(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】グリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ阻害剤としての1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 405/12 20060101AFI20231228BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20231228BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20231228BHJP
C07D 409/12 20060101ALI20231228BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231228BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231228BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20231228BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C07D405/12
C07D405/14 CSP
C07D409/14
A61K31/4439
A61K31/416
C07D409/12
A61P3/10
A61P15/00
A61P43/00 111
A61P35/02
A61P35/00
A61P3/04
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61K31/5377
A61K31/496
(21)【出願番号】P 2020562568
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019061532
(87)【国際公開番号】W WO2019215075
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592160973
【氏名又は名称】アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】グイド・フルロッティ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・カヴァリスキア
(72)【発明者】
【氏名】ローザ・ブオンフィリオ
(72)【発明者】
【氏名】ロゼッラ・オンブラート
(72)【発明者】
【氏名】トンマーゾ・イアコアンジェリ
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508763(JP,A)
【文献】特表2014-526510(JP,A)
【文献】特表2015-506993(JP,A)
【文献】特表2015-506995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I):
【化1】
(I)
[式中、
R
aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ヒドロキシC
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルコキシおよびアミノC
1-C
6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、3~12員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である;
Yは、結合、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニルまたはC
2-C
6アルキニル基である;
R
bは、炭素原子、ならびにハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、オキソ(=O)、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる5~10員の脂肪族複素環である;
ただし、R
bがオキサニル基である場合、Yは結合ではなく、およびR
bが
オキソラニル基であって、R
aがピリジニルまたはモノフルオロピリジニル基である場合、Yは-CH
2-基ではない]
を有する1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物ならびにその薬学的に許容される有機および無機の酸および塩基との付加塩。
【請求項2】
R
aが、4~10員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項3】
R
aが、5~6員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項4】
R
aが、6員の芳香族の炭素環または複素環である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項5】
Yが、結合またはC
1-C
6アルキル基である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項6】
R
bが、炭素原子、ならびにSおよびOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる5~6員の脂肪族複素環である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項7】
R
bが、炭素原子、ならびに少なくとも1つの酸素原子からなる5~6員の脂肪族複素環である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項8】
R
bが、チオラニル基、オキソラニル基、チアニル基またはオキサニル基である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項9】
R
bが、1,1-ジオキソチオラニル基、オキソラニル基またはオキサニル基である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項10】
アミノC
1-C
6アルキルが、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、式:-NR
1R
2(式中、R
1およびR
2は、独立して、水素原子、C
1-C
4アルキル基、C
2-C
4アルケニル基、C
2-C
4アルキニル基、およびフェニル基であるか、またはR
1およびR
2は独立して、水素原子、C
1-C
4アルキル基、C
2-C
4アルケニル基、C
2-C
4アルキニル基、およびフェニル基であるか、またはR
1およびR
2は、窒素原子と一緒になって、N、SおよびOから選択される、少なくとも1つのさらなるヘテロ原子を任意に含む、5~6員の脂肪族複素環を形成する)を有するアミノ基によって置換される、C
1-C
6アルキル基である、請求項1に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項11】
窒素原子と一緒になって、N、SおよびOから選択される、少なくとも1つのさらなるヘテロ原子を任意に含む、5~6員の脂肪族複素環を形成する
-NR
1R
2アミノ基の窒素原子と一緒になって、R
1およびR
2によって形成される脂肪族複素環が、ピロリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、またはチオモルホリン環である、請求項10に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物。
【請求項12】
(i)インスリン抵抗性障害;(ii)神経変性疾患;(iii)気分障害;(iv)統合失調症;(vi)炎症、(vii)骨粗鬆症、(viii)心臓肥大、(ix)てんかんおよび(x)神経障害性疼痛からなる群から選択される、GSK-3βの制御されていない活性化および/または過剰発現から生じる疾患の治療用医薬の製造のための、以下の一般式(I):
【化2】
(I)
[式中、
R
aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ヒドロキシC
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルコキシおよびアミノC
1-C
6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、3~12員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である;
Yは、結合、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニルまたはC
2-C
6アルキニル基である;
R
bは、炭素原子、ならびにハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、オキソ(=O)、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる5~10員の脂肪族複素環である]
を有する1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物ならびにその薬学的に許容される有機および無機の酸および塩基との付加塩の使用。
【請求項13】
インスリン抵抗性障害が、2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群からなる群から選択される、請求項12に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミドの使用。
【請求項14】
神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病からなる群から選択される、請求項12に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミドの使用。
【請求項15】
気分障害が、双極I型、双極II型、気分循環症および特定不能の双極性障害(BD-NOS)などの双極性障害;ならびに非定型うつ病(AD)、メランコリー型うつ病、精神病性大うつ病(PMD)、緊張性うつ病、産後うつ病(PPD)、季節性情動障害(SAD)、気分変調、および特定不能のうつ病(DD-NOS)などのうつ病からなる群から選択される、請求項12に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミドの使用。
【請求項16】
統合失調症が、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、緊張型統合失調症、単純型統合失調症、残遺型統合失調症、および未分化統合失調症からなる群から選択される、請求項12に記載の1H-インダゾール-3-カルボキサミドの使用。
【請求項17】
有効量の少なくとも1つの、請求項1~11のいずれか1つに記載の上記の式(I)の化合物、または薬学的に許容される有機または無機の酸または塩基とのその塩
、および少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ(GSK-3β)阻害剤としての1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物およびたとえば、(i)インスリン抵抗性疾患;(ii)神経変性疾患;(iii)気分障害;(iv)統合失調症;(v)癌性障害;(vi)炎症;(vii)骨粗鬆症;(viii)心肥大;(ix)てんかん;および(x)神経因性疼痛などのGSK-3β関連疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、高エネルギードナー分子(アデノシン三リン酸、ATPなど)から特定の基質、通常はタンパク質にリン酸基を転移する、構造的に関連する酵素の大きなファミリーを構成する。リン酸化後、基質は機能変化を起こし、それによってキナーゼは、さまざまな生物学的機能を調節することができる。
【0003】
一般に、プロテインキナーゼは、リン酸化される基質に応じて、いくつかのグループに分けることができる。たとえば、セリン/スレオニンキナーゼは、セリンまたはスレオニンアミノ酸の側鎖のヒドロキシル基をリン酸化する。
【0004】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK-3)は、構成的に活性な多機能酵素であり、近年発見されたもので、セリン/スレオニンキナーゼグループに属する。
【0005】
ヒトGSK-3は、それぞれ約51および47kDaの分子量を有するGSK-3αおよびGSK-3βタンパク質をもたらす、2つの異なる独立した遺伝子によってコードされている。2つのアイソフォームは、それらのキナーゼドメインにおいてほぼ同一の配列を共有し、一方、キナーゼドメインの外側では、それらの配列は実質的に異なる(Benedettiら、Neuroscience Letters、2004、368、123-126)。GSK-3αは、多機能タンパク質セリンキナーゼであり、GSK-3βは、セリン-スレオニンキナーゼである。
【0006】
GSK-3βは、すべての組織で広く発現し、成人の脳で広く発現していることが見出されており、このことは、ニューロンのシグナル伝達経路における基本的な役割を示唆する(Grimes and Jope、Progress in Neurobiology、2001、65、391-426)。グリコーゲンシンターゼキナーゼ3への関心は、たとえば、代謝、細胞周期、遺伝子発現、胚発生発癌および神経保護などのさまざまな生理学的経路におけるその役割から生じる(Geethaら、British Journal Pharmacology、2009、156、885-898)。
【0007】
GSK-3βは、グルコースをグリコーゲンに変換するためのグリコーゲンシンターゼの調節におけるその役割について最初に同定された(Embiら、Eur J Biochem、1980、107、519-527)。GSK-3βは、グリコーゲンシンターゼに対して高度な特異性を示した。
【0008】
2型糖尿病は、インスリンシグナル伝達経路のいくつかの側面の負の調節ゆえに、GSK-3βが関与する最初の病状であった。この経路では、3-ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ1(PDK-1)がPKBを活性化し、次に、PKBがGSK-3βを不活性化する。このGSK-3βの不活性化は、グリコーゲン合成を助けるグリコーゲンシンターゼの脱リン酸化および活性化をもたらす(Cohenら、FEBS Lett.、1997、410、3-10)。さらに、GSK-3βの選択的阻害剤は、前糖尿病のインスリン抵抗性ラット骨格筋におけるインスリンシグナル伝達を増強することが期待され、したがって、GSK-3βは、前糖尿病状態の骨格筋インスリン抵抗性の治療のための魅力的な標的になる(Dokkenら、Am J. Physiol. Endocrinol. Metab.、2005、288、E1188-E1194)。
【0009】
GSK-3βは、シンドロームX、肥満、多嚢胞性卵巣症候群などのインスリン抵抗性障害による他の病的状態における潜在的な薬剤標的であることもが見出された(Ring DBら、Diabetes、2003、52:588-595)。
【0010】
GSK-3βは、アルツハイマー病の病的タウの異常なリン酸化に関与することが見出されている(Hangerら、Neurosci. Lett.、1992、147、58-62;Mazanetz and Fischer、Nat Rev Drug Discov.、2007、6、464-479;Hong and Lee、J. Biol. Chem.、1997、272、19547-19553)。さらに、アポリポタンパク質ApoE4およびβ-アミロイドによって誘導されるGSK-3βの早期活性化が、アポトーシスおよびタウ過剰リン酸化を引き起こす可能性があることが証明された(Cedazo-Minguezら、Journal of Neurochemistry、2003、87、1152-1164)。アルツハイマー病の他の側面のうち、分子レベルでのGSK-3βの活性化の関連性も報告された(Hernandez and Avila、FEBS Letters、2008、582、3848-3854)。
【0011】
さらに、GSK-3βがパーキンソン病に関連する神経変性変化の発生および維持に関与することが実証された(Duka T.ら、The FASEB Journal、2009;23、2820-2830)。
【0012】
これらの実験的観察によれば、GSK-3βの阻害剤は、タウオパチーに関連する神経病理学的結果および認知および注意欠陥;アルツハイマー病;パーキンソン病;ハンチントン病(そのような欠陥および疾患におけるGSK-3βの関与はMeijer L.ら、TRENDS Pharm Sci、2004;25、471-480に開示されている);血管性認知症、心的外傷後認知症、髄膜炎等による認知症;急性期脳卒中;外傷;脳血管障害;脳および脊髄の外傷;末梢神経障害;網膜症および緑内障の治療に適用される可能性がある(このような病状におけるGSK-3βの関与が、WO 2010/109005に開示されている)。
