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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ヒータユニット及びその応用品
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/03 20060101AFI20231228BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20231228BHJP
   H05B 3/28 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H05B3/03
H05B3/14 A
H05B3/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020090222
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021153036
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020049578
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】小久保 和弥
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩徳
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】実公昭56-055909(JP,Y2)
【文献】特開2019-110133(JP,A)
【文献】特開平07-176369(JP,A)
【文献】米国特許第06147330(US,A)
【文献】特開2010-003606(JP,A)
【文献】国際公開第2019/098261(WO,A1)
【文献】特開2017-185896(JP,A)
【文献】特開2019-104378(JP,A)
【文献】特開昭48-077429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00- 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるPTC発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、からなるヒータユニットにおいて、
上記第一電極端子と上記PTC発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続しており、上記第二電極端子と上記PTC発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続しており、
上記基材には、略平面部が形成されているとともに、該略平面部には凹部が形成されており、
上記PTC発熱素子が、上記凹部内に配置されており、
上記第一電極端子または上記第二電極端子の内の何れかが上記凹部の面積より大きく、
上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方により、上記基材における略平面部の面の全域が実質的に覆われていることを特徴とするヒータユニット。
【請求項2】
上記第二電極端子が、上記基材の凹部内に配置されており、
上記第一電極端子及び上記第二電極端子によって上記PTC発熱素子が挟持されており、
上記第一電極端子により、上記基材における略平面部が実質的に覆われていることを特徴とする請求項記載のヒータユニット。
【請求項3】
上記ヒータユニットにおけるPTC発熱素子が配置された側の面において、最表面に迷光防止材が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のヒータユニット。
【請求項4】
上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方が、上記PTC発熱素子を押止する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1~何れか記載のヒータユニット。
【請求項5】
請求項1~何れか記載のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えた車両用ウインドシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両におけるカメラユニット、ウインドシールド、レーダユニット等に付着した結露、氷、霜、水滴を除去するとともに、曇り、結露、氷、霜の付着を防止するためのヒータユニット、及び、このヒータユニットが備えられたウインドシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドの車室側に取付けられて、車両前方の他車両や障害物の有無の検知に用いられる。車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドに固定されるブラケットと、ブラケットに支持されるカメラユニットまたはレーダユニットと、太陽光などの外光がカメラユニットに入射することを抑制する遮光フードを備える。ここで、車室内の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合には、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールドに付着するため、車両用ウインドシールド装置は、遮光フードを加熱するためのヒータユニットを遮光フードの裏側に備えている。このヒータユニットから発せられる熱によって、遮光フードと対向するウインドシールドに付着した曇り、結露、霜、氷などは溶融、蒸発して除去される。これにより、カメラユニットによる撮影は鮮明なものとなる。また、レーダユニットからのレーダが減衰することなく、正確な検知が可能となる(特許文献1など参照)。
