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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20231228BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231228BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20231228BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231228BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/02 Z
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019195750
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071493
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏光
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-061957(JP,A)
【文献】特開2019-013095(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030267(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02
G03B 30/00
H04N 23/50
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を備える可動体と、
前記可動体を前記光学素子の光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用駆動機構と、
前記固定体と前記可動体とを接続するゲル状ダンパー部材と、を有し、
前記ゲル状ダンパー部材は、前記固定体と前記可動体とが前記光軸方向で対向する隙間に圧縮状態で配置され、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りの振れ補正における原点位置に復帰させることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記ゲル状ダンパー部材は、針入度が20以上40以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記ゲル状ダンパー部材は、前記固定体に設けられた固定体側基準面と、前記可動体に設けられた可動体側基準面との間で前記光軸方向に圧縮されており、
前記固定体側基準面と前記可動体側基準面は略平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記ゲル状ダンパー部材は、前記可動体の重心を基準として径方向で反対側の2箇所を含む複数位置に配置されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記可動体の重心を中心として周方向で等間隔の4箇所のうち少なくとも3箇所に前記ゲル状ダンパー部材が配置されることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記ゲル状ダンパー部材は、前記光軸方向から見て前記可動体の外周縁に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記固定体は、前記可動体の外周側を囲む枠状のケースと、前記ケースの前記光軸方向の端部に固定されるカバーと、を備え、
前記揺動支持機構は、前記可動体と前記ケースとを接続するジンバル機構であり、
前記ゲル状ダンパー部材は、前記カバーと前記可動体との間で前記光軸方向に圧縮されていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールの振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を揺動させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニット(レンズ駆動装置)が開示される。特許文献1のレンズ駆動装置は、可動体(レンズ駆動部)を光軸に直交し且つ互いに直交する2方向へ移動させる手振れ補正部を備える。手振れ補正部は、固定体(ベース)に対して可動体(レンズ駆動部)を揺動可能に支持する支持機構(サスペンションワイヤ)を備える。また、手振れ補正部は、可動体を揺動させる磁気駆動機構を備える。磁気駆動機構は、固定体(ベース)に固定された手振れ補正用コイルと、可動体に設けられたマグネットホルダに固定される永久磁石を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-21365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体を振れ補正の原点位置に復帰させる機構を備える。例えば、特許文献1では、可動体を径方向に位置決めする板ばねを備える。あるいは、磁気ばねを用いて可動体を原点位置に復帰させることもできる。
【0005】
しかしながら、可動体の原点位置への復帰に板ばねを用いる場合には、部品精度および組立精度の影響が大きく、精度良く原点位置に復帰させることが困難であった。そのため、組立時に原点位置を正確に合わせるための調整工程を行う必要があり、調整機構を設ける必要があった。また、磁気ばねを用いる場合にも、同様に部品精度および組立精度の影響が大きいため、組立時に磁気ばねの位置調整を行う必要があり、調整工程および調整機構が必要であった。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、簡単な構成で、可動体を振れ補正の原点位置に精度良く位置決めすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備える可動体と、前記可動体を前記光学素子の光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用駆動機構と、前記固定体と前記可動体とを接続するゲル状ダンパー部材と、を有し、前記ゲル状ダンパー部材は、前記固定体と前記可動体とが前記光軸方向で対向する隙間に圧縮状態で配置され、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りの振れ補正における原点位置に復帰させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、可動体と固定体とが光軸方向で対向する隙間にゲル状ダンパー部材が圧縮状態で配置されている。ゲル状ダンパー部材は、光軸と交差する第1軸回りおよび第
2軸回りの振れ補正における原点位置に可動体を復帰させる。このように、本発明では、可動体と固定体との隙間にゲル状ダンパー部材を配置するという単純な構成を採用しているので、可動体を原点位置へ復帰させる機構の構成および組立が簡単である。また、ゲル状ダンパー部材は、圧縮状態になるように取り付けられているので、可動体の原点位置への位置決めの精度に対する部品精度の影響が少ない。従って、組立後に原点位置の調節工程を行う必要がない。よって、簡単な構成で、可動体を振れ補正の原点位置に精度良く位置決めできる。
【0009】
また、本発明によれば、ゲル状ダンパー部材を可動体と固定体の間に介在させているので、衝撃時に可動体が固定体に衝突することを防止できる。従って、耐衝撃性を高めることができる。また、ゲル状ダンパー部材によって可動体と固定体とを接続しているので、可動体の不要な共振を抑制できる。
【0010】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、針入度が20以上40以下の範囲内であることが好ましい。このような特性を持つゲル状ダンパー部材は柔らかく粘着性を有するので、可動体が配置される空間内で浮遊する異物がゲル状ダンパー部材に付着して保持される。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの内部に異物が侵入したり異物が発生した場合に、異物の飛散を抑制できる。よって、異物による故障や具合を抑制できる。