【0013】
さらに、GSK-3βは、双極性障害、うつ病、統合失調症などの気分障害に関連している。
【0014】
GSK-3βの阻害は、気分安定薬の重要な治療標的である可能性があり、GSK-3βの調節は、精神医学で使用される他の薬物の治療効果に関与している可能性がある。気分障害、双極性障害、うつ病および統合失調症におけるGSK-3βの調節不全は、ニューロン構造の調節、神経発生、遺伝子発現、およびストレスの多い、潜在的に致命的な状態に応答するニューロンの能力など、神経可塑性を損なう可能性のある複数の影響を与える可能性がある(Jope and Roh、Curr. Drug Targets、2006、7、1421-1434)。
【0015】
気分障害におけるGSK-3βの役割は、両方ともGSK-3β阻害剤であり、気分障害の治療に使用される、リチウムとバルプロ酸の研究(Chenら、J. Neurochem.、1999、72、1327-1330;Klein and Melton、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1996、93、8455-8459)によって強調された。双極性障害の疾患生理学におけるGSK-3βの役割を支持する遺伝的観点からの既存の報告もある(Gould、Expert. Opin. Ther. Targets、2006、10、377-392)。
【0016】
統合失調症患者の末梢リンパ球および脳におけるAKT1タンパク質レベルの低下およびセリン-9でのGSK-3βのリン酸化が報告された。したがって、この発見は、AKT1-GSK-3βシグナル伝達の変化が統合失調症の病因に寄与するという提案を支持する(Emamianら、Nat Genet、2004、36、131-137)。
【0017】
さらに、癌におけるGSK-3βの役割は、広く受け入れられている現象である。
【0018】
GSK-3βを阻害する小分子の可能性は、いくつかの特定の癌治療で証明されている(Jia Luo、Cancer Letters、2009、273、194-200)。GSK-3βの発現および活性化は、前立腺癌の進行に関連しており(Rinnabら、Neoplasia、2008、10、624-633)、GSK3bの阻害もまた、膵臓癌(Garceaら、Current Cancer Drug Targets、2007、7、209-215)および卵巣癌(Qi Caoら、Cell Research、2006、16 671-677)の特異的標的として提案された。結腸直腸癌細胞におけるGSK-3βの急性阻害は、p53依存性アポトーシスを活性化し、腫瘍増殖に拮抗する(Ghoshら、Clin Cancer Res 2005、11、4580-4588)。
【0019】
MLL関連白血病におけるGSK-3βの機能的役割の同定は、GSK-3β阻害がHOX過剰発現に依存する形質転換細胞に選択的な有望な治療法である可能性があることを示唆する(Birchら、Cancer Cell、2010、17、529-531)。
【0020】
GSK-3βは、多くの炎症性シグナル伝達経路に関与しており、たとえば、とりわけ、GSK-3β阻害は、抗炎症性サイトカインIL-10の分泌を誘導することが示されている。この発見によれば、GSK-3β阻害剤は、炎症の抑制を調節するのに有用である可能性がある(G. Klamerら、Current Medicinal Chemistry、2010、17(26)、2873-2281、Wangら、Cytokine、2010、53、130-140)。
【0021】
最近の研究では、骨粗鬆症、心肥大、てんかんおよび神経因性疼痛などのいくつかの異なる疾患におけるGSK-3βの役割も確認されている。
【0022】
前者の場合、「J. Fengらの「Photoactivation of TAZ via Akt/GSK-3β signaling pathway promotes osteogenic differentiation」、Int J Biochem Cell Biol. 2015 Sep;66:59-68」によって報告されているように、GSK-3βの阻害は骨量を増加させることが示されています。彼は、低出力レーザー照射(LPLI)によって活性化されたAkt/GSK3β/TAZ(PDZ結合モチーフを持つ転写コアクチベーター)が骨芽細胞の分化を促進するという新規なメカニズムを明らかにした。この技術は、Akt/GSK-3βシグナル伝達に依存するセリンリン酸化の阻害を通して、TAZのタンパク質レベルと核凝集を増加させる。
【0023】
GSK-3βは、心臓細胞の重要な抗肥大因子であり、特定の基質、活性化T細胞(NFAT)の核因子の核内滞留と活性の両方を調節する。肥大刺激下、すなわち、テストステロンにより、GSK-3βはSer9でリン酸化され、その活性を阻害し、NFATの過剰活性化およびそれに続く心筋細胞肥大の増加を引き起こす(Duran J.ら、GSK-3β/NFAT Signaling Is Involved in Testosterone-Induced Cardiac Myocyte Hypertrophy. PLoS One. 2016 Dec 15;11(12))。
【0024】
「Z. Liらの 「Valproate Attenuates Endoplasmic Reticulum Stress-Induced Apoptosis in SH-SY5Y Cells via the AKT/GSK-3β Signaling Pathway」、Int J Mol Sci. 2017 Feb 8;18(2)」は、バルプロ酸(VPA)と、AKTおよびGSK-3β経路との相関関係を強調した。VPA処理はAKTのリン酸化をアップレギュレートし、GSK-3βの発現を阻害した。この発見は、VPAの神経保護効果がAKT/GSK-3βシグナル伝達経路の活性化を通しても媒介されることを示唆す。
【0025】
Finally、M. Rahmatiら、「「Decreased Activity in Neuropathic Pain Form and Gene Expression of Cyclin-Dependent Kinase5 and Glycogen Synthase Kinase-3 Beta in Soleus Muscle of Wistar Male Rats」、Iran Red Crescent Med J. 2015 Jun;17(6)」は、神経因性疼痛におけるGSK-3βの増加が、疼痛関連障害およびヒラメ筋萎縮をさらに促進する可能性があることを示した。
【0026】
GSK-3β、その機能、その治療の可能性、およびその可能な阻害剤に関する報告が、S. Phukanら、「GSK-3β:role in therapeutic landscape and development of modulators"、British Journal of Pharmacology(2010)、160、1-19 and in E. Beurelら、「Glycogen synthase kinase-3(GSK-3):Regulation、actions、and diseases」、Pharmacology & Therapeutics 148(2015) 114-131に示される。
【0027】
WO2004/014864は、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤として1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物を開示する。このような化合物は、CDK2によって媒介されるメカニズムを介して癌の治療、CDK5によって媒介されるメカニズムを介して神経変性疾患、特にアルツハイマー病の治療、およびCDK7、CDK8およびCDK9によって媒介されるメカニズムを介して抗ウイルスおよび抗真菌剤として有用であると考えられる。
【0028】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期の調節における役割が最初に発見されたセリン/スレオニンキナーゼである。CDKは、転写、mRNA処理、および神経細胞の分化の調節にも関与している。このようなキナーゼは、調節サブユニット、すなわち、サイクリンとの相互作用および結合の後にのみ活性化される。
【0029】
WO2015143380A1およびUS9745271B2は、Wnt経路シグナル伝達の活性化(たとえば、癌、異常な細胞増殖、血管新生、アルツハイマー病、肺疾患、線維性障害、軟骨欠損、および変形性関節症)、Wnt経路シグナル伝達によって媒介される細胞イベントの調節、およびDYRK1Aの過剰発現に関連する神経学的状態/障害/疾患を特徴とする障害の治療における有効成分として1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物を開示している。
【0030】
さらに、1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物はまた、慢性および神経因性疼痛の治療における鎮痛剤として(たとえば、WO2004/074275およびWO2004/101548を参照)、および胃腸障害、中枢神経系障害および心血管障害の治療に有用な5-HT4受容体拮抗薬として(たとえば、WO1994/10174を参照)記載されている。
【0031】
最後に、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3ベータ(GSK-3β)阻害剤として作用する特定の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物、および(i)インスリン抵抗性障害;(ii)神経変性疾患;(iii)気分障害;(iv)統合失調症;(v)癌性障害;および(vi)炎症などのGSK-3β関連障害の治療におけるその使用は、国際公開公報WO2013124158およびWO2013124169に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
GSK-3βは薬理学的標的として最近発見されたばかりであるため、GSK-3βを選択的に阻害する化合物を見つけることが強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0033】
出願人は、驚くべきことに、以下の式(I)で示される、新規な1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物を発見した。
【0034】
出願人はまた、驚くべきことに、前記新規化合物がGSK-3βを阻害することができ、他のキナーゼと比較した場合、GSK-3βに対して非常に高い親和性を有し、そして、hERGチャネルに関して選択性が高いことを発見した。
【0035】
したがって、前記化合物は、心血管系における有害な副作用の原因となる可能性があるhERGイオンチャネルとの相互作用なしに、GSK-3βを選択的に阻害することができる。
【0036】
したがって、本発明による化合物は、(i)2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群などのインスリン抵抗性障害;(ii)パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病などの神経変性疾患;(iii)双極性障害および抑うつ障害などの気分障害;(iv)統合失調症;(v)前立腺、膵臓、卵巣、および結腸直腸癌ならびにMLL関連白血病などの癌性障害;(vi)炎症、(vii)骨粗鬆症、(viii)心臓肥大、(ix)てんかんおよび(x)神経障害性疼痛を含む群から選択される、GSK-3βの制御されていない活性化および/または過剰発現から生じる病的状態の治療に有用である。
【0037】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下の一般式(I):
【化1】
(I)
[式中、
R
aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ヒドロキシC
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルコキシおよびアミノC
1-C
6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、3~12員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である;
Yは、結合、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニルまたはC
2-C
6アルキニル基である;
R
bは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、オキソ(=O)、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~10員の脂肪族複素環である;
ただし、R
bがオキサニル基である場合、Yは結合ではなく、およびR
bが
オキソラニル基であって、R
aがピリジニルまたはモノフルオロピリジニル基である場合、Yは-CH
2-基ではない]
を有する1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物ならびにその薬学的に許容される有機および無機の酸および塩基との付加塩に関する。
【0038】
第2の態様では、本発明は、上記の式(I)で示される少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0039】
第3の態様では、本発明は、(i)2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群などのインスリン抵抗性障害;(ii)パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病などの神経変性疾患;(iii)双極性障害および抑うつ障害などの気分障害;(iv)統合失調症;(v)前立腺、膵臓、卵巣、および結腸直腸癌ならびにMLL関連白血病などの癌性障害;(vi)炎症、(vii)骨粗鬆症、(viii)心臓肥大、(ix)てんかんおよび(x)神経障害性疼痛からなる群から選択される、GSK-3βの制御されていない活性化および/または過剰発現から生じる疾患の治療のための、以下の一般式(I):
【化2】
(I)
[式中、
R
aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ヒドロキシC
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルコキシおよび
アミノC
1
-C
6
アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、3~12員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である;
Yは、結合、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニルまたはC
2-C
6アルキニル基である;
R
bは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、オキソ(=O)、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~10員の脂肪族複素環である]
を有する1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物ならびにその薬学的に許容される有機および無機の酸および塩基との付加塩の使用に関する。
【0040】
第4の態様では、本発明は、有効量の以下の一般式(I):
【化3】
(I)
[式中、
R
aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ヒドロキシC
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルコキシおよび
アミノC
1
-C
6
アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、3~12員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である;
Yは、結合、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニルまたはC
2-C
6アルキニル基である;
R
bは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH
2、オキソ(=O)、C
1-C
3アルキルおよびC
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~10員の脂肪族複素環である]
