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特許7411506加熱調理システム、加熱調理器、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】加熱調理システム、加熱調理器、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20231228BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20231228BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20231228BHJP
   F24C 7/04 20210101ALN20231228BHJP
【FI】
F24C3/12 E
H04W88/02 110
H04W48/16
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
F24C3/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020097219
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021188871
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】安瀬 海渡
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-71600(JP,A)
【文献】特開2019-215820(JP,A)
【文献】特開2019-36315(JP,A)
【文献】特開2016-144025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0063710(US,A1)
【文献】特開2019-97672(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155844(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
F24C 15/00
G06F 21/44
H05B 6/12
H04W 88/02
H04W 48/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器と外部端末との間で通信を行う加熱調理システムであって、
前記加熱調理器は、所定操作により無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号を発信する構成を有し、
前記外部端末は、加熱調理器と外部端末とのペアリングに用いるパスコードを加熱調理器から入手するための加熱調理器の操作方法について、あらかじめインストールされた加熱調理器との通信用の専用アプリケーションを起動した状態で、前記通知信号の受信により前記機器情報を取得し、該機器情報に基づいて前記通知信号を発信する加熱調理器の機種に応じた前記操作方法を表示させる構成を有する加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記専用アプリケーションは、加熱調理器の機種ごとの前記操作方法を記録した操作手順ファイルを保持しており、
前記外部端末は、前記専用アプリケーションにより、前記通知信号に含む機器情報に基づいて前記操作手順ファイルから前記操作方法を読み出して表示させる構成を有する加熱調理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記外部端末は、前記専用アプリケーションにより、加熱調理器の機種ごとの前記操作方法を記録した操作手順ファイルを保存するサーバに通信接続して、前記通知信号に含む機器情報に基づいて前記サーバが保存する前記操作手順ファイルから前記操作方法を読み出して表示させる構成を有する加熱調理システム。
【請求項4】
外部端末との間で通信可能な加熱調理器であって、
該加熱調理器と外部端末との間でペアリングを行う際、所定操作により無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号を発信する構成を備える加熱調理器。
【請求項5】
加熱調理器と外部端末との間で通信可能にするためのペアリングに使用するプログラムであって、
コンピュータに、
加熱調理器から無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号が発信されると、該通知信号を受信して前記機器情報を取得するステップ、
