IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シュピーンゴテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7411546初回心血管イベントの予測のためのセレノプロテインP
<>
  • 特許-初回心血管イベントの予測のためのセレノプロテインP 図1
  • 特許-初回心血管イベントの予測のためのセレノプロテインP 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】初回心血管イベントの予測のためのセレノプロテインP
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20231228BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231228BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 D
A61K33/04
A61K31/198
A61P9/00
C07K14/47
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020522929
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018079030
(87)【国際公開番号】W WO2019081504
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】17198129.3
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18162206.9
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514122524
【氏名又は名称】シュピーンゴテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ベルクマン
(72)【発明者】
【氏名】オッレ メランデル
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/185672(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/013324(WO,A1)
【文献】KOYAMA, H. et al.,Depressed serum selenoplotein P:possible new predictor of increased risk for cerebrovascular events,Nutrition Researh,2009年,Vol.29,pp.94-99
【文献】ALEHAGEN, U. et al.,Reduced Cardiovascular Mortality 10 Years after Supplementation with Selenium and Coenzyme Q10 for Four Years:Follow-Up Results of a Prospective Randomized Double-Blind Placrbo-Controlled Trial in Elderly Citizens,PLOS ONE,2015年,Vol.10, No.12,pp.1-16
【文献】CHORTYK, O. T. et al.,Increasing Selenium in Cigarettes and Smoke: Transfer to Smoke,Archives of Environmental Health: An International Journal,1984年,Vol.39, No.6,pp.419-424
【文献】HOLLENBACH, B. et al.,New assay for the measurement of selenoprotein P as a sepsis biomarker from serum,Journal of Trace Elements in Medicine and Biology,2008年,Vol.22,pp.24-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
A61K 33/04
A61K 31/198
A61P 9/00
C07K 14/47
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法であって、前記方法が、
a)前記対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片のレベル及び/又は量を決定すること、
b)セレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量を、前記対象における初回心血管イベントが発生するリスクと相関させること、
を含み、前記サンプルが、全血、血漿、及び血清を含む群から選択され、そして、対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクが増強される、方法。
【請求項2】
前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクが増強され、ここで、前記閾値が4.0~5.5mg/Lの間である、請求項1に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項3】
前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクが増強され、ここで、前記閾値が、初回心血管イベントを発症しなかった対象を意味する「正常」集団及び初回心血管イベントを発症した対象を意味する「疾患」集団におけるその相対頻度に対してセレノプロテインP及び/又はその断片のレベルの値をプロットする、初回心血管イベントを発症している対象又は発症していない対象についてセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベルの分布の計算によって決定される、請求項1又は2に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項4】
前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクが増強され、ここで、前記閾値が、健康集団の正常範囲の下限である、請求項1~に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項5】
前記閾値が、健康集団の正常範囲を下回る中央値であり、この値が5.5mg/Lである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記閾値が、5.0mg/Lである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記閾値が、4.5mg/Lである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記閾値が、4.0mg/Lである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、サンプル採取時に心血管イベントを発症したことがなく、心血管疾患を発症したことがない、請求項1~に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項10】
前記初回心血管イベントが、心筋梗塞、急性心不全、脳卒中、冠血行再建を含む群から選択される、請求項1~に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項11】
前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、請求項1~10に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項12】
セレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、配列番号2に結合する少なくとも1つの結合剤を使用するイムノアッセイによって決定される、請求項1~11に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの結合剤が、抗体又はその断片である、請求項12に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項14】
セレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、質量分析によって決定される、請求項1~11に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項15】
前記対象が、真性糖尿病を患っていない、請求項1~14に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項16】
死亡を含む初回心血管イベントが発生するリスクが、前記対象からサンプルを採取した後、10年の期間内に前記イベントが発生するリスクである、請求項1~15に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するための方法。
【請求項17】
前記死亡を含む初回心血管イベントが発生するリスクが、前記対象からサンプルを採取した後、8年の期間内に前記イベントが発生するリスクである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記死亡を含む初回心血管イベントが発生するリスクが、前記対象からサンプルを採取した後、5年の期間内に前記イベントが発生するリスクである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記死亡を含む初回心血管イベントが発生するリスクが、前記対象からサンプルを採取した後、2.5年の期間内に前記イベントが発生するリスクである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
初回心血管イベントが発生するリスクを有する対象の治療に使用するための医薬の製造のためのセレンの使用であって、ここで、前記対象が、請求項1~19の方法によって決定された場合、初回心血管イベントが発生する増強されたリスクを有する、使用。
【請求項21】
