(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】溝型入口ジンバル
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20231228BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F16H21/46
F16H25/24 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019096462
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, ケヴィン アール.
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第2220344(FR,A1)
【文献】特開平1-269725(JP,A)
【文献】米国特許第5619195(US,A)
【文献】米国特許第5647799(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/46
F16H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面(204)、及び前記第1の側面(204)に対向する第2の側面(206)を含む内側リング(202)
であって、前記内側リング(202)の前記第1の側面(204)から延びる第1のピン(208)、及び前記内側リング(202)の前記第2の側面(206)から延びる第2のピン(210)を含み、前記第1のピン(208)及び前記第2のピン(210)は、直径方向において反対側にある内側リング(202)と、
第1の側面(214)、及び前記第1の側面(214)に対向する第2の側面(216)を含
む外側リング(212)
であって、前記第1のピン(208)を受け入れるように構成された第1の開口(218)を前記第1の側面(214)上に含み、前記第2のピン(210)を受け入れるように構成された第2の開口(220)を前記第2の側面(216)上に含み
、前記外側リング(212)の第1の縁部(224)から前記第1の開口(218)まで延びる第1の溝型入口開口(222)を前記第1の側面(214)上に含み
、前記外側リング(212)の第2の縁部(228)から前記第2の開口(220)まで延びる第2の溝型入口開口(226)を前記第2の側面(216)上に含む
外側リング(212)と、
前記外側リング(212)の前記第1の側面(214)に連結された第1の保持部材(234)と、
前記外側リング(212)の前記第2の側面(216)に連結された第2の保持部材(236)と
を備える溝型入口ジンバル(200)であって、
前記第1の溝型入口開口(222)の第1の側にある第1の貫通孔(242)と、
前記第1の溝型入口開口(222)の第2の側にある第2の貫通孔(244)と、
前記第2の溝型入口開口(226)の第1の側にある第3の貫通孔(246)と、
前記第2の溝型入口開口(226)の第2の側にある第4の貫通孔(248)と
を有し、
前記第1の保持部材(234)及び前記第2の保持部材(236)は、前記内側リング(202)が前記外側リング(212)に対して横方向に動くことを防止するように構成され、
前記第1の保持部材(234)は第1の保持ピン(238)を備え、
前記第2の保持部材(236)は第2の保持ピン(240)を備え、
前記第1の貫通孔(242)及び前記第2の貫通孔(244)の長手方向軸は、前記第1の開口(218)及び前記第2の開口(220)の長手方向軸に対して垂直であり、
前記第1の保持ピン(238)は、前記第1の貫通孔(242)及び前記第2の貫通孔(244)を通って位置付けられ、
前記第3の貫通孔(246)及び前記第4の貫通孔(248)の長手方向軸は、前記第1の開口(218)及び前記第2の開口(220)の長手方向軸に対して垂直であり、
前記第2の保持ピン(240)は、前記第3の貫通孔(246)及び前記第4の貫通孔(248)を通って位置付けられる
溝型入口ジンバル(200)。
【請求項2】
前記第1のピン(208)に位置付けられた第1のブッシュ(230)、及び
前記第2のピン(210)に位置付けられた第2のブッシュ(232)を更に備え、前記第1のブッシュ(230)及び前記第2のブッシュ(232)により、前記外側リング(212)は前記内側リング(202)に対して回転することができる、請求項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項3】
前記第1の溝型入口開口(222)の幅は、前記第1のブッシュ(230)の直径よりも小さく、前記第2の溝型入口開口(226)の幅は、前記第2のブッシュ(232)の直径よりも小さい、請求項2に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項4】
前記第1の保持部材(234)は、前記第1の貫通孔(242)と前記第2の貫通孔(244)との間に位置付けられた第1のインサート(254)を更に備え、前記第1のインサート(254)は、前記第1の保持ピン(238)を受け入れるように前記第1の貫通孔(242)及び前記第2の貫通孔(244)と位置合わせされた貫通孔(256)を含み、前記第2の保持部材(236)は、前記第3の貫通孔(246)と前記第4の貫通孔(248)との間に位置付けられた第2のインサート(258)を更に備え、前記第2のインサート(258)は、前記第2の保持ピン(240)を受け入れるように前記第3の貫通孔(246)及び前記第4の貫通孔(248)と位置合わせされた貫通孔(260)を含む、請求項
1から3のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項5】
前記第1のインサート(254)は、前記第1のピン(208)の外面と接触するように構成された第1の湾曲部(261)を含み、前記第2のインサート(258)は、前記第2のピン(210)の外面
と接触するように構成された第2の湾曲部(262)を含む、請求項
4に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項6】
前記内側リング(202)及び前記外側リング(212)は、第1の材料を含み、前記第1のインサート(254)及び前記第2のインサート(258)は、前記第1の材料と異なる第2の材料を含む、請求項
