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特許7411549組合された非侵襲的および低侵襲的な機械的エネルギ標的化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】組合された非侵襲的および低侵襲的な機械的エネルギ標的化
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61B17/00 700
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020530980
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059831
(87)【国際公開番号】W WO2019111239
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-08-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】62/596,200
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517370906
【氏名又は名称】レ ソルシオン メディカール サウンドバイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルイエット,マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ディオン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リエル,ルイ-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アーレス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】アブード,マルワン
(72)【発明者】
【氏名】アーレス,ダスティン
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-34202(JP,A)
【文献】国際公開第2011/094379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/225
A61B 17/32
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を送って身体の血管内に存在する病変を治療するためのシステムであって、
前記身体の外部から高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を発生させ、かつ、前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を身体を通って波向装置まで伝播させるために構成され、前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波は1MPaから1000MPaの間の振幅および1/fの持続時間でありfは20kHzと10MHzとの間の中心周波数である、外部機械的波源と、
前記血管に挿入可能な前記波向装置とを備え、前記波向装置は前記血管内で前記外部機械的波源に対してかつ前記病変に対して位置決め可能かつ方向付け可能であり、前記波向装置は、
前記外部機械的波源によって発生した前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を受け、
標的方向に従った前記病変上の焦点に向けて前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を方向転換かつ集中して、1MPaから1000MPaの間の振幅および1/fの持続時間でありfは20kHzと10MHzとの間の中心周波数である前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を用いて前記病変を治療するために構成された、システム。
【請求項2】
前記波向装置は、前記外部機械的波源から受けた前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を前記病変上に反射するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記波向装置は、凹形状、球形状、半球形状、および放物線形状のうちの1つを有する少なくとも1つの部分を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記波向装置は、水の音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを有する反射材料で構成される、および被覆される、のうちの一方である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記波向装置は音響ミラーを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記波向装置は、前記外部機械的波源から受けた前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を屈折させるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記波向装置は、水の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