(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】真空容器による血液ガスサンプル安定化のための大気平衡真空
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20231228BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/00 101K
(21)【出願番号】P 2020569037
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2019037017
(87)【国際公開番号】W WO2019241537
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-04
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク,アレクサンダー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルディー‐ウィルソン,シルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】エデルハウザー,アダム
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-501742(JP,A)
【文献】米国特許第05683771(US,A)
【文献】特表2017-531782(JP,A)
【文献】特開平08-119653(JP,A)
【文献】国際公開第1998/055529(WO,A1)
【文献】積水メディカル株式会社,インセパックRII-D ST-SQ,カタログ,2007年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
G01N 33/48 -33/98
A61B 5/06 - 5/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液サンプルを受け取るための収集モジュールと、
開放端および閉鎖端を有する真空容器であって、その中に前記収集モジュールを含む真空容器と、
前記真空容器の前記開放端を閉じるクロージャと、を備え、
ここで、前記真空容器は、当該真空容器の外側の大気の標的ガス分圧に実質的に等しい標的ガスの選択分圧を有するガス組成を含む、生体液収集装置。
【請求項2】
前記真空容器は、当該真空容器の外側の大気の標的ガス分圧に実質的に等しい複数の標的ガスの選択分圧を備えるガス組成を含む、請求項1に記載の生体液収集装置。
【請求項3】
前記真空容器内の前記ガス組成は、酸素、窒素、および二酸化炭素を含む、請求項1に記載の生体液収集装置。
【請求項4】
前記真空容器内に位置する前記ガス組成中の酸素は、当該真空容器の外側の大気酸素の分圧に実質的に等しい分圧を有する請求項3に記載の生体液収集装置。
【請求項5】
前記真空容器内に位置する前記ガス組成中の二酸化炭素は、当該真空容器の外側の大気二酸化炭素の分圧に実質的に等しい分圧を有する、請求項3に記載の生体液収集装置。
【請求項6】
前記ガス組成は、約55%の酸素、約43%の窒素、および約0.1%の二酸化炭素を含む請求項3に記載の生体液収集装置。
【請求項7】
前記真空容器は、300mmHgの全圧を有し、前記真空容器内の前記ガス組成中の酸素は、約160mmHgの分圧を有する請求項6に記載の生体液収集装置。
【請求項8】
前記真空容器は、300mmHgの全圧を有し、前記真空容器内の前記ガス組成中の二酸化炭素は、約0.3mmHgの分圧を有する請求項7に記載の生体液収集装置。
【請求項9】
前記
大気のガス組成中の酸素は約160mmHgの分圧を有し、そして、前記
大気の前記ガス組成中の二酸化炭素は約0.3mmHgの分圧を有する請求項8に記載の生体液収集装置。
【請求項10】
前記収集モジュールは、サンプル導入開口部を有する第1の端部と、サンプル分配開口部を有する第2の端部と、前記サンプル導入開口部と前記サンプル分配開口部との間に延出する通路と
、前記第2の端部を覆う多孔質プラグ、とを有する請求項1に記載の生体液収集装置。
【請求項11】
前記クロージャは、前記収集モジュールの前記サンプル導入開口部を閉じるように構成され、かつ、当該クロージャは、貫通可能なセルフシールストッパを含む請求項10に記載の生体液収集装置。
【請求項12】
前記多孔質プラグは、生体液サンプルがそれを通過するのを防ぎながら、空気が前記収集モジュールの前記通路を通過することが可能であるように構成されている請求項10に記載の生体液収集装置。
【請求項13】
前記真空容器は、10mL16x125チューブ、10mL16x100チューブ、5mL13x100チューブ、2mL13x75チューブ、および1mL13x75チューブのいずれかであり、当該真空容器は、それぞれ、少なくとも45カ月、40カ月、27カ月、27カ月、および30カ月、の貯蔵寿命を有する請求項1に記載の生体液収集装置。
【請求項14】
生体液サンプルを受け取るための収集モジュールと、
前記収集モジュールをその中に含む真空容器と、
前記真空容器
の開放端を閉じるクロージャと、を備え、
前記真空容器は、当該真空容器の外側の760mmHgの大気中の実質的に酸素の分圧以上の分圧を有する酸素を有するガス組成を含む生体液収集装置。
【請求項15】
前記真空容器は、約300mmHgの圧力を有し、そして、前記真空容器内の酸素の前記分圧は約160mmHgである請求項14に記載の生体液収集装置。