【0011】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、前記固定体に設けられた固定体側基準面と、前記可動体に設けられた可動体側基準面との間で前記光軸方向に圧縮されており、前記固定体側基準面と前記可動体側基準面は略平行であることが好ましい。このように、ゲル状ダンパー部材を平行な基準面の間に配置することにより、ゲル状ダンパー部材を均等に圧縮できる。また、平行な基準面を設けることで、ゲル状ダンパー部材の圧縮量を精度良く管理できる。従って、可動体を原点位置へ精度良く位置決めできる。
【0012】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、前記可動体の重心を基準として径方向で反対側の2箇所を含む複数位置に配置されることが好ましい。このようにすると、可動体をバランス良く支持でき、複数のゲル状ダンパー部材の圧縮量を均一にすることができる。従って、可動体が傾くことを抑制でき、可動体を精度良く原点位置に位置決めできる。
【0013】
本発明において、前記可動体の重心を中心として周方向で等間隔の4箇所のうち少なくとも3箇所に前記ゲル状ダンパー部材が配置されることが好ましい。このようにすると、可動体をバランス良く支持でき、複数のゲル状ダンパー部材の圧縮量を均一にすることができる。従って、可動体が傾くことを抑制でき、可動体を精度良く原点位置に位置決めできる。また、3箇所以上で可動体を支持するので、可動体を安定して支持できる。
【0014】
本発明において、前記ゲル状ダンパー部材は、前記光軸方向から見て前記可動体の外周縁に配置されることが好ましい。このように、重心から離れた位置にゲル状ダンパー部材を配置することにより、可動体を安定して支持できる。
【0015】
本発明において、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲む枠状のケースと、前記ケースの前記光軸方向の端部に固定されるカバーと、を備え、前記ゲル状ダンパー部材は、前記カバーと前記可動体との間で前記光軸方向に圧縮されていることが好ましい。このようにすると、カバーにゲル状ダンパー部材を載せて、その上から可動体およびジンバル機構を組み立てたユニットを載せて、ケースをカバーに固定するという手順で組立を行うことができる。あるいは、ケースを裏返して可動体およびジンバル機構を内部へ挿入し、裏返しになった可動体の底面にゲル状ダンパー部材を載せて、カバーをケースに取り付けるという手順で組立を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可動体と固定体とが光軸方向で対向する隙間にゲル状ダンパー部材が圧縮状態で配置されている。ゲル状ダンパー部材は、光軸と交差する第1軸回りおよび第2軸回りの振れ補正における原点位置に可動体を復帰させる。このように、本発明では、可動体と固定体との隙間にゲル状ダンパー部材を配置するという単純な構成を採用しているので、可動体を原点位置へ復帰させる機構の構成および組立が簡単である。また、ゲル状ダンパー部材は、圧縮状態になるように取り付けられているので、可動体の原点位置への位置決めの精度に対する部品精度の影響が少ない。従って、組立後に原点位置の調節工程を行う必要がない。よって、簡単な構成で、可動体を振れ補正の原点位置に精度良く位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2】被写体側カバーを除いた振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図3】光学ユニット本体部の斜視図である。
図4】光学ユニット本体部を光軸方向から見た場合の平面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6図4のB-B線断面図である。
図7】光学ユニット本体部の分解斜視図である。
図8】可動体、回転支持機構、およびジンバル機構の説明図である。
図9】回転支持機構を光軸方向の一方側から見た場合の分解斜視図である。
図10】回転支持機構を光軸方向の他方側から見た場合の分解斜視図である。
図11】ゲル状ダンパー部材によって像側カバーと可動体とを接続した状態を示す斜視図である。
図12】ゲル状ダンパー部材の配置を示す底面図である。
図13】変形例のゲル状ダンパー部材の配置を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、被写体側カバー11を除いた振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図3は、光学ユニット本体部3の斜視図である。図4は、光学ユニット本体部3を光軸L方向から見た場合の平面図である。図3および図4では、光学ユニット本体部3から引き出された第1フレキシブルプリント基板6、第2フレキシブルプリント基板7、および第3フレキシブルプリント基板8を省略して示す。図5は、図4のA-A線断面図である。図6は、図4のB-B線断面図である。図7は、光学ユニット本体部3の分解斜視図である。
【0020】
図1図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、直方体形状のカバー2と、カバー2に収容された光学ユニット本体部3と、を備える。光学ユニット本体部3は、レンズ4および撮像素子9(図8参照)を備える撮像モジュール5を有する。カバー2からは、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7が平行に引き出されている。また、カバー2からは、第3フレキシブルプリント基板8が、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7の引き出し方向とは異なる方向に引き出されている。
【0021】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載され
るアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、撮像モジュール5の傾きを補正する。
【0022】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1では、レンズ4の光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに撮像モジュール5を回転させて振れ補正を行う。図2に示すように、撮像モジュール5は、撮像モジュール5の外周側を囲むホルダ29に保持される。ホルダ29および撮像モジュール5は、第1軸R1周りおよび第2軸R2周りに回転する可動体20を構成する。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1では、可動体20は、可動体20の外周側を囲む金属製のケース97に対して、第1軸R1周りおよび第2軸R2周りに回転可能に支持されている。ケース97はカバー2に収容され、カバー2に固定されている。従って、ケース97およびカバー2は、可動体20を支持する固定体23を構成している。可動体20は、ゲル状ダンパー部材24(図11参照)により、固定体23に接続されている。可動体20は、ゲル状ダンパー部材24によって、第1軸R1周りおよび第2軸R2周りの振れ補正における原点位置に位置決めされる。
【0024】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。X軸方向は、カバー2の長手方向であり、Y軸方向は、カバー2の短手方向である。第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、カバー2から+X方向に引き出されている。第3フレキシブルプリント基板8はカバー2から-Y方向に引き出されている。Z軸方向は、光軸Lに沿う方向(光軸方向)である。-Z方向は、撮像モジュール5の像側であり、+Z方向は、撮像モジュール5の被写体側である。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回り(光軸L回り)で、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0025】
カバー2は、光学ユニット本体部3を-Z方向から覆う板状の像側カバー10を備える。図1図2に示すように、像側カバー10には、+Z方向へ屈曲した弾性係合部141が形成されている。図2に示すように、光学ユニット本体部3の外周部には金属製のケース97が配置されている。ケース97の角部に形成された係止部143(図3参照)に弾性係合部141を係止することにより、像側カバー10がケース97に固定される。
【0026】
