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  • 特許-医薬製剤の粘度低下 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】医薬製剤の粘度低下
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K39/395 A
A61K39/395 M
A61K9/08
A61K9/19
A61K47/18
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021170676
(22)【出願日】2021-10-19
(62)【分割の表示】P 2019191701の分割
【原出願日】2015-10-22
(65)【公開番号】P2022009223
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】62/067,637
(32)【優先日】2014-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイムズ・スローイー
(72)【発明者】
【氏名】セカール・カナプラン
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522814(JP,A)
【文献】国際公開第2007/074880(WO,A1)
【文献】特表2013-525484(JP,A)
【文献】特開2011-067202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0171128(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0176109(US,A1)
【文献】国際公開第01/074397(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 38/00-38/58
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも70mg/mLの抗体を含む液体医薬組成物の安定性を改善するための方法であって、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群から選択される賦形剤と、前記抗体とを組み合わせて、抗体を含む安定な液体医薬製剤を得るステップを含む、方法。
【請求項2】
前記安定な液体医薬製剤が、対照製剤と比べて、凝集の低下及び/又は減少した生物学的活性の喪失の減少を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安定な液体医薬製剤が、対照製剤と比べて、2~8℃で少なくとも2年保存したときに、少なくとも20%の凝集の減少を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記安定な液体医薬製剤が、対照製剤と比べて、熱条件下において少なくとも20%の凝集の減少を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記熱条件が、25℃で1週間から12週間、又は52℃で7~8日での保存を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
約50mM~約300mMの前記賦形剤と、抗体とを組み合わせるステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
100mM~400mMの前記賦形剤と、抗体とを組み合わせるステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記安定な液体医薬製剤の粘度が、対照製剤と比べて、少なくとも5%減少する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記賦形剤が、n-アセチルアルギニンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記賦形剤が、n-アセチルリジンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記賦形剤が、n-アセチルヒスチジンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記賦形剤が、n-アセチルプロリンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が、IgG2抗体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも70mg/mLの濃度の抗体、ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群から選択される、約50mM~約300mMの濃度の賦形剤を含み、凝集が、対照と比べて、少なくとも20%減少されている、液体医薬組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の液体医薬組成物を凍結乾燥するステップを含む、凍結乾燥粉末を調製する方法。
【請求項16】
n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群から選択される賦形剤と、少なくとも70mg/mLの濃度の抗体とを含み、前記賦形剤は、希釈剤を用いる再構成の際に凝集を減らすのに効果的な重量:重量濃度で存在する、凍結乾燥粉末。
【請求項17】
前記賦形剤は、抗体1mgあたり約100μg~抗体1mgあたり1mgの濃度で存在する、請求項16に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項18】
前記賦形剤は、抗体1mgあたり約200μg~約500μgから抗体1mgあたり1mgである、請求項16に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項19】
前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラモノクローナル抗体である、請求項16~18に記載の凍結乾燥粉末。
【請求項20】
滅菌希釈液を前記凍結乾燥粉末に加える、請求項16~19のいずれか一項の記載の凍結乾燥粉末を再構成する方法。
【請求項21】
前記抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラモノクローナル抗体である、請求項1~13、15及び20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラモノクローナル抗体である、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/067,637号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