初回心血管イベントが発生するリスクのリスクを有する対象の治療に使用するための医薬の製造のためのセレンの使用であって、ここで、前記対象が、請求項1~19の方法によって決定された場合、初回心血管イベントが発生する増強されたリスクを有し、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回り、及び前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である、使用。
【請求項22】
初回心血管イベントが発生するリスクを有する対象の治療に使用するための医薬の製造のためのセレンの使用であって、ここで、前記対象が、請求項20又は21の初回心血管イベントが発生する増強されたリスクを有し、前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、使用。
【請求項23】
初回心血管イベントが発生するリスクを有する対象の治療に使用するための医薬の製造のためのセレンの使用であって、前記対象が、請求項2022のいずれかの初回心血管イベントが発生する増強されたリスクを有し、前記セレンが、亜セレン酸塩、セレン酸塩、又はセレノメチオニン(L-セレノメチオニン)を含む群から選択される、使用。
【請求項24】
医薬的に許容される量におけるセレンを含む、初回心血管イベントが発生するリスクを有する対象の治療のための組成物であって、前記対象が、請求項1~19の方法によって決定された場合、初回心血管イベントが発生する増強されたリスクを有する、組成物。
【請求項25】
前記対象におけるセレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回り、前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、請求項24又は25に記載の組成物。
【請求項27】
請求項2426の何れかに記載の治療を監視する方法であって、請求項1~19の何れかに記載のリスクを評価するための方法が、少なくとも2回実施される、方法。
【請求項28】
前記セレンが、亜セレン酸塩、セレン酸塩、又はセレノメチオニン(L-セレノメチオニン)を含む群から選択される、請求項2426の何れかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する方法又は対象における心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法であって、以下:
a)前記対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片のレベル及び/又は量を決定すること
b)セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又はその量を、前記対象における初回心血管イベントが発生するリスクと関連付けること又は心血管に起因する死亡のリスクを評価すること、を含む方法である。
【背景技術】
【0002】
セレノプロテインP(略称Sepp1、SeP、SELP、SePP)は、血漿セレノプロテインであり、セレン栄養マーカーとして機能し、セレン欠乏症の重症度が高まると血漿濃度が低下する(Yang et al. 1989. J Nutr 119:1010-1012; Renko et al. 2008. Biochem J 409:741-749)。
【0003】
セレンは、セレノプロテインを介して機能するため、セレンがセレノプロテイン合成の制限因子となることを防ぐために十分な量が供給されれば、最適な健康状態が達成されることが提唱されている。セレノプロテインの最適化の決定は、セレンの栄養要件を評価するために使用される主要な手法となっている(Burk and Hill 2009. Biochim Biophys Acta. 1790(11): 1441-1447)。
【0004】
これまでに、細胞の酸化還元プロセスの制御に様々な役割を果たす25個を超えるセレノプロテインが単離されている(Liu et al. 2017. Metallomics 9: 21-37)。それらは様々な組織や細胞で発現し、多くの機能を示す。例えば、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)は、細胞内の過酸化水素を解毒し、リポタンパク質及び/又はDNA損傷から細胞を保護する。一方、チオレドキシンレダクターゼ(TrxR)は、チオレドキシンを再生し、それによって細胞の酸化還元状態のバランスをとる(Reeves and Hoffmann 2009. Cell. Mol. Life Sci. 66, 2457-2478)。
【0005】
セレンは、セレノプロテインが誘導する防御システムにおいて重要な役割を果たす。その結果、セレン血中濃度は、酸化ストレス関連疾患のバイオマーカーとして広く利用されている。様々な観察研究により、相反する結果を伴う心血管の発症に対する血清セレンレベルの重要性が調査されている。健康な高齢者を対象としたセレンの栄養補助食品試験では、心血管に起因する死亡率が大幅に減少し、心機能が著しく改善した(Alehagen et al. 2013. Int J Cardiol 167(5): 1860-1866)。これは介入後の10年間の追跡調査期間中に未だ観察される(Alehagen and Johansson 2015. PLoS One 10(12):e0141641)。さらに、低いセレン濃度は、急性冠症候群(ACS)を患う患者の将来の心血管に起因する死亡と関連したが、安定狭心症を患う患者では関連しなかった(Lubos et al. 2010. Atherosclerosis 209: 271-277)。対照的に、いくつかのセレン補充試験のメタ分析は、心血管に起因する死亡率及び致命的及び非致命的心血管イベントの全てに対するセレン補充の統計的に有意な影響はなかったと報告した(Flores-Mateo et al. 2006. Am J Clin Nutr 84: 762-773; Rees et al. 2013. Cochrane Database Syst Rev CD009671)。まとめると、これまでのランダム化された試験の結果は、一貫しておらず、CVD予防におけるSe補充の役割は、結論が出ていない。研究対象の集団のベースラインのセレンの状態の違いとセレン補充の用量は、試験研究の一貫性の欠如を部分的に説明できる可能性がある。セレンの補充は、ベースラインのセレンの状態が低い人には有益である可能性があるが、セレンの状態が十分あるいは高い状態にある人の心血管系においては、影響を与えないか、又は悪影響を与える。例えば、既に十分なセレンを摂取している人に追加のセレンを補充すると、2型糖尿病のリスクが高まる可能性がある(Rayman and Stranges 2013. Free Radical Biol Med 65: 1557-1564)。従って、セレンの状態とCVDのリスクとの関連性をU字型で説明することは、合理的な説明である可能性がある(Bleys et al. 2008. Arch Intern Med 168: 404-410)。
【0006】
セレン補充研究(Meplan et al. 2007. FASEB J 21: 3063-3074; Xia et al. 2005. Am J Clin Nutr 81:829-834; Burk et al. 2006. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 15: 804-810)は、SePP血漿濃度が、ヒトのセレン栄養状態の最も簡単に利用しやすいマーカーであることを示す。ただし、栄養要件が満たされると、SePP濃度は、追加の摂取の増加を反映しない。
【0007】
セレノプロテインPは、血漿中のセレンの大半を含む分泌糖タンパク質である(Hill et al. 1996. J Nutr 126: 138-145; Read et al. 1990. J Biol Chem 265: 17899-17905)。セレン含有量に関して、SePPは、二つのドメインに分割され得る。アミノ酸配列の約3分の2のN末端ドメインには、U-x-x-Cレドックスモチーフに1つのセレノシステイン(U)が含まれる。短いC末端ドメインには、複数のセレノシステインが含まれる。例えば、ラット、マウス、及びヒトでは、9個含まれる。
【0008】
完全長のSePPは、血漿中に存在するが、セレン含有量が減少した短縮型も存在する。ラット血漿から精製されたSePPは、4つのアイソフォームとして存在する。10個のセレノシステイン残基を含む完全長のアイソフォームに加えて、2番目、3番目、及び7番目のセレノシステインの一で終結する短いアイソフォームが存在する。これらのアイソフォームは、それぞれ、1、2、及び6個のセレノシステイン残基を含む(Himeno et al. 1996. J Biol Chem 271: 15769-157759; Ma et al. 2002. J Biol Chem 277: 12749-12754)。マウス(Hill et al. 2007. J Biol Chem 282: 10972-1098)及びヒト(Akesson et al. 1994. Biochim Biophys Acta 1204: 243-249)にそれぞれSePPアイソフォームが存在する証拠がある。構造的に、ヒトSePPは、381個のアミノ酸残基(配列番号1)を含むタンパク質であり、そのうちの10個が、59、300、318、330、345、352、367、369、376及び378の位置にSec残基があると予測される。
【0009】
その分泌形態(シグナル配列の切断後)は、362アミノ酸残基(配列番号2)を含み、リン酸化及び複数のグリコシル化部位を含むことが可能な翻訳後修飾を含み得る。さらに、SePPのN末端又はC末端部分を含むいくつかの断片が単離されている(Ballihaut et al. 2012. Metallomics 4: 533-538; Hirashima et al. 2003. Biol Pharm Bull 26(6): 794-798)。
【0010】
肝臓は、代謝回転が速いため、血漿中のSePPの大半を産生する。SePPは、他の組織でも発現しており、おそらくそれらによって分泌される(Hill et al. 1993. Proc Natl Acad Sci USA 90:537-541; Yang et al. 2000. Biochim Biophys Acta 1474: 390-396)。肝臓は、いくつかの供給源からセレンを取得し、セレノプロテイン合成と生体からの排出の間でセレンを配分する。特に、肝臓は、その固有のセレノプロテイン並びに分泌されたセレン分子SePP及び排泄性の代謝産物を合成する。従って、全身のセレンは、セレノプロテイン合成及びセレン排泄性代謝産物合成の経路の間の代謝的に利用可能なセレンの分布によって肝臓で制御されていると考えられる。
【0011】
