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特許7411387可変容量ポンプ制御装置、ポンプシステム及び可変容量ポンプ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】可変容量ポンプ制御装置、ポンプシステム及び可変容量ポンプ制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
F04B49/06 321Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019204390
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021076083
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】赤見 俊也
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-068232(JP,A)
【文献】特開2006-112288(JP,A)
【文献】特開2009-280040(JP,A)
【文献】特開2008-217559(JP,A)
【文献】特開2018-178476(JP,A)
【文献】特開2008-030740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 1/22
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜板の角度に応じて吐出容量を変える可変容量ポンプが備える前記斜板の傾き角度を外気の情報である外気情報に基づいて制御する制御部
を備え、
前記制御部は、予め定められた前記斜板の傾き角度と前記外気情報との間の関係を示す情報である関係情報を参照し、前記外気情報を取得する外気情報取得部が取得した前記外気情報に応じた前記斜板の傾き角度に前記斜板の傾き角度を制御し、
前記外気情報は、少なくとも酸素濃度を含む、
可変容量ポンプ制御装置。
【請求項2】
前記外気情報の履歴を示す情報と、前記斜板の傾き角度の履歴を示す情報とに基づいて前記関係情報を学習する学習部、
を備える請求項1に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項3】
前記外気情報の履歴と、前記斜板の傾き角度の履歴と、現在の前記外気に関する情報とに基づき前記可変容量ポンプによって動作する建設機械による施工時間を推定する施工時間推定部、
を備える請求項1又は2に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外気情報と前記可変容量ポンプによって動作する建設機械が備える装置の動作に関する情報とに基づいて、前記可変容量ポンプの吸収馬力を制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項5】
前記建設機械が備える装置は、空調装置を含む、
請求項4に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項6】
前記可変容量ポンプによって動作する機械の位置を示す位置情報と、標高と前記位置情報が示す位置との関係を示す情報と、に基づいて前記外気に関する情報を取得する外気情報取得部、
を備える請求項1からのいずれか一項に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項7】
前記位置情報は、GPS(Global Positioning System)によって取得された情報である、
請求項に記載の可変容量ポンプ制御装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の可変容量ポンプ制御装置と、
前記可変容量ポンプ制御装置によって動作が制御される前記可変容量ポンプと、
前記可変容量ポンプによって動作される建設機械と
を備えるポンプシステム。
【請求項9】
斜板の角度に応じて吐出容量を変える可変容量ポンプが備える前記斜板の傾き角度を外気の情報である外気情報に基づいて制御する制御ステップ
を有し、
前記制御ステップでは、予め定められた前記斜板の傾き角度と前記外気情報との間の関係を示す情報である関係情報を参照し、前記外気情報を取得する外気情報取得部が取得した前記外気情報に応じた前記斜板の傾き角度に前記斜板の傾き角度を制御し、
前記外気情報は、少なくとも酸素濃度を含む、
可変容量ポンプ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量ポンプ制御装置、ポンプシステム及び可変容量ポンプ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木現場で使用される建設機械は、高地で使用される場合がある。このような場合、高地は平地に対して酸素濃度が低いため、建設機械を動かすためにエンジンが発生する動力は、高地において平地よりも低下する。そのため、高度によっては、建設機械による作業の効率が平地における効率よりも低下するという問題があった。このような課題を解決するため、これまで、ポンプの吐出量を制限して利用する構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-240518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、提案された方法では、例えば平地と高地とのように、予め定められた2つの高度に対してしかポンプの吐出量が最適化されていない。そのため、提案された方法は、予め定められた高度以外の高度では、建設機械による作業の効率が低下する問題を解決できない。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、建設機械による作業の効率が高度に応じて低下することを抑制する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、斜板の角度に応じて吐出容量を変える可変容量ポンプが備える前記斜板の傾き角度を外気の情報である外気情報に基づいて制御する制御部を備える可変容量ポンプ制御装置である。
