(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】広域警報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231228BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B27/00 C
(21)【出願番号】P 2019062895
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】越智 誠
(72)【発明者】
【氏名】武田 紘己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英明
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】矢頭 岳人
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062106(JP,A)
【文献】特開2015-090540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0266669(US,A1)
【文献】特開2018-041372(JP,A)
【文献】特開2013-097492(JP,A)
【文献】特開2015-132977(JP,A)
【文献】特開2014-041457(JP,A)
【文献】特開2018-112951(JP,A)
【文献】特開2015-170080(JP,A)
【文献】特開2014-071659(JP,A)
【文献】特開2012-252689(JP,A)
【文献】特開2017-058796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅又は共同住宅の住戸毎に設置され、火災等の異常を検出して警報する警報器と、
前記警報器と所定の外部装置との間で信号を送受信する通信装置と、
前記警報器又は前記通信装置の何れかの端末に設けられ、所定の端末特定情報が組み込まれた端末特定情報出力手段と、
前記端末の前記端末特定情報出力手段から前記端末特定情報を端末特定情報取得手段により取得すると共に自身の測位機能により自身の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報を端末位置情報として前記端末特定情報とともに所定の宛先に送信する携帯端末と、
前記携帯端末から送信された前記端末特定情報と前記端末位置情報を受信して登録し、前記警報器から異常検出信号を受信した場合に、前記端末位置情報に基づいて所定の警報処理を行うとともに前記所定の外部装置として機能するサーバと、
が設けられ、
前記サーバは、前記警報器の前記端末位置情報に基づく位置に警報器シンボルを配置した広域地図情報を登録しており、前記警報器から異常検出信号を受信したときに、前記広域地図情報上の前記異常を検出した警報器シンボルを発報表示させると共に、前記広域地図情報を前記携帯端末及び/又は所定の外部機器に送信して表示させることを特徴とする広域
警報システム。
【請求項2】
請求項1記載の広域警報システムに於いて、
前記サーバは、前記携帯端末から送信された前記端末特定情報と前記端末位置情報を受信して登録すると共に前記端末位置情報に基づき前記端末毎に所定半径の近隣範囲を設定し、前記警報器から異常検出信号を受信したときに、前記端末位置情報及び前記近隣範囲
の情報に基づいて所定の警報処理を行うとともに前記所定の外部装置として機能する
ことを特徴とする広域警報システム。
【請求項3】
請求項
2記載の広域警報システムに於いて、
前記サーバは、前記端末位置情報に基づき、前記警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、前記近隣範囲に位置する他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させることを特徴とする広域警報システム。
【請求項4】
請求項
2記載の広域警報システムに於いて、
前記サーバは、前記端末位置情報に基づき番地情報を生成し、前記警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、前記近隣範囲に位置する番地情報の他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させることを特徴とする広域警報システム。
【請求項5】
請求項3又は4記載の広域警報システムに於いて、
前記サーバは、前記近隣範囲に位置する他の警報器に近隣火災を示す異常警報信号を送信して、近隣火災を示す所定の異常警報を出力させることを特徴とする広域警報システム。
【請求項6】
請求項3又は4記載の広域警報システムに於いて、
前記通信装置は、サーバから警報器に異常警報信号を送信する際の通信経路を介して、前記端末特定情報を送信し、
前記サーバは、前記通信装置による前記通信経路を介して前記端末特定情報を受信し、前記通信経路において前記通信装置を特定する情報と前記端末特定情報とを登録することを特徴とする広域警報システム。
【請求項7】
請求項1記載の広域警報システムに於いて、
前記端末特定情報出力手段は、二次元バーコードを含む表示手段であって、
前記端末特定情報取得手段は、前記二次元バーコードを含む前記表示手段を撮影して前記端末特定情報を復元するものであることを特徴とする広域警報システム。
【請求項8】
請求項
1記載の広域警報システムに於いて、
前記サーバは、前記警報器シンボルを配置した前記広域地図情報を、都道府県単位、市町村単位及び/又は所定の地域単位に登録して管理することを特徴とする広域警報システム。
【請求項9】
請求項1記載の広域警報システムに於いて、
