(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231228BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H05K3/34 501E
H05K3/34 502E
(21)【出願番号】P 2019158734
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 勉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康平
(72)【発明者】
【氏名】呉 有紅
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-080042(JP,A)
【文献】特開2015-038909(JP,A)
【文献】特開2018-207080(JP,A)
【文献】特開2015-162660(JP,A)
【文献】特開2015-179730(JP,A)
【文献】特開2015-072984(JP,A)
【文献】特開2016-122776(JP,A)
【文献】特開2011-097054(JP,A)
【文献】特開平11-330654(JP,A)
【文献】特開2015-097243(JP,A)
【文献】特開2011-210930(JP,A)
【文献】特開2012-195614(JP,A)
【文献】特開平04-179297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成され、導体パッドを含む第1導体層と、
前記第1絶縁層の表面および前記第1導体層の上に形成されていて、第1面と前記第1面の反対側であって前記第1絶縁層の表面と対向する第2面を有するとともに、めっき導体用の開口を備える第2絶縁層と、
前記開口に形成されているめっき導体と
を有するプリント配線板であって、
前記導体パッドは、前記第2絶縁層の前記第2面側に埋め込まれており、
前記第2絶縁層の前記開口の内壁は、前記第2絶縁層の前記第2面側から前記第1面側に向かって縮径しており、
前記めっき導体は、前記導体パッド上に形成され、
前記導体パッドの前記めっき導体が接続される部分には、凹曲面が形成され
、
前記導体パッドと前記めっき導体とのあいだに、Au、Ni/Au、またはNi/Pd/Auを主成分とする金属からなる表面保護層が形成されている。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記めっき導体の中心間距離が、30μm以上、70μm以下である。
【請求項3】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記開口のトップ径が、25μm以下である。
【請求項4】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記めっき導体は、前記第2絶縁層の第1面から突出する導体ポストを含んでいる
【請求項5】
請求項4記載のプリント配線板であって、前記導体ポストの径が、20μm以上、50μm以下である。
【請求項6】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記開口が、レーザー光の照射により形成されている。
【請求項7】
請求項6記載のプリント配線板であって、前記レーザー光がUVレーザー光である。
【請求項8】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記第2絶縁層がソルダーレジスト層である。
【請求項9】
請求項
1記載のプリント配線板であって、前記表面保護層が、凹曲面状に形成されている。
【請求項10】
請求項1記載のプリント配線板であって、前記開口の最大径が、前記開口のボトム径よりも大きい。
【請求項11】
第1絶縁層上に導体パッドを含む導体層を形成することと、
前記第1絶縁層および前記導体層上に、第1面と前記第1面の反対側であって前記第1絶縁層の表面と対向する第2面を有する第2絶縁層を形成することと、
前記第2絶縁層に前記第2絶縁層の前記第1面側から前記第2絶縁層を貫通して前記導体パッドに至り、前記第2面側から前記第1面側に向かって縮径する形状を有する開口を形成すること
と、
前記導体パッド上に、Au、Ni/Au、またはNi/Pd/Auを主成分とする金属材料で表面保護層を形成することと、
前記開口を埋めると共に、前記第2絶縁層の前記第1面から前記第1絶縁層と反対方向に突出する導体ポストを含むめっき導体を、前記
表面保護層上に形成することとを含み、
前記導体層を形成することは、前記第1絶縁層に向かって凹状に湾曲する表面を有する形状で前記導体パッドを形成することを含むプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