【0007】
そのため上記ポンプ制御装置は、上記の可変容量ポンプによって動作する建設機械の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、建設機械による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0008】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記制御部は、予め定められた前記斜板の傾き角度と前記外気情報との間の関係を示す情報である関係情報を参照し、前記外気情報を取得する外気情報取得部が取得した前記外気情報に応じた前記斜板の傾き角度に前記斜板の傾き角度を制御してもよい。
【0009】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記外気情報の履歴を示す情報と、前記斜板の傾き角度の履歴を示す情報とに基づいて前記関係情報を学習する学習部、を備えてもよい。
【0010】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記外気情報の履歴と、前記斜板の傾き角度の履歴と、現在の前記外気に関する情報とに基づき前記可変容量ポンプによって動作する建設機械による施工時間を推定する施工時間推定部、を備えてもよい。
【0011】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記制御部は、前記外気情報と前記可変容量ポンプによって動作する建設機械が備える装置の動作に関する情報とに基づいて、前記可変容量ポンプの吸収馬力を制御してもよい。
【0012】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記建設機械が備える装置は、空調装置を含んでもよい。
【0013】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記外気に関する情報は、酸素濃度、気圧又は標高のいずれか1つを含んでもよい。
【0014】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記可変容量ポンプによって動作する機械の位置を示す位置情報と、標高と前記位置情報が示す位置との関係を示す情報と、に基づいて前記外気に関する情報を取得する外気情報取得部、を備えてもよい。
【0015】
上記の可変容量ポンプ制御装置では、前記位置情報は、GPS(Global Positioning System)によって取得された情報であってもよい。
【0016】
本発明の一態様は、上記の可変容量ポンプ制御装置と、前記可変容量ポンプ制御装置によって動作が制御される前記可変容量ポンプと、前記可変容量ポンプによって動作される建設機械とを備えるポンプシステムである。
【0017】
そのため上記ポンプシステムによって、上記の建設機械の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、建設機械による作業の効率の低下を抑制できる。
【0018】
本発明の一態様は、斜板の角度に応じて吐出容量を変える可変容量ポンプが備える前記斜板の傾き角度を外気の情報である外気情報に基づいて制御する制御ステップを有する可変容量ポンプ制御方法である。
【0019】
そのため上記可変容量ポンプ制御方法によって、上記の可変容量ポンプによって動作する建設機械の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、建設機械による作業の効率の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、建設機械による作業の効率が高度に応じて低下することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のポンプシステムの機能構成の一例を示す図。
図2】実施形態における制御部の機能構成の一例を示す図。
図3】実施形態における外気センサ、電磁比例弁及びポンプ制御装置が油圧ポンプの動作を制御する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図4】第1の変形例における制御部の機能構成の一例を示す図。
図5】第2変形例における制御部の機能構成の一例を示す図。
図6】第3の変形例におけるネットワークを介して通信可能に接続された電磁比例弁2、外気センサ及びポンプ制御装置の一例を示す図。
図7】第4の変形例におけるポンプシステムの機能構成の一例を示す図。
図8】第4の変形例における制御部の機能構成の一例を示す図。