また、図1に示すように、カバー2は、像側カバー10に+Z方向から被せられた被写体側カバー11を備える。被写体側カバー11は、光学ユニット本体部3を外周側から覆う枠型の第1カバー12と、第1カバー12の+X方向に位置する箱型の第2カバー13を備える。第2カバー13は、光学ユニット本体部3から+X方向に引き出された第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7を部分的に被う。第1カバー12は、溶接によりケース97に固定されるとともに、接着剤により第2カバー13に固定される。第2カバー13は、+X方向の側面にケース97の係止部143と同様の係止部(図示せず)を備えており、像側カバー10の+X方向の端部に設けられた弾性係合部142を係止することにより、像側カバー10が第2カバー13に固定される。
【0027】
図2に示すように、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、補強板19を介して、像側カバー10の+X方向の端部分に固定される。また、第3フレキシブルプリント基板8は、光学ユニット本体部3の外周面に沿って引き回さ
れている。第3フレキシブルプリント基板8は、光学ユニット本体部3の-Y方向の外周面から-Y方向に引き出されている。
【0028】
図3図4および図7に示すように、光学ユニット本体部3は、撮像モジュール5を備える可動体20と、可動体20を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構21と、を備える。また、光学ユニット本体部3は、回転支持機構21を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構22と、ジンバル機構22および回転支持機構21を介して可動体20を支持するケース97と、を有する。上記のように、ケース97は、カバー2と共に固定体23を構成する部材である。従って、可動体20は、ジンバル機構22および回転支持機構21を介して固定体23に支持される。可動体20は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りおよびY軸回りに回転する。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1は、X軸回りのピッチング補正およびY軸回りのヨーイング補正を行う。
【0029】
また、光学ユニット本体部3は、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用駆動機構25を備える。振れ補正用駆動機構25は、可動体20に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構26と、可動体20に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構27を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構26は、撮像モジュール5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構27は、撮像モジュール5の-X方向に配置される。さらに、光学ユニット本体部3は、可動体20を光軸L回りに回転させてローリング補正を行うローリング補正用磁気駆動機構28を備える。ローリング補正用磁気駆動機構28は、撮像モジュール5の+Y方向に配置される。
【0030】
(可動体)
図8は、可動体20、回転支持機構21、およびジンバル機構22の説明図である。図8に示すように、可動体20は、撮像モジュール5と、撮像モジュール5を外周側から囲む枠状のホルダ29と、を備える。撮像モジュール5は、Z軸方向から見た場合に略8角形の撮像モジュール本体部30と、撮像モジュール本体部30の中央から+Z方向に突出する円筒部分31を備える。円筒部分31には光学素子であるレンズ4が収容されている。円筒部分31は、光軸Lと同軸であり、一定の外径寸法で光軸L方向に延びる。撮像モジュール本体部30には撮像素子9が収容されている。撮像素子9は、レンズ4の光軸L上で、レンズ4の-Z方向に位置する。
【0031】
図8に示すように、ホルダ29は、Y方向に平行に延びる第1側壁35、および第2側壁36と、X方向に平行に延びる第3側壁37および第4側壁38を備える。第1側壁35は、第2側壁36の-X方向に位置する。第3側壁37は、第4側壁38の-Y方向に位置する。また、ホルダ29は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁39および第6側壁40と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁41および第8側壁42を備える。第5側壁39は、第6側壁40の-X方向に位置する。第7側壁41は、第8側壁42の-Y方向に位置する。
【0032】
第1側壁35には、磁性材料からなる板状の第1ヨーク44を介して第1マグネット45が固定されている。第1マグネット45は、Z軸方向に2分割されている。第3側壁37には、磁性材料からなる板状の第2ヨーク46を介して第2マグネット47が固定されている。第1マグネット45および第2マグネット47は、Z軸方向に同一の極を向けて配置されている。第2マグネット47は、Z軸方向に2分割されている。第1マグネット45および第2マグネット47は、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用駆動機構25の振れ補正用マグネットである。
【0033】
第4側壁38には、磁性材料からなる板状の第3ヨーク48を介して第3マグネット49が固定されている。第3マグネット49は、周方向で2分割されている。第3マグネット49は、可動体を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構28のローリング補正用マグネットである。第3マグネット49は、光軸Lを挟んで第2マグネット47とは反対側に配置されている。
【0034】
(回転支持機構)
図9は回転支持機構21を+Z方向から見た場合の分解斜視図である。図10は回転支持機構21を-Z方向から見た場合の分解斜視図である。図9図10に示すように、回転支持機構21は、可動体20に固定されるプレートロール51と、Z軸方向でプレートロール51に対向する対向部56を備えるプレートホルダ52と、プレートロール51とプレートホルダ52とを光軸L回りに回転可能とする回転機構53とを備える。また、回転支持機構21は、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第1与圧機構54および第2与圧機構55を備える。
【0035】
プレートロール51は、金属製であり、非磁性材料からなる。プレートロール51は、光軸Lを囲むプレートロール環状部57と、プレートロール環状部57から第2軸R2方向の両側に突出して-Z方向に延びる一対のプレートロール延設部58と、を備える。プレートロール環状部57は、プレートロール環状板59と、プレートロール環状板59の内周側端縁から+Z方向に屈曲して延びるプレートロール環状壁60と、を備える。プレートロール環状壁60は円筒形状である。図9に示すように、プレートロール環状板59の+Z方向の端面には、径方向の中央に、プレートロール環状溝61が設けられている。また、プレートロール環状板59には、周方向の3か所に、等角度間隔で、与圧用マグネット62が固定されている。
【0036】
一対のプレートロール延設部58のそれぞれは、-Z方向の端部分に、可動体20に固定される固定部63を備える。固定部63は周方向の両端縁に、+Z方向に向かって周方向の幅が広がる楔形状の突起63aを複数備える。また、固定部63は、第2軸R2方向の外側面に、矩形の突起63bを備える。矩形の突起63bは、+Z方向に向かって第2軸R2方向の突出量が増加する。
【0037】
プレートホルダ52は、磁性材料からなる。プレートホルダ52は、プレートホルダ環状部65と、プレートホルダ環状部65から第1軸R1方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対のプレートホルダ延設部66と、を備える。プレートホルダ環状部65は、プレートホルダ52においてZ軸方向でプレートロール環状部57に対向する対向部56である。プレートホルダ環状部65は、プレートロール環状部57の+Z方向に位置するプレートホルダ環状板67と、プレートホルダ環状板67の外周側端縁から-Z方向に屈曲する複数のプレートホルダ円弧壁68と、を備える。図10に示すように、プレートホルダ環状板67の-Z方向の端面には、周方向に延びるプレートホルダ円弧溝70が、複数、設けられている。本例では、プレートホルダ円弧溝70は、等角度間隔で6つ設けられている。各プレートホルダ円弧溝70のそれぞれは、Z軸方向でプレートロール環状溝61に対向する。
