(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】取り外し可能なステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/86 20130101AFI20231228BHJP
A61F 2/852 20130101ALI20231228BHJP
【FI】
A61F2/86
A61F2/852
(21)【出願番号】P 2020567525
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019035239
(87)【国際公開番号】W WO2019236491
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】トナー、ジェラルディン
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0109087(US,A1)
【文献】特表2013-532013(JP,A)
【文献】特開平11-076420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/86
A61F 2/852
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状管状部材を備えるインプラントにおいて、前記長尺状管状部材は、
近位端部及び遠位端部を有する第1の領域であって、遠位方向に沿って径方向内方に先細になるフレア状近位ステントフレームを含む第1の領域と、
近位端部及び遠位端部を有する第2の領域であって、前記第1の領域の遠位端部から遠位方向に延びる可撓性スリーブを含む第2の領域と、
近位端部及び遠位端部を有する第3の領域であって、前記第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径より小さな外径を有する遠位ステントフレームを含み、且つ前記第2の領域の遠位端部から遠位方向に延びる第3の領域と、
前記フレア状近位ステントフレーム
及び前記遠位ステントフレームに織り合わされた第1の回収スーチャであって、
前記第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームに織り合わされて前記フレア状近位ステントフレームの全周にわたって延びる第1のスーチャループと、前記第3の領域の近位端部に隣接する前記遠位ステントフレームに織り合わされて前記遠位ステントフレームの全周にわたって延びる第2のスーチャループと、前記第1のスーチャループと前記第2のスーチャループとの間に延びて前記第1のスーチャループと前記第2のスーチャループとを接続する接続スーチャ部分とを含む、第1の回収スーチャと
を備え、
前記接続スーチャ部分は、前記遠位ステントフレームが収縮し始める前に、前記フレア状近位ステントフレームが部分的に収縮されるのに伴ってぴんと張るように構成された弛み部分を含み、
前記第1の回収スーチャは、前記第1の回収スーチャに対して近位方向に引っ張り力を付与することにより、前記遠位ステントフレームを収縮させる
前に前記フレア状近位ステントフレームを少なくとも部分的に収縮させ
て、体管腔内からインプラントを除去又は再配置可能に構成されており、
前記可撓性スリーブは、
体管腔内において天然弁及び括約筋のうちの少なくともいずれか一方を横切って延び
るように配置され、且つ、
天然弁又は括約筋の自然な作用により径方向
内方に
向かって付与され
る力に応答してそれ自体の上に倒壊する
ように構成されている、インプラント。
【請求項2】
前記第1の回収スーチャに付与された近位方向の力は、第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームを部分的に収縮
させる、請求項
1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径が部分的に収縮されると、前記遠位ステントフレームは、前記
フレア状近位ステントフレームのさらなる収縮にともなっ
て収縮し始めるように構成される、請求項
2に記載のインプラント。
【請求項4】
第2の回収スーチャをさらに含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の回収スーチャのうちの少なくとも一方は、前記遠位ステントフレームが収縮される前に、前記フレア状近位ステントフレームを少なくとも部分的に収縮
させるように構成される、請求項
4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記フレア状近位ステントフレームは、胃の出口に適合する外形を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径は、25ミリメートル~50ミリメートルである、請求項1~
6のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記遠位ステントフレームの外径は、15ミリメートル~25ミリメートルである、請求項1~
7のいずれか一項に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、様々な消化器疾患のための方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、弁のある領域の中を貫通して延びるための取り外し可能なステントに関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型ステントは、血管、食道、気管、胆道、結腸、腸、胃、又は体腔などの管状の体の構造に配置され、支持を設けて構造を開いた状態に維持する装置である。これらの装置は、さまざまな異なる製造方法の任意の1つによって製造され、さまざまな方法の任意の1つに従って使用される。公知の医療機器、送達システム、及び方法にはそれぞれに特定の長所と短所がある。よって、代替的な医療機器及び送達/回収装置、ならびに医療機器及び送達/回収装置を製造及び使用するための代替的な方法を提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、吻合手術後の漏出を防止するためのステント、及び/又は様々な胃腸、消化器、又は他の病気を治療するためのステントなど、医療機器構造を製造するいくつかの代替的な設計、材料、方法、及びそれらに関連する使用に関する。
【0004】
1つの例示的な実施形態は、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を含むインプラントである。第1の領域は、近位端部及び遠位端部を有する。第1の領域は、遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状近位ステントフレームを含む。第2の領域は、近位端部及び遠位端部を有する。第2の領域は、第1の領域の遠位端部から遠位方向に延びる可撓性スリーブを含む。第3の領域は、近位端部及び遠位端部を有する。第3の領域は、第1の領域の近位端部に隣接するフレア状近位ステントフレームの外径よりも小さな外径を有し、且つ、第2の領域の遠位端部から遠位方向に延びる遠位ステントフレームを含む。可撓性スリーブは、天然弁、すなわち括約筋を横切って延び、径方向に付与された力に応答してそれ自体の上に倒壊するように構成される。
【0005】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、インプラントは、体管腔から除去するためにインプラントを少なくとも部分的に倒壊するように構成された第1の回収スーチャを含む。
【0006】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャは、フレア状近位ステントフレーム及び遠位ステントフレームに織り込まれる。
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャは、第1の領域の近位端部に隣接するフレア近位ステントフレームに織り合わされた第1のスーチャループと、第3の近位端部に隣接する遠位ステントと織り合わされた第2のスーチャループと、第1及び第2のスーチャループの間に延びて第1及び第2のスーチャループに連結された接続スーチャ部分とを含む。
【0007】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャに付与された近位方向の力は、第1の領域の近位端部に隣接するフレア状近位ステントフレームを部分的に倒壊するように構成される。
【0008】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の領域の近位端部に隣接するフレア近位ステントフレームの外径が部分的に倒壊すると、遠位ステントフレームは、近位ステントフレームのさらなる収縮に伴って同時に倒壊し始めるように構成される。
【0009】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、接続スーチャ部分は、遠位ステントフレームが倒壊し始める前に、フレア状近位ステントフレームが部分的に倒壊されるのに伴ってぴんと張るように構成された弛み部分を含む。
【0010】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャは、第3の領域の遠位端部に隣接する遠位ステントフレームに織り合わされた第1のスーチャループと、第1の領域の遠位端部に隣接するフレア近位ステントフレームに織り合わされた第2のスーチャループと、第1及び第2のスーチャループの間に延びて第1及び第2のスーチャループに連結された接続スーチャ部分とを備える。
【0011】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャに付与された遠位方向の力は、第3の領域の遠位端部に隣接した遠位ステントフレームを部分的に倒壊するように構成される。
【0012】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、接続スーチャ部分は、フレア状近位ステントフレームが倒壊し始める前に、遠位ステントフレームが部分的に倒壊されるのに伴ってぴんと張るように構成された弛み部分を含む。
【0013】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、インプラントは、第2の回収スーチャを含む。
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第2の回収スーチャは、フレア状近位ステントフレーム及び遠位ステントフレームに織り合わせられている。
【0014】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1及び第2の回収スーチャのうちの少なくとも一方は、遠位ステントフレームを倒壊する前に、フレア状近位ステントフレームを少なくとも部分的に倒壊するように構成される。
【0015】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1及び第2の回収スーチャのうちの少なくとも一方は、フレア状近位ステントフレームを倒壊する前に、遠位ステントフレームを少なくとも部分的に倒壊するように構成される。
【0016】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、フレア状近位ステントフレームは、胃の出口に適合するように構成された外形を有する。
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の領域の近位端部に隣接したフレア状近位ステントフレームの外径は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲にある。
【0017】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、遠位ステントフレームの外径は、約15ミリメートル(mm)~約25mmの範囲にある。
別の例示的な実施形態は、長尺状管状部材を含むインプラントである。長尺状管状部材は、近位ステント、可撓性スリーブ、及び遠位ステントを含む。近位ステントは、近位端部及び遠位端部を有する。近位ステントは、近位端部に隣接する第1の外径から遠位端部に隣接する第2のより小さな外径まで先細になっている。可撓性スリーブは、近位端部及び遠位端部を有する。可撓性スリーブは、フレア状近位ステントの遠位端部から遠位方向に延びる。遠位ステントは、近位端部及び遠位端部を有する。遠位ステントは、近位ステントの第1の外径よりも小さな外径を有し、可撓性スリーブの遠位端部から遠位方向に延びる。第1の回収スーチャは、近位ステント及び遠位ステントと織り合わされている。可撓性スリーブは、天然弁、すなわち括約筋を横切って延び、付与された径方向の力に応答してそれ自体の上に倒壊するように構成される。
【0018】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、近位ステントは、胃の胃出口に配置されるように構成され、可撓性スリーブは、幽門括約筋を横切って配置されるように構成される。
追加的又は代替的に、別の実施形態では、付与される径方向の力は、幽門括約筋の自然的な作用である。
【0019】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャは、遠位ステントの倒壊を開始する前に、近位ステントを少なくとも部分的に倒壊するように構成される。
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1の回収スーチャは、近位ステントの倒壊を開始する前に、遠位ステントを少なくとも部分的に倒壊するように構成される。
【0020】
