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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】一枚取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/08 20060101AFI20231228BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20231228BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65H3/08 350B
B65H3/08 350A
B65H3/48 320Z
B25J15/06 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020153045
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047241
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩永 洋志
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-009469(JP,A)
【文献】実開昭56-154939(JP,U)
【文献】特開昭59-017434(JP,A)
【文献】特開平08-119480(JP,A)
【文献】実開平05-042245(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/08
B65H 3/48
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚取り装置であって、
積載エリアの近傍に配置され、上下方向に延びたベースフレームと、
前記ベースフレームに昇降可能に設けられ、前記積載エリアに積載された複数のワークのうちの最上部のワークの表面に当接する当接部材を有し、エアの噴射圧力及び吸着力のうちの少なくともいずれかによって最上部のワークを他のワークから分離する分離ユニットと、
前記分離ユニットに働く重量を軽減するカウンタバランサと、を備えており
前記ベースフレームが、前記一枚取り装置とは別のローディング装置のワーク吸着部が最上部のワークの表面に吸着してそのワークを持ち上げる際に、前記ワーク吸着部の持ち上げ動作に追従する前記分離ユニットの上昇及び前記積載エリアの上側からの退避を案内する第1ガイド長孔を備えている、一枚取り装置。
【請求項2】
前記ベースフレームに回転可能に設けられた第1回転車と、
前記ベースフレームに回転可能かつ昇降可能に、前記カウンタバランサと一体的に設けられた第2回転車と、
一端部が前記分離ユニットに連結され、他端部が前記ベースフレームに連結され、前記第1回転車に掛け回され、前記第2回転車に吊り下げるように掛け回されて、前記分離ユニットの前記上昇及び前記退避を補助するように前記カウンタバランサの重量を前記分離ユニットに作用させる線状又は帯状の連結部材と、をさらに備えており
前記ベースフレームが、前記分離ユニットの前記上昇及び前記退避に伴う前記カウンタバランサの下降を案内する第2ガイド長孔をさらに備えている、請求項1に記載の一枚取り装置。
【請求項3】
前記分離ユニットは、
最上部のワークの端部側の表面を吸着するベローズ型の吸着パッドを有し、
前記当接部材が最上部のワークの表面に当接した状態で、前記吸着パッドが吸着動作を実行すると、前記当接部材を支点として最上部のワークの端部側を捲り上げるように構成されている、請求項1又は請求項2に一枚取り装置。
【請求項4】
前記分離ユニットは、
最上部のワークの端面側に向かってエアを噴射するノズルを有している、請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の一枚取り装置。
【請求項5】
前記積載エリアの上側から待避した前記分離ユニットの自重による落下動作をアシストするアシストユニットを備えている、請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の一枚取り装置。
【請求項6】
前記当接部材は、水平な回転軸心周りに回転自在な当接ローラである、請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の一枚取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載エリアに積載された複数のワーク(板金)のうちの最上部のワークの一枚取りを行うための一枚取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載エリアに積載された複数のワークを供給ロボット等のローディング装置によってプレスブレーキ等の加工機側に順次供給する際には、一枚取り装置として、積載エリアの近傍に設置されたマグネットフロータが用いられる。マグネットフロータは、積載エリアに積載された複数のワークのうちの最上部のワークを磁力によって浮上させて他のワークから分離する(特許文献1参照)。なお、ワークが非磁性体の金属からなる場合には、最上部のワークを磁力によって浮上させることができず、ローディング装置のワーク吸着部によって最上部のワークの一枚取りを行うことできない。
