(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ソーラーセルアレイ用のナノ金属接続
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20231228BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017176672
(22)【出願日】2017-09-14
【審査請求日】2020-09-14
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーダー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チウ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クロッカー, トム
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターマン, デイル
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-210747(JP,A)
【文献】特開2013-175624(JP,A)
【文献】特開2005-200006(JP,A)
【文献】特開2011-071214(JP,A)
【文献】特開2011-155041(JP,A)
【文献】特表2014-523129(JP,A)
【文献】特開平04-223378(JP,A)
【文献】特開2008-282926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0125976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
相互接続子を含む第1導電要素及び表面層を含む第2導電要素を使用して、ソーラーセル(14)と、前記ソーラーセルが取り付けられている基板(12)との間に電気的接続を形成することを含み、
前記第2導電要素は、前記ソーラーセル上の前面接点及び背面接点の少なくとも一方をさらに含み、
前記電気的接続を形成することが、
前記
相互接続子と前記前面接点及び前記背面接点の少なくとも一方との間、並びに前記相互接続子と前記表面層との間にナノ金属材料(60)を挿入することと、
前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続を形成し、且つ前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続を形成するよう、前記ナノ金属材料(60)を加熱することとを含み、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体上に形成されていて、前記ソーラーセルを前記基板に取り付けた後、
前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続を形成し、且つ前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続を形成することによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体との間で接続が行われる、方法。
【請求項2】
前記相互接続子は、金属ホイルの相互接続子(76)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面層がめっきされた表面層である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ金属材料(60)が、前記電気的接続を形成するために固体
へと溶
解または融和する、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びアルミニウム(Al)のうちの一又は複数のナノ粒子を含む、ナノ金属のペースト又はインクを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子が100nm未満のサイズを有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子が0.5~10nmの範囲内のサイズを有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノ金属材料(60)が、Agピースの間に置かれたAu、Cu、Ag、またはAlのナノ粒子を含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ金属材料(60)が、摂氏150~250度の溶解温度または固化温度を有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ金属材料(60)が、摂氏175~225度の溶解温度または固化温度を有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノ金属材料(60)が合金ではない、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
相互接続子を含む第1導電要素及び表面層を含む第2導電要素を使用してソーラーセル(14)と、前記ソーラーセルが取り付けられている基板(12)との間に形成された電気的接続を備える、物品であって、
前記第2導電要素は、前記ソーラーセル上の前面接点及び背面接点の少なくとも一方をさらに含み、
前記電気的接続が、
前記
相互接続子と前記前面接点及び前記背面接点の少なくとも一方との間、並びに前記相互接続子と前記表面層との間に挿入されたナノ金属材料(60)を備え、
前記ナノ金属材料が、前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続を形成し、且つ前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続を形成する、加熱されたナノ金属材料(60)であり、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体上に形成されていて、
前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続が形成され、且つ前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続が形成されることによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体とが接続されている、物品。
【請求項12】
少なくとも1つのソーラーセル、及び、前記ソーラーセルが取り付けられている基板からなる、ソーラーセルアレイと、
相互接続子を含む第1導電要素及び前記基板上の表面層を含む第2導電要素を使用して前記ソーラーセルと前記ソーラーセルが取り付けられている前記基板との間に形成された電気的接続とを備える、ソーラーセルパネルであって、
前記第2導電要素は、前記ソーラーセル上の前面接点及び背面接点の少なくとも一方をさらに含み、
前記電気的接続が、
前記
相互接続子と前記前面接点及び前記背面接点の少なくとも一方との間、並びに前記相互接続子と前記表面層との間に挿入されたナノ金属材料を備え、
前記ナノ金属材料が、前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続を形成し、且つ前記第1導電要素と前記第2導電要素との間に前記電気的接続を形成する、加熱されたナノ金属材料であり、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体上に形成されていて、
前記ソーラーセル及び前記第1導電要素の間に前記電気的接続が形成され、且つ前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続が形成されることによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体とが接続されている、ソーラーセルパネル。
【請求項13】
方法であって、
ソーラーセルと基板との間に、相互接続子を含む第1導電要素、及び前記ソーラーセル上の前面接点及び前記基板上の表面層を含む第2導電要素を使用して電気的接続を形成することを含み、
前記第1導電要素は、ビアをさらに含み、
電気的接続を形成することが、
前記
ビア及び前記
表面層の間にナノ金属材料を挿入することと、
前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続を形成するよう、前記ナノ金属材料を加熱することと、
前記ソーラーセルの前面と背面との間の前記ソーラーセル内に貫通穴を作り出すことと、