を有する1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物ならびにその薬学的に許容される有機および無機の酸および塩基との付加塩を、それを必要とするヒトに投与することによる、(i)2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群などのインスリン抵抗性障害;(ii)パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病などの神経変性疾患;(iii)双極性障害および抑うつ障害などの気分障害;(iv)統合失調症;(v)前立腺、膵臓、卵巣、および結腸直腸癌ならびにMLL関連白血病などの癌性障害;(vi)炎症、(vii)骨粗鬆症、(viii)心臓肥大、(ix)てんかんおよび(x)神経障害性疼痛からなる群から選択される、GSK-3βの制御されていない活性化および/または過剰発現から生じる病的状態の治療方法に関する。
【0041】
本発明はまた、上記の式(I)の化合物のプロドラッグ、立体異性体、およびエナンチオマーを含む。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の詳細な記載
本発明の好ましい実施態様によれば、上記式(I)で示される化合物のRa、RbおよびYの定義は、以下の通りである。
【0043】
好ましくは、Raは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、ヒドロキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシC1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルコキシおよびアミノC
1
-C
6
アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、4~10員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である。
【0044】
より好ましくは、Raは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、ヒドロキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシC1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルコキシおよびアミノC
1
-C
6
アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、5~6員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環である。
【0045】
特に、5~6員の脂肪族または芳香族の炭素環または複素環は、フェニル、シクロヘキサン、シクロペンタン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペリジン、ピペラジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、モルホリン、チアゾール、チアゾリジン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリジン、イソキサゾール、イソキサゾリジン、およびピラゾールからなる群から選択することができる。
【0046】
さらにより好ましくは、Raは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-C6アルキル、ヒドロキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシC1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシC1-C6アルコキシおよびアミノC
1
-C
6
アルキルからなる群から選択される1つまたは2つの置換基で任意に置換された、6員の芳香族の炭素環または複素環である。
【0047】
特に、Raで表される芳香族炭素環式環は、アリール基またはナフチル基である。有利には、Raによって表される芳香族炭素環式環は、フェニル基である。
【0048】
特に、Raで表される芳香族複素環は、ピリジニル基、ピリミジニル基、またはピロリル基である。有利には、Raによって表される芳香族複素式環は、ピリジニル基である。
【0049】
特に、Yは、結合であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、-NH2、C1-C3アルキルおよびC1-C3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC1-C6アルキル基である。
【0050】
より好ましくは、Yは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH2、C1-C3アルキルおよびC1-C3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C1-C6アルキル基である。
【0051】
さらにより好ましくは、Yは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH2、C1-C3アルキルおよびC1-C3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、C1-C3アルキル基である。
【0052】
好ましくは、Rbは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH2、オキソ(=O)、C1-C3アルキルおよびC1-C3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5~6員の脂肪族複素環である。
【0053】
より好ましくは、Rbは、ハロゲン、ヒドロキシ、-NH2、オキソ(=O)、C1-C3アルキルおよびC1-C3アルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換された、少なくとも1つの酸素原子を含む5~6員の脂肪族複素環である。
【0054】
特に、Rbで表される脂肪族複素環は、チオラニル基、オキソラニル基、チアニル基またはオキサニル基である。有利には、Rbで表される脂肪族複素環は、1,1-ジオキソチオラニル基、オキソラニル基またはオキサニル基である。
【0055】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C6アルキル」は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、sec-ペンチル、3- ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、3-メチル-ペンチル、2,3-ジメチルブチルなどの1~6個の炭素原子を含む、直線または分枝アルキル鎖を意味する。
【0056】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「ヒドロキシC1-C6アルキル」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、ヒドロキシ基によって置換される「C1-C6アルキル」という意味を有する。一例として、用語ヒドロキシC1アルキルは、HO-CH2-基を意味する。
【0057】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C4アルキル」は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルなどの、1~4個の炭素原子を含む直線または分枝アルキル鎖を意味する。
【0058】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C3アルキル」は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどの、1~3個の炭素原子を含む直線または分枝アルキル鎖を意味する。
【0059】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「ヒドロキシC1-C3アルキル」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、ヒドロキシル基によって置換される「C1-C3アルキル」基という意味を有する。
【0060】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C6アルコキシ」は、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert-ペントキシ、sec-ペントキシ、3-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ネオ ヘキソキシ、3-メチル-ペントキシ、2,3-ジメチルブトキシなどの、1~6個の炭素原子を含む直線または分枝アルコキシ鎖を意味する。
【0061】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「ヒドロキシC1-C6アルコキシ」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、ヒドロキシル基によって置換される「C1-C6アルコキシ」基という意味を有する。一例として、用語ヒドロキシC1アルコキシは、HO-CH2O-基を意味する。
【0062】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C6アルコキシC1-C6アルキル」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、C1-C6アルコキシ基によって置換される「C1-C6アルキル」基という意味を有する。一例として、用語C1アルコキシC1アルキルは、CH3O-CH2-基を意味する。
【0063】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C6アルコキシC1-C6アルコキシ」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、さらにC1-C6アルコキシ基によって置換される「C1-C6アルコキシ」基という意味を有する。一例として、用語C1アルコキシC1アルコキシは、CH3O-CH2O-基を意味する。
【0064】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C1-C3アルコキシ」は、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどの、1~3個の炭素原子を含む直線または分枝アルコキシ鎖を意味する。
【0065】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「ヒドロキシC1-C3アルコキシ」は、アルキル鎖の1つ以上の水素原子が、ヒドロキシル基によって置換される「C1-C3アルコキシ」基という意味を有する。
【0066】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C2-C6アルケニル」は、たとえば、エテニル(-CH=CH-)、プロペニル(-CH=CH-CH2-または-C(CH3)=CH-)またはブテニル(-CH=CH-CH2CH2-または-CH2CH=CH-CH2-または-C(CH3)=CH-CH2-)、ペンテニル(-C=C-CH2CH2CH2-または-CH2CH2-C=C-CH2-または-C(CH2CH3)-C=C-)、またはヘキセニル(-C=C-CH2CH2CH2CH2-または-CH2CH2C=C-CH2CH2-または-CH2CH2C(CH3)-C=C-)などの、2~6個の炭素原子を含む二価の直線または分枝アルキレン鎖を意味する。
【0067】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C2-C4アルケニル」は、たとえば、エテニル(-CH=CH-)、プロペニル(-CH=CH-CH2-または-C(CH3)=CH-)またはブテニル(-CH=CH-CH2CH2-または-CH2CH=CH-CH2-または-C(CH3)=CH-CH2-)などの、2~4個の炭素原子を含む二価の直線または分枝アルキレン鎖を意味する。
【0068】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C2-C6アルキニル」は、たとえば、エチニル(-C≡C-)、プロピニル(-C≡C-CH2-または-CH2-C≡C-)、ブチニル(-C≡C-CH2CH2-または-CH2-C≡C-CH2-または-C(CH3)-C≡C-)、ペンチニル(-C≡C-CH2CH2CH2-または-CH2CH2-C≡C-CH2-または-C(CH2CH3)-C≡C-)、またはへキシニル(-C≡C-CH2CH2CH2CH2-または-CH2CH2C≡C-CH2CH2-または-CH2CH2C(CH3)-C≡C-)などの、2~6個の炭素原子を含む二価の直線または分枝アルキニル鎖を意味する。
【0069】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「C2-C4アルキニル」は、たとえば、エチニル(-C≡C-)、プロピニル(-C≡C-CH2-または-CH2-C≡C-)、ブチニル(-C≡C-CH2CH2-または-CH2-C≡C-CH2-または-C(CH3)-C≡C-)などの、2~4個の炭素原子を含む二価の直線または分枝アルキニル鎖を意味する。
【0070】
本明細書および後記の特許請求の範囲では、用語「アミノC
1
-C
6
アルキル」は、1つ以上の水素原子が、式:-NR1R2(式中、R1およびR2は、独立して、水素原子、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、およびフェニル基であるか、またはR1およびR2は、窒素原子と一緒になって、N、SおよびOから選択される、少なくとも1つのさらなるヘテロ原子を任意に含む、5~6員の脂肪族複素環を形成する)を有するアミノ基によって置換される「C1-C6アルキル」基という意味を有する。
【0071】
好ましくは、R1およびR2と、-NR1R2アミノ基の窒素原子とによって形成される脂肪族複素環は、ピロリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、またはチオモルホリン環である。有利には、R1およびR2と、-NR1R2アミノ基の窒素原子とによって形成される脂肪族複素環は、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環である。
【0072】
本発明の特定の化合物は、互変異性体で存在し得、そして本発明は、他に特定されない限り、それらの化合物のそのような互変異性体をすべて含む。
【0073】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、構造のすべての立体化学的形態、すなわち、各不斉中心についてのRおよびS配置を含むことを意味する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマーおよびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。したがって、本発明は、他の異性体を実質的に含まない(>90%、好ましくは>95%で、モルベースで他の立体異性体を含まない)各ジアステレオマーまたはエナンチオマー、ならびにそのような異性体の混合物を包含する。
【0074】
特定の光学異性体は、従来のプロセスによるラセミ混合物の分解によって、たとえば、ジアステレオマー塩の形成によって、光学活性な酸または塩基で処理することによって、得ることができる。適切な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、およびカンファースルホン酸であり、次いで、結晶化によるジアステレオマーの混合物の分離、続いて、これらの塩からの光学活性塩基の遊離である。光学異性体を分離するための異なるプロセスは、エナンチオマーの分離を最大化するために最適に選択されたキラルクロマトグラフィーカラムの使用を含む。さらに別の方法は、本発明の化合物を、活性化された形態の光学的に純粋な酸または光学的に純粋なイソシアネートと反応させることによる共有結合ジアステレオマーの合成を含む。合成されたジアステレオマーは、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華などの従来の手段によって分離され、次いで、加水分解されて、鏡像異性的に純粋な化合物を送達することができる。本発明の光学活性化合物は、活性出発物質を使用することによって得ることができる。これらの異性体は、遊離酸、遊離塩基、エステルまたは塩の形態であり得る。
【0075】