請求項
11記載のプリント配線板の製造方法であって、前記開口を形成することは、レーザー光を前記第2絶縁層の前記第1面側から照射することと、前記導体パッドの表面で前記レーザー光を反射させることとを含んでいる。
【請求項13】
請求項
11記載のプリント配線板の製造方法であって、前記開口を形成することは、レーザー光を前記第2絶縁層の前記第1面側から照射することと、前記表面保護層の表面で前記レーザー光を反射させることとを含んでいる。
【請求項14】
請求項
11記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第2絶縁層として、ソルダーレジスト層が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トップ径がボトム径より大きい開口にめっき導体が形成されてなるプリント配線板が開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の多層基板では、貫通孔をファインピッチで形成することは困難であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、導体パッドを含む第1導体層と、前記第1絶縁層の表面および前記第1導体層の上に形成されていて、第1面と前記第1面の反対側であって前記第1絶縁層の表面と対向する第2面を有するとともに、めっき導体用の第1開口を備える第2絶縁層と、前記第1開口に形成されているめっき導体とを有している。そして、前記導体パッドは、前記第2絶縁層の前記第2面側に埋め込まれており、前記第2絶縁層の前記第1開口の内壁は、前記第2絶縁層の前記第2面側から前記第1面側に向かって縮径しており、前記めっき導体は、前記導体パッド上に形成され、前記導体パッドの前記めっき導体が接続される部分には、凹曲面が形成されている。
【0006】
本発明のプリント配線板の製造方法は、第1絶縁層上に導体パッドを含む導体層を形成することと、前記第1絶縁層および前記導体層上に、第1面と前記第1面の反対側であって前記第1絶縁層の表面と対向する第2面を有する第2絶縁層を形成することと、前記第2絶縁層に前記第2絶縁層の前記第1面側から前記第2絶縁層を貫通して前記導体パッドに至り、前記第2面側から前記第1面側に向かって縮径する形状を有する第1開口を形成すること、前記第1開口を埋めると共に、前記第2絶縁層の前記第1面から前記第1絶縁層と反対方向に突出する導体ポストを含むめっき導体を、前記導体パッド上に形成することとを含んでいる。そして、前記導体層を形成することは、前記第1絶縁層に向かって凹状に湾曲する表面を有する形状で前記導体パッドを形成することを含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、接続信頼性が向上された接続用のめっき導体をファインピッチで形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板の一例の一部を拡大して示す断面図。
【
図2A】本発明の一実施形態のプリント配線板の他の例の一部を拡大して示す断面図。
【
図2B】本発明の一実施形態のプリント配線板の他の例の一部を拡大して示す断面図。
【
図3A】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3B】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3C】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3D】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3E】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3F】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図3G】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態のプリント配線板が図面を参照しながら説明される。
図1には、一実施形態のプリント配線板の一例であるプリント配線板1の一部の断面図が示されている。プリント配線板1は、
図1に示されるように、第1絶縁層10と、第1導体層11と、第1絶縁層10の表面および第1導体層11の上に形成されている第2絶縁層12と、を備えている。第2絶縁層12は、第1面12Fおよび第1面12Fと反対側の第2面12Sを備え、第2面12Sが第1絶縁層10の表面に対向するように、第1絶縁層10および第1導体層11上に積層されている。
【0010】
