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特許7411344ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法と装置およびブレーキシステムを作動させるための方法並びにブレーキシステム
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  • 特許-ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法と装置およびブレーキシステムを作動させるための方法並びにブレーキシステム 図1
  • 特許-ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法と装置およびブレーキシステムを作動させるための方法並びにブレーキシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法と装置およびブレーキシステムを作動させるための方法並びにブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/171 20060101AFI20231228BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20231228BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B60T8/171
B60T8/17 C
B60T8/17 Z
B60T17/22 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019123496
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2020023310
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10 2018 211 751.9
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ボッドマン,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】長倉 安孝
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19859280(DE,A1)
【文献】特開2004-316848(JP,A)
【文献】特表2002-539031(JP,A)
【文献】国際公開第2001/060670(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ブレーキシステム(1)を作動させるための方法であって
前記ブレーキシステム(1)の少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)のコイル抵抗を考慮して前記ブレーキシステム(1)内の液体の温度を検出
前記温度を考慮して、ブレーキマスタシリンダ(10)に結合されている第1のブレーキ回路(12)および/または前記ブレーキマスタシリンダ(10)に結合されている第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にするステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ブレーキシステム(1)内の前記液体の前記温度と前記ソレノイド弁(16,18)の測定したコイル抵抗との間の相関関係のモデルを使用して前記ブレーキシステム(1)内の前記液体の前記温度を特定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレーキシステム(1)の前記少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)の前記コイル抵抗を、予め設定したタイムインターバルで、好ましくは20秒のタイムインターバルで測定し、その際前記少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)の前記コイル抵抗が前記ブレーキシステム(1)内の前記液体の前記温度に対し線形関係にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)を、好ましくは車輪排出弁を開くことによって前記少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にし、ブレーキ液の検出された前記温度に依存して前記少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)の開弁時間を制御することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記貯留室(20,22)を空にするための時間が予め設定された閾値、好ましくは3秒の閾値を下回っていることが検出された場合に、前記少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)を開くことによって前記少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にすることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレーキシステム(1)内の前記液体の前記温度が-35℃以下であることが検出された場合に、前記ブレーキシステム(1)のポンプ(24,26)を起動することによって前記少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にすることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記貯留室(20,22)を空にするための時間が予め設定された閾値、好ましくは3秒の閾値を上回っていることが検出された場合に、前記ブレーキシステム(1)のポンプ(24,26)を起動することによって前記少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にすることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
