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特許7411577一液型エポキシ接着剤混合物を使用する接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】一液型エポキシ接着剤混合物を使用する接合方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/06 20060101AFI20231228BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C09J5/06
C09J163/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020565892
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019032556
(87)【国際公開番号】W WO2019231694
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】62/677,450
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】メーダー、イレーネ
(72)【発明者】
【氏名】アシュワンデン、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ラス、マイケル
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-120903(JP,A)
【文献】特表2010-529285(JP,A)
【文献】特開2012-4377(JP,A)
【文献】特開昭57-120823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0070634(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0209401(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0276601(US,A1)
【文献】特表2016-515153(JP,A)
【文献】特表2020-531605(JP,A)
【文献】特表2014-505761(JP,A)
【文献】特表2015-514149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08G 59/00- 59/72
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤接合を形成する方法であって、
a)第1のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第1のエポキシ接着剤は、硬化された際、伸びE及び弾性率Mを示す熱硬化性接着剤である、工程、
b)第2のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E>E且つM<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す熱硬化性接着剤である、工程、
c)二成分定量供給装置において1:99~99:1の体積比で前記第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて、硬化された際、E>E>E且つM<M<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す接着剤混合物を形成する工程、
d)前記二成分定量供給装置から前記接着剤混合物を定量供給し、且つ前記定量供給された接着剤混合物を塗布して、少なくとも1つの対の基材間のボンドラインで接着剤接合を形成する工程、
e)前記接着剤混合物を130℃以上の温度で硬化させて、前記ボンドラインにおいて、硬化された接着剤層を形成する工程、及び
f)前記硬化された接着剤及び少なくとも1つの対の基材を40℃未満に冷却する工程
を行う方法。
【請求項2】
工程c)~e)は、前記定量供給された接着剤混合物を基材の複数の対に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における前記体積比は、前記基材の複数の対の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物が、前記基材の複数の対の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材の複数の対の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物は、硬化された際、前記基材の複数の対の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物のそれぞれ伸びE3b及び弾性率M3bと異なる伸びE3a及び弾性率M3aを示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程c)、d)及びe)は、最初の基材対に対して行われ、且つその後、少なくとも1つの後続の基材対で繰り返され、前記混合比は、前記少なくとも1つの後続の基材対で工程c)が繰り返される際に変更される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
後続の基材対は、前記最初の基材対よりも多くの熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより多く含むように変更される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記後続の基材対は、前記最初の基材対よりも少ない熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより少なく含むように変更される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
工程c)~e)は、前記定量供給された接着剤混合物を基材の対の複数の領域に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における体積比は、前記複数の領域の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物が、前記複数の領域の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の領域の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物は、硬化された際、前記複数の領域の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物のそれぞれ伸びE3b及び弾性率M3bと異なる伸びE3a及び弾性率M3aを示す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程c)及びd)は、基材対の第1の領域に対して行われ、且つその後、前記基材対の少なくとも1つの第2の領域で繰り返され、前記混合比は、前記第2の領域で工程c)が繰り返される際に変更される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
第2の領域は、前記第1の領域よりも多くの熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより多く含むように変更される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の領域は、前記第1の領域よりも少ない熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより少なく含むように変更される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