第1絶縁層10は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂材料によって形成される。有機樹脂材料は、補強材などを含まないエポキシ樹脂などでもよいが、ガラス繊維のような補強材にエポキシまたは他の樹脂組成物を含浸させた材料であってもよい。エポキシなどの樹脂組成物には、シリカなどの無機フィラーが含有されていてもよい。また、第1絶縁層10はセラミックやシリコン、ガラス等の無機材料で形成されていてもよい。
図1の例では、第1絶縁層10は、第1絶縁層10上の第1導体層11と第1導体層11と反対側の導体層(図示せず)とを接続するビア導体を含んでいる。例えば、第1絶縁層10は、積層構造すなわち2以上の絶縁層とこれらの絶縁層間に挟まれて積層されている1または2以上の導体層とによって構成されているビルドアップ層の一部の絶縁層であってもよい。
【0011】
第1導体層11は、無電解めっき層111および電解めっき層112から形成されている。無電解めっき層111上の電解めっき層112は、第1絶縁層10に形成されている貫通孔10a内を埋めて、無電解めっき層111とビア導体を形成するとともに第1絶縁層10の第2絶縁層12側(
図1における上方)を向く表面上に形成されている。第1導体層11は、導電性金属で形成されていればよく、例えば銅で形成されている。第1導体層11は、所望の導体パターンを含むように形成されている。
図1の例では、第1導体層11は、ビア導体上に導体パッド110を有している。しかし、導体パッド110の配置はビア導体上でなくてもよい。導体パッド110の第1絶縁層10と反対側を向く表面は、第1絶縁層10に向かって凹状に湾曲するように形成されている。
【0012】
第2絶縁層12は、導体パッド110が埋め込まれる第2開口12bを第2面12S側に含んでいる。第2絶縁層12は、第1絶縁層10と同じ有機樹脂材料によって形成されていてもよく、また異なる有機樹脂材料によって形成されていてもよい。例えば第2絶縁層12は、絶縁性の樹脂フィルムで形成され得る。第2絶縁層12は、ソルダーレジスト層であってもよい。この例が
図1に示されている。このようなソルダーレジスト層を構成する材料としては、熱硬化性エポキシ樹脂が例示される。第2絶縁層12の厚さは、例えば20μm程度に形成される。
【0013】
第2絶縁層12には、めっき導体用の第1開口12aが形成されている。第1開口12aは、導体パッド110の凹状に湾曲されている凹曲面上に形成されている。第1開口12aは、例えば、第2絶縁層12の第1面12Fへのレーザー光の照射により形成され得る。
図1に示される例では、レーザー光は図の上側から照射されて導体パッド110の表面へと至る。導体パッド110の表面が凹曲面であるため、この時レーザーは導体パッド110の表面で乱反射する。この結果、第1開口12aの第1面側すなわち上面側の径(トップ径)と比べて下面側の径(ボトム径)が広がっている。第1開口12aの内壁は、第2絶縁層12の第2面12S側から第1面12F側に向かって縮径する形状を有している。
【0014】
第1開口12a内の導体パッド110上に、無電解めっき層151と電解めっき層152とがこの順に形成され、めっき導体15が形成されている。
図1に示されるように、無電解めっき層151は、導体パッド110の凹曲面上と第2絶縁層12の第1開口12aの内壁面とに形成されている。そして、電解めっき層152が無電解めっき層151を給電層とする電解めっき法により無電解めっき層151上に形成されて、第1開口12a内が充填される。したがって、めっき導体15の径は、第2絶縁層12の第1面12F側から第2面12S側に向かって大きくなっている。めっき導体15の底部は、導体パッド110の凹曲面に沿って導体パッド110に接続されている。めっき導体15の底部は第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲している。無電解めっき層151は、例えば無電解銅めっき層である。電解めっきにより形成される電解めっき層152の材料としては、銅が例示される。しかし、めっき導体15の材料は他の金属であってもよく、例えば、ニッケル、錫が挙げられる。
【0015】
図1の例では、めっき導体15は、第2絶縁層12の第1面12Fすなわち上面から第1絶縁層10と反対方向に突出する導体ポスト155を含んでいる。導体ポスト155は、電解めっき層152による第1開口12aの充填と同時かつ一体的に電解めっき層152によって形成されている。
図1に示されるように、第1開口12aがプリント配線板1の最外層の絶縁層に形成されている場合、導体ポスト155を介してプリント配線板1は図示しない電子部品と電気的に接続され得る。導体ポスト155は第1開口12a内の部分のめっき導体15と一体的に形成されており、かつ、めっき導体15の導体パッド110側のボトム径が大きく導体パッド110との接続面積が大きい。したがって、プリント配線板1の接続信頼性が高いと考えられる。