図9】第5の変形例における制御部の機能構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態)
図1は、実施形態のポンプシステム100の機能構成の一例を示す図である。
ポンプシステム100は、建設機械901を備える。建設機械901は、油圧ポンプ1、電磁比例弁2、外気センサ3及びポンプ制御装置4を備える。
【0023】
油圧ポンプ1は、エンジンの動力を油圧動力に変換するポンプである。油圧ポンプ1は、ポンプ本体11と、ポンプ本体11に設けられた斜板12と、斜板12の傾き角度を制御する傾転アクチュエータ13とを備える。ポンプ本体11は、エンジンの動力を油圧動力に変換する。ポンプ本体11において、エンジンが発生する動力のうちで油圧ポンプ1で吸収される分の馬力である吸収馬力(吐出量)の大きさは、斜板12の傾き角度に応じた大きさである。建設機械901は、油圧ポンプ1の吸収馬力がエンジンが発生する動力を超えないようにして動作する。
【0024】
電磁比例弁2は、ポンプ制御装置4による制御を受けて傾転アクチュエータ13の動作を制御する。具体的には、電磁比例弁2は、ポンプ制御装置4の制御によって傾転アクチュエータ13に送り込む油圧を制御する。電磁比例弁2は、傾転アクチュエータ13に送り込む油圧の制御によって傾転アクチュエータ13の動作を制御する。
【0025】
外気センサ3は、外気の情報(以下「外気情報」という。)を取得する。外気情報は、例えば、酸素濃度、気圧又は標高のいずれか1つを含む。
【0026】
ポンプ制御装置4は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部40を備えプログラムを実行する。ポンプ制御装置4は、プログラムの実行によって記憶部41、通信部42、入力部43、出力部44及び制御部40を備える装置として機能する。
【0027】
記憶部41は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部41は、制御部40の処理において用いられる各種情報を記憶する。各種情報は、例えば、予め記憶部41に記憶された情報であって斜板12の傾き角度と外気情報との間の関係を示す情報である。以下、斜板12の傾き角度と外気情報との間の関係を示す情報を第1関係情報という。第1関係情報は、外気情報と斜板12の傾き角度との関係を示す情報であればどのような情報でもよい。例えば、第1関係情報は、標高と斜板12の傾き角度との関係を示す数式でもよい。例えば、第1関係情報は、気圧と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。例えば、第1関係情報は、酸素濃度と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。例えば、第1関係情報は、標高及び気圧と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。例えば、第1関係情報は、標高及び酸素濃度と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。例えば、第1関係情報は、気圧及び酸素濃度と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。例えば、第1関係情報は、標高、気圧及び酸素濃度と斜板12の傾き角度との関係を示す情報でもよい。
【0028】
記憶部41は、例えば、外気情報を記憶する。記憶部41は、例えば、外気情報の履歴を記憶する。記憶部41は、例えば、斜板12の傾き角度の履歴を記憶する。
【0029】
通信部42は、自装置を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。外部装置のひとつは、電磁比例弁2である。外部装置のひとつは、外気センサ3である。通信部42は有線又は無線を介して外部装置と通信する。
【0030】
入力部43は、キーボードやタッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部43は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部43は、自装置に対する各種命令又は情報の入力を受け付ける。各種命令は、例えば、通信部42による通信の開始の命令である。各種命令は、例えば、出力部44による所定の情報の出力の命令である。各種命令は、例えば、建設機械901に対する所定の動作の命令である。建設機械901に対する所定の動作は、例えば、建設機械がパワーショベルである場合にはアームを動かす動作であってもよい。建設機械901に対する所定の動作は、例えば、建設機械が移動体である場合には移動するという動作であってもよい。
【0031】
出力部44は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部44は、これらの表示装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部44は、例えば、制御部40の制御の履歴を示す情報を出力する。出力部44は、例えば、記憶部41が記憶する各種情報を出力する。
【0032】
制御部40は、外気センサ3が取得した外気情報に基づいて、電磁比例弁2の動作を制御する。制御部40は、油圧ポンプ1の動作の制御だけでなく、油圧ポンプ1を備える建設機械901の動作も制御する。
