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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20231228BHJP
   E05B 17/22 20060101ALI20231228BHJP
   E05C 3/24 20060101ALI20231228BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20231228BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E05F15/622
E05B17/22 B
E05C3/24
E05F7/00 F
E05B47/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019152039
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021031925
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】598063683
【氏名又は名称】株式会社 ユーシン・ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100155273
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118780(JP,A)
【文献】国際公開第2019/086279(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0336132(US,A1)
【文献】米国特許第9995066(US,B1)
【文献】特開2011-208414(JP,A)
【文献】特開2005-2603(JP,A)
【文献】特開2010-77619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 - 17/00
E05B 1/00 - 85/28
E05C 1/00 - 21/02
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物のドア枠に開閉自在に連結され、前記ドア枠を閉じるドアと、
前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ドア枠に設けられたストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチすると共に、作動することで前記ドアに対するラッチを解除するラッチ装置と、
前記ラッチ装置の前記ドアに対するラッチ解除を検知するラッチ解除検知部と、
前記ドアの内部に設けられ、退避位置から押出位置に移動可能に構成された押出部材と、制御部によって駆動して前記押出部材を移動させるモータと、前記押出部材の押出位置への移動を検知する押出位置検知部と、前記押出部材の退避位置への移動を検知する退避位置検知部と、を有し、前記押出位置において前記押出部材が前記ドアから前記ドアの厚み方向一方側へ突出し且つ前記ドア枠に当接して前記ドアを開方向へ押し出す押出装置と、
を備え、
前記ラッチ解除検知部によって前記ラッチ装置の前記ドアに対するラッチ解除を検知した後に、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置から押出位置へ移動させ、
前記モータの駆動開始から特定時間内に前記押出部材が押出位置へ移動しない場合には、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置へ移動させるドア装置。
【請求項2】
記押出部材が押出位置に移動した後、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を押出位置から退避位置へ移動させる請求項1に記載のドア装置。
【請求項3】
前記ドアには、前記ドアの開閉を検知する開閉検知部が設けられており、
前記モータの駆動開始後、前記押出部材が押出位置へ移動する前に前記ドアが開かれたときには、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置へ移動させる、又は、前記制御部が、前記モータの駆動を停止して前記押出部材を退避位置に維持させる請求項1又は請求項2に記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドア装置は、ラッチ装置を備えており、ラッチ装置がストライカに係脱自在に係合してドアをラッチするようになっている。このラッチ装置は、フォークレバー及びクローレバーを有している。フォークレバーは、ストライカと係合するラッチ位置と、ストライカとの係合状態が解除されるラッチ解除位置と、の間を回転するように構成されている。また、クローレバーは、ロック位置と許可位置との間を回転するように構成されている。そして、クローレバーのロック位置では、クローレバーが、ラッチ位置のフォークレバーに係合して、フォークレバーのラッチ解除位置への回転が制限されている。これにより、ドア装置のセキュリティ性能を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-60193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、建築基準法によって、建造物における所謂24時間換気システムの設置が必要になった。そして、建造物において24時間換気システムを設置すると、屋内と屋外との間の気圧差が生じることで、ドアを閉位置から開くときの荷重が高くなる場合がある。この場合には、ドアを開くときの操作性が悪化する可能性がある。したがって、建造物用のドア装置では、ドアを開くときの操作性を向上できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ドアを開くときの操作性を向上することができるドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、建造物のドア枠に開閉自在に連結され、前記ドア枠を閉じるドアと、前記ドアの内部に設けられ、前記ドアが閉じられたときに前記ドア枠に設けられたストライカに係脱自在に係合して前記ドアをラッチすると共に、作動することで前記ドアに対するラッチを解除するラッチ装置と、前記ラッチ装置の前記ドアに対するラッチ解除を検知するラッチ解除検知部と、前記ドアの内部に設けられ、退避位置から押出位置に移動可能に構成された押出部材と、制御部によって駆動して前記押出部材を移動させるモータと、前記押出部材の押出位置への移動を検知する押出位置検知部と、前記押出部材の退避位置への移動を検知する退避位置検知部と、を有し、前記押出位置において前記押出部材が前記ドアから前記ドアの厚み方向一方側へ突出し且つ前記ドア枠に当接して前記ドアを開方向へ押し出す押出装置と、を備え、前記ラッチ解除