(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20210101AFI20231228BHJP
G03B 7/18 20210101ALI20231228BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20231228BHJP
G03B 17/04 20210101ALI20231228BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231228BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231228BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B7/18
G03B5/00 J
G03B17/04
G03B17/02
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2019158430
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294393(JP,A)
【文献】特開2005-318237(JP,A)
【文献】特開2012-027206(JP,A)
【文献】特開2020-188348(JP,A)
【文献】特開2019-086680(JP,A)
【文献】特開昭61-118736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00 - 11/06
G03B 5/00 - 5/08
G03B 17/02 - 17/17
G02B 7/02 - 7/16
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、
固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に支持する支持機構と、
前記可動体の前記固定体に対する揺動を駆動させる回転駆動機構と、
光軸方向において前記光学モジュールの被写体側と対向しない収容位置と、前記光軸方向において前記光学モジュールの前記被写体側と対向する対向位置と、を移動可能なフィルタと、
前記収容位置及び前記対向位置で前記フィルタを保持する保持機構と、
を備え、
前記収容位置は、前記固定体に設けられ
、
前記回転駆動機構として、前記固定体の前記可動体と対向する位置に磁石及びコイルのうちの一方が設けられるとともに、前記可動体の前記固定体と対向する位置に磁石及びコイルのうちの他方が設けられ、
前記保持機構として、前記固定体の前記収容位置及び前記対向位置に磁石及びコイルのうちの一方が設けられるとともに、前記フィルタに磁石及びコイルのうちの他方が設けられ、
前記可動体の位置を基準にして、前記固定体に設けられる前記回転駆動機構の磁石またはコイルと、前記固定体に設けられる前記保持機構の磁石またはコイルと、は異なる側に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記固定体は、前記可動体に接続されるフレキシブル配線基板の収容スペースを前記可動体に対して前記光軸方向と交差する第1方向側に備え、
前記収容位置は、前記可動体に対して前記第1方向側に設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
照度計と、
前記照度計の計測結果に基づいて、前記フィルタを前記収容位置及び前記対向位置に移動させるフィルタ移動機構と、
を備えることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記保持機構は、前記収容位置及び前記対向位置で前記フィルタを無通電で保持することを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、該可動体を変位可能に保持する固定体と、を備える様々な光学ユニットが使用されている。このような光学ユニットに対し、使用環境の照度などに対応してフィルタをオンオフすることが可能な、フィルタのオンオフ装置を取り付ける場合がある。しかしながら、光学ユニットの光学モジュールに対してフィルタをオンオフすることが可能な外付けのフィルタのオンオフ装置を光学ユニットに対して取り付けると、装置全体が大型化してしまう。そこで、フィルタを内蔵し、該フィルタのオンオフを切り替え可能な光学ユニットが開示されている。特許文献1には、フィルタ切り替え機能を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学ユニットは、装置全体を大型化することなく、フィルタのオンオフを切り替え可能である。しかしながら、特許文献1の光学ユニットは、フィルタ切り替え機構が可動体に設けられているので、可動体が大型化し、可動体を動かす負荷が大きくなる虞があった。そこで、本発明は、装置及び可動体を大型化させることなく、フィルタのオンオフを切り替え可能な光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、固定体と、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に支持する支持機構と、光軸方向において前記光学モジュールの被写体側と対向しない収容位置と、前記光軸方向において前記光学モジュールの前記被写体側と対向する対向位置と、を移動可能なフィルタと、を備え、前記収容位置は、前記固定体に設けられていることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、フィルタを光学ユニットに内蔵することで装置全体が大型化することを抑制できる。また、固定体にフィルタの収容位置を設けているので、可動体が大型化することも抑制できる。