(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】モノリス状翼桁
(51)【国際特許分類】
B64C 3/18 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B64C3/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019160790
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アバディ, フランク
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0291682(US,A1)
【文献】特開2010-159049(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00147734(GB,A)
【文献】特開2003-072691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパー(610)を備える、航空機(10)用の翼(100)であって、
前記スパー(610)が、
上部翼弦(624)、下部翼弦(626)、及び前記上部翼弦と前記下部翼弦との間に配置されたウェブ(628)を備える、モノリス構造(650)、並びに
前記モノリス構造とは別個で独立したストラット(652)であって、前記上部翼弦と前記下部翼弦との間で前記モノリス構造に連結されており、かつ前記ウェブにわたって延びている、ストラット(652)、
を備え
、
前記モノリス構造(650)が、前記上部翼弦(624)の下端に形成され、隣接した前記ウェブ(628)に関する断面で厚さが増大する上部パッド(654)と、前記下部翼弦(626)の上端に形成され、隣接した前記ウェブ(628)に関する断面で厚さが増大する下部パッド(656)とをさらに備え、
前記ストラット(652)が、前記上部パッド(654)及び前記下部パッド(656)に連結されている、航空機(10)用の翼(100)。
【請求項2】
前記スパー(610)が、機内側端部(604)と、機外側端部(606)とを備える、請求項1に記載の翼(100)。
【請求項3】
前記ウェブ(628)が、前記機内側端部(604)と前記機外側端部(606)との間で前記スパー(610)の長さに沿って配設された複数のウェブを備え、
前記ウェブの厚さが、前記スパー(610)の前記機内側端部(604)から前記機外側端部(606)への方向で減少することによって、前記機内側端部に対してより近接して配置された機内側ウェブが、前記機外側端部に対してより近接して配置された機外側ウェブよりも大きな厚さを有する、
請求項2に記載の翼(100)。
【請求項4】
前記ストラット(652)が、複数のストラットを備え、各ストラット(652)は、複数のウェブ(628)のうちの1つに対応しており、かつ、
前記ストラット(652)の厚さは、対応する前記ウェブ(628)の厚さに比例して変化する、
請求項3に記載の翼(100)。
【請求項5】
前記ストラット(652)が、前記上部翼弦(624)に隣接して配置された上端(658)と、前記下部翼弦(626)に隣接して配置された下端(660)とを備え、
前記ストラット(652)が、前記上部翼弦(624)及び前記下部翼弦(626)に対して垂直ではない角度で配置されているとともに、前記スパー(610)の機外側端部(606)へと方向付けられていることによって、前記上部翼弦(624)に隣接して配置された前記ストラット(652)の前記上端(658)は、前記下部翼弦(626)に隣接して配置された前記ストラット(652)の下端(660)よりも、前記機外側端部(606)に対してより近くに配置されている、
請求項2に記載の翼(100)。
【請求項6】
前記スパー(610)は、前記機内側端部(604)と前記機外側端部(606)との間で前記スパー(610)の長さに沿って延びる長手軸を有し、
前記ストラット(652)は、前記スパー(610)の前記機内側端部(604)と前記機外側端部(606)との間で前記スパー(610)の長さに沿って配設された複数のストラットを備え、
前記上部翼弦(624)及び前記下部翼弦(626)に対する前記ストラットの角度は、前記スパー(610)の前記機内側端部(604)から前記機外側端部(606)への方向で増大することによって、前記スパーの前記機内側端部に対してより近接して配置された前記ストラット(652)が、前記スパーの前記機外側端部に対してより近接して配置された前記ストラットと比較して、より小さな角度で方向付けされており、前記角度は、前記スパーの長手軸に対して直交する仮想垂線に対して測定したものである、
請求項5に記載の翼(100)。
【請求項7】
前記ストラット(652)を前記上部パッド(654)及び前記下部パッド(656)に連結するためのファスナ(638)をさらに備える、請求項
1に記載の翼(100)。
【請求項8】
前記モノリス構造(650)が、前記ウェブ(628)に隣接して前記上部翼弦(624)と前記下部翼弦(626)との間に配置された補強材(640)をさらに備える、請求項1に記載の翼(100)。
【請求項9】
前記モノリス構造(650)が、前記ウェブ(628)に隣接して前記上部翼弦(624)と前記下部翼弦(626)との間に配置されたリブポスト(642)をさらに備える、請求項1に記載の翼(100)。
【請求項10】
前記スパー(610)が、フロントスパー及びリアスパーを備え、前記翼(100)が、前記フロントスパーのリブポスト(642)と、前記リアスパーのリブポスト(642)とに連結されたリブをさらに備える、請求項
9に記載の翼(100)。
【請求項11】
前記上部翼弦(624)及び前記下部翼弦(626)がそれぞれ、T字状又はL字状の断面を備える、請求項1に記載の翼(100)。
【請求項12】
請求項1に記載の翼(100)のスパー(610)を支持する方法であって、
前記翼(100)からの応力を、前記翼(100)内に配置されるとともに前記翼(100)を支持する前記スパー(610)の
前記モノリス構造(650)によって、受けること、及び
