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特許7411584腱修復で使用するための装置、アセンブリ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】腱修復で使用するための装置、アセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020570548
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 GB2019051686
(87)【国際公開番号】W WO2019243793
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】1809949.9
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1820699.5
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1901357.2
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】16/401,929
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506145267
【氏名又は名称】サイロス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シードム,バハー ボトロス
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,コーリー ジェイムス
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523763(JP,A)
【文献】特表2019-505307(JP,A)
【文献】米国特許第05741299(US,A)
【文献】特表2011-522667(JP,A)
【文献】米国特許第06342060(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04-17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内で前記湾曲針を搬送するための針カバー及び搬送装置であって、前記針カバー及び搬送装置は、細長い要素を有し、前記細長い要素は:
第1の端部;
前記第1の端部と反対側の第2の端部;及び
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びるボディであって、前記ボディは、前記湾曲針の少なくとも貫通先端が前記ボディ内に配置されるように前記湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、前記湾曲針が前記腱鞘内を通過する間に前記貫通先端と接触することによる損傷から前記腱鞘を保護する、ボディ;
を有し、
前記ボディの少なくとも一部は、前記湾曲針を収容することができるように予め湾曲される、又は変形可能であり且つ前記湾曲針を収容することができるように湾曲形状に変形されることができる、
針カバー及び搬送装置。
【請求項2】
前記ボディの前記第1の端部は前端部であり得、前記第2の端部は後端部であり、前記後端部は、開口し、前記内部キャビティと連通する、
請求項1に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項3】
前記ボディは、前記腱鞘に沿って移動するように構成される糸通し要素を形成し、前記ボディは、糸通し要素を定める部分と、前記湾曲針のためのカバーを形成するとともに前記湾曲形状に変形されることが可能である部分とを有する、
請求項1又は2に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記糸通し要素を定める前記ボディの前記部分よりも柔軟である、
請求項3に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項5】
前記ボディの外面と接触して配置される内面を有する外鞘を備え、前記外鞘は、前記針カバー及び搬送装置の前記第1の端部から前記第2の端部の他方に向かう方向に前記ボディの長さに沿って途中まで延びる、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項6】
前記外鞘は、前記第1の端部をカバーし、前記第2の端部は、前記外鞘によってカバーされない、
請求項5に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項7】
前記第2の端部を含む前記ボディの一部は、前記内部キャビティを画定し、前記一部は、前記外鞘によってカバーされない、
請求項6に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項8】
前記内部キャビティを画定する前記ボディの一部は、弾性変形可能である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項9】
前記ボディの前記一部は、螺旋状に巻かれたばねの形態をとる、
請求項8に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項10】
前記ばねは、複数のコイルであって、少なくとも前記ばねの休止状態において、前記コイルが接触するように配置される複数のコイルを有する、
請求項9に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項11】
前記湾曲針を収容する前記ボディの前記少なくとも一部は、予め湾曲される、
請求項1に記載の針カバー及び搬送装置。
【請求項12】
切断された腱を修復するために使用するアセンブリであって、前記アセンブリは:
腱鞘の管腔に沿って通過するように構成される糸通し要素と;
前記腱鞘の内面をライニングするためのライナであって、前記ライナは、内部通路であって、それに沿って腱断端が前記管腔に沿った通過中に通過することができる内部通路を画定し、前記ライナは、前記腱断端と前記腱鞘の内面との間の接触を制限するように作用する、ライナと;
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の針カバー及び搬送装置と;を有し、
前記ライナは、前記糸通し要素によって前記腱鞘内に引き込まれ、前記管腔内に配置され、次いで、前記管腔内に存在するように前記糸通し要素から解放されることができるように、前記糸通し要素に解放可能に結合されるように構成される、
アセンブリ。
【請求項13】
前記ライナは、前記腱鞘の前記内面に接触するように構成される外面と、前記内部通路を画定する内面とを有する、
請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ライナは、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部、並びに、腱修復処置の完了後に前記管腔からの前記ライナの除去を容易にするように、前記第1の軸方向端部から前記第2の軸方向端部まで前記ライナの全長に沿って延びるスリットを有する、
請求項12又は13のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ライナは、前記腱鞘の前記管腔内に配置されるように構成される鞘ライニング部分と、前記ライニング部分から延び、前記鞘ライニング部分を前記管腔の中に且つ前記管腔に沿って引っ張るために使用されるように構成される引っ張り部分とを有する、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記糸通し要素は、前記引っ張り部分に結合されるように構成され、前記引っ張り部分を前記管腔内に引き込むために使用される、
請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記引っ張り部分は、前記鞘ライニング部分を前記管腔内に引っ張るためにユーザによって把持されるように構成される、
請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記鞘ライニング部分は、実質的に管状であり、前記引っ張り部分は、実質的に管状の前記ライニング部分から延びる1つ又は複数の細長い脚部を有する、
請求項15乃至17のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記糸通し要素は、ばねの形態をとり、前記糸通し要素は、さらに、前記ばねの外面と接触して配置される内面を有する外鞘を備える、
請求項12乃至18のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記糸通し要素を前記ライナに解放可能に接続するための可撓性接続構成要素を有する、
請求項12乃至19のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記可撓性接続構成要素は、ループを有し、前記ライナは、前記ループの一部の上に折り曲げられる、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ライナは、2つの腱鞘ライニング部分を画定するように、前記糸通し要素に結合され、それぞれの前記腱鞘ライニング部分は、それぞれの腱の前記腱断端を受け入れるのに役立つ、
請求項12乃至21のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記ライナは、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記ライナの長さに沿った点で前記糸通し要素に結合される、
請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ライナは、前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記ライナの部分に向かって延びる第1の腱鞘ライニング部分と、前記第2の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記部分に向かって延びる第2の腱鞘ライニング部分とを有する、
請求項22又は23に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記第1の腱鞘ライニング部分及び前記第2の腱鞘ライニング部分はそれぞれ幅を有し、前記端部の間に配置された前記部分は、前記第1の腱鞘ライニング部分及び前記第2の腱鞘ライニング部分の前記幅よりも小さい幅を有する、
請求項24に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ライナの前記部分は:実質的に一定の幅のメインセクションと;前記メインセクションと前記第1の腱鞘ライニング部分との間に延びる第1の移行セクションと;前記メインセクションと前記第2の腱鞘ライニング部分との間に延びる第2の移行セクションと;を有する、
請求項24に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記移行セクションはそれぞれ、前記メインセクションの幅からそれぞれの前記腱鞘ライニング部分の幅まで徐々に増加する幅を有する、
請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記ライナの前記部分は:前記第1の腱鞘ライニング部分から延びる第1の移行セクションと;前記第2の腱鞘ライニング部分から延び、前記第1の移行セクションに結合される第2の移行セクションと;を有し、前記移行セクションはそれぞれ、前記移行セクションの間の交点よって定められる幅から、それぞれの前記腱鞘ライニング部分の幅まで、徐々に増加する幅を有する、
請求項24に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針をカバーし腱鞘内にダイ針を運ぶための針カバー及び搬送装置(needle covering and carrying device)に関する。本発明はまた、切断された腱を修復するために使用するアセンブリに関し、アセンブリは、針並びに針カバー及び搬送装置を有し、切断された腱を修復する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手の怪我は一般的である。非特許文献1は、手の怪我は、英国のほとんどの病院の救急科へのすべての紹介の約5分の1を占め、治療に年間1億ポンド以上の費用がかかることを述べた。
【0003】
手の屈筋腱と伸筋腱は腱鞘(tendon sheaths)を通って伸びており、その中では手を屈曲させると腱が可動になる。ヒトの手の怪我は、しばしば腱の損傷を引き起こし、しばしば1つ又は複数の腱の切断を伴う。
【0004】
腱の怪我は、手の5つの異なるゾーンの1つに分類される。ゾーン1は、浅指屈筋(FDS)腱の挿入より遠位の深指屈筋(FDP)腱を含む。ゾーン2(「ノーマンズランド」)は、A1プーリの近位縁部へのFDS腱の挿入を含み、このプーリは、腱が座る下にある十字形構造である。ゾーン3は手掌にあり、手根管の遠位縁部へのA1プーリの近位縁部を含む。
【0005】
指の怪我が起こり、ゾーン1又はゾーン2で腱が切断されると、腱は手のひら(ゾーン3)に向かって後退する傾向がある。腱の切断された部分は、腱が切断された領域を越えて、指の中の腱鞘の中に残る。切断された腱の修復を実行するには、指の中に残っている腱部分の断端に縫合する前に、引っ込められた腱の断端を腱鞘に沿って引き戻す必要がある。
【0006】
十分に開発された外科技術及び縫合材料が利用可能であるにもかかわらず、手のゾーン2内の屈筋腱の損傷は、依然として手の外科医にとって重大な課題である。外科コミュニティ内で結果を改善するための技術には積極的な関心がある。
【0007】
非特許文献2は、収縮した近位腱断端を修復部位に送達するための文献に記載されている様々な手技について報告し、コメントしており、近位腱断端の引き出し(Kleinert、1975[1])、吸引(Pennington、1977[2])、硬くて柔軟な腱回収器の使用(Ersek&Gadaria、1985[3])、スキンフック(Kamath&Bhardwa、2007[4])、鋼線(Iwuagwu&Gupta、2004[5])、動脈瘤針(Hettiaratchy&Titley、2002[6])、腱をカテーテルに左右に縫合する(Sourmelis&McGrouther、1987[7])および内視鏡的腱修復Hill、Wells&Prevel [8])を含む。
【0008】
