(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】反社情報照合装置、反社情報照合方法、及び反社情報照合プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q20/40
(21)【出願番号】P 2019164962
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貞方 洸樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 志文
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020381(JP,A)
【文献】特開2016-146017(JP,A)
【文献】特開平06-332766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた反社情報照合装置であって、
前記制御部は、
変換種別[PK]と、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含む変換種別と、変換対象項目と、を関連づけて登録したマスタと、
取引先に関する、取引先No、漢字とカナの取引先名を含む取引先情報を格納する取引先情報テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
外部機関から提供される反社会的勢力に関する、漢字とカナの反社名を含む反社情報を取り込む反社情報取込手段と、
前記反社情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、前記マスタで規定される変換種別、反社情報の反社名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される反社情報_照合データを生成し、また、前記取引
先情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、取引先No、取引先情報の取引先名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される取引先情報_照会データを生成する変換手段と、
前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データの変換後文字列を照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して、前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データのペアを抽出結果として出力する照合・抽出手段と、
を備えたことを特徴とする反社情報照合装置。
【請求項2】
制御部を備えた情報処理装置が実行する反社情報照合方法であって、
前記制御部は、
変換種別[PK]と、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含む変換種別と、変換対象項目と、を関連づけて登録したマスタと、
取引先に関する、取引先No、漢字とカナの取引先名を含む取引先情報を格納する取引先情報テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
外部機関から提供される反社会的勢力に関する、漢字とカナの反社名を含む反社情報を取り込む反社情報取込ステップと、
前記反社情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、前記マスタで規定される変換種別、反社情報の反社名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される反社情報_照合データを生成し、また、前記取引
先情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、取引先No、取引先情報の取引先名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される取引先情報_照会データを生成する変換ステップと、
前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データの変換後文字列を照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して、前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データのペアを抽出結果として出力する照合・抽出ステップと、
を含むことを特徴とする反社情報照合方法。
【請求項3】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための反社情報照合プログラムであって、
前記制御部は、
変換種別[PK]と、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含む変換種別と、変換対象項目と、を関連づけて登録したマスタと、
取引先に関する、取引先No、漢字とカナの取引先名を含む取引先情報を格納する取引先情報テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
外部機関から提供される反社会的勢力に関する、漢字とカナの反社名を含む反社情報を取り込む反社情報取込ステップと、
前記反社情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、前記マスタで規定される変換種別、反社情報の反社名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される反社情報_照合データを生成し、また、前記取引