【0003】
ヒータユニットとしては、例えば、加熱される面状の対象領域を均一に昇温するため、対象領域の周縁に位置する第1の線状発熱体と、対象領域の内部に位置する第2の線状発熱体とを別々に備えたものが知られている(特許文献2など参照)。また、線状発熱体としても種々のものが知られている(特許文献3など参照)。ヒータユニットとしても、種々の態様のものが知られている(特許文献4,5など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-185893公報
【文献】実用新案登録第1801190号
【文献】特許第6320935号
【文献】特開2019-93794公報
【文献】特開2019-104378公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヒータユニットは、温度の過昇防止のためにヒューズが使用され、ショートや制御系の故障によって設計で意図しない高温の発熱が生じた場合は、このヒューズで通電が遮断され、ヒータユニットへの通電が停止されるようになっていた。しかし、ヒューズを設置する場合、部品点数が増加してしまうとともに、ヒータユニットの厚さも厚くなり、また、ヒータユニットにヒューズ形状の凹凸が生じてしまうという問題があった。また、ヒューズを使用せずに温度の過昇防止をする手段としては、ヒータ素子として正特性サーミスタ素子(PTC素子)を使用することが考えられる。PTC素子としては、セラミック系のものと有機系のものがあるが、現在、車両用ウインドシールド装置に対しては、主に有機系のPTC素子が多く検討されている。これには、被加熱対象の範囲が広く、ヒータ素子の設置スペースに余裕がないことから、フィルムのような薄い平面形状に加工しやすい有機系のPTC素子が好まれているという背景がある。しかしながら、有機系のPTC素子は、その構造上、高温環境下での劣化や経時的な劣化の課題が付きまとっており、特に自動車のような長期間の耐久性と過酷な温度環境への耐性が要求される分野では限定的な使用にとどまっている。一方、セラミック系のPTC素子は、硬く、ある程度の厚さを有するものであり、薄い平面形状への加工が困難であることから、広範囲を均等に加熱する用途に向いていないという課題もあった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされたヒータユニットと、それを備えた車両用ウインドシールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明によるヒータユニットは、基材と、一対の電極が形成されたセラミック系の正特性サーミスタ素子からなるPTC発熱素子と、第一電極端子と、第二電極端子と、からなるヒータユニットにおいて、上記第一電極端子と上記PTC発熱素子の一方の電極層とが電気的に接続しており、上記第二電極端子と上記PTC発熱素子のもう一方の電極層とが電気的に接続しており、上記基材には、略平面部が形成されているとともに、該略平面部には凹部が形成されており、上記PTC発熱素子が、上記凹部内に配置されており、上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方が、上記基材の略平面部における有効加熱部に配置されているものである。
また、上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方により、上記基材における略平面部の面の全域が実質的に覆われていることが考えられる。
また、上記第二電極端子が、上記基材の凹部内に配置されており、上記第一電極端子及び上記第二電極端子によって上記PTC発熱素子が挟持されており、上記第一電極端子により、上記基材における略平面部が実質的に覆われていることが考えられる。
また、上記ヒータユニットにおけるPTC発熱素子が配置された側の面において、最表面に迷光防止材が形成されていることが考えられる。
また、上記第一電極端子と上記第二電極端子の内の一方又は両方が、上記PTC発熱素子を押止する方向に付勢されていることが考えられる。
本発明による車両用レーダ装置は、上記のヒータユニットと、車両のウインドシールドに取付けられるブラケットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒータ素子としてPTC素子を使用することで、温度の過昇防止を図ることが可能である。また、基材の凹部中にヒータ素子が配置され、また、第一電極端子と第二電極端子の内の一方又は両方により基材表面の全域が実質的に覆われることになるため、ヒータユニットとして平面化をすることができる。更にこの構成により、ヒータ素子からの熱が第一電極端子と第二電極端子の内の一方又は両方により伝熱し、ヒータユニットにおける第一電極端子及び/又は第二電極端子が配置される部分の全域が均一に発熱するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1によるヒータユニットの構成を示す平面図である。