する材料で構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記波向装置は、前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を屈折方向に従って屈折させるように、かつ、屈折した前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を焦点に収束させるように適合される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記波向装置は、医用画像上で見える少なくとも1つのマーカを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記マーカは放射線不透過性材料で構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記波向装置は膨張可能なバルーンを備え、前記システムは、前記膨張可能なバルーンの内部に流体を注入して前記バルーンの形状を変化させるために前記膨張可能なバルーンに流体接続された流体源をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記膨張可能なバルーンは音響レンズおよび音響ミラーのうちの一方として動作するように適合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
細長い部材をさらに備え、前記波向装置は前記細長い部材に着脱可能にまたは一体に固定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記細長い部材はバルーンおよびカテーテルのうちの一方を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記波向装置が前記身体の前記血管に挿入されると前記波向装置の位置および向きのうちの少なくとも一方を追跡するための位置追跡装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記位置追跡装置はX線撮像装置および超音波撮像装置のうちの一方を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記位置追跡装置は、前記波向装置によって反射された高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を検出するための機械的波検出器を備え、前記波向装置の前記位置および前記向きのうちの前記少なくとも一方は、前記機械的波検出器によって検出された高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波の振幅、位相および遅延のうちの少なくとも1つに従って求められる、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記波向装置は機械的エネルギを蓄積するまたは復帰させるための機械的な共振構造を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記波向装置は、前記外部機械的波源から受けた前記高振幅かつ短持続時間のパルス化された機械的な波を集中させるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特に、細胞、組織および/または器官に対して医学的治療を実施するために超音波および衝撃波などの機械的な波を用いる医療機器およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
超音波または衝撃波を用いる非侵襲的治療は、一般的に、たとえば腎臓結石および前立腺がんといったさまざまな疾患の治療に使用されている。それらは、機械的な波の供給源が治療対象の患者の身体の外部にあるため、処置が非侵襲的であると見なされ得るので、魅力的である。機械的エネルギ源を適切に設計することにより、通常は機械的な波を体内の治療の標的に収束させることができる。しかしながら、この技術には限界がある。たとえば、治療の標的の正確な位置を得ることは、使用する撮像方法の限界のために難しい場合がある。また、エネルギは、収束する波自体の物理的限界、および、波が伝播する先のさまざまな組織および器官内部の異質性のために、所望の標的位置に正確に収束しない場合がある。さらなる例では、標的におけるエネルギ密度が、所望の治療を達成するのに十分ではない場合がある。
【0003】
したがって、機械的な波を送るための改善された方法および装置が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
第1の広範な局面によると、機械的な波を送って身体の血管内に存在する病変を治療するためのシステムが提供され、上記システムは、上記身体の外部から機械的な波を発生させるための外部機械的波源と、上記血管に挿入可能な波向装置とを備え、上記波向装置は、上記外部機械的波源によって発生した上記機械的な波を受け、標的方向に従って上記機械的な波を方向転換するためのものである。
【0005】
一実施形態において、上記波向装置は、上記外部機械的波源から受けた上記機械的な波を反射して集中させるように適合される。
【0006】
一実施形態において、上記波向装置は、凹形状、半球形状、および放物線形状のうちの1つを有する少なくとも1つの部分を備える。
【0007】