上昇した循環セレノプロテインP濃度は、T2DM及び糖尿病前症の患者で報告されており、アテローム性動脈硬化症に関連していることが示されている(Yang, et al. 2011. J. Clin. Endocrinol. Metab. 96: E1325-E132)。加えて、SePP濃度は、過体重及び肥満の患者で増加した(Chen et al. 2017. Obes Res Clin Pract 11(2): 227-232)。対照的に、SePP濃度は、敗血症で減少し、おそらくセレン濃度の低下(Hollenbach et al. 2008. Journal of Trace Elements in Medicine and Biology 22: 24-32)又は肝臓によるセレン放出の減少(Renko et al. 2009. FASEB J 23:1758-1765)が原因である。メタボリックシンドロームの状態に関連する循環SePPレベルの大幅な減少は、心血管疾患が報告されている患者においても見られた(Gharipour et al. 2017. J Gene Med 19:e2945)。
【0012】
血清セレンとセレノプロテインPレベルの間には、非常に顕著な相関が見られた(Andoh et al. 2005. Nutrition 21(5): 574-9)。
【0013】
抗体ベースのアッセイによるいくつかのSePP定量法が知られている: 放射免疫アッセイ(Hill et al. 1996. J Nutr 126:138-45)、酵素結合免疫吸着アッセイ(Andoh et al. 2005. Nutrition 21(5):574-9)、高感度化学発光イムノアッセイ(Hollenbach et al. 2008. Journal of Trace Elements in Medicine and Biology 22: 24-32)及び標準参照物質に対して較正された最新のサンドイッチSELENOP-ELISA(Hybsier et al. 2017. Redox Biology 11: 403-414)。
【0014】
主に糖尿病患者における死亡の原因となる全てのリスクの増加は、血漿SePP値の低下を示しており、WO2015/185672に記載されている。
【発明の概要】
【0015】
本発明の主題は、健康な対象における初回心血管イベント(心血管に起因する死亡を含む)が発生するリスクを予測するためのSePPの予後及び診断力を調査することであった。この問題に対処するために、スウェーデンの前向きコホート研究(マルメ予防プロジェクト(Malmo Preventive Project)(MPP))でSePPを測定した。そして、このバイオマーカーのベールラインレベルは、10年間の追跡調査中での初回心血管イベント(心血管に起因する死亡を含む)に関連する。
【0016】
驚くべきことに、セレノプロテインP及び/又はその断片は、特に喫煙者において、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを予測するための強力且つ、非常に重要なバイオマーカーであることが示された。
【0017】
本発明の主題は、対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する方法又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法であって、以下:
a)前記対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片のレベル及び/又は量を決定すること、
b)セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又はその量を、前記対象における初回心血管イベントが発生するリスクと関連付けること又は心血管に起因する死亡のリスクを評価すること、
を含む方法である。
【0018】
本発明の主題は、上記で定義されるように、対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価するため又は対象における心血管に起因する死亡のリスクを評価するための方法であって、ここで、前記対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又はその量が、閾値未満である場合、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが強化される。
【0019】
本発明の主題は、上記で定義されたように、対象の初回心血管イベントが発生するリスク評価するため、又は対象の心血管に起因する死亡のリスクを評価するための方法であって、ここで、前記サンプル中の前記セレノプロテインP及び/又はその断片の量が、閾値未満である場合、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが強化され、ここで、前記閾値が、4.0~5.5mg/Lである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、SePP濃度による心血管に起因する死亡のリスクのKaplan-Meierプロットを示す。
図2図2は、SePP濃度による初回心血管イベントのリスクのKaplan-Meierプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される「対象」という用語は、生きている人又は非ヒト生物を指す。好ましくは、本明細書では、対象は、ヒト対象である。特に明記しない限り、対象は、健康又は病期である可能性がある。
【0022】
一実施形態において、前記対象は、スタチンを服用していないか、又はスタチンによる治療を受けていない。
【0023】
「レベルの減少(decreased level)」という用語は、特定の閾値レベル未満のレベルを意味する。「増加したレベル(increased level)」という用語は、特定の閾値レベルを超えるレベルを意味する。
【0024】
体液は、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、及び唾液を含む群から選択され得る。
【0025】
「セレノプロテインPのレベルを決定する」という用語は、通常、前述の分子内の領域に対する免疫反応性が決定されることを意味する。つまり、特定の断片が選択的に測定される必要はない。セレノプロテインP及び/又はその断片のレベルの決定に使用されるバインダーは、前記バインダーの結合領域を含む何れかの断片に結合することが理解されている。前記バインダーは、抗体又は抗体断片又は非IgGスキャフォールド(Scaffold)であり得る。
【0026】
特定の一実施形態において、セレノプロテインPのレベルは、イムノアッセイで測定され、前記バインダーは、抗体、又はセレノプロテインP及び/又はその断片に結合する抗体である。
【0027】
様々なイムノアッセイが知られており、本発明のアッセイ及び方法に用いられ得る。それらは、ラジオイムノアッセイ(「RIA」)、均一酵素増幅免疫測定法(「EMIT」)、酵素結合免疫吸着アッセイ(「ELISA」)、アポ酵素再活性化イムノアッセイ(「ARIS」)、化学発光及び発光免疫アッセイ、Luminexベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、並びにイムノクロマトグラフィーストリップテスト(「ディップスティックイムノアッセイ」)及びイムノクロマトグラフィーアッセイ等の迅速なテスト形式を含む。
【0028】
本発明の一実施形態において、このようなアッセイは、限定されないが、酵素標識、化学発光標識、電気化学発光標識を含む何れかの種類の検出技術を使用するサンドイッチイムノアッセイである。本発明の一実施形態において、そのようなアッセイは、酵素標識サンドイッチアッセイである。自動化又は完全自動化されたアッセイの例は、以下のシステムの1つで用いられ得るアッセイを含む:Roche Elecsys(登録商標)、Abbott Architect(登録商標)、Siemens Centauer(登録商標)、Brahms Kryptor(登録商標)、Biomerieux Vidas(登録商標)、Alere Triage(登録商標)。
【0029】
本発明の一実施形態において、それは、完全に自動化されたアッセイシステムを必要とせずに患者の近くで1時間以内に試験を実施できる試験技術である、いわゆるPOC試験(ポイントオブケア(point-of-care))であり得る。この技術の1つの例は、免疫クロマトグラフィー試験技術である。
【0030】
本発明の一実施形態において、検出されるために、前記2つのバインダーの少なくとも1つが標識される。
【0031】
好ましい実施形態において、前記標識は、化学発光標識、酵素標識、蛍光標識、放射性ヨウ素標識を含む群から選択される。
【0032】
アッセイは、同種又は異種アッセイ、競合及び非競合アッセイであり得る。一実施形態において、アッセイは、非競合イムノアッセイであるサンドイッチアッセイの形式であり、ここで、検出及び/又は定量化される分子が、一次抗体及び二次抗体に結合する。一次抗体は、固相、例えばビーズ、ウェル又は他の容器の表面、チップ又はストリップ等に結合されてもよく、二次抗体は、例えば、色素、放射性同位元素、又は反応性若しくは触媒活性部分で標識された抗体である。次いで、分析物に結合した標識抗体の量を適切な方法で測定する。「サンドイッチアッセイ」に関連する一般的な組成及び手順は、十分に確立されており、当業者に周知である(The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C et al., Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb;10(1):4-10. PMID: 16376134)。
【0033】
他の実施形態において、アッセイは、2つの補足分子、好ましくは両方が液体反応混合物中の分散液として存在する抗体を含み、ここで、第1の標識成分は、第1の補足分子に付着し、ここで、前記第1の標識成分は、経口又は化学発光の症候又は増幅に基づく標識システムの一部であり、前記マーキングシステムの第2の標識成分は、第2の補足分子に付着し、その結果、両方の補足分子が分析物に結合すると、測定可能な信号が生成され、サンプルを含む溶液中に形成されたサンドイッチ複合体の検出が可能になる。
【0034】
他の実施形態において、前記標識システムは、蛍光色素又は化学発光色素、特にシアニンタイプの色素と組み合わせた希土類クリプテート又は希土類キレートを含む。
【0035】