別の例示的な実施形態は、管腔内インプラントを除去又は再配置する方法である。この方法は、回収スーチャの端部を第1の方向に作動させることを含む。回収スーチャは、管腔内インプラントの第1のステントの端部及び管腔内インプラントの第2のステントの端部の中に織り合わされている。第1及び第2のステントは、可撓性のポリマースリーブによって分離され且つ連結されている。第1のステントの端部は、第2のステントの端部が収縮し始める前に部分的に倒壊するように構成される。
【0021】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、回収スーチャは、第1のステントの端部の外周に延びる第1の周方向ループと、第2のステントの端部の外周に延びる第2の周方向ループと、第1の周方向ループと第2の周方向ループの間に延びる接続スーチャ部分とを含み、接続スーチャ部分の弛み部分は、第2のステントの端部が倒壊を始める前に第1のステントの端部が部分的に倒壊されるのに伴ってピンと引っ張られる。
【0022】
追加的又は代替的に、別の実施形態では、第1のステントは、可撓性ポリマースリーブによってのみ第2のステントに連結される。
例示的な実施形態についての上記概要は、開示された各実施形態又は本開示のすべての実施を説明することを意図するものではない。
【0023】
本発明は、添付の図面と合わせて、様々な実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図6】第1の構成の回収スーチャを備える
図1の例示的なインプラントを示す側面図。
【
図7】
図6の例示的なインプラントを部分的に収縮した形態で示す側面図。
【
図8】
図6の例示的なインプラントを完全に収縮した形態で示す側面図。
【
図9】第2の構成の回収スーチャを備える
図1の例示的なインプラントを示す側面図。
【
図10】
図9の例示的なインプラントを部分的に収縮した形態で示す側面図。
【
図11】
図9の例示的なインプラントを完全に収縮した形態で示す側面図。
【
図12】別の例示的なインプラントの回収スーチャを示す側面図。
【
図13】
図12の例示的なインプラントを部分的に収縮した形態で示す側面図。
【
図14】
図12の例示的なインプラントを完全に収縮した形態で示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、様々な変更形態及び代替形態が可能であるが、それらのうちの特別なものが、例示することを目的として図面に示され、詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、本発明の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、本発明の精神及び範囲内にあるすべての変更物、均等物、及び代替物を網羅することにある。
【0026】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、以下の定義が適用されるものとする。
本明細書では、数値はすべて明示的に示されているか否かに関係なく、「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(つまり、同じ機能又は結果を有する)と見なすであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含むことを示す。
【0027】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関連するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されているが、本開示によって刺激された当業者は、明示的に開示されたものから所望の寸法、範囲、及び/又は値が逸脱する可能性があることが理解できる。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに別に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「又は(or)」という用語は、内容が明確に別に指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に使用される。
【0029】
本開示の目的のために、「近位」は、使用中に装置操作者に近い方の端部を指し、「遠位」は、使用中に装置操作者から遠い方の端部を指す。
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。異なる図面の類似する要素には同一番号が付されている。詳細な説明及び必ずしも縮尺どおりではない図面は、例示的な実施形態を示し、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。図に示す例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。任意の例示的な実施形態の選択された要素は、反対に明確に述べられていない限り、追加の実施形態に組み込むことができる。
【0030】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の要素、構造、又は特徴を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の要素、構造、又は特徴を含まなくてもよいことに留意されたい。さらに、そのような用語は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような要素、構造、又は特性は、反対に明記されない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0031】
胃十二指腸閉塞(GOO)は、胃内容物の排出の機械的障害を生じるあらゆる疾患プロセスの臨床的及び病態生理学的結果である。胃出口閉塞の存在は、幽門機能障害を引き起こす幽門洞や幽門に影響を与える病状、又は遠心性の流れを制限する近位十二指腸の病状に分類することができる。消化性潰瘍疾患(PUD)、幽門狭窄症、胃ポリープなどの臨床症状は、前者の病因を表し、膵臓癌、膨大部癌、十二指腸癌、胆管癌は後者の病因を表す。いくつかの場合には、胃腸(GI)自己拡張型ステントを使用してその部位にステントを留置することにより、胃十二指腸閉塞を直接治療することができる。しかしながら、幽門弁を横切ってステントを配置すると、幽門が継続的に開いた形態のままになる可能性がある。そして、これにより十二指腸の中に胃液の漏出が生じる可能性がある。自然な幽門機能を維持しながら、迅速に閉塞を開くことを可能にする代替のステント設計が望まれる。
【0032】
図1は、第1の領域、すなわち近位領域12、第2の領域、すなわち中間領域14、第3の領域、すなわち中間領域16、及び第4の領域、すなわち遠位領域18を含む複数の領域を有する例示的な管腔内インプラント10の側面図を示す。例示的なインプラント10は、4つの領域12,14,16,18を有するものとして図に示され、説明されているが、インプラント10は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の任意の数の所望の領域を含み得る。さらに、領域12,14,16,18は、所望の構造及び材料の任意の組み合わせであり得る。いくつかの場合には、インプラント10は、インプラント10が体管腔に配置され拡張された後、インプラント10の遠位方向又は近位方向への変位及び/又は移動を防止するための要素(例えば、移動防止フレア、固定スパイク、スーチャなど)を含み得る。インプラント10は、第1の領域12の近位端24から第4の領域18の遠位端46までなど、インプラント10の全長にわたって延びるルーメン48を有する。
【0033】
いくつかの場合には、第1の領域12は、ルーメンを画定する長尺状ステントフレーム22を有したステント20の形態をとる。ステント20は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、ステント20の内面及び/又は外面に配置し得る。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又はステント20間隙を通過して管腔の中に食物が嵌頓することを低減し得る。外縁又は表面の一部を覆わないままにしておくと、シールを形成する過形成の領域を生成することができると考えられる。ステント20は、異なる直径の領域を含んでもよい。例えば、ステント20は、遠位端部に向かって径方向内方に先細になるフレア状(例えば、ステント20の他の部分に対して拡大された)近位端部24を含む。明示されていないが、ステント20は必要に応じて、一定の直径又は増加する直径(例えば、遠位方向に)の領域を含んでもよい。ステントフレーム22は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント10を体管腔内の所望の部位に固定することができる。
【0034】
いくつかの場合には、第3の領域16は、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム30を有したステント28の形態をとる。ステント28は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、ステント28の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又はステント28の隙間を通過して管腔内に食物が嵌頓することを低減する。ステント28は、近位端部32から遠位端部34まで均一な外径を有する。しかしながら、ステント28は必要に応じて、異なる直径の領域を含んでもよい。ステントフレーム30は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント10を体管腔内の所望の部位に固定することができる。明示されていないが、いくつかの実施形態では、遠位ステント28は、インプラント10の遠位端まで遠位に延びることができる。いくつかのさらなる非限定的な別の形態が、
図2~5に関して示され、説明されている。
【0035】
ステントフレーム22,30は、いくつかのフィラメントから製造された織り構造を有する。いくつかの実施形態では、ステントフレーム22,30は、例えば、ボストンサイエンティフィック社によって製造され販売されたULTRAFLEX(商標)ステントに見られるように、1つのフィラメントで編まれる。別の実施形態では、ステントフレーム22,30は、ボストンサイエンティフィック社によって製造され販売された、例えば、WALLFLEX(登録商標)、WALLSTENT(登録商標)、及びPOLYFLEX(登録商標)ステントに見られるように、いくつかのフィラメントで編まれる。さらに別の実施形態では、ステントフレーム22,30は、ボストンサイエンティフィック社のPRECISIONCOLONIC(商標)ステントなどのように結節型である。さらに別の実施形態では、ステントフレーム22,30は、ボストンサイエンティフィック社によって製造されたEPIC(商標)ステントなどのようにレーザーカットされる。ステント22,30は、互いに同一又は異なる構造を有するように形成される。
【0036】
ステントフレーム22,30は、必要に応じて、金属、金属合金、形状記憶合金、及び/又はポリマーなどであるがこれらに限定されない多くの異なる材料から作製することができ、体内に正確に配置された時、ステント20,28を一定の形状に拡張可能にすると考えられる。ステントフレーム22,30の材料は、必要に応じて、同一であっても異なっていてもよい。いくつかの場合には、ステント20,28を比較的容易に除去できるように材料を選択することもできる。例えば、ステントフレーム22,30は、ニチノール及びELGILOY(登録商標)などであるがこれらに限定されない合金から形成することができる。構築のために選択された材料に応じて、ステント20,28は自己拡張型をなす(すなわち、拘束されていない時、自動的に径方向に拡張するように構成される)。いくつかの実施形態では、繊維を使用してステントフレーム22,30を製造することができ、これは、例えば、白金コアを有し、かつニチノールで作られた外側シェルを有する複合繊維である。ステントフレーム22,30は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ステント20,28は自己拡張型であるが、別の実施形態では、ステント20,28は、拡張装置(例えば、限定ではないが、インプラント10のルーメン48内に挿入されたバルーンなど)によって拡張される。本明細書で使用される場合には、「自己拡張」という用語は、外部付勢力(例えば、限定ではないが送達カテーテル又はシース)で拘束されていない時、予めプログラムされた直径に回復するステントの傾向を指す。
【0037】
ステント20,28の一方又は双方は、胃腸液などの流体又は他の物質の逆流を防止するために、ルーメン48内に配置されたエラストマースリット弁又はダックビル弁などの一方向弁を含んでもよい。
【0038】
いくつかの場合には、第2の部分14は、近位可撓性スリーブ36の形態をとり、第4の部分18は、遠位可撓性スリーブ42の形態をとる。近位スリーブ36は、近位ステント20の遠位端と遠位ステント28の近位端との間に延びる。例えば、近位スリーブ36は、スリーブ36の近位端部38に隣接する第1のステント、すなわち近位ステント20の遠位端部26に結合、固着、又は固定される。近位スリーブ36はまた、近位スリーブ36の遠位端部40に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント28の近位端部32に結合、固着、又は固定される。いくつかの場合には、近位スリーブ36は、近位ステント20の一部又は全部及び/又は遠位ステント28の一部又は全部と重なってもよい。いくつかの場合には、近位スリーブ36は、スリーブ36を介してルーメン48を開いた状態に保持する傾向のある構造上の構成要素を欠くため、ルーメン48を閉鎖する幽門弁の力を受けた時、スリーブ36が自身に向かって内方に収縮することを可能にする。遠位スリーブ42は、スリーブ42の近位端部44に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント28の遠位端部44に結合、固着、又は固定されて、遠位端部46まで遠位方向に延びる。いくつかの場合には、遠位スリーブ42は、遠位ステント28の一部又は全部と重なる。スリーブ36,42は、必要に応じて、個別の可撓性膜として、又は1個の単一構造として形成され得る。いくつかの実施形態では、スリーブ36,42は、インプラント10の長さの一部に、又はほぼ全長、又は全長に延び、ステント20,28を含むインプラント10の他のすべての部分(外面及び/又は内面)を覆う。換言すれば、領域12,14,16,18は、ステント20,28又はスリーブ36,42として説明したが、各領域は、フレーム構造及び可撓性スリーブ構造の一方又は双方を含み得る。スリーブ36,42は、接着剤、又は、限定ではないが、熱的方法、機械的方法などの当技術分野で知られている別の方法によって、ステント20,28の一方又は双方に固定できる。