4又は
5に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項7】
前記第1の保持部材(234)及び前記第2の保持部材(236)は、前記外側リング(212)に取り外し可能に連結される、請求項
1から
6のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項8】
前記外側リング(212)は、第3の側面(264)、及び前記第3の側面(264)に対向する第4の側面(266)を含み、前記外側リング(212)は、前記第3の側面(264)上に第3の開口(268)を含み、且つ前記第4の側面(266)上に第4の開口(270)を含み、前記第3の開口(268)及び前記第4の開口(270)は、構造体の対応する雄型コンポーネントを受け入れることにより前記溝型入口ジンバル(200)を前記構造体に連結するように構成される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項9】
前記外側リング(212)は、第3の側面(264)、及び前記第3の側面(264)に対向する第4の側面(266)を含み、前記外側リング(212)は、前記第3の側面(264)から延びる第3のピン及び前記第4の側面(266)から延びる第4のピンを含み、前記第3のピン及び前記第4のピンは、構造体の対応する雌型コンポーネント内に嵌まることにより前記溝型入口ジンバル(200)を前記構造体に連結するように構成される、請求項1から
7のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項10】
前記第1の溝型入口開口(222)の幅は、前記第1のピン(208)の直径よりも大きく、前記第2の溝型入口開口(226)の幅は、前記第2のピン(210)の直径よりも大きい、請求項1から
9のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項11】
前記内側リング(202)の内面に対応するねじ部材を受け入れるねじ山が設けられていることで、前記内側リング(202)は当該対応するねじ部材に対して動くことができる、請求項1から1
0のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【請求項12】
前記外側リング(212)の内径は、前記第1のピン(208)から前記第2のピン(210)までの距離よりも小さい、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の溝型入口ジンバル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してジンバル型システムに関し、より具体的には、ジンバルの外側リングに対して内側リングを組み立てるための溝型入口を有する二軸ジンバルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のジンバルは、ジンバルの内側リングをその最終配向に対して90度回転させ、ジンバルの外側リングをジンバルの内側リング及びボールねじに被せるように位置付け、その後ジンバルの内側リングを90度戻して回転させることにより、当該ボールねじに取り付けられる。この取り付けにおいては、作動上は何ももたらさず、ジンバルの取り付け及び組み立てのためだけに使用される幅クリアランスが必要となる。この追加の幅により、嵌合部品の幅が必要以上に大きくなり、飛行機の重量及びコストが増大する。このようなボールねじ及びジンバルがフラップに動力を与えるために使用される際、ジンバルはフェアリングの内側に位置付けられる。ジンバルの外側リングは取り付けのためだけに必要な追加の幅を有しているため、ジンバルの周囲を取り囲むフェアリングの幅も必要以上に大きくなり、飛行機の高速抗力が誘発される可能性がある。
【0003】
したがって、ジンバルの外側リングの追加的な幅の必要性をなくすことで、より好ましい荷重経路が実現可能となり、結果としてより小型で軽量な部品をもたらしうる、外側リングに対し内側リングを取り付ける代替的な方法を用いたジンバルが必要である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、溝型入口ジンバルが記載される。溝型入口ジンバルは、(a)内側リング、及び(b)外側リングを備え、内側リングは、第1の側面、及び第1の側面に対向する第2の側面を含み、内側リングは、内側リングの第1の側面から延びる第1のピン、及び内側リングの第2の側面から延びる第2のピンを含み、第1のピン及び第2のピンは、直径方向において反対側にあり、外側リングは、第1の側面、及び第1の側面に対向する第2の側面を含み、外側リングは、第1のピンを受け入れるように構成された第1の開口を第1の側面上に含み、第2のピンを受け入れるように構成された第2の開口を第2の側面上に含み、外側リングは、外側リングの第1の縁部から第1の開口まで延びる第1の溝型入口開口を第1の側面上に含み、外側リングは、外側リングの第2の縁部から第2の開口まで延びる第2の溝型入口開口を第2の側面上に含む。
【0005】
別の例では、方法について説明する。方法は、(a)溝型ジンバルアセンブリの内側リングをねじ部材に位置付けること、ここで、内側リングは、第1の側面、及び第1の側面に対向する第2の側面を含み、内側リングは、内側リングの第1の側面から延びる第1のピン、及び内側リングの第2の側面から延びる第2のピンを含み、第1のピン及び第2のピンは直径方向において反対側にあり、(b)外側リングの第1の側面上の第1の溝型入口開口に第1のピンを位置付けること、(c)外側リングの第2の側面上の第2の溝型入口開口に第2のピンを位置付けること、及び(d)第1のピンが外側リングの第1の側面上の第1の開口内に位置付けられ、且つ第2のピンが外側リングの第2の側面上の第2の開口に位置付けられるまで、外側リングを内側リングに対して横方向に移動することを含む。
【0006】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において個別に実現可能であるか、又は、更に別の実施例において組み合わされうる。下記の説明及び図面を参照することで、これらの特徴、機能、及び利点の更なる詳細が理解されうる。
【0007】