前記応力を、前記モノリス構造(650)の
前記上部翼弦(624)と
前記下部翼弦(626)との間で、前記モノリス構造(650)に連結された
前記ストラット(652)により分配すること
を含む、方法。
【請求項13】
前記応力を受けることが、前記モノリス構造(650)の前記下部翼弦(626)において張力を受けることと、前記モノリス構造(650)の前記上部翼弦(624)において圧縮を受けることとを含み、
前記応力を分配することが、前記ストラット(652)において張力を受けることを含む、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記下部翼弦(626)内部における応力破壊を、前記下部翼弦(626)において張力を受けることから受けること、及び
前記ストラット(652)においてさらなる張力を受けること
をさらに含み、これによって前記モノリス構造(650)の前記下部翼弦(626)内部における応力破壊が阻止される、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、モノリス状スパー、例えば翼内部で、特に航空機で使用するためのモノリス状スパーに関する。
【背景技術】
【0002】
航空工学における進歩によって、航空機の製造、信頼性及び性能を改善する動向が、長年にわたり続いてきた。航空機製造の分野では、製造技術の改善(例えばコンピュータ支援型製造、及び複合材の使用)により、航空機を製造及び組み立てるための時間が、削減されている。さらに、航空機信頼性の分野ではとりわけ、技術者が部材の冗長性を追求している。多くの進歩及び改善が、航空機設計においてなされているものの、さらなる改善の余地が、航空機製造、信頼性及び性能を定量化する多くのパラメータにおいてなおも存在する。従って、航空機の製造、信頼性及び/又は性能を改善する航空機及び航空機部材が、必要とされ得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示のシステム、方法、装置及び装置は、それぞれ複数の態様を有し、これらのいずれか1つのみが、その属性を担うものではない。後続の特許請求の範囲によって表現される本開示を限定するものではないが、幾つかの特徴について、以下で簡単に説明する。この議論を考慮した後、特に「発明の詳細な説明」の部分を読んだ後には、本開示の特徴が、翼桁を含む利点をどのようにもたらすかが、理解できるであろう。
【0004】
1つの実施態様では、航空機用の翼が開示される。翼は、モノリス構造及びストラットを含むスパーを備える。モノリス構造は、上部翼弦、下部翼弦、及び上部翼弦と下部翼弦との間に配置されたウェブを備える。モノリス構造とは別個で独立したストラットは、上部翼弦と下部翼弦との間でモノリス構造に連結されており、ウェブにわたって延びている。
【0005】
別の実施態様では、航空機用の翼桁が開示される。このスパーは、上部翼弦及び下部翼弦を備えるモノリス構造、並びに上部翼弦と下部翼弦との間でモノリス構造に連結されたストラットを備える。
【0006】
別の実施態様では、モノリス構造を含むスパーを支持する方法が開示される。この方法は、翼からの応力を、翼内に配置されるとともに翼を支持するスパーのモノリス構造によって、受けることと、前記応力を、モノリス構造の上部翼弦と下部翼弦との間で、モノリス構造に連結されたストラットにより、分配することとを含む。
【0007】
これらの実施形態には一般的に、ここに実質的に開示された(添付図面を参照して、また添付図面により説明される)通りの、方法、装置及びシステムが含まれる。その他多くの態様が、もたらされる。
【0008】
前述の目的及び関連する目的を達成するため、1つ又は複数の態様は、以下に完全に記載するとともに、特に特許請求の範囲で指摘する特徴を含む。以下の明細書及び添付図面は、1つ又は複数の態様について特定の説明的な特徴を、詳細に規定する。しかしながらこれらの特徴は、様々な態様の原理を使用可能な様々なやり方の幾つかを示すものに過ぎず、本明細書は、このような態様及びその均等物の全てを含むことが意図されている。
【0009】
本開示の前述の特徴が詳細に理解されるように、先に要約したより具体的な記述は、複数の態様を参照することによりなされることがあり、これらの態様のうちいくつかは、添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本開示の特定の典型的な態様のみを説明するに過ぎないため、本願発明の範囲を制限するとみなされるべきではないことに、留意されたい。明細書は、その他の同様に効果的な態様について、その余地を残すことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つ又は複数の態様に従った、飛行機の斜視図である。
【
図2】本開示の1つ又は複数の態様に従った翼についての、全体的な内部透視図及び一部の分解図である。
【
図3】本開示の1つ又は複数の態様に従った、翼の断面図である。
【
図4】本開示の1つ又は複数の態様に従った、スパーの斜視断面図である。
【
図5】本開示の1つ又は複数の態様に従った、スパーの断面図である。
【
図6】本開示の1つ又は複数の態様に従った、スパーの斜視断面図である。
【0011】
理解を容易にするため、図面同士で共通する同じ要素を示すためには可能な限り、同一の参照番号を使用してある。1つの態様において記載した要素は、具体的に言及せずとも、その他の態様で有利に利用可能であることが企図されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施態様により、翼のモノリス状スパーのための装置、システム及び方法がもたらされる。
【0013】