【0039】
スリーブ36,42はそれぞれ、ルーメンを画定する長尺状の管状形状を有する。ステント20,28及び可撓性スリーブ36,42のルーメンは連通してインプラント10のルーメン48を形成する。インプラント10の領域12,14,16,18のうちの1つ以上は、必要に応じて、1つ以上のルーメンを含み得ることが企図される。スリーブ36,42は、それ自体で容易に収縮する薄い可撓性膜である。例えば、スリーブの一方又は双方は、インプラント10が天然弁、すなわち括約筋を有する体管腔内に配備された時、天然弁、すなわち括約筋によって付与される径方向の力の下でそれ自体に収縮するように構成される。しかしながら、スリーブ36,42の一方又は双方は、スリーブを拡張形態に保持するために放射状の支持体を備えていてもよい。例示的なサポートのいくつかの例及び説明は、2016年11月9日に出願された「展開可能なスリーブ及び関連する方法」という発明の名称を有する同時係属中の特許出願番号第62/419,707号明細書に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
スリーブ36,42は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、生体吸収性プラスチック(例えば、ポリ乳酸)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、アクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性エラストマー、サーモセットエラストマー(例、シリコーン)、ポリ-p-キシリレン(パリレン)、フルオロポリマー(例、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(PVDFHFP)、生物プラスチック(例、セルロースアセテート)等のうちの1つ以上を含有しうる。スリーブ36,42は、追加的又は代替的に、ポリウレタン及びそのコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、セルロース系、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、スチレンイソプレンブタジエン(SIBS)ブロックコポリマー、アクリル、ポリ(グリコリド-ラクチド)共重合体、Tecothane(登録商標)、PEBAX(登録商標)、ポリ(ガンマ-カプロラクトン)、ポリ(ガンマ-ヒドロキシブチレート)、ポリジオキサノン、ポリ(ガンマ-エチルグルタミン酸)、ポリイミノカーボネート、ポリ(オルトエステル)、及び/又はポリ無水物のポリマー材料のうちの1つ以上を含み得る。限定ではないが、マサチューセッツ州ウィルミントンに本拠を置くアドバンソースマテリアルズ社によって製造されたChronoFlex(登録商標)、生体耐久性芳香族ポリカーボネートベースの熱可塑性ウレタンのファミリーなどとの、上記ポリマーのブレンドも使用できる。
【0041】
さらに詳細には、インプラント10は、概ね円筒形であり、これは必須ではないが、実質的に可撓性であって、消化管内部における収容に適した寸法に形成される。インプラント10が配置されるべき空洞の寸法及び形状に応じて、インプラントの様々な形状、寸法及び設計が構築され得る。様々な例において、インプラント10は、3~12インチ(約7.6~30.5センチメートル)、3~6インチ(約7.6~15.2センチメートル)、0.5~20フィート(0.15~6.1メートル)、3~5フィート(0.9~1.5メートル)、又は約2~4フィート(0.6~1.22メートル)の長さを有し得る。しかしながら、インプラント10は、いくつかの場合には、0.5フィート(0.15メートル)未満、又は20フィート(6.1メートル)を超える長さを有し得る。
【0042】
例示的な例では、インプラント10は、胃の出口に配置され、幽門を横切って十二指腸内に延び、例えば、胃十二指腸閉塞を治療するような寸法に形成される。そのような例では、近位ステント20は、インプラント10が胃の出口を通過して遠位方向に移動するのを防止するような寸法に形成される。例えば、近位ステント20の近位端部24は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲の外径50を有する。近位ステント20の形状は、胃出口の形状と一致、又は概ね適合するように形成されることが企図される。近位スリーブ36は、幽門を横切って延びるように構成され、約6mm~約15mmの範囲の長さ54を有する。遠位ステント28及び遠位スリーブ42は、十二指腸球部及び十二指腸内にそれぞれ配置されるような寸法に形成され、約15mm~約25mmの範囲の外径52を有する。遠位ステント28及び遠位スリーブ42は、約60mm~約150mmの範囲の長さ56をともに有する。遠位ステント28がインプラント10の遠位端まで遠位に延びた時、遠位ステント28は、約60mm~約150mmの範囲の長さ56を有する。これは単なる一例である。近位スリーブ36及び/又は遠位スリーブ42は、隣接する解剖学的構造に合わせた寸法及び形状に形成された近位ステント20及び/又は遠位ステント28を伴って、別の弁領域、すなわち括約筋領域を横切って配置される。
【0043】
患者に埋め込まれると、ステント20,28は、径方向外方の力を付与して、インプラント10を体管腔に固定することを支援する。インプラント10は、幽門洞-幽門-十二指腸、食道、胃食道接合部(GEJ)領域(例えば、スリーブ24が食道内に延びる噴門又はその近く)、又は、噴門又は噴門の近くに配置することができ、スリーブ24は、胃又は胃腸系の他の部分の中を通って延びる。一例では、インプラント10は、近位ステント20が胃出口に配置されて近位スリーブ36が幽門を橋渡しするように配置される。近位ステント20のフレア構造は、胃を使用してインプラント10を固定して、インプラント10の移動防止機構として機能し得る。例えば、近位ステント20の近位端24の大きな外径50は、胃の出口に係合してインプラント10の移動を防止又は制限し得る。遠位ステント28は、十二指腸球部内に配置され、遠位スリーブ42は、十二指腸内に延びる。近位スリーブ36は、各領域の相対位置が固定されるように近位ステント20及び遠位ステント28の双方に結合される。
【0044】
いくつかの場合には、幽門弁の機能は、胃十二指腸閉塞を引き起こした病状によって影響を受けたり低下したりしていない可能性がある。そのような場合には、幽門弁の正常な機能を可能にしながら、閉塞を開くことが望ましい場合がある。上記のように、近位スリーブ36は、可撓性材料から形成される。言い換えれば、近位スリーブ36は、周囲の組織に径方向外方に力を及ぼすように構成された構造を欠き、天然弁、すなわち括約筋によって付与された径方向に作用する力の下でそれ自体に収縮し得る。これにより、幽門弁が自然な方法で機能する(例えば開閉する)ことが可能になる。遠位ステント28は、胃十二指腸閉塞に隣接して配置される。遠位ステント28のステントフレーム30は、病状によって引き起こされた閉塞を開くのに十分な径方向の力(例えば、十分な径方向外方の力を及ぼす)を備えて構築される。
【0045】
図2は、第1の領域、すなわち近位領域102と、第2の領域、すなわち中間領域104と、第3の領域、すなわち遠位領域106とを含む複数の領域を有する別の例示的なインプラント100の側面図を示す。例示的なインプラント100は、形態及び機能において上記インプラント10に類似している。例示的なインプラント100は、3つの領域102,104,106を有するものとして図に示され、説明されているが、インプラント100は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の任意の数の所望の領域を含み得ることが企図される。さらに、領域102,104,106は、所望の構造及び材料の任意の組み合わせであり得る。いくつかの場合には、インプラント100は、インプラント100が体管腔に配置され拡張された後、インプラント100の遠位又は近位方向への変位及び/又は移動を防止するための要素(例えば、移動防止フレア、固定スパイク、スーチャなど)を含む。インプラント100は、第1の領域102の近位端114から第3の領域106の遠位端124まで延びるルーメン108を含む。
【0046】
いくつかの場合には、第1の領域102は、上記近位ステント20に形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム112を含むステント110の形態をとる。ステント110は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われる。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム112の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント110は、異なる直径の領域を含んでもよい。例えば、ステント110は、遠位端部116に向かって遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状(例えば、ステント110の他の部分に対して拡大された)近位端部114を含む。明示されていないが、ステント110は、必要に応じて、一定の直径又は増加する直径(例えば、遠位方向に増加する)の領域を含み得る。ステントフレーム112は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント100を体管腔内の所望の部位に固定することができる。
【0047】
いくつかの場合には、第3の領域106は、上記遠位ステント28に形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム120を含むステント118の形態をとる。ステント118は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われる。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム120の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント118は、近位端部122から遠位端部124まで均一な外径を有し得る。しかしながら、ステント118は、必要に応じて、異なる直径の領域を含んでもよい。ステントフレーム120は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント100を体管腔内の所望の部位に固定することができる。明示されていないが、いくつかの実施形態では、遠位ステント118は、インプラント100の遠位端まで遠位に延びる。
【0048】
いくつかの場合には、第2の部分104は、可撓性スリーブ126の形態をとる。スリーブ126は、近位ステント110の遠位端と遠位ステント118の近位端との間に延びる。例えば、スリーブ126は、スリーブ126の近位端部128に隣接する第1のステント、すなわち近位ステント110の遠位端部116に結合、固着、又は固定される。スリーブ126はまた、スリーブ126の遠位端部130に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント118の近位端部122に結合、固着、又は固定される。いくつかの場合には、スリーブ126は、近位ステント110の一部又は全部、及び/又は遠位ステント118の一部又は全部と重なってもよい。換言すれば、スリーブ126は、インプラント100が完全に覆われるように、近位ステント110の近位端部114から遠位ステント118の遠位端部124まで延びてもよい。代替的に及び/又は追加的に、近位ステント110及び遠位ステント118の一方又は双方を、スリーブ126とは異なる材料又は構造で覆って、完全に覆われたインプラント100を形成してもよい。スリーブ126は、接着剤、又は限定ではないが、当技術分野で知られている、熱的方法、機械的方法などの別の方法によって、ステント110,118の一方又は双方に固定することができる。
【0049】
スリーブ126は、ルーメンを画定する長尺状の管状形状を有し、上記スリーブ36,42と形態又は機能が類似する。ステント110,118のルーメン及び可撓性スリーブ126は連通して、インプラント100のルーメン108を形成する。インプラント100の領域102,104,106のうちの1つ以上は、必要に応じて、1つ以上のルーメンを含み得ることが企図される。スリーブ126は、それ自体で容易に収縮する薄い可撓性膜である。しかしながら、いくつかの場合には、スリーブ126は、放射状の支持を備えてもよい。
【0050】
