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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】耐性エンドウデキストリンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 30/18 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
C08B30/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020544502
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 FR2019050398
(87)【国際公開番号】W WO2019162621
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】1851528
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド ウェソレック
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510014(JP,A)
【文献】特開2008-069364(JP,A)
【文献】特開2005-213496(JP,A)
【文献】特表2010-533485(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106318991(CN,A)
【文献】特表2002-503279(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104403009(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 30/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エンドウデンプンを脱水及び酸性化して脱水及び酸性化されたエンドウデンプン組成物を提供する工程と、
b)工程a)で提供された前記エンドウデンプン組成物を熱処理してデキストリン化デンプンを形成する工程と、
c)前記デキストリン化デンプンを酵素的加水分解又は化学的加水分解して耐性デキストリンを形成する工程と、
d)前記耐性デキストリンを回収する工程と、
を含み、
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンが、前記デンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で0.10%未満の範囲内の全脂質含有率を有し、
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンが、25:75~50:50の範囲内のアミロース/アミロペクチン質量比を有し、
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンの灰含有率が、1%未満であり、
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンが、天然デンプンであり、
前記工程b)の少なくとも一部における前記デンプン組成物の含水率が、前記組成物の全質量基準の質量で10%以下であり、
前記工程c)が、少なくとも1つの濾過及び/又は脱ミネラル化工程を含み、
出発物質としてトウモロコシデンプン又はコムギデンプンを用いた場合に比較して、前記工程c)における流量の減少が少ない、耐性デキストリンの製造プロセス。
【請求項2】
前記工程c)が、少なくとも1つの分画工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の製造プロセス。
【請求項3】
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンが、32:68~45:55の範囲内のアミロース/アミロペクチン質量比を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造プロセス。
【請求項4】
前記工程a)で使用される前記エンドウデンプンが、キエンドウタイプのマルエンドウ
デンプンであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項5】
前記工程b)が、60~250℃の範囲内の温度で行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項6】
前記工程b)が、押出し機、薄膜反応器、又はサーモスタットチャンバーから選択される反応器で行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項7】
前記工程a)において、前記エンドウデンプンが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、又はそれらの混合物から選択される酸を用いて酸性化されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項8】
前記工程c)が、前記デキストリン化デンプンの酵素的加水分解により行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項9】
前記工程c)が、前記デキストリン化デンプンの糖含有率を低減する分画工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項10】
前記工程d)で回収される前記耐性デキストリンが、
・ 1→2、1→3、1→4、及び1→6グリコシド結合の全数を基準にして15%~45%の1→6グリコシド結合と、
・ 前記耐性デキストリンの乾燥質量基準の質量でグルコース当量として30%未満の還元糖含有率と、
を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項11】
前記工程d)で回収される前記耐性デキストリンが、
・ 5未満の多分散性指数と、
・ 4500g/mol未満の数平均分子質量Mnと、
を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項12】
前記工程d)で回収される前記耐性デキストリン中の繊維量が、AOAC2001.03規格に準拠して60%超であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、耐性デキストリンの製造プロセス、新たな耐性デキストリン、さらには医薬用途及び食品用途のためのこの新たな耐性デキストリンの使用である。
【背景技術】
【0002】
健康及びウェルビーイングに有益な解決策を見いだそうと熱望して、現代の消費者は、これらの目的を満たす食品及び食事サプリメントを探している。
【0003】
このタイプの食品の提供を可能にする成分のうち、繊維を含むものにとくに関心が払われている。最近の食事パターンの変化により、この繊維を含む食品の消費は、可溶性食物繊維を含めて減少傾向にある。これは、調製品に対する消費者の需要に基づいて農業食品産業がここ何十年にもわたり大幅な成長を遂げたが、この産業で容易に使用可能な繊維ベース製品がこの期間ほとんど提案されていないという事実にとくに関連する。
【0004】