前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで
前記ビアを作り出し、それによって、前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで電流を導通させるために、前記貫通穴の内部に導電層を堆積させることと、
前記電気的接続を形成するよう、前記前面接点と接続する前記ビアを前記基板のトレースに接続することとを含み、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体
に接続された前記トレース上に形成されていて、前記ソーラーセルを前記基板に取り付けた後、
前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続を形成することによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体との間で接続が行われる、方法。
【請求項14】
前記導電層が堆積される前に、前記ソーラーセルの前記前面と前記背面との間の前記ソーラーセル内の前記貫通穴の内部を不動態化することと、
前記貫通穴が不動態化された後、前記導電層が堆積される前に、前記貫通穴の内部に絶縁層を堆積させることとを更に含み、
前記絶縁層が、前記ソーラーセルの前面表面または背面表面の、前記貫通穴に隣接する部分を覆う、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
ソーラーセルと基板との間に、相互接続子を含む第1導電要素、及び前記ソーラーセル上の前面接点及び前記基板上の表面層を含む第2導電要素を使用して形成された電気的接続を備える、物品であって、
前記第1導電要素は、ビアをさらに含み、
前記電気的接続が、
前記
ビアと前記
表面層との間に挿入されたナノ金属材料と、
前記ソーラーセルの前面と背面との間の前記ソーラーセル内に作り出された、貫通穴と、
前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで
前記ビアを作り出し、それによって、前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで電流を導通させるために、前記貫通穴の内部に堆積された導電層とを備え、
前記前面接点に接続された前記ビアが、前記電気的接続を形成するよう、前記基板のトレースに接続されており、
前記ナノ金属材料が、前記第1導電要素と前記第2導電要素との間に前記電気的接続を形成する、加熱されたナノ金属材料であり、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体
に接続された前記トレース上に形成されていて、
前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続が形成されることによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体とが接続されている、物品。
【請求項16】
少なくとも1つのソーラーセル及び前記ソーラーセル用の基板からなる、ソーラーセルアレイ、及び、
前記ソーラーセルと前記基板との間に、相互接続子を含む第1導電要素、及び前記ソーラーセル上の前面接点及び前記基板上の表面層を含む第2導電要素を使用して形成された電気的接続を備える、ソーラーセルパネルであって、
前記第1導電要素は、ビアをさらに含み、
前記電気的接続が、
前記
ビアと前記
表面層との間に挿入されたナノ金属材料と、
前記少なくとも1つのソーラーセルの前面と背面との間の前記ソーラーセル内に作り出された、貫通穴と、
前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで
前記ビアを作り出し、それによって、前記ソーラーセルの前記前面から前記背面まで電流を導通させるために、前記貫通穴の内部に堆積された導電層とを備え、
前記前面接点に接続された前記ビアが、前記電気的接続を形成するよう、前記基板のトレースに接続されており、
前記ナノ金属材料が、前記第1導電要素と前記第2導電要素との間に前記電気的接続を形成する、加熱されたナノ金属材料であり、
前記ソーラーセルは、複数の刈り込まれたコーナー部を有し、
前記基板の露出したままのエリアは、複数の前記コーナー部に囲まれ、前記基板内に埋設された一又は複数のコーナー導体を含み、前記表面層は前記コーナー導体
に接続された前記トレース上に形成されていて、
前記第1導電要素及び前記第2導電要素の間に前記電気的接続が形成されることによって、前記ソーラーセルと前記コーナー導体とが接続されている、ソーラーセルパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してソーラーセルパネルに関し、より具体的には、ソーラーセルアレイの接点で使用されうる、ソーラーセルアレイ用のナノ金属接続に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な宇宙飛行可能なソーラーセルパネルの組み立ては、ソーラーセルの長いストリングの構築を伴う。これらのストリングの長さは可変であり、例えばセル20個に及び、またそれを超えるような、非常に長いものでありうる。こうした、長くて可変で壊れやすい機材を組み立てることは困難であり、そのために組み立ての自動化が阻害されてきた。
【0003】
現存する解決法では、CIC(セル、相互接続子、及びカバーガラス)ユニットに組み立てられたソーラーセルが使用される。CICは、CICの一面から平行に延在するセルの前面に接続された、金属ホイルの相互接続子を有する。CICは、互いに近接して配置され、相互接続子によって隣接するセルの底部に接続されている。これらの相互接続子を用いることで、CICは直線状のストリングへと組み立てられる。これら直線状のストリングは手作業で構築され、次いで、可変の長さの多数のストリングからなる大きなソーラーセルアレイを形成するようにレイアウトされる。
【0004】
さらに、セルが部分的に影になったときにセルを逆バイアスから保護するため、バイパスダイオードが使用される。バイパスダイオードは一般的に、ソーラーセルアレイ内の2つの隣接するセルの背面接点間を接続する。
【0005】
ソーラーセルアレイは、人工衛星内で使用される場合、通常、パネルとしてパッケージ化される。パネルの寸法は、必要な電力、並びに打ち上げ機内に人工衛星を搭載し、格納するために必要なサイズ及び形状といった制約を含む、人工衛星の必要性によって決定される。さらに、パネルを展開する際、パネルのいくつかの部分を機械設備のために使用することがしばしば必要になり、ソーラーセルアレイはこれらの箇所を避けなければならない。実際には、パネルは概して長方形であるが、その寸法及びアスペクト比はバリエーションが大きい。このスペースを埋めるCIC及びストリングのレイアウトは、発電量を最大にするために高度にカスタマイズされなければならず、その結果、製作工程は手作業が多くなる。
【0006】
そこで、ソーラーセルアレイのカスタマイズ性能を保持しつつソーラーセルアレイの製造の自動化を推進する手段が、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の装置及び方法は、以下に列挙される例に限定しないがそれらを含めて、様々な形で具現化される。
【0008】
1.第1導電要素と第2導電要素との間に形成される電気的接続であって、第1導電要素と第2導電要素との間にナノ金属材料を挿入することと、第1導電要素と第2導電要素との間に電気的接続を形成するよう、ナノ金属を加熱することとを含む、電気的接続。
【0009】
2.電気的接続は、ソーラーセルとソーラーセルが取り付けられている基板との間にあり、第1導電要素及び第2導電要素は、(1)金属ホイルの相互接続子、及び、基板上のめっきされた表面層、並びに/又は、(2)金属ホイルの相互接続子、及び、ソーラーセルの前面接点又は背面接点、を含む。
【0010】
3.ナノ金属材料は、電気的接続を形成するために固体と溶和または融和する、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び/又はアルミニウム(Al)のナノ粒子のうちの一又は複数からなる、ナノ金属ペーストを含む。ナノ粒子は、約100nm未満、より好ましくは約0.5~10nmの範囲内のサイズを有する。ナノ金属材料は、摂氏約150~250度、より好ましくは摂氏約175~225度の溶融温度を有する。
【0011】