【請求項16】
前記ガス組成は、二酸化炭素と窒素とを含み、そして、前記真空容器内の二酸化炭素の分圧は約0.3mmHgであり、そして、前記真空容器内の前記窒素は約140mmHgである請求項15に記載の生体液収集装置。
【請求項17】
前記真空容器は約300mmHgの圧力を有し、前記真空容器内の酸素の分圧は160mmHgよりも大きい請求項14に記載の生体液収集装置。
【請求項18】
前記ガス組成は約55%の酸素を含む請求項14に記載の生体液収集装置。
【請求項19】
前記ガス組成は、更に、約43%の窒素と約0.1%の二酸化炭素とを含む請求項18に記載の生体液収集装置。
【請求項20】
前記真空容器は、10mL16x125チューブ、10mL16x100チューブ、5mL13x100チューブ、2mL13x75チューブ、および1mL13x75チューブのいずれかであり、当該真空容器は、それぞれ、少なくとも45カ月、40カ月、27カ月、27カ月、および30カ月、の貯蔵寿命を有する請求項14に記載の生体液収集装置。
【請求項21】
開放端および閉鎖端を備えるとともにチャンバを形成する容器を提供すること、
前記チャンバ内からガスの少なくとも一部を除去するべく前記容器内に真空を引くこと、
真空引きされた前記容器の外側の大気のガス組成に実質的に等しいガス組成によって前記チャンバをバックパージすること、ここで、前記チャンバの前記バックパージは、前記容器内において所定の真空圧が達成させるまで行われ、そして、
前記容器の前記開放端を閉じること、を含む、大気平衡流体収集装置を作製する方法。
【請求項22】
前記容器内の前記所定
の真空圧は、300mmHgであり、前記ガス組成は、約160mmHgの分圧を有する約55%の酸素を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記容器内に流体収集モジュールを配置することをさらに含み、
前記流体収集モジュールは、サンプル導入開口部を有する第1の端部と、サンプル分配開口部を有する第2の端部と、前記サンプル導入開口部と前記サンプル分配開口部との間に延出する通路と
、前記第2端部
を覆う多孔質プラグとを有し、前記多孔質プラグは、生体液サンプルが通過するのを防ぎながら、空気が前記収集モジュールの前記通路を通過することを可能にするように構成されている請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記容器の貯蔵寿命は、前記バックパージの結果、少なくとも1.5倍増加する請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記容器の貯蔵寿命は、前記バックパージの結果、少なくとも1.8倍増加する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記容器は、10mL16x125チューブ、10mL16x100チューブ、5mL13x100チューブ、2mL13x75チューブ、および1mL13x75チューブのいずれかであり、当該容器は、それぞれ、少なくとも45カ月、40カ月、27カ月、27カ月、および30カ月、の貯蔵寿命を有する請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月14日に出願され「真空容器による血液ガスサンプル安定化のための大気平衡真空」と題された米国仮出願第62/684,800号からの優先権を主張し、その利益を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、収集装置と、生体液サンプルを収集するための大気平衡流体収集装置を作製する方法、より具体的には、血液ガス分析との関連で使用される真空血液収集チューブと一体化された血液サンプル収集装置、さらに具体的には、血液が標準的な動脈血液ガス(ABG)シリンジに見られるサンプル大気圧分圧酸素と分圧二酸化炭素レベルとに晒されて、それによって収集中の血液ガスサンプル安定化をもたらすように「大気平衡真空」を利用して採血するように構成された血液サンプル収集装置、に関する。
【背景技術】
【0003】
1mL-3mLのシリンジベースのプラットフォームが、血液ガスラボテスト用として一般的に受け入れられている。現在の血液ガス装置は、使用されるその充填方法に基づいて二つのカテゴリ、(1)プランジャ-ユーザ支援式と(2)ベント血圧支援式の中に入る。これらのシリンジ構成では、通常、血液サンプルの品質が診断装置における分析のために損なわれることのないように、エアパージ、キャッピング/シーリング、および抗凝固剤混合の工程を含むプロトコルにユーザが従うことを必要とする。複雑な多工程ワークフローに加えて、従来の血液収集シリンジは、エアバープ及びキャッピング手続き中の血液曝露の安全性リスクを大幅に高めるものである。
【0004】