耐性デキストリンは、可溶性食物繊維を含む炭水化物組成物である。それは、以下の栄養上の利点など多くの利点を有する。耐性デキストリンは、低カロリーであるという事実に加えて、一般的ウェルビーイングとくに消化管の健康への有益な効果を提供する。さらに、この可溶性食物繊維は、糖分の多い食品の摂取時に発生する血糖の低減を可能にしうるので、これは、とりわけ糖尿病の消費者にとくに有利でありうる。耐性デキストリンはまた、他の機能上の利点を有する。すなわち、その食感付与機能は、脂肪及び/又は糖を減量しつつ、糖分及び/又は脂肪分の多い食品に等価な食感を食品に提供できるようにする。さらに、一般に液状水性溶液の形態又は粉末の形態をとる耐性デキストリンは、農業食品産業で食品製造プロセスにおいて使いやすさを呈する。
【0005】
本願では、耐性デキストリンの製造プロセスは、デンプン組成物の「デキストリン化」という熱処理によりデキストリンを形成する工程を含み、次いでこうして得られたデキストリンを各種後続処理工程に付すプロセスである。これらの可能な後続処理工程は、化学的及び/又は酵素的処理、分離、並びに精製を含む。
【0006】
デンプン組成物のデキストリン化工程は、高乾物を用いて酸性条件下で行いうる。耐性デキストリンの特定の場合には、このデキストリン化工程は、その形成を可能にする特定の条件下で熱処理により一般に行われ、これによりこの段階では有意量の「非定型」結合で「デキストリン化デンプン」というデンプンを形成する。この非定型結合は、デンプン中に天然に主に存在するα1-4及びα1-6結合以外の結合である。
【0007】
このデキストリン化デンプンを形成した後、上述した後続処理工程は、とくに工業スケールで問題になる可能性があり、こうした問題が製造停止を引き起こして生産性損失ひいては経済的損失を招くことが本出願人により観測された。特定的には、耐性デキストリンの製造プロセスは、一般にデキストリン化デンプンの濾過工程を含むが、この濾過工程時、このデキストリン化デンプンの通過により、ある特定の時間後にフィルターの目詰まりを引き起こす可能性がある。この目詰まりは、濾過流量の損失ひいては生産性の損失を招くおそれがある。さらに、この流量が低くなりすぎると、フィルターの洗浄さらにはその交換も必要になり、これにより耐性デキストリンの製造停止が起こるので、この耐性デキストリンを製造する連続プロセスとの関連でとくに厄介である。類似の問題は、後続処理工程が樹脂上にデキストリン化デンプンを通過させる工程からなるときにも発生し、たとえば、この工程は、脱ミネラル化工程又は分画工程でありうる。こうした樹脂の目詰まりが流量を低減するという事実に加えて、プロセスの初期効率を取り戻すために、こうした
樹脂の洗浄さらには交換も必要になる。
【0008】
市販の耐性デキストリンは、一般に、トウモロコシベースであるか(そのようなものとして、Roquette(登録商標)により販売されているNutriose(登録商標)FM製品又はMatsutani(登録商標)により販売されているFibersol(登録商標)製品が挙げられうる)、又はコムギベースである(Nutriose FB(登録商標)製品)。
【0009】
これらの耐性デキストリンの製造プロセスは、欧州特許第0538146号明細書、欧州特許第0530111号明細書、欧州特許第0988323号明細書、欧州特許第1006128号明細書、及び欧州特許第2820050号明細書に記載されている。これらの明細書には、上述した問題がまったく記載されておらず、そこにはその解決策を見いだすための教示がまったく見られない。したがって、こうした教示を改善しようとする、とくに上述した後続処理工程時に生じた問題を解決しようとする動機がまったく存在しない。
【0010】
独国特許出願公開第10102160A1号明細書には、マメデンプンからの高分子量耐性デンプンの製造プロセスが記載されている。このプロセスは、低乾物を含む水性溶液(20%乾物を含む水性溶液)中におけるプルラナーゼを用いた酵素的処理を含む。この耐性デンプンは、大量の繊維と大量のα1-4結合以外の結合とを含む耐性デキストリンではない。また、このプロセスは、デンプンの脱水及びこの脱水されたデンプンの熱処理の工程を含まない。
【0011】
仏国特許出願公開第2955861A1号明細書には、α1-6結合含有率が7~10%、還元糖含有率が25~35%、さらにはモル質量Mwが50,000~150,000ダルトンであるα1-4及びα1-6結合を有する分岐状可溶性グルコースポリマーが記載されている。このグルコースポリマーは、大量の繊維と大量のα1-4結合以外の結合とを含む耐性デキストリンではない。
【0012】
仏国特許第2764294号明細書には、脱水及び酸性化されたデンプンの140~230℃の温度における押出し工程を含む非齲蝕原性多糖の製造が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、新たな耐性デキストリンだけでなく製造プロセスを容易にする製造方法も見いだすことが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した問題の解決策を見いだすという視点で多くの研究を行うことにより、本出願人は、エンドウデンプンから得られる新たな耐性デキストリンを提供することに成功した。有利なことに、この耐性デキストリンの製造プロセスを実現するのは容易である。とくに、先行技術のプロセスと比較してデキストリン化工程の後続処理工程時に観測される問題が少なくなる。
【0015】
そのため、本発明の一主題は、
a)エンドウデンプンを脱水及び酸性化して脱水及び酸性化されたエンドウデンプン組成物を提供する工程と、
b)工程a)で提供されたデンプン組成物を熱処理してデキストリン化デンプンを形成する工程と、
c)このデキストリン化デンプンを処理して耐性デキストリンを形成する1つ以上の工
程と、
d)この耐性デキストリンを回収する工程と、
を含む、耐性デキストリンの製造プロセスである。
【0016】
以上に記載の仏国特許第2764294号明細書の非齲蝕原性多糖の製造プロセスでは、原料としてエンドウデンプンではなく、コムギ、トウモロコシ、又はジャガイモデンプンが使用される。この明細書の実施例には、コムギデンプンを用いた非齲蝕原性多糖の製造が記載されている。この明細書には、デンプンの植物起源の重要性はなんら与えられていない。なぜなら、そこにはこの起源は無関係であるとして提示されているからである。そのため、この明細書には、デンプンの起源が得られる非齲蝕原性多糖の性質又はその製造プロセスに影響を及ぼす可能性があることが明記されていない。この明細書を読んで予想されたこととは対照的に、本出願人は、上述した処理工程c)を改善しつつ、新たな耐性エンドウデキストリンを得ることに成功した。
【0017】
本発明のプロセスでは、工程b)の少なくとも一部でのデンプン組成物の含水率は、組成物の全質量基準の質量で10%以下、一般的には6%以下、たとえば4%以下でありうる。
【0018】
工程a)で使用されるエンドウデンプンは、デンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で0.10%未満、一般的には0.01~0.08%、たとえば0.02~0.05%、特定的には0.02~0.04%の範囲内の全脂質含有率を含みうる。
【0019】
本プロセスはさらに、とくに少なくとも1つの処理工程c)が工程b)の後続の濾過及び/又は脱ミネラル化及び/又は分画工程を含むとき、他のタイプのデンプンを使用するよりも容易に行われるという利点を有する。
【0020】
本願では、範囲が指定されたとき、下限の各々は上限の各々と組合せ可能であるものと規定される。
【0021】
工程a)で使用されるエンドウデンプンは、有利には25:75~50:50、好ましくは32:68~45:55の範囲内のアミロース/アミロペクチン質量比を有する。
【0022】
工程a)で使用されるエンドウデンプンの灰含有率は、有利には1%未満、たとえば0.2%未満である。
【0023】
工程a)で使用されるエンドウデンプンは、優先的にはキエンドウタイプのマルエンドウデンプンである。
【0024】
工程a)で使用されるエンドウデンプンは、有利には天然デンプンである。