4.ソーラーセルと基板との間に、ソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内に貫通穴を作り出すことと、ソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内の貫通穴の内部を不動態化することと、貫通穴の内部に絶縁層を堆積させ、ソーラーセルの前面表面または背面表面の、貫通穴に隣接する部分を覆うことと、ソーラーセルの前面から背面までビアを作り出し、それによって、ソーラーセルの背面接点を作り出すために、貫通穴の内部、及び、ソーラーセルの前面表面と背面表面の両方の貫通穴に隣接する部分に、導電層を堆積させることであって、ビアはソーラーセルの前面の接点にも接続される、導電層を堆積させることと、次いで、電気的接続を形成するよう、背面接点を基板のトレースに接続することとによって形成された、電気的接続。
【0012】
5.ビアは、基板を通り抜けるレーザ溶接、はんだ付け、又はナノ金属ペーストを付けることによって、基板のトレースに接続されうる。
【0013】
ここで、図面を参照する。各図面を通じて、類似の参照番号は対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3A-3B】一例による、ソーラーセルパネル向けの改良型の構造を示す。
【
図4A-4B】一例による、ソーラーセルパネル向けの代替構造を示す。
【
図5】
図3A-3B、及び
図4A-4Bの改良型ソーラーセルパネルで使用されうる、例示のソーラーセルの前面を示す。
【
図7】一例による、アレイの2次元(2D)格子状に配列されたセルを示す。
【
図8】基板のコーナー領域内の露出したエリアに、一又は複数のバイパスダイオードが追加された、アレイの一例を示す。
【
図9】バイパスダイオードがセルの背面に付けられ、バイパスダイオード用の相互接続子または接点が前面接点と背面接点の間のコーナー領域内に延在している、一例を示す。
【
図10】バイパスダイオード用の相互接続子または接点が前面接点と背面接点の間のコーナー領域内に延在している、
図9の例の前面図を示す。
【
図11】アレイの2D格子状に配列され基板に付けられた
図9及び
図10のセルであって、バイパスダイオードがセルの背面に付けられ、バイパスダイオード用の接点がセルのコーナー領域内に延在している、
図9及び
図10のセルを示す。
【
図12】一例による、アレイのセル間の上方向/下方向の直列接続を示す。
【
図13】一例による、アレイのセル間の左方向/右方向の直列接続を示す。
【
図14C-14D】
図14Cは加熱前のはんだベースの電気的接続を示し、
図14Dは加熱後のはんだベースの電気的接続を示す。
【
図14E-14F】
図14Eは加熱前のナノ金属ベースの電気的接続を示し、
図14Fは加熱後のナノ金属ベースの電気的接続を示す。
【
図15】一例による、可撓性シートの組立品である基板上のソーラーセルであって、ソーラーセルパネル上のソーラーセルアレイの一部である、ソーラーセルの側面図を示す。
【
図16】基板内に埋設された接続部との電気的接続の全てがソーラーセルの背面でなされる構成を示す。
【
図17】前面接点及び背面接点から電流を抽出するために、トレースがソーラーセルの下で、基板内にどのようにレイアウトされうるかを示す。
【
図18】一例による、ソーラーセル、ソーラーセルパネル、及び/または人工衛星の製作方法を示す。
【
図19】一例による、結果的に製作される、ソーラーセルからなるソーラーセルパネルを有する人工衛星を示す。
【
図20】一例によるソーラーセルパネルを、機能ブロック図の形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明で、本願の一部である添付図面を参照する。これらの添付図面は、本開示が実施されうる具体的な例を示す目的で図示されている。他の例も利用可能であることと、本開示の範囲を逸脱することなく構造的な変更が加えられてよいことは、理解すべきである。
【0016】
概要
例えば宇宙飛行用電力の用途に使用される、ソーラーセルアレイの設計に関する新たな手法は、アレイ内のソーラーセル間の電気的接続に基づいている。
【0017】
これらの新たな手法は、ソーラーセルの構成要素及びアレイ内のソーラーセルの配列を配列し直すものである。ソーラーセルを接続して長い直線状のストリングにしてから基板上に組み立てる代わりに、ソーラーセルを、隣接するセルのコーナー領域が基板上で位置合わせされるようにして個別に基板に取り付け、それによって基板のあるエリアを露出させる。セル間の電気的接続は、基板上または基板内でこれらのコーナー領域内に形成された、コーナー導体によってなされる。結果として、この手法は、個別のセルをベースにしたソーラーセルアレイの設計を提示している。
【0018】
こうして、ソーラーセルアレイの製作に際して、単一のレイダウンプロセスとレイアウトが使用されうる。ソーラーセル間の電流の流れは、基板内に埋設された導体によって補助される。これらの電気的接続によって、そのソーラーセルアレイの具体的な特性、例えばその寸法、ステイアウト区域、及び回路の終端が規定される。この手法によって製造が簡素化され、自動化が可能になり、コストと搬送時間が最少化される。
【0019】
図1及び
図2は、基板12、アレイに配列された複数のソーラーセル14、及びソーラーセル14間の電気コネクタ16を含む、ソーラーセルパネル10の従来型構造を示す。
図1にはハーフサイズのソーラーセル14が、
図2にはフルサイズのソーラーセル14が示されている。宇宙用ソーラーセル14は、円形のゲルマニウム(Ge)基板の出発材料から作られる。より高密度でソーラーセルパネル10に搭載するため、これらは後に、準長方形の形状に加工される。このウエハは、しばしば1つまたは2つのソーラーセル14にダイスカットされる。これらは、ここではハーフサイズまたはフルサイズのソーラーセル14として記載される。ソーラーセル14間を電気的に接続する電気コネクタ16は、ソーラーセル14間の長い平行な端部に沿って作られている。(セルとセルとの)これらの直列接続は、基板に取り付けられていない状態で完成される。なぜならば、ソーラーセル14が接続されてできるストリングは、任意の数のソーラーセル14の長さを持つように構築されるからである。ソーラーセル14のストリングは、完成した後に基板12に付けられ、取り付けられる。
【0020】
図2では、ストリングを他のストリングに電気的に接続するためか、または配線を終端処理して回路とし、ソーラーセル14のアレイの電流をここで断ち切るために、配線18がソーラーセル14のストリングの終端に取り付けられている。ストリングとストリングの間の接続及び回路終端の接続は、通常、基板12上で行われ、通常、配線18を使用して行われる。しかし、一部の小型ソーラーセルパネル10では、導体が埋設されたプリント回路基板(PCB)タイプの機材が使用される。
【0021】
接続されたソーラーセル14でできた、隣接するストリング同士は、平行または反平行に延びていることができる。加えて、接続されたソーラーセル14でできたストリングは、整列されていることも、いないこともできる。ソーラーセル14のレイアウトに対して互いに競合する影響を与えるものは多い。その結果、ソーラーセル14が平行な領域または反平行である領域、整列されている領域または整列されていない領域が存在する。
【0022】
図3A-3Bは、一例による、ソーラーセルパネル10aの改良された構造を示す。
図3Bは、
図3Aの破線円内の詳細拡大図である。
図5~
図13では、ソーラーセルパネル10aの様々な構成要素が示され、より詳細に記載されている。
【0023】
ソーラーセルパネル10aは、上に一又は複数のコーナー導体20を有する、ソーラーセル14用の基板12を含む。一例では、基板12は、一又は複数のパターニングされた金属層を分離する一又は複数のKapton(登録商標)(ポリイミド)層からなる、多層基板12である。基板12は、従来型の組立品と同様の、大きな剛性のパネル10aに装着されていてよい。代わりに、基板12は、装着用または展開用の、より軽くより薄いフレームまたはパネル10aに装着されることができる。
【0024】
複数のソーラーセル14が、基板12に、アレイ22の2次元(2D)格子状に取り付けられている。この例では、アレイ22は、4段×24列に配列された、96個のソーラーセル14からなっているが、異なる実行形態では、任意の数のソーラーセル14が使用されうることが、認められている。
【0025】
ソーラーセル14のうちの少なくとも1つは、破線円によって示されるように、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有する。ソーラーセル14は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして、基板12に取り付けられており、それによって基板12のエリア28が露出している。基板12の露出しているエリア28は、一又は複数のコーナー導体20を含み、ソーラーセル14の刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26内で、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の一又は複数の電気的接続がなされている。