検知部によって前記ラッチ装置の前記ドアに対するラッチ解除を検知した後に、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置から押出位置へ移動させ、前記モータの駆動開始から特定時間内に前記押出部材が押出位置へ移動しない場合には、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置へ移動させるドア装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記押出部材が押出位置に移動した後、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を押出位置から退避位置へ移動させるドア装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ドアには、前記ドアの開閉を検知する開閉検知部が設けられており、前記モータの駆動開始後、前記押出部材が押出位置へ移動する前に前記ドアが開かれたときには、前記制御部が、前記モータを駆動させて前記押出部材を退避位置へ移動させる、又は、前記制御部が、前記モータの駆動を停止して前記押出部材を退避位置に維持させるドア装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、ドアを開くときの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態に係るドア装置を示す室外側から見た正面図である。
図2図2(A)は、ドアの閉位置における、押上装置が内蔵されたドアの左端部及びドア枠の一部を下側から見た下面図であり、図2(B)は、ドアの閉位置における、ラッチ装置が内蔵されたドアの左端部及びドア枠の一部を下側から見た下面図である。
図3図3は、図1に示されるラッチ装置のハウジング内を示す室外側から見た正面図である。
図4図4は、図3に示されるラッチ装置がロック解除状態に遷移した状態を示す室外側から見た正面図である。
図5図5(A)は、図3に示されるラッチ装置のハウジング内を示す下側から見た断面図(図3の5A-5A線断面図)であり、図5(B)は、ラッチ装置が図5(A)の状態からロック解除状態に遷移した状態を示す下側から見た断面図であり、図5(C)は、図5(B)の状態からストライカがフォークレバーから離脱した状態を示す下側から見た断面図である。
図6図6は、図1に示される押出装置のケース内を示す室外側から見た正面図である。
図7図7は、図6に示されるケースの内部を右側から見た側断面図(図6の7-7線断面図)である。
図8図8は、図6に示されるケースの内部を下側から見た断面図(図6の8-8線断面図)である。
図9図9(A)は、図7に示されるネジ軸と押出部材との結合状態を示す室外側且つ右側から見た斜視図であり、図9(B)は、図9(A)のネジ軸と押出部材との結合状態を示す室外側且つ左側から見た斜視図である。
図10図10は、図1に示される押出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図11図11(A)は、押出装置の押出部材が退避位置から押出位置側へ移動した状態を示す下側から見た断面図であり、図11(B)は、押出部材が押出位置に到達した状態を示す下側から見た断面図である。
図12図12(A)は、押出装置の押出部材が退避位置から押出位置側へ移動した状態を示す右側から見た断面図であり、図12(B)は、押出部材が押出位置に到達した状態を示す右側か見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るドア装置10について説明する。ドア装置10は、建造物用のドア装置として構成されている。図1に示されるように、ドア装置10は、建造物のドア枠14(図2参照)に回転可能に連結されたドア12と、ドア12の内部に設けられたラッチ装置30及び押出装置70と、ラッチ装置30及び押出装置70の作動を制御する制御部124と、を含んで構成されている。以下、始めに、ドア12及びドア枠14の構成について説明し、次いで、ラッチ装置30、押出装置70、及び制御部124について説明する。
【0013】
なお、以下の説明では、便宜上、ドア12を閉じた位置(閉位置)に配置した状態で説明する。また、図面において適宜示される、矢印INは室内側を示し、矢印OUTは室外側を示しており、以下の説明では、矢印IN及び矢印OUTの方向を、見込み方向という。また、図面において適宜示される、矢印UPは、上側(垂直方向一方側)を示しており、矢印RHは、室外側から見た右側(水平方向一方側)を示している。
【0014】
(ドア及びドア枠について)
ドア12は、上下方向を長手方向とし且つ見込み方向を厚み方向とした略矩形板状に形成されており、左右方向をドア12の幅方向としている。また、ドア12には、後述するラッチ装置30及び押出装置70が内蔵されている。このため、ドア12では、少なくともラッチ装置30及び押出装置70を内蔵する部分が中空になっている。ドア12の右端部(ドア12の幅方向一端部)は、ヒンジ部材22によって、上下方向を軸方向としてドア枠14に回転可能に連結されている。また、ドア12は、閉位置から室外側へ外開きに開く構成になっている。
【0015】
ドア12の見込み方向一方側(室内側)の壁部には、ドア12の左端部(ドア12の幅方向他端部、つまりドア12の開放端部であり、詳しくは、後述するラッチ装置30を内蔵する部分)において、挿入孔12Aが貫通形成されている。この挿入孔12Aは、上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されており、後述するストライカ16が、挿入孔12Aからドア12の内部に挿入される構成になっている。
【0016】
また、ドア12の見込み方向一方側の壁部には、挿入孔12Aの上側において、挿通部12Bが貫通形成されている。この挿通部12Bは、上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されており、後述する押出装置70の押出部材110の一部が、挿通部12Bからドア12の外部へ突出する構成になっている。
【0017】
ドア枠14の全体については、図示省略するが、ドア枠14は、全体としてドア12の外形に対応する略矩形枠状に形成されている。そして、図2(A)及び(B)に示されるように、ドア12の閉位置では、ドア12の左端部(開放端部)が、ドア枠14の受け部14Aに配置される設定になっている。この受け部14Aは、下側から見て、略クランク状に形成されている。具体的には、受け部14Aは、見込み方向に延在された第1受け面14A1と、第1受け面14A1における見込み方向一方側端部から右側へ延出された第2受け面14A2と、第2受け面14A2の右端部から見込み方向一方側へ延出された内周面14A3と、を含んで構成されている。そして、第1受け面14A1及び第2受け面14A2によって形成された切欠き状の空間内に、ドア12の先端部(開放端部)が配置されるようになっている。具体的には、ドア12の開放端面が第1受け面14A1と左右方向に対向配置され、ドア12の先端部における室内側の面が、第2受け面14A2と見込み方向に対向配置される構成になっている。