前記機器情報に基づいて前記通知信号を発信する加熱調理器の機種に対応して、加熱調理器と外部端末とのペアリングに用いるパスコードを加熱調理器から入手するための加熱調理器の操作方法を表示させるステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器と外部端末との間で通信を行う加熱調理システム、加熱調理器、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理システムは、コンロ等の加熱調理器に対してユーザのスマートフォン等の外部端末から調理メニューにおける加熱調理器の動作を指示する情報を送信したり、加熱調理器から外部端末に対して加熱調理器の運転状態等を示す情報を送信したりすることができる。この種の加熱調理システムでは、加熱調理器に対して複数のユーザの外部端末が登録できるようになっており(例えば、特許文献1)、また、複数機種の加熱調理器でも外部端末の登録ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-60511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱調理器に外部端末を登録するには加熱調理器と外部端末とをペアリングする必要がある。ペアリングの際、加熱調理器を操作して認証用のパスコードを表示させる等するが、加熱調理器は、型式等の機種によって操作手段の外観デザイン、スイッチ類の数、配置等が異なっている。そのため、加熱調理器の操作方法が機種ごとに異なっており、実際にペアリングを行うには、加熱調理器の機種に応じた操作方法をマニュアル等で調べながら加熱調理器及び外部端末の操作を行わなければならず、ペアリング作業に手間が掛かっていた。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、加熱調理器と外部端末とをペアリングする作業を簡易にすることを可能とする加熱調理システムを提供することを目的とする。また、本発明は、前記加熱調理システムにおける加熱調理器、プログラムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理システムは、
加熱調理器と外部端末との間で通信を行う加熱調理システムであって、
前記加熱調理器は、所定操作により無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号を発信する構成を有し、
前記外部端末は、加熱調理器と外部端末とのペアリングに用いるパスコードを加熱調理器から入手するための加熱調理器の操作方法について、あらかじめインストールされた加熱調理器との通信用の専用アプリケーションを起動した状態で、前記通知信号の受信により前記機器情報を取得し、該機器情報に基づいて前記通知信号を発信する加熱調理器の機種に応じた前記操作方法を表示させる構成を有する。
【0007】
前記構成より、加熱調理器から発信する通知信号は、加熱調理器に未登録の外部端末でも前記通知信号を受信して前記加熱調理器の機器情報を取得することができる。これにより、外部端末において前記機器情報から前記通知信号を発信する加熱調理器、すなわちペアリングさせたい加熱調理器の機種の特定が可能となる。
【0008】
また、外部端末は、専用アプリケーションにより前記機器情報に基づいてペアリングに必要な認証用のパスコードを加熱調理器から入手するための加熱調理器の操作方法を該外部端末上に表示させる。これにより、外部端末のユーザは、外部端末上に表示された加熱調理器の操作方法に従って加熱調理器を操作することで容易にパスコードを入手でき、このパスコードを外部端末に入力することで、目的の加熱調理器とユーザの外部端末とをペアリングすることができる。ここで、前記パスコードは、例えば、加熱調理器の表示部に表示させたり加熱調理器のスピーカで音声出力させたり等することで入手できる。従って、ペアリングする際の加熱調理器の操作方法が加熱調理器の機種ごとに異なっていても、加熱調理器の機種の特定やその機種に応じた操作方法をマニュアル等で調べる必要が無くペアリング作業の手間が軽減される。よって、加熱調理器と外部端末とをペアリングする作業を簡易にすることができる。
【0009】
前記加熱調理システムにおいて、
前記専用アプリケーションは、加熱調理器の機種ごとの前記操作方法を記録した操作手順ファイルを保持しており、
前記外部端末は、前記専用アプリケーションにより、前記通知信号に含む機器情報に基づいて前記操作手順ファイルから前記操作方法を読み出して表示させる構成とすることができる。
【0010】
これにより、ペアリングするための加熱調理器の操作方法を表示するときの処理を専用アプリケーションにより外部端末での内部処理で行うことができる。従って、外部端末は、加熱調理器が発信した通知信号を受信すると、機器情報から加熱調理器の機種に応じた加熱調理器の操作方法を素早く検索して外部端末上に素早く表示させることができる。
【0011】
また、前記加熱調理システムにおいて、
