(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】OX40に対する完全ヒト抗体、それを調製する方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231228BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231228BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231228BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231228BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231228BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231228BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231228BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231228BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231228BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231228BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231228BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231228BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12P21/08
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/04
A61P37/06
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
(21)【出願番号】P 2020564430
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2019085886
(87)【国際公開番号】W WO2019214624
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/086574
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810529840.5
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520442184
【氏名又は名称】ウーシー・バイオロジクス・(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WUXI BIOLOGICS (SHANGHAI) CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】518330176
【氏名又は名称】ウーシー バイオロジクス アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,バオティエン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジン
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/179517(WO,A1)
【文献】特表2013-538057(JP,A)
【文献】国際公開第2016/196228(WO,A1)
【文献】Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis,2015年,Vol.63,pp.101-108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12P 1/00-41/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分であって、
CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変領域、ならびに、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、
(a)配列番号15を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号17を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号19を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号16を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号18を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号20を含むかまたはそれからなるCDRL3、
または、
(a)配列番号27を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号29を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号31を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号28を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号30を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号32を含むかまたはそれからなるCDRL3、
または、
(a)配列番号1を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号3を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号5を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号2を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号4を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号6を含むかまたはそれからなるCDRL3、
または、
(a)配列番号7を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号9を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号11を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号14を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号10を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号12を含むかまたはそれからなるCDRL3、
または、
(a)配列番号21を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号23を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号25を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号22を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号24を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号26を含むかまたはそれからなるCDRL3、
を含む、単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項2】
(a)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(b)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(c)配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号38のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域、または
(d)配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(e)配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(f)配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号44のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項
1に記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である、請求項1に記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項4】
前記抗体が、IgGの定常領域に融合されている、請求項1に記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに定義される単離された抗OX40抗体の前記重鎖可変領域および/または前記軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項6】
請求項
5に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項7】
請求項
6に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項8】
請求項1~
4のいずれかに定義される少なくとも1つの単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~
4のいずれかに定義される抗OX40抗体またはその抗原結合性部分を調製するための方法であって、
-核酸分子を含むベクターを含む宿主(ヒトを除く)細胞において前記抗OX40抗体またはその抗原結合性部分を発現させるステップであって、前記核酸分子は、前記抗OX40抗体またはその抗原結合性部分の前記重鎖可変領域および/または前記軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む、ステップと
-前記宿主(ヒトを除く)細胞から、前記抗OX40抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
対象における腫瘍細胞の転移を低減させる方法に用いられる、単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分であって、前記方法は、有効量の前記抗OX40抗体もしくはその抗原結合性部分を前記対象に投与するステップを含む、請求項1~
4のいずれかに記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項11】
対象における増殖性障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む疾患を処置または予防するための方法に用いられる、単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分であって、前記方法は、有効量の前記抗OX40抗体もしくはその抗原結合性部分を前記対象に投与するステップを含む、請求項1~
4のいずれかに記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項12】
前記増殖性障害ががんである、請求項
11に記載の単離された抗OX40抗体またはその抗原結合性部分。
【請求項13】
増殖性障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を処置または診断するためのキットであって、請求項1~
4のいずれかに定義される少なくとも1つの抗OX40抗体またはその抗原結合性部分を含む容器を含む、キット。
【請求項14】
前記増殖性障害ががんである、請求項
13に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年5月11日に出願されたPCT出願第PCT/CN2018/086574号および2018年5月29日に出願された中国出願第201810529840.5号に対する優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、配列表を含み、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本出願は、概して、抗体に関する。より具体的には、本出願は、OX40に対する完全ヒトモノクローナル抗体、それを調製する方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
免疫チェックポイントを標的とすることが、がんを有する患者を処置するのにもっとも有望なアプローチとなっていることを示している、前臨床および臨床結果による根拠が増加している。免疫チェックポイントタンパク質の1つである腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4、OX40、CD134、およびACT35としても知られている)は、T細胞受容体シグナル伝達を増強させ、それらの活性化をもたらすことにより、T細胞機能において主要な役割を果たす。
【0005】
OX40は、主として、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞、メモリーT細胞、制御性T(Treg)細胞、ならびにナチュラルキラー(NK)細胞によって発現される。活性化されたT細胞上に発現されるOX40と、抗原提示細胞上に発現されるそのリガンド(OX40L)との相互作用は、T細胞の活性化、増殖、および遊走を劇的に促進し、エフェクターT細胞の生存を増加させ、胚中心形成および樹状細胞の成熟を増強させる。加えて、OX40シグナル伝達は、Tregの分化および増殖を阻害し、誘導性Tregの生成をアンタゴナイズし、Treg抑制機能を遮断することができる。様々な前臨床マウス腫瘍モデルおよび臨床試験において、OX40のアゴニストが、がんおよび感染性疾患の処置に非常に有望な戦略であることが証明されている。OX40を標的とする複数のアゴニスト剤が、MedImmune、GlaxoSmithKline(GSK)、Pfizer、およびIncyteなどの製薬企業によって開発されている。MedImmuneによって開発されたOX40を標的とするアゴニストマウス抗体(9B12、AgonOX)は、進行がんを有する患者における第I相臨床試験において使用された。1期間の抗体「9B12」で処置した患者は、30人の患者のうち12人において、許容可能な毒性プロファイルおよび少なくとも1つの転移病変の退縮を示した。機構的には、この処置により、レポーター抗原免疫付与(例えば、KLH)に対するT細胞およびB細胞応答が増加し、腫瘍浸潤リンパ球においてCD4+FoxP3+ Treg細胞上のOX40の優先的な上方制御がもたらされ、黒色腫を有する患者においてT細胞およびB細胞の抗腫瘍反応性が増加した。GSKは、固形腫瘍および造血悪性腫瘍を含むがんの有望な処置のための、MD Anderson Cancer Centerとの協力を通じて特定されたT細胞の表面上のOX-40を活性化するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるGSK-3174998も開発している。OX40を標的とする臨床開発中の他の薬剤としては、有望ながん処置のための、広範な悪性腫瘍において現在臨床開発中であるPfizerの完全ヒトIgG2アゴニスト抗体PF-04518600、ならびに最適なアゴニストプロファイルおよび腫瘍内制御性T細胞を選択的に枯渇させる能力を有する抗OX40ヒトIgG1抗体であるIncyteのINCAGN-1949が挙げられる。
【0006】
治療剤としてのOX40に対する抗体の改善には、いくらかの余地がある。共刺激性受容体に対するアゴニストとして、サイトカインストームなどの毒性がもっとも懸念される問題であり得、これが、臨床適用を制限する。さらに、現在臨床試験において試験されている抗OX40抗体は、ヒト-マウスキメラ抗体またはヒト化抗体であり、高い免疫原性により、マウス由来のタンパク質配列に起因して有効性が減少する。完全ヒト抗体は、これらの欠点を克服し、in vivoにおいてより高い効率およびより低い毒性を示した。
【0007】
本発明において、本発明者らの専売特許のハイブリドーマ技術を利用して、OX40に対する完全ヒト抗体を生成した。本発明の抗体は、高い結合親和性を有し、ヒトおよびサルの両方のOX40タンパク質に結合し、T細胞増殖の増強、ならびにサイトカインIFN-γおよびインターロイキン-2の産生の増加、ならびにTreg細胞の抑制機能の損傷を含む、強力な免疫応答調節能を有する。
【発明の概要】
【0008】
概要
これらおよび他の目的が、本発明により提供されるが、本発明は、広義において、改善された有効性を有する抗体を提供する化合物、方法、組成物、および製品を対象とする。本発明によって提供される利点は、抗体治療薬および診断薬の分野において広く適用可能であり、様々な標的と反応する抗体と併せて使用することができる。本発明は、ヒトOX40に結合する抗体、好ましくは、完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。本発明はまた、ヒト化ラットを使用したハイブリドーマの生成方法、抗OX40抗体をコードする核酸分子、抗OX40抗体の発現に使用されるベクターおよび宿主細胞も提供する。本発明はさらに、in vitroおよびin vivoにおいて抗体の機能を検証するための方法を提供する。本発明の抗体は、ヒト免疫機能の調節を通じたがんを含む複数の疾患の処置のための強力な薬剤を提供する。
【0009】
一部の態様では、本発明は、単離された抗体、またはその抗原結合性部分を含む。
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、以下の特性:
(a)ヒトOX40に、1×10-8Mもしくはそれよりも低いKDで結合すること、
(b)CD4+T細胞においてサイトカイン(例えば、IL-2もしくはIFN-γ)の産生を誘導すること、
(c)初代ヒトCD4+T細胞の増殖を増強させること、
(d)Treg細胞の存在下において、初代ヒトCD4+Tエフェクター細胞の増殖を増強させること、
(e)ヒトOX40もしくはアカゲザルOX40のそれぞれに結合すること、または
(f)ヒトCD40、CD137、およびCD271に対して交差反応性を有さないこと
のうちの1つまたは複数を有する。
【0010】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、OX40のCRD2および/またはCRD3ドメインに結合する。
【0011】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
A)1つまたは複数の重鎖CDR(CDRH)であって、
(i)配列番号1、7、13、15、21、および27からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH1、
(ii)配列番号3、9、17、23、および29からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH2、ならびに
(iii)配列番号5、11、19、25、および31からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRH、
B)1つまたは複数の軽鎖CDR(CDRL)であって、
(i)配列番号2、8、14、16、22、および28からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL1、
(ii)配列番号4、10、18、24、および30からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL2、ならびに
(iii)配列番号6、12、20、26、および32からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL3、
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRL、または
C)A)のうちの1つもしくは複数のCDRHおよびB)のうちの1つもしくは複数のCDRL
を含む。
【0012】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
A)1つまたは複数の重鎖CDR(CDRH)であって、
(i)配列番号1、7、13、15、21、および27からなる群から選択されるCDRH1、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH1とは異なるCDRH1、
(ii)配列番号3、9、17、23、および29からなる群から選択されるCDRH2、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH2とは異なるCDRH2、
(iii)配列番号5、11、19、25、および31からなる群から選択されるCDRH3、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH3とは異なるCDRH3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRH、
B)1つまたは複数の軽鎖CDR(CDRL)であって、
(i)配列番号2、8、14、16、22、および28からなる群から選択されるCDRL1、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL1とは異なるCDRL1、
(ii)配列番号4、10、18、24、および30からなる群から選択されるCDRL2、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL2とは異なるCDRL2、
(iii)配列番号6、12、20、26、および32からなる群から選択されるCDRL3、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL3とは異なるCDRL3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRL、または
C)A)のうちの1つまたは複数のCDRHおよびB)のうちの1つまたは複数のCDRL
を含む。
【0013】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
A)配列番号5、11、19、25、もしくは31を含むCDRH3、または
B)配列番号5、11、19、25、および31からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH3、または
C)2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列が(A)のCDRH3とは異なるCDRH3
を含み、
単離された抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトOX40に、1×10-8Mまたはそれよりも低いKDで結合する。
【0014】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号1を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号3を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号5を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号2を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号4を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号6を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0015】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号7を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号9を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号11を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号8を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号10を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号12を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0016】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号13を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号9を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号11を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号14を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号10を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号12を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0017】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号15を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号17を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号19を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号16を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号18を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号20を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0018】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号21を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号23を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号25を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号22を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号24を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号26を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0019】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号27を含むかまたはそれからなるCDRH1、