【0038】
一対のプレートホルダ延設部66は、それぞれ、プレートホルダ環状部65から第1軸R1方向の両側に延びるプレートホルダ第1延設部分66aと、プレートホルダ第1延設部分66aの外周側の端から、プレートホルダ環状部65から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜するプレートホルダ第2延設部分66bと、プレートホルダ第2延設部分66bの-Z方向の端から可動体20の外周側を-Z方向に延びるプレートホルダ第3延設部分66cと、を備える。プレートホルダ第1延設部分66aは、プレートホルダ円弧壁68の-Z方向の端から第1軸R1方向に突出する。
【0039】
図5に示すように、一方のプレートホルダ延設部66のプレートホルダ第3延設部分66cは、可動体20の第5側壁39と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。他方のプレートホルダ延設部66のプレートホルダ第3延設部分66cは、可動体20の第6側壁40と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。また、各プレートホルダ第3延設部分66cは、第1軸R1線上を径方向内側(可動体20の側)に窪む第1軸側凹曲面69を備える。
【0040】
図9図10に示すように、回転機構53は、複数の球体71と、リテーナ72と、を備える。球体71は金属製である。リテーナ72は樹脂製である。リテーナ72は、複数の球体71のそれぞれを転動可能に保持する複数の球体保持孔72aを備える。球体71は、球体保持孔72aに保持されて、リテーナ72から-Z方向および+Z方向に突出する。本例において、各球体保持孔72aは、径方向よりも周方向が長い長孔である。リテーナ72は、各球体保持孔72aの径方向外側に位置する外側リテーナ部分72bから外周側に突出する外側突出部73と、各球体保持孔72aの径方向内側に位置する内側リテーナ部分72cから内周側に突出する内側突出部74と、を備える。また、リテーナ72は、周方向の3か所にZ軸方向に貫通するリテーナ貫通孔75を備える。
【0041】
ここで、図8に示すように、プレートロール51と、プレートホルダ52とは、プレートロール環状壁60が-Z方向からプレートホルダ環状部65の内側に挿入されて、Z軸方向に重ねられる。プレートロール環状壁60の+Z方向の端部分は、プレートホルダ環状部65よりも+Z方向に突出する。各球体71およびリテーナ72は、プレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置される。
【0042】
リテーナ72がプレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置された状態では、図5に示すように、外側突出部73に、プレートホルダ円弧壁68が径方向外側から接触する。また、内側突出部74に、プレートロール環状壁60が径方向内側から接触する。これにより、リテーナ72は、プレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間において径方向で位置決めされる。また、リテーナ72の各球体保持孔72aに収容された各球体71は、-Z方向の端部分がプレートロール環状溝61に挿入され、+Z方向の端部分がプレートホルダ円弧溝70に挿入される。さらに、リテーナ72がプレートホルダ環状部65とプレートロール環状部57との間に配置された状態では、リテーナ貫通孔75に与圧用マグネット62が挿入される。
【0043】
図5図8に示すように、プレートロール環状壁60の+Z方向の端には、環状の板部材77が固定される。光軸L方向から見た場合に、板部材77の外周側部分と、プレートホルダ環状部65の内周側の端部分とは重なる。板部材77とプレートホルダ環状部65との間には、Z軸方向に僅かな隙間が形成される。ここで、プレートロール環状部57に固定されてリテーナ貫通孔75に挿入された与圧用マグネット62は、与圧用マグネット62は、磁性材料からなるプレートホルダ52をプレートホルダ52に接近する方向に吸引する。すなわち、与圧用マグネット62は、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第1与圧機構54を構成する。
【0044】
図6図8に示すように、可動体20は、第2軸R2方向の両端部分のそれぞれに、一対のプレートロール延設部58の固定部63を受け入れるプレートロール固定孔79を備える。プレートロール固定孔79は、ホルダ29に設けられている。回転支持機構21は、プレートロール51の各プレートロール延設部58の固定部63が、各プレートロール固定孔79に圧入されることにより可動体20に固定される。固定部63をプレートロール固定孔79に挿入する際には、プレートロール環状壁60に撮像モジュール5の円筒部分31が挿入される。これにより、プレートロール51は、プレートロール環状壁60が
光軸Lと同軸に位置決めされた状態で、可動体20に固定される。また、各プレートロール延設部58の固定部63を、各プレートロール固定孔79に圧入すると、固定部63の突起63aおよび突起63bが塑性変形して潰れた状態となる。これにより、プレートロール51と可動体20とは固定される。従って、可動体20は、プレートロール51と一体に、光軸L回りに回転可能となる。
【0045】
プレートロール51と可動体20とが固定されると、磁性材料からなるプレートホルダ52のプレートホルダ環状部65は、Z軸方向で、プレートロール環状部57を間に挟んで、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネットとは反対側に位置する。これにより、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネットは、プレートホルダ環状部65を、プレートロール環状部57に接近する方向に吸引する。従って、第1マグネット45、第2マグネット47および第3マグネットは、プレートロール51をプレートホルダ52に接近する方向に付勢する第2与圧機構55を構成する。
【0046】
(ジンバル機構)
図3に示すように、ジンバル機構22は、ジンバルフレーム80と、ジンバルフレーム80とプレートホルダ52とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構81とを備える。また、ジンバル機構22は、ジンバルフレーム80とケース97とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構82を備える。図5図7に示すように、第1接続機構81は、ジンバルフレーム80から第1軸R1上をプレートホルダ52の側に突出する第1軸側シャフト83と、プレートホルダ52に設けられて第1軸側シャフト83の先端が回転可能に接触する第1軸側凹曲面69と、を備える。図6図7に示すように、第2接続機構82は、ケース97から第2軸R2上をジンバルフレーム80の側に突出する第2軸側シャフト84と、ジンバルフレーム80に設けられて第2軸側シャフト84の先端が接触する第2軸側凹曲面95と、を備える。
【0047】
(ジンバルフレーム)
ジンバルフレーム80は、金属製の板バネからなる。図8に示すように、ジンバルフレーム80は、プレートホルダ52の+Z方向に位置するジンバルフレーム本体部85と、ジンバルフレーム本体部85から第1軸R1方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86と、ジンバルフレーム本体部85から第2軸R2方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87と、を備える。ジンバルフレーム本体部85は、第1軸R1方向に延びる略長方形形状の中央板部分85aと、中央板部分85aの第2軸R2方向の一方側(-Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第1傾斜板部分85bと、中央板部分85aの第2軸R2方向の他方側(+Y方向の側)から外周側に向かって+Z方向に傾斜する第2傾斜板部分85cと、を備える。また、ジンバルフレーム本体部85は、中央に、Z軸方向に貫通する開口部90を備る。開口部90には、撮像モジュール5の円筒部分31が挿入されている。
【0048】