ゾーン2における屈筋腱修復には、このゾーンでの癒着なしに腱治癒が問題となる性質のため、腱断端の慎重な取扱いと周囲の腱鞘への最小限の損傷を伴う非外傷性腱修復技術が必要である。腱プーリの下での屈筋腱回復に関して、様々な技術が記載されている。硬く柔軟な腱レトリバ(tendon retrievers)は、切断された腱断端にさらなる圧挫損傷を引き起こし、これはさらなる線維化及び腱治癒の変化を引き起こすことが判明している(Kamath & Bhardwa, 2007; Iwuagwu & Gupta,
2004)。
【0009】
Hettiratchy及びTitleyは、腱断端にコア縫合を行い、動脈瘤針を用いて縫合糸をプーリに通し、縫合糸で腱を引き抜いたと記載している。この技術は、手のひらの中に引っ込められた腱に使用するのには適さないことがあり、鞘のさらなる窓を必要とし、その結果、さらなる損傷をもたらす。
【0010】
サイラスティック管を腱鞘を通過させ、次いで、近位の腱断端を管の側面又は端部に縫合すること、又は腱を管腔内に配置する他の方法が記載されている(Sourmelis & McGrouther
1987; Hill, Wells & Prevel
1997; Kilgore, Adams &
Newmeyer, 1971 [9])。しかしながら、これらの方法の全ては、かさばる腫瘤を作り出す可能性があり、これは、それに沿った通過中に腱鞘を傷つける可能性がある。また、これらの方法の全ては、腱断端を複数回縫合することを必要とし、これは、腱先端をほぐし、修復をより困難にする可能性がある。
【0011】
良好な結果を得るためには、切断された腱断端を非外傷的に扱い、腱鞘への損傷を最小限に抑えながら外科的修復を行うことが、この領域における術後の癒着及び裂傷を防止するために不可欠である。従って、最終的な修復の一部として継続することができる「ニードルド(needled)」縫合糸を用いて、腱をその鞘を通して引き出すことができることが極めて望ましい。
【0012】
Bhatti&Adeniran(2006)[10]は、直針(straight needle)とポリプロピレン縫合糸を用いて遠位手掌皮線(distal palmar crease)で近位の腱断端を縫合し、指への直針の通過のための導管のように働くスタイレット付き14ゲージのプラスチック製カニューレを使用する方法を報告している。縫合末端を引っ張ると、切断された腱断端が送達される。しかし、手術室では直針が常に使用できるわけではない。さらに重要なことは、直針を用いた修正ケスラー縫合、又は湾曲針(curved needles)を用いた他の一般的な腱縫合技術を完成させることが困難であることである。
【0013】
Ozturkら(2013)は、ゾーン2において収縮した屈筋腱のプーリの通過を容易にする単純で比較的非外傷的な方法を提示している。著者は、3-0ポリプロピレン縫合糸を用いて遠位手掌皮線で近位腱断端を縫合し、指にまっすぐな針を通すための導管のように作用する14ゲージのプラスチック供給チューブを使用した。
【0014】
特許文献1は、手の中の切断された腱断端を再付着させるための装置を開示している。開示された装置(図1参照)は、複雑であり、コネクタによってフランジ付きカテーテルに接続されるプーリカテーテルを含む多数の構成要素を有する。プーリカテーテルは、(腱プーリを通って押されることができるように)十分な剛性を有するポリマー材料から成り、フランジ付きカテーテルは、シリコーンなどの、より柔軟なポリマー材料から成る。さらに、装置は、マルチフィラメントケーブルの端部に取り付けられる短い直針を含む腱アンカーを有し、ケーブルは、ケーブルの中間点に配置されたスリーブから別個の縫合糸に巻き戻される。湾曲針(ラベル114a~g参照)は各縫合糸の末端に取り付けられる。使用時には、プーリカテーテルを手のひらの切開部に、腱プーリの下の腱鞘に沿って挿入する(図2A参照)。次に、フランジ付きカテーテルがプーリカテーテルに接続され、腱鞘内に部分的に引き込まれる(図2B参照)。次いで、手掌の腱断端が表面に送達され、腱アンカーの直針を断端の中に置き、断端を通過させる。次に、湾曲針を用いて腱修復装置を断端に縫い、一対の縫合糸を結び、さらなる湾曲針及び縫合糸を用いて形成された十字ロッキングスティッチを用いて腱に縫合する。次いで、余分な縫合糸材料及び湾曲針が除去される(図2D及びE参照)。次に、直針がフランジ付きカテーテルのフランジに挿入され、腱断端がフランジ部に入るまで進められた。次に、外科医は直針をつかみ、針、取り付けられたケーブル、フランジ付きカテーテル、及び腱断端をプーリシステムを通して指の傷から引き抜く。次いで、同様の構造のさらなる腱アンカーが、上述したのと同じ方法で、指の腱断端に取り付けられ、2つのアンカーの針が、コネクタのボアを通して挿入され、反対方向に通過する。次いで、牽引力(Traction)が腱断端に加えられ、それらは、腱端に埋め込まれたコネクタと共に引っ張られる。次いで、圧着ツールを使用してコネクタを圧着し、ケーブルの余分な長さが切断される。プーリカテーテルのような装置も開示されており、この装置は、カテーテル全体を、プーリシステムを通って押されるのに十分な剛性にし且つプーリを本来の大きさに逆らって拡張させる目的を果たすのに十分な壁厚を有する拡張(dilation)カテーテルとして説明されている。
【0015】
特許文献1に開示されている装置は複雑であり、記載されている腱修復の処置は煩雑である。この鞘テムは多数の問題を抱えている。これらには、腱アンカーが組み立てるのが複雑であり、外科処置におけるその使用は複雑であり、時間がかかることが含まれる。直針及びトレーリングケーブル(trailing cable)を腱断端を通って挿入するように操作することは困難であり、様々なクランプを使用して、腱断端を所定の位置に保持する必要がある。フランジ付きカテーテルに沿って腱アンカーを前進させることも、針に接続されたケーブルを使用してカテーテルを通って前進させる必要があるため、困難である。さらに、腱アンカーを断端に接続する処置を妨げることなくこれを達成するためにケーブルを十分に剛性にすることは困難である。フランジ付きカテーテルは比較的軟質なポリマー材料であるので、針がカテーテルに沿って進められると、カテーテルが針によって穿刺される重大なリスクが生じ、その結果、カテーテル内で針が詰まり、周囲の組織に誤導される可能性がある。プーリカテーテルは、長さが典型的には120mmで、外径が比較的小さく(典型的には2mm)、壁厚が0.5mmであり、したがって、内径が1mmである(段落0070参照)。直針を上記寸法のプーリカテーテルにケーブルで押し込むことは困難である。腱アンカーのスリーブ、及び2つのアンカーのケーブルを接続するために使用されるコネクタは、全て、腱断端内に埋め込まれる。したがって、これらの構成要素は、腱断端内に永久的に配置され、組織の内方成長及び腱の効果的な修復を妨げる可能性がある。拡張カテーテル(図13A~C、及び図14A~E参照)を使用する場合、ユーザがプーリを過度に拡張させ、プーリの損傷及び破裂の可能性を招く可能性がある。プーリを過度に拡張させ、その結果、プーリに損傷を与える危険性は別として、腱鞘内に残された拡張部は、プーリの意図された拡張を達成するために必要な剛性を付与するのに十分な厚さでなければならない。上記の拡張部が押しつぶされていれば、プーリを拡張するために使用することはできない。この特定の特徴は、後に示すように、本開示に関連する。
【0016】
以上のことから、腱の修復に用いられている既存の装置及び外科的技術を改善する必要があることは明らかである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【文献】Rudge andJames (2014),“Flexor“Tendon Injuries in the Hand: A UK Survey of Repair Techniques andSuture Materials - Are We Following the Evidence?” (1SRNPlastic Surgery)
【文献】Ozturk etal., the Annals of Surgical Innovation and Research 2013, 7:11
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許出願公開第2013/0144310号
【発明の概要】
【0019】
本開示の第1の態様によれば、湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内で針を搬送するための針カバー及び搬送装置が提供され、該装置は、細長い要素を有し、細長い要素は:
第1の端部;
第1の端部と反対側の第2の端部;及び
第1の端部と第2の端部との間に延びるボディであって、ボディは、針の少なくとも貫通先端がボディ内に配置されるように湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、針が鞘内を通過する間に先端と接触することによる腱鞘の損傷を防止する、ボディ;
を有し、ボディは:
A.実質的に硬質(rigid)であり、湾曲針を収容することができるように湾曲形状を有する;又は
B.変形可能であり、湾曲針を収容できるように湾曲形状に変形されることができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内で針を運ぶ針カバー及び運搬装置が提供され、該装置は細長い要素を有し、細長い要素は:
第1の端部;
第1の端部と反対側の第2の端部;及び
第1の端部と第2の端部との間に延びるボディであって、ボディは、針の少なくとも貫通先端がボディ内に配置されるように湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、針が鞘内を通過する間に先端と接触することによる腱鞘の損傷を防止する、ボディ;
を有し、
ボディの少なくとも一部は、湾曲針を収容するように予め湾曲されているか、又は変形可能であり且つ湾曲針を収容できるように湾曲形状に変形されることができる。
【0021】
損傷を受けた腱、特に手の腱の修復のための外科的技術は、湾曲針の使用から大きな利益を得る。例えば、湾曲針の使用は、切断された腱の断端を一緒に縫合する外科医の能力を改善する。
【0022】
本出願は、針との接触を通した鞘への損傷を制限するか、又は回避する一方で、腱鞘内の湾曲針の通過を容易にする実施形態を開示する。針は、腱断端の後方にある腱鞘を通して引っ張ることができ、その結果、断端を腱の第2の部分の断端に縫合することができる。手の腱修復手術では、腱の第2の部分が指にあることがある。
【0023】
以下のテキストは、本開示の第1の態様及び/又は第2の態様の装置のオプションのさらなる特徴を定義する。
【0024】
本明細書では、湾曲針をカバーし、腱鞘内で針を運ぶための針カバー及び搬送装置を参照する。腱鞘は、ヒト(又は動物)の体内に見出される多くの異なる鞘、管又は導管のうちの1つであり得ることが理解されよう。しかし、開示された実施形態は、手の手術に関して特定の用途を有し、この用途では、腱鞘は、手に見出される腱の鞘(例えば、FDP又はFDS腱)である。
【0025】
装置、特にキャビティ(cavity)は、針全体を受け入れるように構成され得る。この装置は、針のためのエンベロープ(envelope)又はシュラウド(shroud)を形成し得る。
【0026】
キャビティは、装置の第1の端部から装置の第2の端部まで延び得る。
【0027】
ボディの第1の端部は前端部(leading end)であり得、第2の端部は後端部(trailing end)であり得る。第1及び第2の端部の少なくとも1つは、開口し得る、又は少なくとも部分的に開口し得、キャビティと連通し得る。これは、開口端を通してのキャビティ内への針の挿入を容易にし得る、及び/又は針に接続された縫合糸がボディから出ることを可能にし得る。
【0028】
ボディは、鞘に沿って、又は鞘内で針を運ぶ役割を果たし得る。第1の端部は、腱鞘内に挿入され、それに沿って導かれる(directed)ように構成され得る。ボディは、鞘に沿って移動するように構成される糸通し(threading)要素(以下、糸通し器(threader)と称する)を形成し得る。使用に際して、ボディは、糸通し器を定める部分と、針のためのカバーを形成する部分とを有し得る。糸通し器部分は、実質的に直線状であり得、これは鞘内での通過を容易にし得る。オプションAにおいて、カバー部分は、湾曲形状を有し得る。オプションBにおいて、カバー部分は、湾曲形状に変形されることが可能であり得る。カバーは、糸通し要素を定めるボディの部分よりも柔軟であり得る。
【0029】
キャビティは、ボディの長さに沿って途中まで延び得る。キャビティは、第1及び第2の端部の一方から第1及び第2の端部の他方に向かう方向に延び得る。第2の端部が後端部である場合、キャビティは、第2の端部から第1の端部に向かって延び得る。
【0030】
キャビティは、第1の端部と第2の端部との間に配置され得る。
【0031】
ボディは、鞘内で装置を輸送するために使用される輸送アセンブリに装置を接続するためのカップリングを有し得る。輸送アセンブリは、細長い糸通し要素(糸通し器)と、糸通し器に接続された可撓性接続構成要素とを有し得、接続構成要素は、ボディのカップリングに接続されるように構成される。接続部材は可撓性であり得、コード、ワイヤ、フィラメント等であり得、縫合糸であり得る。カップリングは、ボディに取り付けられた、又はボディに接続された穴(eye)、輪(hoop)などであり得る。
【0032】
ボディは、概して管状であり得る。ボディは、概して円筒形であり得、断面が円形を有し得る。
【0033】
装置は、外鞘(outer sheath)、スリーブ又はカバーを有し得る。外鞘は、腱鞘内の装置の通過を容易にし得る。外鞘は、腱鞘内の装置の通過を容易にするために、材料が低い摩擦係数を有し得るプラスチック(好適には高分子)又はエラストマー材料であり得る。外鞘は、ボディの外面と接触して配置される内面を有し得る。外鞘は管状であり得る。外鞘は、ボディの長さに沿って少なくとも途中まで延び得る。外鞘は、装置の第1及び第2の端部の一方から第1及び第2の端部の他方に向かう方向に延び得る。第1の端部が前端部である場合、外装は、第1の端部からボディに沿って第2の端部に向かう方向に延び得る。外鞘は、第1の端部をカバーし得る。第2の端部が後端部である場合、第2の端部は露出され得、したがって、外鞘によってカバーされていなくてもよい。ボディの一部は、キャビティを画定し得る。この部分は、露出され得、したがって、外鞘によってカバーされていなくてもよい。したがって、外鞘は、ボディに沿って第1の端部から前記部分まで延び得る。
【0034】
オプションAによる針カバー及び搬送装置は、以下の特徴の1つ又は複数を有し得る。
【0035】