【0003】
一枚取り装置として、マグネットフロータの他に、積載エリアの近傍に設置されたエアセパレータが用いられることがある。エアセパレータは、積載エリアに積載された複数のワークのうちの最上部のワークをエアの噴射圧力によって分離する(特許文献2参照)。エアセパレータは、積載エリアの近傍に設置されかつ上下方向に延びたベースフレームと、ベースフレームに昇降可能に設けられかつエアの噴射圧力によって最上部のワークを他のワークから分離する分離ユニットとを備えている。分離ユニットは、最上部のワークの表面に当接する当接部材と、最上部のワークの端面側に向かってエアを噴射するノズルとを有している。分離ユニットは、ローディング装置のワーク吸着部が最上部のワークの表面に吸着してそのワークを持ち上げる際に、ワーク吸着部の持ち上げ動作に追従しながら上昇して積載エリアの上側から退避するように構成されている。積載エリアの上側から退避した分離ユニットは、その自重によって落下すると、積載エリアに積載された複数のワークの上側の位置に復帰する。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2の他に、特許文献3に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-112608号公報
【文献】特開2017-149496号公報
【文献】特開2017-124469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一枚取り装置としてエアセパレータを用いると、次のような課題が生じる。分離ユニットの重量が大きくかつワークの剛性が小さい場合には、ワーク吸着部が最上部のワークを持ち上げる際に、そのワークの端部側が大きく撓んで塑性変形することがある。また、分離ユニットの重量が大きい場合には、分離ユニットの落下時の衝撃によって、積載エリアに積載されたワークに傷が付くことがある。つまり、ワークの損傷を防止しながら、最上部のワークの一枚取りを安定的に行うことに関して改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述の課題を解決するために、ワークの損傷を防止しながら、最上部のワークの一枚取りを安定的に行うことができる、一枚取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施態様に係る一枚取り装置は、積載エリアの近傍に配置され、上下方向に延びたベースフレームと、前記ベースフレームに昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられ、前記積載エリアに積載された複数のワークのうちの最上部のワークの表面に上方向から当接する当接部材を有し、エアの噴射圧力及び吸着力のうちの少なくともいずれかによって最上部のワークを他のワークから分離する分離ユニットと、前記分離ユニットに働く重量を軽減するカウンタバランサと、を備えており、前記ベースフレームが、前記一枚取り装置とは別のローディング装置のワーク吸着部が最上部のワークの表面に吸着してそのワークを持ち上げる際に、前記ワーク吸着部の持ち上げ動作に追従する前記分離ユニットの上昇及び前記積載エリアの上側からの退避を案内する第1ガイド長孔を備えている。
【0009】
本実施形態に係る一枚取り装置は、前記ベースフレームに回転可能に、前記カウンタバランサと一体的に設けられた第1回転車と、前記ベースフレームに回転可能かつ昇降可能に設けられた第2回転車と、一端部が前記分離ユニットに連結され、他端部が前記ベースフレームに連結され、前記第1回転車に掛け回されて、前記分離ユニットの前記上昇及び前記退避を補助するように前記カウンタバランサの重量を前記分離ユニットに作用させる線状又は帯状の連結部材と、をさらに備えており、前記ベースフレームが、前記分離ユニットの前記上昇及び前記退避に伴う前記カウンタバランサの下降を案内する第2ガイド長孔をさらに備えていてもよい
【0010】
本実施形態では、前記分離ユニットは、最上部のワークの端部側の表面を吸着するベローズ型の吸着パッドを有してもよい。この場合に、前記分離ユニットは、前記当接部材が最上部のワークの表面に当接した状態で、前記吸着パッドが吸着動作を実行すると、前記当接部材を支点として最上部のワークの端部側を捲り上げるように構成されている。また、前記分離ユニットは、最上部のワークの端面側に向かってエアを噴射するノズルを有してもよい。