【0026】
この例では、コーナー導体20は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられる前及び/または後に、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12内に埋設されたか、基板12上に堆積した導電経路であって、隣接するソーラーセル14間の接続を促進する。ソーラーセル14とコーナー導体20との間の接続は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後に行われる。
【0027】
一例では、4つの隣接するソーラーセル14が基板12上で位置合わせされ、各ソーラーセル14から1つずつの計4つの刈り込まれたコーナー部24がコーナー領域26で集まって一緒になっている。次に、ソーラーセル14は基板12に個別に取り付けられる。このときソーラーセル14はコーナー導体20の上に置かれ、ソーラーセル14とコーナー導体20との間で電気的接続が行われる。
【0028】
ソーラーセル14は、CIC(セル、相互接続子、カバーグラス)ユニットとして基板12に付けることができる。代わりに、未被覆のソーラーセル14を基板12に付けることができ、カバーガラスは後で、透明接着剤を用いてソーラーセル14の前面に付けることができる。この組立品は、ソーラーセル14を、性能を制限するような宇宙放射線による損傷から保護する。
【0029】
図4A及び
図4Bは、一例による、ソーラーセルパネル10aの代替構造を示す。
図4Bは、
図4Aの破線円内の詳細拡大図である。この例では、ごく少数のコーナー導体20のみが、基板12上にプリントされているか、または基板12に組み込まれている。その代わりとしては、コーナー導体20のほとんどが、基板12に取り付けられている電力ルーティングモジュール(PRM)30内に含まれる。
【0030】
図5は、
図3A-3B、及び
図4A-4Bの改良型ソーラーセルパネル10aで使用されうる、例示のソーラーセル14の前面を示す。CICユニットであるソーラーセル14は、ハーフサイズのソーラーセル14である。(フルサイズのソーラーセル14もまた使用されうる。)
【0031】
破線円で示されるように、ソーラーセル14は、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有するように製作されており、それによって、刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26には、ソーラーセル14との電気的接続をなす少なくとも1つの接点32、34が含まれる。
図5に示す例では、ソーラーセル14は2つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、ソーラーセル14の前面にある前面接点32と、ソーラーセル14の背面にある背面接点34の両方を有し、接点32及び接点34はコーナー領域26内に延在している。(フルサイズのソーラーセル14は4つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、1つの前面接点32及び1つの背面接点34を有する。)
【0032】
刈り込まれたコーナー部24があることによって、ソーラーセル14の出発材料として円形のウエハを利用することが多くなる。従来型のパネル10では、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後、これらの刈り込まれたコーナー部24は、結果的にパネル10上の不使用スペースになってしまう。しかし、本開示で記載するこの新たな手法では、この不使用スペースが利用される。具体的には、コーナー導体20、前面接点32及び背面接点34を備える金属ホイル相互接続子が、コーナー領域26に移動される。これに対して、既存のCICはソーラーセル14の前面に取り付けられた相互接続子を有しており、ストリングの作製中に背面(接続が起こるところ)に接続される。
【0033】
ソーラーセル14によって生成された電流は、どちらの前面接点32にも接続された、細型の金属フィンガー38とより広い金属バスバー40の格子36によって、ソーラーセル14の前面で集電される。格子36に金属を追加してソーラーセル14に入る光を減らしソーラーセル14の出力を減らすことと、金属が増えることで抵抗が減少することとは、バランスの関係にある。バスバー40は低抵抗導体であり、大電流を搬送すると共に、前面接点32が切断された場合には冗長性も提供する。一般的に、最適化のためには前面接点32間に直接延びる短いバスバー40が必要とされる。刈り込まれたコーナー部24内に前面接点32を有することによって、バスバー40をソーラーセル14の外周から離す結果となる。これが達成される一方、同時に、バスバー40の長さが最小化され、光遮蔽が最小化される。加えて、これによってフィンガー38も短くなる。これによって、格子36内の寄生抵抗が減少する。なぜならば、フィンガー38の長さが短くなり、搬送される電流の総量が減少するからである。これによって、細型のフィンガー38をより短くするために、前面接点32と接続相手のバスバー40を移動する、という設計上の好みが生まれる。
【0034】
図6は、
図5の例示のソーラーセル14の背面を示す。ソーラーセル14の背面は、どちらの背面接点34にも接続している、フルエリア金属背面層42によって覆われている。
【0035】
図7は、一例による、アレイ22の2D格子状に配列されたソーラーセル14を示す。アレイ22は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして基板12に取り付けられている、複数のソーラーセル14を備えており、それによって基板12のエリア28が露出している。ソーラーセル14間の電気的接続(図示せず)は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34、並びに、基板12の露出したエリア28上またはエリア28内に形成されたコーナー導体20(図示せず)を使用して、基板12の露出したエリア28内で、なされている。
【0036】
組み立て中、ソーラーセル14は、基板12に個別に取り付けられる。この組み立ては、剛性と可撓性のどちらでもありうる支持面、即ち基板12上で、直接行われることができる。代わりに、ソーラーセル14は、仮の支持面上でアレイ22の2D格子状に組み立てられ、その後に最終的な支持面、即ち基板12へと移送されてもよい。
【0037】
図8は、基板12のコーナー領域26内の露出したエリア28に、一又は複数の電気的接続で使用しるための一又は複数のバイパスダイオード44が追加された、アレイ22の一例を示す。バイパスダイオード44は、ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合にソーラーセル14を保護する。ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合とは、部分的に影になったせいでもありうるが、その場合には、ソーラーセル14に逆バイアスがかかる。一例では、バイパスダイオード44は、ソーラーセル14から独立して、基板12のコーナー領域26に取り付けられている。
【0038】
図9は、バイパスダイオード44がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の相互接続子または接点46のうちのいずれかが、前面接点32と背面接点34の間のコーナー領域26内に延在している、一例を示す。
【0039】
図10は、バイパスダイオード44(図示せず)用の相互接続子または接点46が前面接点32と背面接点34の間のコーナー領域26内に延在している、
図9の例の前面図を示す。
【0040】
図11は、バイパスダイオード44(図示せず)がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の接点46がソーラーセル14のコーナー領域26内に延在している、アレイ22の2D格子状に配列され基板12に付けられた、
図9及び
図10のソーラーセル14を示す。
【0041】
この手法の1つの利点は、
図7、
図8、及び