例示的な実施例の特性と考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、実施例、好ましい使用モード、並びにそれらの更なる目的及び説明は、添付図面を参照して、本開示の実施例についての以下の詳細な説明を読むことによって、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一例に係る、駆動アームに連結されたジンバルの斜視図である。
【
図2】Aは、一例に係る、組み立て中の従来のジンバルの斜視図である。Bは、一例に係る、
図2Aに示す従来のジンバルの組み立て後の斜視図である。
【
図3】一例に係る、
図2A~
図2Bに示す従来のジンバルが駆動アームに連結された状態の正面図である。
【
図4】一実施例に係る、例示的な溝型入口ジンバルの拡大斜視図である。
【
図5】一実施例に係る、
図4に示す例示的な溝型入口ジンバルの拡大側面図である。
【
図6】一実施例に係る、
図4に示す例示的な溝型入口ジンバルが完全に組み立てられた状態の斜視図である。
【
図7】一実施例に係る、
図4に示す例示的な溝型入口ジンバルが完全に組み立てられた状態の上面図である。
【
図8】一実施例に係る、例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、開示されている実施例についてより詳細に説明するが、添付図面は、開示されている実施例の一部を示すものであり、実施例の全てを示すものではない。実際には、いくつかの異なる実施例が提供されうるが、これらは本明細書に明記されている実施例に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これら実施例は、この開示内容が包括的かつ完全なものとなるように、そして本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように、提供されている。
【0010】
以下の説明においては、開示される概念の包括的な理解を提供するために特定の詳細事項が多く明記されているが、当該概念はこれら詳細事項の一部又は全てがなくとも実施され得る。他の事例においては、開示を不必要に分かりにくくすることを避けるために、既知のデバイス及び/又はプロセスの詳細が省略されている。一部の概念については特定の実施例と併せて説明するが、これらの実施例が限定を目的とするものではないことを理解されたい。
【0011】
図8では、ブロックは動作及び/又はその一部を表しうる。ここで、様々なブロックをつなぐ線は、工程又はその一部の、いかなる特定の順序又は依存性も暗示するものではない。開示された様々な工程間における全ての依存性が必ずしも表されるわけではないことが理解されよう。本明細書に明記した一又は複数の方法の工程について説明する
図8及び付随する開示内容は、必ずしも工程が実施されるシーケンスを決定するものであると解釈すべきではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されているが、工程のシーケンスは、適切な場合には修正することができることを理解されたい。したがって、ある特定の工程は、異なる順序で又は同時に実施されうる。更に、当業者であれば、記載された全ての工程を実施する必要はないことを認識するであろう。
【0012】
別途示されない限り、「第1(first)」「第2(second)」などの用語は、本明細書では単に符号として使用され、それらの用語が表すアイテムに順序、位置、又は序列についての要件を課すことを目的とはしていない。更に、例えば「第2」のアイテムとの言及は、例えば「第1」の、又はより小さい数が振られたアイテム、及び/又は、例えば「第3」の、又はより大きな数が振られたアイテムの存在を、必要とすることも、排除することもない。
【0013】
本明細書における「一実施例」との言及は、その実施例に関連して説明される一又は複数の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実装形態に含まれることを意味する。本明細書に頻出する「一実施例」という表現は、同一の実施例を表すこともあれば、表わさないこともある。
【0014】
本明細書において、特定の機能を実施する「ように構成/設定された(configuredto)」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。換言すると、特定の機能を実施する「ように構成/設定された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、具体的に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、かつ/又は設計される。本明細書において、「ように構成/設定された」という表現は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる改変を伴わずに特定の機能を実施することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの特性が、存在することを意味する。この開示において、特定の機能を実行する「ように構成/設定された」と記載されるシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その機能を実行する「ように適合された」、及び/又は、「実行するように作動可能である」と、追加的に又は代替的に記載される場合もある。
【0015】
本明細書で使用する場合、測定に関する「約」及び「実質的に」は、各々プラス/マイナス5%を意味する。
【0016】
本開示による主題の例示的で非網羅的な実施例が、以下で提供される。それらの実施例は、特許請求されることも又はされないこともあり得る。
【0017】