キャビティは、湾曲され得る。キャビティは、湾曲針の形状と実質的に一致する湾曲形状を有し得る。針は曲率半径を有し得、キャビティは曲率半径を有し得る。キャビティの曲率半径は、針の曲率半径と実質的に一致し得る。
【0036】
ボディは、第1のボディ部分と、第1のボディ部分に接続される第2のボディ部分とを有し得る。第1及び第2のボディ部分は、接続されると、ボディを形成し得る。第1のボディ部分及び第2のボディ部分の少なくとも一方は、第1のボディ部分及び第2のボディ部分の他方のダイに対して移動可能であり得、針をキャビティ内に挿入することができる開位置とキャビティを閉じる閉位置との間で移動可能であり得る。ボディは、閉位置でロック可能であり得る。装置は、ボディを閉位置にロックするためのクリップ、クランプ又はロックを有し得る。第1のボディ部分及び第2のボディ部分の少なくとも一方は、ヒンジを介してなど、第1のボディ部分及び第2のボディ部分の他方に対して枢動可能であり得る。ヒンジはリビングヒンジであり得る。
【0037】
ボディに適当な材料は、プラスチック、適当にはポリマー材料、金属、及び金属合金を含むグループから選択され得る。
【0038】
オプションBによる針カバー及び搬送装置は、以下の特徴の1つ又は複数を有し得る。
【0039】
装置のボディの少なくとも一部、又はオプションで装置のボディの一部のみが、塑性変形可能であり得る。キャビティを画定するボディの一部は、塑性変形可能であり得る。ボディ全体は、塑性変形可能であり得る。装置は、(湾曲針を収容するために)所要の形状に曲げることが可能であり得、これは、針のキャビティ内への挿入の際に、又は、特定の針に適合する形状を有するようにボディの適切に操作などによって予め生じ得る。
【0040】
装置のボディの少なくとも一部、又はオプションで装置のボディの一部のみが弾性変形可能であり得る。キャビティを画定するボディの一部は、弾性変形可能であり得る。ボディ全体は弾性変形可能であり得る。装置は、針がキャビティ内に挿入されるとき、湾曲形状を採用することができる。ボディは、実質的にまっすぐ及び/又はストレスのない構成であり得る非変形又は開始構成から、湾曲構成であり得る変形構成又は展開構成まで、弾性変形可能であり得る。針をキャビティから取り出すとき、ボディは非変形構成に戻り得る。ボディは、金属又は金属合金材料製であり得る。
【0041】
ボディ、及びオプションで装置は、ばねの形態をとり得る。ばねは、引張ばね又はばね部材であり得る。ばねは、螺旋状に巻かれ得る。ばねは、複数の巻き又はコイルを有し得、これらは、巻き又はコイルが少なくとも休止状態で接触(密接に接触)するように配置され得る。ばねは、ステンレス鋼材料などの金属又は金属合金材料であり得るが、プラスチック(好適には高分子)材料が適切であり得る。ボディは、特にばねの形態をとる場合、ボディの主軸(変形しない状態における)に対して多方向に変形可能であり得る。従って、ボディは、主軸から離れる任意の所望の方向(例えば、半径方向)に偏向可能(deflectable)であり得る。従って、ボディは高度のコンプライアンスを示し得る。
【0042】
湾曲針を収容するボディの少なくとも一部は、予め湾曲され得る。
【0043】
ボディは、側壁を有し得る。キャビティと連通する開口部が側壁に形成され得る。針は、開口部を通ってキャビティ内に挿入可能であり得る。
【0044】
本開示の第1及び/又は第2の態様の針カバー及び搬送装置のさらなる特徴は、特に本開示の第3及び第4の態様の外科的アセンブリにおいて、又はこれらに関連して、本明細書の他の箇所に記載されているテキストから導き出され得る。
【0045】
本開示の第3の態様によれば、切断された腱を修復するために使用されるアセンブリが提供され、アセンブリは:
曲線針;及び
湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内で針を輸送するための針カバー及び搬送装置;を有し、針カバー及び搬送装置は細長い要素を有し、細長い要素は:
第1の端部;
第1の端部と反対側の第2の端部;及び
第1の端部と第2の端部との間に延びるボディであって、ボディは、針の少なくとも貫通先端がボディ内に配置されるように湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、針が鞘内を通過する間に先端と接触することによる腱鞘の損傷を防止する、ボディ;
を有し、ボディは:
A.実質的に硬質であり、湾曲針を収容できるように湾曲形状を有する;又は
B.変形可能であり、湾曲針を収容できるように湾曲形状に変形されることができる。
【0046】
本開示の第3の態様、特に針カバー及び搬送装置のアセンブリのさらなる特徴は、特に本開示の第1及び/又は第2の態様の針カバー及び搬送装置において、又はこれらに関連して、本文書の他の箇所に記載されているテキストから導き出され得る。
【0047】
本開示の第4の態様によれば、切断された腱を修復するのに使用するためのアセンブリが提供され、アセンブリは:
腱鞘の管腔に沿って通過するように構成される糸通し要素と;
腱鞘の内面をライニングする(lining)ためのライナであって、ライナは、内部通路であって、それに沿って腱断端が管腔に沿った通過中に通過することができる内部通路を画定し、ライナは、腱断端と腱鞘の内面との間の接触を制限するように作用する、ライナと;を有し、
ライナは、糸通し要素によって腱鞘内に引き込まれ、管腔内に配置され、次いで、管腔内に存在するように糸通し要素から解放されることができるように、糸通し要素に解放可能に結合されるように構成される。
【0048】
腱鞘の狭い管腔に沿って通過し、ライナの後にある鞘を通過するようにするための、適切な成形(例えば、細長い、及び比較的小さな直径又は幅)及び/又は材料の選択(例えば、塑性変形可能/柔軟または弾性変形可能)によって構成される要素である糸通し要素が参照される。
【0049】
糸通し要素は、腱鞘の管腔内にライナを引き込む役割を果たし得、次いで、ライナを管腔内に配置することができるようにライナから解放され得、その位置において、ライナは、腱断端と腱鞘の内面との間の接触を制限(及びオプションで完全に防止)する役割を果たし得る。これは、管腔に沿った通過中の腱断端への損傷を制限(そして潜在的に回避)し得、これは、そうでなければ、それは、擦り切れさせることがあり、上述のタイプの腱修復処置において、それを腱のさらなる断端に続いて接続することを困難にし得る。
【0050】
ライナは、腱断端と腱鞘の内面との間の接触を制限する(及びオプションで接触を防止する)ための特別な用途を有するが、ライナは、また、例えば管腔に沿った戻り通過(return transit)の間に、糸通し要素自体を含むがこれに限定されない、他の物体と腱鞘の内面との間の接触を制限する(及び潜在的に回避する)ためにも機能し得る。
【0051】
アセンブリは、湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内に針を搬送するための針カバー及び運搬装置を有し得る。針カバー及び搬送装置は、細長い要素であって:
第1の端部;
第1の端部の反対側の第2の端部;及び
第1の端部と第2の端部との間に延びるボディであって、ボディは、針の少なくとも貫通先端がボディ内に配置されるように、湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、鞘内の針の通過の間に先端との接触を通じた損傷から腱鞘を保護する、ボディ;
を有する。
【0052】
ボディは、変形可能であり得、湾曲針を収容できるように湾曲形状に変形されることができる。ボディは実質的に硬質であり得、湾曲針を収容することができるように湾曲形状を有する。
【0053】
ボディは、糸通し要素を形成し得る。使用に際して、ボディは、糸通し要素を画定する部分と、針のためのカバーを形成する部分とを有し得る。
【0054】
ライナは細長いものであり得る。ライナは鞘の形態をとり得る。ライナは、実質的に管状であり得、任意の適切な断面形状を有し得る。ライナは、折りたたみ可能であり得る、及び/又は、腱鞘の管腔への挿入及びそれに沿った通過を容易にするために、平坦化されるように構成され得る。これは、ライナに適した材料の選択、及び折り曲げ/平坦化に適した壁厚を有するライナの提供によって達成され得る。ライナは、腱鞘の内面に接触するように構成される外面と、内部通路を画定し、管腔に沿った通過の間に腱断端によって接触され得る内面とを有し得る。
【0055】
ライナは、スリットを有し得、第1の軸方向端部から第2の軸方向端部までライナの全長に沿ってスリットを形成され得る。このようなスリットを有するライナの提供は、腱断端が切断された腱に機能を回復させるために接続される腱修復処置の完了後に、管腔からのライナの除去を容易にし得、このスリットは、ライナが修復された腱の上に引っぱられることを可能にし、腱を腱鞘の管腔内の所定の位置に残す。ライナは、内部通路を画定するように、例えば、長手方向軸線の周りにロール状に巻かれる(rolled)又はコイル状に巻かれる(coiled)ように構成され得る。ライナのロール形成(Rolling)又はコイル形成(coiling)は、それをチューブの形状に成形し得る。ライナがスリットである場合、ライナは、第1の横方向エッジと第2の横方向エッジとを有し得る。ライナがロール状に巻かれる又はコイル状に巻かれる場合、横方向エッジの一方を有するライナの一部分は、他方の横方向エッジを有するライナの一部分と重なり得る。ライナは、プラスチック(好適には高分子)又はエラストマー材料製であり得、この材料は、腱鞘の管腔への挿入、及びライナの内部通路に沿った腱断端の通過を容易にするために、低い摩擦係数を有し得る。
【0056】
ライナは、腱鞘の管腔内に配置されるように構成される鞘ライニング部分と、管腔ライニング部分から延び、鞘ライニング部分を管腔の中に且つ管腔に沿って引っ張るために使用されるように構成される引っ張り部分とを有し得る。引っ張り部は、鞘ライニング部の長さよりも大きいか、実質的に等しい長さを有し得る。糸通し要素は、引っ張り部分に結合されるように構成され得、引っ張り部分を管腔内に引き込むために使用され得る。引っ張り部分は、その後、引っ張り部分の端部を管腔から引き抜くことによって、鞘ライニング部分を管腔内に引き込むために使用され得る。引っ張り部分は、鞘ライニング部分を管腔内に引っ張るためにユーザによって把持されるように構成され得る。鞘ライニング部分は、実質的に管状であり得る(スリットを含み、上述のようにコイル状に巻かれる場合を含む)。引っ張り部分は、実質的に管状の管腔ライニング部分から延び得る1つ又は複数の細長いストリップ、脚部等を有し得る。代替的には、引っ張り部分は、管状であり得、管腔ライニング部分よりも小さな直径又は幅のものであり得る。引っ張り部分は、管腔ライニング部分と一体であり得る。
【0057】
アセンブリは、さらなる腱鞘の内部表面をライニングするための、少なくとも1つのさらなるライナを有し得る。また、さらなるライナは、糸通し要素によってさらなる腱鞘内に引き込まれ、さらなる腱鞘の管腔内に配置され、次いで、管腔内に存在するように糸通し要素から解放されることができるように、糸通し要素に解放可能に結合されるように構成され得る。さらなるライナは、例えば、同じ又は第2の(及びオプションでさらなる)指におけるさらなる腱の腱修復処置において使用されてもよい。
【0058】
糸通し要素は、ばねの形態をとり得る。ばねは、引張ばね又はばね部材であり得る。ばねは、螺旋状に巻かれ得る。ばねは、複数の巻き又はコイルを有し得、これらの巻き又はコイルは、少なくとも休止状態で接触(密接に接触)するように配置され得る。ばねは、ステンレス鋼材料などの金属又は金属合金材料であり得るが、プラスチック(好適には高分子)材料が適切であり得る。
【0059】
糸通し要素は、外鞘、スリーブ又はカバーを有し得る。外鞘は、腱鞘内の糸通し要素の通過を容易にし得る。外鞘は、腱鞘内の装置の通過を容易にするために、材料が低い摩擦係数を有するプラスチック(好適には高分子)又はエラストマー材料であり得る。外鞘は、ボディの外面と接触して配置される内面を有し得る。
【0060】
上述のように、ボディは、糸通し要素を画定する部分と、針のためのカバーを形成する部分とを有し得る。カバーは、糸通し要素と同様の構造を有し得、それに連続し得る。糸通し要素が、上述のようにばねで形成される(オプションで複数のコイルを有する)場合、外(カバー)鞘は、腱鞘の管腔を通して押し込まれることができるように、糸通し要素にある程度の剛性(a measure of rigidity)を与え得る。外鞘によってカバーされている糸通し要素の部分の剛性又は曲げ弾性率は、外鞘によってカバーされていない部分よりも大きくなり得る。よって、外鞘でカバーされた糸通し要素の部分は、カバーされていない部分よりも剛性が高くなり得る。
【0061】
アセンブリは、糸通し要素をライナに解放可能に接続するための可撓性接続構成要素を有し得る。可撓性接続構成要素は、コード、ワイヤ、フィラメント等であり得、縫合糸であり得る。アセンブリが針カバー及び搬送装置を有する場合(装置のボディが糸通し要素を形成する)、可撓性接続構成要素は、針に接続された縫合糸であり得る。適切には、針は、縫合糸が腱鞘の管腔内にライナを引き込むために使用される前に、カバー及び搬送装置から除去される。
【0062】
可撓性接続構成要素は、接続構成要素を糸通し要素に/その周りに巻き付ける(whipping)ことによってなど、結束することによって、糸通し要素に解放可能に接続され得る。糸通し要素が外鞘を有する場合、可撓性接続構成要素は、ボディの外面と外鞘の内面との間に接続構成要素の一部をトラップすることによって、糸通し要素に解放可能に接続され得る。糸通し要素がばねの形態をとる場合、ばねは、内部通路を画定し得、開放端を有し得、可撓性接続構成要素は、開放端から出てばねの外面と外鞘の内面との間で開放端から離れて通過する前に、ばねの内部通路をばねの開放端まで通過させ得る。
【0063】
可撓性接続構成要素は、ループ状に形成され得る。ライナ、特に、引っ張り部分(例えば、1つ又は複数の細長いストリップのうちの少なくとも1つ)は、ループの上に折り曲げられ得、可撓性接続構成要素は、例えば、ライナに/その周りに接続構成要素を巻き付けることによってなど、結束することによってライナに対して固定され得る。
【0064】
ライナは、2つの腱鞘ライニング部分を画定するように、糸通し要素に結合され得る。ライナは、第1の端部及び第2の端部を有し得、結合は、好適にはライナの中間点に又はそれに近接して、第1の端部と第2の端部との間のライナの長さに沿った点で、ライナを糸通し要素に接続することによって達成され得る。結合は、ライナを前記点、糸通し要素又は接続構成要素の周りで/それに折り曲げることによって達成され得る。各腱鞘ライニング部分の長さは、それらが、腱鞘(又は、少なくとも、外科的開口部の間に延びる腱鞘の一部)をライニングするのに十分な長さであるならば、長さが異なっていてもよいが、実質的に同じであり得る。腱鞘ライニング部分は、それぞれの腱の腱断端を受け入れるのに役立ち得る。指の腱鞘は、1より多い腱を収容することができることがよく知られている。従って、アセンブリは、2つの腱鞘ライニング部分が単一の腱鞘内に配置され、指の腱の両方が修復される場合に使用することを可能にする。