血液の少量のサンプルを収集し、サンプルの一部を、ポイントオブケアまたは患者に近い(ベッドサイド)検査装置などの、サンプルを分析することを目的または設計された装置に分配するための採血のための最近の装置が、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号第9,649,061号に開示されている。そこに開示されている血液サンプル収集装置は、本発明の譲受人であるBecton,Dickinson,and Companyが所有するBD Vacutainer(登録商標)採血チューブなどの、真空容器内に組み込まれている。この装置を使用することによって、血液サンプル収集と、従来の自動採血を組み込んだポイントオブケアアプリケーションを施すことが可能となり、これは、曝露リスクを最小限に抑えながらの新規な収集サンプル分注機能を備えている。血液が従来式Vacutainer(登録商標)チューブを満たすと、血液中に溶解しヘモグロビンに結合したガス組成物(O2,N2,CO2)が各ガス混合物成分がそれ自身の分圧を有する前記チューブ内のガス混合物に晒される。ドルトンの分圧の法則によって示されるように、前記チューブ内の全圧は、個々のガスの分圧の合計である(Ptube=PO2+PCO2+PN2)である。ガスのこの基本的な特性によって、それぞれ300mmHgの従来の管真空圧が決定される。これに対して、通常の大気圧ガス組成は、大気圧で160mmHg、(海面で)760mmHgの酸素分圧を持つ。この標準的な真空プロセスは、その後に血液ガスバイアスをもたらすことが可能なシリンジと比較して、従来式Vacutainer(登録商標)チューブにおいて酸素と二酸化炭素との両方に関してより大きな分圧勾配(ΔP)に血液を晒す環境を作り出す。その結果、真空チューブ中の未溶解ガスと血液中に溶解したガスとの間の平衡によって測定される、ガスの溶液(血液)からの流出をもたらしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術において、従来の採血セットを使用した血液真空取り入れ中に血液ガスのバイアスを低減し安定した血液ガスレベルを可能にする大気平衡真空チューブ構造が求められている。又、当該技術においては、プラスチックチューブを通るガス透過速度を低下させることによってより優れた真空貯蔵寿命を提供する、大気平衡真空チューブ構造も求められている。更に、当該技術においては、プラスチックチューブを通るガス透過速度を低下させることによってより優れた真空貯蔵寿命を提供する真空血液収集チューブなどの、大気平衡従来標本収集容器も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本開示の動脈血ガス(ABG)大気平衡真空チューブの主な利点は、従来の(ABG)シリンジ血液収集セットに関連する血液収集ワークフローステップおよび血液曝露の両方の削減である。本開示の装置は、真空吸引法を使用して、空気を含まない固定最大血液サンプル中で抗凝固剤を均一に混合することにより、単純化されたユーザーワークフローを提供する。先端キャップの固定位置にプラグ部材が配置される。このプラグ部材は、通気性と液体不透過性があり、それによって、装置が充填し、その後、血液と接触するときにシールオフ(密封)することによって、空気がパージされることを可能にする。本開示のこの大気平衡真空構成は、真空チューブからのディスペンサー構成要素の除去を可能にし、これによって、診断器具カートリッジへの制御されたサンプルディスペンサ、又は血液ガス診断ポートのプローブによる、および/または、プローブを介した吸引を可能にする。
【0007】
一態様によれば、本発明は、生体液サンプルを受けるための収集モジュールと、開放端および閉鎖端を備えその内部に前記収集モジュールを収納する真空容器と、前記真空容器の前記開放端を閉鎖するためのクロージャ(閉鎖部)とを有する生体液収集装置を含む。前記真空容器は、当該真空容器の外側の大気のガス組成に実質的に等しいガス組成を有する。
【0008】
前記真空容器内の前記ガス組成は、酸素、窒素、および二酸化炭素を含む。前記真空容器内に位置する前記ガス組成中の酸素は、当該真空容器の外側の大気中の酸素の分圧に実質的に等しい分圧を有することができる。前記真空容器内に位置する前記ガス組成中の二酸化炭素も、当該真空容器の外側の大気中の二酸化炭素の分圧に実質的に等しい分圧を有することができる。
【0009】
一実施形態によれば、前記ガス組成は、約55%の酸素、約43%の窒素、および約0.1%の二酸化炭素を含みうる。前記真空容器は、300mmHgの全圧を有することができ、前記真空容器内の前記ガス組成中の酸素は、約160mmHgの分圧を有することができる。別の実施形態によれば、前記真空容器は、300mmHgの全圧を有することができ、前記真空容器内の前記ガス組成中の二酸化炭素は、約0.3mmHgの分圧を有することができる。さらに別の実施形態によれば、前記真空容器は300mmHgの全圧を有することができ、前記真空容器内の前記ガス組成中の酸素は約160mmHgの分圧を有することができ、前記真空容器内のガス組成中の二酸化炭素は約0.3mmHgの分圧を有することができる。前記真空容器の外側の大気の全圧は約760mmHg(温度と高度に依存)であり、前記外気のガス組成中の酸素の分圧は約160mmHgであり、前記外気のガス組成中の二酸化炭素は約0.3mmHgの分圧を有する。
【0010】
前記収集モジュールは、サンプル導入開口部を有する第1の端部と、サンプル分配開口部を有する第2の端部と、前記サンプル導入開口部と前記サンプル分配開口部との間に延出する通路と、前記ハウジングの前記第2の端部を覆う多孔質プラグ、とを備えることができる。前記クロージャは、前記収集モジュールの前記サンプル導入開口部を閉じるように構成され、かつ、当該クロージャは、貫通可能なセルフシールストッパを含むことができる。前記多孔質プラグは、生体液サンプルがそれを通過するのを防ぎながら、空気が前記収集モジュールの前記通路を通過することが可能であるように構成することができる。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、生体液サンプルを受け入れるための収集モジュールと、その中に収集モジュールを収納する真空容器と、当該真空容器の開放端を閉じるためのクロージャ、とを有する生体液収集装置を含み、ここで前記真空容器は、当該真空容器の外側の大気圧760mmHgの空気中の酸素分圧と実質的に等しいか、より大きい分圧を有する濃縮酸素含有率を有するガス組成を有する。別の構成では、様々な高度によって760mmHg未満の異なる空気圧を利用可能とすることが考えられる。