【0018】
ドア枠14の内周面14A3には、ストライカ16(図2(B)参照)が設けられている。ストライカ16は、左右方向を板厚方向とし且つ見込み方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、ストライカ16の基端部(室内側の端部)が、ドア枠14の内周面14A3に対して右側に隣接して配置されて、複数のネジによってドア枠14に締結固定されている。
【0019】
ストライカ16のドア枠14への固定状態では、ストライカ16の先端側(室外側)の部分が、第2受け面14A2よりも室外側へ突出している。そして、ドア12の閉位置において、ストライカ16の先端側の部分が、ドア12の挿入孔12Aからドア12の内部に侵入する構成になっている。
【0020】
図5(A)~(C)に示されるように、ストライカ16の先端側の部分には、略矩形状のストライカ孔16Aが貫通形成されている。このストライカ孔16Aは、後述するラッチ装置30のフォークレバー36とストライカ16とが係合するときに、フォークレバー36の一部が挿入される孔部として構成されている。また、ストライカ16の先端部(ストライカ孔16Aの周縁の一部を構成する部分)は、被係合部16Bとして構成されており、被係合部16Bが上下方向に延在されている。
【0021】
また、図2(A)及び(B)に示されるように、ドア枠14の第2受け面14A2には、右端部において、シール部材18が設けられている。シール部材18は、上下方向に延在された略長尺状に形成されると共に、弾性を有する部材によって構成されている。そして、ドア12の閉位置では、シール部材18が、弾性変形して、ドア12と第2受け面14A2との間をシールするようになっている。
【0022】
また、図1に示されるように、ドア12の左上端部には、「開閉検知部」としての開閉センサ20が設けられている。開閉センサ20は、磁気センサ等によって構成されて、後述する制御部124に電気的に接続されている。また、ドア枠14には、開閉センサ20に対応する位置において、マグネット(図示省略)が設けられている。これにより、後述する制御部124が、開閉センサ20の出力信号に基づいて、ドア12の開閉を検知する構成になっている。
【0023】
(ラッチ装置について)
ラッチ装置30は、ドア12の閉位置において、ストライカ16に係合してドア12をラッチする装置として構成されている。図1図3図5に示されるように、ラッチ装置30は、ドア12の挿入孔12Aに対応する部位の内部に配置されている。ラッチ装置30は、ラッチ装置30の外郭を構成するハウジング32を有している。また、ラッチ装置30は、ハウジング32内に収容された、フォークレバー36、クローレバー42、ラッチプレート50、規制レバー56、ラッチ用モータ62、及びハブ68を含んで構成されている。以下、ラッチ装置30の各構成について説明する。
【0024】
[ハウジングについて]
ハウジング32は、上下方向を長手方向とする中空の略矩形箱状に形成されており、ハウジング32の厚み方向がドア12の厚み方向と一致している。そして、ハウジング32が、ドア12の内部に収容されている。また、ハウジング32には、挿入孔12Aと対向する位置において、連通孔32Aが貫通形成されている。
【0025】
ハウジング32内には、連通孔32Aの右側において、上下一対のガイドプレート34が設けられている。このガイドプレート34は、上下方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、一対のガイドプレート34が、上下方向に所定の間隔をあけた状態で、ハウジング32に固定されている。
【0026】
[フォークレバーについて]
フォークレバー36は、一対のガイドプレート34の間に配置されている。フォークレバー36は、下側から見て、略扇形ブロック状に形成されている。そして、フォークレバー36が、第1支持軸38によって上下方向を軸方向として回転可能に支持されており、第1支持軸38は、一対のガイドプレート34に固定されている。これにより、フォークレバー36が、図5(A)に示される係合位置と、係合位置から回転方向一方側(図5(A)の矢印A方向側)へ回転された係合解除位置(図5(C)に示される位置)と、の間を回転可能に構成されている。
【0027】
また、フォークレバー36の回転方向一方側の端面は、係合面36Aとして構成されている。さらに、フォークレバー36の回転方向他方側の部分には、係合溝36Bが形成されている。そして、フォークレバー36の係合位置では、係合溝36Bが左側へ開放されると共に、ストライカ16の被係合部16Bが係合溝36B内に挿入されている。これにより、ストライカ16とフォークレバー36とが見込み方向に係合している。一方、フォークレバー36の係合解除位置では、係合溝36Bが、ハウジング32の連通孔32A側へ開放されて、被係合部16Bの係合溝36Bからの離脱を許可する構成になっている。
【0028】
なお、第1支持軸38には、トーションスプリングとして構成された付勢バネ40が装着されており、付勢バネ40は、フォークレバー36を係合解除位置側へ付勢している。これにより、フォークレバー36とストライカ16との係合が解除された状態では、フォークレバー36が、係合解除位置に保持される構成になっている。
【0029】
[クローレバーについて]
クローレバー42は、フォークレバー36の右側に配置されている。クローレバー42は、下側から見て、見込み方向一方側へ開放された略V字形ブロック状に形成されている。具体的には、クローレバー42は、第1アーム部42A及び第2アーム部42Bを有している。そして、第1アーム部42A及び第2アーム部42Bの結合部が、第2支持軸44によって上下方向を軸方向として回転可能に支持されており、第2支持軸44は、一対のガイドプレート34に固定されている。これにより、クローレバー42が、図5(A)に示されるロック位置と、図5(B)及び(c)に示される許可位置と、の間を回転可能に構成されている。
【0030】
そして、クローレバー42の許可位置では、第1アーム部42Aがフォークレバー36の右側に配置されて、フォークレバー36の回転が許可される構成になっている。これにより、クローレバー42が許可位置に配置されることで、ラッチ装置30がラッチ解除状態になる構成になっている(図5(B)及び(C)参照)。一方、クローレバー42のロック位置では、第1アーム部42Aの先端が、係合位置におけるフォークレバー36の係合面36Aに対して、フォークレバー36の回転方向一方側に隣接配置される構成になっている(図5(A)参照)。これにより、フォークレバー36とクローレバー42とが係合し、クローレバー42によってフォークレバー36の回転方向一方側への回転が規制されて、係合位置のフォークレバー36がロックする構成になっている。つまり、ラッチ装置30のドア12に対するラッチがロックするようになっている。また、第2支持軸44には、トーションスプリングとして構成された付勢バネ46が装着されて、付勢バネ46は、クローレバー42をロック位置側へ付勢している。