前記外部端末は、前記専用アプリケーションにより、加熱調理器の機種ごとの前記操作方法を記録した操作手順ファイルを保存するサーバに通信接続して、前記通知信号に含む機器情報に基づいて前記サーバが保存する前記操作手順ファイルから前記操作方法を読み出して表示させる構成とすることができる。
【0012】
これにより、加熱調理器の新しい機種が追加されてもサーバの操作手順ファイルを更新することで新しい機種の加熱調理器の操作方法への対応を容易に行うことができる。また、専用アプリケーションは、操作手順ファイルを保持する必要が無くなりアプリ容量を小さくできるので、外部端末での記憶容量を小さくすることができる。
【0013】
また、本発明は、
外部端末との間で通信可能な加熱調理器であって、
該加熱調理器と外部端末との間でペアリングを行う際、所定操作により無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号を発信する構成を備える加熱調理器を提供する。
この加熱調理器は、前記加熱調理システムにおける加熱調理器を構成することができる。ここで、前記所定操作は、例えば、該加熱調理器の電源スイッチを長押しする等の操作が挙げられる。また、前記通知信号は、送信先の外部端末を指定しない宛先不特定の信号とすることができ、これにより、該加熱調理器に未登録の外部端末でも前記通知信号を受信することができる。
【0014】
また、本発明は、
加熱調理器と外部端末との間で通信可能にするためのペアリングに使用するプログラムであって、
コンピュータに、
加熱調理器から無線通信で該加熱調理器の機器情報を含む通知信号が発信されると、該通知信号を受信して前記機器情報を取得するステップ、
前記機器情報に基づいて前記通知信号を発信する加熱調理器の機種に対応して、加熱調理器と外部端末とのペアリングに用いるパスコードを加熱調理器から入手するための加熱調理器の操作方法を表示させるステップ、
を実行させるためのプログラムを提供する。
このプログラムは、前記専用アプリケーションに組み込んでペアリングの際に外部端末で実行させることができる。なお、前記プログラムは、外部端末にインストールされる前の状態のものも含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の加熱料理システムの全体構成を示す図である。
図2】加熱調理器と外部端末との制御及び通信に係る構成を示すブロック図である。
図3】加熱調理器と外部端末とをペアリングするときの処理動作を示すフローチャートである。
図4】ペアリングするときの加熱調理器の操作方法の一例として、外部端末に表示する接続案内画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態の加熱調理システムAは、加熱調理器1と外部端末20との間で通信を行うシステムであり、加熱調理器1に対して外部端末20から調理メニューにおける加熱調理器1の運転動作を指示する情報を送信したり、加熱調理器1から外部端末20に対して加熱調理器1の運転状態等を示す情報を送信したりすることができる。
【0017】
加熱調理器1は、例えば、ビルトイン型のガスコンロであり、コンロ本体2の上面部の天板に、左コンロバーナ3L、右コンロバーナ3R及び後コンロバーナ3Bの3つのコンロバーナが配置されている。コンロ本体2の内部には、図示を省略するグリルバーナを有するグリル4が設けられている。左コンロバーナ3L、右コンロバーナ3R、後コンロバーナ3B及びグリルバーナのそれぞれは、その燃焼運転により、調理物もしくは調理容器等の被加熱物を加熱する加熱部である。
【0018】
コンロ本体2の前面には、左コンロバーナ3L、右コンロバーナ3R、後コンロバーナ3B及びグリルバーナのそれぞれの点火・消火及び火力調節を行うための加熱操作ボタン5L,5R,5B,5Gと、加熱調理器1の電源スイッチ6と、グリル4を開閉するグリル扉7と、左コンロバーナ3L、右コンロバーナ3R及び後コンロバーナ3Bのそれぞれを使用した自動調理(湯沸し、炊飯等)等に関する種々の設定を行うための開閉式のコンロ操作部56と、グリルバーナを使用した自動調理(魚焼き等)等に関する種々の設定を行うための開閉式のグリル操作部57とが備えられている。
【0019】
加熱操作ボタン5L,5R,5B,5Gのそれぞれの押し操作により、対応するバーナの点火又は消火が行われ、それぞれの回転操作により、対応するバーナの火力調節が行われるようになっている。コンロ操作部56及びグリル操作部57のそれぞれは、その押し操作によって開閉し、開状態において複数の操作スイッチ及び表示部が露出するようになっている。
【0020】
コンロ操作部56は、コンロ表示部61と、コンロ操作スイッチ62とを備える。コンロ表示部61には、各コンロバーナ3B,3L,3Rの動作状態などが表示される。コンロ表示部61は、液晶又はLED等の各種の表示手段で構成することができる。ユーザは、コンロ操作スイッチ62を操作することで、コンロバーナ3B,3L,3Rによって加熱される加熱対象物の温度の設定や自動調理の設定などをすることができる。また、コンロ操作スイッチ62を所定手順で操作して外部端末20の登録(ペアリングを含む。)及び登録解除などを行うことができる。