【0012】
前記真空容器は、約300mmHgの圧力を有することができ、前記真空容器内の酸素の分圧は、約160mmHgである。前記ガス組成は、二酸化炭素および窒素を含むことができ、前記真空容器内の二酸化炭素の分圧は、約0.3mmHgとすることができ、前記真空容器内の窒素は約140mmHgとすることができる。
【0013】
一実施例によれば、前記真空容器は、約300mmHgの圧力を有し、前記真空容器内の酸素分圧は160mmHgを超える。前記ガス組成は、約55%の酸素を含むことができる。前記ガス組成は、更に、約43%の窒素および約0.1%の二酸化炭素を含むことができる。
【0014】
更に別の態様によれば、大気平衡流体収集装置を作製する方法は、開放端および閉鎖端を備えるとともにチャンバを形成する容器を提供する工程と、前記チャンバ内からガスの大部分を除去するべく前記容器内に真空を引く工程と、前記真空容器の外側の大気のガス組成に等しくなるべくつり合わされた(proportioned)ガス組成によって前記チャンバをバックパージする工程、ここで、前記チャンバの前記バックパージは、前記容器内において所定の真空圧が達成させるまで行われる、そして、前記容器の前記開放端を閉じる工程、を含む。
【0015】
前記容器内の前記所定分圧は、300mmHgであり、前記ガス組成は、約160mmHgの分圧を有する約53.3%の酸素を含む。
【0016】
前記方法は、更に、前記容器内に流体収集モジュールを配置する工程を含み、ここで前記流体収集モジュールは、サンプル導入開口部を有する第1の端部と、サンプル分配開口部を有する第2の端部と、前記サンプル導入開口部と前記サンプル分配開口部との間に延出する通路と、前記ハウジングの前記第2端部を覆う多孔質プラグとを有する。前記多孔質プラグは、生体液サンプルが通過するのを防ぎながら、空気が前記収集モジュールの前記通路を通過することを可能にするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の上記および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面との関連で本開示の実施例の以下の説明を参照することによってより明らかとなり、そして本開示そのものがよく理解されるであろう。ここで、
【
図1】
図1は、本開示の一態様による、外側ハウジング内に配置された収集モジュールを有する生体液収集装置の正面斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一態様による、
図1の生体液収集装置の部分断面側面図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1及び
図2の拡大一部断面側面図であって、本開示の一態様による、前記液体収集チャンバを閉鎖する多孔質プラグを示している。
【
図3B】
図3Bは、
図1及び
図2の拡大一部断面側面図であって、本開示の一態様による、前記液体収集チャンバを閉鎖する多孔質プラグを示している。
【
図4A】
図4Aは、当該技術において知られている原理による、従来式Vacutainer(登録商標)チューブ内で標準的真空プロセスを使用する血液ガス真空バイアスを示す略図である。
【
図4B】
図4Bは、当該技術において知られている原理による、従来式Vacutainer(登録商標)チューブ内で標準的真空プロセスを使用する血液ガス真空バイアスを示す略図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示による、前記真空チューブ、及び大気平衡真空チューブを形成する方法を示す概略図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示による、前記真空チューブ、及び大気平衡真空チューブを形成する方法を示す概略図である。
【
図5C】
図5Cは、本開示による、前記真空チューブ、及び大気平衡真空チューブを形成する方法を示す概略図である。
【
図5D】
図5Dは、本開示による、前記真空チューブ、及び大気平衡真空チューブを形成する方法を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一態様による真空チューブ貯蔵寿命の原理を示す概略図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の態様による、テスト装置への血液ガスサンプルの分注の斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の態様による、テスト装置への血液ガスサンプルの分注の斜視図である。
【
図8】
図8は、本開示の発明による酸素戻し充填チューブと、非戻し充填チューブとの、時間に対するチューブ圧力を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本開示による10mL16X125酸素戻し充填チューブと、10mL16X125非戻し充填チューブとの時間に対する吸引容量百分率損失を示すグラフである。
【
図10】