以下では、本開示に提示される実施態様について述べる。しかしながら本開示の範囲は、記載された特定の実施態様に制限されるものではない。そうではなく、以下の特徴及び要素のあらゆる組み合わせが、様々な態様に関連するか否かに拘わらず、考慮された態様を実施及び実行するために考慮される。さらに、ここに開示された複数の態様は、その他のあり得る解決法又は従来技術に対して利点を達成することができるものの、特定の利点が所与の態様によって達成されたかどうかは、本開示の範囲を制限するものではない。よって、以下の実施形態、特徴及び利点は、単に説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲で明示的に言及されていない限り、添付特許請求の範囲の要素又は限定とみなされるべきではない、同様に、「本発明」又は「本開示」という文言は、ここに開示される本発明のあらゆる対象の一般化として解釈されるべきではなく、特許請求の範囲で明示的に言及されていない限り、添付特許請求の範囲の要素又は限定とみなされるべきではない。
【0014】
ここに示して説明するように、本開示について様々な特徴が提示される。様々な実施形態が、同一又は類似の特徴を有することがあるため、この同一又は類似の特徴は、同じ参照番号によって表示することがあるものの、その特徴が示されている図面を示す別の最初の番号が、優先する。よって例えば、
図Xに示された要素「a」は、「Xa」と表示されることがあり、
図Zにおける類似の特徴は、「Za」と表示されることがある。類似の参照番号は、一般的な意味合いで使用されることがあるものの、様々な実施形態が記載され、様々な特徴には、当業者には理解されるように変化、変更、修正などが含まれ、明示的に記載されているかどうかに拘わらず、当業者によって理解されるだろう。
【0015】
翼は、揚力をもたらす航空機の部材である。本開示は、例えば翼の製造及び組み立てを容易にするため、また翼によってもたらされる信頼性を向上させるための、翼及び翼内部で使用されるスパーに関する。翼桁は、モノリス状構造を備え、このモノリス状構造は、上部翼弦及び下部翼弦を有するものである。モノリス状構造はさらに、ウェブ、補強材、及び/又は上部翼弦と下部翼弦との間に配置されたリブポストを備える。例えば、ウェブ、補強材及び/又はリブポストは、一体的に形成されていてよく、上部翼弦及び下部翼弦に連結されていてよい。
【0016】
モノリス状構造とは別個で独立したストラット又はその何らかの部材は、例えばウェブにわたって延びることによって、モノリス状構造に連結されている。例えば、モノリス状構造はさらに、上部翼弦に隣接して配置された上部パッドと、下部翼弦に隣接して配置された下部パッドとを有することができ、ここでストラットは、上部パッド及び下部パッドに連結されていてよい。スパーはさらに、機内側端部及び機外側端部を備える。ストラットが、スパーの機外側に向かって方向付けられた角度で配置されたストラットによって、モノリス構造に連結されていることによって、ストラットの上端は、ストラットの下端よりも、機外側端部に対してより近接して配置されている。特に、上部翼弦の近くに、又は上部翼弦に隣接して配置されたストラットの上端は、例えばストラットの下端との関連で、スパーの機外側端部に対して非常に近くに配置されている。
【0017】
図1は、本開示の1つ又は複数の態様に従った飛行機10の斜視図である。飛行機10は一般的に、人員及び/又は貨物を輸送するために利用できる。ここに示したように飛行機10は、胴体20と、胴体20に連結された一対の翼100とを備える。これらの翼100は、互いに向かい合う側で胴体20に連結されている。さらに、ここに示したように翼100は、翼100、ひいては飛行機10の方向を制御するための1つ又は複数のフラップ102を備えることができる。
【0018】
図2は、翼200についての内部透視図、及び部分的な分解図である。翼200は、機内側端部204と、機外側端部206とを備え、翼200の機内側端部204は、飛行機の胴体に連結するために使用される。1つ又は複数のスパーが、翼200内部に含まれており、ここでスパーは、翼200のための構造支持体の主部材として、翼200の実質的に全長にわたって延びていてよい。例えば、翼200は、翼200に対してウイング・ボックス214を画定するフロントスパー210及びリアスパー212を備える。翼200から取り外されたフロントスパー210の例が、参照のため
図2にも提示されている。フロントスパー210及びリアスパー212は、翼200の長さにわたって延びていてよい。さらに、所望であれば、センター・スパー216が、フロントスパー210とリアスパー212との間に、例えば翼200の長さの一部に沿って、配置されていてよい。センター・スパー216は、翼200の機内側端部204でさらなる構造的な支持部を、例えば垂直方向に、もたらすことができる。
【0019】
1つ又は複数のリブ218は、翼200内部に(例えば翼桁210、212及び/又は216に連結されて)含まれており、翼200にさらなる構造支持体をもたらす。例えば、リブ218は、翼200の長さに沿って分配されたものとして示されており、ここで各リブ218は、フロントスパー210及びリアスパー212に連結され、フロントスパー210とリアスパー212との間に延びている。翼200の機内側端部204に対してより近接したリブ218も、存在するのであればセンター・スパー216に連結していてよい。翼200から取り外した例示的なリブ218が、参照のため提示されている。
【0020】
リブ218に加えて、1つ又は複数のストリンガ220が、さらなる支持部をもたらすために、翼200内に含まれていてよい。翼200は、フロントスパー210及びリアスパー212の上に配置されるとともに、フロントスパー210とリアスパー212との間に延びる上部外板222を備える。
図2は、参照のために上部外板222の下側を示す。1つ又は複数のストリンガ220は、上部外板222に当接してこれを支持するために、上部外板222とリブ218との間に連結又は配置されていてよい。1つ又は複数のさらなる部材もまた、翼200についての必要性及び使用に応じて、翼200内部に含まれていてよい。例えば、翼200に対して内部にある部材、例えば燃料タンク及び様々な電子機器は、翼200に連結された上部外板222(及び/又は下部外板)に先んじて、翼200内部に含まれていてよい。翼200に対して外部にある部材、例えば主翼フラップ、補助翼、及び/又はその他の翼制御表面は、上部外板222が翼200に連結された後、翼200に連結され得る。
【0021】