(b)配列番号29を含むかまたはそれからなるCDRH2、
(c)配列番号31を含むかまたはそれからなるCDRH3、
(d)配列番号28を含むかまたはそれからなるCDRL1、
(e)配列番号30を含むかまたはそれからなるCDRL2、および
(f)配列番号32を含むかまたはそれからなるCDRL3
を含む。
【0020】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(A)重鎖可変領域(VH)であって、
(i)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、
(ii)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、もしくは95%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(iii)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つもしくは複数の(例えば、1~10個、1~5個、1~3個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個などの)アミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域、ならびに/または
(B)軽鎖可変領域(VL)であって、
(i)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、
(ii)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(iii)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つもしくは複数の(例えば、1~10個、1~5個、1~3個、1個、2個、3個、4個、もしくは5個などの)アミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0021】
一部の実施形態では、本発明は、上記に定義される単離された抗体またはその抗原結合性部分と、同じエピトープへの結合について競合する、単離された抗体またはその抗原結合性部分を含む。
【0022】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される単離された抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子を対象とする。
【0023】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸分子を含む、ベクターを対象とする。
【0024】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される発現ベクターを含む、宿主細胞を対象とする。
【0025】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性部分と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を対象とする。
【0026】
一部の態様では、本発明は、抗OX40抗体またはその抗原結合性部分を調製するための方法であって、抗体またはその抗原結合性部分を宿主細胞において発現させるステップと、宿主細胞から抗体またはその抗原結合性部分を単離するステップとを含む、方法を対象とする。
【0027】
一部の態様では、本発明は、対象における免疫応答を調節する方法であって、対象における免疫応答が調節されるように、対象に、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0028】
一部の態様では、本発明は、対象における異常な細胞成長を処置するための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合性部分または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0029】
一部の態様では、本発明は、対象における腫瘍細胞の成長を阻害するための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合性部分または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0030】
一部の態様では、本発明は、対象における腫瘍細胞転移を低減させるための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合性部分または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0031】
一部の態様では、本発明は、対象におけるTreg細胞の抑制機能を損傷させるための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合性部分または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0032】
一部の態様では、本発明は、対象における増殖性障害(例えば、がんなど)、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む疾患を処置または予防するための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合性部分または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0033】
一部の態様では、本発明は、増殖性障害(例えば、がんなど)、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む疾患を処置または予防するための医薬の製造における、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分の使用を対象とする。
【0034】
一部の態様では、本発明は、増殖性障害(例えば、がんなど)、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む増殖性疾患を診断するための診断剤の製造における、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分の使用を対象とする。
【0035】
一部の態様では、本発明は、増殖性障害(例えば、がんなど)、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む疾患の処置または予防における使用のための、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分を対象とする。
【0036】
一部の態様では、本発明は、増殖性障害(例えば、がんなど)、自己免疫疾患、炎症性疾患、または感染性疾患を含む疾患の処置に有用である、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分および本明細書に開示される医薬組成物を利用する、キットまたはデバイスならびに関連する方法を対象とする。この目的で、本発明は、好ましくは、そのような障害を処置するのに有用な製品であって、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分を含む容器、ならびに本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分を増殖性障害またはその進行もしくは再発の処置、緩和、または予防に使用するための指示材料を含む、製品を提供する。
【0037】
上記は、概要であり、したがって、必然的に、詳細の単純化、一般化、および省略を含み、結果として、当業者であれば、この概要が、例示にすぎず、決して制限することを意図するものではないことが理解される。本明細書に記載される方法、組成物、および/もしくはデバイス、ならびに/または他の主題の他の態様、特徴、および利点は、本明細書に記載される教示において明らかとなろう。この概要は、単純化された形式で概念の抜粋を紹介するために提供されており、この概念は、以下の詳細な説明においてさらに記載されている。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲の決定を支援するものとして使用されることを意図するものでもない。さらに、本出願全体を通じて引用されるすべての参考文献、特許、および公開された特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、PTM突然変異後の抗OX40抗体1.62.3-u1-IgG1Kの変異体間の比較を示すグラフである。
【
図2】
図2は、ヒトOX40をトランスフェクトしたCHO-K1細胞に結合する抗体を示すグラフである。
【
図3】
図3は、活性化ヒトCD4
+T細胞に結合する抗体を示すグラフである。
【
図4】
図4は、OX40Lと競合的にOX40に結合する抗体を示すグラフである。
【
図5】
図5は、アカゲザルOX40をトランスフェクトした293F細胞に結合する抗体を示すグラフである。
【
図6】
図6は、ELISAによる、ヒトCD40、CD137、およびCD271を含む他のTNFRファミリーメンバーに対する抗OX40抗体のファミリー間結合試験の結果を示すグラフである。
【
図7A】
図7Aは、基準抗体BMK1に対する抗体のエピトープビニングを示すグラフである。
【
図7B】
図7Bは、基準抗体BMK7に対する抗体のエピトープビニングを示すグラフである。
【
図7C】
図7Cは、基準抗体BMK10に対する抗体のエピトープビニングを示すグラフである。
【
図8A】
図8Aは、遊離抗体を使用した、Jurkat細胞におけるOX40刺激NFκBルシフェラーゼ活性に対する抗体の効果を示すグラフである。遊離抗体のレポーター活性が示される。
【
図8B】
図8Bは、抗ヒトIgG Fc試薬によるFcγR架橋抗体を使用した、Jurkat細胞におけるOX40刺激NFκBルシフェラーゼ活性に対する抗体の効果を示すグラフである。F(ab’)
2ヤギ抗ヒトIgGによって架橋された抗体のレポーター活性が示される。
【
図8C】
図8Cは、CD32b発現CHO-K1細胞によるFcγR架橋抗体を使用した、Jurkat細胞におけるOX40刺激NFκBルシフェラーゼ活性に対する抗体の効果を示すグラフである。CD32b発現CHO-K1細胞によって架橋された抗体のレポーター活性が示される。
【
図9】
図9は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞によるIL-2分泌に対する抗体の効果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞によるIFN-γ分泌に対する抗体の効果を示すグラフである。
【
図11】
図11は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞の増殖に対する抗体の効果を示すグラフである。
【
図12】
図12は、Treg細胞の存在下における、CD3/CD28 Dynabeadsによって誘導される初代ヒトCD4
+Tエフェクター細胞の増殖に対する抗体の効果を示すグラフである。
【
図13A】
図13Aは、活性化ヒトCD4
+T細胞上のOX40発現を示すグラフである。
【
図13B】
図13Bは、OX40過剰発現Jurkat細胞上のOX40発現を示すグラフである。
【
図14A】
図14Aは、OX40過剰発現Jurkat細胞に対するOX40抗体のADCC作用を示すグラフである。
【
図14B】
図14Bは、活性化ヒトCD4
+T細胞に対するOX40抗体のADCC作用を示すグラフである。
【
図15A】
図15Aは、OX40過剰発現Jurkat細胞に対するOX40抗体のCDC作用を示すグラフである。
【
図15B】
図15Bは、活性化ヒトCD4
+T細胞に対するOX40抗体のCDC作用を示すグラフである。
【
図16A】
図16Aは、抗体1.134.9-u1-IgG1Lの投与後のMC38腫瘍保有マウスの腫瘍成長を示すグラフである。
【
図16B】
図16Bは、抗体1.134.9-u1-IgG1Lの投与後のMC38腫瘍保有マウスの腫瘍成長を示すグラフである。
【
図17】
図17は、抗体1.134.9-u1-IgG1Lの投与後のMC38腫瘍保有マウスの体重変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
本発明は、多数の異なる形態で実施され得るが、本明細書では、本発明の原理を例示する、その特定の例示的な実施形態が開示される。本発明は、例示される特定の実施形態に限定されないことが強調されるべきである。さらに、本明細書に使用される任意の節見出しは、構成上の目的のためのものにすぎず、記載される主題を制限するものとみなされるものではない。
【0040】
本明細書に別途定義されない限り、本発明と関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈によって別途必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈により別途明確に指示されない限り、複数形の参照物を含む。したがって、例えば、「タンパク質(a protein)」への参照は、複数のタンパク質を含み、「細胞(a cell)」への参照は、細胞の混合物を含むなどである。本出願において、「または」の使用は、別途示されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含むこと(comprising)」という用語、ならびに他の形態、例えば、「含む(comprises)」および「含まれる(comprised)」などの使用は、制限するものではない。加えて、本明細書および添付の特許請求の範囲に提供される範囲は、両端点および端点間のすべての点を含む。
【0041】
一般に、本明細書において記載される細胞および組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝子学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションと関連して使用される命名法ならびにこれらの技法は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。本発明の方法および技法は、一般に、別途示されない限り、当該技術分野において周知であり、また様々な一般文書ならびに本明細書を通じて列挙および考察されるより具体的な参考文献に記載されている、従来的な方法に従って行われる。例えば、Abbasら、Cellular and Molecular Immunology、第6版、W.B.Saunders Company(2010年);Sambrook J.&Russell D.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000年);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley,John&Sons,Inc.(2002年);Harlow and Lane Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、N.Y.(1998年);およびColiganら、Short Protocols in Protein Science、Wiley,John&Sons,Inc.(2003年)を参照されたい。本明細書において記載される解析化学、合成有機化学、ならびに薬化学および医薬化学と関連して使用される命名法ならびにこれらの実験室手順および技法は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。さらに、本明細書に使用される任意の節見出しは、構成上の目的のためのものにすぎず、記載される主題を制限するものとみなされるものではない。
【0042】
定義
本発明をより理解するために、関連する用語の定義および説明を、以下に提供する。
【0043】
「抗体」または「Ab」という用語は、本明細書において使用される場合、一般に、共有結合的ジスルフィド結合および非共有結合的相互作用によって一緒に保持される2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)ポリペプチド鎖を含む、Y字型の四量体タンパク質を指す。抗体の軽鎖は、κ軽鎖およびλ軽鎖に分類することができる。重鎖は、μ、δ、γ、α、およびεに分類することができ、これらは、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。軽鎖および重鎖において、可変領域は、約12個またはそれより多くのアミノ酸の「J」領域を介して定常領域に連結され、重鎖は、約3個またはそれより多くのアミノ酸の「D」領域をさらに含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2、およびCH3)からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)からなる。VHおよびVL領域は、さらに、超可変領域(相補性決定領域(CDR)と称される)に分割することができ、超可変領域には、比較的保存的な領域(フレームワーク領域(FR)と称される)が散在している。それぞれのVHおよびVLは、以下の順序の3つのCDRおよび4つのFRからなる:N末端からC末端に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。それぞれの重鎖/軽鎖対の可変領域(VHおよびVL)は、それぞれ、抗原結合部位を形成する。様々な領域またはドメインにおけるアミノ酸の分布は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987年および1991年))またはChothiaおよびLesk(1987年)J.Mol.Biol.196巻:901~917ページ;Chothiaら(1989年)Nature 342巻:878~883ページにおける定義に従う。抗体は、異なる抗体アイソタイプのものであってもよく、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgE、またはIgM抗体であってもよい。
【0044】
抗体の「抗原結合性部分」または「抗原結合性断片」という用語は、本出願の文脈において互換可能に使用することができ、全長抗体の断片を含むポリペプチドを指し、このポリペプチドは、全長抗体が特異的に結合する抗原に特異的に結合する能力を保持する、かつ/または同じ抗原への結合について全長抗体と競合する。一般に、Fundamental Immunology、Ch.7(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.(1989年)を参照されたく、これは、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。抗体の抗原結合性断片は、組換えDNA技法によって、またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生され得る。一部の条件下において、抗原結合性断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(例えば、scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、ならびにポリペプチドに特異的抗原結合能力を付与するのに十分である抗体の少なくとも一部を含むようなポリペプチドが挙げられる。抗体の抗原結合性断片は、当業者に公知の従来的な技法(例えば、組換えDNA技法または酵素的もしくは化学的切断方法)によって所与の抗体(例えば、本出願において提供されるモノクローナル抗ヒトOX40抗体)から得ることができるか、またはインタクトな抗体をスクリーニングするのと同じ手法で、特異性に関してスクリーニングすることができる。
【0045】
「モノクローナル抗体」または「mAb」という用語は、本明細書において使用される場合、単一の分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を呈する。
【0046】
「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、フレームワーク領域およびCDR領域の両方が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合には、定常領域もまた、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異生成によって、またはin vivoでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むよう意図されない。
【0047】
「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、フレームワーク領域およびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する、単一の結合特異性を呈する抗体を指す。
【0048】
「ヒト化抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を指すことを意図する。追加のフレームワーク領域改変が、ヒトフレームワーク配列内に行われてもよい。
【0049】
「キメラ抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指す。
【0050】
「組換え抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離された抗体、例えば、別の種の免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックである動物から単離された抗体、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現させた抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、または免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体を指す。
【0051】
「抗OX40抗体」または「OX40抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、本明細書に定義されるように、OX40受容体、例えば、ヒトOX40受容体に結合することができる抗体を指す。
【0052】
本明細書において互換可能に使用される「OX40」、「OX40受容体」、「OX40タンパク質」、「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)」、または「CD134」という用語は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーのメンバーである。「OX40」という用語は、ヒトOX40受容体、ならびにそのバリアント、アイソフォーム、および種ホモログを含み得る。したがって、本明細書に定義および開示される抗体またはその抗原結合性部分は、ヒト以外の種に由来するOX40、例えば、カニクイザルOX40にも結合し得る。
【0053】
「ヒトOX40」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒト配列OX40、例えば、Genbank受託番号CAE11757.1を有するヒトOX40の完全なアミノ酸配列を指す。ヒトOX40配列は、Genbank受託番号CAE11757.1のヒトOX40とは、例えば、保存的突然変異または非保存的領域における突然変異が異なり得、OX40は、Genbank受託番号CAE11757.1のヒトOX40と実質的に同じ生物学的機能を有する。
【0054】
「マウスOX40」という用語は、本明細書において使用される場合、マウス配列OX40、例えば、Genbank受託番号CAA59476.1を有するマウスOX40の完全なアミノ酸配列を指す。
【0055】
「カニクイザルOX40」という用語は、本明細書において使用される場合、カニクイザル配列OX40、例えば、Genbank受託番号XP_001090870.1を有するアカゲザルOX40の完全なアミノ酸配列を指す。
【0056】
「Ka」という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度を指すことを意図し、一方で、「Kd」という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図する。抗体のKd値は、当該技術分野において十分に確立された方法を使用して判定することができる。「KD」という用語は、本明細書において使用される場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離定数を指すことを意図し、これは、KdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体のKdを判定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を使用すること、好ましくは、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
【0057】
IgG抗体に関する「高親和性」という用語は、本明細書において使用される場合、標的抗原、例えば、OX40受容体に対して、1×10-7Mまたはそれよりも低い、より好ましくは5×10-8Mまたはそれよりも低い、さらにより好ましくは1×10-8Mまたはそれよりも低い、さらにより好ましくは5×10-9Mまたはそれよりも低い、さらにより好ましくは1×10-9Mまたはそれよりも低いKDを有する抗体を指す。
【0058】
「半数効果濃度」とも称される「EC50」という用語は、本明細書において使用される場合、指定された曝露時間の後に、ベースラインと最大値との中間の応答を誘導する、薬物、抗体、または毒物の濃度を指す。本出願の文脈において、EC50は、「nM」単位で表される。
【0059】