抗体などの医薬的に活性なタンパク質は、特に非経口注射用に液体溶液へと製剤化されることがしばしばある。皮下経路を介して投与される必要がある生成物については、例えば、自己投与における使用は;1~2ミリリットルを超える送達容量の製剤は、十分に忍容されない。そのような場合は、高度に濃縮されたタンパク質製剤が、用量体積の制限を満たすのに望ましい。高用量及び少用量は、タンパク質治療剤が100mg/ml以上の濃度に達することができるような投与手段を必要とする。高度に濃縮されたタンパク質製剤は、タンパク質治療剤の製造能力及び投与に多くの課題を提起する可能性がある。いくつかの高度に濃縮されたタンパク質製剤により提起される1つの課題は、粘度の増加である。高粘度製剤は、バルク及び充填段階を含む製造中の取扱いが難しい。高粘度製剤は、シリンジ内に引き込み、注射することも難しく、患者への投与を困難かつ不快にさせる。高度に濃縮されたタンパク質製剤の粘度を低下させるために有用な化合物を同定する、そのような製剤の粘度を低下させる方法を開発する、粘度が低下した医薬製剤を提供することの必要性は、製薬産業において周知である。本発明は、そのような化合物、方法及び製剤を提供する。
【発明の概要】
【0003】
タンパク質製剤の粘度の低下において使用するために選択された濃度で、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を提供する。高濃度治療用タンパク質を、粘度低下性濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤と組み合わせることにより、タンパク質製剤の粘度を低下させるための方法を本明細書に提供する。治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む凍結乾燥粉末であって、該賦形剤が希釈剤を用いる再構成の際に粘度を低下させるのに有効な重量:重量濃度で存在する、前記凍結乾燥粉末も提供する。治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含有する再構成(reconsititution)のための希釈剤を含む凍結乾燥粉末も提供する。
【0004】
治療用タンパク質を少なくとも70mg/mlの濃度で含む液体医薬製剤の粘度を低下させるための方法であって、該治療用タンパク質を、粘度低下性濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤と組み合わせるステップを含む、前記方法を本明細書に提供する。一実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも5%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも10%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも20%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも30%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも40%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも50%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも60%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも70%低下する。別の実施形態では、製剤の粘度は、少なくとも80%低下する。関連する実施形態では、このような方法により生成した医薬製剤を提供する。
【0005】
治療用タンパク質を少なくとも70mg/mLの濃度で、ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む、医薬組成物も提供する。一実施形態では、賦形剤の濃度は、約5mM~約700mMである。関連する実施形態では、賦形剤の濃度は、約100mM~約400mMである。別の関連する実施形態では、賦形剤の濃度は、約200mM~約300mMである。なおも別の関連する実施形態では、賦形剤の濃度は、約140mM~約170mMである。約4.0から約8.0の間のpHを有するそのような医薬組成物も提供する。関連する実施形態では、pHは、約4.0~約6.0である。さらなる関連する実施形態では、pHは、約4.8~約5.4である。
【0006】
凍結乾燥粉末を調製する方法であって、上記のような医薬製剤を凍結乾燥させるステップを含む、前記方法も提供する。
【0007】
治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む凍結乾燥粉末であって、該賦形剤が希釈剤を用いる再構成の際に粘度を低下させるのに有効な重量:重量濃度で存在する、前記凍結乾燥粉末を提供する。一実施形態では、賦形剤は、治療用タンパク質1mgあたり約100μgから治療用タンパク質1mgあたり約1mgの間の濃度で存在する。関連する実施形態では、賦形剤は、治療用タンパク質1mgあたり約200μgから約500μgの間の濃度で存在する。さらに関連する実施形態では、賦形剤は、治療用タンパク質1mgあたり約150μgから約250μgの間の濃度で存在する。滅菌希釈液を添加するステップを含む、上記のような凍結乾燥粉末を再構成するための方法も提供する。
【0008】
抗体である治療用タンパク質も提供する。治療用タンパク質が抗体である、上記のような製剤または組成物も提供する。加えて、治療用タンパク質が抗体である、上記のような凍結乾燥粉末も本明細書で提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】抗体溶液の粘度に及ぼす様々な賦形剤の効果を示す棒グラフである。
図2】抗体溶液の粘度に及ぼす様々な賦形剤の効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高濃度治療用タンパク質製剤の粘度を低下させることは、製薬産業にとって興味深いことである。賦形剤である、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物は、そのような製剤の粘度を低下させると発見された。本発明は、賦形剤をタンパク質製剤の粘度の低下において使用するために選択された濃度で賦形剤を提供する。治療用タンパク質を、粘度低下性濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤と組み合わせることにより、タンパク質製剤の粘度を低下させるための方法を本明細書に提供する。治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む凍結乾燥粉末であって、該賦形剤が希釈剤を用いる再構成の際に粘度を低下させるのに有効な重量:重量濃度で存在する、前記凍結乾燥粉末も提供する。
【0011】
文脈により別途必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質及び核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される学術用語は、当該分野において周知で一般的に使用されているものである。本発明の方法及び技術は、一般に、当該分野で周知の従来の方法に従って、ならびに別段の指示がない限り、本明細書全体を通して引用される及び考察される様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているとおりに実施される。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、及びHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、当該分野で一般的に達成されるかまたは本明細書に記載されるように、製造者の仕様書に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医学薬学化学に関連して使用される用語ならびにこれらの実験手順及び技術は、当該分野において周知であり、一般的に使用されているものである。標準的な技術を、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、及び送達ならびに患者の処置のために使用することができる。