本発明の内容において、蛍光ベースのアッセイは、色素の使用を含み、これは、例えば、FAM(5-又は6-カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチアシアネート(FITC)、IRD-700/800、シアニン色素、例えば、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、キサンテン、6-カルボキシ-2’,4’,7’,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’、7’-ジメソダイフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5)、6-カルボキシローダミン-6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY色素、例えば、BODIPY TMR、オレンジグリーン、クマリン、例えば、ウンベリフェロン、ベンズイミド、例えば、ヘキスト33258; フェナントリジン、例えば、テキサスレッド、ヤキマイエロー、アレクサフロー、PET、エチジウムブロマイド、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素、及び同様のものを含む群から選択され得る。
【0036】
本発明の内容において、化学発光ベースのアッセイは、先行技術文献(Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed., executive editor, J. I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p. 518-562, incorporated herein by reference, including citations on pages 551-562)の化学発光材料について説明した物理原理に基づいた色素の使用を含む。化学発光標識は、アクリジニウムエステル標識、イソルミノール標識を含むステロイド標識、及び同様のものであり得る。好ましい化学発光色素は、アクリジニウムエステルである。
【0037】
酵素標識は、乳酸脱水素酵素(LDH)、クレアチンキナーゼ(CPK)、アルカリフォスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、酸性フォスファターゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ等であり得る。
【0038】
本発明によるサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片を決定するためのアッセイの一実施形態において、前記アッセイの感度は、<0.100mg/L、好ましくは<0.05mg/L、より好ましくは<0.01mg/Lである。
【0039】
本発明によれば、セレノプロテインP及び/又はその断片に対する診断用バインダーは、抗体、例えばIgG、典型的な全長免疫グロブリン、又は限定されないが、Fabミニボディ、単一鎖Fab抗体、例えば、Fab-V5Sx2; CH3ドメインと二量体化した多価Fab(ミニ抗体)等のエピトープタグを有する一価抗体を含むFab断片を含む化学結合抗体(断片抗原結合)等の少なくとも重鎖及び/又は軽鎖のF-可変ドメインを含む抗体断片;二価Fab又は多価Fab、例えば、異種ドメインの助けを借りた多量体化により形成された、例えば、dHLXドドメインの二量体化を介した、例えばFab-dHLX-FSx2; F(ab‘)2-断片、scFv-断片、多量体化多価及び/又は多重特異性scFv断片、二価及び/又は二重特異性ダイアボディ、BITE(登録商標)(二重特異性T細胞エンガー)、三重機能性抗体、多価抗体、例えば、Gとは異なるクラス由来; 単一ドメイン抗体、例えばラクダ科又は魚類の免疫グロブリンに由来するナノボディからなる群から選択される。
【0040】
特定の実施形態において、セレノプロテインP及び/又はその断片のレベルは、セレノプロテインP及び/又はその断片への結合について以下により詳細に記載される抗体、抗体断片、アプタマー、非Igスキャフォールドを含む群から選択されるバインダーを用いるアッセイで測定される。
【0041】
本明細書で言及されるように、「アッセイ」又は「診断アッセイ」は、診断の分野で適用される何れかのタイプのものであり得る。そのようなアッセイは、検出される分析物の特定の親和性を有する1つ以上の補足プローブに対する結合に基づいてもよい。補足分子と標的分子又は目的分子との相互作用に関して、親和定数は、10-1より大きく、好ましくは10-1が好ましく、10-1がより好ましく、1010-1が最も好ましい。結合アフィニティは、サービス分析として提供される、例えば、Biaffin、kassel、ドイツ((http://www.biaffin.com/de/)等の、ビアコア法を使用して決定され得る。
【0042】
本発明の内容において、「バインダー分子」は、サンプルからの標的分子又は目的分子、すなわち、分析物(すなわち、本発明の内容において、セレノプロテインP及びその断片)を結合するために使用できる分子である。従って、バインダー分子は、空間的に、及び表面電荷、疎水性、親和性、ルイドナー及び/又はアクセプターの有無等の表面特徴の両方に関して、標的分子又は目的分子を特異的に結合するために適切に形成されなければならない。これにより、結合は、例えば、イオン、ファンデルワールス、パイ-パイ、シグマ-パイ、疎水性又は水素結合相互作用、又は補足分子と標的分子又は目的分子の間の前述の相互作用の2つ以上の組み合わせによって媒介され得る。本発明の内容において、バインダー分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、抗体、ペプチド又は糖タンパク質を含む群から選択され得る。好ましくは、バインダー分子は、目的の標的又は分子に対して十分な親和性を有する断片を含む抗体、及び組換え抗体又は組換え抗体断片、並びに抗体又は抗体断片の少なくとも12個のアミノ酸超を有する変異鎖に由来する前記抗体又は断片の科学的及び/又は生化学的に改変された誘導体、を含む抗体である。
【0043】
抗体に加えて、他のバイオポリマースキャフォールドは、標的分子を複合体化することについて当該技術分野で周知であり、高い標的特異性を有するバイオポリマーの生成のために用いられてきた。その例は、アプタマー、シュピーゲルマー、アンチカリン及びコノトキシンである。非Igスキャフォールドは、タンパク質スキャフォールドであり得、リガンド又は抗原に結合できるため、抗体模倣物として使用され得る。非Igスキャフォールドは、テトラネクチンベースの非Igスキャフォールド(例えば、US2010/0028995に記載)、フィブロネクチンスキャフォールド(例えば、EP 1266 025に記載);リポカリンベースのスキャフォールド(例えば、WO 2011/154420に記載); ユビキチンスキャフォールド(例えば、WO 2011/073214に記載)、トランスファリングスキャフォールド(例えば、US 2004/0023334に記載)、タンパク質Aスキャフォールド(例えば、EP 2231860に記載)、アンキリンリピートベースのスキャフォールド(例えば、WO 2010/060748に記載)、ミクロタンパク質(好ましくはシステインノットを形成するミクロタンパク質)スキャフォールド(例えば、EP 2314308に記載)、Fyn SH3ドメインベースのスキャフォールド(例えば、WO 2011/023685に記載)、EGFR-A-ドメインベースのスキャフォールド(例えば、WO 2005/040229に記載)及びクニッツドメインベースのスキャフォールド(例えば、EP 1941867に記載)、を含む群から選択され得る。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記2つのバインダーの少なくとも1つは、磁性粒子として固相に、及びポリスチレン表面に結合される。
【0045】
あるいは、上記の分析物の何れかのレベルは、他の分析方法、例えば質量分析によって決定され得る。
【0046】
本発明による方法の特定の一実施形態において、前記対象は、心血管イベントを一度も発症したことがなく、心血管疾患を一度も発症したことがない。本発明による方法の他の特定の実施形態において、前記対象は、頸動脈プラークを有するが頸動脈疾患の症状を有しない。アテローム性動脈硬化症の存在を検出し、その退行、停止、又は進行を監視する確立された方法は、内中膜複合体厚(IMT)の測定である(de Groot et al. 2008. Nature Reviews Cardiology 5, 280-288)。これは、動脈壁の最も内側の2つの相である内膜及び中膜の厚さの測定値である。通常、測定は、外部の超音波によって行われ、場合により内部の侵襲的な超音波カテーテルによって行われる。FDAは、臨床試験への応用のためにアテローム性動脈硬化症の代理マーカーとしてIMTを承認した。IMTの範囲は、心血管の転帰及び薬物の有効性との経時的変化(年間のIMTの統計的に有意な)に関連する(de Groot et al. 2008. Nature Reviews Cardiology 5; Hedblad et al. 2001. Circulation 103:1721-1726)。
【0047】
本発明の他の特定の実施形態において、体液のサンプルが前記対象から採取される時点で、前記対象は、心血管疾患の素因を有しない、例えば、糖尿病前症、空腹時血糖障害又は真性糖尿病を有しない。
【0048】
前記心血管イベント又は心血管疾患は、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心筋症、心筋梗塞及び脳卒中を含む群から選択され得る。前記心疾患イベント又は心血管疾患は、心筋梗塞、急性心不全、脳卒中を含む群から選択され得、及び前記心血管に起因する死亡(cardiovascular mortality)は、心筋梗塞、脳卒中又は急性心不全に関連する心血管死から選択される。
【0049】
一実施形態において、前記心血管イベント又は心血管疾患は、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心筋症及び心筋梗塞を含む群から選択され得る。前記心血管イベント又は心血管疾患は、心筋梗塞、急性心不全を含む群から選択され得、及び前記心血管に起因する死亡は、心筋梗塞に関連する心血管死、又は急性心不全から選択される。
【0050】
一実施形態において、前記心血管イベント又は心血管疾患は、心不全、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心筋症及び心筋梗塞を含む群から選択され得るが、前記心血管イベント又は心血管疾患は、脳卒中ではない。前記心血管イベント又は心血管疾患は、心筋梗塞、急性心不全を含む群から選択され得るが、前記心血管イベント又は心血管疾患は、脳卒中ではなく、及び前記心血管に起因する死亡は、心筋梗塞に関連する心血管死、又は急性心不全から選択されるが、心血管に起因する死亡は、脳卒中と関連しない。