「結合に関して競合する」という用語は、本明細書において使用される場合、結合標的に結合する2つの抗体の相互作用を指す。第1の抗体は、第1の抗体とその同種エピトープとの結合が、第2の抗体の存在下において、第2の抗体の不在下における第1の抗体の結合と比較して、検出可能に減少する場合、結合に関して第2の抗体と競合する。代替として、第2の抗体のそのエピトープへの結合もまた、第1の抗体の存在下において検出可能に減少する場合もあるが、必ずしもそうでない場合もある。すなわち、第1の抗体は、第2の抗体が第1の抗体がそのそれぞれのエピトープに結合するのを阻害することなく、第2の抗体がそのエピトープに結合するのを阻害することができる。しかしながら、それぞれの抗体が、他方の抗体とその同種エピトープとの結合を検出可能に阻害する場合、程度が同じか、より多いか、または少ないかに関係なく、それらの抗体は、それらのそれぞれのエピトープの結合に関して、互いに「交差競合」すると称される。
【0060】
「結合を阻害する」能力は、本明細書において使用される場合、抗体またはその抗原結合性断片が、2つの分子(例えば、ヒトOX40とヒト抗OX40抗体と)の結合を任意の検出可能なレベルで阻害する能力を指す。ある特定の実施形態では、2つの分子の結合は、抗体またはその抗原結合性断片によって、少なくとも50%阻害され得る。ある特定の実施形態では、そのような阻害作用は、60%より大きくてもよいし、70%より大きくてもよいし、80%より大きくてもよいし、または90%より大きくてもよい。
【0061】
「エピトープ」という用語は、本明細書において使用される場合、免疫グロブリンまたは抗体が特異的に結合する抗原上の部分を指す。「エピトープ」は、「抗原決定基」としても知られている。エピトープまたは抗原決定基は、一般に、アミノ酸、炭水化物、または糖側鎖など、分子の化学的に活性な表面基からなり、一般に、特定の3次元構造および特定の電荷特徴を有する。例えば、エピトープは、一般に、「線形」であっても「立体構造」であってもよい固有の空間構成に、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個の保存的または非保存的アミノ酸を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻、G.E.Morris編(1996年)を参照されたい。線形エピトープの場合、タンパク質と相互作用分子(例えば、抗体)との間のすべての相互作用部位は、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線形で存在する。立体構造エピトープの場合、相互作用部位は、タンパク質において互いに離れているアミノ酸残基にわたる。抗体は、当業者に公知の従来的な技法によって、同じエピトープへの結合の競合性に応じて、スクリーニングすることができる。例えば、競合または交差競合に関する研究を行って、抗原への結合に関して互いに競合または交差競合する抗体を得ることができる(例えば、RSV融合タンパク質)。交差競合に基づいた、同じエピトープに結合する抗体を得るためのハイスループット方法は、国際特許出願第03/48731号に記載されている。
【0062】
「単離された」という用語は、本明細書において使用される場合、人工的な手段によって天然の状態から得られた状態を指す。ある特定の「単離された」物質または成分が天然に存在するとすれば、それは、その天然の環境が変化することに起因して可能であるか、またはその物質は天然の環境から単離されているか、またはその両方である。例えば、ある特定の単離されていないポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、ある特定の生きた動物の体内に天然に存在しており、そのような天然の状態から高い純度で単離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドと称される。「単離された」という用語は、混合された人工もしくは合成の物質も、単離された物質の活性に影響を及ぼさない他の不純物質も、排除するものではない。
【0063】
「単離された抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、異なる抗原特異性を有するその他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、OX40タンパク質に特異的に結合する単離された抗体は、OX40タンパク質以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、ヒトOX40タンパク質に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば、他の種に由来するOX40タンパク質との交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0064】
「ベクター」という用語は、本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチドが中に挿入され得る核酸ビヒクルを指す。ベクターが、中に挿入されたポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の発現を可能にする場合、ベクターは、発現ベクターと称される。ベクターは、宿主細胞への形質転換、形質導入、またはトランスフェクションによって、保持する遺伝子材料エレメントを宿主細胞において発現させることができる。ベクターは、当業者には周知であり、ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、人工染色体、例えば、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、またはP1由来の人工染色体(PAC)など、ファージ、例えば、λファージまたはM13ファージなど、ならびに動物ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターとして使用することができる動物ウイルスとしては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルスなど)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス(例えば、SV40など)が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択エレメント、およびレポーター遺伝子を含むがこれらに限定されない、発現を制御するための複数のエレメントを含み得る。加えて、ベクターは、複製起点を含み得る。
【0065】
「宿主細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、目的のタンパク質、タンパク質断片、またはペプチドを生成するように操作することができる細胞系を指す。宿主細胞としては、限定されないが、培養細胞、例えば、げっ歯動物(ラット、マウス、モルモット、もしくはハムスター)に由来する哺乳動物培養細胞、例えば、CHO、BHK、NSO、SP2/0、YB2/0など、またはヒト組織もしくはハイブリドーマ細胞、酵母細胞、および昆虫細胞、ならびにトランスジェニック動物もしくは培養組織内に含まれる細胞が挙げられる。この用語は、特定の対象の細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も包含する。突然変異または環境的影響のいずれかに起因して、ある特定の改変が後続の世代において生じ得るため、そのような子孫は、親細胞と同一ではない場合があるが、依然として、「宿主細胞」の範囲内に含まれる。
【0066】
「同一性」という用語は、本明細書において使用される場合、2つもしくはそれより多くのポリペプチド分子または2つもしくはそれより多くの核酸分子の配列間の、配列をアライメントし、比較することによって判定される、関係性を指す。「同一性パーセント」とは、比較される複数の分子のアミノ酸またはヌクレオチド間における同一な残基のパーセントを意味し、比較されている複数の分子のうちの最も小さい方のサイズに基づいて計算される。これらの計算について、アライメントにおけるギャップ(存在する場合)は、好ましくは、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処される。アライメントされた核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法としては、Computational Molecular Biology、(Lesk,A.M.編)、1988年、New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects、(Smith,D.W.編)、1993年、New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I、(Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編)、1994年、New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.、1987年、Sequence Analysis in Molecular Biology、New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer、(Gribskov,M.およびDevereux,J.編)、1991年、New York:M.Stockton Press;ならびにCarilloら、1988年、SIAMJ.Applied Math.48巻:1073ページに記載されるものが挙げられる。
【0067】
「免疫原性」という用語は、本明細書において使用される場合、生物において特定の抗体の形成または感作されたリンパ球を刺激する能力を指す。これは、最終的に抗体および感作されたリンパ球などの免疫学的エフェクター物質を生成するように、抗原が特定の免疫細胞を活性化、増殖、および分化するように刺激する特性を指すだけでなく、生物を抗原で刺激した後に、抗体または感作されたTリンパ球が生物の免疫系において形成され得る、特定の免疫応答も指す。免疫原性は、抗原のもっとも重要な特性である。抗原が、宿主において免疫応答の生成を誘導するのに成功し得るかどうかは、抗原の特性、宿主の反応性、および免疫付与手段という3つの因子に依存する。
【0068】
「トランスフェクション」という用語は、本明細書において使用される場合、核酸が真核生物細胞、特に哺乳動物細胞に導入されるプロセスを指す。トランスフェクションのプロトコールおよび技法としては、脂質トランスフェクション、ならびに化学的および物理的方法、例えば、エレクトロポレーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかのトランスフェクション技法が、当該技術分野において周知であり、本明細書に開示されている。例えば、Grahamら、1973年、Virology 52巻:456ページ;Sambrookら、2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(上記);Davisら、1986年、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier;Chuら、1981年、Gene 13巻:197ページを参照されたい。本発明の特定の実施形態では、ヒトOX40遺伝子を、293F細胞にトランスフェクトした。
【0069】
「ハイブリドーマ」という用語および「ハイブリドーマ細胞株」という用語は、本明細書において使用される場合、互換可能に使用され得る。「ハイブリドーマ」という用語および「ハイブリドーマ細胞株」という用語に言及する場合、これらは、ハイブリドーマのサブクローンおよび子孫細胞も含む。
【0070】
「SPR」または「表面プラズモン共鳴」という用語は、本明細書において使用される場合、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden and Piscataway、N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイムでの生体特異的相互作用の分析を可能にする、光学的現象を指し、それを含む。さらなる説明については、実施例5、ならびにJonsson,U.ら(1993年)Ann.Biol.Clin.51巻:19~26ページ、Jonsson,U.ら(1991年)Biotechniques 11巻:620~627ページ、Johnsson,B.ら(1995年)J.Mol.Recognit.8巻:125~131ページ、およびJohnnson,B.ら(1991年)Anal.Biochem.198巻:268~277ページを参照されたい。
【0071】
「蛍光活性化細胞分取」または「FACS」という用語は、本明細書において使用される場合、特化した種類のフローサイトメトリーを指す。これは、生物学的細胞の不均質混合物を、それぞれの細胞の特異的光分散および蛍光特徴に基づいて、一度に1つの細胞ずつ、2つまたはそれより多くの容器へと分取するための方法を提供する(FlowMetric.「Sorting Out Fluorescence Activated Cell Sorting」.2017年11月09日に取得)。FACSを実行するための機器は、当業者に公知であり、市販されている。そのような機器の例としては、Becton DickinsonからのFACS Star Plus、FACScan、およびFACSort機器(Foster City、Calif.)、Coulter Epics DivisionからのEpics C(Hialeah、Fla.)、ならびにCytomationからのMoFlo(Colorado Springs、Colo.)が挙げられる。
【0072】
「抗体依存性細胞媒介性細胞毒性」または「ADCC」という用語は、本明細書において使用される場合、分泌されたIgが、ある特定の細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合することにより、これらの細胞毒性エフェクター細胞が、抗原を保持する標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒素により標的細胞を殺滅させることを可能にする、細胞毒性の形態を指す。抗体は、細胞毒性細胞を「武装」させ、そのような殺滅に絶対的に必要とされる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血系細胞におけるFcRの発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.、9巻:457~92ページ(1991年)の464ページの表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、in vitro ADCCアッセイ、例えば、米国特許第5,500,362号および同第5,821,337号に記載されているものを、行ってもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替として、または追加として、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら、PNAS USA、95巻:652~656ページ(1998年)に開示されているものなどの動物モデルにおいて、評価することができる。
【0073】
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」という用語は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的な補体経路の活性化は、補体系の第1の成分(C1q)の、同種抗原に結合した抗体(適切なサブクラスのもの)への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ、例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods、202巻:163ページ(1996年)に記載されているものを、行うことができる。
【0074】
「対象」という用語には、任意のヒトまたは非ヒト動物、好ましくは、ヒトが含まれる。
【0075】
「がん」という用語は、本明細書において使用される場合、任意のまたは腫瘍もしくは悪性細胞の成長、増殖、または転移に媒介される固形腫瘍および非固形腫瘍、例えば、白血病などを指し、医学的状態を開始する。
【0076】
「処置」、「処置すること」、または「処置される」という用語は、本明細書において状態を処置する文脈で使用される場合、概して、ヒトのものか動物のものかにかかわらず、何らかの所望される治療効果、例えば、状態の進行の阻害が達成される、処置および治療法に関し、これには、進行速度の低減、進行速度の停止、状態の退縮、状態の緩和、および状態の治癒が挙げられる。予防的措置(すなわち、予防、防止)としての処置もまた含まれる。がんに関して、「処置すること」とは、腫瘍または悪性細胞の成長、増殖、もしくは転移、またはこれらの何らかの組合せを減衰または減速させることを指し得る。腫瘍に関して、「処置」には、腫瘍の全体もしくは一部の除去、腫瘍の成長および転移を阻害もしくは減速させること、腫瘍の発達を予防もしくは遅延すること、またはこれらの何らかの組合せが含まれる。
【0077】
「有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、所望される処置レジメンに従って投与したときに、何らかの所望される治療効果をもたらすのに有効であり、妥当な利益/危険性比に見合った、活性化合物、または活性化合物を含む材料、組成物、もしくは投薬形態の量に関する。例えば、「有効量」は、OX40関連疾患または状態の処置と併せて使用される場合、前記疾患または状態を処置するのに有効な量または濃度の抗体またはその抗原結合性部分を指す。
【0078】
「予防する」、「予防」、または「予防すること」という用語は、本明細書において哺乳動物におけるある特定の疾患状態に関連して使用される場合、疾患の発症を予防もしくは遅延すること、またはその臨床もしくは亜臨床的な症状の顕在化を予防することを指す。
【0079】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書において使用される場合、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、および/またはそれらの塩が、製剤中の他の成分と化学的および/または物理的に適合性であり、レシピエントと生理学的に適合性であることを意味する。
【0080】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体および/または賦形剤」という用語は、対象および活性剤と薬理学的および/または生理学的に適合性の担体および/または賦形剤であり、これは、当該技術分野において周知であり(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences.Gennaro AR編、第19版、Pennsylvania:Mack Publishing Company、1995年を参照されたい)、これには、pH調節剤、界面活性剤、アジュバント、およびイオン強度増強剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、pH調節剤としては、リン酸緩衝液が挙げられるがこれに限定されず、界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、または非イオン性界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)-80が挙げられるがこれらに限定されず、イオン強度増強剤としては、塩化ナトリウムが挙げられるがこれに限定されない。
【0081】
本明細書において使用される場合、「アジュバント」という用語は、非特異的免疫強化剤を指し、これは、抗原と一緒に生物に送達されるか、または生物に事前に送達された場合に、抗原に対する免疫応答を増強させることができるか、または生物における免疫応答の種類を変化させることができる。アルミニウムアジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、フロイントアジュバント(例えば、フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント)、コリネバクテリウム・パルバム(coryne bacterium parvum)、リポ多糖、サイトカインなどが挙げられるがこれらに限定されない、様々なアジュバントがある。フロイントアジュバントは、現在、動物実験においてもっとも一般的に使用されているアジュバントである。水酸化アルミニウムアジュバントは、臨床試験においてより一般的に使用されている。
【0082】
抗OX40抗体
一部の態様では、本発明は、単離された抗体、またはその抗原結合性部分を含む。
【0083】
本出願の文脈において、「抗体」は、OX40タンパク質との優先的な会合または結合を呈する限り、ポリクローナル抗体、多クローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化および霊長類化抗体、CDRグラフト抗体、ヒト抗体、組換えにより産生された抗体、イントラボディ、多重特異性抗体、二重特異性抗体、一価抗体、多価抗体、抗イディオタイプ抗体、ムテインおよびそれらの変異形を含む合成抗体、ならびにFc融合体および他の改変形を含むそれらの誘導体、ならびに任意の他の免疫反応性分子を含み得る。さらに、文脈上の制約によりそうでないことが示されない限り、この用語は、抗体のすべてのクラス(すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)、ならびにすべてのサブクラス(すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)をさらに含む。好ましい実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。より好ましい実施形態では、抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。
【0084】
ヒト抗体は、当該技術分野において公知の様々な技法を使用して産生することができる。1つの技法は、抗体(好ましくはヒト抗体)のライブラリーをファージにおいて合成し、このライブラリーを目的の抗原またはその抗体結合性部分でスクリーニングし、抗原に結合するファージを単離し、そこから免疫反応性断片を得ることができる、ファージディスプレイである。このようなライブラリーを調製し、スクリーニングする方法は、当該技術分野において周知であり、ファージディスプレイライブラリーを生成するためのキットが、市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01およびStratagene SurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。抗体ディスプレイライブラリーを生成し、スクリーニングするのに使用することができる他の方法および試薬も存在する(例えば、Barbasら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88巻:7978~7982ページ(1991年)を参照されたい)。
【0085】
ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、トランスジェニック動物、例えば、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化され、ヒト免疫グロブリン遺伝子が導入されたマウスに導入することによって、作製することもできる。感作を受けると、ヒト抗体の産生が観察され、このヒト抗体産生は、遺伝子再配列、アセンブリ、および抗体レパートリーを含むすべての点で、ヒトにおいて見られるものに近似している。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、ならびにXenoMouse(登録商標)技術については米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号、ならびにLonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.13巻:65~93ページ(1995年)に記載されている。代替的に、ヒト抗体は、標的抗原に指向される抗体を産生するヒトBリンパ球の不死化によって調製してもよい(そのようなBリンパ球は、新生物障害を患う個体から回収されたものであってもよく、またはin vitroで免疫付与が行われていてもよい)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77ページ(1985年)、Boernerら、J.Immunol、147巻(l):86~95ページ(1991年)、および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
【0086】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法、組換え技法、ファージディスプレイ技術、トランスジェニック動物(例えば、XenoMouse(登録商標))、またはこれらの何らかの組合せを含む、当該技術分野において公知の広範な技法を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法、ならびにAn,Zhigiang(編)Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic、John Wiley and Sons、第1版、2009年;Shireら(編)Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing、Springer Science+Business Media LLC、第1版、2010年;Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年;Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563~681ページ(Elsevier,N.Y.、1981年)により詳細に記載されているものなど、当該技術分野において認識されている生化学技法および遺伝子操作技法を使用して、産生することができ、これらの文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。選択された結合配列を、例えば、標的に対する親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養におけるその産生の改善、in vivoでのその免疫原性の低減、多重特異性抗体の作製などを行うようにさらに改変してもよいこと、ならびに改変された標的結合配列を含む抗体もまた、本発明の抗体であることを理解されたい。好ましい実施形態では、抗ヒトOX40モノクローナル抗体は、ハイブリドーマを使用することによって調製される。
【0087】
本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの生成