【0016】
導体ポスト155は、第1開口12aの縮径側であるトップ径側に形成されているので、ファインピッチで形成され得る。また、各導体ポスト155がファインピッチで形成されても、めっき導体15間での短絡不良が生じ難いと考えられる。プリント配線板を用いる機器の品質が向上されると考えられる。例えば、めっき導体15(
図1における導体ポスト155)の中心間距離pは、30μm以上、70μm以下程度である。また、導体ポスト155の径d1は、20μm以上、50μm以下程度である。なお、ここで便宜上「径」という用語が用いられているが、各導体ポストの平面形状は円形や楕円形に限定されない。これらはそれぞれ任意の平面形状を有し得る。従って、導体ポスト155の「径」は、導体ポスト155の外周に属する2点間の距離の内、最大の値を意味している。上述のように、プリント配線板1には、導体ポスト155を介して電子部品が実装され得る。したがって、プリント配線板1の導体ポスト155は、実装される電子部品の電極のサイズや配置に合わせて形成される必要がある。本実施形態では、半導体素子のようにファインピッチで多数の電極が設けられている電子部品が実装される場合であっても、電子部品の複数の電極それぞれに合わせて各導体ポスト155をファインピッチで配置することができる。したがって、プリント配線板1の表面はファインピッチで多数の電極が設けられている電子部品を接続するのに好ましい実装面になり得る。
【0017】
第1開口12aの縮径側のトップ径d2は、例えば、25μm以下である。好ましくは、第1開口12aのトップ径d2は、8μm以上、25μm以下程度である。第1開口12aのトップ径d2がこの程度の範囲の大きさであると、プリント配線板1の使用時にヒートサイクルにより絶縁層の膨張および/または収縮が繰り返されてめっき導体15に応力がかかってもプリント配線板1の信頼性は維持されると考えられる。また、第1開口12aの拡径側のボトム径d3は、18μm以上、35μm以下程度である。
【0018】
めっき導体15が導体ポスト155を含まず、代わりに、第2絶縁層12上(第1絶縁層10と反対側)に導体層を形成してもよい。第2絶縁層12上および導体層上には絶縁層が形成され得る。すなわち、第2面12S側から第1面12F側に向かって縮径する形状を有する第1開口12aは、配線板の内層の絶縁層にも設けられ得る。第1開口12aは積層構造を有する配線板のビルドアップ層中の任意の絶縁層に形成されてよい。この場合、めっき導体15は第1開口12aが形成された絶縁層の上面側および下面側の導体層同士を接続するビア導体として機能し得る。第1開口12aは下側の導体パッドにおけるボトム径がトップ径よりも大きいため、ビア導体としてのめっき導体15と導体パッドとの間の接続面積を大きくすることができる。導体層に精密なパターンが形成されていても導体層間の接続信頼性が向上され得る。
【0019】
また、導体パッド110はビア導体用の導体パッドでなくてもよい。例えば導体パッド110はコア基板に形成されるスルーホール導体用の導体パッドであってもよい。そして、第1絶縁層10はコア基板、例えば心材を有する銅張積層板から形成された基板などであってもよい。この場合でも、導体パッド110は無電解めっき処理および電解めっき処理により形成されることが好ましい。めっき処理条件を適切に調整することにより、凹状に湾曲する表面を有する形状の導体パッド110が形成され得る。
【0020】
図2Aおよび2Bには、プリント配線板1の変形例が部分的に示されている。なお、
図2Aおよび2Bでは、導体パッドや絶縁層の構造は、
図1に示されるプリント配線板1の構造と同様なので、同様の構成要素については、
図1と同じ符号が付され、その説明は適宜省略される。
【0021】
図2Aに示される例では、導体パッド110とめっき導体15との間に表面保護層17が形成されている。表面保護層17は、導体パッド110とは異種の金属により形成されている。表面保護層17は、例えば、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Auなどから形成される。表面保護層17は、導体パッド110の凹曲面上に形成された、第2面12S側から第1面12F側に向かって縮径する形状を有する第2絶縁層12の第1開口12a内に、無電解めっき層151の形成より先に、例えば無電解めっきによって形成される。したがって、表面保護層17は、導体パッド110の凹曲面に沿った、第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲する形状を有している。表面保護層17の形成後、表面保護層17上に無電解めっき層151と電解めっき層152とがこの順に形成され、めっき導体15が形成されている。