実施例において、溝型入口ジンバルをここに記載する。上述のように、従来のジンバルは、一部の取り付けの場合に必要以上に幅広となりうる。この追加的な幅によって嵌合部品の幅が広くなり、飛行機の重量及びコストが増大しうる。航空機の翼のフラップに動力を与えるためにボールねじ及びジンバルが使用される際、ジンバルはフェアリングの内側に位置付けられる。ジンバルは取り付けのためだけに必要とされる追加的な幅を有しているため、ジンバルの周囲を取り囲むフェアリングを必要以上に幅広に構築することが必要となる場合があり、後に飛行機における高速抗力を誘発することとなる。本明細書で記載する実施例によれば、ジンバルの外側リング内の、直径方向において反対側にある一対の開口を用いて、ジンバルの内側リングをジンバルの外側リング内に直接挿入するためのクリアランスが実現可能となる。これにより、従来のジンバルの余分な幅を設ける必要性が低減されるか又はなくなり、ジンバルへと誘発される曲げ応力の少ないより好ましい荷重経路が実現可能となり、結果として部品がより小型化、軽量化されうる。こうした部品の小型化により、フェアリングをより小型にすることができ、ひいては航空機の高速及び低速パフォーマンスが改善される。
【0018】
上述の例示的なシステムの様々な他の特徴、及びこれらのシステムを使用するための方法を、添付の図面を参照して以下に記載する。
【0019】
図面を参照すると、
図1には、航空機の翼のフラップ機構の駆動アーム102に取り付けられた従来のジンバル100が示されている。いくつかの実施例では、駆動アーム102は、航空機の翼のフラップ(図示しない)に接続され、航空機の翼のフラップを動かして航空機の空力特性を変化させるために使用される。従来のジンバル100は、外側リング106に連結された内側リング104を含む。内側リング104はボールねじ108に位置付けられる。したがって、従来のジンバル100は、ボールねじ108が回転する際に内側リング104と共に動くことにより、航空機の翼のフラップを押し出す。従来のジンバル100の内側リング104及び外側リング106により、ボールねじ108の湾曲を回避するための追加的な自由度が与えられる。
【0020】
図2Aから
図2Bは、従来のジンバル100の例示的な組み立てプロセスを示す。
図2Aに示すように、従来のジンバル100の外側リング106は1つのピースであり、内側リング104は最終配向に対して90度回転させられる。次いで、外側リング106が、ボールねじ108及び内側リング104に被せるように位置付けられる。次いで、内側リング104が、外側リング106に対して90度回転され、その最終取付配向に至る。この追加的な回転ステップにより、取り付けが複雑になりうる。取り付け後、ジンバルの領域は密度が高くなり、内側リング104を操作するためのアクセスがしづらくなる。内側リング104を外側リング106と再位置合わせするために必要な力を加えることが困難となりうる。
【0021】
最終アセンブリを
図2Bに示す。上述のように、このような取り付けでは、作動上は何ももたらさず、従来のジンバル100の取り付け及び組み立てのためだけに使用される幅(W1)クリアランスが必要となる。この追加的な幅によって嵌合部品も必要以上に幅広となり、飛行機の重量及びコストが増大するとともに、高速パフォーマンスが低下する。更に、
図3に示すように、従来のジンバル100の外側リング106の追加的な幅(W1)があることで、駆動アーム102の幅(W2)も広くすることが必要となり、コスト及び重量が増大する。更に、駆動アーム102の幅(W2)を広くすることにより、システムへの曲げ応力が増大し、望ましくない。
【0022】
図4は、一実施例に係る溝型入口ジンバル200の拡大斜視図を示す。
図4に示すように、溝型入口ジンバル200は、第1の側面204、及び第1の側面204に対向する第2の側面206を有する内側リング202を含む。内側リング202は、内側リング202の第1の側面204から延びる第1のピン208、及び内側リング202の第2の側面206から延びる第2のピン210を含む。第1のピン208及び第2のピン210は、直径方向において互いに反対側にある。溝型入口ジンバル200はまた、第1の側面214、及び第1の側面214に対向する第2の側面216を有する外側リング212を含む。外側リング212は、第1のピン208を受け入れるように構成された第1の開口218を第1の側面214上に含み、かつ第2のピン210を受け入れるように構成された第2の開口220を第2の側面216上に含む。外側リング212はまた、外側リング212の第1の縁部224から第1の開口218まで延びる第1の溝型入口開口222を第1の側面214上に含む。外側リング212はまた、外側リング212の第2の縁部228から第2の開口220まで延びる第2の溝型入口開口226を第2の側面216上に含む。
【0023】
一実施例では、外側リング212の内径は、第1のピン208から第2のピン210までの距離よりも小さい。このような構成は、
図1から
図3に示す上記の従来のジンバル100の設計とは異なる。一方、従来のジンバル100では、外側リング106の内径は、内側リング104の第1のピンから内側リング104の第2のピンまでの距離よりも大きい。したがって、
図4から
図7で説明するジンバル200の外側リング212の幅は、
図1から
図3で説明した従来のジンバル100の外側リング106の幅よりも小さい。上述のように、幅を狭くすることにより、材料コストが削減され、曲げが低減されたより好ましい荷重経路が実現可能となり、また、ジンバルを覆うフェアリングのサイズを小さくすることもでき、空力特性が改善される。具体的には、荷重伝達継ぎ目の間の距離がより小さいことにより、部品全体の曲げモーメントが低下する。これにより、部品の応力が低下し、更に、より軽量な部品が可能となりうる。内側リング202の内面には、対応するねじ部材を受け入れるようにねじ山を設け、上述のように内側リング202が当該ねじ部材に対して動くことを可能にしてもよい。ねじ山は、ねじ部材と内側リング202との間を移動する複数のボールベアリングを含みうる。
【0024】
上述のように、従来のジンバル100においては、内側リング104は、外側リング106に対して90度回転させられ、その最終取付配向に至る。この追加的な回転ステップにより、取り付けが複雑となりうる。提案される発明によれば、内側リング202は、外側リング212を内側リング202に嵌合させる前に方向付けられるため、組み立てに更なる操作を要しない。
【0025】
