(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】試験管把持装置、及び試験管把持方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B25J15/08 B
(21)【出願番号】P 2019140098
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 澤道
(72)【発明者】
【氏名】南 蒼一郎
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-105374(JP,A)
【文献】特開平4-19087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口部と側面を有する試験管を把持するための試験管把持装置であって、
前記試験管に対して前記試験管の外側から当接する第1の把持部と、
前記試験管に対して前記試験管の内側から当接する第2の把持部と、
前記第1の把持部が試験管の外周に前記第2の把持部に対して対向配置されるとともに、前記第2の把持部が前記試験管の前記上端開口部に挿入された第1の状態において、前記第2の把持部に駆動力を供給する駆動部とを含み、
前記駆動力の供給によって、前記第1の把持部が前記試験管の側面の外表面に当接するとともに、前記第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に当接して、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が前記試験管を把持する第2の状態となり、
前記第2の把持部は、前記第1の状態において下方を向き、前記駆動部からの駆動力を受けて前記試験管の側面の内表面に向かって傾く、
試験管把持装置。
【請求項2】
前記第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に向かって移動を開始し、前記第2の状態に至るまでの間、前記第1の把持部は静止状態である、
請求項
1に記載の試験管把持装置。
【請求項3】
前記第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に向かって移動を開始する前に、前記第1の把持部は、前記試験管の側面の外表面に向かってスライドする、
請求項
1又は2に記載の試験管把持装置。
【請求項4】
前記第1の把持部は、前記第2の状態において、前記試験管の側面の外表面と、四点、二線、及び二面のいずれかで当接する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の試験管把持装置。
【請求項5】
前記第1の把持部は、前記試験管の中心を通る鉛直軸方向に沿って配置され、前記試験管の外周に対向する、鈍角に開いた二面を有する、
請求項
4に記載の試験管把持装置。
【請求項6】
前記第1の把持部の前記二面が平板状部材により形成されている、
請求項
5に記載の試験管把持装置。
【請求項7】
上端開口部と側面を有する試験管を把持するための試験管把持装置であって、
前記試験管に対して前記試験管の外側から当接する第1の把持部と、
側面が円柱の側面形状を有し、前記試験管に対して前記試験管の内側から当接する第2の把持部と、
前記第1の把持部が試験管の外周に前記第2の把持部に対して対向配置されるとともに、前記第2の把持部が前記試験管の前記上端開口部に挿入された第1の状態において、前記第2の把持部に駆動力を供給する駆動部とを含み、
前記駆動力の供給によって、前記第1の把持部が前記試験管の側面の外表面に当接するとともに、前記第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に当接して、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が前記試験管を把持する第2の状態となり、
前記第2の把持部は、前記第1の状態において下方を向き、前記駆動部からの駆動力を受けて前記試験管の側面の内表面に向かって傾く
、
試験管把持装置。
【請求項8】
一端部と他端部とを有し、前記一端部が回転軸に取り付けられ、前記他端部に前記駆動部からの駆動力を受けて前記回転軸周りに回転する回転部材をさらに含み、
前記第2の把持部は、前記回転部材に接続される基端部と先端部とを有する棒状部材であり、前記回転部材の回転によって前記先端部が前記試験管の側面の内表面に向かって回転する、
請求項
1又は7に記載の試験管把持装置。
【請求項9】
前記回転軸が水平方向に配置され、前記回転部材の前記他端部が前記駆動部からの駆動力を受けて下向きに回転し、
前記第2の把持部の前記基端部は、前記回転部材の、前記回転軸と前記駆動部により当接される被当接部とを結ぶ直線の中点、又は前記中点より前記回転軸に近い位置において、前記回転部材と接続されており、前記他端部の下向きの回転によって前記先端部が前記側面の内表面に向かって回転する、
請求項
8に記載の試験管把持装置。
【請求項10】
前記回転部材は、前記他端部を上向きに前記回転軸周りに回転させる付勢力が付与されており、前記他端部が前記駆動力を受けた場合に前記付勢力に抗して下向きに前記回転軸周りに回転し、