【0065】
ライナは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びるボディとを有し得る。ライナは、第1の端部から第1の端部と第2の端部との間に配置されたライナの部分に向かって延びる第1の腱鞘ライニング部分と、第2の端部から第1の端部と第2の端部との間に配置された部分に向かって延びる第2の腱鞘ライニング部分とを有し得る。第1の及び第2の腱鞘ライニング部分は、それぞれ幅を有し得、前記部分は、第1及び第2の腱鞘ライニング部分の幅よりも小さい幅を有し得る。第1の腱鞘ライニング部分の幅は、第2の腱鞘ライニング部分の幅と同じ(又は実質的に同じ)であり得る。前記部分は、実質的に一定の幅のメインセクションと、メインセクションと第1の腱鞘ライニング部分との間に延びる第1の移行セクションと、メインセクションと第2の腱鞘ライニング部分との間に延びる第2の移行セクションとを有し得る。移行セクションは、メインセクションの幅からそれぞれの腱鞘ライニング部分の幅まで徐々に増加する幅を有し得る。前記部分は、第1の腱鞘ライニング部分から延びる第1の移行セクションと、第2の腱鞘ライニング部分から延び、第1の移行セクションに結合される第2の移行セクションとを有し得る。移行セクションは、移行セクションの間の交点で又はそれによって定められる幅から、それぞれの腱鞘ライニング部分の幅まで、徐々に増加する幅を有し得る。
【0066】
ライナは、前記部分の中又はそこで、糸通し要素(特に、可撓性接続構成要素)に解放可能に結合されるように構成され得る。可撓性接続構成要素がループ状に形成される場合、ライナは、前記部分で又はその周囲でループの上に折り曲げることにより、糸通し要素に解放可能に結合可能であり得る。第1及び第2の腱鞘ライニング部分は、好適には、前記部分を除去するようにライナを切断することによって、互いに分離されるように構成され得る。
【0067】
本開示の第4の態様のアセンブリの、特に、糸通し要素並びに針カバー及び搬送装置の更なる特徴は、特に、本開示の第1及び/又は第2の態様の針カバー及び搬送装置並びに本開示の第3の態様のアセンブリ、又は第5~第9の態様で定義される方法及びアセンブリに関連して、本文書の他の箇所に記載されるテキストから導き出され得る。
【0068】
本開示の第5の態様によれば、切断された腱を修復する方法の一部であり得る、切断された腱の腱断端を取り出す方法が提供され、方法は:
縫合糸を第1の腱断端に接続するように、縫合糸に接続された湾曲針を第1の腱断端を通過させるステップと;
第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延びるボディとを有する細長い要素を備える針カバー及び搬送装置を提供するステップであって、ボディが内部キャビティを画定する、ステップと;
先端が装置によってカバーされるように、ボディによって画定されるキャビティ内に湾曲針の少なくとも貫通先端を配置するステップと;
細長い要素の第1の端部を腱鞘に挿入するステップと;
第1の腱断端から鞘に沿って間隔を置かれた第2の腱断端に向かって、針及び縫合糸を担持する腱鞘に沿って細長い要素を導く(directing)ステップと;
腱鞘から針カバー及び搬送装置を除去するステップと;
ボディのキャビティから針を除去するステップと;
腱断端が接続されることができるように、縫合糸を用いて、腱鞘に沿って第1の腱断端を第2の腱断端に近接した位置に引き出すステップと;
を含む。
【0069】
本方法は、ボディによって画定されるキャビティ内に縫合糸の自由端を配置するステップを含み得る。腱鞘からの細長い要素の除去の後、本方法は、オプションで、腱鞘に沿って第1の腱断端を引く前に、針及び縫合糸の端部をボディのキャビティから除去するステップを含み得る。
【0070】
本方法は、縫合糸を第2の腱断端に接続するために、縫合糸に接続された湾曲針を第2の腱断端を通過させるステップと;第1の腱断端を第2の腱断端に接続し、それによって切断された腱を修復するように、縫合糸を操作するステップとを含み得る。
【0071】
本方法は、針全体が装置によってカバーされるように、キャビティ内に針全体(したがって、縫合糸に結合され得る針の後端を含む)を配置するステップを含み得る。
【0072】
本方法は、断端を露出させるように腱鞘から第1の腱断端を除去し、次いで、縫合糸を第1の断端に接続するステップを含み得る。本方法は、断端を露出させるように腱鞘から第2の腱断端を除去し、次いで、縫合糸を第2の断端に接続するステップを含み得る。
【0073】
本方法は、針全体を糸通し器のボディのキャビティ内に挿入するステップを含み得る。縫合糸は、開口部を通ってボディの外に通過し得、開口部は、第2の端部内又は第2の端部によって提供され得る。
【0074】
腱鞘から装置を除去するステップは、装置の第2の端部を鞘から引き出すステップを含み得る。
【0075】
本文書では、腱の腱鞘を参照する。腱鞘は、一緒に鞘を形成するいくつかの鞘部又は部分を有し得ることが理解されよう。これは、特に、損傷を受けた腱にアクセスできるように、腱鞘内に開口部が形成され得る外科処置の場合であり得る。
【0076】
第1の腱断端は近位断端であり得、第2の腱断端は遠位断端であり得る。人間の手の文脈では、遠位端は、腱を含む指の先端の近くに配置され得る。本アセンブリ及び方法は、足などの、人体又は動物の体の他の部分への手術の用途があり得る。
【0077】
本文書では、第1の腱断端を第2の腱断端に近接した位置に引っ張ることを参照する。これは、典型的には、第1の腱断端が、断端を一緒に縫合することができる第2の腱断端に十分近い位置に移動されることを意味すると解釈されるであろう。これは、通常、第1の腱断端を第2の腱断端付近の腱鞘から除去することを含む。
【0078】
本方法は、腱鞘の内面をライナでライニングするステップを含み得、ライナは、腱鞘に沿った通過の間に、第1の腱断端がそれに沿って通過することができる内部通路を画定する。腱鞘は、ボディによって画定されるキャビティ内に湾曲針の少なくとも貫通先端を配置するステップを実行する前にライニングされ得、また、第1の腱断端を、縫合糸を引きずる(trailing)湾曲針を通過させるステップを実行する前に実行され得る。
【0079】
ライナは、腱鞘の管腔に沿って通過することができる糸通し要素によって腱鞘内に引き込まれ得る。糸通し要素は、カバー及び搬送装置のボディによって形成され得る。本方法は、ライナを糸通し要素に解放可能に結合するステップを含み得る。ライナは、管腔内の位置に従う糸通し要素から解放され得る。
【0080】
細長い要素の第1の端部を腱鞘に挿入するステップは、第1の端部をライナの内部通路に挿入するステップを含み得る。針と縫合糸を担持する腱鞘に沿って細長い要素を導くステップは、ライナの内部通路に沿って細長い要素を導くステップを含み得る。針カバー及び搬送装置を腱鞘から除去するステップは、ライナの内部通路から細長い要素を除去するステップを含み得る。
【0081】
本方法は、第2の腱断端を通る縫合糸に接続された湾曲針の通過の後に、腱鞘からライナを除去するステップを含み得る。ライナは、第1の腱断端を第2の腱断端に接続し、それによって切断された腱を修復するために、縫合糸の操作後にのみ除去され得る。ライナは、第1の軸方向端部から第2の軸方向端部までライナの全長に沿って延び得るスリットを含み得、スリットは、管腔からのライナの除去を容易にする。ライナは、腱がスリットを通過するか又はスリットから出るように、腱に対して横方向にスライドさせることによって除去され得る。
【0082】
本方法は、2つの腱鞘ライニング部分を画定するように、糸通し要素に結合されるライナで腱鞘の内面をライニングするステップを含み得る。ライナは、第1の端部及び第2の端部を有し得、第1の端部と第2の端部との間のライナの長さに沿った点で、好適にはライナの中間点に又はそれに近接して、糸通し要素に結合され得る。腱鞘ライニング部分は、それぞれの腱の腱断端を受け入れるように役立ち得る。したがって、本方法は、通常、単一の腱鞘内に位置する2つの切断された腱を修復するためのものであり得る。
【0083】
特に、針カバー及び搬送装置に関する、本開示の第5の態様の方法のさらなる特徴は、特に、本開示の第1乃至第4の態様の針カバー及び搬送装置並びにアセンブリ、又は第6乃至第9の態様で定義される方法及びアセンブリに関連して、本文書の他の箇所に記載されているテキストから導き出され得る。
【0084】
本開示の第6の態様によれば、腱修復処置を実施することに備えて、切断された腱の腱鞘をライニングする方法が提供され、方法:
内部通路を画定するライナに糸通し要素を解放可能に結合するステップと;
その後ろにライナを引きずる腱鞘の管腔に糸通し要素を挿入するステップと;
ライナを管腔内に引き込むように、腱鞘の管腔に沿って糸通し要素を導くステップと;
ライナが腱鞘の内面をライニングするように腱鞘内にライナを配置するステップと;
腱鞘の管腔から糸通し要素を除去するステップと;
腱鞘の管腔内の所定の位置にライナを残して糸通し要素からライナを解放するステップであって、ライナは、後続の腱修復処置の間に、切断された腱の腱断端と腱鞘の内面との間の接触を制限するように働く、ステップと;
を含む。
【0085】
本開示の第6の態様の方法のさらなる特徴は、特に、本開示の第1乃至第4の態様の針カバー及び搬送装置並びにアセンブリ、及び本開示の第5の態様の方法、又は第6及び第9の態様で定義されるアセンブリ及び方法に関連して、本文書の他の箇所に記載されるテキストから導き出され得る。
【0086】
本開示の第7の態様によれば、切断された腱を修復するのに使用するアセンブリが提供され、アセンブリは:
湾曲針をカバーし、腱鞘の管腔内で針を搬送するために、腱鞘の管腔に沿って通過するように構成される細長い糸通し要素であって、細長い糸通し要素は:
第1の端部;
第1の端部と反対側の第2の端部;及び
第1の端部と第2の端部との間に延びるボディであって、ボディは、腱鞘内の針の通過の間に針との接触による損傷から腱鞘を保護するために湾曲針を収容するための内部キャビティを画定し、ボディは、湾曲針を収容することができるように湾曲形状に変形可能であり、ボディは、オプションで、複数のコイルを有するばねを有する、ボディ;を有する、
細長い糸通し要素と;
腱鞘の内面をライニングするためのライナであって、ライナは、管腔に沿った通過の間に湾曲針に結合された腱断端がそれに沿って通過できる内部通路を画定し、ライナは、腱断端と腱鞘の内面との間の接触を防止し、ライナはオプションで:
ライナが腱鞘の管腔内に挿入されるように構成される、つぶれた(collapsed)休止構成(rest configuration);及び
拡張された(expanded)作動構成(operating configuration)であって、ライナは、腱断端との接触によって拡張された構成に移動可能である、拡張された作動構成;
を有する、ライナと;
を有し、
ライナは、糸通し要素によって腱鞘内に引き込まれて管腔内に配置され、次いで、管腔内に存在するように糸通し要素から解放されるように、細長い糸通し要素に解放可能に結合されるように構成され;
細長い糸通し要素は、一旦ライナから解放されると、湾曲針をカバーし、ライナを通って且つ接続された腱断端を引きずっている腱鞘の管腔に沿って湾曲針を搬送するために、湾曲針を受け入れるように構成される。
【0087】
ボディは、ばねによって規定され得る。ボディは、外面を有し得、細長い糸通し要素は、ボディの外面に接触(オプションで密着)して配置される内面を有する外側スリーブを有し得る。外側スリーブは、第1の端部からボディの長さに沿って途中まで延び得る。外側スリーブは、ボディにある程度の剛性を与え得(腱鞘の管腔に沿って通過するために変形する能力を過度に制限することなく)、これは、腱鞘内へのボディの挿入、及び、管腔に沿ってボディを押すことを容易にし得る。
【0088】
第2の端部を有するボディの一部分は、湾曲針を収容するように構成され得、外側スリーブは、前記部分が外側スリーブによってカバーされないように、第1の端部からボディの前記部分へ延び得る。外側スリーブによってカバーされていないボディの前記部分を残すことは、湾曲針を収容するように容易に変形することができるように、部分にボディのカバーされた部分よりも大きな柔軟性を提供し得る。
【0089】
ライナは、つぶれた構成では、実質的に平坦であり得、レイフラットチューブ(lay-flat tube)であり得る。ライナは、つぶれた構成では、幅及び高さを有し得、幅は、高さよりも大きい。幅は、高さよりも著しく大きくなり得る。高さと幅の比は、約1:100~約1:10の範囲であり得る。
【0090】
アセンブリは、糸通し要素をライナに解放可能に接続するための可撓性接続構成要素を有し得る。可撓性接続構成要素は、糸通し要素から延びるループに形成され得る。ライナは、ループの上にライナを折り曲げ、ライナの折り曲げられた部分をライナのメイン部分に結合することによって、糸通し要素に結合され得る。
【0091】
ボディの第2の端部は、後端部であり得、ばねは、ボディの第2の端部を画定する開口端部を有し得る。ばねは、ボディの内部キャビティを画定し、可撓性接続構成要素は、開口端部内に、内部キャビティに沿って通過する。
【0092】
ボディの第1の端部は、前端部であり得、ばねは、ボディの第1の端部を画定するさらなる開口端部を有し得る。可撓性接続構成要素は、内部キャビティに沿ってばねのさらなる開口端部まで延び、さらなる開口端部からばねを出て、ばねの外面と外側スリーブの内面との間で開口端部から離れて通過する。
【0093】
ライナは、腱鞘の管腔内に配置されるように構成される鞘ライニング部分と、管腔ライニング部分から延び、鞘ライニング部分を管腔の中に且つ管腔に沿って引っ張るために使用されるように構成される引っ張り部分とを有し得る。鞘ライニング部分は、実質的に管状であり得、引っ張り部分は、鞘ライニング部分から延びる1つ又は複数の脚部を有し得る。
【0094】
ばねは、概して管状であってもよく、螺旋状に巻かれたばねであってもよい。
【0095】
キットが提供され得、これは、本開示の第4の態様又は第7の態様のアセンブリと、少なくとも1つのさらなるライナとを有し、これは、上記で定義されたタイプのものであり得る。さらなるライナは、例えば、同じ又は第2の(及びオプションでさらなる)指におけるさらなる腱の腱修復処置において使用され得る。
【0096】
