(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ドレン詰まり通報装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20231228BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20231228BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E04D13/04 Z
G08B21/00 A
G01F23/24 Z
(21)【出願番号】P 2019223980
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 拓人
(72)【発明者】
【氏名】安部 和広
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第94/029822(WO,A1)
【文献】特開平07-019933(JP,A)
【文献】特開昭55-101817(JP,A)
【文献】特開2014-218813(JP,A)
【文献】特開2018-154994(JP,A)
【文献】特開2015-045157(JP,A)
【文献】実開平04-036425(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第1203851(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04-13/08
G01F 23/24
G08B 21/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、それを通報するドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、ドレン、水検知器および送信機を含み、
ドレンは、ドレン本体、防水層押えおよびストレーナを含むか、またはドレン本体およびドレンキャップを含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器は防水層押えまたはドレンキャップの下面から第一の距離だけ上に離れた位置に取り付けられ、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器は、断熱材でできた箱、内面もしくは外面が断熱材で被覆された箱または二重壁構造の箱に格納され、前記箱は下面に通水孔を有し、上面または側面に通気孔を有し、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離を超えたときに、送信機が信号を発信する、ドレン詰まり通報装置。
【請求項2】
水検知器がストレーナまたはドレンキャップに取り付けられている、請求項1に記載のドレン詰まり通報装置。
【請求項3】
雨水防止カバーが、断熱材でできているか、または内面もしくは外面が断熱材で被覆されているか、または二重壁構造を有する、請求項
1または2に記載のドレン詰まり通報装置。
【請求項4】
第一の電極と第二の電極が直接接触しないように配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のドレン詰まり通報装置。
【請求項5】
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離を超えたときに、水検知器が水に浸り、水が電界液として振る舞い、第一の電極と第二の電極は電池として機能し、その電池を電源として送信機を駆動し、信号を発信する、請求項1~
4のいずれか1項に記載のドレン詰まり通報装置。
【請求項6】
前記信号を受信機で受信し、ドレンが詰まって屋上に水が溜まっていることを受信機に表示させる、請求項1~
5のいずれか1項に記載のドレン詰まり通報装置。
【請求項7】
屋上に設けられたドレンの上または近傍に設置されるドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、水検知器、送信機および架台を含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器は、断熱材でできた箱、内面もしくは外面が断熱材で被覆された箱または二重壁構造の箱に格納され、前記箱は下面に通水孔を有し、上面または側面に通気孔を有し、
水検知器は第一の高さに取り付けられ、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の高さを超えたときに、送信機が信号を発信する、ドレン詰まり通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン詰まり通報装置に関する。より詳しくは、本発明は、屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、それを通報するドレン詰まり通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上にはアスファルト防水、シート防水、塗膜防水等の工法を用いて防水層を設けることが一般的に行われている。その防水層に漏水が生じ、その発見が遅れると、建築物に甚大な被害を及ぼすことがある。そこで、防水層の漏水を検知する方法が種々考案されている。
【0003】