【0011】
本実施形態に係る一枚取り装置は、前記積載エリアの上側から待避した前記分離ユニットの自重による落下動作(下降動作)をアシストするアシストユニットを備えてもよい。また、本実施形態では、前記当接部材は、水平な回転軸心周りに回転自在な当接ローラであってもよい。
【0012】
本実施形態によると、前述のように、前記カウンタバランサが前記分離ユニットに働く重量を軽減する。そのため、前記分離ユニットの重量が大きくかつワークの剛性が小さい場合でも、前記ワーク吸着部が最上部のワークを持ち上げる際に、そのワークの端部側が大きく撓むことなく、前記分離ユニットを十分に支えることができる。また、前記分離ユニットの重量が大きい場合でも、前記分離ユニットの落下時の衝撃を十分に低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワークの損傷を防止しながら、ワーク吸着部による最上部のワークの一枚取りを安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る一枚取り装置を含む積載エリア周辺の正面図であって、供給ロボットのロボットハンドによって最上部のワークを吸着した様子を示している。
図2図2は、本実施形態に係る一枚取り装置を含む積載エリア周辺の平面図である。
図3図3は、本実施形態に係る一枚取り装置の正面図である。
図4図4は、本実施形態に係る一枚取り装置の左側面図である。
図5図5は、本実施形態に係る一枚取り装置の背面図である。
図6図6は、本実施形態に係る一枚取り装置の平面図である。
図7A図7Aは、本実施形態に係る一枚取り装置の動作を説明する図であり、最上部のワークの端部側を捲り上げた様子を示している。
図7B図7Bは、本実施形態に係る一枚取り装置の動作を説明する図であり、分離ユニットが積載エリアの上側から退避した様子を示している。
図7C図7Cは、本実施形態に係る一枚取り装置の動作を説明する図であり、作動ロッドが揺動レバーの先端部側を下方向から押圧する様子を示している。
図8図8は、本実施形態の変形例に係る一枚取り装置の正面図であり、作動リンクの第2先端部がユニット本体を右方向から押圧する様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態(変形例を含む)について、図1から図8を参照して説明する。
【0016】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「積載エリア」とは、複数のワーク(板金)を積載するための三次元的なエリアのことである。「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「連結される」とは、直接的に連結されることの他に、別部材を介して間接的に連結されることを含む意である。図面中、「FF」は前方向、「FR」は後方向、「L」は左方向、「R」は右方向、「U」は上方向、「D」は下方向をそれぞれ指している。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る一枚取り装置10は、積載エリアTAにパレットPを介して積載された複数の板状のワークWのうちの最上部のワークWの一枚取りを行うための装置である。一枚取り装置10は、積載エリアTAの右側近傍に平面視L字状の設置台12を介して設置され、最上部のワークWをエアの噴射圧力によって分離するエアセパレータの1つである。一枚取り装置10は、積載エリアTAにパレットPを介して積載された複数のワークWを供給ロボット14によってプレスブレーキ(図示省略)側に順次供給する際に用いられる。
【0018】
ここで、供給ロボット14は、プレスブレーキにワークWを供給するローディング装置の1つであり、供給ロボット14の構成は、例えば、特許文献3に示す公知の構成からなる。供給ロボット14は、多関節のロボットアーム16と、ロボットアーム16の先端部に設けられかつワークWを吸着するワーク吸着部としてのロボットハンド18とを備えている。プレスブレーキは、ワークWの曲げ加工を行う加工機であり、積載エリアTAの後方に設置されている。積載エリアTAの右側近傍には、一枚取り装置10の他に、二枚取り検出装置(図示省略)が設置されており、二枚取り検出装置は、ロボットハンド18に吸着されたワークWが二枚以上であるか否かを検出する。
【0019】