一実施形態において、上記波向装置は、水の音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを有する反射材料で構成される、および被覆される、のうちの一方である。
【0008】
一実施形態において、上記波向装置は音響ミラーを備える。
別の実施形態において、上記波向装置は、上記外部機械的波源から受けた上記機械的な波を屈折させるように適合される。
【0009】
一実施形態において、上記波向装置は、水の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する材料で構成される。
【0010】
一実施形態において、上記波向装置は音響レンズを備える。
一実施形態において、上記波向装置は、医用画像上で見える少なくとも1つのマーカを備える。
【0011】
一実施形態において、上記マーカは放射線不透過性材料で構成される。
一実施形態において、上記放射線不透過性材料は、白金、金、タングステンのうちの1つと、それらの組合せと、上記白金、上記金および上記タングステンのうちの1つがドープされたポリマーとを備える。
【0012】
一実施形態において、上記波向装置は膨張可能なバルーンを備え、上記システムはさらに、上記膨張可能なバルーンの内部に流体を注入して上記バルーンの形状を変化させるために上記膨張可能なバルーンに流体接続された流体源を備える。
【0013】
一実施形態において、上記膨張可能なバルーンは音響レンズとして動作するように適合される。
【0014】
一実施形態において、上記膨張可能なバルーンは音響ミラーとして動作するように適合される。
【0015】
一実施形態において、上記システムは細長い部材をさらに備え、上記波向装置は上記細長い部材に固定されている。
【0016】
一実施形態において、上記波向装置は上記細長い部材に着脱可能に固定されている。
別の実施形態において、上記波向装置は上記細長い部材と一体である。
【0017】
一実施形態において、上記細長い部材はバルーンおよびカテーテルのうちの一方を備える。
【0018】
一実施形態において、上記システムは、上記波向装置が上記身体の上記血管に挿入されると上記波向装置の位置および向きのうちの少なくとも一方を追跡するための位置追跡装置をさらに備える。
【0019】
一実施形態において、上記位置追跡装置はX線撮像装置および超音波撮像装置のうちの一方を備える。
【0020】
別の実施形態において、上記位置追跡装置は、上記波向装置によって反射された機械的な波を検出するための機械的波検出器を備え、上記波向装置の上記位置および上記向きのうちの上記少なくとも一方は、上記機械的波検出器によって検出された機械的な波の振幅、位相および遅延のうちの少なくとも1つに従って求められる。
【0021】
一実施形態において、上記波向装置は機械的エネルギを蓄積するための機械的な共振構造を備える。
【0022】
一実施形態において、上記機械的な共振構造は慣性装置およびコンプライアント装置を備える。
【0023】
一実施形態において、上記波向装置は、ゴミを吸引する、および液体を送る、のうちの一方のための少なくとも1本のチューブを備える。
【0024】
一実施形態において、上記波向装置は電気を発生させるための圧電素子を備える。
別の広範な局面によると、病変を治療するための方法が提供され、上記方法は、波向装置を身体の血管に挿入することを備え、上記血管は治療対象の病変を備え、上記方法はさらに、上記波向装置を上記治療対象の病変に隣接して位置決めすることと、上記身体の外部に位置する外部機械的波源を用いて機械的な波を発生させ、上記機械的な波を上記波向装置に向けて伝播させることと、上記波向装置において、上記機械的な波を方向転換して上記治療対象の病変に集中させることとを備える。
【0025】
一実施形態において、上記機械的な波を方向転換するステップは、上記機械的な波を反射することを備え、上記波向装置は、上記外部機械的波源から受けた上記機械的な波を反射して集中させるように適合される。
【0026】
一実施形態において、上記波向装置は、凹形状、半球形状、および放物線形状のうちの1つを有する少なくとも1つの部分を備える。
【0027】
一実施形態において、上記波向装置は、水の音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを有する反射材料で構成される、および被覆される、のうちの一方である。
【0028】
一実施形態において、上記波向装置は音響ミラーを備える。
別の実施形態において、上記機械的な波を方向転換するステップは、上記機械的な波を屈折させることを備え、上記波向装置は、上記外部機械的波源から受けた上記機械的な波を屈折させて集中させるように適合される。
【0029】
一実施形態において、上記波向装置は、水の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する材料で構成される。
【0030】
一実施形態において、上記波向装置は音響レンズを備える。
一実施形態において、上記波向装置は、医用画像上で見える少なくとも1つのマーカを備える。
【0031】
一実施形態において、上記マーカは放射線不透過性材料で構成される。
一実施形態において、上記放射線不透過性材料は、白金、金、タングステンのうちの1つと、それらの組合せと、上記白金、上記金および上記タングステンのうちの1つがドープされたポリマーとを備える。
【0032】
一実施形態において、上記波向装置は膨張可能なバルーンを備え、上記方法はさらに、上記機械的な波を発生させる前に上記バルーンの所望の形状を得るために上記バルーンを膨張させることおよび収縮させることのうちの一方を備える。
【0033】