したがって、装置及び可動体を大型化させることなく、フィルタのオンオフを切り替えることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体は、前記可動体に接続されるフレキシブル配線基板の収容スペースを前記可動体に対して前記光軸方向と交差する第1方向側に備え、前記収容位置は、前記可動体に対して前記第1方向側に設けられていることが好ましい。固定体におけるフレキシブル配線基板の収容スペース側(第1方向側)の領域を効率的に利用できるためである。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、照度計と、前記照度計の計測結果に基づいて、前記フィルタを前記収容位置及び前記対向位置に移動させるフィルタ移動機構と、を備えることが好ましい。照度計の計測結果に基づいて自動でフィルタを移動させることができ、手動でフィルタを移動させる手間を省くことができるとともに、フィルタのオンオフの切り替え忘れを抑制できるためである。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記収容位置及び前記対向位置で前記フィルタを保持する保持機構を備えることが好ましい。フィルタが不意に移動してしまうことを抑制できるためである。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記保持機構は、前記収容位置及び前記対向位置で前記フィルタを無通電で保持することが好ましい。フィルタを無通電で保持することで消費電力を抑制できるためである。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体の前記収容位置及び前記対向位置に、磁石及びコイルのうちの一方が設けられ、前記フィルタに、前記磁石及び前記コイルのうちの他方が設けられることが好ましい。磁石及びコイルを用いて簡単に保持機構を形成できるためである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、装置及び可動体を大型化させることなく、フィルタのオンオフを切り替え可能な光学ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図であり、フィルタが収容位置にある状態を表している。
【
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの固定部などを省略して表す内部構成の平面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの固定部などを省略して表す内部構成の側面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットの側面図であり、フィルタが収容位置にある状態を表している。
【
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットの側面図であり、フィルタが対向位置にある状態を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例に係る光学ユニットについて
図1から
図5を用いて説明する。なお、
図3において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示している。また、
図2において符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し、符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0015】
<光学ユニットの全体構成の概略>
最初に、
図1から
図5を参照して、本実施例に係る光学ユニット10の構成について説明する。光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)及びX軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で可動体14を保持する固定体16と、を備えている。また、可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する回転駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持する支持機構20(スラスト受け部材)とを備えている。さらに、光学ユニット10は、ジンバルフレーム部25を有するジンバル機構21を備えており、ジンバルフレーム部25は、第1軸線L1の両端部から光軸方向に沿って延設される第1支持部用延設部27aと、第2軸線L2の両端部から光軸方向に沿って延設される第2支持部用延設部27bと、を有している。
【0016】
<光学モジュール>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学ユニット10は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0017】
なお、本実施例において、光学ユニット10は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、この構成に限定はされず、例えば、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れのいずれか一方のみの補正が可能な構成でもよい。
【0018】
<撮像素子>
図3で表されるように、光学モジュール12は、被写体側とは反対側に撮像素子50を備えている。そして、撮像素子50には、フレキシブル配線基板51が接続されている。
【0019】
<可動体>