組立体の製造方法であって、
a)第1のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第1のエポキシ接着剤は、硬化された際、伸びE及び弾性率Mを示す熱硬化性接着剤である、工程、
b)第2のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E>E且つM<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す熱硬化性接着剤である、工程、
c)二成分定量供給装置において1:99~99:1の体積比で前記第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて、硬化された際、E>E>E且つM<M<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す接着剤混合物を形成する工程、
d)前記二成分定量供給装置から前記接着剤混合物を定量供給し、且つ前記定量供給された接着剤混合物を塗布して、少なくとも1つの対の基材間のボンドラインで接着剤接合を形成する工程、
e)前記接着剤混合物を130℃以上の温度で硬化させて、前記ボンドラインにおいて、硬化された接着剤層を形成する工程、及び
f)前記硬化された接着剤及び少なくとも1つの対の基材を40℃未満に冷却する工程
によって接着剤接合を形成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性一液型接着剤を利用する組み立てプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
一液型強化エポキシ構造用接着剤は、自動車及び他の製品の製造において普及しつつある。これらの単一液型配合物は、樹脂及び硬化剤を別々に保存、計量及び混合する必要性が回避されるため、自動組み立てラインでの使用が簡単になる。
【0003】
これらの接着剤は、高温(熱)硬化を必要とする。接着剤及び接合される基材は、多くの場合、140~180℃の範囲である硬化温度まで一緒に加熱される。
【0004】
加熱されると、基材は、膨張する。各基材の膨張の程度は、その具体的な構成材料と、加熱プロセス中にその基材が受ける温度の増加とに依存する。
【0005】
同様に、硬化工程が完了した後に基材が冷却されると、基材は、収縮する。ここでも、各基材が示す寸法変化は、その具体的な構成材料と、冷却時に受ける温度変化とに依存する。
【0006】
2つの基材は、加熱工程中に異なる量だけ膨張する可能性があり、逆に、これらは、冷却工程中に異なる量だけ収縮する可能性がある。これには、いくつかの理由が考えられる。基材は、異なる材料から製造される場合があるため、異なる線膨張係数を有する場合がある。基材は、例えば、厚さの相違、加熱工程が行われる形式又はオーブン内の異なる場所での温度の変動などに起因して、硬化工程中に同じ温度に加熱されない場合がある。そのため、両方の基材が同じ材料からできている場合でも、2つの基材が異なる量の膨張及び収縮を示す可能性がある。
【0007】
熱接合プロセス中、基材は、接着剤硬化温度に加熱されると、膨張する。部品は、通常、接着剤が硬化するまで確実に一体に固定されるため、2つの基材の異なる膨張に起因して、加熱プロセス中、組立体が多くの場合に歪むことになる。
【0008】
この熱による歪みは、接着された部品を冷却する際に元に戻さなければならない。組立体が室温まで冷却された際に部品が互いに対して自由に動く場合、歪みは、通常、消失し、組み立てられた部品は、元の形状に戻るであろう。しかしながら、硬化した接着剤接合の存在により、この動きが制限される。接着剤が硬すぎる場合、組み立てられた部品を冷却しても歪みが残る。
【0009】
したがって、組立体の冷却に伴い、硬化した接着剤は、基材が動けるように十分に伸びて、熱による歪みが保持されないようにできなければならない。接着剤が過度に硬く、柔軟性を欠く場合、接合された部品が歪んだままになる可能性がある。熱収縮の違いによって生じる力が十分に大きい場合、接着剤が破損する可能性さえある。
【0010】
逆に、接着剤の弾性及び柔軟性が大きすぎると、接合された構造に望ましくない緩みが生じる。そのため、接着剤は、理想的には、部品が冷却時に熱による歪みを保持するか又は破損することを防ぐ程度のみの弾性を有するように設計される。
【0011】
一部の複雑な製造現場(車両の組み立てなど)では、様々な接合を形成するために接着剤が使用される。基材の対は、全ての場合に同じではないことが多い。例えば、特定の場合、基材の対は、鋼及びアルミニウム、又は異なるグレードの鋼、又は繊維強化プラスチック及び金属などである場合がある。基材の対の形状も異なる場合があり、これらは、対の各部材が同じ材料製であったとしても歪みを生じさせる可能性がある。
【0012】
それぞれのこれらの基材の対を加熱して接着剤を硬化させる際に形成される歪みの量は、これらの材料及び形状の相違並びにまた硬化工程中の熱条件の違いのため、かなり大幅に変動する可能性がある。したがって、同じ接着剤を使用して全てのこれらの接合を形成することは、単一の接着剤が、柔軟性が高すぎるか、又は少なくとも一部の場合には十分な柔軟性がないため、適切ではない。
【0013】
理想的には、これらの様々な接合を形成するために使用される接着剤は、各接合の具体的な要件に合わせて接着特性を調整するために、それぞれの場合に別々に選択される。いずれの場合にも、接着剤は、組立体が冷却された際に熱による歪みが保持されることを防ぐのに十分な柔軟性を有する必要があるが、接合された構造に望ましくない緩みを生じさせるような不必要な柔軟性を有するべきではない。
【0014】
しかしながら、製造現場では、多数の異なる特殊化された接着剤をストックし、利用することは、費用がかかり、ほとんど実用的ではない。そのようにすることは、多数の異なる接着剤製品の購入、倉庫保管及び取り扱いを要し、加えて、これらの異なる接着剤の全てを塗布するために重複して装置が必要とされることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基材を接合する方法であって、
a)第1のエポキシ接着剤を提供する工程であって、第1のエポキシ接着剤は、硬化された際、伸びE及び弾性率Mを示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
b)第2のエポキシ接着剤を提供する工程であって、第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E>E且つM<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
c)混合及び定量供給装置において体積基準で1:99~99:1の混合比で第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて、硬化された際、E>E>E且つM<M<Mであるような伸びE及び弾性率Mを示す接着剤混合物を形成する工程、
d)混合及び定量供給装置から接着剤混合物を定量供給し、且つ定量供給された接着剤混合物を少なくとも1つの対の基材間のボンドラインにおいて層に形成する工程、
e)接着剤混合物を高温で硬化させて、ボンドラインにおいて、硬化された接着剤層を形成する工程、及び
f)硬化された接着剤及び少なくとも1つの対の基材を40℃未満に冷却する工程
を含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、具体的な接合状況に合わせて接着剤特性を調整するための迅速、柔軟且つ簡便な方法を提供する。これらの特性は、第1及び第2の接着剤を組み合わせる際にそれらの比率を調整することによって簡単に変えることができる。幅広い特性を有し、そのため、基材及び部品形状の多くの具体的な組み合わせで使用するために容易に調整することができる接着剤が2種の出発接着剤のみから製造される。これにより、コスト及び煩雑さが大幅に低減される。多数ではなく、2種の出発接着剤のみが必要とされるため、貯蔵及び倉庫保管のコストが削減される。単に混合比を変えることにより、同じ定量供給装置及び同じ2種の出発接着剤を使用することで、定量供給装置に供給される第1及び第2のエポキシ接着剤の組成を変えることなく、事実上様々な接着剤配合物を次々と供給することができる。