スリーブ126は、スリーブ126の厚みを貫通して延びる1つ以上の長手方向に延びるスロット132を備える。スロット132を形成するために材料を除去することによって、スリーブ126の変形能及び/又は可動性を増加させながら、連結要素が近位ステント110と遠位ステント118との間に残留することを可能にする。したがって、スリーブ126が、限定ではないが幽門弁などの弁、すなわち括約筋を横切って配置された時、弁領域を横切って配置された材料の量が少ないことは、正常な弁機能をさらに可能にし得る。スリーブ126は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の所望の任意の数の長手方向に延びるスロット132を含んでもよい。スロット132は、スリーブ126の外周面に等間隔に(例えば、隣接するスロット132間に均一な距離を有する)、又はスリーブ126の外周面に偏心して(例えば、隣接するスロット132間に不均一な距離を有する)配置され得る。スロット132は、長手方向に(例えば、インプラント100の長手方向軸に沿って)延びると説明したが、スロット132は、インプラント100の長手方向軸に対して非平行な角度に沿って延びてもよい。例えば、スロット132は、スリーブ126の外周面にらせん状に延びてもよい。
【0051】
一例では、インプラント100は、胃の出口内に配置され、幽門を横切って十二指腸内に延びて、例えば、胃十二指腸閉塞を治療するような寸法に形成される。そのような例では、近位ステント110は、インプラント100が胃の出口を通過して遠位方向に移動することを防止する寸法に形成される。例えば、近位ステント110の近位端部114は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲の外径134を有する。近位ステント110の形状は、胃出口の形状に一致、又は概ね適合するように形成される。スリーブ126は、幽門を横切って延びるように構成されて、約6mm~約15mmの範囲の長さ136を有する。遠位ステント118は、十二指腸球部及び十二指腸内にそれぞれ配置されるような寸法に形成され、約15mm~約25mmの範囲の外径138を有する。遠位ステント118は、約60mm~約150mmの範囲の長さ140を有する。これは、単なる例である。スリーブ126は、隣接する解剖学的構造に合わせた寸法及び形状に形成された近位ステント110及び/又は遠位ステント118を伴って、別の弁、すなわち括約筋領域を横切って配置され得ることが企図される。
【0052】
患者に埋め込まれると、ステント110,118は、径方向外方に力を付与して、インプラント100を体管腔に固定することを支援し得る。インプラント100は、食道、胃食道接合部(GEJ)領域、又は幽門又は幽門の近くに配置され、スリーブ114は、胃又は胃腸系の他の部分を通って延びる。一例では、インプラント100は、近位ステント110が胃出口に配置されてスリーブ126が幽門を橋渡しするように配置される。近位ステント110のフレア構造は、胃を使用してインプラント100を固定して、インプラント100の移動防止機構として機能し得る。例えば、近位ステント110の近位端114の大きな外径134は、胃出口に係合してインプラント100の移動を防止又は制限し得る。遠位ステント118は、十二指腸球部内に配置されて十二指腸の中に延びる。スリーブ126は、各領域の相対位置が固定されるように、近位ステント110及び遠位ステント118の双方に結合される。
【0053】
いくつかの場合には、幽門弁の機能は、胃十二指腸閉塞を引き起こした病状によって影響を受けたり低下したりしていない可能性がある。そのような場合には、幽門弁の正常な機能を可能にしながら、閉塞を開くことが望ましい場合がある。上記のように、スリーブ126は、スロット132の追加によってより可撓性又は柔軟性を形成することができる可撓性材料で形成される。言い換えれば、スリーブ126と、したがって近位ステント110と遠位ステント118との間の中間領域104の長さは、周囲の組織に径方向外方の力を及ぼすように構成された任意の構造を欠く。これにより、幽門弁は、自然な方法で機能する(例えば、開閉する)ことが可能になる。遠位ステント118は、胃十二指腸閉塞に隣接して配置される。遠位ステント118のステントフレーム120は、病状によって生じた閉塞を開くのに十分な径方向の力を備えて(例えば、十分な径方向外方の力を及ぼす)構築される。
【0054】
図3は、第1の領域152、第2の領域154、及び第3の領域156を含む複数の領域を有する別の例示的なインプラント150の側面図を示す。例示的なインプラント150は、形態及び機能が上記インプラント10に類似している。例示的なインプラント150は、3つの領域152,154,156を有するものとして図に示され、説明されているが、インプラント150は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の任意の数の所望の領域を含み得ることが企図される。さらに、領域152,154,156は、所望の構造及び材料の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの場合には、インプラント150は、インプラント150が体管腔に配置され拡張された後、インプラント150の遠位又は近位方向への変位及び/又は移動を防止するための要素(例えば、移動防止フレア、固定スパイク、スーチャなど)を含む。インプラント150は、第1の領域152の近位端164から第3の領域156の遠位端174まで延びるルーメン158を含む。
【0055】
いくつかの場合には、第1の領域152は、上記近位ステント20に形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム162を含むステント160の形態をとる。ステント160は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム162の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント160は、異なる直径の領域を含んでもよい。例えば、ステント160は、遠位端部166に向かって遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状(例えば、ステント160の他の部分に対して拡大された)近位端部164を含む。明示されていないが、ステント160は、必要に応じて、一定の直径又は増加する直径(例えば、遠位方向に増加する)の領域を含んでもよい。ステントフレーム162は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント150を体腔内の所望の部位に固定することができる。
【0056】
いくつかの場合には、第3の領域156は、上記遠位ステント28に形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム170を含むステント168の形態をとる。ステント168は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。例えば、部分的なカバーを使用して、固定のため、又は例えば胆汁又は他のアクセスのために、過形成を引き起こすことができる。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム170の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント168は、近位端部172から遠位端部174まで均一な外径を有する。しかしながら、ステント168は、必要に応じて、異なる直径の領域を含んでもよい。ステントフレーム170は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント150を体管腔内の所望の部位に固定することができる。明示されていないが、いくつかの実施形態では、遠位ステント168は、インプラント150の遠位端まで遠位に延びる。
【0057】
いくつかの場合には、第2の部分154は、可撓性スリーブ176の形態をとる。スリーブ176は、近位ステント160の遠位端と遠位ステント168の近位端との間に延びる。例えば、スリーブ176は、スリーブ176の近位端部178に隣接する第1のステント、すなわち近位ステント160の遠位端部166に結合、固着、又は固定される。スリーブ176はまた、スリーブ176の遠位端部180に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント168の近位端部172に隣接して又はその遠位に結合、固着、又は固定される。いくつかの場合には、スリーブ176は、近位ステント160の一部又は全部、及び/又は遠位ステント168の一部に重なってもよい。換言すれば、スリーブ176は、インプラント150が完全に覆われないように、近位ステント160の近位端部164から遠位ステント168の遠位端部174に近位の部位まで延びる。例えば、遠位ステント168の少なくとも一部は、むき出しのステントである。これは、組織の内部成長がインプラント150をさらに固定することを可能にする。いくつかの場合には、近位ステント160の全部又は一部は、むき出しである。代替的に及び/又は追加的には、近位ステント160及び遠位ステント168の一方又は双方は、部分的に覆われたインプラント150を設けるために、スリーブ176とは異なる材料又は構造で覆われてもよい。スリーブ176は、接着剤、又は、限定はないが、熱的方法、機械的方法などの当技術分野で知られている別の方法によって、ステント160,168の一方又は双方に固定することができる。
【0058】
スリーブ176は、ルーメンを形成する長尺状管状形状を有し、上記スリーブ36,42と形態又は機能が類似する。ステント160,168及び可撓性スリーブ176のルーメンは連通して、インプラント150ルーメン158を形成する。インプラント150の領域152,154,156のうちの1つ以上は、必要に応じて、1つ以上のルーメンを含み得ることが企図される。スリーブ176は、それ自体の上容易に倒壊する薄い可撓性膜である。しかしながら、いくつかの場合には、スリーブ176は、放射状の支持を備えてもよい。
【0059】
スリーブ176は、スリーブ176の厚さを貫通して延びる1つ以上の開口182を含む。例えば、スリーブ176は、メッシュ状の構造を有する。開口182を形成するための材料の除去は、スリーブ176の変形能及び/又は可動性を増加させながら、連結要素が近位ステント160と遠位ステント168との間に残留することを可能にする。したがって、スリーブ176が、限定ではないが、幽門弁などの弁、すなわち括約筋を横切って配置される場合には、弁領域を横切って配置される材料の量の減少は、正常な弁機能をさらに可能にし得る。スリーブ176は、限定ではないが、1,2,3,10,20,50,又はそれ以上などの所望する任意の数の開口182を含み得る。開口182は、スリーブ176の外周及び/又は長さの周囲に等間隔に(例えば、隣接する開口182間に均一な距離を有する)、又はスリーブ176の外周及び/又は長さの周囲に偏心して(例えば、隣接する開口182間に均一でない距離を有する)配置される。
【0060】
例示的な例では、インプラント150は、胃の出口内に配置され、幽門を横切って十二指腸内に延びて、例えば、胃十二指腸閉塞を治療するような寸法に形成される。そのような例では、近位ステント160は、インプラント150が胃の出口を通って遠位に移動することを防止するような寸法に形成される。例えば、近位ステント160の近位端部164は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲の外径184を有する。近位ステント160の形状は、胃出口の形状に一致、又は概ね適合するように形成される。スリーブ176は、幽門を横切って延びるように構成され、約6mm~約15mmの範囲の長さ186を有する。遠位ステント168は、十二指腸球部及び十二指腸内にそれぞれ配置されるような寸法に形成され、約15mm~約25mmの範囲の外径188を有する。遠位ステント168は、約60mm~約150mmの範囲の長さ190を有する。これは、単なる例である。スリーブ176は、隣接する解剖学的構造に合わせた寸法及び形状に形成された近位ステント160及び/又は遠位ステント168を伴って、別の弁領域、すなわち括約筋領域を横切って配置されることが企図される。
【0061】
患者の体内に埋め込まれると、ステント160、168は、径方向外方に力を付与して、インプラント150を体管腔に固定することを支援する。インプラント150は、食道、胃食道接合部(GEJ)領域、又は幽門又は幽門の近くに配置され、スリーブ164は、胃又は胃腸系の他の部分を通って延びる。一例では、インプラント150は、近位ステント160が胃出口に配置されてスリーブ176が幽門を橋渡しするように配置される。近位ステント160のフレア構造は、胃を使用してインプラント150を固定して、インプラント150の移動防止機構として機能し得る。例えば、近位ステント160の近位端164の大きな外径184は、胃の出口に係合してインプラント150の動きを防止又は制限し得る。遠位ステント168は、十二指腸球内に配置されて十二指腸内に延びる。スリーブ176は、各領域の相対位置が固定されるように、近位ステント160及び遠位ステント168の双方に結合される。
【0062】
いくつかの場合には、幽門弁の機能は、胃十二指腸閉塞を引き起こした病状によって影響を受けたり低下したりしていない可能性がある。そのような場合には、幽門弁の正常な機能を可能にしながら、閉塞を開くことが望ましい場合がある。上記のように、スリーブ176は、開口182の追加によって可撓性又は柔軟性を高めることができる可撓性材料で形成することができる。言い換えれば、スリーブ176、したがって近位ステント160と遠位ステント168との間の中間領域154の長さは、周囲の組織に径方向方に力を及ぼすように構成された任意の構造を欠く。これにより、幽門弁は、自然的な方法で機能する(例えば、開閉する)ことが可能となる。遠位ステント168は、胃十二指腸閉塞に隣接して配置される。遠位ステント168のステントフレーム170は、病状によって引き起こされた閉塞を開くのに十分な径方向の力を備えて(例えば、十分な径方向外方の力を及ぼす)構築される。
【0063】