可動体14は、光学モジュール12と、ホルダ枠22と、磁石24A及び24Bとを備えている。ホルダ枠22は、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠22は、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ホルダ枠22において固定体16と対向する2面を利用して、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A及び24Bがこれらの外面に取り付けられている。
【0020】
<固定体>
固定体16は、可動体14を収容する可動体収容部161とフレキシブル配線基板51を収容するFPC収容部162とを有している。可動体収容部161には、内部にコイル32A及び32Bが設けられている。
図2で表されるように、本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対は、回転駆動機構18を構成している。回転駆動機構18により、可動体14のピッチング及びヨーイングの補正が行われる。なお、本実施例において、コイル32A及びコイル32Bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0021】
ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の振れ検出センサ(ジャイロスコープ)によって振れを検出し、その結果に基づいて回転駆動機構18を駆動させる。その後、不図示の磁気センサー(ホール素子)などを用いて、光学ユニット10の振れを精度よく回転駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A及び32Bに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0022】
本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、第1軸線L1と第2軸線L2を回転軸として、回転させる回転駆動機構18を備えている。第1軸線L1と第2軸線L2での回転の複合によりピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向に回転する。ここで、回転駆動機構18は、本実施例のように、可動体14に対してX軸方向のうちの第1フレキシブル配線基板51aが配置されている側以外の位置に配置されていることが好ましい。回転駆動機構18を第1フレキシブル配線基板51aが形成されていない側に配置できるので、回転駆動機構18や該回転駆動機構18に接続される第2フレキシブル配線基板51bと、第1フレキシブル配線基板51aと、の接触を抑制できるためである。したがって、このような構成とすることで、光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できる。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0023】
なお、振れを補正する動作のための駆動源としては、回転駆動機構18のようなコイル32A及び32Bと、磁石24A及び24Bと、の各対により構成されるボイスコイルモーターに限定されない。他の駆動源としてステッピングモーターやピエゾ素子等を利用したものを使用することも可能である。
【0024】
図1、
図4及び
図5で表されるように、可動体収容部161の被写体側面161aの位置及び被写体側面161aの延長線上のFPC収容部162における位置には、磁石44A及び磁石44Bを備えるフィルタユニット40、該フィルタユニット40のX軸方向に沿う移動をガイドする2本のレールであるガイド軸41、ガイド軸41の可動体収容部161側端部に設けられたコイル42A及び磁性体43A、ガイド軸41のFPC収容部162側端部に設けられたコイル42B及び磁性体43B、が設けられている。本実施例のフィルタユニット40の移動構成については後述する。
【0025】
<ジンバル機構>
ジンバル機構21は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、
図2などで表されるように、本実施例のジンバル機構21は、ジンバルフレーム部25を有し、ジンバルフレーム部25の四方のコーナー部から被写体側とは反対側に光軸方向に90°折り曲げられて形成される、2つの第1支持部用延設部27aと、2つの第2支持部用延設部27bと、を備えることによって構成されている。なお、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bについては、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。本実施例のジンバル機構21は、このような構成となっていることで、外側方向に向けて与圧を与えることが可能な構成となっている。
【0026】
<支持機構>
図2で表される支持機構20は、可動体14を固定体16に対して、第1軸線L1と第2軸線L2を回転軸として、回動可能に支持する。支持機構20としては、第1支持部用延設部27aを支持する2つの第1スラスト受け部材20aと、第2支持部用延設部27bを支持する2つの第2スラスト受け部材20bと、を有している。そして、第1スラスト受け部材20aは固定体16の可動体収容部161における矩形枠状部分の4隅のうちの対向する2か所に配置され、第2スラスト受け部材20bは矩形枠状の可動体14のホルダ枠22の4隅にうちの対向する2か所に配置される。すなわち、第1スラスト受け部材20aは固定体16に固定され、第2スラスト受け部材20bは可動体14に固定される。なお、可動体収容部161における矩形枠状部分と矩形枠状の可動体14とは4隅の位置が揃うように配置され、第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bは該4隅に1つずつ配置される。