前記警報器は、火災を検出して警報する火災警報器、又は、ガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器を含むことを特徴とする広域警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市町村単位といった広域の住宅等の建物に設置された警報器により火災等の異常を検出して警報する広域警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災を検出して警報する住宅用の火災警報器が普及している。このような火災警報器にあっては、警報器内にセンサ部と警報部を一体に備え、煙あるいは熱等により火災を検出すると火災警報を出すようにしており、火災警報器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0003】
また、複数の火災警報器間で相互に通信を行うことによって、任意の火災警報器で火災警報音が出力されると、他の火災警報器でも連動して火災警報音が出力されるようにした無線式連動型の火災警報器システムも実用化され、普及している。
【0004】
また、床面積が500平米未満の共同住宅においては自動火災報知設備の設置義務がなく、住宅用の火災警報器が設置されており、例えば、住戸内の各部屋に無線連動型の火災警報器を設置して連動させることは一般に行われている。
【0005】
更に、市街地等の住宅に設置された火災警報器を対象として火災を監視する広域監視システムが考えられており、火災警報器をWiFi(登録商標)ネットワーク等の無線ネットワークの端末アダプタからアクセスポイント及びインターネットを経由してサーバに接続し、サーバには火災警報器の設置場所(設置住宅)を示す端末位置情報が予め登録されており、火災警報器から火災検出信号を受信したときに、火災発生住宅を示す端末位置情報を取得し、火災発生住宅の周辺に位置する予め登録した連動先の住宅を端末位置情報から検索し、連動先の住戸に火災警報信号を送信して火災警報器から近隣の火災発生を示す連動警報を出力させ、迅速な避難行動等を促すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-053751号公報
【文献】特開2011-059997号公報
【文献】特開2012-168989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなサーバに火災警報器の設置場所等と端末特定情報を紐づけて登録して利用する警戒システムにあっては、火災警報器の設置場所等と端末特定情報を紐づけてサーバに登録する作業に大変な手間と時間がかかる問題がある。
【0008】
サーバに設置場所等と端末特定情報を紐づけて登録するときは、あらかじめ事業者が設置場所と端末特定情報を紐づけたデータベースの作成をサーバ上で行ったうえで、それぞれの端末特定情報を有する火災警報器をデータベース上の設置場所と一致するように各住戸に設置する必要があった。このような方法では、データベース上の設置場所と実際の設置場所が異なっている可能性が残り、また正しく配置されていることを確認するためにはサーバ上から火災警報器を呼び出して火災警報器が正しく配置されていることを確認する必要があり、手間と時間がかかる。
【0009】
また、別の方法においては専門の作業者が火災警報器の設置住宅に出向き、パーソナルコンピュータ等の端末アダプタ(クライアント)を使用し、WiFi(登録商標)ネットワークのアクセスポイントを経由してサーバに接続し、サーバに対し利用者契約等に基づき固有のユーザIDとパスワードの組からなるアカウント情報を事前登録し、このアカウント情報に基づき警報器シリアルID、警報器名称等の端末特定情報を入力し、これをサーバに送信して登録する作業が住戸毎に必要となり、サーバに対する端末特定情報の登録に大変な手間と時間がかかる。また、利用者の転居等もあることから、システムの運用中にあっても、端末特定情報の変更が必要となり、同様に、手間と時間がかかる問題がある。
【0010】
本発明は、警報器の情報と位置をサーバに簡単且つ容易に登録して広域的な火災等の異常監視を可能とする広域警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(広域警報システム)
本発明は、広域警報システムであって、
住宅又は共同住宅の住戸毎に設置され、火災等の異常を検出して警報する警報器と、
警報器と所定の外部装置との間で信号を送受信する通信装置と、
警報器又は通信装置の何れかの端末に設けられ、所定の端末特定情報が組み込まれた端末特定情報出力手段と、
端末の端末特定情報出力手段から端末特定情報を端末特定情報取得手段により取得すると共に自身の測位機能により自身の現在位置情報を取得し、現在位置情報を端末位置情報として端末特定情報とともに所定の宛先に送信する携帯端末と、
携帯端末から送信された端末特定情報と端末位置情報を受信して登録すると共に端末位置情報に基づき端末毎に所定半径の近隣範囲を設定し、警報器から異常検出信号を受信したときに、端末位置情報及び近隣範囲の情報に基づいて所定の警報処理を行うとともに所定の外部装置として機能するサーバと、
が設けられたことを特徴とする。
【0012】
(二次元バーコード)
端末特定情報出力手段は、二次元バーコードを含む表示手段であって、
端末特定情報取得手段は、二次元バーコードを含む表示手段を撮影して端末特定情報を復元する。
【0013】
(近隣範囲の設定と連動警報)
サーバは、端末位置情報に基づき、警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、近隣範囲に位置する他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させる。
【0014】
(番地情報による近隣範囲の設定と連動警報)
サーバは、端末位置情報に基づき番地情報を生成し、警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、近隣範囲に位置する番地情報の他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させる。
【0015】
(近隣火災を示す警報)