一実施形態において、上記膨張可能なバルーンは音響レンズとして動作するように適合される。
【0034】
別の実施形態において、上記膨張可能なバルーンは音響ミラーとして動作するように適合される。
【0035】
一実施形態において、上記波向装置は細長い部材に固定されており、上記波向装置を位置決めするステップは、上記細長い部材の近位端を操作することを備える。
【0036】
一実施形態において、上記波向装置は上記細長い部材に着脱可能に固定されている。
別の実施形態において、上記波向装置は上記細長い部材と一体である。
【0037】
一実施形態において、上記細長い部材はバルーンおよびカテーテルのうちの一方を備える。
【0038】
一実施形態において、上記方法はさらに、位置追跡装置を用いて、上記波向装置が上記血管に挿入されると上記波向装置の位置および向きのうちの少なくとも一方を検出することを備える。
【0039】
一実施形態において、上記位置追跡装置はX線撮像装置および超音波撮像装置のうちの一方を備える。
【0040】
一実施形態において、上記波向装置の位置および向きのうちの少なくとも一方を検出するステップは、上記波向装置によって反射された機械的な波を機械的波検出器を用いて検出することと、上記機械的波検出器によって検出された機械的な波の振幅、位相および遅延のうちの少なくとも1つから、上記位置および上記向きのうちの上記少なくとも一方を求めることとを備える。
【0041】
一実施形態において、上記波向装置は機械的エネルギを蓄積するための機械的な共振構造を備える。
【0042】
一実施形態において、上記機械的な共振構造は慣性装置およびコンプライアント装置を備える。
【0043】
一実施形態において、上記波向装置は、ゴミを吸引する、および液体を送る、のうちの一方のための少なくとも1本のチューブを備える。
【0044】
一実施形態において、上記波向装置は電気を発生させるための圧電素子を備える。
本明細書において、機械的な波は、任意の振幅、持続時間、波形、周波数、および/またはその他を有する信号であると理解されねばならない。たとえば、機械的な波は、高/低振幅、短い/長い持続時間、異なる波形、および任意の周波数成分を有し得る。
【0045】
本明細書において、機械的パルスは、持続時間が短い機械的な波と理解されねばならない。機械的パルスの持続時間は、およそ1/fcである。
【0046】
一実施形態において、機械的パルスは、約20kHzと約10MHzとの間に含まれる中心周波数fcを有する。一実施形態において、機械的パルスがカテーテル装置の遠位端に達したときのこのパルスの振幅は、約10MPaと約1000MPとaの間に含まれる。一実施形態において、機械的パルスがカテーテル装置の遠位端に達したときのこのパルスの持続時間は、およそ1/fcである。
【0047】
一実施形態において、機械的パルスがカテーテル装置の遠位端に達したときのこのパルスの振幅は、約1MPaと約1000MPaとの間に含まれる。一実施形態において、機械的パルスがカテーテル装置の遠位端に達したときのこのパルスの振幅は、約10MPaと約1000MPaとの間に含まれる。
【0048】
衝撃波は、短い持続時間、すなわちおよそマイクロ秒以下の持続時間と、高振幅、すなわちカテーテル装置の遠位端に達したときの少なくとも1MPaの振幅とを有する機械的パルスと定義される。
【0049】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と関連して理解されると以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】一実施形態に従う、機械的な波を外部から発生させるための機械的波源と、発生した機械的な波を身体の血管内に存在する治療対象の病変に向けて方向転換するための波方向転換装置とを含むシステムを示すブロック図である。
図2】一実施形態に従う、機械的な波を外部から発生させるための機械的波源と、発生した機械的な波を反射して身体の血管内に存在する治療対象の病変に向けて収束させるための波集中装置とを含むシステムを示すブロック図である。
図3a】一実施形態に従う、凹部が設けられた外面を有して設けられた波集中装置を概略的に示す図である。
図3b】一実施形態に従う、内部反射面が設けられた波集中装置の断面図である。
図4】一実施形態に従う、機械的な波を外部から発生させるための機械的波源と、発生した機械的な波を身体の血管内に存在する治療対象の病変に向けて屈折させるための波屈折装置とを含むシステムを示すブロック図である。
図5】一実施形態に従う、身体の血管内に存在する病変を治療するための方法を示すフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
なお、添付の図面を通して同様の特徴は同様の参照番号で特定される。
【0052】
図1は、機械的な波または衝撃波を送って動脈などの血管14内に存在する病変12を治療するためのシステム10の一実施形態を示す。システム10は、機械的波源または衝撃波源16と、低侵襲的な波向装置18とを含む。
【0053】
波発生器16は患者の身体の外部に位置決めされ、機械的な波を発生させるように適合される。発生した機械的な波は患者の身体を通って波向装置18まで伝播する。波向装置18は、血管14に挿入されて治療対象の病変12に隣接して位置決めされるように適合される。波向装置18は、波発生器16から受けた機械的な波を病変12に向けて方向転換するようにさらに適合される。方向転換された機械的な波は次いで、波向装置18を囲む媒体の中を病変12に向かって伝播する。機械的な波はさらに病変12の中まで伝播し、病変12の内部に亀裂を生じさせ得るか、または病変12を切除し得て、最終的には病変12を切断もしくは粉砕して小さな断片にするか、またはその剛性を低下させる。