【0051】
本発明による方法の一実施形態において、前記方法は、初回心血管イベントの予防又は心血管疾患の予防に使用される。
【0052】
本発明による方法の一実施形態において、前記方法は、脳卒中ではない初回心血管イベントの予防、又は脳卒中ではない心血管疾患の予防に使用される。
【0053】
本発明の特定の実施形態において、前記初回心血管イベントは、心筋梗塞、急性心不全、脳卒中、冠血行再建及び心筋梗塞、脳卒中又は急性心不全に関連する心血管死を含む群から選択される急性心血管イベントである。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、前記初回心血管イベントは、心筋梗塞、急性心不全、冠血行再建及び心筋梗塞に関連する心血管死、又は急性心不全を含む群から選択される急性心血管イベントである。
【0055】
本発明の特定の実施形態において、前記初回心血管イベントは、心筋梗塞、急性心不全、冠血行再建であるが、脳卒中ではなく、及び心筋梗塞に関連する心血管死、又は急性心不全であるが、脳卒中には関連しない、の群から選択される急性心血管イベントである。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記対象は、現在喫煙者である、又は以前に喫煙者(過去に、例えば数週間前又は数か月前又は数年前に喫煙したことがある)であった対象である。喫煙者は、喫煙している対象、例えば定期的にたばこを吸う(社交的な喫煙の様な時折の喫煙又はそのうちの喫煙(some-day smoking))と定義される。
【0057】
初回心血管イベント又は心血管死のリスクは、心血管の素因に起因してイベントが発生するリスク、又は一定期間内に心血管の素因により死亡するリスクを意味する。特定の実施形態において、前記期間は、10年以内、又は8年以内、又は5年以内又は2.5年以内である。
【0058】
初回心血管イベント又は心血管に起因する死亡のリスクは、一定期間内に心血管の素因によりイベントが発生するリスク、又は一定期間内に心血管の素因により死亡するリスクを意味するが、ここで、心血管イベント又は心血管に起因する死亡は、脳卒中ではなく又は脳卒中に関連しない。特定の実施形態において、前記期間は、10年以内、又は8年以内、又は5年以内又は2.5年以内である。
【0059】
糖尿病の定義は、以下の通りである:医師の診断歴又は抗糖尿病薬を服用しているか又はベースライン検査で全血グルコースが空腹時>/=6.1mmol(血漿中7.0mmol/lであることに注意)である。
【0060】
糖尿病前症又は空腹時血糖障害(FG)は、全血の空腹時血漿グルコースが、>/=5.4~<6.1mmol/l(6.1~6.9mmol/lに相当)として定義される。本発明による方法の特定の実施形態において、前記対象は、空腹時全血グルコースが、5.4mmol/l(血漿中<6.1mmol/lに相当)未満の非糖尿病対象である。
【0061】
正常血圧/高血圧(HBP)の定義は、以下の通りである。
【0062】
HBPは、収縮期血圧>/=140mmHg、拡張期血圧>/=90mmHg又は降圧薬を服用していると定義される。正常な血圧の対象は、他の全ての対象、つまり、収縮期血圧が、140mmHg未満又は拡張期血圧が90mmHg未満又は降圧薬を服用していない対象である。
【0063】
他の実施形態において、少なくとも1つの臨床パラメータがさらに決定され、ここで、前記臨床パラメータは、年齢、真性糖尿病の存在、現在の喫煙、収縮期血圧、拡張期血圧、ボディマスインデックス(BMI)、抗圧治療、ウェストとヒップの比率、ウェスト周囲、を含む群から選択される。
【0064】
本発明の方法の特定の実施形態において、さらに、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーは、前記対象の体液中で決定され、前記初回心血管イベントが発生するリスクと相関し、ここで、前記さらなるバイオマーカーが、プロニューロテンシン1-117(PNT 1-117)、C反応性タンパク質(CRP)、プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド1-108(プロBNP 1-108)、プロBNP、BNP、心房性ナトリウム利尿ペプチド1-98(プロANP-N末端断片)、少なくとも5アミノ酸長のプロANP及びその断片アドレノメデュリン、少なくとも5アミノ酸長のプロアドレノメデュリン(プロADM)及びその断片ST-2、GDF15、ガレクチン-3、コペプチン、ヒト成長ホルモン(hGH)、空腹時血糖又は血漿グルコース、トリグリセリド、HDLコレステロール又はそのサブフラクション、LDLコレステロール又はそのサブフラクション、インスリン、シスタチンCを含む群から選択される。
【0065】
本発明の主題はまた、前述の何れかの段落で定義されているように、初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクを決定する方法であって、ここで、前記方法は、以下にさらに定義されるように、前記対象をリスク群に層別化するために実行される。本発明の特定の実施形態において、方法は、対象をリスク群に層別化(例えば、初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクが低い、リスクが中程度、リスクが高い)するために使用される。初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクが引くは、セレノプロテインP及び/又はその断片の値が、初回心血管イベント又は心血管死が発生しない健康な対象の所定の値と比較して実質的に減少しないことを意味する。セレノプロテインP及び/又はその断片のレベルが、初回心血管イベント又は心血管死が発生しない健康な対象の所定の値と比較して上昇する場合、中程度のリスクが存在し、セレノプロテインP及び/又はその断片のレベルが、ベースライン測定時に大幅に低下し、その後の分析で低下し続ける場合、高いリスクが存在するとする。
【0066】
セレノプロテインPの断片は、配列番号3~15を含む群から選択され得る。
【0067】
初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクを決定するための閾値は、健康な集団の正常範囲の下限、例えば中央値5.5mg/L、より好ましくは5.0mg/L、さらにより好ましくは4.5mg/L、最も好ましくは4.0mg/Lであり得る。閾値の範囲は、4.0~5.5mg/Lの間である。これらの閾値は、実施例で説明される較正方法に関連する。
【0068】
全ての閾値及び値は、実施例に用いられるテスト及び較正に関して確認する必要がある。当業者には、閾値の絶対値が、用いられる較正によって影響を受ける可能性があることは周知である。これは、本明細書に記載される全ての値及び閾値は、用いられる較正の内容で解釈され得ることを意味する。
【0069】
閾値レベルは、特定の病状(例えば、心血管イベント)を発症した対象からのサンプル及び病状を発症しなかった対象からのサンプルを測定することによって決定され得る。閾値を決定する可能性の1つは、受信者操作特性曲線(ROC曲線)であり、「正常」集団(例えば、病状を発症しない対象)及び「疾患」集団(例えば、病状を発症した対象)における変数の値及びその相対頻度をプロットする。特定の病状を発症している、又は発症していない対象のマーカーレベルの分布は、おそらく重複する。そのような条件下において、テストは、「正常」及び「疾患」を100%の精度で区別できず、重複する領域は、テストが正常と「疾患」を区別することができない場所にある。閾値は選択され、閾値を超えると(又は低下すると、「疾患」でマーカーがどのように変化するかに応じて)テストは、異常ありとみなされ、それを下回るとテストは、正常とみなされる。ROC曲線下面積は、知覚された測定によって病状を正しく特定できる確率の尺度である。ROC曲線は、テスト結果で必ずしも正確な数値が得られない場合でも使用され得る。結果を等級付けできる限り、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾患」サンプル上のテスト結果は、程度によって(例えば、1=低い、2=正常、3=高い)等級付けされ得る。この等級は、「正常」集団と相関され得、ROC曲線が作製される。これらの方法は、当該技術分野で公知である(Hanley et al. 1982. Radiology 143: 29-36)。好ましくは、閾値は、約0.5を超える、より好ましくは約0.7を超える、さらにより好ましくは約0.8を超える、さらにより好ましくは約0.85を超える、及び最も好ましくは約0.9を超えるROC曲線面積お提供するように選択される。この文脈における「約」という用語は、所定の測定値の+/-5%を指す。ROC曲線の横軸は、(1-特異性)を表し、偽陽性率とともに増加する。曲線の縦軸は感度をあらわし、真陽性率とともに増加する。従って、選択されたカットオフについて、(1-特異性)の値が決定され得、対応する感度が得られ得る。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが、疾患又は病状の正確な識別を可能にする確立の尺度である。従って、ROC曲線の下面積は、テストの有効性を判断するために用いられ得る。オッズ比は、効果の大きな尺度であり、2つのバイナリデータ値間の関連性又は非独立性の強さを表す(例えば、テスト陰性群で発生するイベントのオッズに対するテスト陽性群で発生するオッズの比)。
【0070】
閾値レベルは、例えば、カプランマイヤー分析から得ることができ、疾患の発生又は重篤な病状及び/又は死亡の確立は、例えば、集団の各マーカーの四分位と相関する。この分析によれば、75thパーセンタイルを超えるマーカーレベルを有する対象は、本発明による疾患が発生するリスクが著しく増加している。この結果は、典型的なリスク要因を調整するCox回帰分析によってさらに補足される。他の全ての対象に対する最も高い(又は最も低い四分位、「疾患」でマーカーがどのように変化するかに応じて)は、本発明によれば、疾患を発症するリスクの増加又は重篤な病状及び/又は死亡の可能性と非常に有意に関連する。
【0071】
他の好ましいカットオフ値は、例えば、参照集団の10th、5th又は1stパーセンタイルである。25thパーセンタイルより高いパーセンタイルを使用することにより、特定される偽陽性の対象の数を減らすが、リスクが未だに高いにもかかわらず、中程度の対象を特定できない場合がある。従って、「偽陽性」も特定する代わりに、リスクを有する対象のほとんどを特定することがより適切であるとみなされるか、又は中程度のリスクを有するいくつかの対象を見落とす代わりに主に高いリスクを有する対象を特定することがより適切であるかとみなされるかに応じて、カットオフ値を適応させることができる。