本発明の抗体、例えば、本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを生成するために、免疫付与したマウスに由来する脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、適切に不死化した細胞株、例えば、マウス骨髄腫細胞株と融合させることができる。結果として得られたハイブリドーマを、抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングすることができる。ハイブリドーマの生成は、当該技術分野において周知である。例えば、HarlowおよびLane(1988年)Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照されたい。
【0088】
本発明のモノクローナル抗体を産生するトランスフェクトーマの生成
本発明の抗体はまた、当該技術分野において周知なように、例えば、組換えDNA技法および遺伝子トランスフェクション法の組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて、産生することもできる(例えば、Morrison,S.(1985年)、Science 229巻:1202ページ)。一実施形態では、標準的な分子生物学技法によって得られた部分的または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列に作動可能に連結されるように、1つまたは複数の発現ベクターに挿入する。この文脈において、「作動可能に連結された」という用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというその意図される機能を果たすように、抗体遺伝子がベクターにライゲーションされることを意味することを意図する。
【0089】
「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、および抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような制御配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego,CA(1990年))に記載されている。哺乳動物宿主細胞発現のための例示的な制御配列としては、哺乳動物細胞における高いレベルのタンパク質発現を指向させるウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)、ならびにポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどが挙げられる。代替的に、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス制御配列を使用してもよい。なおもさらに、制御エレメントは、SV40初期プロモーター由来の配列およびヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端反復配列を含む、SRαプロモーター系など、異なる供給源に由来する配列から構成されていた(Takebeら(1988年)Mol.Cell.Biol.8巻:466~472ページ)。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するよう選択される。
【0090】
抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、同じかまたは別個の発現ベクターに挿入され得る。一部の実施形態では、可変領域を使用して、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるように、可変領域を、すでに所望されるアイソタイプの重鎖定常領域および軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターに挿入することによって、任意の抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子を作製する。追加または代替として、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが、抗体鎖遺伝子のアミノ末端とインフレームで連結されるように、ベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であり得る。
【0091】
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば、宿主細胞におけるベクターの複製を制御する配列(例えば、複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子などを有してもよい。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、および同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に、薬物、例えば、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどに対する耐性を付与する。選択可能なマーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅とともに、dhfr-宿主細胞において使用するため)およびneo遺伝子(G418選択のため)を挙げることができる。
【0092】
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターが、標準的な技法によって宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な形態は、原核生物または真核生物宿主細胞への外因性DNAの導入に一般的に使用される広範な技法、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを包含することを意図する。本発明の抗体を、原核生物または真核生物宿主細胞のいずれか、例えば、哺乳動物宿主細胞において発現させることが可能であり、この宿主細胞は、正確にフォールディングされた免疫学的に活性な抗体をアセンブルし、分泌することができる。
【0093】
本発明の組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、R.J.KaufmanおよびP.A.Sharp(1982年)、J.MoI.Biol.159巻:601~621ページに記載されるDHFR選択可能なマーカーとともに使用される、UrlaubおよびChasin、(1980年)Proc.Natl.Acad.ScL USA 77巻:4216~4220ページに記載されるdhfr CHO細胞を含む)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、ならびにSP2細胞が挙げられる。特に、NSO骨髄腫細胞とともに使用するには、別の発現系として、国際公開第87/04462号、同第89/01036号、および欧州特許第338,841号に開示されているGS遺伝子発現系がある。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを、哺乳動物宿主細胞に導入する場合、抗体は、宿主細胞を、宿主細胞における抗体の発現、または宿主細胞が成長した培養培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間培養することによって産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して、培養培地から回収することができる。
【0094】
ある特定の特性を有する抗OX40抗体
本発明の抗体は、抗体の具体的な機能特長または特性によって特徴付けられる。一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、以下の特性:
(a)ヒトOX40に、1×10-8Mもしくはそれよりも低いKDで結合すること、
(b)CD4+T細胞においてサイトカイン(例えば、IL-2もしくはIFN-γ)の産生を誘導すること、
(c)初代ヒトCD4+T細胞の増殖を増強させること、
(d)Treg細胞の存在下において、初代ヒトCD4+Tエフェクター細胞の増殖を増強させること、
(e)ヒトOX40もしくはアカゲザルOX40のそれぞれに結合すること、または
(f)ヒトCD40、CD137、およびCD271に対して交差反応性を有さないこと
のうちの1つまたは複数を有する。
【0095】
本発明の抗体は、ヒトOX40に、高い親和性で結合する。本発明の抗体のOX40への結合は、当該技術分野において十分に確立されている1つまたは複数の技法、例えば、ELISAを使用して、評価することができる。本発明の抗体の結合特異性はまた、抗体の、OX40タンパク質を発現する細胞への結合を、例えば、フローサイトメトリーによってモニタリングすることによって、判定することもできる。例えば、抗体は、ヒトOX40を発現する細胞株、例えば、OX40をその細胞表面上に発現するようにトランスフェクトされているCHO細胞と抗体を反応させる、フローサイトメトリーアッセイによって試験することができる。フローサイトメトリーアッセイにおいて使用するための他の好適な細胞は、ナイーブOX40を発現する抗CD3刺激CD4+活性化T細胞が挙げられる。追加または代替として、結合動態(例えば、Kd値)を含む、抗体の結合を、BIAcore結合アッセイにおいて試験することができる。なおも他の好適な結合アッセイとしては、例えば、組換えOX40タンパク質を使用した、ELISAアッセイが挙げられる。例えば、本発明の抗体は、ヒトOX40に、1×10-8Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40に、1×10-9Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40に、5×10-10Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40に、2×10-10Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40タンパク質に、1×10-10Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40タンパク質に、5×10-11Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、ヒトOX40タンパク質に、3×10-11Mもしくはそれよりも低いKDで結合するか、またはヒトOX40タンパク質に、2×10-11Mもしくはそれよりも低いKDで結合する。
【0096】
特定の配列に対する配列同一性を有するCDRを含む抗OX40抗体
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
A)1つまたは複数の重鎖CDR(CDRH)であって、
(i)配列番号1、7、13、15、21、および27からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH1、
(ii)配列番号3、9、17、23、および29からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH2、ならびに
(iii)配列番号5、11、19、25、および31からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRH3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRH、
B)1つまたは複数の軽鎖CDR(CDRL)であって、
(i)配列番号2、8、14、16、22、および28からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL1、
(ii)配列番号4、10、18、24、および30からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL2に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL2、ならびに
(iii)配列番号6、12、20、26、および32からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRL3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するCDRL3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRL、または
C)A)のうちの1つもしくは複数のCDRHおよびB)のうちの1つもしくは複数のCDRL
を含む。
【0097】
それぞれのCDRに対するアミノ酸の割り当ては、別途示されない限り、Kabatら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版)、US Dept.of Health and Human Services、PHS、NIH、NIH公開番号91-3242、Chothiaら、1987年、PMID:3681981、Chothiaら、1989年、PMID:2687698、MacCallumら、1996年、PMID:8876650、またはDubel編(2007年)Handbook of Therapeutic Antibodies、第3版、Wily-VCH Verlag GmbH and Coによって提供される番号付けスキームのうちのいずれかによるものであり得る。
【0098】
抗体配列の可変領域およびCDRは、当該技術分野において開発された(上述のように、例えば、Kabat番号付けシステムなどの)一般則に従って、または配列を公知の可変領域のデータベースにアライメントすることによって、特定することができる。これらの領域を特定する方法は、KontermannおよびDubel編、Antibody Engineering、Springer、New York、NY、2001年、およびDinarelloら、Current Protocols in Immunology、John Wiley and Sons Inc.、Hoboken、NJ、2000年に記載されている。例示的な抗体配列データベースは、Retterら、Nucl.Acids Res.、33巻(データベース版):D671~D674(2005年)に記載されるように、「Abysis」ウェブサイトwww.bioinf.org.uk/abs(A.C.Martin in the Department of Biochemistry&Molecular Biology University College London、London、Englandにより維持されている)およびVBASE2ウェブサイトwww.vbase2.orgに記載されており、これらを通じてアクセスすることができる。好ましくは、配列は、Abysisデータベースを通じて分析され、このデータベースは、Kabat、IMGT、およびProtein Data Bank(PDB)からの配列データを、PDBからの構造データと統合するものである。Dr.Andrew C.R.Martinの著書、Antibody Engineering Lab ManualのProtein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains.の章(編:Duebel,S.およびKontermann,R.、Springer-Verlag、Heidelberg、ISBN-13巻:978-3540413547、ウェブサイトbioinforg.uk/absでも入手可能)を参照されたい。Abysisデータベースのウェブサイトは、本明細書の教示に従って使用することができるCDRを特定するために開発された一般則もさらに含む。別途示されない限り、本明細書に記載されるすべてのCDRは、Kabatに従ってAbysisデータベースのウェブサイトにより得られる。
【0099】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci.、4巻:11~17ページ、1988年)を使用して、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用して、判定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性の割合は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(J.Mol.Biol.(48巻):444~453ページ(1970年))によって、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかおよび16、14、12、10、8、6または4のギャップ加重および1、2、3、4、5または6の長さ加重を使用して判定することができる。
【0100】
追加または代替として、本発明のタンパク質配列は、さらに、例えば、関連する配列を特定するために公的データベースに対する検索を実施するための「クエリ配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.215巻:403~10ページのXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。本発明の抗体分子に相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行することができる。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Altschulら、(1997年)Nucleic Acids Res.25巻(17号):3389~3402ページに記載されるようなギャップ付きBLASTを利用できる。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0101】
他の実施形態では、CDRアミノ酸配列は、上述のそれぞれの配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり得る。例示的な例として、抗体は、配列番号1、7、13、15、21、および27からなる群から選択される配列のうちの1つに記載されるCDRH1に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCDRH1を含み得る。
【0102】
アミノ酸付加、欠失、および/または置換を有するCDRを含む抗OX40抗体
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
A)1つまたは複数の重鎖CDR(CDRH)であって、
(i)配列番号1、7、13、15、21、および27からなる群から選択されるCDRH1、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH1とは異なるCDRH1、
(ii)配列番号3、9、17、23、および29からなる群から選択されるCDRH2、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH2とは異なるCDRH2、
(iii)配列番号5、11、19、25、および31からなる群から選択されるCDRH3、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRH3とは異なるCDRH3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRH、
B)1つまたは複数の軽鎖CDR(CDRL)であって、
(i)配列番号2、8、14、16、22、および28からなる群から選択されるCDRL1、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL1とは異なるCDRL1、
(ii)配列番号4、10、18、24、および30からなる群から選択されるCDRL2、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL2とは異なるCDRL2、
(iii)配列番号6、12、20、26、および32からなる群から選択されるCDRL3、または2つ以下のアミノ酸のアミノ酸付加、欠失、もしくは置換によりアミノ酸配列がそのCDRL3とは異なるCDRL3
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される、CDRL、または
C)A)のうちの1つまたは複数のCDRHおよびB)のうちの1つまたは複数のCDRL
を含む。
【0103】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分のCDRは、1つ以下のアミノ酸の保存的置換を含む。「保存的置換」という用語は、本明細書において使用される場合、アミノ酸配列を含むタンパク質/ポリペプチドの本質的な特性に悪影響を及ぼすこともそれを変化させることもない、アミノ酸置換を指す。例えば、保存的置換は、当該技術分野において公知の標準的な技法、例えば、部位特異的突然変異生成およびPCRに媒介される突然変異生成などによって、導入され得る。保存的アミノ酸置換としては、アミノ酸残基が、対応するアミノ酸残基に類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基、例えば、物理的または機能的に類似(例えば、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合もしくは水素結合を形成する能力を含む化学的特性などを有するなど)の残基で置換される、置換を含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、アルカリ性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、およびヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシンなど)、ならびに芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、対応するアミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーに由来する別のアミノ酸残基で置換される。アミノ酸の保存的置換を特定するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Brummellら、Biochem.32巻:1180~1187ページ(1993年)、Kobayashiら、Protein Eng.12巻(10号):879~884ページ(1999年)、およびBurksら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94巻:412~417ページ(1997年)を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0104】
CDRを含む抗OX40抗体
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号1を含むCDRH1、
(b)配列番号3を含むCDRH2、
(c)配列番号5を含むCDRH3、
(d)配列番号2を含むCDRL1、
(e)配列番号4を含むCDRL2、および
(f)配列番号6を含むCDRL3
を含む。
【0105】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号1からなるCDRH1、
(b)配列番号3からなるCDRH2、
(c)配列番号5からなるCDRH3、
(d)配列番号2からなるCDRL1、
(e)配列番号4からなるCDRL2、および
(f)配列番号6からなるCDRL3
を含む。
【0106】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号7を含むCDRH1、
(b)配列番号9を含むCDRH2、
(c)配列番号11を含むCDRH3、
(d)配列番号8を含むCDRL1、
(e)配列番号10を含むCDRL2、および
(f)配列番号12を含むCDRL3
を含む。
【0107】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号7からなるCDRH1、
(b)配列番号9からなるCDRH2、
(c)配列番号11からなるCDRH3、
(d)配列番号8からなるCDRL1、
(e)配列番号10からなるCDRL2、および
(f)配列番号12からなるCDRL3
を含む。
【0108】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号13を含むCDRH1、
(b)配列番号9を含むCDRH2、
(c)配列番号11を含むCDRH3、
(d)配列番号14を含むCDRL1、
(e)配列番号10を含むCDRL2、および
(f)配列番号12を含むCDRL3
を含む。
【0109】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号13からなるCDRH1、
(b)配列番号9からなるCDRH2、
(c)配列番号11からなるCDRH3、
(d)配列番号14からなるCDRL1、
(e)配列番号10からなるCDRL2、および
(f)配列番号12からなるCDRL3
を含む。
【0110】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号15を含むCDRH1、
(b)配列番号17を含むCDRH2、
(c)配列番号19を含むCDRH3、
(d)配列番号16を含むCDRL1、
(e)配列番号18を含むCDRL2、および
(f)配列番号20を含むCDRL3
を含む。
【0111】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号15からなるCDRH1、
(b)配列番号17からなるCDRH2、
(c)配列番号19からなるCDRH3、
(d)配列番号16からなるCDRL1、
(e)配列番号18からなるCDRL2、および
(f)配列番号20からなるCDRL3
を含む。
【0112】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号21を含むCDRH1、
(b)配列番号23を含むCDRH2、
(c)配列番号25を含むCDRH3、
(d)配列番号22を含むCDRL1、
(e)配列番号24を含むCDRL2、および
(f)配列番号26を含むCDRL3
を含む。
【0113】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号21からなるCDRH1、
(b)配列番号23からなるCDRH2、
(c)配列番号25からなるCDRH3、
(d)配列番号22からなるCDRL1、
(e)配列番号24からなるCDRL2、および
(f)配列番号26からなるCDRL3
を含む。
【0114】
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号27を含むCDRH1、
(b)配列番号29を含むCDRH2、
(c)配列番号31を含むCDRH3、
(d)配列番号28を含むCDRL1、
(e)配列番号30を含むCDRL2、および
(f)配列番号32を含むCDRL3
を含む。