【0054】
一実施形態において、波発生器16は、患者の身体を通って波向装置18まで伝播する高振幅かつ短い持続時間のパルスを発生させるように適合される。波発生器16は、少なくとも1つの広帯域源および/または少なくとも1つの狭帯域源を含んでもよい。狭帯域または広帯域源は電気機械変換器であってもよい。波発生器16は、少なくとも1つの源の出力を波向装置18に向けて収束させる空間集中装置(spatial concentrator)を含んでもよい。
【0055】
波向装置18は、血管14に挿入されるような、かつ血管14の中で血管14に沿って病変12まで移動するような形および大きさにされることが理解されるはずである。波向装置18は、所望の向きに従って方向付けられるようにさらに適合されてもよい。たとえば、波向装置18は回転されるように適合されてもよい。また、波向装置18を血管14の中で移動させるための任意の適切なデバイスまたは装置、および任意の適切な方法を用いてもよいことが理解されるはずである。
【0056】
一実施形態において、システム10は、波向装置18と係合して波向装置18を血管14の中で病変12に隣接した位置まで押し進めるように適合された、可撓性ロッドまたはチューブなどの細長い部材をさらに含む。一実施形態において、波向装置18は、細長い部材の遠位端などにおいて細長い部材に固定的に装着されてもよい。別の実施形態において、波向装置18は、細長い部材の遠位端などにおいて細長い部材に着脱可能に固定可能であってもよい。波向装置18が身体の血管に挿入されると、細長い部材の近位部は身体の外部に留まり、近位部を操作して、治療対象の病変12に対する所望の位置および向きに従って波向装置18を位置決めして方向付けてもよいことが理解されるはずである。
【0057】
たとえば、波向装置18はカテーテルまたはバルーンの遠位端に固定可能であってもよい。波向装置は、カテーテルまたはバルーンに固定された後、血管14に導入され、カテーテルまたはバルーンは血管14に押込まれて波向装置18を病変12に隣接して位置決めする。一実施形態において、カテーテルまたはバルーンはまた、波向装置18を病変12に対して適切に方向付けるために回転させられてもよい。
【0058】
別の実施形態において、波向装置18は、カテーテルまたはバルーンなどの可撓性ロッドまたはチューブと一体であってもよい。この場合、波向装置18は、入射した機械的な波を方向転換するように適合された可撓性ロッドまたはチューブの一部に対応し得る。
【0059】
一実施形態において、システム10は、波向装置18を治療対象の病変12に対して適切に位置決めするおよび/または方向付けるために血管14の中の波向装置18の位置を追跡するための位置追跡装置20をさらに含む。たとえば、位置追跡装置20は、波向装置18が患者の身体に挿入されている間に波向装置18を視覚化するための撮像装置であってもよい。たとえば、撮像装置はX線撮像装置であってもよい。この場合、波向装置には、X線画像上で見えるようにX線に対して不透過性のマーカが設けられてもよい。撮像装置はまた超音波撮像装置であってもよく、その場合、マーカは超音波エネルギの反射率が高い。たとえば、位置追跡装置は、パルス・エコーモードなどにおいて波向装置18から位置追跡装置に向けて反射し返された波を利用してもよい。この場合、位置追跡装置20は、波向装置18によって反射された機械的な波を検出するための機械的波検出器を含み、波向装置18の位置および/または向きは、機械的波検出器によって検出された信号に従って、たとえば、機械的波検出器によって検出された波の振幅、位相および/または遅延に従って、求められる。
【0060】
一実施形態において、波向装置18は、入射した機械的な波を反射または偏向するように適合される。この場合、波向装置18は、機械的な波を反射するように適合された材料で構成または被覆されてもよい。そのような反射材料は、周囲の音響インピーダンスよりも大きい音響インピーダンスを有するべきである。周囲は、水の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する組織および体液を含んでいるので、好適な反射材料は、ポリマーまたは金属または複合材料などの任意の固体であり得る。波向装置18は次いで、入射角に従って波向装置18に入射している機械的な波を受け、入射した機械的な波を入射角に依存し得る反射角に従って反射するように適合される。一実施形態において、波向装置は、機械的な波の反射角が機械的な波の入射角と等しいように鏡面反射鏡である。この場合、入射角を変化させることにより反射角が変更され得る。一実施形態において、波向装置18は、入射した機械的な波を焦点に向けて集中または収束させるようにさらに適合される。この場合、波向装置18は音響ミラーであってもよい。
【0061】
別の実施形態において、波向装置18は、材料および外形の適切な組合せにより、波向装置18に入射している機械的な波を焦点に向けて屈折させるように適合される。この場合、波向装置18は音響レンズであってもよい。
【0062】
図2は、機械的な波または衝撃波を送って血管14内に存在する病変12を治療するためのシステム50の一実施形態を示す。システム50は、機械的波源または機械的パルス源16と、波集中装置52とを含む。波源16は患者の身体の外部に位置決めされ、機械的な波またはパルスを波集中装置52に向けて発する。たとえば、波集中装置52は、機械的な波を反射するように適合された材料で構成されてもよい。別の例では、波集中装置52の外面または内面は、機械的な波を反射するように適合された材料で被覆されてもよい。