図4は、第1の領域202、第2の領域204、及び第3の領域206を含む複数の領域を有する別の例示的なインプラント200の側面図を示す。例示的なインプラント200は、形態及び機能が上記インプラント10と類似している。例示的なインプラント200は、3つの領域202、204、206を有するものとして図に示され、説明されているが、インプラント200は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の任意の数の所望の領域を含み得ることが企図される。さらに、領域202、204、206は、所望の構造及び材料の任意の組み合わせであり得る。いくつかの場合には、インプラント200は、インプラント200が体管腔に配置され拡張された後、インプラント200の遠位又は近位方向への変位及び/又は移動を防止するための要素(例えば、移動防止フレア、固定スパイク、スーチャなど)を含む。インプラント200は、第1の領域202の近位端124から第3の領域206の遠位端224まで延びるルーメン208を含む。
【0064】
いくつかの場合には、第1の領域202は、ルーメン画定する長尺状管状ステントフレーム212を含むステント210の形態をとり、上記近位ステント20に形態及び機能が類似する。ステント210は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム212の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント210は、異なる直径の領域を含んでもよい。例えば、ステント210は、遠位端部216に向かって遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状(例えば、ステント210の他の部分に対して拡大された)近位端部214を含む。明示されていないが、ステント210は、必要に応じて、一定の直径又は増加する直径(例えば、遠位方向に増加する)の領域を含み得る。ステントフレーム212は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント200を体管腔内の所望の部位に固定することができる。
【0065】
いくつかの場合には、第3の領域206は、上記遠位ステント28に形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム220を含むステント218の形態をとる。ステント218は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム220の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント218は、その近位端部222からその遠位端部224に近位側の位置まで均一な外径を有する。いくつかの例では、遠位端部224は、フレア領域226を含む(例えば、直径が増加するか、又はステント218の他の部分と比較して拡大された直径を有する)。いくつかの実施形態では、フレア領域226は、所望に応じて、比較的一定の拡大直径に急激に、段階的に、フレア状に、又は傾斜して移行する移行領域228を含み得る。別の実施形態では、フレア領域は、その全長に沿って傾斜又はフレアする(例えば、連続的に変化する外径)。ステントフレーム220は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント200を体腔内の所望の部位に固定することができる。明示されていないが、いくつかの実施形態では、遠位ステント218は、インプラント200の遠位端まで遠位に延びる。
【0066】
いくつかの場合には、第2の部分204は、可撓性スリーブ230の形態をとる。スリーブ230は、近位ステント210の遠位端と遠位ステント218の近位端との間に延びる。例えば、スリーブ230は、スリーブ230の近位端部232に隣接する第1のステント、すなわち近位ステント210の遠位端部216に結合、固着、又は固定される。スリーブ230はまた、スリーブ230の遠位端部234に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント218の近位端部222に隣接、又はその遠位に結合、固着、又は固定される。いくつかの場合には、スリーブ230は、近位ステント210の一部又は全部、及び/又は遠位ステント218の一部に重なっていてもよい。別の言い方をすれば、スリーブ230は、インプラント200が完全に覆われるように、近位ステント210の近位端部214から遠位ステント218の遠位端部224まで延びていてもよい。代替的に及び/又は追加的に、近位ステント210及び遠位ステント218の一方又は双方は、部分的に覆われたインプラント200を設けるために、スリーブ230とは異なる材料又は構造で覆われてもよい。スリーブ230は、接着剤、又は、限定ではないが、熱的方法、機械的方法などの当技術分野で知られている別の方法によって、ステント210、218の一方又は双方に固定することができる。
【0067】
スリーブ230は、ルーメンを画定する長尺状の管状形状を有し、上記スリーブ36,42に形態又は機能が類似する。ステント210、218及び可撓性スリーブ230のルーメンは連通して、インプラント200のルーメン208を形成する。インプラント200の領域202,204,206のうちの1つ以上は、必要に応じて、1つ以上のルーメンを含み得ることが企図される。スリーブ230は、それ自体の上に容易に倒壊する薄い可撓性膜である。しかしながら、いくつかの場合には、スリーブ230は、放射状の支持を備えてもよい。
【0068】
例示的な例では、インプラント200は、胃の出口内に配置され、幽門を横切って十二指腸内に延びて、例えば胃十二指腸閉塞を治療するような寸法に形成される。そのような例では、近位ステント210は、インプラント200が胃の出口を通って遠位に移動することを防止するような寸法に形成される。例えば、近位ステント210の近位端部214は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲の外径236を有する。近位ステント210の形状は、胃出口の形状と一致、又は概ね適合するように形成されることが企図される。スリーブ230は、幽門を横切って延びるように構成され、約6mm~約15mmの範囲の長さ238を有する。遠位ステント218は、十二指腸球部及び十二指腸内にそれぞれ配置されるような寸法に形成されて、約15mm~約25mmの範囲の外径240を有する。遠位ステント218は、約60mm~約200mmの範囲の長さ242を有する。これは、単なる例である。スリーブ230は、隣接する解剖学的構造に合わせた寸法及び形状に形成された近位ステント210及び/又は遠位ステント218を伴って、別の弁領域、すなわち括約筋領域を横切って配置されることが企図される。
【0069】
患者に埋め込まれると、ステント210,218は、径方向外方の力を付与して、インプラント200を体管腔に固定することを支援することができる。インプラント200は、食道、胃食道接合部(GEJ)領域、又は幽門又は幽門の近くに配置されて、スリーブ210は、胃又は胃腸系の他の部分を通って延びる。一例では、インプラント200は、近位ステント210が胃出口に配置されてスリーブ230が幽門を橋渡しするように配置される。近位ステント210のフレア構造は、胃を使用してインプラント200を固定して、インプラント200の移動防止機構として機能し得る。例えば、近位ステント210の近位端214の大きな外径236は、胃出口に係合してインプラント200の移動を防止又は制限し得る。遠位ステント218は、十二指腸球内に配置されて十二指腸内に延びる。スリーブ230は、各領域の相対位置が固定されるように、近位ステント210及び遠位ステント218の双方に結合される。
【0070】
いくつかの場合には、幽門弁の機能は、胃十二指腸閉塞を引き起こした病状によって影響を受けたり低下したりしていない可能性がある。そのような場合には、幽門弁の正常な機能を可能にしながら、閉塞を開くことが望ましい場合がある。言い換えれば、スリーブ230、したがって近位ステント210と遠位ステント218との間の中間領域204の長さは、周囲の組織に径方向外方の力を及ぼすように構成された任意の構造を欠く。これにより、幽門弁は、自然的な方法で機能する(例えば、開閉する)ことが可能になる。遠位ステント218は、胃十二指腸閉塞に隣接して配置される。遠位ステント218のステントフレーム220は、病状によって引き起こされた閉塞を開くのに十分な径方向の力を備えて(例えば、十分な径方向外方の力を及ぼす)構築される。
【0071】
図5は、第1の領域252、第2の領域254、及び第3の領域256を含む複数の領域を含む別の例示的なインプラント250の側面図を示す。例示的なインプラント250は、形態及び機能が上記インプラント10と類似している。例示的なインプラント250は、3つの領域252,254,256を有するものとして図に示され、説明されているが、インプラント250は、限定ではないが、1,2,3,4,又はそれ以上の任意の数の所望の領域を含み得ることが企図される。さらに、領域252,254,256は、所望の構造及び材料の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの場合には、インプラント250は、インプラント250が体管腔に配置され拡張された後、インプラント250の遠位又は近位方向への変位及び/又は移動を防止するための要素(例えば、移動防止フレア、固定スパイク、スーチャなど)を含む。インプラント250は、第1の領域252の近位端264から第3の領域256の遠位端224まで延びるルーメン258を含む。
【0072】
いくつかの場合には、第1の領域252は、上記近位ステント20と形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム262を含むステント260の形態をとる。ステント260は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われる。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム262の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント260は、異なる直径の領域を含んでもよい。例えば、ステント260は、遠位端部266に向かって遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状の(例えば、ステント260の他の部分に対して拡大された)近位端部264を含む。明示されていないが、ステント260は、必要に応じて、一定の直径又は増加する直径(例えば、遠位方向に増加する)の領域を含んでもよい。ステントフレーム262は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント250を体腔内の所望の部位に固定することができる。
【0073】
いくつかの場合には、第3の領域256は、上記遠位ステント28と形態及び機能が類似する、ルーメンを画定する長尺状管状ステントフレーム270を含むステント268の形態をとる。いくつかの実施形態では、遠位ステントフレーム270は、近位ステントフレーム262とは異なる技術を使用して形成することができる。例えば、遠位ステントフレーム270は編立てられ、近位ステントフレーム262は編組されてもよい。これは単なる例である。必要に応じて、ステントフレームの他の組み合わせを使用することもできる。ステント268は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われてもよい。カバーは、必要に応じて、ステントフレーム270の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。ステント268は、近位端部272から遠位端部274まで均一な外径を有する。しかしながら、ステント268は、必要に応じて、異なる直径の領域を含んでもよい。ステントフレーム270は、径方向に収縮した送達時形態と径方向に拡張した展開時形態との間で拡張可能である。拡張形態は、インプラント250を体管腔内の所望の部位に固定することができる。明示されていないが、いくつかの実施形態では、遠位ステント268は、インプラント250の遠位端まで遠位に延びる。
【0074】
いくつかの場合には、第2の部分254は、可撓性スリーブ276の形態をとる。スリーブ276は、近位ステント260の遠位端と遠位ステント268の近位端との間に延びる。例えば、スリーブ276は、スリーブ276の近位端部278に隣接する第1のステント、すなわち近位ステント260の遠位端部266に結合、固着、又は固定される。スリーブ276はまた、スリーブ276の遠位端部280に隣接する第2のステント、すなわち遠位ステント268の近位端部222に隣接して、又はその遠位に結合、固着、又は固定される。いくつかの場合には、スリーブ276は、近位ステント260の一部又は全部、及び/又は遠位ステント268の一部に重なってもよい。換言すれば、スリーブ276は、インプラント250が完全に覆われるように、近位ステント260の近位端部264から遠位ステント268の遠位端部224まで延びていてもよい。代替的に及び/又は追加的には、近位ステント260及び遠位ステント268の一方又は双方は、部分的に覆われたインプラント250を設けるために、スリーブ276とは異なる材料又は構造で覆われてもよい。スリーブ276は、接着剤、又は限定ではないが、熱的方法、機械的方法などの当技術分野で知られている他の方法によってステント260,268の一方又は双方に固定することができる。
【0075】
スリーブ276は、ルーメンを画定する長尺状の管状形状を有し、上記スリーブ36,42と形態又は機能が類似する。ステント260,268及び可撓性スリーブ276のルーメンは連通してインプラント250のルーメン258を形成する。インプラント250の領域252,254,256のうちの1つ以上は、必要に応じて、1つ以上のルーメンを含み得ることが企図される。スリーブ276は、それ自体の上に容易に倒壊する薄い可撓性膜である。しかしながら、いくつかの場合には、スリーブ276は、放射状の支持を備えてもよい。