サーバは、近隣範囲に位置する他の警報器に近隣火災を示す異常警報信号を送信して、近隣火災を示す所定の異常警報を出力させる。
【0016】
(サーバによるネットワーク上における通信装置の特定)
通信装置は、サーバから警報器に異常警報信号を送信する際の通信経路を介して、端末特定情報を送信し、
サーバは、通信装置による通信経路を介して端末特定情報を受信し、通信経路において通信装置を特定する情報と端末特定情報とを登録する。
【0017】
(広域地図情報の登録と運用)
サーバは、警報器の位置情報に基づく位置に警報器シンボルを配置した広域地図情報を登録しており、
警報器から異常検出信号を受信したときに、広域地図情報上の異常を検出した警報器シンボルを発報表示させると共に、広域地図情報を所定の携帯端末及び/又は所定の外部機器に送信して表示させる。
【0018】
(番地情報による近隣範囲の設定と連動警報)
サーバは、警報器シンボルを配置した広域地図情報を、都道府県単位、市町村単位及び/又は所定の地域単位に登録して管理する。
【0019】
(警報器)
警報器は火災を検出して警報する火災警報器、又は、ガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器を含む。
【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明は、広域警報システムであって、住宅又は共同住宅の住戸毎に設置され、火災等の異常を検出して警報する警報器と、警報器と所定の外部装置との間で信号を送受信する通信装置と、警報器または通信装置の何れかの端末に設けられ、所定の端末特定情報が組み込まれた端末特定情報出力手段と、端末の端末特定情報出力手段から端末特定情報を端末特定情報取得手段により取得すると共に自身の測位機能により自身の現在位置情報を取得し、現在位置情報を端末位置情報として端末特定情報とともに所定の宛先に送信する携帯端末と、携帯端末から送信された端末特定情報と端末位置情報を受信して登録し、警報器から異常検出信号を受信した場合に、端末位置情報に基づいて所定の警報処理を行うとともに前記所定の外部装置として機能するサーバと、が設けられたため、住宅や共同住宅等の建物に設置される火災警報器等や火災警報器等の信号をサーバに送信する通信装置として機能する端末アダプタ等に、予め警報器シリアル番号及び機器名称を含む端末特定情報の入った端末特定情報出力手段が一体となるようにしておき、警報器を設置する際に作業者が携帯端末により端末特定情報を取得し且つGPS機能を利用して端末位置情報を取得してサーバに送信することで、簡単且つ容易にサーバに端末特定情報と位置情報を登録して管理することができ、火災警報器から通信アダプタを経由して火災検出信号を受信した場合に、火災を検出した火災警報器や通信アダプタの位置情報に基づき、延焼の危険のある周辺の住戸の火災警報器から火災警報を出力させるといった広域警報を行って地域ぐるみの初期消火や迅速な避難行動を可能とする。
【0021】
また、位置情報の操作入力無く端末位置情報を取得することが可能であり、端末位置情報と端末特定情報のいずれも携帯端末で取得するので両者を紐づける作業が容易となるので、専門の作業者による作業を容易とするとともに、利用者による作業も可能とする。
【0022】
(二次元バーコード)
また、端末特定情報出力手段は二次元バーコードであって、端末特定情報取得手段は二次元バーコードを撮影して端末特定情報を復元するようにしたため、二次元バーコードを貼っておき、警報器を設置する際に利用者又は作業者が携帯端末によりバーコードを撮影するので、一般に普及している携帯端末の使用による方法で端末特定情報を取得するから、より簡単に端末特定情報を取得することが可能となる。
【0023】
(近隣範囲の設定と連動警報による効果)
また、サーバは、端末位置情報に基づき、警報器毎に、警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、近隣範囲に位置する他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させるようにしたため、例えば火災が発生した建物を中心に所定距離範囲にある火災による危険度の高い近隣建物に設置された火災警報器から火災警報が出力され、迅速な初期消火や避難行動を可能とする。
【0024】
(番地情報による近隣範囲の設定と連動警報の効果)
また、サーバは、端末位置情報に基づき番地情報を生成し、警報器の何れかから異常検出信号を受信したときに、近隣範囲に位置する番地情報の他の警報器に異常警報信号を送信して異常警報を出力させるようにしたため、番地情報に基づき火災が発生した建物の近隣に位置する火災の危険度の高い隣番地の建物に設置した火災警報器から確実に火災警報が出力され、迅速な避難行動を可能とする。
【0025】
(近隣火災を示す警報の効果)
また、サーバは、近隣範囲に位置する他の警報器に近隣火災を示す異常警報信号を送信して、近隣火災を示す所定の異常警報を出力させるようにしたため、火災警報から近隣の建物で火災が発生したことを知り、近隣建物の火災を確認して適切な火災対処を行うことができる。
【0026】
(サーバによるネットワーク上における通信装置の特定)
通信装置は、サーバから警報器に異常警報信号を送信する際の通信経路を介して、端末特定情報を送信し、サーバは、通信装置による通信経路を介して端末特定情報を受信し、通信経路において通信装置を特定する情報と端末特定情報とを登録するようにしたため、サーバは異常警報信号を送信する際の送信先情報を作業者が操作入力することなく、把握することが可能となる。
【0027】
(広域地図情報の登録と運用の効果)
また、サーバは、警報器の位置情報に基づく位置に警報器シンボルを配置した広域地図情報を登録しており、警報器から異常検出信号を受信したときに、広域地図情報上の異常を検出した警報器シンボルを発報表示させると共に、広域地図情報を所定の携帯端末及び/又は所定の外部機器に送信して表示させるようにしたため、サーバのディスプレイ画面に火災発生場所を示す広域地図が表示されることで、火災発生場所及び周辺の建物の状況、例えば建物が密集した市街地かどうか等を正確に把握して対処でき、更に、火災が発生した建物の居住者や近隣の建物の居住者の携帯電話端末や地域を管轄する消防機関のサーバに火災発生場所を示す広域地図が表示されることで、関係者全員による適切な判断と対処を可能とし、火災の拡大を抑え込むことを可能とする。
