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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61M25/00 550
A61M25/00 600
A61M25/00 624
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021513057
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2019015444
(87)【国際公開番号】W WO2020208702
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武村 和
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05658263(US,A)
【文献】特表2004-535950(JP,A)
【文献】特表2003-501160(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002286(WO,A1)
【文献】特表2005-538746(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173720(JP,U)
【文献】特開平08-117343(JP,A)
【文献】米国特許第10052456(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の湾曲部有する中空シャフト、を備えているカテーテルであって、
前記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、
第1の樹脂材料からなる第1の領域と、
前記第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、前記第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料からなる第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域とに隣接するように設けられ、前記第1の樹脂材料と前記第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料からなる第3の領域と、を有し
前記一つの湾曲部は、前記第1の領域と前記第3の領域との境界の前後に亘って所定の曲率で湾曲し、かつ前記第2の領域と前記第3の領域との境界の前後に亘って所定の曲率で湾曲し、
前記中空シャフトの剛性は、前記中空シャフトの基端から先端に向かって一方向に小さくなっていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記第3の領域において、前記第1の樹脂材料に対する前記第2の樹脂材料の混合割合が、前記第1の領域から前記第2の領域に向かうにつれて漸次大きくなっている請求項に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第3の領域は、組成が均質な一つの区画のみを有する構成であるか、または区画内の組成が均質でありかつ前記各区画ごとに組成が異なる複数の区画を連結した構成であるか、のいずれかである請求項に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第3の領域は、組成が異なる複数の区画を連結した構成であって、前記第3の領域における前記第1の樹脂材料に対する前記第2の樹脂材料の混合割合が、先端側に向かうにつれて前記区画ごとに段階的に大きくなっている請求項に記載のカテーテル。
【請求項5】
一以上の湾曲部を有する中空シャフト、を備えているカテーテルであって、
前記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、
第1の樹脂材料からなる第1の湾曲部と、
前記第1の湾曲部よりも長軸方向における先端側に設けられ、前記第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料からなる第2の湾曲部と、
前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部とに隣接するように設けられ、前記第1の樹脂材料と前記第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料からなる第3の湾曲部と、を有し
前記一つの湾曲部は、前記第1の湾曲部と前記第3の湾曲部との境界の前後に亘って所定の曲率で湾曲し、かつ前記第2の湾曲部と前記第3の湾曲部との境界の前後に亘って所定の曲率で湾曲し、
前記中空シャフトの剛性は、前記中空シャフトの基端から先端に向かって一方向に小さくなっていることを特徴とするカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤなどの医療器具を体外から血管などの体腔に導く器具として、例えば、ガイディングカテーテルなどが用いられる。
【0003】
このようなカテーテルは、複雑に湾曲する血管内などに挿入する際、体腔追従性や耐キンク性を担保するため、通常、カテーテルの先端側に向かって剛性が徐々に小さくなるように形成されている。このような剛性が徐変されたカテーテルとしては、例えば、硬度が異なる複数の樹脂製チューブを長軸方向に沿って直列に繋ぎ合わせるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上述のようなカテーテルによれば、先端側に向かって剛性が例えば段階的に小さくなっており、体腔追従性や耐キンク性などを高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-312633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のカテーテルでは、体腔追従性や耐キンク性を向上することはできるものの、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしがその接合部にて剥離してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしが接合部にて剥離し難い中空シャフトを備えたカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のいくつかの態様は、