【0012】
特定される全ての特許及び他の刊行物は、例えば、記載されたものと関連して使用され得るそのような刊行物に記載された方法論を記載する及び開示する目的で、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0013】
双性イオンは、化合物に関して正味ゼロ電荷を生じる別個の正電荷及び負電荷を有することを特徴とする。ほとんどのアミノ酸は生理学的pHで双生イオンである。本明細書に開示するように、双性イオン、特にn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物を含有する医薬製剤は、概してポリオール含有製剤よりも低い粘度を有する一方で、同等またはそれ以上の安定性を有すると見いだされている。
【0014】
N-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、及びn-アセチルプロリンは、天然に生じるアミノ酸を改変したものである。N-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、及びn-アセチルプロリンは、d及びl型の両方のアミノ酸、例えば、n-アセチル-lアルギニン、n-アセチル-dアルギニン、n-アセチル-lリジン、n-アセチル-dリジン、n-アセチル-lヒスチジン、n-アセチル-dヒスチジン、n-アセチル-lプロリン及びn-アセチル-dプロリンを含む。
【0015】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書で互換可能に使用される。本発明の安定した医薬製剤における使用が企図される例示的なポリペプチドには、抗体、ペプチボディ、免疫グロブリン様タンパク質、非抗体タンパク質及び非免疫グロブリン様タンパク質が挙げられる。天然に生じるタンパク質の類似体は、本発明の製剤に含むことが企図され、これには改変グリコシル化を伴うポリペプチド、グリコシル化を伴わないポリペプチド(非グリコシル化)が含まれる。本明細書で用いるとき、「類似体」は、親配列に対して、挿入、欠失または置換を有する一方で、親活性の生物学的活性を依然として実質的に維持しているアミノ産配列を指す。このことは、当業者に既知の生物学的アッセイを使用して決定される。本発明の製剤は、天然に生じるポリペプチドまたは類似体ポリペプチドの誘導体も含んでよく、類似体ポリペプチドは、例えば、水溶性高分子(例えば、PEG化)、放射性核種、または他の診断もしくは標的化もしくは治療部分を付着するように化学的に修飾されている。
【0016】
抗体は、本発明に従って製剤化されてよい。本明細書で用いるとき、「抗体」という用語は、完全構築抗体、モノクローナル抗体(ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、マキシボディ、BiTe、DART、及び前述の相補性決定領域(CDR)を含む抗原と結合できる抗体断片(例えば、Fab’、F’(ab)2、Fv、一本鎖抗体、ダイアボディ)をそれらが所望の生物学的活性を呈する限り、含む。
【0017】
少なくとも1つの抗原結合性ペプチドに付着した抗体Fcドメインを含む分子であるペプチボディは、概して、PCT出願WO00/24782に記載されている。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである免疫グロブリン様タンパク質は、抗体可変領域の部分と同様の構造において折り畳まれる1つまたは複数の免疫グロブリン様ドメインを含有する。
【0018】
以下の1つまたは複数に結合するものを含むタンパク質は、本発明の組成物及び方法において有用であるだろう。それらには、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、及びCD34を含むがこれらに限定されないCDタンパク質;受容体結合に干渉するものを含む。HER2、HER3、HER4、及びEGF受容体を含む、HER受容体ファミリータンパク質。細胞接着分子、例えば、LFA-I、MoI、p150、95、VLA-4、ICAM-I、VCAM、及びアルファv/ベータ3インテグリン。血管内皮増殖因子(「VEGF」)、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、ミュラー管阻害物質、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-I-アルファ)、エリスロポエチン(EPO)、NGF-ベータなどの神経成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、例えばaFGF及びbFGFを含む線維芽細胞成長因子、上皮成長因子(EGF)、なかでもTGF-α、及びTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含むTGF-βを含むトランスフォーミング増殖因子(TGF)、インスリン様成長因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、ならびに骨誘導性因子を含むがこれらに限定されない、増殖因子。インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、及びインスリン様成長因子結合性タンパク質を含むがこれらに限定されない、インスリン及びインスリン関連タンパク質。凝固及び凝固関連タンパク質、例えば、なかでも、第VIII因子、組織因子、フォン・ヴィレブランド因子、プロテインC、アルファ-1-アンチトリプシン、ウロキナーゼ及び組織プラスミノーゲン活性化因子(「t-PA」)などのプラスミノーゲン活性化因子、ボンバジン、トロンビン、ならびにトロンボポエチン;(vii)アルブミン、IgE、及び血液型抗原を含むがこれらに限定されない、他の血液及び血清タンパク質。以下を、なかでも、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF、ならびにその受容体、例えばCSF-1受容体(c-fms)を含む、コロニー刺激因子及びその受容体。例えば、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、LDL受容体、成長ホルモン受容体、トロンボポエチン受容体(「TPO-R」、「c-mpl」)、グルカゴン受容体、インターロイキン受容体、インターフェロン受容体、T細胞受容体、c-Kitなどの幹細胞因子受容体、及び本明細書に挙げる他の受容体を含む、受容体及び受容体関連タンパク質。例えば、OX40受容体に対するリガンドである、OX40Lを含む受容体リガンド。骨由来神経栄養因子(BDNF)及びニューロトロフィン-3、-4、-5、または-6(NT-3、NT-4、NT-5、またはNT-6)を含むがこれらに限定されない、神経栄養因子。リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、及びプロリラキシン;例えば、インターフェロン-α、-β、及び-γ、ならびにそれらの受容体を含む、インターフェロン及びインターフェロン受容体。