【0017】
第1及び第2のエポキシ接着剤は、エポキシ接着剤であることを特徴とする。これは、以下でより詳細に説明されるように、共に1種以上のエポキシ樹脂と1種以上のエポキシ樹脂硬化剤とをこれらが含有することを意味する。これらは、それぞれ硬化に必要な全ての成分を含む一液型接着剤である。
【0018】
第1及び第2のエポキシ接着剤は、熱硬化性でもある。本発明の目的のための熱硬化性エポキシ接着剤は、少なくとも130℃の硬化開始温度を示す。硬化開始温度は、10℃/分の加熱速度を使用する示差走査熱量測定(DSC)により測定される。硬化開始温度は、温度軸と、熱流曲線の上り勾配の中点(ハーフハイト)に接する線との交点にある。接着剤は、好ましくは、170℃以下、より好ましくは160℃以下の硬化開始温度を有する。
【0019】
硬化開始温度が高いことから、第1及び第2のエポキシ接着剤は、室温(22℃)では硬化するとしても非常にゆっくりとのみ硬化する。したがって、これらは、それぞれ室温及びわずかに高い温度(最大40℃など)において、少なくとも1日、好ましくは少なくとも30日の期間にわたり、30%以下の粘度の増加で保存することができる(以下の実施例に記載の方法で測定)。
【0020】
第1のエポキシ接着剤は、硬化伸びE及び硬化弾性率Mを有することを特徴とする。第2のエポキシ接着剤は、硬化伸びE及び硬化弾性率Mを有することを特徴とする。第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E>E且つM<Mであるようなより大きい伸び及びより低い弾性率を有する材料である。
【0021】
「硬化」特性とは、完全に硬化してから室温まで冷却した後の接着剤の特性を指す。本発明の目的のための「完全硬化」は、180℃で30分間の硬化条件又は同等の硬化が得られる他の硬化条件を含む。
【0022】
は、ダンベル試験片5aを使用してDIN EN ISO 527-1に従って23℃で測定した場合、例えば最大25%、最大15%又は最大10%であり得る。Eは、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも60%であり得、また例えば最大200%、最大150%又は最大100%であり得る。いくつかの実施形態では、E≧(2×E)である。別の実施形態では、E≧(4×E)であり、更に別の実施形態ではE≧(6×E)である。Eは、例えば、最大(20×E)、最大(15×E)又は最大(12×E)であり得る。
【0023】
は、ダンベル試験片5aを使用してDIN EN ISO 527-1に従って23℃で測定した場合、例えば少なくとも250MPa、少なくとも500MPa、少なくとも1000MPa又は少なくとも1250MPaであり得る。Mは、例えば、最大10,000MPa、最大5000MPa、最大2500MPa又は最大2000MPaであり得る。Mは、例えば、最大200MPa、最大100MPa、最大75MPa又は最大50MPaMPaであり得る。いくつかの実施形態では、M≦(0.25×M)である。別の実施形態では、M≦(0.10×M)であり、更に別の実施形態ではM≧(0.05×M)である。
【0024】
第1及び第2の接着剤のそれぞれは、少なくとも1種の非ゴム変性エポキシ樹脂を含有し、これは、硬化前にエポキシ樹脂が後述のようにゴムに化学的に結合していないことを意味する。
【0025】
参照により本明細書に援用される米国特許第4,734,332号明細書の2欄66行~4欄24行に記載されるものなど、広範囲のエポキシ樹脂を非ゴム変性エポキシ樹脂として使用することができる。エポキシ樹脂は、1分子当たり平均して少なくとも1.8個、好ましくは少なくとも2.0個のエポキシド基を有するべきである。エポキシ当量は、例えば、75~350、好ましくは140~250、いくつかの実施形態では150~225であり得る。非ゴム変性エポキシ樹脂の混合物が存在する場合、混合物は、少なくとも1.8個、好ましくは少なくとも2.0個の平均エポキシ官能基及び前の文章におけるようなエポキシ当量を有しなければならない。より好ましくは、混合物中の各エポキシ樹脂は、このようなエポキシ官能基及びエポキシ当量を有する。
【0026】
好適な非ゴム変性エポキシ樹脂としては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK及びテトラメチルビフェノールなどの多価フェノール化合物のジグリシジルエーテル;C2~24アルキレングリコールのジグリシジルエーテルなどの脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル;フェノール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂(エポキシノボラック樹脂)、アルキル置換フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン-置換フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル;並びにそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0027】
好適なエポキシ樹脂としては、名称D.E.R.(登録商標)330、D.E.R.(登録商標)331、D.E.R.(登録商標)332、D.E.R.(登録商標)383、D.E.R.661及びD.E.R.(登録商標)662樹脂としてOlin Corporationによって販売されているものなどのビスフェノールA樹脂のジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0028】
エポキシノボラック樹脂が使用され得る。そのような樹脂は、Olin CorporationからD.E.N.(登録商標)354、D.E.N.(登録商標)431、D.E.N.(登録商標)438及びD.E.N.(登録商標)439として市販されている。
【0029】
他の好適な非ゴム変性エポキシ樹脂は、脂環式エポキシドである。脂環式エポキシドは、下記の構造:
【化1】
(式中、Rは、水素、脂肪族、脂環式及び/又は酸素、窒素などのヘテロ原子を含み得る芳香族基であり、及びnは、1~10、好ましくは2~4の数である)
によって示されるように、炭素環における2個の隣接原子に結合するエポキシ酸素を有する飽和した炭素環を含む。nが1である場合、脂環式エポキシドは、モノエポキシドである。nが2以上である場合、ジエポキシド又はポリエポキシドが形成される。Rは、好ましくは、最大10個の炭素原子を含有する。モノエポキシド、ジエポキシド及び/又はポリエポキシドの混合物を使用することができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,686,359号明細書に記載されているような脂環式エポキシ樹脂を本発明で使用し得る。特に注目される脂環式エポキシ樹脂は、(3,4-エポキシシクロヘキシル-メチル)-3,4-エポキシ-シクロヘキサンカルボキシレート、ビス-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジパート、ビニルシクロヘキセンモノオキシド及びこれらの混合物である。
【0030】
他の適切なエポキシ樹脂としては、米国特許第5,112,932号明細書に記載されているようなオキサゾリドン含有化合物が挙げられる。加えて、鎖伸長されたエポキシ-イソシアネートコポリマー、例えばD.E.R.592及びD.E.R.6508(Olin Corporation)として商業的に販売されているものなどを使用することができる。
【0031】