(1)一以上の湾曲部を有する中空シャフト、を備えているカテーテルであって、
前記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、
第1の樹脂材料からなる第1の領域と、
前記第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、前記第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料からなる第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域とに隣接するように設けられ、前記第1の樹脂材料と前記第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料からなる第3の領域と、を有していることを特徴とするカテーテル、
(2)前記第3の領域において、前記第1の樹脂材料に対する前記第2に樹脂材料の混合割合が、前記第1の領域から前記第2の領域に向かうにつれて漸次大きくなっている前記(1)に記載のカテーテル、および
(3)前記中空シャフトの先端部の剛性が、長軸方向における前記先端部よりも基端側に位置する前記中空シャフトの基端部の剛性よりも小さい前記(1)または(2)に記載のカテーテル、である。
【0009】
なお、本明細書において、「先端側」とは、中空シャフトの長軸方向に沿う方向であって、第1の領域に対して第2の領域が位置する方向を意味する。また、「基端側」とは、中空シャフトの長軸方向に沿う方向であって、先端側と反対側の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしが接合部にて剥離し難い中空シャフトを備えたカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態を示す概略的側面図である。
図2図1の一部を拡大して示す概略的側面図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示す概略的側面図である。
図4】本発明の第3の実施形態を示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当該カテーテルは、一以上の湾曲部を有する中空シャフト、を備えているカテーテルであって、上記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、第1の樹脂材料からなる第1の領域と、上記第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、上記第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料からなる第2の領域と、上記第1の領域と上記第2の領域とに隣接するように設けられ、上記第1の樹脂材料と上記第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料からなる第3の領域と、を有していることを特徴とする。
【0013】
以下、本発明の第1~第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、各図面に示したカテーテルの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
図1および図2は、本発明の第1の実施形態を示す概略的側面図である。当該カテーテル1は、図1および図2に示すように、概略的に、中空シャフト11と、コネクタ21とにより構成されている。
【0015】
中空シャフト11は、一以上の湾曲部を有する中空形状のシャフトである。この中空シャフト11は、具体的には、先端の開口11bから基端に亘って貫通する内腔11aを有している。この内腔11aには、例えば、ガイドワイヤ(不図示)などが挿通される。
【0016】
湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、第1の領域と第2の領域と第3の領域とを有している。当該カテーテル1は、中空シャフト11が先端側に位置する湾曲部(以下、「先端側湾曲部」ともいう)W11と、この先端側湾曲部W11よりも基端側に位置する湾曲部(以下、「基端側湾曲部」ともいう)W12とにより構成される2つの湾曲部W1を有しており、これら2つの湾曲部W11,W12のうちの基端側湾曲部W12にのみ第1~第3領域R111~R113が形成されている。
【0017】
具体的には、基端側湾曲部W12における第1~第3の領域は、基端側から順に部位A1からなる第1の領域R111、部位B1からなる第3の領域R113、および部位C1からなる第2の領域R112である。
【0018】
第1の領域は、第1の樹脂材料で形成されている。第2の領域は、第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料で形成されている。当該カテーテル1では、具体的には、例えば、第1の領域R111(部位A1)が第1の樹脂材料(樹脂材料A1M)、第2の領域R112(部位C1)が第2の樹脂材料(樹脂材料C1M)で形成することができる。
【0019】