【0031】
また、クローレバー42の右側には、クローレバー42の許可位置を検知するための「ラッチ解除検知部」としてのレバー検知スイッチ48が設けられている。レバー検知スイッチ48は、後述する制御部124に電気的に接続されている。そして、クローレバー42がロック位置から許可位置へ回転したときには、第2アーム部42Bがレバー検知スイッチ48を押圧して、レバー検知スイッチ48が、制御部124へオン信号を出力する構成になっている。すなわち、レバー検知スイッチ48は、ラッチ装置30のラッチ解除状態を検知するスイッチとして構成されている。
【0032】
ラッチプレート50は、左右方向から見て、見込み方向一方側へ開放された略U字形板状に形成されている。具体的には、ラッチプレート50は、一対のガイドプレート34を上下方向に挟み込むように配置された上下一対のサイドプレート部50Aと、一対のサイドプレート部50Aの右端部を連結するベースプレート部50Bと、を含んで構成されている。そして、サイドプレート部50Aがガイドプレート34に左右方向にスライド可能に支持されている。具体的には、ラッチプレート50が、図3に示される第1位置と、第1位置から右側へスライドした第2位置(図4参照)と、の間をスライドする構成になっている。
【0033】
また、一対のサイドプレート部50Aの間には、上下方向を軸方向とする解除ピン52が架け渡されている。そして、ラッチプレート50の第1位置では、解除ピン52が、クローレバー42の第1アーム部42Aと第2アーム部42Bとの間に配置されている。また、クローレバー42のロック位置において、ラッチプレート50が第1位置から第2位置へスライドすると、解除ピン52によって、クローレバー42がロック位置から許可位置へ回転する構成になっている。
【0034】
さらに、ベースプレート部50Bにおける右端部には、見込み方向一方側へ屈曲された支持片50Cが形成されており、支持片50Cには、右側へ突出した支持ピン50Dが設けられている。支持ピン50Dには、圧縮コイルスプリングとして構成された付勢バネ54が装着されており、付勢バネ54が、ラッチプレート50を左側(第1位置側)へ付勢している。また、ベースプレート部50Bの左右方向中間部には、上下方向にそれぞれ延出された係合片50Eが一体に形成されている。
【0035】
[規制レバーについて]
規制レバー56は、見込み方向を板厚方向とした略T字形板状に形成されている。具体的には、規制レバー56は、上下方向に延在されたレバー本体56Aと、レバー本体56Aの長手方向中間部から左側へ延出された規制片56Bと、を含んで構成されている。規制レバー56は、ラッチプレート50とハウジング32との間に配置されている。そして、レバー本体56Aの長手方向中間部が、ハウジング32に設けられた見込み方向を軸方向とする支持ピン58に回転可能に支持されている。これにより、規制レバー56が、図3に示される規制位置と、図4に示される非規制位置と、の間を回転可能に構成されている。
【0036】
規制レバー56の規制位置では、規制片56Bの先端が、ロック位置におけるクローレバー42の第2アーム部42Bに対して右側に隣接配置されて、第2アーム部42Bに係合する構成になっている。これにより、規制レバー56によって、クローレバー42のロック位置から許可位置への回転を規制するようになっている。さらに、レバー本体56Aには、トーションスプリングとして構成された付勢バネ60が連結されており、付勢バネ60の付勢力によって、規制レバー56が、非規制位置または規制位置に保持されるようになっている。
【0037】
[ラッチ用モータについて]
ラッチ用モータ62は、ハウジング32の左上部内に配置されて、後述する制御部124に電気的に接続されている。ラッチ用モータ62の出力軸には、ウォーム64が設けられており、ウォーム64には、略円形状の伝達ギヤ66が噛合されている。この伝達ギヤ66は、見込み方向を軸方向としてハウジング32に回転可能に支持されている。
【0038】
[ハブについて]
ハブ68は、伝達ギヤ66の右側に配置されている。このハブ68は、見込み方向を軸方向とする略円筒状のハブ本体68Aと、ハブ本体68Aから下方側へ延出された動力伝達片68Bと、を含んで構成されている。ハブ本体68Aは、ハウジング32に回転可能に支持されている。ハブ本体68Aの外周部には、ハブギヤ部68A1が一体に形成されており、ハブギヤ部68A1が、伝達ギヤ66に噛合されている。これにより、ラッチ用モータ62の駆動によって、ハブ68が、図3に示される施錠位置と、図4に示されるロック解除位置との間を回転する構成になっている。
【0039】
また、ハブ本体68Aの内側は、連結孔68A2とされており、ハウジング32には、連結孔68A2を露出させるための露出孔(図示省略)が形成されている。さらに、ドア12の室内側の壁部には、サムターン(図示省略)が取付けられており、ドア12の室外側に壁部には、鍵部(図示省略)が取付けられている。そして、サムターン及び鍵部のシリンダが、露出孔を介してハブ68の連結孔68A2に連結している。
【0040】
動力伝達片68Bは、見込み方向を板厚方向した略扇形板状に形成されている。そして、動力伝達片68Bの先端部には、動力伝達片68Bの板厚方向両側へ突出した、一対の第1駆動ピン68B1及び第2駆動ピン68B2が一体に形成されている。そして、ハブ68の施錠位置では、第2駆動ピン68B2によって、規制レバー56が規制位置に配置される構成になっている。一方、ハブ68のロック解除位置では、第1駆動ピン68B1が、第1位置におけるラッチプレート50の係合片50Eに係合して、ラッチプレート50が第2位置へスライドする構成になっている。
【0041】
(押出装置について)
押出装置70は、使用者のドア12の開操作の前に、ドア12を閉位置から室外側へ所定量(本実施の形態では、10mm)押し出す装置として構成されている。図1に示されるように、押出装置70は、ドア12の内部において、ラッチ装置30の上側に配置されている。すなわち、押出装置70がドア12の左端部に内蔵されている。
【0042】
図6図9に示されるように、押出装置70は、押出装置70の外郭を構成するケース72及びカバー78を有している。また、ラッチ装置30は、ケース72及びカバー78内に収容された、「モータ」としての押出モータ80と、伝達機構86と、押出部材110と、「退避位置検出部」としての退避ポジションスイッチ120と、「押出位置検出部」としての押出ポジションスイッチ122と、を含んで構成されている。以下、押出装置70の各構成について説明する。
【0043】
[ケースについて]