先情報を前記マスタに従って変換し、シーケンス番号であるSEQ[PK]、取引先No、取引先情報の取引先名の漢字又はカナの変換対象文字列、変換後文字列のレコードで構成される取引先情報_照会データを生成する変換ステップと、
前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データの変換後文字列を照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して、前記取引先情報_照合データと前記反社情報_照合データのペアを抽出結果として出力する照合・抽出ステップと、
を実行させるための反社情報照合プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反社情報照合装置、反社情報照合方法、及び反社情報照合プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、暴力団排除条例においては、企業や金融機関などが暴力団等の反社会的勢力と取引を行うことが禁じられている。そのため、企業や金融機関などは、取引先に反社会的勢力が含まれているかを確認する必要がある。取引先に反社会的勢力が含まれていないかを確認するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1のシステムでは、反社会的勢力に関する反社情報を含む反社データベースと、取引先に関する取引先情報を受け取り、取引先を示す反社情報が反社データベースに含まれるか否かを判定する反社判定部と、取引先を示す反社情報が反社データベースに含まれると判定されたことに基づいて、反社会的勢力であることを示す反社識別子を取引先に関する申請データに付加する、申請データ管理部と、申請データに関する申請画面又は承認画面を生成する画面生成部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、反社情報と取引先情報を照合する場合に、名称の表記ゆれがある場合には、高精度に照合することができない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、取引先に反社会的勢力が含まれているか否かを短時間かつ高精度に照合することが可能な反社情報照合装置、反社情報照合方法、及び反社情報照合プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部と制御部を備えた反社情報照合装置であって、前記記憶部は、データの変換方法を規定したマスタと、取引先に関する取引先情報を格納するための取引先情報テーブルと、を備え、前記制御部は、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報を取り込む反社情報取込手段と、前記反社情報及び前記取引先情報を前記マスタで規定される変換方法に従って変換する変換手段と、変換後の前記反社情報と前記取引先情報を照合して、前記取引先情報のうち前記反社情報に該当するものを抽出する照合・抽出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記反社情報は、漢字とカナの反社名を含み、前記取引先情報は、漢字とカナの取引先名を含み、前記変換手段は、反社名の漢字とカナ、及び、取引先名の漢字とカナを前記変換方法に従って変換することが望ましい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記変換方法は、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含むことが望ましい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部と記憶部を備えた情報処理装置で実行される反社情報照合方法であって、前記記憶部は、データの変換方法を規定したマスタと、取引先に関する取引先情報を格納するための取引先情報テーブルと、を備え、前記制御部で実行される、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報を取り込む反社情報取込ステップと、前記反社情報及び前記取引先情報をマスタで規定される変換方法に従って変換する変換ステップと、変換後の前記反社情報と前記取引先情報を照合して、前記取引先情報のうち前記反社情報に該当するものを抽出する照合・抽出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部と記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための反社情報管理プログラムであって、前記記憶部は、データの変換方法を規定したマスタと、取引先に関する取引先情報を格納するための取引先情報テーブルと、を備え、前記制御部で実行される、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報を取り込む反社情報取込ステップと、前記反社情報及び前記取引先情報をマスタで規定される変換方法に従って変換する変換ステップと、変換後の前記反社情報と前記取引先情報を照合して、前記取引先情報のうち前記反社情報に該当するものを抽出する照合・抽出ステップと、を実行させるための反社情報照合プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取引先に反社会的勢力が含まれているか否かを短時間かつ高精度に照合することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る反社情報照合装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、変換設定マスタの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、変換種別マスタの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態における反社情報照合装置の制御部の全体の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、反社情報照合装置の制御部の処理のデータ例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【