IL-I~IL-33及び、なかでもIL-8受容体などのIL-I~IL-33受容体を含むがこれらに限定されない、インターロイキン及びインターロイキン受容体。AIDSエンベロープウイルス抗原を含むがこれに限定されない、ウイルス抗原。リポタンパク質、カルシトニン、グルカゴン、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性剤、腫瘍壊死因子アルファ及び腫瘍壊死因子ベータ、エンケファリナーゼ、RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted)、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNase、インヒビン、及びアクチビン。インテグリン、プロテインAまたはD、リウマチ因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、スーパーオキシドディスムターゼ、表面膜タンパク質、崩壊促進因子(DAF)、AIDSエンベロープ、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体。ミオスタチン、TALL-Iを含むTALLタンパク質、アミロイド-ベータタンパク質を含むがこれに限定されないアミロイドタンパク質、胸腺間質性リンパ球新生因子(「TSLP」)、RANKリガンド(「OPGL」)、c-kit、TNF受容体1型を含むTNF受容体、TRAIL-R2、アンジオポエチン、及び上記のいずれかの生物学的に活性な断片または類似体または変異体が含まれる。
【0019】
例示的なタンパク質及び抗体には、Activase(登録商標)(アルテプラーゼ);アリロクマブ(H1H316Pと命名された抗PCSK9モノクローナル抗体、米国特許第8.062,640号を参照されたい);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチン-アルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、またはエリスロポエチン);Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-Ia);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β);ボコシズマブ(L1L3と命名された抗PCSK9モノクローナル抗体、米国特許第8,080,243号を参照されたい);Campath(登録商標)(アレムツズマブ);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ);エボロクマブ(21B12と命名された抗PCSK9モノクローナル抗体、米国特許第8,030,467号を参照されたい);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ);Humatrope(登録商標)(注射用ソマトロピン[rDNA由来]);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド);Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム(Sargamostim));LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ);Benlysta(商標)(ベリムマブ);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);MyIotarg(登録商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗C5補体);MEDI-524(Numax(登録商標));Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);エドレコロマブ、(Panorex(登録商標));Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);オムニターグ(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-I);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビシリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DMl);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン);Neulasta(登録商標)(PEG化フィルガストリム(filgastrim)、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF);Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブCD3)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Stelara(商標)(ウステキヌマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7.153,507号を参照されたい)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗バチルス・アントラシス防御抗原mAb);ABthrax(商標);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ);Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-Iトラップ(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-I受容体要素(I型受容体及び受容体アクセサリータンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1 Fcに融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、ゼチーア(エゼチミブ)、アタシセプト(TACI-Ig)、抗α4β7 mAb(ベドリズマブ);ガリキシマブ(抗CD80モノクローナル抗体)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFFアンタゴニスト);Simponi(商標)(ゴリムマブ);マパツムマブ(ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);オクレリズマブ(抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-I(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗クロストリジウム・ディフィシル毒素A及び毒素B C mAbであるMDX-066(CDA-I)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗TSLP抗体(米国特許第7,982,016号、米国特許第8232372号及び米国公開出願第20090186022号を参照されたい);抗TSLP受容体抗体(米国特許第8,101,182号を参照されたい);A5と命名された抗TSLP抗体(米国特許第7,982,016号を参照されたい);(抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ(MT201、抗EpCAM-CD326mAb);MDX-060、SGN-30、SGN-35(抗CD30 mAb);MDX-1333(抗IFNAR);HuMax CD38(抗CD38 mAb);抗CD40L mAb;抗クリプトmAb;抗CTGF特発性肺線維症第I相Fibrogen(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗スクレロスチン抗体(米国特許第8,715,663号または米国特許第7,592,429号を参照されたい)。