由端部13Aa,13Baに設けられた先端連結キャップ42が当該支持板55aに当接して位置決め可能に配置されている。
【0038】
プレート連結部45は、一方の筐体43aに回転可能に設けられたガイドローラ45aと、他方の筐体43bに回転可能に設けられたガイドローラ45bと、ガイド板54とを有する。ガイドローラ45a,45bは、所定の隙間を設けて対向配置されており、ガイドローラ45a,45b間の隙間を重ね合わせた一対の長尺プレート13A,13Bが挿通可能に構成されている。プレート連結部45は、x方向から同一直線上で対向するように延出されている一対の長尺プレート13A,13Bを、ガイドローラ45a,45bによってそれぞれ略直角に折り曲げてガイドローラ45a,45b間の隙間を通してz方向へと案内する。ガイドローラ45a,45b間の隙間においてz方向に向けて延びる一対の長尺プレート13A,13Bは、ガイド板54によってz方向に向けて直線状に案内される。
【0039】
なお、巻尺部9a,9bからそれぞれ延びる長尺プレート13A,13Bの自由端部13Aa,13Baをプレート進退機構43で略直角に折り曲げるが、ここで「略直角」とは、長尺プレート13A,13Bが延在する長手方向(ここではx方向)を基準として、例えば、70°以上110°以下の範囲内の角度が望ましく、この場合、これら方向に延びる方向がz方向となる。
【0040】
ガイドローラ45a,45bの上方には、当接ローラ48が一方の筐体43aに回転可能に設けられ、ローラ状のプレート駆動部47が他方の筐体43bに回転可能に設けられている。プレート駆動部47と当接ローラ48は、これらプレート駆動部47と当接ローラ48との間に長尺プレート13A,13Bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0041】
ガイドローラ45a,45b間を通過した一対の長尺プレート13A,13Bは、プレート駆動部47と当接ローラ48との間を通過するとともに、当接ローラ48によってプレート駆動部47に押し付けられている。これにより、長尺プレート13A,13Bには、プレート駆動部47の回転駆動力が伝達される。
【0042】
プレート駆動部47は、正逆回転することにより生じる回転駆動力を長尺プレート13A,13Bに与え、回転に連動させて長尺プレート13A,13Bをz方向に沿って往復直線運動させる。なお、プレート駆動部47及び当接ローラ48の各外周面には、例えば、シリコーン系樹脂(シリコーンゴム)等のような弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート13A,13Bの表面に環状体が接触することでプレート駆動部47及び当接ローラ48に対する長尺プレート13A,13Bの摩擦力が高められ、プレート駆動部47の正逆回転に連動して長尺プレート13A,13Bが進退し得るように構成されている。
【0043】
プレート駆動部47、及び当接ローラ48の上方には、ロータリーエンコーダ49が一方の筐体43aに回転可能に設けられ、当接ローラ50が他方の筐体43bに回転可能に設けられている。ロータリーエンコーダ49と当接ローラ50は、これらロータリーエンコーダ49と当接ローラ50との間に長尺プレート13A,13Bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0044】
ロータリーエンコーダ49は、長尺プレート13A,13Bのz方向への移動に連動して正逆回転し、この際に生じる回転方向及び回転数に基づいて、設定された基準位置からのモジュール15のz方向の位置を計測した計測結果を出力する。
【0045】
なお、第2実施形態では、ロータリーエンコーダ49の外周面には、例えば、シリコーン系樹脂(シリコーンゴム)等のような弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート13Aの表面に環状体が接触することでロータリーエンコーダ49に対する長尺プレート13Aの摩擦力が高められ、長尺プレート13A,13Bの進退に連動してロータリーエンコーダ49が確実に正逆回転し得るように構成されている。
【0046】
また、第2実施形態では、例えば、他方の筐体43bに調整長孔52aを有し、一方の筐体43aに対して、調整長孔52aの長さでx方向に他方の筐体43bを移動可能に構成されている。これにより、作業者等によって長尺プレート13A,13Bの設置作業が行われる際は、一方の筐体43aに対して他方の筐体43bを調整長孔52aの長さだけ遠ざけるように移動させ、筐体43a,43b間に形成された隙間にz方向に沿って長尺プレート13A,13Bを配置させる。
【0047】
この状態で他方の筐体43bを調整長孔52aに沿って一方の筐体43aに近づけてゆき、ガイドローラ45a,45b間と、プレート駆動部47及び当接ローラ48間と、ロータリーエンコーダ49及び当接ローラ50間とに、それぞれ長尺プレート13A,13Bを挟持させ、調整長孔52aに調整ネジ52bを螺着させることにより、他方の筐体43bの位置を固定する。これにより、プレート進退機構43は、プレート駆動部47の正逆回転に連動して長尺プレート13A,13Bを進退させることができるとともに、長尺プレート13A,13Bの進退に連動してロータリーエンコーダ49を正逆回転させることができる。