【0027】
なお、第1支持部用延設部27aには球凹面が設けられ、第1スラスト受け部材20aには球凸面が設けられ、該球凹面と球凸面とが当接することにより第1支持部用延設部27aは第1スラスト受け部材20aに支持されている。そして、同様に、第2支持部用延設部27bには球凹面が設けられ、第2スラスト受け部材20bには球凸面が設けられ、該球凹面と球凸面とが当接することにより第2支持部用延設部27bは第2スラスト受け部材20bに支持されている。そして、2つの第1支持部用延設部27aの各々及び2つの第2支持部用延設部27bの各々は、外側方向に向けて与圧がかかる構成となっているので、該与圧により、各球凹面は対応する各々の球凸面に対して押圧し、第1支持部用延設部27a及び第2支持部用延設部27bは、対応する第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bに支持される。
【0028】
<フレキシブル配線基板>
図3に示すように、フレキシブル配線基板51は、可動体14に設けられた撮像素子50に一端が接続されている。そして、フレキシブル配線基板51は、可動体14に対してX軸方向の一方側(光軸方向と交差する第1方向側)に配置されている。フレキシブル配線基板51は、
図3で表されるように、可動体14に対して第1方向側において、光軸方向から見て重なるように折り曲げられた折り曲げ領域Rが形成されている。FPC収容部162は、フレキシブル配線基板51の折り曲げ領域Rを収容する。
【0029】
図3で表されるように、フレキシブル配線基板51の折り曲げ部分には、該折り曲げ部分を保持する折り曲げ保持部11が設けられている。そして、折り曲げ保持部11により、折り曲げ部分で180°フレキシブル配線基板51を折り曲げ、折り曲げられたフレキシブル配線基板51同士が接触しないように保持している。このように折り曲げ保持部11を有することで、フレキシブル配線基板51の配線領域を効果的に小型化できるとともに、フレキシブル配線基板51同士の接触による該フレキシブル配線基板51の損傷を抑制できる。
【0030】
<フィルタユニットの移動構成>
次に、フィルタユニット40の移動構成について詳細に説明する。本実施例のフィルタユニット40は、
図1で表されるように、赤外線フィルタであるフィルタ40aと、フィルタ40の外周に設けられガイド軸41と接触するとともにX軸方向に延設される溝部を備える外周部40bと、を備えている。また、
図1、
図4及び
図5で表されるように、ガイド軸41はX軸方向に沿って延設されているため、フィルタユニット40はガイド軸41に沿って移動可能な構成となっている。なお、図中では詳細には表されていないが、ガイド軸41は被写体側にX軸方向に沿って庇が形成されており、外周部40bの溝部は該庇と嵌合する構成となっていることにより、フィルタユニット40は被写体側に外れない構成となっている。
【0031】
また、フィルタユニット40は、磁石44A及び磁石44Bを備えている。そして、ガイド軸41の可動体収容部161側端部にはコイル42A及び磁性体43Aが設けられ、ガイド軸41のFPC収容部162側端部にはコイル42B及び磁性体43Bが設けられている。磁石44Aはコイル42A及び磁性体43A側に配置され、磁石44Bはコイル42A及び磁性体43A側に配置されている。本実施例の光学ユニット10は、コイル42A及びコイル42Bに電流を流すことにより、X軸方向に沿う磁力を発生できる構成になっている。
【0032】
図4では、フィルタユニット40は、光学モジュール12の被写体側をカバーしない位置、別の表現をすると、光軸方向において光学モジュール12と対向しない位置であってフィルタ40aをオフした状態におけるフィルタユニット40の待機位置である収容位置P1に位置している。フィルタユニット40が収容位置P1に位置している場合、コイル42Bに電流を流していなければ(無通電であれば)、磁石44Bは磁性体43Bに引き寄せられ、フィルタユニット40が収容位置P1に保持される。ただし、フィルタユニット40が収容位置P1に位置している状態でコイル42Bに電流を流す(通電する)ことで磁石44Bに対して反発する磁力を付与でき、このような磁力を付与することでフィルタユニット40をコイル42A及び磁性体43A側の位置(対向位置P2)に移動させることができる。
【0033】
一方、
図5では、フィルタユニット40は、光学モジュール12の被写体側をカバーする位置、別の表現をすると、光軸方向において光学モジュール12と対向する位置であってフィルタ40aをオンした状態における位置である対向位置P2に位置している。フィルタユニット40が対向位置P2に位置している場合、コイル42Aに電流を流していなければ(無通電であれば)、磁石44Aは磁性体43Aに引き寄せられ、フィルタユニット40が対向位置P2に保持される。ただし、フィルタユニット40が対向位置P2に位置している状態でコイル42Aに電流を流す(通電する)ことで磁石44Aに対して反発する磁力を付与でき、このような磁力を付与することでフィルタユニット40をコイル42B及び磁性体43B側の位置(収容位置P1)に移動させることができる。
【0034】
このように、本実施例の光学ユニット10は、光軸方向において光学モジュール12の被写体側と対向しない収容位置P1と、光軸方向において光学モジュール12の被写体側と対向する対向位置P2と、を移動可能なフィルタ40aを備えている。そして、
図4で表されるように、収容位置P1は、固定体16のFPC収容部162に設けられている。
【0035】