図6】
図6は、反社情報照合装置の制御部の処理のデータ例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る反社情報照合装置、反社情報照合方法、及び反社情報照合プログラムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
例えば、暴力団排除条例においては、企業や金融機関などが暴力団等の反社会的勢力(個人、法人)と取引を行うことが禁じられている。そのため、企業や金融機関などは、取引先に反社会的勢力が含まれているかを照合して、反社勢力であると認められる場合には、取引停止などの措置を行う必要がある。
【0016】
取引先が反社会的勢力であるか否かのチェックを行う際、チェックを行うための資料提供先は様々であり、そのチェック作業にはかなりの時間を必要としている。また、取引先名や反社名に表記ゆれがある場合には、チェック漏れが発生して高精度にチェックを行うこができない。
【0017】
そこで、本実施の形態では、外部機関(例えば、全国暴力追放運動推進センター等)より提供される反社情報とシステムに登録されている取引先情報をマスタで規定される変換方法に従って変換し、変換後のデータを照合して、条件に該当するデータを一覧で抽出する機能を提供することにより、取引先に反社会的勢力が含まれているか否かを短時間かつ高精度に照合することを可能とする。
【0018】
[2.構成]
本実施の形態に係る反社情報照合装置100の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る反社情報照合装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
反社情報照合装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、反社情報照合装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
反社情報照合装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。反社情報照合装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、反社情報照合装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、反社情報照合装置100と外部機関のWebシステム500やサーバ200等とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバに格納されてもよい。
【0022】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、ユーザが出力装置(モニタ)114の画面に表示して、入力装置112で操作することを、「UIを介したユーザ操作」と記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114のモニタに表示することや出力装置114のプリンタで印刷することを含む。
【0023】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0024】
記憶部106は、変換設定マスタ106a、変換種別マスタ106b、取引先情報テーブル106c、及び反社情報ファイル106d等を格納する。
図2は、変換設定マスタ106aの構成例を示す図である。
図3は、変換種別マスタ106bの構成例を示す図である。
【0025】
変換設定マスタ106aは、反社チェックの対象の項目及び変換方法等を設定するためのマスタである。変換設定マスタ106aは、
図2に示すように、変換種別[PK]、変換種別、反社情報の変換対象項目、反社情報の照合対象となる取引先情報テーブル106cの照合対象テーブル、及び当該照合対象テーブルの照合対象カラムを関連づけて設定したテーブル等で構成することができる。
【0026】
ここで、変換種別は、例えば、取込対象の項目及び変換方法を一義的に特定するための項目である。変換方法については、例えば、初期状態で所定の取引先名変換のルールを使用することが可能である。変換方法は、ユーザで独自に変換ルールを定義することが可能である。変換対象項目は、取込対象ファイルである反社情報のどの項目を反社チェック対象の文字列とするかを指定するためのものである。また、ファイルフォーマットに柔軟に対応できるように設計してもよく、例えば、固定長ファイルであれば 「○バイト目から□□バイト」、可変長ファイル(csv、tsvなど)であれば 「○番目の項目」などと設定可能としてもよい。
【0027】
照合対象テーブルは、反社情報の取込対象ファイルを取込後、取引先情報テーブル106cの照合対象とするテーブルを指定するためのものである。照合対象カラムは、反社情報の取込対象ファイルを取込後取込後、照合対象とするテーブルのカラムを指定するためのものである。