前記駆動力を受けておらず、前記他端部が前記付勢力により上向きに回転する場合に前記駆動部に接触し、前記第2の把持部の先端部を下向き状態にするストッパをさらに含む、
請求項
9に記載の試験管把持装置。
【請求項11】
前記駆動部が、プッシュ動作又はプル動作によって前記第2の把持部に駆動力を供給するプランジャを有するソレノイドを含む、
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の試験管把持装置。
【請求項12】
前記第2の状態において、把持された前記試験管を前記試験管の中心を通る鉛直軸周りに回転させる試験管用回転軸に駆動力を供給する、試験管回転用駆動部をさらに含む、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の試験管把持装置。
【請求項13】
上端開口部と側面を有する試験管を把持するための試験管把持方法であって、
第1の把持部が前記試験管の外周に第2の把持部に対して対向配置されるとともに、前記第2の把持部が前記試験管の前記上端開口部に挿入された第1の状態において、前記第
2の把持部に駆動力を供給する工程と、
前記駆動力の供給によって、前記第1の把持部が前記試験管の側面の外表面に当接するとともに、前記第1の状態において下方を向いた前記第2の把持部
が前記試験管の側面の内表面に向かって傾くことで前記試験管の側面の内表面に当接して、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が前記試験管を把持する工程と、
を含む試験管把持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管把持装置、及び試験管把持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下のような試験管搬送装置がある(例えば、特許文献1)。試験管に当接する当接部を、把持指本体部の下端に、回転軸回りに回転可能に取り付ける。把持指駆動部で把持指本体部を閉じていく際、テーパ付き試験管の側面に当接部が接触すると、以降把持指本体部の閉動作に伴い、当接部が試験管の側面に追従して回転する。そして、最終的に、当接部の当接面が試験管の側面に密着した状態で、試験管が把持される。
【0003】
また、複数個の把持爪と、該把持爪を同期的に開閉移動可能に連結するリンク機構と、前記把持爪を開閉移動させるための駆動部を設けて構成された把持装置において、前記駆動部を前記把持爪の把持中心より放射状に作動するように、前記各把持爪に対応してその出力軸を、前記把持爪に直接連結した把持装置がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-105374号公報
【文献】特開平04-159092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の先行技術(先行技術1)では、試験管を把持する把持指を駆動させるための空間(把持指自体の体積を含む)が試験管外部の両側で必要となる。このため、試験管外周部周辺の空間的制限(駆動部の動き代)が大きい。これにより、試験管外側に空間的な余裕が少ない場合、把持指が把持する対象である試験管周辺の部材に干渉してしまう問題があった。特に、ラックに複数の試験管が配置された状態で試験管を回転させる場合、試験管が並んで配置された軸に対して試験管を把持する把持指の位置が一定ではないため、試験管外周の全方位に対して把持部が干渉してしまう問題があった。また、空間的制限を小さくするために駆動部の動き代を小さくすると、把持力が弱まってしまう問題もあった。
【0006】
特許文献2記載の先行技術(先行技術2)では、試験管外部への空間的制限は無い。しかし、試験管内部の空間内に二本の把持部を挿入するために、挿入時における把持部の試験管に対する位置決めに高精度が要求される(位置のばらつきの許容範囲が狭い)、という問題があった。
【0007】
本発明は、試験管の把持に要する空間を小型化できるとともに、把持部の試験管内への挿入の困難性を緩和することのできる試験管把持装置、及び試験管把持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例の一つは、上端開口部と側面を有する試験管を把持するための試験管把持装置である。この試験管把持装置は、前記試験管に対して前記試験管の外側から当接する第1の把持部と、前記試験管に対して前記試験管の内側から当接する第2の把持部と、
前記第1の把持部が試験管の外周に前記第2の把持部に対して対向配置されるとともに、前記第2の把持部が前記試験管の前記上端開口部に挿入された第1の状態において、前
記第2の把持部に駆動力を供給する駆動部とを含み、
前記駆動力の供給によって、前記第1の把持部が前記試験管の側面の外表面に当接するとともに、前記第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に当接して、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が前記試験管を把持する第2の状態となる、
試験管把持装置である。