【0028】
(広域地図情報の効果)
また、サーバは、警報器シンボルを配置した広域地図情報を、都道府県単位、市町村単位及び/又は所定の地域単位に登録して管理するようにしたため、例えば、所定地域単位に絞って監視しているときに火災が発生した場合、火災の拡大状況に応じて市町村単位又は都道県単位の広域地図情報に広げて状況を把握することで、広域的に連携した判断と火災対処行動を可能とする。
【0029】
(警報器の種別による効果)
また、警報器は、火災を監視する火災警報器、ガス漏れを監視するガス漏れ警報器、不審者の侵入を監視する侵入者警報器、スイッチ操作により非常事態の発生を通報する非常通報装置の少なくとも何れかを含むようにしたため、火災警報器、ガス漏れ警報器、侵入者警報器、非常通報装置の各々の情報を簡単且つ容易にサーバ側に登録して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による警戒システムの実施形態を示した説明図
【
図2】
図1の火災警報器の実施形態を示したブロック図
【
図4】本実形態で用いる端末特定情報、端末位置情報及び警報器登録情報を示した説明図
【
図5】本実施形態で用いる広域地図情報を示した説明図
【
図6】番地情報に基づく近隣範囲の設定で火災警報が出力されている広域地図画面を示した説明図
【
図7】火災発生場所を中心に所定半径以内となる近隣範囲の設定で火災警報が出力されている広域地図画面を示した説明図携帯電話端末の操作画面を示した説明図
【
図8】携帯電話端末の機能構成の概略を示した説明図
【
図10】
図9に続く携帯電話端末の操作場面を示した説明図
【
図11】サーバの広域警報制御を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
[実施形態の基本的概念]
図1の本発明による警戒システムの実施形態を示した説明図である。本発明の警報システムによる本実施形態の基本的な概念は、例えば市町村単位の警戒地域の住宅10等の建物毎に火災を検出して警報する火災警報器12が設置されており、火災警報器12は通信装置として機能する端末アダプタ16とゲートウェイ装置18からなる通信装置によりインターネット24上のサーバ26との間で信号を送受信することが可能であり、火災警報器12には、警報器シリアル番号及び機器名称を含む所定の端末特定情報が組み込まれた端末特定情報出力手段として機能する二次元バーコード14が配置されており、携帯端末として機能する例えばスマートホン等の携帯電話端末20により火災警報器12の二次元バーコード14を撮影して端末特定情報を復元すると共にGPS機能を使用して端末位置情報(緯度と経度)を取得し、端末特定情報と端末位置情報を携帯電話網22及びインターネット24を経由してサーバ26に送信し、サーバ26は携帯電話端末20から送信された端末特定情報と端末位置情報を受信して登録し、火災警報器12から火災検出信号を受信した場合に、端末位置情報に基づいて所定の広域警報処理を行うというものである。
【0032】
このため、住宅10等の建物に設置される火災警報器12等に、予め連絡先情報、警報器シリアル番号及び機器名称を含む所定の端末特定情報の入った二次元バーコード14を貼っておき、火災警報器12を設置する際に作業者が携帯電話端末20によりバーコードを撮影し、且つGPS機能を利用して端末位置情報を取得してサーバ26に送信することで、簡単且つ容易にサーバ26に端末特定情報と端末位置情報を登録して管理することができ、火災警報器12から火災検出信号を受信した場合に、火災を検出した火災警報器12の位置情報に基づき、延焼の危険のある周辺の住宅等の火災警報器から火災警報を出力させるといった広域警報を行って地域ぐるみの初期消火や迅速な避難行動を可能とする。なお、二次元バーコード14は火災警報器12の裏面とし、基台に取り付けた際に隠れるような位置としても良い。
【0033】
特に、サーバ26は、端末位置情報に基づき、火災警報器12毎に、隣接番地や所定半径内を近隣範囲に設定しており、火災警報器12の何れかから火災検出信号を受信したときに、近隣範囲に位置する他の住宅の火災警報器12に異常警報信号を送信して火災警報を出力させるようにしており、火災が発生した建物を中心に火災による危険性の高い近隣範囲の建物に設置された火災警報器12から火災警報が出力され、地域ぐるみでの迅速な初期消火や避難行動を可能とする。以下詳細に説明する。
【0034】
[警報システムの構成]
図1に示すように、本実施形態の警報システムは、警報システムの管理会社又は公的機関と利用契約を結んだ所定地域に存在する複数の利用者の住宅10を監視対象とし、住宅10には部屋ごと無線連動型の火災警報器12が設置されており、複数台の火災警報器12は住宅単位に連動グループを形成している。
【0035】
火災警報器12は火災による煙濃度又は温度を検出し、煙濃度又は温度が所定の火災閾値に達すると火災を検出し、スピーカ及び表示灯の作動により火災警報を出力し、同時に、火災検出信号を他の火災警報器12に送信し、連動警報が出力させる。
【0036】
火災警報器12の各々には、二次元バーコード14が外部から撮影可能な位置に貼り付けられている。二次元バーコード14には所定の端末特定情報が符号化されている。二次元バーコード14に組み込む端末特定情報は、固有の製造番号となるシリアルID、インターネット上のURLやメールアドレス等の連絡先情報、警報器の種別を示す警報器名称を少なくとも含む。
【0037】
また、住宅10には端末アダプタ16とゲートウェイ装置18が外部と通信するための通信装置として配置される。端末アダプタ16は火災警報器12の無線通信プロトコルによる信号とゲートウェイ装置18との間の例えばイーサネット(登録商標)の通信プロトコルによる信号との相互変換を行う。