図3から図6に示すように、一枚取り装置10は、積載エリアTAの右側近傍に設置台12を介して配置されたベースフレーム20を備えており、ベースフレーム20は、上下方向に延びている。ベースフレーム20は、前後方向に離隔対向した一対の支持プレート22と、一対の支持プレート22の間に連結するように設けられたピン状の複数のスペーサ24とを有している。各支持プレート22には、上下方向に延びた第1ガイド長穴22hが形成されており、各第1ガイド長穴22hの上部は、積載エリアTAから離れるように湾曲している。各支持プレート22における各第1ガイド長穴22hの右側には、上下方向に延びた第2ガイド長穴22vが形成されている。
【0020】
ベースフレーム20には、エアの噴射圧力及び吸着力によって最上部のワークWを他のワークWから分離する分離ユニット26が昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。そして、分離ユニット26の具体的な構成は、次の通りである。
【0021】
分離ユニット26は、ベースフレーム20に昇降可能に設けられたユニット本体28を有しており、ユニット本体28は、ベースフレーム20に対して片持ち状に突出している。ユニット本体28の基端部には、二対のフランジ付きのガイドローラ30がその水平な回転軸心周りに回転可能に設けられており、各対のガイドローラ30は、前後方向に離隔対向している。各ガイドローラ30は、各支持プレート22の第1ガイド長穴22hに案内支持されている。
【0022】
ユニット本体28の先端部には、最上部のワークWの表面に上方向から当接する当接部材としての当接ローラ32が一対のブラケット34を介して設けられている。当接ローラ32は、その水平な回転軸心周りに回転自在であり、ウレタン等の弾性体からなる。ユニット本体28の基端部には、最上部のワークWの端面側に向かってエアを噴射するノズル36が設けられている。ノズル36は、エアを供給する供給ポンプ等のエア供給源(図示省略)に接続されている。
【0023】
ユニット本体28の中間部には、最上部のワークWの端部側の表面を上方向から吸着するベローズ型の吸着パッド38が設けられている。吸着パッド38は、エアを吸引する真空ポンプ等のエア吸引源(図示省略)に接続されている。吸着パッド38は、当接ローラ32よりも先立って最上部のワークWの表面に当接する。分離ユニット26は、当接ローラ32が最上部のワークWの表面に当接した状態で、吸着パッド38の吸着動作を実行すると、当接ローラ32を支点として最上部のワークWの端部側を捲り上げるように構成されている(図7A参照)。
【0024】
分離ユニット26は、ロボットハンド18が最上部のワークWの表面に吸着してそのワークを持ち上げる際に、ロボットハンド18の持ち上げ動作(上昇動作)に追従しながら上昇して積載エリアTAの上側から退避するように構成されている。また、積載エリアTAの上側から退避した分離ユニット26は、その自重によって落下すると、積載エリアTAにパレットPを介して積載された複数のワークWの上側の位置に復帰する。
【0025】
なお、分離ユニット26からノズル36又は吸着パッド38のいずれかを省略してもよい。この場合には、分離ユニット26は、エアの噴射圧力又は吸着力のいずれかによって最上部のワークWを他のワークWから分離する。
【0026】
一対の支持プレート22の間の上部には、第1回転車としての第1スプロケット40がその水平な回転軸心周りに回転可能に設けられている。第1スプロケット40の回転軸42の各端部は、各支持プレート22の上部に支持リング44を介して回転可能に支持されている。第1スプロケット40は、支持プレート22に対して昇降不能である。また、ベースフレーム20における第1スプロケット40の右側には、第2回転車としての第2スプロケット46がその水平な回転軸心周りに回転可能かつ昇降可能に設けられている。第2スプロケット46の回転軸48の各端部は、各支持プレート22の第2ガイド長穴22vに回転可能かつ昇降可能に支持されている。
【0027】
一対の支持プレート22の間には、線状の連結部材としての連結チェーン50が設けられている。連結チェーン50の一端部は、分離ユニット26の基端部に連結されており、連結チェーン50の他端部は、ベースフレーム20の右側上部に連結されている。連結チェーン50の一端部側は、第1スプロケット40に掛け回されており、連結チェーン50の他端部側は、第2スプロケット46に吊り下げるように掛け回されている。
【0028】
なお、第1回転車及び第2回転車として第1スプロケット40及び第2スプロケット46を用いる代わりに、第1プーリ(図示省略)及び第2プーリ(図示省略)を用いてもよい。この場合には、線状の連結部材として連結チェーン50を用いる代わりに、帯状の連結部材としての連結ベルト(図示省略)を用いる。
【0029】
第2スプロケット46の回転軸48の各端部には、分離ユニット26に働く重量を軽減するカウンタバランサ52が設けられており、各カウンタバランサ52は、第2スプロケット46に下方向の力としての重力を付与する複数の錘54を有している。各カウンタバランサ52は、支持プレート22に対して回転不能に構成されている。即ち、各カウンタバランサ52は、第2スプロケット46の回転軸48に対して相対的に回転可能に構成されている。