図10は、本開示による10mL16X100酸素戻し充填チューブと、10mL16X100非戻し充填チューブとの時間に対する吸引容量百分率損失を示すグラフである。
【
図11】
図11は、本開示による5mL13X100酸素戻し充填チューブと、5mL13X100非戻し充填チューブとの時間に対する吸引容量百分率損失を示すグラフである。
【
図12】
図12は、本開示による2mL13X75酸素戻し充填チューブと、2mL13X75非戻し充填チューブとの時間に対する吸引容量百分率損失を示すグラフである。
【
図13】
図13は、本開示による1mL13X75酸素戻し充填チューブと、1mL13X75非戻し充填チューブとの時間に対する吸引容量百分率損失を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
複数の図面を通じて対応の参照符号が対応する部分を示している。本明細書の例示は、本開示の実施態様を例示するものであり、そのような例示は本開示の範囲をいかようにも限定するものと解釈されてはならない。
発明の説明
【0019】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために勘案される記載された実施形態を作成および使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、均等物、変形、および代替物は、当業者には容易に明白なままである。そのような修正、変形、均等物、および代替物のすべては、本発明の要旨および範囲内に入ることが意図されている。
【0020】
以下の説明の目的のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「縦」、「水平」、「上」、「下」、「横」、「長手」、およびそれらの派生語は、その図面に示されている向きで本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、特に銘記されない限り、代替のバリエーションおよび工程シーケンスを想定し得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載されている特定の装置およびプロセスは、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0021】
図1-2を参照すると、これらは、本開示の一態様による、外側ハウジングまたは真空容器34内に配置された収集モジュール10を有する、その全体を1で示す生体液収集装置を図示している。前記収集モジュール10は、血液サンプルなどの生体液サンプルを受け入れるように構成され、
図2に図示されているように、ハウジング12、クロージャ14、混合チャンバー16、保持チャンバー18、キャップ26、そしてアクティベーション部材22を有している。
【0022】
一実施例において、前記ハウジング12は、第1端部24、第2端部26、およびこれらの間に延出するとともに、前記ハウジング12の前記第1端部24と前記第2端部26との間に流体連通を提供する通路28、を有する。前記通路28は、前記ハウジング12の前記第1端部24にあるサンプル導入開口部30と、前記ハウジング12の前記第2端部26にあるサンプル分配開口部32とを有する。前記混合チャンバ16と前記保持チャンバ18とは、前記通路28と流体連通状態に設けられている。前記混合チャンバ16と前記保持チャンバ18とは、前記通路28のサンプル導入開口部30に導入された血液サンプルなどの生体液サンプルが、通路28のサンプル分配開口部32に到達する前に、最初に混合チャンバー16を通過し、続いて、保持チャンバー18を通過するように配置されている。これにより、前記血液サンプルを、安定化されたサンプルが保持チャンバー18内に受け取られて保存される前に、前記混合チャンバー16内に提供される抗凝固剤または他の添加剤と混合することができる。
【0023】
前記混合チャンバ16は、前記血液サンプルが前記通路28を通って流れるときに、当該血液サンプルを抗凝固剤または血液安定剤などの別の添加剤と受動的に混合することを可能にする。前記混合チャンバー16の内側部分は、血液サンプルが通路28を通過するときに、それが当該血液サンプルを抗凝固剤またはその他の添加剤と混合することを提供する限り、任意の適切な構造又は形態とすることができる。前記混合チャンバー16は、当該混合チャンバ16上又は内に堆積されたヘパリンまたはEDTAなどの乾燥抗凝固剤を含み得る。前記混合チャンバー16は、例えば、フロースルー混合および抗凝固剤の取り込みの有効性を促進するために、連続気泡発泡体のセル内に分散された乾燥抗凝固剤を含む連続気泡発泡体を含み得る。
【0024】
前記混合チャンバー16を通過した後、血液サンプルは、前記保持チャンバー18に向けることができる。前記保持チャンバー18は、所望の試験に必要な十分な量の血液、例えば500mL以下、を貯蔵するために任意の適切な形状およびサイズとすることができる。
図1および
図2に示される実施形態では、前記保持チャンバ18は、ハウジング12の外側の周りに固定された弾性スリーブ40との組み合わせで前記ハウジング12の一部分によって形成される。前記弾性スリーブ40は、前記ハウジング12との液密シールを提供することができる、天然ゴムまたは合成ゴム、および他の適切なエラストマー材料を含むがこれらに限定されることのない、可撓性があり
、および変形可能である任意の材料から作製され得る。
【0025】
引き続き
図1および2と、更に、
図3A及び