【0063】
波発生器16によって発生した機械的な波は、入射波を反射方向に従って反射し、反射した機械的な波をさらに焦点に集中または収束させるように適合された波集中装置52に達する。波集中装置52を病変12に対して適切に位置決めし、波源16を波集中装置52に対して適切に位置決めすることにより、治療対象の病変12に焦点が位置決めされ得る。一実施形態において、波集中装置52の向きも、治療対象の病変12に焦点を位置決めするように調整される。
【0064】
一実施形態において、波集中装置52の外面または内面の少なくとも一部分は、入射した機械的な波を集中または収束させるように適合された外形を有する。たとえば、波集中装置52の外面または内面の少なくとも一部分は、凹形状、半球形状、または放物線形状を有してもよい。この場合、機械的な波は、波集中装置52の凹状、半球状または放物線状の部分に向かって伝播され、凹状、半球状または放物線状の部分は、この部分に入射した機械的な波を反射しつつ、反射した機械的な波を焦点に集中させる。
【0065】
一実施形態において、波集中装置52の少なくとも1つの特性を調整して、反射した機械的な波の反射方向、機械的な波が収束する焦点の位置、および/または病変上の焦点サイズ、すなわち、反射した機械的な波が入射する病変の表面積を変更してもよい。たとえば、波集中装置52の曲率を調整することにより波集中装置52の向きおよび形状を変化させてもよい。
【0066】
図3aは波集中装置56の一実施形態を示す。波集中装置56は、近位端58と遠位端60との間に延在する細長い本体57を含む。細長い本体57は、近位端58に位置する第1のマーカ部62と、遠位端60に位置する第2のマーカ部64と、マーカ部62と64との間に位置する中央反射部66とを含む。
【0067】
第1のマーカ部62および第2のマーカ部64は、X線不透過性材料などのマーカ材料で構成または被覆される。適切なX線不透過性材料の例として、白金、金、タングステンと、白金、金およびタングステンの合金と、白金、金またはタングステンがドープされたポリマーとが挙げられ得る。第1のマーカ部62および第2のマーカ部64は次いで、波集中装置56の反射部が第1のマーカ部62と第2のマーカ部64との間に位置していることが既知であるので、病変12に対する波集中装置56の適切な位置決めを可能にする。
【0068】
中央部66の外面の少なくとも1つの部分68は、機械的な波を反射するように適合された材料で構成または被覆されており、部分68に入射した機械的な波をさらに焦点に向けて収束させる凹形状が設けられている。
【0069】
一実施形態において、反射部分68の形状を調整して、反射した機械的な波の反射方向、機械的な波が収束する焦点の位置、および/または病変12上の機械的な波の焦点サイズを変更してもよい。たとえば、波集中装置56は、膨張可能なバルーンのような、反射性外面が設けられた任意の膨張可能な構造を含んでもよく、反射部分68の形状は、波集中装置56内でバルーンを膨張/収縮させることにより調整されてもよい。たとえば、波集中装置56は概して円筒形のまたは球形のバルーンであってもよく、その主曲率半径、したがってその焦点距離は、バルーン内に存在する流体の膨張圧力を変化させることにより変わり得る。別の例では、波集中装置56はバルーンであってもよく、その形状は、バルーン内に存在する流体の膨張圧力を変化させることにより変形し得る。この場合、システムは、バルーンを膨張/収縮させるためにバルーンに流体接続された流体源をさらに含むことが理解されるはずである。
【0070】
図3aは、外面の部分68が反射性であることによって音響ミラーの役割を果たす波集中装置56を示しているが、図3bは、内面の部分72が反射性であって入射した機械的な波を収束させるように適合されている波集中装置70の断面図を示す。図3bに示されるように、波集中装置70の内面は、湾曲したまたは円形の断面形状を有しており、反射性であるため、入射した機械的な波を反射して焦点に収束させるように適合された音響ミラーとして作用する。
【0071】
図4は、機械的な波または衝撃波を送って血管14内に存在する病変12を治療するためのシステム80の一実施形態を示す。システム80は、機械的波源または機械的パルス源16と、波屈折装置82とを含む。波源16は患者の身体の外部に位置決めされ、機械的な波またはパルスを波屈折装置82に向けて発する。たとえば、波屈折装置82は、機械的な波または衝撃波を屈折させるように適合された材料または材料の組合せで構成されてもよい。この材料は、波屈折装置82が音響レンズとして作用し得るように、周囲の音響インピーダンス(たとえば水の音響インピーダンス)とは異なる音響インピーダンスを有してもよい。好ましくは、波屈折装置の音響インピーダンスは、周囲組織および/または体液の音響インピーダンスとは異なるべきであるが、かけ離れているべきではない。例示的な波屈折装置材料は、水とは異なる密度を有するポリマーおよび流体である。
【0072】
波発生器16によって発生した機械的な波は、波屈折装置82に達する。波屈折装置82は音響レンズとして作用してもよく、すなわち波屈折装置82は、入射波を屈折方向に従って屈折させるように、かつ、屈折した機械的な波をさらに焦点に集中または収束させるように適合される。波屈折装置82の外形および材料は、波屈折装置82が音響レンズとして作用するように選択される。波屈折装置82を病変12に対して適切に位置決めして方向付け、波源16を波屈折装置82に対して適切に位置決めして方向付けることにより、治療対象の病変12に焦点が位置決めされ得る。