発電機作動モードで作動される電気機械によって生成されたブレーキトルクにより提供される回生のみの制動の間に、前記少なくとも1つの貯留室(20,22)をブレーキ液で充填することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
液圧で生成されるブレーキトルクが要求される場合、特に液圧式の前記ブレーキシステム(1)の第1のブレーキトルクと前記発電機作動モードで作動される前記電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調の際に、前記少なくとも1つの貯留室(20,22)を完全に空にすることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ブレーキマスタシリンダ(10)と、該ブレーキマスタシリンダ(10)に結合されている第1のブレーキ回路(12)および前記ブレーキマスタシリンダ(10)に結合されている第2のブレーキ回路(14)と、前記第1のブレーキ回路(12)および/または前記第2のブレーキ回路(14)のソレノイド弁(16,18)を起動するための制御装置(2)とを備え、ブレーキシステム(1)の少なくとも1つのソレノイド弁(16,18)のコイル抵抗を考慮して算出された液体の温度を考慮して前記第1のブレーキ回路(12)および/または前記第2のブレーキ回路(14)の少なくとも1つの貯留室(20,22)を空にすることができる自動車用ブレーキシステム(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法に関するものである。本発明は、さらに、自動車用ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための装置に関する。また、本発明は自動車用ブレーキシステムを作動させるための方法に関する。さらに、本発明は自動車用ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシステムを作動させるための従来の方法は、たとえば発電機作動モードで作動される電気機械によってもっぱら回生的に生成されたブレーキトルクが制動されるときに、ブレーキマスタシリンダに結合されている第1のブレーキ回路および/またはブレーキマスタシリンダに結合されている第2のブレーキ回路の少なくとも1つの貯留室を空にすることを含んでいる。
【0003】
特許文献1は、ブレーキマスタシリンダと、第1の貯留室を備えた第1のブレーキ回路と、第1の車輪ブレーキシリンダと、第2の車輪ブレーキシリンダとを備えた車両用ブレーキシステムを開示している。この場合、第1の車輪ブレーキシリンダは第1の車輪排出弁を介して第1の貯留室と液圧結合され、第2の車輪ブレーキシリンダは第2の車輪排出弁を介して第1の貯留室と液圧結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102016208529号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、自動車用ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための方法を提供し、前記ブレーキシステムの少なくとも1つのソレノイド弁のコイル抵抗を考慮して前記温度が検出される。
【0006】
本発明は、さらに、自動車用ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための装置を提供し、該装置は、少なくとも1つのソレノイド弁のコイル抵抗を検知し、前記ブレーキシステムの前記少なくとも1つのソレノイド弁の検知されたコイル抵抗を考慮して前記温度を検出するために設置されている。
【0007】
本発明は、さらに、自動車用ブレーキシステムを作動させるための方法を提供する。この方法は、ブレーキマスタシリンダに結合されている第1のブレーキ回路および/または前記ブレーキマスタシリンダに結合されている第2のブレーキ回路の少なくとも1つの貯留室を空にし、その際、自動車のブレーキシステム内の液体の温度を検出するための本発明による方法によって検出された温度を考慮して前記少なくとも1つの貯留室を空にする。
【0008】
本発明は、さらに、自動車用ブレーキシステムを提供し、該ブレーキシステム内の液体の温度を考慮して第1のブレーキ回路および/または第2のブレーキ回路の少なくとも1つの貯留室を空にすることができる。
【0009】
本発明の思想は、少なくとも1つの貯留室を空にする際にブレーキシステム内の液体の温度を検出することにより、ブレーキシステムの液体の粘度と、これによって生じる、温度に依存して変化する液体の体積流とを互いに関係付け、これによって少なくとも1つの貯留室を空にするにはどの程度の時間が必要であるかをより正確に特定するというものである。
【0010】
これにより、少なくとも1つの貯留室を空にする際の液体の体積流を過小評価することも過大評価することもなく、正確に特定することができる。さらに、これにより少なくとも1つの貯留室の充填状態が常に既知になり、その結果液体の粘度が高くなることによって少なくとも1つの貯留室が完全に空にならない事態を阻止することができ、したがってブレーキシステムのブレーキ性能を改善することができる。
【0011】
有利な実施態様および更なる構成は、従属項および図を参照した説明から明らかである。
【0012】