本発明の化合物は、放射性標識体で存在することができ、すなわち、前記化合物は、自然界で通常見られる原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を含む1つ以上の原子を含み得る。水素、炭素、リン、フッ素および塩素の放射性同位元素として、それぞれ3H、14C、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。他の原子のそれらの放射性同位元素および/または他の放射性同位元素を含む本発明の化合物は、本発明の範囲内である。トリチウム化された放射性同位元素、すなわち、3H、および炭素-14放射性同位元素、すなわち、14Cが、それらの調製の容易さおよび検出可能性のために特に好ましい。
【0076】
本発明の放射性標識化合物は、一般に、当業者に周知の方法によって調製することができる。好都合なことに、そのような放射性標識化合物は、非放射性標識試薬を容易に入手可能な放射性標識試薬に置き換えることを除いて、本明細書に開示される手順を実行することによって調製することができる。
【0077】
本発明による化合物は、好ましくは、薬学的に許容される有機および無機の酸または塩基との塩として使用される。
【0078】
好ましくは、薬学的に許容される有機酸は、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸からなる群から選択される。
【0079】
好ましくは、薬学的に許容される有機塩基は、トロメタミン、リシン、アルギニン、グリシン、アラニンおよびエタノールアミンからなる群から選択される。
【0080】
好ましくは、薬学的に許容される無機酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸および硫酸からなる群から選択される。
【0081】
好ましくは、薬学的に許容される無機塩基は、ナトリウム、カリウムおよびカルシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩からなる群から選択される。
【0082】
本発明はまた、上記の式(I)の化合物のプロドラッグ、立体異性体、およびエナンチオマーを含む。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、何らかの生理学的化学プロセスによってインビボで親薬物に変換される薬剤を示す(たとえば、生理学的pHにされたプロドラッグは、所望の薬物形態に変換される)。プロドラッグは、状況によっては、親薬物よりも投与が容易な場合があるため、しばしば有用である。たとえば、それらは、経口投与によって生物学的に利用可能でありうるが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物よりも薬理学的組成物への溶解度が改善されている可能性がある。限定的ではないが、プロドラッグの例は、水溶性が有利ではないが細胞膜を通過する伝達を促進するためにエステル(プロドラッグ)として投与される本発明の化合物であるが、その後、該化合物は、水溶性が有利である細胞内でいったん代謝的に加水分解される。
【0084】
プロドラッグには多くの有用な特性がある。たとえば、プロドラッグは、最終的な薬物よりも水溶性が大きく、そのことによって、薬物の静脈内投与を容易にすることができる。プロドラッグはまた、最終的な薬物よりも高いレベルの経口バイオアベイラビリティを有する可能性がある。投与後、プロドラッグは酵素的または化学的に切断されて、血液または組織に最終的な薬物を送達する。
【0085】
本明細書に開示される化合物のエステルプロドラッグは、具体的に企図される。エステルは、カルボン酸またはアミノ酸との反応により、上記の式(i)の化合物に結合したヒドロキシル官能基から形成されうる。限定することを意図するものではないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステル、またはヘテロアリールエステルでありうる。用語アルキルは、当業者によって一般的に理解される意味を有し、直線、分枝、または環状アルキル部分を示す。エステルのアルキル部分が、1~6個の炭素原子を有するC1-6アルキルエステルが特に有用であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、および1~6個の炭素原子を有するその組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0086】
上記式(I)で示される本発明化合物は、(i)2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群などのインスリン抵抗性障害;(ii)パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病などの神経変性疾患;(iii)双極性障害および抑うつ障害などの気分障害;(iv)統合失調症;(v)前立腺、膵臓、卵巣、および結腸直腸癌ならびにMLL関連白血病などの癌性障害;(vi)炎症、(vii)骨粗鬆症、(viii)心臓肥大、(ix)てんかんおよび(x)神経障害性疼痛からなる群から選択される、GSK-3βの制御されていない活性化および/または過剰発現から生じる病的状態の治療のために使用することができる。
【0087】
有利には、インスリン抵抗性障害は、2型糖尿病、X症候群、肥満および多嚢胞性卵巣症候群からなる群から選択される。
【0088】
有利には、急性および慢性神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病からなる群から選択される。
【0089】
有利には、気分障害は、双極I型、双極II型、気分循環症、特定不能の双極性障害(BD-NOS)などの双極性障害;ならびに非定型うつ病(AD)、メランコリー型うつ病、精神病性大うつ病(PMD)、緊張性うつ病、産後うつ病(PPD)、季節性情動障害(SAD)、気分変調、および特定不能のうつ病(DD-NOS)などのうつ病からなる群から選択される。
【0090】
有利には、統合失調症は、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、緊張型統合失調症、単純型統合失調症、残遺型統合失調症、および未分化統合失調症からなる群から選択される。
【0091】
有利には、癌性障害は、前立腺、膵臓、卵巣、および結腸直腸癌ならびにMLL関連白血病からなる群から選択される。
【0092】
典型的には、本発明において有用な式(I)による1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物は、医薬組成物の形態で投与される。
【0093】
したがって、本発明のさらなる態様は、上記の式(I)の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0094】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、有効量の少なくとも1つの上記の式(I)の化合物、薬学的に許容される有機または無機の酸または塩基とのその塩、またはそのプロドラッグ、および少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤を含む適切な剤形で調製される。
【0095】
適切な剤形の例は、経口投与用の錠剤、カプセル、コーティング錠、顆粒、液剤およびシロップ;局所投与用の液剤、ポマードおよび軟膏;経皮投与用の薬用パッチ;直腸投与用の坐剤ならびに注射可能な滅菌溶液である。
【0096】
他の適切な剤形は、徐放性剤形、および経口、注射、または経皮投与用のリポソーム系剤形である。
【0097】
本明細書に記載されるように、本発明の医薬組成物は、本明細書で使用される場合、所望の特定の剤形に適している、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などの任意のすべての溶媒、希釈剤、または他のビヒクル、分散剤または懸濁助剤、界面活性剤を含む、薬学的に許容される賦形剤と共に本発明の化合物を含む。
【0098】
薬学的に許容される賦形剤として役立つことができる材料のいくつかの例として、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;コーンスターチやポテトスターチなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液;ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性適合性滑沢剤;着色剤;放出剤;コーティング剤;甘味料;香味料および芳香剤;防腐剤および抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」という用語は、何らかの特定の制限なしに、生物に投与される医薬組成物を調製するのに適した任意の材料を定義することを意図する。
【0100】
剤形には、次のような他の従来の成分を含めることもできる:防腐剤、安定剤、界面活性剤、緩衝液、浸透圧調節用塩、乳化剤、甘味料、着色剤、香味剤など。
【0101】
本発明の医薬組成物中の式(I)の1H-インダゾール-3-カルボキサミドの量、またはその薬学的に許容される酸付加塩の量は、たとえば、病状の種類、疾患の重症度、患者の体重、剤形、選択された投与経路、1日あたりの投与回数、および選択された式(I)の1H-インダゾール-3-カルボキサミド化合物の有効性などの既知の因子に応じて広範囲にわたって変化しうる。しかしながら、当業者は、容易かつ日常的な方法で最適量を決定することができる。
【0102】
典型的には、本発明の医薬組成物中の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩の量は、0.0001~100mg/kg/日の投与レベルを確実にするような量である。好ましくは、投与レベルは、0.001~50mg/kg/日であり、さらにより好ましくは、0.01~10mg/kg/日である。
【0103】
当業者であれば理解するように、上に列挙されたものよりも低いか、または高い用量が必要とされる可能性がある。特定の患者に対する特定の投与量および治療計画は、使用した特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬剤の組み合わせ、疾患の重症度と経過、ならびに患者の疾患に対する傾向および治療する医師の判断などのさまざまな因子に依存するであろう。
【0104】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所、直腸、鼻腔、頬側、膣内、または埋め込まれたリザーバーを介して投与されうる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0105】
本発明の医薬組成物はまた、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されるか、またはステントのような埋め込み可能または留置装置を用いるなどの埋め込みによって(たとえば、外科的に)送達されうる。
【0106】
本発明の医薬組成物の剤形は、薬化学技術者によく知られており、混合、造粒、圧縮、溶解、滅菌などを含む技術によって調製することができる。
【0107】
当業者は、Ra、YおよびRbのさまざまな選択肢を含む化合物などの、本発明の化合物の合成、回収および特徴付けに有用な合成戦略、保護基、および他の材料および方法における手引きのための以下の実施例に含まれる情報と組み合わせて、複素環式および他の関連する化学変換、利用するための回収および精製技術に関する十分に確立された文献を有する。
【0108】
以下に概略的に示されるアプローチなどの、さまざまな合成アプローチを使用して、本明細書に記載の化合物を生成することができる。当業者は、保護基がこれらのアプローチで使用され得ることを理解するであろう。「保護基」は、反応が、多機能化合物における別の部位で選択的に実行されうるように、潜在的に反応性の部位(たとえば、アミン、ヒドロキシル、チオール、アルデヒドなど)における化学反応を一時的に遮断するために使用される部分である。好ましい実施態様では、保護基は、良好な収率で選択的に反応して、計画された反応に適した、保護された基質をもたらす;保護基は、容易に入手できる、好ましくは存在する他の官能基を過度に攻撃しない無毒の試薬によって、良好な収率で選択的に除去可能でなければならない;保護基は、好ましくは、容易に分離可能な誘導体を形成する(より好ましくは、新しい立体中心を生成することなく);および保護基は、好ましくは、さらなる反応部位の複雑化を回避するために最小限の追加の官能性を有する。多種多様な保護基および戦略、それらを展開および除去するための試薬および条件が当技術分野で知られている。
【0109】
また、たとえば、水素の代わりのトリチウムなどの所望の同位体に富む試薬を選択して、そのような同位体を含む本発明の化合物を作成することもできる。1つ以上の場所に水素の代わりにトリチウムを含むか、またはC、N、PおよびOのさまざまな同位体を含む化合物は、本発明に含まれ、たとえば、代謝の速度もしくは経路または生物学的機能の他の側面を変更するための該化合物の代謝および/または組織分布を研究するために使用されうる。本発明の化合物は、合成有機化学の分野で知られている合成方法とともに、または当技術分野で理解されているようにその変形によって、以下に記載の方法を使用して、合成することができる。好ましい方法には、以下が含まれるが、これらに限定されない。反応は、使用される試薬および材料に適切であり、行われる変換に適した溶媒中で行われる。有機合成の当業者には、分子上に存在する官能性が提案された変換と一致するべきであることが理解されるであろう。これは、本発明の所望の化合物を得るために、合成ステップの順序を変更するため、またはある特定のプロセススキームを別のものよりも選択するために、いくらかの判断を必要とする場合がある。
【0110】
本発明による式(I)の化合物の非限定的な例は、以下の表Aのものである。
表A
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【実施例】
【0111】
実験部
1H-NMR分光法:内部標準=テトラメチルシラン;DMSO-d6=重水素化ジメチルスルホキシド;(s)=一重線;(d)=二重線;(t)=三重線;(br)=ブロード;(dd)=二重二重線;(dt)=二重三重線;(ddd)=二重二重二重線;(dtd)=二重三重二重線;(m)=多重線;J=カップリング定数t;δ=化学シフト(ppm)。
【0112】
式(I)で示される化合物の調製
式(I)で示される化合物は、本明細書に記載の一般手順A、B、CおよびDで報告された化学変換を適用することによって得ることができる。
【0113】
【0114】
ステップ1
方法(A):HOBt(1.1当量)およびDCC(1.07当量)を、DMF中の5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、1当量)の溶液に0℃にて加えた。1時間後、適切なアミン(III、1.2当量)の溶液を同じ温度で加えた。混合物を0℃にて2時間撹拌し、室温に達するように一晩放置した。反応をHPLC/MSでチェックした。次いで、混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、水性2N NaOH溶液および食塩水で洗浄した。有機相を無水MgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式IVを有する中間体化合物を得た。必要な場合、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0115】
方法(B):DMF中の5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、1当量)、適切なアミン(III、1~1.2当量)、HOBt(1.2当量)およびEDC.HCl(1.2当量)の混合物を室温にて一晩撹拌した。反応をHPLC/MSでチェックした。混合物を濃縮し、次いで、EtOAcで希釈した。溶液を水性2N NaOH溶液および食塩水で洗浄した。有機相を無水MgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式IVを有する中間体化合物を得た。必要な場合、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0116】
方法(C):無水DMF中の5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸II(1当量)の溶液に、アルゴン下、適切なアミン(III、1.2当量)、DIPEA(4.5当量)およびHATU(1.2当量)を加えた。室温にて一晩撹拌後、溶媒を減圧除去した。残渣をDCMで希釈し、水で洗浄した。水層をDCMで抽出した。有機層を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式IVを有する中間体化合物を得た。必要な場合、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0117】