図2は、実施形態における制御部40の機能構成の一例を示す図である。制御部40は、外気情報取得部401、傾き角度決定部402、弁制御部403、記録部404及び建設機械制御部405を備える。
【0033】
外気情報取得部401は、外気センサ3から外気情報を取得する。傾き角度決定部402は、第1関係情報を参照し、外気情報取得部401が取得した外気情報に対応する傾き角度を取得する。弁制御部403は、斜板12の傾き角度が傾き角度決定部402が決定した斜板12の傾き角度であるように電磁比例弁2の動作を制御する。
【0034】
記録部404は、各種情報を記憶部41に記録する。例えば、記録部404は、傾き角度決定部402が決定した傾き角度を記憶部41に記録する。記録部404は、例えば、外気センサ3が取得した外気情報を記憶部41に記録する。建設機械制御部405は、建設機械901の動作を制御する。
【0035】
図3は、実施形態における外気センサ3、電磁比例弁2及びポンプ制御装置4が油圧ポンプ1の動作を制御する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
外気センサ3が外気情報を取得する(ステップS101)。制御部40が、ステップS101で取得された外気情報を取得する(ステップS102)。制御部40が、記憶部41に記憶されている第1関係情報を参照し、ステップS102において取得した外気情報に対応する傾き角度を取得する(ステップS103)。制御部40が、電磁比例弁2の動作を制御することで、斜板12の傾き角度をステップS103において取得した傾き角度に制御する(ステップS104)。
ここまでで図3の説明を終了する。
【0036】
このように構成されたポンプ制御装置4は、外気情報に基づき、油圧ポンプ1の吸収馬力を制御する制御部40、を備える。このように、ポンプ制御装置4は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても外気情報に応じて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御するため、建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0037】
これに加え油圧ポンプ1は斜板12を備える斜板式ピストンポンプであり、制御部40は、斜板12の傾き角度を制御する。そのため、ポンプ制御装置4は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、より効率よく建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0038】
さらに、これに加え制御部40は、予め定められた斜板12の傾き角度と外気情報との間の関係を示す情報である関係情報を参照し、外気情報取得部401が取得した外気情報に応じた斜板12の傾き角度に斜板12の傾き角度を制御する。そのため、ポンプ制御装置4は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、さらに効率よく建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0039】
さらに、これに加え外気情報は、酸素濃度、気圧又は標高である。そのため、ポンプ制御装置4は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、さらに効率よく建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0040】
このように構成されたポンプシステム100は、外気情報に基づき、油圧ポンプ1の吸収馬力を制御する制御部40、を備える。このように、ポンプシステム100は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても外気情報に応じて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御するため、建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0041】
(第1の変形例)
第1関係情報は、予め機械学習によって学習された学習結果であってもよい。例えば、第1関係情報は、制御部40が機械学習によって学習した学習結果であってもよい。以下、機械学習によって第1関係情報を学習する制御部40を制御部40aという。なお、機械学習には深層学習も含む。
【0042】
図4は、第1の変形例における制御部40aの機能構成の一例を示す図である。
制御部40aは、ポンプ制御装置4によって制御部40に代えて備えられる。制御部40aは、学習部406を備える点で制御部40と異なる。以下、制御部40が備える各機能部と同様の機能を有するものについては、図2と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0043】
学習部406は、外気情報の履歴と、斜板12の傾き角度の履歴とに基づいて第1関係情報を学習する。記憶部41に記憶されている第1関係情報は、学習部406が学習した第1関係情報によって更新される。
ここまでで図4の説明を終了する。
【0044】