図11で示されるレイアウトが、普遍化されたレイアウトであることである。具体的には、これらのレイアウトは、パネル10aの顧客が所望する任意の寸法にわたって、反復することができる。これによって、組み立て、改修、試験、及び検査の各工程が非常に簡素化される。
【0042】
ソーラーセル14とバイパスダイオード44の配置に続いて、カスタマイズが行われる別のステップが存在する。ソーラーセル14のコーナー領域26内で、前面接点32と背面接点34とが、接続されなければならない。電流を所望の経路でルーティングするために、これは多数の組合せで行うことができる。
【0043】
ソーラーセル14を基板12に取り付けた後、ソーラーセル14とコーナー導体20との間で接続が行われる。ソーラーセル14の前面接点32及び背面設定34は、コーナー導体20に取り付けるため、各コーナー領域26にある。各ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34用の相互接続子は、電力をソーラーセル14の外部にルーティングする導電経路20、32、34を設けるため、コーナー導体20に溶接、はんだづけ、または他のやり方で接合される。
【0044】
コーナー導体20を使用して、電気的接続において任意のカスタマイズを行うことができる。隣接するソーラーセル14は、具体的な設計の要望に従って、電流を上方向/下方向、または左方向/右方向に流すように電気的に接続されることができる。必要に応じて、電流がステイアウト区域を迂回するようにルーティングすることもできる。ソーラーセルアレイ22の長さや幅は、所望に応じて設定することができる。また、アレイ22の幅は、長さに応じて変化することもできる。
【0045】
一例では、電気的接続は、複数のソーラーセル14を通る電流の流量を決定する、直列接続である。これは、
図12及び
図13に示す接続スキームによって達成されうる。
図12は、アレイ22のソーラーセル14間の上方向/下方向の直列接続48を示しており、
図13は、アレイ22のソーラーセル14間の左方向/右方向の直列接続50を示している。
図12及び
図13のどちらにおいても、これらの直列接続48、50は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34とバイパスダイオード44との間の電気的接続であり、これらの直列接続は、基板12の露出したエリア28上またはエリア28内に形成されたコーナー導体20を使用してなされている。基板に取り付けられていない状態の大きなストリングの組立品とは異なり、矢印52で示される、ソーラーセル14を通じた電流(電力)量は、これらの直列接続48、50によって左右される。
【0046】
ソーラーセル14間のコーナー導体20は、様々な形態であることができる。コーナー導体20は、はんだ付け、溶接、導電性接着剤、または他の処理でありうる方法で両端になされた電気的接続を有する、電線を使用して完成することができる。電線に加えて、相互接続子と同様の金属ホイルコネクタもまた適用されうる。金属導体経路またはトレース(図示せず)もまた、基板12に組み込まれていることができる。
【0047】
要約すると、この新たな手法は、2個、3個、または4個の隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が、基板12上で位置合わせされるようにして、ソーラーセル14を個別に基板12に取り付けるものである。ソーラーセル14は、刈り込まれたコーナー部24同士が位置合わせされてコーナー領域26同士が隣接し、それによって基板12のエリア28が露出するようにして、レイアウトされうる。ソーラーセル14間の電気的接続は、これらのコーナー領域26内で、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点32と、バイパスダイオード44と、基板12の露出したエリア28上またはエリア28内のコーナー導体20との間でなされる。これらの導電経路は、回路を含む直列接続48、50でソーラーセル14のストリングを作り出すのに使用される。
【0048】
ナノ金属接続
宇宙用のソーラーセルアレイ22のための電気的接続は、非常に重要なものである。この電気的接続は、製造可能であると共に、主に軌道上での広範な熱サイクルの発生による困難な環境に耐えるよう、信頼性が高いものでなくてはならない。
【0049】
はんだを使用する電気的接続は、製造可能性が高いが、より平穏な宇宙ミッションにのみ足るものである。はんだ接続は低圧及び低温での製造可能性が高いが、はんだは、種々の金属組成を伴う合金の小さな結晶粒(grain)からなり、これらの合金は<300°Cという低い溶解温度を有する。結果的に、はんだ合金の位相及び結晶粒は、熱サイクルを通じて劣化する。
【0050】
その一方で、溶接が、上記の条件下での耐久性により、業界標準となっている。溶接接続は、熱サイクルを通じて良好な性能を有するAg/Ag接合部を使用する、固体相で単相の金属接続を形成しうる。しかし、溶接プロセスには、部品の厳密な機械的位置合わせ、及び、破断につながりうる溶接チップの高い圧力が必要になる。
【0051】
したがって、抵抗性溶接接続の耐久性と共に、はんだ付け接続の製造の容易さを有することが望ましい。
【0052】
この開示は、宇宙用のソーラーアレイ22に電気的接続を形成するためにナノ金属を使用することの価値を認定している。これらのナノ金属は、はんだの製造可能性を有しつつも、溶接接続にその耐久性を付加するものである、高融点材料の単一組成を形成する。
【0053】
【0054】
図14Aは溶接前の溶接ベースの電気的接続を示し、
図14Bは溶接後の溶接ベースの電気的接続を示しており、2つのAg金属ピース54a、54bが使用される。2つのAg金属ピース54a、54bがミクロレベルで合致することの重要性を強調するために、これらのピースが接触している場所の粗さが描かれている。抵抗性溶接チップ56a、56bは、対向している両方の面に大きな力を印加し、ピース54a、54bを一緒にする。電流のパルスはチップ56aと56bとの間に流れる。この電流がピース54a、54bの金属を急速に加熱すると共に、チップ56a、56bの力が印加されることで、ピース54a、54bにより堅固なAg接合部が形成され、このAg接合部は、熱サイクルの発生に対して良好な耐性を有する。
【0055】
図14Cは、はんだ58の加熱前のはんだベースの電気的接続を示し、
図14Dは加熱後のはんだベースの電気的接続を示しており、2つのAg金属ピース54aと54bとの間にはんだ58が位置しているピース54a、54bが使用される。はんだの多くは、一般的に、150~250°Cという低融点を提供する、インジウム(In)、すず(Sn)、及び/又は鉛(Pb)の合金を伴うと、考えられうる。Agは、はんだ58に追加されることが多く、この事例で示しているようなAg金属ピース54a、54bにはんだ付けを行う時の反応を制御する。はんだ58は、共晶相ダイアグラムを有する少なくとも2つの金属の混合物が基となっている。共晶は、低融点を有する金属組成である。溶解した金属は、単一組成を有する。この溶解した金属は、冷却すると、共晶変態を伴って固化し、大いに異なる2つの組成となる。例えば、Sn/Pbはんだ58であれば、固化して、Snリッチ相とPbリッチ相になる。(
図14C及び
図14Dの円は異なる位相を有する結晶粒を示すためのものである。)全体としては、固体では、組成は溶解状態と同じであるが、組成の分布が異なる。これらの位相は、別々の融点、クリープ速度、及び熱膨張率を有するしたがって、これらの位相は熱サイクルに対して別様に反応し、このことが、結晶粒間の空隙の形成につながる。これらの空隙は、成長して亀裂となり、最終的には不具合につながる。はんだ溶解プロセスの小さな力と低い温度が望ましいが、熱サイクルの発生に対するより大きな抵抗性も必要になる。
【0056】
図14Eは加熱前のナノ金属ベースの電気的接続を示し、
図14Fは加熱後のはんだベースの電気的接続を示しており、2つのAg金属ピース54aと54bとの間にナノ金属材料60が位置している、ピース54a、54bを使用する、一例では、ナノ金属材料60は、約100nm未満のサイズ(可能であれば、約0.5~10nmの範囲内のサイズ)を有するナノAg粒子を含むペースト又はインクなどの、ナノAg材料である。小さなナノAg粒子は非常に大きな表面積を有する。つまり、Ag原子の多くが結合していない。この結合の欠如は不安定性である。これらの粒子におけるAgは不安定である。表面Ag原子は、接触の際に結合せず、動くこと、又は再配列されることが可能である。結果として、150~250°Cの温度におけるAg原子の移動性が高まるが、これは溶解に類似する。上記の温度において、ナノAg粒子は、1つのネットワークに融合する。<180°Cという比較的低い温度、及び、<1MPaという比較的低い印加圧力により、固体相で単相のAgの多孔性ネットワークが生じる。>200°Cという比較的高い温度、及び、>1MPaという比較的高い印加圧力により、高密度化が起こる。これは、集積開路を回路基板に取り付けるために使用されており、熱サイクルの発生に抗する寿命が、はんだと比較して向上することを示してきた。ナノAg材料60は、はんだ58と同様に付けられ、処理される。したがって、この材料は、はんだ58の製造上の利点を提供する。熱処理後に、Ag金属ピース54a、54bとナノAg材料60との間に、熱サイクルに対する耐性を有する堅固なAg接合部が形成される。