ライナの「休止」構成を参照する。このような構成は、ライナによって画定される内部通路に沿って通過する腱断端の力のような、外力がない場合にライナが採用する構成であり得、これはライナを拡張させるように作用し得ることが理解されよう。ライナに適した材料は、本文書の他の箇所に記載されているものを含む。
【0097】
本開示の第8の態様によれば、切断された腱の腱断端を取り出す方法が提供され、方法は:
第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延び、内部キャビティを有するボディとを備える細長い糸通し要素を提供するステップであって、ボディは、湾曲形状に変形可能であり、ボディは、オプションで複数のコイルを有するばねを備える、ステップと;
細長い糸通し要素を、内部通路を画定するライナに解放可能に結合するステップであって、ライナは、オプションで、つぶれた、休止構成、及び拡張された作動構成を有する、ステップと;
細長い糸通し要素を、その後ろにライナを引きずる腱鞘の管腔に挿入するステップであって、オプションで、ライナはつぶれた構成にある、ステップと;
ライナを管腔内に引き込むように細長い糸通し要素を腱鞘の管腔に沿って導き、ライナが腱鞘の内面をライニングできるように、ライナを腱鞘内に配置するステップと;
腱鞘の管腔から細長い糸通し要素を除去し、管腔内の所定位置にライナを残して、糸通し要素からライナを解放するステップと;
縫合糸を第1の腱断端に接続するために縫合糸を引きずる湾曲針を第1の腱断端を通過させるステップと;
針がボディによってカバーされ、ボディが針によって湾曲形状に変形されるように、湾曲針を内部キャビティ内に配置するステップと;
細長い糸通し要素の第1の端部をライナの内部通路に挿入し、糸通し要素を針と引きずる縫合糸を搬送する内部通路に沿って、第1の腱断端から腱鞘に沿って間隔を置いた第2の腱断端に導くステップと;
腱断端が接続されることができるように、第1の腱断端を、第2の腱断端に近接する位置に縫合糸を用いてライナの内部通路に沿って引くステップであって、第1の腱断端は、オプションで、内部通路に沿った移動中にライナを拡張された構成に動かす、ステップと;を含む。
【0098】
本開示の第7の態様のアセンブリ及び第8の態様の方法(及び本明細書に開示された他のもの)は、先行技術、特に特許文献1における1つ又は複数の問題に対処する。このアセンブリは、組み立てが容易で、特許文献1の複雑な腱アンカーを必要とせずに、切断された腱を修復する処置を高速化する。湾曲針は、縫合糸を腱断端に接続する能力を大幅に改善し、断端を保持するための煩雑なクランプを使用する必要性を回避する。ばねを有する糸通し要素は、腱鞘の管腔に沿った要素(腱鞘を引きずる)の通過するのを容易にする。湾曲針は、(ばね内で)糸通し要素のボディによって画定されるキャビティ内に収容され、これは、針を収容するために変形することができる。これは、針と腱鞘との間の接触を防ぎ、したがって、管腔に沿った通過の間の腱鞘への損傷及び針を誤った方向に向けることを回避する。ライナは、腱鞘の内面をライニングするように作用し、管腔に沿った通過の間に、腱断端と内面との間の接触を防止する。これは、腱断端がほぐれるリスクを低下させる。また、修復された腱に埋め込まれるようになるスリーブ及びコネクタ(特許文献1に記載)の使用が回避され、組織の内方成長及び患者の回復を促進する。
【0099】
一般的に言うと、湾曲針を腱鞘を通過させる能力、又は記載されたライナを通過させる能力は、通常の手術手技において必要とされる腱断端の多重縫合の必要性を排除するという点で、腱修復の処置を大幅に改善する。修復手技に1本の縫合糸を用いることは、腱断端への外傷が少なく、これは、腱修復の治癒を促進し、ひいては患者の回復を促進することを意味する。
【0100】
本方法は、さらに、腱鞘から細長い糸通し要素を除去するステップと;細長い糸通し要素のボディ内のキャビティから針を除去するステップと;第1の腱断端が第2の腱断端に接続されることができるように、縫合糸を第2の腱断端に接続するために、縫合糸を引きずる湾曲針を第2の腱断端を通すステップとを含み得る。
【0101】
本方法は、腱鞘の管腔に沿って細長い糸通し要素を導く前に、細長い糸通し要素のボディによって画定されるキャビティ内に縫合糸の自由端を配置するステップをさらに含み得る。糸通し要素は、ボディの第2の端部が管腔から露出されたままであるように、管腔内に部分的に挿入され得、その後、湾曲針が、ボディによって画定されるキャビティ内に挿入され得る。
【0102】
ライナの内部通路に沿って第1の腱断端を引き出すステップは、ライナに対して第1の腱断端を並進させるステップを含み得る。
【0103】
本方法は、ライナの内部通路に沿って第1の腱断端を第2の腱断端に近接した位置に引き出した後に、腱鞘からライナを除去するステップを含み得る。
【0104】
細長い糸通し要素は、糸通し要素とライナとの間に延びる可撓性接続構成要素を介してライナに解放可能に結合され得る。ライナを糸通し要素から解放するステップは、可撓性接続構成要素に接続されているライナの部分をライナの残部から切断するステップ(ライナを管腔内の所定の位置に残して)と、可撓性接続構成要素を糸通し要素から解放するステップとを含み得る。
【0105】
本開示の第7の態様のアセンブリは、本開示の第1/第2の態様の針カバー及び搬送装置/本開示の第3の態様のアセンブリの特徴と、本開示の第4の態様のアセンブリとの組み合わせを効果的に含む。第7の態様のアセンブリのさらなる特徴は、特に本開示の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び/又は第4の態様に関連して、本文書の他の箇所に記載されているテキストから導き出され得る。同様に、第1~第4の態様の装置及びアセンブリの特徴は、本開示の第7の態様のアセンブリに関連するテキストから導き出され得る。
【0106】
本開示の第8の態様の方法は、効果的に、本開示の第5の態様の方法の特徴と本開示の第6の態様の方法との組み合わせを含む。第8の態様の方法のさらなる特徴は、特に、本開示の第5、第6及び/又は第7の態様において又はそれに関連して、本文書の他の箇所に記載されているテキストから導き出され得る。同様に、本開示の第5及び第6の態様の方法の特徴は、本開示の第7及び/又は第8の態様の方法に関連するテキストから導き出され得る。
【0107】
本開示の第9の態様において、請求項43に記載の方法が提供される。この方法のオプションのさらなる特徴は、従属請求項において定義される。
【0108】
本開示の第10の態様では、請求項52に記載されているように、切断された腱を修復するのに使用するためのキットが提供される。キットのオプションのさらなる特徴は、従属請求項において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
添付の図面を参照して、本開示の実施形態を単なる例示として説明する。
【0110】
図1】ゾーン1の深指屈筋(FDP)腱を切断した損傷を受けた、手のひらに向かって見た、患者の手の図である。
図2】腱を含む腱鞘を露出させるために開かれた腱に関連する指を示す、図1と同様の図である。
図3】本開示の実施形態による、針カバー及び搬送装置を用いる切断された腱の修復方法のステップを示す、図2と同様の図である。
図4】本開示の実施形態による針カバー及び搬送装置の異なる角度から取られた斜視図である。
図5】本開示の実施形態による針カバー及び搬送装置の異なる角度から取られた斜視図である。
図6】本開示の実施形態による針カバー及び搬送装置の異なる角度から取られた斜視図である。
図7】開放構成で示された針カバー及び搬送装置の斜視図である。
図8】針カバー及び搬送装置を用いる方法の更なるステップを示す、図3と同様の図である。
図9】本開示の別の実施形態による針カバー及び搬送装置の側面図である。
図10】装置への針の挿入を示す、図9に示す針カバー及び搬送装置の一部の拡大斜視図である。
図11】装置への針の挿入を示す、図9に示す針カバー及び搬送装置の一部の拡大斜視図である。
図12】本開示の別の実施形態による針カバー及び搬送装置の側面図である。
図13】本開示の実施形態による、アセンブリを用いる、腱鞘をライニングする方法のステップを示す、図2に示すものに対応する患者の手の図である。
図14図13に示すアセンブリの一部を形成するライナの側面図である。
図15】代替のライナの側面図である。
図16】本方法のさらなるステップを示す、図13に示す手の図である。
図17】本方法のさらなるステップを示す、図13に示す手の図である。
図18図13に示されるアセンブリの一部を形成する糸通し要素の側面図である。
図19】可撓性接続要素に結合されて示される、手とは別個に示されたライナの斜視図である(図13と同じシート上に示されている)。
図20】アセンブリの可撓性接続要素を糸通し要素に結合する別の方法の側面図である。
図21】アセンブリの可撓性接続要素を糸通し要素に結合する別の方法の側面図である。
図22】さらなる代替のライナの側面図である。
図23A】さらなる代替のライナの側面図である。
図23B】ライナに結合された可撓性接続要素を示す、図23Aに示されるライナの図である。
図24A】さらなる代替ライナの側面図である。
図24B】ライナに結合された可撓性接続要素を示す、図24Aに示されるライナの図である。
図24C図24Aに示されるライナ上のバリエーションの側面図である。
図25】アセンブリの異なる特徴を示す、本開示のさらなる実施形態によるアセンブリの側面図である。
図26】アセンブリの異なる特徴を示す、本開示のさらなる実施形態によるアセンブリの側面図である。
図25A図25に示すアセンブリの一部を形成するライナの拡大斜視図である。
図25B図25に示すアセンブリの一部を形成するライナの拡大斜視図である。
図27図25及び26のアセンブリを用いる、本開示の実施形態による、切断された腱の腱断端を取り出す方法のステップを示す、図2に示すものに対応する患者の手の図である。
図28図25及び26のアセンブリを用いる、本開示の実施形態による、切断された腱の腱断端を取り出す方法のステップを示す、図2に示すものに対応する患者の手の図である。
図29図25及び26のアセンブリを用いる、本開示の実施形態による、切断された腱の腱断端を取り出す方法のステップを示す、図2に示すものに対応する患者の手の図である。
図30図25及び26のアセンブリを用いる、本開示の実施形態による、切断された腱の腱断端を取り出す方法のステップを示す、図2に示すものに対応する患者の手の図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
まず、図1を参照すると、ゾーン1の深指屈筋(FDP)腱14を切断した損傷を受けた、手のひら12に向かって見た、患者の手10の図が示されている。FDP腱14の切断は、腱の近位部分が手のひら12への収縮をもたらした。図面は、外科的開口部15を通って皮膚の外側に引き出された(retracte)腱14の近位部分を示し、腱の近位部分は、損傷の位置に第1の断端16を有することを示す。図2は、図1と同様の図であり、腱を含む腱鞘20を露出させるために外科的に開かれた腱14に関連する指18を示す。図面はまた、指18内に残っている遠位腱部分24の第2の断端22を示す。切断された腱14を修復するための外科処置は、第1の腱断端16を第2の腱断端22に接続することを含む。これは、腱14に、したがってその屈曲運動が腱によって制御される指18に機能を回復させる。
【0112】
次に、図3を参照すると、図2と同様の図が示されているが、本開示の実施形態による、針カバー及び搬送装置を用いる切断された腱を修復する方法のステップを示す。針カバー及び搬送装置は、図4図5及び図6の斜視図に示されており、これらは、異なる角度から取られており、概して参照番号26によって示されている。装置26は、図3に示す湾曲針28をカバーするのに役立ち、また、腱鞘の管腔内に針を搬送するのにも役立ち、この場合、鞘20は図2及び3に示されている。
【0113】
図示された実施形態の装置26は、第1の端部32(適切に丸められているかテーパを付けられている)と、第1の端部の反対側の第2の端部34と、第1の端部と第2の端部との間に延びるボディ36とを有する細長い要素30を備える。特定の実施形態では、ボディ36は、概して円筒形の管状の形状を有し、概して円形の断面を有する。しかしながら、ボディ36は、矩形断面(図面には示されていない)を含む他の形状を有することができる。ボディ36は、少なくとも針の貫通先端40がボディ36内に配置されるように、少なくとも部分的又は全体的に湾曲針28を収容するための内部キャビティ38を画定し、キャビティは図7に示され、これは開位置におけるボディの斜視図である(以下、より詳細に説明する)。これは、針28の鞘内の通過の間に針28(特に先端40)と接触することによる損傷から腱鞘20を保護するのに役立つ。
【0114】
図4乃至図7に示す装置26では、ボディは、実質的に硬質(rigid)であり、湾曲針28を収容するのに適した湾曲形状を有する。キャビティ38は針28全体を受け入れるように成形されており、その結果、針は、ボディによってカバーされるか、又は包囲される。キャビティ38は、望ましくは、装置26の第1の端部32から第2の端部34まで延び、第1の端部は前端部を形成し、第2の端部は装置の後端部を形成する。図示された実施形態では、第1の端部32は閉じられ、第2の端部34は開放され、キャビティ38と連通する。この方法では、以下に説明するように、針28に結合された縫合糸は、キャビティ38から出て、ボディ36から出ることができる。しかしながら、開放された第2の端部34は、開放された端部を通るキャビティ38への針28の挿入を追加的に又は代替的に容易にし得る。
【0115】
ボディ36は、腱鞘20内で針28を輸送する役割を果たし、これは、ボディの第1の端部32を鞘20内に挿入し、それを鞘に沿って導くことによって達成される。鞘20に沿ったボディ36の輸送は、装置26を採用する方法のさらなるステップを示す図3と同様の図である図8に示すように、輸送アセンブリを用いて達成される。輸送アセンブリは、概して参照番号42によって示され、細長い糸通し要素(又は糸通し器)44と、糸通し器に接続された可撓性接続構成要素46とを有する。特定の実施形態では、糸通し器44は、平滑(blunt)(丸みを帯びた)端部48(これは鞘20に沿った通過を容易にする一方、鞘に対する損傷のリスクを低減する)と、接続構成要素46に結合するための穴(eye)又はリング50(又は類似の結合要素)とを有するロッド又はワイヤの形態を適切に取る。特定の実施形態の接続構成要素46は可撓性であり、コード、ワイヤ、フィラメント等、特に医療用縫合糸の形態を適切に取る。接続構成要素46の一端は、接続構成要素の端部を穴又はリング50に結び付けることによってなど、穴又はリング50に固定することができる。ボディ36は、カップリング52(図7)を含み、これは、例えば、ボディの一部として取り付けられた又は一体的に形成された穴又はフープ又はリングの形態を取ることができる。穴52は、接続構成要素46の隣接する端部を穴52を通して糸を通し、接続構成要素のその端部を結び付けることによってなど、装置26を輸送アセンブリ42、特に接続構成要素46(例えば、縫合糸)に接続するのに役立つ。この方法では、以下に説明するように、装置26は、その後ろに装置26を引きずる糸通し器44を鞘を通って通過させることによって、輸送装置42を用いて腱鞘20を通して引き出すことができ、この輸送装置は接続構成要素46によって糸通し器に接続されている