このように構成された第1の変形例のポンプ制御装置4は、外気情報の履歴を示す情報と、斜板12の傾き角度の履歴を示す情報とに基づいて関係情報を学習する学習部406を備える。そのため、ポンプ制御装置4は建設機械901の作業する高度がたとえ予め定められた高度でなくても、上記の実施形態が奏する効果よりもさらに効率よく建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0045】
(第2の変形例)
制御部40は建設機械901による施工時間を推定してもよい。以下、建設機械による施工時間を推定する制御部40を制御部40bという。なお、制御部40bは、学習部406を備えてもよい。
【0046】
図5は、第2の変形例における制御部40bの機能構成の一例を示す図である。
制御部40bは、ポンプ制御装置4が制御部40に代えて備える。制御部40bは、施工時間推定部407を備える点で制御部40と異なる。以下、制御部40が備える各機能部と同様の機能を有するものについては、図2と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0047】
施工時間推定部407は、外気情報の履歴と、斜板12の傾き角度の履歴と、現在の外気に関する情報とに基づいて、油圧ポンプ1を備える建設機械901による施工時間を推定する。現在の外気に関する情報とは、施工時間推定部407による施工時間の推定開始前に外気センサ3によって取得された外気情報のうち施工時間推定部407による施工時間の推定開始時点の直近の外気情報である。
ここまでで図5の説明を終了する。
【0048】
このように構成された第2の変形例のポンプ制御装置4は、外気情報の履歴と、斜板12の傾き角度の履歴と、現在の外気に関する情報とに基づき建設機械901による施工時間を推定する施工時間推定部407を備える。そのため、ポンプ制御装置4のユーザは、作業の効率的な計画を立てることができる。
【0049】
(第3の変形例)
ポンプ制御装置4は、複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、ポンプ制御装置4が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、外気情報取得部401、傾き角度決定部402、弁制御部403及び記録部404と建設機械制御部405とは異なる情報処理装置に実装されてもよい。また、電磁比例弁2、外気センサ3及びポンプ制御装置4は、ネットワークを介して通信可能に接続されてもよい。
【0050】
図6は、第3の変形例におけるネットワークを介して通信可能に接続された電磁比例弁2、外気センサ3及びポンプ制御装置4の一例を示す図である。
図6において、建設機械901aは、電磁比例弁2、外気センサ3、記憶部41、通信部42、入力部43、出力部44及び建設機械制御部405を備え、外気情報取得部401、傾き角度決定部402、弁制御部403及び記録部404を備えない。図6において、ポンプ制御装置4aは、建設機械制御部405を備えない点でのみポンプ制御装置4と異なる。建設機械901は、ポンプ制御装置4aとネットワーク9を介して通信可能である。ポンプ制御装置4aは、ネットワーク9を介して外気センサ3が取得した外気情報を取得する。ポンプ制御装置4は、ネットワーク9を介して電磁比例弁2の動作を制御する。ポンプ制御装置4aが施工時間推定部407を備える場合、ポンプ制御装置4aは、ネットワーク9を介して取得した外気情報と電磁比例弁2の制御の履歴とに基づいて施工時間を推定可能である。ポンプ制御装置4aによる施工時間の推定結果は、入力部43及び出力部44が備えるインタフェースを介してパソコン902に出力される。
【0051】
なお、外気センサ3は、必ずしも建設機械901aだけが備える必要はない。外気センサ3は、ネットワーク9を介してポンプ制御装置4aと通信可能であればどこに位置していてもよい。ポンプ制御装置4aは、異なる位置に位置する複数台の外気センサ3から外気情報を取得してもよい。ポンプ制御装置4aは、学習部406又は施工時間推定部407を備えてもよい。
ここまでで図6の説明を終了する。
【0052】
(第4の変形例)
建設機械901及び建設機械901aは、空調装置を備えてもよい。以下、建設機械901が空調装置を備える場合を例に説明する。このような場合、制御部40は外気情報だけでなく、外気情報と建設機械901が備える空調装置の動作に情報とに基づいて斜板12の傾き角度を制御してもよい。以下、建設機械が備える空調装置の動作に関する情報を空調情報という。空調情報は、例えば、空調装置が動作を開始したか否かを示してもよい。空調情報は、例えば、空調装置の動作がエコモードであることを示してもよい。エコモードとは、所定の電力よりも少ない電力で動作することを意味する。空調情報は、例えば、建設機械901aの動作がエコモードの動作であることを示してもよい。建設機械901aの動作がエコモードの動作であるとは、具体的には、油圧ポンプの吸収馬力を抑えて、比較的小さな負荷の作業を行う動作であることを意味する。以下、外気情報及び空調情報に基づいて斜板12の傾き角度を制御する制御部40を制御部40cという。以下、空調装置を備える建設機械901を建設機械901bという。
【0053】
図7は、第4の変形例におけるポンプシステム100aの機能構成の一例を示す図である。ポンプシステム100aは、建設機械901bを備える。建設機械901bは、ポンプ制御装置4に代えてポンプ制御装置4bを備える点と空調装置903を備える点とで建設機械901と異なる。空調装置903は通信部42によってポンプ制御装置4bと通信可能である。
【0054】