【0073】
一実施形態において、波屈折装置82の少なくとも1つの特性を調整して、屈折した機械的な波の屈折方向、機械的な波が収束する焦点の位置、および/または病変上の焦点サイズ、すなわち、屈折した機械的な波が入射する病変の表面積を変更してもよい。調整され得る波屈折装置82の特性の例として、波屈折装置82の形状、厚みおよび/または曲率、ならびに、波屈折装置82の中に含まれ得る流体または液体などの波屈折装置82の中に含まれる材料が挙げられる。
【0074】
一実施形態において、ステントの外面は、治療の標的の上にエネルギを収束させる屈折装置(すなわちレンズ)として作用してもよく、これはステントの内部または外部であり得る。
【0075】
一実施形態において、波向装置は、上述のように機械的な波特徴を反射、屈折、および/または集中させるように適合されたバルーンまたはカテーテルを含む。一実施形態において、バルーンは、機械的な波の波反射、屈折、および/または集中に有利な流体で充填されている。この流体は、周囲組織および/または体液の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する液体などの任意の適切な流体、たとえば、水の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する流体または液体であってもよい。たとえば、流体は、水とは異なる密度を有する液体であってもよい。バルーンを膨張および/または収縮させることにより、バルーンの形状が変化し、それにより装置の機械的な波の波反射、屈折、および/または集中が変化する。一実施形態において、バルーンは音響ミラーまたは音響レンズとして作用してもよく、バルーンの形状を変化させることにより焦点における焦点領域の位置およびサイズが変化し得る。
【0076】
一実施形態において、波向装置は、上述のように機械的な波特徴を反射、屈折、および/または集中させるように適合された少なくとも2つのバルーンを含む。一実施形態において、バルーンの各々は、機械的な波の波反射、屈折、および/または集中に有利な流体で充填されている。バルーンを膨張および/または収縮させることにより、バルーンの形状が変化し、それにより装置の機械的な波の波反射、屈折、および/または集中が変化する。バルーン内の流体は、所望の波反射、屈折、および/または集中特性をもたらすように、同様であってもよいし、異なっていてもよい。
【0077】
一実施形態において、波向装置は、たとえば音響フレネルレンズを生成するために、その外形の一部が鋸歯状に成形されてもよい。
【0078】
一実施形態において、波向装置の外形をその場で調整して、その反射特性、屈折特性、および/または収束特性を変更することができる。
【0079】
一実施形態において、波向装置は、単一源によって発生した機械的な波を用いて異なる治療が単一のまたは複数の病変に同時に適用され得るように、その長さおよび周縁に沿った屈折装置部分と集中装置部分との組合せを含む。
【0080】
一実施形態において、波向装置は、外部機械的波源によって生成された機械的エネルギの少なくとも一部を蓄積するために使用され得る機械的な共振構造を含む。当分野において既知であるように、機械的な共振構造は、慣性装置(質量)とコンプライアント装置(ばね)の両方、または複数のこれらの要素の組合せを含む機械共振器であってもよい。この共振器の1つまたは複数の共振周波数は、波と共振器との機械的な波の相互作用により共振器が動作するように、波の共振周波数に同調される。この動作により運動エネルギおよびばねエネルギが蓄積され、これらのエネルギは後で他の目的に使用することができる。したがって実際には、共振器は、ばねと質量、または多くのばねと質量との組合せであり得る。蓄積された機械的エネルギを用いて、振動もしくは衝撃などの直接的な機械的作用、または薬剤の放出などの間接的な機械的作用により、周囲組織に対して治療を行なうことができる。薬剤放出の場合、これを、同時の外部の機械的エネルギ曝露と組合せて、治療の標的組織による薬剤取込みを促進することができる。
【0081】
一実施形態において、低侵襲的な波向装置は、たとえば、薬剤、ワクチンもしくは他の治療物質などの流体を治療の標的に送るための、または治療の標的を冷却/加熱するための、1本以上の液体送達チューブを含む流体送達システムをさらに含む。液体送達は、外部の機械的エネルギ曝露の前に、同時に、または後に行なうことができる。薬剤送達の場合、これを、同時の外部の機械的エネルギ曝露と組合せて、治療対象の病変による薬剤取込みを促進することができる。
【0082】
一実施形態において、低侵襲的な波向装置は、薬剤、ワクチンまたは他の治療物質で被覆される。薬剤、ワクチンまたは他の治療物質は、低侵襲的な波向装置を治療対象の病変に接触させると、病変内に拡散することができる。その後の機械的エネルギ曝露により、治療対象の病変による薬剤取込みがさらに促進され得る。別の実施形態において、これらの薬剤、ワクチンまたは他の治療物質は、機械的エネルギ曝露の作用により解放されてもよく、それにより、治療対象の病変による薬剤取込みがさらに促進され得る。
【0083】
一実施形態において、低侵襲的な波向装置は、薬剤、ワクチンまたは他の治療物質の入ったカプセル剤を含む。機械的エネルギ曝露により、これらの薬剤、ワクチンまたは他の治療物質のカプセル剤が、低侵襲的な波向装置が接触している治療対象の病変内に放出され得る。たとえば、薬剤は低侵襲的な波向装置に固定されたカプセル内に封入されてもよく、カプセルは薬剤を放出するように機械的な波の影響下で破壊可能である。その後の機械的エネルギ曝露により、治療対象の病変による薬剤取込みがさらに促進され得る。