たとえば、特開2004-233142号公報(特許文献1)は、防水層と躯体の間に敷設した導電層と、導電層に電気的に接続した第1の電極と、躯体に埋め込まれた鉄筋に電気的に接続された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気伝導度を測定する電流測定装置と、前記電流測定装置の測定データに基づいて漏水を判定する判定手段とを有する、建築構造物の躯体上に表装された防水層の漏水を検知する漏水検知システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、漏水を検知した時点では、すでに漏水による被害が発生していることがある。本発明は、建築物の屋上に設けた防水層の漏水を事前に防止する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、建築物の屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、防水層の漏水が発生しやすいことに着目し、ドレンの詰まりを早期に発見し、ドレンの詰まりを解消することにより、屋上に設けた防水層の漏水を事前に防止するのに役立つことを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
本発明(I)は、屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、それを通報するドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、ドレン、水検知器および送信機を含み、
ドレンは、ドレン本体、防水層押えおよびストレーナを含むか、またはドレン本体およびドレンキャップを含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器は防水層押えまたはドレンキャップの下面から第一の距離だけ上に離れた位置に取り付けられ、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離を超えたときに、送信機が信号を発信することを特徴とする。
【0008】
本発明(II)は、屋上に設けられたドレンの上または近傍に設置されるドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、水検知器、送信機および架台を含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器は第一の高さに取り付けられ、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の高さを超えたときに、送信機が信号を発信することを特徴とする。
【0009】
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、それを通報するドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、ドレン、水検知器および送信機を含み、
ドレンは、ドレン本体、防水層押えおよびストレーナを含むか、またはドレン本体およびドレンキャップを含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器は防水層押えまたはドレンキャップの下面から第一の距離だけ上に離れた位置に取り付けられ、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離を超えたときに、送信機が信号を発信する、ドレン詰まり通報装置。
[2]水検知器がストレーナまたはドレンキャップに取り付けられている、[1]に記載のドレン詰まり通報装置。
[3]水検知器が断熱材でできた箱、内面もしくは外面が断熱材で被覆された箱または二重壁構造の箱に格納され、前記箱は下面に通水孔を有し、上面または側面に通気孔を有する、[1]に記載のドレン詰まり通報装置。
[4]雨水防止カバーが、断熱材でできているか、または内面もしくは外面が断熱材で被覆されているか、または二重壁構造を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のドレン詰まり通報装置。
[5]第一の電極と第二の電極が直接接触しないように配置されている、[1]~[4]のいずれかに記載のドレン詰まり通報装置。
[6]ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離を超えたときに、水検知器が水に浸り、水が電界液として振る舞い、第一の電極と第二の電極は電池として機能し、その電池を電源として送信機を駆動し、信号を発信する、[1]~[5]のいずれかに記載のドレン詰まり通報装置。
[7]前記信号を受信機で受信し、ドレンが詰まって屋上に水が溜まっていることを受信機に表示させる、[1]~[6]のいずれかに記載のドレン詰まり通報装置。
[8]屋上に設けられたドレンの上または近傍に設置されるドレン詰まり通報装置であって、
ドレン詰まり通報装置は、水検知器、送信機および架台を含み、
水検知器は第一の電極と第二の電極を含み、
第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、
水検知器と送信機は電気的に接続され、
水検知器は、雨水がかからないように雨水防止カバーで保護され、
水検知器は第一の高さに取り付けられ、
ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の高さを超えたときに、送信機が信号を発信する、ドレン詰まり通報装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドレン詰まり通報装置は、屋上に設けられたドレンが詰まって屋上に水が溜まったときに、それを通報してくれるので、屋上に設けた防水層の漏水を事前に防止するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明のドレン詰まり通報装置の断面図である。
【
図2】
図2は、水検知器および送信機の平面図である。
【
図3】
図3は、断熱箱の1つの例の模式断面図である。
【
図4】