部位A1および部位C1を構成する樹脂材料A1MおよびC1Mは、中空シャフト11が血管などの体腔内に挿通されることから、抗血栓性、生体適合性、および可撓性を有していることが好ましく、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂等を採用することができる。なお、部位C1の樹脂材料C1Mは、カテーテル1の操作性向上などの観点から、通常、部位A1の樹脂材料A1Mよりも剛性が小さい材料が用いられる。このため、樹脂材料A1MおよびC1Mは、例えば、上述した樹脂材料の中から適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
第3の領域は、第1の領域と第2の領域とに隣接するように設けられ、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料で形成されている。当該カテーテル1では、例えば、第3の領域R113(部位B1)が第3の樹脂材料(樹脂材料B1M)で構成することができる。
【0021】
この第3の領域R113としては、例えば、組成が同じ(均質な)一つの区画のみを有するもの、組成の異なる複数の区画を連結したもの、組成が漸次(単調)に変化する区画を有するもの、これらを組み合わせたもの等を採用することができる。本実施形態では、第3の領域R113(部位B1)は、組成が同じ(均質な)一つの区画のみで構成されている。
【0022】
第3の樹脂材料B1Mとしては、第1および第2の樹脂材料A1M、C1Mとして選択された材料を所定の割合で混練したものを採用することができる。ここで、所定の割合としては、例えば、第3の領域R113が、組成が同じ一つの区画のみを有する場合は一つの値、組成が異なる複数の区画を連結した場合は各区画ごとの値、組成が漸次(単調)に変化する区画を有する場合は漸次変化する値等を採用することができる。
【0023】
ここで、第3の領域R113が、組成が同じ一つの区画のみを有する場合、第1の樹脂材料A1M/第2の樹脂材料C1M(質量比)は、10/90~90/10が好ましく、30/70~70/30がより好ましく、40/60~60/40が更に好ましく、50/50が特に好ましい。
【0024】
第3の領域R113が、組成が異なる複数の区画を連結した場合、第3の領域R113における第1の樹脂材料A1Mに対する第2に樹脂材料C1Mの混合割合は、先端側に向かうにつれて区画ごとに段階的に大きくなることが好ましい。
【0025】
第3の領域R113が、組成が漸次(単調)に変化する区画を有する場合、第3の領域R113において、第1の樹脂材料A1Mに対する第2に樹脂材料C1Mの混合割合が、第1の領域R111から第2の領域R112に向かうにつれて(先端側に向かうにつれて)漸次大きくなっていることが好ましい。
【0026】
このように、第3の領域R113における第1の樹脂材料A1Mと第2の樹脂材料C1Mとの混合割合が上記構成であることで、第1の領域R111と第3の領域R113との接合部、および第2の領域R112と第3の領域R113との接合部における各樹脂の組成差を全体としてより小さくすることができ、材料が異なる樹脂どうしをより強固に接合することができる。
【0027】
中空シャフト11は、例えば、第1の樹脂材料(樹脂材料A1M)で形成されたチューブ(管状部材)の端部と、第3の樹脂材料(樹脂材料B1M)で形成されたチューブの端部と、第2の樹脂材料(樹脂材料C1M)で形成されたチューブの端部とをこの順で接合することで得ることができる。また、第3の領域R113が複数の区画で構成される場合、例えば、各区画を構成するチューブの端部どうしを接合することで第3の領域を形成することができる。上述の接合方法としては、例えば、接合される樹脂製のチューブの端部どうしを当接した後、この当接した部位を加熱溶着する方法等を採用することができる。
【0028】
なお、中空シャフト11の先端部の剛性は、長軸方向における先端部よりも基端側に位置する中空シャフト11の基端部の剛性よりも小さいことが好ましい。このような中空シャフト11としては、具体的には、例えば、中空シャフト11の剛性が基端から先端に向かって漸次小さくなる態様、中空シャフト11の剛性が基端から先端に向かって段階的に小さくなる態様等が挙げられる。
【0029】
本実施形態では、樹脂材料の剛性が、樹脂材料A1M>樹脂材料B1M>樹脂材料C1Mの順で段階的に小さくなっている。このような樹脂材料A1MおよびC1Mの組み合わせとしては、それぞれポリアミドおよびポリアミドエラストマーの組み合わせ、ポリアミドエラストマーおよびポリイミドの組み合わせが好ましい。
【0030】
このように、先端側に向かうにつれて中空シャフト11の剛性を小さくすることで、カテーテル1を湾曲した血管内に容易に進入させる(体腔追従性を高める)ことができる。
【0031】
中空シャフト11の寸法としては、通常、全長が550mm~1,100mmであり、第1、第2および第3の領域を有する湾曲部(本実施形態では基端側湾曲部W12)の基端が中空シャフト11の基端から350mm~900mmの部位に位置し、湾曲部(基端側湾曲部W12)の全長が10mm~195mmであり、湾曲部(基端側湾曲部W12)における第3の領域R113の全長が5mm~190mmである。外径は1.73mm~2.80mm、内径は1.47mm~2.29mmである。
【0032】
コネクタ21は、オペレータが当該カテーテル1を把持する部材である。このコネクタ21は、中空シャフト11の基端部に接続されており、中空シャフト11の内腔11aに連通する内腔21aと、この内腔21aの基端に形成された開口21bとを有している。なお、コネクタ21の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、オペレータが操作しやすい形状に形成することができる。
【0033】