【0072】
当業者にとって、そのような統計的に有意なレベルを決定する方法は周知である。
【0073】
本発明の主題はまた、前述の段落の何れかにおける初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクを決定する方法であって、ここで、前記方法が、初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクを監視するために複数回実行される。前記監視は、セレノプロテインP及び/又はその断片の測定を用いて行われる予防的及び/又は治療的措置に対する前記対象の反応を評価する目的で行われ得る。
【0074】
本発明の一実施形態において、サンプルは、全血、血漿、及び血清を含む群から選択される。
【0075】
予防的療法又は介入は、セレンの補充である。セレンは、亜セレン酸塩、セレン酸塩、又はセレノメチオニン(L-セレノメチオニン)として使用され得る。
【0076】
セレンの補充は、ビタミン類(例えば、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンA)及び/又はミネラル栄養素(例えば、ヨウ素、フッ化物、亜鉛)及び/又は補因子(例えば、コエンザイムQ10)と組み合わせて適用され得る。
【0077】
一般に心臓発作として知られている心筋梗塞(MI)は、心臓の一部への血流が減少又は停止した際に発生し、心筋に損傷を与える。最も一般的な症状は、胸の痛み又は不快感であり、肩、腕、背中、首、又は頬に伝わる。心筋梗塞は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)又は非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)に分類され得る。
【0078】
心不全(HF)は、心臓の構造又は機能に問題を有し、体が必要とするのに十分な量の血液を供給する能力が損なわれると発生する心臓の病状である。これは、様々な症状、特に安静時又は運動時の息切れ(SOB)、肺うっ血及び足首の腫れ等の体液貯留の兆候、安静時の心臓の構造又は機能の異常性を示す客観的な証拠の原因となり得る。急性心不全(AHF)は、緊急治療又は入院の必要性がある心不全の兆候及び症状の急速な発症として定義される。AHFは、急性デノボHF(以前に心機能不全のない患者におけるAHFの新たな発症)又は慢性HFの急性代償不全として現れ得る。
【0079】
脳卒中は、脳血管疾患に起因する急性限局性神経学的欠損として定義される。脳卒中の2つの主なタイプは、虚血性と出血性であり、それぞれ、約85%及び15%を占める。上記のように、いくつかの特定の実施形態において、初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価するための本明細書で開示される方法は、上記脳卒中等ではなく、ここで、脳卒中は、初回心血管イベントである、又は心血管に起因する死亡は、脳卒中に関連する。
【0080】
冠血行再建は、経皮的冠動脈形成術(PCI)及び冠動脈バイパス術(CABG)を含む。経皮的冠動脈形成術(PCI)は、冠動脈疾患で見られる心臓の冠動脈の狭窄(狭窄症(stenosis))の治療に使用される非外科的手法である。大動脈又は橈骨動脈を介して血流に達した後、当該手法は、冠動脈カテーテル法を使用して、X線画像で血管を視覚化する。これの後に、インターベンショナル心臓医は、収縮したバルーンを閉塞した動脈内に勧め、狭窄を緩和するために膨らませたバルーンカテーテルを用いて、冠動脈形成術を行うことができる;スタント等の特定の装置が、血管の開放を維持するために使用され得る。他の様々な手段も実行され得る。冠動脈バイパス術は、冠動脈バイパス移植術(CABG、発音「キャベッジ」)とも呼ばれ、口語的には心臓バイパス又はバイパス手術と呼ばれ、閉塞した冠動脈への正常な血流を回復させるための外科的処置である。この手術は、冠動脈の閉塞が50%~99%の場合に多く用いられる。
【0081】
本発明の主題は、セレノプロテインP及び/又はその断片の測定を用いて、初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクが高いと識別された対象におけるセレンの補充であり、ここで、前記対象は、現在喫煙者である対象又は以前に喫煙者であった対象である。
【0082】
本発明の主題はまた、セレノプロテインP及び/又はその断片の測定を用いて、初回心血管イベント又は心血管死が発生するリスクが高いと識別された対象におけるセレンの補充であり、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0083】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は血管死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであり、ここで、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する。
【0084】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は血管死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであり、ここで、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0085】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は血管死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであり、ここで、前記対象が、本発明によって記載される方法に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する。
【0086】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は血管死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであり、ここで、前記対象が、本発明によって記載される方法に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、及び心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0087】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、本発明によって記載されるような方法に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が、閾値を下回り、及び前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である。
【0088】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、本発明によって記載されるような方法に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が、閾値を下回り、及び前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間であり、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0089】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡リスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、本発明によって記載されるような方法に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、前記対象が喫煙者である。
【0090】
本発明の主題は、たばこ又はニコチン性消耗品の箱とセレンを含む錠剤を含むキットである。
【0091】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する場合、セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与される。
【0092】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する場合、セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与され、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0093】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与され、前記対象が、本発明に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する。
【0094】
本発明の主題は、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与され、前記対象が、本発明に従って決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中と関連しない。
【0095】
本発明の主題は、上記実施形態で説明されるように、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が、閾値を下回り、ここで前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である。
【0096】
本発明の主題は、上記実施形態で説明されるように、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が、閾値を下回り、ここで、前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間であり、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、及び心血管に起因する死亡が、脳卒中に関連しない。
【0097】
本発明の主題は、上記何れかの実施形態で説明されるように、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、前記対象が喫煙者である。
【0098】