非ゴム変性エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールのジグリシジルエーテル(これは、鎖伸長され得る)又はこれらと、最大10重量%の別のタイプの非ゴム変性エポキシ樹脂との混合物を含む。最も好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル(これは、鎖伸長され得る)である。これらは、約170~600以上、好ましくは225~400の平均エポキシ当量を有し得る。
【0032】
第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれは、少なくとも1種のエポキシ硬化剤を含む。エポキシ硬化剤は、少なくとも2つのエポキシ基と反応して、それらの間に結合を形成する化合物である。適切なエポキシ硬化剤には、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体などの材料、ジシアンジアミド、メラミン、ジアリルメラミン、ジシアンジアミドなどのグアナミン、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアンジジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミン、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールなどのアミノトリアゾール、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド及びジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミンが含まれる。ジシアンジアミド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルスルホンの使用が特に好ましい。ジシアンジアミドが最も好ましい。
【0033】
いくつかの実施形態では、エポキシ硬化剤は、ジシアンジアミドとジヒドラジドとの混合物である。ジヒドラジドは、有機ジカルボン酸とヒドラジンとの反応生成物に対応する。それは、好ましくは、少なくとも120℃又は少なくとも140℃の融解温度を有する。ジヒドラジドは、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、テトラフタル酸ジヒドラジド又はイソフタル酸ジヒドラジドであり得る。そのような混合物では、ジシアンジアミド及びジヒドラジドは、1:99~99:1の重量比で存在する。好ましい重量比は、65:35~99:1である。より好ましい比は、50:50~95:5、60:40~95:5又は60:40~90:10である。
【0034】
エポキシ硬化剤は、第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれにおいて、それぞれの場合に各接着剤を硬化させるのに十分な量で存在する。典型的には、それぞれの接着剤中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分なエポキシ硬化剤が第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれに供給される。エポキシド基の全てを消費するのに必要な量を超える大過剰は、通常、必要ない。好ましくは、エポキシ硬化剤は、第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれの少なくとも約1.5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約2.5重量パーセント、更により好ましくは少なくとも3.0重量パーセントを構成する。エポキシ硬化剤は、好ましくは、第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれの最大約15重量パーセント、より好ましくは最大約10重量パーセント、最も好ましくは最大約8重量パーセントを構成する。
【0035】
第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれは、好ましくは、少なくとも1種の硬化促進剤を含む。硬化促進剤は、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤との反応を触媒する1種以上の材料である。それは、好ましくは、封入されているか、又はそうでなければ高温に曝されたときにのみ活性になる潜在型である。とりわけ好ましいエポキシ触媒は、尿素化合物である。これらの尿素化合物の中でも、様々な芳香族二置換尿素及び脂環式置換尿素が挙げられる。具体例としては、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素が挙げられる。他の適切な潜在型硬化促進剤としては、ポリ(p-ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許第0197892号明細書に記載)又は米国特許第4,701,378号明細書に記載されているものなどのノボラック樹脂に組み込まれた2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
【0036】
第1及び第2のエポキシ接着剤の少なくとも1つ、好ましくはそれぞれは、-20℃以下の少なくとも1つのガラス転移温度(示差走査熱量測定による)を有する少なくとも1種の強化剤成分を含む。そのような強化剤の例としては、
1)最大35,000の数平均分子量と、少なくとも1000原子質量単位の重量を有する少なくとも1つのポリエーテル又はジエンゴムセグメントと、キャップされたイソシアネート基とを有する1種以上の反応性ウレタン基含有ポリエーテル及び/又は尿素基含有ポリエーテル;
2)1種以上のコア-シェルゴム;及び
3)1種以上のゴム変性エポキシ樹脂
が挙げられる。
【0037】
タイプ1)の強化剤としては、例えば、米国特許第5,202,390号明細書、米国特許第5,278,257号明細書、国際公開第2005/118734号パンフレット、国際公開第2007/003650号パンフレット、国際公開第2012/091842号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0070634号明細書、米国特許出願公開第2005/0209401号明細書、米国特許出願公開第2006/0276601号明細書、欧州特許出願公開第A-0308664号明細書、欧州特許出願公開第1498441A号明細書、欧州特許出願公開第A-1728825号明細書、欧州特許出願公開第A-1896517号明細書、欧州特許出願公開第A-1916269号明細書、欧州特許出願公開第A-1916270号明細書、欧州特許出願公開第A-1916272号明細書及び欧州特許出願公開第A-1916285号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0038】
タイプ1)の強化剤は、好都合には、イソシアネート末端ポリエーテル又はジエンゴムを形成し、且つイソシアネート基をフェノール又はポリフェノールでキャップする工程を含むプロセスで製造される。イソシアネート末端ポリエーテル又はジエンゴムは、好都合には、ヒドロキシル末端ポリエーテル若しくはアミン末端ポリエーテル又はヒドロキシル末端ジエンゴム若しくはアミン末端ジエンゴムを過剰なポリイソシアネートと反応させて、ウレタン又は尿素基及び末端イソシアネート基を有する付加物を生成することにより製造される。必要に応じて、イソシアネート末端ポリエーテル又はジエンゴムを、キャッピング反応を実施する前に鎖延長及び/又は分枝化することができる。
【0039】