【0038】
ゲートウェイ装置18は端末アダプタ16との間のイーサネット(登録商標)の通信プロトコルによる信号とインターネット24の通信プロトコルによる信号との相互変換を行う。
【0039】
端末アダプタ16はサーバ26のURLをあらかじめ記憶しており、火災警報器12との連動グループ確立時にグループ内のアドレスと火災感知器12のシリアルIDを紐づけて記憶するとともに、火災感知器12のシリアルIDをゲートウェイ装置18及びインターネット24を経由して警報システムの管理会社が保有するサーバ26に送信する。これにより、サーバ26はサーバ26から端末アダプタへ通信するための端末アダプタ特定情報と火災感知器12のシリアルIDとを紐づけて記憶する。
【0040】
住宅10の火災警報器12に設けられた二次元バーコード14は、業者又は使用者が火災警報器12を住宅10に設置した際に、業者の保有する携帯電話端末20により撮影することで端末特定情報が復元され、また、携帯電話端末20のGPS機能を使用して緯度と経度からなる端末位置情報を取得し、端末特定情報の連絡先情報として得られたURLによりサーバ26を宛先として、二次元バーコード14から復元した端末特定情報と端末位置情報を、携帯電話網22及びインターネット24を経由して警報システムの管理会社が保有するサーバ26に送信する。
【0041】
このため業者の保有する携帯電話端末20には、火災警報器12の二次元バーコード14を撮影して復元し、且つ、GPS機能により端末位置情報を取得し、端末特定情報と端末位置情報をサーバ26に送信する制御機能を備えたアプリケーションが実装されている。
【0042】
本実施形態による警報システムを運用管理する管理会社又は公的機関が保有するサーバ26は、携帯電話端末20から送信された端末特定情報と端末位置情報を受信して登録すると共に、監視地域の広域地図情報を取得して端末位置情報に基づき地図上に警報器シンボルを配置し、更に、火災警報器12毎に、その端末位置情報に基づき近隣範囲を設定し、他の端末位置情報から近隣範囲に入る他の火災警報器12を検索し、近隣範囲に入る火災警報器12のシリアルIDを近隣端末特定情報として登録し、火災検出信号を受信したときに、近隣端末特定情報のシリアルIDを有する火災感知器12に紐づけられた端末アダプタ特定情報をもとに端末アダプタ16を介して近隣範囲に入る火災警報器12に火災警報信号を送信して近隣火災を示す近隣火災警報を出力させる。
【0043】
また、サーバ26はインターネット24を介して消防機関サーバ27及び警備会社サーバ28との間で信号を送受信することができ、火災警報器12からの火災検出信号を受信した場合、火災発生場所を示す警報器シンボルを発報表示させた広域地図情報を自己のディスプレイに画面表示すると共に消防機関サーバ27及び警備会社サーバ28、更には、火災が検出されている住宅及び近隣火災警報が出力された近隣住宅の利用者の保有する携帯電話端末20に広域地図情報を送信し、火災発生場所を示す警報器シンボルを発報表示させた広域地図情報を火災警報と共に画面表示させる。
【0044】
[火災警報器]
(火災警報器の構成)
図2は火災警報器の実施形態を示したブロック図である。
図2に示すように、火災警報器12は制御プロセッサ30を備え、制御プロセッサ30には、CPU44が設けられ、CPU44からのバス52に、制御ロジック46、ROM48、RAM50が接続されている。なお、制御ロジック46はCPU44の制御処理に伴うバス制御などの各種のハードウェア機能を実現する。
【0045】
バス52には、制御プロセッサ30の外部に設けた通信部32、検煙部36、テストスイッチ38、表示灯40及びスピーカ42が接続されている。
【0046】
検煙部36は、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。なお、検煙部36に代えて温度検出部を設ける場合もあり、温度検出部は、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧信号となる温度検出信号を出力する。
【0047】
通信部32は、アンテナ34が接続され、他の火災警報器12及び端末アダプタ16との間で所定の通信プロトコルに従って火災検出信号等を送受信する。この通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば426MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(特定小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠する。
【0048】
(火災制御)
CPU44にはROM48に記憶したプログラムの実行により実現される火災制御部54の機能が設けられる。CPU44に設けられた火災制御部54の制御機能は次のようになる。
【0049】
火災制御部54は、検煙部36から出力された煙濃度の検出信号をAD変換して読み込み、煙濃度が所定の閾値以上の場合に火災を検出し、連動元の火災を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0050】
火災制御部54は、火災警報を出力させた場合、通信部32に指示してグループアドレス及び自己の端末アドレスを設定した火災検出信号を生成し、同じ連動グループとなる同じ住戸内の他の火災警報器12及び端末アダプタ16へ火災検出信号を送信させる制御を行い、当該火災検出信号を受信した他の火災警報器12で連動先を示す火災警報を出力させる。
【0051】
また、火災制御部54は、同じ連動グループとなる同じ住戸内の他の火災警報器12が送信した火災連動信号が送信した火災通報信号を通信部32により受信した場合、連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0052】
また、火災制御部54は、テストスイッチ38の操作による警報停止制御、検煙部36の煙濃度が閾値以下に下がる火災復旧制御についても、火災検出信号の場合と同様に、通信部32により警報停止信号及び火災復旧信号の送信を行う。