ポンプ制御装置4bは、制御部40に代えて制御部40cを備える点でポンプ制御装置4と異なる。ポンプ制御装置4bが備える記憶部41は、外気情報と斜板12の傾き角度との関係を示す第1関係情報に代えて、第2関係情報を記憶する。第2関係情報は、外気情報及び空調情報と斜板12の傾き角度との関係を示す情報である。
【0055】
図8は、第4の変形例における制御部40cの機能構成の一例を示す図である。
制御部40cは、空調情報取得部408を備える点と傾き角度決定部402に代えて傾き角度決定部402aを備える点とで、制御部40と異なる。
【0056】
空調情報取得部408は、空調情報を取得する。408は、通信部42を介して空調装置903と通信することで空調情報取得部調情報を取得する。傾き角度決定部402aは、記憶部41に記憶されている第2関係情報と、取得した空調情報と、取得した外気情報とに基づいて、斜板12の傾き角度を決定する。
ここまでで図8の説明を終了する。
【0057】
このように構成された第4の変形例の制御部40cは、外気情報と空調情報とに基づいて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御する。そのため、ポンプ制御装置4は空調装置の動作による負荷にも基づいて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御でき、上記の実施形態が奏する効果よりもさらに効率よく建設機械901による作業の効率の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、第4の変形例における空調装置は、建設機械が備える装置の一例である。ポンプ制御装置4は、必ずしも空調装置の動作による負荷に基づいて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御する必要は無い。ポンプ制御装置4は、空調装置以外の建設機械が備える装置による負荷に基づいて油圧ポンプ1の吸収馬力を制御してもよい。
【0059】
(第5の変形例)
図9は、第5の変形例における制御部40dの機能構成の一例を示す図である。制御部40dは、学習部406aを備える点で制御部40cと異なる。学習部406aは、外気情報の履歴と、空調情報の履歴と、斜板12の傾き角度の履歴とに基づいて第2関係情報を学習する。記憶部41に記憶されている第2関係情報は、学習部406aが学習した第2関係情報によって更新される。以下、学習部406aを備える制御部40cを制御部40dという。
ここまでで図9の説明を終了する。
【0060】
空調装置903の動作によって油圧ポンプ1の動作は影響される。制御部40c又は制御部40dを有するポンプシステム100aは、外気情報だけでなく空調装置903の動作に関する情報である空調情報にも基づいて、斜板12の傾き角度を制御する。そのため、建設機械が空調装置を有する場合、このように構成された第4及び第5の変形例のポンプシステム100aは、ポンプシステム100よりも建設機械の作業の効率の低下を抑制することができる。
【0061】
例えば、外気情報は、上記に限られるものではなく、湿度を含んでもよい。
【0062】
外気情報取得部401は、外気情報を、例えばGPS(Global Positioning System)によって取得された位置情報に基づいて取得してもよい。位置情報は、建設機械901、901a及び901b等の油圧ポンプ1によって動作する機械の位置を示す。例えば外気情報が標高である場合に、外気情報取得部401は、建設機械901、901a及び901bの位置する標高を、標高と位置情報が示す位置との関係を示す予め記憶された情報とGPSによって取得された位置情報とに基づいて取得してもよい。このような場合、建設機械901、901a及び901bはGPSによって取得された位置情報を、例えば、通信部42を介して取得する。標高と位置情報が示す位置との関係を示す情報は、例えば、予め記憶部41に記憶される。
【0063】
制御部40c及び制御部40dは、施工時間推定部407を備えてもよい。
なお、油圧ポンプ1は、動力を発生する可変容量ポンプであればどのような油圧ポンプであってもよい。油圧ポンプ1は、斜板を備える可変容量ポンプであって斜板の角度に応じて吐出容量を変える可変容量ポンプであってもよい。例えば、油圧ポンプ1は、斜板式ピストンポンプであってもよい。なお、第1関係情報は関係情報の一例である。なお、ポンプ制御装置4、ポンプ制御装置4a及びポンプ制御装置4bは可変容量ポンプ制御装置の一例である。
【0064】
なお、ポンプ制御装置4、ポンプ制御装置4a及びポンプ制御装置4bの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100、100a…ポンプシステム、 1…油圧ポンプ、 2…電磁比例弁、 3…外気センサ、 4、4a、4b…ポンプ制御装置、 11…ポンプ本体、 12…斜板、 13…傾転アクチュエータ、 40、40a、40b、40c、40d…制御部、 41…記憶部、 42…通信部、 43…入力部、 44…出力部、401…外気情報取得部、 402、402a…傾き角度決定部、 403…弁制御部、 404…記録部、 405…建設機械制御部、 406、406a…学習部、 407…施工時間推定部、 408…空調情報取得部、 9…ネットワーク、 901、901a、901b…建設機械、 902…パソコン、 903…空調装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9