【0115】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)配列番号27からなるCDRH1、
(b)配列番号29からなるCDRH2、
(c)配列番号31からなるCDRH3、
(d)配列番号28からなるCDRL1、
(e)配列番号30からなるCDRL2、および
(f)配列番号32からなるCDRL3
を含む。
【0116】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗OX40抗体
一部の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、
(A)重鎖可変領域であって、
(i)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、
(ii)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、もしくは95%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(iii)配列番号33、35、37、39、41、および43からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つもしくは複数のアミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域、ならびに/または
(B)軽鎖可変領域であって、
(i)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、
(ii)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むか、または
(iii)配列番号34、36、38、40、42、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つもしくは複数のアミノ酸の付加、欠失、および/もしくは置換を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0117】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号33のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号34のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0118】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号35のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0119】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号37のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号38のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0120】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号39のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号40のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0121】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号41のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号42のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0122】
特定の実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号43のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域および配列番号44のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0123】
他の実施形態では、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、上述のそれぞれの配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり得る。例示的な例として、抗体は、配列番号33のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み得る。
【0124】
一部のさらなる実施形態では、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、重鎖および/または軽鎖の可変領域におけるアミノ酸の保存的置換または改変を含み得る。抗原結合を除去しないある特定の保存的配列改変が行われてもよいことが、当該技術分野において理解される。例えば、Brummellら(1993年)Biochem 32巻:1180~8ページ、de Wildtら(1997年)Prot.Eng.10巻:835~41ページ、Komissarovら(1997年)J.Biol.Chem.272巻:26864~26870ページ、Hallら(1992年)J.Immunol.149巻:1605~12ページ、KelleyおよびO’ Connell (1993年)Biochem.32巻:6862~35ページ、Adib-Conquyら(1998年)Int.Immunol.10巻:341~6ページ、ならびにBeersら(2000年)Clin.Can.Res.6巻:2835~43ページを参照されたい。
【0125】
上述のように、「保存的置換」という用語は、本明細書において使用される場合、アミノ酸配列を含むタンパク質/ポリペプチドの本質的な特性に悪影響を及ぼすこともそれを変化させることもない、アミノ酸置換を指す。例えば、保存的置換は、当該技術分野において公知の標準的な技法、例えば、部位特異的突然変異生成およびPCRに媒介される突然変異生成などによって、導入され得る。保存的アミノ酸置換としては、アミノ酸残基が、対応するアミノ酸残基に類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基、例えば、物理的または機能的に類似(例えば、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合もしくは水素結合を形成する能力を含む化学的特性などを有するなど)の残基で置換される、置換を含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、アルカリ性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、およびヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシンなど)、ならびに芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、対応するアミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーに由来する別のアミノ酸残基で置換される。アミノ酸の保存的置換を特定するための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Brummellら、Biochem.32巻:1180~1187ページ(1993年)、Kobayashiら、Protein Eng.12巻(10号):879~884ページ(1999年)、およびBurksら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94巻:412~417ページ(1997年)を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0126】
ビニング(Binning)およびエピトープマッピング
開示される抗体が、選択された標的またはその断片によって提示される分離したエピトープまたは免疫原決定基(immunogenic determinant)と会合する、またはそれに結合することはさらに理解される。一部の実施形態では、エピトープまたは免疫原決定基として、アミノ酸、糖側鎖、リン酸基またはスルホニル基などの化学的に活性な表面の分子グループが挙げられる。一部の実施形態では、エピトープは、特定の三次元的構造特徴および/または特定の電荷特徴を有する場合がある。したがって、本明細書において使用される場合、用語「エピトープ」は、免疫グロブリンもしくはT細胞受容体に特異的に結合できるまたは、そうでなければ分子と相互作用できる任意のタンパク質決定基を含む。一部の実施形態では、タンパク質および/または高分子の複合混合物中のその標的抗原を選択的に認識する場合に、抗体は抗原に特異的に結合する(または免疫特異的に結合もしくは反応する)と称される。一部の実施形態では、平衡解離定数(KD)が10-6M以下または10-7M以下である場合、より好ましくはKDが10-8M以下である場合、およびさらにより好ましくはKDが10-9M以下である場合に、抗体は抗原に特異的に結合すると称される。
【0127】
近接アミノ酸から形成されたエピトープ(「直鎖状」または「連続的」エピトープと称される場合もある)は、タンパク質変性の際に典型的には保持される一方で、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、タンパク質変性の際に典型的には失われる。いずれにしても抗体エピトープは、典型的には、固有の空間的コンホメーションにある少なくとも3個、通常は少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。
【0128】
この点において、一部の実施形態では、エピトープは、例えばPD-1タンパク質の1つまたは複数の領域、ドメインまたはモチーフに会合できるまたはそこに存在し得ることは理解される。同様に、当技術分野において認められている用語「モチーフ」は、その一般的意味に従って使用され、典型的には10から20個の近接アミノ酸残基であるタンパク質の短い、保存された領域を一般に指す。
【0129】
いずれにしても、抗原上の望ましいエピトープが決定され、例えば、本発明に記載の技術を使用してエピトープを含むペプチドを用いて免疫化することによって、そのエピトープに対する抗体を生成することができる。代替的に、発見プロセスの際に抗体の生成および特徴付けは、特定のドメインまたはモチーフに位置付けられた望ましいエピトープについての情報を明らかにすることができる。次にこの情報から、同じエピトープへの結合について抗体を競合的にスクリーニングすることができる。これを達成するためのアプローチは、互いに競合的に結合する、すなわち抗体が抗原への結合について競合する、抗体を見出すための競合研究を行うことである。抗体をそれらの交差競合に基づいてビニングするためのハイスループットプロセスは、WO03/48731に記載されている。抗体競合または酵母での抗原断片発現を含む、ビニングまたはドメインレベルまたはエピトープマッピングの他の方法は、当技術分野において十分周知である。
【0130】
本明細書において使用される場合、用語「ビニング」は、抗体をそれらの抗原結合特徴および競合に基づいてグループ化または分類するために使用される方法を指す。本技術は、本発明の抗体を定義し、カテゴリー化するために有用である一方でビンは、エピトープと必ずしも直接関連せず、エピトープ結合のそのような仮決定は、当技術分野においておよび本明細書に記載される当技術分野において認められた他の方法によってさらに改良および確認され得る。しかし、個々のビンへの抗体の経験的割り当てが本開示の抗体の治療可能性を示し得る情報を提供することは、理解される。
【0131】
さらに具体的には、当技術分野において周知および本明細書の実施例に記載される方法を使用することによって、選択された参照抗体(またはその断片)が同じエピトープに結合するかどうか、または第2の検査抗体との結合について競合する(すなわち、同じビンにある)かどうかを決定できる。
【0132】
他の適合可能なエピトープマッピング技術として、アラニンスキャンニング突然変異体、ペプチドブロット(Reineke(2004)Methods Mol Biol 248巻:443~63ページ)(その全体が参照により明確に本明細書に組み込まれる)またはペプチド切断分析が挙げられる。加えて、エピトープの切り出し、エピトープ抽出および抗原の化学修飾などの方法も使用され得る(Tomer(2000)Protein Science 9巻:487~496ページ)(その全体が参照により明確に本明細書に組み込まれる)。
【0133】
本発明の抗体をコードする核酸分子
一部の態様では、本発明は、本明細書において開示される単離された抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を対象とする。
【0134】
本発明の核酸は、標準的分子生物学技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、下にさらに記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから調製されるハイブリドーマ)によって発現される抗体について、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、標準的PCR増幅またはcDNAクローニング技術によって得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られた(例えば、ファージディスプレイ技術を使用して)抗体について、かかる抗体をコードする核酸は、遺伝子ライブラリーから回収することができる。
【0135】
VH領域をコードする単離された核酸は、VHコード核酸を重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって全長重鎖遺伝子に転換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当技術分野において周知であり(例えば、Kabatら、(1991)、上記を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的PCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得るが、より好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。
【0136】
VL領域をコードする単離された核酸は、VLコードDNAを軽鎖定常領域、CLをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に転換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当技術分野において周知であり(例えば、Kabatら、上記を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的PCR増幅によって得ることができる。好ましい実施形態では、軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であってよい。
【0137】
VHおよびVLセグメントをコードするDNA断片が得られると、これらのDNA断片は、標準的組換えDNA技術によって、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子にまたはscFv遺伝子に転換するようにさらに操作され得る。これらの操作において、VLまたはVHコードDNA断片は、抗体定常領域またはフレキシブルリンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。このコンテクストにおいて使用される場合、用語「作動可能に連結される」は、2つのDNA断片が、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように接続されることを意味すると意図される。
【0138】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される単離された抗体の重鎖可変領域をコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を対象とする。
【0139】
一部の具体的な実施形態では、単離された核酸分子は、単離された抗体の重鎖可変領域をコードし:
(A)配列番号33、35、37、39、41および43に記載の重鎖可変領域をコードする核酸配列;
(B)配列番号45、47、49、51、53もしくは55に記載の核酸配列;または
(C)高いストリンジェンシー条件下で、(A)もしくは(B)の核酸配列の相補鎖にハイブリダイズした核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0140】
例えば核酸分子は、配列番号45、47、49、51、53または55からなる。代替的に核酸分子は、少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)配列同一性を配列番号45、47、49、51、53または55と共有する。一部の具体的な実施形態では、同一性の百分率は、遺伝コードの縮重に由来し、コードされたタンパク質配列は未変化のままである。
【0141】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される単離された抗体の軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を対象とする。
【0142】
一部の具体的な実施形態では、単離された核酸分子は、単離された抗体の軽鎖可変領域をコードし:
(A)配列番号34、36、38、40、42もしくは44に記載の重鎖可変領域をコードする核酸配列;
(B)配列番号46、48、50、52、54もしくは56に記載の核酸配列;または
(C)高いストリンジェンシー条件下で、(A)もしくは(B)の核酸配列の相補鎖にハイブリダイズした核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0143】
例えば、核酸分子は、配列番号46、48、50、52、54または56からなる。代替的に核酸分子は、少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)配列同一性を配列番号46、48、50、52、54または56と共有する。一部の具体的な実施形態では、同一性の百分率は、遺伝コードの縮重に由来し、コードされたタンパク質配列は未変化のままである。
【0144】
例示的な高いストリンジェンシー条件として、45℃、5×SSPEおよび45%ホルムアミドでのハイブリダイゼーションならびに65℃、0.1×SSCでの最終洗浄が挙げられる。同等のストリンジェンシー条件が、Ausubelら、(Eds.),Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1994),6.0.3から6.4.10ページに記載のとおり、温度および緩衝液または塩濃度の変更を通じて達成され得ることは当技術分野において理解される。ハイブリダイゼーション条件の修正は、経験的に決定され得る、またはプローブのグアノシン/シトシン(GC)塩基対合の長さおよび百分率に基づいて正確に算出され得る。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら、(Eds.),Molecular Cloning:A laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor, New York(1989),9.47から9.51ページに記載のとおり算出され得る。
【0145】
医薬組成物
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性部分および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を対象とする。
【0146】
組成物の構成成分
医薬組成物は、別の抗体または薬物などの1つまたは複数の追加的な薬学的活性成分を任意選択で含有し得る。本発明の医薬組成物は、抗OX40抗体がワクチンに対する免疫応答を増強するように、例えば別の免疫刺激剤、抗がん剤、抗ウイルス剤またはワクチンを用いた併用治療で投与されてよい。薬学的に許容される担体として、例えば、薬学的に許容される液体、ゲルまたは固体担体、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、麻酔剤、懸濁剤/分散剤、キレート剤、希釈剤、アジュバント、賦形剤または無毒性補助物質、構成成分の当技術分野において周知の他の種々の組合せなどが少なくとも挙げられる。
【0147】
好適な構成成分として、例えば、抗酸化剤、注入剤、結合剤、崩壊剤、緩衝液、保存剤、潤滑剤、香味剤、増粘剤、着色剤、乳化剤または糖およびシクロデキストリンなどの安定剤が挙げられる。好適な抗酸化剤として、例えば、メチオニン、アルコルビン酸、EDTA、チオ硫酸ナトリウム、白金、カタラーゼ、クエン酸、システイン、メルカプトグリセリン、チオグリコール酸、メルカプトソルビトール、ブチルメチルアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよび/またはプロピルガラクテ(propylgalacte)が挙げられる。本発明において開示されるとおり、本発明が開示する抗体または抗原結合性断片を含有する溶媒において、組成物はメチオニンなどの1つまたは複数の抗酸化剤を含み、抗体またはその抗原結合性断片を還元すると酸化される。酸化還元は、結合親和性の減少を妨げるまたは低減することができ、それにより抗体安定性を増強し、保存期間を延長する。したがって一部の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の抗体またはその抗原結合性断片およびメチオニンなどの1つまたは複数の抗酸化剤を含む組成物を提供する。本発明は、抗体またはその抗原結合性断片がメチオニンなどの1つまたは複数の抗酸化剤と混合されており、それにより抗体またはその抗原結合性断片が、保存期間を延長するおよび/または活性の増加のために、酸化を妨げられる種々の方法をさらに提供する。
【0148】
さらに例示するために、薬学的に許容される担体として、例えば、水性ビヒクル、例えば塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、等張ブドウ糖注射剤、滅菌注射用水もしくはブドウ糖および乳酸リンゲル注射剤など、非水性ビヒクル、例えば植物由来の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油もしくはピーナッツ油など、静菌もしくは静真菌濃度での抗菌剤、等張剤、例えば塩化ナトリウムもしくはブドウ糖など、緩衝液、例えばリン酸もしくはクエン酸緩衝液など、抗酸化剤、例えば硫酸水素ナトリウムなど、局所麻酔、例えばプロカイン塩酸塩など、懸濁および分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒロドキシプロピルメチルセルロースもしくはポリビニルピロリドンなど、乳化剤、例えばポリソルベート80(TWEEN(登録商標)-80)など、封鎖もしくはキレート剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)もしくはEGTA(エチレングリコール四酢酸)など、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸が挙げられる。担体として利用される抗菌剤は、フェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびにベンゼトニウム塩化物を含む複数用量容器中で医薬組成物に加えられてよい。好適な賦形剤として、例えば水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセリンまたはエタノールが挙げられる。好適な無毒補助物質として、例えば、湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤(solubility enhancer)または薬剤、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンまたはシクロデキストリンなどが挙げられる。
【0149】
投与、製剤および投与量
本発明の医薬組成物は、これだけに限らないが、経口、静脈内、動脈内、皮下、非経口、鼻腔内、筋肉内、頭蓋内、心臓内、脳室内、気管内、頬側、直腸内、腹腔内、皮内、局所、経皮的およびくも膜下腔内が挙げられる種々の経路によって、または他にインプラントまたは吸入によってそれを必要とする対象にin vivoで投与され得る。対象組成物は、これだけに限らないが、錠剤、カプセル、粉剤、顆粒剤、軟膏、液剤、座薬、浣腸、注射、吸入薬およびアエロゾルが挙げられる;固体、流動体、液体またはガス形態にある調製物に製剤化され得る。適切な製剤および投与の経路は、目的の適用および治療レジメンにより選択され得る。
【0150】
経腸的投与のために好適な製剤として、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、丸剤、錠剤(コートされた錠剤を含む)、エリキシル剤、懸濁剤、シロップまたは吸入剤ならびにこれらの放出制御形態が挙げられる。
【0151】
非経口投与(例えば、注射による)のために好適な製剤として、活性成分が溶解、懸濁または他に(例えば、リポソームもしくは他の微粒子中に)提供される、水性または非水性、等張、発熱物質不含有、滅菌液(例えば、溶液、懸濁物)が挙げられる。かかる液体は、抗酸化剤、緩衝液、保存剤、安定剤、静菌剤、懸濁剤、増粘剤および、製剤を目的のレシピエントの血液(または他の関連する体液)と等張にする溶質などの他の薬学的に許容される成分を追加的に含有できる。賦形剤の例として、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油などが挙げられる。かかる製剤における使用のための好適な等張性担体の例として、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液または乳酸リンゲル注射液が挙げられる。同様に、用量、時期および反復を含む具体的な投与量レジメンは具体的な個体および個々の病歴ならびに薬物動態(例えば、半減期、クリアランス速度など)などの経験的考察に依存する。
【0152】
投与の頻度は、治療経過を通じて決定および調整されてよく、増殖性または腫瘍原性細胞の数を低減すること、かかる新生物細胞の低減を維持すること、新生物細胞の増殖を低減することまたは転移の発生を遅延することに基づく。一部の実施形態では、投与される投与量は、潜在的な副作用および/または毒性を管理するために調整または減じられてよい。代替的に、対象治療組成物の持続的連続的な放出製剤(sustained continuous release formulation)は、好適である場合がある。
【0153】