有利な更なる構成によれば、ブレーキシステム内の液体の温度と測定したコイル抵抗との間の相関関係のモデルを使用してブレーキシステム内の液体の温度を特定するように構成されている。したがって、ブレーキシステム内の液体の温度は、測定技術的に特定する必要がなく、コイル抵抗の既存の測定値を介して特定でき、またはこれから導出できるので有利である。
【0013】
有利な他の更なる構成によれば、ブレーキシステムの少なくとも1つのソレノイド弁のコイル抵抗を、予め設定したタイムインターバルで、好ましくは20秒のタイムインターバルで測定し、その際少なくとも1つのソレノイド弁のコイル抵抗がブレーキシステム内の液体の温度に対し線形関係にあるように構成されている。したがって、ブレーキシステム内で使用する液体に応じて、該液体の温度とコイル抵抗との相関関係に対するモデルを簡単に作成することができる。
【0014】
有利な他の更なる構成によれば、少なくとも1つのソレノイド弁を、好ましくは車輪排出弁を開くことによって少なくとも1つの貯留室を空にし、その際ブレーキ液の検出された温度に依存して少なくとも1つのソレノイド弁の開弁時間を制御するように構成されている。したがって、ソレノイド弁を、好ましくは少なくとも1つの貯留室が完全に空になることが保証されているような長さで開弁することができる。
【0015】
有利な他の更なる構成によれば、貯留室を空にするための時間が予め設定された閾値、好ましくは3秒の閾値を下回っていることが特定された場合に、少なくとも1つのソレノイド弁を開くことによって少なくとも1つの貯留室を空にするように構成されている。閾値を下回ることによって、少なくとも1つの貯留室を十分に迅速な時間で空にすることができるよう保証することができる。
【0016】
有利な他の更なる構成によれば、ブレーキシステム内の液体の温度が-35℃以下であることが特定された場合に、ブレーキシステムのポンプを起動することによって少なくとも1つの貯留室を空にするように構成されている。このような温度ではブレーキシステム内の液体の粘度が上昇しているので、有利にはブレーキシステムのポンプを起動することによって少なくとも1つの貯留室を空にし、このことは、単にソレノイド弁を開弁することに比べて、少なくとも1つの貯留室をより迅速に空にすることを可能にする。
【0017】
有利な他の更なる構成によれば、貯留室を空にするための時間が予め設定された閾値、好ましくは3秒の閾値を上回っていることが特定された場合に、ブレーキシステムのポンプを起動することによって少なくとも1つの貯留室を空にするように構成されている。したがって、閾値を上回っていることが検知されると、ブレーキシステムのポンプを作動させることで、ソレノイド弁を開弁することに比べてより迅速に貯留室を空にすることを可能にする。
【0018】
有利な他の更なる構成によれば、発電機作動モードで作動される電気機械によって生成されたブレーキトルクにより提供される回生のみの制動の間に、少なくとも1つの貯留室をブレーキ液で充填するように構成されている。
【0019】
通常、回生のみの制動の間は液圧で生成される付加的なブレーキトルクを必要としないので、有利にはこのように少なくとも1つの貯留室を液体で充填する。
【0020】
有利な他の更なる構成によれば、液圧で生成されるブレーキトルクが要求される場合、特に液圧式のブレーキシステムの第1のブレーキトルクと発電機作動モードで作動される電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調の際に、少なくとも1つの貯留室を完全に空にするように構成されている。
【0021】
液圧で生成されるブレーキトルクが要求される場合は適当なブレーキ圧がブレーキシステム内になければならないので、このようにして少なくとも1つの貯留室を好ましくは完全に空にする。
【0022】
上述した構成および更なる構成は、互いに任意に組み合わせることができる。
【0023】
本発明の他の可能な構成、更なる構成および実施は、明確に取り上げなかった、本発明の前述した複数の構成要件または以下で実施形態に関し説明する複数の構成要件の組み合わせをも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付の図面は、本発明の実施形態をさらに理解するためのものである。これらの図面は実施形態を具体的に説明しており、本発明の原理およびコンセプトを明らかにする説明と関連して用いられる。
【0025】
その他の実施形態および前記利点のうちの多くは図面を考慮すれば明らかである。図面に図示された要素は必ずしも互いに縮尺どおりに示されていない。
図1】本発明の有利な一実施形態による自動車用ブレーキシステムの液圧回路図である。
図2】本発明の前記有利な実施形態による自動車用ブレーキシステムを作動させるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面の図では、反することが記載されていない限り、同じ参照符号は同じまたは機能的に同じ要素、構成部材または構成要素を示している。
【0027】
図1は、本発明の有利な一実施形態による自動車用ブレーキシステムの液圧回路を示している。
【0028】
自動車用ブレーキシステム1は、ブレーキマスタシリンダ10と、該ブレーキマスタシリンダ10に結合されている第1のブレーキ回路12と、ブレーキマスタシリンダ10に結合されている第2のブレーキ回路14とを有している。
【0029】
ブレーキシステム1は、さらに、第1のブレーキ回路12の第1のソレノイド弁16と第2のブレーキ回路14の第2のソレノイド弁18とを起動するための(図1には図示していない)制御装置(2)を有している。第1のソレノイド弁16は、好ましくは車輪排出弁によって形成されている。
【0030】