【0025】
熱処理工程b)は、一般に、少なくとも部分的には80~250℃の範囲内の温度、たとえば120~220℃の範囲内の温度、好ましくは160~210℃の範囲内の温度で行われる。
【0026】
熱処理工程b)は、有利には押出し機、薄膜反応器、又はサーモスタットチャンバーから選択される反応器、優先的には押出し機又は薄膜反応器、非常に優先的には薄膜反応器で行われる。
【0027】
工程a)でのデンプンの酸性化は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、又はそれらの混合物から選択される酸、優先的には塩酸を用いて行うことが可能である。
【0028】
さらに、本発明のプロセスの処理工程c)の少なくとも1つは、有利にはデキストリン化デンプンの酵素的加水分解工程を含む。実際に、この変形形態によれば、濾過及び脱ミネラル化工程に関する利点はとくに有意である。
【0029】
さらに、処理工程c)の少なくとも1つは、有利には分画工程を含む。この工程は、とくにデキストリン化デンプンの糖含有率の低減を可能にする。
【0030】
プロセスの終了時に回収される耐性デキストリンは、1→2、1→3、1→4、及び1→6グリコシド結合の全数を基準にして有利には15~45%、好ましくは20~42%、たとえば28~40%の1→6グリコシド結合を有する。
【0031】
プロセスの終了時に回収される耐性デキストリンは、耐性デキストリンの乾燥質量基準の質量でグルコース当量として有利には30%未満、たとえば3~25%の範囲内、特定的には4~19%、より特定的には4~12%の範囲内の還元糖含有率を有する。
【0032】
好ましくは、耐性デキストリンは、
・ 5未満、一般的には1.5~4の範囲内の多分散性指数と、
・ 4500g/mol未満、一般的には500~3500g/molの範囲内、たとえば800~3000g/mol、特定的には900~1500g/molの範囲内の数平均分子質量Mnと、
を有する。
【0033】
この耐性デキストリン中の繊維量は、規格AOAC2001.03に準拠して一般的には60%超、優先的には65~99%、一般的には70~95%の範囲内である。
【0034】
本発明の他の一主題はまた、AOAC2001.03規格に準拠して60%超の繊維量を有する耐性エンドウデキストリンに関する。このエンドウデキストリンは、とくに本発明のプロセスにより得ることが可能である。本発明に係る耐性エンドウデキストリンは、とくに1→2、1→3、1→4、及び1→6グリコシド結合の全数を基準にした1→6グリコシド結合の%、還元糖の含有率、多分散性指数、及び数平均分子質量Mnに関して、本発明に係るプロセスの終了時に回収される耐性エンドウデキストリンについて記載したものに類似した性質を有しうる。
【0035】
本発明のさらに他の一主題は、食品組成物又は医薬組成物における本発明の耐性エンドウデキストリンの使用である。
【0036】
次に、本発明を以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る方法は、エンドウデンプンを脱水及び酸性化して脱水及び酸性化されたエンドウデンプン組成物を提供する工程a)を含む。
【0038】
エンドウデンプンは、一般に高デンプン含有率を有し、エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で90%を超えることが多い。優先的には、デンプン含有率は、エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で95%超、より好ましくは98%超、さらには99%超、さもなければ99.5%超である。
【0039】
エンドウデンプンは、エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量でたとえば2%未満、多くの場合1%未満、好ましくは0.5%未満、より優先的には0.1~0.35%の
低N6.25タンパク質含有率を有しうる。この含有率は、デュマ法により決定可能である。
【0040】
エンドウデンプンは、エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で有利には0.10%未満、一般的には0.01~0.08%、たとえば0.02~0.04%、さらには0.02~0.05%の範囲内の全脂質含有率を有する。ソックスレー法は、全脂質含有率の決定に使用可能である。
【0041】
エンドウデンプンは、有利には25:75~50:50、好ましくは32:68~45:55の範囲内のアミロース/アミロペクチン質量比を有する。この比は、キエンドウタイプのマルエンドウデンプンで一般に観測されるものであり、このデンプンは、本発明の耐性デキストリンを提供する際に優れた結果を与える。アミロース及びアミロペクチン含有率自体は、ヨウ素複合体化法により評価される。
【0042】
アミロペクチンは、デンプン構造の特定位置にα1-6結合を含み、これはアミロースとは異なり有意量で存在する。そのため、変形形態によれば、エンドウデンプンは、特定のα1-6結合含有率を有する。そのため、いかなる一理論にも拘束されるものではないが、同一の製造プロセスを用いた場合、エンドウデンプンから得られる耐性デキストリンは、他のデンプンを用いて得られる耐性デキストリンのものとはわずかに異なる構造を有しうる。さらに、エンドウデンプンの初期構造は、実施例のセクションで得られた結果の説明を可能にしうる。具体的には、耐性エンドウデキストリンは、同一の製造プロセスを用いた場合、たとえばトウモロコシやコムギなどの他のデンプンから得られる耐性デキストリンと比較して、より大量の繊維を有すると思われるので、これにより追加の分画工程の必要性がなくなる。
【0043】
さらにより正確には、エンドウデンプンは、有利には、エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で、
・ 90%超、好ましくは95%超、より好ましくは98%超、さらには99%超、さもなければ99.5%超のデンプン含有率と、
・ 2%未満、有利には1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.1~0.35%のタンパク質含有率と
・ 0.10%未満、一般的には0.01~0.08%、たとえば0.02~0.05%、さらには0.02~0.04%の範囲内の全脂質含有率と、
を有する。
【0044】
工程a)に有用なこのエンドウデンプンの利点の1つは、その固有の植物学的性質のおかげで、上述した利点を有して本発明のプロセスでの使用を可能にする並外れた性質を有しうることである。もう1つの利点は、複雑な調製工程を用いることなく溶媒としてほぼ限定的又は排他的に水を用いて抽出プロセスによりそれを得ることが可能なことである。有利なことに、本発明に有用なエンドウデンプン抽出プロセスは、有機溶媒を使用しない。エンドウデンプンは、欧州特許第1400537号明細書に記載されるような公知のプロセスを用いてエンドウから抽出可能である。
【0045】
かかるデンプンは、本出願人により販売されている。
【0046】
工程a)の脱水及び酸性化された組成物を提供するために、エンドウデンプンの酸性化段階さらには脱水段階を行わなければならない。好ましくは、脱水段階は酸性化段階後に行われる。デンプン組成物の含水率は、カールフィッシャー滴定により測定可能である。
【0047】
酸性化段階では、本発明に係るプロセスに使用される酸の量は、一般的には2~100
meqH+/kg乾物エンドウデンプン、有利には5~50meqH+/kg乾物、好ましくは10~30meqH+/kg乾物である。
【0048】