好適な投与量が患者によって変動する場合があることは、当業者によって理解される。最適投与量を決定することは、治療有効性のレベルに対する任意のリスクまたは有害な副作用のバランスに一般に関与する。選択された投与量レベルは、これだけに限らないが、具体的な化合物の活性、投与の経路、投与の時期、化合物の排出速度、処置の継続期間、組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、状態の重症度ならびに患者の人種、性別、年齢、体重、状態、全体的な健康状態および病歴が挙げられる種々の要因に依存する。一般に投与量は、作用部位で局所濃度を達成し、実質的に害があるまたは有害な副作用を生じることなく望ましい効果を達成するように選択されるが、化合物の量および投与の経路は、最終的には医師、獣医師または臨床医の裁量である。
【0154】
一般に、本発明の抗体またはその抗原結合性部分は、種々の範囲で投与され得る。これらとして、用量あたり約5μg/kg体重から約100mg/kg体重;用量あたり約50μg/kg体重から約5mg/kg体重;用量あたり約100μg/kg体重から約10mg/kg体重が挙げられる。他の範囲として、用量あたり約100μg/kg体重から約20mg/kg体重および用量あたり約0.5mg/kg体重から約20mg/kg体重が挙げられる。ある特定の実施形態では投与量は、少なくとも約100μg/kg体重、少なくとも約250μg/kg体重、少なくとも約750μg/kg体重、少なくとも約3mg/kg体重、少なくとも約5mg/kg体重、少なくとも約10mg/kg体重である。
【0155】
いずれにしても、本発明の抗体またはその抗原結合性部分は、好ましくはそれを必要とする対象に必要に応じて投与される。投与の頻度の決定は、主治医などの当業者によって、処置される状態、処置される対象の年齢、処置される状態の重症度、処置される対象の全身の健康状態などを考慮して行われ得る。
【0156】
ある特定の好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性部分を含む処置経過は、数週間または数カ月にわたる選択された薬物製品の複数用量を含む。さらに具体的には、本発明の抗体またはその抗原結合性部分は、毎日、2日ごと、4日ごと、毎週、10日ごと、2週間ごと、3週間ごと、毎月、6週間ごと、2カ月ごと、10週間ごとまたは3カ月ごとに1回投与されてよい。これに関して、患者の応答および臨床診療に基づいて投与量が変更され得る、または間隔が調整され得ることは理解される。
【0157】
投与量およびレジメンは、開示される治療用組成物について、1回または複数回の投与(複数可)を与えられた個体において経験的に決定され得る。例えば、個体は、本明細書に記載のとおり産生された治療組成物を投与量を漸増させて与えられてよい。選択された実施形態では、投与量は、経験的に決定されたまたは観察された副作用もしくは毒性にそれぞれに基づいて徐々に増加または低減または減じられてよい。選択された組成物の有効性を評価するために、特定の疾患、障害または状態のマーカーは、以前記載のとおり追跡されてよい。がんについて、これらは、触診または目視を介した腫瘍サイズの直接測定、X線または他の画像化技術による腫瘍サイズの間接測定;直接腫瘍生検および腫瘍試料の顕微鏡的検査によって評価された改善;間接腫瘍マーカー(例えば、前立腺がんについてのPSA)または明細書に記載の方法により同定された腫瘍原性抗原の測定、疼痛または麻痺の減少;発声、視覚、呼吸または腫瘍に関連する他の身体障害の改善;食欲の増加;または認められた検査によって測定される生活の質の向上または生存期間の延長を含む。投与量が、個体、新生物状態の種類、新生物状態のステージ、新生物状態が個体の他所に転移を始めたか否か、ならびに過去に使用されたおよび同時に使用される処置に応じて変動することは、当業者に明らかである。
【0158】
非経口投与(例えば、静脈内注射)のために適合性の製剤は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分を約10μg/mlから約100mg/mlの濃度で含む。ある特定の選択された実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分の濃度は、20μg/ml、40μg/ml、60μg/ml、80μg/ml、100μg/ml、200μg/ml、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、600μg/ml、700μg/ml、800μg/ml、900μg/mlまたは1mg/mlを含む。他の好ましい実施形態では、ADC濃度は、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、8mg/ml、10mg/ml、12mg/ml、14mg/ml、16mg/ml、18mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/mlまたは100mg/mlを含む。
【0159】
本発明の応用
本発明の抗体、抗体組成物および方法は、例えば、OX40の検出または免疫応答の増強を含む多数のin vitroおよびin vivo有用性を有する。例えばこれらの分子は、培養中、in vitroもしくはex vivoの細胞に、またはヒト対象に、例えばin vivoで、種々の状況において免疫を増強するために投与され得る。免疫応答は、調節、例えば増大、刺激または上方制御され得る。
【0160】
好ましい対象として、免疫応答の増強を必要とするヒト患者が挙げられる。方法は、免疫応答(例えば、T細胞性免疫応答)を増大させることによって処置され得る障害を有するヒト患者を処置するために特に好適である。具体的な実施形態では、方法は、in vivoでのがんの処置のために特に好適である。免疫の抗原特異的増強を達成するために、抗OX40抗体は目的の抗原と共に投与されてよい、または抗原は処置される対象に既に存在する場合もある(例えば、担腫瘍またはウイルス保有対象)。OX40に対する抗体が別の薬剤と共に投与される場合、2つはいずれの順でまたは同時に投与されてよい。
【0161】
本発明は、抗体またはその一部とヒトOX40との間の複合体形成を可能にする条件下で試料および対照試料をヒトOX40に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分と接触させることを含む、試料中のヒトOX40抗原の存在を検出する、またはヒトOX40抗原の量を測定するための方法をさらに提供する。次いで複合体の形成は、検出され、対照試料と比較した試料間の異なる複合体形成は、試料中のヒトOX40抗原の存在を示す。さらに、本発明の抗OX40抗体は、免疫親和性精製を介してヒトOX40を精製するために使用され得る。
【0162】
がんを含む障害の処置
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性部分の治療有効量を処置を必要とする対象(例えば、ヒト)に投与することを含む、哺乳動物において障害を処置する方法を提供する。例えば、障害はがんである。
【0163】
OX40が関連する種々のがんは、悪性または良性に関わらずおよび原発または二次に関わらず、本開示によって提供される方法によって処置または予防され得る。がんは、固形がんまたは血液悪性腫瘍であってよい。かかるがんの例として、肺がん、例えば気管支原性癌(例えば、扁平上皮細胞癌、小細胞癌、大細胞癌および腺癌)、肺胞細胞癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫(非がん性)および肉腫(がん性)など;心臓がん、例えば粘液腫、線維腫および横紋筋腫など;骨がん、例えば骨軟骨腫、軟骨腫(condromas)、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫、巨細胞腫瘍、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング腫瘍(ユーイング肉腫)および細網肉腫など;脳がん、例えば神経膠腫(例えば、多形神経膠芽腫)、未分化星状細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫、脊索腫、シュワン腫、上衣腫、髄膜腫、下垂体腺腫、松果体腫、骨腫、血管芽腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、胚細胞腫、テラトーマ、類皮嚢胞および血管腫など;消化器系におけるがん、例えば結腸がん、平滑筋腫、類表皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、胃腺癌、腸脂肪腫、腸神経線維腫、腸線維腫、大腸ポリープおよび結腸直腸がんなど;肝臓がん、例えば肝細胞腺腫、血管腫、肝細胞癌、線維層板型癌、胆管細胞癌、肝芽腫および血管肉腫など;腎臓がん、例えば腎臓腺癌、腎臓細胞癌、グラヴィッツ腫瘍および腎盂の移行上皮癌など;膀胱がん;血液がん、例えば急性リンパ球性(リンパ芽球性)白血病、急性骨髄性(骨髄球性、骨髄性、骨髄芽球、骨髄単球性)白血病、慢性リンパ性白血病(例えば、セザリー症候群およびヘアリーセル白血病)、慢性骨髄球性(骨髄性、骨髄性、顆粒球性)白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、菌状息肉症および骨髄増殖性障害(骨髄増殖性障害、例えば真性多血症、骨髄線維症、血小板血症および慢性骨髄球性白血病などを含む)など;皮膚がん、例えば基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、カポジ肉腫およびパジェット病など;頭頸部がん;眼関連がん、例えば網膜芽細胞腫および眼内(intraoccular)黒色癌など;男性生殖器系がん、例えば良性前立腺肥大症、前立腺がんおよび精巣がん(例えば、セミノーマ、テラトーマ、胚性癌腫および絨毛癌)など;乳がん;女性生殖器系がん、例えば子宮がん(子宮内膜癌)、子宮頸がん(子宮頸癌)、卵巣のがん(卵巣癌)、外陰癌、腟癌、卵管がんおよび胞状奇胎など;甲状腺がん(乳頭状、濾胞性、未分化または髄質性がんを含む);褐色細胞腫(副腎);副甲状腺の非がん性成長;膵臓がん;ならびに血液がん、例えば白血病、骨髄腫、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫など、が挙げられる。具体的な実施形態では、がんは結腸がんである。
【0164】
一部の実施形態では、がんの例は、これだけに限らないが、B細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む;小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ増殖性障害(post-transplant lymphoproliierative disorder)(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍に関連するものなど)、B細胞増殖性障害およびメグズ症候群、が挙げられる。さらに具体的な例として、これだけに限らないが、再発または抵抗性NHL、前線(front line)低悪性度NHL、ステージIII/IV NHL、化学療法抵抗性NHL、前駆体Bリンパ芽球性白血病および/またはリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病および/または前リンパ性白血病および/または小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性リンパ腫、免疫細胞腫および/またはリンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、節外辺縁帯MALTリンパ腫、結節性辺縁帯リンパ腫、ヘアリーセル白血病、形質細胞腫および/または形質細胞性骨髄腫、低悪性度/濾胞性リンパ腫、中悪性度/濾胞性NHL、マントル細胞リンパ腫、濾胞中心(follicle center)リンパ腫(濾胞性)、中悪性度びまん性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、侵襲性NHL(侵襲性前線NHLおよび侵襲性再発NHLを含む)、自己幹細胞移植後の再発または抵抗性NHL、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、高悪性度免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、バーキットリンパ腫、前駆体(末梢)大型顆粒リンパ性白血病、菌状息肉症および/またはセザリー症候群、皮膚(皮膚(cutaneous))リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、が挙げられる。
【0165】
一部の実施形態では、がんの例として、これだけに限らないが、B細胞増殖性障害がさらに挙げられ、それは、これだけに限らないが、リンパ腫(例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))およびリンパ性白血病をさらに含む。かかるリンパ腫およびリンパ性白血病として、例えばa)濾胞性リンパ腫、b)小型非切れ込み核細胞性リンパ腫/バーキットリンパ腫(風土性バーキットリンパ腫、孤発性バーキットリンパ腫および非バーキットリンパ腫を含む)、c)辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜内リンパ組織リンパ腫、MALT)、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫および脾臓辺縁帯リンパ腫を含む)、d)マントル細胞リンパ腫(MCL)、e)大細胞リンパ腫(B細胞びまん性大細胞型細胞リンパ腫(DLCL)、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽細胞リンパ腫、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、血管中心性リンパ腫肺性B細胞リンパ腫を含む)、f)ヘアリーセル白血病、g)リンパ球性リンパ腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、h)急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、i)形質細胞腫瘍、形質細胞性骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫および/またはj)ホジキン病が挙げられる。
【0166】
一部の他の実施形態では、障害は、自己免疫性疾患である。抗体またはその抗原結合性部分を用いて処置され得る自己免疫疾患の例として、自己免疫性脳脊髄炎、エリテマトーデスおよび関節リウマチが挙げられる。抗体またはその抗原結合性部分は、感染性疾患、炎症性疾患(アレルギー性喘息など)および慢性移植片対宿主病を処置または予防するためにも使用され得る。
【0167】
免疫応答の刺激
一部の態様では、本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合性部分を対象に、対象において免疫応答が増強されるように投与することを含む、対象において免疫応答を増強する(例えば、刺激する)方法も提供する。例えば、対象は哺乳動物である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0168】
用語「免疫応答を増強する」またはその文法的変化形は、哺乳動物の免疫系の任意の応答を刺激する、誘発する、増加させる、改善するまたは増大させることを意味する。免疫応答は、細胞性応答(すなわち細胞媒介性、細胞傷害性Tリンパ球媒介性など)または液性応答(すなわち抗体媒介性応答)であってよく、一次または二次免疫応答であってよい。免疫応答の増強の例として、CD4+ヘルパーT細胞活性および細胞溶解性T細胞の生成の増加が挙げられる。免疫応答の増強は、これだけに限らないが、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、サイトカインの放出(例えばIL-2産生もしくはIFN-γ産生)、腫瘍の退縮、担腫瘍動物の生存期間、抗体産生、免疫細胞増殖、細胞表面マーカーの発現および細胞傷害性が挙げられる、当業者に周知の多数のin vitroまたはin vivo測定法を使用して評価され得る。典型的には、本開示の方法は、未処置哺乳動物または本明細書において開示される方法を使用して処置されていない哺乳動物による免疫応答と比較して、哺乳動物による免疫応答を増強する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、病原性微生物(ウイルスなど)に対するヒトの免疫応答を増強するために使用される。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、ワクチンに対するヒトの免疫応答を増強するために使用される。一実施形態では、方法は、細胞性免疫応答、特に細胞傷害性T細胞応答を増強する。別の実施形態では、細胞性免疫応答は、ヘルパーT細胞応答である。さらに別の実施形態では、免疫応答は、サイトカイン産生、特にIFN-γ産生またはIL-2産生である。抗体またはその抗原結合性部分は、病原性微生物(ウイルスなど)に対する、またはワクチンに対するヒトの免疫応答を増強するために使用され得る。
【0169】
抗体またはその抗原結合性部分は、単独で単剤療法として、または化学療法もしくは放射線療法との組み合わせで使用され得る。
【0170】
化学療法との併用
抗体またはその抗原結合性部分は、抗がん剤、細胞傷害剤または化学療法剤との組み合わせで使用され得る。
【0171】
用語「抗がん剤」または「抗増殖剤」は、がんなどの細胞増殖性障害を処置するために使用され得る任意の薬剤を意味し、これだけに限らないが、細胞傷害剤、細胞分裂阻害剤、血管新生阻害剤、減量剤、化学療法薬、放射線療法および放射線治療剤、標的化抗がん剤、BRM、治療用抗体、がんワクチン、サイトカイン、ホルモン療法、放射線治療および抗転移剤および免疫療法剤が挙げられる。選択された実施形態では、上に考察したとおり、かかる抗がん剤はコンジュゲートを含んでよく、開示される部位特異的抗体と投与前に会合されてよいことは理解される。さらに具体的には、ある特定の実施形態では、選択された抗がん剤は、操作された抗体の不対システインに本明細書に記載される操作されたコンジュゲートを提供するように連結される。したがって、かかる操作されたコンジュゲートは、本発明の範囲内であることが明確に期待される。他の実施形態では、開示される抗がん剤は、上に記載される異なる治療剤を含む部位特異的コンジュゲートと組み合わせて与えられる。
【0172】
本明細書において使用される場合、用語「細胞傷害剤」は、細胞に毒性を有し、細胞の機能を減少させるもしくは阻害する、および/または細胞の破壊を生じる物質を意味する。ある特定の実施形態では、物質は、生体由来の天然に存在する分子である。細胞傷害剤の例として、これだけに限らないが、小分子毒素または細菌の(例えば、ジフテリア(Diptheria)毒素、シュードモナス内毒素および外毒素、ブドウ球菌エンテロトキシンA)、真菌の(例えば、α-サルシン、レストリクトシン)、植物の(例えば、アブリン、リシン、モデシン、ビスクミン(viscumin)、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、ゲロニン、モモリジン(momoridin)、トリコサンチン、オオムギ毒素、アレウリテス・フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラッカ・メリカナ(Phytolacca mericana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、モモルディカ・カランチア(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィキナリス(saponaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミテゲリン(mitegellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、ネオマイシンおよびトリコテセン(tricothecenes))または動物の(例えば、細胞傷害性RNases、例えば細胞外膵臓RNasesなど;DNaseI、その断片および/または変種を含む)酵素的に活性な毒素が挙げられる。
【0173】
本発明の目的のために「化学療法剤」は、がん細胞の成長、増殖、および/または生存を非特異的に減少させるまたは阻害する化学物質を含む(例えば、細胞傷害性または細胞分裂阻害剤)。かかる化学薬品は、細胞成長または分裂のために必要な細胞内プロセスをしばしば対象とし、そのため一般に急速に増殖および分裂するがん性細胞に対して特に有効である。例えば、ビンクリスチンは微小管を脱重合し、それにより細胞が有糸分裂に入ることを阻害する。一般に、化学療法薬は、がん性細胞または、がん性になるもしくは腫瘍原性後代(例えば、TIC)を生成する可能性がある細胞を阻害する、または阻害するように設計されている任意の化学薬品を含み得る。かかる薬剤はしばしば投与され、例えばCHOPまたはFOLFIRIなどのレジメンにおいて併用でしばしば最も有効である。
【0174】
本発明の部位特異的構築物との組み合わせで(部位特異的コンジュゲートの構成成分としてまたは未コンジュゲート状態のいずれかで)使用され得る抗がん剤の例は、これだけに限らないが、アルキル化剤、アルキルスルホネート、アジリジン、エチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine)、アセトゲニン、カンプトテシン、ブリオスタチン、カリスタチン(callystatin)、CC-1065、クリプトフィシン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エリュテロビン、パンクラチスタチン(pancratistatin)、サルコディクチン(sarcodictyin)、スポンギスタチン(spongistatin)、ナイトロジェンマスタード、抗生物質、エンジイン抗生物質、ダイネミシン(dynemicin)、ビスホスホネート、エスペラミシン、色素タンパク質エンジイン抗生物質(antiobiotic)発色団、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、エルロチニブ、ベムラフェニブ、クリゾチニブ、ソラフェニブ、イブルチニブ、エンザルタミド、葉酸類似物、プリン類似体、アンドロゲン、抗副腎剤(anti-adrenal)、フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤(replenisher)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside)、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル(bestrabucil)、ビスアントレン、エダトラキサート(edatraxate)、デフォファミン(defofamine)、デメコルチン、ジアジクオン、エルフォルニチン(elfornithine)、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、ガリウム硝酸塩、ヒドロキシウレア、レンチナン、ロニダイニン(lonidainine)、マイタンシノイド、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール(mopidanmol)、ニトラエリン(nitraerine)、ペントスタチン、フェナメト(phenamet)、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸(podophyllinic acid)、2-エチルヒドラジン、プロカルバジン、PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Product、Eugene、OR)、ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベルラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、クロランブシル(chloranbucil);GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)、CPT-11)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン;レチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン;オキサリプラチン;細胞増殖を低減するPKC-アルファ、Raf、H-Ras、EGFRおよびVEGF-Aの阻害剤、および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。本定義に同様に含まれるのは、腫瘍でホルモン作用を制御するまたは阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーターなど、副腎でのエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤および抗アンドロゲン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似物);アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤およびHER2発現阻害剤など;ワクチン、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ビノレルビンおよびエスペラミシンならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体である。
【0175】
放射線療法との併用
本発明は、抗体またはその抗原結合性部分と、放射線療法(すなわち、腫瘍細胞内で局所的にDNAの損傷を誘導するための任意の機構、例えばガンマ線照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子放出など)との併用も提供する。放射性同位元素の腫瘍細胞への方向付けられた送達を使用する併用療法も検討され、開示されるコンジュゲートは、標的化抗がん剤または他の標的化手段に関連して使用され得る。典型的には、放射線治療は、約1から約2週間の期間にわたってパルスで投与される。放射線治療は、頭頸部がんを有する対象に約6から7週間投与され得る。任意選択で放射線治療は、単一用量として、または複数、逐次用量として投与され得る。
【0176】
診断
本発明は、増殖性障害を検出する、診断するまたはモニタリングするためのin vitroおよびin vivo方法、および腫瘍原性細胞を含む腫瘍細胞を同定するための患者由来の細胞のスクリーニング方法を提供する。かかる方法は、患者または患者から得た試料(in vivoまたはin vitroのいずれか)を本明細書に記載の抗体と接触させること、試料中の標的分子に結合するまたはそれを遊離する抗体の存在もしくは不在または会合のレベルを検出することを含む、がんの処置またはその進行をモニタリングするためにがんを有する個体を同定することを含む。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載の検出可能な標識またはレポーター分子を含む。