図3Bを参照すると、多孔質またはベントプラグ44が、前記ハウジング12の第2端部26に配置され、前記通路のサンプル分配開口部32を塞ぐ。前記ベントプラグ44の構造は、血液サンプルがそこを通過するのを防ぎながら、空気がそこを通過して収集モジュール10から出るのを可能にするものであって、疎水性フィルターを含み得る。前記ベントプラグ44は、前記通路28の充填速度を微調整するために使用できる空気通過抵抗を選択したものである。前記プラグの多孔度を変えることによって、当該プラグ44から流出する空気の速度、したがって、前記収集モジュール10への血液サンプルの流れの速度を制御することができる。前記収集モジュール10への血液サンプルの流速が速すぎると、溶血が起こり得る。前記採取モジュール10への血液サンプルの流速が遅すぎると、サンプル収集時間が過剰になりうる。
【0026】
クロージャ14は、前記ハウジング12の前記第1端部24と係合して、前記通路28をシールする。当該クロージャ14は、血液サンプルをハウジング12の通路28に導入することを可能にし、Becton,Dickinson and Companyから市販されているHomegard(TM)キャップなどの外側シールド38を備える貫通可能なセルフシールストッパ36を含み得る。前記クロージャ14はまた、前記外側ハウジングまたは真空容器34に固定する。前記真空容器34は、Becton,Dickinson and Companyから市販されているVacutaner(登録商標)採血チューブなどの任意の周知の真空含有採血チューブであり得ることが理解され得る。
【0027】
次に、当該技術分野で知られている原理に従って、Vacutainer(登録商標)容器などの従来のまたは従来技術の真空容器134において標準的な真空プロセスを使用する血液ガス真空バイアスを概略的に示す
図4A-4Bを参照する。血液が従来式真空容器134を満たすと、その血液中に溶解し、血液中のヘモグロビンに結合したガス組成物(O
2、N
2、CO
2)が、各ガス混合物成分がそれぞれそれ自身の分圧を有する前記チューブ中のガス混合物に晒される。分圧のドルトンの法則によって示されるように、前記容器134内の全圧(P)は、個々のガスの分圧(P)の合計である(P
tube=PO
2+PCO
2+PN
2)。このガスの基本的性質によって、大気ガス組成物(21%O
2,0.04%CO
2及び78%N
2)を使用する300mmHgの従来式チューブ真空圧によってそれぞれ63,
0.12及び23
4mmHgの分圧が得られることになる。これに対して、通常の大気ガス組成は、大気圧760mmHg(界面で)で160mmHgの酸素分圧を有する。
図4Bに図示されているように、グラフ160によって示されているように、標準真空プロセスは、その後に血液ガスのバイアスにつながる可能性のあるシリンジと比較して、血液を、従来式真空容器134内で酸素と二酸化炭素との両方についてより大きな分圧勾配(ΔP)に晒す環境を作り出す。ヘンリーの法則によれば、溶存ガスの量は気相の分圧に比例する。この平衡定数は、血液ガスの分圧がチューブ内のガスの分圧に正比例することを示す。その結果、上述したように、又、
図4Aで図示したように、前記従来式容器134内のガスは、真空容器内の未溶解ガスと血液中に溶解したガスとの間の前記平衡によって測定されるように、溶液(血液)から出ることになる。
【0028】
次に本開示による前記大気平衡液体真空容器34と当該大気平衡液体真空チューブ34の製造方法とを概略図示する
図5A-5Dを参照すると、ここで、前記収集モジュール10を含む、前記真空容器34は、当該真空容器34の外側の大気のガス組成に実質的に等しいガス組成を含む。提案される装置は、標準的な動脈血ガスABGシリンジ(現在の標準ケア)と同等の血液ガスサンプルを提供するべく、真空チャンバ内の酸素O
2と二酸化炭素CO
2の基本的分圧組成を、大気条件のそれにバランスさせる。これは、高真空が引かれ、その後、所望の最終真空レベルとO
2とCO
2の分圧が達成されるまで、酸素O
2と二酸化炭素CO
2とが前記チャンバに戻し充填される真空アセンブリ手順を開発することによって達成された。このプロセスについて次に
図5Cを参照して説明する。
【0029】
ここに開示される装置と方法によって、血液サンプルが、真空チャンバ又は真空容器34内に収集され、ここで、当該血液は、標準動脈血ガスシリンジに見られるのと同じ酸素の大気分圧(PO
2)及び二酸化炭素(PCO
2)の分圧のレベルに晒され、これが血液サンプルを、
図4Bのグラフに示されているように、正常な大気とその各PO
2及びPCO
2レベルに晒す。引き続き
図5Cを参照すると、本開示の前記大気平衡容器34を得る方法は、大気圧760mmHgにあり、約
600mmHgの窒素分圧PN
2と約
160mmHgの酸素分圧PO
2を有する約21%の酸素と79%の窒素との組成を含む、容器から始まる(工程1,50)ことによって達成される。次に、チューブから高真空が引かれ(工程2,52)、ここで前記ガスの大半が前記チャンバ13
4から取り除かれて、前記チューブは、約20mmHgの全圧となり、チューブの組成は、約
4mmHgの分圧PO
2を有する約21%の酸素、O
2と約
16mmHgの分圧PN
2を有する約79%の窒素、N
2となる。O
2とCO
2の大気分圧と一致する約300mmHgの所望の真空レベルに達するまで意図的につり合わされたO
2,N
2及びCO
2のガス組成でチューブをバックパージして、
図5Bに図示されているように、本開示の前記大気平衡真空チューブ34を形成する最終工程(工程3,54)において、ここで、前記チューブの前記組成は、約55%の酸素(または約53.