ケース72は、見込み方向一方側へ開放された略矩形箱状に形成されており、ケース72の厚み方向がドア12の厚み方向と一致している。ケース72の開口部における左端部には、後述するネジ軸100を支持するための支持プレート74(図7及び図9参照)が設けられている。支持プレート74は、左右方向から見て、ケース72の底壁側へ開放された略ハット形状に形成されている。そして、支持プレート74の上端部及び下端部が、直方体状のガイド部材76を介してケース72の底壁に固定されている。すなわち、支持プレート74は、ケース72の底壁と見込み方向に所定の間隔を空けて対向して配置されている。
【0044】
[カバーについて]
カバー78は、見込み方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されている。そして、カバー78が、ケース72に固定されて、見込み方向一方側からケース72の開口部を閉塞している。また、前述した支持プレート74の上下方向中間部は、カバー78よりも見込み方向一方側へ突出しており、カバー78には、支持プレート74を配置するための切り欠きが形成されている。
【0045】
[押出モータについて]
押出モータ80は、ケース72の右下部に配置されている。具体的には、押出モータ80は、見込み方向から見て、上側へ向かうに従い若干右側へ傾斜した方向を軸方向として配置されている。そして、押出モータ80は、ケース72とカバー78との間に配置されたギヤカバー82(図8参照)内に収容され、ギヤカバー82に固定されている。ギヤカバー82は、中空の略箱状に形成されて、ケース72に固定されている。押出モータ80の出力軸には、ウォームギヤ84が一体回転可能に設けられている。また、押出モータ80は、後述する制御部124に電気的に接続されており、制御部124によって駆動する構成になっている。
【0046】
[伝達機構について]
伝達機構86は、第1ギヤ88、第2ギヤ92、第3ギヤ96によって構成されたギヤ列と、ネジ軸100と、を含んで構成されている。
【0047】
第1ギヤ88は、見込み方向を軸方向とした2段ギヤとして構成されている。具体的には、第1ギヤ88は、見込み方向を軸方向とした略円筒状の小径ギヤ部88Aと、見込み方向を板厚方向とした円板状の大径ギヤ部88Bと、を含んで構成されている。大径ギヤ部88Bは、小径ギヤ部88Aよりも大径に設定されており、小径ギヤ部88Aの見込み方向一方側の部分から小径ギヤ部88Aの径方向外側へ延出されている。そして、第1ギヤ88が、ウォームギヤ84の左側に配置されて、小径ギヤ部88Aが、ギヤカバー82に固定された第1支持軸90によって回転可能に支持されている。また、小径ギヤ部88Aにおける見込み方向他方側部分の外周部及び大径ギヤ部88Bの外周部には、複数のギヤ歯が形成されており、これらギヤ歯は、小径ギヤ部88A及び大径ギヤ部88Bの周方向全周に亘って形成されている。そして、大径ギヤ部88Bが、ウォームギヤ84の左側に隣接して配置されて、ウォームギヤ84に噛合されている。
【0048】
第2ギヤ92は、第1ギヤ88と同様に、見込み方向を軸方向とした2段ギヤとして構成されている。具体的には、第2ギヤ92は、見込み方向を軸方向とした略円筒状の小径ギヤ部92Aと、見込み方向を板厚方向とした円板状の大径ギヤ部92Bと、を含んで構成されている。大径ギヤ部92Bは、小径ギヤ部92Aよりも大径に設定されており、小径ギヤ部92Aの見込み方向一方側の部分から小径ギヤ部92Aの径方向外側へ延出されている。そして、第2ギヤ92が、第1ギヤ88の左側に配置されて、小径ギヤ部92Aが、ギヤカバー82に固定された第2支持軸94によって回転可能に支持されている。また、小径ギヤ部92Aの見込み方向他方側の外周部及び大径ギヤ部92Bの外周部には、複数のギヤ歯が形成されており、これらギヤ歯は、小径ギヤ部92A及び大径ギヤ部92Bの周方向全周に亘って形成されている。そして、大径ギヤ部92Bが、第1ギヤ88の小径ギヤ部88Aの左側に隣接して配置されて、小径ギヤ部88Aに噛合されている。
【0049】
第3ギヤ96は、第3ギヤ96の軸心部を構成し且つ見込み方向を軸方向とした略円筒状の軸部96Aと、見込み方向を板厚方向とした円板状の第3ギヤ部96Bと、を含んで構成されている。第3ギヤ部96Bは、軸部96Aの見込み方向他方側の部分から軸部96Aの径方向外側へ延出されている。そして、第3ギヤ96が、第2ギヤ92の左側に配置されて、ギヤカバー82に固定された第3支持軸98によって回転可能に支持されている。また、第3ギヤ部96Bの外周部には、複数のギヤ歯が第3ギヤ部96Bの周方向全周に亘って形成されている。そして、第3ギヤ部96Bが、第2ギヤ92の小径ギヤ部92Aの左側に隣接して配置されて、小径ギヤ部92Aに噛合されている。
【0050】
ネジ軸100は、ネジ軸本体102と、連結ギヤ104と、を含んで構成されている。ネジ軸本体102は、見込み方向を軸方向とした略円柱状に形成されている。そして、ネジ軸本体102が第3ギヤ96の左側に配置され、ネジ軸本体102の一端部が、支持プレート74に回転可能に支持されると共に、ネジ軸本体102の他端部が、ケース72の底壁に回転可能に支持されている。
【0051】
ネジ軸本体102の長手方向中間部は、ネジ部102Aとして構成されており、ネジ部102Aの外径が、ネジ軸本体102の一端部及び他端部の外径よりも大径に設定されている。そして、ネジ部102Aの外周部には、雄ネジが形成されている。さらに、ネジ軸本体102の他端部の軸長が、ネジ軸本体102の一端部の軸長よりも長く設定されている。
【0052】
連結ギヤ104は、見込み方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。そして、ネジ軸本体102の他端部が、連結ギヤ104内に嵌入されて、連結ギヤ104がネジ軸本体102の他端部に一体回転可能に固定されている。連結ギヤ104の外周部には、複数のギヤ歯が連結ギヤ104の周方向全周に亘って形成されている。そして、連結ギヤ104が、第3ギヤ96の第3ギヤ部96Bに噛合されている。これにより、押出モータ80の駆動力が、ギヤ列(第1ギヤ88、第2ギヤ92、及び第3ギヤ96)によってネジ軸100に伝達されて、ネジ軸100が自身の軸回りを回転する構成になっている。
【0053】
[押出部材について]
図9に示されるように、押出部材110は、ナット部材112と、押出プレート118と、を含んで構成されている。ナット部材112は、ナット本体114と、ガイド部116と、を含んで構成されており、ナット本体114及びガイド部116が一体に形成されている。ナット本体114は、内部に雌ネジ部を有するナットとして構成され、見込み方向から見たナット本体114の外形が、略楕円状に形成されている。そして、ナット本体114が、伝達機構86におけるネジ軸100のネジ部102Aに螺合されている(図8参照)。すなわち、押出部材110と伝達機構86とが、所謂ネジ機構によって連結(結合)されている。
【0054】