【0030】
なお、複数の錘54を有したカウンタバランサ52を用いる代わりに、分離ユニット26に働く重量を軽減する他のカウンタバランサとして、第2スプロケット46に下方向の力としての付勢力を付与するコイルスプリング(図示省略)を用いてもよい。この場合に、コイルスプリングは、第2スプロケット46の回転軸48の各端部と支持プレート22の間に設けられる。
【0031】
一枚取り装置10は、積載エリアTAの上側から待避した分離ユニット26の自重による落下動作(下降動作)をアシストするアシストユニット56を備えている。そして、アシストユニット56の具体的な構成は、次の通りである。
【0032】
第1スプロケット40の回転軸42の一端部には、揺動レバー58の基端部が一体的に連結されている。前側の支持プレート22には、アシストアクチュエータとしてのエアシリンダ60がブラケット62を介して設けられており、エアシリンダ60は、上下方向へ移動可能な作動ロッド64を有している。アシストユニット56は、エアシリンダ60の駆動により作動ロッド64が揺動レバー58の先端部側を下方向から押圧すると、分離ユニット26の落下動作を促すための回転力が第1スプロケット40に付与されるように構成されている。
【0033】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0034】
(一枚取り装置10及び供給ロボット14の全体的な動作に関する作用)
図1及び図7Aに示すように、積載エリアTAにおいてロボットハンド18を下降させることにより、ロボットハンド18によって最上部のワークWの表面を吸着する。そして、当接ローラ32を最上部のワークWの表面に当接させた状態で、吸着パッド38の吸着動作を実行することにより、当接ローラ32を支点として最上部のワークWの端部側を捲り上げる。また、ノズル36から最上部のワークWの端面側に向かってエアを噴射する。これにより、エアの噴射圧力及び吸着力によって最上部のワークWを他のワークWから分離して、ロボットハンド18によって最上部のワークWの一枚取りを行うことができる。
【0035】
最上部のワークWの一枚取りを行った後、図1及び図7Bに示すように、ロボットハンド18を上昇させることにより、ロボットハンド18によって最上部のワークWを持ち上げる。すると、図7Bに示すように、分離ユニット26がロボットハンド18の持ち上げ動作に追従しながら上昇して、積載エリアTAの上側から退避する。これにより、ロボットハンド18に吸着されたワークWから分離ユニット26との干渉を防止しながら、供給ロボット14によってワークWをプレスブレーキに供給することができる。なお、最上部のワークWを持ち上げた後、吸着パッド38の吸着動作を停止しかつノズル36からのエアの噴射動作を停止する。
【0036】
分離ユニット26が積載エリアTAの上側から退避した後、図1及び図7Cに示すように、エアシリンダ60の駆動により作動ロッド64が揺動レバー58の先端部側を下方向から押圧することにより、分離ユニット26の落下動作を促すための回転力を第1スプロケット40に付与する。すると、分離ユニット26がその自重によって落下して、積載エリアTAに積載された複数のワークWの上側の位置に復帰する。
【0037】
前述の動作を繰り返すことにより、積載エリアTAに積載された複数のワークWを供給ロボット14によってプレスブレーキ側に順次供給することができる。
【0038】
(一枚取り装置10に関する特有の作用効果)
前述のように、分離ユニット26は、当接ローラ32が最上部のワークWの表面に当接した状態で、吸着パッド38の吸着動作を実行すると、当接ローラ32を支点として最上部のワークWの端部側を捲り上げるように構成されている。そのため、最上部のワークWが他のワークWから分離し易くなり、ロボットハンド18による最上部のワークWの一枚取りのミスを極力無くすことができる。
【0039】
前述のように、分離ユニット26がエアの噴射圧力及び吸着力によって最上部のワークWを他のワークWから分離する。そのため、ワークWが非磁性体の金属からなる場合であっても、ロボットハンド18によって最上部のワークWの一枚取りを行うことができる。換言すれば、ワークWの材質に関係なく、ロボットハンド18によって最上部のワークWの一枚取りを行うことができる。
【0040】