また、本発明の実施例は、試験管把持方法を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、試験管の把持に要する空間を小型化できるとともに、把持部の試験管内への挿入の困難性を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、実施形態に係る試験管把持装置を側方から見た図であり、
図1Bは、試験管把持装置の断面図である。
【
図3】
図3は、回転部材及び第2の把持部の説明図である。
【
図4】
図4は、制御装置の回路構成と、駆動源及びアクチュエータの構成例を示す。
【
図5】
図5A及びBは、試験管把持装置の把持動作の説明図である。
【
図6】
図6A及びBは、試験管把持装置の把持動作の説明図である。
【
図7】
図7A及びBは、試験管把持装置の把持動作の説明図である。
【
図8】
図8は、試験管把持装置を用いて、ラックから試験管を取り出してラベルを貼付し、再びラックに戻すまでの動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態に係る試験管把持装置は、試験管外周部に配置する第1の把持部(外周把持部)と、試験管内部に配置する第2の把持部(可動把持部)とによって試験管を把持する構成を有する。この構成によって、試験管の内側及び外側に把持部を配置することで、把持に要する空間が、試験管の外側と内側のいずれかに偏ることが回避される。これによって、試験管の外周部において、把持部が隣接する他の試験管などに干渉することを抑制できる。また、試験管内に把持部を挿入する際の、試験管に対する把持部の位置決めに関して、位置のばらつきを許容する範囲が広がる。また、試験管の側面を内側と外側から挟み込む構成であるため、試験管のサイズによらず把持力が一定となる。また、第1の把持部が試験管の外側にあるため、第2の把持部は単純な形状で実現可能であり、試験管内部に挿入する第2の把持部の体積を小さくすることができる。
【0012】
さらに、第1の把持部と第2の把持部との把持動作において第1の把持部が稼働しない(静止状態を保つ)構成を採用することができる。この構成の採用により、把持動作において第1の把持部に関して必要な空間を小さくすることができる(第1の把持部が動かないため)。このため、第1の把持部は単純な形状で小型化することができる。これによって、ラックに配置された試験管の間に第1の把持部を挿入したり、ラックに保持させた試験管をその軸周りに回転させたりする際に、第1の把持部が他の試験管へ干渉することを防ぐことができる。さらに、第1の把持部が、四点、二線、及び二面のいずれかで試験管の外周面と接する構成を採用することができる。当該構成により、試験管の自由度を拘束し、試験管の姿勢を第1の把持部の姿勢に合わせて矯正して把持することができる。
【0013】
一例として、実施形態に係る試験管把持装置は、以下の構成を有する。
(1)試験管に対して試験管の外側から当接する第1の把持部
(2)試験管に対して試験管の内側から当接する第2の把持部
(3)第1の把持部が試験管の外周に第2の把持部に対して対向配置されるとともに、第2の把持部が試験管の上端開口部に挿入された第1の状態において、第1の把持部と第2の把持部との少なくとも一方に駆動力を供給する駆動部
(4)試験管把持装置は、駆動力の供給によって、第1の把持部が試験管の側面の外表面に当接するとともに、第2の把持部が試験管の側面の内表面に当接して、第1の把持部及び第2の把持部が試験管を把持する第2の状態となる。
【0014】
試験管把持装置によれば、上端開口部と側面を有する試験管に関して、試験管の側面を外側と内側から把持する(挟む)ため、試験管の把持に要する試験管外側のスペースを先行技術1に比べて小さくすることができる。また、先行技術2に比べて、試験管内に挿入する対象部品が減少するため、挿入のための試験管に対する把持部の位置決めの精度に対する要求が緩和される。換言すれば、把持部の挿入作業が容易になる。このように、実施形態に係る試験管把持装置によれば、把持に要するスペースの小型化を図ることができるとともに、把持部の試験管内への挿入の困難性を緩和することができる。
【0015】
実施形態に係る試験管把持装置において、駆動部からの駆動力を受けて、第1の把持部及び第2の把持部のうち、いずれか一方が稼働するのでも、双方が稼働するのでもよい。但し、第1の把持部に関して必要な試験管周りの空間を小さくするために、第1の把持部は非稼働とし、第2の把持部のみが稼働する構成を採用するのが好ましい。すなわち、試験管把持装置において、第2の把持部が前記試験管の側面の内表面に向かって移動を開始し、第2の状態に至るまでの間、第1の把持部は静止状態である、構成を採用するのが好ましい。第2の状態は、駆動力の供給によって生じる状態であり、駆動力の供給開始時点において、第1の把持部は試験管の側面の外表面に当接(接触)していてもしていなくてもよい。
【0016】
実施形態に係る試験管把持装置において、第2の把持部が試験管の側面の内表面に向かって移動を開始する前に、第1の把持部は、試験管の側面の外表面に向かってスライドする、構成を採用してもよい。このようにすれば、試験管の外周に第1の把持部を沿わせた状態で、駆動部からの駆動力による把持動作を開始することができる。
【0017】