【0028】
図2に示す変換設定マスタ106aの例では、変換種別[PK]「1」は、変換種別「1」、変換対象項目「取込ファイルの1番目の項目」、照合対象テーブル「LDSTKJNA」、照合対象カラム「NameKanji」となっている。変換種別[PK]「2」は、変換種別「2」、「3」、「4」、変換対象項目「取込ファイルの2番目の項目」、照合対象テーブル「LDSTKJNA」、照合対象カラム「NameKana」となっている。
【0029】
変換種別マスタ106bは、変換設定マスタ106aで設定される変換種別の変換内容を設定するためのマスタである。変換種別マスタ106bは、
図3に示すように、変換種別と変換内容を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
図3に示す例では、変換種別「1」は変換内容「法人格除外(漢字(漢字を含む全角の文字)」、変換種別「2」は変換内容「法人格除外(カナ(or半角))」、変換種別「3」は変換内容「全角を半角に変換」、変換種別「4」は変換内容「小文字を大文字に変換」となっている。
反社名や取引先名のカナ表記を半角で行う場合は、変換種別「1」を「法人格除外(全角)」、変換種別「2」を「法人格除外(半角)」としてもよい。
【0030】
取引先情報テーブル106cは、取引先情報を格納するためのテーブルである。取引先情報は、例えば、制御部102は、ネットワーク300を介して接続される社内の他のシステム(不図示)から取引先情報のテーブルを取り込んで、取引先情報テーブル106cに取り込んでもよい。取引先情報は、取引先を識別するための取引先No、取引先名(漢字)、取引先名(カナ)等のデータを含んでいてもよい(
図6(E)参照)。
【0031】
反社情報ファイル106dは、外部機関(例えば、全国暴力団追放推進センター等)から提供される反社会的勢力に関する反社情報を格納するためのファイルである。反社情報は、例えば、反社名(漢字)と、反社名(カナ)のデータを含んでいてもよい(
図5(C)参照)。
【0032】
制御部102は、反社情報照合装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、反社情報取込部102aと、変換部102bと、照合・抽出部102cと、マスタメンテ部102dと、画面表示制御部102eと、を備えている。
【0033】
反社情報取込部102aは、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報のファイルを取り込んで(「取込ファイル」ともいう)、反社情報ファイル106dに格納する。例えば、反社情報取込部102aは、入力装置112やネットワーク300を介して外部機関のWebシステム500から反社情報のファイルを取り込んでもよい。
【0034】
変換部102bは、反社情報ファイル106dに格納した反社情報及び取引先情報テーブル106cに格納した取引先情報を変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bで規定される変換方法に従って変換する。また、反社情報は、漢字とカナの反社名を含み、取引先情報は、漢字とカナの取引先名を含み、変換部102bは、反社名の漢字とカナ、及び、取引先名の漢字とカナを前記変換方法に従って変換することにしてもよい。また、変換方法は、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含むことにしてもよい。
【0035】
照合・抽出部102cは、変換後の反社情報と取引先情報を照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して出力する。
【0036】
マスタメンテ部102dは、オペレータの指示に応じてマスタメンテ画面(不図示)をモニタ114に表示し、当該マスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bのデータの入力・変更・更新・追加等の設定や編集を行う。これにより、オペレータは、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bに反社チェックの対象や変換方法等を自由に設定することができる。
【0037】
画面表示制御部102eは、モニタ114に各種画面(例えば、マスタメンテ画面等)の表示及びその入力を制御する。
【0038】
[3.処理の具体例]
図1~
図6を参照して、本実施の形態における反社情報照合装置100の処理の具体例を説明する。まず、
図4を参照して、本実施の形態における反社情報照合装置100の制御部の全体の処理の概略を説明する。
図4は、本実施の形態における反社情報照合装置100の全体の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図4において、マスタメンテ部102dは、事前設定処理を実行する(ステップS1)。具体的には、事前設定処理では、マスタメンテ部102dは、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bを設定して、反社チェックの対象や変換方法を設定する(
図5(A),(B)参照)。
【0040】
反社情報取込部102aは、反社情報取込処理を実行する(ステップS2)。具体的には、反社情報取込処理では、反社情報取込部102aは、例えば、入力装置112や外部機関のWebシステム500から、外部機関が提供する反社会的勢力に関する反社情報のファイルを取り込んで、反社情報ファイル106dに格納する(ステップS2)。
【0041】