【0021】
操作部57は、グリル表示部71と、グリル操作スイッチ72とを備える。グリル表示部71には、グリルバーナの動作状態などが表示される。グリル表示部71は、液晶又はLED等の各種の表示手段で構成することができる。ユーザは、グリル操作スイッチ72を操作することで、グリルバーナによって加熱される加熱対象物の温度の設定や自動調理の設定などをすることができる。また、グリルロ操作スイッチ72を所定手順で操作して外部端末20の登録(ペアリングを含む。)及び登録解除などを行うことができる。
【0022】
図2に示すように、加熱調理器1には、外部端末20との無線通信を行うための無線通信部11と、加熱調理器1の運転制御等を行う制御装置12と、記憶部14とを備える。無線通信部11は、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信方式で外部端末20との双方向通信を行い得るように構成されている。なお、加熱調理器1と外部端末20との間の通信は、無線で直接的に行うことが可能であるが、ローカルエリアネットワーク、インターネット等を介して間接的に通信を行い得るようになっていてもよい。
【0023】
制御装置12は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、操作部56,57、無線通信部11、記憶部14と配線接続されている。制御装置12は、実装されたハードウェア構成とプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能を有し、加熱調理器1の運転制御を行う機能部、無線通信部11と外部端末20との通信接続に関する処理を行う機能部(通信制御部13)を有する。制御装置12は、無線通信部11と外部端末20との通信接続を確立した状態では、外部端末20との間で加熱調理器1の運転に関わる通信(適宜、実体的な通信という。)を無線通信部11を介して行うことが可能となる。また、加熱調理器1は、該加熱調理器1と外部端末20との間でペアリングを行う際、所定操作(例えば、電源スイッチ6の長押し等)により無線通信で該加熱調理器1の機器情報(例えば、加熱調理器の型式、品番等)を含む通知信号を発信する構成を備える。
【0024】
外部端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の通信端末により構成される。外部端末20は、図2に示すように、主な構成として、表示画面部21、通信部22、記憶部23、制御部24等を備える。表示画面部21は、タッチパネルで構成することができ、アプリケーションの起動により操作ボタンや画像等が表示される。通信部22は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等その他の無線通信方式で各種の機器やインターネット等と通信接続される。記憶部23には、アプリケーション、制御及び通信のプログラム、データ等が格納されている。制御部24は、外部端末20の動作を制御し、記憶部23に格納するアプリケーションを実行可能とする。外部端末20には、加熱調理器1の運転に係る通信を加熱調理器1と行うための専用アプリケーション24aがあらかじめインストールされている。専用アプリケーション24aは、加熱調理器1のメーカ等により提供されるアプリケーションであり、インターネット上のサーバ等から、適宜、外部端末20にダウンロードすることが可能である。
【0025】
外部端末20は、専用アプリケーション24aを起動した状態で、加熱調理器1との通信接続を確立し、加熱調理器1と実体的な通信を行うことができる。外部端末20は、加熱調理器1との実体的な通信を行うことで、加熱調理器1に自動調理運転(種々の調理メニューのレシピに応じた自動調理運転)を行わせたり、加熱調理器1の運転状態を示す情報を取得したりすることが可能となる。
【0026】
このような、加熱調理器1とユーザの外部端末20との実体的な通信を行うためには、事前に、外部端末20に加熱調理器1との通信用の専用アプリケーション24aをインストールした上で、加熱調理器1と外部端末20とをペアリングさせて互いの識別情報を登録する必要がある。専用アプリケーション24aには、コンピュータに、加熱調理器1から無線通信で該加熱調理器1の機器情報を含む通知信号が発信されると、該通知信号を受信して前記機器情報を取得するステップ、前記機器情報に基づいて前記通知信号を発信する加熱調理器1の機種に対応して、加熱調理器1と外部端末20とのペアリングに用いるパスコードを加熱調理器1から入手するための加熱調理器1の操作方法を表示させるステップを実行させるためのプログラムが組み込まれている。
【0027】
次に、加熱調理器1と外部端末20とのペアリングの処理動作について説明する。