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.1 g、0.415 mmol)、(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタンアミン(IIIa、0.055 g、0.481 mmol)、HOBt(0.062 g、0.456 mmol)、DCC(0.092 g、0.444 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.11 gの標記化合物を得た。収率=69%。HPLC-MS(ESI) m/z:338.1 [M-H]+。
【0118】
5-ブロモ-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVb)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.3 g、1.245 mmol)、3-アミノテトラヒドロチオフェン 1,1-ジオキシド(IIIb、0.168 g、1.245 mmol)、HOBt(0.202 g、1.494 mmol)、EDC.HCl(0.286 g、1.494 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物(0.22 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=49%。HPLC-MS(ESI) m/z:359.9 [M-H]+。
【0119】
5-ブロモ-N-((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVc)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.2 g、0.830 mmol)、(テトラヒドロフラン-2-イル)メタンアミン(IIIc、0.084 g、0.830 mmol)、HOBt(0.135 g、0.996 mmol)、EDC.HCl(0.191 g、0.996 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物(0.16 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=59%。HPLC-MS(ESI) m/z:326.0 [M-H]+。
【0120】
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVd)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.2 g、0.830 mmol)、(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メタンアミン(IIId、0.096 g、0.830 mmol)、HOBt(0.135 g、0.996 mmol)、EDC.HCl(0.191 g、0.996 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物(0.15 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=40%。HPLC-MS(ESI) m/z:340.0 [M-H]+。
【0121】
5-ブロモ-N-((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVe)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.2 g、0.830 mmol)、(テトラヒドロフラン-3-イル)メタンアミン(IIIe、0.084 g、0.830 mmol)、HOBt(0.135 g、0.996 mmol)、EDC.HCl(0.191 g、0.996 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物(0.27 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=29%。HPLC-MS(ESI) m/z:326.0 [M-H]+。
【0122】
5-ブロモ-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVf)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.3 g、1.245 mmol)、テトラヒドロフラン-3-アミン(IIIf、0.108 g、1.245 mmol)、HOBt(0.20 g、1.494 mmol)、EDC.HCl(0.29 g、1.494 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物(0.30 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=77%。HPLC-MS(ESI) m/z:311.1 [M-H]+。
【0123】
5-ブロモ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVg)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.4 g、1.66 mmol)、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-アミン塩酸塩(IIIg、0.274 g、1.991 mmol)、HOBt(0.27 g、1.991 mmol)、EDC.HCl(0.38 g、1.991 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.13 gの標記化合物を得た。収率=21%。HPLC-MS(ESI) m/z:326.0 [M-H]+。
【0124】
5-ブロモ-N-[(1,1-ジオキソ-1λ6-チオラン-3-イル)メチル]-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVh)。
5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボン酸(II、0.25 g、1.3 mmol)、3-(アミノメチル)-1λ6-チオラン-1,1-ジオン(IIIh、0.23 g、1.991 mmol)、DIPEA(0.98 ml、5.6 mmol)、およびHATU(0.47 g、1.3 mmol)を用いる一般手順A、ステップ1、方法(C)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.23 gの標記化合物を得た。収率=60%。HPLC-MS(ESI) m/z:371 [M-H]+。
【0125】
ステップ2
最初に、1,4-ジオキサン中の化合物IV(1当量)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3当量)およびKOAc(2当量)の混合物をN2気流で10分間脱気し、次いで、PdCl2(dppf)(0.2当量)を加えた。N2で再度パージした後、混合物を100℃にて一晩撹拌し、次いで、MeOHで希釈し、セライトでろ過して、不溶性の固体を除去した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、式Vの中間体化合物を得た。
【0126】
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、1.5 g、4.4 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3.4 g、13 mmol)、KOAc(0.87 g、8.9 mmol)、PdCl2(dppf)(0.65 g、0.89 mmol)を用いる一般手順A、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.77 gの標記化合物を得た。収率=45%。HPLC-MS(ESI) m/z:326.1 [M-H]+。
【0127】
N‐(1,1‐ジオキソ‐1λ6‐チオラン‐3‐イル)‐5‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1H‐インダゾール‐3‐カルボキサミド(Vb)。
5-ブロモ-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVb、0.2 g、0.6 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.4 g、1.7 mmol)、KOAc(0.11 g、1.2 mmol)、PdCl2(dppf)(0.08 g、0.1 mmol)を用いる一般手順A、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.23 gの標記化合物を得た。収率=100%。HPLC-MS(ESI) m/z:406.1 [M-H]+。
【0128】
N-[(1,1-ジオキソ-1λ6-チオラン-3-イル)メチル]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Vc)。
5-ブロモ-N-[(1,1-ジオキソ-1λ6-チオラン-3-イル)メチル]-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVh、0.2 g、0.6 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.4 g、1.7 mmol)、KOAc(0.11 g、1.2 mmol)、PdCl2(dppf)(0.08 g、0.1 mmol)を用いる一般手順A、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.24 gの標記化合物を得た。収率=100%。HPLC-MS(ESI) m/z:420.1 [M-H]+。
【0129】
一般手順B:中間体R
a
-Br(VI-VIII、X)およびR
a
-B(OR)
2
(XI)の合成
【化5】
【0130】
ステップ1
MeOH中の適切なブロモピリジン-カルバルデヒド(VI、1当量)の溶液に、NaBH4(2当量)を滴下した。混合物を室温にて3時間撹拌した。この後、水を加え、混合物を減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、DCMで抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式VIIを有する中間体化合物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0131】
(5-ブロモピリジン-3-イル)メタノール(VIIa)。
5-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(VIa、0.25 g、1.34 mmol)、NaBH4(0.10 g、2.69 mmol)を用いる一般手順B、ステップ1により標記化合物を得た。粗生成物(0.15 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=60%。
【0132】
(3-ブロモピリジン-4-イル)メタノール(VIIb)。
3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.25 g、1.34 mmol)、NaBH4(0.10 g、2.69 mmol)を用いる一般手順B、ステップ1により標記化合物を得た。粗生成物(0.17 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=69%。
【0133】
ステップ2
THF中の適切なブロモピリジン-メタノール(VII、1当量)の溶液に、NaH 60%(2当量)を0℃にて加えた。混合物を0℃にて30分間撹拌した。この後、MeI(1.2当量)を加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物を水で希釈し、Et2Oで抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式VIIIを有する中間体化合物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0134】
3-ブロモ-5-(メトキシメチル)ピリジン(VIIIa)。
(5-ブロモピリジン-3-イル)メタノール(VIIa、0.15 g、0.81 mmol)、NaH 60%(0.06 g、1.62 mmol)、MeI(0.06 mL、0.97 mmol)を用いる一般手順B、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物(0.12 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=70%。
【0135】
3-ブロモ-4-(メトキシメチル)ピリジン(VIIIb)。
(3-ブロモピリジン-4-イル)メタノール(VIIb、0.17 g、0.92 mmol)、NaH 60%(0.07 g、1.84 mmol)、MeI(0.07 mL、1.10 mmol)を用いる一般手順B、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物(0.12 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=62%。
【0136】
ステップ3
DCM中の適切なブロモピリジン-カルバルデヒド(VI、1当量)およびアミン(IX、1~5当量)の溶液を、室温にて2時間撹拌した。この後、NaBH(OAc)3(1.5当量)を加えた。混合物を室温にて一晩撹拌した。反応をHPLC/MSによってコントロールした。残渣を水性1N NaOH溶液で希釈し、1時間撹拌し、DCMで抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、減圧蒸発して、一般式Xを有する中間体化合物を得、さらに精製することなく次のステップに用いた。
【0137】
1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Xa)。
により標記化合物を得た一般手順B、ステップ3を用いる5-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(VIa、0.25 g、1.34 mmol)、ジメチルアミン(IXa、0.064 g、1.41 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)。粗生成物(0.24 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=83%。HPLC-MS(ESI) m/z:217.0 [M-H]+。
【0138】
3-ブロモ-5-[(ピロリジン-1-イル)メチル]ピリジン(Xb)。
5-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(VIa、0.25 g、1.34 mmol)、ピロリジン(IXb、0.10 g、1.41 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.29 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=89%。HPLC-MS(ESI) m/z:243.0 [M-H]+。
【0139】
3-ブロモ-4-[(ピロリジン-1-イル)メチル]ピリジン(Xc)。
3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.25 g、1.34 mmol)、ピロリジン(IXb、0.12 g、1.74 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.32 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=73%。HPLC-MS(ESI) m/z:243.0 [M-H]+。
【0140】
4-[(3-ブロモピリジン-4-イル)メチル]モルホリン(Xd)。
3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.25 g、1.34 mmol)、モルホリン(IXc、0.15 g、1.74 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.37 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=99%。HPLC-MS(ESI) m/z:258.9 [M-H]+。
【0141】
1-(3-ブロモピリジン-4-イル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Xe)。