図5図7図8に示すように、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86は、プレートホルダ52の外周側に位置する。図8に示すように、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86のそれぞれは、第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aと、第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bと、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bの-Z方向の端からプレートホルダ52の外周側を-Z方向に延びる第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cと、を備える。
【0049】
図5図8に示すように、第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aは、中央板部分85aから第1軸R1方向に突出している。第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、第1軸R1方向に貫通するジンバルフレーム延設部貫通孔92を備える。また、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、ジンバルフレーム延設部貫通孔92の開口縁から第1軸R1方向を外周側に突出する第1軸側シャフト支持用筒部93を備える。さらに、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、周方向の両側の端縁からそれぞれ内周側に突出する一対のジンバルフレーム延設部突部94を備える。一対のジンバルフレーム延設部突部94は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cにおいて、ジンバルフレーム延設部貫通孔92よりも+Z方向の側に設けられている。また、第1軸側ジンバルフレーム延設部86のプレートホルダ延設部66とは反対の外側面には、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bから、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cに至るリブ91が設けられている。リブ91は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bと第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cとの間の屈曲部分を経由して延びる。
【0050】
ここで、第1軸側シャフト83は、円柱形状であり、ジンバルフレーム延設部貫通孔92および第1軸側シャフト支持用筒部93に挿入されてジンバルフレーム80に保持される。これにより、第1軸側シャフト83は、第1軸R1上を、第1軸R1方向に延びる。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cからプレートホルダ延設部66の側に突出する。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、半球面を備える。
【0051】
次に、一対の第2軸側ジンバルフレーム延設部87のそれぞれは、図8に示すように、第2軸R2方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aと、第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bと、第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bの-Z方向の端から可動体20の外周側を-Z方向に延びる第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cと、を備える。-Y方向に位置する一方の第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第1傾斜板部分85bの外周側の端縁から第2軸R2方向に突出する。+Y方向に位置する一方の第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第2傾斜板部分85cの外周側の端縁から第2軸R2方向に突出する。各第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cは、第2軸R2上を内周側に窪む第2軸側凹曲面95を備える。
【0052】
(第1接続機構)
図7に示すように、一対のプレートホルダ延設部66は、一対の第1軸側ジンバルフレーム延設部86と可動体20との間に位置する。そして、第1軸側シャフト83を保持する第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cと、第1軸側凹曲面69を備えるプレートホルダ第3延設部分66cとは、第1軸R1上において、対向する。第1接続機構81は、第1軸側シャフト83において、第1軸側ジンバルフレーム延設部86から内周側に突出する先端が第1軸側凹曲面69に接触することにより構成される。本形態では、第1軸側シャフト83と、第1軸側凹曲面69とは、点接触する。これにより、回転支持機構21は、第1接続機構81を介して、第1軸R1回りに回転可能な状態で、ジンバルフレーム80に支持される。従って、回転支持機構21に支持された可動体20は、ジンバル機構22により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。第1軸側シャフト83が第1軸側凹曲面69に接触した状態において、各プレートホルダ延設部66は、各第1軸側ジンバルフレーム延設部86に設けられた一対のジンバルフレーム延設部突部94の内側に位置する。
【0053】
可動体20および回転支持機構21がジンバル機構22に支持された状態では、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、撮像モジュール本体部30の+Z方向で、円筒部分31の外周側に位置する。プレートロール環状部57は、Z軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と撮像モジュール本体部30との間に位置する。また、プレートホルダ環状部65は、プレートロール環状部57の+Z方向で、Z軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と撮像モジュール本体部30との間に位置する。ここで、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、第1軸R1および第2軸R2よりも+Z方向に位置する。また、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部57、およびプレートホルダ環状部65は、撮像素子9よりも+Z方向に位置する。
【0054】
(固定体)
固定体23は、枠状のケース97およびケース97を収容するカバー2を備える。図3図4図7に示すように、ケース97は、可動体20および回転支持機構21を外周側から囲む。ケース97は、金属製であり、非磁性材料からなる。ケース97をZ軸方向から見た場合の形状は、8角形である。図7に示すように、ケース97は、8角形の枠状板部98と、ホルダ29の径方向外側に位置する枠部99と、を備える。枠部99は、枠状板部98の外周縁から屈曲して-Z方向に延びている。
【0055】
枠部99は、Y方向に平行に延びる第1側板101、および第2側板102と、X方向に平行に延びる第3側板103および第4側板104を備える。第1側板101は、第2側板102の-X方向に位置する。第3側板103は、第4側板104の-Y方向に位置する。また、枠部99は、第1軸R1方向の対角で、第1側板101と第3側板103とを接続する第5側板105、および、第2側板102と第4側板104とを接続する第6側板106を備える。第5側板105と第6側板106とは平行に延びる。さらに、枠部99は、第2軸R2方向の対角で、第1側板101と第4側板104とを接続する第7側板107、および、第2側板102と第3側板103とを接続する第8側板108を備える。第7側板107と第8側板108とは平行に延びる。
【0056】