デンプン中の酸の分布は、できる限り均一であることが好ましい。乾燥相又は液状相における酸性化など、デンプンの酸性化のために、各種技術を使用可能である。一般に、この酸性化は、酸の水性溶液をエンドウデンプンに導入することにより行われる。
【0049】
この酸性化段階は、バッチモード又は連続方式で行うことが可能である。しかしながら、酸性化デンプンは、連続修飾プロセスに使用することが意図されうるので、できる限り連続したプロセスを行うために、ひいては非生産的操作(ローディング、アンローディング、エンプティイング)を制限するために、本発明では連続酸性化手段を使用することが好ましい。
【0050】
好ましくは酸性化段階後に行われる脱水段階では、デンプンは、後続工程b)で非定型結合の形成を促進するために脱水される。実際には、平衡状態及び標準状態では、エンドウデンプンは、一般に約12%の含湿率を有するが、上述した酸性化段階で水性溶液を添加した場合、この含湿率はより高くなる可能性がある。
【0051】
脱水段階では、加水分解に有利な各種パラメーター(高い含湿率、温度、酸性度)が組み合わさるので、加水分解反応を促進しないように注意することが好ましい。本出願人は、この段階では、1分間さらには数秒間程度の滞留時間で所望の含湿率への到達を可能にしてデンプン加水分解反応を最小限に抑える連続乾燥技術を優先する方が良いことを実証することができた。
【0052】
この乾燥段階は、いずれかの好適なタイプの乾繰機で、とくに流動床乾燥機、エアフロー乾燥機、又はドラム乾燥機で行うことが可能である。
【0053】
工程a)では、最初にエンドウデンプンの第1の乾燥段階、続いてデンプン酸性化段階、続いて酸性化エンドウデンプンの第2の乾燥段階を行って工程a)を終了するなど、各種乾燥段階を行うことも可能である。
【0054】
優先的には、工程a)の終了時、デンプン組成物の含水率は、10%以下、一般的には6%以下、たとえば4%以下である。
【0055】
本発明に係るプロセスは、工程a)で提供された組成物を熱処理してデキストリン化デンプンを形成する工程b)を含む。この工程b)は、天然デンプン中に主に存在するα1-4結合以外の不消化性結合(「非定型結合」という)が有意量で形成可能となるように行うことが可能である。この処理は、一般に、少なくとも部分的には80~250℃の範囲内の温度、たとえば120~220℃の範囲内の温度、好ましくは160~210℃の範囲内の温度で加熱することを含みうる。有利には、熱処理工程の時間の少なくとも50%、優先的には少なくとも80%、非常に優先的にはこの工程の全部が、これらの温度で行われる。
【0056】
この工程では、連続乾燥を並行的に行うことも可能であり、そのため、この場合には、工程a)の脱水段階及び工程b)の熱処理は、同時に行うことが可能である。選択される反応器の構成に依存して、いずれの乾燥も、湿分を取り除くためにエアフローの通過により又は真空ポンプにより、加熱と同時に行うことが可能である。
【0057】
少なくとも工程b)の一部では、デンプン組成物の含水率は、熱処理工程の時間の少なくとも50%、優先的には少なくとも80%、優先的にはこの工程の全部で、先の含水率
範囲内にありうる。
【0058】
熱処理工程は、押出し機、薄膜反応器、又はサーモスタットチャンバーから選択される反応器、優先的には押出し機又は薄膜反応器、非常に優先的には薄膜反応器で行いうる。
【0059】
デキストリン化デンプンを形成してから耐性デキストリンへの変換を可能にする押出し機の使用は、欧州特許第0538146号明細書、欧州特許第0530111号明細書、及び欧州特許第0988323号明細書にすでに記載されている。
【0060】
押出し機は、圧力下で熱処理を行うことを可能にする。それは、一軸スクリュー押出し機又は同方向回転若しくは異方向回転の二軸スクリュー押出し機でありうる。とくに有利には、押出し機は、二軸スクリュー押出し機とくに同方向回転二軸スクリュー押出し機である。
【0061】
押出し工程は、脱水及び酸性化されたエンドウデンプンの並行乾燥工程をさらに含みうる。この乾燥は、好ましくは、たとえば真空ポンプを用いて真空下に配置することにより行われる。
【0062】
押出し機のスクリューは、5:1~50:1の範囲内の長さ/直径比を有しうる。スクリューの長さは、0.5m~5mの範囲内でありうる。押出し機のスクリュースピードは、選択されるスクリュー及び導入されるエンドウデンプンに適合化され、それは、100~500回転/分の範囲内でありうる。滞留時間は、この工程の終了時にデキストリン化デンプンを得るために各種パラメーターにより適合化される。
【0063】
薄膜反応器に関して、このタイプの反応器を用いた耐性デキストリンの製造プロセスは、欧州特許第1006128号明細書の課題であった。薄膜反応器は、同時に最小量の可能な分解生成物を発生させて主にグリコシド結合で生成物の構造の有意な変換を達成するために、生成物に高温を短時間適用可能にするいずれかのタイプの反応器を意味するものと理解される。使用可能な薄膜反応器の例は、ターボ乾燥機(たとえばVOMM(登録商標)ブランドのもの)又は連続式ミキサーとりわけ連続式スクリューミキサーである。連続式スクリューミキサーの例としては、BUeSS AG社により販売されているBUeSS型ミキサーが挙げられうる。連続式スクリューミキサーに関して、ミキサーのスクリューは、5:1~50:1の範囲内の長さ/直径比を有しうる。スクリューの長さは、0.5m~5mの範囲内でありうる。ミキサーのスクリュースピードは、選択されるスクリュー及び導入されるエンドウデンプンに適合化される。温度は、優先的には上述したものであり、且つ滞留時間は、この工程の終了時にデキストリン化デンプンを得るために各種パラメーターにより適合化される。それは、3~15秒間の範囲内など、とくに短くしうる。連続式スクリューミキサーによる混合工程は、脱水及び酸性化されたエンドウデンプンの並行乾燥工程をさらに含みうる。この乾燥は、好ましくは、たとえば真空ポンプを用いて真空下に配置することにより行われる。
【0064】
サーモスタットチャンバーに関して、それはいずれかのタイプのオーブンでありうる。
【0065】
工程b)の終了時、デキストリン化デンプンは回収である。
【0066】
工程b)の終了時に得られるデキストリン化デンプンは、多くとも4500g/molに等しい、一般的には500~3500g/molの範囲内、たとえば800~3000g/mol、特定的には900~1500g/molの範囲内の数平均分子質量Mnを有しうる。
【0067】
工程b)の終了時に得られるデキストリン化デンプンは、デキストリン化デンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で表したとき、一般的には15%未満、たとえば10%未満、特定的には5%未満の量の糖を含みうる(すなわち、1又は2に等しい重合度を有するサッカライドの量)。糖は、一般的には主にグルコース、マルトース、及びイソマルトースで構成される。
【0068】
本発明に係るプロセスは、耐性デキストリンを形成するためにデキストリン化デンプンの処理工程c)を1つ以上含む。これらの工程は、以下に開示されるさまざまな機能を有する。
【0069】
これらの処理工程はすべて、互いに逐次的に組み合わせることが可能である。したがって、以下の処理工程c)の説明が簡単に理解されるように、このデキストリン化デンプンが他の一処理工程にすでに付されたとしても、「デキストリン化デンプン」という用語が用いられるものと規定される。例として、以下のセクションでは、「デキストリン化デンプン」という用語は、工程b)で回収されてから第1の酵素的加水分解工程に付されたデキストリン化デンプンを含む。
【0070】
これらの処理工程c)は、一般に、水性溶液の形態のデキストリン化デンプンで行われる。これらの処理工程の各々では、デキストリン化デンプン溶液の濃度及びpHは、これらの工程の各々が良好な条件下で行えるように事前に調整可能である。