【0048】
略直角に折り曲げられて重ね合わせられる2つの長尺プレート13A,13Bは、自由端部13Aa,13Baにキャップ状の先端連結キャップ42が被着され、先端連結キャップ42によって自由端部13Aa,13Ba同士が連結されている。先端連結キャップ42は、モジュール15が固定されているとともに、電力制御部としてDC/DCコンバータ21が設けられた構成を有する。
【0049】
第2実施形態では、一方の長尺プレート13Bのプレート本体13BcにDC/DCコンバータ21が図示しない配線を介して電気的に接続され、当該DC/DCコンバータ21が図示しない配線を介してモジュール15に電気的に接続され、当該モジュール15が図示しない配線を介して他方の長尺プレート13Aのプレート本体13Acに電気的に接続されている。
【0050】
電源回路16は、モジュール15の動作に必要となる電圧以上の電圧を出力する。DC/DCコンバータ21には、電源回路16からの電力が、一方の巻尺部9bの軸心部25b、ゼンマイバネ14及び長尺プレート13Bを順次介して供給される。DC/DCコンバータ21は、例えば、電源回路16から供給された8[V]の電圧を、モジュール15の動作に最適な5[V]の電圧に変圧(降圧)する。
【0051】
このように、第2実施形態に係る配線装置35でも、モジュール15の動作に必要となる電圧以上の電圧を電源回路16から出力し、DC/DCコンバータ21によってモジュール15の動作に最適な電圧値に変換するようにしたことで、例えば、電源回路16からモジュール15に電力を供給する際に巻尺部9b等の電気抵抗により電圧が降下されても、モジュール15を動作させることができる。
【0052】
以上の構成において、第2実施形態に係る配線装置35では、電源回路16のプラス端子が一方の巻尺部9bの軸心部25bに接続され、当該電源回路16のマイナス端子が他方の巻尺部9aの軸心部25aに接続され、一対の長尺プレート13A,13Bのプレート本体13Ac,13Bc同士が、先端連結キャップ42に設けられたモジュール15を介して電気的に接続されている。
【0053】
これにより、配線装置35でも、巻尺部9a,9bのケース11の内部に巻き取り可能な長尺プレート13A,13Bを使用して電源回路16からモジュール15に電力を供給できるので、モジュール15に対して電力を供給するための配線を長尺プレート13A,13Bとは別に設ける必要がなく、その分、巻尺部9a,9bからの長尺プレート13A,13Bの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレート13A,13Bの自由端部13Aa,13Baに配置したモジュール15に電力を供給することができる。
【0054】
また、第2実施形態に係る配線装置35は、一対の巻尺部9a,9bから長尺プレート13A,13Bを引き出させ、又は、一対の巻尺部9a,9bに長尺プレート13A,13Bを巻き取らせて、モジュール15をz方向に進退させることができる。これにより、配線装置35では、一対の長尺プレート13A,13Bを往復直線運動させてモジュール15を移動させることができるとともに、当該モジュール15を移動させつつ、モジュール15に電力を供給することができる。
【0055】
(3)<第3実施形態>
上述した第2実施形態においては、一対の巻尺部9a,9bの間の所定位置にプレート進退機構43を固定させた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、一対の巻尺部9a,9bの間に、プレート進退機構43を往復直線運動可能に設ける構成としてもよい。
図5及び
図6は、一対の巻尺部9a,9bの間にプレート進退機構43を往復直線運動可能に設けた、第3実施形態に係る配線装置61の構成を示す概略図である。
図5は、プレート進退機構43が一方に移動したときの構成を示し、
図6は、当該プレート進退機構43が他方に移動したときの構成を示す。
【0056】
なお、第3実施形態では、上述した第2実施形態と異なる構成に着目して以下説明し、その他同一構成については説明が重複するため説明は省略する。配線装置61は、プレート連結部45とプレート駆動部47とロータリーエンコーダ49とが設けられたプレート進退機構43が、一対の巻尺部9a,9bの間に設けられたガイドフレーム76に沿って往復直線運動する。この場合、プレート進退機構43に設けられ、かつ、一対の長尺プレート13A,13Bが挿通される挿通孔32h(図示せず)を有した支持板55aは、プレート進退機構43とともにx方向に往復直線運動する。
【0057】
ガイドフレーム76は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等によって形成されており、両側面には長手方向(x方向)に一直線状に延びるガイド溝(図示せず)がそれぞれ形成されている。プレート進退機構43は、ガイドフレーム76の各ガイド溝に沿って転動可能な複数のローラ80を備え、ローラ80によってガイドフレーム76に沿ってx方向に往復直線運動(スライド)可能に支持されている。
【0058】