【0057】
図15は、一例による、可撓性シートの組立品である基板12上のソーラーセル14であって、ソーラーセルパネル10a上のソーラーセルアレイ22の一部である、ソーラーセル14の側面図を示す。基板12は、ポリイミドベース層62と、その上の銅(Cu)層64とを含み、Cu層64はパターニングされて2つのコーナー導体20になる。頂部のポリイミドオーバーレイ66が、Cu層64の前面に接して配置される。頂部のポリイミドオーバーレイ66は、Cu層64の2つのコーナー導体20まで貫通する穴を有し、この穴は後に、Ag又はAuの表面層68でめっきされる。右側に示されているのは、接着剤70で背面が基板12に取り付けられているソーラーセル14と、ソーラーセル14の前面(頂部)にある格子36と、接着剤74で格子36及びソーラーセル14の前面に取り付けられたカバーガラス72とを備える、CICユニットである。基板12のCu層64のコーナー導体20上のAg又はAuのめっき表面層68の頂部にあるナノ金属材料60、及び、ソーラーセル14の前面と背面の両方の接点32、34の頂部にあるナノ金属材料60に取り付けられた、金属ホイルの相互接続子76も見ることができる。金属ホイルの相互接続子76は、バイパスダイオード44(図示せず)とも接続しうる。
【0058】
具体的には、
図15は、第1導電要素と第2導電要素との間に形成された電気的接続であって、第1導電要素と第2導電要素との間にナノ金属材料60を挿入することと、次いで、第1導電要素と第2導電要素との間に電気的接続を形成するよう、ナノ金属材料60を溶解温度又は固化温度に加熱し、加熱されたナノ金属材料60を形成することとによって形成される、電気的接続も示す。この例では、第1導電要素及び第2導電要素は、(1)金属ホイルの相互接続子76、及び、Ag又はAuのめっき表面層68、並びに、(2)金属ホイルの相互接続子76、及び、ソーラーセル14の前面接点又は背面接点32、34、を含む。さらに、ナノ金属材料60は、ソーラーセル14及びソーラーセル14が取り付けられている基板12と共に使用される、あらゆる電気的接続に適用されうる。
【0059】
ナノ金属材料60は、一又は複数のAgナノ粒子からなるペーストまたはインクであると上記で説明したが、この材料に限定されるわけではない。代替例では、ナノ金属材料60は、電気的接続を形成するために、はんだ58と同様に固体と溶和または融和する、Au、Cu、Ag、及び/又はAlのナノ粒子のうちの一又は複数からなる、ナノ金属のペーストまたはインクを含む。好ましくは、ナノ金属材料60の粒子は、例えば摂氏約150~250度、より好ましくは摂氏約175~225度の、低い溶融温度を有する。
【0060】
とはいえ、ナノ金属材料60にはAgが好ましいことがある。なぜなら、Agは高導電性であり、所望の形状に容易に形成されうることから、多くの場合、金属ホイルの相互接続子76及び格子36にAgが使用されるからである。ただし、Agは変色し、かつ、多原子酸素が存在する宇宙環境においては腐食されうる。場合によっては、たとえコストが上昇しても、又は、AuコーティングしたAgとして使用するために、Auが好ましいこともある。他の代替形態は、Ag又はAuよりもかなり低コストになる、Cu又はAlを含む。上記の金属のうちの任意のものが、金属ホイルの相互接続子76及び/又はナノ金属材料60の両方に、使用されうる。
【0061】
多くの場合、ナノ金属材料60は合金ではない。合金材料は種々の溶解温度を有し、このことが、極端な熱サイクルが発生する際には問題になりうる。
【0062】
しかし、混合材料の一事例は、Au、Cu、Ag、及び/又はAlのナノ粒子を含むペーストまたはインクからなるナノ金属材料60が、Agピース54aと54bとの間に置かれる場合である。したがって、これらの金属の間には界面が存在することになる。この界面は、(約400°Cを上回る)高融点の金属間の、サイズがミリ単位の単一の大きな界面である。これは、約400°C未満の融点を有するミクロサイズの結晶粒間に多数の金属界面を有するはんだ接続とは、非常に異なる構成である。したがって、この界面のクリープ、流動、及び不具合は、はんだ界面と比べて大幅に発生しにくくなる。
【0063】
背面接点
この開示は、金属が露出していないソーラーセルアレイ22を形成するために、背面接点34を有するソーラーセル14が、基板12上のプリントされたコーナー導体20とどのように結合されうるかについても説明する。具体的には、ソーラーセル14内に貫通穴が形成される。次いで、ビアを作り出してソーラーセル14の前面接点32をソーラーセル14の背面接点34に接続し、レーザ溶接、はんだ付けを使用して、又は、ナノ金属ペースト若しくは他の導電性接着剤を付けることで、基板12のトレースと接続するために、貫通穴が金属でめっきされるか、又は貫通穴に金属が堆積される。
【0064】
これにより、電気的接続が、宇宙環境に露出されずに、宇宙環境から保護されることが、可能になる。例えば、金属が露出したソーラーセルアレイ22は、ESD損傷に対して脆弱である。これまでは、ESDを防止するために、絶縁性ポリマーの塗料又はコーティングが露出した金属フィーチャに付けられてきた。
【0065】
図16も、可撓性シートの組立品である基板12上のソーラーセル14であって、基板12がポリイミドベース層62と、その上のCu層64とを含む、ソーラーセル14の側面図を示す。頂部のポリイミドオーバーレイ66は、Cu層64の前面表面に接して配置され、Cu層64の前面表面は後に、Ag又はAuの表面層68でめっきされる。右側に示されているのは、背面が基板12に取り付けられているソーラーセル14と、ソーラーセル14の前面(頂部)にある格子36と、接着剤74で格子36及びソーラーセル14の前面に取り付けられたカバーガラス72とを備える、CICユニットである。
【0066】
この構成では、基板12のCu層64内にパターニングされた埋設されたトレース78、80との電気的接続のすべてが、ソーラーセル14の背面でなされる。これは、ソーラーセル14の背面接点34との接続を行う場合には、やや単純なやり方である。しかし、この開示は、ソーラーセル14の前面接点32がソーラーセル14の背面と電気的に接続されるように、ソーラーセル14の前面からソーラーセル14の背面までの、めっきされた貫通穴又はビア82を追加している。
【0067】
一例では、貫通穴82は、ソーラーセル14の前面と背面との間に、ソーラーセル14の半導体層を通って作り出される。次いで、貫通穴82の内部側壁は、ソーラーセル14の前面と背面との間で不動態化され、貫通穴82の端から端まで延在する絶縁層84が、貫通穴82の内部に付けられ、かつ、ソーラーセル14の前面表面と背面表面の両方の、貫通穴82に隣接する部分を覆う。貫通穴82の内部、及び、ソーラーセル14の前面表面と背面表面の両方の、貫通穴82に隣接する部分に、導電層86が堆積され、結果として、ビア82が作り出される。ビア82は、ソーラーセル14の前面の前面接点32からソーラーセル14の背面まで、導電経路を提供する。
【0068】
次いで、はんだ58(またはナノ金属材料60)、及び、Ag又はAuのめっき層68を使用して、ソーラーセル14の背面の導電層86と基板12のCu層64内に形成されたトレース78との間で、電気的接続が行われ、結果として、ソーラーセル14の前面の前面接点32との電気的接続がなされる。同様にはんだ58(またはナノ金属材料60)、及び、Ag又はAuのめっき層68を使用して、ソーラーセル14の背面接点34と基板12のCu層64内に形成されたトレース80との間でも、電気的接続が行われる。トレース78、80が、基板12内に、頂部のポリイミドオーバーレイ66の下に埋設されていることから、この構造により、ソーラーセルアレイ22における露出した金属が、大いに少なくなる。さらに、上記は高次に製造可能な方法で達成され、そのため、現在使用されている手作業の労力が回避される。
【0069】