実施形態に係る試験管把持装置において、第1の把持部が、把持状態において、前記試験管の側面の外表面と、四点、二線、及び二面のいずれかで接する構成を採用するのが好ましい。このようにすれば、第2の把持部との把持状態において、試験管を適正な姿勢(例えば、垂直な状態)で把持することができる。この場合、第1の把持部は、試験管の中心軸方向に沿って配置され、試験管の外周に対向する、鈍角に開いた二面を有する構成を採用するのが好ましい。この二面を試験管の外周に対向させて、接近させた場合に、試験管と二面の夫々とが、二点、一線、一面のいずれかで接することにより、四点、二線、及び二面のいずれかで接する状態となる。また、第1の把持部の二面が平板状部材により形成されている構成を採用するのが好ましい。当該構成の採用により、第1の把持部の形状の単純化、小型化を図ることができる。また、第1の把持部を試験管の中心軸周りに回転させた場合に要する空間を小さくすることができる。
【0018】
実施形態に係る試験管把持装置において、第2の把持部は、第1の状態において下方を向き、駆動部からの駆動力を受けて試験管の側面の内表面に向かって傾く構成を採用してもよい。ここで、下方を向くとは、第2の把持部の長手方向の軸と地面に対する鉛直軸とが形成する角度が、90度以下であることをいい、好ましくは30度以下、さらに好まし
くは、10度以下である。また、実施形態に係る試験管把持装置において、第2の把持部が、第1の把持部に向かってスライドする構成を採用してもよい。
【0019】
第2の把持部が試験管の側面の内表面に向かって傾く構成を採用する場合、一端部と他端部とを有し、一端部が回転軸に取り付けられ、他端部に駆動部からの駆動力を受けて回転軸周りに回転する回転部材をさらに含み、第2の把持部は、回転部材に接続される基端部と、先端部とを有する棒状部材(ロッド、又はシャフト)であり、回転部材の回転によって先端部が試験管の側面の内表面に向かって回転する、構成を採用するのが好ましい。回転軸の配置方向は、例えば水平方向、鉛直方向であるが、これら以外でもよい。基端部は、例えば回転部材の下面に取り付けられるが、側面でもよい。なお、回転部材に対する駆動力の付与方向は、上下方向(鉛直方向)でも、左右方向(水平方向)でもよい。
【0020】
回転部材を用いる構成が採用される場合、回転軸が水平方向に配置され、回転部材の他端部が駆動部からの駆動力を受けて下向きに回転し、第2の把持部の基端部は、回転部材の、回転軸と被当接部とを結ぶ直線の中点、又は中点より回転軸に近い位置において、回転部材と接続されており、他端部の下向きの回転によって先端部が側面の内表面に向かって回転する構成を採用するのが好ましい。このようにすれば、梃子の原理により、回転軸が支点、他端部の駆動力を受ける部分が力点、第2の把持部(棒状部材)が作用点となって、先端部を強い力で試験管の側面の内表面に当接させることができ、適正に試験管を把持可能となる。
【0021】
また、回転部材を用いる構成が採用される場合、回転部材は、他端部を上向きに回転させる付勢力が付与されており、他端部が駆動力を受けた場合に付勢力に抗して下向きに回転し、他端部が付勢力により上向きに回転する場合に駆動部に接触し、第2の把持部の先端部を下向き状態にするストッパをさらに含む構成を採用してもよい。これにより、駆動力が存在しない場合に、自動的に第2の把持部の先端部が下向き状態となるような構成とすることができる。ここで、下向き状態とは、第2の把持部の先端部の長手方向の軸と地面に対する鉛直軸とが形成する角度が、90度以下であることをいい、好ましくは30度以下、さらに好ましくは、10度以下である。
【0022】
実施形態に係る試験管把持装置において、駆動部が、プッシュ動作又はプル動作によって第2の把持部に駆動力を供給するプランジャを有するソレノイドを含む構成を採用してもよい。駆動源として、ソレノイド以外のものを適用してもよい。例えば、圧縮空気を用いて駆動力を供給するもの(例えば、エアチャック)であってもよい。
【0023】
実施形態に係る試験管把持装置に関して、第2の状態において、把持された試験管を前記試験管の中心を通る鉛直軸周りに回転させる試験管用回転軸に駆動力を供給する試験管回転用駆動部をさらに含む、構成を採用するのが好ましい。
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0025】
図1Aは、実施形態に係る試験管把持装置10を側方から見た図であり、
図1Bは、試験管把持装置10の断面図である。
図2は、第1の把持部(側面の外表面把持部)の説明図であり、
図3は、回転部材及び第2の把持部の説明図である。
【0026】
試験管把持装置10は、分析対象の液体試料(例えば尿、血液などの生体試料、生体試料以外でもよい)を収容する試験管(スピッツ管と呼ばれる)1をラック2から取り出し、ラベル貼付位置まで搬送し、ラベル貼り付け後、ラック2に試験管を再度配置するために、試験管を把持する装置である。試験管1は、下端が閉じて上端が開口された円筒状の
容器であり、上端開口部と側面とを有する。
【0027】
図1A及び1Bにおいて、試験管把持装置10は、相互に直交するX方向とY方向を有している。Y方向は上下方向(鉛直方向)に配置され、X方向は水平方向(左右方向又は前後方向)に配置される。
【0028】