【0116】
図7から分かるように、キャビティ38は、湾曲しており、針28のものと実質的に一致する湾曲形状を有する。具体的には、針28は、曲率半径R図3)を有し、一方、キャビティ38は、キャビティの中心線54に取られる曲率半径R図7)を有する。キャビティ38の曲率半径Rは、針28の曲率半径Rと実質的に一致し、その結果、キャビティは、針を快適に収容することができる。しかしながら、これらの半径のわずかな相違は、針28がキャビティ38内に収容されることを妨げないことが理解されるであろう。
【0117】
図7に示すように、図示した実施形態のボディ36は、第1のボディ部分56と、第1のボディ部分にピボット可能に結合された第2のボディ部分58とを有する。第1のボディ部分56及び第2のボディ部分58は、結合されるときに、一緒にボディ36を形成する。第1のボディ部分56及び第2のボディ部分58は、針28がキャビティ38内に挿入されることができる開位置(図7)と、腱鞘20の管腔内の通過の間に、キャビティ内に針を確実に収容するようにキャビティが閉じられる閉位置(図4)との間で互いに対してピボット可能である。第1のボディ部分56及び第2のボディ部分58の他方に対するピボット運動は、ヒンジ59によって容易にされ、これは、適切には、第1のボディ部分及び第2のボディ部分を互いに結合するリビングヒンジの形態をとり得る。
【0118】
ボディ36は、第1のボディ部分56内の凹部62に係合する、第2のボディ部分58上のタブ60を有するロックによって、その閉位置にロックすることができる。タブ60及び凹部62は、タブ及び凹部の適切な寸法決定によって(例えば、タブが凹部内に配置されるとき、部分54及び56の互いに対するピボット運動に抵抗する長さのタブ60を設けることによって)、及び/又は凹部62内に配置されているときに部分56に拘束力を与えるようにタブ60を弾性にすることによって、ボディ36を閉位置にロックし得る。タブ60は、ロックを解除し、第1及び第2のボディ部分を開位置にピボットさせるために、凹部62との係合から手動で押される又は移動されることができる。ボディに適した材料は、プラスチック、特に高分子材料、金属及び金属合金を含む。
【0119】
次に、装置26を用いて腱14を修復する方法について、より詳細に説明する。
【0120】
第1のステップでは、図1に示すように、腱14の近位部分が、第1の断端16を皮膚の外側に露出させるように、開口部15を介して引き込まれる。次いで、図2に示すように、指18は、1つ又は複数の切開を行い、皮膚を剥がすことによって開かれ、第2の腱断端22が見つけられる。湾曲針28は、典型的には、第1の端部66において針に固定され、図3に拡大詳細図に示されている第2の自由端68を有する、縫合糸64が供給される。次いで、針28は、縫合糸64を引きずって、図3に拡大詳細図に示されているように、第1の腱断端を通過する。この方法では、縫合糸64は、第1の腱断端16に接続される。
【0121】
次いで、針運搬装置26のボディ36は、ボディ部分54及び56を互いに対してピボットさせることによって、図7に示される開位置に向かってその開位置に移動される。次いで、針28は、ボディ部分の一方によって画定されたキャビティ38の一部に配置され、縫合糸64は、開口した第2の端部34を通ってボディから通過する針から引きずる。次いで、縫合糸64の自由端68は、キャビティ38内に配置され、開口した第2の端部34からたなびく(引きずる)。このようにして、縫合糸64は、針28からボディ36の外に出て、第1の腱断端16を通ってボディ36に戻るループに形成される。次いで、ボディ36は、閉じられることができ、ボディによって画定されたキャビティ38内に、湾曲針28及び縫合糸64の第2の端部68を保持する。この方法では、針28の鋭い貫通先端40は、特に、装置26によってカバーされる。代替実施形態では、ボディ36は、針28を受け入れるように寸法決めされた1つのキャビティ及び縫合糸64の自由端68を受け入れるように寸法決めされた別のキャビティなど、複数のキャビティ38を含むことができる。他の実施形態では、縫合糸64の自由端68は、装置26の内側に配置する必要はなく、代わりに、縫合糸64が針28から延びるループを形成するように、他の方法で装置の外側の位置に固定されることができる。
【0122】
次いで、糸通し器44の平滑端部48が、手のひら12の開口部15を通して挿入され、腱鞘20の中に案内される。第1の腱断端16を引き出して露出させるために、開口(図示せず)を腱鞘内に形成する必要があることが理解されよう。典型的には、糸通し器44は、その開口部を通して腱鞘20内に案内される。
【0123】
次に、縫合糸46によって糸通し器44に接続されている装置26の第1の端部32が、手のひら18に収容されている鞘の部分の開口を通して腱鞘20に送られる。次いで、糸通し器44は、腱鞘20を通って第2の腱断端22の近傍に通され、別の外科的に形成された開口70を通って鞘の外に案内される(図8)。糸通し器44は、接続構成要素46を介して、鞘20を通って装置26を搬送する。次に、糸通し器44は腱鞘から引き離され、図8に示すように、湾曲針28と縫合糸64の第2の端部68とを含む装置26を鞘から引き離す。
【0124】
第2の腱断端22は、第1の腱断端16への接続の準備が整った状態で、指18から露出される。次いで、針28及び縫合糸64の第2の端部68は、ボディ36のキャビティ38から除去されことができる。次いで、縫合糸64を使用して、腱鞘20を通して第1の腱断端16を引き出し、これは、手のひら12に含まれる鞘の部分の開口部内への断端の適切な操作を必要とする。第1の腱断端16は、第2の腱断端22(これもまた第1の断端への接続の準備ができて露出されている)の近くの指18から露出されるように、鞘20に沿って開口70から引き出される。
【0125】
次いで、縫合糸64を引きずる湾曲針28は、縫合糸を第2の腱断端に接続するために、適切な縫合パターン(修正ケスラー縫合など)を用いて第2の腱断端22を通過される。次いで、縫合糸64及び針28を操作して縫合を締め、第1の腱断端16を第2の腱断端22にしっかりと接続し、それによって切断された腱14を修復し、これは腱鞘20内の位置に戻すように操作されることができる。次いで、手術は、組織に対して(腱鞘、プーリなどの部分の再配置のような)必要な修復を行うことによって完了することができ、次いで、手のひら12及び指18の開口部(又は切開部)を閉じることができる。
【0126】
次に、図9を参照すると、本発明の別の実施形態による針カバー及び搬送装置の側面図が示されており、この装置は、概して参照番号26aによって示されている。図9に示す装置26aの図4図8に示す装置26と同様の構成要素は、接尾辞‘a’を付加した同じ参照番号を共有する。装置26aと装置26との間の実質的な相違のみが、本明細書において詳細に説明される。
【0127】
装置26aは、第1の端部32aと、第1の端部の反対側の第2の端部34aと、第1の端部と第2の端部との間に延びるボディ36aとを有する。第1の端部32aは、腱鞘20への侵入及び腱鞘20に沿った通過を容易にするために、適切にテーパを付けられている又は丸められている。ボディ36aは、装置26に関して上述した方法で、湾曲針28及び縫合糸64の引きずる端部68を受け入れるためのキャビティ又は管腔38aを画定する。代替実施形態では、ボディ36aは、針28及び縫合糸の後端部68をそれぞれ受け入れるための別個のキャビティ又は管腔を有することができる。ボディ36aの部分72は、キャビティ38aを画定し、塑性変形可能である。しかしながら、オプションでは、ボディ36a全体が、塑性変形可能であることができる。従って、装置26aは、手動で及び/又は1つ又は複数のツールを使用して、湾曲針28を収容するために、必要な形状に曲げることができる。これは、針28をキャビティ38aに挿入する際に、あるいは、特定の針に適した形状を有するようにボディを適切に操作することなどによって、予め発生させることができる。部分72、及びオプションでボディ36a全体を形成するのに適した塑性変形可能な材料は、特に金属及び金属合金を含む。
【0128】
ボディ36aの少なくとも一部分72、及び適切にはボディ全体は、管状であり、略円筒状の管状であり得る。針28及び縫合糸64の後端部68は、両方とも、図9に示すように開口している第2の端部34aを通ってキャビティ38a内に挿入される。針28及び後端部68の挿入は、図10及び11の拡大斜視図に示されており、これらは、キャビティ38aにおけるこれらの部分の漸進的な挿入を示している。針28及び後端部68がキャビティ38a内に配置されると、装置26に関して上述したように、装置26aを腱鞘内に挿入することができる。
【0129】
装置26aは、装置26のカップリング穴52などのカップリングを含むことができる。しかし、装置26aは、輸送アセンブリ42なしで使用することができる。この目的のために、ボディ36aは、腱鞘20に沿って移動するように構成される糸通し要素(糸通し器)を形成し得る。したがって、図示された実施形態のボディ36aは、糸通し部分74及び針28のためのカバーを形成する部分72を有する。糸通し部分74は、望ましくは実質的にまっすぐであり、腱鞘20に沿った移動を容易にすることができる。カバー部分72は、湾曲針28を収容するために必要な湾曲形状に変形可能であるが、ボディ36a全体が、製造を容易にするために塑性変形可能であることができると考えられる。
【0130】
次に、図12を参照すると、本発明の別の実施形態による針カバー及び搬送装置の側面図が示されており、この装置は、概して参照番号26bによって示されている。図12に示す装置26bの図4図8に示す装置26、又は図9図11に示す装置26aと同様の構成要素は、適宜接尾辞‘b’を加えた又は接尾辞‘a’を接尾辞‘b’で置き換えた同じ参照番号を共有する。装置26bと装置26及び26aとの間の実質的な相違のみが、本明細書において詳細に説明される。
【0131】
装置26bは、第1の端部32b、第1の端部の反対側の第2の端部34b、及び第1の端部と第2の端部との間に延びるボディ36bを有する。第1の端部32bは、腱鞘20への侵入及び腱鞘20に沿った通過を容易にするために、この場合も同様にテーパを付けられる又は丸められる。ボディ36bは、装置26に関して上述した方法で、湾曲針28及び縫合糸64の後端部68を受け入れるためのキャビティ38b(又は複数のキャビティ)を画定する。ボディ36bの一部分72bは、キャビティ38bを画定し、弾性変形可能である。しかしながら、オプションで、ボディ36b全体は、弾性変形可能であることができる。したがって、装置26bは、針28がキャビティ38b内に挿入されるとき、湾曲形状を取ることができる。
【0132】
部分72b(及びオプションでボディ36b全体)は、実質的にまっすぐ及び/又はストレスのない構成であり得る非変形又は開始構成から、湾曲した構成である図12に示される変形又は展開構成まで、弾性変形可能である。針28がキャビティ38bから除去されると、部分72bは変形していない構成に戻る。部分72b、及び適切にはボディ36b全体を形成するのに適した材料は、金属及び金属合金を含む。
【0133】
特定の実施形態では、部分72b、及び適切にはボディ36b全体は、ばね、特に複数の巻き又はコイル76を有する螺旋状に巻回された張力ばねの形態をとる。コイル76は、典型的には、コイル間の組織の侵入に抵抗し得る、少なくとも休止状態で、それらが密接に接触するように配置される。代替実施形態では、ボディ36b、又はちょうどその一部分72bが、弾性変形可能なポリマーチューブ(例えば、医療グレードのシリコーンチューブ)、又は形状記憶金属(例えば、ニチノール)から形成されたチューブを含み得、これらは、チューブの曲げを容易にするための軸方向及び/又は円周方向のスロットを伴って形成されることができる。
【0134】
装置26bはまた、腱鞘20内の装置の通過を容易にする外鞘、スリーブ又はカバー78を有する。外鞘78は、腱鞘20に沿った装置の通過を容易にするために、低い摩擦係数を有し得る、プラスチック(適切には高分子、例えば熱収縮ポリマーの層)又はエラストマー材料であり得る。外鞘78は、ボディ36bの外面82、特にばねに接触して配置された内面80を有する。この方法では、ばねのコイル76は、組織の侵入に抵抗するようにカバーされる。外鞘78は管状であり、ばね36bの長さに沿って部分的に延びている。外鞘78は、第1の前端部32bから第2の後端部34bに向かって方向に延びている。外鞘78は、第2の端部34bが露出するように、キャビティ38bを画定する部分72bの手前で停止する。これは、外鞘78が、湾曲針28を収容するために必要とされる部分72bの弾性変形を制限しないことを確実にするので、望ましい。しかし、図示された実施形態の変形例では、外鞘は、ばね36bの全長、又は、図示されたものよりも短い距離に延びることができ、その結果、ばねは、前端部32b及びばねの小さな隣接部分のみをカバーすることが理解されるであろう。典型的には、糸通し要素26bは、150mmの範囲の長さを有し、そのうちの約85~100mmが外鞘78によってカバーされる。長さの約50~65mmの、残りの部分(部分72bを形成する)は、湾曲針28を収容するように部分の変形を容易にするためにカバーされていない。
【0135】
使用に際しては、装置26bは、装置26aに関連して説明したように、アセンブリ42などの輸送アセンブリを用いて腱鞘20に沿って引っ張られ得る、又は糸通し器74bを形成することができる。外鞘78は、腱鞘20に沿った移動中の弾性変形に抵抗するために、並びに、組織のばねコイルへの侵入に抵抗し、低摩擦の外側スキンを提供することによって通過を緩和するために、装置を補強するように作用し得る。
【0136】
次に、図13を参照すると、本開示の実施形態による、アセンブリを用いて腱鞘をライニングする方法のステップを示す、図2に示す患者の手10の図が示されている。また、腱鞘をライニングする方法は、図1図12に示し、上述した切断された腱を修復する方法の準備ステップを形成し得る。
【0137】