図3は、翼200、より具体的にはウイング・ボックス214の断面図である。翼200は、フロントスパー210及びリアスパー212を備える。フロントスパー210は、上部翼弦224、下部翼弦226、及び上部翼弦224と下部翼弦226との間に延びてこれらに連結されたウェブ228を備える。同様に、リアスパー212は、上部翼弦230、下部翼弦232、及び上部翼弦230と下部翼弦232との間に延びてこれらに連結されたウェブ234を備える。フロントスパー210の上部翼弦224、及びリアスパー212の上部翼弦230はともに、上部外板222に連結されている。さらに、フロントスパー210の下部翼弦226、及びリアスパー212の下部翼弦232はともに、下部外板236に連結されている。ストリンガ220も、ウイング・ボックス214内に含まれており、ここでストリンガ220はそれぞれ、上部外板222に対して、又は下部外板236に対して独立して連結されており、上部外板222に対する支持部、又は下部外板236に対する支持部をもたらす。
【0022】
翼200の部材は、様々な方法(恒常的な、及び非恒常的な接合又は連結方法を含む)によって相互に連結されていてよい。連結のための恒常的な方法には、溶接が含まれることがあり、連結のための非恒常的な方法には、
図3に示したようにファスナ238の使用が含まれ得る。ファスナ238には、リベット、ボルト、ナット及び/又はねじが含まれ得るが、これらに限られない。従って、ストリンガ220は、ファスナ238によって、上部外板222に、また下部外板236に連結されていてよい。翼弦224、226、230及び232は、ファスナ238によって、上部外板222に、また下部外板236に連結されていてもよい。さらに、フロントスパー210のウェブ228は、ファスナ238によって、上部翼弦224及び下部翼弦226に連結されていてよく、リアスパー212のウェブ234は、ファスナ238によって、上部翼弦230及び下部翼弦232に連結されていてよい。
【0023】
図4は、本開示の1つ又は複数の実施態様に従ったスパー(例えばフロントスパー210)の透視断面図であり、
図5は、本開示の1つ又は複数の実施態様に従ったフロントスパー210の断面図である。フロントスパー210は、上部翼弦224、下部翼弦226及びウェブ228を備える。ウェブ228は、上部翼弦224と下部翼弦226との間に延び、例えばファスナ238によって、上部翼弦224及び下部翼弦226に連結されている。
【0024】
スパー210は、1つ又は複数の補強材240及び/又は1つ又は複数のリブポスト242を含むこともできる。補強材240は、上部翼弦224及び下部翼弦226を当接させるため、上部翼弦224と下部翼弦226との間に(例えば補強材240の端部に対して)配置されていてよい。さらに、補強材240は、上部翼弦224、下部翼弦226、及びウェブ228に連結されていてよく、例えばファスナ238によって連結されていてよい。
図5に最もよく示されているように、補強材240は、L字状の断面を有することができるが、本開示の範囲を逸脱しない限り、その他の形状(例えばI字状又はT字状)の断面を有することもできる。補強材240は、例えば上部翼弦224、下部翼弦226、さらにはウェブ228との間で力の伝達を容易にすることによって、スパー210にさらなる支持部をもたらすために使用することができる。
【0025】
同様に、リブポスト242は、上部翼弦224及び下部翼弦226を当接させるため、上部翼弦224と下部翼弦226との間に(例えばリブポスト242の端部に対して)配置されていてよい。リブポスト242は、上部翼弦224、下部翼弦226、及びウェブ228に連結されていてよく、例えばファスナ238によって連結されていてよい。
図5に最もよく示されているように、リブポスト242は、T字状の断面を有することができるが、本開示の範囲を逸脱しない限り、その他の形状(例えばI字状又はL字状)の断面を有することもできる。リブポスト242は、例えば、フロントスパー210及びリアスパー212に連結されたリブ218を有することによって(
図2参照)、スパー210へのリブの連結を容易にするために使用できる。
【0026】
1つの実施形態では、補強材240及びリブポスト242が、スパー210内部に含まれる場合、補強材240及びリブポスト242はともに、スパー210に対してさらなる支持部をもたらすために使用できる。このような実施形態では、補強材240及びリブポスト242は、スパー210の長さに沿って、位置が相互に入れ替わり得る。しかしながら本開示は、そのように限定されることはなく、1つの実施形態では、補強材240が、スパー210内部に含まれていないこともあり、又は少なくともスパー210の一部に沿って含まれていないこともある。さらに、リブポスト242は、スパー210の長さに沿って相互に約26インチ~約32インチ(約66cm~約81cm)の間に配置され得る。補強材240がスパー210内部に含まれる場合、補強材240は同様に、スパー210の長さに沿って相互に約26インチ~約32インチ(約66cm~約81cm)の間に配置され得る。
【0027】
1つ又は複数の実施形態では、翼及び/又はその部材は、例えば翼にわたって端部から端部へ、又は前部から後部へと移動した場合に、大きさ又は寸法が異なっていてよい。例えば
図2に戻って参照すると、翼200は、例えば翼200の機内側端部204から機外側端部206へ移動した場合に大きさ及び寸法が減少することによって、寸法が異なる又は次第に細くなって(taper)いてよい。例えば1つの実施形態では、スパー210が、機内側端部204において約4フィート~約5フィート(約1.2メータ~約1.5メータ)という高さ(例えば上部翼弦224と、下部翼弦226との間の距離)を有することができ、機外側端部206において約12インチ~約14インチ(約30.5cm~約35.6cm)という高さを有することができる。よって、スパー210は、機内側端部204から機外側端部206へと移動した場合に高さが減少し得る。同様に、スパー210の厚さ、及び/又はスパー210の1つ又は複数の部材の厚さは、高さに比例して減少し得る。例えば、上部翼弦224と下部翼弦226との間にあるウェブ228は、機内側端部204から機外側端部206へと移動した場合に、厚さが減少してよく、ここでウェブ228の厚さ減少は、スパー210の高さ減少に対して比例であり得る。