【0076】
例示的な例では、インプラント250は、胃の出口内に配置され、幽門を横切って十二指腸内に延びて、例えば胃十二指腸閉塞を治療するような寸法に形成される。そのような例では、近位ステント260は、インプラント250が胃の出口を通過して遠位方向に移動することを防止するような寸法に形成される。例えば、近位ステント260の近位端部264は、約25ミリメートル(mm)~約50mmの範囲の外径282を有する。近位ステント260の形状は、胃出口の形状と一致、又は概ね適合するように形成されることが企図される。スリーブ276は、幽門を横切って延びるように構成されて約6mm~約15mmの範囲の長さ284を有する。遠位ステント268は、十二指腸球部及び十二指腸内にそれぞれ配置されるような寸法に形成され、約15mm~約25mmの範囲の外径286を有する。遠位ステント268は、約60mm~約250mmの範囲の長さ288を有する。これは、単なる例である。スリーブ276は、隣接する解剖学的構造に合わせた寸法及び形状に形成された近位ステント260及び/又は遠位ステント268を伴って、別の弁領域、すなわち括約筋領域にわたって配置され得ることが企図される。
【0077】
患者の体内に埋め込まれると、ステント260、268は、径方向外方の力を付与して、インプラント250を体管腔に固定することを支援することができる。インプラント250は、食道、胃食道接合部(GEJ)領域、又は幽門又は幽門の近くに配置され、スリーブ264は、胃又は胃腸系の他の部分を通って延びる。一例では、インプラント250は、近位ステント260が胃の出口に配置されてスリーブ276が幽門を橋渡しするように配置される。近位ステント260のフレア構造は、胃を使用してインプラント250を固定して、インプラント250の移動防止機構として機能し得る。例えば、近位ステント260の近位端264の大きな外径282は、胃出口に係合してインプラント250の移動を防止又は制限し得る。遠位ステント268は、十二指腸球内に配置されて十二指腸内に延びる。スリーブ276は、各領域の相対位置が固定されるように、近位ステント260及び遠位ステント268の双方に結合される。
【0078】
いくつかの場合には、幽門弁の機能は、胃十二指腸閉塞を引き起こした病状によって影響を受けたり低下したりしていない可能性がある。そのような場合には、幽門弁の正常な機能を可能にしながら、閉塞を開くことが望ましい場合がある。言い換えれば、スリーブ276、したがって近位ステント260と遠位ステント268との間の中間領域254の長さは、周囲の組織に径方向外方の力を及ぼすように構成された任意の構造を欠く。これにより、幽門弁は、自然的な方法で機能する(例えば、開閉する)ことが可能となる。遠位ステント268は、胃十二指腸閉塞に隣接して配置される。遠位ステント268のステントフレーム270は、病状によって引き起こされた閉塞を開くのに十分な径方向の力を備えて(例えば、十分な径方向外方の力を及ぼす)で構築される。
【0079】
図6は、回収スーチャ60を含む
図1の例示的なインプラント10の側面図を示す。限定ではないが、
図6に示すインプラント10などのいくつかのインプラントは、取り外し可能又は再配置可能であるように設計され又は意図される。いくつかの場合には、図示のスーチャ60などのスーチャを使用して、インプラントの一部を収縮し(いくつかの場合には、スーチャは、インプラントの近位端に隣接する足場を通して織ることができる)、インプラントの外形を縮小しうる。上記のように、インプラント10は、近位ステント20が弁の近位側にあり、遠位ステント28が弁の遠位側にあるように、弁(例えば、幽門弁)を横切って配置される。近位ステント20のステントフレーム22は、遠位ステント28のステントフレーム30に直接連結されていないため、近位ステント20の近位端部24の中に織り合わされたスーチャは、必ずしも近位ステント20及び遠位ステント28双方の外形を縮小しない場合がある。インプラント10を除去又は再配置するために、近位ステント20及び遠位ステント28の双方の外形を、インプラント10を移動するために縮小する必要がある場合があることが企図される。例えば、遠位ステント28は、近位方向の移動を防止又は低減するために、幽門弁(又は別の天然の弁)よりも大きな展開時直径を有し得る。したがって、インプラント10を移動するために、遠位ステント28の外形は、展開時形態から縮小される必要がある。
【0080】
近位ステント20及び遠位ステント28の双方を収縮するために、スーチャ60は、それぞれが機能を実行するように構成された複数の構成要素又は領域を含む。スーチャ60の第1の領域は、ステントの除去又は再配置のために臨床手順中に鉗子などの器具で把持されるように構成された回収スーチャループ62である。回収スーチャループ62は、近位ステント20の近位端部24から近位方向に延びて、回収スーチャループ62を容易に把持して近位方向に引っ張ることができるようにする。しかしながら、これは必須ではない。いくつかの場合には、回収スーチャループ62を遠位ステント28の近くに配置することが望ましい場合がある。スーチャ60は、近位ステント20及び/又は遠位ステント28の様々な部分が所望の順序で収縮されるように、いくつかの異なるパターンで構成され得ることが企図される。例えば、いくつかの場合には、近位ステント20を収縮する前に、遠位ステント28の近位端部32を収縮することが望ましい場合がある。
【0081】
スーチャ60の第2の領域は、近位ステント20の近位端部24に織り込まれた第1のスーチャループ64を含む。第1のスーチャループ64は、近位ステント20の近位端部24の全周にわたって延びる。第1のスーチャループ64は、近位ステント20の外形を展開時形態から縮小するように構成される。スーチャ60の第3の領域は、遠位ステント28の近位端部32を介して織り込まれた第2のスーチャループ66を含む。第2のスーチャループ66は、遠位ステント28の近位端部32の全周にわたって延びる。第2のスーチャループ66は、遠位ステント28の外形を展開時形態から縮小するように構成される。スーチャ60の第4の領域は、第1のスーチャループ64と第2のスーチャループ66との間に延びて、それらを接続する接続スーチャ部分68を含む。接続スーチャ部分68は、回収スーチャループ62の作動が第1のスーチャループ64及び第2のスーチャループ66の双方に転送されるように、第1のスーチャループ64及び第2のスーチャループ66を接続するように構成される。いくつかの場合には、スーチャ60は、回収スーチャループ62などの第1のスーチャループ64から近位方向に延びる部分を含まない場合があるため、外科医は、第1のスーチャループ64を直接把持してインプラント10の回収を開始する。
【0082】
スーチャ60は、第1の端部70及び第2の端部72を有する一定の長さの材料から形成される。材料の長さは、必要に応じて、1つの長い連続した単一構造、又は連結された複数の構造であり得る。スーチャ60をインプラント10と組み立てるために、第1の端部70は、近位ステント20の周囲又は実質的に全周囲に延びるまで近位ステント20の近位端部24に隣接するステントフレーム22の中に織り込まれる。いくつかの場合には、スーチャ60は、第1のスーチャループ64の外周部分と接続スーチャ部分68との接続部でそれ自体に結ばれ、結索、又は固定される。次に、スーチャ60の第1の端部70は、遠位ステント28の近位端部32に到達するまで、近位ステント20及び近位スリーブ36の中を通って又はそれらに沿って遠位方向に前進されて、接続スーチャ部分68を形成する。必要に応じて、接続スーチャ部分68は、近位ステント20及び近位スリーブ36の外面に沿って、又は近位ステント20及び近位スリーブ36の内面(例えば、ルーメン48内)に沿って延びると考えられる。次に、スーチャ60の第1の端部70は、遠位ステント28の周囲又は実質的に全周囲に延びるまで、遠位ステント28の近位端部32に隣接するステントフレーム30の中に織り込まれる。次に、スーチャ60の第1の端部70は、それ自体又は遠位ステント28に結ばれ、結索され、又は固定される。スーチャ60の第2の端部72は、回収スーチャループ62を形成するためにループ状にされ、又は結索される。
【0083】
インプラント10を収縮するために、回収スーチャループ62、又は回収スーチャループ62を欠く場合には第1のスーチャループ64を、近位方向に引っ張る又は作動することができる。
図7に示すように、回収スーチャループ62、又は回収スーチャループ62を欠く場合には第1のスーチャループ64が近位方向に引っ張られると、第1のスーチャループ64は、近位ステント20の直径を拘束又は縮小し始める。
図7は、スーチャ60の作動中の例示的なインプラント10の側面図を示す。接続スーチャ部分68の長さは、近位ステントの近位端部24と遠位ステント28の近位端部32の直径の差、及び第1の近位ステント20の近位端部24及び遠位ステント28の近位端部32の間の距離の差の双方に基づいて予め定められ且つ選択され得る。接続スーチャ部分68の長さは、展開された拡張形態の第1のスーチャループ64と、第2のスーチャループ66との間の距離より長くてもよく、接続スーチャ部分68に弛みを設け得る。したがって、接続スーチャ部分68の長さは、第1のスーチャループ64が引っ張られて、弛みが取り込まれて接続スーチャ部分68がぴんと張るまえに近位ステント20の近位端部24を第1の量だけ拘束するように選択される。その後、回収スーチャループ62、又は回収スーチャループ62を欠く場合には第1のスーチャループ64をさらに引っ張ると、接続スーチャ部分68は、第2のスーチャループ66に引っ張り力を付与して遠位ステント28を拘束し始める。例えば、長さは、近位ステント20の近位端部24の直径が部分的に拘束され、又は直径が第1の量だけ縮小された時、第2のスーチャループ66がその近位端32に隣接する遠位ステント28の直径を拘束又は縮小し始めるように選択される。長さは、近位ステント20の近位端部24の直径が、遠位ステントの遠位端部32とほぼ同じ直径に拘束又は縮小された時、第2のスーチャループ66がその近位端32に隣接する遠位ステント28の収縮された直径を拘束し始めるように選択される。言い換えれば、接続スーチャ部分68は、第1のスーチャループ64が少なくとも部分的に拘束されるまで、回収スーチャループ62の近位方向の作動が第2のスーチャループ66を作動することを妨げるいくらかの弛み又は余分な長さを含む。近位ステント20の近位端部24が部分的に拘束された後(例えば、遠位ステント28の近位端部32と直径がほぼ等しくなる)、回収スーチャループ62を近位方向に作動し続けることにより、
図8に示すように、ほぼ同じ速度で同時に近位ステント20と遠位ステント28の双方の直径を縮小又は近位ステント20と遠位ステント28の双方を拘束する。
図8は、完全に拘束された形態の例示的なインプラント10の側面図を示す。これにより、円滑且つ簡単な再配置又は除去が可能になる。しかしながら、いくつかの実施形態では、接続スーチャ部分68の長さは、近位ステント20及び遠位ステント28の近位端部24、32が縮小する外形をほぼ同時に収縮するように選択されてもよい。
【0084】
図9は、代替的な回収スーチャ80を含む
図1の例示的なインプラント10を示す側面図である。近位ステント20及び遠位ステント28の双方を収縮するために、スーチャ80は、それぞれが機能を実行するように構成された複数の構成要素又は領域を含む。スーチャ80の第1の領域は、ステントの除去又は再配置のために臨床手順中に鉗子などの器具によって把持されるように構成された回収スーチャループ82である。スーチャ80の第2の領域は、遠位ステント28の遠位端部34内に織り合わされた第1のスーチャループ84を含む。第1のスーチャループ84は、遠位ステント28の外形をその展開時形態から縮小するように構成される。スーチャ80の第3の領域は、近位ステント20の遠位端部26の中に織り合わされた第2のスーチャループ86を含む。第2のスーチャループ86は、近位ステント20の外形をその展開時形態から縮小するように構成される。スーチャ80の第4の領域は、第1のスーチャループ84と第2のスーチャループ86との間に延びて、それらを接続する接続スーチャ部分88を含む。接続スーチャ部分88は、回収スーチャループ82の作動が第1のスーチャループ84及び第2のスーチャループ86の双方に変換されるように、第1のスーチャループ84及び第2のスーチャループ86を接続するように構成される。
【0085】
スーチャ80は、第1の端部90及び第2の端部72を有する一定の長さの材料から形成される。材料の長さは、必要に応じて、1つの長く連続した単一構造又は連結された複数の構造であり得る。スーチャ80をインプラント10と組み立てるために、第1の端部90は、遠位ステント28の周囲又は実質的に全周囲に延びるまで、遠位ステント28の遠位端部34に隣接するステントフレーム30の中に織り込まれる。いくつかの場合には、スーチャ80は、第1のスーチャループ84の外周部分と接続スーチャ部分88との連結部でそれ自体に結ばれ、結索され、又は固定される。スーチャ80の第1の端部90は、近位ステント20の遠位端部26に到達するまで、遠位ステント28及び近位スリーブ36の中を通って近位方向に進められて、接続スーチャ部分88を形成する。必要に応じて、接続スーチャ部分88は、遠位ステント28及び近位スリーブ36の外面に沿って、又は遠位ステント28及び近位スリーブ36の内面(例えば、ルーメン48内)に沿って延び得ると考えられる。スーチャ80の第1の端部90は、近位ステント20の周囲又は実質的に全周囲に延びるまで、近位ステント20の遠位端部26に隣接するステントフレーム22の中に織り込まれる。スーチャ80の第1の端部90は、それ自体又は近位ステント20に結ばれ、結索され、又は固定される。スーチャ80の第2の端部92は、回収スーチャループ82を形成するためにループ状にされ、又は結索される。
【0086】