本発明の主題は、上記何れかの実施形態で説明されるように、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、前記対象が喫煙者であり、ここで、脳卒中が、初回心血管イベントではなく、心血管に起因する死亡が、脳卒中に関連しない。
【0099】
本発明の主題は、ニコチン性消耗品及びセレンを含む固体組成物を含むキットである。ニコチン性消耗品は、たばこを含む消耗品、例えばシガレット又は葉巻又はニコチンパッチを含むたばこ等である。
【0100】
セレンの固形投与製剤は、例えば、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、小袋、再構成可能な粉末、乾燥粉末、乾燥粉末吸入器及びチュアブルである。
【0101】
キットは、キットの一部であり得、これはセレンを含むニコチン性消耗品及び固体組成物は、異なる実体であり得ることを意味する。しかしながら、セレンを含む固体組成物が、ニコチン性消耗品内、例えば、ニコチン性消耗品のたばこと混合されるセレンを含む粉末内に含まれることも可能である。
【0102】
本発明の主題はまた、以下の項目の15~23の何れかによる治療方法を監視する方法であって、以下の項目の1~14の何れかによるリスクを評価する方法であって、前記方法が、少なくとも2回実施される方法である。従って、セレンは、セレン組成物の投与期間中に対象のサンプルで決定され、セレン投与を継続するか否かを確認する。監視の目的のためのこの決定は、治療中の異なる時点で、例えば1日1回、又は1週間に1回での伝導(conduction)であり得る。
【0103】
本発明の実施形態は以下の通りである:
1.対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法であって、
a)前記対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片のレベル及び/又は量を決定すること、
b)セレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量を、前記対象の初回心血管イベントが発生するリスクと相関させること、又は心血管に起因する死亡のリスクを評価すること、
を含む方法。
【0104】
2.対象のサンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の決定されたレベル及び/又は量が閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクを評価すること又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが、強化される、項目1に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0105】
3.前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクを評価すること、又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが、強化され、ここで、前記閾値が4.0~5.5mg/Lの間である、項目1に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0106】
4.前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクを評価すること、又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが、強化され、ここで、前記閾値が、受信者操作特性曲線(ROC曲線)を計算することによって決定され、「正常」集団(例えば、病状を発症しなかった対象)及び「疾患」集団(例えば、病状を発症した対象)における変数の値対その相対頻度をプロットする、項目1~3に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0107】
5.前記サンプル中のセレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回る際に、初回心血管イベントが発生するリスクを評価すること、又は心血管に起因する死亡のリスクを評価することが、強化され、ここで、前記閾値が、健康集団の正常範囲を下回る、例えば、中央値5.5mg/L、より好ましくは5.0mg/L、さらにより好ましくは4.5mg/L、最も好ましくは4.0mg/Lである、項目1~4に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0108】
6.前記対象が、サンプル採取時に心血管イベントを発症したことがなく、心血管疾患を発症したことがない、項目1~5に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0109】
7.前記初回心血管イベントが、心筋梗塞、急性心不全、脳卒中、冠血行再建を含む群から選択され、及び前記心血管に起因する死亡が、心筋梗塞、脳卒中又は急性心不全に関連する心血管死から選択される、項目1~6に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0110】
8.前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、項目1~7に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0111】
9.セレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、配列番号2に結合する少なくとも1つの結合剤を使用するイムノアッセイによって決定される、項目1~8に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0112】
10.前記少なくとも1つの結合剤が、抗体又はその断片である、項目9に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0113】
11.セレノプロテインP及び/又はその断片の前記レベル及び/又はその量が、質量分析によって決定される、項目1~8に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0114】
12.前記対象が、真性糖尿病を患っていない、項目1~11に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0115】
13.前記死亡を含む初回心血管イベントが発生するリスクが、前記対象からサンプルを採取した後、10年、好ましくは8年、好ましくは5年、好ましくは2.5年の期間評価される、項目1~12に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0116】
14.前記サンプルが、全血、血漿、及び血清を含む群から選択される、項目1~13に記載の対象における初回心血管イベントが発生するリスクを評価する又は心血管に起因する死亡のリスクを評価する方法。
【0117】
15.初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する、セレン。
【0118】
16.初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、項目1~14の方法によって決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する、セレン。
【0119】
17.初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、項目1~14の方法によって決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、セレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回り、及び前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である、セレン。
【0120】
18.初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療に使用するためのセレンであって、ここで、前記対象が、項目15~17の何れかによる高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有し、前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、セレン。
【0121】
19.ニコチン性消耗品及びセレンを含む固形組成物を含むキット。
【0122】
20.初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法であって、ここで、セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与され、前記対象が、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する、治療方法。
【0123】
21.セレンが、医薬的に許容される量で前記対象に投与され、前記対象が、項目1~14の方法によって決定されるように、高い初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する、初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法。
【0124】
22.セレノプロテインP及び/又はその断片の決定された前記レベル及び/又はその量が、閾値を下回り、及び前記閾値が、4.0~5.5mg/Lの間である、項目21に記載の初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法。
【0125】
23.前記対象が、現在喫煙者である又は以前に喫煙者であった者である、項目20~22の何れかに記載の初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法。
【0126】
24.項目15~23の何れかに記載の治療方法を監視する方法であって、項目1~14の何れかに記載のリスクを評価するための方法が、少なくとも2回実施される、方法。
【0127】
25.前記投与されるセレンが、亜セレン酸塩、セレン酸塩、又はセレノメチオニン(L-セレノメチオニン)を含む群から選択される、項目15~24の何れかに記載の初回心血管イベントが発生するリスク又は心血管に起因する死亡のリスクを有する対象の治療方法。
【0128】
26.上記項目1~25の特定の実施形態において、初回心血管イベントが、脳卒中ではなく、及び/又は心血管に起因する死亡が、脳卒中とは関連しない。