ガイド部116は、見込み方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、ナット本体114と一体に形成されている。具体的には、ガイド部116が、ナット本体114を見込み方向一方側から覆うようにナット本体114と一体に形成されて、ガイド部116がナット本体114から上下に突出している。また、ガイド部116は、上下一対のガイド部材76の間に配置されており、ガイド部116の回転がガイド部材76によって制限されている。これにより、ネジ軸100が回転するときには、ナット部材112が、一対のガイド部材76によってガイドされながら、ネジ軸100の軸方向に相対移動する構成になっている。また、ガイド部116の上端部には、見込み方向他方側へ延出されたアーム部116Aが形成されており、アーム部116Aの先端部には、上側へ突出した突起部116Bが形成されている。
【0055】
押出プレート118は、ナット部材112に対して見込み方向一方側に配置されると共に、上側から見て、L字形板状に形成されている。具体的には、押出部材110は、見込み方向を板厚方向とした固定プレート部118Aと、固定プレート部118Aの左端部から見込み方向一方側へ延出された作動プレート部118Bと、を含んで構成されている。固定プレート部118Aには、円形状の挿通孔118A1(図8参照)が貫通形成されており、挿通孔118A1は、ナット本体114の雌ネジ部と同軸上に配置されている。
【0056】
そして、固定プレート部118Aがナット部材112(詳しくは、ガイド部116)に固定されて、ネジ軸100が押出部材110の挿通孔118A1内を挿通している(図8参照)。これにより、ネジ軸100が回転することで、押出部材110が、見込み方向に往復移動する構成になっている。具体的には、押出部材110が、退避位置(図7及び図8に示される位置)と、退避位置から見込み方向一方側へ移動した押出位置(図11(B)及び図12(B)に示される位置)と、の間を移動する構成になっている。
【0057】
押出部材110の退避位置では、押出部材110がドア12の内部に収容される設定になっている。一方、押出部材110の押出位置では、押出部材110の作動プレート部118Bの先端部が、ドア12の挿通部12B内を挿通して、ドア12から見込み方向一方側へ突出する構成になっている。なお、固定プレート部118Aの左端部は、ケース72よりも左側へ突出しており、ケース72の左壁には、押出部材110を配置させるための切り欠きが形成されている。
【0058】
また、押出部材110の押出位置では、作動プレート部118Bの先端部が、シール部材18に対して左側に配置されて、ドア枠14の第2受け面14A2を押圧する構成になっている。すなわち、シール部材18と作動プレート部118Bとが干渉しないように、左右方向におけるシール部材18及び作動プレート部118Bの位置が設定されている(図2(A)参照)。さらに、押出部材110の押出位置における、作動プレート部118Bのドア12からの突出量L(図11(B)参照)が、シール部材18の厚みT(図2(A)参照)よりも大きく設定されている。
【0059】
[退避ポジションスイッチについて]
図7に示されるように、退避ポジションスイッチ120は、押出部材110の退避位置を検知するスイッチとして構成されている。この退避ポジションスイッチ120は、ナット部材112の下側に隣接して配置され、ガイド部材76に固定されている。退避ポジションスイッチ120は、後述する制御部124に電気的に接続されている。そして、押出部材110の退避位置において、退避ポジションスイッチ120が、ナット部材112のガイド部116によって押圧されて、オン信号を制御部124へ出力するように構成されている。また、押出部材110が、退避位置から押出位置側へ所定量移動すると、ガイド部116の退避ポジションスイッチ120への押圧が解除されて、退避ポジションスイッチ120がオンからオフへ切替るようになっている。
【0060】
[押出ポジションスイッチについて]
押出ポジションスイッチ122は、押出部材110の押出位置を検知するスイッチとして構成されている。押出ポジションスイッチ122は、ナット部材112の上側に隣接して配置され、ガイド部材76に固定されている。押出ポジションスイッチ122は、後述する制御部124に電気的に接続されている。そして、押出部材110の退避位置では、押出ポジションスイッチ122が、ナット部材112のガイド部116に押圧されておらず、オフ信号を制御部124へ出力するように構成されている。一方、押出部材110が、退避位置から押出位置へ移動すると、ガイド部116の突起部116Bが押出ポジションスイッチ122を押圧して(図12(B)参照)、押出ポジションスイッチ122が、オフからオンに切替わり、オン信号を制御部124へ出力するようになっている。
【0061】
(制御部について)
制御部124は、前述した、開閉センサ20、レバー検知スイッチ48、ラッチ用モータ62、押出モータ80、退避ポジションスイッチ120、及び押出ポジションスイッチ122に電気的に接続されている。また、制御部124は、使用者が所有するリモコンキーと、無線通信可能に構成された無線通信部を有しており、リモコンキーからの出力信号に基づいて、ラッチ用モータ62を駆動制御するようになっている。また、制御部124は、開閉センサ20、レバー検知スイッチ48、退避ポジションスイッチ120、及び押出ポジションスイッチ122からの出力信号に基づいて、押出モータ80を駆動制御するようになっている。
【0062】
(作用効果)
次に、ラッチ装置30をラッチ解除状態にする動作を説明し、次いで、押出装置70の動作を説明して、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0063】
(ラッチ装置をラッチ解除状態にする動作について)
図3及び図5(A)に示されるように、ラッチ装置30によってドア12をラッチし且つロックした状態では、フォークレバー36が係合位置に配置されて、フォークレバー36とストライカ16とが係合している。また、この状態では、クローレバー42がロック位置に配置され、規制レバー56が規制位置に配置されており、フォークレバー36の係合解除位置側への回転が規制されている。さらに、この状態では、ハブ68が施錠位置に配置されている。
【0064】
この状態で、ラッチ装置30をラッチ解除状態にするには、使用者のリモコンキー等の操作によって制御部124がラッチ用モータ62を駆動させて、ハブ68を施錠位置からロック解除位置へ回転させる。このとき、ハブ68の第2駆動ピン68B2が、規制レバー56を押圧して、規制レバー56が、規制位置から非規制位置に回転される(図4参照)。
【0065】
一方、ハブ68が施錠位置からロック解除位置へ回転するときには、ハブ68の第1駆動ピン68B1が、ラッチプレート50の係合片50Eを右側へ押圧する。このため、ラッチプレート50が、第1位置から第2位置にスライドする(図4参照)。また、ラッチプレート50の第1位置から第2位置へのスライド時には、ラッチプレート50の解除ピン52が、クローレバー42の第2アーム部42Bを押圧して、クローレバー42が付勢バネ46の付勢力に抗してロック位置から許可位置へ回転する。これにより、クローレバー42の第1アーム部42Aがフォークレバー36に対して右側へ変位する。その結果、図5(B)に示されるように、クローレバー42とフォークレバー36との係合状態が解除されて、フォークレバー36の係合位置から係合解除位置への回転が許可された状態になる。すなわち、ラッチ装置30がラッチ解除状態に遷移する。