以上のように、当該カテーテル1は、上記構成であることで、第1の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差、および第2の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差のいずれもが、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料との組成差よりも小さい分、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしが接合部にて剥離するのを防止することができる。これは、上記構成により各接合部における相溶性を高めることができ、結果として材料が異なる樹脂どうしが強固に接合されるためである。
【0034】
なお、当該カテーテル1の用途としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、医療用カテーテルとして使用することができる。中でも、当該カテーテル1は、中空シャフト11を湾曲して使用するような、ガイディングカテーテルやマイクロカテーテルに好適に適用することができる。例えば、当該カテーテル1がガイディングカテーテルとして用いられる場合、その湾曲部W1を例えば血管などの体腔の内壁に当接させて確実にバックアップ(固定)することができ、内腔11aを介してガイドワイヤ等を挿通することができる。
【0035】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態を示す概略的側面図である。当該カテーテル2は、図3に示すように、概略的に、中空シャフト12と、コネクタ21(不図示)とにより構成されている。当該カテーテル2は、中空シャフト12を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、中空シャフト12の形状以外の構成は第1の実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
中空シャフト12は、一以上の湾曲部を有する中空形状のシャフトである。上記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、第1の領域と第2の領域と第3の領域とを有している。当該カテーテル2は、中空シャフト12が先端側湾曲部W21と基端側湾曲部W22との2つの湾曲部W2を有しており、これら2つの湾曲部W2のうちの基端側湾曲部W22にのみ第1~第3領域が二カ所に形成されている。
【0037】
具体的には、基端側湾曲部W22における2つの第1~第3の領域のうちの一方は、基端側から順に部位A2からなる第1の領域R211、部位B2からなる第3の領域R213、および部位C2からなる第2の領域R212であり、他方は、基端側から順に部位C2からなる第1の領域R221、部位D2からなる第3の領域R223、および部位E2からなる第2の領域R222である。なお、本実施形態では、第2の領域R212と第1の領域R221とが同一の区画(部位C2)となっている。
【0038】
第1の領域は、第1の樹脂材料で形成されている。第2の領域は、第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料で形成されている。第3の領域は、第1の領域と第2の領域とに隣接するように設けられ、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料で形成されている。当該カテーテル2では、具体的には、例えば、第1の領域R211(部位A2)が第1の樹脂材料(樹脂材料A2M)、第3の領域R213(部位B2)が第3の樹脂材料(樹脂材料B2M)、第2の領域R212および第1の領域R221(部位C2)が第2および第1の樹脂材料(樹脂材料C2M)、第3の領域R223(D2)が第3の樹脂材料(樹脂材料D2M)、第2の領域R222(E2)が第2の樹脂材料(樹脂材料E2M)で構成することができる。
【0039】
部位A2、部位C2および部位E2を構成する樹脂材料A2M、C2M、E2Mは、例えば、それぞれ第1の実施形態において第1および第2の樹脂材料として例示した樹脂と同様の樹脂等の中から適宜選択することができる。また、部位B2および部位D2を構成する樹脂材料B2M、D2Mとしては、それぞれ部位A2の樹脂材料A2Mと部位C2の樹脂材料C2Mとを混合したもの、部位C2の樹脂材料C2Mと部位E2の樹脂材料E2Mとを混合したものを採用することができる。
【0040】
また、第3の領域R213、R223(部位B2、部位D2)内の区画の構成は、それぞれ第1の実施形態にて上述したR113の区画の構成と同様の構成を採用することができる。
【0041】
なお、中空シャフト12の先端部の剛性は、長軸方向における先端部よりも基端側に位置する中空シャフト12の基端部の剛性よりも小さいことが好ましい。本実施形態では、樹脂材料の剛性が、樹脂材料A2M>樹脂材料B2M>樹脂材料C2M>樹脂材料D2M>樹脂材料E2Mの順で段階的に小さくなっている。このような樹脂材料A2M、C2MおよびE2Mとしては、例えば、第1の実施形態において樹脂材料A1MおよびC1Mとして例示したものの中から、その剛性に基づき、適宜選択することができる。
【0042】
このように、先端側に向かうにつれて中空シャフト12の剛性を小さくすることで、例えば、体腔追従性を高めることができる。
【0043】
以上のように、当該カテーテル2は、上記構成であることで、第1の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差、および第2の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差のいずれもが、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料との組成差よりも小さい分、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしが接合部にて剥離するのを防止することができる。
【0044】
[第3の実施形態]