インプラント10を収縮するために、回収スーチャループ82は、遠位方向に押され、又は作動される。装置は、ルーメン48の中を通過して進行されて、回収スーチャループ82を遠位方向に作動させるのに必要な遠位方向の力を及ぼすことができると考えられる。回収スーチャループ82が遠位方向に押されると、第1のスーチャループ84は、
図10に示すように、遠位ステント28の直径を拘束又は縮小し始める。
図10は、スーチャ80の作動中の例示的なインプラント10の側面図を示す。接続スーチャ部分88の長さは、遠位ステント28の遠位端部34と近位ステント20の遠位端部26の直径の差、及び、遠位ステント28の遠位端部34と近位ステント20の遠位端部26の間の距離の双方に基づいて予め定められ且つ選択されることが企図される。接続スーチャ部分88の長さは、展開された拡張形態における第1のスーチャループ84と第2のスーチャループ86との間の距離より長くてもよく、接続スーチャ部分88に弛みを設け得る。したがって、接続スーチャ部分88の長さは、第1のスーチャループ84が引っ張られて、弛みが取り込まれて接続スーチャ部分88がぴんと張る前に第1の量だけ遠位ステント28の遠位端部34を拘束するように選択され得る。その後、回収スーチャループ82をさらに引っ張ると、接続スーチャ部分88が第2のスーチャループ86に引っ張り力を付与して、近位ステント20の拘束を開始する。例えば、長さは、遠位ステント28の遠位端部34の直径が部分的に拘束され、又は直径が第1の量だけ縮小された時、第2のスーチャループ86が、遠位端26に隣接する近位ステント20の直径を拘束又は縮小し始めるように選択される。長さは、近位ステント20の遠位端部26の直径又は外形が縮小する前に、遠位ステント28の外形又は直径が少なくとも部分的に縮小されるように選択することができる。言い換えれば、接続スーチャ部分88は、第1のスーチャループ84が少なくとも部分的に拘束されるまで、回収スーチャループ82の遠位方向の作動が、第2のスーチャループ66を作動させることを妨げるいくらかの弛み又は余分な長さを含む。接続スーチャ部分88の弛みが遠位方向の作動によって消費された後、回収スーチャループ82を遠位方向に作動し続けることにより、
図11に示すように、ほぼ同じ速度で同時に近位ステント20及び遠位ステント28の双方の直径を縮小又は近位ステント20と遠位ステント28の双方を拘束させる。
図11は、完全に収縮した形態の例示的なインプラント10の側面図を示す。これにより、遠位方向に円滑且つ簡単な再配置又は除去が可能になる。しかしながら、いくつかの実施形態では、接続スーチャ部分88の長さは、近位ステント20及び遠位ステント28の遠位端部26、34が縮小する外形をほぼ同時に収縮するように選択されてもよい。
【0087】
明示されていないが、インプラント10は、臨床医がどのステント20、28(及び/又はステント20、28の領域)が最初に収縮するかを選択することを可能にする2つ以上のスーチャ又はスーチャパターンを備え得ることが企図される。例えば、インプラント10は、
図6~8に示すスーチャ構成60と
図9~11に示すスーチャ構成80の両方を備え得る。
【0088】
図12は、別の例示的なインプラント300の側面図を示す。
図302は、限定ではないがステントなどの別の例示的なインプラント300の側面図を示す。いくつかの場合には、ステント300は、長尺状管状ステントフレーム302で形成される。ステント300は一般に管状であると説明されるが、ステント300は、所望の任意の断面形状をとることができると考えられる。ステント300は、第1の近位端、すなわち近位端304、第2の近位端、すなわち遠位端306、及び第1の端部304と第2の端部306との間に配置された中間領域308を有する。ステント300は、食物、流体などを通過可能にするために、第1の端部304に隣接する第1の開口部から第2の端部306に隣接する第2の開口部まで延びるルーメン310を含む。
【0089】
ステント300は、第1の径方向収縮形態(明示されていない)から第2の径方向拡張形態に拡張可能である。いくつかの場合には、ステント300は、収縮形態と完全な拡張形態との間の形態に展開される。ステント300は、狭窄部を横切って延びて、管腔内の狭窄部に径方向外方に圧力を付与して管腔を開いて食物、流体、空気などを通過可能にするように構成される。
【0090】
ステントフレーム302は、いくつかのフィラメントから製造された織り構造を有する。いくつかの実施形態では、ステントフレーム22、30は、1つのフィラメントで編組される。別の実施形態では、ステントフレーム302は、例えば、ボストンサイエンティフィック社によって製造され販売されたWALLFLEX(登録商標)、WALLSTENT(登録商標)、及びPOLYFLEX(登録商標)ステントなどのように、いくつかのフィラメントで編組される。別の実施形態では、ステントフレーム302は、ボストンサイエンティフィック社製のULTRAFLEX(商標)ステントなどのように編まれる。さらに別の実施形態では、ステントフレーム302は、ボストンサイエンティフィック社製のPRECISIONCOLONIC(登録商標)ステントなどのように結節型にされる。さらに別の実施形態では、ステントフレーム302は、ボストンサイエンティフィック社製のEPIC(商標)ステントなどのようにレーザーカットされる。
【0091】
ステント300は、限定ではないが、金属、金属合金、形状記憶合金、及び/又はポリマーなどの多くの異なる材料で製造することができ、体内に正確に配置された時、ステント300を形状に拡張することができると考えられる。いくつかの場合には、材料は、ステント300を比較的容易に除去できるように選択される。例えば、ステント300は、限定ではないが、ニチノール及びELGILOY(登録商標)などの合金から形成される。選択された材料に応じて、ステント300は自己拡張型となり得る(すなわち、拘束されていない時、自動的に径方向に拡張するように構成される)。いくつかの実施形態では、繊維を使用してステント300を製造することができ、繊維は、例えば、白金コアを有するニチノールで作られた外側シェルを有する複合繊維である。ステント300は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ステント300は自己拡張型であり、別の実施形態では、ステント300は、拡張装置(例えば、ステント300のルーメン310内に挿入されたバルーンなど)によって拡張される。本明細書で使用される場合、「自己拡張」という用語は、外部付勢力(例えば、限定ではないが送達カテーテル又はシース)から拘束されていない時、ステントが予めプログラムされた直径に回復する傾向を指す。ステント300は、そのルーメン310内に配置されて胃腸液の逆流を防止するエラストマースリット弁又はダックビル弁などの一方向弁を含み得る。
【0092】
いくつかの場合には、径方向拡張形態では、ステント300は、近位端304に近接する第1の端部領域312と、第2の端部306に近接する第2の端部領域314とを含む。いくつかの実施形態では、第1の端部領域312及び第2の端部領域314は、中間部分308に対して拡大された直径を有する保持要素又は移動防止フレア領域(第2の端部領域314には明示されていない)を含む。ステント300の第1の端部304及び第2の端部306に隣接して配置された移動防止フレア領域は、食道、胃などの体管腔の壁の内側部分に係合するように構成される。いくつかの実施形態では、保持要素又はフレア領域は、食道、胃などの体管腔に配置されると、ステント300が移動するのを防止するために、ステント300の円筒形中間領域308よりも大きな直径を有する。中間領域308の断面積から保持要素又はフレア領域への移行は、必要に応じて漸進的、傾斜的、又は急激な段階的様式で起こることが企図される。別の実施形態では、ステント300は、近位端304から遠位端306まで均一な直径を有する。
【0093】
ステント300は、限定ではないが、金属、金属合金、形状記憶合金、及び/又はポリマーなどの多くの異なる材料から形成され、体内に正確に配置された時、ステント300を形状に拡張し得ると考えられる。いくつかの場合には、材料は、ステント300を比較的容易に除去できるように選択される。例えば、ステント300は、限定ではないが、ニチノール及びELGILOY(登録商標)などの合金で形成される。選択された材料に応じて、ステント300は、自己拡張し、又はステント300を拡張するために外力を必要とする。いくつかの実施形態では、複合フィラメントを使用してステント300を形成することができ、これは、例えば、ニチノールで作られた外側シェル又はクラッディング、及び白金などの放射線不透過性材料で形成されたコアを含み得る。ステント300は、限定ではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーから形成され得ることがさらに企図される。いくつかの場合には、ステント300のフィラメント又はその一部は、生体吸収性又は生分解性であるが、別例では、ステント300のフィラメント又はその一部は生体安定性である。
【0094】
インプラント300は、コーティング(明示されていない)などのポリマーカバーで完全に、実質的に、又は部分的に覆われ得る。カバーは、必要に応じて、インプラント300の内面及び/又は外面に配置することができる。そのように設けられた場合には、ポリマーカバーは、組織の内部成長を低減又は排除し及び/又は食物の嵌頓を低減し得る。
【0095】
インプラント300は、回収スーチャ320をさらに含み得る。スーチャ320は、ステントの除去及び/又は再配置のための臨床手順中に鉗子などの器具によって把持されるように構成された回収スーチャループ322を含む。スーチャ320は、インプラント300の長さに沿って間隔をおいてステントフレーム302に織り合わされて、複数のスーチャループ324a、324b、324c、324d、324e、324f、324g(まとめて324)を形成する。スーチャループ324はそれぞれ、ステントフレーム302の全周に延びる。スーチャループ324は、インプラント300の全長にわたって一定の間隔又は等間隔で配置され得ることが企図される。しかしながら、別の実施形態では、スーチャループ324は、必要に応じて、インプラント300の長さに沿って偏心した又は均一でない間隔で配置され得る。隣接するスーチャループ324は、間に延びるスーチャ320の長手方向の長さに接続される。例えば、隣接するスーチャループ324は、回収スーチャループ322の作動がインプラント300の長さに沿って連続した各スーチャループ324の間の長手方向に延びるスーチャ接続リンク326を介してスーチャループ324のそれぞれに変換されるように、スーチャ接続リンク326a,326b,326c,326d,326e,326f(集合的に326)に接続される。
【0096】
インプラント300を収縮するために、回収スーチャループ322、又は回収スーチャループ322を欠く場合には第1のスーチャループ134aが近位方向に引っ張られ又は作動される。スーチャ320を作動するために必要とされる作動方向(例えば、近位又は遠位)は、スーチャ320がステントフレーム302に織り合わされる方向に依存し得ることが企図される。回収スーチャループ322、又は回収スーチャループ322を欠く場合には第1のスーチャループ134aが作動された時、
図13に示すように、スーチャループ324は、インプラント300の直径を拘束又は縮小し始める。
図13は、スーチャ320の作動中の例示的なインプラント300の側面図を示す。いくつかの場合には、接続リンク326は、スーチャループ324が同時に(又はほぼ同時に)インプラント300をその長さに沿って拘束するような長さを有する。しかしながら、これは必須ではない。いくつかの場合には、接続リンク326は、スーチャループ324が順次作動されるような長さを有し得る。例えば、次の連続したスーチャループ324は、弛みが、先行する長手方向に延びるスーチャ接続リンク326から取り除かれ、スーチャ接続リンク326がぴんと張られて、次のスーチャループ324に力を付与するまで作動されない。回収スーチャループ322を作動し続けることにより、
図14に示すように、インプラント300の直径をさらに縮小することができる。
図14は、完全に収縮した形態の例示的なインプラント300の側面図を示す。複数のスーチャループ324を同時に拘束することにより、再配置又は除去中の回収スーチャループ322の作動とインプラント300の移動との間の遅延時間を短縮し得ることが企図される。これにより、血管壁への影響を最小限に抑えて、インプラント300を再配置及び/又は除去することが可能になり得る。
【0097】
インプラント10,100,150,200,250,300の様々な構成要素(及び本明細書に開示したものの変形例、システム、又は構成要素)、及び本明細書に開示した様々な要素に使用できる材料は、医療機器に一般的に対応するものを含む。簡潔にするために、以下の説明は、インプラント10,100,150,200,250,300(及び本明細書に開示した変形例、システム又は構成要素)について行う。しかしながら、本説明は、本明細書に開示した別の要素、部材、構成要素、又は装置に適用することができるため、これは、本明細書に記載した装置及び方法を限定することを意図するものではない。
【0098】
インプラント10,100,150,200,250,300は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示する)、金属-ポリマー複合体、セラミック、それらの組み合わせなど、又は別の適切な材料から製造される。適切な金属及び金属合金の例には、304V、304L、及び316LVステンレス鋼などのステンレス鋼、軟鋼、線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、別のHASTELLOY(登録商標)合金などのUNS:N10276)、ニッケル-銅合金(例:MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例::MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例:HASTELLOY(登録商標)ALLOYB2(登録商標)などUNS:N10665)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステン又はタングステン合金などの他のニッケル合金、及びコバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例:ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、プラチナ強化ステンレス鋼、チタン、それらの組み合わせなど、又は別の適切な材料が含まれ得る。