【0028】
図6は、本開示の1つ又は複数の態様に従った、スパー610の透視断面図を示す。スパー610は、例えば、1つより多いスパーが含まれている場合にはフロントスパー及び/又はリアスパーとして使用するために、翼内部に含まれていてよく、ここで翼610は、矢印Oで示された機外側方向へと延びる。よって、スパー610の機内側端部604が、矢印Oの上流であり、スパー610の機外側端部606が、矢印Oの下流である。
【0029】
スパー610は、上部翼弦624、下部翼弦626、及び1つ又は複数のウェブ628を備える。上部翼弦624及び下部翼弦626は、
図6に示されているようにそれぞれ、T字状の断面を有することができるが、本開示の範囲を逸脱しない限り、その他の形状の断面(例えばL字状の断面)を有することもできる。ウェブ628は、上部翼弦624と下部翼弦626との間に延び、上部翼弦624及び下部翼弦626に連結されている(例えば以下でより詳細に論じるように、上部翼弦624及び下部翼弦626によって形成されている)。ここに示されているようにウェブ628は、上部翼弦624及び下部翼弦626よりも厚さが薄い。
【0030】
1つ又は複数の補強材640及び/又は1つ又は複数のリブポスト642は、スパー610内部に含まれている。補強材640は、上部翼弦624及び下部翼弦626に当接させるため、上部翼弦624と下部翼弦626との間に配置され、上部翼弦624及び下部翼弦626に連結されている。補強材640はまた、ウェブ628に隣接して、ウェブ628の間に配置されている。同様にリブポスト642は、上部翼弦624及び下部翼弦626に当接させるため、上部翼弦624と下部翼弦626との間に配置され、上部翼弦624及び下部翼弦626に連結されている。リブポスト642は、ウェブ628に隣接して、ウェブ628の間に配置されている。よってウェブ628は、補強材640(存在する場合)及び/又はリブポスト642の間で画定され、ここでウェブ628は、補強材640及びリブポスト642よりも厚さが薄いものとして示されている。
【0031】
なおも
図6を参照すると、1つ又は複数の実施形態においてスパー610は、モノリス構造650として形成されていてよく、又はモノリス構造650を有していてよく、例えばモノリス構造は、スパー610の機内側端部から機外側端部へと延びる。特に、スパー610の部材は、モノリス構造650を形成するために、相互に一体的に形成されていてよい。よって、上部翼弦624、下部翼弦626、及びウェブ628は、モノリス構造650を形成するために、相互に一体的に形成されていてよい。さらに、補強材640及び/又はリブポスト642がスパー610内部に含まれている実施形態において、補強材640及びリブポスト642は、モノリス構造650を形成するために、相互に一体的に形成されていてよい。
【0032】
スパー610は、モノリス構造650を含むことによって、例えばスパーの部材を独立して形成して、それから恒常的な接合(例えば溶接)又は非恒常的な接合(例えばファスナ)により部材を相互に連結する場合と比較して、強度及び構造的な剛性が上昇し得る。さらに、スパー610及び/又はスパー610を有する翼を製造するために必要な時間が、モノリス構造650を使用することによって、減少し得る。例えば、モノリス構造650は、三次元(3D)プリンティング法又は類似の方法によって製造することができる。さらに、又は代替的に、モノリス構造650は、バルク材料からフライス加工によって製造することができる。モノリス構造650は、一貫して同じ材料、例えば金属(例えば鋼若しくはアルミニウム)から形成されるか、又は同じ材料若しくは一貫して一定の材料を有する。よってモノリス構造650は、恒常的な、及び非恒常的な接合の使用、又はモノリス構造650の部材を相互に連結する方法の使用を避けることができる。
【0033】
スパー610はモノリス構造650から形成されていてよいか、又はモノリス構造650を含み得るので、1つ又は複数の部材は、信頼性を改善させるために、モノリス構造650とは独立して、モノリス構造650に連結して形成されていてよい。例えば1つの実施形態では、1つ又は複数の部材が、スパー610を強化するため、またスパー610にさらなる構造的な支持部及び剛性をもたらすために、モノリス構造650とは独立して形成されていてよく、またモノリス構造650とともに含まれていてよい。
【0034】
図6を参照すると、スパー610は、モノリス構造650に連結された1つ又は複数のストラット652を、信頼性向上部材として備えていてよい。ストラット652(バー又はロッドとして示されている)は、モノリス構造650とは別個で独立しており、例えばウェブ628、上部翼弦624、及び下部翼弦626とは別個で独立している。ストラット652は、モノリス構造650に対して取り外し可能に連結され得るため、ストラット652及びモノリス構造650は、相互に連結可能であり、所望の場合には取り外し又は交換のために、連結解除できる。
【0035】
ストラット652は、上部翼弦624と下部翼弦626との間でモノリス構造650に連結されており、ウェブ628にわたって延びる。例えばここに示したように、モノリス構造650は、上部パッド654及び下部パッド656を含み得る。上部パッド654は、上部翼弦624及びウェブ628に隣接して上部翼弦624の下端に、配置又は形成されている。下部パッド656は、下部翼弦626及びウェブ628に隣接して下部翼弦626の上端に、配置又は形成されている。上部パッド654及び下部パッド656はそれぞれ、ウェブ628に関する断面で厚さが増大している。ストラット652は、上部パッド654及び下部パッド656に連結されており、ウェブ628にわたって延びる。特に、ストラット652の上端658は、上部パッド654に連結されており、ストラット652の下端660は、下部パッド656に連結されている。ストラット652は、恒常的な接合又は非恒常的な接合によって(例えばファスナ638の使用によって)、モノリス構造650に連結されていてよく、ここに示したようにファスナ638は、ストラット652を上部パッド654及び下部パッド656に連結するために使用できる。ストラット652は、モノリス構造650と同じ又は類似の材料(例えば金属)から形成されていてよい。代替的に、ストラット652はモノリス構造650から独立しているので、ストラット652は、異なる材料(例えば複合材)から形成されていてよく、モノリス構造650に連結されていてよい。