試験管把持装置10は、把持された試験管1を鉛直軸周りに回転させる回転軸11(試験管用回転軸の一例)と、回転軸11の下方に連結された、ソレノイド12の保持部13とを含む。ソレノイド12は、保持部13の側方に連結されている。保持部13の下端には、第1の把持部(側面の外表面把持部)16が連結されている。これらの連結方法は、本実施形態ではネジ止めであるが、それ以外の方法であってもよい。
【0029】
保持部13の中間部(第1の把持部16の取り付け位置より上方)には、回転軸14が設けられており、回転軸14には、回転部材15の一端部が取り付けられている。回転部材15の下面には、棒状部材である第2の把持部(側面の内表面把持部)17の基端部17aが取り付けられている。これらの取り付け方法は、ネジ止めや溶接などが挙げられるが、特に限定されず、回転部材15と第2の把持部が一体となっていてもよい。
【0030】
図1A及び1Bは、試験管把持装置10がラック2に立てられた試験管1に向かって降下し、第1の把持部16が試験管1の外周に対向配置され、第2の把持部17の先端部17bが試験管1の上端開口部1aから試験管1の内部に挿入された状態(挿入状態という。第1の状態に相当)を示している。ここで対向配置とは、第1の把持部16と第2の把持部17が試験管の側面を挟み込んだ際に、試験管1の側面を把持できる配置であればよく、第1の把持部16の試験管1との接点と第2の把持部17の試験管1との接点がずれていてもよい。また、試験管1を把持したときの安定性の観点から、第
1の把持部1
6は試験管1と複数箇所で当接し、第
2の把持部1
7の試験管1との接点は第
1の把持部1
6の試験管1との複数の接点の中間点に位置することが好ましい。
【0031】
図2に示すように、第1の把持部16は、試験管1の中心軸1bの方向に沿って配置される。通常、中心軸1bが
図2に示すY方向(鉛直方向)に配置されるように試験管1は立てられる。第1の把持部16は、試験管1の外周に向かって開いたハの字型をしており、外周に対向する面16A、16Bを有している。面16A、16Bのなす角度θは鈍角となっている。
図2に示す例では、平板状の金属板をハの字型に折り曲げて第1の把持部16を形成しているが、二枚の金属板を所定角度で接合することで、第1の把持部16を形成してもよい。
【0032】
第1の把持部16は、試験管1の把持状態において、少なくとも四点(
図2中の、面16Aにおける点p1及びp2と、面16Bにおける点p3及びp4)で試験管1の側面の外表面と接触する。但し、点p1と点p2とを結ぶ直線L1、及び点p3と点p4を結ぶ直線L2の二線で側面の外表面と接触してもよい。或いは、点p1及びp2、直線L1を含むような面s1と、点p3及びp4、直線L2を含むような面s2との二面で側面の外表面と接触してもよい。上記した各点p1~p4、直線L1及びL2、面s1及びs2には、側面の外表面との摩擦力を増す材料(ゴム、樹脂、シリコンなど)が塗布、貼付、接着、コーティングなどによって取り付けられるのが好ましい。
【0033】
図3に示すように、ソレノイド12は、Y方向に稼働するプランジャ(可動鉄心:磁性体)12Aを有するプッシュ型のソレノイドである。プランジャ12Aの下端は、ソレノイドコイルへの通電時に、下方へ突出する。
【0034】
回転軸14は、
図3において、X方向と直交する方向(Z方向、水平方向)に配置され
ている。回転部材15は、一端部15aと他端部15bとを有し、一端部15aが回転軸14に取り付けられている。他端部15bには、孔15cが設けられ、孔15cには、回転部材15の上面から、弾性部材(受け部)15Aがはめ込まれている。弾性部材15Aの上部は、回転部材15の上面から盛り上がった状態となっている。孔15c(弾性部材15A)は、プランジャ12Aの下端と対応する位置に設けられている。
【0035】
また、孔15cの隣には、らせん溝が掘られた貫通孔15dが形成されている。貫通孔15dには、らせん溝と噛み合うネジ15Bが貫通し、ネジ15Bの先端は、回転部材15の上面から突出している。
【0036】
ここに、回転軸14にはバネ14Aが取り付けられており、回転部材15の他端部15bを上向きに(
図3では時計回りに)回転させる付勢力が付与されている。ネジ15Bの先端は、ソレノイド12の筐体と接触し、回転部材15の上向きの回転を止める。ネジ15Bの突出量の調整によって、回転部材15が水平方向(X方向)に置かれた状態にすることができる。このとき、プランジャ12Aの下端と、弾性部材15Aとが、
図3に示すように対向状態となる。ソレノイド12の通電(オン)によってプランジャ12Aの下端が弾性部材15Aに当接するようになっている。プランジャ12Aは当接部の一例で、弾性部材15Aが被当接部の一例である。また、ネジ15Bはストッパの一例である。
【0037】
回転部材15の一端部15aと他端部15bとの中間部に、第2の把持部(棒状部材)17が接続されている。回転軸14の中心と弾性部材の中心(孔15cの中心軸)との直線距離(
図3ではDで示す)の中点Cより、回転軸14に近い位置に、孔15eが形成されている。換言すれば、回転軸14の中心から中点Cまでの直線距離(D/2)より、回転軸14の中心から孔15eの中心軸までの直線距離D1が短い。これにより、支点に対して作用点が近くなることにより、第2の把持部が試験管の側面の内表面を当接する力が大きくなるという効果が得られる。