配線装置61には、プレート進退機構43をガイドフレーム76に沿ってx方向に往復直線運動させるスライド駆動部を備えるスライド装置57を備える。スライド装置57は、スライド駆動部に設けられたモータや、当該モータとプレート進退機構43とを連動させるタイミングベルト等によりモータの動力をプレート進退機構43に伝える。これにより、プレート進退機構43は、スライド駆動部の駆動力によりガイドフレーム76に沿って一対の巻尺部9a,9bの間を往復直線運動する。
【0059】
なお、スライド装置57は、モジュール15をz方向に進退させるプレート進退機構43をx方向にスライドさせることに限らず、例えば、ガイドフレーム76の長手方向の向きや傾きを調整し、x方向とは異なる方向にプレート進退機構43をスライドさせるようにしてもよい。
【0060】
以上の構成において、第3実施形態に係る配線装置61でも、電源回路16のプラス端子が一方の巻尺部9bの軸心部25bに接続され、当該電源回路16のマイナス端子が他方の巻尺部9aの軸心部25aに接続され、一対の長尺プレート13A,13Bのプレート本体13Ac,13Bc同士が、先端連結キャップ42に設けられたモジュール15を介して電気的に接続されている。
【0061】
これにより、配線装置61でも、巻尺部9a,9bのケース11の内部に巻き取り可能な長尺プレート13A,13Bを使用して電源回路16からモジュール15に電力を供給できるので、モジュール15に対して電力を供給するための配線を長尺プレート13A,13Bとは別に設ける必要がなく、その分、巻尺部9a,9bからの長尺プレート13A,13Bの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレート13A,13Bの自由端部13Aa,13Baに配置したモジュール15に電力を供給することができる。
【0062】
また、第3実施形態に係る配線装置61は、一対の巻尺部9a,9bから長尺プレート13A,13Bを引き出させ、又は、一対の巻尺部9a,9bに長尺プレート13A,13Bを巻き取らせて、モジュール15をz方向に進退させることができることに加え、プレート進退機構43をスライド移動させることができるので、モジュール15がz方向に進退する位置を適宜調整することができる。これにより、配線装置61では、一対の長尺プレート13A,13Bを往復直線運動させてモジュール15をz方向に移動させるとともに、プレート進退機構43をx方向にスライド移動させつつ、モジュール15に電力を供給することができる。
【0063】
なお、上述した第3実施形態においては、一対の巻尺部9a,9bをガイドフレーム76に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、一方の巻尺部9aと他方の巻尺部9bとをプレート連結部45の位置に設けるようにしてもよい。
【0064】
(4)<第4実施形態>
上述した第2実施形態及び第3実施形態においては、一対の巻尺部9a,9bを、所定距離を設けて対向配置した構成について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、
図7に示すように、複数の巻尺部9a,9b,9c,9dを並列的に配置した構成としてもよい。なお、
図7は、4つの巻尺部9a,9b,9c,9dを設けた配線装置65の例を示しており、上述した第1実施形態と同様の構成は図示を省略している。
【0065】
第4実施形態では、巻装配線として、上述した第1実施形態から第3実施形態と同様に、内部に導電性材料でなる帯状のプレート本体を有し、当該プレート本体の表面に非導通の絶縁層が形成された長尺プレート13A,13B,13C,13Dを適用した例を示すが、本発明はこれに限らず、例えば、軟質なシース(外皮)付きの被覆銅線等のようなチューブ状の巻装配線を適用してもよい。
【0066】
第4実施形態に係る配線装置65は、長尺プレート13A,13B,13C,13Dの自由端部に、例えば、USB1.0/1.1/2.0のTypeA等の所定の規格に沿った第1の雌コネクタ70が電気的に接続され、巻尺部9a,9b,9c,9dの各軸心部25に、第1の雌コネクタ70と同様の規格に沿った第2の雌コネクタ71が電気的に接続された構成を有する。この場合、長尺プレート13A,13B,13C,13Dのうち2本は電源線として使用され、残り2本は信号線として使用される。なお、長尺プレート13A,13B,13C,13Dを通して電力供給される第1の雌コネクタ70は、DC/DCコンバータ21(図示せず)に接続され、DC/DCコンバータ21を介してモジュール15(図示せず)に電気的に接続される。
【0067】
巻尺部9a,9b,9c,9dは同一構成を有しており、巻尺部9a,9b,9c,9dの軸心部25が直線的に配置されるように並列的に配置される。例えば、巻尺部9a,9b,9c,9dは、それぞれのケース11a,11b,11c,11dに設けられた開口(
図1に示した開口12に相当)からそれぞれ長尺プレート13A,13B,13C,13Dが引き出される。長尺プレート13A,13B,13C,13Dの自由端部13Aa,13Ba,13Ca,13Daは、各配線82,84,86,88が接続されており、各配線82,84,86,88は、第1の雌コネクタ70の対応するピンにそれぞれ接続されている。
【0068】
巻尺部9a,9b,9c,9dは、各ケース11a,11b,11c,11dの表面に設けられた固定部24を介して、各ケース11a,11b,11c,11d内の軸心部25に、各配線83,85,87,89を介して第2の雌コネクタ71の対応するピンにそれぞれ接続されている。第2の雌コネクタ71には、電源回路及び信号回路を有した回路部(図示せず)に接続される。