【0036】
ストラット652は、モノリス構造650にさらなる支持部及び構造をもたらすために使用できる。例えば、ストラット652は、上部翼弦624と下部翼弦626との間で力又は負荷を担わせる、又は再分配させるために使用することができる。さらに、ストラット652が、スパー610の機外側端部606に向かって方向付けられている上部翼弦624及び下部翼弦626に対して或る角度(例えば垂直ではない角度)で配置されているように、ストラット652がモノリス構造650に連結されていてよい。例えば
図6に示したように、スパー610は、機内側端部604と機外側端部606との間でスパー610の長さに沿って延びる長手軸L
1を有するものとして、示されている。仮想垂線L
2も、上部翼弦624と下部翼弦626との間にある長手軸L
1に対し直交して延びるものとして、示されている。ストラット652は、仮想垂線L
2に対する角度Aで配置されている。このような実施形態において、ストラット652の角度Aは、ストラット652の下端660(下部翼弦626に隣接して配置されている)よりも機外側端部606に対して、より近接している又はより近いストラット652の上端658(上部翼弦624に隣接して配置されている)を向いている。
【0037】
非モノリス状のスパーでは、下部翼弦がスパー内部で最も大きな応力及び負荷を受けること(例えば、翼内部で使用された場合、スパーにわたる揚力から、下部翼弦には張力がかかり、上部翼弦には圧縮がかかる)が、一貫して実証されている。よって
図6では、上部翼弦624に隣接して配置されたストラット652の上端658が、ストラット652の下端660よりも機外側端部606に対して近接して、又はより近くにあるように、ストラット652が、スパー610に対して角度Aで、機外側端部606に向かって方向付けられていてよい。このような方向付けでは、ストラット652には、負荷を下部翼弦626から上部翼弦624に担わせる又は再分配する張力がかかっており、これによって下部翼弦626が強化されている。このような実施形態において、ストラット652は、圧縮よりも効率的に、張力で負荷を担うことができる。さらにストラット652は、スパー610(例えば特にウェブ628)を強化及び支持するために使用される。例えば、過大応力がかかることにより下部翼弦626において応力破壊が起こる実施形態では、ストラット652が、下部翼弦626内部における応力破壊を阻止するために使用され得る。応力破壊を阻止することにより、ストラット652は、応力破壊がウェブ628内へと、及び/又はスパー610のその他の部材内へと広がることを防止できる。よってストラット652は、さらなる支持部をもたらすため、またスパー610の部材の信頼性を向上させるために、使用できる。
【0038】
スパー610は、1つ又は複数のウェブ628、及び1つ又は複数のストラット652を備えることができる。例えばスパー610は、機内側端部604と機外側端部606との間でスパー610の長さに沿って配設された複数のウェブ628を備えることができる。さらに、スパー610は、機内側端部604と機外側端部606との間でスパー610の長さに沿って配設された複数のストラット652を備えることができる。1つ又は複数の実施形態において、各ストラット652は、ウェブ628の1つに相当していてよく、ここで各ストラット652は、対応するウェブ628にわたって延びる。
【0039】
前述のように、スパー610について1つ又は複数の寸法は、変更又は変えることができ、例えば所定の範囲でスパー610が受けると予測される応力に比例して、変更又は変えることができる。例えば、スパー610が所定の領域で受けると予測される応力は一般的に、機内側端部604から機外側端部606へと減少することがあり、この場合にスパー610の機内側端部604は、スパー610の機外側端部606よりも大きな応力を受けると予測される。さらに、1つ又は複数の実施形態において、下部翼弦626は、上部翼弦624よりも大きな応力を受けると予測される。よって、スパー610について1つ又は複数の寸法は、応力が相対的に大きいと予測された領域について相対的に増加させることができ、これに応じてスパー610の1つ又は複数の寸法は、応力が相対的に小さいと予測された領域について相対的に減少させることができる。
【0040】
従って、スパー610の1つ又は複数の寸法は、機内側端部604から機外側端部606へと、及び/又は下部翼弦626から上部翼弦624へと、減少させることができる。1つの実施形態では、ウェブ628の厚さ(例えばウェブ628の断面厚さ)を、スパー610の機内側端部604から機外側端部606への方向で移動した場合に、徐々に減少させることができる。よって、機内側端部604に対してより近接して配置されたウェブ628Aの厚さは、機外側端部606に対してより近接して配置されたウェブ628Bの厚さよりも、厚くてよい。各ウェブ628に対応するストラット652の厚さは、比例的に変えることができる。例えば、ストラット652の厚さは、スパー610の機内側端部604から機外側端部606への方向で移動した場合に、徐々に減少させることができる。よって、機内側端部604に対してより近接して配置されたストラット652の厚さは、機外側端部606に対してより近接して配置されたストラット652の厚さよりも、厚くてよい。別の実施形態では、上部パッド654及び下部パッド656の厚さ(例えば断面厚さ)を、スパー610の機内側端部604から機外側端部606への方向で移動した場合に、徐々に減少させることができる。よって、スパー610の機内側端部604に対してより近接して配置された上部パッド654及び下部パッド656の厚さは、スパー610の機外側端部606に対してより近接して配置された上部パッド654及び下部パッド656の厚さよりも、厚くてよい。さらに別の実施形態では、下部パッド656の厚さは、上部パッド654の厚さよりも相対的に厚くてよい。下部パッド656は、上部パッド654よりも、受ける応力が大きいと予測されるからである。よって、スパー610の寸法(例えば様々な部材の厚さ)は、スパー610内部における応力及び負荷をストラット652からウェブ628(その逆もあり得る)及び/又は上部翼弦624及び下部翼弦626へと移すため、適切に調整することができる。