【0066】
なお、クローレバー42が許可位置へ回転したときには、レバー検知スイッチ48が作動して、レバー検知スイッチ48がオン信号を制御部124へ出力する。
【0067】
(押出装置の動作について)
次に、図10のフローチャートを用いて、押出装置70の動作を説明する。押出装置70の初期状態では、押出部材110が退避位置に配置されており、押出部材110のガイド部116によって退避ポジションスイッチ120がオンになっている。これにより、退避ポジションスイッチ120から制御部124へオン信号が出力されている。一方、押出ポジションスイッチ122は、ガイド部116の突起部116Bに押圧されておらず、オフになっている。
【0068】
押出装置70の動作では、初めに、ステップS1において、制御部124が、ドア12の開閉センサ20からの出力信号に基づいて、ドア12が閉位置に配置されているか否かを判断する。ステップS1において、ドア12が閉位置に配置されていない場合(ステップS1において「No」の場合)の場合には、押出装置70の処理を終了する。一方、ステップS1において、ドア12が閉位置に配置されている場合(ステップS1において「Yes」の場合)には、ステップS2へ移行する。
【0069】
ステップS2では、制御部124が、ラッチ装置30のレバー検知スイッチ48からの出力信号に基づいて、ラッチ装置30がラッチ解除状態であるか否かを判断する。ステップS2において、ラッチ装置30がラッチ解除状態でない場合(ステップS2において「No」の場合)の場合には、ステップS1に戻る。一方、ステップS2において、ラッチ装置30がラッチ解除状態である場合(ステップS2において「Yes」の場合)には、ステップS3へ移行する。
【0070】
ステップS3では、制御部124によって押出モータ80を正転させる。これにより、押出モータ80の駆動力が、ウォームギヤ84、第1ギヤ88、第2ギヤ92、及び第3ギヤ96を介してネジ軸100に伝達されて、ネジ軸100が回転方向一方側へ回転する。このため、ネジ軸100に螺合された押出部材110のナット部材112が、ネジ軸100に対して相対回転して、押出部材110が、退避位置から押出位置側へ移動する(図11(A)及び図12(A)参照)。これにより、押出部材110の突起部116Bが退避ポジションスイッチ120から離間して、退避ポジションスイッチ120がオンからオフに切替わる。その結果、退避ポジションスイッチ120から制御部124へオフ信号が出力される。そして、ステップS3の処理後、ステップS4に移行する。
【0071】
ステップS4では、制御部124が、ドア12の開閉センサ20及び押出装置70の押出ポジションスイッチ122からの出力信号に基づいて、押出部材110が押出位置へ移動する前に、ドア12が開かれたか否かを判断する。具体的には、制御部124が、押出ポジションスイッチ122からのオン信号を受付ける前に、開閉センサ20の出力信号に基づいて、ドア12が開かれたか否かを判断する。ステップS4において、押出ポジションスイッチ122からのオン信号を受付ける前に、ドア12が開かれた場合(ステップS4の「Yes」の場合)には、ステップS5に移行する。
【0072】
ステップS5では、制御部124が、押出モータ80の駆動を停止して、押出モータ80を逆転させる。すなわち、押出部材110が押出位置に移動する前にドア12が開かれた場合には、例えば、ドア12を再び閉じるときに、押出位置の押出部材110がドア枠14に当たることを防止するために、押出モータ80を逆転させる。これにより、ネジ軸100が回転方向他方側へ回転して、押出部材110が退避位置側へ移動する。
【0073】
ステップS5の処理後、ステップS6に移行する。ステップS6では、制御部124が、退避ポジションスイッチ120の出力信号に基づいて、押出モータ80に対する駆動を停止する。具体的には、制御部124が、退避ポジションスイッチ120からのオン信号を受付けて、押出モータ80の駆動を停止する。これにより、押出部材110が退避位置に復帰される。そして、ステップS6の処理後、ステップS1に戻る。
【0074】
一方、ステップS4において、押出ポジションスイッチ122からのオン信号を受付ける前に、ドア12が開かれていない場合(ステップS4の「No」の場合)には、ステップS7に移行する。ステップS7では、制御部124が、押出モータ80の正転駆動の開始後、特定時間内に押出部材110が押出位置に到達したか否かを判断する。具体的には、制御部124が、押出モータ80の正転駆動の開始後の特定時間内に、押出ポジションスイッチ122からオン信号を受けたか否かを判断する。
【0075】
ステップS7において、特定時間内に押出部材110が押出位置に到達していない場合(ステップS7において「No」の場合)には、ステップS5に移行する。すなわち、例えば、押出モータ80の正転駆動の開始から特定時間内に押出部材110が押出位置に到達していない場合には、押出装置70が正常に作動していない可能性がある。このため、押出モータ80を逆転させて、押出部材110を退避位置に復帰させる。
【0076】
ステップS7において、特定時間内に押出部材110が押出位置に到達した場合(ステップS7において「Yes」の場合)には、ステップS8に移行する。ステップS8では、制御部124が、押出ポジションスイッチ122からオン信号に基づいて、押出モータ80の駆動を停止させる。これにより、押出位置において、押出部材110の室内側への移動が停止する。また、押出部材110が押出位置へ移動するときには、押出部材110における作動プレート部118Bの先端部が、ドア12から室内側へ突出して、ドア枠14を押圧する(図11(B)及び図12(B)参照)。これにより、押出部材110によって、ドア12が、室外側へ所定量押し出されて、閉位置から開方向側へ回転する。このため、ドア12とドア枠14(詳しくは、シール部材18)との間に所定の隙間が形成される。
【0077】
また、ドア12が、閉位置から開方向へ押し出されるときには、ストライカ16がラッチ装置30のフォークレバー36に対して相対変位する。これにより、フォークレバー36がストライカ16の変位に伴って、係合位置から係合解除位置へ回転する(図5(C)参照)。そして、ストライカ16の被係合部16Bのフォークレバー36の係合溝36Bからの離脱が可能になる。
【0078】
ステップS8の処理後、ステップS9へ移行する。ステップS9では、制御部124によって、押出モータ80を逆転させる。ステップS9の処理後、ステップS10に移行する。
【0079】
ステップS10では、制御部124が、退避ポジションスイッチ120の出力信号に基づいて、押出モータ80の駆動を停止する。具体的には、制御部124が、退避ポジションスイッチ120からのオン信号を受付けて、押出モータ80の駆動を停止する。これにより、押出部材110が退避位置に復帰される。そして、ステップS10の処理後、押出装置70の処理を終了する。