キャッピング剤は、例えば、モノフェノール、ポリフェノール、アミン、ベンジルアルコール、ヒドロキシ官能性アクリレート若しくはメタクリレート化合物、チオール化合物及び少なくとも1つのアミン水素を有するアルキルアミド化合物(アセトアミドなど)及び/又はケトオキシム化合物であり得る。モノフェノール又はポリフェノールキャッピング剤が好ましい。モノフェノールの例としては、フェノール、それぞれ1~30の炭素原子を含み得る1つ以上のアルキル基を含むアルキルフェノール、ハロゲン化フェノール、カルダノール又はナフトールが挙げられる。適切なポリフェノールは、1分子当たり2つ以上、好ましくは2つのフェノールヒドロキシル基を含み、それらとしては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールM、テトラメチルビフェノール及びo,o’-ジアリル-ビスフェノールA並びにこれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。
【0040】
コア-シェルゴムは、ゴム状のコアを有する粒子状物質である。ゴム状コアは、好ましくは、-20℃未満、より好ましくは-50℃未満、更により好ましくは-70℃未満のTg(DSCによる)を有する。ゴム状コアのTgは、-100℃未満であり得る。コア-シェルゴムは、好ましくは、少なくとも50℃のTgを有する少なくとも1つのシェル部分も有する。コア-シェルゴムのコアは、ブタジエンなどの共役ジエン又はn-ブチル-、エチル-、イソブチル-若しくは2-エチルヘキシルアクリレートなどの低級アルキルアクリレートのポリマー又はコポリマーであり得るか、或いはシリコーンゴムであり得る。ゴムコアに任意選択的に化学的にグラフト又は架橋されるシェルポリマーは、好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はt-ブチルメタクリレートなどの少なくとも1種の低級アルキルメタクリレートのポリマー又はコポリマーである。
【0041】
本発明の目的のためのゴム変性エポキシ樹脂は、少なくとも300g/mol、好ましくは少なくとも500g/molの脂肪族鎖によって分離された少なくとも2個のエポキシド基を有する化合物である。脂肪族鎖は、例えば、アルキレン基;アルケニル基;ジエンポリマー若しくはコポリマー;又は例えばポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)若しくはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーなどのポリエーテルであり得る。ゴム変性エポキシ樹脂は、硬化前に-20℃以下、好ましくは-30℃以下のガラス転移温度を有し得る。
【0042】
ゴム変性エポキシ樹脂の例としては、(i)アミン末端ポリエーテルと過剰のポリエポキシドとの反応生成物など、それぞれ少なくとも300g/mol、好ましくは少なくとも500g/molの重量を有する1つ以上のポリエーテルセグメントを含むエポキシ末端ポリエーテル;(ii)前述した非ゴム変性エポキシ樹脂のいずれかと、アミノ基又は好ましくはカルボキシル基などのエポキシド反応性基を有する少なくとも1種の液体ゴムとの反応生成物;(iii)過剰の前述した非ゴム変性エポキシ樹脂と、共役ジエンのホモポリマー又はコポリマー、特にジエン/ニトリルコポリマーとの反応生成物;(iv)エポキシ化脂肪酸(二量体化又はオリゴマー化され得る);及び(v)エポキシ基を含むように修飾されたエラストマーポリエステルが挙げられる。前述した強化剤の2種以上の混合物を第1及び第2のエポキシ接着剤のいずれか又は両方で使用することができる。
【0043】
第1及び第2のエポキシ接着剤のいずれか又は両方は、1種以上の鉱物充填剤を含み得る。これらは、(1)接着剤のレオロジーを望ましい方法で改良すること、(2)1単位重量当たりの全体のコストを低減させること、(3)水分若しくは油を接着剤若しくはそれが適用される基材から吸収すること、及び/又は(4)接着破壊ではなく、凝集破壊を促進することなどのいくつかの機能を果たし得る。好適な鉱物充填剤の例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、カーボンブラック、織物繊維、ガラス粒子又は繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、鉱物シリケート、雲母、粉末状石英、水和酸化アルミニウム、ベントナイト、ウォラストナイト、カオリン、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、ポリ尿素化合物、ポリアミド化合物又はアルミニウム粉末若しくは鉄粉末などの金属粉末が挙げられる。特に注目される別の充填剤は、最大200ミクロンの平均粒径及び最大0.2g/ccの密度を有するマイクロバルーンである。密度を下げるのに好適な熱膨張性マイクロバルーンとしては、Dualite CorporationからDualite(商標)の商標名で市販されているもの及びAkzo NobelからExpancel(商標)の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0044】
鉱物充填剤の全て又は一部は、1~50μmの直径(D50、顕微鏡により測定した際)及び6~20のアスペクト比を有する繊維の形態であり得る。繊維の直径は、2~20μm又は2~10μmであり得、アスペクト比は、8~20又は8~16であり得る。繊維の直径は、繊維と同じ断面積を有する円の直径とみなされる。繊維のアスペクト比は、6~25、6~20、8~20又は8~15などの6以上であり得る。
【0045】
代わりに、鉱物充填剤の全て又は一部は、5以下、特に2以下のアスペクト比及び100μmまで、好ましくは25μmまでの最長寸法を有する低アスペクト比の粒子の形態であり得る。
【0046】
モノマー又はオリゴマー状の付加重合性のエチレン性不飽和材料は、任意選択的に、第1及び第2のエポキシ接着剤のいずれか又は両方に存在する。この材料は、約1500未満の分子量を有するべきである。この材料は、例えば、アクリレート若しくはメタクリレート化合物、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂のエポキシ付加体であり得る。この材料を重合させるためのフリーラジカル源を提供するために、フリーラジカル開始剤を同様に含めることができる。
【0047】
第1及び第2のエポキシ接着剤のいずれか又は両方は、二量体化脂肪酸、希釈剤、可塑剤、増量剤、顔料及び染料、難燃剤、チキソトロープ剤、発泡剤、流動調整剤、接着促進剤及び酸化防止剤などの他の添加剤を更に含有することができる。好適な発泡剤としては、物理的タイプ及び化学的タイプの薬剤の両方が挙げられる。第1及び第2のエポキシ接着剤のいずれか又は両方は、国際公開第2005/118734号パンフレットに記載されているようなポリビニルブチラール又はポリエステルポリオールなどの熱可塑性粉末も含み得る。
【0048】
通常、エポキシ接着剤中の強化剤の量を増やすことは、弾性率を低下させて伸びを増加させるという効果を有する(いずれの場合にも硬化時)。したがって、第2のエポキシ接着剤は、好ましくは、第1のエポキシ接着剤よりも高い重量割合の強化剤を含む。したがって、例えば、第1のエポキシ接着剤は、接着剤の総重量を基準として最大25重量%の強化剤を含み得る一方、第2のエポキシ接着剤は、例えば、30~70重量%の強化剤又は40~60重量%の強化剤を含み得る。
【0049】
本発明で使用するための有用な第1及び第2のエポキシ接着剤としては、The Dow Chemical CompanyからBetamate(登録商標)のブランド名で販売されている様々な一液型熱硬化性構造用接着剤が挙げられる。
【0050】
本発明の方法では、第1及び第2のエポキシ接着剤は、混合及び定量供給装置内で組み合わされて接着剤混合物を形成し、次いで、これは、定量供給及び塗布されて、少なくとも1つの対の基材間のボンドラインで接着剤接合を形成する。
【0051】