外側リング212は、第1及び第2の開口218、220内に挿入された第1及び第2のピン208、210を介して内側リング202に対して回転するように構成されうる。このような構成により、使用時に内側リング202がその上に位置付けられるボールねじが湾曲しないようにするための追加の自由度が与えられる。特定の一実施例では、溝型入口ジンバル200は、第1のピン208に位置付けられた第1のブッシュ230、第2のピン210に位置付けられた第2のブッシュ232を更に含む。第1のブッシュ230及び第2のブッシュ232は、ピン208、210に対し潤滑溝を提供すると共に、内側リング202と外側リング212との間の犠牲摩擦ピース(sacrificial rub piece)である。一実施例では、第1の溝型入口開口222の幅は、第1のブッシュ230の直径よりも小さく、第2の溝型入口開口226の幅は、第2のブッシュ232の直径よりも小さい。したがって、第1のブッシュ230が第1のピン208に位置付けられると、第1のピン208は、第1の溝型入口開口222を出て第1の縁部224の方へ動くことができない。同様に、第2のブッシュ232が第2のピン210に位置付けられると、第2のピン210は第2の溝型入口開口226を出て第2の縁部228の方へ動くことができない。
【0026】
別の実施例では、第1の溝型入口開口222の幅は、第1のピン208の直径より大きく、第2の溝型入口開口226の幅は第2のピン210の直径より大きい。このような実施例では、第1のピン208は第1の溝型入口開口222内にスナップ嵌合され、第2のピン210は第2の溝型入口開口226内にスナップ嵌合されてもよい。具体的には、第1の溝型入口開口222は、第1のピン208を第1の縁部224から離れる方向に第1の溝型入口開口222内へと押し込む力に応じて、わずかに開きうる。第1のピン208が第1の開口218に入ると、第1の溝型入口開口222はスナップ閉鎖し、第1のピン208が第1の開口218に固定される。同様に、第2の溝型入口開口226は、第2のピン210を第2の縁部228から離れる方向に第2の溝型入口開口226内へと押し込む力に応じて、わずかに開きうる。第2のピン210が第2の開口220に入ると、第2の溝型入口開口226はスナップ閉鎖し、第2のピン210が第2の開口220に固定される。
【0027】
別の実施例では、溝型入口ジンバル200は、外側リング212の第1の側面214に連結された第1の保持部材234、及び外側リング212の第2の側面216に連結された第2の保持部材236を更に含む。第1の保持部材234及び第2の保持部材236は、内側リング202が外側リング212に対して横方向に動くことを防止するように構成される。以下で更に詳細に記載するように、第1の保持部材234及び第2の保持部材236は様々な形態であってよい。第1の保持部材234及び第2の保持部材236は、外側リング212に対する内側リング202の横方向の動きを防止する任意の構造を備える。第1の保持部材234及び第2の保持部材236は外側リング212に対して取り外し可能に連結されてよく、この結果、内側リング202は取り付け及び取り外しが可能となる。
【0028】
特定の一実施例では、第1の保持部材234は第1の保持ピン238を備え、第2の保持部材236は第2の保持ピン240を備える。このような実施例では、溝型入口ジンバル200は、第1の溝型入口開口222の第1の側に第1の貫通孔242、及び第1の溝型入口開口222の第2の側に2の貫通孔244を更に含む。第1の貫通孔242及び第2の貫通孔244の長手方向軸は、第1の開口218及び第2の開口220の長手方向軸に対して垂直であり、第1の保持ピン238は、第1の貫通孔242及び第2の貫通孔244を通って位置付けられる。溝型入口ジンバル200は第2の溝型入口開口226の第1の側に第3の貫通孔246、及び第2の溝型入口開口226の第2の側に第4の貫通孔248を更に含みうる。第3の貫通孔246及び第4の貫通孔248の長手方向軸は、第1の開口218及び第2の開口220の長手方向軸に対して垂直であり、第2の保持ピン240は、第3の貫通孔246及び第4の貫通孔248を通って位置付けられる。
【0029】
第1の保持ピン238はねじ式ボルトを備え、溝型入口ジンバル200は、第1の保持ピン238を第1の貫通孔242及び第2の貫通孔244に固定するための相補的なナット250を更に含みうる。同様に、第2の保持ピン240はねじ式ボルトを備え、溝型入口ジンバル200は、第2の保持ピン240を第3の貫通孔246及び第4の貫通孔248に固定するための相補的なナット252を更に含みうる。保持ピン238、240がそれぞれの貫通孔に位置付けられると、内側リング202は第1及び第2の溝型入口開口222、226から出て横方向に動くことができない。
【0030】
一実施例では、第1の保持部材234は、第1の貫通孔242と第2の貫通孔244との間に位置付けられた第1のインサート254を更に含む。第1のインサート254は、第1の保持ピン238を受け入れるように第1の貫通孔242及び第2の貫通孔244と位置合わせされた貫通孔256を含む。このような実施例では、第2の保持部材は、第3の貫通孔246と第4の貫通孔248との間に位置付けられた第2のインサート258を更に含む。第2のインサート258は第2の保持ピン240を受け入れるように第3の貫通孔246及び第4の貫通孔248と位置合わせされた貫通孔260を含む。第1及び第2のブッシュ230、232を含む実施例では、インサート254、258及び保持ピン238、240により、ブッシュ230、232が内側リング202の長手方向軸に平行に動くことが防止される。
【0031】
一実施例では、
図5の拡大側面図に示すように、第1のインサート254は、第1のピン208の外面又は第1のブッシュ230の外面に接触するように構成された第1の湾曲部261を含み、第2のインサート258は、第2のピン210の外面又は第2のブッシュ232の外面に接触するように構成された第2の湾曲部262を含む。第1の湾曲部261は、第1の開口218と同じ曲率半径を有していてよく、第2の湾曲部262は、第2の開口220と同じ曲率半径を有していてよい。第1の開口218及び第1の湾曲部261は、第1の内側リップを含むことができ、第2の開口220及び第2の湾曲部262は、第2の内側リップを含むことができる。第1の内側リップの内径は、第1の開口218の直径よりも小さくてよく、同様に、第2の内側リップの直径は、第2の開口220の直径よりも小さくてよい。更に、第1の内側リップの直径は、第1のブッシュ230の直径よりも小さくてよく、第2の内側リップの直径は、第2のブッシュ232の直径よりも小さくてよく、その結果ブッシュ230、232は、当該ブッシュそれぞれの軸に沿って捉えられる。
【0032】