【0053】
[端末アダプタ]
端末アダプタ16は火災感知器12から送信される火災検出信号を受信したとき、当該火災検出信号に含まれるグループ内のアドレス情報をもとに火災検出を行った火災感知器12を特定し、当該火災感知器12のシリアルIDをサーバ26に送信する。
【0054】
また、サーバ26から近隣の住宅の火災警報信号を受信したとき、火災感知器12に火災警報信号を送信して近隣火災を示す近隣火災警報を出力させる。
【0055】
[サーバ]
図3は
図1のサーバの実施形態を示したブロック図、
図4は本実施形態で用いる端末特定情報、端末位置情報及び警報器管理情報を示した説明図である。
【0056】
(サーバの構成)
図3に示すように、サーバ26は、サーバ通信部56、サーバ制御部58、ディスプレイ60、キーボードやマウスを備えた操作部62及び記憶部64で構成され、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路により実現される。
【0057】
サーバ制御部58は、携帯電話端末20による火災警報器12の二次元バーコード14の撮影で復元された端末特定情報とGPS機能による取得された端末位置情報を受信した場合、受信した端末特定情報と端末位置情報を警報器管理情報として記憶部64の警報器管理情報ファイル66に登録する。
【0058】
また、端末アダプタ16よりインターネット24を介して火災警報器12シリアルIDを受信した場合、受信したシリアルIDに対応する端末特定情報と端末アダプタ特定情報を紐づけて報器管理情報ファイル66に登録する。
【0059】
また、サーバ制御部58は、監視領域の広域地図情報を記憶部64の地図情報ファイル68に登録しており、携帯電話端末20から端末位置情報を受信した場合、これに基づき広域地図情報に火災警報器12の設置位置を示す警報器シンボルを設定して登録する。
【0060】
サーバ26の警報器管理情報ファイル66に登録する端末特定情報70は、
図4(A)に示すレコード形式であり、火災警報器12の製造番号となるシリアルID、連絡先となるサーバ26のURL(及び又はメールアドレス)、サーバ26のログイン情報(IDとパスワード)、警報器種別を示す警報器名称、住宅10に設置したゲートウェイ装置18の住宅URL等で構成され、火災警報器12に設けた二次元バーコード14の携帯電話端末20による撮影で復元される。
【0061】
また、サーバ26の警報器管理情報ファイル66に登録する端末位置情報72は、
図4(B)に示すように、地球座標における経度と緯度で構成される。
【0062】
図4(A)の端末特定情報70と
図4(B)の端末位置情報72を組み合わせた情報が
図4(C)に示す警報器管理情報74として警報器管理情報ファイル66に登録される。
【0063】
更に、警報器管理情報74には、番地情報75と近隣端末特定情報76が組み合わされる。番地情報75は経度と緯度の端末位置情報72を広域地図上の番地情報に変換したものであり、例えば「○○区○○町〇丁目〇番〇号」といった番地に変換して登録される。
【0064】
近隣端末特定情報76は、端末特定情報70をもつ火災警報器12を設置した住宅の近隣範囲に存在する住宅に設置された火災警報器12のシリアルIDを設定している。近隣範囲の設定は、対象住宅を中心に所定半径R、例えば半径R=100メートルの範囲内を近隣範囲に設定する。また、別の近隣範囲としては、対象住宅の番地に隣接する番地を近隣範囲に設定する。なお、近隣範囲の設定は、これに限定されず、住宅の密集度合、道路、河川等から火災の危険度を判断し、危険度の高い範囲を近隣範囲に設定しても良い。
【0065】
図5は本実施形態で用いる広域地図情報を示した説明図であり、市街地を示す広域地
図78には多数の住宅10aが存在し、各住宅10aには、火災警報器12の二次元バーコード14から再現された端末位置情報72に基づき、火災警報器12の設置を示す警報器シンボル12aが設定され、警報器シンボル12aは登録された端末特定情報70にリンクしている。
【0066】
(広域地図の画面表示)
図6は番地情報に基づく近隣範囲の設定で火災警報が出力されている広域地図画面を示した説明図である。
【0067】
図6の広域地図画面78-1にあっては、斜線で示す火災発生住宅102は、〇印で示す警報器シンボルが例えば赤で点滅して火災発生場所を示している、この火災発生住宅102に対し、これを囲む隣の番地の住宅を近隣範囲に設定しており、近隣範囲に入る近隣住宅104は砂地で示しており、その警報器シンボルは例えば黄色に表示される。
【0068】
図7は火災発生場所を中心に所定半径以内となる近隣範囲の設定で火災警報が出力されている広域地図画面を示した説明図である。
図7の広域地図画面78-2にあっては、火災発生住宅102を中心に所定半径Rの範囲を近隣範囲に設定しており、近隣範囲に入る近隣住宅104は砂地で示しており、その警報器シンボルは例えば黄色に表示される。
【0069】
[携帯電話端末]
(携帯電話端末の機能構成)
図8は携帯電話端末の機能構成の概略を示した説明図であり、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話端末として知られたスマートホンを例にとっている。
【0070】
図8に示すように、携帯電話端末20は、携帯電話制御部80、携帯電話通信部82、無線LAN通信部84、高速移動通信部86、GPS通信部(全地球測位システム通信部)88、カメラ部90、SIMカード92、ディスプレイ94、タッチパネル95、音声入出力部96、操作部98及びメモリカード100等を備える。
【0071】
携帯電話制御部80は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。
【0072】
携帯電話通信部82は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW-CDMAにより携帯電話通信を行う。
【0073】