【0038】
第2の把持部17の基端部17aが、回転部材15の下面から孔15eに差し込まれることによって、第2の把持部17が回転部材15に取り付けられている。第2の把持部17は、回転部材15と直交する状態で取り付けられており、回転部材15が水平方向(X)方向に配置されたとき、第2の把持部17は、鉛直方向(Y方向)に配置される。これを通常姿勢(初期姿勢)とする。
【0039】
第2の把持部17の試験管1への挿入は、試験管把持装置10の全体をラック2に立てた試験管1の上端開口部1aに向かって下降させることで行われる。このとき、試験管1は、その中心軸1b(
図2)が鉛直方向になるように立てられるため、第2の把持部17が通常姿勢であると、第2の把持部17を平面視したときの面積を小さくすることができ、試験管1に対する第2の把持部17の位置決め条件が緩和される。
【0040】
図1Bに戻って、第2の把持部17の先端部17bには、試験管1の側面の内表面との摩擦を増すための部材(ゴム、シリコン、樹脂など)の取り付け、又は表面加工が施されている。
【0041】
試験管把持装置10は、回転軸11を中心に回転可能である。また、試験管把持装置10は、Y方向の移動(上下動(上昇及び下降))と、X方向の移動(水平移動、スライド)が可能である。これらの回転及び移動は、アクチュエータ(動力伝達機構)30によって行われる。アクチュエータ30の動作、及びソレノイド12の動作は、制御装置40によって制御される。
【0042】
図4は、制御装置40の回路構成と、アクチュエータ30の構成例を示す。制御装置4
0は、バスBを介して相互に接続された、メインCPU(Central Processing Unit)4
1と、サブCPU42と、記憶装置43と、入力装置44と、出力装置45とを含む。
【0043】
入力装置44は、データの入力に使用される。出力装置45は、データや情報の出力(表示、印刷、ネットワークへの送信など)を行う。記憶装置43は、プログラムやデータを記憶する。メインCPU41は、記憶装置43に記憶されたプログラムを実行することによって、入力装置44からのデータの受付や、出力装置45へのデータの出力制御を行う。また、メインCPU41は、プログラムに従って、サブCPU42に、試験管把持装置10の動作指示を与える。サブCPU42は、プログラムの実行を通じて、メインCPU41からの動作指示に従い、試験管把持装置10の動作を制御する。
【0044】
サブCPU42は、アクチュエータ30と、把持部開閉駆動源49と、ラベルエッジセンサ50と接続されている。
図4に示す例では、アクチュエータ30は、駆動源として、昇降用パルスモータ46と、水平移動用パルスモータ47と、回転用パルスモータ48とを含み、アクチュエータとして、昇降用パルスモータ46に接続された昇降機構51と、水平移動用パルスモータ47に接続されたスライド機構52と、回転用パルスモータ48に接続された回転機構53とを有する。
【0045】
昇降用パルスモータ46は、サブCPU42からの命令に含まれた回転方向及び回転量に従って回転し、昇降機構51を稼働させて試験管把持装置10を所定量だけ昇降させる。水平移動用パルスモータ47は、サブCPU42からの命令に含まれた回転方向及び回転量に従って回転し、スライド機構52を稼働させて試験管把持装置10を所定量だけX方向にスライド移動させる。回転用パルスモータ48は、サブCPU42からの命令に含まれた回転方向及び回転量に従って回転し、回転軸11の回転機構53を稼働させて試験管把持装置10を所定量だけ所定の方向に回転させる。
【0046】
把持部開閉駆動源49は、本実施形態ではソレノイド12であり、サブCPU42は、適宜のタイミングでソレノイド12に対する通電をオンオフする。ソレノイド12への通電がオフの間は、プランジャ12Aは初期位置に位置し、通電がオンの間は、プランジャ12Aが下方に移動する。把持部開閉駆動源49は、ソレノイド12の代わりに、空気圧で回転部材15の他端部15bを下方に押し下げるようなものであってもよい。
【0047】
ラベルエッジセンサ50は、試験管に貼付されたラベルのエッジ(端)の位置を光学的に検出する。ラベルの端の位置を特定した後に、ラベルの位置が所定の位置に来るように予め設定された回転量の回転が行われる。
【0048】
【0049】
試験管1を収容したラック2が所定位置に到着すると、サブCPU42が昇降用パルスモータ46に下降命令を与えて、昇降用パルスモータ46が昇降機構51を制御して、試験管把持装置10を所定量だけ下降させる。これによって、第1の把持部16及び第2の把持部17が挿入状態(第1の状態)となる。
【0050】
次に、サブCPU42は、水平移動用パルスモータ47にスライド命令を与えて、水平移動用パルスモータ47がスライド機構52を制御して、第1の把持部16が試験管1に接近する方向に、試験管把持装置10を所定量だけスライド移動させる(
図6A)。これによって、第1の把持部16が試験管1の外周と接触する(
図6B)。このとき、試験管
1の姿勢を矯正される場合もある。但し、このスライド移動によって、第1の把持部16が試験管1に接触することは必ずしも必要ではない。次の工程で、第2の把持部17が移動して試験管1に当接した場合に試験管1が揺れるのを抑えられればよい。