一実施例では、内側リング202及び外側リング212は、第1の材料を含み、第1のインサート254及び第2のインサート258は、第1の材料と異なる第2の材料を含む。使用に際して、第1のインサート254及び第2のインサート258が受ける荷重は、内側リング202及び外側リングの荷重よりも顕著に小さい。したがって、第1のインサート254及び第2のインサート258は、より軽量又は安価な材料から作製することができる。このような一実施例では、第1の材料は鋼又はアルミニウムを含んでいてよく、第2の材料はプラスチック又は他の軽量材料を含んでいてよい。第1及び第2のインサート254、258は小さな力のみを受けうるため、第2の材料の強度特性は、内側リング202及び外側リング212に必要とされる強度特性と同じである必要はない。
【0033】
外側リングは、第3の側面264、及び第3の側面264に対向する第4の側面266も含むことができ、外側リング212は、第3の側面264上に第3の開口268を、第4の側面266上に第4の開口270(例えば雌型コンポーネント)を含みうる。第3の開口268及び第4の開口270は、構造体の対応する雄型コンポーネントを受け入れることにより、溝型入口ジンバル200を構造体に連結するように構成される。例えば、第3の開口268及び第4の開口270は、
図1及び
図3に示す駆動アーム102の対応する雄型コンポーネントを受け入れるように構成される。別の実施例では、外側リング212は、第3の側面264から延びる第3のピン、及び第4の側面266(例えば雄型コンポーネント)から延びる第4のピンを含む。このような構成は、
図6~
図7に示されている。第3のピン及び第4のピンは、構造体の対応する雌型コンポーネント内に嵌まることにより、溝型入口ジンバル200を構造体に連結するように構成される。外側リング212の第3の側面264及び第4の側面266について、雄型コンポーネントと雌型コンポーネントを任意に組み合わせることが可能である。
【0034】
図4~
図7について説明した上記の溝型入口ジンバル200により、内側リング202に対して外側リング212を回転させる必要なく、組み立てが可能となる。したがって、同様のサイズを有する内側リング104、202に対し、外側リング212の幅は、ジンバル100の外側リング106と比較して小さくすることができる。上述のように、幅を狭くすることにより、材料コストが削減され、曲げが低減されたより好ましい荷重経路が実現可能となり、また、ジンバルを覆うフェアリングのサイズを小さくすることもでき、空力特性が改善される。
【0035】
図8は、例示的な方法のブロック図である。
図8に示す方法300は、一実施例として例えば
図4から
図7に関連して上述した溝型入口ジンバル200を組み立てるために使用されうる方法の一実施例を示す。方法300は、ブロック302~308のうちの一又は複数で示すように、一又は複数の工程、機能、又は動作を含む。ブロックは順に示されているが、これらのブロックはまた、並行して実施してもよく、且つ/又は、本明細書に記載の順序とは異なる順序で実行してもよい。また、所望の実装形態に基づいて、様々なブロックを組み合わせてブロックの数を減らすこと、分割してブロックを追加すること、除外することが可能である。
【0036】
初めに、ブロック302において、方法300は、溝型入口ジンバル200の内側リング202をボールねじ108に位置付けることを含む。内側リング202は、第1の側面204、及び第1の側面204に対向する第2の側面206を含み、また、内側リングは、内側リング202の第1の側面204から延びる第1のピン208、及び内側リング202の第2の側面206から延びる第2のピン210を含み、第1のピン208及び第2のピン210は、直径方向において反対側にある。
【0037】
ブロック304において、方法300は、外側リング212の第1の側面214上にある第1の溝型入口開口222内に第1のピン208を位置付けることを含む。ブロック306において、方法300は、外側リング212の第2の側面216上にある第2の溝型入口開口226内に第2のピン210を位置付けることを含む。ブロック308において、方法300は、外側リング212の第1の側面214上にある第1の開口218に第1のピン208が位置付けられ、且つ外側リング212の第2の側面216上にある第2の開口220に第2のピン210が位置付けられるまで、外側リング212を内側リング202に対して横方向に移動させることを含む。
【0038】
一実施例では、方法300は、外側リング212を航空機の翼フラップ機構の駆動アームに連結することを更に含む。別の実施例では、方法300は、外側リング212が内側リング202に対して回転することができるように、第1のピン208に第1のブッシュ230を位置付けること、及び第2のピン210に第2のブッシュ232を位置付けることを更に含む。
【0039】
別の実施例では、方法300は、第1の保持部材234を外側リング212の第1の側面214に連結し、第2の保持部材236を外側リング212の第2の側面216に連結することを更に含む。上述のように、第1の保持部材234及び第2の保持部材236は、外側リング212に対して内側リング202が横方向に動くことを防止する任意の構造を含む。
【0040】
特定の一実施例では、第1の保持部材234は、第1のインサート254及び第1の保持ピン238を備え、第2の保持部材236は、第2のインサート258及び第2の保持ピン240を備える。このような実施例では、方法300は、(i)第1のインサート254が第1のピン208に接触するまで、第1のインサート254を第1の溝型入口開口222内に位置付けること、(ii)第1の保持ピン238を、第1の溝型入口開口222の第1の側にある第1の貫通孔242を通り、第1のインサート254の貫通孔256を通り、更に第1の溝型入口開口222の第2の側にある第2の貫通孔244を通って位置付けること、(iii)第2のインサート258が第2のピン210に接触するまで、第2のインサート258を第2の溝型入口開口226内に位置付けること、及び(iv)第2の保持ピン240を、第2の溝型入口開口226の第1の側にある第3の貫通孔246を通り、第2のインサート258の貫通孔260を通り、更に第2の溝型入口開口226の第2の側にある第4の貫通孔248を通って位置付けることを含む。更に、本開示は、以下の条項にしたがう実施例を含む。
【0041】
条項1.