図7に示すように、ケース97は、第1側板101に第1コイル保持用開口部109を備える。第1コイル保持用開口部109には、第1コイル110が挿入されている。第1コイル110は、周方向に長い楕円形状であり、中心孔を径方向に向けている。また、枠部99は、第3側板103に第2コイル保持用開口部111を備える。第2コイル保持用開口部111には、第2コイル112が挿入されている。第2コイル112は、周方向に長い楕円形状であり、中心孔を径方向に向けている。さらに、枠部99は、第4側板104に、第3コイル保持用開口部113を備える。第3コイル保持用開口部113には、第3コイル114が挿入されている。第3コイル114は、Z軸方向に長い楕円形状であり、中心孔を径方向に向けている。ここで、図2に示すように、第4側板104、第1側板101および第3側板103の外周面に沿って第3フレキシブルプリント基板8が引き回されている。第1コイル110、第2コイル112および第3コイル114は、第3フレキシブルプリント基板8に電気的に接続されている。
【0057】
また、ケース97は、第2側板102の-Z方向の端から+Z方向に延びる矩形の切欠き部115が設けられている。撮像モジュール5に接続された第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7は、切欠き部115を介して、光学ユニット本体部3から+X方向に引き出される。
【0058】
図6図7に示すように、ケース97の第7側板107、および第8側板108には、それぞれ、第2軸R2方向に貫通する貫通孔117が設けられている。また、第7側板1
07および第8側板108は、内側面(第2軸側ジンバルフレーム延設部87が位置する側の面)における貫通孔117の開口縁に、第2軸R2方向に突出する筒部118を備える。第7側板107および第8側板108の各貫通孔117には、第2軸側シャフト84が貫通している。第2軸側シャフト84は、円柱形状であり、貫通孔117に挿入されて、筒部118に支持されている。
【0059】
第2軸側シャフト84は金属製であり、第7側板107および第8側板108のそれぞれに、溶接によって、固定される。第7側板107および第8側板108のそれぞれに固定された第2軸側シャフト84は、第2軸R2上を第2軸R2方向に延びる。第2軸側シャフト84の内周側の端部は、枠部99から内周側に突出する。第1軸側シャフト83の内周側の端部は、半球面を備える。
【0060】
(第2接続機構)
図5に示すように、第2接続機構82は、ケース97の内側に可動体20、回転支持機構21およびジンバルフレーム80を配置し、第2軸側シャフト84の先端部分を第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cの第2軸側凹曲面95に挿入して、接触させることにより構成される。第2接続機構82によってケース97とジンバルフレーム80とが接続されることにより、ジンバルフレーム80、回転支持機構21および可動体20は、第2軸R2回りに回転可能な状態で、ケース97に支持される。
【0061】
ここで、ジンバルフレーム80は板バネなので、第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、第2軸R2方向に弾性変形可能である。従って、第2軸側シャフト84と第2軸側ジンバルフレーム延設部87の第2軸側凹曲面95とを接触させる際、第2軸側ジンバルフレーム延設部87を内周側へ撓ませた状態とする。これにより、第2軸側ジンバルフレーム延設部87は、外周側へ向かう弾性復帰力により、第2軸側シャフト84に内周側から弾性接触する。従って、第2軸側ジンバルフレーム延設部87と枠部99との接続が解除されることを防止或いは抑制できる。
【0062】
(振れ補正用駆動機構)
ジンバル機構22により支持された可動体20がケース97の内周側に配置されると、図3に示すように、可動体20の第1側壁35に固定された第1マグネット45と、ケース97に保持された第1コイル110とがX方向で隙間を開けて対向する。第1マグネット45および第1コイル110は、第2振れ補正用磁気駆動機構27を構成する。従って、第1コイル110への給電により、可動体20は、Y軸回りに回転する。また、可動体20の第3側壁37に固定された第2マグネット47と第2コイル112とがY方向で隙間を開けて対向する。第2マグネット47および第2コイル112は、第1振れ補正用磁気駆動機構26を構成する。従って、第2コイル112への給電により、可動体20はX軸回りに回転する。振れ補正用駆動機構25は、第1振れ補正用磁気駆動機構26による可動体20のX軸回りの回転と、第1振れ補正用磁気駆動機構27による可動体20のY軸回りの回転とを合成して、可動体20を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに揺動させる。
【0063】
(ローリング補正用磁気駆動機構)
可動体20がケース97の内周側に配置された状態では、可動体20の第4側壁38に固定された第3マグネット49と第3コイル114とがY方向で隙間を開けて対向する。第3マグネット49および第3コイル114は、ローリング補正用磁気駆動機構28を構成する。従って、第3コイル114への給電により、可動体20は、光軸L回りに回転する。
【0064】
(ゲル状ダンパー部材)
図11は、ゲル状ダンパー部材24によって像側カバー10と可動体20とを接続した状態を示す斜視図である。図12は、ゲル状ダンパー部材24の配置を示す底面図である。本形態では、可動体20は、ジンバル機構22および回転支持機構21を介して固定体23に支持されるとともに、ゲル状ダンパー部材24を介して固定体23に支持される。ゲル状ダンパー部材24は、固定体23の底部に配意される像側カバー10と、可動体20の底部とがZ軸方向(光軸L方向)で対向する箇所に配置される。
【0065】
ゲル状ダンパー部材24は、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りの振れ補正における原点位置に可動体20を復帰させる原点復帰機構を構成する。ゲル状ダンパー部材24は可動体20と固定体23とを接続する。第1軸R1回りおよび第2軸R2回りの振れ補正における原点位置に可動体20が位置するとき、ゲル状ダンパー部材24は、光軸L方向に一定量圧縮された形状となるように取り付けられている。振れ補正機能付き光学ユニット1は、組立が完了したときの可動体20の初期位置が、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りの振れ補正における原点位置となるように組み立てられる。
【0066】
ゲル状ダンパー部材24は、可動体20が第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転する際に光軸L方向に圧縮もしくは伸長する方向に変形する。従って、ゲル状ダンパー部材24がもとの形状に復帰する復帰力によって、可動体20は原点位置に復帰する。原点位置でのゲル状ダンパー部材24の圧縮量は、振れ補正において可動体20が揺動する最大角度範囲に対応する量となるように設定される。ゲル状ダンパー部材24の圧縮量は、可動体20が最も大きく揺動した場合においても可動体20からゲル状ダンパー部材24が外れないように設定される。
【0067】
図11に示すように、固定体23の底部に配置される像側カバー10は、ケース97の底部を塞ぐ第1カバー部分16、および、第1カバー部分16の+X方向に延びる第2カバー部分17を備える。第1カバー部分16の4隅には、ケース97に係止される弾性係合部141が形成されている。第1カバー部分16は、光軸L方向から見て可動体20のホルダ29と対向する領域である固定体側基準面161を備える。一方、ホルダ29の-Z方向の端面は、固定体側基準面161と対向する可動体側基準面291を備える。本形態では、ホルダ29の第1軸R1方向の対角位置に設けられた第5側壁39と第6側壁40の-Z方向の端部、および、ホルダ29の第2軸R2方向の対角位置に設けられた第7側壁41と第8側壁42の-Z方向の端部に可動体側基準面291が形成されている。可動体20は、可動体側基準面291が光軸Lに対して略垂直となるように組み立てられている。また、可動体20と固定体23とを組み立てたとき、固定体側基準面161と可動体側基準面291とが略平行になるように構成されている。
【0068】
ゲル状ダンパー部材24は、固定体側基準面161と可動体側基準面291との間でZ軸方向(光軸L方向)に圧縮されている。図5図6には、圧縮前のゲル状ダンパー部材24を可動体側基準面291に当接させた状態を示す。振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際、図5図6の-Z方向側を上向きにして組み立てることができる。この場合には、-Z方向側を上向きにしたケース97の内側に、-Z方向側を上向きにした可動体20および回転支持機構21を挿入して、ジンバル機構22によってケース97と回転支持機構21とを接続する。これにより、可動体20は、ホルダ29の-Z方向の端面の4隅に設けられた可動体側基準面291が上向きになった状態でジンバル機構22に接続される。この状態で、4箇所の可動体側基準面291に上方からゲル状ダンパー部材24を載せることができる。