【0084】
一実施形態において、波向装置は、たとえば、処置によって生じたゴミを吸引するための1本以上の吸引チューブをさらに含む。
【0085】
一実施形態において、波発生器を、たとえば、適切に成形された外形を利用することにより、もしくはフェーズドアレイ内の多数の個別の波発生器を利用することにより、焦点に集中させてもよいし、または、付加的な焦点集中段階が血管14と機械的波源16との間に追加されてもよい。たとえば、音響レンズを用いることにより波発生器を焦点に集中させてもよい。
【0086】
一実施形態において、波発生器はさまざまな種類の機械的な波を発生させてもよく、そのうちのいくつかは、病変を治療するのにより適切であり得、そのうちのいくつかは、位置追跡装置と併せてパルス・エコーモードにおいて波向装置の位置を特定するのにより適切であり得る。
【0087】
一実施形態において、波向装置は、光干渉断層(OCT)または血管内超音波(IVUS)撮像装置をさらに含む。
【0088】
一実施形態において、波向装置は、その遠位端に、波向装置の長さに沿って延びる機構によって近位端からトリガする(解放する)ことができる薬剤(または同様の)カプセルを含む。
【0089】
一実施形態において、波向装置は、外部源によって生成された機械的エネルギに曝されると電気を発生させる圧電素子を含む。
【0090】
一実施形態において、波向装置は、外部源によって生成された機械的エネルギに曝されると破壊可能な1つまたは複数の脆弱要素を含む。
【0091】
一実施形態において、波向装置の外面は、外部源によって生成された機械的エネルギに曝されると局所的な空洞化を促進する、粗度および/または多孔度などの特徴を含む。
【0092】
一実施形態において、外部機械的波源は、エネルギ伝達を最大にするために音響結合で患者の皮膚と接触している。
【0093】
一実施形態において、外部機械的波源は、軸の周りに周方向に配置される。たとえば、外部機械的波源は、脚、腕、頭または胴に完全にまたは部分的に巻き付くことができる。
【0094】
一実施形態において、波集中装置に結合されるまたは結合されない外部機械的波源は、病変を直接治療するための十分なエネルギを得るための十分な機械的エネルギを収束させるように適合されない。この場合、上述の波集中装置および波屈折装置は、病変を治療するのに適切なエネルギ集中量を達成するために、機械源によって送られた機械的エネルギをさらに集中させることができる。
【0095】
図5は、身体の血管内に存在する病変を治療するための方法100の一実施形態を示す。
【0096】
ステップ102において、波向装置が身体の血管に挿入され、ステップ104において治療対象の病変に隣接して位置決めされる。波向装置は、治療対象の病変に対する所望の位置および所望の向きに従って位置決めされて方向付けられる。所望の位置および向きは、波向装置に入射した機械的な波が治療対象の病変に向かって伝播するように選択される。
【0097】
ステップ106において、身体の外部に位置する外部機械的波源を用いて機械的な波が発生され、発生した機械的な波は波向装置に向けて伝播される。
【0098】
ステップ108において、波向装置に入射した機械的な波が方向転換されて病変に集中されることにより、病変が治療される。
【0099】
一実施形態において、機械的な波を方向転換するステップは、機械的な波を反射することを含む。この場合、波向装置は、上述のように、外部機械的波源から受けた機械的な波を反射して集中させるように適合される。たとえば、波向装置は音響ミラーであってもよい。
【0100】
別の実施形態において、機械的な波を方向転換するステップは、機械的な波を屈折させることを含む。この場合、波向装置は、上述のように、外部機械的波源から受けた機械的な波を屈折させて集中させるように適合される。たとえば、波向装置は音響レンズであってもよい。
【0101】
波向装置が膨張可能なバルーンである実施形態において、方法100は、機械的な波を発生させる前にバルーンの所望の形状を得るためにバルーンを膨張または収縮させるステップをさらに含む。上述のように、バルーンは機械的な波を反射するように、または機械的な波を屈折させるように適合されてもよい。
【0102】
波向装置が細長い部材に固定される実施形態において、波向装置を位置決めするステップ104は、細長い部材の近位端を操作すること、すなわち、細長い部材の遠位端を押すこと、引張ること、および/または回転させることを含む。
【0103】
一実施形態において、方法100は、位置追跡装置を用いて、波向装置が血管に挿入されると波向装置の位置および向きのうちの少なくとも一方を検出するステップをさらに含む。
【0104】
一実施形態において、波向装置の位置および/または向きの検出は、X線撮像装置または超音波撮像装置を用いて行なわれる。
【0105】
別の実施形態において、波向装置の位置および/または向きの検出は、波向装置によって反射された機械的な波を機械的波検出器を用いて検出し、機械的波検出器によって検出された機械的な波の振幅、位相および/または遅延から位置および向きのうちの少なくとも一方を求めることにより行なわれる。
【0106】
上記本発明の実施形態は例示することだけを意図している。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項の範囲によってのみ限定されることを意図している。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5