溝型入口ジンバル(200)であって、
内側リング(202)及び外側リング(212)を備え、
内側リング(202)は、第1の側面(204)、及び第1の側面(204)に対向する第2の側面(206)を含み、内側リング(202)は、内側リング(202)の第1の側面(204)から延びる第1のピン(208)、及び内側リング(202)の第2の側面(206)から延びる第2のピン(206)を含み、第1のピン(208)及び第2のピン(210)は、直径方向において反対側にあり、
外側リング(212)は、第1の側面(214)、及び第1の側面(214)に対向する第2の側面(216)を含み、外側リング(212)は、第1のピン(208)を受け入れるように構成された第1の開口(218)を第1の側面(214)上に含み、第2のピン(210)を受け入れるように構成された第2の開口(220)を第2の側面(216)上に含み、外側リング(212)は、外側リング(212)の第1の縁部(224)から第1の開口(218)まで延びる第1の溝型入口開口(222)を第1の側面(214)上に含み、外側リング(212)は、外側リング(212)の第2の縁部(228)から第2の開口(220)まで延びる第2の溝型入口開口(226)を第2の側面(216)上に含む、
溝型入口ジンバル(200)。
【0042】
条項2.
第1のピン(208)に位置付けられた第1のブッシュ(230)、及び
第2のピン(210)に位置付けられた第2のブッシュ(232)を更に備え、第1のブッシュ(230)及び第2のブッシュ(232)により、外側リング(212)は内側リング(202)に対して回転することができる、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0043】
条項3.
第1の溝型入口開口(222)の幅は、第1のブッシュ(230)の直径よりも小さく、第2の溝型入口開口(226)の幅は、第2のブッシュ(232)の直径よりも小さい、条項2に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0044】
条項4.
外側リング(212)の第1の側面(214)に連結された第1の保持部材(234)、及び外側リング(212)の第2の側面(216)に連結された第2の保持部材(236)を更に備え、第1の保持部材(234)及び第2の保持部材(236)は、内側リング(202)が外側リング(212)に対して横方向に動くことを防止するように構成される、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0045】
条項5.
第1の保持部材(234)は第1の保持ピン(238)を備え、第2の保持部材(236)は第2の保持ピン(240)を備える、条項4に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0046】
条項6.
溝型入口ジンバル(200)は、第1の貫通孔(242)、第2の貫通孔(244)、第3の貫通孔(246)、及び第4の貫通孔(248)を更に備え、
第1の貫通孔(242)は、第1の溝型入口開口(222)の第1の側にあり、
第2の貫通孔(244)は、第1の溝型入口開口(222)の第2の側にあり、第1の貫通孔(242)及び第2の貫通孔(244)の長手方向軸は、第1の開口(218)及び第2の開口(220)の長手方向軸に対して垂直であり、第1の保持ピン(238)は、第1の貫通孔(242)及び第2の貫通孔(244)を通って位置付けられ、
第3の貫通孔(246)は、第2の溝型入口開口(226)の第1の側にあり、
第4の貫通孔(248)は、第2の溝型入口開口(226)の第2の側にあり、第3の貫通孔(246)及び第4の貫通孔(248)の長手方向軸は、第1の開口(218)及び第2の開口(220)の長手方向軸に対して垂直であり、第2の保持ピン(240)は、第3の貫通孔(246)及び第4の貫通孔(248)を通って位置付けられる、条項5に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0047】
条項7.
第1の保持部材(234)は、第1の貫通孔(242)と第2の貫通孔(244)との間に位置付けられた第1のインサート(254)を更に備え、第1のインサート(254)は、第1の保持ピン(238)を受け入れるように第1の貫通孔(242)及び第2の貫通孔(244)と位置合わせされた貫通孔(256)を含み、第2の保持部材(236)は、第3の貫通孔(246)と第4の貫通孔(248)との間に位置付けられた第2のインサート(258)を更に備え、第2のインサート(258)は、第2の保持ピン(240)を受け入れるように第3の貫通孔(246)及び第4の貫通孔(248)と位置合わせされた貫通孔(260)を含む、条項6に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0048】
条項8.
第1のインサート(254)は、第1のピン(208)の外面と接触するように構成された第1の湾曲部(261)を含み、第2のインサート(258)は、第2のピン(210)の外面と接触するように構成された第2の湾曲部(262)を含む、条項7に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0049】
条項9.