変換部102bは、反社情報変換処理を実行する(ステップS3)。具体的には、反社情報変換処理では、変換部102bは、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bで規定される変換方法に従って、反社情報ファイル106dに取り込んだ反社情報を変換して、反社情報_照合データ(
図5(D)参照)を生成する。
【0042】
反社情報は、漢字とカナの反社名を含み、変換部102bは、反社名の漢字とカナを当該変換方法に従って変換することにしてもよい。また、変換方法は、漢字の法人格の除外、カナの法人格の除外、全角を半角に変換、及び小文字を大文字に変換を含むことにしてもよい。
【0043】
変換部102bは、取引先情報変換処理を実行する(ステップS4)。具体的には、取引先情報変換処理では、変換部102bは、変換設定マスタ106aに設定されている照合対象テーブル及びカラムの取引先情報を取引先情報テーブル106cから読み出し(
図6(E)参照)、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bに設定されている変換方法に従って、読み出した取引先情報を変換して、取引先情報_照合データ(
図6(F)参照)を生成する。取引先情報は、漢字とカナの反社名を含み、変換部102bは、取引先名の漢字とカナを当該変換方法に従って変換することにしてもよい。
【0044】
照合・抽出部102cは、照合・抽出処理を実行する(ステップS5)。具体的には、照合・抽出処理では、照合・抽出部102cは、取引先情報_照合データと反社情報_照合データとを照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して抽出結果を出力する(
図6(I)参照)。
【0045】
図5及び
図6を参照して、反社情報照合装置100の処理の具体的なデータ例を説明する。
図5及び
図6は、反社情報照合装置100の制御部102の処理のデータ例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0046】
(S1)事前設定処理
マスタメンテ部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのユーザ操作に応答して、変換設定マスタ106a及び変換種別マスタ106bに
図5(A)及び(B)に示すようなデータを設定する。
図5(A)及び(B)に示すデータは、
図2及び
図3と同様である。
【0047】
(S2)反社情報取込処理
反社情報取込部102aは、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報のファイルを取り込んで、反社情報ファイル106dに格納する。
図5(C)に示す反社情報(取込ファイルイメージ)の例では、1行目は、反社名(漢字)「反社 太郎」、反社名(カナ)「ハンシャ タロウ」、2行目は、反社名(漢字)「反社 次郎」、反社名(カナ)「ハンシャ ジロウ」、3行目は、反社名(漢字)「有限会社 オーショウカイ」、反社名(カナ)「ユウゲンガイシャ オーショウカイ」となっている。
【0048】
(S3)反社情報変換処理
変換部102bは、取り込んだ反社情報の行順に処理を行う。変換部102bは、変換設定マスタ106aを参照して、変換種別[PK]の順に、設定されている反社情報の変換対象項目について、変換種別マスタ106bから設定されている変換種別に対応する変換内容を取得して、取得した変換内容に従って変換して、
図5(D)に示すような反社情報_照合データを生成する。反社情報_照合データは、シーケンス番号であるSEQ[PK]と、変換設定マスタ106aで規定される変換種別と、反社情報の反社名の漢字又はカナの変換対象文字列と、変換後文字列とを含んでいてもよい。
【0049】
図5(D)に示す反社情報_照合データの例において、
図5(A)に示す変換設定マスタ106aでは、変換種別[PK]「1」は、変換種別「1(法人格除外(漢字))」であり、反社情報の1行目の変換対象項目「取込ファイルの1番目の項目」である「反社 太郎」は、法人格がないので、変換後文字列は「反社 太郎」のままである。
【0050】
また、反社情報の2行目の変換対象項目「取込ファイルの1番目の項目」である「反社 次郎」は、法人格がないため、変換後文字列は「反社 次郎」のままである。反社情報の3行目の変換対象項目「取込ファイルの1番目項目」である「有限会社 オー商会」であり、法人格があるので、法人格を除外して(有限会社 オー商会→オー商会)、変換後文字列は「オー会社」となる。以下、明細書中では半角の文字XXXを文字XXX(半角)と表記する。
【0051】
変換設定マスタ106aにおいて、変換種別[PK]「2」は、変換種別「2(法人格除外(カナ)」、「3(全角を半角に変換)」、「4(小文字を大文字に変換)」であるので、反社情報の1行目の変換対象項目「取込ファイルの2番目の項目」である「ハンシャ タロウ」を、全角を半角に変換し(ハンシャ タロウ→ハンシャ タロウ(半角))、さらに、小文字を大文字に変換して(ハンシャ タロウ(半角)→ハンシヤ タロウ(半角))、変換後文字列は「ハンシヤ タロウ(半角)」となる。
【0052】
また、反社情報の2行目の変換対象項目「取込ファイルの2番目の項目」である「ハンシャ ジロウ」を、全角を半角に変換し(ハンシャ ジロウ→ハンシャ ジロウ(半角))、さらに、小文字を大文字に変換して(ハンシャ ジロウ(半角)→ハンシヤ ジロウ(半角))、変換後文字列は「ハンシヤ ジロウ(半角)」となる。
【0053】