【0080】
ところで、24時間換気システムが適用された建造物では、室内の気圧が負圧になり、室内と室外との間で気圧差が生じる場合がある。この場合には、室内と室外との間の気圧差によって、ドア12を開くときの荷重が高くなる。これにより、ドア12の開くときの操作性が低下する可能性がある。
【0081】
ここで、本実施の形態のドア装置10では、ドア12の内部に押出装置70が設けられている。押出装置70は、押出部材110と、制御部124によって駆動する押出モータ80と、を有している。また、制御部124は、ラッチ装置30のレバー検知スイッチ48によってラッチ装置30のラッチ解除状態を検知した後、押出モータ80を駆動させて押出部材110を退避位置から押出位置へ移動させる。そして、押出部材110の押出位置では、押出部材110における作動プレート部118Bの先端部が、ドア12から見込み方向一方側(ドア12の厚み方向一方側)へ突出して、ドア枠14に当接する。これにより、ドア12が、押出部材110によって室外側へ押し出されて、開方向へ回転される。その結果、ドア枠14とドア12との間に隙間を形成することができる。このため、仮に室内と室外との間で気圧差が生じた場合でも、押出装置70の作動後において、室内及び室外の気圧を均衡にすることができる。したがって、使用者がドア12を開くときの荷重が高くなることを抑制できる。以上により、ドア12を開くときの操作性を向上することができる。
【0082】
また、押出装置70は、押出部材110の退避位置への移動を検知する退避ポジションスイッチ120と、押出部材110の押出位置への移動を検知する押出ポジションスイッチ122と、を有している。そして、押出部材110が押出位置に移動した後、制御部124が押出モータ80を駆動させて、押出部材110が押出位置から退避位置へ移動される。このため、押出部材110がドア12から突出した状態で、ドア12が開閉されることを抑制できる。これにより、例えば、ドア12を開いた状態で、使用者がドア枠14内を通過するときに、押出部材110が使用者の衣類等に引っ掛かることを抑制できる。また、ドア12を再び閉じるときに、押出部材110がドア枠14に干渉することを抑制できる。これにより、ドア12の閉位置において、ラッチ装置30のフォークレバー36をストライカ16に良好に係合させることができる。
【0083】
また、押出モータ80の正転駆動開始から特定時間内に押出部材110が押出位置へ移動しない場合には、制御部124が、押出モータ80を逆転駆動させて押出部材110を退避位置へ移動させる。すなわち、例えば、押出モータ80の正転駆動の開始から特定時間内に押出部材110が押出位置に到達していない場合には、押出装置70が正常に作動していない可能性がある。このため、制御部124によって押出モータ80を逆転させて、押出部材110を退避位置に復帰させることができる。これにより、押出装置70を初期状態に戻した状態で、使用者によってドア12を開閉させることができる。
【0084】
また、ドア12には、ドア12の開閉を検知する開閉センサ20が設けられている。そして、押出モータ80の正転駆動開始後、押出部材110が押出位置へ移動する前にドア12が開かれたときには、制御部124が押出モータ80を逆転駆動させて、押出部材110が退避位置へ移動される。このため、押出部材110の退避位置から押出位置への移動中に、使用者によってドア12が閉位置から開かれたときには、押出部材110を直ちに退避位置へ復帰させることができる。このため、上述と同様に、押出部材110がドア12から突出した状態で、ドア12が開閉されることを抑制できる。これにより、例えば、ドア12を開いた状態で、使用者がドア枠14内を通過するときに、押出部材110が使用者の衣類等に引っ掛かることを抑制できる。また、ドア12を再び閉じるときに、押出部材110がドア枠14に干渉することを抑制できる。よって、ドア12の閉位置において、ラッチ装置30のフォークレバー36をストライカ16に良好に係合させることができる。
【0085】
なお、本実施の形態のドア装置10では、押出モータ80の正転駆動開始後、押出部材110が押出位置へ移動する前にドア12が開かれたときには、制御部124が押出モータ80を逆転駆動させて、押出部材110が退避位置へ移動するが、ドア12が開かれたときに、制御部124が押出モータ80の正転駆動を停止して、押出部材110を退避位置に維持させてもよい。すなわち、例えば、押出モータ80の正転駆動開始後、直ちにドア12が開かれたときには、押出部材110が退避ポジションスイッチ120を押圧した状態が維持されて、押出部材110が未だ退避位置に配置されている場合がある。このため、この場合には、制御部124によって押出モータ80の正転駆動を停止して、押出部材110を退避位置に維持させてもよい。
【0086】
また、本実施の形態のドア装置10では、使用者のリモコンキー等の操作によって制御部124がラッチ装置30のラッチ用モータ62を作動させて、ラッチ装置30をラッチ解除状態にする構成になっているが、ラッチ装置30をラッチ解除状態にする方法はこれに限らない。例えば、ドア12のドアノブに静電センサを設けて、使用者がドアノブをタッチしたときに、静電センサの検出信号によって、制御部124がラッチ用モータ62を作動させて、ラッチ装置30をラッチ解除状態にしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態のドア装置10では、ラッチ装置30がラッチ用モータ62を備えており、ラッチ装置30が電動のラッチ装置として構成されているが、ラッチ装置30を手動のラッチ装置として構成してもよい。すなわち、使用者の手動操作によってラッチ装置30をラッチ解除状態にしてもよい。
【0088】
また、本実施の形態のドア装置10では、押出装置70において、伝達機構86のネジ軸100と押出部材110とがネジ機構によって連結されているが、伝達機構86と押出部材110との連結はこれに限らない。例えば、伝達機構86において、ネジ軸100の代わりにカムを設けて、カム機構によって伝達機構86と押出部材110とを連結して、押出部材110を退避位置と押出位置との間で移動させてもよい。
【0089】
また、本実施の形態のドア装置10では、押出装置70がドア12の左端部に配置されているが、押出装置70の位置はこれに限らない。例えば、押出装置70をドア12の上端部に配置してもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 ドア装置
12 ドア
14 ドア枠
16 ストライカ
20 開閉センサ(開閉検知部)
30 ラッチ装置
48 レバー検知スイッチ(ラッチ解除検知部)
70 押出装置
80 押出モータ(モータ)
110 押出部材
120 退避ポジションスイッチ(退避位置検知部)
122 押出ポジションスイッチ(押出位置検知部)
124 制御部
図1
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図12