3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.5 g、2.69 mmol)、ジメチルアミン(IXa、6.72 mL、13.44 mmol)、NaBH(OAc)3(0.86 g、4 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.56 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=82%。HPLC-MS(ESI) m/z:217.0 [M-H]+。
【0142】
Tert-ブチル 4-[(3-ブロモピリジン-4-イル)メチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(Xf)。
3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.25 g、1.34 mmol)、N-Boc-ピペラジン(IXd、0.25 g、1.34 mmol)、NaBH(OAc)3(0.12 g、2.02 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.36 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=76%。HPLC-MS(ESI) m/z:358.1 [M-H]+。
【0143】
4-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)モルホリン(Xg)。
5-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(VIa、0.25 g、1.34 mmol)、モルホリン(IXc、0.12 g、1.34 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.32 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=78%。HPLC-MS(ESI) m/z:258.9 [M-H]+。
【0144】
1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-N-メチルメタンアミン(Xh)。
5-ブロモピリジン-3-カルバルデヒド(VIa、0.25 g、1.34 mmol)、メタンアミン(IXe、0.63 g、6.72 mmol)、NaBH(OAc)3(0.43 g、2 mmol)を用いる一般手順B、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物(0.085 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=99%。HPLC-MS(ESI) m/z:202.0 [M-H]+。
【0145】
ステップ4
【0146】
1,4-ジオキサン中の化合物X(1当量)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.5当量)およびKOAc(3当量)の混合物をシュレンク管に入れた。得られる混合物を、N2で10分間脱気した。次いで、PdCl2(dppf)(0.2当量)を加え、混合物を100℃にて一晩加熱した。変換をHPLC/MSでチェックした。混合物をEtOAc/MeOHで希釈し、セライトでろ過して、不溶性の固体を除去した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、一般式XIを有する中間体化合物を得た。
【0147】
Tert-ブチル-4-{[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-カルボキシレート(XIa)。
tert-ブチル 4-[(3-ブロモピリジン-4-イル)メチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(Xf、2.5 g、7.02 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.67 g、10.53 mmol)、KOAc(2.06 g、21.05 mmol)、PdCl2(dppf)(1.14 g、1.40 mmol)を用いる一般手順B、ステップ4により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、CHCl3/MeOH)によって精製して、1.23 gの標記化合物を得た。収率=50%。HPLC-MS(ESI) m/z:404.1 [M-H]+。
【0148】
4-((5-(4,4,5,5-Tetraメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)メチル)モルホリン(XIb)。
4-((5-ブロモピリジン-3-イル)メチル)モルホリン(Xg、0.317 g、1.23 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.626 g、2.47 mmol)、KOAc(0.242 g、2.47 mmol)、PdCl2(dppf)(0.201 g、0.25 mmol)を用いる一般手順B、ステップ4により標記化合物を得た。粗生成物(0.827 g)を、さらに精製することなく次のステップに用いた。収率=99%。HPLC-MS(ESI) m/z:305.0 [M-H]+。
【0149】
一般手順C:化合物Iの合成(実施例1-11、および13-28)
【化6】
【0150】
ステップ1
方法(A):1,4-ジオキサンおよび水(4:1)中の適切な中間体IVまたはV(1当量)、中間体Ra-B(OR)2(XI、2当量)、Ra-B(OH)2(XII、2当量)またはRa-Br(VI-VIII、X、1.2~2当量)およびCsF(2当量)の混合物をシュレンク管に入れた。得られる混合物を、N2で10分間脱気した。次いで、PdCl2(dppf)(0.05~0.2当量)を加え、混合物を100℃にて一晩加熱した。変換をHPLC/MSでチェックした。混合物をMeOHで希釈し、次いで、セライトでろ過して、不溶性の固体を除去した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、一般式Iを有する最終化合物を得た。
【0151】
方法(B):1,4-ジオキサン/水(4:1)中の適切な中間体IVまたはV(1当量)、中間体Ra-B(OH)2(XII、1.3~4当量)またはRa-Br(VI-VIII、X、1.1当量)およびCs2CO3(1.3~4当量)の混合物シュレンク管に入れた。得られる混合物を、N2で10分間脱気した。次いで、PdCl2(dppf)(0.08~0.25当量)を加え、混合物をマイクロウェーブ中、130℃にて15分間加熱した。変換をHPLC/MSでチェックした。混合物をEtOAc/MeOHで希釈し、次いで、セライトでろ過して、不溶性の固体を除去した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、一般式Iを有する最終化合物を得た。
【0152】
方法(C):DMF中の適切な中間体IVまたはV(1当量)、中間体Ra-B(OH)2(XII、2当量)またはRa-Br(VI-VIII、X、1.1当量)および水性2N Na2CO3溶液(1.1当量)の混合物をシュレンク管に入れた。得られる混合物を、N2で10分間脱気した。次いで、Pd(PPh3)4(0.05当量)を加え、混合物を100℃にて一晩加熱した。変換をHPLC/MSでチェックした。混合物をEtOAc/MeOHで希釈し、次いで、セライトでろ過して、不溶性の固体を除去した。溶媒を減圧蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、一般式Iを有する最終化合物を得た。
【0153】
5-(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例1)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、0.1 g、0.296 mmol)、(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)ボロン酸(XIIa、0.080 g、0.44 mmol)、CsF(0.09 g、0.59 mmol)、PdCl2(dppf)(0.024 g、0.030 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.07 gの標記化合物を得た。収率=63%。HPLC-MS(ESI) m/z:395.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.77(s、1H)、8.65(s、1H)、8.54-8.50(m、1H)、8.47-8.44(m、1H)、7.88-7.82(m、1H)、7.82-7.77(m、1H)、5.07-4.98(m、1H)、4.01-3.92(m、2H)、3.47-3.36(m、4H)、2.00-1.90(m、1H)、1.77-1.69(m、2H)、1.47(d、J=6.0 Hz、6H)、1.45-1.33(m、2H)。
【0154】
5-(5-(メトキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例2)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.2 g、0.29 mmol)、3-ブロモ-5-(メトキシメチル)ピリジン(VIIIa、0.12 g、0.57 mmol)、CsF(0.087 g、0.57 mmol)、PdCl2(dppf)(0.012 g、0.014 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.015 gの標記化合物を得た。収率=13%。HPLC-MS(ESI) m/z:381.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.79(d、J=2.2 Hz、1H)、8.54-8.47(m、2H)、8.13(t、J=2.1 Hz、1H)、7.80-7.68(m、2H)、4.59(s、2H)、3.95(dd、J=11.5 Hz、2.6 Hz、2H)、3.46(s、3H)、3.45-3.38(m、2H)、3.35(d、J=7.0 Hz、2H)、1.99-1.88(m、1H)、1.75-1.68(m、2H)、1.44-1.31(m、2H)。
【0155】
5-(5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例3)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、(5-ブロモピリジン-3-イル)メタノール(VIIa、0.098 g、0.52 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.019 g、0.026 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.013 gの標記化合物を得た。収率=13%。HPLC-MS(ESI) m/z:367.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.78(t、J=2.0 Hz、1 H)、8.52(m、2 H)、8.14(m、1 H)、7.73(m、2 H)、4.76(s、2 H)、3.96(dd、J=11.2 and 2.8 Hz、2 H)、3.42(td、J=12.0 and 2.4 Hz、2 H)、3.36(d、J=7.2 Hz、2 H)、1.94(m、1 H)、1.73(dd、J=12.3 and 2.0 Hz、2 H)、1.38(m、2 H)。
【0156】
5-(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例4)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVe、0.140 g、0.40 mmol)、(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)ボロン酸(XIIa、0.136 g、0.50 mmol)、CsF(0.131 g、1.1 mmol)、PdCl2(dppf)(0.076 g、0.1 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.1 gの標記化合物を得た。収率=52%。HPLC-MS(ESI) m/z:380.4 [M-H]+。1H NMR(300 MHz、CDCl3):δ 10.67(s、1H)、8.65(dd、J=1.7、0.9 Hz、1H)、8.53(d、J=1.9 Hz、1H)、8.30(d、J=2.7 Hz、1H)、7.71(dd、J=8.8、1.7 Hz、1H)、7.63(dd、J=8.8、0.9 Hz、1H)、7.55 - 7.47(m、1H)、7.33(d、J=6.1 Hz、0H)、4.73(dq、J=12.1、6.1 Hz、1H)、4.05 - 3.87(m、2H)、3.82(td、J=8.2、6.9 Hz、1H)、3.71(dd、J=8.8、5.2 Hz、1H)、3.69 - 3.47(m、2H)、2.76 - 2.65(m、1H)、2.22 - 2.06(m、2H)、1.78(td、J=12.8、6.9 Hz、2H)、1.42(d、J=6.1 Hz、6H)。
【0157】
5-(5-(メトキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例5)。
N-[(1,1-ジオキソ-1λ6-チオラン-3-イル)メチル]-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Vc 0.23 g、0.6 mmol)、3-ブロモ-5-(メトキシメチル)ピリジン(VIIIa、0.12 g、0.57 mmol)、CsF(0.172 g、1.1 mmol)、PdCl2(dppf)(0.083 g、0.2 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、HCOOH/ACN)によって精製した。得られるギ酸塩をH2Oに溶解し、AcOEtで洗浄し、水層を水性10% NaHCO3溶液で塩基性にした。沈殿をろ去し、H2OおよびEt2Oで洗浄して、0.080 gの標記化合物を得た。収率=26%。HPLC-MS(ESI) m/z:415.12 [M-H]+。1H NMR(300 MHz、DMSO-d6):δ 13.74(s、1H)、8.84(d、J=2.3 Hz、1H)、8.74(t、J=6.1 Hz、1H)、8.53(d、J=1.9 Hz、1H)、8.44(s、1H)、8.02(t、J=2.2 Hz、1H)、7.78(qd、J=8.8、1.3 Hz、2H)、4.56(s、2H)、3.49 - 3.41(m、2H)、3.37(s、3H)、3.24 - 3.15(m、2H)、3.13 - 3.01(m、1H)、2.92(dd、J=13.2、9.2 Hz、1H)、2.80 - 2.68(m、1H)、2.29 - 2.18(m、1H)、1.98 - 1.79(m、1H)。
【0158】
5-(5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例6)。
N‐(1,1‐ジオキソ‐1λ6‐チオラン‐3‐イル)‐5‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)‐1H‐インダゾール‐3‐カルボキサミド(Vb、0.23 g、0.6 mmol)、(5-ブロモピリジン-3-イル)メタノール(VIIa、0.12 g、0.60 mmol)、CsF(0.172 g、1.1 mmol)、PdCl2(dppf)(0.083 g、0.2 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、HCOOH/ACN)によって精製した。得られるギ酸塩をH2Oに溶解し、AcOEtで洗浄し、水層を水性10% NaHCO3溶液で塩基性にした。沈殿をろ去し、H2OおよびEt2Oで洗浄して、0.060 gの標記化合物を得た。収率=26%。HPLC-MS(ESI) m/z:387.1 [M-H]+。1H NMR(300 MHz、DMSO-d6):δ 13.83(s、1H)、8.90(d、J=7.8 Hz、1H)、8.80(d、J=2.3 Hz、1H)、8.53(d、J=1.9 Hz、1H)、8.44(s、1H)、8.03(d、J=2.3 Hz、1H)、7.79(d、J=3.0 Hz、2H)、5.43(d、J=6.3 Hz、1H)、4.79(p、J=7.7 Hz、1H)、4.65(d、J=4.6 Hz、2H)、3.57 - 3.40(m、2H)、3.28 - 3.15(m、2H)、2.39 - 2.24(m、2H)。