Ab-5と命名された抗スクレロスチン抗体(米国特許第8,715,663号または米国特許第7,592,429号を参照されたい);抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);MEDI-545、MDX-1103(抗IFNα mAb);抗IGFIR mAb;抗IGF-IR mAb(HuMax-Inflam);抗IL12/IL23p40 mAb(ブリアキヌマブ);抗IL-23p19 mAb(LY2525623);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL-17 mAb(AIN457);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-O18、CNTO95);抗IPIO潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);抗LLY抗体;BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PD1 mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα 抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VEGFR/Flt-1 mAb;抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3);NVS抗体#1;NVS抗体#2;ならびに配列、配列番号8及び配列番号6を含むアミロイド-ベータモノクローナル抗体(米国特許第7,906,625号を参照されたい)が含まれる。
【0020】
製剤中の例示的なタンパク質濃度は、約70mg/ml~約300mg/ml、約120mg/ml~約270mg/ml、約140mg/ml~約255mg/ml、約140mg/ml~約240mg/ml、または約140mg/ml~約220mg/ml、またあるいは、約190mg/ml~約210mg/mlの範囲であってよい。タンパク質の濃度は、医薬製剤の最終使用に依存し得、当業者により容易に決定され得る。タンパク質の特に企図される濃度は、少なくとも約70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295及び300mg/mlであり、間にある全ての値を含む。
【0021】
本明細書で用いるとき、「医薬製剤」は、生物学的に活性なタンパク質などの医薬的に活性な薬物の滅菌組成物であり、それを必要とする患者への非経口投与(静脈内、筋肉内、皮下、エアロゾル化、肺内、鼻腔内または髄腔内を含むがこれらに限定されない)に好適であり、医薬的に許容され得る賦形剤、希釈剤、及び米国食品医薬品局または他の外国権威により安全とみなされた他の添加剤のみを含む。医薬製剤は、直接投与されてよい液体、例えば、水性、溶液、及び投与前に希釈剤を加えることにより溶液中に再構成され得る凍結乾燥粉末を含む。「医薬製剤」という用語の範囲から具体的に排除されるものは、患者に対する局所投与用の組成物、経口摂取用の組成物、及び非経口的栄養補給のための組成物である。
【0022】
「貯蔵寿命」は、本明細書で用いるとき、医薬製剤が特定の保管条件下、例えば2~8℃で保管されているとき、その間の医薬製剤中の治療用タンパク質などの有効成分の劣化が最小(例えば、約5%~10%以下の劣化)である保管期間を意味する。劣化を評価するための技術は、医薬製剤中のタンパク質のアイデンティティに依存して異なる。例示的な技術には、例えば、凝集を検出するためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)-HPLC、例えば、タンパク質断片化を検出するための逆相(RP)-HPLC、例えば、タンパク質の電荷における変化を検出するためのイオン交換-HPLC、タンパク質の立体構造の変化を検出するための質量分析、蛍光分光法、円偏光二色性(CD)分光法、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)、及びラマン分光法が含まれる。全てのこれらの技術は、単独でまたは組み合わせて使用して、医薬製剤中のタンパク質の劣化を評価し、その製剤の貯蔵寿命を決定することができる。本発明の医薬製剤は、好ましくは、2~8℃で保管されたとき、2年間で劣化(例えば、断片化、凝集またはアンフォールディング)において約5~10%以下の増加を呈する。
【0023】
本明細書で用いるとき、生物学的に活性なタンパク質の「安定した」製剤とは、対照処方試料と比較して2~8℃で少なくとも2年間保管する際に少なくとも20%の凝集の減少及び/または生物学的活性の喪失の低下を呈するか、またあるいは、熱応力の条件下、例えば、1週間~12週間にわたって25℃;1~12週間にわたって40℃;7~8日にわたって52℃等で凝集の減少及び/または生物学的活性の喪失の低下を呈する製剤である。
【0024】
本明細書で用いるとき、「粘度」は、液体の流れに対する抵抗性であり、センチポアズ(cP)またはミリパスカル-秒(mPa-s)の単位で測定され得、ここで、所与の剪断速度で、1cP=1mPa-sである。粘度は、粘度計、例えば、Brookfield Engineering製のアナログ粘度計、LVTモデル、及びAR-G2、TA instruments製を使用することにより測定され得る。粘度は、当該分野で公知の任意の他の方法及び任意の他の単位(例えば、絶対粘度、動粘性係数または粘性係数)で測定されてよく、重要なのは、本発明に記載される賦形剤の使用により得られる粘度における低下率(%)であることが理解されたい。粘度を決定するために使用する方法にかかわらず、賦形剤製剤対対照製剤における粘度の低下率(%)は、所与の剪断速度においておおよそ同じままであるだろう。
【0025】
本明細書で用いるとき、「粘度を低下させる」のに有効な量の賦形剤(または「粘度低下性」の量または濃度のかかる賦形剤)を含有する製剤は、投与のためのその最終形態(溶液の場合、または粉末の場合は、意図する量の希釈剤を用いる再構成の際)における製剤の粘度が、適切な対照製剤、例えば、水、緩衝液、他の公知の粘度低下性物質、例えば塩等、及び、例えば、本明細書に例示するものなどの対照製剤の粘度よりも少なくとも5%少ないことを意味する。賦形剤不含対照製剤も、たとえそれらが、例えば、低張性のために治療用製剤として実装可能でない可能性がある場合であっても使用されてよい。
【0026】
同様に、「粘度が低下した」製剤は、対照製剤と比較して、低下した粘度を呈する製剤である。
【0027】
タンパク質治療剤は、しばしば、溶液の粘度増加をもたらし得る高濃度で与えられる必要がある。そのような高タンパク質濃度で典型的に見られる粘度の増加を呈さない高濃度製剤を提供することが非常に望ましい。
【0028】