加熱調理器1を主体とする動作は制御装置12での処理により行われ、外部端末20を主体とする動作は制御部(専用アプリケーション24a)24での処理により行われる。
図3を参照して、加熱調理器1と外部端末20とのペアリングを行う際、S1で外部端末20は、専用アプリケーション24aを起動させ、S2で加熱調理器1の電源スイッチをONにする。
【0028】
S3でユーザの操作により、加熱調理器1を所定操作する。この所定操作として、例えば、加熱調理器1の電源スイッチ6を長押しする。
【0029】
S4で加熱調理器1は、前記所定操作により無線通信でこの加熱調理器1の機器情報を含む通知信号を宛先不特定で発信する。通知信号は、外部端末20との通信の接続確立をしない信号であり、また、送信先の外部端末20を指定しない宛先不特定の信号である。従って、加熱調理器1に未登録の外部端末20でも前記通知信号を受信することができる。加熱調理器1の機器情報は、自身の加熱調理器1の機種を示す情報であり、例えば、加熱調理器1の型式等が挙げられる。
【0030】
S5で外部端末20は、前記通知信号の受信圏内にある場合、この通知信号を受信する。
【0031】
S6で外部端末20は、前記通知信号を受信すると、通知信号の解析を行って通知信号に含む加熱調理器1の機器情報を取得する。この機器情報により前記通知信号を発信する加熱調理器1の機種の特定が可能となる。すなわち、ユーザの外部端末20と通信接続を確立させたい加熱調理器1の機種が特定できる。なお、外部端末20と加熱調理器1とが既にペアリングされていた場合には、外部端末20は、前記通知信号を受信しても該通知信号の解析を行わないようになっている。
【0032】
S7で外部端末20は、加熱調理器1の機種が特定されると、ペアリングするためにその機種の加熱調理器1の操作方法を表示画面部21に表示する。すなわち、外部端末20は、前記機器情報に基づいて専用アプリケーション24a内に保持する操作手順ファイルを検索し、前記機器情報で特定される加熱調理器1の機種に応じた操作方法を表示する。前記操作手順ファイルは、加熱調理器1と外部端末20とをペアリングするための加熱調理器1の操作方法が加熱調理器1の機種ごとに記録されたデータファイルである。前記機器情報から特定される加熱調理器1の機種は、前記通知信号を発信する加熱調理器1の機種であり、外部端末20を通信接続させたい加熱調理器1の機種である。前記操作方法には、加熱調理器1と外部端末20とのペアリングに必要な認証用のパスコードを加熱調理器1により表示させる表示方法を含む。なお、前記操作方法では、加熱部(コンロバーナ、グリルバーナ)の作動等に関わる加熱操作ボタン5L,5R,5B,5Gは使用せず、調理条件の設定等に関わる操作部56,57を使用するようにしている。これにより、ペアリングの際に不用意に加熱部が作動する等の心配がない。
【0033】
加熱調理器1の操作方法を示す表示の一例として、図4に示すような操作方法の説明文と加熱調理器1の操作箇所(例えば、コンロ操作部56)を示す画像とをセットにした接続案内画像が表示される。この接続案内画像は、コンロ操作部56での操作方法を示すものであるが、加熱調理器1の機種ごとに異なっており、機種に応じた内容となっている。接続案内画像は、外部端末20のタッチパネルの表示画面部21に表示され、その画面上をスワイプすることで操作順に画面切り替えして表示(図4の(a)→(b)→(c)→(d))することができる。なお、接続案内画像とともに説明文が音声出力されるものでもよい。
【0034】
再び図3を参照して、S8で外部端末20のユーザは、加熱調理器1に対して前記接続案内画像として表示する操作方法に従って操作すると、S9で加熱調理器1は、外部端末20との接続信号を送信し、また、S10でコンロ表示部61に加熱調理器1と外部端末20とのペアリングに必要な認証用のパスコードを表示する。なお、加熱調理器1の機種によっては、グリル操作部57を操作することでパスコードをグリル表示部71に表示させたり、また、コンロ本体2の天板に液晶表示部を設ける機種ではこの液晶表示部にパスコードを表示させたり等することができる。なお、表示部を有しない機種では内蔵スピーカ等でパスコードを音声出力することでもよい。
【0035】
S11で外部端末20は、加熱調理器1からの接続信号を受信すると、S12で外部端末20の表示画面部21にパスコード入力画面を表示する。
【0036】
S13で外部端末20のユーザにより、パスコード入力画面に加熱調理器1で表示された前記パスコードを入力すると、S14で外部端末20は、入力されたパスコードとこの外部端末20の識別情報とを含む接続認証情報を加熱調理器1に送信する。
【0037】
S15で加熱調理器1は、前記接続認証情報を受信して、加熱調理器1が表示したパスコードと外部端末20からの前記接続認証情報に含むパスコードとが一致することを確認すると、この外部端末20とのペアリングが成功したと判断する。ペアリングの成功により、加熱調理器1は、外部端末20の識別情報を登録してこの外部端末20との通信連携機能を有効化し、S16で加熱調理器1は、加熱調理器1の識別情報を含む許可信号を外部端末20に送信し、ペアリング動作処理を終了する。