図2】本発明の実施の形態1によるヒータユニットの構成を示す断面図で、図1におけるII-II´断面図である。
図3】本発明の実施の形態1によるヒータユニットの第一電極端子及び第二電極端子の構成を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1によるヒータユニットの基材の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1によるヒータユニットのPTC発熱素子の構成を示す平面図である。
図6】本発明の実施の形態2によるヒータユニットの構成を示す平面図である。
図7】本発明の実施の形態2によるヒータユニットの構成を示す断面図で、図6におけるVII-VII´断面図である。
図8】本発明の実施の形態2によるヒータユニットの第一電極端子及び第二電極端子の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態2によるヒータユニットの基材の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態2によるヒータユニットのPTC発熱素子の構成を示す平面図である。
図11】本発明によるヒータユニットを使用した車両用ウインドシールド装置の概要を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
まず、図1図5を参照して実施の形態1を説明する。本実施の形態は、本発明によるヒータユニットを車両用ウインドシールド装置に適用することを想定した例を示すものである。
【0011】
図4に示すように、基材15は、ABS樹脂からなり、全体形状として略平板形状となっている。基材15における一方の主面においては、略全面におおよそ台形形状の略平面部15aが形成されている。この略平面部15aにおける長い側の底辺を除く周囲には、後述する第一電極端子13aを保持するための係止部15cが形成されており、第一電極端子11をスライドして装着できるようになっている。また、台形の長い側の底辺に沿って、凹部15bが形成されており、この凹部15bの形状は、縦14.0mm、横50.0mm、深さ1.5mmの2つの直方体が連結した形状となっている。また、この凹部15bと連続して、後述する第二電極端子13bをリード線まで引き出すための引出溝15dが形成されている。
【0012】
PTC発熱素子11は、縦14.0mm、横50.0mm、厚さ1.2mmの略角板状に形成されたチタン酸バリウム系セラミックの正特性サーミスタ素子(PTC素子)からなり、図5に示すように、一つの主面に銀ペーストからなる電極層が形成され、もう一方の主面にも銀ペーストからなる電極層が形成され、それぞれ電極層11a、電極層11bとされている(なお、図5において、電極層11bは裏面に位置するため表れない)。この電極層11a,電極層11bの内の一方が+極、もう一方が-極とされる。尚、PTC発熱素子11の材料については、必要とされる発熱特性(例えば、キュリー温度等)に応じて適宜設定すればよい。なお、本実施の形態では、2つのPTC発熱素子11が使用される。
【0013】
本実施例においては、厚さ0.3mmのバネ弾性に優れたりん青銅板からなる第一電極端子13a及び第二電極端子13bが使用される。第一電極端子13a及び第二電極端子13bを図3に示す。第一電極端子13aは、基材15における略平面部15aと略同形状となっており、上底30mm、下底180mm、高さ70mmの略台形形状となっており、そこにリード線引出部が連設された形状となっている。また、第二電極端子13bは、基材15の凹部15b及び引出溝15dと略同形状となっており、縦14.0mm、横50.0mmの2つの長方形が連結した形状となっており、そこにリード線引出部が連設された形状となっている。また、第二電極端子13bの一部には、幅が狭くなっている部分がある。何らかの原因で何れかの箇所でショートが起こってしまった場合、この幅の狭い部分が電流ヒューズとなり断線するので、他の機器や素子を過電流から保護することができる。
【0014】
これらの構成材料の組み立てについて以下に説明する。図1はヒータユニット10の全体構成、図2は、図1におけるII-II´断面を示す図となる。まず、基材15の凹部15b及び引出溝15dの底部に第二電極端子13bを配置する。この際、PTC発熱素子1を押止する方向に付勢するため、中央部が凸となるように、第二電極端子15bを湾曲させておく。次いで、基材15の凹部15b内に、電極層11bが凹部15bの底部に向き、電極層11aが凹部15bの開口部に向くよう、PTC発熱素子11を配置する。併せて、引出溝15d内に厚さ1.2mmのABS樹脂からなる絶縁スペーサ17を配置する。そして、おおよそ台形形状をした略平面部15aの長い側の底辺より、第一電極端子13aをスライドして挿入し、係止部15cに嵌合させる。これにより、PTC発熱素子11は、第一電極13aと第二電極13bに挟持されるともに、第一電極端子13aとPTC発熱素子11の一方の電極層11aとが電気的に接続し、第二電極端子13bとPTC発熱素子11のもう一方の電極層11bとが電気的に接続することとなる。また、第一電極端子13aによって、PTC発熱素子11及び第二電極端子13bは、凹部15bの底部側に押さえつけられることになるため、湾曲させておいた第二電極端子13bの復元力によって、PTC発熱素子11は、押止されることになる。このようにして、実施の形態1によるヒータユニット10は構成される。