【0099】
本明細書で暗示されるように、市販のニッケル-チタン、すなわちニチノール合金の属には、「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがあり、これは、化学的には従来の形状記憶及び超弾性合金に類似するが、明確で有用な機械的特性を示す場合がある。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが、超弾性ニチノールのように、ひずみ/応力曲線において実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別される。代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、応力が、ほぼ線形又はある程度線形の関係で増加し続けるが、必ずしも、塑性変形が始まるまで又は超弾性ニチノールで見られる超弾性プラトー及び/又はフラグ領域より線形である関係でずっと線形でなくてもよい。したがって、本開示の目的においては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールとも呼ばれる。
【0100】
いくつかの場合には、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが実質的に弾性を維持しながら最大約2~5%のひずみを受け入れることができる(例えば、塑性変形する前に)一方で、超弾性ニチノールが塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れることができるという点で、超弾性ニチノールと区別することができる。これらの材料は両方とも、ステンレス鋼などの他の線形弾性材料(組成に基づいて区別することもできる)と区別可能であり、ステンレス鋼は、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れることができない。
【0101】
いくつかの実施形態では、線状弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたる示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金では、摂氏約-60度(℃)~約120℃の範囲で、DSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がない場合がある。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、一般に、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。言い換えれば、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特性及び/又は性質を維持する。
【0102】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケルチタン合金は、約50~約60重量パーセントの範囲でニッケルであり、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約54~約57重量パーセントの範囲でニッケルである。好適なニッケルチタン合金の一例は、神奈川県のフルカワテクノマテリアル株式会社から市販されているFHP-NT合金である。ニッケルチタン合金の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,238,004号明細書及び第6,508,803号明細書に開示されている。別の好適な材料には、ULTANIUM(登録商標)(Neo-Metrics社から入手可能)及びGUMMETAL(登録商標)(トヨタから入手可能)が含まれる。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を達成することができる。
【0103】
少なくともいくつかの実施形態では、インプラント10,100,150,200,250,300の一部又は全部は、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で製造され、又は放射線不透過性材料を含有し得る。放射線不透過性材料は、一般に、X線からガンマ線にわたる波長範囲(<0.005インチ(約0.013センチメートル)の厚さ)でRFエネルギーに対して不透明な材料であると理解されている。これらの材料は、組織などの非放射線不透過性材料が生成する明るい画像と比較して、蛍光透視スクリーン上に比較的暗い画像を生成することができる。この比較的明るい画像は、インプラント10,100,150,200,250,300の使用者がその位置を決定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料などが含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、同一の結果を達成するために、別の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルを、インプラント10,100,150,200,250,300の設計に組み込むこともできる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が、インプラント10,100,150,200,250,300に付与される。例えば、インプラント10,100,150,200,250,300又はその一部は、画像を実質的に歪ませることがなく且つ実質的なアーチファクト(すなわち、画像のギャップ)を生成しない材料で製造され得る。例えば、特定の強磁性体は、MRI画像にアーチファクトを作成する可能性があるため、適切でない。インプラント10,100,150,200,250,300又はその一部は、MRI装置が画像化することができる材料から製造されてもよい。これらの特性を示す材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばMP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなどが含まれる。
【0105】
適切なポリマーのいくつかの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM エンジニアリングプラスチックス社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社から入手可能なDURETHAN(登録商標)又はエルフアトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標)の商品名で入手可能なPEBA)など、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(REXELL(登録商標)など)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロリド(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、別の適切な材料、又は混合物、組み合わせ、それらのコポリマー、ポリマー/金属複合体などが含まれる。
【0106】
当業者であれば、本明細書に記載のインプラントの異なる実施形態、それらの動作モードなどが、本発明が動作する環境を単に代表するものであることが理解できる。したがって、様々な代替形状の協調構成要素もまた、ステントを所望の標的部位に係合、操縦、及び配置する目的で代替物として使用することができるため、本発明の範囲を限定しない。さらに、開示のインプラントは、適切に伸縮、伸長、及び後退可能であり、その柔軟な展開を可能にする。より詳細には、本明細書で説明した構成は、他の医療用途にも適用可能であるため、様々な別の医療装置をインプラントと組み合わせて使用することができる。それらの医療機器は、生検鉗子、はさみ、砕石器、拡張器、他の焼灼器具などを含み得る。
【0107】
さらに、インプラントは、例示的な剛性及び可撓性領域とともに一般的に説明されているが、他の様々な構成及び配置も企図され、考案され得る。さらに、本明細書に記載の操作、装置、及び構成要素は、漏れを回避したり別の治療が所望される部位に構成要素を配置する必要がある別の目的にも等しく適用できる。したがって、本開示の実施形態は、医療及び/又は非医療環境に適用可能である。さらに、上記実施形態の特定の態様は、開示された実施形態の範囲を逸脱することなく、組み合わせて選択的に使用されてもよいし、又は実施中に除去されてもよい。
【0108】
当業者であれば、本発明が、本明細書に記載及び企図された特定の実施形態以外の様々な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、添付の特許請求の範囲に記載されているように、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、形式及び詳細において変更が可能である。
(付記1)
長尺状管状部材を備えるインプラントにおいて、前記長尺状管状部材は、
近位端部及び遠位端部を有する第1の領域であって、遠位方向に径方向内方に先細になるフレア状近位ステントフレームを含む第1の領域と、
近位端部及び遠位端部を有する第2の領域であって、前記第1の領域の遠位端部から遠位方向に延びる可撓性スリーブを含む第2の領域と、
近位端部及び遠位端部を有する第3の領域であって、前記第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径より小さな外径を有する遠位ステントフレームを含み、且つ前記第2の領域の遠位端部から遠位方向に延びる第3の領域と、
を含み、
前記可撓性スリーブは、天然弁及び括約筋のうちの少なくともいずれか一方を横切って延び、且つ、径方向に付与された力に応答してそれ自体の上に倒壊する、インプラント。
(付記2)
体管腔から除去するために前記インプラントを少なくとも部分的に収縮するように構成された第1の回収スーチャをさらに含む、付記1に記載のインプラント。
(付記3)
前記第1の回収スーチャは、前記第1の領域の近位端部に隣接した前記フレア状近位ステントフレームに織り合わされた第1のスーチャループと、前記第3の領域の近位端部に隣接する前記遠位ステントに織り合わされた第2のスーチャループと、前記第1及び第2のスーチャループの間に延びて第1及び第2のスーチャループに接続された接続スーチャ部分とを含む、付記2に記載のインプラント。
(付記4)
前記第1の回収スーチャに付与された近位方向の力は、第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームを部分的に収縮する、付記2又は3に記載のインプラント。
(付記5)
前記第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径が部分的に収縮されると、前記遠位ステントフレームは、前記近位ステントフレームのさらなる収縮にともなって同時に収縮し始めるように構成される、付記5に記載のインプラント。
(付記6)
前記接続スーチャ部分は、前記遠位ステントフレームが収縮し始める前に、前記フレア状近位ステントフレームが部分的に収縮されるのに伴ってぴんと張るように構成された弛み部分を含む、付記3~5のいずれか一つに記載のインプラント。
(付記7)
前記第1の回収スーチャは、前記第3の領域の遠位端部に隣接する前記遠位ステントフレームに織り合わされた第1のスーチャループと、第1の領域の遠位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームに織り合わされた第2の回収スーチャループと、第1及び第2のスーチャループの間に延びて、第1及び第2のスーチャループに接続された接続スーチャ部分とを含む、付記2に記載のインプラント。
(付記8)
前記第1の回収スーチャに付与された遠位方向の力は、第3の領域の遠位端部に隣接する前記遠位ステントフレームを部分的に収縮する、付記7に記載のインプラント。
(付記9)
前記接続スーチャ部分は、前記フレア状近位ステントフレームが収縮し始める前に、前記遠位ステントフレームが部分的に収縮されるのに伴ってぴんと張るように構成された弛み部分を含む、付記7又は8に記載のインプラント。
(付記10)
第2の回収スーチャをさらに含む、付記2~9のいずれか一つに記載のインプラント。
(付記11)
前記第1及び前記第2の回収スーチャのうちの少なくとも一方は、前記遠位ステントフレームが収縮される前に、前記フレア状近位ステントフレームを少なくとも部分的に収縮するように構成される、付記10に記載のインプラント。
(付記12)
前記第1及び第2の回収スーチャのうちの少なくとも一方は、前記フレア状近位ステントフレームが収縮される前に、前記遠位ステントフレームを少なくとも部分的に収縮するように構成される、付記10に記載のインプラント。
(付記13)
前記フレア状近位ステントフレームは、胃の出口に適合する外形を有する、付記1~12のいずれか一つに記載のインプラント。
(付記14)
第1の領域の近位端部に隣接する前記フレア状近位ステントフレームの外径は、約25ミリメートル~約50ミリメートルである、付記1~13のいずれか一つに記載のインプラント。
(付記15)
前記遠位ステントフレームの外径は、約15ミリメートル~約25ミリメートルである、付記1~14のいずれか一つに記載のインプラント。