図示の実施形態では、アセンブリは、腱鞘20の管腔84に沿って通過するように構成される糸通し要素26bを有する。この実施形態では、糸通し要素26bは、図12に示され、上述した針カバー及び搬送装置によって提供されるので、同じ参照番号で示される。糸通し要素26bのさらなる特徴が上に概説されていることが理解されよう。図9に示す糸通し要素26aを含む他の糸通し要素が用いられてもよい。同様に、本方法は、図1~8に示されかつ説明されたアセンブリを使用してもよい。
【0138】
アセンブリはまた、腱鞘20の内面88をライニングするためのライナ86を有し、ライナは、管腔84に沿った通過中に腱断端がそれに沿って通過することができる内部通路90を画定する。ライナ86は、腱断端と腱鞘20の内面88との間の接触を防止するように作用する。ライナ86は、図14に別個に示されており、一方、図15は、概して参照番号86cで示されているライナの代替実施形態を示している。ライナ86及び86cについては、以下、より詳細に説明する。
【0139】
ライナ86は、糸通し要素によって腱鞘20内に引き込まれ、管腔84内に配置され、次いで管腔内に存在するように糸通し要素から解放されることができるように、糸通し要素26bに解放可能に結合されるように構成される。図16は、腱鞘20の管腔84内の位置に沿ったライナ86と、手のひら12の開口部15から一端と、指18の開口70から他端で突出するライナ86とを示す。従って、ライナ86は、開口部15と開口70との間に延びる腱鞘の全長に沿ってライナが通過できるように選択された長さであり、ライナ86の第1及び第2の開口端部92及び94は、それぞれ、手のひら12及び指18から露出される。
【0140】
管腔84内のライナ86の位置は、それが腱鞘20の内面88をライニングするように、ライナが、上述の図1図12に示す修復処置において腱鞘20に沿って引かれたときに、腱14の第1の断端16への損傷を制限し、潜在的に完全に回避するという利点を提供する。これは、そうでなければ、第1の腱断端16を指18から露出された第2の腱断端22に縫合することを困難にすることによって修復処置を妨げる可能性がある腱鞘20の内面88との接触及びひっかかること(snagging)による腱断端16がほつれる(fraying)可能性を低減する。しかし、さらに、ライナ86は、他の物体と腱鞘20の内面88との間の接触を制限し、これには、修復方法のさらなるステップを示している図17を参照して説明する、糸通し器が、修復処置において腱鞘20の管腔84に沿って戻されるときの、糸通し器26b自体が含まれるが、これに限定されない。
【0141】
アセンブリは、さらに、糸通し要素26bをライナ86に解放可能に接続するための可撓性接続構成要素を有し、接続構成要素は、図13に示され、参照番号96が与えられる。接続構成要素96は、典型的には医療用縫合糸の形態をとるが、任意の適切なコード、ワイヤ、フィラメント等を含み得る。縫合糸96は、図18の拡大図に示されているように、糸通し要素の周りに縫合糸を巻き付けること(whipping)によってなど、糸通し要素26bに固定することができ、巻き付けることは、図中98で示されている。これにより、縫合糸96は、腱鞘20の管腔84に沿って引かれ、ライナ86を引きずるときに、糸通し要素26bの長さに沿った動きに対して固定される。
【0142】
縫合糸96は、ループ状に形成することができ、また、図19の詳細図に示すように、巻き付けによってなどで、ライナ86に接続することもでき、巻き付けは、数字100で示されている。巻き付け100は、望ましくは、第1の開口端部92から離間された位置でライナ86の周りに固定される。次いで、開口端部92と巻き付け100との間に延びるライナ86の部分を、図13に示す位置に折り返すことができる。これは、開口端部92がそれ自体で折り返され、管腔84に沿ったライナ86の通過を滑らかにし、通過方向から離れてエッジ表面に対向することによって、開口端部92におけるライナ86のエッジ表面間の接触を制限するという利点を提供する。
【0143】
図示の実施形態のライナ86は、図14に示すように、鞘の形態をとり、細長く、略管状である。ライナ86は、管状であり、略円形断面であるように示されているが、任意の好適な断面形状を有し得ることが理解されよう。ライナ86は、管腔84への挿入及び管腔84に沿った通過を容易にするために、折りたたみ可能に形成されるか、又は平らにされるように構成されることが望ましい。これは、高分子材料及びエラストマー材料を含む、ライナのための適当な可撓性材料の選択、及び/又は、折り曲げ/平坦化を促進するのに適した壁厚をライナに提供することによって達成される。適切な壁厚は、ミリメートルの何分の1のオーダーであり得る。
【0144】
縫合糸96を用いてライナ86に糸通し要素26bを接続した後、糸通し要素26bの前端部32bは、指18の開口70で管腔84内に挿入することができる。次いで、糸通し要素26bは、前端部32bが手のひら12の開口部15から突出するまで、管腔84に沿って押されることができる。糸通し要素26bは、開口部15と開口70との間に延在する腱鞘20の全長にわたって糸通し要素がおよぶ(spans)ような長さとすることが適切である。従って、糸通し要素26bの後端部34bは、前端部32bが手のひら12の開口部15を通って管腔84を出た後に、指18の開口70から突出する。これにより、前端部32bを把持し、糸通し要素を引くことにより、糸通し要素26bを腱鞘20から引き出すことができる。
【0145】
腱鞘20の管腔84に沿った糸通し要素26bの通過は、縫合糸96を介した糸通し要素への接続のために、ライナ86を指18の開口70に向かって移動させるように作用する。ライナ86を腱鞘20内に配置するために、外科医は、手のひら12で露出された縫合糸96の部分を把持し、適切には、ライナの折り曲げられた部分を下方に保持し、折り曲げられた部分を開口70で管腔84内に操作するために、医療用プライヤ又は鉗子を適切に使用することによって、ライナ86を開口70内に引き込むために縫合糸を引っ張ることができる。外科医は、次いで、図16に示された位置にライナ86を前進させるために縫合糸96を引っ張り、そこで、上述したように、開口部15及び開口70におよぶ。
【0146】
次いで、糸通し要素26bは、適切には、縫合糸96を切断し、糸通し要素26bに結合された縫合糸の任意の部分を除去することによって、ライナ86から解放されることができる。さらに、外科医は、折り曲げられて巻かれた部分を除去し、それによってライナ86を再び開くように、開いた第1の端部92からさらに離れた位置でライナ86を切断し、巻き付け100を切断することができる。しかし、代わりに、巻き付け100は、ライナ86を再び開くように除去することができる。
【0147】
その後、外科医は、湾曲針28(図16には示されていない)を用いて縫合糸64を腱断端16に固定し、糸通し要素26bの変形可能部分72b内に湾曲針及び縫合糸64の第2の自由端68を配置(位置決め)することができる。湾曲針28を変形可能部分72b内に配置することは、変形可能部分を図16に示す変形位置をとらせる。次いで、糸通し要素26bは、前端部32bをライナ86の開口端部92内に通すことによって管腔84内に挿入して戻ってされ、糸通し要素は、ライナによって画定される内部通路90に沿って通されることができる。糸通し要素26bは、縫合糸64を引っ張って腱鞘20に沿って移動し、指18の開口70で鞘を出る。上述したように、ライナ86は、糸通し要素26bと鞘表面との間の接触を防止するために、腱鞘20の内面88をライニングする。
【0148】
次いで、図17に示すように、湾曲針28及び縫合糸64の自由端68を、糸通し要素26bの変形可能部分72bから除去することができる。次いで、縫合糸64は、図に示すように、腱断端をライナ開口部92内に操作することによって、ライナ86によって画定された内部通路90内に第1の腱断端16を引き込むために使用することができる。次に、第1の腱断端16が腱鞘20に沿って引かれ、ライナ86は、同様に、腱断端16と鞘表面88との間の接触を制限するように働く。これは、第1の腱断端16が指18の開口70から出るまで続く。次いで、ライナ86は、管腔内に位置する腱の部分の外面の上、及び縫合糸64及び針28の上にライナを滑らせることによって、腱鞘20の管腔84から引き出すことができる。次いで、腱断端16及び22を互いに縫合して、上述の詳細な処置に従い、腱14の機能を回復させることができる。変形例では、断端16及び22が縫合された後までライナ86は管腔84内に留まり、その後、開口70から露出されているので、ライナを引っ張り、それを切断することによって除去される。
【0149】
管腔84からのライナの除去は、図15に示すライナ86cを使用することによって容易にすることができる。図14のライナ86と同様のライナ86cの構成要素は、接尾辞‘c’の追加を伴って同じ参照番号を共有する。ライナ86cは、ライナの第1の端部92cから第2の端部94cまでライナの全長に沿って延びるスリット102を含む。ライナ86cは、内側通路90cを画定するように、管の形状にその長手方向軸線のまわりにロールされる又はコイル状に巻かれることができる。ライナ86cは、第1の長手方向縁部104をそれが第2の長手方向縁部106とオーバーラップするように配置することによって、チューブ形状にロールされることができる。このようなスリット102を有するライナ86cを設けることは、腱断端16及び22が接続される腱修復処置の完了後の管腔84からのライナの除去を容易にする。なぜなら、スリット102は、管腔84内に腱を残しながら、修復された腱の上でライナ86cが引かれることを可能にするからである。代替実施形態では、ライナ86cは、ロール又はコイル状に巻かれる必要はなく、代わりに、第1の長手方向縁部104は、第2の長手方向縁部106に当接することができ、又は第2の長手方向縁部106に近接することができる。
【0150】
糸通し要素26bに縫合糸96を結合する方法の変形例を図18、20及び21に示す。図18において、縫合糸は、糸通し要素をカバーする鞘の外面上に巻き付けられ、しっかりと結ばれる。図20において、縫合糸96は、ばね36bの外面82に直接巻き付けられ、鞘78は、外面82と鞘78の内面80との間の縫合糸をトラップするように巻き付き98の上に配置される。例えば、ばね36bに沿って又はその周りに延びる縫合糸96の少なくとも一部は、鞘がばねの周囲の熱収縮ポリマーの層から形成される場合に、ばねと鞘78との間で捕捉されることができる。図21では、縫合糸端部108及び110は、ばね36bによって画定された内部通路112及びばねの開放端部114を通って挿入され、次にばねの外面82に沿って開放端部から離れて通過する。次いで、鞘78は、縫合糸端部108及び110の上に配置され、ばね36bの外面82と鞘78の内面80との間にそれらをトラップする。図20に示すオプションの変形例では、縫合糸96の端部は、(ばねに巻き付けられることなく)ばね36bの外面82に沿って配置することができ、鞘78によってトラップされる。図21に示すオプションの変形例では、縫合糸端部108及び110もまた、開放端部114を出た後、ばね36bに巻き付けられ得る。上述のオプションの組み合わせに基づいて、さらなる変形を想定することができる。
【0151】
上述の方法では、同じ糸通し要素26bを使用して、腱鞘内にライナ86を位置決めし、ライナ86を通って針及び縫合糸64を通す。しかし、代替実施形態では、2つの糸通し要素26bを使用して、これらの2つのステップを実行することができる。さらに、依然として代替実施形態では、ライナに通って針及び縫合糸を通すために使用されるのとは異なるタイプの糸通し要素を用いて、ライナ86を腱鞘内に位置決めすることができる。例えば、腱鞘内にライナ86を位置決めするために使用される糸通し要素は、針が糸通し要素内に挿入されるときに湾曲部分又は湾曲形状を形成するために変形可能な部分を有する必要はない。したがって、腱鞘内にライナ86を位置決めするために使用される糸通し要素は、細長いボディ(例えば、管状ボディ)と、細長いボディに接続される接続構成要素(例えば、ループの形態のような縫合糸又はワイヤ)とを有することができ、接続構成要素は、本明細書に記載されるように、ライナに解放可能に結合されるように構成される。
【0152】
図22、並びに図23A/B及び24は、代替ライナ86d及び86eを示す。図13図17に示すライナ86と同様のライナ86d及び86eの構成要素は、それぞれ接尾辞‘d’及び‘e’を付加して、同じ参照番号を共有する。
【0153】
ライナ86dは、腱鞘20をライニングするために管腔84内に配置されるように構成される鞘ライニング部分116と、管腔ライニング部分から延びる引っ張り部分118とを有する。引っ張り部分118は、切断されて、管腔内にライニング部分を残す前に、鞘ライニング部分116を管腔84内に、管腔84に沿って引っ張るために使用することができる。引っ張り部分118は、鞘ライニング部分116の長さよりも大きいか、実質的に等しい長さを有することができる。糸通し要素26bは、上述のように接続構成要素96を使用するなどして、引っ張り部分118に結合することができ、上述の様式で引っ張り部分を管腔84に引き込むために使用することができる。次いで、引っ張り部分118の端部120を管腔84から引っ張ることによって、鞘ライニング部分116を管腔84に引き込むために、引っ張り部分118が用いられる。引っ張り部分118は、外科医によって把持され、鞘ライニング部分116を管腔84内に引っ張るために使用することができる。鞘ライニング部分116は、実質的に管状であることができ、引っ張り部分118は、管状管腔ライニング部分から延び、ライニング部分と一体的に提供されることができる、1つ又は複数の細長いストリップ、脚部等を含むことができる。特定の実施形態では、ライナ86dは、接続構成要素96によって形成されたループにライナ86dを部分的に挿入し、例えば部分116、118の間のテーパ付き移行セクション122上の又はそれに隣接する位置で、部分116に対して部分118をループ上で折り曲げることによって、糸通し要素26bに結合することができる。
【0154】
引っ張り部分118は、ライニング部分116eの幅Wと比較して減少した幅Wであることができ、これにより、腱鞘20の管腔84内へのライナ86dの挿入、及び管腔に沿ったライナの通過を容易にし得る。これは、典型的には、ライナ86dの管状構造の切り取りセクション119及び121によって達成される。オプションで、引っ張り部分118を形成する脚部のエッジは、例えば、ホットナイフを用いて切断手順を実行することによって、互いにシールすることができる。エッジをシールすることは、管腔84内へのライナ86dの挿入をさらに容易にし、腱鞘に沿って通過させ得る。このように脚部のエッジをシールすることにより、引っ張り部分118の領域においてライナ86dを閉じ得る。しかしながら、引っ張り部分118は、その後、(腱断端16及び糸通し要素26bを受け入れることができるように)ライナ通路90を再び開くために、切り取られることができることが理解されるであろう。