【0051】
次に、サブCPU42は、把持部開閉駆動源49(ソレノイド12)にオン信号を与えて(ソレノイドコイルに電流を通電させて)、ソレノイド12をオン状態にする。これによって、プランジャ12Aが下方に突出して、回転部材15の他端部15bにある弾性部材15Aと当接する。回転部材15は、プランジャ12Aの押圧力により、バネ14Aの付勢力に抗して押し下げられ、回転軸14を中心に下向きに回転する。これによって、第2の把持部17が回転部材15と一体に回転し、先端部17bが試験管1の側面の内表面に向かって移動し、やがて当接する。これによって、試験管1の側面が、試験管1にその
外側から当接する第1の把持部16と試験管1にその内側から当接する第2の把持部17とで強固に把持された状態となる。
【0052】
図8は、試験管把持装置10を用いて、ラック2から試験管1を取り出してラベルを貼付し、再びラック2に戻すまでの動作を説明する図である。
図8のX方向に関して、紙面の左側が前(手前)で、紙面の右側が後ろ(奥)であると仮定する。但し、X方向は左右方向であってもよい。
図9は、
図8に示す動作の工程表である。
図8に示す動作は、サブCPU42が、アクチュエータ30、把持部開閉駆動源49(ソレノイド12)、及びラベルエッジセンサ50を用いて行われる。
【0053】
図8において、試験管把持装置10は、サブCPU42によるアクチュエータ30の制御によって、ラック位置(P1)に配置される(
図8、
図9の(1))。
図8において、ラック位置(P1)は、
図8の左上の一点鎖線枠により図示される。ラック位置(P1)では、試験管把持装置10は、基準高さ(H1)にある。また、ソレノイド12に対する通電はオフであり、第1の把持部16及び第2の把持部17は、把持を解放した状態(解放状態)である。
【0054】
試験管1を収容したラック2が床面(XZ平面)上の所定位置に配置(或いは、所定位置に搬送される)と、サブCPU42が下降命令を出力し、試験管把持装置10が所定の挿入高さ(H2)まで下降する(
図8及び
図9の(2))。これにより、試験管1に対して、第1の把持部16及び第2の把持部17が挿入状態となる(
図5A及び5B)。
【0055】
次に、サブCPU42がスライド命令を出力し、試験管把持装置10が、X方向の前側に向かって移動する(
図8及び
図9の(3))。これによって、第1の把持部16が試験管1の外周に接触する状態となる(
図6A及び6B)。
【0056】
次に、サブCPU42が、ソレノイド12にオン信号を与えて、プランジャ12Aを下方に突出させる。プランジャ12Aが弾性部材15Aに当接することにより、回転部材15及び第2の把持部17を回転させて、第1の把持部16及び第2の把持部17が試験管1の側面を挟み込む形で試験管1を把持した把持状態にする(
図8及び
図9の(4)、
図7A及び7B)。
【0057】
次に、サブCPU42が上昇命令を出力し、試験管把持装置10が把持状態を維持したままで、基準高さ(H1)まで上昇する(
図8及び
図9の(5))。
【0058】
次に、サブCPU42がスライド命令を出力し、試験管把持装置10が所定量、X方向の後ろ側に向かって移動し、ラベル貼付位置(P2)で停止する(
図8及び
図9の(6))。
図8において、ラベル貼付位置(P2)は、
図8の右上にある一点鎖線枠で図示される。次に、サブCPU42が下降命令を出力し、試験管把持装置10が所定のラベル貼付
高さ(H3)まで下降する(
図8及び
図9の(7))。これにより、試験管1がラベル貼付装置60に載置された状態となる。
【0059】
次に、サブCPU42は、ソレノイド12への通電をオフにして、試験管1の把持状態を解放する(
図8及び
図9の(8))。すなわち、プランジャ12Aが上方に引っ込んで弾性部材15Aとの当接状態が解除される。すると、回転部材15の他端部15bは、バネ14Aの付勢力によって、回転軸14周りを上向きに回転し、ネジ15Bの先端がソレノイド12の筐体に当接して回転部材15の回転を止める。このとき、回転部材15は水平方向に延びて、回転部材15と直交する第2の把持部17は、鉛直方向に配置された状態となる。次に、サブCPU42が上昇命令を出力し、試験管把持装置10が解放状態を維持したままで、基準高さ(H1)まで上昇し、ラベル貼付位置(P2)にて待機する状態となる(
図8及び
図9の(9))。
【0060】
ラベル貼付装置60は、試験管1の外周面にラベル70を貼付する(
図8の(9A))。サブCPU42は、下降命令を出力し、試験管把持装置10が所定のラベル貼付高さ(H3)まで下降する(
図8及び
図9の(10))。これにより、第1の把持部16及び第2の把持部17がラベル貼付装置60に載置された試験管1に対して挿入状態となる。
【0061】
次に、サブCPU42が、ソレノイド12にオン信号を与えて、試験管1の把持状態にする(
図8及び
図9の(11))。次に、サブCPU42が上昇命令を出力し、試験管把持装置10が把持状態を維持したままで、基準高さ(H1)まで上昇する。これにより、試験管把持装置10がラベル貼付位置(P2)に戻る(
図8及び
図9の(12))。
【0062】
次に、サブCPU42がスライド命令を出力し、試験管把持装置10が所定量、X方向の前側に向かって移動し、ラベル検出位置(P3)で停止する(
図8及び