本明細書で使用される「混合比」は、混合及び定量供給装置内で組み合わされる第1のエポキシ接着剤及び第2のエポキシ接着剤の体積の比を指す。混合比は、1体積部の第1のエポキシ接着剤対99体積部の第2のエポキシ接着剤(1:99)ほどに低いことができるか、又は99体積部の第1のエポキシ接着剤対1体積部の第2のエポキシ接着剤(99:1)ほどに高いことができる。混合比は、任意の中間値であり得る。混合比は、少なくとも5:95、少なくとも10:90、少なくとも20:80、少なくとも25:75、少なくとも33:67又は少なくとも40:60であり得、例えば最大95:5、最大90:10、最大80:20、最大75:25、最大67:33又は最大60:40であり得る。
【0052】
接着剤混合物は、硬化された際、E>E>E且つM<M<Mであるような伸びE及び弾性率Mを有することを特徴とする。当然のことながら、E及びMの値は、第1及び第2の接着剤のそれぞれの伸び及び弾性率の値並びに混合比に依存する。混合比を適切に選択することにより、伸びEをEとEとの間の任意の値にすることができ、同様に弾性率MをMとMとの間の任意の値にすることができる。EとMは、Eが増加するにつれてMが通常減少するという点で相関している。したがって、第1の接着剤が多くなるように混合比を増加させると、Eが減少し、Mが増加する傾向がある。
【0053】
第1及び第2のエポキシ接着剤が組み合わされて接着剤混合物を形成すると、これは、混合及び定量供給装置から定量供給されて、2つの基材間のボンドラインに層を形成する。接着剤混合物は、例えば、ポンピング、押し出し又は噴霧によって定量供給することができる。接着剤組成物が基材の少なくとも1つの表面に塗布された後、基材は、接着剤の層が基材間のボンドラインで形成されるように接触される。
【0054】
混合及び定量供給装置は、第1及び第2のエポキシ接着剤を受け入れ、それらを組み合わせて接着剤混合物を形成し、混合物を定量供給するように構成された任意の装置である。装置は、手動で操作され得るか又は自動化され得る。混合及び定量供給装置は、例えば、第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて接着剤混合物を形成するための混合手段;第1及び第2のエポキシ接着剤のそれぞれを供給源から混合手段に移送するためのポンプ移送手段;及び接着剤混合物を混合手段から移送し、混合物を基材に塗布するための導管及び定量供給手段を含み得る。
【0055】
混合手段としては、例えば、静的ミキサー、衝突ミキサー、スプレーミキサーなどの1つ以上を挙げることができる。ポンプ移送手段は、例えば、第1及び第2の接着剤をそれぞれ供給源から混合手段に押し込む1つ以上の手動、空気圧又は他の方法で作動するピストン並びに容積式ポンプなどの様々なタイプのポンプであり得る。このポンプ移送手段は、第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせ、それらを装置から定量供給するためのエネルギー供給を更に行うことができる。
【0056】
二液型接着剤を組み合わせて定量供給するのに有用な装置が本発明において有用である。適切な装置としては、例えば、手動で操作されるか又は機械で操作され得るデュアルカートリッジコーキングガン;並びに例えばDymax Corporation(Torrington,CT)、Ivek Corporation(North Springfield,VT);Nordson Corporation、Kirkco Corporation(Monroe NC);Henkel Corporation(Bay Point,CA)から販売されているもの及び他の多くのものなど、自動化された二液型接着剤定量供給システムが挙げられる。
【0057】
混合及び定量供給装置は、好ましくは、可変比率型、すなわち混合比を変更できるように構成されたものである。そのような実施形態では、装置は、混合比を2つ以上の固定値に変更できるように構成することができる。代わりに、装置は、混合比の範囲内で任意に選択された値に混合比を変更できるように構成され得る。
【0058】
塗布後、接着剤は、硬化温度以上に加熱することにより硬化される。場合により、より低い温度を使用することができるものの、特により長い硬化時間が許容できる場合、接着剤を少なくとも130℃、好ましくは少なくとも160℃に加熱することによって硬化工程を行うことが通常好ましい。加熱温度は、220℃以上もの高温であり得るが、本発明の利点は、硬化開始温度が低いことであり、硬化温度は、好ましくは、最大200℃、最大190℃又は最大180℃である。硬化時間は、当然のことながら、温度(並びに接着剤混合物の組成及び硬化される接着剤の質量)によって変動するが、通常、前述した温度で1分~1時間であり得る。
【0059】
本発明の方法は、木材、金属、被覆金属、アルミニウム、様々なプラスチック及び充填プラスチック基材、ガラス繊維などを含む様々な基材を互いに接合させるために使用することができる。好ましい一実施形態では、接着剤は、自動車の部品を一体に結合するため又は自動車部品を自動車に結合するために使用される。このような部品は、鋼鉄、コーティングした鋼鉄、亜鉛めっき鋼、アルミニウム、コーティングしたアルミニウム、プラスチック及び充填したプラスチック基材であり得る。
【0060】
本発明は、接着剤硬化温度に加熱された際に熱による歪みを受ける基材を接合するのに特に適している。場合により、基材の対の部材のCLTEが大きく異なり、そのため、硬化工程中に大幅に異なる膨張量(及び硬化後に接合された組立体が冷却される際の収縮量)を示す。基材の対の部材は、ASTM E831により測定した際、互いに少なくとも5×10-6m/m-K、少なくとも10×10-6m/m-K又は少なくとも20×10-6m/m-Kだけ異なる線熱膨張係数(CLTE)を有し得る。
【0061】
基材の対の例としては、鋼及びアルミニウム;鋼及びマグネシウム;並びにアルミニウム及びマグネシウムなどの異なる金属の組み合わせ;鋼、マグネシウム、アルミニウム又はチタンなどの金属と、熱可塑性有機ポリマー又は熱硬化性有機ポリマーなどのポリマー系材料との組み合わせ;並びに鋼、アルミニウム、マグネシウム又はチタンなどの金属と、炭素繊維複合材料又はガラス繊維複合材料などの繊維複合材料との組み合わせが挙げられる。
【0062】
対の部材が同じ又は異なる材料でできているか否かにかかわらず、基材の対の部材間の温度差によっても、熱による歪みが発生する場合がある。これらの温度差は、例えば、基材の対の部材が異なる厚さ若しくは他の形状上の違いを有することにより、加熱工程が行われる具体的な方法により、且つ/又はオーブン内の異なる位置での温度の変動により生じ得る。厚い基材は、例えば、硬化プロセス中に薄い基材と同じ温度に加熱されない場合があり、そのため、熱による歪みが生じる可能性がある。
【0063】
接着剤が、組立体が冷却された際に応力を解放するのに十分な柔軟性を有していない場合、接着された組立体に熱による歪みが「固定」される可能性がある。他方では、過度の柔軟性は、接着された組立体に望ましくない緩みを生じさせるため、望まれない。
【0064】
接着剤が熱硬化される際に発生する熱による歪みの量が異なる基材の対を接着する際に使用するために、単一の接着剤は、最適化されていないことが容易に理解されるであろう。接着剤は、基材の1つの対に適した伸びを有することができるものの、歪みの量が増減することになる異なる材料から製造された別の対では、異なる伸び特性を有する接着剤が必要とされることになる。いずれの場合にも、応力に対応するのに十分な柔軟性を有する接着剤を塗布して、歪みが組立体中に固定されないようにすると同時に、余計な柔軟性を有さないようにすることが好ましい。通常、熱による歪みが大きい場合、硬化した接着剤には、より大きい伸びが望まれ、歪みが小さい場合、より小さい伸び、したがってより高い弾性率が望まれる。
【0065】
同じ懸念は、大きい基材の対が接着される場合にも存在する。組立体の異なる領域では、例えば、それらの形状が不均一であるため、且つ/又は硬化条件が同一ではないため(例えば、硬化オーブン内の温度の不均一性のため)、異なる量の歪みを受ける可能性がある。この場合、硬化工程中に発生する熱による歪みの量の大小に対応するために、組立体の異なる領域に異なる接着剤を塗布する必要がある。通常、熱による歪みが大きい場合、硬化した接着剤には、より大きい伸びが望まれ、歪みが小さい場合、より小さい伸び、したがってより高い弾性率が望まれる。