【0071】
処理工程c)の1つは、有利にはデキストリン化デンプンの分子質量低減工程を含む。この工程は、デキストリン化デンプンの酵素的加水分解工程又は化学的加水分解工程でありうる。優先的には、この分子質量低減工程は、酵素的加水分解工程である。
【0072】
この酵素的加水分解工程を行うために、デキストリン化デンプンは、選択された酵素の最適操作条件に近いデキストリン化デンプンの質量濃度、pH、及び温度を有する媒体中に優先的に配置される。酵素の量は、選択された条件下で加水分解反応を可能にするように当業者により適合化される。媒体は、有利には、反応が行われうる時間にわたりこれらの最適操作条件下で既知の反応器内に保持される。酵素的加水分解工程は、1種の酵素又は酵素の混合物を用いて行うことが可能である。酵素は、アミラーゼ、特定的にはα-アミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラナーゼ、及びグルコアミラーゼ又はアミログルコシダーゼから選択されるアミラーゼ、有利にはα-アミラーゼでありうる。例として、デキストリン化デンプンが50~100℃の範囲内の温度を有する媒体を使用しうる。pHは、3~5の範囲内でありうる。媒体の乾燥質量は、25~45%の範囲内でありうる。この工程は、30分間~5時間継続しうる。
【0073】
分子質量低減工程はまた、工程b)で使用されるものと同一の酸を用いて酸加水分解により、及びより低乾物を用いてデキストリン化デンプンの加水分解条件を適合化することにより、行いうる。
【0074】
分子質量低減工程とくに酵素的加水分解工程は糖を発生しうるので、酵素的加水分解工程の終了時に得られるデキストリン化デンプンは、この工程前のデキストリン化デンプンのものを超える量の糖を含みうるとともに(すなわち、1又は2に等しい重合度を有するサッカライドの量)、この量は、この処理の終了時に得られるデキストリン化デンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で一般的には20%未満の糖、特定的には15%未満、たとえば10%未満である。
【0075】
処理工程c)の1つはまた、トランスグルコシダーゼなどの分岐酵素を用いた酵素的分岐工程を含みうる。
【0076】
本プロセスはまた、リゾホスホリパーゼ及び/又はホスホリパーゼなどのリパーゼを用いてデキストリン化デンプンを処理する処理工程c)を含みうる。本プロセスはまた、ヘミセルラーゼを用いたデキストリン化デンプンの処理工程c)を含みうる。
【0077】
デキストリン化デンプンのこれらの酵素的処理工程(酵素的加水分解、酵素的分岐、リパーゼを用いた処理、及び/又はヘミセルラーゼを用いた処理)は周知である。それらは、個別にさらには並行的に行うことが可能である。かかる工程は、とくに米国特許第5620873号明細書及び米国特許出願公開第2011020496号明細書に記載されている。
【0078】
処理工程c)の少なくとも1つは、有利には濾過工程である。この濾過工程は、それ自体公知であり、とくに、珪藻土に通すフィルタープレス又は回転真空フィルター(RVF)に通すことによる濾過の公知の技術を用いて行いうる。
【0079】
処理工程c)の少なくとも1つはまた、脱ミネラル化工程からなりうる。この脱ミネラル化工程は、慣例に従ってアニオン性及び/又はカチオン性樹脂に通すことにより行うことが可能である。
【0080】
処理工程c)の少なくとも1つは、1つ以上の漂白工程を含みうる。漂白手段は、たとえば、デキストリン化デンプンを粉末状又は顆粒状活性カーボンに接触させて吸着させることにより行うことが可能である。粉末状活性カーボンを用いた漂白工程の場合には、大きな細孔体積のメソ細孔(1.5~25nmとくに4~20nmの細孔半径)を用いることにより高パーセントの漂白を達成可能であることを、本出願人は確認した。漂白を最適化するために、逐次的漂白操作を行うことが可能である。しかしながら、活性カーボンの損失を回避するために、本発明との関連では、顆粒状ブラックカラムなどのリサイクル可能担体を使用することが好ましい。同一のプロセス利点が濾過及び脱ミネラル化工程で観測され、本発明に有用なデキストリン化デンプンは、顆粒状ブラックカラムのファウリングを引き起こしにくい。
【0081】
処理工程c)の1つはまた、少なくとも1つの分画工程を含みうる。この分画工程は、とくにデキストリン化デンプンの糖含有率の低減を可能にしうる。本発明との関連では、分画工程は、デキストリン化デンプンの最小分子を排除すること、とくに糖含有率を低減することが意図される。この分画工程は、より高い分子質量及びより低い多分散性指数の特性を有する多糖の画分の捕集を可能にする。この分画工程は、たとえば、クロマトグラフィー分離工程又はメンブレン分離工程からなりうる。
【0082】
この分画工程は、連続方式又はバッチモードで行いうる。
【0083】
一般に、分画は、任意選択的にとくに分子質量低減工程でありうる前処理工程に付した後、デキストリン化デンプンに対して行われる。デキストリン化デンプンはまた、酵素的加水分解工程などの分子質量低減工程に付されたものでありうる。
【0084】
分画工程に付されたデキストリン化デンプンは、一般に水性溶液の形態である。
【0085】
たとえば、クロマトグラフィー分離工程の場合には、溶液は、20~60%、好ましくは25~55%の乾物を有しうる。メンブレン分離工程の場合には、溶液は、一般により低乾物を有しうる。溶液は、たとえば2~50%、さらには5~30%の範囲内でありうる。
【0086】
クロマトグラフィー分離による分画工程は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンただしより優先的にはナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが好ましくはロードされたマクロ多孔性タイプの強カチオン性樹脂上でそれ自体公知のようにバッチモード又は連続方式(疑似移動床)で行われる。かかる分画の例は、米国特許第3044904号明細書、米国特許第3416961号明細書、米国特許第3692582号明細書、仏国特許第2391754号明細書、仏国特許第2099336号明細書、米国特許第2985589号明細書、米国特許第4024331号明細書、米国特許第4226977号明細書、米国特許第4293346号明細書、米国特許第4157267号明細書、米国特許第4182623号明細書、米国特許第4332623号明細書、米国特許第4405455号明細書、米国特許第4412866号明細書、米国特許第4422881号明細書、及び国際公開第92/12179号パンフレットに記載されている。好ましくは、吸着剤に関して、ナトリウム形又はカリウム形のマクロ多孔性タイプで利用される強カチオン性樹脂が使用される。樹脂は、有利には100~800マイクロメートルの均一粒子サイズである。それは、ジビニルベンゼン(DVB)を含めてポリスチレンタイプでありうる。カリウム形のマクロ多孔性強カチオン性樹脂は、5%DVBを含むPurolite(登録商標)C141、8%DVBを含むPurolite(登録商標)C145、又は12%DVBを含むPurolite(登録商標)C150からなる群から選択可能である。同一のプロセス利点が脱ミネラル化樹脂で観測され、本発明に有用なデキストリン化デンプンは、吸着剤樹脂のファウリングを引き起こさない。
【0087】