高粘度製剤は、バルク及び充填段階を含む製造中の取扱いが難しい。高粘度製剤は、シリンジに引き込み、注射することも難しく、しばしば、患者にとって不快であり得るより低いゲージの針の使用を必要とする。n-アセチル-l-アルギニンを生物学的に活性なタンパク質の溶液に添加することは、高濃度タンパク質溶液の粘度を低下させた。
【0029】
n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤の使用により、他の賦形剤で典型的に見られるような大きな粘度の増加を伴うことなく、製剤中でより高い濃度の治療用タンパク質を使用することが可能になる。ゆえに、本発明は、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を、粘度を低下させるのに有効な量で添加することにより、タンパク質製剤の粘度を安定化するまたは低下させるための方法を提供する。本発明は、有効量または濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含有する、抗体を含む治療用タンパク質の粘度が低下した製剤も提供する。粘度を低下させる好適または最適な濃度を同定するために、それぞれ異なる濃度の本明細書に記載の賦形剤を含有する、1つまたは複数の製剤をスクリーニングする方法も企図される。粘度が低下した本発明の溶液製剤から凍結乾燥粉末を調製する方法、及び本発明の凍結乾燥粉末を滅菌希釈剤の添加により再構成する方法をさらに提供する。
【0030】
ゆえに、本発明は、生物学的に活性なポリペプチドならびに粘度低下性濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含有する医薬製剤を提供する。粘度における低下は、対照製剤に対して少なくとも約5~90%である。一実施形態では、粘度の低下は、約10~80%の範囲である。他の例示的な実施形態では、粘度の低下は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または85%である。
【0031】
本発明の製剤は、医薬的に許容され得る塩、緩衝液、界面活性剤、他の賦形剤、キャリア、希釈剤、及び/または他の製剤薬剤を任意で含んでよい。
【0032】
例示的な医薬的に許容され得る緩衝液には、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、コハク酸塩(コハク酸ナトリウムなど)、グルタミン酸、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩または他の有機酸緩衝液が含まれる。例示的な緩衝液濃度は、例えば、緩衝液及び製剤の所望の張性(例えば、等張、高張または低張)に応じて、約1mM~約200mM、または約10mM~約60mMであることができる。例示的なpHには、約4.5~約8.0、または約4.8~約5.5、または約4~6、または約5~5.5、または約5、約5超、約5.5超、約6超、または約6.5超が含まれる。
【0033】
好適な希釈剤、他の賦形剤、またはキャリア及び他の薬剤には、抗酸化剤、着色剤、香味及び希釈薬剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、充填剤、増量剤、緩衝剤、ビヒクル、希釈剤及び/または医薬補助剤が含まれるが、これらに限定されない。例えば、好適なビヒクルは、生理学的食塩水、クエン酸緩衝食塩水、または人工脳脊髄液であってよく、非経口投与用の組成物に一般的な他の物質を補充することが可能である。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。当業者は、本発明において使用される組成物及び剤形において使用することができる様々な緩衝液を容易に認識するだろう。典型的な緩衝液には、医薬的に許容され得る弱酸、弱塩基、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な緩衝液成分には、水溶性物質、例えば、リン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはその塩である。例示的な塩には、無機及び有機酸、または塩基、例えば、金属もしくはアミンが、約50~200mM、または100~200mM、または約100mM、または約150mMなどの例示的な濃度で含まれる。
【0034】
他の賦形剤または安定剤も含まれてよく、例えば、糖(例えば、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、キシロース、マンニトース、フコース)、ポリオール(例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、グリコール、イノシトール)、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体(例えば、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、リジン、グリシン、メチオニン、等)または界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、もしくはポリソルベート80を含むポリソルベート、またはポロクサマー188を含むポロクサマー、TPGS(d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩)も含まれてよい。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%~約1.0%、または約0.003%~約0.5%の範囲であってよい。ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、クロロブタノールまたは塩化ベンゼトニウムなどの保存剤も、例えば、約0.1%~約2%、または約0.5%~約1%の範囲の濃度で含まれてよい。
【0035】
Remington’s Pharmaceutical Sciences 21st edition,Osol,A.Ed.(2005)に記載されているものなどの1つまたは複数の他の医薬的に許容され得るキャリア、賦形剤または安定剤は、それらが製剤の所望の特性に悪影響を与えない限り製剤中に含まれてよい。
【0036】
製剤中の抗体などの治療用タンパク質の濃度は、医薬製剤の最終使用に依存し得、当業者により容易に決定されることができる。
【0037】
アンタゴニストである治療用タンパク質は、しばしば、アゴニストであるものよりも高い濃度で投与される。抗体を含む、治療用タンパク質の特に企図される高濃度(PEG化などの化学修飾の重量は考慮にいれない)は、少なくとも約70、80、90、100、110、120、130、140、150、175、180、185、190、195 200、250、300、350、400、450、または500mg/mlである、及び/または約250、300、350、400、450または500mg/ml未満である。製剤中の、抗体などの治療用タンパク質の例示的な高濃度は、少なくとも約100mg/ml~約500mg/mlの範囲であり得る。他のタンパク質濃度(PEG化などの化学修飾の重量は考慮にいれない)も企図され、例えば、少なくとも約1、5、10、20、30、35、40、45、50、55、60、65または70mg/mlである。本発明は、治療用タンパク質の濃度が、100、125、150、175または200cPなどの少なくとも6、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35cPまたはより高い粘度をもたらし、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含むことが、5%以上の粘度の低下をもたらす製剤及び方法を特に企図する。例えば、約30cPの粘度を有する溶液は、標準的な27ゲージの針で注射することが難しい可能性がある。本明細書での治療用タンパク質のmg/ml濃度、治療用タンパク質の重量(mg)または治療用タンパク質の分子量(kD)に対する言及は、いずれの非タンパク質性修飾も除く、治療用タンパク質のタンパク質性部分のそれぞれの重量を意味する。