3%のO
2と0.1%のCO
2)と4
6.7%の窒素であり、
53.3%の酸素の分圧PO
2は約160mmHg、
46.7%の窒素の分圧PN
2は約140mmHg、そして二酸化炭素CO
2の分圧は約0.3mmHgである。前記チューブは、真空容器内の酸素の分圧が160mmHgよりも高くなるようにバックバージすることが可能であると理解される。
【0030】
図5Bに図示される、300mmHgの全圧を有する本開示の真空容器34は、300mmHgの全圧と、234mmHgの窒素の分圧PN
2と、63mmHgの酸素の分圧PO
2とを有する
図4A及び
図5Aに示される従来式真空容器134と異なる。
図5Dに図示のグラフ60に示されているように、ガス濃縮が行われた本発明の前記真空容器34と、シリンジとの間で、酸素O
2の分圧勾配ΔPは、実質的に類似している。
【0031】
大気平衡分圧PO2及びPCO2真空チューブアーキテクチャによって、典型的な真空容器システムに基づく従来式血液収集セットを使用した血液真空取り込み中において安定した血液ガスレベルが可能となる。
【0032】
従来技術の真空容器134における真空貯蔵寿命損失は、前記プラスチックチューブを通るガス透過によるものであって、これは、
図6に図示されているように、プラスチックバリアでの大気圧および真空分圧勾配によって駆動される。酸素の透過係数は、典型的な真空チューブにおいて主に使用されるプラスチックであるポリエチレンテレタレート(PET)で一桁高いため、窒素は、真空損失に対して非常にわずかにしか寄与しない。大気平衡真空チューブアーキテクチャは、平衡されたPO
2及びPCO
2勾配はガス透過の影響を受けないことから、より優れた真空貯蔵寿命を提供する。これは、その構成により、従来技術の容器134の内側と外側との間でPO
2とPCO
2の圧力の間に差がないという事実によるものである。例えば、真空容器の外側の大気の全圧が760mmHgである時、外気のガス組成中の酸素は約160mmHgの分圧を有し、外気のガス組成中の二酸化炭素は約0.3mmHgの分圧を有する。本開示の前記大気平衡真空チューブ34においては、当該チューブ内のガス組成中の酸素も約160mmHgの分圧を有し、当該チューブ内のガス組成中の二酸化炭素は約0.3mmHgの分圧を有する。酸素の分圧PO
2と二酸化炭素の分圧PCO
2とが前記チューブの内側と外側とで同じである(ホメオスタシス)ので、圧力交換がなくO
2とCO
2からの真空損失が起こらない。このことは重要である。なぜなら、真空レベルが300mmHgである時に、酸素O
2と二酸化炭素CO
2とが、本開示の前記大気平衡真空容器34内の全真空圧の50%以上を構成するからである。チューブの内側と外側とでの窒素N
2の分圧の差は、大きく異なる可能性がある。すなわち、チューブ内の窒素の分圧PN
2は約140mmHgであり、前記チューブの外部の大気内の窒素の分圧PN
2は約593mmHgである。分圧のこの差によって、チューブ内の真空圧の窒素によるわずかな増加と、窒素は酸素に対して約10倍低い浸透性を有することによるN
2のチューブ内への透過とが生じうる。ここで、ここに記載した前記大気平衡組成は、すべての従来式サンプル収集容器の貯蔵寿命を増大させるのに有用でありうることが銘記される。例えば、この大気平衡技術は、すべての種類の真空チューブを含む、プラスチック血液収集容器の貯蔵寿命を長くすることに有用でありうる。この出願は動脈血ガス用途に対して特に適用性を持つものではあるが、ここに記載の大気平衡技法は、すべての真空プラスチック容器に利用可能である。
【0033】
長期間にわたって高酸素状態にさらされる患者は、500mmHgを超える可能性のある通常よりも高い酸素分圧を経験する可能性があることが理解できる。これらの条件下では、ガスは血漿中に非結合状態で強制的に溶解するが、その一部はまだヘモグロビンに結合している。血液ガス分析中、これらのサンプルは、血液が大気に晒された時に、血漿中の酸素は、分圧勾配と組み合わされた高い溶解ガス交換率を持っているため、通常の15分のターンアラウンドタイム内でより高いバイアスレベルを示す可能性がある。高酸素(大気圧PO2およびPCO2と比較して)のPO2およびPCO2レベルを前記真空チューブアーキテクチャで使用して、極端でバイアスの影響を受けにくい酸素療法製品の血液ガス安定性をさらに向上させることができる。その装置設計は、血液ガスレベルに積極的にバイアスをかけるのに必要な十分に高い表面積がないため、これはABG血液ガス用途に適している。これは、従来のABGシリンジでは決して可能ではないであろう。
【0034】
更に、
図7A及び7Bに図示されているように、本発明の前記装置は、事前設定された量の血液を使用することにより、血液サンプリング手順における空気汚染の実質的な低減または排除の改善を提供し、その結果、前記真空チューブから前記収集モジュール10を取り外すと、サンプルを、ポイントオブケア(PoC)カートリッジ70、
図7A、又は、他のABG診断機器ポート80、