【0015】
(実施の形態2)
次いで、図6図10を参照して実施の形態2を説明する。本実施の形態は、車両用ウインドシールド装置に本発明によるヒータユニットを取り付けたことを想定した例を示すものである。
【0016】
図9に示すように、基材25は、ABS樹脂からなり、全体形状として略平板形状となっている。基材25における一方の主面においては、略全面におおよそ台形形状の略平面部25aが形成されている。また、台形の長い側の底辺に沿って、凹部25bが形成されており、この凹部25bの形状は、縦14.0mm、横50.0mm、深さ1.8mmの2つの直方体が2つある形状となっている。
【0017】
PTC発熱素子21は、縦14.0mm、横50.0mm、厚さ1.2mmの略角板状に形成されたチタン酸バリウム系セラミックの正特性サーミスタ素子(PTC素子)からなり、図3に示すように、一つの主面には銀ペーストからなる2つの電極が入れ違いの櫛歯状に形成され、それぞれ電極層21a、電極層21bとされている。この電極層21a,電極層21bの内の一方が+極、もう一方が-極とされる。尚、PTC発熱素子21の材料については、必要とされる発熱特性(例えば、キュリー温度等)に応じて適宜設定すればよい。なお、本実施の形態では、2つのPTC発熱素子21が使用される。
【0018】
本実施例においては、厚さ0.3mmのバネ弾性に優れたりん青銅板からなる第一電極端子23a及び第二電極端子23bが使用される。第一電極端子23a及び第二電極端子23bを図8に示す。第一電極端子23aと第二電極端子23bを合わせた形状が、基材25における略平面部25aと略同形状となっている。第一電極端子23aは、上底30mm、下底139mm、高さ54mmの略台形形状となっており、そこにリード線引出部が連設された形状となっている。第一電極端子23aには、PTC発熱素子21が位置する2ヶ所が延長され、その箇所が裏側に折り込まれ、高さ0.6mmのL字に折られた部分が設けられる。この部分が、PTC発熱素子21の電極層21aと電気的に接続される部分となる。また、第二電極端子23bは、上底159mm、下底180mm、高さ8mmの略台形形状となっており、そこにリード線引出部が連設された形状となっている。第二電極端子23bには、PTC発熱素子21が位置する2ヶ所が延長され、その箇所が裏側に折り込まれ、高さ0.6mmのL字に折られた部分が設けられる。この部分が、PTC発熱素子21の電極層21bと電気的に接続される部分となる。また、第一電極端子23aの一部には、幅が狭くなっている部分がある。何らかの原因で何れかの箇所でショートが起こってしまった場合、この幅の狭い部分が電流ヒューズとなり断線するので、他の機器や素子を過電流から保護することができる。
【0019】
これらの構成材料の組み立てについて以下に説明する。図6はヒータユニット20の全体構成、図7は、図6におけるVII-VII´断面を示す図となる。まず、基材25の凹部25b内に、電極層11a及び電極層11bが凹部25bの開口部に向くよう、PTC発熱素子21を配置する。この際、電極層21aがおおよそ台形形状をした略平面部25aの短い側の底辺の側、電極層21bがおおよそ台形形状をした略平面部25aの長い側の底辺の側となるようにする。そして、第一電極端子23aを略平面部25aの短い側の底辺の側に配置し、第一電極端子23aを略平面部25aの長い側の底辺の側に配置する。第一電極端子23aと第二電極端子23bとの間隔は8mmとし、この間隔部分に厚さ0.9mmのABS樹脂からなる絶縁スペーサ27を配置する。これら第一電極端子23a、第二電極端子23b及びスペーサ27は、タッピングネジ(図示しない)によって基材25に固定される。これにより、PTC発熱素子21は、第一電極23aと第二電極23bに挟持されるともに、第一電極端子23aとPTC発熱素子21の一方の電極層21aとが電気的に接続し、第二電極端子23bとPTC発熱素子21のもう一方の電極層21bとが電気的に接続することとなる。
【0020】
上記のようにして得られた実施の形態1~2によるヒータユニット10,20について、第一電極端子13a,23a、第二電極端子13b,23の両端は引き出されてリード線(図示しない)に接続され、このリード線により、コネクタ(図示しない)が接続されることになる。
【0021】
このようなヒータユニット10,20は、車両用ウインドシールド装置内に取り付けることができる。図11を参照して車両用ウインドシールド装置の例を説明する。図11における右側が車両前方となり、ウインドシールド57に取付けられる車両用ウインドシールド装置は、ブラケット51、遮光フード53、センサユニット55を備える。ブラケット51は、椀状の形状を有する樹脂部材であり、遮光フード53及びセンサユニット55を収容する。ブラケット51の周縁部には接着剤が形成され、ウインドシールド57の車室側に取付けられる。なお、ウインドシールド57は、一般的に、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスと称されることがある。センサユニット55は、ブラケット内に形成された樹脂部材によって固定保持されることになる。なお、センサユニット55としては、カメラユニットやレーダユニット等が考えられる。この際、センサユニット55における受光部はウインドシールド57に向けられ、センサユニット55における受光部とウインドシールド57の間には他部材を介さないようにされる。車両用ウインドシールド装置においては、センサユニット55の受光部が受光する光の範囲を定めるものとして遮光フード53が使用されるが、本実施の形態1,2におけるヒータユニット10,20は、そのままこの遮光フード53として使用することができる。