【0038】
本発明は、治療用タンパク質を、粘度を低下させる量の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤と組み合わせることにより、治療用タンパク質の液体医薬製剤の粘度を低下させる及び/または安定性を改善させる方法を提供する。
【0039】
例示的な実施形態では、治療用タンパク質は、上記のように高タンパク質濃度である。いくつかの実施形態では、粘度の低下は、対照製剤と比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または85%である。
【0040】
別の態様では、本発明は、治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む液体溶液であって、該製剤が対照製剤と比較して低下した粘度を呈する、前記液体溶液を提供する。例示的な実施形態では、治療用タンパク質は、上記のように高タンパク質濃度である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の賦形剤は、粘度低下性(重量:体積)濃度で存在する。これらの賦形剤はいずれも、それらの溶解限度までの濃度で使用できる。そのような溶液は、糖または他のポリオール、例えばスクロースもしくはソルビトール、またはアミノ酸、例えば、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、リジン、グリシン、メチオニン等を、さらに安定性を改善する、凝集を減少する、及び/または粘度を有意に増加させることなく製剤を等張性にするために有効な量でさらに含んでよい。
【0041】
例示的な実施形態では、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤の濃度は、少なくとも約50mM~約300mM、または少なくとも約100mM~約250mM、または少なくとも約140mM~約200mMである。例示的な実施形態では、賦形剤の濃度は、少なくとも約50、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、250、または300mMまたはそれより大きい。他の例示的な実施形態には、粘度を有意に増加させることなく製剤を等張性にするのに有効な賦形剤の濃度が含まれる。例示的な濃度には、少なくとも約180mM以上のものが含まれ、さらなる実施形態では、量は少なくとも約200mM以上である。
【0042】
別の態様では、本発明は、治療用タンパク質ならびにn-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤を含む凍結乾燥タンパク質製剤であって、推奨量の希釈剤を用いる再構成の際に、該製剤が対照製剤と比較して低下した粘度を呈する、前記凍結乾燥タンパク質製剤を提供する。例示的な実施形態では、治療用タンパク質は、上記のように高タンパク質濃度である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、希釈剤を用いる再構成の際に粘度を低下させるのに有効な量(重量:重量濃度)で存在する。そのような製剤は、糖または他のポリオール、例えば、スクロースもしくはソルビトール、または少なくとも1つのアミノ酸、例えば、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、リジン、グリシン、メチオニン等を、さらに安定性を改善する、凝集を減少させる、及び/または粘度を有意に増加させることなく製剤を等張性にするのに有効な量でさらに含み得る。
【0043】
例示的な実施形態では、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤の濃度は、治療用タンパク質1mgあたり少なくとも約1μg~治療用タンパク質1mgあたり最大で約1.0mgである。いくつかの実施形態では、賦形剤の濃度は、治療用タンパク質1mgあたり、少なくとも約1、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500または550μgである。他の例示的な実施形態では、賦形剤の濃度は、治療用タンパク質1mgあたり最大で約600、650、700、750、800、850、900、950または1000μgである。
【0044】
なおも別の実施形態では、本発明は、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物を賦形剤として本明細書に記載の量または濃度のいずれかで使用することにより、液体製剤中でのタンパク質の自己会合を防ぐ方法を提供する。改善した安定性(例えば、凝集の減少)及び貯蔵寿命を有する製剤も提供する。
【0045】
本発明は、本発明の液体タンパク質製剤、及びその投与のための説明書を、任意で容器、シリンジ及び/または他の投与デバイスを伴って含むキットも提供する。本発明は、本発明の凍結乾燥タンパク質製剤を任意で容器内で、及びその再構成及び投与のための説明書を、任意で滅菌希釈剤のバイアルを伴って、及び任意でシリンジまたは他の投与デバイスを伴って含む、キットをさらに提供する。例示的な容器には、バイアル、管、ボトル、シングルもしくはマルチチャンバープレフィルドシリンジ、またはカートリッジが含まれる。例示的な投与デバイスには、有針もしくは無針シリンジ、注入ポンプ、ジェット注射器、ペン型デバイス、経皮注射器、または他の無針注射器、または経鼻もしくは経肺送達のためのエアゾールデバイスが含まれる。
【0046】
別の態様では、賦形剤の粘度低下性濃度についてスクリーニングするための方法であって:(1)第一濃度の、n-アセチルアルギニン、n-アセチルリジン、n-アセチルヒスチジン、n-アセチルプロリン及びそれらの混合物からなる群より選択される賦形剤ならびに治療用タンパク質、例えば抗体を含む第一溶液の粘度を評価すること、(2)異なる第二濃度の賦形剤及び治療用タンパク質を含む第二溶液の粘度を評価すること、ならびに(3)第一溶液の粘性が低い場合に、第一濃度の賦形剤が第二の濃度の賦形剤より粘度低下性であることを決定するステップを含む、前記方法を提供する。粘度は、例えば、Aries ARG2レオメーターまたはBrookfield RV-DVIIIレオメーターを使用して、決定することができる。
【0047】
賦形剤の凝集減少性または安定化濃度についてスクリーニングするための同様の方法を提供する。
【0048】