内側リング(202)及び外側リング(212)は、第1の材料を備え、第1のインサート(254)及び第2のインサート(258)は、第1の材料と異なる第2の材料を備える、条項7に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0050】
条項10.
第1の保持部材(234)及び第2の保持部材(236)は、外側リング(212)に取り外し可能に連結される、条項4に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0051】
条項11.
外側リング(212)は、第3の側面(264)、及び第3の側面(264)に対向する第4の側面(266)を含み、外側リング(212)は、第3の側面(264)上に第3の開口(268)を含み、且つ第4の側面(266)上に第4の開口(270)を含み、第3の開口(268)及び第4の開口(270)は、構造体の対応する雄型コンポーネントを受け入れることにより溝型入口ジンバル(200)を構造体に連結するように構成される、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0052】
条項12.
外側リング(212)は、第3の側面(264)、及び第3の側面(264)に対向する第4の側面(266)を含み、外側リング(212)は、第3の側面(264)から延びる第3のピン及び第4の側面(266)から延びる第4のピンを含み、第3のピン及び第4のピンは、構造体の対応する雌型コンポーネント内に嵌まることにより溝型入口ジンバル(200)を構造体に連結するように構成される、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0053】
条項13.
第1の溝型入口開口(222)の幅は、第1のピン(208)の直径よりも大きく、第2の溝型入口開口(226)の幅は、第2のピン(210)の直径よりも大きい、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0054】
条項14.
内側リング(202)の内面に、対応するねじ部材を受け入れるねじ山が設けられていることにより、内側リング(202)は当該対応するねじ部材に対して動くことができる、条項1に記載の溝型入口ジンバル(200)。
【0055】
条項15.
外側リング(212)の内径は、第1のピン(208)から第2のピン(210)までの距離よりも小さい、条項1に記載の溝型入口ジンバル。
【0056】
条項16.
方法(300)であって、
溝型ジンバルアセンブリ(200)の内側リング(202)をねじ部材に位置付けること(302)、ここで、内側リング(202)は、第1の側面(204)、及び第1の側面(204)に対向する第2の側面(206)を含み、内側リング(202)は、内側リング(202)の第1の側面(204)から延びる第1のピン(208)、及び内側リング(202)の第2の側面(206)から延びる第2のピン(210)を含み、第1のピン(208)及び第2のピン(210)は直径方向において反対側にあり、
外側リング(212)の第1の側面(214)の第1の溝型入口開口(222)に第1のピン(208)を位置付けること(304)、
外側リング(212)の第2の側面(216)の第2の溝型入口開口(226)に第2のピン(210)を位置付けること(306)、及び
第1のピン(208)が外側リング(212)の第1の側面(214)の第1の開口(218)内に位置付けられ、且つ第2のピン(210)が外側リング(212)の第2の側面(216)の第2の開口(220)に位置付けられるまで、外側リング(212)を内側リング(202)に対して横方向に移動すること(308)
を含む方法。
【0057】
条項17.
第1のピン(208)に第1のブッシュ(230)を位置付けること、及び
第2のピン(210)に第2のブッシュ(232)を位置付けること
を更に含み、第1のブッシュ(230)及び第2のブッシュ(232)により、外側リング(212)は内側リング(202)に対して回転することができる、条項16に記載の方法(300)。
【0058】
条項18.
第1の保持部材(234)を外側リング(212)の第1の側面(214)に連結すること、及び
第2の保持部材(236)を外側リング(212)の第2の側面(216)に連結すること
を更に含む、条項16に記載の方法(300)。
【0059】
条項19.
第1の保持部材(234)は、第1のインサート(254)及び第1の保持ピン(238)を備え、第2の保持部材(236)は、第2のインサート(258)及び第2の保持ピン(240)を備え、方法(300)は、
第1のインサート(254)が第1のピン(208)に接触するまで、第1のインサート(254)を第1の溝型入口開口(222)内へと位置付けること、
第1の溝型入口開口(222)の第1の側にある第1の貫通孔(242)を通り、第1のインサート(254)の貫通孔(256)を通り、更に、第1の溝型入口開口(222)の第2の側にある第2の貫通孔(244)を通って、第1の保持ピン(238)を位置付けること、
第2のインサート(258)が第2のピン(210)に接触するまで、第2のインサート(258)を第2の溝型入口開口(226)内に位置付けること、及び
第2の溝型入口開口(226)の第1の側にある第3の貫通孔(246)を通り、第2のインサート(258)の貫通孔(260)を通り、更に、第2の溝型入口開口(226)の第2の側にある第4の貫通孔(248)を通って、第2の保持ピン(240)を位置付けること
を更に含む、条項18に記載の方法(300)。
【0060】
条項20.
外側リング(212)を航空機の翼フラップ機構の駆動アーム(102)に連結することを更に含む、条項16に記載の方法(300)。
【0061】
種々の有利な構成の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、又は開示された形態の実施例に限定されることを意図するものではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、種々の有利な実施例は、他の有利な実施例と比較して異なる利点をもたらしうる。選択された一又は複数の実施例は、それら実施例の原理と実践的応用を最もよく解説するため、及び、他の当業者が様々な例の開示内容と共に想定される特定の用途に適した様々な修正例について理解することを可能にするために、選ばれ、説明されている。