メンブレン分離による分画工程に関して、それはナノ濾過により、任意選択的に透析濾過により行いうる。この分離工程は、Desal(登録商標)DKやDLタイプなどのナノ濾過カートリッジを用いて行いうる。ナノ濾過されるストリームの温度条件及びメンブレンに加えられる圧力は、当業者により適合化される。メンブレン濾過は、主に低分子質量種を含む透過物を生成し、一方、保持物は、主により高分子質量の多糖を含む。メンブレン濾過条件とくにメンブレン選択は、カットオフ閾値の変更ひいては透過物中のグルコース、マルトースなどの相対的実質的排除を可能にする。たとえば、Desal(登録商標)DLタイプのメンブレンは、Desal(登録商標)DKタイプのメンブレンよりもより高分子量の多糖(保持物)中のマルトース量の実質的低減を可能にする。同一のプロセス利点が上述した濾過ツールで観測され、本発明に有用なデキストリン化デンプンは、メンブレンのファウリングを引き起こしにくい。
【0088】
分画工程の終了時、デキストリンは、組成物の乾燥質量基準の乾燥質量で一般に10%未満、たとえば5%未満、特定的には1%未満の糖を含む。耐性デキストリン中の糖の低減と並行してこの工程を行うことにより、分画後に得られるその還元糖の含有率は減少する。
【0089】
限定されるものではないが、以上に提示された好ましい変形形態との組合せが可能な処理工程c)の各種シーケンスを含む本発明のプロセスの好ましい各種変形形態を以下に説明する。
【0090】
本発明のプロセスの第1の好ましい変形形態によれば、処理工程c)は、
C1)分子質量低減工程、
C2)濾過工程及び/又は脱ミネラル化工程、
を含む。
【0091】
本発明のプロセスの第2の好ましい変形形態によれば、処理工程c)は、
C1)濾過工程及び/又は脱ミネラル化工程、
C2)分画工程、
を含む。
【0092】
本発明のプロセスの第3の好ましい変形形態によれば、処理工程c)は、
C1)分子質量低減工程、
C2)濾過工程及び/又は脱ミネラル化工程、
C3)分画工程、
を含む。
【0093】
本発明に係るプロセスはまた、工程c)の終了時に得られる耐性エンドウデキストリンの回収工程d)を含む。いかなる一理論にも拘束されるものではないが、耐性エンドウデキストリンは、とくに本発明の方法に使用される出発デンプンに特有のデンプン構造だけでなくエンドウデンプンの組成物の特性のすべて(不純物など)に起因して、それ特有の性質を有する。
【0094】
得られる耐性デキストリンは、1→2、1→3、1→4、及び1→6グリコシド結合の全数を基準にして15~45%、好ましくは20~42%、たとえば28~40%の1→6グリコシド結合を有しうる。1→2、1→3、1→4、及び1→6グリコシド結合の量は、「箱守法」として知られる従来の方法により決定可能であり、この技術は、HAKOMORI,S.,1964,J.Biochem,55,205の刊行物に記載されている。
【0095】
得られる耐性デキストリンはまた、30%未満、たとえば3~25%の範囲内、特定的には4~19%の範囲内の還元糖含有率を有しうる。還元糖含有率は、解析される生成物の乾燥質量基準の乾燥質量でグルコース当量として表され、それはベルトラン法により測定される。
【0096】
得られる耐性デキストリンはまた、5未満、一般的には1.5~4の範囲内の多分散性指数を有しうる。得られる耐性デキストリンは、たとえば、多くとも4500g/molに等しい、一般的には500~3500g/molの範囲内、たとえば800~3000g/mol、特定的には900~1500g/molの範囲内の数平均分子質量Mnを有しうる。
【0097】
この得られる耐性デキストリンは、AOAC2001.03規格に準拠して60%超、優先的には65~99%、一般的には70~95%の範囲内の繊維量を有しうる。本方法は、本発明の耐性デキストリンの繊維数量の完全な決定を可能にする。この全繊維量は、とくに熱処理、酵素的加水分解、分岐及び/又は分画の工程を改変することにより当業者により調整される。
【0098】
上述した処理工程は、当業者に周知であり、たとえば、Separation and
Purification Techniques in Biotechnology,Dechow(Noyes publication,1st Edition,1989)、Filtration Technologie[Filtration Technology],Meriguet G.(Techniques de l’ingenieur,Sept.10 1997,Ref:J3510 v1)、及びFiltration membranaire(OI,NF,UF)-Applications diverses[Membrane Filtration(OI,NF,UF)-Various applications],Bourdon et al.(Techniques de l’ingenieur,Sept.10 2006,Ref:J2796 v1)など、その分野の参照文献に記載されている。
【0099】
本発明に係るプロセスはまた、耐性デキストリンの化学修飾工程、たとえば耐性デキストリンの水素化又はオゾン分解工程を含みうる(これら工程はさらにすでに公知である)。
【0100】
本発明に係るプロセスはまた、この耐性デキストリンの追加の造形工程を含みうる。本発明の耐性デキストリンは、濃厚水性溶液(「シロップ」という)又は固形形態でありうる。
【0101】
上述した処理工程c)さらには任意選択的化学修飾工程の後の一般に依然として液状形態の耐性デキストリンは、それ自体公知の濃縮工程を用いてシロップの形態にすることが可能であり、それにより耐性デキストリンシロップの乾物含有率を所望の質量濃度に調整することが可能である。この濃縮工程は、蒸発を可能にするいずれかのデバイスを用いて行うことが可能である。このシロップは、60~90%たとえば65~85%の範囲内の乾物を有しうる。
【0102】
本発明の耐性デキストリンはまた、固形形態にすることも可能である。有利には、組成物は、好ましくはスプレー乾燥粉末の粉末形態である。そのため、本プロセスは、乾燥工程に続いて濃縮工程を含みうる。濃縮工程は、いずれかのタイプの蒸発器を用いて行いうるとともに、乾燥工程は、とりわけスプレードライ工程又は顆粒化工程でありうる。これらの方法は、当業者に周知である。
【0103】
本発明の耐性デキストリンは、とくに、耐性デキストリンの既知の用途のすべてに使用可能である。それは、ヒト又は動物の医薬組成物及び食品組成物の成分として使用しうる。
【0104】
そのため、本発明の一主題は、食品組成物又は医薬組成物における本発明に係るプロセスにより得られた耐性デキストリンの使用である。
【0105】
実際に、その高繊維含有率及び低カロリー価に起因して、かかる耐性デキストリンは、多くの産業用途とくに農業食品産業又は医薬品産業及び動物栄養でかなりの関心が払われている。
【0106】
食品組成物とは、ヒト又は動物による摂食が意図された組成物を意味するものと理解される。「食品組成物」という用語は、食材及び食品サプリメントを包含する。医薬組成物とは、治療的使用が意図された組成物を意味するものと理解される。
【0107】
前記耐性デキストリンを含む食品組成物の例は、乳製品、ヨーグルト、乳ベース特製品、アイスクリーム、ミルクセーキ、スムージー、ペストリー、パイ、プディング、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ブラウニー、菓子、チョコレート、スプレッド、チューイングペースト、チューインガム、キャンディー、ハードキャンディー、アルコール又はノンアルコールの炭酸飲料又は非炭酸飲料、果汁、濃縮果汁混合物、フレーバーウォーター、粉末飲料たとえば粉末チョコレート飲料、スープ、ソース、特別栄養組成物、とくに、母体栄養及び乳児栄養、体重管理、スポーツ栄養、高齢者栄養及び臨床栄養のための組成物、果実調製品、ジャム、クッキー、ケーキ、スナック、ペストリー、コーティングあり又はコーティングなしのシリアルバー及びシリアルクラスター、パン、及びブリオッシュである。
【0108】
医薬組成物の例としては、医薬剤、たとえば、エリキシル剤、咳止めシロップ、ロゼンジ剤又は錠剤、パステル剤、獣医用品、食物製品、又は衛生用品、たとえば、口腔衛生溶液、練り歯磨き、歯磨きジェルなどが挙げられる。