【0038】
S17で外部端末20は、加熱調理器1からの前記許可信号を受信すると、加熱調理器1の識別情報を登録してこの加熱調理器1との通信連携機能を有効化し、ペアリング動作処理を終了する。
【0039】
以上で加熱調理器1と外部端末20とのペアリングが完了する。これ以後は、外部端末20は、専用アプリケーション24aを起動して、接続確立信号の送信により加熱調理器1との通信接続が確立される。これにより、外部端末20は、加熱調理器1に対して所定の調理メニューによる運転動作を指示したり、加熱調理器1の運転状態を確認したり等することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の加熱調理システムAによれば、加熱調理器1と外部端末20とのペアリングの際、加熱調理器1から発信する通知信号は、自身の加熱調理器1の機器情報を含み且つ外部端末20との通信の接続確立をしない宛先不特定の信号であるから、加熱調理器1に未登録の外部端末20でも前記通知信号を受信して加熱調理器1の機器情報を取得することができる。これにより、外部端末20において前記機器情報から前記通知信号を発信する加熱調理器1、すなわち外部端末20をペアリングさせたい加熱調理器1の機種を特定することができる。
【0041】
また、外部端末20は、専用アプリケーション24aにより、前記機器情報に基づいてペアリングに必要な認証用のパスコードを加熱調理器1に表示させるための加熱調理器1の操作方法を、この外部端末20の表示画面部21に表示させる。専用アプリケーション24aは、加熱調理器1の機種ごとの操作方法を記録した操作手順ファイルを保持しており、外部端末20は、専用アプリケーション24aにより、前記機器情報に基づいて前記操作手順ファイルから加熱調理器1の操作方法を読み出して表示させる。このように、ペアリングするための加熱調理器1の操作方法を表示するときの処理を専用アプリケーション24aにより外部端末20での内部処理で行うことができる。従って、外部端末20は、加熱調理器1が発信した通知信号を受信すると、機器情報から加熱調理器1の機種に応じた加熱調理器1の操作方法を素早く検索して外部端末20上に素早く表示させることができる。
【0042】
そして、外部端末20のユーザは、外部端末20上に表示された加熱調理器1の操作方法に従って加熱調理器1を操作することで容易にペアリング認証用のパスコードを入手でき、このパスコードを外部端末20に入力することで、目的の加熱調理器1とユーザの外部端末20とをペアリングすることができる。従って、ペアリングする際の加熱調理器1の操作方法が加熱調理器1の機種ごとに異なっていても、加熱調理器1の機種の特定やその機種に応じた操作方法をマニュアル等で調べる必要が無くペアリング作業の手間が大幅に軽減される。よって、加熱調理器1と外部端末20とをペアリングする作業を簡易にすることができる。
【0043】
なお、実施形態では、操作手順ファイルを専用アプリケーション24a内に保持するが、この操作手順ファイルを外部のサーバに保存するようにし、専用アプリケーション24a内には操作手順ファイルを保持しない構成としてもよい。この場合、外部端末20は、専用アプリケーション24aにより、サーバにアクセスして、加熱調理器1が発信する通知信号の機器情報に基づいてサーバが保存する前記操作手順ファイルから加熱調理器1の操作方法を読み出して表示させるようにする。これにより、加熱調理器1の新しい機種が追加されてもサーバの操作手順ファイルを更新することで新しい機種の加熱調理器1の操作方法への対応を容易に行うことができる。また、専用アプリケーション24aは、操作手順ファイルを保持しないからアプリ容量を小さくでき、外部端末20での記憶容量を小さくすることができる。
【0044】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて必要な変更を行うことができる。
例えば、加熱調理器1としては、実施形態で説明したガスコンロに限らず、IHコンロ、電気ヒータ式調理器等の加熱調理器でもよく、また、オーブン、電子レンジ、炊飯器等の各種の加熱調理器でもよい。
【符号の説明】
【0045】
A 加熱調理システム
1 加熱調理器
2 コンロ本体
3B 後コンロバーナ
3L 左コンロバーナ
3R 右コンロバーナ
4 グリル
5B,5G,5L,5R 加熱操作ボタン
6 電源スイッチ
7 グリル扉
11 無線通信部
12 制御装置
13 通信制御部
20 外部端末
21 表示画面部
22 通信部
23 記憶部
24 制御部
24a 専用アプリケーション
56 コンロ操作部
57 グリル操作部
61 コンロ表示部
62 コンロ操作スイッチ
71 グリル表示部
72 グリル操作スイッチ
図1
図2
図3
図4