図9の(13))。
図8において、ラベル検出位置(P3)は、
図8の上部中央にある一点鎖線枠により図示される。次に、サブCPU42が、回転命令を出力して試験管を回転させながら、ラベルエッジセンサ50からの出力信号を用いて、ラベルの存在を検知しラベルの有無の境界をエッジとすることで、試験管に貼付されたラベル70のエッジ(端)の位置を検出する
(図8及び図9の(14))。
【0063】
ラベル70のエッジが検出されると、サブCPU42がスライド命令を出力し、試験管把持装置10が所定量、前側に向かって移動し、ラック位置(P1)で停止する(
図8及び
図9の(15))。
【0064】
サブCPU42は、エッジの位置を示す情報を用いて、試験管1のラベル70が所定の方向を向く試験管1の回転角度(基準角度からの回転角度)で試験管が回転するように、回転命令を出力して、回転角度だけ試験管1を回転軸11周りに回転させる(
図8及び
図9の(16))。
【0065】
次に、サブCPU42が下降命令を出力し、試験管把持装置10を挿入高さ(H2)まで下降させる(
図8及び
図9の(17))。次に、サブCPU42がソレノイド12への通電を停止して、試験管1の把持状態を解放する(
図8及び
図9の(1
8))。これにより、試験管1がラック2に再び収容された状態となる。
【0066】
その後、次に、サブCPU42が上昇命令を出力し、試験管把持装置10が基準高さ(H1)まで上昇し、ラック位置(P1)にて停止する(
図8及び
図9の(1
9))。
【0067】
図10A~Cは、
図8及び
図9の(16)の動作説明図である。
図10Aは(16)の工程において把持された試験管1と、その真下にあるラック2の様子を示し、ラック2に
おける、試験管1の収容位置の両隣にある収容位置には、他の試験管80A、80Bがそれぞれ収容されている。
【0068】
図10Bは、(16)の工程で、試験管1を、反時計回りに約
90度回転させた場合を示し、
図10Cは、(16)の工程で、試験管1を、時計回りに約
90度回転させた場合を示す。
図10B及び
図10Cに示すように、第1の把持部16がハの字に開いた薄い平板で形成されているため、試験管1の下降の際に、第1の把持部16が試験管80Aや試験管80Bに接触するのを回避できる。また、(16)の工程の代わりに、(17)の工程後に、試験管1を回転させることも考えられるが、この場合も、第1の把持部16が試験管80Aや試験管80Bに接触するのを回避することができる。
【0069】
実施形態に係る試験管把持装置10によれば、上記の様な構成によって試験管1の把持に要する空間を小型化できるとともに、把持部の試験管1内への挿入の困難性を緩和することができる。
【0070】
実施形態の構成は、以下のような変形が可能である。例えば、
図11に示す構成、すなわち、回転部材15が鉛直方向の軸周りに回転する構成を採用してもよい。
図11に示す変形例1では、回転部材15が、回転部材15を水平方向に回転させる回転軸14に取り付けられ、弾性部材15Aが回転部材15の側面に設けられている。図示を省略するが、ソレノイドは通電によってプランジャを側方に押し出し、プランジャが弾性部材15Aと当接する。これにより回転部材15が側方から押圧されて、回転軸14周りに回転し、第2の把持部17を回転させて、先端部17bを試験管1の側面の内表面に当接させる。
【0071】
また、
図12に示す構成、すなわち、プル型のソレノイド12を用いて回転部材15(第2の把持部17)を回転させる構成を採用してもよい。
図12に示す変形例2では、プランジャ12Aがリンク機構65などの接続部品(ワイヤやリングなどであってもよい)を介して回転部材15と接続されている。ソレノイド12がオンになると、プランジャ12Aが上方に移動して、回転部材15及び第2の把持部17を回転軸14周りに回転させる。
図11、
図12に示す例では、回転部材15の回転軸14(支点)は、弾性部材15A(力点)と第2の把持部17の基端部(作用点)との間にある。そして、第2の把持部17の基端部と回転軸14との直線距離は、弾性部材15Aと回転軸14との間の距離より短い。
【0072】
また、
図13Aのように、アクチュエータ30が、回転部材15の回転以外の方法で第2の把持部17を試験管1の側面の内表面に向かって傾けて試験管1を把持するようにしてもよい。第1の把持部16及び第2の把持部17の一方に磁性体を設け、他方を電磁石にすることが考えられる。
【0073】
また、
図13Bのように、第2の把持部17のスライド移動によって、試験管1が把持される構成を採用してもよい。この場合、アクチュエータ30は、X方向に延びる、外周にネジ溝が刻まれたシャフト90を含み、パルスモータを用いてシャフト90を所定量回転させることで、第2の把持部17がX方向に所定量だけ相対移動する構成を採用できる。実施形態で説明した構成は、発明の目的を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・試験管
10・・・試験管把持装置
11・・・試験管の回転軸
12・・・ソレノイド
12A・・・プランジャ
14・・・回転部材の回転軸
15・・・回転部材
16・・・第1の把持部
17・・・第2の把持部
30・・・アクチュエータ
40・・・制御装置
49・・・把持部開閉駆動源