【0069】
以上の構成において、第4実施形態に係る配線装置65は、絶縁性材料で形成されたケース11a,11b,11c,11dの内部に、導電性材料でなる軸心部25を中心に長尺プレート13A,13B,13C,13Dがそれぞれ渦巻き状に巻装され、当該ケース11a,11b,11c,11dの内部から引き出された長尺プレート13A,13B,13C,13Dをケース11a,11b,11c,11dの内部に巻き取り可能な複数の巻尺部9a,9b,9c,9dを備える。長尺プレート13A,13B,13C,13Dは、軸心部25と導通したプレート本体の表面が絶縁層により被覆された構成を有し、当該軸心部25に接続された回路部と、長尺プレート13A,13B,13C,13Dの自由端部に配置されてプレート本体と導通したモジュール15とを電気的に接続する。
【0070】
これにより、配線装置65は、ケース11a,11b,11c,11dの内部に巻き取り可能な長尺プレート13A,13B,13C,13Dを使用して回路部からモジュール15に電力や信号を供給できるので、モジュール15に対して電力や信号を供給するための配線を長尺プレート13A,13B,13C,13Dとは別に設ける必要がなく、その分、巻尺部9a,9b,9c,9dからの長尺プレート13A,13B,13C,13Dの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレート13A,13B,13C,13Dの自由端部に配置したモジュール15に電力を供給することができる。
【0071】
なお、上述した第4実施形態においては、4つの巻尺部9a,9b,9c,9dを並列的に配置した配線装置65について説明したが、本発明はこれに限らず、2つや3つ等の2つ以上の巻尺部を並列的に配置した配線装置を適用してもよい。また、第4実施形態においては、回路部として、電源回路及び信号回路を有する回路部を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、モジュール15に電力を供給する電源回路16のみや、モジュール15に信号を供給する信号回路のみを、回路部として適用してもよい。
【0072】
(5)<他の実施形態>
上述した第1実施形態から第3実施形態では、回路部として、モジュール15に電力を供給する電源回路16を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、モジュール15に信号を供給する信号回路を回路部として適用してもよい。
【0073】
また、上述した第1実施形態から第4実施形態においては、電源回路からの電力を制御して前記モジュールに供給する電力制御部として、電圧を降圧するDC/DCコンバータ21を設けた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DC/DCコンバータ21を設けない構成としてもよい。また、DC/DCコンバータ21に替えて、例えば、電圧を昇圧する電力制御部や、AC/DCコンバータやDC/ACインバータ等、電源回路からの電力をモジュールに応じて最適な電力に制御可能な種々の電力制御部を設けるようにしてもよい。
【0074】
また、上述した第1実施形態から第4実施形態では、例えば、長尺プレート13,13A,13B,13C,13Dとゼンマイバネ14とを別体としてケース11内に設けた構成について説明したが、本発明はこれに限らず、ケース11内にゼンマイバネ14を設けずに、軸心部25,25a,25bに渦巻き状に巻き付けた長尺プレート13,13A,13B,13C,13Dのみを設け、長尺プレート13,13A,13B,13C,13D自体をゼンマイバネ14として機能させてもよい。
【0075】
また、上述した第1実施形態から第4実施形態のモジュール15としては、例えば、照明装置や、通信装置、撮像装置、センサ等の検査装置、ロボットアーム等の種々のモジュール15を適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
9,9a,9b,9c,9d 巻尺部
10,35,61,65 配線装置
11,11a,11b,11c,11d ケース
13,13A,13B,13C,13D 長尺プレート(巻装配線)
13c,13Ac,13Bc プレート本体(配線本体)
13dd,13Ad,13Bd 絶縁層
14 ゼンマイバネ
15 モジュール
16 電源回路(回路部)
21 DC/DCコンバータ(電力制御部)
25,25a,25b 軸心部
【要約】
【課題】巻尺部からの長尺プレートの引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレートの自由端部に配置したモジュールに電力を供給することができる配線装置を提供する。
【解決手段】配線装置10は、ケース11の内部に巻き取り可能な長尺プレート13を使用して電源回路16からモジュール15に電力を供給できるので、モジュール15に対して電力を供給するための配線を長尺プレート13とは別に設ける必要がなく、その分、巻尺部9からの長尺プレート13の引き出しや巻き取りに障害とならずに長尺プレート13の自由端部に配置したモジュール15に電力を供給することができる。
【選択図】
図1