また、反社情報の2行目の変換対象項目「取込ファイルの2番目の項目」である「ユウゲンガイシャ オーショウカイ」について、法人格を除外し(ユウゲンガイシャ オーショウカイ→オーショウカイ)、全角を半角に変換し(オーショウカイ→オーショウカイ(半角))、さらに、小文字を大文字に変換して(オーショウカイ(半角)→オーシヨウカイ(半角))、変換後文字列は「オーシヨウカイ(半角)」となる。
【0054】
(S4)取引先情報変換処理
変換部102bは、
図5(A)に示す変換設定マスタ106aで設定される照合対象テーブル及び照合対象カラムの取引先情報を取引先情報テーブル106cから読み出して、反社情報と同様に、変換設定マスタ106aで設定される変換種別に対応する変換内容に従って変換して、取引先情報_照合データを生成する。取引先情報は、取引先を識別するための取引先Noと、取引先名(漢字)「オービック 太郎」と、取引先名(カナ)とを含んでいていてもよい。取引先情報_照合データは、シーケンス番号であるSEQ[PK]と、取引先Noと、取引先情報の取引先名の漢字又はカナの変換対象文字列と、変換後文字列とを含んでいてもよい。
【0055】
図6(E)に示す取引先情報の例は、
図5(A)に示す変換設定マスタ106aで設定される照合対象テーブル「LDSTKJNA」の照合対象カラム「NameKanji」、「NameKana」の取引先情報を示している。1行目は、取引先No「1000000001」、取引先名(漢字)「オービック 太郎」、取引先名(カナ)「オービック タロウ」、2行目は、取引先No「1000000002」、取引先名(漢字)「オービック 次郎」、取引先名(カナ)「オービック ジロウ」、3行目は、No「1000000003」、取引先名(漢字)「反社 太郎」、取引先名(カナ)「ハンシャ タロウ」となっている。
【0056】
図6(F)の取引先情報_照合データの例に示すように、反社情報と同様に変換処理を行い、
図5(A)に示す変換設定マスタ106aにおいて、変換種別[PK]「1」は、変換種別「1(法人格除外(漢字)」であり、変換対象の「オービック 太郎」、「オービック 次郎」、「反社 太郎」は、法人格がないので、変換後文字列は「オービック 太郎」、「オービック 次郎」、「反社 太郎」のままである。
【0057】
また、変換設定マスタ106aにおいて、変換種別[PK]「2」は、変換種別「2(法人格除外(カナ)」、「3(全角を半角に変換)」、「4(小文字を大文字に変換)」であるので、変換対象の「オービック タロウ」、「オービック ジロウ」、「ハンシャ タロウ」は、「オービツク タロウ(半角)」、「オービツク ジロウ(半角)」、「ハンシヤ タロウ(半角)」となる。
【0058】
(S5)照合・抽出処理
照合・抽出部102cは、取引先情報_照合データと反社情報_照合データの変換後文字列を照合して、取引先情報のうち反社情報に該当するものを抽出して、例えば、
図6(I)に示すような抽出結果を出力(例えば、モニタ114に表示出力)する。
【0059】
図6(G),(H)に示すように、取引先情報_照合データのSEQ[PK]「5」の「反社太郎」と取引先情報_照合データのSEQ[PK]「1」の「反社太郎」が一致し、また、取引先情報_照合データのSEQ[PK]「6」の「ハンシヤ タロウ(半角)」と取引先情報_照合データのSEQ[PK]「4」の「ハンシヤ タロウ(半角)」が一致するため、
図6(I)に示すような抽出結果を出力する。この例では、取引先No「1000000003」が反社として抽出される。このように、法人格の表記の有無や、大文字・小文字及び全角・半角の表記ゆれがあっても高精度に取引先の反社の照合が可能となる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、データの変換方法等を設定した変換設定マスタ106aと、取引先に関する取引先情報を格納するための取引先情報テーブル106cと、外部機関から提供される反社会的勢力に関する反社情報を取り込む反社情報取込部102aと、前記反社情報及び前記取引先情報を変換設定マスタ106aで設定される変換方法に変換する変換部102bと、変換後の前記反社情報と前記取引先情報を照合して、前記取引先情報のうち前記反社情報に該当するものを抽出する照合・抽出部102cと、を備えているので、取引先に反社会的勢力が含まれているか否かを短時間かつ高精度に照合することが可能となる。
【0061】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、反社情報照合装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、反社情報照合装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて反社情報照合装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0066】
また、このコンピュータプログラムは、反社情報照合装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、反社情報照合装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、反社情報照合装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 反社情報照合装置
102 制御部
102a 反社情報取込部
102b 変換部
102c 照合・抽出部
102d マスタメンテ部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 変換設定マスタ
106b 変換種別マスタ
106c 取引先情報テーブル
106d 反社情報ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
500 外部機関のWebシステム