図4は、断熱箱の別の例の模式断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態のドレン詰まり通報装置の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明のさらに別の実施形態のドレン詰まり通報装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明するが、本発明は図面に示されたものに限定されない。
【0013】
図1は、本発明のドレン詰まり通報装置の断面図である。ドレン詰まり通報装置1は、ドレン2、水検知器3および送信機4を含み、ドレン2はドレン本体21、スペーサー22、防水層押え23およびストレーナ24を含み、水検知器3は防水層押え23の下面から第一の距離Hだけ上に離れた位置に取り付けられ、水検知器3と送信機4は電気的に接続され、ドレン2が詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離Hを超えたときに、送信機4が信号を発信する。
【0014】
図1の実施形態では、ドレン2はドレン本体21、スペーサー22、防水層押え23およびストレーナ24を含むが、スペーサー22は必ずしも必須ではない。また、ドレンは、改修工事用の二重ドレンであってもよい。すなわち、ドレンは、防水層押えおよびストレーナを含まない、ドレン本体とドレンキャップからなるものであってもよい。
【0015】
図1の実施形態では、水検知器3と送信機4は1本の接続コード37により電気的に接続されているが、水検知器3と送信機4はコネクターを介して電気的に接続されていてもよい。たとえば、
図2に示すように、水検知器3と送信機4は、第一のコード33、第一のコネクター32、第二のコネクター42および第二のコード43を介して電気的に接続されていてもよい。水検知器3と送信機4を、第一のコネクター32と第二のコネクター42を介して電気的に接続することにより、保守点検の際に、第一のコネクター32と第二のコネクター42を外すことにより、送信機4を取り外すことができるので、送信機4の保守点検を容易にすることができる。
【0016】
図2は、水検知器3および送信機4の平面図である。
水検知器3は、第一の電極34と第二の電極35を含む。第一の電極34と第二の電極35は異種の金属または合金からなる。異種の金属または合金の組み合わせは、両者のイオン化傾向が相違する限りにおいて、特に限定されない。たとえば、銀とアルミニウムの組み合わせ、ステンレス鋼と亜鉛の組み合わせ、銅と亜鉛の組合せなどが挙げられる。電極は、単一の金属または合金で形成されている必要はなく、基材に金属または合金をめっきしたものであってもよいし、金属または合金を含む導電インクで基材を被覆したものであってもよい。
【0017】
第一の電極34と第二の電極35は異種の金属または合金からなるので、第一の電極34と第二の電極35はイオン化傾向が相違する。したがって、ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の距離Hを超えたときに、水検知器3が水に浸り、水が電界液として振る舞い、第一の電極34と第二の電極35と間に電位差が生じ、第一の電極34と第二の電極35は電池として機能し、その電池を電源として送信機4を駆動し、信号を発信する。信号は、受信機で受信し、ドレンが詰まって屋上に水が溜まっていることを受信機に表示させる。受信機は、たとえば、スマートフォンまたはコンピュータである。
【0018】
異種の金属または合金からなる第一の電極34と第二の電極35を用いることで、自ら発電するので、別途、電源を必要としない。したがって、装置を小型化することができ、設置が容易であり、電源交換などのメンテナンスが不要である。
【0019】
水検知器3は、好ましくは、第一の電極34と第二の電極35とそれらを収納する透水性かつ電気絶縁性の包覆体36からなる。透水性かつ電気絶縁性の包覆体36の材料は、限定されないが、たとえば、合成繊維の網状物などを挙げることができる。水検知器3は、また、電気絶縁性の繊維からなる編物または織物の中に第一の電極と第二の電極を編み込んだまたは織り込んだものであってもよい。
【0020】
第一の電極34と第二の電極35は直接接触しないように配置されている。
図2の実施形態では、1本の第一の電極34と1本の第二の電極35が平行に配置されているが、このような配置に限定されない。たとえば、複数本の第一の電極と複数本の第二の電極を配置してもよいし、櫛形の第一の電極と櫛形の第二の電極を配置してもよい。また、板状の第一の電極と板状の第二の電極を透水性かつ電気絶縁性の部材を挟んで重ね合わせたものでもよい。
【0021】
水検知器3と送信機4の間に、蓄電昇圧電源回路(図示せず)を設けてもよい。
蓄電昇圧電源回路は、水検知器3に生じた電気をコンデンサに蓄電するとともに、蓄えた電気を送信機へ放電する回路である。すなわち、水検知器3に水が浸入し、第一の電極34と第二の電極35と間に水が介在する状態になると、水が電界液として振る舞い、電池を構成する。その電池からの電気を蓄電昇圧電源回路のコンデンサに蓄電する。送信機が駆動するために必要な蓄電量が確保されると、蓄電昇圧電源回路はコンデンサに蓄えられた電気を送信機へ供給し、送信機が駆動し、信号を発信する。
【0022】
水検知器3は、雨水がかからないように雨水防止カバー5で保護されている。雨水防止カバー5は、水検知器3とともに、送信機4を、雨水がかからないように保護してもよい。雨水防止カバー5の形状、材質は特に限定されない。たとえば、雨水防止カバーは、金属板または樹脂板で形成することができる。また、雨水防止カバーは、断熱性を付与するために、断熱材で形成してもよいし、内面もしくは外面を断熱材で被覆してもよいし、二重壁構造にしてもよい。
図1の実施形態では、雨水防止カバー5はストレーナ24の大部分を外側から覆っているが、逆に、水検知器3を覆う雨水防止カバーを、水検知器3とともに、ストレーナ24の内部に配置してもよい。
【0023】
水検知器3は、好ましくは、ストレーナ24に取り付けられる。