【実施例
【0129】
実施例1:アッセイの説明
血清サンプル中のヒトセレノプロテインPを定量するために、発色酵素結合免疫吸着アッセイである、Selenotest ELISA(Hybsier et al. 2017. Redox Biology 11: 403-414; Hybsier et al. 2015. Perspectives in Science 3: 23-24)が用いられた。Selenotest ELISAは、96ウェルプレート形式のサンドイッチ酵素イムノアッセイであり、抗原の補足及び検出工程に2つの異なるセレノプロテインP特異的モノクローナル抗体を使用する。キャリブレーター及びコントロールのセレノプロテインP濃度は、NIST SRM1950標準参照物質の段階希釈に対する測定によって決定された。モノクローナル抗体(Ab)は、精製された組換えセレノプロテインPのエマルジョンとマウスの免疫によって生成された。特定のモノクローナルAb5は、補足Abとして固定化され、及び特定のmAbは、検出Abとして用いられた。定量下限(LLOQ)は、11.6μg/LのセレノプロテインP濃度で決定され、定量上限(ULOQ)は、538.4μg/Lで決定され、それによって、11.6~538.4μg/LのセレノプロテインP濃度での作業範囲を決定する。20%CVでの交差は、検出限界(LOD)を定義し、6.7μg/LのセレノプロテインP濃度、すなわち、十分に供給された対象の平均血清SePP濃度の約500倍で到達した。シグナルは、アッセイの作業範囲内で希釈すると直線的であり、SePPは、室温、24時間血清中で安定した。さらなるアッセイの詳細は、Hybsier et al. 2017. Redox Biology 11: 403-414を参照されたい。
【0130】
実施例2: MPP研究
研究の説明
集団に基づくマルメ予防プロジェクト(MPP)は、スウェーデンの単一の施設の前向き予測集団に基づく研究である。1974年~1992年の間に、マルメ市地域から同質な民族的背景を有する合計33,346人の男女が採用され、全脂肪原因及び心血管疾患(CVD)の従来の危険因子についてスクリーニングされた。ベースライン手順の詳細な説明は、他の文献に見出される(Fedorowski et al. 2010. Eur Heart J 31: 85-91; Berglund et al. 1996. J Intern Med 239: 489-97)。2002年~2006年の間に、元のMPPコホートの全ての生存者を再検査した。これらのうち、18,240人の参加者(n=6,682人の女性)が、招待に応じ、採血及びEDTA血漿アリコートの-80℃での即時保存を含めて再検査された。2002~2006年の再検査は、現在の調査におけるベースライン時点を表す。
【0131】
セレノプロテインPについて試験された18240人の対象のうち5060人は、ランダムなサンプルである(平均年齢69歳)。4366人の対象は、以前からCVD(心筋梗塞、脳卒中、冠血行再建)を有しない。患者の平均追跡期間は、9.3年であり、死亡(n=1111)、CVDによる死亡(n=351)、第1のCVDイベント(n=745)であった。
【0132】
統計
値は、平均及び標準偏差、中央値及び四分位範囲(IQR)、又は必要に応じて数及びパーセンテージとして表される。Cox比例ハザード回帰を使用して、単変量及び多変量解析におけるイベント発生までのエンドポイント(死亡率、CVDによる死亡及び第1のCVDまでの時間)に対するリスク要因の影響を解析した。比例ハザードの仮定は、全ての変数について試験された。SePP濃度は、対数変換された。全ての連続する変数について、ハザード比(HR)が標準化され、1つのIQRの変化に対するHRが記載された。SePP五分位数を使用してKaplan-Meier法でプロットされた生存曲線が、説明のために用いられた。
【0133】
結果
コホートのベースライン特性を表1示す。
【表1】
【0134】
ベースラインでのSePPの最も低い5分の1位の対象の喫煙率が最も高い(27.5%喫煙者)のに対し、SePPの5分の2~5位においては、16.4~18%である(P<0.001)。
【0135】
SePPの血漿濃度が低い(5分位数が最も低い=SePP欠乏)と心血管に起因する死亡及び初回心血管イベントが、強くかつ、独立で予測される。
【0136】
多変量調整分析(年齢、性別、喫煙、BMI、収縮期血圧、降圧療法、HDL、LDL、糖尿病に合わせて調整)は、最も低いSePP五分位が心血管に起因する死亡と強くかつ、独立に関連していることが明らかとなった(Q1 vs. Q2-5: HR=2.7(2.3-3.1), p<0.0001; 継続的HR(標準化された)=0.83(0.75-0.95), p<0.0001)。
【0137】
多変量調整分析(年齢、性別、喫煙、BMI、収縮期血圧、降圧療法、HDL、LDL、糖尿病に合わせて調整)は、最も低いSePP五分位が初回心血管イベントと強くかつ、独立に関連していることが明らかとなった(Q1 vs. Q2-5: HR=1.5(1.4-1.7), p<0.0001; 継続的HR(標準化された)=0.85(0.79-0.92), p<0.0001)。
【配列表フリーテキスト】
【0138】
配列表
配列番号1:シグナル配列を含むセレノプロテインP(アミノ酸1~381)
MWRSLGLALA LCLLPSGGTE SQDQSSLCKQ PPAWSIRDQD PMLNSNGSVT
VVALLQASUY LCILQASKLE DLRVKLKKEG YSNISYIVVN HQGISSRLKY
THLKNKVSEH IPVYQQEENQ TDVWTLLNGS KDDFLIYDRC GRLVYHLGLP
FSFLTFPYVE EAIKIAYCEK KCGNCSLTTL KDEDFCKRVS LATVDKTVET
PSPHYHHEHH HNHGHQHLGS SELSENQQPG APNAPTHPAP PGLHHHHKHK
GQHRQGHPEN RDMPASEDLQ DLQKKLCRKR CINQLLCKLP TDSELAPRSU
CCHCRHLIFE KTGSAITUQC KENLPSLCSU QGLRAEENIT ESCQURLPPA
AUQISQQLIP TEASASURUK NQAKKUEUPS N
【0139】
配列番号2:分泌されたセレノプロテインP(アミノ酸20~381)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCHCRHLIF EKTGSAITUQ
CKENLPSLCS UQGLRAEENI TESCQURLPP AAUQISQQLI PTEASASURU
KNQAKKUEUP SN
【0140】
配列番号3:セレノプロテインP(アミノ酸20~346)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCHCRHLIF EKTGSAITUQ
CKENLPSLCS UQGLRAEENI TESCQUR
【0141】
配列番号4:セレノプロテインP(アミノ酸20~298)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPR
【0142】
配列番号5:セレノプロテインP(アミノ酸20~299)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS
【0143】
配列番号6:セレノプロテインP(アミノ酸20~300)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS U
【0144】
配列番号7:セレノプロテインP(アミノ酸20~301)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UC
【0145】
配列番号8:セレノプロテインP(アミノ酸20~302)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCC
【0146】
配列番号9:セレノプロテインP(アミノ酸20~303)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCH
【0147】
配列番号10:セレノプロテインP(アミノ酸20~304)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCHC
【0148】
配列番号11:セレノプロテインP(アミノ酸20~305)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCHCR
【0149】
配列番号12:セレノプロテインP(アミノ酸20~306)
ESQDQSSLCK QPPAWSIRDQ DPMLNSNGSV TVVALLQASU YLCILQASKL
EDLRVKLKKE GYSNISYIVV NHQGISSRLK YTHLKNKVSE HIPVYQQEEN
QTDVWTLLNG SKDDFLIYDR CGRLVYHLGL PFSFLTFPYV EEAIKIAYCE
KKCGNCSLTT LKDEDFCKRV SLATVDKTVE TPSPHYHHEH HHNHGHQHLG
SSELSENQQP GAPNAPTHPA PPGLHHHHKH KGQHRQGHPE NRDMPASEDL
QDLQKKLCRK RCINQLLCKL PTDSELAPRS UCCHCRH
【0150】
配列番号13:セレノプロテインP(アミノ酸1~235)
MWRSLGLALA LCLLPSGGTE SQDQSSLCKQ PPAWSIRDQD PMLNSNGSVT
VVALLQASUY LCILQASKLE DLRVKLKKEG YSNISYIVVN HQGISSRLKY
THLKNKVSEH IPVYQQEENQ TDVWTLLNGS KDDFLIYDRC GRLVYHLGLP
FSFLTFPYVE EAIKIAYCEK KCGNCSLTTL KDEDFCKRVS LATVDKTVET
PSPHYHHEHH HNHGHQHLGS SELSENQQPG APNAP
【0151】
配列番号14:セレノプロテインP(アミノ酸279~381)
KRCINQLLCK LPTDSELAPR SUCCHCRHLI FEKTGSAITU QCKENLPSLC
SUQGLRAEEN ITESCQURLP PAAUQISQQL IPTEASASUR UKNQAKKUEU
PSN
【0152】
配列番号15:セレノプロテインP(アミノ酸312~381)
TGSAITUQCK ENLPSLCSUQ GLRAEENITE SCQURLPPAA UQISQQLIPT
EASASURUKN QAKKUEUPSN
図1
図2
【配列表】
0007411546000001.app