無線LAN通信部84は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行う。また無線LAN通信部84は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線LAN通信機能、例えばデザリング機能を備えている。
【0074】
高速移動通信部86は、IEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(R)によるモバイル高速移動通信を行う。
【0075】
GPS通信部88は、周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度と緯度を取得するための通信を行う。
【0076】
カメラ部90は、CMOS撮影素子を使用して画像の撮影を行い、静止画及び動画を取得する。
【0077】
SIMカード92は、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を格納したカードであり、SIMカード92の差し替えにより、複数の携帯電話端末で同じ携帯電話番号を利用可能とする。
【0078】
ディスプレイ94は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル95を配置している。音声入出力部96は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
【0079】
操作部98は、キーパッドや操作釦による利用者の操作を受け付けて携帯電話制御部80に通知する。メモリカード100は、着脱自在な外部メモリであり、カメラ部90で撮影した画像等の各種データの外部記憶に使用する。
【0080】
携帯電話制御部80は、通話接続、メール接続、インターネット接続などの通信接続及び関連する各種の制御を行う。
【0081】
また、携帯電話制御部80は、火災警報器12の二次元バーコード14を撮影して端末特定情報を復元すると共にGPS通信部88を起動して緯度と経度の端末位置情報を取得し、復元した端末特定情報と取得した端末位置情報をサーバ26に送信して登録する制御を行う。このとき二次元バーコード14から復元した端末特定情報には、
図4(A)に示したように、ログイン情報が含まれることから、携帯電話制御部80は、ログイン情報として得られたIDとパスワードを使用してサーバ26に対する自動ログインを行う。
【0082】
また、携帯電話制御部80は、サーバ26から火災警報信号を広域地図情報と共に受信した場合、ディスプレイ94に火災警報表示と火災発生場所を示す警報器シンボルを発報表示した広域地図を画面表示する制御を行う。なお、携帯電話制御部80は、ディスプレイ94に表示された広域地図の警報器シンボルをクリックすると、これにリンクした端末特定情報を画面表示する制御を行う。
【0083】
[携帯電話端末の操作画面]
図9及び
図10は携帯電話端末の操作画面を示した説明図である。
【0084】
(メニュー画面)
図9(A)は携帯電話端末20のメニュー画面110を示す。メニュー画面110には、火災警報器登録メニュー釦112と端末特定情報の閲覧メニュー釦114が配置されている。
【0085】
(端末特定情報の登録)
図9(A)の火災警報器登録メニュー釦112をタッチ操作すると
図9(B)の火災警報器登録画面118に切り替わる。火災警報器登録画面118には「警報器のバーコードを撮影します」とのメッセージに続いてバーコード撮影釦120が配置され、バーコード撮影釦120をタッチ操作すると、
図8に示したカメラ部90が動作し、作業者は登録対象とする火災警報器12に設けられた二次元バーコード14を撮影視野に入れてシャッター釦を押すことで二次元バーコード14が撮影され、
図4(A)に示した端末特定情報70が復元される。
【0086】
次に、「位置座標を取得します」のメッセージに続いてGPS位置取得釦122が配置され、作業者がGPS位置取得釦122をタッチ操作すると、
図8に示したGPS通信部88が動作し、作業者が現在いる住宅の緯度と経度からなる警報器位置座標が取得される。
【0087】
次に、「サーバに送信します」のメッセージに続いてサーバ送信釦124が配置され、これをタッチ操作すると、二次元バーコード14から復元された端末特定情報70と取得された端末位置情報72をサーバ26に送信し、サーバ26に自動的にログインして登録される。
【0088】
(端末特定情報の閲覧)
図9(A)の端末特定情報の閲覧メニュー釦114をタッチ操作すると
図10(A)の端末特定情報閲覧画面128に切り替わる。端末特定情報閲覧画面128には「警報器のバーコードを撮影します」とのメッセージに続いてバーコード撮影釦130が配置され、バーコード撮影釦130をタッチ操作すると、
図8に示したカメラ部90が動作し、利用者は登録対象とする火災警報器12に設けられた二次元バーコード14を撮影視野に入れてシャッター釦を押すことで二次元バーコード14が撮影され、
図4(A)に示した端末特定情報70が復元される。
【0089】
続いて、利用者がサーバ送信釦132をタッチ操作すると、復元された端末特定情報70をサーバ26に送信し、サーバ26に自動的にログインし、サーバ26は要求された端末特定情報を読み出して携帯電話端末20に送信し、端末特定情報が画面表示されることで、閲覧できる。
【0090】
(火災警報)
住宅10に設置された火災警報器12のいずれが火災を検出すると、火災検出信号がサーバ26に送信され、
図10(B)に示す火災警報画面134が表示され、所定の火災警報音が出力される。
【0091】
火災警報画面134は「火災警報」のタイトルに続いて「火災警報器が作動しました 確認してください」のメッセージが表示され、続いて広域地
図136が表示される。広域地
図136には、火災発生場所を示す警報器シンボル140が例えば赤色に点滅して発報表示され、その周辺の近隣範囲に存在する警報器シンボル142が例えば黄色に点灯して近隣火災警報が行われていることを示す。広域地
図136の詳細は例えば
図6又は
図7に示した広域地図画面のようになる。