外付けタイプのフィルタ40aを取り付け可能な光学ユニット10は多いが、本実施例の光学ユニット10のように、フィルタ40aを内蔵することで装置全体が大型化することを抑制できる。また、本実施例の光学ユニット10のように、固定体16にフィルタ40aの収容位置P1を設けることで、可動体14が大型化することも抑制できる。したがって、本実施例の光学ユニット10は、装置全体及び可動体14を大型化させることなく、フィルタ40aのオンオフを切り替えることができる構成となっている。なお、本実施例の光学ユニット10は、FPC収容部162に収容位置P1が設けられているが、このような構成に限定されず、固定体16の形状などに応じて、固定体16のFPC収容部162以外の場所に収容位置P1が設けられていてもよい。
【0036】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、固定体16は、可動体14の撮像素子50に接続されるフレキシブル配線基板51の収容スペースを可動体14に対して光軸方向と交差する第1方向側(X軸方向の一方側)に備えている。そして、収容位置P1は、可動体14に対して該第1方向側に設けられている。このような構成とすることで、固定体16におけるフレキシブル配線基板51の収容スペース側(第1方向側)の領域(本実施例においてはFPC収容部162)を効率的に利用できる。
【0037】
ここで、本実施例の光学ユニット10においては、光学モジュール12が照度計を内蔵している。そして、該照度計の計測結果に基づいて、フィルタ40aを収容位置P1及び対向位置P2に移動させることが可能な構成となっている。すなわち、フィルタユニット40の磁石44A及び磁石44Bと、固定体16のコイル42A及びコイル42Bと、でフィルタ移動機構を構成している。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット10は、照度計の計測結果に基づいて自動でフィルタ40aを移動させることができ、手動でフィルタ40aを移動させる手間を省くことができるとともに、フィルタ40aのオンオフの切り替え忘れを抑制できる。ただし、このような構成に限定されず、手動でフィルタ40aを移動させる構成としてもよい。
【0038】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10は、フィルタユニット40に磁石44A及び磁石44Bを有し、固定体16の収容位置P1側(第1方向側)に磁性体43B、固定体16の対向位置P2側(第1方向とは反対側)に磁性体43Aを有している。すなわち、フィルタユニット40の磁石44A及び磁石44Bと、固定体16の磁性体43A及び磁性体43Bと、で保持機構を構成している。このため、フィルタユニット40が収容位置P1にある時もフィルタユニット40が対向位置P2にある時も無通電でフィルタユニット40を保持できる。このような構成により、本実施例の光学ユニット10は、磁石44Aと磁性体43Aとに働く磁力及び磁石44Bと磁性体43Bとに働く磁力によりフィルタ40aが不意に移動してしまうことを抑制しているとともに、フィルタ40aを無通電で保持することで消費電力を抑制している。
【0039】
ただし、このような構成に限定されない。例えば、磁性体43A及び磁性体43Bを設けることなく、フィルタユニット40が収容位置P1に位置しているときに該フィルタユニット40がコイル42Bに引き寄せられる方向に磁力が発生するように電流を流し、フィルタユニット40が対向位置P2に位置しているときに該フィルタユニット40がコイル42Aに引き寄せられる方向に磁力が発生するように電流を流すことで、収容位置P1及び対向位置P2においてフィルタユニット40を保持させる構成などとしてもよい。
【0040】
また、本実施例の光学ユニット10は、固定体16の収容位置P1にコイル42Bが設けられるとともにフィルタユニット40のコイル42Bと対向する位置に磁石44Bが設けられ、固定体16の対向位置P2にコイル42Aが設けられるとともにフィルタユニット40のコイル42Aと対向する位置に磁石44Aが設けられている。このように、固定体16の収容位置P1及び対向位置P2に、磁石及びコイルのうちの一方が設けられ、フィルタ40a(フィルタユニット40)に、磁石及びコイルのうちの他方が設けられることが好ましい。磁石及びコイルを用いて簡単に保持機構を形成できるためである。
【0041】
なお、本実施例の光学ユニット10においては、フィルタユニット40に磁石が設けられ、固定体16にコイルが設けられている。このような構成とすることで、コイルへの配線が容易となるとともに、X軸方向に沿って移動するフィルタユニット40を小型化でき、移動負荷を抑制できる。ただし、このような構成に限定されず、フィルタユニット40にコイルが設けられ、固定体16に磁石が設けられていてもよい。
【0042】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
10…光学ユニット、11…折り曲げ保持部、12…光学モジュール(照度計)、
12a…レンズ、12b…ハウジング、14…可動体、15…孔部(排出口)、
16…固定体、18…回転駆動機構、20…支持機構(スラスト受け部材)、
20a…第1スラスト受け部材、20b…第2スラスト受け部材、
21…ジンバル機構、22…ホルダ枠、24A…磁石、24B…磁石、
25…ジンバルフレーム部、27a…第1支持部用延設部、
27b…第2支持部用延設部、32A…コイル、32B…コイル、
40…フィルタユニット、40a…フィルタ、40b…外周部、41…ガイド軸、
42A…コイル(フィルタ移動機構)、42B…コイル(フィルタ移動機構)、
43A…磁性体(保持機構)、43B…磁性体(保持機構)、
44A…磁石(フィルタ移動機構、保持機構)、
44B…磁石(フィルタ移動機構、保持機構)、50…撮像素子、
51…フレキシブル配線基板、161…可動体収容部、161a…被写体側面、
162…FPC収容部、L…光軸、P1…収容位置、P2…対向位置、
R…折り曲げ領域