【0155】
図23Aは、引っ張り部分118eの長さが鞘ライニング部分116eの長さ未満であるライナ86dの変形例であるライナ86eを示す。図23Bは、オプションで開口端部92eを含むライナの一部の上に折り曲げ、折り曲げられた部分の周囲を通過する巻き付け124及び126を用いて折り曲げられた部分を固定することによって、ライナ86eに連結された縫合糸96を示す。ライナ86eは、引っ張り部分118eの領域内で折り曲げられ、これは、ライナ86eの端部における減少した幅(図22のW)を維持し、腱鞘20の管腔84への挿入及びそれに沿った通過を容易にする。このようなライナ86eの折り曲げを伴わなくてもよい他の結合方法が使用され得ることができることが理解されよう。
【0156】
図24A及び24Bは、切断された2つの腱の修復に使用され得る代替のライナを示す。ライナは参照番号86fによって示される。図13図17に示され、上述したライナ86と同様のライナ86fの構成要素は、接尾辞‘f’を付加した同じ参照番号を共有する。
【0157】
ライナ86fは、2つの腱鞘ライニング部分138及び140を画定するように、糸通し要素(例えば、糸通し要素26b)の接続構成要素96に結合することができる。ライナ86fは、第1の端部142及び第2の端部144を有し、結合は、ライナを、第1の端部と第2の端部との間のライナの長さに沿った点146で、適切にはライナの中間点又はその近傍で、接続構成要素96に接続することによって達成される。各腱鞘ライニング部分138、140の長さは実質的に同じであるが、もしそれらが、腱鞘20(又は、少なくとも、外科的開口部15、70の間に延びる腱鞘の一部)をライニングするのに十分な長さであるならば、長さは異なってもよい。腱鞘ライニング部分138、140は、通常、腱鞘20内に位置する各腱の腱断端を受容するように機能する。指18の腱鞘20は、1より多い腱を収容することがよく知られている。従って、ライナ86fを含むアセンブリは、2つの腱鞘ライニング部分138、140が、両方の指の腱が修復される場合に使用するために、腱鞘20内に配置されることを可能にする。
【0158】
ライナ86fはまた、第1の端部142と第2の端部144との間に延びるボディ148を有する。第1の腱鞘ライニング部分138は、第1の端部142から第1の端部と第2の端部との間に配置されるライナの部分118fに向かって延び、引っ張り部分を形成する。第2の腱鞘ライニング部分140は、第2の端部144から部分118fに向かって延びる。第1及び第2の腱鞘ライニング部分138及び140は、それぞれ幅WL2を有し、部分118fは、第1及び第2の腱鞘ライニング部分の幅よりも小さい幅WP2を有する。第1の腱鞘ライニング部分138の幅は、適切には、第2の腱鞘ライニング部分140の幅と同じ(又は実質的に同じ)である。
【0159】
それほど望ましくないが、代替実施形態では、ライナ86fは、第1の端部142から第2の端部144まで一定の幅又は実質的に一定の幅を有することができる。
【0160】
部分118fは、実質的に一定の幅のメインセクション150と、メインセクション150と第1の腱鞘ライニング部分138との間に延びる第1の移行セクション152と、メインセクション150と第2の腱鞘ライニング部分140との間に延在する第2の移行セクション154とを有する。移行セクション152、154は、メインセクション150の幅WP2から、それぞれの腱鞘ライニング部分138、140の幅WL2まで、漸進的に増加する幅を有する。典型的には、これは、上述のように、ライナ86fの管状構造の切り取りセクションによって達成される。
【0161】
ライナ86fは、部分118fにおいて、糸通し要素26b、特に可撓性接続構成要素96に解放可能に結合されるように構成されている。可撓性接続構成要素96がループに形成される場合、ライナ86fは、部分118fでループの上に折り曲げることによって、糸通し要素に解放可能に結合される。次いで、ライナ86fは、上述のように腱鞘20内に引き込まれる。次いで、適切にはライナ86fを切断することにより、第1及び第2の腱鞘ライニング部分138及び140を互いに分離することができる。これは、例えば、位置158でライナを、図24Bの移行セクション152及び154の左側に、切断することによって、部分118fを除去することによって達成され得る。
【0162】
図24Cに示されるライナ86fの変形例では、部分118fは、第1の腱鞘ライニング部分138から延びる第1の移行セクション152と、第2の腱鞘ライニング部分140から延びる第2の移行セクション154とを有し、第2の移行セクションは、第1の移行セクションに結合される。移行セクション152、154は、移行セクション間の交点156で規定される幅Wから、それぞれの腱鞘ライニング部分138、140の幅W1、2まで、漸進的に増加する幅を有する。
【0163】
図24A~Cに示されるライナ86fの実施形態は、効果的に、2つの移行セクション152及び154によって一体的かつ対称的に接続され、図22並びに図23A及びBに118として示された引っ張り部分のものと同様の、一様な幅のセクション118fを形成する幅に減少する、2つの管状ライナを有する。図24Bは、ライナ86fが糸通し要素26bに接続されたループ96にどのように結合されるかを示す。ライナ86fは、長い管状ライナの中央部分から材料を除去することによって形成され得る。また、図24A及びBに示されている狭小化されたセクション118fを持たないが、図24Cのように移行セクション152及び154のみを含むことも許容される。この実施形態は、2つの利点を有する:(i)糸通し針から延びるループへのライナのより単純な結合及び分離;及び(ii)2つの全長ライナが腱鞘の管腔に配置されるので、同じ指の2つの断裂した腱を修復することが可能であり(これはある頻度で生じる)、この場合、各ライナは、別の箇所で説明した手順に従い、手のひらから指先へ一度に1つの腱断端を送達することを容易にする。
【0164】
次に図25及び26を参照すると、本開示の別の実施形態によるアセンブリの側面図が示されている。このアセンブリは、切断された腱の腱断端を取り出す方法に使用され得、これは、切断された腱を修復するための準備段階として、腱鞘をライニングすることを含む。上述のように、手の切断された腱の修復に関連して、アセンブリ及び方法を説明する。
【0165】
図示の実施形態では、アセンブリは、腱鞘20の管腔84に沿って通過するように構成される糸通し要素26bを有する。糸通し要素26bは、図12に示され、上述された針カバー及び搬送装置によって提供され、従って、同じ参照番号によって示される。糸通し要素26bのさらなる特徴が上に概説されていることが理解されよう。しかしながら、他の糸通し要素を使用してもよい。
【0166】
このアセンブリは、この場合も同様に、腱鞘20の内面88をライニングするためのライナを有し、ライナは、参照番号86fによって全体的に示されている。ライナ86~86eと同様のライナ86fの構成要素は、接尾辞‘f’を伴って同じ参照番号を共有する。ライナ86fは、管腔84に沿った通過中に腱断端がそれに沿って通過することができる内部通路90fを画定し、この場合も同様に、腱断端と腱鞘20の内面88との間の接触を防止するように作用する。
【0167】
ライナ86fは、図13図24に示され、上述したライナ86~86eと同様であるが、別の方法で糸通し要素26bに接続されている。具体的には、ライナ86fは、(腱鞘20をライニングするために)管腔84内に配置されるように構成された鞘ライニング部分116fと、管腔ライニング部分から延びる引っ張り部分118fとを有する。この実施形態では、引っ張り部分118fは、縫合糸96によって形成されたループ上で折り曲げられるが、引っ張り部分118fの折り曲げられた部分128を、適切には溶接(例えば、加熱)又は接着剤の使用によって、図25の132に示すように、ライナ86fのメイン部分130に固定することによってしっかり留められる。
【0168】
ライナ86fは、腱鞘の管腔内に挿入されるように構成される、つぶれた休止構成と、拡張された動作構成とを有する。これは、本明細書に開示されている他のライナの場合でもあり得ることが理解されるであろう。ライナ86fは、図25Aの斜視図のつぶれた休止構成、及び図25Bの拡張された動作構成に示されている。ライナ86fは、腱鞘20の管腔84に沿って移動する際に、腱断端、この場合は手のひらの第1の腱断端16と接触することによって半径方向に拡張した構成に移動可能である。
【0169】
つぶれた構成では、ライナ86fは、実質的に平坦であり(オプションで、レイフラット(lay-flat)チューブの形態をとる)、幅Wと高さHとを有し、幅は高さよりも大きい。半径方向に拡張した構成への移動中に、ライナ86fによって画定される内部通路90fは、ライナがより丸い(円形又は楕円形)形状となるように、拡大又は開口する。これにより、幅Wは減少し、高さHは増加する。これは、ライナ86fを平坦化することによって、例えば、ライナを糸通し要素26bに接続する前にリールに巻き付けることによって、達成され得る。これにより、ライナは、長手方向に延びる継ぎ目又は折り目線134、136を有し、これは、ライナの周囲の周りで離間されており(継ぎ目は、意図的に形成されてもよく、例えば、リールに巻き付ける前に、使用される場合は)、ライナが巻き戻されるとき平坦なテープのように見える。
【0170】
ライナ86fの「レイフラット」構造は、US2013/0144310A1に開示されている拡張カテーテルに比べて、文書に開示されている硬質の拡張カテーテルを使用するときに起こり得る腱プーリの過剰な拡張を回避し、それによってプーリの損傷/破損のリスクを低減するという点で、顕著な利点を提供する。
【0171】
典型的には、特定の実施形態では、ライナ68fは、約0.05mmから約0.2mmの範囲の壁厚を有することができ、従って、そのつぶれた(平坦な)休止構成の高さHは、例えば約0.1mmから約0.4mmの範囲(例えば、つぶれた構成で通路90fがどれだけ閉じられているかに依存して、潜在的には、約0.5mmまで)の比較的小さいものであり得る。これは、ライナ86fが管腔84のわずかな部分しか占有しないことが確実にし、したがって、管腔に沿った腱断端16の輸送を妨害したり、制約したりしない。特定の実施形態では、幅Wは、比較すると、約5~約10mmの範囲であることができる。ライナ86fに好適な材料は、高分子材料、特に、低密度ポリエチレンを含み、これは、それを糸通し要素26bに接続するための熱溶接に好適であり、チューブの平坦化を容易にし得る。特定の実施形態では、高さH対幅Wの比は、約1:100~約1:10の範囲(ここで、Wは5~10mmであり、Hは0.1mm~0.5mmである)であることができる。
【0172】
つぶれた形状を有するようにライナ86fを形成することは、この構成にあるとき、高さHが比較的小さく、幅Wよりも著しく小さいという点で、腱鞘20の管腔84へのライナの挿入を容易にすることができる。拡張された構成へのライナ86fのその後の移動(腱断端16が内部通路90fに沿って通過するように)は、ライナがプーリ又は腱鞘20の内面88に接触しないことを確実にしながら、断端16のライナに沿った通過を可能にし、従って、ライナは、内面をライニングするように作用する。
【0173】
図26は、ライナ86f(腱鞘20の管腔84内に存在する)の接続解除後のアセンブリと、縫合糸64を引きずる、ボディ36bを形成するばねの部分72b内の湾曲針28の追従位置を示す。図示のように、管腔84に沿ったナビゲーションを支援するために、ばねによって画定されたボディ36bの第1の端部32bは丸められる。これは、外側スリーブ78の適切な処理、例えば、熱の印加によって達成することができる。
【0174】
図27乃至図30は、図25及び図26のアセンブリを使用して、手のひら12から指18の第2の腱断端22(これらの図面には示されていない)に近い位置まで腱断端16を取り出す(retrieving)方法のステップを示す。本方法は、上述の図13図21に示す方法の関連するステップと同様である。
【0175】
図27は、縫合糸96を介して糸通し要素26bに接続されたライナ86fを有するアセンブリを示し、糸通し要素は、腱鞘20の管腔84内にライナを引き込むために使用される。図28は、(例えば、ライナに沿って溶接/接着された点132からさらに離れた位置で引っ張り部分118fを切断し、次に縫合糸96を糸通し要素から除去することによる)糸通し要素26bからのライナの分離後、湾曲針28を用いて縫合糸64を腱断端に接続した後、及び内部キャビティ38内の針28及び縫合糸64の後端の配置の後(腱断端16は図28においてライナ86fの後ろに配置される)の管腔内に位置されるライナ86fを示す。図29は、腱断端16を引きずるライナ86(腱鞘20の管腔84内に位置する)によって画定された内部通路90fに挿入されそれに沿って導かれる糸通し要素26bを示す。図30は、ライナ86fの内部通路90fに沿って引かれる腱断端16を示し、糸通し要素26bは、指18の開口70から出ている。上述の説明から理解されるように、次に、腱断端16は、修復処置を完了するために、指18の腱断端22(これらの図面には示されていない)に縫合されることができる。
【0176】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、種々の修正を上記に加えることができる。
【0177】
例えば、ボディは側壁を有し得る。キャビティと連通する開口部が側壁に形成され得る。針は、開口部を通ってキャビティ内に挿入可能であり得る。
【0178】
キャビティは、ボディの長さに沿って途中まで延び得る。キャビティは、第1及び第2の端部の一方から第1及び第2の端部の他方に向かう方向に延び得る。第2の端部が後端部である場合、キャビティは、第2の端部から第1の端部に向かって延び得る。
【0179】
手の損傷した腱(特に、限定されるものではないが、切断された腱)の修復で使用中の本発明の装置が示されている。しかしながら、本明細書に開示された装置及び方法は、人体又は動物の体の他の腱の修復における用途を有し得ることが理解されるであろう。一般的に言うと、装置及び方法は、腱断端を一緒に取り付けて腱を修復するための湾曲針の使用から利益を得、腱鞘の管腔内での針の通過を必要とする、任意の外科的腱修復技術における用途を有し得る。
図1
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図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図25
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29
図30