【0159】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例7)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、0.107 g、0.316 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.200 g、1.266 mmol)、Cs2CO3(0.412 g、1.266 mmol)、PdCl2(dppf)(0.058 g、0.079 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.016 gの標記化合物を得た。収率=14%。HPLC-MS(ESI) m/z:372.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 13.69(br. s.、1H)、8.45-8.48(m、1H)、8.33(br. s.、1H)、7.70-7.73(m、1H)、7.58-7.61(m、1H)、7.36-7.47(m、2H)、7.28-7.33(m、1H)、3.80-3.84(2H、m)、3.17-3.26(m、4H)、1.79-1.88(m、1H)、1.56-1.59(m、2H)、1.14-1.24(m、2H)。
【0160】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例10)。
5-ブロモ-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVb、0.22 g、0.614 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.194 g、1.228 mmol)、Cs2CO3(0.400 g、1.228 mmol)、PdCl2(dppf)(0.045 g、0.061 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.072 gの標記化合物を得た。収率=28.5%。HPLC-MS(ESI) m/z:392.0 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 13.83(br. s.、1H)、8.86-8.88(m、1H)、8.33(br. s.、1H)、7.73-7.76(m、1H)、7.60-7.63(m、1H)、7.28-7.47(m、3H)、4.73-4.82(m、1H)、3.44-3.52(m、1H)、3.34-3.40(m、1H)、3.16-3.23(m、2H)、2.38-2.44(m、1H)、2.26-2.33(m、1H)。
【0161】
5-(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)-N-(1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例11)。
5-ブロモ-N-[(1,1-ジオキソ-1λ6-チオラン-3-イル)メチル]-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVh、0.200 g、0.50 mmol)、(5-イソプロポキシピリジン-3-イル)ボロン酸(XIIa、0.170 g、0.60 mmol)、CsF(0.163 g、1.1 mmol)、PdCl2(dppf)(0.094 g、0.1 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.1 gの標記化合物を得た。収率=48%。HPLC-MS(ESI) m/z:429.4 [M-H]+。1H NMR(300 MHz、DMSO-d6):δ 13.75(s、1H)、8.75(t、J=6.1 Hz、1H)、8.44(dd、J=12.4、1.6 Hz、2H)、8.27(d、J=2.7 Hz、1H)、7.86 - 7.69(m、2H)、7.66 - 7.52(m、1H)、4.87(p、J=6.1 Hz、1H)、3.46(td、J=6.5、2.1 Hz、2H)、3.29 - 3.17(m、2H)、3.15 - 3.01(m、1H)、2.93(dd、J=13.2、9.3 Hz、1H)、2.83 - 2.67(m、1H)、2.31 - 2.16(m、1H)、1.99 - 1.80(m、1H)、1.34(d、J=6.0 Hz、6H)。
【0162】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例13)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVc、0.158 g、0.487 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.154 g、0.975 mmol)、Cs2CO3(0.318 g、0.975 mmol)、PdCl2(dppf)(0.036 g、0.049 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.060 gの標記化合物を得た。収率=31%。HPLC-MS(ESI) m/z:358.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 13.72(br. s.、1H)、8.33(br. s.、1H)、8.25-8.28(m、1H)、7.71-7.74(m、1H)、7.58-7.61(m、1H)、7.36-7.47(m、2H)、7.28-7.33(m、1H)、3.98-4.04(m、1H)、3.74-3.80(m、1H)、3.59-3.64(m、1H)、3.33-3.36(m、2H)、1.75-1.93(m、3H)、1.58-1.66(m、1H)。
【0163】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例14)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVd、0.141 g、0.417 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.132 g、0.834 mmol)、Cs2CO3(0.27 g、0.834 mmol)、PdCl2(dppf)(0.031 g、0.042 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.019 gの標記化合物を得た。収率=12%。HPLC-MS(ESI) m/z:372.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 8.35(br. s.、1H)、8.18-8.21(m、1H)、7.73-7.75(m、1H)、7.60-7.63(m、1H)、7.36-7.48(m、2H)、7.30-7.35(m、1H)、3.87-3.90(m、1H)、3.45-3.51(m、2H)、3.27-3.30(m、2H)、1.74-1.81(m、1H)、1.61-1.64(m、1H)、1.42-1.48(m、3H)、1.16-1.25(m、1H)。
【0164】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例15)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVe、0.269 g、0.830 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.262 g、1.660 mmol)、Cs2CO3(0.541 g、1.660 mmol)、PdCl2(dppf)(0.061 g、0.083 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、シクロヘキサン/EtOAc)によって精製して、0.015 gの標記化合物を得た。収率=5%。HPLC-MS(ESI) m/z:358.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 13.72(br. s.、1H)、8.59-8.62(m、1H)、8.33(br. s.、1H)、7.71-7.73(m、1H)、7.59-7.61(m、1H)、7.28-7.47(m、3H)、3.57-3.76(m、3H)、3.47-3.51(m、1H)、3.26-3.31(m、2H)、2.52-2.56(m、1H)、1.87-1.95(m、1H)、1.58-1.66(m、1H)。 次いで、キラルクロマトグラフィーによってラセミ混合物を分離して、2つの最終エナンチオマー:5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-(((S)-テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例8)および5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例9)を得た。
【0165】
5-(5-((ジメチルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例16)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Xa、0.11 g、0.52 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.019 g、0.026 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.046 gの標記化合物を得た。収率=45%。HPLC-MS(ESI) m/z:394.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.78(d、J=1.9 Hz、1H)、8.53-8.48(m、1H)、8.14(t、J=2.0 Hz、1H)、7.77-7.68(m、2H)、3.95(dd、J=11.5、2.6 Hz、2H)、3.63(s、2H)、3.40(td、J=11.9、2.1 Hz、2H)、3.36-3.33(m、2H)、2.45(s、6H)、1.98-1.87(m、1H)、1.75-1.69(m、2H)、1.43-1.32(m、2H)。
【0166】
5-(5-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例17)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、3-ブロモ-5-[(ピロリジン-1-イル)メチル]ピリジン(Xb、0.13 g、0.52 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.019 g、0.026 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.068 gの標記化合物を得た。収率=62%。HPLC-MS(ESI) m/z:420.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.80(d、J=2.2 Hz、1H)、8.55-8.49(m、2H)、8.15(t、J=2.1 Hz、1H)、7.78-7.67(m、2H)、3.95(dd、J=11.5、2.7 Hz、2H)、3.84(s、2H)、3.47-3.37(m、2H)、3.37-3.34(m、2H)、2.74-2.65(m、4H)、1.97-1.89(m、1H)、1.89-1.82(m、4H)、1.76-1.67(m、2H)、1.44-1.31(m、2H)。
【0167】
5-(4-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例18)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、3-ブロモピリジン-4-カルバルデヒド(VIb、0.053 g、0.29 mmol)、Na2CO3(0.055 g、0.52 mmol)、Pd(PPh3)4(0.015 g、0.013 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(C)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.013 gの標記化合物を得た。収率=14%。HPLC-MS(ESI) m/z:367.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.53(d、J=5.2 Hz、1H)、8.40(bs、1H)、8.19-8.16(m,1 H)、7.69(dd、J=15.8、6.9 Hz、2H)、7.41(dd、J=8.6、1.6 Hz、1H)、4.61(s、2H)、3.94(dd、J=11.4、2.8 Hz、2H)、3.39(td、J=11.8、2.0 Hz、2H)、3.32(d、J=7.0 Hz、2H)、1.99-1.85(m、1H)、1.75-1.65(m、2H)、1.42-1.24(m、2H)。
【0168】
5-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例19)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、3-ブロモ-4-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン(Xc、0.094 g、0.39 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.011 g、0.013 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.009 gの標記化合物を得た。収率=8%。HPLC-MS(ESI) m/z:420.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.51(d、J=5.1 Hz、1H)、8.44(s、1H)、8.24-8.21(m、1H)、7.70-7.66(m、2H)、7.44(dd、J=8.6、1.6 Hz、1H)、3.98-3.92(m、2H)、3.67(s、2H)、3.40(td、J=11.9、2.1 Hz、2H)、3.35-3.32(m、2H)、2.49-2.37(m、4H)、1.98-1.87(m、1H)、1.77-1.67(m、6H)、1.44-1.30(m、2H)。
【0169】
5-(4-(モルホリノメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド カルボキサミド(実施例20)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、4-[(3-ブロモピリジン-4-イル)メチル]モルホリン(Xd、0.094 g、0.39 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.011 g、0.013 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.030 gの標記化合物を得た。収率=26%。HPLC-MS(ESI) m/z:436.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.50(d、J=5.2 Hz、1H)、8.45(s、1H)、8.27-8.25(m、1H)、7.69-7.66(m、2H)、7.45(dd、J=8.6、1.6 Hz、1H)、3.98-3.93(m、2H)、3.65-3.61(m、4H)、3.50(s、2H)、3.41(td、J=11.8、2.0 Hz、2H)、3.35-3.33(m、2H)、2.38-2.31(m、4H)、1.99-1.87(m、1H)、1.76-1.68(m、2H)、1.43-1.31(m、2H)。
【0170】
5-(4-((ジメチルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例21)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.12 g、0.25 mmol)、1-(3-ブロモピリジン-4-イル)-N,N-ジメチルメタンアミン(Xe、0.064 g、0.30 mmol)、Cs2CO3(0.16 g、0.50 mmol)、PdCl2(dppf)(0.019 g、0.026 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.013 gの標記化合物を得た。収率=13%。HPLC-MS(ESI) m/z:394.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.51(d、J=5.2 Hz、1H)、8.44(s、1H)、8.19(s、1H)、7.66(t、J=7.3 Hz、2H)、7.41(dd、J=8.6、1.5 Hz、1H)、3.97-3.91(m、2H)、3.40(td、J=11.8、1.8 Hz、2H)、3.33(d、J=6.9 Hz、2H)、2.13(s、6H)、1.98-1.86(m、1H)、1.74-1.67(m、2H)、1.42-1.29(m、2H)。
【0171】