【0177】
一部の実施形態では、試料中の特定の細胞との抗体の会合は、試料が腫瘍原性細胞を含有する可能性があることを意味し、そのためがんを有する個体が本明細書に記載の抗体を用いて有効に処置され得ることを意味する。
【0178】
試料は、多数のアッセイ、例えば放射線イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(例えばELISA)、競合的結合アッセイ、蛍光イムノアッセイ、免疫ブロットアッセイ、ウエスタンブロット分析およびフローサイトメトリーアッセイによって分析され得る。適合可能なin vivoセラグノスティック(theragnostic)または診断アッセイは、当技術分野において認められた画像化またはモニタリング技術、例えば、磁気共鳴画像法、コンピュータ断層撮影(例えばCATスキャン)、陽電子トモグラフィー(例えば、PETスキャン)、X線撮影、超音波などを当業者によって公知であるとおり含み得る。
【0179】
医薬パック(Pharmaceutical pack)およびキット
1つまたは複数の容器を含み、抗体またはその抗原結合性部分の1または複数用量を含む医薬パックおよびキットも提供される。ある特定の実施形態では、例えば、1つまたは複数の追加的薬剤を含んでまたは含まずに、抗体またはその抗原結合性部分を含む組成物の所定量を含有する単位投与量は、提供される。他の実施形態について、かかる単位投与量は、注射用の使い捨ての予め充填されたシリンジで供給される。さらに他の実施形態では、単位投与量に含有される組成物は、生理食塩水、ショ糖など;リン酸などの緩衝液を含んでよく;および/または安定で有効なpH範囲に製剤化されてよい。代替的に、ある特定の実施形態では、コンジュゲート組成物は、適切な液体、例えば滅菌水または生理食塩水の添加で再構成され得る凍結乾燥粉剤として提供されてよい。ある特定の好ましい実施形態では、組成物は、これだけに限らないがショ糖およびアルギニンが挙げられる、タンパク質凝集を阻害する1つまたは複数の物質を含む。容器(複数可)上のまたは関連する任意の表示は、封入されたコンジュゲート組成物が選択される新生物疾患状態を処置するために使用されることを示す。
【0180】
本発明は、部位特異的コンジュゲートおよび任意選択で1つまたは複数の抗がん剤の単一用量または複数用量投与単位を産生するためのキットも提供する。キットは、容器および、容器上にまたは関連する表示または添付文書を含む。好適な容器として、例えば、ビン、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成されてよく、開示されるコンジュゲートの薬学的有効量をコンジュゲートされたまたは未コンジュゲートの形態で含有する。他の好ましい実施形態では、容器(複数可)は、滅菌アクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通できるストッパーを有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってよい)を含む。かかるキットは、好適な容器に、操作されたコンジュゲートの薬学的に許容される製剤および任意選択で1つまたは複数の抗がん剤を同じまたは異なる容器に一般に含有する。キットは、診断または併用療法のいずれかのために他の薬学的に許容される製剤も含有し得る。例えば、本発明の抗体またはその抗原結合性部分に加えて、かかるキットは、化学療法剤もしくは放射線治療薬;抗血管新生剤;抗転移剤;標的化抗がん剤;細胞傷害剤;および/または他の抗がん剤などの広範な抗がん剤の任意の1つまたは複数を含み得る。
【0181】
さらに具体的にはキットは、開示される抗体またはその抗原結合性部分を、追加的構成成分を含んでまたは含まずに含有する単一の容器を有してよく、またはそれらは、望ましい薬剤それぞれについて別の容器を有し得る。コンジュゲーションのために併用治療が提供される場合、単一の溶液は、モル当量の併用で、または1つの構成成分が他を過度に超えてのいずれかで予め混合されていてよい。代替的にコンジュゲートおよびキットの任意選択の抗がん剤は、患者への投与の前は別の容器内で別々に維持されてよい。キットは、滅菌、薬学的に許容される緩衝液または他の希釈剤、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンゲル溶液およびブドウ糖溶液などを含有するために第2の/第3の容器手段も含んでよい。
【0182】
キットの構成成分が1つまたは複数の溶液中に提供される場合、溶液は好ましくは水溶液であり、滅菌水溶液または生理食塩水は特に好ましい。しかし、キットの構成成分は、乾燥粉剤(複数可)として提供されてもよい。試薬または構成成分が乾燥粉剤として提供される場合、粉剤は好適な溶媒の付加によって再構成され得る。溶媒が別の容器でも提供され得ることは想定される。
【0183】
上に簡潔に示したとおり、キットは、それにより抗体またはその抗原結合性部分および任意選択の構成成分を患者に投与する手段、例えば、それから製剤が動物に注射もしくは導入され得るまたは身体の患部に適用され得る1つもしくは複数の針、I.V.バッグまたはシリンジまたは点眼器、ピペットまたは他の同様の装置さえ含有できる。本発明のキットは、バイアルなどおよび他の構成成分を、商業的販売のために封じ込めて入れるための手段、例えば、望ましいバイアルおよび他の装置が置かれ、保持される射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器なども典型的には含む。
【0184】
配列表および概要
多数の核酸およびアミノ酸配列を含む配列表が本出願に添付されている。以下の表A、BおよびCは、含まれている配列の概要を提供する。
【0185】
完全ヒト抗OX40モノクローナル抗体である本明細書において開示される6個の例示的抗体は、それぞれ「1.62.3-u1-IgG1K」、「1.62.3-u1-3-IgG1K」、「1.7.10-u1-IgG1K」、「1.134.9-u1-IgG1L」、「1.186.19-u1-IgG1K」および「1.214.23-u1-IgG1K」と表される。
【0186】
【0187】
【実施例】
【0188】
このように全般的に説明された本発明は、例として提供され、本発明の限定であることが意図されていない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるだろう。実施例は、以下の実験が実施された全てのまたは唯一の実験であるということを示すことを意図していない。
【0189】
実施例1
材料の調製
1.1免疫原生成
OX40タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)をコードするcDNA(GenBank ref CAB96543.1)は、Sangon Biotechによって合成され、改変発現ベクターpcDNA3.3(ThermoFisher)に挿入された。マキシプレッププラスミドDNAおよび挿入したDNA配列を、配列決定することによって確かめた。ヒトFcまたはHisタグとコンジュゲートした融合タンパク質OX40 ECDを、ヒトOX40 ECD遺伝子のFreestyle 293F(ThermoFisher)またはExpi-293F細胞(ThermoFisher)へのトランスフェクションによって取得した。5日後、上清を、一過性にトランスフェクトした細胞の培養から採取した。融合タンパク質を、免疫化およびスクリーニングの使用のために精製および定量した。
【0190】
1.2基準抗体の作製
4種の基準抗体、すなわち、BMK1、BMK5、BMK7、およびBMK10を実施例における陽性対照として適用する。BMK1は、米国特許第US8236930B2号(Pfizer)からの11D4のクローンに基づいて合成した。BMK5は、米国特許出願第US20140308276号(University of Texas System)からの106-22のクローンに基づいて合成した。BMK7は、PCT出願第WO2016057667号(MedImmune)からのOX40mAb24のクローンに基づいて合成した。BMK10は、PCT出願第WO2015153513号(Genentech)からの1A7.gr1のクローンに基づいて合成した。
【0191】
1.3安定細胞株の樹立
抗体スクリーニングおよび検証のための手段を取得するために、OX40トランスフェクタント細胞株を生成した。簡潔に述べると、CHO-K1または293F細胞に全長OX40を含有する改変発現ベクターpcDNA3.3を、Lipofectamine2000またはPlasFectトランスフェクションキットを製造業者のプロトコールに従って使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの48~72時間後に、トランスフェクトした細胞を、ブラストサイジンを含有する培地において選択のために培養した。これは、発現プラスミドがゲノムDNAに安定に組み込まれた細胞を経時的に選択し得る。同時に、細胞をOX40発現に関して検査した。発現を確かめた後、目的の単一クローンを限界希釈によって選び取り、大容量にスケールアップした。次いで、樹立したモノクローナル細胞株を、ブラストサイジンを含有する培地に維持した。
【0192】
実施例2
抗体ハイブリドーマ生成
2.1免疫化および細胞融合
ヒトイディオタイプを有する機能的免疫グロブリンの最適な産生に有用なキメラポリヌクレオチドを含む、OX40に対する完全ヒトモノクローナル抗体を、OMTラットを使用して調製した。ラット系統は、PCT公開第WO2014/093908号に記載されているように、ヒト重および軽鎖導入遺伝子を保有する。OX40に対する完全ヒトモノクローナル抗体を生成するために、6~8週齢のOMTラットを、足蹠にリン酸アルミニウム(Alum-Phos)中20μgのヒトOX40 ECDタンパク質を用いて、および最初の追加免疫のために皮下にTiterMax中20μgのヒトOX40 ECDタンパク質を用いて免疫化し、免疫化を、Alum-PhosおよびTiterMax中のヒトOX40 ECDタンパク質を用いて2週ごとに繰り返した。血清抗体力価を、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)によって1または2週ごとに測定した。血清抗体力価が十分に高かった場合、ラットに、アジュバントを含まないDPBS中40μgのヒトOX40 ECDタンパク質を用いて最終追加免疫を与えた。細胞融合を以下のように実施した:骨髄腫細胞SP2/0を調製し、骨髄腫細胞を融合の前週に解凍し、融合の前日まで毎日1:2に継代して、細胞を対数増殖期に保った。免疫化したOMTラットのリンパ節から単離したBリンパ球を骨髄腫細胞と組み合わせた(1:1.1の比)。細胞混合物を洗浄し、2×106細胞/mLでECF溶液に再懸濁した。細胞はECFに対する準備が整う。電子細胞融合後、融合チャンバからの細胞懸濁液を、より多くの培地を含有する滅菌チューブに直ちに移し、37℃のインキュベータにおいて少なくとも24時間インキュベートした。細胞懸濁液を混合し、96ウェルプレートに移した(1×104細胞/ウェル)。96ウェルプレートを37℃、5%CO2において培養し、定期的にモニタリングした。クローンが十分大きかった場合、100uLの上清を、抗体スクリーニングのために組織培養プレートから96ウェルアッセイプレートに移した。
【0193】
2.2ハイブリドーマ上清のハイスループットスクリーニング
ELISAを第1のスクリーニング法として使用して、ハイブリドーマ上清のヒトおよびサルOX40タンパク質への結合を試験した。簡潔に述べると、プレート(Nunc)を、1ug/mLのヒトまたはアカゲザルOX40 ECDの可溶性タンパク質を用いて4℃で一晩コーティングした。ブロッキングおよび洗浄後、ハイブリドーマ上清を、コーティングしたプレートに移し、室温で2時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、その後、二次抗体、すなわちヤギ抗ラットIgG HRP(Bethyl)と共に1時間インキュベートした。洗浄後、TMB基質を添加し、相互作用を2M HClによって停止した。450nmの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0194】
細胞膜上に発現した立体構造のOX40分子に対する抗OX40抗体の天然結合を確認するために、フローサイトメトリー(FACS)分析を、OX40をトランスフェクトした細胞株に対して実施した。ヒトOX40を発現する293F細胞を、96ウェルU底プレート(Corning)に1×105細胞/ウェルの密度で移した。次いで、ハイブリドーマ上清を細胞に負荷し、4℃で1時間インキュベートした。1×PBS/1%BSAを用いて洗浄した後、二次抗体のヤギ抗ラットAlexa647(Jackson ImmunoResearch Lab)を加え、細胞と共に4℃で暗所にて30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、1×PBS/1%BSAに再懸濁するかまたは4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、フローサイトメトリー(BD)によって分析した。親293F細胞株に結合する抗体を陰性対照として使用した。Jurkat NFκB-ルシフェラーゼレポーターT細胞を使用して抗体の生物活性を試験することを第2のスクリーニング法として使用した。簡潔に述べると、ヒトOX40/CD40融合タンパク質過剰発現Jurkat NFκB-ルシフェラーゼレポーター細胞を上に記載したように構築した。細胞を、10%FBS、および選択として0.5mg/mLのハイグロマイシンBを含有する完全RPMI1640培地において培養した。OX40 Jurkatレポーター細胞を収集し、96ウェルプレートに4×104細胞/ウェルで添加した。架橋用抗体のF(ab’)2ヤギ抗ラットIgG(JacksonImmunoResearch Lab)、およびRPMI1640完全培地で希釈したハイブリドーマ上清を細胞に添加し、次いで細胞を37℃、5%CO2において一晩インキュベートした。2日目に、再構成したルシフェラーゼ基質(Promega)を各ウェルに添加し(50μL/ウェル)、十分に混合した。ルシフェラーゼ強度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0195】
2.3ハイブリドーマサブクローニング:
特異的結合および生物活性を第1のスクリーニングおよび確認スクリーニングを介して確かめた後、陽性ハイブリドーマ細胞株をサブクローニングのために使用した。簡潔に述べると、各ハイブリドーマ細胞株に関して、細胞を計数および希釈して、200μLのクローニング培地当たり1個の細胞を得た。細胞懸濁液を2つの96ウェルプレートに200μL/ウェルでプレーティングした。プレートを、ELISAアッセイによって検査される準備が整うまで、37℃、5%CO2において培養した。選択した単一クローンの消耗した上清(ESN:exhausted supernatant)を収集し、抗体をさらなる特徴付けのために精製した。
【0196】
実施例3
完全ヒト抗体分子の構築および精製
3.1ハイブリドーマ配列決定
RNAを、RNeasyプラスミニキット(Qiagen)をTrizol試薬と共に使用して、モノクローナルハイブリドーマ細胞から単離した。OX40キメラ抗体の重鎖可変領域(VH)および重鎖可変領域(VL)を以下のように増幅した。簡潔に述べると、最初にRNAを、ここに記載されるように、逆転写酵素を使用してcDNAに逆転写する。
【0197】
【0198】
【0199】
結果として得たcDNAを、目的とする遺伝子に特異的なプライマーを使用するその後のPCR増幅のための鋳型として使用した。PCR反応を以下のように行った。
【0200】
【0201】
【0202】
PCR産物(10μL)をpMD18-Tベクターに挿入し、10μLのライゲーション産物をTop10コンピテント細胞に形質転換した。形質転換した細胞を2-YT+Cabプレートにプレーティングして、一晩インキュベートした。陽性クローンを、M13-48およびM13-47プライマーを使用するPCRによって検査し、続いて配列決定した。
【0203】
ハイブリドーマクローン1.7.10、1.62.3、1.134.9、1.186.19、および1.214.23を、配列最適化およびさらなる評価のために選択した。
【0204】
3.2抗体配列最適化
抗体配列最適化を、抗体をコードするヌクレオチド配列に、特定の部位における適切な修飾を導入することによって実行した。突然変異を除去するPTM(翻訳後修飾)部位を、QuickChange突然変異生成キットを製造業者のプロトコールに従って使用して、部位特異的突然変異生成によって導入した。
【0205】
ハイブリドーマクローン1.62.3重鎖のCDR1におけるアミノ酸NGGが脱アミド化部位として同定されたため、アンチセンス突然変異生成ヌクレオチドを設計して、以下の突然変異を「1.62.3-u1-IgG1K」重鎖に導入した:NからQ(NGG-QGG)、NからS(NGG-SGG)、またはGからA(NGG-NAG)。クローン1.62.3軽鎖のCDR1におけるアミノ酸Cがシステイン残基として同定されたため、セリンをシステインで置換した(CからS)。全ての突然変異を配列決定によって確かめた。
【0206】
PTM突然変異後の変異体間の比較を
図1に示す。変異体をそれぞれ、抗体「1.62.3-u1-1-IgG1K」、「1.62.3-u1-2-IgG1K」、および「1.62.3-u1-2-IgG1K」と命名する。抗体「1.62.3-u1-1-IgG1K」はNからQの突然変異を含有し、「1.62.3-u1-2-IgG1K」はNからSの突然変異を含有し、「1.62.3-u1-3-IgG1K」はGからAの突然変異を含有する。
【0207】
3.3完全ヒト抗体分子の構築および精製
OX40ハイブリドーマ抗体のVHおよびVLを、上に記載したように増幅した。合成遺伝子を改変ヒトIgG1発現ベクターpcDNA3.4(ThermoFisher)に再びクローニングして、完全ヒト抗体を発現させた。Expi-293F細胞にベクターを、抗体発現のために一過性にトランスフェクトした。抗体を含有する培養上清を採取し、プロテインAクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0208】
完全ヒトモノクローナル抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K(「1.62.3-u1-3-IgG1K」として命名された配列最適化クローン)、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kをそれぞれ、ハイブリドーマクローン1.7.10、1.62.3、1.134.9、1.186.19、および1.214.23ハイブリドーマから取得した。それらの配列を表A、B、およびCに要約する。
【0209】
実施例4
抗体特徴付け
4.1表面プラズモン共鳴(SPR)による完全動的結合親和性試験
抗体を、Biacore T200(GE)を使用するSPRアッセイによって、OX40に対する親和性および結合動態に関して特徴付けた。抗ヒトIgG抗体を、センサーチップ(CM5)に前固定し、泳動用緩衝液(1×HBS-EP+、GE)中の抗OX40抗体を、チップに注射した場合に捕捉した。次いで、様々な濃度のヒトまたはサルOX40および泳動用緩衝液を、180秒の会合相の間30μL/分の流量でセンサーチップに流し、続いて解離した。会合および解離曲線を、BIAevaluation T200ソフトウェアを使用して、1:1ラングミュア結合モデルによって適合させた。
【0210】
実験の結果を以下の表5に示す。
【0211】
【0212】
表5に示すように、1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.62.3-u1-3-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kを含む本発明の例証的な抗体は、高い特異性でヒトOX40に結合し、KDは1.79×10-10M~2.08×10-9Mである。
【0213】
4.2フローサイトメトリーによる結合親和性分析
ヒトOX40を発現するCHO-K1細胞を、96ウェルU底プレート(Corning)に5×104細胞/mLの密度で移した。試験用抗体を、洗浄緩衝液(1×PBS/1%BSA)に1:2に段階希釈し、細胞と共に4℃で1時間インキュベートした。二次抗体のヤギ抗ヒトIgG Fc FITC(IgG 1モル当たり3.2モルのFITC、Jackson Immunoresearch Lab)を添加し、細胞と共に4℃で暗所にて30分間インキュベートした。次いで、細胞を1回洗浄し、1×PBS/1%BSAに再懸濁し、フローサイトメトリー(BD)によって分析した。蛍光強度を、定量的ビーズQuantum(商標)MESFキット(Bangs Laboratories,Inc.)に基づいて、結合分子/細胞に換算した。各抗体のKD値を、Graphpad Prism5を使用して算出した。
【0214】
フローサイトメトリーによる、ヒトOX40を発現するCHO-K1細胞への抗ヒトOX40抗体の結合に関するデータを表6および
図2に示す。データは、例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-3-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1KがヒトOX40を発現するCHO-K1細胞に対する結合効率を十分に示すことを実証する。
【0215】
【0216】
表6および
図2において実証されるように、抗体1.134.9-u1-IgG1Lおよび1.214.23-u1-IgG1Kは、BMK7およびBMK10に匹敵するかまたははるかに高い高親和性で細胞表面ヒトOX40に結合する。
【0217】
4.3抗OX40抗体のOX40への結合
細胞に基づくFACSを、抗OX40抗体のOX40への結合活性を試験するために使用した。簡潔に述べると、ヒトOX40発現CHO-K1細胞または活性化ヒトCD4+T細胞を、96ウェルU底プレート(Corning)に1×105細胞/ウェルの密度で移した。試験用抗体を、洗浄緩衝液(1×PBS/1%BSA)に段階希釈し、細胞と共に4℃で1時間インキュベートした。1×PBS/1%BSAを用いて洗浄した後、二次抗体のヤギ抗ヒトIgG Fc-PE(Jackson ImmunoResearch Lab)を加え、細胞と共に4℃で暗所にて1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、1×PBS/1%BSAに再懸濁するかまたは4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、次いでフローサイトメトリー(BD)によって分析した。
【0218】
フローサイトメトリーによる、抗OX40抗体の活性化ヒトCD4
+T細胞への結合に関するデータを
図3に示す。データは、例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kが細胞表面ヒトOX40に用量依存的に結合することを示す。
【0219】
4.4 OX40に結合するリガンドの競合
ELISAに基づく競合アッセイを使用して、抗OX40抗体がOX40のOX40リガンド(OX40L)への結合を競合的に遮断することができるか否かを試験した。簡潔に述べると、プレート(Nunc)を、1μg/mLのヒトOX40 ECDを用いて4℃で一晩コーティングした。抗体をブロッキング緩衝液に段階希釈し、一定濃度のOX40Lと共に混合した。ブロッキングおよび洗浄後、抗体/OX40L混合物をプレートに添加し、次いで室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、その後、HRPコンジュゲート二次抗体と共に1時間インキュベートして、OX40LのOX40 ECDへの結合を検出した。洗浄後、TMB基質を添加し、相互作用を2M HClによって停止した。450nmおよび540nmの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0220】
図4に示すように、例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kは、OX40Lと競合的にヒトOX40に結合する。
【0221】
4.5オルソログ(種間)試験
抗OX40抗体のアカゲザルOX40に対する交差反応性を、細胞に基づくFACSによって測定した。簡潔に述べると、アカゲザルOX40発現293F細胞を、96ウェルU底プレート(Corning)に2×105細胞/ウェルの密度で移した。試験用抗体を、洗浄緩衝液(1×PBS/1%BSA)に段階希釈し、細胞と共に4℃で1時間インキュベートした。1×PBS/1%BSAを用いて洗浄した後、二次抗体のヤギ抗ヒトIgG Fc-PE(Jackson ImmunoResearch Lab)を加え、細胞と共に4℃で暗所にて1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、1×PBS/1%BSAに再懸濁するかまたは4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、次いでフローサイトメトリー(BD)によって分析した。
【0222】
図5において実証されるように、例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-3-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kは、アカゲザルOX40をトランスフェクトした293F細胞への交差反応性結合を有する。
【0223】
4.6相同体(ファミリー間)結合
ヒトOX40、CD40、4-1BB(CD137)、およびCD271 ECDを、プレート(Nunc)に4℃で一晩コーティングした。ブロッキングおよび洗浄後、試験用抗体を、ブロッキング緩衝液に希釈し、プレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、その後、二次抗体のヤギ抗ヒトIgG Fc-HRP(Bethyl)と共に1時間インキュベートした。洗浄後、TMB基質を添加し、相互作用を2M HClによって停止した。450nmおよび540nmの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0224】
ELISAによる、ヒトCD40、4-1BB(CD137)、およびCD271 ECDに対する抗OX40抗体のファミリー間結合試験に関する結果を
図6に示す。結果は、OX40抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kが、OX40(すなわちCD134)に特異的に結合し、ヒトCD40、CD137、およびCD271に結合しないことを実証する。
【0225】
4.7 BMK抗体に対するエピトープビニング試験