【0109】
類似物(分岐状マルトデキストリンという)を用いたかかる組成物の例は、欧州特許第1201133号明細書、欧州特許第1245578号明細書、欧州特許第1245582号明細書、欧州特許第1245580号明細書、欧州特許第1245581号明細書、欧州特許第1245579号明細書、欧州特許第1245161号明細書、欧州特許第1388294号明細書、仏国特許第2846518号明細書、欧州特許第1713340号明細書、欧州特許第1871394号明細書、欧州特許第2306846号明細書、欧州特許第2515910号明細書、欧州特許第2632428号明細書、及び欧州特許第2919592号明細書にすでに記載されている。本発明の耐性デキストリンは、参照により組み込まれるこれらの明細書の教示に係るこの分岐状マルトデキストリンの代わりに使用可能である。
【0110】
次に、これ以降では、限定されるものではないが以下の特定の実施形態で本発明を例証する。
【実施例
【0111】
実施例1:本発明に係るプロセスによる耐性デキストリンの調製
エンドウデンプン:ROQUETTE(登録商標)天然エンドウデンプン。エンドウデンプンの乾燥質量基準の乾燥質量で0.20%のタンパク質含有率(N6.25)と、0.03%の全脂質含有率と、0.09%の灰含有率と、約99.7%のデンプン含有率と、を含む天然キマルエンドウデンプン。アミロース:アミロペクチン比は38:62である。エンドウデンプンの平衡含湿率は12%である。
【0112】
17.6meqH+/kg乾物の割合で塩酸を用いて組成物を酸性化し、次いで、それを流動化空気乾燥器に導入することにより1.5%の残留含湿率まで乾燥させる。
【0113】
次いで、この原料を200℃の温度及び20kg/hの流量に維持されたBUeSS(登録商標)PR46ミキサーに導入する。滞留時間は約5秒間である。
【0114】
デキストリン化デンプンは出口で回収され、表1に示される分子質量Mnを有する。
【0115】
次いで、このデキストリン化デンプンを酵素的加水分解工程に付し、その際、35%の乾物を含む溶液にし、この溶液をpH4に調整する。α-アミラーゼを媒体に導入し(Termamyl(登録商標)120L、Novozymes(登録商標))、媒体を75℃で2時間加熱する。
【0116】
この酵素的加水分解工程の終了時、デキストリン化デンプンを回転真空フィルター(RVF)に通す。次いで、このデキストリン化デンプンを顆粒状木炭に接触させ、次いで、再び濾過する。次いで、デキストリン化デンプンをイオン性樹脂上に通して脱ミネラル化する。表1は、これらの工程の実施容易性レベルを示す(流量損失、フィルター又は樹脂の洗浄必要性など)。
【0117】
次いで、デキストリン化デンプンを液状溶液の形態で回収する。
【0118】
液状溶液の形態のデキストリン化デンプンの一部分を約40%の乾物になるようにし、次いで、SMB(疑似移動床)クロマトグラフィー工程からなる分画工程に付す。分画後、20%乾物を有する溶液の形態で回収された耐性デキストリンは、耐性デキストリンの乾燥質量基準の乾燥質量で4.3%に等しい%DP1-2を含む。耐性デキストリンの性質は、表2に列挙される。
【0119】
耐性デキストリンを70%乾物まで蒸発させ、次いで、アトマイゼーションにより固形形態にする。
【0120】
実施例2:本発明に係るプロセスによる耐性デキストリンの調製
実施例2は、糖の量をより有意に低減するようにクロマトグラフィーを調整することにより分画工程を行うという点で実施例1と異なり、その結果、%DP1-2は、耐性デキストリンの乾燥質量基準の乾燥質量で0.5%に等しくなる。耐性デキストリンの性質は、表2に列挙される。
【0121】
対比例1:本発明に係らないプロセスによる耐性デキストリンの調製
この例は、実施例2と同一で、エンドウデンプンの代わりにトウモロコシデンプン(ROQUETTE(登録商標))を使用することのみ異なる。
【0122】
実施例1の場合と同一の観測を表1に示す。
【0123】
対比例2:本発明に係らないプロセスによる耐性デキストリンの調製
この例は、実施例2と同一で、エンドウデンプンの代わりにコムギデンプン(ROQUETTE(登録商標))を使用することのみ異なる。
【0124】
実施例1の場合と同一の観測を表1に示す。さらにまた、クロマトグラフィーの前後で得られた耐性コムギデキストリンの性質を表2に報告する。
【0125】
【表1】
【0126】
本出願人は、本発明に有用なエンドウデンプンの代わりにトウモロコシデンプン又はコムギデンプンを使用したときよりも、回転真空フィルターによる濾過工程が非常に容易に行われたことに気付くことができた。濾過流量は、他のデキストリン化デンプンと比較して改善され、フィルターの目詰まりは、試験時に観測されなかった。
【0127】
脱ミネラル化工程に関しても、脱ミネラル化樹脂の目詰まりを起こすことなく、より容易に行われる。
【0128】
使用される基材のいかんを問わず、デキストリン化デンプンの分子質量が類似している
ので、このことはなおさら驚くべきことである。
【0129】
表2は、本発明の耐性エンドウデキストリンが非常に有利な性質を有し、食品及び医薬品に使用するのにきわめて好適であることを実証する。
【0130】
【表2】
【0131】
クロマトグラフィー前の対比例2のデキストリン中の繊維量が実施例1のものよりも低い繊維含有率を有することに気付くことは興味深い。そのため、エンドウデンプンの特定の構造が、等価なプロセスを用いて、より高い繊維含有率さらにはより低い糖含有率の達成を可能にするものと思われる。いかなる一理論にも拘束されるものではないが、本発明の耐性エンドウデキストリンの構造は、使用した方法では耐性コムギデキストリンと識別できないが、その結合が異なる構造を有するということが、この現象の説明となりうる。
【0132】
そのため、本発明の耐性デキストリンは、以下に記載の処方で使用可能である。
【0133】
実施例3:ヨーグルト
成分として実施例2の耐性デキストリンを用いてヨーグルトを作製可能である。
【0134】
発酵体:
発酵体は、凍結乾燥形態でCHR HANSEN(登録商標)社により供給される。
- 「従来の」発酵体、慣用的ヨーグルト株のバランスのとれた混合物(ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・デルブルエッキイsp.ブルガリカス(Lactobacillus delbruekii sp.bulgaricus))、参照YC-380。
- 「現代の」発酵体、現在の消費者期待への適合化後に同一の株で構成されたもの(より低酸性度、脂様感増加)、参照YC-X11。
- ビフィズス原性発酵体、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)からなる、参照BB-12。
【0135】
配合物:
発酵体の各々を用いて3つのヨーグルトを作製可能である。
【0136】
【表3】
【0137】
プロトコル:
- 撹拌しながらスキムミルク粉末を水中で15分間水和させる(800rpm(回転/分))。
- 耐性デキストリンを添加し、500rpmで7分間撹拌する。
- 沸騰水浴中に浸漬されたコイル中で溶液をパスツール殺菌する(コイル中の乳の滞留時間:7分間)。
- 乳を44℃に冷却する。次いで、あらかじめ無菌水中に10%に希釈された甘味剤を添加し、発酵体をパスツール殺菌乳中に希釈する。
- 44℃のオーブン中に乳を配置し、4.4の値になるようにpHをモニターする。
- 発酵停止:500rpmでヨーグルトを1分間撹拌し、そしてそれをガラスポットに注加して4℃で貯蔵する。
【0138】
実施例4:炭酸ソフトドリンク
以下の処方及びプロトコルに従って、実施例2の耐性デキストリンを含有する炭酸ソフトドリンク(ソーダ)を作製可能である。
【0139】