図1の実施形態では、水検知器3はストレーナ24の内面に直接取り付けられているが、水検知器3はストレーナ24の外面に取り付けてもよい。また、水検知器3はストレーナ以外の部材に取り付けてもよい。
【0024】
水検知器3は、好ましくは、断熱材でできた箱、内面もしくは外面が断熱材で被覆された箱または二重壁構造の箱(以下、単に「断熱箱」ともいう。)に格納される。水検知器3を断熱箱に格納することにより、結露を防止し、結露によって水検知器3が誤作動するのを防止することができる。断熱材を構成する材料は、限定されないが、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリオレフィンなどを用いることができる。
【0025】
図3は、断熱箱の1つの例の模式断面図である。断熱箱6は下面に通水孔61を有し、上面に通気孔62を有する。通気孔62は断熱箱6の側面に設けてもよい。通水孔61および通気孔62を設けることにより、ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が上がったときに、断熱箱6の中に水が入ってくることができる。
図3の実施形態では、断熱箱6の中に送信機4が格納されているが、送信機4は断熱箱6の外に配置してもよい。また、水検知器3および送信機4を格納した断熱箱6の全体を、ストレーナ24の外に配置してもよい。
【0026】
図4は、断熱箱の別の例の模式断面図である。断熱箱6は上面が開放されており、断熱箱6の上に雨水防止カバー5が蓋として配置されている。断熱箱6と雨水防止カバー5の間には通気性を確保するための隙間を設けてあり、その隙間が通気孔62として機能する。雨水防止カバー5を断熱箱6の蓋として用いる場合は、雨水防止カバーは断熱材でできているか、または内面もしくは外面が断熱材で被覆されているか、または二重壁構造を有することが好ましい。たとえば、雨水防止カバーとして、金属板または樹脂板の内面を発泡ポリウレタンなどの断熱材で被覆したものを例示することができる。
図4の実施形態では、断熱箱6の中に送信機4が格納されているが、送信機4は断熱箱6の外に配置してもよい。また、断熱箱6、水検知器3および送信機4のすべてをストレーナ24の外に配置してもよい。
【0027】
図5は、本発明の別の実施形態のドレン詰まり通報装置の断面図である。
図1のドレンがたて引き用ドレンであるのに対し、
図5のドレンがよこ引き用ドレンである点で相違する。ドレン2は屋根下地52の上に設置されている。ドレン本体21の一部が防水層53で覆われ、防水層53の端部が防水層押え23で押えられている。ストレーナ24の上に雨水防止カバー5が設けられている。水検知器3はストレーナ24の内側に取り付けられ、送信機4は雨水防止カバー5の中に格納されている。水検知器3は防水層押え23の下面から第一の距離Hだけ上に離れた位置に取り付けられている。
【0028】
図6は、本発明(II)のドレン詰まり通報装置の模式断面図である。ドレン詰まり通報装置1は、水検知器3、送信機4および架台7を含み、水検知器3は第一の電極と第二の電極を含み、第一の電極と第二の電極は異種の金属または合金からなり、水検知器3と送信機4は電気的に接続され、水検知器3は、雨水がかからないように雨水防止カバー5で保護され、水検知器3は第一の高さhに取り付けられ、ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の高さhを超えたときに、送信機4が信号を発信する。
【0029】
ドレン詰まり通報装置1は、屋上に設けられたドレン2の上または近傍に設置されるものである。ここで、近傍とは、好ましくはドレン2から1m以内の範囲をいい、より好ましくは50cm以内の範囲をいい、さらに好ましくは30cm以内の範囲をいう。
【0030】
水検知器3および送信機4は架台7に取り付けられている。架台7としては、たとえば3本、4本または5本の脚と、その足の上に配置された水平な面を有するものを例示することができる。水平な面の上に水検知器3および送信機4が載置される。ただし、架台7の形状は前記のものに限定されない。水検知器3は、雨水防止カバー5で覆われている。水検知器3は、好ましくは、断熱箱6に格納される。断熱箱6は下面に通水孔61を有する。断熱箱6と雨水防止カバー5の間には通気性を確保するための隙間すなわち通気孔62が設けてある。
【0031】
図6の実施形態では、水検知器3と送信機4は1本の接続コード37により電気的に接続されているが、水検知器3と送信機4は、
図2に示すように、第一のコード33、第一のコネクター32、第二のコネクター42および第二のコード43を介して電気的に接続されていてもよい。
【0032】
水検知器3は、
図2に示すように、第一の電極34と第二の電極35を含む。第一の電極34と第二の電極35は異種の金属または合金からなる。水検知器3は第一の高さhの位置に取り付けられている。ここで、第一の高さとは、架台7の最下部(足元)から水検知器3の最下部までの距離をいう。ドレンが詰まって屋上に水が溜まり、水位が第一の高さhを超えると、水検知器3に水が浸入し、第一の電極34と第二の電極35は電池として機能し、その電池を電源として送信機4が駆動し、信号を発信し、屋上に水が溜まったことを通報する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のドレン詰まり通報装置は、建築物の屋上のドレン詰まりを検知するのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ドレン詰まり通報装置
2 ドレン
3 水検知器
4 送信機
5 雨水防止カバー
6 断熱箱
7 架台
21 ドレン本体
22 スペーサー
23 防水層押え
24 ストレーナ
32 第一のコネクター
33 第一のコード
34 第一の電極
35 第二の電極
36 包覆体
37 接続コード
42 第二のコネクター
43 第二のコード
52 屋根下地
53 防水層
61 通水孔
62 通気孔