ビア82はさらに、ソーラーセル14の価値を高める。ソーラーセル14の前面は、ソーラーセル14から電流を運び去る電線又は相互接続子に電流をもたらすよう、低抵抗を有するのに十分な金属を要することについて、バランスが取れた状態(balance)である。これは、格子36に長い細形線を有することによって達成される。ソーラーセル14が長くなると、線が長くなり、かつ、電流レベルが高くなって、低抵抗を実現するために必要とされる金属量も増大する。しかし、この金属の追加は、結果として、ソーラーセル14の表面のオブスキュレーションを増大させ、それにより、ソーラーセル14の性能が低下する。
【0070】
この開示のビア82は、このバランスを完全に変える。従来、格子36の全ての線からの電流が、ソーラーセル14の一方の面にある幅広のバスバーに、次いで2つ又は3つの相互接続に、抽出されていた。ソーラーセル14全体の多くの点でビア82を使用することによって、ソーラーセル14の前面の電流が、より多くの接続点へとより短い経路で移動するようになり、必要とされる金属が少なくなる。
【0071】
図17は、前面接点及び背面接点32、34から電流を抽出するために、トレース78、80が、ソーラーセル14の下で、基板12のCu層64内に、どのようにレイアウトされうるかを示す。格子36によって集電された電流は、前面接点32(
図5に示す)へと流れる。電流は次いで、前面接点32からトレース88に沿って、ビア82へと流れ、ビア82を通ってソーラーセル14の背面へと流れる。ソーラーセル14の背面のビア82の周囲の導電層86は、基板12のトレース78に接触する(
図16に示す)。加えて、ソーラーセル14の背面接点34とトレース80との間で、電気的接続がなされる。トレース78、80は、基板12内に埋設された高導電性の経路であり、ソーラーセル14から絶縁されており、太陽光を全く遮蔽することがない。この例では、トレース80の破線は、トレースがソーラーセル14の下方に隠されている(トレース78はさらに、ソーラーセル14とトレース88の下方に隠されている)ことを示す。
【0072】
加えて、格子36のフィンガー38は、例えば、より多くのビア82を有する構成では、もっと短くなりうる。導電性ビア82は、さらに、抵抗とオブスキュレーションの両方を減少させることが可能であるが、この2つを減少させることは、これまでは両立できない目標であった。
【0073】
導電性ビア82の能力は周知である。しかし、この開示に関して重要なのは、これらのビア82が、電力を抽出するために、基板12のコーナー導体20にどのように連結されうるかということである。
【0074】
さらに、困難なところは電気的接続を行うことである。必要とされる多くのミッションのための、宇宙の熱サイクル環境における耐性を得るためには、溶接が好ましい。しかし、抵抗性溶接は、この設計では実現が難しいことがある。
【0075】
ただし、レーザ溶接は可能であるが、そのためには透明基板12が必要であり、不透明な面シートを有する典型的な剛性基板12を用いては、レーザ溶接は不可能である。その一方、可撓性シートの組立体へのレーザ溶接は、一考の余地がある。
【0076】
可撓性シートの組立体を含む基板12には大抵の場合、ポリイミドが使用され、ポリイミドは、ブルーライト/UV光を大いに吸収するので、オレンジ色の外観となる。溶接するために赤外レーザ又は近赤外レーザを使用すること、又は、より透明なポリマーを使用することが、可能でありうる。形成が可能であれば、これは、宇宙環境に適する、耐性を有する接続となりうる。
【0077】
代わりに、はんだ付けも、非常に望ましく、かつ単純なものである。はんだ58のプリフォームまたはペーストは、ソーラーセル14の電気的接続と基板12の電気的接続の一方又は両方に、追加されうる。これらの電気的接続は、場合によっては圧力を用いて一緒にされ、はんだ58をリフローするために加熱されうる。これは、規模がずっと大きくなれば、回路基板実装に類似する。しかし、はんだ58は、短期間の宇宙ミッションみ適するだけであることが既知である。
【0078】
別の代替形態は、電気的接続にナノ金属材料60を使用することである。ナノ金属材料60は、電気的接続を形成するために、はんだ58と同様に固体と溶和または融和する、Au、Cu、Ag、及び/又はAlのナノ粒子のうちの一又は複数を含む、ペーストまたはインクからなりうる。好ましくは、ナノ金属材料60の粒子は、例えば摂氏約150~250度、より好ましくは摂氏約175~225度の、低い溶融温度を有する。
【0079】
ペーストが分配され、ピースが一緒にされ、加熱される、はんだ58のプロセスフローに類似したプロセスを使用する、ナノ金属材料60の使用は、非常に有利でありうる。しかし、ナノ金属材料60を使用する固体相で単相の金属接続は、はんだ58の利点を有しうる。
【0080】
製作
本開示の各例は、
図18に示すステップ92~104を含む、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/または人工衛星の製作方法90に関連して記載されていてよく、結果として製作される、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10aを有する人工衛星106を、
図19に示す。
【0081】
図18に示すように、製造前段階では、例示の方法90は、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a及び/または人工衛星106の仕様及び設計92、並びにこれらの材料の調達94を含んでいてよい。製造段階では、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/または人工衛星106のコンポーネント及びサブアセンブリの製造96、並びにシステムインテグレーション98が行われる。これらは、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/または人工衛星106の製作を含んでいる。その後、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/または人工衛星106は、運航102に供されるために認可及び納品100を経てよい。ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/または人工衛星106は、打ち上げ前に、(改造、再構成、改修などを含む)整備及び保守104が予定されてもよい。
【0082】
方法90の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/またはオペレータ(例えば顧客)によって実行され、または実施されうる。本明細書の目的に関しては、システムインテグレータは、限定しないが、ソーラーセル、ソーラーセルパネル、人工衛星または宇宙船の、任意の数の製造業者及び主要システムの下請業者を含んでいてよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者及びサプライヤーを含んでいてよく、またオペレータは、衛星通信会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0083】
図19に示すように、例示の方法90によって製作される人工衛星106は、システム108、本体110、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10a、及び一又は複数のアンテナ112を含んでいてよい。人工衛星106に含まれるシステム108の例は、限定しないが、推進システム114、電気システム116、通信システム118、及び電力システム120のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステム108もまた、含まれてよい。
【0084】
図20は、一例によるソーラーセルパネル10aを、機能ブロック図の形態で示す。ソーラーセルパネル10aは、基板12に個別に取り付けられた一又は複数のソーラーセル14からなる、ソーラーセルアレイ22からなる。各ソーラーセル14は、光源124からの光122を吸収し、それに応答して電気出力126を生成する。
【0085】
すくなくとも1つのソーラーセル14は、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有し、それによって、基板12のエリア28は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられたときにも露出したままである。複数のソーラーセル14が基板12に取り付けられているときには、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされており、それによって基板12のエリア28が露出している。
【0086】