グラム/リットル飲料単位の量:
【0140】
【表4】
【0141】
0.5リットルの炭酸水を調製する。次いで、甘味剤又は糖代替物を添加する。次いで、成分の残りの部分を組み込んで、1リットルの体積まで水を添加する。
【0142】
実施例5:スープ
以下のプロトコルに従って、実施例2の耐性デキストリンを用いて濃厚トマトスープを調製可能である。
【0143】
g/100g単位の処方:
【0144】
【表5】
【0145】
プロトコル:
KENWOOD(登録商標)ミキサーのボウル中で、油と、90℃の水と、CLEARGUM(登録商標)CO01乳化剤と、ホエーと、を最大スピードで10分間混合する。
【0146】
スクロースと、CLEARAM(登録商標)CH20変性デンプンと、トマト濃縮物と、クエン酸と、水と、を個別に混合し、水浴中で80℃まで加熱調理する。
【0147】
こうして得られたトマトソースを前のエマルジョンと30秒間混合する。
【0148】
スープを瓶詰めして110℃で50分間滅菌する。スープのpHは4.2である。
【0149】
摂食前、スープを水中で50重量%まで希釈する。
【0150】
実施例6:ゼラチンチューイングペースト
本発明の耐性デキストリン(実施例2)を用いてゼラチンチューイングペーストを作製可能である。
【0151】
A-処方
【0152】
【表6】
【0153】
B-作製方法
- 大気圧下110℃で混合物(A)を加熱調理し(Brix=85.2)、
- 混合しながら冷却し、混合物の温度が60℃に達したとき、混合物B(あらかじめ60℃で溶融した)、60℃に維持されたゼラチン溶液C、次いでDを添加し、
- ペーストを冷却し、
- ペーストを伸長し(1分、すなわち、プリングマシンのアームの回転数50)、
- 造形し、
- カット及びパッケージ化する。
【0154】
実施例7:ゼラチンフリーチューイングペースト
本発明の耐性デキストリン(実施例2)を用いてゼラチンフリーチューイングペーストを作製可能である。
【0155】
A-処方
【0156】
【表7】
【0157】
B-作製方法
- 大気圧下108℃で混合物(A)を加熱調理し(Brix=83.5)、
- 混合しながら冷却し、混合物の温度が60℃に達したとき、混合物B(あらかじめ60℃で溶融した)、次いでCを添加し、
- ペーストを冷却し、
- ペーストを伸長し(1分、すなわち、プリングマシンのアームの回転数50)、
- 造形し、
- カット及びパッケージ化する。
【0158】
実施例8:カラメル
本発明の耐性デキストリン(実施例2)を用いてカラメルを作製可能である。
【0159】
A-処方
【0160】
【表8】
【0161】
B-作製方法
- 大気圧下108℃で混合物(A)+混合物(B)(あらかじめ60℃で溶融した)を加熱調理し(Brix=84.5)、
- 加熱調理時、混合物Cを添加し、
- 冷却し、
- 造形し、
- カット及びパッケージ化する。
【0162】
実施例9:フィリングゼリー
本発明の耐性デキストリン(実施例2)を用いてフィリングゼリーを作製可能である。
【0163】
成分(以下の表を参照されたい)を混合し、次いで、90のBrixを得るのに必要な時間にわたりオープンフレーム上で沸騰状態で混合物を加熱調理する。加熱料理パラメーターは、以下の表に記載されている。
【0164】
【表9】
【0165】
実施例10:ヨーグルト用の果実調製品
本発明の耐性デキストリン(実施例2)を用いてヨーグルト用の果実調製品を作製可能である。
【0166】
【表10】
【0167】
手順:
果実と、スクロース又は強力甘味剤の半分、グルコースシロップ、変性デンプン、及びクエン酸と、を混合する。
【0168】
ペクチン-耐性デキストリン溶液及びいずれの残りのスクロースも85℃の水中で5分間加熱し、前の混合物に添加する。
【0169】
これを95℃で5分間加熱調理し、カリウムソルベートを添加する。
【0170】
実施例11:スタッカブルロールスナック
実施例2の耐性デキストリンを用いて以下の処方に従って低脂肪スタッカブルロールスナックを調製可能である。
【0171】
【表11】
【0172】
処方に従って低脂肪高繊維スタッカブルロールスナックを作製する。各種成分を混合し、水を組み込んで40%の含湿率のペーストを得る。得られた混合物をコールド押出し機に通してドウを得て、次いで、これをロール及びカットしてチップにする。次いで、チップを195℃の油中で15秒間揚げる。
【0173】
実施例12:ハードキャンディー
以下のシロップから実施例2の耐性デキストリンを含むハードキャンディーを調製可能である:
- 試験1
乾量基準で90%イソマルト+10%耐性デキストリン/加熱調理温度=180℃
- 試験2
乾量基準で80%イソマルト+20%耐性デキストリン/加熱調理温度=180℃
- 試験3
乾量基準で70%イソマルト+30%耐性デキストリン/加熱調理温度=180℃
- 試験4
乾量基準で60%イソマルト+40%耐性デキストリン/加熱調理温度=180℃
すべての混合物を75%DMで作製し、3%未満の含水率が得られるように調理道具により指定温度で加熱調理する。加熱調理塊をコールドテーブル上に配置し、造形する。
【0174】
実施例13:ブリオッシュ
実施例2の耐性デキストリンを用いてブリオッシュを作製可能である。
【0175】
【表12】
【0176】
500gブリオッシュ及び60gミニブリオッシュの秤量及びラウンディング。
ミニブリオッシュは手作業で造形する。
190℃のロータリーオーブン中でベーキング、ブリオッシュは23分、ミニブリオッシュは15分。
卵及び水グレーズ。
【0177】
実施例14:高繊維サンドイッチローフ
実施例2の耐性デキストリンを用いてローフを作製可能である。
【0178】
使用したドウ処方は、以下の表に詳細に記載されている(パーセントは完成品中の割合
を表す)。
【0179】
200℃のロータリーオーブン中で25分間ベーキング。
【0180】
【表13】
【0181】
実施例15:パン
パン製造用コムギ粉(含湿率15.4%、タンパク質10.9%、アルベオグラムW280、及びP/L0.75)を用いて、フランスパン処方に従って、実施例1及び2の耐性デキストリンを用いてパンを作製可能である。
【0182】
VMIスパイラルニーダーによりスピード1でドウを2分間混練し、続いて、スピード2で9分間混練する。
【0183】
ドウを20℃で10分間放置してから、500gピースにカットして造形した。
【0184】
24℃及び相対湿度75%でドウピースの発酵を約2時間30分行い、次いで、240℃のピールオーブン内で24分間ベーキングした。
【0185】
以下の表にドウの組成物の詳細な処方をまとめる。
【0186】
【表14】
【0187】
実施例16:クッキー
実施例2の耐性デキストリンを用いて糖フリークッキーを作製可能であり、そのドウの組成は、以下の表に提示される。
【0188】
【表15】
【0189】
水及びベーキングパウダーを秤量し、次いで、スピード1でHobartニーダーにより5分間混合する。
【0190】
脂肪及びダイズレシチンを添加し、混合物をスピード1で1分間、次いでスピード2で4分間撹拌する。次いで、所要により、卵を添加してからホモジナイズする。
【0191】
粉末の残りの部分:コムギ粉、塩、風味剤、所要により脂肪低減ココア粉末、マルチトール、エンドウ繊維、耐性デキストリン、所要により耐性デンプン及びエンドウタンパク質を添加し、次いで、ニーダーで混合する。以上の表に提示された組成に従って組成物及び生成物を与える。すべてスピード1で10分間撹拌を継続するが、ニーダー及び撹拌ブレードのエッジをスクレープするために中断する。
【0192】
回転成形機を用いてクッキーを形成し、ベーキングシート上に配置する。
【0193】
ドウのマウンドを200℃のロータリーオーブン内に10分間配置し、そして25℃に放冷する。