第2のソレノイド弁18は、好ましくは、同様に車輪排出弁によって形成されている。第1のブレーキ回路12は第1の貯留室20を有し、第2のブレーキ回路14は第2の貯留室22を有している。第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20と、第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22とは、それぞれブレーキシステム1内の液体の温度を考慮して空にすることができる。
【0031】
ブレーキシステム1内の液体の温度は、ブレーキシステム1内の液体の温度とソレノイド弁の測定されたコイル抵抗との間の相関関係のモデルを使用して特定される。ブレーキシステム1のソレノイド弁16,18のコイル抵抗は、(図1には図示していない)制御装置(2)によって測定される。これとは択一的に、別個の測定装置が設けられていてよい。ブレーキシステム1の第1のソレノイド弁16および第2のソレノイド弁18のコイル抵抗は、予め設定されるタイムインターバルで、好ましくは20秒のタイムインターバルで測定される。第1のソレノイド弁16および第2のソレノイド弁18のコイル抵抗は、ブレーキシステム1内の液体の温度に対し線形関係にある。
【0032】
第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20と第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22とは、発電機作動モードで作動される電気機械によって生成されたブレーキトルクにより提供される回生のみの制動の間にブレーキ液で充填される。
【0033】
液圧で生成されるブレーキトルクが要求がされる場合、特に液圧式ブレーキシステム1の第1のブレーキトルクと発電機作動モードで作動される(図1には示していない)電気機械の第2のブレーキトルクとのブレーキトルク協調の際に、第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20と第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22とは完全に空にされる。
【0034】
第1のソレノイド弁16は、第1のブレーキ回路12の、自動車の後車軸25に配置された第1の車輪ブレーキ27に付設されている。第2のソレノイド弁18は、第2のブレーキ回路14の、自動車の後車軸25に配置された第2の車輪ブレーキ28に付設されている。
【0035】
さらに、ブレーキシステム1は、自動車の前車軸のそれぞれの車輪ブレーキ30,31を有している。また、ブレーキシステム1は複数の切換え可能な弁32,33,34,35,36,37,38,39,40,41を有している。これらの弁はその配置および機能性に関し当業者に公知であるので、ここで詳細に説明しない。
【0036】
図2は、本発明の有利な実施形態による自動車用ブレーキシステムを作動させるための方法のフローチャートである。
【0037】
ステップS1で、ブレーキシステム1内の液体の温度が予め設定された閾値、好ましくは-35℃を下回っているかどうかを検出する。下回っている場合には、ステップS2で、第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20と第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22とを完全に空にするために、第1のブレーキ回路12の第1のポンプ24と第2のブレーキ回路14の第2のポンプ26とを起動する。
【0038】
ブレーキシステム1内の液体の温度が-35℃を越えていること、すなわち予め設定された限界値を下回っていることが特定された場合には、ステップS3で、第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20と第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22とを空にするための時間が予め設定された閾値、好ましくは3秒を上回るかどうかを特定する。
【0039】
上回る場合には、ステップS4で、第1のブレーキ回路12の第1のポンプ24と第2のブレーキ回路14の第2のポンプ26とを起動し、その結果第1のブレーキ回路12の第1のポンプ24によって第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20が完全に空にされ、第2のポンプ26によって第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22が完全に空にされる。
【0040】
貯留室20,22を完全に空にするための検出された時間が予め設定された3秒の閾値を下回っている場合には、ステップS5で、第1のブレーキ回路12の第1のソレノイド弁16と第2のブレーキ回路14の第2のソレノイド弁18とをそれぞれ開き、その結果第1のブレーキ回路12の第1のソレノイド弁16が開くことによって第1のブレーキ回路12の第1の貯留室20が空にされ、第2のブレーキ回路14の第2のソレノイド弁18が開くことによって第2のブレーキ回路14の第2の貯留室22が空にされる。
【0041】
本発明を有利な実施形態に基づいて上述したが、本発明はこれに限定されるものではなく、多種多様に変更が可能である。特に、本発明は、発明の主旨を逸脱しなければ種々に改変または変更することができる。
【0042】
たとえば、ソレノイド弁および/または貯留室のサイズ、性能または構成は、その都度の構造的、組織的および/または制御技術的要請に適合させてよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ブレーキシステム
2 制御装置(ブレーキシステム内の液体の温度を検出するための装置)
10 ブレーキマスタシリンダ
12 第1のブレーキ回路
14 第2のブレーキ回路
16 第1のソレノイド弁
18 第2のソレノイド弁
20 第1の貯留室
22 第2の貯留室
24 第1のポンプ
26 第2のポンプ
図1
図2