図7B、へ吸引によって一貫して送達することができる。
【0035】
図8は、O
2埋め戻しチューブ182と非埋め戻しチューブ184との時間に対するチューブ圧力変化(例えば、真空損失)のグラフ180を図示している。図示されているように、データは、52%O
2埋め戻しチューブ182が、前記非埋め戻しチューブ184におけるよりもはるかにゆっくりした有利な圧力増加をもたらすことを予測している。テスト中、結果を検証するために真空血液収集チューブをテストした。最初のグループは、空気を除去し、その後チューブ内のガスの混合物が52%酸素になるまで酸素ガスを埋め戻すことによって作成された。他のグループは、空気は除去して作成したが、空気の混合物は大気(例えば21%O
2)から調節されなかった。これら二つの装置内の圧力を、10か月の間に渡って、特定の間隔で比較した。グラフ180に点として示されている実験データは、性能が数学モデルと一致することを示している。したがって、本発明者らは、前記チューブ182を比較的高い百分率のO
2で埋め戻すことによって、当該チューブ182を通る全体的な透過速度を遅くすることによって貯蔵寿命が改善させることを発見した。
【0036】
図9-
図13は、ここに開示の概念によって提供される異なるサイズのチューブ(例えば、それぞれ、10mL16x125,10mL16x100,5mL13x100,2mL13x75,1mL13x75)の貯蔵寿命の改善を更に示している。より具体的には、医師や看護師などの医療専門家が血液サンプルを収集するためのチューブを選択し、そのチューブが所定量の血液を収集できることを示している場合(たとえば、10mLチューブ)、その専門家はチューブが10mLの血液で満たされると予想し、チューブが1又は5mLの血液しか収集できないと予想する場合、これは受け入れられない。それらが最初に真空化された時に、まだそれが取り込んだ量の20%内をまだ引き込むことのできるチューブはまだ使用可能であることが一般に知られている。しかしながら、いったんチューブがその初期取り込み量の80%未満を取り込んだ時は、それは、サンプルを採取する専門家によって使用可能であるとはみなされない。
【0037】
図9-
図13は、テストされるチューブの透過性に起因する時間の関数としての引き込み量の異なるグラフ190,200,210,220,230を示している。各プロットに示されているように、対応の非埋め戻しチューブ194,204,214,224,234と比較して、O
2埋め戻しチューブ192、202、212、222、232は、しきい値(例えば、臨界20%閾値196,206,216,226,236、ここで、チューブはそれが最初に真空化された時にそれが取り込んだ量、本明細書では「貯蔵寿命」と呼ばれる、の20%以内をまだ取り込むことができる)に達するまでに遥かに長い時間がかかることが判った。その結果、これは、前記O
2埋め戻しチューブ192,202,212,222,232の大幅に改善された貯蔵寿命に対応する。具体的には、容器が、10mL16x125チューブ192、10mL16x100チューブ202,5mL13x100チューブ212,2mL13x75チューブ222、1mL13x75チューブ232、のいずれかである場合、その容器は、それぞれ、少なくとも45カ月、40カ月、27カ月、27カ月、および30カ月、そして好ましくは、それぞれ、少なくとも52カ月、45カ月、32カ月、32カ月、および34カ月、の貯蔵寿命を有する。更に、図示の例、例えば、
図9-13のそれぞれにおいて、前記O
2埋め戻しチューブ192,202,212,222,232の貯蔵寿命は、すべて、逆バージされることの結果として、少なくとも1.5倍増加し、そのうちのいくつかの貯蔵寿命は、少なくとも1.8倍増加したことが理解される。すなわち、前記容器の貯蔵寿命は、それらがバックバージ無しの場合よりも、少なくとも1.5倍、時として、1.8倍、長くなる。
【0038】
前記POCアーキテクチャの代替システム構成は、より多くの血液量を必要とする可能性のある血液ガス用途のために「大気真空法」を使用して組付けられる様々な真空チューブを使用することであることが理解できる。又、サンプルが従来の血液ガス収集シリンジにおける血液ガス分析において時間的にはるかにバイアスを受けやすい場合の代替用途のために、高度に濃縮されたO2およびCO2ガス組成バージョンを利用可能であることも理解できる。更にここにおいて、前記ガス組成は、代替的に、ほぼ1%のアルゴン、更に、その他の微量ガスを含みうることも考えられる。
【0039】
本開示を具体的構成を備えるものとして記載したが、本開示は、この開示の要旨及び範囲内で更に改変可能である。したがって、本出願は、その一般原理を使用する本開示のすべてのバリエーション、利用法又は適用をカバーするものであることが意図されている。更に、本出願は、本開示が関連し、添付の請求項の限定内に属する当該技術において知られ又は慣習的に実施される本開示からのそのような逸脱もカバーすることが意図されている。