図4は、本発明の第3の実施形態を示す概略的側面図である。当該カテーテル3は、図4に示すように、概略的に、中空シャフト13と、コネクタ21(不図示)とにより構成されている。当該カテーテル3は、中空シャフト13を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、中空シャフト13の形状以外の構成は第1の実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
中空シャフト13は、一以上の湾曲部を有する中空形状のシャフトである。上記湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部は、第1の領域と第2の領域と第3の領域とを有している。当該カテーテル3は、中空シャフト13が先端側湾曲部W31と基端側湾曲部W32との2つの湾曲部W3を有しており、この2つの湾曲部W3それぞれに第1~第3領域が一カ所づつ形成されている。
【0046】
具体的には、基端側湾曲部W32における第1~第3の領域は、部位A3からなる第1の領域R311、部位B3からなる第3の領域R313、および部位C3からなる第2の領域R312であり、先端側湾曲部W31における第1~第3の領域は、部位C3からなる第1の領域R321、部位D3からなる第3の領域R323、および部位E3からなる第2の領域R322である。なお、本実施形態では、第2の領域R312と第1の領域R321とが同一の区画(部位C3)となっている。
【0047】
第1の領域は、第1の樹脂材料で形成されている。第2の領域は、第1の領域よりも長軸方向における先端側に設けられ、第1の樹脂材料と異なる組成の第2の樹脂材料で形成されている。第3の領域は、第1の領域と第2の領域とに隣接するように設けられ、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料とを混合して形成された第3の樹脂材料で形成されている。当該カテーテル3では、具体的には、例えば、第1の領域R311が第1の樹脂材料(樹脂材料A3M)、第3の領域R313が第3の樹脂材料(樹脂材料B3M)、第2の領域R312および第1の領域R321が第2および第1の樹脂材料(樹脂材料C3M)、第3の領域R323が第3の樹脂材料(樹脂材料D3M)、第2の領域R322が第2の樹脂材料(樹脂材料E3M)で構成することができる。
【0048】
部位A3、部位C3および部位E3を構成する樹脂材料A3M、C3M、E3Mは、例えば、それぞれ第1の実施形態において第1および第2の樹脂材料として例示した樹脂と同様の樹脂等の中から適宜選択することができる。また、部位B3および部位D3を構成する樹脂材料B3M、D3Mとしては、それぞれ部位A3の樹脂材料A3Mと部位C3の樹脂材料C3Mとを混合したもの、部位C3の樹脂材料C3Mと部位E3の樹脂材料E3Mとを混合したものを採用することができる。
【0049】
また、第3の領域R313、R323(部位B3、部位D3)内の区画の構成は、それぞれ第1の実施形態にて上述したR113の区画の構成と同様の構成を採用することができる。
【0050】
なお、中空シャフト13の先端部の剛性は、長軸方向における先端部よりも基端側に位置する中空シャフト13の基端部の剛性よりも小さいことが好ましい。本実施形態では、樹脂材料の剛性が、樹脂材料A3M>樹脂材料B3M>樹脂材料C3M>樹脂材料D3M>樹脂材料E3Mの順で段階的に変化している。このような樹脂材料A3M、C3MおよびE3Mとしては、例えば、第1の実施形態において樹脂材料A1M、C1Mとして例示したものの中から、その剛性に基づき、適宜選択することができる。
【0051】
このように、先端側に向かうにつれて中空シャフト13の剛性を小さくすることで、例えば、体腔追従性を高めることができる。
【0052】
以上のように、当該カテーテル3は、上記構成であることで、第1の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差、および第2の樹脂材料と第3の樹脂材料との組成差のいずれもが、第1の樹脂材料と第2の樹脂材料との組成差よりも小さい分、繋ぎ合わせた樹脂製のチューブどうしが接合部にて剥離するのを防止することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、第1~第3の領域を有する湾曲部(第1の実施形態では基端側湾曲部W12、第2の実施形態では基端側湾曲部W22、第3の実施形態では先端側湾曲部W31および基端側湾曲部W32)の先端が中空シャフト11~13の先端から離間しているカテーテル1~3について説明したが、第1、第2および第3の領域を有する湾曲部の先端が中空シャフトの先端に位置している中空シャフト(不図示)を備えたカテーテルであってもよい。これにより、中空シャフトの先端部における湾曲部の接合強度を高めることができる。
【0055】
また、上述した第1および第2の実施形態では、第1~第3の領域を有さない湾曲部(先端側湾曲部W11、W21を備えているカテーテル1、2について説明したが、湾曲部のうちの少なくとも一つの湾曲部が第1~第3の領域を有していればよく、いずれの湾曲部も第1~第3の領域を有するカテーテルであってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、2つの湾曲部を備えたカテーテル1~3について説明したが、一つの湾曲部のみ備えたカテーテル(不図示)であってもよく、三つ以上の湾曲部を備えたカテーテル(不図示)であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1~3 カテーテル
11~13 中空シャフト
R111、R211、R311、R221、R321 第1の領域
R112、R212、R312、R222、R322 第2の領域
R113、R213、R313、R223、R323 第3の領域
W1~W3 湾曲部
図1
図2
図3
図4