基板12の露出したままのエリア28は、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12に組み込まれたかしている一又は複数のコーナー導体20を含んでおり、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の一又は複数の電気的接続が、コーナー領域26内でなされている。コーナー領域26は、一又は複数のバイパスダイオード44もまた含んでいてよい。
【0087】
コーナー領域26は、少なくとも1つの接点、例えばソーラーセル14の前面の前面接点32、及び/またはソーラーセル14の背面の背面接点34を含む。
【0088】
ソーラーセル14は、ソーラーセル14の前面と背面との間に延在するビア82であって、ソーラーセル14の前面の前面接点32からソーラーセル14の背面まで、導電経路を提供する、ビア82を含みうる。次いで、ソーラーセル14の背面のビア82と基板12内に形成されたトレース78との間での電気的接続が、はんだ58またはナノ金属材料60を使用して行われ、結果として、ソーラーセル14の前面の前面接点32との電気的接続が生じる。ソーラーセル14の背面接点34と基板12内に形成されたトレース80との間の電気的接続も、同様にはんだ58またはナノ金属材料60を使用して行われる。トレース78、80は基板12に埋設されていることから、この構造により、ソーラーセルアレイ22における露出した金属が、大いに少なくなる。
【0089】
さらに、本開示は以下の条項による例を含む。
【0090】
条項1.方法であって、第1導電要素及び第2導電要素を使用して、ソーラーセルと、ソーラーセルが取り付けられている基板との間に電気的接続を形成することを含み、電気的接続を形成することが、第1導電要素と第2導電要素との間にナノ金属材料を挿入することと、第1導電要素と第2導電要素との間に電気的接続を形成するよう、ナノ金属を加熱することとを含む、方法。
【0091】
条項2.第1導電要素及び第2導電要素が、金属ホイルの相互接続子、及び、基板上の表面層を含む、条項1に記載の方法。
【0092】
条項3.表面層がめっきされた表面層である、条項2に記載の方法。
【0093】
条項4.第1導電要素及び第2導電要素が、金属ホイルの相互接続子、及び、ソーラーセルの前面接点又は背面接点を含む、条項1に記載の方法。
【0094】
条項5.ナノ金属材料が、電気的接続を形成するために固体と溶和または融和する、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びアルミニウム(Al)のナノ粒子のうちの一又は複数からなる、ナノ金属のペースト又はインクを含む、条項1に記載の方法。
【0095】
条項6.ナノ粒子が約100nm未満のサイズを有する、条項5に記載の方法。
【0096】
条項7.ナノ粒子が約0.5~10nmの範囲内のサイズを有する、条項5に記載の方法。
【0097】
条項8.ナノ金属材料が、Agピースの間に置かれたAu、Cu、Ag、またはAlのナノ粒子を含む、条項5に記載の方法。
【0098】
条項9.ナノ金属材料が、摂氏約150~250度の溶解温度または固化温度を有する、条項1に記載の方法。
【0099】
条項10.ナノ金属材料が、摂氏約175~225度の溶解温度または固化温度を有する、条項1に記載の方法。
【0100】
条項11.ナノ金属材料が合金ではない、条項1に記載の方法。
【0101】
条項12.第1導電要素及び第2導電要素を使用してソーラーセルと、ソーラーセルが取り付けられている基板との間に形成された電気的接続を備える、物品であって、電気的接続が、第1導電要素と第2導電要素との間に挿入されたナノ金属材料を備え、ナノ金属材料が、第1導電要素と第2導電要素との間に電気的接続を形成する加熱されたナノ金属材料である、物品。
【0102】
条項13.第1導電要素及び第2導電要素が、金属ホイルの相互接続子、及び、基板上の表面層を含む、条項12に記載の物品。
【0103】
条項14.表面層がめっきされた表面層である、条項12又は13に記載の物品。
【0104】
条項15.第1導電要素及び第2導電要素が、金属ホイルの相互接続子、及び、ソーラーセルの前面接点又は背面接点を含む、条項12から14のいずれか一項に記載の物品。
【0105】
条項16.ナノ金属材料が、電気的接続を形成するために固体と溶和または融和する、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びアルミニウム(Al)のナノ粒子のうちの一又は複数からなる、ナノ金属のペースト又はインクを含む、条項12から15のいずれか一項に記載の物品。
【0106】
条項17.ナノ金属材料が合金ではない、条項12から16のいずれか一項に記載の物品。
【0107】
条項18.少なくとも1つのソーラーセル、及び、ソーラーセルが取り付けられている基板からなる、ソーラーセルアレイと、ソーラーセルアレイの第1導電要素及び第2導電要素を使用してソーラーセルとソーラーセルが取り付けられている基板との間に形成された電気的接続とを備える、ソーラーセルパネルであって、電気的接続が、第1導電要素と第2導電要素との間に挿入されたナノ金属材料を備え、ナノ金属材料が、第1導電要素と第2導電要素との間に電気的接続を形成する加熱されたナノ金属材料である、ソーラーセルパネル。
【0108】
条項19.方法であって、ソーラーセルと基板との間に電気的接続を形成することを含み、電気的接続を形成することが、ソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内に貫通穴を作り出すことと、ソーラーセルの前面から背面までビアを作り出し、それによって、ソーラーセルの前面から背面まで電流を導通させるために、貫通穴の内部に導電層を堆積させることと、電気的接続を形成するよう、ビアを基板のトレースに接続することとを含む、方法。
【0109】
条項20.導電層が堆積される前に、ソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内の貫通穴の内部を不動態化することを更に含む、条項19に記載の方法。
【0110】
条項21.貫通穴が不動態化された後、導電層が堆積される前に、貫通穴の内部に絶縁層を堆積させることを更に含む、条項20に記載の方法。
【0111】
条項22.絶縁層が、ソーラーセルの前面表面または背面表面の、貫通穴に隣接する部分を覆う、条項21に記載の方法。
【0112】
条項23.導電層が、ソーラーセルの前面表面と背面表面の両方の、貫通穴に隣接する部分に堆積される、条項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
条項24.ビアが、ソーラーセルの前面の前面接点に接続される、条項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
条項25.ビアが、基板を通り抜けるレーザ溶接によって基板のトレースに接続される、条項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
条項26.ビアが、はんだ付けによって基板のトレースに接続される、条項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
条項27.ビアが、ナノ金属ペーストを付けることによって基板のトレースに接続される、条項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
条項28.ソーラーセルと基板との間の電気的接続を備える、物品であって、電気的接続が、ソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内に作り出された、貫通穴と、ソーラーセルの前面から背面までビアを作り出し、それによって、ソーラーセルの前面から背面まで電流を導通させるために、貫通穴の内部に堆積された導電層とを備え、ビアが、電気的接続を形成するよう、基板のトレースに接続されている、物品。
【0118】
条項29.少なくとも1つのソーラーセル、及び、ソーラーセル用の基板からなる、ソーラーセルアレイ、及び、ソーラーセルと基板との間の電気的接続を備える、ソーラーセルパネルであって、電気的接続が、少なくとも1つのソーラーセルの前面と背面との間のソーラーセル内に作り出された、貫通穴と、ソーラーセルの前面から背面までビアを作り出し、それによって、ソーラーセルの前面から背面まで電流を導通させるために、貫通穴の内部に堆積された導電層とを備え、ビアが、電気的接続を形成するよう、基板のトレースに接続されている、ソーラーセルパネル。
【0119】
上記の例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることや、説明されている例に限定することは意図していない。上記の具体的な要素の代わりに、多数の代替形態、修正形態及び変形形態が使用されてよい。