安定性は、多くの方法において評価することができ、それには、ある範囲の温度(熱安定性)及び/または期間(貯蔵寿命)にわたる及び/またはストレスの多い取扱い状況(例えば、物理的な振とう)に曝露された後の立体構造の変化をモニタリングすることを含む。様々な濃度の製剤成分を含有する製剤の安定性は、様々な方法を使用して測定することができる。例えば、タンパク質凝集の量は、混濁の目視観察により、特定の波長で吸光度を測定することにより、サイズ排除クロマトグラフィー(タンパク質の凝集体は、その未変性活性状態でのタンパク質と比較して異なる分画で溶出するだろう)、HPLC、または他のクロマトグラフィー法により測定することができる。立体構造の変化を測定する他の方法を使用することができ、それには、例えば、変性の温度を決定するための示差走査熱量測定(DSC)、またはタンパク質のモル楕円率を測定する円偏光二色性(CD)を使用することが含まれる。蛍光も、組成物を分析するために使用することができる。蛍光は、光または熱の形態でのエネルギーの放出または吸収、及び光の極性特性の変化を包含する。蛍光発光は、タンパク質に固有のものであることができるか、蛍光レポーター分子によるものであることができる。例えば、ANSは、部分的に折り畳まれていないタンパク質の疎水性ポケットに結合する蛍光プローブである。折り畳まれていないタンパク質の濃度が増加すれば、疎水性ポケットの数が増加し、その後、結合できるANSの濃度が増加する。ANS結合におけるこの増加を、タンパク質試料の蛍光シグナルの検出によりモニターすることができる。安定性を測定するための他の手段を使用することができ、それらは当業者に周知である。
【0049】
本発明は、本発明の例示的な実施形態を詳述する以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるだろう。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示全体にわたる引用は全て、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0050】
実施例1
IgG2抗体調製物(140mg/ml)(抗体A)を、10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2に対して、Snakeskin(登録商標)プリーツ付き透析チューブ10,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州、ウォルサム)を使用して、透析した。120mg/mLの抗体Aを含む10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2を、3ccバイアル中に、各1mLの充填量で充填した。バイアルを、Virtis凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した。バイアルを、450uLの様々な溶液(水-対照または200mM賦形剤溶液)で再構成した。再構成の後、抗体A濃度を、SOLO-VPE測定器を使用して190mg/mLであると決定した。粘度を、Aries ARG2レオメーターを使用して25℃で測定し、それらは以下の表1に記録されている。
【0051】
【表1】
【0052】
図1は、抗体溶液の粘度に及ぼす様々な賦形剤の効果を示す。データは、被験賦形剤が水対照と比較して低下した粘度を有することを示す。
【0053】
実施例2
IgG1抗体調製物(70mg/ml)(抗体B)及びIgG2抗体調製物(70mg/ml)(抗体C)を、それぞれ、20mM酢酸ナトリウムpH4.7及び4.9に対して、10,000MWCO透析チューブを使用して透析した。抗体試料を、30,000MWCO遠心フィルター及びAllegra X-12R遠心機を使用して濃縮した。抗体試料濃度を、Agilent紫外可視分光光度計を使用して決定した。賦形剤を含有する試料を、バルク濃縮液を予め秤量した固形賦形剤でスパイクすることによって調製した。粘性試料を、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して移した。粘度は、Brookfield RV-DVIII+プログラム可能レオメーターを使用して25℃で測定し、それらは以下の表2.1及び2.2に記録されている。
【表2】
【表3】
【0054】
賦形剤である、n-アセチル-lアルギニンについては、抗体Bの粘度の低減はおおよそ45%であり、抗体Cの粘度の低減はおおよそ56%である。
【0055】
実施例3
IgG2抗体調製物(140mg/ml)(抗体D)を、10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2に対して、Snakeskin(登録商標)プリーツ付き透析チューブ10,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州、ウォルサム)を使用して透析した。100mg/mLの抗体Dを含む10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2を、3ccバイアル中に、各1mLの充填量で充填した。バイアルを、Virtis凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した。バイアルを、450uLの水(対照-賦形剤無し)または10mMグルタミン酸塩200mM n-アセチル-LアルギニンpH5.2のいずれかで再構成した。抗体D濃度を、SOLO-VPE測定器を使用して決定した。粘度は、Aries ARG2レオメーターを使用して25℃で測定し、それらは以下の表3.0に記録されている。
【表4】
【0056】
賦形剤である、n-アセチル-lアルギニンについては、抗体Dの粘度の低減はおおよそ40%である。
【0057】
実施例4
IgG2抗体調製物(140mg/ml)(抗体E)を、6ダイアフィルトレーション容量の緩衝液A(10mMグルタミン酸塩260mM n-アセチル-lアルギニンpH4.6)または緩衝液B(10mMグルタミン酸ナトリウムpH4.6)を用いて限外ろ過及びダイアフィルトレーションを使用して、200mg/mlまで濃縮した。UFDF試料の最終pHは、5.2であると決定された。抗体E濃度を、SOLO-VPE測定器を使用して決定した。粘度は、Aries ARG2レオメーターを使用して20℃で測定し、それらは以下の表4.0に記録した。
【表5】
【0058】
賦形剤である、n-アセチル-lアルギニンについては、抗体Eの粘度の低減はおおよそ54%である。
【0059】
実施例5
IgG2抗体調製物(140mg/ml)(抗体A)を、10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2に対して、Snakeskin(登録商標)プリーツ付き透析チューブ10,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州、ウォルサム)を使用して透析した。120mg/mLの抗体Aを含む10mMグルタミン酸ナトリウム1%スクロースpH5.2を、3ccバイアル中に、各1mLの充填量で充填した。バイアルを、Virtis凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した。バイアルを、450uLの様々な溶液(水-対照または200mM賦形剤溶液)を用いて再構成した(以下の表5を参照されたい)。再構成の後、抗体A濃度を、SOLO-VPE測定器を使用して190mg/mLであると決定した。粘度を、Aries ARG2レオメーターを使用して25℃で測定し、それらは以下の表5に記録されている。
【0060】
【表6】
【0061】
図2は、抗体溶液の粘度に及ぼす様々な賦形剤の効果を示す。データは、被験賦形剤が対照、ならびに賦形剤である、n-アセチル-lアルギニン及びn-アセチル-lヒスチジンと比較して低下した粘度を有すること、賦形剤ヒスチジン単独と比較して低下した粘度を有することを示す。
図1
図2