【0069】
図5、6において、圧縮前のゲル状ダンパー部材24の厚さをT0で示す。上記の組立方法では、可動体側基準面291に載ったゲル状ダンパー部材24の上方から像側カバー10を被せてケース97に固定する。これにより、ゲル状ダンパー部材24は、図5、図
6に示す厚さT1に圧縮される。ゲル状ダンパー部材24は、接着剤により可動体側基準面291および固定体側基準面161に固定される。
【0070】
なお、振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際、図5図6の+Z方向を上向きにして組み立てることもできる。この場合には、図11に示すように、固定体側基準面161を上向きにして像側カバー10を配置し、固定体側基準面161に上方から4個のゲル状ダンパー部材24を載せる。しかる後に、図11に示すように、可動体20、回転支持機構21、およびジンバルフレーム80を組み立てたユニットをゲル状ダンパー部材24に上方から載せる。これにより、可動体20と固定体23とがゲル状ダンパー部材24によって接続される。
【0071】
図11図12に示すように、4個のゲル状ダンパー部材24は、可動体20の最も外周側の部分を支持する。また、4個のゲル状ダンパー部材24は、可動体20から加わる荷重を均等に支持できる位置に配置される。本形態では、可動体20の重心G(図5図6参照)は光軸L上に位置する。図8図12に示すように、可動体20の外形を規定するホルダ29は光軸L方向から見て略8角形であり、可動体側基準面291が設けられた第5側壁39、第6側壁40、第7側壁41、第8側壁42の4箇所は、可動体20において重心Gから径方向に最も離れた部位である。従って、重心Gから径方向に最も離れた4箇所にゲル状ダンパー部材24が配置されている。
【0072】
図11に示すように、4個のゲル状ダンパー部材24のうち、第5側壁39と第6側壁40の下端に配置される2個のゲル状ダンパー部材24は、第1軸R1上に位置し、重心Gを基準として径方向で反対側に配置される。同様に、第7側壁41と第8側壁42の下端に配置される2個のゲル状ダンパー部材24は、第2軸R2上に位置し、重心Gを基準として径方向で反対側に配置される。このように、重心Gを基準として反対側の位置にゲル状ダンパー部材24を配置することにより、可動体20の傾きを抑制できる。また、4個のゲル状ダンパー部材24は、重心Gを中心として周方向に等間隔で配置される。よって、4個のゲル状ダンパー部材24は、可動体20の荷重を均等に支持しているので、4個のゲル状ダンパー部材24の圧縮量は略一定になっている。
【0073】
ゲル状ダンパー部材24としては、各種のゲル状部材を用いることができる。本形態のゲル状ダンパー部材24は、針入度が20以上40以下の範囲内のシリコーンゲルからなる。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。針入度が20以上40以下の範囲内のシリコーンゲルは、柔らかく表面が粘着性を有しているので、異物が表面に付着しやすい。従って、可動体20と固定体23との間で異物が発生した場合や、外部から異物が侵入して異物が飛散する状態になったときに、ゲル状ダンパー部材24の表面に異物が付着して保持される。これにより、異物の飛散を抑制できるので、異物による故障や不具合を抑制できる。
【0074】
ゲル状ダンパー部材24は、例えば、型にゲル材料を充填して硬化させることにより、シート状のゲルを成形し、成形後の大判のゲルを本形態のゲル状ダンパー部材24の形状にカットして製造することができる。ゲル状ダンパー部材24は、このような製造方法により、高い寸法精度(例えば、±50ミクロン)で形成することが可能である。
【0075】
本形態では、ゲル状ダンパー部材24によって可動体20と固定体23とを接続する構造が、1つの部材を対向する基準面(可動体側基準面291、固定体側基準面161)の間に配置して接続する簡単な構造である。従って、組立が容易である。また、ゲル状ダンパー部材24は、可動体20と固定体23の間で圧縮状態になるように取り付けられるので、ゲル状ダンパー部材24の部品精度によって可動体20の初期位置がばらつくことを抑制できる。従って、組立後に調整機構などを用いて可動体20の位置調整を行う必要が
ないので、組立後の調整工程なしで、可動体20の初期位置を、第1軸R1回りおよび第2軸R2回りの振れ補正における原点位置に精度良く合わせることが可能である。
【0076】
ゲル状ダンパー部材24は、粘弾性部材であるため、可動体20と固定体23とをゲル状ダンパー部材24によって接続することにより、可動体20の共振を抑制できる。ゲル状ダンパー部材24の共振周波数は、ゲル状ダンパー部材24の形状(体積)、可動体20および固定体23との接触面積などを変えることによってずらすことが可能である。従って、不要な共振を選択的に抑制することが可能である。また、可動体20と固定体23とをゲル状ダンパー部材24によって接続することにより、振動や、落下などの衝撃が加わった際に可動体20が固定体23に衝突することを抑制できる。よって、振れ補正機能付き光学ユニット1の耐衝撃性を高めることができる。
【0077】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ4(光学素子)を備える可動体20と、可動体20をレンズ4の光軸Lと交差する第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、可動体20を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構22(揺動支持機構)と、ジンバル機構22を介して可動体20を支持する固定体23と、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用駆動機構25と、固定体23と可動体20とを接続するゲル状ダンパー部材24と、を有する。ゲル状ダンパー部材24は、固定体23と可動体20とが光軸L方向で対向する隙間に圧縮状態で配置され、可動体20を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りの振れ補正における原点位置に復帰させる。
【0078】
このように、本形態では、可動体20と固定体23とが光軸L方向で対向する隙間にゲル状ダンパー部材24を配置するという単純な構成を採用しているので、可動体20を原点位置へ復帰させる機構の構成および組立が簡単である。また、ゲル状ダンパー部材24は、圧縮状態になるように取り付けられているので、可動体20の原点位置への位置決めの精度に対する部品精度の影響が少ない。従って、組立後に原点位置の調節工程を行う必要がない。よって、簡単な構成で、可動体20を振れ補正の原点位置に精度良く位置決めできる。
【0079】
また、本形態では、ゲル状ダンパー部材24を可動体20と固定体23の間に介在させているので、衝撃時に可動体20が固定体23に衝突することを防止できる。従って、耐衝撃性を高めることができる。また、ゲル状ダンパー部材24によって可動体20と固定体23とを接続しているので、可動体20の不要な共振を抑制できる。
【0080】
本形態では、針入度が20以上40以下の範囲内のゲル状ダンパー部材24を使用する。従って、ゲル状ダンパー部材24が柔らかく粘着性を有するので、振れ補正機能付き光学ユニット1の内部で異物の発生や、外部からの異物の侵入があったときに、ゲル状ダンパー部材24に異物が付着して保持される。従って、異物の飛散を抑制できるので、異物による故障や不具合を抑制できる。
【0081】
本形態では、固定体23には固定体側基準面161が設けられ、可動体20には、固定体側基準面161と略平行な可動体側基準面291が設けられ、固定体側基準面161と可動体側基準面291との間でゲル状ダンパー部材24が光軸L方向に圧縮されている。このように、ゲル状ダンパー部材24を平行な基準面の間に配置することにより、ゲル状ダンパー部材24を均等に圧縮できる。また、平行な基準面を設けることで、ゲル状ダンパー部材24の圧縮量を精度良く管理できる。従って、可動体20を原点位置へ精度良く位置決めすることができる。
【0082】