【0066】
本発明の方法は、前述したそれぞれの状況によく適している。したがって、特定の態様では、本発明は、複数の接着剤接合が形成され、(i)基材の対が各場合において同じではなく、且つ/又は(ii)硬化条件が各場合において同じではない、製造プロセスである。そのような実施形態では、工程c)~e)は、定量供給された接着剤混合物を基材の複数の対に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における混合比は、基材の複数の対の少なくとも1つに塗布される接着剤混合物が、基材の複数の対の少なくとも1つの他のものに塗布される接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される。工程c)で混合比を変更する能力のため、2つの異なる出発材料のみを使用することにより、接着剤混合物の組成をそれぞれの具体的な基材の対及び/又は硬化条件の要件に一致させることができる。
【0067】
そのような実施形態では、工程c)における混合比は、そのように形成された接着剤混合物の伸びが、熱により生じる変形をより大きく示す基材の対に塗布される場合により大きくなり(すなわちより高い割合の第2のエポキシ接着剤を含む)、変形をより小さく示す基材の対に塗布される場合により小さくなる(すなわちより低い割合の第2のエポキシ接着剤を含む)ように選択されることが有利である。熱による変形の量は、基材対の部材の熱膨張係数から推定することができ、且つ/又は経験的に決定することができる。
【0068】
したがって、特定の態様では、工程c)、d)及びe)は、最初の基材対に対して行われ、且つ少なくとも1つの後続の基材対で繰り返され、混合比は、少なくともその1つの後続の基材対で工程c)が繰り返される際に変更される。好ましくは、混合比は、後続の基材対が最初の基材対よりも熱による歪みを多く示す場合、第2のエポキシ接着剤をより多く含むように変更され、逆に後続の基材対が最初の基材対よりも熱による歪みを少なく示す場合、第1のエポキシ接着剤をより多く含むように変更される。
【0069】
本発明は、異なる熱による歪みの領域を示す単一の基材対の場合にも同様に使用することができる。そのような実施形態では、工程c)~e)は、定量供給された接着剤混合物を単一の基材対の2つ以上の異なる領域に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における混合比は、それらの領域の少なくとも1つに塗布される接着剤混合物が、少なくとも1つの他の領域に塗布される接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される。
【0070】
上と同様に、工程c)における混合比は、そのように形成された接着剤混合物の伸びが、熱により生じる変形をより大きく示す領域に塗布される場合により大きくなり(すなわちより高い割合の第2のエポキシ接着剤を含む)、変形をより小さく示す領域に塗布される場合により小さくなる(すなわちより低い割合の第2のエポキシ接着剤を含む)ように選択されることが有利である。
【0071】
したがって、特定の態様では、工程c)及びd)は、基材対の第1の領域に対して行われ、且つ基材対の少なくとも1つの第2の異なる領域で繰り返され、混合比は、工程c)が繰り返される際に変更される。第2の領域でより多くの熱による歪みが見られる場合、伸びを大きくすることを優先するように、すなわちより多くの第2のエポキシ接着剤を含むように混合比が変更される。逆に、第2の領域で熱による歪みが少ない場合、伸びを小さくすることを優先するように、すなわちより多くの第1のエポキシ接着剤を含むように混合比が変更される。
【0072】
本発明は、組立体の複数の領域に接着剤が塗布される車両など、複雑な組立体の製造において特に適用性を有する。本発明は、これらの接着剤を、単一の装置を使用して組立体の複数の領域に容易に塗布することを可能にし、これらの領域のそれぞれに塗布される接着剤の組成を幅広い範囲内で変化させて、その具体的な接着剤接合に必要とされる要求に合わせて、各領域に塗布される接着剤を調整することを更に可能にする。特に注目される用途は、自動車又は他の車両フレーム構成部品の互いへの又は他の構成部品への接合である。接合される構成要素は、前述したように異なるCLTEを有する異なる材料を含み得、同様に又は加えて、異なる領域において異なる接着特性を必要とする大きいな構成要素を含み得る。
【実施例
【0073】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、その範囲を限定することを意図しない。特に指示がない限り、全ての部及びパーセントは、重量によるものである。特に指示がない限り、全ての分子量は、数平均である。
【0074】
エポキシ接着剤Aは、例えば、米国特許出願公開第2005/0070634号明細書、米国特許出願公開第2005/0209401号明細書及び米国特許出願公開第2006/0276601号明細書に概略的に記載されている、エポキシ樹脂と、強化剤と、充填剤との混合物である。エポキシ接着剤Aのエポキシ硬化剤は、ジシアンジアミドである。エポキシ接着剤Aは、硬化促進剤として、芳香族二置換尿素と脂環式置換尿素との混合物を含む。エポキシ接着剤Aは、100℃を超える温度で潜在的に熱による硬化を示す。エポキシ接着剤Aは、完全に硬化すると、7%の破断点伸び(E)及び1450MPaの弾性率(M)を示す。
【0075】
エポキシ接着剤Bは、例えば、米国特許出願公開第2005/0070634号明細書、米国特許出願公開第2005/0209401号明細書及び米国特許出願公開第2006/0276601号明細書に概略的に記載されている、エポキシ樹脂と、強化剤と、充填剤との混合物である。エポキシ接着剤Bのエポキシ硬化剤は、ジシアンジアミドである。エポキシ接着剤Bは、硬化促進剤として、芳香族二置換尿素と脂環式置換尿素との混合物を含む。エポキシ接着剤Bは、100℃を超える温度で潜在的に熱による硬化を示す。エポキシ接着剤Bは、エポキシ接着剤Aよりも強化剤の割合が高く、エポキシ樹脂の割合が低い。これらの配合の違いにより、エポキシ接着剤Bは、完全に硬化すると、60%の破断点伸び(E)及び43MPaの弾性率(M)を示す。
【0076】
実施例1は、エポキシ接着剤A及びBを75:25の体積比で混合することによって調製する。
【0077】
実施例2は、エポキシ接着剤A及びBを50:50の体積比で混合することによって調製する。
【0078】
実施例3は、エポキシ接着剤A及びBを25:75の体積比で混合することによって調製する。
【0079】
Cassonの粘度及び降伏応力は、Bohlin CS-50レオメーター、C/P20、上下動0.1~20s-1を使用してエポキシ接着剤A及びB並びに実施例1~3について測定し、データは、Cassonモデルに従って評価する。
【0080】
衝撃剥離試験は、各接着剤サンプルについて行う。基材は、厚さ1.0mmのHX420 Z100 LAD鋼製クーポンである。衝撃剥離試験の試験クーポンは、90mm×20mmであり、接合面積は、30×20mmである。これらをヘプタンで洗浄する。次いで、接着剤サンプルを一方のクーポンの接合領域に塗布し、接着剤層の厚さを0.3mmに維持するためにスペーサーを配置した状態でもう一方のクーポンに押し付けることで各試験片を準備する。組み立てた試験片を180℃で30分間硬化させる。衝撃剥離試験は、ISO11343くさび衝撃法に従って実施する。試験は、2m/秒の作動速度において23℃の温度のサンプルで行う。
【0081】
重ね剪断試験片は、1枚の厚さ1.2mmのHX420Z100LAD基材と、1枚の厚さ1mmのHC450X+ZE75/75基材とを使用する。1枚のクーポンの上にガラスビーズ(直径0.2mm)をまばらに散らし、接着剤サンプルを塗布し、次いで接着剤の上に第2の試験片を配置することにより、試験片を製造する。各場合の接合面積は、25×10mmであり、接着層の厚さは、ガラスビーズによって0.2mmに制御されている。試験片を180℃で30分間硬化させて、DIN EN 1465に従って重ね剪断強さについて評価する。試験は、23℃及び10mm/分の試験速度で実施する。