【0041】
さらに、ストラット652の角度Aは、例えばストラット652の角度Aをスパー610の機内側端部604から機外側端部606へと増大させることによって、変えることができる。例えば、機内側端部604に対してより近接して配置されたストラット652は、機外側端部606に対してより近接して配置されたストラット652よりも、角度A(垂直ではない)が小さくてよい。よって、ストラット652についての角度Aは、スパー610の機内側端部604から機外側端部606への方向で、上部翼弦624と下部翼弦626との間に延びる仮想垂線L2に対して増大する。スパー610の上部翼弦624と下部翼弦626との間の高さは、機内側端部604から機外側端部606へと減少する。高さが減少するにつれて、上部翼弦624と下部翼弦626との間に配置されたストラット652は、上部翼弦624及び下部翼弦626に対してより大きな非垂直角で配置され、減少した高さは、上部翼弦624と下部翼弦626との間に収まる。
【0042】
モノリス構造を備える本開示によるスパーは、翼内部に含まれていてよい。例えば
図2に示したように、スパーは、翼200においてフロントスパー210及び/又はリアスパー212として使用できる。よって、本開示に従ったスパーは、飛行機の胴体に連結された翼内部に含まれていてよい。翼(スパー含む)は、内部支持のためスパーに連結された1つ又は複数のリブを備えることができ、また翼についてエアフォイルを画定する上部外板及び下部外板を備えることができる。さらに、本開示によるスパーが、先に示して論じたモノリス構造の使用に限定されないことは、当業者にとって肯定的に評価されるだろう。例えば本開示は、非モノリス状構造のスパーにより使用できる。よって本開示によるスパーは、モノリス状構造及び非モノリス状構造を備えることができる。1つ又は複数の実施形態において、本開示によるスパーは、その構造的な剛性を増大させることができる。さらに本開示は、信頼性を向上させ、かつ/又はスパー、翼又は飛行機を製造するために必要な製造時間を減少させる、スパーを提示することができる。
【0043】
本開示を詳細に、限られた数の実施形態との関連でのみ、説明してきたが、本開示がそのように記載された実施形態に限定されるものではないことは、直ちに理解されるべきである。むしろ本開示は、あらゆる数のバリエーション、変更、置換、組み合わせ、下位組み合わせ、又はこれまで記載しなかったが本開示の範囲と同等の均等な配置構成を含むように、修正可能である。さらに、本開示について様々な実施形態を説明してきたが、本開示の態様は、記載した実施形態の幾つかのみを含み得ることが理解されるべきである。
【0044】
ここで使用した用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものでしかなく、本開示を限定することが意図されているわけではない。ここで使用するように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、複数形も包含することが意図されているが、文脈上明確にそうでない旨が示されている場合には、その限りではない。さらに、「含む(comprise)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるときには、言及した特徴、整数、工程、作業、要素及び/又は部材の存在を特定するものの、1つ又は複数のその他の特徴、整数、工程、作業、要素及び/又は部材の存在又は追加を排除するものではないことが、理解されるであろう。
【0045】
上部、下部、上、下、上方、下方、頂部、底部、左、右などといった方向を示す用語の使用は、図示した説明的な実施形態について用いたものであり、上方向とは、対応する図面の上部に向かっており、下方向とは、対応する図面の下部に向かっている。しかしながらこれらの用語は、限定するために使用したのではなく、図面を参照して説明するという目的のためだけに用いたのであり、ここに記載した図面及び実施形態は、本開示の範囲を逸脱しない限りにおいて、別の方向付け表現が可能である。
【0046】
「約(about)」、及び「実質的に(substantially)」という用語は、本願出願時に利用可能な装置に基づく特定の測定量と関連した誤差又は不確実性の程度を含むことが意図されている。例えば、「約」及び「実質的に」は、所定の値について±8%又は5%又は2%の範囲を含み得る。
【0047】
よって本開示は、本開示を実施するために考慮されるベストモードとして記載された特定の実施形態に限定することを意図しているわけではなく、本開示は、特許請求の範囲に入る全ての実施形態を含むものである。
【0048】
本開示はさらに、以下の条項で規定する説明的で非限定的な例を含む(特許請求の範囲に記載されているかどうかは措く)。
条項A1:
スパーを備える航空機用の翼であって、
スパーが、
上部翼弦、下部翼弦、及び上部翼弦と下部翼弦との間に配置されたウェブを備える、モノリス構造、並びに
モノリス構造とは別個で独立したストラットであって、上部翼弦と下部翼弦との間でモノリス構造に連結されており、かつウェブにわたって延びている、ストラット、
を備える、航空機用の翼。
【0049】
条項A2:
スパーが、機内側端部と、機外側端部とを備える、条項A1に記載の翼。
【0050】
条項A3:
ウェブが、機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って配設された複数のウェブを備え、
ウェブの厚さが、スパーの機内側端部から機外側端部への方向で減少することによって、機内側端部に対してより近接して配置された機内側ウェブが、機外側端部に対してより近接して配置された機外側ウェブよりも大きな厚さを有する、条項A2に記載の翼。