前述のように、連結チェーン50の一端部が分離ユニット26の基端部に連結されており、連結チェーン50の他端部がベースフレーム20の右側上部に連結されている。連結チェーン50の一端部側が第1スプロケット40に掛け回されており、連結チェーン50の他端部側が第2スプロケット46に吊り下げるように掛け回されている。第2スプロケット46の回転軸48の各端部に分離ユニット26に働く重量を軽減するカウンタバランサ52が設けられている。そのため、分離ユニット26の重量が大きくかつワークWの剛性が小さい場合でも、ロボットハンド18が最上部のワークWを持ち上げる際に、そのワークWの端部側が大きく撓むことなく、分離ユニット26を下方向から十分に支えることができる。また、分離ユニット26の重量が大きい場合でも、分離ユニット26の落下時の衝撃を十分に低減して、積載エリアTAに積載されたワークWに傷が付くことを防止できる。
【0041】
従って、本実施形態によれば、ワークWの材質に関係なく、ワークWの損傷を防止しながら、ロボットハンド18による最上部のワークWの一枚取りを安定的に行うことができる。
【0042】
前述のように、アシストユニット56が分離ユニット26の自重による落下動作をアシストしているため、分離ユニット26を積載エリアTAの上側に積載エリアTAに積載された複数のワークWの上側の位置に確実に復帰させることができる。また、当接ローラ32がその水平な回転軸心周りに回転自在であるため、ロボットハンド18によってワークWを持ち上げる際に、ワークWの端部が分離ユニット26の先端部である当接ローラ32が干渉しても、当接ローラ32に引っ掛かることがない。
【0043】
従って、本実施形態によれば、積載エリアTAに積載された複数のワークWを供給ロボット14によってプレスブレーキ側に安定的に順次供給することができる。
【0044】
(本実施形態の変形例)
図8に示すように、本実施形態の変形例に係る一枚取り装置10Aは、本実施形態に一枚取り装置10(図3参照)と同様に、積載エリアTAにパレットPを介して積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWの一枚取りを行うための装置である。一枚取り装置10Aは、アシストユニット56(図3参照)と異なる構成のアシストユニット66を備える点を除き、一枚取り装置10と同様の構成を有している。そして、アシストユニット66の具体的な構成は、次の通りである。なお、一枚取り装置10Aの複数の構成部材のうち、一枚取り装置10の構成部材と対応するものについては、図面中に同一符号を付している。
【0045】
前側の支持プレート22における第2ガイド長穴22vの上側には、L型の作動リンク68が揺動軸70を介して水平な揺動軸心(揺動軸70の軸心)周りに揺動可能に設けられている。前側の支持プレート22における第2ガイド長穴22vの右側には、アシストアクチュエータとしてのエアシリンダ72がブラケット74を介して設けられており、エアシリンダ72は、上下方向へ移動可能な作動ロッド76を有している。作動ロッド76の先端部は、作動リンク68の第1先端部(一端部)に連結ピン78及び長穴(図示省略)を介して回動可能に連結されている。アシストユニット66は、エアシリンダ72の駆動により作動リンク68の第2先端部(他端部)がユニット本体28を右方向から押圧して、分離ユニット26の落下動作を促すように構成されている。
【0046】
そして、本実施形態の変形例においても、前述の本実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0047】
なお、本発明は、前述の本実施形態及びその変形例の説明に限られるものではなく、例えば、エアシリンダ60(72)を有したアシストユニット56(66)の代わりに、電動モータ又はベルト機構を有した他のアシストユニット(図示省略)を用いてもよい。他のアシストユニットは、電動モータ又はベルト機構の駆動により分離ユニット26の自重による落下動作をアシストする。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0048】
10 一枚取り装置
12 設置台
14 供給ロボット(ローディング装置)
16 ロボットアーム
18 ロボットハンド(ワーク吸着部)
20 ベースフレーム
22 支持プレート
22h 第1ガイド長穴
22v 第2ガイド長穴
24 スペーサ
26 分離ユニット
28 ユニット本体
30 ガイドローラ
32 当接ローラ(当接部材)
34 ブラケット
36 ノズル
38 ベローズ型の吸着パッド
40 第1スプロケット(第1回転車)
42 回転軸
44 支持リング
46 第2スプロケット(第2回転車)
48 回転軸
50 連結チェーン(連結部材)
52 カウンタバランサ
54 錘
56 アシストユニット
58 揺動レバー
60 エアシリンダ(アシストアクチュエータ)
62 ブラケット
64 作動ロッド
10A 一枚取り装置
66 アシストユニット
68 作動リンク
70 揺動軸
72 エアシリンダ(アシストアクチュエータ)
74 ブラケット
76 作動ロッド
78 連結ピン
P パレット
TA 積載エリア
W ワーク(板金)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8