図1の例と同様に、めっき導体15の径は、第2絶縁層12の第1面12F側から第2面12S側に向かって大きくなっており、また、めっき導体15の底部は第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲している。表面保護層17の厚さは、例えば、1μm以上であって、3μm以下程度である。
【0022】
図2Bに示される例では、導体パッド110の凹曲面上に形成されるめっき導体15の径は、
図1および2Aの例と同様に、第2絶縁層12の第1面12F側から第2面12S側に向かって大きくなっており、また、めっき導体15の底部は第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲している。しかし、めっき導体15の最大径Dは、めっき導体15の拡径側のボトム径d3よりも大きい。めっき導体用の第1開口12aの内壁はパッド110の凹曲面上に形成される際に、使用されるレーザー光の特性またはレーザー光の反射の条件や程度によって、導体パッド110の表面近傍で内側に湾曲し得る。このような第1開口12a内に無電解めっき層151と電解めっき層152とがこの順に形成されることにより、
図2Bに示される形状のめっき導体15が形成される。例えば、めっき導体15のトップ径d2は、8μm以上、25μm以下程度、最大径Dは、18μm以上、35μm以下程度、ボトム径d3は、15μm以上、32μm以下程度である。本実施例においても、めっき導体15のボトム径d3はトップ径d2と比較して大きいため、導体パッド110とは高い接続信頼性で接続されると考えられる。
【0023】
次に、実施形態のプリント配線板の製造方法の一例が、
図1に示されるプリント配線板1を例に、
図3A~3Gを参照して具体的に説明される。なお、添付の図面において配線板の各構成要素のサイズや形状の正確な比率を示すことは意図されていない。
【0024】
まず
図3Aに示されるように、所定の導体パターンを含む第1導体層11が、任意の方法により第1絶縁層10上に形成される。第1導体層11の形成には、例えば、セミアディティブ法が用いられてもよい。この場合、第1絶縁層10の表面全面および第1絶縁層10に形成されている貫通孔10a内への無電解めっきなどによる無電解めっき層111の形成後、所定の箇所に開口を有するめっきレジスト(図示せず)が形成され、貫通孔10a内およびめっきレジストの開口内に電解めっき層112が形成される。電解めっき層112を含む第1導体層11がビア導体とともに形成される。その後、めっきレジストが除去され、不要部分の無電解めっき層111がエッチングで除去される。しかしながら、第1導体層11は、フルアディティブ法やサブトラクティブ法で形成されてもよい。第1導体層11は、ビア導体上に導体パッド110を含んでいる。導体パッド110は、第1絶縁層10と反対側を向く表面が第1絶縁層10に向かって凹状に湾曲するように適宜めっき条件を調整することにより形成される。
【0025】
次いで、
図3Bに示されるように、第1絶縁層10および第1導体層11の上に第2絶縁層12が形成される。
図1の例では、第2絶縁層12は、ソルダーレジストで形成される。例えば熱硬化性樹脂フィルムからなるソルダーレジストが第1絶縁層10上および第1導体層11上に形成される。したがって、第2絶縁層12は、導体パッド110が埋め込まれている第2開口12bを、第1絶縁層10と対向する面である第2面12S側に含んでいる。
【0026】
次いで、
図3Cに示されるように、このソルダーレジスト層(第2絶縁層12)に、ソルダーレジスト層(第2絶縁層12)を貫通して第1導体層11の導体パッド110に至る第1開口12aが、例えばレーザー光照射の方法を用いて形成される。レーザーによる開口の形成は、第2絶縁層12の第2面12Sの反対側の第1面12Fからレーザー光を照射することにより行われる。レーザー光としては、例えばCO
2レーザー光、UVレーザー光等が用いられ得る。好ましくはレーザー光としてはUVレーザーが使用されてもよい。小径の開口の形成が好適に行われ得る。レーザー光の照射条件を適宜調整して、レーザー光が導体パッド110の凹曲面に至ったときに反射、例えば乱反射させることにより、第1面12F側のトップ径d2が小さく、第2面12S側のボトム径d3が大きい、第2面12S側から第1面12F側に向かって縮径する形状の第1開口12aが形成される。
【0027】
レーザー光の照射条件をさらに調整することにより、
図2Bで示されるような第1開口12aの内壁が導体パッド110の表面近傍で内側に湾曲している形状の第1開口12aが形成されてもよい。また、第1開口12aは、ソルダーレジスト層(第2絶縁層12)の材料として感光性のソルダーレジストを用いて、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより形成されてもよい。