【0022】
ヒータユニット10,20を遮光フード53として使用する場合、第一電極13a,23aにおけるPTC発熱素子11,21と接する面と反対の最表面に、迷光防止材が形成されていることが好ましい。これにより、受光範囲以外からの外光が入射されることを抑えられるようになる。迷光防止材は、反射防止材と称されることもあり、不織布や、ナシ地加工、シボ加工、つや消し加工、植毛加工といった加工が表面になされたシートが挙げられる。また、迷光防止材を形成する一対応として、つや消し塗料を塗布することも考えられる。
【0023】
車室の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールド57に付着することがある。この曇り、結露、霜、氷などによって光が散乱し、センサユニット55による鮮明な撮影が阻害されるおそれがある。これはカメラユニットの代わりにレーダユニットを使用したときも同様である。そのため、遮光フード53として本発明によるヒータユニット10,20が使用され、ヒータユニット10,20から発せられる熱によってウインドシールド57を加熱することで、曇り、結露、霜、氷が除去されることになる。また、ヒータユニット10,20からの熱によってブラケット51内の空気が加熱され、それによってブラケット51内の湿度が低下することにより、結露が除去されることになる。
【0024】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、PTC発熱素子11,21について、上記実施の形態のように2個ではなく、1個でも良いし、3個でも良いしそれ以上でも良い。また、基材15,25の形状も、平板形状に限られず、全く異なる形状でも良い。基材15,25に形成される凹部の位置、即ちPTC発熱素子11,21を配置する位置についても、所望とする発熱特性や使用環境に応じ、適宜設計することができる。
【0025】
基材15,25においては、第一電極端子13a,23aと第二電極端子13b,23bの内の一方又は両方が、略平面部15a,25aにおける有効加熱部に配置されていることになる。有効加熱部とは、発熱をさせるように設計する部分である。実施の形態1においては、第一電極端子13aが配置されている部分、実施の形態2においては、第一電極端子23aと第二電極端子23bが配置されている部分となる。PTC発熱素子11,21の固定と、PTC発熱素子11,21、第一電極端子13a,23a及び第二電極端子13b,23bの電気的接続を考慮すると、有効加熱部の面積は、凹部15b,25bの面積より大きいことが好ましい。
【0026】
特に、第一電極端子13a,23aと第二電極端子13b,23bの内の一方又は両方により、略平面部15a,25aの全域が実質的に覆われていることが好ましい。ここで、全域が実質的に覆われているとは、完全に全ての領域が覆われているまでは必要なく、略平面部15a,25aの主要部が覆われていれば足りる。例えば、略平面部15a,25aの面積の80%が覆われていれば、全域が実質的に覆われていると考えられる。
【0027】
また、略平面部15a,25aは完全な平面である必要はなく、若干の凹凸を有していたり、僅かな曲面となっていたりしても良い。例えば、略平面部15a,25aの面積の平方根をL、凹凸や曲部の法線方向の最大値をHとしたときH/L>0.1程度であれば略平面であると考えられる。
【0028】
また、ヒータユニット31には、PTC発熱素子11,21が発する熱が外部に放出されないよう、断熱材を取付けることも考えられる。また、外部からの衝撃から保護するために、緩衝材を取付けることも考えられる。断熱材も緩衝材も、種々の発泡樹脂や発泡ゴムから構成することが好ましいため、断熱材と緩衝材を兼ねた部材とすることもできる。また、断熱特性、耐熱性、衝撃吸収性、外観など、種々の特性が異なるような複数の断熱材や緩衝材を組合せて使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上詳述したように本発明によれば、温度の過昇防止機能を有し、温度の均一化がなされたヒータユニットを得ることができる。このようなヒータユニットは、例えば、家庭用暖房器具、自動車内装用暖房装置、産業用加熱装置、各種除雪解氷装置、防曇装置、加熱調理器具など、各種熱源として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10,20 ヒータユニット
11,21 PTC発熱素子
11a,11b,21a,21b 電極層
13a,23a 第一電極
13b,23b 第二電極
15,25 基材
15a,25a 略平面部
15b,25b 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11