【0082】
エポキシ接着剤A及びB並びに実施例1~3のそれぞれの弾性率、伸び及び引張強さは、各接着剤のサンプルを180℃で30分間硬化させることによって測定する。硬化したサンプルを室温まで冷却し、ダンベル試験片に切断する(DIN EN ISO 527-1による5a)。特性は、DIN EN ISO527-1に従って測定する。
【0083】
前述の試験の結果は、表1に示す通りである。
【0084】
【表1】
【0085】
表1のデータから示されるように、様々な比率で出発エポキシ接着剤をブレンドすると、特性を調整することができる。
【0086】
弾性率及び伸びが異なる出発接着剤をブレンドすることによって弾性率を変化させる効果は、以下の通りに評価する:エポキシ接着剤A及び実施例1~3のそれぞれを使用して、厚さ0.5~0.8mmの20mm×100mmの鋼製パネルを厚さ0.8~1mmの20mm×100mmのアルミニウムパネルに接合する。試験片は、接着剤サンプルをパネルの1つに塗布し、ガラスビーズ(直径0.2mm)を接着剤ビードの上にまばらに散らし、パネルクーポンを接着剤の上に配置し、5kgの荷重下で圧縮することによって製造する。試験片を180℃で30分間硬化し、室温まで冷却する。その後、サンプルの変形について視覚的に評価する。
【0087】
エポキシ接着剤Aで接着したパネルは、ひどく変形する。変形は、異なる接着剤で以下の通り減少する:エポキシ接着剤A>実施例3>実施例2>実施例1。実施例1で接着されたパネルは、ほとんど変形を示していない。したがって、接着剤の弾性率及び伸びを調整することにより、変形を増加又は減少させ得ることが分かる。それぞれの線熱膨張係数(CLTE)が大きく異なるこの基材の対では、伸びがより大きく、弾性率がより低い接着剤が変形を最小限にすることが分かる。
本発明は次の様な態様に関する。
(1)接着剤接合を形成する方法であって、
a)第1のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第1のエポキシ接着剤は、硬化された際、伸びE 及び弾性率M を示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
b)第2のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E >E 且つM <M であるような伸びE 及び弾性率M を示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
c)二成分定量供給装置において1:99~99:1の体積比で前記第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて、硬化された際、E >E >E 且つM <M <M であるような伸びE 及び弾性率M を示す接着剤混合物を形成する工程、
d)前記二成分定量供給装置から前記接着剤混合物を定量供給し、且つ前記定量供給された接着剤混合物を塗布して、少なくとも1つの対の基材間のボンドラインで接着剤接合を形成する工程、
e)前記接着剤混合物を高温で硬化させて、前記ボンドラインにおいて、硬化された接着剤層を形成する工程、及び
f)前記硬化された接着剤及び少なくとも1つの対の基材を40℃未満に冷却する工程
を行う方法。
(2)工程c)~e)は、前記定量供給された接着剤混合物を基材の複数の対に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における前記体積比は、前記基材の複数の対の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物が、前記基材の複数の対の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される、上記(1)に記載の方法。
(3)前記基材の複数の対の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物は、硬化された際、前記基材の複数の対の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物のそれぞれ伸びE3b及び弾性率M3bと異なる伸びE3a及び弾性率M3aを示す、上記(2)に記載の方法。
(4)工程c)、d)及びe)は、最初の基材対に対して行われ、且つその後、少なくとも1つの後続の基材対で繰り返され、前記混合比は、前記少なくとも1つの後続の基材対で工程c)が繰り返される際に変更される、上記(2)又は(3)に記載の方法。
(5)後続の基材対は、前記最初の基材対よりも多くの熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより多く含むように変更される、上記(4)に記載の方法。
(6)前記後続の基材対は、前記最初の基材対よりも少ない熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより少なく含むように変更される、上記(4)に記載の方法。
(7)工程c)~e)は、前記定量供給された接着剤混合物を基材の対の複数の領域に塗布するために複数回行われ、及び工程c)における体積比は、前記複数の領域の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物が、前記複数の領域の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物と異なる組成を有するように少なくとも1回変更される、上記(1)に記載の方法。
(8)前記複数の領域の少なくとも1つに塗布される前記接着剤混合物は、硬化された際、前記複数の領域の少なくとも1つの他のものに塗布される前記接着剤混合物のそれぞれ伸びE3b及び弾性率M3bと異なる伸びE3a及び弾性率M3aを示す、上記(7)に記載の方法。
(9)工程c)及びd)は、基材対の第1の領域に対して行われ、且つその後、前記基材対の少なくとも1つの第2の領域で繰り返され、前記混合比は、前記第2の領域で工程c)が繰り返される際に変更される、上記(7)又は(8)に記載の方法。
(10)第2の領域は、前記第1の領域よりも多くの熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより多く含むように変更される、上記(9)に記載の方法。
(11)前記第2の領域は、前記第1の領域よりも少ない熱による歪みを示し、及び前記混合比は、前記第2のエポキシ接着剤をより少なく含むように変更される、上記(9)に記載の方法。
(12)組立体の製造方法であって、
a)第1のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第1のエポキシ接着剤は、硬化された際、伸びE 及び弾性率M を示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
b)第2のエポキシ接着剤を提供する工程であって、前記第2のエポキシ接着剤は、硬化された際、E >E 且つM <M であるような伸びE 及び弾性率M を示す単一成分の熱硬化性接着剤である、工程、
c)二成分定量供給装置において1:99~99:1の体積比で前記第1及び第2のエポキシ接着剤を組み合わせて、硬化された際、E >E >E 且つM <M <M であるような伸びE 及び弾性率M を示す接着剤混合物を形成する工程、
d)前記二成分定量供給装置から前記接着剤混合物を定量供給し、且つ前記定量供給された接着剤混合物を塗布して、少なくとも1つの対の基材間のボンドラインで接着剤接合を形成する工程、
e)前記接着剤混合物を高温で硬化させて、前記ボンドラインにおいて、硬化された接着剤層を形成する工程、及び
f)前記硬化された接着剤及び少なくとも1つの対の基材を40℃未満に冷却する工程
によって接着剤接合を形成することを含む、方法。