【0028】
図2Aに示される例のように、第1開口12a内の導体パッド110上に表面保護層17が形成される場合には、
図3Cで示される工程後、後述の
図3Dで示される工程の前に、表面保護層17が形成される。例えば、第1開口12a内の導体パッド110上に、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Auなどのめっき層が形成されて表面保護層17が形成されてもよい。表面保護層17は、例えば1μm以上であって、3μm以下程度の厚みで形成される。第1開口12a内の導体パッド110上に形成される表面保護層17は、導体パッド110の凹曲面に沿って、第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲する。
【0029】
次いで、
図3Dに示されるように、第1開口12a内の導体パッド110および第2絶縁層12の表面上に、例えば化学めっき(無電解めっき)により無電解めっき層151が形成される。この無電解めっき層151の材料としては、銅が好ましいが、これに限定されない。また、無電解めっき層151の代わりに、スパッタリングや真空蒸着などにより形成された金属膜が第1開口12a内の導体パッド110および第2絶縁層12の表面上に形成されてもよい。無電解めっき層151は、後述の
図3Fに示される電解めっき層152を電解めっきによって形成するための給電層となるものである。したがって、無電解めっき層151は導電性の金属膜であればよい。無電解めっき層151の厚さは、0.05μm以上であって、1.0μm以下程度である。第1開口12a内の導体パッド110上に形成される無電解めっき層151は、導体パッド110の凹曲面に沿って、第1絶縁層10に向かって凸状に湾曲している。
図2Aに示される例のように、第1開口12a内の導体パッド110上に表面保護層17が形成されている場合には、表面保護層17および第2絶縁層12の表面上に、無電解めっき層151が形成される。
【0030】
次いで、
図3Eに示されるように、第2絶縁層12の上面である第1面12F上の無電解めっき層151上に、例えば紫外線硬化型の厚膜のめっきレジスト(ドライフィルムレジスト)層19が積層される。めっきレジスト層19には、第2絶縁層12の第1開口12aに対応する部分に、開口19aが形成される。この開口19aは、例えば、めっきレジスト層19の露光と現像により形成される。めっきレジスト層19の開口19aの径は、第2絶縁層12の第1開口12aのトップ径d2よりも大きく形成されている。例えば、開口19aの径(導体ポスト155の径d1)は、20μm以上、50μm以下程度である。
【0031】
次いで、
図3Fに示されるように、第2絶縁層12の第1開口12a内およびめっきレジスト層19の開口19a内に、無電解めっき層151を給電層とする電解めっき法により、電解めっき層152が形成される。
【0032】
続いて、
図3Gに示されるように、めっきレジスト層19(
図3F参照)が除去される。次いで、めっきレジスト層19の除去により露出する無電解めっき層151が、エッチングにより除去される。除去により、第2絶縁層12の第1面12Fが露出する。無電解めっき層151および電解めっき層152からなるめっき導体15が形成される。めっき導体15は、第2絶縁層12の第1面12Fから突出する導体ポスト155を含んでいる。
図1に示されるプリント配線板1が完成される。
【0033】
本実施形態の製造方法により製造されるプリント配線板1は、異なるサイズの導体パッドおよびその上にそれぞれ形成される異なる径のめっき導体を含んでいてもよい。例えば、プリント配線板1上に実装される電子部品が微細化された複数の端子を有している場合、そのような端子に接続するために、本実施形態の製造方法を用いてファインピッチの導体ポスト155が形成され得る。接続信頼性の高いプリント配線板1が簡便に形成され得る。
【0034】
先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。例えば、電解めっきを用いることなく、無電解めっきでめっき導体を形成してもよい。また、製造されるプリント配線板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 プリント配線板
10 第1絶縁層
10a 貫通孔
11 第1導体層
110 導体パッド
12 第2絶縁層
12F 第1面
12S 第2面
12a 第1開口
12b 第2開口
15 めっき導体
111、151 無電解めっき層
112、152 電解めっき層
155 導体ポスト
17 表面保護層
19 めっきレジスト層
19a 開口