抗OX40抗体の結合エピトープを、ELISAによって基準抗体に対してビニングした。試験用抗体を、プレート(Nunc)に4℃で一晩コーティングした。ブロッキングおよび洗浄後、ブロッキング緩衝液に希釈した一定濃度のヒトOX40タンパク質をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。次いで、ビオチン化標準を段階希釈し、各ウェルに添加し、さらに1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、その後、二次抗体のストレプトアビジン-HRP(Life Technology)と共に1時間インキュベートした。洗浄後、TMB基質を添加し、相互作用を2M HClによって停止した。450nmおよび540nmの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0226】
図7A、7B、および7Cはそれぞれ、抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kの、基準抗体BMK1(
図7A)、BMK7(
図7B)、およびBMK10(
図7C)に対するエピトープビニングを示す。
図7Aに示すように、抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kは、BMK1と異なるビンを共有する。
図7Bおよび7Cに示すように、抗体1.62.3-u1-IgG1Kおよび1.134.9-u1-IgG1Lは、BMK7およびBMK10と異なるビンを共有するが、抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kは、BMK7およびBMK10と類似または近似するビンを共有する。
【0227】
4.8 Jurkat NFκB-ルシフェラーゼレポーターT細胞を使用した生物活性アッセイ
抗OX40抗体の、ヒトOX40を介してシグナル伝達する能力を、OX40/CD40融合タンパク質およびNFκB-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現する操作されたJurkat細胞株を使用して、評価した。抗ヒトIgG Fc試薬またはヒトFcγ受容体補体を発現する細胞を使用することによって架橋された抗OX40抗体の生物活性を測定した。Jurkat NFκB-ルシフェラーゼレポーター細胞を、10%FBS、および選択として0.5mg/mLのハイグロマイシンBを含有する完全RPMI1640培地において培養した。
【0228】
複合体化状態における抗OX40抗体の生物活性を決定するために、CD32b発現CHO-K1細胞またはF(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch Lab)を使用して、抗体架橋を媒介し、Jurkatレポーター(report)細胞上のOX40をクラスター化および活性化させる。OX40 Jurkatレポーター細胞を収集し、96ウェルプレートに添加した。完全培地に段階希釈したOX40抗体を、CD32b発現CHO-K1細胞、親CHO-K1細胞、または架橋抗体の存在下において細胞に添加し、プレートを37℃、5%CO2において6時間または一晩インキュベートした。再構成したルシフェラーゼ基質(Promega)を各ウェルに添加し、十分に混合した。ルシフェラーゼ強度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。抗OX40抗体を、可溶化状態における生物活性に関してさらに試験した。
【0229】
図8A、8B、および8Cは、遊離抗体、またはCD32b発現CHO-K1細胞もしくは抗ヒトIgG Fc試薬によるFcγR架橋抗体を使用した、Jurkat細胞におけるOX40刺激NFκBルシフェラーゼ活性に対する試験用抗体の効果を示す。(
図8A)遊離抗体、または(
図8B)F(ab’)
2ヤギ抗ヒトIgGもしくは(
図8C)CD32b発現CHO-K1細胞によって架橋された抗体のレポーター活性がそれぞれ示される。
【0230】
図8A、8B、および8Cに示すように、架橋された抗体はOX40シグナル伝達を効果的に活性化させることができる。
【0231】
4.9 細胞に基づくアッセイによって試験された抗OX40抗体のin vitroにおける機能
本実施例において使用するヒトCD4+T細胞を、ヒトCD4+T細胞濃縮キット(StemCell)を製造業者のプロトコールに従って使用して、ヒトPBMCから単離した。細胞を完全RPMI1640培地に再懸濁した。
【0232】
4.9.1 in vitroにおけるインターロイキン2(IL-2)産生に対する抗OX40抗体の効果
本アッセイでは、未組織培養処理平底96ウェルプレート(Corning)を、抗CD3を用いて4℃で一晩プレコーティングした。アッセイの当日、プレートを、完全RPMI1640培地を用いて洗浄して、未結合抗体を除去した。新鮮単離ヒトCD4+T細胞を各ウェルに100μLの容量中1×105細胞/ウェルの密度で添加した。次いで、一定濃度の架橋用抗体のF(ab’)2ヤギ抗ヒトIgGおよび段階希釈したOX40抗体を100μLで混合し、プレートの各ウェルにさらに添加した。プレートを37℃、5%CO2において3日間インキュベートし、次いで上清を、ELISAによるIL-2測定のために採取した。
【0233】
図9は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞によるIL-2分泌に対する抗体の効果を示す。例証的な抗体(1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kを含む)が初代ヒトCD4
+T細胞によるIL-2分泌を増強させたことが実証される。
【0234】
4.9.2 in vitroにおけるサイトカインIFNγ分泌およびCD4+T細胞増殖に対する抗OX40抗体の効果
IFNγ産生およびCD4+T細胞増殖を増強させることに対する抗OX40抗体の効果を直接評価するために、CD3/T細胞受容体(TCR)複合体と組み合わせたOX40シグナルを介してヒトCD4+T細胞を共刺激するアッセイを実施した。簡潔に述べると、未組織培養処理平底96ウェルプレート(Corning)を、一定濃度の抗CD3と、異なる濃度の抗OX40抗体との混合物100μLを用いてプレコーティングした。プレートを4℃で一晩インキュベートし、次いで完全RPMI1640培地を用いて洗浄して、未結合抗体を除去した。新鮮単離ヒトCD4+T細胞を各ウェルに200μLの容量中1×105細胞/ウェルの密度で添加した。プレートを37℃、5%CO2において3日間インキュベートし、次いで上清を、ELISAによるIFNγ測定のために採取した。細胞ペレットを採取して、3H-チミジンによって以下のようにCD4+T細胞増殖を測定した:3H-チミジン(PerkinElmer)を細胞培養プレートに0.5μCi/ウェルで添加した。プレートを、5%CO2において37℃で16~18時間培養した後、3H-チミジンの増殖細胞への取込みを、Topcount NXTシンチレーション計数器(Perkin Elmer)を使用して決定した。
【0235】
図10は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞によるIFN-γ分泌に対する抗体の効果を示す。例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-3-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kが初代ヒトCD4
+T細胞によるIFN-γ分泌を増強させたことが実証される。
【0236】
図11は、抗CD3によって誘導される初代ヒトCD4
+T細胞の増殖に対する抗体の効果を示す。例証的な抗体1.7.10-u1-IgG1K、1.62.3-u1-3-IgG1K、1.134.9-u1-IgG1L、1.186.19-u1-IgG1K、および1.214.23-u1-IgG1Kが初代ヒトCD4
+T細胞の増殖を増強させたことが実証される。
【0237】
4.9.3 Treg抑制機能に対するヒト抗OX40抗体の効果
T細胞の亜集団であるTregは、重要な免疫調節細胞であり、自己寛容を維持することにおいて不可欠な役割を果たす。増加した数のTregは、複数のがんを有する患者に見出され、予後不良と関連したため、CD4+CD25+制御性T細胞は腫瘍成長と関連することが示唆されている。免疫抑制応答に対するヒト抗OX40抗体の効果を直接評価するために、Tregの機能を抗OX40抗体の存在下と非存在下とにおいて比較した。CD4+CD25+TregおよびCD4+CD25-エフェクターT(Teff)細胞を、特異的抗CD25マイクロビーズ(StemCell)を使用して分離した。Teff細胞を、1×105細胞/50μL/ウェルで播種し、1×105Treg/50μL/ウェルと共に96ウェル丸底プレート(BD)において共培養した。次いで、細胞を、架橋用抗体および抗OX40抗体の存在下において、単球から誘導したヒト同種異系樹状細胞(DC)を1DC/10Teff細胞で用いて刺激した。抗体無しまたはアイソタイプ抗体のいずれかを陰性対照として使用した。共培養を37℃、5%CO2において5日間インキュベートした。細胞ペレットを5日目に収集して、3H-チミジン取込みによって測定したTeff増殖を決定した。
【0238】
図12は、Treg細胞の存在下における、樹状細胞によって誘導される初代ヒトCD4
+Tエフェクター細胞の増殖に対する抗体の効果を示す。抗体1.134.9-u1-IgG1Lおよび1.214.23-u1-IgG1Kは、制御性T細胞の抑制機能を逆転させることによってCD4
+CD25
-T細胞増殖を回復させることができる。
【0239】
4.10 ADCCおよびCDC試験:
OX40は、多様な細胞型に発現する。抗OX40抗体の、Fcエフェクター機能を惹起する能力を評価するために、抗OX40抗体を、OX40発現細胞に対してADCCおよびCDC作用を誘導することができるか否かに関して評価した。
【0240】
図13Aは、活性化ヒトCD4
+T細胞上のOX40の発現を示し、
図13Bは、OX40過剰発現Jurkat細胞上のOX40の発現を示す。
【0241】
4.10.1 ADCC試験:
標的としてのOX40を発現するJurkat細胞または活性化ヒトCD4+T細胞、および様々な濃度の抗OX40抗体を、96ウェル丸底プレート(BD)において30分間プレインキュベートし、次いでエフェクターとしての同種異系PBMCを、50:1のエフェクター/標的比で添加した。プレートを37℃、5%CO2において4時間保持した。標的細胞溶解を、LDHに基づく細胞傷害性検出キット(Roche)によって決定した。492nmの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0242】
図14Aおよび14Bはそれぞれ、OX40過剰発現Jurkat細胞(
図14A)または活性化ヒトCD4
+T細胞(
図14B)に対するOX40抗体のADCC作用を示す。
図14Aおよび14Bに示すように、本開示の例証的な抗体、すなわち1.134.9-u1-IgG1Lおよび1.214.23-u1-IgG1Kは、OX40過剰発現Jurkat細胞および活性化ヒトCD4
+T細胞に対して低いADCC作用を有する。
【0243】
4.10.2 CDC試験:
標的としてのOX40を発現するJurkat細胞または活性化ヒトCD4+T細胞、および様々な濃度の抗OX40抗体を、96ウェル丸底プレート(BD)において混合した。ヒト補体を、1:50の最終希釈度で添加した。プレートを37℃、5%CO2において2時間保持した。標的細胞溶解を、CellTiter-Glo(Promega)によって決定した。発光を、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して読み取った。
【0244】
図15Aおよび15Bはそれぞれ、OX40過剰発現Jurkat細胞(
図15A)または活性化ヒトCD4
+T細胞(
図15B)に対するOX40抗体のCDC作用を示す。
図15Aおよび15Bに示すように、本開示の例証的な抗体、すなわち1.134.9-u1-IgG1Lおよび1.214.23-u1-IgG1Kは、OX40過剰発現Jurkat細胞および活性化ヒトCD4
+T細胞に対して低いCDC作用を有する。
【0245】
4.11ドメインマッピング
OX40抗体の結合ドメインを調査するために、一連のヒト/マウスOX40キメラ変異体を使用した。OX40抗体は、マウスOX40およびヒトCD40のアミノ酸(あるいは、本明細書では「aa」と称される)配列においてそれぞれ60%および23%の同一性を共有するにもかかわらず、それらに対する交差反応性を有することなく、ヒトOX40に特異的に結合する。簡潔に述べると、22種の変異体(変異体「x1」、「x2」・・・「x22」と命名)を、ヒトOX40(hPro1)の細胞外ドメインの以下の残基を対応するマウスOX40(mPro1)アミノ酸またはヒトCD40アミノ酸(hPro40)と置き換えることによって構築した。
・ 変異体x1:xPro1.FL-x1:CRDmox40_1(ヒトOX40 aa29~65はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x2:xPro1.FL.x2:CRDmox40_2(ヒトOX40 aa66~107はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x3:xPro1.FL-x3:CRDmox40_3(ヒトOX40 aa108~146はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x4:xPro1.FL-x4:CRDmox40_4(ヒトOX40 aa147~214はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x5:xPro1.FL-x5:CRDmox40_1-2(ヒトOX40 aa29~107はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x6:xPro1.FL-x6:CRDmox40_2-3(ヒトOX40 aa66~146はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x7:xPro1.FL-x7:CRDmox40_3-4(ヒトOX40 aa108~214はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x8:xPro1.FL-x8:CRDmox40_1-3(ヒトOX40 aa29~146はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x9:xPro1.FL-x9:CRDmox40_2-4(ヒトOX40 aa66~214はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x10:xPro1.FL-x10:CRDmox40_1,2,4(ヒトOX40 aa29~107および147~214はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x11:xPro1.FL-x11:CRDmox40_1,3,4(ヒトOX40 aa29~65および108~214はマウス対応物と置き換える)
・ 変異体x12:xPro1.FL-x12:CRDhcd40_1(ヒトOX40 aa29~65はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x13:xPro1.FL-x13:CRDhcd40_2(ヒトOX40 aa66~107はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x14:xPro1.FL-x14:CRDhcd40_3(ヒトOX40 aa108~146はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x15:xPro1.FL-x15:CRDhcd40_4(ヒトOX40 aa147~214はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x16:xPro1.FL-x16:CRDhcd40_1-2(ヒトOX40 aa29~107はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x17:xPro1.FL-x17:CRDhcd40_2-3(ヒトOX40 aa66~146はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x18:xPro1.FL-x18:CRDhcd40_3-4(ヒトOX40 aa108~214はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x19:xPro1.FL-x19:CRDhcd40_1-3(ヒトOX40 aa29~146はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x20:xPro1.FL-x20:CRDhcd40_2-4(ヒトOX40 aa66~214はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x21:xPro1.FL-x21:CRDhcd40_1,2,4(ヒトOX40 aa29~107および147~214はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
・ 変異体x22:xPro1.FL-x22:CRDhcd40_1,3,4(ヒトOX40 aa29~65および108~214はヒトCD40 aa対応物と置き換える)
「x1」~「x22」からの22種の変異体をpcDNA3.0ベクターにクローニングし、293F細胞トランスフェクションのために使用した。簡潔に述べると、293F細胞を、FreeStyle 293F培地を用いて1×106細胞/mLの密度に希釈し、ウェル1つ当たり3mLのアリコートを24ウェルプレートに添加した。トランスフェクションを、293fectin試薬(Life Technologies)を使用して実施した。各トランスフェクションに関して、3μgのDNAを、150μLのOpti-MEMI血清低減培地(life Technologies)に希釈し、次いで150μLのOpti-MEMI血清低減培地に予め希釈した6μLの293fectin試薬と組み合わせた。DNA/Lipofectamine混合物を25℃で20分間静置させた後、培養に添加した。トランスフェクトした細胞を、トランスフェクションの48時間後にフローサイトメトリーによって分析した。
【0246】
抗体のキメラOX40変異体への結合をフローサイトメトリーによって分析した。簡潔に述べると、BMK10が2μg/mLであることを除いては、1μg/mLの抗体を、キメラOX40を発現した、トランスフェクトした293F細胞と共に4℃で1時間インキュベートし、次いで3μg/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc R-PE(Jackson ImmunoResearch Lab)と共に4℃で40分間インキュベートした。細胞を、フローサイトメーターを使用して分析した。
【0247】
結果を以下の表7~9に示す。
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
表10は、抗原結合に関与するOX40のドメイン(灰色で着色)を示す。
【0252】
【0253】
注:CRDはシステインリッチドメインを指し、「CRD1」はヒトOX40のアミノ酸29~65を指し、「CRD2」はヒトOX40のアミノ酸66~107を指し、「CRD3」はヒトOX40のアミノ酸108~146を指し、「CRD4」はヒトOX40のアミノ酸147~214を指す。
【0254】
4.12 OX40抗体はヒトOX40トランスジェニックモデルにおけるMC38結腸癌の成長を阻害する
本研究は、OX40ヒト化B-hTNFRSF4マウスのMC38結腸がんモデルにおける抗体1.134.9-u1-IgG1Lのin vivoにおける抗腫瘍有効性を評価した。
【0255】
OX40ヒト化B-hTNFRSF4マウスを、Biocytogen Co.,Ltdから購入した。マウスを一定の温度および湿度の個々の換気ケージにおいて、各ケージに5匹を収容して飼育した。
【0256】
MC38細胞を、in vitroにおいて、10%ウシ胎児血清、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンを補充したDMEM培地中に単層培養として、空気中5%CO2の雰囲気において37℃で維持した。腫瘍細胞を、トリプシン-EDTA処理によって週2回常法により継代培養した。指数増殖期に成長する細胞を、腫瘍接種のために採取および計数した。
【0257】
各マウスに、0.1mLのPBS中のMC38腫瘍細胞(3×105)を、腫瘍発生のために右腋窩(外側)の皮下に接種した。平均腫瘍体積が65mm3に達したとき、動物を無作為にグループ化し、次いで有効性研究のために処置を開始した。全ての試験抗体および対照抗体は腹腔内(IP)注射によって週2回(BIW)3週間(「BIW×3」)投与された。詳細な情報を表11に提供する。
【0258】
【0259】
本研究における動物の取扱い、ケア、および処置に関する全ての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)の指針に従ったWuXi Apptecの動物実験委員会(IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施した。規定のモニタリング時に、動物を、正常な行動、例えば移動性、食物および水の摂取(目視のみ)、体重増加/喪失(体重は毎日1回測定した)、眼/被毛の光沢の消失などに対する腫瘍成長および処置の任意の効果、ならびにプロトコールに記載されている任意の他の異常な効果に関して毎日検査した。死亡および観察された臨床徴候を、各サブセット内の動物の数に基づいて記録した。
【0260】
腫瘍の大きさを、ノギスを使用して二次元的に週3回測定し、体積を式:V=0.5a×b2(式中、aおよびbはそれぞれ腫瘍の長径および短径である)を使用してmm3単位で測定した。次いで、腫瘍の大きさをT/C(%)値の算出のために使用する。相対腫瘍増殖率であるT/C(%)を、式:T/C%=TRTV/CRTV×100%(TRTVは処置群相対腫瘍体積を意味し、CRTVは陰性対照相対腫瘍体積を意味する)を使用して算出した。相対腫瘍体積を腫瘍測定に基づいて算出し、算出式は、RTV=Vt/V0(V0は処置開始日の平均腫瘍体積であり、Vtは1回の測定の平均腫瘍体積であり、TRTVはCRTVと同じ日のデータを使用した)であった。
【0261】
TGIを、式:TGI(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100(Tiは所与の日における処置群の平均腫瘍体積であり、T0は処置の1日目における処置群の平均腫瘍体積であり、ViはTiと同じ日におけるビヒクル対照群の平均腫瘍体積であり、V0は処置の1日目におけるビヒクル群の平均腫瘍体積である)を使用して、各群に関して算出する。
【0262】
平均および平均の標準誤差(SEM)を含む要約統計量を、各時点における各群の腫瘍体積に関して提供する。群間における腫瘍体積の差の統計分析および薬物相互作用の分析を、最良の治療時点において取得したデータに関して行った。一元配置分散分析を実施して、3つ以上の群間で腫瘍体積を比較した。有意なF統計量(処置分散の誤差分散に対する比)が取得された場合、群間の比較はゲイムス・ハウエル検定を用いて実行し、取得されなかった場合はダネットt(両側)を使用した。全てのデータを、SPSS17.0を使用して分析した。0.05未満のp値(p<0.05)を統計的に有意であるとみなした。
【0263】
実験のデータを表12および13、ならびに
図16および17に示す。
【0264】
【0265】
【0266】
OX40抗体1.134.9-u1-IgG1LはMC38結腸癌保有B-hTNFRSF4マウスに対して有意な抗腫瘍活性をもたらし、抗体は腫瘍保有動物によって良好に忍容されたことがわかる。
【0267】
4.13エピトープマッピング
OX40抗体の結合エピトープを調査するために、ヒトOX40に対するアラニンスキャニング実験を行い、抗体結合に対するそれらの効果を評価した。ヒトOX40のアラニン残基をグリシンコドンに突然変異させ、他の全ての残基(システイン残基と、OX40-OX40R複合体(PDB:2HEV)に基づいて溶媒露出表面積が10未満のOX40アミノ酸とを除く(SASA>10を表面アミノ酸として設定))をアラニンコドンに突然変異させた。ヒトOX40細胞外ドメインの各残基に関して、点アミノ酸置換を、連続する2つのPCRステップを使用して行った。ヒトOX40のECDとC末端HisタグとをコードするpcDNA3.3-OX40-ECD.Hisプラスミドを鋳型として使用し、QuikChange lightning複数部位特異的突然変異生成キット(Agilent technologies、Palo Alto、CA)を使用する第1のステップのPCRのために1組の突然変異生成プライマーを使用した。Dpn Iエンドヌクレアーゼを使用して、突然変異鎖合成反応後に親鋳型を消化した。第2のステップのPCRにおいて、CMVプロモーター、OX40の細胞外ドメイン、Hisタグ、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)ポリアデニル化から構成される直鎖状DNA発現カセットを増幅し、293F細胞(life Technologies、Gaithersburg、MD)において37℃で一過性に発現させ、Hisタグ定量ELISAによって定量した。
【0268】
モノクローナル抗体1.134.9-u1-IgG1L(2μg/mL)を、ELISA結合アッセイのためにプレートにコーティングした。定量したOX40突然変異体またはヒトOX40-ECD.Hisタンパク質を含有する上清と相互作用させた後、HRPコンジュゲート抗His抗体(1:5000、GenScript-A00612、CHN)を検出抗体として添加した。吸光度を対照突然変異体の平均に基づいて標準化した。結合倍率変化に対する追加のカットオフ(<0.75)を設定した後、最終決定エピトープ残基を、ドメインマッピング、エピトープマッピング、ならびに構造安定性に寄与するアミノ酸、例えばCRD3およびCRD4に属するa.a.を含まない結晶構造を考慮することによって同定した。
【0269】
抗体結合におけるOX40点突然変異の標準化倍率変化を表14に示した。ホットスポットを、ドメインマッピング、アラニンスキャニング(カットオフ:結合倍率変化<0.75、SASA>10)、ならびに構造安定性に寄与するアミノ酸、例えばCRD3およびCRD4に属するa.a.を含まない結晶構造(PDB:2HEV)を考慮することによって同定した。表15に示すように、1.134.9-u1-IgG1Lに対して8つのホットスポット位置が存在する。
【0270】
【0271】
【0272】
当業者は、本発明がその趣旨または中心的性質から逸脱することなく他の具体的な形態において具現化され得ることをさらに理解するだろう。本発明の上述の説明はその例示的な実施形態のみを開示しているという点において、他の変形例が本発明の範囲内であると企図されていることが理解されるべきである。したがって、本発明は、本明細書に詳細に記載された特定の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の範囲および内容を示すものとして、添付の特許請求の範囲に対する参照がなされるべきである。
【配列表】