【0092】
[サーバによる広域警戒制御]
図11はサーバの広域警報制御を示したフローチャートである。
図11に示すように、サーバ制御部58は、ステップS1で携帯電話端末20からの登録要求を判別するとステップS2に進み、受信したログイン情報による自動ログインを行った後に端末特定情報と端末位置情報の登録を行い、続いて、ステップS3で端末位置情報から広域地図上の番地情報を生成して登録し、更に、ステップS4で広域地図情報に警報器シンボルを設定する。
【0093】
また、サーバ制御部58は、ステップS1で携帯電話端末20からの登録要求がないことを判別した場合はステップS5に進み、火災警報器12からの火災検出信号の受信を判別するとステップS6に進み、火災発生住宅の警報器シンボルを赤色に点滅して発報させた広域地図を画面表示する。
【0094】
続いて、サーバ制御部58は、ステップS7で火災発生番地に基づき例えば隣番地を近隣範囲に設定し、ステップS8で近隣範囲の火災警報器を抽出してシリアルIDを取得し、ステップS9でシリアルIDを指定して近隣範囲の火災警報器12に火災警報信号を送信し、例えば「近隣の住宅の火災警報器が作動しました。確認してください」とする近隣火災を示す音声メッセージと所定の警報音を出力させる。
【0095】
続いて、サーバ制御部58はステップS10で消防機関サーバ27や警備会社サーバ28に広域地図を含む火災警報信号を送信して画面表示させる。
【0096】
続いて、サーバ制御部58は、ステップS11で火災復旧となるまではステップS1,S5~S10の処理を繰り返しており、火災の鎮火が確認されて所定の復旧操作が行われると、ステップS12に進んで所定の復旧処理を行った後、ステップS1に戻る。
【0097】
[本発明の変形例]
(測位方法)
上記の実施形態は、測位方法としてGPSを用いているがこれに限らない。例えば、準天頂衛星システムの信号を用いてさらに精度よく測位するようにしても良いし、ビーコン信号を用いた位置情報システムを用いるようにしても良い。
【0098】
(サーバ)
上記の実施形態は、携帯端末と端末アダプタからの信号を1つのサーバで受信するとしているがこれに限らない。携帯端末からの信号受信サーバと端末アダプタから信号受信サーバを別体とし、両者で通信を行うサーバ群をサーバとして機能させても良い。
【0099】
(端末特定情報出力手段)
上記の実施形態は、端末特定情報出力手段を二次元バーコードとしているが、これに限らない。端末特定情報出力手段は数字群・文字群等の表示形式で現れるものとし、端末特定情報取得手段を撮影して端末特定情報を復元するものとしても良い。また、端末特定情報出力手段をICチップ等の記憶装置とし、携帯端末と通信を行うことで端末特定情報を出力するようにしても良い。
【0100】
(端末特定情報出力手段の場所)
上記の実施形態は、二次元バーコードを警報器に貼り付けるものとしているが、これに限らない。通信装置に貼り付けるものとしても良い。通信装置に貼り付けられた二次元バーコードは通信装置のシリアルID及び機器名称を含む端末特定情報が格納されている。このような場合は、それぞれの警報器の端末特定情報の取得を行わないようにしても良い。警報器が異常検出信号を出力した場合、通信装置は異常検出信号を受信し、自身の端末特定情報とともに異常検出信号を受信した旨をサーバに送信する。サーバは端末特定情報が警報器によるものか通信装置によるものかは問わず、近隣に設定されている端末特定情報に対応する通信装置宛に異常警報信号を送信する。異常警報信号を受信した通信装置は、警報器に信号を送出し、異常警報を行わせる。
【0101】
(警報器)
上記の実施形態は、警報器として火災を監視する火災警報器を住宅に設けた警報システムを例にとっているが、これに限定されず、ガス漏れを監視するガス漏れ警報器、不審者の侵入を監視する侵入者警報器、スイッチ操作により非常事態の発生を通報する非常通報装置の何れかを警報器として設け、それぞれの端末特定情報及び設置場所を示す地図情報を含む警報器関連情報をサーバに登録して利用することができる。また、警報器と通信装置を一体としても良い。
【0102】
(感知器シンボルの位置変更)
上記の実施形態に加え、警報器の所有者またはシステムの管理者は警報器のシンボルの位置を変更できるものとしても良い。また、近傍検索は変更したシンボルの位置に応じて行うようにしても良い。
【0103】
(近隣の特定)
上記の実施形態は、近隣端末特定情報76を火災警報前に予め設定するものとしているが、火災警報が発生した際に火災警報が発生した警報器の近隣の警報器を近隣端末特定情報76として設定して近隣の火災警報を行わせるようにしても良い。
【0104】
(無線LAN)
上記の実施形態は、携帯端末として携帯電話端末を例にとっているが、カメラ機能を備えたタブレット等の携帯端末としても良い。携帯端末の場合には、公衆無線LANネットワークとして設けられたWiFi(登録商標)ネットワークからインターネットを経由してサーバにリンクし、また、端末アダプタは火災警報器の通信プロトコルとWiFi(登録商標)ネットワークの通信プロトコルの相互変換を行うようにする。
【0105】
(検出器と端末アダプタ)
上記の実施形態は、火災警報器などの警報器と端末アダプタとの間を無線回線で接続した場合を例にとっているが、火災警報器等の検出器を信号線により有線接続した場合も含む。
【0106】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0107】
10:住宅
12:火災警報器
14:二次元バーコード
16:端末アダプタ
18:ゲートウェイ装置
20:携帯電話端末
22:携帯電話網
24:インターネット
26:サーバ
30:制御プロセッサ
32:通信部
36:検煙部
38:テストスイッチ
40:表示灯
42:スピーカ
54:火災制御部
66:警報器管理情報ファイル
68:地図情報ファイル
70:端末特定情報
72:端末位置情報
74:警報器管理情報
75:番地情報
76:近隣端末特定情報
78:広域地図
80:携帯電話制御部
88:GPS通信部
90:カメラ部