5-(4-(メトキシメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例22)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.2 g、0.29 mmol)、3-ブロモ-4-(メトキシメチル)ピリジン(VIIIb、0.079 g、0.39 mmol)、CsF(0.079 g、0.52 mmol)、PdCl2(dppf)(0.021 g、0.026 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をカラム逆相C18(NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.046 gの標記化合物を得た。収率=6%。HPLC-MS(ESI) m/z:381.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.54(d、J=5.2 Hz、1H)、8.46(s、1H)、8.23-8.21(m、1H)、7.69(dd、J=8.6、0.8 Hz、1H)、7.65-7.62(m、1H)、7.43(dd、J=8.6、1.7 Hz、1H)、4.45(s、2H)、3.98-3.93(m、2H)、3.41(td、J=11.9、2.1 Hz、2H)、3.35(s、3H)、3.34(d、J=7.0 Hz、2H)、1.98-1.87(m、1H)、1.75-1.68(m、2H)、1.43-1.31(m、2H)。
【0172】
5-(ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例23)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、0.150 g、0.44 mmol)、3-ピリジルボロン酸(XIIc、0.11 g、0.89 mmol)、CsF(0.13 g、0.89 mmol)、PdCl2(dppf)(0.033 g、0.044 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して0.053 gの標記化合物を得た。収率=35%。HPLC-MS(ESI) m/z:337.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.87(d、J=1.8 Hz、1H)、8.53-8.49(m、2H)、8.19-8.15(m、1H)、7.76-7.70(m、2H)、7.54(dd、J=7.9、4.9 Hz、1H)、4.00-3.93(m、2H)、3.46-3.37(m、2H)、3.36(d、J=6.9 Hz、2H)、2.01-1.88(m、1H)、1.76-1.68(m、2H)、1.45-1.32(m、2H)。
【0173】
5-(4-(ピペラジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例24)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、0.1 g、0.30 mmol)、tert-ブチル 4-{[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-カルボキシレート(XIa、0.238 g、0.59 mmol)、CsF(0.090 g、0.59 mmol)、PdCl2(dppf)(0.048 g、0.06 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、CHCl3/MeOH)によって精製して、0.057 gのtert-ブチル 5-(4-(ピペラジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミドを得た。収率=19%。次いで、中間体(0.13 g、0.25 mmol)を、Et2O中の2N HCl溶液(1.88 mL、3.76 mmol)を用いてN-脱保護した。粗生成物をSCXカートリッジ(5 g)で溶離して、0.100 gの標記化合物を得た。収率:87%。HPLC-MS(ESI) m/z:435.1 [M-H]+.1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.53(d、J=5.1 Hz、1H)、8.49(s、1H)、8.37(bs、1H)、7.70(d、J=8.6 Hz、1H)、7.64(d、J=5.1 Hz、1H)、7.43(dd、J=8.6、1.6 Hz、1H)、4.00-3.93(m、2H)、3.58(s、2H)、3.46-3.38(m、2H)、3.34(d、J=6.9 Hz、2H)、3.18-3.13(m、2H)、2.63-2.51(m、4H)、1.98-1.88(m、1H)、1.76-1.68(m、2H)、1.44-1.30(m、2H)。
【0174】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例25)。
5-ブロモ-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVf、0.169 g、0.545 mmol)、2,3-ジフルオロフェニルボロン酸(XIIb、0.172 g、1.090 mmol)、Cs2CO3(0.35 g、1.09 mmol)、PdCl2(dppf)(0.04 g、0.054 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(B)により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH)によって精製して、0.027 gの標記化合物を得た。収率=10%。HPLC-MS(ESI) m/z:344.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CDCl3/CD3OD):δ 8.53(br. s.、1H)、7.54-7.66(m、3H)、7.13-7.18(m、2H)、4.75-4.83(m、1H)、3.83-4.07(m、5H)、2.34-2.44(m、1H)。
【0175】
5-(5-(モルホリノメチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例27)。
5-ブロモ-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(IVa、0.1 g、0.30 mmol)、4-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)メチル)モルホリン(XIb、0.400 g、0.591 mmol)、CsF(0.090 g、0.59 mmol)、PdCl2(dppf)(0.048 g、0.06 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.024 gの標記化合物を得た。収率=17%。HPLC-MS(ESI) m/z:436.2 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.79(d、J=2.2 Hz、1H)、8.54-8.48(m、2H)、8.16(t、J=2.1 Hz、1H)、7.78-7.70(m、2H)、4.00-3.94(m、2H)、3.74-3.70(m、4H)、3.67(s、2H)、3.47-3.39(m、2H)、3.36(d、J=7.0 Hz、2H)、2.59-2.49(m、2H)、2.01-1.88(m、4H)、1.79-1.68(m、2H)、1.45-1.33(m、2H)。
【0176】
5-(5-((メチルアミノ)メチル)ピリジン-3-イル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例28)。
N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(Va、0.1 g、0.26 mmol)、1-(5-ブロモピリジン-3-イル)-N-メチルメタンアミン(Xh、0.078 g、0.389 mmol)、CsF(0.079 g、0.519 mmol)、PdCl2(dppf)(0.011 g、0.013 mmol)を用いる一般手順C、ステップ1、方法(A)により標記化合物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー(C18、NH4HCO3/ACN)によって精製して、0.020 gの標記化合物を得た。収率=19%。HPLC-MS(ESI) m/z:380.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、CD3OD):δ 8.78(d、J=1.9 Hz、1H)、8.53-8.48(m、2H)、8.14(t、J=2.0 Hz、1H)、7.77-7.68(m、2H)、3.95(dd、J=11.5、2.6 Hz、2H)、3.40(td、J=11.9、2.1 Hz、2H)、3.36-3.33(m、2H)、2.45(s、3H)、1.98-1.87(m、1H)、1.75-1.69(m、2H)、1.43-1.32(m、2H)。
【0177】
一般手順D:化合物Iの合成(実施例12)
【化7】
【0178】
ステップ1
1,4-ジオキサン中のメチル 5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボキシレート(XIII、1当量)および適切なボロン酸(XII、2.5当量)の混合物に、Na2CO3(2当量の水溶液を加えた。反応混合物を10分間脱気し、PdCl2(dppf)(0.05当量;ジクロロメタンとの1:1複合体)を加えた。アルゴン気流下、反応混合物を100℃にて3時間加熱し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し、ろ過した。溶媒を除去して、残渣を得、カラムクロマトグラフィーによって精製して、一般式XIVを有する中間体を得た。
【0179】
Mエチル 5-(2,3-ジフルオロフェニル)-1H-インダゾール-3-カルボキシレート(XIVa)。
メチル 5-ブロモ-1H-インダゾール-3-カルボキシレート(XIII、1.00 g、3.92 mmol)、(2,3-ジフルオロフェニル)ボロン酸(XIIb、1.55 g、9.81 mmol)、Na2CO3(0.83 g、7.83 mmol)、PdCl2(dppf)(0.17 g、0.21 mmol)を用いる一般手順D、ステップ1により標記化合物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、アセトン/n-ヘキサン)によって精製して、を得た0.60 gの標記化合物。収率=53%。
【0180】
ステップ2
EtOH(1:1)中のカルボキシレート(XIV、1当量)および3N NaOH水溶液の混合物を、3時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を1N HCl水溶液(pH≒3)で酸性にして、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄して、ろ過した。溶媒を蒸発して、残渣を得、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、式XVを有する中間体を得た。
【0181】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-1H-インダゾール-3-カルボン酸(XVa)。
メチル 5-(2,3-ジフルオロフェニル)-1H-インダゾール-3-カルボキシレート(XIVa、0.60 g、2.08 mmol)、EtOH(8 mL)中の3N NaOH水溶液(8 mL)を用いる一般手順D、ステップ2により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、CHCl3/MeOH)によって精製して、0.55 gの標記生成物を得た。収率=96%。
【0182】
ステップ3
無水DMF中の酸(XV、1当量)、適切なアミン(III、1.5当量)、Et3N(1.5当量)およびPyBOP(1当量)の混合物を、25℃にて12時間撹拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄して、ろ過した。溶媒を蒸発して、残渣を得、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、一般式Iを有する最終化合物を得た。
【0183】
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-N-((テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メチル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド(実施例12)。
5-(2,3-ジフルオロフェニル)-1H-インダゾール-3-カルボン酸(XVa、0.07 g、0.25 mmol)、(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メタンアミン(IIIh、0.04g、0.37 mmol)、Et3N(0.04 g、0.05 mL、0.37 mmol)およびPyBOP(0.13 g、0.25 mmol)を用いる一般手順D、ステップ3により標記化合物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、CHCl3/MeOH、次いで、C18、H2O/ACN/0.01% TFA)によって精製して、0.02 gの標記化合物を得た。収率=18%。HPLC-MS(ESI) m/z:372.1 [M-H]+。1H NMR(400 MHz、DMSO-d6):δ 1.20-1.29(m、1H)、1.39-1.49(m、1H)、1.56-1.60(m、1H)、1.75-1.79(m、1H)、1.82-1.90(m、1H)、3.10-3.24(m、3H)、3.27-3.30(m、1H)、3.68-3.71(m、1H)、3.77(dd、J=2.9 and 11.2 Hz、1H)、7.28-7.33(m、1H)、7.37-7.47(m、2H)、7.59-7.61(m、1H)、7.72-7.74(m、1H)、8.34(s、1H)、8.50(t、J=6.1 Hz、1H)、13.67 ppm(br s、1H)。
【0184】
薬理学的特性
本発明において有用な式(I)の化合物の薬理学的特性は、以下のセクションに記載される方法によって評価された。
【0185】
本発明の化合物を、以下に報告される構造を有する比較化合物C(WO2013124158の化合物8に対応する)とともに評価した。
【化8】
【0186】
試験I-ヒトGSK-3βの活性(インビトロ試験)
以下の表1に記載された本発明の化合物および比較化合物CのヒトGSK-3βに対する活性を、10倍希釈による10μM~1nMの範囲の5つの濃度で2回繰り返して、以下の方法を用いて評価した(Meijerら、Chem. Biol.、2003-10:1255-1266にしたがって)。
【0187】
ヒト組換え酵素GSK-3βを、ATP+100nMの非リン酸化特異的基質ペプチド(Ulight-CFFKNIVTPRTPPPSQGK-アミド)を含む反応緩衝液中、化合物またはビヒクルの存在下で22℃にて90分間インキュベートした。基質リン酸化を、LANCEテクノロジーによって測定した(PerkinElmer、CT、USA)。
【0188】
IC50値(対照比活性の最大阻害の半分を引き起こす濃度)を、ヒルの式の曲線適合を用いて平均反復値(mean replicate value)で生成された阻害曲線の非線形回帰分析によって決定した。
【0189】
試験II-チャネルに対する選択性(インビトロ試験)
以下の表1に列挙された本発明の化合物のカリウムチャネルとの相互作用の確認および比較化合物Cの確認は、hERGイオンチャネルを安定して発現する組換えヒト細胞株CHO-K1を用いて、Mathes、C. (2006)、Expert Opin. Ther. Targets、10(2) :230-241に記載された自動化された全細胞パッチクランプ試験によって行われた。
【0190】
IC50値(対照比活性の最大阻害の半分を引き起こす濃度)を、10倍希釈による100μM~10nMの範囲の5つの濃度での2回繰り返しによって決定した。
【0191】
阻害の程度(%)を、薬物インキュベーションの前後に、+20 mVへの2秒パルスの後の-40 mVへの1秒のテストパルスによって誘発されるテール電流の振幅を測定することによって得た(差電流を対照に対して正規化し、100を乗じて、抑制のパーセントを得た)。濃度(対数)応答曲線をロジスティック方程式に適合させて(非常に高い試験化合物濃度での電流の完全な遮断を想定した3つのパラメーター)、50%阻害濃度(IC50)の推定値を生成した。各化合物の濃度応答関係を、連続的な濃度による電流振幅の減少率から構築した。
【0192】
試験IおよびIIの結果
得られた結果を、hERG値およびGSK-3β値の比率とともに次の表1に示す。
表1
【表7】