本形態では、可動体20の重心Gを基準として径方向で反対側の2箇所を含む複数位置にゲル状ダンパー部材24が配置される。径方向で反対側にゲル状ダンパー部材を配置することにより、可動体20をバランス良く支持でき、ゲル状ダンパー部材24の圧縮量を均一にすることができる。従って、可動体20が傾くことを抑制でき、可動体20を精度良く原点位置に位置決めできる。
【0083】
本形態では、可動体20の重心Gを中心として周方向で等間隔の4箇所にゲル状ダンパー部材24が配置されているので、可動体20をバランス良く支持でき、ゲル状ダンパー部材24の圧縮量を均一にすることができる。従って、可動体20が傾くことを抑制でき、可動体20を精度良く原点位置に位置決めできる。また、4箇所で可動体20を支持するので、可動体20を安定して支持できる。
【0084】
本形態では、ゲル状ダンパー部材24が光軸L方向から見て可動体20の外周縁に配置されている。このように、重心Gから離れた位置にゲル状ダンパー部材24を配置することにより、可動体20を安定して支持できる。
【0085】
本形態において、固定体23は、可動体20の外周側を囲む枠状のケース97と、ケース97の光軸L方向の端部に固定される像側カバー10を備え、ゲル状ダンパー部材24は、像側カバー10と可動体20との間で光軸L方向に圧縮されている。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際には、像側カバー10にゲル状ダンパー部材24を載せて、その上から可動体20およびジンバル機構22を組み立てたユニットを載せることによって可動体20と固定体23とを接続できる。あるいは、ケース97を裏返して可動体20およびジンバル機構22を内部へ挿入し、裏返しになった可動体20の底面にゲル状ダンパー部材24を載せて、像側カバー10をケース97に取り付けるという手順で組立を行うことができる。
【0086】
(変形例)
上記形態では、ゲル状ダンパー部材24を可動体20の第1軸R1方向の角部および第2軸R2方向の角部の4箇所に配置したものであったが、他の配置を採用することもできる。図13は、変形例のゲル状ダンパー部材24の配置を示す底面図である。図13に示すように、変形例の可動体20において、可動体側基準面291は、ホルダ29の第1側壁35、第3側壁37、および第4側壁38の-Z方向の端部に形成されている。第3側壁37および第4側壁38に設けられた可動体側基準面291は、X方向に延びており、X方向に延びる直方体状のゲル状ダンパー部材24が接続されている。また、第1側壁35に設けられた可動体側基準面291は、Y方向に延びており、Y方向に延びる直方体状のゲル状ダンパー部材24が接続されている。各ゲル状ダンパー部材24は、上記形態と同様に、可動体側基準面291と固定体側基準面161との間で圧縮状態となるように組み立てられる。
【0087】
変形例では、可動体20の重心Gを基準としてY軸方向で反対側の2箇所、および、重心Gに対して-X方向の1箇所を含む3箇所にゲル状ダンパー部材24が配置されている。なお、重心Gに対して+X方向の第2側壁36に可動体側基準面291を形成すれば、重心Gを中心として周方向で等間隔の4箇所にゲル状ダンパー部材24を配置できるが、第2側壁36は、第1フレキシブルプリント基板6および第2フレキシブルプリント基板7を通すために-Z方向の端部が切り欠かれている。従って、第2側壁36には可動体側基準面291を設けることができず、重心Gを中心として周方向で等間隔の4箇所のうち、3箇所にゲル状ダンパー部材24を配置している。変形例においてゲル状ダンパー部材24が配置される位置は、光軸L方向から見て重心Gから等距離の位置である。
【0088】
変形例では、上記形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、可動体20を
原点位置へ復帰させる機構の構成および組立が簡単である。また、可動体20の原点位置への位置決めの精度に対する部品精度の影響が少ない。従って、組立後に原点位置の調節工程を行う必要がない。よって、簡単な構成で、可動体20を振れ補正の原点位置に精度良く位置決めできる。さらに、ゲル状ダンパー部材24を用いたことにより、耐衝撃性の向上、および、不要な共振の抑制を図るとともに、異物の飛散を抑制することもできる。
【0089】
また、変形例のゲル状ダンパー部材24の配置は、径方向で反対側の2箇所を含み、且つ、重心Gから等距離の3箇所で可動体20を支持するので、可動体20の荷重を均等に受けることができ、ゲル状ダンパー部材24の圧縮量を均一にすることができる。従って、可動体20が傾くことを抑制でき、可動体20を精度良く原点位置に位置決めできる。また、可動体20を安定して支持できる。
【0090】
なお、ゲル状ダンパー部材24は、少なくとも2箇所に配置されていればよい。2箇所に配置する場合には、重心Gを中心として径方向で反対側の2箇所に配置することが好ましい。また、5箇所以上にゲル状ダンパー部材24を配置してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カバー、3…光学ユニット本体部、4…レンズ、5…撮像モジュール、6…第1フレキシブルプリント基板、7…第2フレキシブルプリント基板、8…第3フレキシブルプリント基板、9…撮像素子、10…像側カバー、11…被写体側カバー、12…第1カバー、13…第2カバー、16…第1カバー部分、17…第2カバー部分、19…補強板、20…可動体、21…回転支持機構、22…ジンバル機構、23…固定体、24…ゲル状ダンパー部材、25…振れ補正用駆動機構、26…第1振れ補正用磁気駆動機構、27…第2振れ補正用磁気駆動機構、28…ローリング補正用磁気駆動機構、29…ホルダ、30…撮像モジュール本体部、31…円筒部分、35…第1側壁、36…第2側壁、37…第3側壁、38…第4側壁、39…第5側壁、40…第6側壁、41…第7側壁、42…第8側壁、44…第1ヨーク、45…第1マグネット、46…第2ヨーク、47…第2マグネット、48…第3ヨーク、49…第3マグネット、51…プレートロール、52…プレートホルダ、53…回転機構、54…第1与圧機構、55…第2与圧機構、56…対向部、57…プレートロール環状部、58…プレートロール延設部、59…プレートロール環状板、60…プレートロール環状壁、62…与圧用マグネット、63…固定部、63a,63b…突起、65…プレートホルダ環状部、66…プレートホルダ延設部、66a…プレートホルダ第1延設部分、66b…プレートホルダ第2延設部分、66c…プレートホルダ第3延設部分、67…プレートホルダ環状板、68…プレートホルダ円弧壁、69…第1軸側凹曲面、70…プレートホルダ円弧溝、71…球体、72…リテーナ、72a…球体保持孔、72b…外側リテーナ部分、72c…内側リテーナ部分、73…外側突出部、74…内側突出部、75…リテーナ貫通孔、77…板部材、79…プレートロール固定孔、80…ジンバルフレーム、81…第1接続機構、82…第2接続機構、83…第1軸側シャフト、84…第2軸側シャフト、85…ジンバルフレーム本体部、85a…中央板部分、85b…第1傾斜板部分、85c…第2傾斜板部分、86…第1軸側ジンバルフレーム延設部、86a…第1軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分、86b…第1軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分、86c…第1軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分、87…第2軸側ジンバルフレーム延設部、87a…第2軸側ジンバルフレーム延設部第1延設部分、87b…第2軸側ジンバルフレーム延設部第2延設部分、87c…第2軸側ジンバルフレーム延設部第3延設部分、90…開口部、91…リブ、92…ジンバルフレーム延設部貫通孔、93…第1軸側シャフト支持用筒部、94…ジンバルフレーム延設部突部、95…第2軸側凹曲面、97…ケース、98…枠状板部、99…枠部、101…第1側板、102…第2側板、103…第3側板、104…第4側板、105…第5側板、106…第6側板、107…第7側板、108…第8側板、109…第1コイル保持用開口部、110…第1コイル、111…第2コ
イル保持用開口部、112…第2コイル、113…第3コイル保持用開口部、114…第3コイル、115…切欠き部、117…貫通孔、118…筒部、141、142…弾性係合部、143…係止部、161…固定体側基準面、291…可動体側基準面、G…重心、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
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図13