【0051】
条項A4:
ストラットが、複数のストラットを備え、各ストラットは、複数のウェブのうちの1つに対応しており、かつ、
ストラットの厚さは、対応するウェブの厚さに比例して変化する、条項A3に記載の翼。
【0052】
条項A5:
ストラットが、上部翼弦に隣接して配置された上端と、下部翼弦に隣接して配置された下端とを備え、
ストラットが、上部翼弦及び下部翼弦に対して垂直ではない角度に配置されているとともに、スパーの機外側端部へと方向付けられていることによって、上部翼弦に隣接して配置されたストラットの上端は、下部翼弦に隣接して配置されたストラットの下端よりも、機外側端部に対してより近くに配置されている、条項A2に記載の翼。
【0053】
条項A6:
スパーは、機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って延びる長手軸を有し、
ストラットは、スパーの機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って配設された複数のストラットを備え、
上部翼弦及び下部翼弦に対するストラットの角度は、スパーの機内側端部から機外側端部への方向で増大することによって、スパーの機内側端部に対してより近接して配置されたストラットが、スパーの機外側端部に対してより近接して配置されたストラットと比較して、より小さな角度で方向付けされており、該角度は、スパーの長手軸に対して直交する仮想垂線に対して測定したものである、条項A5に記載の翼。
【0054】
条項A7:
モノリス構造が、上部翼弦及びウェブに隣接して配置された上部パッドと、下部翼弦及びウェブに隣接して配置された下部パッドとをさらに備え、
ストラットが、上部パッド及び下部パッドに連結されている、条項A1に記載の翼。
【0055】
条項A8:
ストラットを上部パッド及び下部パッドに連結するためのファスナをさらに備える、条項A7に記載の翼。
【0056】
条項A9:
モノリス構造が、ウェブに隣接して上部翼弦と下部翼弦との間に配置された補強材をさらに備える、条項A1に記載の翼。
【0057】
条項A10:
モノリス構造が、ウェブに隣接して上部翼弦と下部翼弦との間に配置されたリブポストをさらに備える、条項A1に記載の翼。
【0058】
条項A11:
スパーが、フロントスパー及びリアスパーを備え、翼が、フロントスパーのリブポストと、リアスパーのリブポストとに連結されたリブをさらに備える、条項A10に記載の翼。
【0059】
条項A12:
上部翼弦及び下部翼弦がそれぞれ、T字状又はL字状の断面を備える、条項A1に記載の翼。
【0060】
条項A13:
航空機の翼用スパーであって、
上部翼弦及び下部翼弦を備えるモノリス構造、並びに、
上部翼弦と下部翼弦との間でモノリス構造に連結されたストラット
を備える、航空機の翼用スパー。
【0061】
条項A14:
モノリス構造が、
上部翼弦と下部翼弦との間に配置されたウェブ、並びに
上部翼弦及びウェブに隣接して配置された上部パッド、並びに
下部翼弦及びウェブに隣接して配置された下部パッド
をさらに備え、
ストラットが、上部パッド及び下部パッドに連結されている、条項A13に記載のスパー。
【0062】
条項A15:
スパーが、機内側端部及び機外側端部を備え、
ウェブは、機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って配設された複数のウェブを備え、
ストラットは、複数のストラットを備え、各ストラットは、複数のウェブのうちの1つに対応しており、
ウェブの厚さが、スパーの機内側端部から機外側端部への方向で減少することによって、機内側端部に対してより近接して配置された機内側ウェブが、機外側端部に対してより近接して配置された機外側ウェブよりも大きな厚さを有し、
ストラットの厚さは、対応するウェブの厚さに比例して変化する、条項A14に記載のスパー。
【0063】
条項A16:
スパーが、機内側端部及び機外側端部を備え、
ストラットが、上部翼弦に隣接して配置された上端と、下部翼弦に隣接して配置された下端とを備え、
ストラットが、上部翼弦及び下部翼弦に対して垂直ではない角度で配置されているとともに、スパーの機外側端部へと方向付けられていることによって、上部翼弦に隣接して配置されたストラットの上端は、下部翼弦に隣接して配置されたストラットの下端よりも、機外側端部に対してより近くに配置されている、条項A13に記載の翼。
【0064】
条項A17:
スパーは、機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って延びる長手軸を有し、
ストラットは、スパーの機内側端部と機外側端部との間でスパーの長さに沿って配設された複数のストラットを備え、
上部翼弦及び下部翼弦に対するストラットの角度が、スパーの機内側端部から機外側端部への方向で増大することによって、スパーの機内側端部に対してより近接して配置されたストラットが、スパーの機外側端部に対してより近接して配置されたストラットと比較して、より小さな角度で方向付けされており、該角度は、スパーの長手軸に対して直交する仮想垂線に対して測定したものである、条項A16に記載の翼。
【0065】
条項A18:
モノリス構造を備えるスパーを支持する方法であって、
翼からの応力を、翼内に配置されるとともに翼を支持するスパーのモノリス構造によって、受けること、及び
前記応力を、モノリス構造の上部翼弦と下部翼弦との間で、モノリス構造に連結されたストラットにより分配すること
を含む、方法。
【0066】
条項A19:
前記応力を受けることが、モノリス構造の下部翼弦において張力を受けることと、モノリス構造の上部翼弦において圧縮を受けることとを含み、
前記応力を分配することが、ストラットにおいて張力を受けることを含む、条項A18に記載の方法。
【0067】
条項A20:
下部翼弦において張力を受けることから、下部翼弦内部における応力破壊を受けること、及び
ストラットにおいてさらなる張力を受けること
をさらに含み、これによってモノリス構造の下部翼弦内部における応力破壊が阻止される、条項A19に記載の方法。